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【早苗】鈴仙奮闘記28【サッカー好きか?】
[490]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/05/10(日) 02:23:12 ID:??? ***** −魔法の森 霧雨魔法店− 魔理沙「……そうだ。それが私、霧雨魔理沙とアイツ――博麗霊夢との初めての出会い。 これまで自分こそがこの物語の主人公だと信じて疑わなかった私に、初めて自分自身の価値の無さを疑わせた。 当時の私的には最強最悪にロクでも無い相手だったな」 森崎「……お前バカだな。その位で自分自身疑ってたのか。まるで四面のボスみたいな発想だぜ? そんなんだったら、いつまで経っても俺みたいな主役にゃなれないぜ?」 大会一回戦を明日の午後に控えた夜。 霧雨魔理沙は利害関係者として共に修練を重ねて来た少年――森崎有三を自宅へと呼んで、僅かな昔話に興じていた。 彼は幻想郷には中々いない珍しいタイプで、要するに魔理沙と割と気が合うタイプだった。 魔理沙「私だって、あれから努力したさ。それに結果も挙げて来た」 森崎「それがどうしたよ。そんなの、主人公にアッサリ負ける三下でも出来る事じゃないか」 魔理沙「じゃあ、どうすれば良いんだよ」 森崎「自分で言ってたじゃないか。自分自身を、この物語の主人公だと信じて疑わない事。 これが一番重要なんじゃないのか? 少なくとも、俺はいつもそう信じているぞ」 森崎の遠慮を全く知らない、完全なる功利主義から基づくドストレートな言葉は時に辛辣に思えるが、 魔理沙にとってはむしろ好感の持てる話し方だった。 現に今もこうして、魔理沙は森崎との会話を通じて、自身の伸び悩みの原因を探ろうとしていたが、 こうした流れで、魔理沙が森崎に反感を覚えた事は自然と一度も無かった。
[491]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/05/10(日) 02:24:54 ID:??? 魔理沙「信じるのは自由だ。だが現実は我々のそんな信仰を妄想だと言って一笑に付してくるじゃないか。 それには一体、どうやって対処するんだ?」 森崎「ほっときゃ良いじゃねぇか。それで仮にカチンと来たり、傷つく事があったとしたら。 それは多分お前も内心その通りだなーって思ってるからだと思うが。まあ、でもそんときゃそれを直せば良いだろ」 魔理沙「直せば良いとは大きく出たな。じゃあ例えば、内心その通りだと思ってる事が、どうしても直せない場合はどうする? こうなったら、どうしようも無くないか? そうなるヤツは主人公失格なのかな」 森崎「どうしようも無いんだったら、ほっときゃ良いじゃないか」 魔理沙「……お前。もしかして適当な事言って。私を煙に巻こうとしているな?」 森崎「ちっ。バレたか」 二人は練習後、こうしてしばしば談笑する事もあった。 とはいえ、その範囲はあくまで業務中の雑談レベルに過ぎず、踏み込んだ会話をすることはあまりない。 魔理沙がこうして自分の過去を話すのも、今夜が初めてだった。 森崎「――ま。要するに気にするだけ負けってヤツだな。 俺の生活を物理的に邪魔しない限り。結局、他人がどう言おうが、どう思ってようが関係ないさ」 魔理沙「そこは私も分かってるつもりだぜ? むしろ、お前さん以上にな」 魔理沙はパチュリーから大分前に借りた本を枕にして、自室のソファに寝そべった。 流れるような金髪がふわりと揺れると、流石の森崎も若干どぎまぎする事もある ……ような、そんな甘酸っぱい時期は当に過ぎていた。 森崎には丁重に、アリスから『譲ってもらった』クッションの上に座らせている。 魔理沙「……いかんいかん。少し眠くなってきたな。――森崎ももう帰るか?」 森崎「ああ……そうしようかな。そういや、この間のキノコありがとうな。全部腐ってたぞ」
[492]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/05/10(日) 02:26:18 ID:??? 森崎は結局幻想入りの日から今まで、博麗神社の離れを借りてそこで生活している。 食事・洗濯等について霊夢は勿論何もやってくれない(結界があって、勝手に部屋に入る事もできない)ため、 実質的な自給自足の独り暮らしである。 そのため、魔理沙から偶に貰えた質の悪いキノコや草も、森崎にとっては割とありがたい。 魔理沙はそこから、森崎を神社まで連れていった。懐中時計を見ると、時刻は既に3時だった。 魔理沙「ふああ……眠い。明日は大会だし、寝るか……って。あれ」 家に帰った魔理沙は早々に寝支度をしていたが。 その日たまたま魔理沙は、霊夢の家に生活用品を数点置いていた事に気付いた。 魔理沙「あっちゃあ。そういや荷物を持ったまま、神社にお邪魔してたんだっけ。 明日取りに行っても良いけれど――どうしようかなぁーっと」 少しだけ悩んだ末、魔理沙は箒に乗って空を飛んでいた。 性分として、今日やれる事は今日の内にやっておきたいタイプである。 森崎に話してやった過去の自分の冒険譚――外界の天才学者と遭ったり、 かつては髪の長かった幽香を退治にしに行ったり、果ては魔界の神様と戦ったり。 中には不格好なエピソードもあったが。そのどれもが今の自分に繋がる、大切な思い出だったという事に気付いた。 魔理沙「さーて。神社のどこに置いたっけな……」 フワリ。 魔理沙はルーミアも出没する、神社の境内裏で降りて、霊夢を起こして機嫌を損ねぬよう、 こっそりと周囲を歩いて行った。幸いに、魔理沙の探し物はすぐに見つかった。 (霊夢が気を利かせて、纏めて賽銭箱の傍に置いといてくれていた) ――のだが。
[493]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/05/10(日) 02:27:25 ID:??? シュッ。シュッ! シュッ。シュッ! 魔理沙「……音?」 この時魔理沙は不思議な音を聞いた。何かが空を切るような幽かな音だった。 魔理沙「(何かの妖怪か、それともまだみぬ怪現象か……? 最近、オカルトボールがどうとか都市伝説がどうとかいう噂が立ってたし。割とあり得るかもだぜ……)」 音は神社の裏山から聞こえている。境内裏から少し飛んだ場所だ。 麓の方は開けていて林も無く、自分がもう少し小さかった頃は、同じく小さかった霊夢と一緒に川で遊んだ記憶がある。 音の発生源は、その麓にある川べりからだった。 そこでは一人の小柄な男が、月明かりを受けて映る自分の姿を見ながら、基礎的なセービングのフォームを確認していた。 魔理沙「も、森崎……!?」 ――それは間違いなく、先程魔理沙と別れた筈の森崎だった。 森崎は普段からこうして、一人で遅くまで基礎的な練習を積み重ねて来たのである。 魔理沙は大きな声を出して、森崎を呼び止めようとしたが……やめた。 魔理沙「(――ここで私がアイツに声を掛けたら、私はアイツのプライドを大きく傷つけちまう。 だって、私が逆の立場だったら大いに傷つくし……。 でも……何だ、なんだよ。森崎のヤツ。アイツ、あれだけ自信家の癖して……!)」 努力をするのは良いが、そこまで隠れてやる必要があるのか? 自分の事を完璧に差し置いて、魔理沙は森崎に非常に腹が立った。 しかし、魔理沙が今一番腹を立てている対象は森崎では無かった。 魔理沙「(……私は馬鹿だ。森崎から見たらロクな努力もしてない癖に、主人公に憧れて。 それでいて、その為の行動が全然伴ってないんだから! 私と森崎は一緒じゃない。全然違った……!)」
[494]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/05/10(日) 02:28:46 ID:??? 魔理沙は自分自身への怒りに体中を熱くしながら、全速力で空を駆けていた。 そうと決まれば、自分のすべき事はひとつしかない。 魔理沙「(駄目だ。もっと……もっと練習しなくちゃ! もっと努力しないと、私は主人公に憧れるだけの、単なる噛ませ犬だ……!)」 鈴仙が中山から多くの事を学んでいたように、魔理沙は森崎から多くの事を学んでいた。 それはこれまでの半年間での積み重ねでもあった。 だから、森崎の真の努力に気付いた魔理沙が、これまでの森崎との会話から新たなシュートを開発するまでに、 それほど多くの時間を要さなかった。……大会当日の早朝の事である。 ――カッ! チュドゴーーーーーーーーーーーーーーンッ! 魔理沙「はぁ。はぁ……出来た!」 暁光により僅かに白みかけた空の下、魔理沙は博麗神社の裏山目がけておもいっきり、その新しいシュートを撃ち放った。 悪友に対するせめてもの報告が必要だと考えたからだ。 魔理沙「これが……私の物語最大最後のシュート。最後の閃光。『ファイナルスパーク』だ……!」 抜け殻のようになった魔理沙は、自分のシュートをそう名付けると、満足したようにその場に倒れる。 人間はどうしようも無く眠くなった時は、機械のように意識が落ちるのだと魔理沙は学習した。 お蔭で、あの脚が千切れるような痛み、間接の骨がゴリゴリと削られていくような嫌な感じを覚えなくて済んだ。 魔理沙「(み……ま……さま。あた……し、やり……まし……た)」 薄れゆく意識の中で、魔理沙はかつての師を思い出す。 彼女はこのシュートを見て感心しているだろうか?それとも、まだまだだと駄目出しをするだろうか? その時の彼女の顔は――魔理沙には、ぼやけて何も見えなかった。
[495]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/05/10(日) 02:31:37 ID:??? ――と、言ったところで、今日の更新はここまでです。 いつまでNPCシーン続くんだという感じですが、これで分量的に半分位は行ったと思います。 明日にはNPCシーンを終わらせ、できれば14日目の行動選択に行ければなと思っています。 それでは、皆さま、本日もお疲れ様でした。
[496]森崎名無しさん:2015/05/10(日) 03:04:35 ID:??? 乙なのです! 霊夢「へえ……やるわね。素直に感心したわ」 魔理沙「おう、どうだ!」 霊夢「で……この神社の、裏山の惨状についてどう責任を取ってくれるのかしら?」 魔理沙「……観光名所にでもすればいいんじゃないか?」 霊夢「なるか!」 輝夜「オチオチキーパーもしていられないわね、幻想郷は……(汗)」
[497]森崎名無しさん:2015/05/10(日) 11:20:30 ID:??? >勇儀「森崎有三。初対面で会話もしてないが、私はあんたを気に入ったよ」 >完全なる功利主義から基づくドストレートな言葉は時に辛辣に思えるが、魔理沙にとってはむしろ好感の持てる話し方だった。 これは……LOVEの予感!(真勘違い) アリス「うふふ…にがさないわよ」森崎「や め ろ」
[498]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/05/10(日) 21:56:12 ID:??? こんばんは、今日も文章だけですが更新します。 >>496 乙ありがとうございます。裏山はあまり深く考えずに吹っ飛ばしてしまいました(汗) 石崎君ですら日向のコンクリ破壊タイガーショットを顔面で受けられるので、姫様だったら大丈夫ではないでしょうか。 >>497 森崎とかは敵役と言うよりも、もう一人の主人公って感じで書いてますね。 なので鈴仙の影でフラグが立ちまくりです。何のフラグかは分かりませんが。
[499]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/05/10(日) 21:57:53 ID:??? ***** さとり「――ぅ。あ。ここ、は……?」 お燐「なーみょーほーれんげーきょー……。――あっ、さとり様! まだ生きてたんですか!?」 さとり「……ジョークという事は分かっているけれど。怒るわよ?」 お燐「すみませんすみません。九割ジョークでした」 さとりはお燐が普段押している猫車の中で目覚めた。 お燐が言う残り一割が何であるかを敢えて問わずに、さとりはまず周囲を眺める事にした。 さとり「ここは。地獄かしら……?」 さとりがそう勘違いしたのも無理はない。 彼女が目を覚ました周囲では、地面がひっくり返ったように滅茶苦茶になっていた。 お燐「違いますよ。ここはサッカースタジアムです。ほら」 お燐がそう言って指し示した先には、大きく開けた視界の端にはサッカーボールが転がっており、 すぐ近くには、飴細工のようにひしゃげたゴールポストが打ち捨てられている。 信じたくはないが、確かにここは間違いなく、妖怪の山モリヤスタジアムのようだった。 さとり「……私は、点を取られたのね」 お燐「0−1ですね。霧雨魔理沙の、えっと……『ファイナルスパーク』とやらが、 我々地霊殿サブタレイニアンローゼスゴールを突き破った挙句、 フェンスの物質となんか核分裂的なヤバい反応を起こして大爆発。 さとり様は見事吹っ飛ばされて、今の今まで気を失ってたワケです」
[500]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/05/10(日) 22:00:29 ID:??? 空「お燐違うよ! 核分裂じゃなくってミューオン触媒核融合だってば! 多分、あのミニ八卦炉が中間子工場代わりで、負ミューオンが物質中の水素の触媒となって自然崩壊したんだと思う!」 さとり「――そう。お燐、お空、ありがとう……」 さとりは空の科学的な説明を聞き流しながら、二人の頭をくしゃっと撫でて立ち上がる。 試合はまだ始まったばかり。お燐と空を支える一勢力の長としても、さとりはここで挫ける訳にはいかなかった。 *** 一方で、ゴールを決めた側の博麗連合の面々も、魔理沙が今放ってみせた最後の閃光 ――『ファイナルスパーク』のあまりの威力の高さを見て、祝福するよりも先に戦慄していた。 霊夢「…………」 魔理沙「はぁ、はぁ……! ど、どうだ霊夢、凄いシュートだろう! なんせ、実際にシュートを撃って見せた私自身が、あまりのえげつない威力にビビってるくらいだしな!」 しかし、そんな事はもはや魔理沙には関係が無い。 これまでの努力が実を結び、レミリアよりも勇儀よりも、最近調子に乗ってる鈴仙よりも。 他のどのライバルにも負けない最強のシュートが完成してしまった以上、 彼女の高揚感を押えられる者は誰ひとりとしていなかった。 霊夢「……魔理沙」 魔理沙「な、何だなんだよ。そんな怖い顔して。ま、確かにさ、これまでは私もパッとした活躍をしてなかったけど。 これからの活躍でぜーんぶチャラだ。今に見てな。私がさとりからダブルハットを取って、得点王に返り咲く姿を――」
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0ch BBS 2007-01-24