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1- レス

【そんなタイトルで】アナザー カンピオーネ1【大丈夫か?】


[5]アナカン ◆w2ifIqEU72 :2010/10/22(金) 19:40:24 ID:???
けれど、息子の上達は真実として急激だった。
たったの数ヶ月でこうも変わるのかと、常識的なデサンカは多少不思議に感じていた。
本当に息子はネバーランドに行っていたのでは…と思う時もある。

デサンカ「…なんて、まさかね。」

そんな事あるわけがない、と笑いながら夢物語を打ち消すのはいつもの事。
もしかしたらセミプロが通りがかり、気まぐれに技術を教えてくれたのではと思う事にしている。
現実的に考えればそういう事なのだろう、と。
省23

[6]アナカン ◆w2ifIqEU72 :2010/10/22(金) 19:41:41 ID:???
1‐2)多民族国家

ユーゴスラビア連邦について話そう…
セルビア王国を主体としたセルブ=クロアート=スロヴェーヌ王国として成立。
後にユーゴスラビア王国へと改名。
その歴史にはには2つの大帝国の存在が大きく関わっていた。
北のオーストリア帝国ハプスブルグ家、そして南のオスマン・トルコ帝国である。
ユーゴスラビア連邦を構成する地域はこの2つの異なる勢力の支配を受けてきたのだ。

ハプスブルグ家の支配を受けたスロヴェニアと北部クロアチア。 省19

[7]アナカン ◆w2ifIqEU72 :2010/10/22(金) 19:43:09 ID:???
セルビア人はオスマン・トルコ帝国に支配される以前はギリシア中部まで支配していた歴史がある。
それゆえ居住地域はバルカン半島全域に散在しており、当然ながらセルビア民族はこれらの統合と
国家としての独立を目指した。
クロアチア人はオーストリア・ハンガリー帝国の干渉排除の点から独立を望んだ。
また他の民族も同様に独立国家の設立を望んでいた。
だが彼らは単独ではあまりに非力であった為、相互協力がどうしても必要だった。 省35

[8]アナカン ◆w2ifIqEU72 :2010/10/22(金) 19:44:27 ID:???
話を大局に戻し、ユーゴ内においてイタリア・ドイツと戦ったのは共産主義者のパルチザン達である。
ユーゴスラビア人民解放反ファシスト会議(AVNOJ)の会合を1943年11月29日から12月4日まで行った。
ユーゴスラビア民主連邦は、このときのAVNOJの会合にて制定されたものである。
一方で、枢軸国から逃れていた王党派のユーゴスラビア王国亡命政権との交渉も続けられた。
パルチザンたちは、ゲリラ戦を主体として、第二次世界大戦における枢軸国との苛烈な戦争を戦い抜いた。 省36

[9]アナカン ◆w2ifIqEU72 :2010/10/22(金) 19:45:35 ID:???
1‐3)シュワーボ・アンザーニ

アンザーニ「やはりここのザッハトルテは絶品ですね。」

デザートとして運ばれてきたザッハトルテに舌鼓を打つアンザーニ。
ここベオグラードも、かつてオーストリア帝国の支配を受けた都市であった。
その支配がもたらしたのは悪影響だけばかりではない。
西欧文化の流入による発展というメリットは間違いなく存在したのだ。
少なくともこうしてオーストリアのザッハトルテを食べられるのは素晴らしい事とアンザーニは思っていた。
省28

[10]アナカン ◆w2ifIqEU72 :2010/10/22(金) 19:46:46 ID:???
アンザーニ「歳をとったからね、お互いに。」

ジョアン「…」

アンザーニは受け流したつもりだったが、ジョアンの様子から見透かされているのは明白だった。
長い付き合いの二人である、お互いの事情はよく知っているのだ。

アンザーニ(すぐに“それ”を連想してしまう…思考の袋小路にあるんだな、ジョアン。
       …無理もない、私だってそうだったんだ。)

すでにこの世にない教え子の事を思い返し、その時の苦しみまでもアンザーニは反芻した。 省15

[11]アナカン ◆w2ifIqEU72 :2010/10/22(金) 19:48:45 ID:???
ジョアン「ああ…素晴らしかったよ、キミの指導を受けているだけあってね。
      各自が己の役割を把握し、頭を働かせながらプレイに臨んでいた。
      テクニック…才能についても非の打ちどころがない、流石は東欧のブラジルだ。」

アンザーニ「キミにそこまで褒めて貰えるとは光栄だよ、だがうちだけじゃないぞ。
       他のチームも輝きを放つ原石が数多なんだ。この世代の才能はまさに黄金期さ。 省43

[12]アナカン ◆w2ifIqEU72 :2010/10/22(金) 19:49:47 ID:???
愛弟子…即ちロベルト・本郷・ジ・アンドラーデを失ったあの日から、
目の前の親友は一歩も進めていないのだ。
アンザーニはザッハトルテを掬うフォークを置き、コーヒーに手を伸ばした。
強烈な苦みが口の中を駆け巡り…それは胸の中まで拡がっていくように感じた。

―――暫し間 沈黙の時が流れ……
……そしてジョアンはポツリ、ポツリと言葉を発し始めた。

ジョアン「私は監督として大きな過ちを犯していた事に気付いたんだよ… 省39

[13]アナカン ◆w2ifIqEU72 :2010/10/22(金) 19:51:56 ID:???
悲劇だな…、と思うしかなかった。
アンザーニの目からも、ジョアンとロベルトの絆は単なる監督と選手のそれではなかった。
師弟…いや、ほとんど親子と言っても過言ではない信頼関係が二人にはあった。
ジョアンはロベルトの才能を開花させるために尽力し、ロベルトはそれによく応えていた。
ロベルトが最期の試合で決勝点を挙げる為に無理にクロスプレイへ飛び込んだのも、
きっとジョアンをリーグ優勝監督にしてやりたいという、恩返しの意思が働いたに違いないのだ。
省39

[14]アナカン ◆w2ifIqEU72 :2010/10/22(金) 19:53:08 ID:???
アンザーニ「ジョアン、これからどうするつもりだ?」

ジョアン「ハハ…正直なところ、何も考えられんよ。」

アンザーニの問いに対するジョアンの回答は力の無い笑いによって示された。
だがそれだけでは親友に対し申し訳ないと思ったのか、今度はアンザーニの目を見て言葉を付け加えた。

ジョアン「だが、そうだな…折角キミが招いてくれたんだ、暫くはユーゴに滞在するつもりだ。」

アンザーニ「そうか、もしも気が変わったらいつでも連絡してくれ。必ず力になる。」
省8


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