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1- レス

【読み合い競り合い】Another-C_3【騙しあい】


[161]アナカン ◆lphnIgLpHU :2011/02/27(日) 13:38:47 ID:???

1秒半の思考を終え、三杉は自分の言うべき答えを手に入れた。
彼の中にはもう迷いはない……
汗ばんだ右手から、左手へと受話器を持ち直し……そして吐息を当てた。


三杉「                」


ナディアが息を呑んだ音が聞こえた。
まさかそんな答えが返ってくるなんて、考えてもみなかったのだろう。
親友として、心配だから一応釘を刺しておこう…とか、そんなつもりだったに違いなかった。
省32

[162]アナカン ◆lphnIgLpHU :2011/02/27(日) 13:39:59 ID:???

ナディア『知ったような事を言わないで下さい!!!』

三杉(バカ野郎…! なにを言っているんだ! シャンとしろ、三杉淳!)

三杉は自らを叱咤する。
平静な演技をしてはいても、こんな失言をするほど今の自分は悲しいのだ。
だが今の三杉はこれを通すしかない。

三杉「無責任な事を言って済まない……そうであれば、やはりキミか他の誰かに託すしかない。」

ナディア『言われなくったって私が伝えます! 彼女が泣いたら一緒に泣いてあげるんからっ!! 省32

[163]アナカン ◆lphnIgLpHU :2011/02/27(日) 13:41:19 ID:???

生まれついたハンデと、努力と才能によって得た力は三杉に打算と傲慢を与えてきた。
だがイタリアでの挑戦の日々は、そんな三杉の内面を緩やかに変えてゆき…
そして最後に彼は献身を手に入れ…その意味を知った。
それはピエタと呼ぶべき物だったかも知れない。
今だからこそ、三杉は弥生の献身を真実に理解できた。
そんな献身を捧げてくれていた弥生を三杉は裏切る事は出来なかった。

感情と理性…そして感情と、その正反対の感情が未だ頭の中を駆け廻るまま… 省28

[164]アナカン ◆lphnIgLpHU :2011/02/27(日) 13:43:09 ID:???
一旦ここまでです。
花粉つれぇーーっすね。

[165]アナカン ◆lphnIgLpHU :2011/02/27(日) 17:38:17 ID:???

パチリ

三杉(……朝…か。)

目を開くと、窓からは既に柔らかな太陽の光が入りこんでおり、今が朝である事を告げていた。
あれから三杉は深い眠りに落ち、夢の一つも見る事なく今の時間を迎えていた。
ベッドから身体を起こし、三杉は洗面台へ顔を洗いに行った。

三杉(痛っ……)

ほんの少し頭が痛んだが、冷たい水の心地良い感触がすぐにそれを消してくれた。
8割がた覚醒した三杉は再びベッドに戻って、腰かけた。
そして昨夜の事を思い出し……自嘲した。
省29

[166]アナカン ◆lphnIgLpHU :2011/02/27(日) 17:39:47 ID:???

<日本・東京都武蔵野市>

弥生「…っと…………あ、あった。」

弥生は探していた雑誌を見付けて嬉しそうに手を取った。
それは月刊のサッカー雑誌…三杉と離れてからも時々買っている品物だった。
高校サッカーの情報や、日本の実業団の情報にはとんと興味がないが、
たまに一昔前の名選手の特集や海外の特集が組まれており、その時だけ彼女は買うようにしていた。
三杉と再会した時、少しでも彼の話の趣向に着いていけるようにと願って… 省45

[167]アナカン ◆lphnIgLpHU :2011/02/27(日) 17:40:54 ID:???

〜〜〜〜♪

弥生(あれ? この歌……。)

レジの順番を待っている間に、店内を流れる曲が変わった。
弥生の耳にも馴染みがあるイントロであり、その曲の事はすぐ分かった。
とある人気ロックバンド…いやビジュアルバンドの歌うバラードだ。
今年の春に発売されてから既に大ヒットを記録している曲だが…最初、弥生はこの曲が大嫌いだった。
曲の1番を聴いている間に辛い気持ちにさせられ、最後まで聞いていられない程だったからである。
省23

[168]アナカン ◆lphnIgLpHU :2011/02/27(日) 17:42:00 ID:???

何処に行けばいい? 貴方と離れて…

今は過ぎ去った 刻に問いかけて

長すぎた夜に 旅立ちを夢見た

異国の空見つめて 孤独を抱きしめた

流れる涙を 時の風に重ねて

終わらない貴方の 吐息を感じて

Dry your tears with love

Dry your tears with love


この一番を聞くと、今でも彼女は胸が張り裂けそうになる。
あの日、空港で別れてからどれくらいの夜を越えたかも判らない。 省5

[169]アナカン ◆lphnIgLpHU :2011/02/27(日) 17:44:15 ID:???


Loneliness , Your silent whisper
  (哀しかった……貴方の声を忘れかけてると気付いた時)
Fill a river of tears through the night
  (一晩中泣いて、何度枕に川をつくったか判らない)
Memory , You never let me cry
  (今思えば…貴方の傍に居て哀しかった時は一度もなかった)
And you , you never said good-bye
  (そして、私は貴方にサヨナラと言われたわけじゃない)
Sometimes our tears blinded the love 省42

[170]アナカン ◆lphnIgLpHU :2011/02/27(日) 17:45:34 ID:???

Time throug the rain has set me free
  (降る雨のように季節は流れ……もう私は苦しくないよ)
Sands of time will keep your memory
  (貴方の言葉は絶対に忘れないって、今は自信持って言えるから)
Love ever losting fade away…
  (貴方が好き、この気持ちが消える事は絶対に無いって言えるから)


…離れてから二年以上の時が経過し、弥生の心に迷いはなかった。
むしろ心の中の紆余曲折を経て、それは既に強い信念へと成長していた。 省17


0ch BBS 2007-01-24