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【行く者】キャプテンEDIT36【残る者】
[822]キャプテンEDIT ◆wM6KXCkaLk
:2012/06/08(金) 02:29:16 ID:???
岸田「す、凄ェ!! な、中山が本気のプレイを見せ始めたぜ!」
浦辺「はぁ……はぁ……きゃ、キャプテンとして、情けないぜ……これ程の男を、あたら飼い殺しにしていたとはな……」
新田「ぜぇ……ぜぇ……い、行けーっ! 行って下さい、中山さん! 南葛に……俺たち大友中の意地を見せてやって下さいっ!」
中山「(みんな……すまない! こんな状況になるまで、思うように動けずにいて!)おうっ!!」
背後に掛かる声援に、目の端を光らせながら、中山は進む。
省30
[823]キャプテンEDIT ◆wM6KXCkaLk
:2012/06/08(金) 02:30:29 ID:???
大前(TV観戦中)「……い、行けーっ!」
菱野(TV観戦中)「きゃっ!?」
大前(TV観戦中)「行っちまえ、中山! 決めちまえ! その瞬間の為に、お前はピッチに戻って来たんだろーっ!?」
その雄姿に、大前は我を忘れた。
勝敗は問う所ではない。試合の行方は既に決した。
だが、それが何なのだ。男が、戦いたい相手と思う存分戦う為に、人生を賭ける。
その崇高な行いを阻むものなど、何一つありはしない。
どんな状況であろうと、それをすることに何一つ変わりは無い。
省41
[824]キャプテンEDIT ◆wM6KXCkaLk
:2012/06/08(金) 02:31:48 ID:???
… … …
西尾(あ、ああ……なんていうことだ……このまま試合が終わったら、あの日向に何をされるか――)
かつては翼の信奉者だったが、家庭の貧しさという事情で大友中へと進学することを余儀なくされた西尾。
彼の家庭事情に目を付けた日向は、静岡における工作員として西尾を金で雇い、意のままに動く傀儡として来た。
莫大な報酬と引き換えに、日向の汚い工作の数々をこれまでこなしてきた西尾。
この県大会決勝は、その総仕上げとなる……はずだった。
省51
[825]キャプテンEDIT ◆wM6KXCkaLk
:2012/06/08(金) 02:33:01 ID:???
西尾(も、もうやるしかない! 合図だスナイパー! ……『Do It!(やれっ!)』)
その合図を送ってしまった。
… … …
/三三三三三三三三三三三三三三ヾi
/三三三/  ̄ "''=ニ 三三三>ヘ三|
三三三} -‐= -、 i , -、 Y
三三三〉 .. -=、__ l ー' _,、 iニ! /
/⌒∨三/ ィ'´ ⌒ヽ:::::::::::`ヽj 〉;r‐::::::::ソヽ,|ニ! ー‐'
省62
[826]キャプテンEDIT ◆wM6KXCkaLk
:2012/06/08(金) 02:34:12 ID:???
謎のスナイパー「…………」
ライフルに装填されている弾頭は、毒入りの特殊弾。
人体に掠めれば傷口から侵入し、運動神経を瞬く間に麻痺させるという代物である。
スポーツの競技中に人知れず標的を妨害し、事故に見せかけて選手生命を断つには、打ってつけの弾だった。
500m離れた運動中の人間を、殺すことなく射抜く狙撃の腕があれば、の話だが。
謎のスナイパー「……問題は、無い」
男は自分の腕前に全幅の信頼を寄せていた。
省15
[827]キャプテンEDIT ◆wM6KXCkaLk
:2012/06/08(金) 02:35:20 ID:???
… … …
森崎「……もらったァ!!」
中山「なにィっ!?」
中山がボディフェイントで森崎を惑わし、抜き去ろうとした瞬間、間一髪で森崎の両手がボールを押さえていた。
十人中九人が、中山が右を行くと判断する所で左に行く。
見事なフェイントであったが、不幸にもそれに掛からない十人目が、彼の敵手だったのである。
森崎「じゃあ宣言通りこのボールは……大友のゴールへお返しだぜ!」
中山「しまっ……だが――」
省9
[828]キャプテンEDIT ◆wM6KXCkaLk
:2012/06/08(金) 02:41:22 ID:???
… … …
撃った瞬間、男は自らの失敗を悟った。
スコープの中には、グラウンドに倒れ伏す中山の姿。
標的の森崎では、ない。
中山がフェイントを掛けた瞬間、男は見事にそれに釣られ、森崎が反応するだろう方角へと狙撃
していた。
だが、実際には中山と森崎の動いた方角は逆。
不幸にも中山は、森崎という敵ではなく狙撃手という仲間(?)を欺いてしまっていたのだった。
謎のスナイパー「……あの弾丸、1発しかないんだよな……」
省6
[829]キャプテンEDIT ◆wM6KXCkaLk
:2012/06/08(金) 02:42:28 ID:???
… … …
実況「防いだーっ! 森崎くん、中山くんとの1対1を制しました! そして、奪ったボールでオーバーラップ開始ィ!
お返しだと言わんばかりに、大友中を攻め立てる気です! 点差は既に圧倒的! 失敗のリスクを理由に躊躇することも無い!」
南葛応援団「うおーっ! 今のは危なかったぜー!」「防いだ褒美だ! オーバーラップ、許す!」「こうなったらとことんやれー!」
省49
[830]キャプテンEDIT ◆wM6KXCkaLk
:2012/06/08(金) 02:43:49 ID:???
中山「ハァハァ……森崎を……森崎を止めなければ……。
いや、待て……直前でシュートと見せかけてパスに切り替える可能性もあるぞ……。
サイドに駆け込む選手もチェックしなければ……。
右サイドには翼が開いていて……左サイドには……中里がオーバーラップしているな……
うう……駄目だ。ついに目も霞んできやがった……中里が二人に見える……」
中里(な、中山……? 何故拙者のことをそんな顔で見るのでゴザルか?)
小田「な、中里!? お前、今二人いなかったか!?」
省48
[831]キャプテンEDIT ◆wM6KXCkaLk
:2012/06/08(金) 02:44:52 ID:???
中山「森崎……そうだ、俺はお前と勝負するために……!」
そして辿り着いたゴール前。岸田と西尾も為す術も無くあしらわれていく。
一条が、泣きそうな顔で森崎との1対1に備えているのが見えた。
間に合わなかったのか? 否、
森崎「これでゴ――」
中山「……森崎ィイイイイィィっっっ!!」
腹の底から声を出して、自分を忘れかけていた相手の注意を引きもどす。
まだだ。まだ俺はここにいる。その一念を叩きつけながら、タックル。
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0ch BBS 2007-01-24