※人気投票開催中※
01/17(日)00:00-01/30(土)23:59
第二回鈴仙奮闘記キャラ人気投票
※新板できました※
ダイス創作物語板
ブログ 現行スレ 投票 最新20

1- レス

【行く者】キャプテンEDIT36【残る者】


[826]キャプテンEDIT ◆wM6KXCkaLk :2012/06/08(金) 02:34:12 ID:???
謎のスナイパー「…………」

ライフルに装填されている弾頭は、毒入りの特殊弾。
人体に掠めれば傷口から侵入し、運動神経を瞬く間に麻痺させるという代物である。
スポーツの競技中に人知れず標的を妨害し、事故に見せかけて選手生命を断つには、打ってつけの弾だった。
500m離れた運動中の人間を、殺すことなく射抜く狙撃の腕があれば、の話だが。

謎のスナイパー「……問題は、無い」

男は自分の腕前に全幅の信頼を寄せていた。 省15

[827]キャプテンEDIT ◆wM6KXCkaLk :2012/06/08(金) 02:35:20 ID:???

  … … …


森崎「……もらったァ!!」

中山「なにィっ!?」

中山がボディフェイントで森崎を惑わし、抜き去ろうとした瞬間、間一髪で森崎の両手がボールを押さえていた。
十人中九人が、中山が右を行くと判断する所で左に行く。
見事なフェイントであったが、不幸にもそれに掛からない十人目が、彼の敵手だったのである。

森崎「じゃあ宣言通りこのボールは……大友のゴールへお返しだぜ!」

中山「しまっ……だが――」
省9

[828]キャプテンEDIT ◆wM6KXCkaLk :2012/06/08(金) 02:41:22 ID:???

  … … …


撃った瞬間、男は自らの失敗を悟った。
スコープの中には、グラウンドに倒れ伏す中山の姿。
標的の森崎では、ない。
中山がフェイントを掛けた瞬間、男は見事にそれに釣られ、森崎が反応するだろう方角へと狙撃
していた。
だが、実際には中山と森崎の動いた方角は逆。
不幸にも中山は、森崎という敵ではなく狙撃手という仲間(?)を欺いてしまっていたのだった。

謎のスナイパー「……あの弾丸、1発しかないんだよな……」
省6

[829]キャプテンEDIT ◆wM6KXCkaLk :2012/06/08(金) 02:42:28 ID:???

  … … …


実況「防いだーっ! 森崎くん、中山くんとの1対1を制しました! そして、奪ったボールでオーバーラップ開始ィ!
お返しだと言わんばかりに、大友中を攻め立てる気です! 点差は既に圧倒的! 失敗のリスクを理由に躊躇することも無い!」

南葛応援団「うおーっ! 今のは危なかったぜー!」「防いだ褒美だ! オーバーラップ、許す!」「こうなったらとことんやれー!」 省49

[830]キャプテンEDIT ◆wM6KXCkaLk :2012/06/08(金) 02:43:49 ID:???
中山「ハァハァ……森崎を……森崎を止めなければ……。
いや、待て……直前でシュートと見せかけてパスに切り替える可能性もあるぞ……。
サイドに駆け込む選手もチェックしなければ……。
右サイドには翼が開いていて……左サイドには……中里がオーバーラップしているな……
うう……駄目だ。ついに目も霞んできやがった……中里が二人に見える……」

中里(な、中山……? 何故拙者のことをそんな顔で見るのでゴザルか?)

小田「な、中里!? お前、今二人いなかったか!?」
省48

[831]キャプテンEDIT ◆wM6KXCkaLk :2012/06/08(金) 02:44:52 ID:???
中山「森崎……そうだ、俺はお前と勝負するために……!」

そして辿り着いたゴール前。岸田と西尾も為す術も無くあしらわれていく。
一条が、泣きそうな顔で森崎との1対1に備えているのが見えた。
間に合わなかったのか? 否、

森崎「これでゴ――」

中山「……森崎ィイイイイィィっっっ!!」

腹の底から声を出して、自分を忘れかけていた相手の注意を引きもどす。
まだだ。まだ俺はここにいる。その一念を叩きつけながら、タックル。
省27

[832]キャプテンEDIT ◆wM6KXCkaLk :2012/06/08(金) 02:46:28 ID:???
実況「あああ──ッ!? や、やはり最後はこの人だった!!!
南葛中の攻撃の要、大空翼くんが最後の最後でボールをゴールに押し込みましたァ!!!!」

石崎「やったな!翼!!!」

翼「アハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!!!!」

自陣からセレブレーションに駆けつけた石崎と共に、翼はくるくる回って喜びを表現する。
チーム内のライバル森崎に、対戦相手の最重要選手中山。その二人を出し抜いてのゴールは格別の喜びなのだろう。
省35

[833]キャプテンEDIT ◆wM6KXCkaLk :2012/06/08(金) 02:47:53 ID:???
中山「森崎……」

森崎「あああっ!? 誰だ!! 今、俺は気分が最高潮に悪いんだ! つまらねえ用事で声をかける野郎は、誰であろうとぶっ殺すぞ!!」

中山「ハハハ……やったな森崎。やっぱりおまえたちには敵わないや……」

森崎「な、中山……」

振り向いた途端に大声でどなったかと思えば、今度は中山を認めるや目を丸くして驚く森崎。
その様子が気になったが、中山はそれよりもまず問わねばならないことを優先した。
省38

[834]キャプテンEDIT ◆wM6KXCkaLk :2012/06/08(金) 02:50:28 ID:???
中山「……そ、そうか。よかったよ。負けはしたけど、俺の人生において意味のある試合にできて……本当に……良かった……。
さ、最後に……握手をしてくれないか?」

森崎「あ、ああ別に構わないが……」

珍しく、どこか照れたような森崎の表情。……それを認識するのが限界だった。
差し出された手に気付く前に、中山の身体はゆっくりと傾ぎ、

森崎「お、おい……どうしたんだ? 中山! おいっ!」

どさりと、地面に倒れ込んだ。
省44

[835]キャプテンEDIT ◆wM6KXCkaLk :2012/06/08(金) 02:51:57 ID:???
輝林(TV観戦中)「……冷静に。とにかく、続報を聞き逃さないよう――」

テレビのテロップ「不適切な映像が流れたため、番組の内容を変更してお送りしております」

渡会(TV観戦中)「って、なんかボートの映像が流れ始めたぞ!?」

本多(TV観戦中)「ええい、マスコミめ! ちゃんと仕事せんか! 静岡で何が起こっている!?」

映像を切り替えたブラウン管に、本多が怒鳴る声が遠く聞こえる。

大前「一体……何が起こったって言うんだ……?」
省41

[836]キャプテンEDIT ◆wM6KXCkaLk :2012/06/08(金) 02:53:24 ID:???
大前(……。いや、止そう。俺が今ここで想像を働かせたところで、アイツのことが分かる訳じゃあない。
今は自分たちがやるべき事に集中しないと)

不安そうな表情を浮かべる菱野に、安心させるように微笑みかけてから、大前は立ち上がる。
そろそろ練習の始まる時間だった。

大前「行こうか、菱野さん。ここで俺たちが難しい顔をしていたって、中山が喜ぶわけじゃあないし」

菱野「……ええ。その通りですわ」
省29


0ch BBS 2007-01-24