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異邦人モリサキ
[288]異邦人 ◆ALIENo70zA
:2012/06/11(月) 01:26:42 ID:???
「ボルキアの、亡命貴族……」
「……」
ピコの言葉を引き継ぐように漏らした森崎の言葉にも、老爺はただ目を閉じ、ゆっくりと首を振る。
それはおそらく、森崎の言葉を否定するものではなかった。
肯んじ得ぬ何か、たとえばそれは時であり、世の潮流であり、運命とさえ呼び習わされる
大きな何かへと向けられた、拒絶の意思であった。
再び、沈黙が降りる。
しかし強いられた沈黙など、意にも介さない者がいた。
勿論、老爺を捜していたメイドである。
けらけらと甲高い笑いで静寂の幕を切り払いながら、言う。
「なーに格好つけてるんですか旦那様。あ、この方、昔はベージャ侯爵っていって、
ボルキアでは結構偉い貴族だったのよ。だからアンタも粗相しちゃダメだかんね!」
「……」
「……」
唖然とする森崎の腕をばんばんと叩いて笑うメイドの言葉に、脇に座る老爺が
脱力したように肩を落とす。
しかしそれは、呆れ果てたのでも弛緩したのでもなく、水槽に溜まった汚水を洗い流すような、
決して悪くない力の抜け方であるように、森崎には見えた。
このメイドの、ある種底抜けの精神は存外老爺にとっての救いであるのかもしれない。
そんなことを考える森崎に、メイドがその大きな目をくるくると回しながら口を開いた。
「あ、名乗ってなかったよね? アタシはキャロル・パレッキー。旦那様の身の回りのお世話してんだ。
あ、下のお世話はするけどアッチの方はナシの契約だよ! っていっても、旦那様のは
もう全ッ然、役に立たないけどね! キャハハ!」
「……むぅ……」
キャロルと名乗ったメイドの、あまりにもあけすけな言葉の羅列に、唸り声ともため息ともつかぬ音が
老爺の喉の奥から漏れた。
同情するように眉根を寄せた森崎が、小声で囁く。
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0ch BBS 2007-01-24