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1- レス

異邦人モリサキ


[292]異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/11(月) 01:32:26 ID:???
どんよりとした顔で呟いた森崎は、言葉通り行き交う人々に奇異の視線を向けられている。
坂を登り、あるいは降りてくる人々は皆、垢抜けた身なりとこざっぱりとした流行の髪型で、
そして何より順風の生を謳歌する者たちに特有の、内側から湧き出すような笑みを浮かべている。
薄汚れた格好に殺伐とした顔つきで立ち尽くす森崎は、そんな彼らとはまさに対照的であった。

『仕方ないね……』
「てか、くそ……せめてこっち、見ろよ……」

刺のある視線を突き刺してくるのなら、まだいい。
跳ね返すことも、逆に突き返すこともできる。
しかしこの明るい街を行く者たちは皆、森崎を一顧だにしようとしないのである。
避けるでもなく、意図して無視するわけでもなく、単に目に入らぬというように、
あくまでも自然な様子で森崎を『ないもの』として扱うようであった。
それはいわば、満ち足りた者たちだけが交わす、そうでない者には見えず聞こえない信号が
頭の上を飛び交っているような、どうしようもない座りの悪さを森崎に与えていた。

『で、どうするの?』
「ぐぬぬ……こうなったら……」

しばらく唸っていた森崎が、意を決したように顔を上げる。

「……こうなったら、行くかピコ! 戦略的転し……」
『うん、逃げるんだね』

言いかけたところへさらりと被せられ、森崎の言葉が止まる。


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