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異邦人モリサキ
[753]異邦人 ◆ALIENo70zA
:2012/07/20(金) 01:09:17 ID:???
//剣術
立ち上る陽炎は、垂れ落ちた汗の溜まりが蒸発していくものである。
「……百二十一、百二十二、」
炎天下の全体訓練を終えた森崎が、屋内練習場でひとり素振りを続けている。
謹慎を命じられた先月までのような、闇雲なそれではない。
一振りごとに剣筋を意識し、ぶれをなくし、量をこなすのではなく質を高めていく、そんな修練であった。
溜まった疲労と過剰な鍛錬との悪循環はすっかり克服されていた。
謹慎という名の強制的な休息も、罰を受けている間は苦痛以外の何物でもなかったが、
終わってみればそれが何より必要であったことを森崎は痛感している。
「百三十五、百三十六、」
「―――ふむ」
背後に立つのがヤング・マジョラムであると気づいてはいたが、森崎は振り返らない。
あれだけ正面から食って掛かっておいて、今更休息を有難うございましたとは、とても言えなかった。
言えないから、振り返らない。
代わりに以前とは違う修練の程を見せることが、森崎なりの礼である。
口より剣で、弁明より結果で答えるのがいくさ場に立つ者の心得だ、などと内心でうそぶくのが
半分がた単なる照れ隠しであるとは、自分でも理解していた。
「百五十ニ、百五十三、」
「剣士として、少しはマシになったようだ。……まだまだ『見習い』の域だがな」
「百五十四、百五十五、」
森崎はその言葉に応えを返すことはない。
礼を込めて、熱を込めて、ただ真っ直ぐに剣を振るう。
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0ch BBS 2007-01-24