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【赤と8ビットの】キャプテン岬【物語《ロマン》】


[639]キャプテン岬 ◆ma4dP58NuI :2018/08/19(日) 00:20:17 ID:1d+YvWAA
ゲームは文化、か。遊びの1つでしかなかったあの電子遊具にそんな意義があるか。新しい視点を
指摘され心中密かに感心している間、シャルポワの顔はうっとりとしたものに変わり始めた。

シャルポワ「聞くところによると、既に日本の新聞はゼビ語で書かれているトカ」

岬「(ん?)」

シャルポワ「日本政府は2000年までにソルバルウを開発するととも聞きマシタ。
      休日には日本人男性の8割が自宅の庭にソルを埋めているトモ。まさに日本はゲーム大国デスネ」
省26

[640]キャプテン岬 ◆ma4dP58NuI :2018/08/19(日) 00:21:59 ID:1d+YvWAA
何とかフォローを入れようと思ったのだろう、
優がやや上がり口調で彼女をほめる。

優「あ、でも、シャルポワさんホントに凄いんですよ!今日絵を描き終わる途中で
  休憩と一緒に見に行ったら、ゼビウスで500万点叩き出したんです!」

500万点。それは凄い。あずみちゃんでも3時間かけて400万点だった。僕なら何十時間かかるだろう。
そう思ったところで疑問に打ち当たった。このゲームセンターが開いたのは今日のはずだ。 省47

[641]キャプテン岬 ◆ma4dP58NuI :2018/08/19(日) 00:24:55 ID:1d+YvWAA
そう言って今度は「5200」と印字されているカートリッジ(※)を上げ、ヒラヒラと左右に動かせる。
2回そう動かした後にポケットへ戻し、今度は2600の方のカートリッジを前に向ける。

シャルポワ「こっちがお姫様とプレイした後で拝領した、下賜品になりマス。いやはや、何とも凄まじい代物でしたネ。
出てくるのはトーロイド、ドモグラム、ザカート、バキュラの4体ダケ。
それはまあ作りかけの段階ですから仕方ないが、みんなコインや木の葉が舞っているようにしか見えないのは何とも。 省30

[642]キャプテン岬 ◆ma4dP58NuI :2018/08/19(日) 00:27:41 ID:1d+YvWAA
申し遅れていましたが、この16.3話は都合により物語の視点が1人称になったり
3人称になったりと、視点変更が何回か行われます。
ただスレ主の筆力が足りないだけですので、その事については気にしないでください。

[643]キャプテン岬 ◆ma4dP58NuI :2018/08/19(日) 00:29:52 ID:1d+YvWAA
少女「遅いわ」

テーブルをコツコツとこづきながら、1人そうつぶやく。
今日は母さんも父さんも帰りが遅い。だから今日は2人で食べる夕ご飯が作り置きしてある。
さらに午前午後とコーラス部で思い切り発声練習をしてきたため、お腹がすいて仕方がない。
できるならすぐにでも食べてしまいたいが、優が返ってこない以上1人では食べられない。

仕方ない。行き先は分かっている。迎えに行って早く連れて帰るしかない。 省41

[644]キャプテン岬 ◆ma4dP58NuI :2018/08/19(日) 00:32:15 ID:1d+YvWAA
少女「(牛乳も飲み始めたしマッサージもしてるし、まだまだこれから。それより)」

早い所優を見つけないと。昔のように危ない目に合わないとも限らない。
そう気持ちを切り替えて、階段を降りパリの大通りへと歩き出した。

街路を歩いていくたびに、華麗で自然な着こなしをした年頃の女性や、映画のように街並みに溶けこんだようなハイセンスの美人と行きかう。
通り過ぎるたびに、彼女達が身にまとうパリの美観への憧れが高まっていくのが感じられる。
省34

[645]キャプテン岬 ◆ma4dP58NuI :2018/08/19(日) 00:33:58 ID:1d+YvWAA
シャルポワが指さした先には、僕と同じぐらいの全身スレンダーな少女がいた。
優と同じぐらい深い青みをおびた髪が肩よりも長く伸び、
上は水色のポロシャツ、下は灰色のスラックスとスニーカーを身に着けている。
そんな暗色系統の身づくろいの少女が、急に赤みを帯びはじめた。
それも桃や橙といった淡いものでは無く、赤旗のような正真正銘の赤色になってきている。

岬「(これは怒る寸前の顔だ。マズ……)」


少女「だっ、誰がバキュラよーーーーーーーーーーーーーーーっ!!!」 省58

[646]キャプテン岬 ◆ma4dP58NuI :2018/08/19(日) 00:36:37 ID:1d+YvWAA
優「岬さん、今のお姉ちゃんに近づいちゃ危ないです」
岬「姉さん?あの人優の姉さんなの」
優「はい。いつもは優しいお姉ちゃんですけど、どうしてか時々あんなになって、
  ああなると怖いですから、危ないです」

ギュッと掴んで離そうとしない。確かにあの鬼気迫る表情を見ると、下手に触ると
こっちまで火の粉が飛んできそうだ。そう思って優と共に目の前のいざこざを眺めているうちに、
少女の手が勢い余ってシャルポワの手首をはたき、カートリッジが勢いよく宙を舞う。
省30

[647]キャプテン岬 ◆ma4dP58NuI :2018/08/19(日) 00:38:21 ID:1d+YvWAA
少女「優!」
シャルポワ「ユー!」
岬「優君!(どうする!?)」

緊急事態だ。トラックの勢いそのままに思考回路を叩きつけて思案する。

岬「(案その1。今すぐ僕が飛び込んで優君を助ける。
   僕の運動神経と優君との距離、トラックのスピードから見て助けられる可能性が高いだろう。
   だけどその代わり僕が轢かれる可能性が否定できない。轢かれたら大怪我は免れないだろう。
   案その2。ここにあるキャンパスとイーゼルを蹴り飛ばして 省27

[648]キャプテン岬 ◆ma4dP58NuI :2018/08/19(日) 00:40:17 ID:1d+YvWAA
案1:直接優君を助けに行く
案2:画材をトラックのブレーキにして止める事で優君を助ける
案3:何もしない。いや、何もできなかったんだ
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