キャプテン森崎 Vol. II 〜Super Morisaki!〜
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【ツバサハ】キャプテン森崎32【タダシクナイヨ】

1 :2 ◆vD5srW.8hU :2009/05/26(火) 11:21:49 ID:oi33JLiO
キャプテン森崎は、高橋陽一氏作のサッカー漫画「キャプテン翼」の二次創作です。
大空翼に代わって主人公になった森崎有三を読者の投票によって操作していき、
他のキャラクター達と交流を深めながらサッカー選手として大成するのが目的の
読者参加型企画です。いわゆるゲームブックを想像して頂ければ分かり易いかも。

基本は毎回出る選択肢の中から読者が投票によってどれかひとつを選ぶ事によって
森崎の各数値が上下したり結果が分岐し、その結果によって森崎が活躍したり
しなかったりして物語が進んでいく…といった展開です。例えば敵にシュートを撃たれたら、
森崎の能力値+ある程度のランダム要素によってゴールを守れたり守れなかったりします。

投票や判定では2ch式(注:似ているだけで2chとは別サーバー)の掲示板で
ID付の投票書き込みを行ったりスクリプトでトランプのカードを引いてもらったりします。

過去スレのログはこちらのまとめページで見られます↓
http://www32.atwiki.jp/morosaki/pages/11.html

ミス指摘、質問以外の雑談は下のURLの雑談スレでお願いします。
本スレでも更新毎に30レス程度までの反応レスなら問題無しとしています。
尚、30レスを超え雑談スレへの誘導が始まったら速やかに誘導に従って下さい。それがルールです。
http://capmori.net/test/read.cgi/morosaki/1234103663/l50
2ちゃんねるとは別の場所の板なので、ブラウザによっては外部板登録が必要です。
なんらかの理由で雑談スレが落ちている時は、本スレでも遠慮なく雑談をどうぞ。

【前スレまでの簡単なあらすじ】
第一回フランス国際Jrユース大会でMVPとなった若き日本サッカー界の星、森崎有三!
戦いの舞台はサッカー王国、ブラジルへ。名門パルメイラスのユースチームに所属し
見事キャプテンにも選ばれた森崎はチームを率いてプロへの登竜門、リオカップへ挑む。
グレミオとサントスを3−0で順調に撃破したパルメイラスの次の相手はこの世代のブラジルナンバー1と
評されるカルロス・サンターナ率いるフラメンゴ!彼らは前半開始直後から猛攻を仕掛けてきた!
…こんな感じで話は進んでいます。

484 :2 ◆vD5srW.8hU :2009/07/08(水) 23:45:56 ID:UZPekYRf
森崎「んなっ!?ちょ、おま」

カルロス「皆が皆アーサーに近づこうとしないんだ俺がアーサーに話しかけると途端に
他所に行こうとするんだ誰もアーサーの名前を呼んでくれさえしないんだ」

森崎「(ちょっと待て!お前ここは落ち込む所だろうが!)」

カルロス「でもお前は最初からアーサーの名を呼んでくれた俺を馬鹿にしなかった!
これ程感動したのはアーサーと出会った日以来だ!」

森崎「(こ、こええ!目がこええ!誰か、助け…)」



ジェトーリオ「もう〜、ネイくんったらとことん僕の事避けるんだから〜」

ネイ「死ね。くたばれ。地獄に落ちろ」

トニーニョ「ところで、例のビデオだが」

サンタマリア「もう少し待ってくれ。望遠レンズの調整が上手く行っていないんだ」



森崎「(誰もこっち見ねえーっ!!?薄情者ぉおおおお!)」

カルロス「それでだな、アーサーは…」

こうして森崎のカルロス失墜大作戦はカルロスからの一方的な友情と
周囲から白い視線を得ただけで大失敗に終わった。

*カルロスの森崎に対する感情が「お前もか!」から「トモダチ」に変化しました。
*強豪フラメンゴを零封した功績で支持率が1上がりましたが、
試合後のタブーに触れたやり取りで支持率が1下がりました。

485 :創る名無しに見る名無し:2009/07/08(水) 23:51:50 ID:cfDzAxGa
乙でした〜
久々にリアルタイムで更新見れた

486 :創る名無しに見る名無し:2009/07/09(木) 00:23:26 ID:bBksAdRY
ま、まぁ、シュナイダーみたいな爽やかなライバル関係になるんじゃないかな・・・
あ、あはは・・・

487 :2 ◆vD5srW.8hU :2009/07/09(木) 00:25:10 ID:rEQsLr0d
カルロス「じゃあなモリサキ!俺達を破ったんだ、是非とも優勝してくれよ!」

サンタマリア「(カルロス、まだブーイングされているんだからそろそろ…)」
ジェトーリオ「(切り替え早いなーもう。ちょっとは落ち込んでみせた方が良いのに)」

森崎「ああ…」

カルロスは森崎のうんざりしている様子に全く気付かず手を振って去っていった。
森崎もおざなりに手を振り返し、既に味方が全員戻っているベンチに引き上げていく。

森崎「てめえら…見捨てやがったな…」

トニーニョ「自業自得だ」

サトルステギ「うわっ、やつれて見える」

ネイ「お前の気の強さなら言い返しそうな物なのにな?」

森崎「馬鹿野郎!あいつの目見たか?あの時の目は…あれは、おかしいぞ!」

ネイ「見てないし見たくない」

トニーニョ「それよりさっさと戻って着替えるぞ。決勝の相手をしっかりと見ておかないとな」



こんな風変わりな茶番がフィールドで繰り広げられている時、観客席では一人の男がフィールドに背を向け
出口に向かって歩き始めていた。この試合をほぼ沈黙のまま見ていたコインブラである。

コインブラ「弱くなったな、カルロス…」

彼の静かな独り言はブーイング、野次、歓声その他に忙しい観客達によってかき消された。

488 :2 ◆vD5srW.8hU :2009/07/09(木) 00:36:39 ID:rEQsLr0d
今日はここまで。
ここからまた試合間のNPCシーン含有率が高い展開がしばらく続きます。

489 :創る名無しに見る名無し:2009/07/09(木) 00:55:17 ID:NC/ffHtU
乙でした

490 :創る名無しに見る名無し:2009/07/09(木) 12:40:37 ID:ejci7iq8
森崎は着々と人脈を広げつつあるな
このままブラジルでカルロスの手を借り翼を潰すもよし
ドイツでシャナと一緒に若林を潰すもよし

491 :2 ◆vD5srW.8hU :2009/07/09(木) 16:23:35 ID:rEQsLr0d
パルメイラスがフラメンゴを倒し決勝に駒を進めたその日の午後、サンパウロも大方の予想通り
バスコ・ダ・ガマを4−0と一蹴し決勝進出を果たした。ただ、この試合は一つおかしな事があった。

賀茂「あん?今日はストラットの動きが鈍いな」

陽子「そう言えばそうですね。さっきシュートをポストに当ててましたし」

それまでの4試合で11点、つまり一試合2.75点と言う凄まじいハイペースでゴールを荒稼ぎしていた
サンパウロのエースストライカー、ストラットが何故かロクに活躍せずノーゴールノーアシストで終わったのだった。
試合自体は彼に代わるかの様に翼が2ゴール1アシストで完全に制しサンパウロの大勝に終わったが、
今まで正に破竹の勢いだったストラットの急ブレーキはマスコミに大きく取り上げられる事になる。

ストラット「…くそっ」

翼「………」



大会得点ランキング(表記はメインキャラのみ):
11点 カルロス、ストラット
9点 翼
5点 サトルステギ
4点 ザガロ
3点 マウリシオ、トニーニョ
2点 ダ・シルバ、サンタマリア、ジェトーリオ、ネイ、ジウ、アマラウ
1点 リベリオ、オルヘス

大会アシストランキング(表記はメインキャラのみ):
9アシスト 翼
8アシスト サンタマリア
6アシスト バビントン
2アシスト ネイ、ジェトーリオ、リンコン
1アシスト プラトン、オルヘス、カルロス、マウリシオ、リベリオ、ゲレーロ

492 :2 ◆vD5srW.8hU :2009/07/09(木) 16:24:16 ID:rEQsLr0d
こうしてリオカップはいよいよ準決勝を終え大詰めに入った。決勝戦まで勝ち残ったのはパルメイラスとサンパウロ。
共にサンパウロ州サンパウロ市に所属するビッグクラブであり、この2クラブの対戦はサンパウロダービーと呼ばれる。

激戦区を無失点で勝ちあがってきたパルメイラスか?圧倒的な虐殺ゲームを繰り返してきたサンパウロか?
ブラジル中の注目を集めているこの2チームのキャプテンは奇しくも二人とも若い日本人選手だった。

森崎有三。大胆不敵にして不撓不屈なGKであり、その野心は正に底無し。
大空翼。雄材大略を持つ英俊豪傑のMFであり、その可能性は無限大に迫る。

後の日本サッカー、そして世界のサッカーの歴史の流れの大きな一部となるこの二人が
三日後のブラジル最大のサッカースタジアム、エスタジオ・ド・マラカナンにて初めての対決しようとしていた。



フラメンゴ戦から二日後、森崎は例によって監督の指示通り自主練習を行っていた。

森崎「明後日はいよいよ決勝戦…そして翼の野郎との対戦だ!総仕上げと行くか!」

A 攻撃能力を鍛える(ドリブル・パス・シュートの3つまとめて)
B 守備能力を鍛える(タックル・パスカット・ブロックの3つまとめて)
C GK能力を鍛える(せりあい・セーブ力の2つまとめて)
D ええい、全部やってやる!(運試し。8つまとめて鍛えられますが各自成長率は半分以下に)

上がり易い:パスカット(64)・ブロック(64)
やや上がり易い:パス(65)・シュート(65)・タックル(66)
普通:ドリブル(69)
やや上がり難い:せりあい(71)・セーブ力(71)

      http://capmori.net/test/read.cgi/morosaki/1243871260/l50にて
            ☆2009/7/9 17:00:00☆ から投票期間を設けます。
    そこから  15  票カウントし、一番多く票が入った選択肢で続行します。引き分けの場合は
   その次の票をタイブレーカーに使います。どれか一つに確定した場合はその時点で投票を
         止めて下さい。尚、投票はageた書き込みのみを採用しています。

493 :創る名無しに見る名無し:2009/07/09(木) 16:42:32 ID:dgOimtLu
翼、得点王、アシスト王、MVPの三冠もあるな

個人的には決勝は負けてもゲームオーバーにならずに進んでほしいがどうするんだろう?

494 :創る名無しに見る名無し:2009/07/09(木) 18:57:17 ID:93m5gB4Z
そういや今までだと普通にやったら得点王以外はほとんどMVPの可能性がなかった(当然森崎も)
GKやDFでも候補になれるような貢献ポイント制に選出方法変えてくれないかな


495 :創る名無しに見る名無し:2009/07/09(木) 19:16:59 ID:9XeoDzVU
よほどの大差がない限り優勝国から選ばれるって補正でも付ければよいのでは。現実もそんな感じだし。
ああ、日韓W杯のアレは別としても。

496 :2 ◆vD5srW.8hU :2009/07/09(木) 23:21:40 ID:rEQsLr0d
>C GK能力を鍛える(せりあい・セーブ力の2つまとめて)

森崎「見てやがれ…もう俺は誰にもゴールはゆるさねえ!このリオカップを無失点で優勝してやる!」
-----------------------------------------------------------------------------
【分岐】http://capmori.net/test/read.cgi/morosaki/1243871260/l50にて
 !card と書き込むとランダムでトランプの絵柄が出るので、(!は半角)書き込んでみて下さい。
(ageでもsageでも構いませんが、★も含めて一回の判定の全文をコピペされてない場合は無効です)

先着(順番通りじゃない書き込みは無効)で
★森崎のせりあい→ !card★
★森崎のセーブ力→ !card★
と書き込んで下さい。マークで分岐します。

ダイヤ、ハート→能力値+1!
スペード、クラブ→効果が無かった。

497 :創る名無しに見る名無し:2009/07/09(木) 23:38:21 ID:ejci7iq8
ふむぅ

498 :2 ◆vD5srW.8hU :2009/07/10(金) 00:21:39 ID:dPv5vEnd
★森崎のせりあい→  ハート9 ★
★森崎のセーブ力→  スペード10 ★

ダイヤ、ハート→能力値+1!
スペード、クラブ→効果が無かった。
-----------------------------------------------------------------------------
森崎「…まあ、こんなもんかな。なんか体が重いし」

森崎は軽い筋トレや柔軟運動でより当たりに強くなった!

森崎せりあい力:71→72



そしてパルメイラスの攻撃の主役、ネイとトニーニョもまた決勝戦に向けラストスパートをかけていた。
フラメンゴ戦前から始めた目を瞑ってのリフティングの交換を行っていたのである。

ポーンポーンポーンポーン…

トニーニョ「295、296、297…」

ネイ「298、299、300!よしっ!」

トニーニョ「やれば出来る物だな…まさか目を閉じたまま300回も出来るとは思わなかった」

ネイ「じゃあそろそろ実際にやってみようぜ」

トニーニョ「ああ」

499 :2 ◆vD5srW.8hU :2009/07/10(金) 00:23:10 ID:dPv5vEnd
目標の回数を成功させた二人はゴールに近づき、トニーニョはPA内に、ボールを持ったネイは
バイタルエリアの少し手前に立った。そしてネイが軽いドリブルから右足を振りかぶる。

グワッ!

ネイ「そぉおおおおりゃあ〜っ!!」

バシュウッ!
シュウウウウウウウウウウウウウン!

トニーニョ「…今だあああっ!!」

ギュンッ!
バシュウッ!

      ギュォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオン!!

バスッ!
トントントントン…

ネイ「…よっしゃああああ!やったぜ!」

トニーニョ「ああ。ブースターシュート完成だ!」

フィールドに速さが途中から倍になる弾道のベクトルが描かれ、常人ならまず目視できないであろう
スピードでゴールに突き刺さった。ネイが彼らしく歓声を上げ、トニーニョも彼らしくなく頬を綻ばせる。
そして練習場を歩き回り選手達の様子を観察していたエベルトンもニヤっと唇の端を吊り上げた。

*ネイとトニーニョがブースターシュートを習得しました。

500 :2 ◆vD5srW.8hU :2009/07/10(金) 00:25:01 ID:dPv5vEnd
今日はここまで。やっと、やっとWY編の最初の目玉の
VS翼が目前に迫ってきました…!

501 :創る名無しに見る名無し:2009/07/10(金) 07:31:19 ID:6WWYYZTv
これは嫁を質にいれても見にいかんといかんぜよ!

502 :sage:2009/07/10(金) 13:20:31 ID:HZ1/Sxc5
ブースターで一点
サトルステギがもう一点
翼、ストラットに一点づつ取られて互角ってとこか。

503 :2 ◆vD5srW.8hU :2009/07/10(金) 14:00:58 ID:dPv5vEnd
その日の晩、エベルトンは選手達を集め特別ミーティングを開いた。

エベルトン「てめえら、この大一番を控えて眠いなんてほざくバカはいねえだろうな?」

パルメイラスメンバー『………』

エベルトン「上等だ。決勝の相手、サンパウロを倒すには万全を期さなきゃならねえ。
てめえらのミジンコ並の脳みそでも分かる様に親切に説明してやる。よく聞いとけよ」

エベルトンが挑発的な言動と共に素早くペンを走らせたサインボードには以下のフォーメーションが記された。

−−H−− Hストラット
J−−−F Jプラトン Fジウ
−−I−− I翼
−G−E− Gバビントン Eマウリシオ
−−−−−
−−D−− Dドトール
A−C−B Aリマ Cアマラウ Bマリーニ
−−@−− @レナート

エベルトン「これがサンパウロが使っているフォーメーションとスタメンだ。明後日の決勝でもこの配置で来ると見て
ほぼ間違いないだろう。もしそうでなけりゃ有り難い位だ。次は選手達の特徴を並べていくぞ」

504 :2 ◆vD5srW.8hU :2009/07/10(金) 14:02:11 ID:dPv5vEnd
エベルトン「Jのプラトンはドリブルとパスにそれなりに秀でたウイングだ。ただしプレイはあまり積極的とは言えねえ。
特に守備意識は低めだな。こいつの役割は左サイドアタックからセンタリング、もしくはバビントンやツバサへのバックパスだ。
Fのジウは正直ザコだ。ドリブルもパスもディフェンスも下手だし、唯一の取り得のダイレクトシュートも
撃ってくれたらこっちが有り難いレベルだ。まあ右側のウィングだとでも思っておけ」

オルヘス「正直その二人はあんまり手強くなさそうですね」

エベルトン「そういう事だ。こいつらを使ってきたらむしろボールを奪うチャンスだ。本当に危険な連中はここからだ。
まず、Iのツバサ。冗談抜きでオールマイティーなトップ下と言えるだろう。ロベルト・ホンゴーの愛弟子ってのは伊達じゃねえ。
ドリブル、パス、シュート、空中戦と攻撃におけるありとあらゆる状況で大技を連発してきやがる。
守備力もべらぼうに高え。こっちの攻撃時に不必要に近づくのはバカを見るだけだぞ」

森崎「………」

エベルトンが手放しで翼を褒めた際、森崎はじっと沈黙を守り続けた。
彼の胸中に渦巻く感情の波は苛立ちや嫉妬が表に出てこない程複雑すぎた。

エベルトン「そしてもう一人厄介な奴が居る。Hのストラットだ。馬鹿げたキック力を持つストライカーだ。
奴の得意技、メガロゾーンシュートは俺の見立てではミラージュシュートより一段上の威力だ。
正直コレを撃たれたら後はモリサキに任せるしかないかも知れんが、だからってブロックをさぼったりすんなよ」

キーガン「………」ゴクリ

エベルトン「Gのバビントンは地味なテクニシャンだ。パスはそれなりに上手いから
プラトンと一緒になって左サイドを上がったり、中盤でボールを回したりしてくる。シュートは殆ど撃ってこない。
そしてEのマウリシオだが、こっちは逆にドリブルを得意としていて自分で切り込んでくる。
ジョルトシュートとか言うミドルも持っているが、ツバサやストラットに比べりゃかわいいもんだ」

リンコン「つまり、サイドアタックは左の方が右より多いって事ですね」

505 :2 ◆vD5srW.8hU :2009/07/10(金) 14:04:30 ID:dPv5vEnd
エベルトン「端的に言ってそうなる。次はDFとGKだが…守りの中心の二人から話す。
Dのドトールは強力なストッパーだ。奴の鋭いタックルをかいくぐるには相当なドリブルテクが要求される。
Cのアマラウは対照的なスイーパーだ。ドトール程のボールハンターじゃねえが、半端なパスはカットしてくるぞ。
なによりこの二人はそれぞれ低い球、高い球の処理を得意とする。特にアマラウは高い球に凄く強い。
この二人をなんとか攻略しないと得点の糸口なんざつかめやしねえからな」

トニーニョ「では、残りの3人は?」

エベルトン「サイドバックの二人…BのマリーニとAのリマははっきり言ってザコだ。
この二人のサイドは突破し放題だな。最後に@のレナートだが、一言で言うと凡才だ。
ザルキーパーって訳じゃねえが固いって訳でもねえ。奴よりアマラウやドトールの方がずっと厄介だな」

ネイ「最終ラインは中央を除けば緩いんですね」

エベルトン「そうだ。今まで奴ら相手にまともに攻めたチームが居ないから目立たなかったが、サンパウロは
サイドバックが明らかに弱点だ。ただし、アマラウとレナートが居るから単純にサイドを突けば良いってもんじゃねえ」

森崎「じゃあ、どうするんです?」

エベルトン「………」

敵のデータを述べ終わったエベルトンは一旦口を閉ざし、皆がデータを脳内で消化する時間を作った。
そしてたっぷり十秒も沈黙し、選手達が焦れ始めたのを見計らってから高らかに宣言した。

エベルトン「フォーメーションを変える!」

ざわっ…

506 :2 ◆vD5srW.8hU :2009/07/10(金) 14:11:24 ID:dPv5vEnd
いったんここまで。
サンパウロ戦が始まるまでもうちょっとかかるんじゃよ。

507 :創る名無しに見る名無し:2009/07/10(金) 14:37:05 ID:5K5sFG9j
寸止め…たまりません

508 :創る名無しに見る名無し:2009/07/10(金) 14:48:10 ID:881agg2S
もうイキそうです。
イっていい?

509 :創る名無しに見る名無し:2009/07/10(金) 16:38:33 ID:PJpPI4kK
>サイドバックが明らかに弱点だ。ただし、アマラウとレナートが居るから単純にサイドを突けば良いってもんじゃねえ

ここってドトールのことかな?レナートで正しいのかもしれないけど、アマラウと並べるとなんだか強そうな感じがしたぜ

510 :2 ◆vD5srW.8hU :2009/07/10(金) 17:09:27 ID:dPv5vEnd
>>509
仰る通り、ドトールが正しいです。
誤植が増えがちで恥かしい…

511 :創る名無しに見る名無し:2009/07/10(金) 18:02:22 ID:U6onzB+V
レナート「そ、そんなぁ」

512 :創る名無しに見る名無し:2009/07/10(金) 18:06:27 ID:V1uGDCUR
某レナート「>>507 >>508

513 :創る名無しに見る名無し:2009/07/10(金) 22:50:59 ID:pFkwuLq+
さあ、我が愛しのバビ様はどこまで活躍するかな。

514 :創る名無しに見る名無し:2009/07/10(金) 23:28:48 ID:f4CYt++r
>>513

ザコオンリー動画見てたクチだな?

515 :創る名無しに見る名無し:2009/07/10(金) 23:30:39 ID:30YKuCWR
3や4での実力考えると、ブラジルのこの世代でナンバースリーGKだろうから
レナートはそこまで酷くは無いと思うのだけどな。

516 :創る名無しに見る名無し:2009/07/11(土) 00:02:55 ID:zHLv7f4c
翼と森崎の心理描写は敢えて描かないつもりかな

517 :創る名無しに見る名無し:2009/07/11(土) 00:09:48 ID:zHLv7f4c
二人が正統派ライバルになるルートもあるのか、絶対無い仕様なのかそれだけ教えてください

518 :2 ◆vD5srW.8hU :2009/07/11(土) 00:55:12 ID:c4w5MDRo
>>516
それは次のシーンです。

>>517
ネタバレになるのでちょっと無理ですね。今までの私の作風や
性格描写から好きに推測して下さい。

519 :2 ◆vD5srW.8hU :2009/07/11(土) 00:59:40 ID:c4w5MDRo
キュッキュッキュッキュッ!

エベルトンの握ったペンがサインボードの上を踊る。描き出されたフォーメーションはこうなっていた。

−J−H− Jオルヘス Hサトルステギ
−−−−−
−−G−− Gネイ
E−−−F Eリンコン Fゲレーロ
−−I−− Iトニーニョ
−ADB− Aミラ Dアレクセイ Bブランコ
−−C−− Cキーガン
−−@−− @森崎

ネイ「中盤をダイヤモンドに!?」

トニーニョ「俺がボランチ…ですか」

エベルトン「そうだ。サンパウロは攻撃の駒がメチャクチャ多いが、サッカーの攻撃パターンは
ミドルシュートだろうとダイレクトだろうとクロスレンジだろうと突き詰めていけば中央とサイド、
どっちかから攻めるしかねえ。その両方に対応する為のフォーメーションだ。

まず中央突破だが、サンパウロで一番厄介なのはカルロスにもひけを取らないツバサの突破力だ。
そこでカルロスと同様に4人で囲み、無理やりに奪う。マウリシオやバビントンも3人で囲め。
良いか、うちだって中盤が強みなんだ。中盤の支配力で負けるんじゃねえ!」

ミラ「ですが中央はそれでいいとして、サイドの守りは薄くなりそうですが…」

ブランコ「俺達も中央に寄っちゃうの?」

520 :2 ◆vD5srW.8hU :2009/07/11(土) 01:00:49 ID:c4w5MDRo
エベルトン「サイドアタックに関してはリンコンとゲレーロに任せる。
もしこの二人が突破されたら後はDF全員とトニーニョをPA内に集めるんだ。
ぶっちゃけ、センタリングなんか好きに上げさせていいんだよ。PA内で跳ね返せばな。
だからDFの人数を増やす。更に…モリサキ。お前も積極的に飛び出しやがれ!」

森崎「なるほどね…任せて下さい(フッフフ、監督も良く分かってるじゃないか)」

エベルトン「サンパウロには一つ弱点がある。それはMFとDFの間のスペースだ。
ボランチが居ない隙をツバサの力で補っているが、ツバサを引き寄せればそこがチャンスになる。
PA内で守ってから縦のラインを使って速攻を仕掛けろ。ネイ、てめえの仕事だぞ」

ネイ「はいはい。でも、ツバサが警戒して引き気味になったら?」

エベルトン「その時は手薄なサイドを使うなりじっくり時間をかけるなり好きにしろ。
守りやすくなるから返って有り難い位だと思え。ツバサ抜きの攻撃を防げない様じゃあ勝ち目なんざねえぞ」

サトルステギ「と言う事は、ストラットは中央に寄せたDF達でマークしておくんですね?」

エベルトン「………」

パルメイラスメンバー『………』

サトルステギ「えっ?えっ?どうしたの皆、俺何かおかしい事言った?」

エベルトン「いや…お前とは思えない程頭の良いセリフだったんでな…」

サトルステギ「そ、そう?いや〜、照れるな〜」

パルメイラスメンバー『(うん、こっちの方がサトルステギらしい)』

521 :2 ◆vD5srW.8hU :2009/07/11(土) 01:01:48 ID:c4w5MDRo
エベルトン「あー…守りのもう一つのコツはCFWのストラットをガチガチにマークしておく事だ。
パスはカットしなくても良い、むしろ奴がトラップした所に人数をかけて奪いに行け。
ストラットはカルロス程のドリブラーじゃない、4人がかりで奪えなかったら恥だぞ!」

アレクセイ・キーガン・ミラ・ブランコ『はい!』

トニーニョ「それで、攻撃の方は…?」

エベルトン「攻撃か?攻撃は…今まで通りで良い」

パルメイラスメンバー『えっ?』

エベルトン「何を間抜けなツラをしてやがる。この大会のここまでで色んな攻撃パターンを使ってきただろうが。
サイドアタックからセンタリングを上げるなり、中央突破を挑むなり、ミドルを撃つなり好きにしろ。
敵チームだって生き物なんだ、こっちに合わせて守備を変えてくる。より適切な戦い方を選択した方が勝つんだよ。

向こうは恐らくアマラウをサトルステギに、ドトールをネイにつけてくるだろう。俺が監督ならそうする。
向こうの選択に関してはこっちから出来る事はねえんだ。しかも二人ともセンターに居るんだから
何処かで勝負しなくちゃならねえ。その勝負のタイミングはてめえらで選ぶんだよ」

森崎「(勝負のタイミングか…オーバーラップの機会はあるだろうか?)」

エベルトン「以上だ!これ以上くっちゃべってもてめえらのミジンコ脳みそじゃ詰め込めねーだろうから
これだけ理解しとけば良い!フォーメーションの調整は明日の全体練習で行う!解散だ!」

号令をかけられ部屋から三々五々に出て行く選手達。彼らの多くはエベルトンを監督として
完全には信用していなかったが、彼の指示に誰も表立って反目しなかった為
全体的な意識統一はなされていた。エベルトンはそれで十分だと考えていた。

エベルトン「(さーて…サイは投げた。後はこのグズどもがどれだけ戦えるかだな)」

522 :2 ◆vD5srW.8hU :2009/07/11(土) 01:03:45 ID:c4w5MDRo
今日はここまで。

523 :創る名無しに見る名無し:2009/07/11(土) 01:05:09 ID:hiN8zXkc
乙です!
監督の差が勝敗の分かれ目になるといいな。

524 :2 ◆vD5srW.8hU :2009/07/11(土) 11:11:52 ID:c4w5MDRo
そして夜が開け、昼がやってくる。どれだけ重大な出来事が控えていようと、時の流れは常に公平である。

パルメイラスもサンパウロもそれぞれの練習場で決戦に向けた最後の練習に汗を流す。
そしてあっけない程簡単に夜がやってきた。

この晩、森崎はホテルのフロントの電話を使って実家に電話をかけていた。

森崎「もしもし、俺だよ。一人息子の声忘れんなよ!あ〜悪かったな筆不精で。でもこの前書いただろ?
うん、それがだな。そろそろプロになれそうなんだ。明日でっかい大会の決勝戦でさ。
もう俺大活躍中!いや、ほんとだって。5試合して無失点なんだぜ?は?何言ってんだ?
ちょっと待て、無得点と無失点を間違えるなよ!無失点は良い事!無得点は悪い事!
ったく、息子が日本代表なんだから少しはサッカーの事勉強してくれよ。あん?もう間違いないよ、
俺は出世ルートまっしぐらなの!将来は日本代表の正GK間違いなしだぜ!なんせプロになった
日本人選手なんて数える位しか居ないからな。GKでは俺が最初なんだぜ?
そうそう、プロになってたっぷり稼いだら旅行に連れてってやるよ。何処が良い?え、熱海?
そんなんで良いのか?ハワイだってパリだって行けるんだぜ?…おいおい、今どき外国怖いって…
あーわかったわかった、白い米が無いと駄目なんだな。それはちょっと分かる。
おっといけねえ、代金が高いんだった。そろそろ切るぞ。うん、うん、分かってるよ。んじゃまたな!」

ガチャッ。

久々に親の声を聞き機嫌を良くした森崎はフロントからラウンジに歩いていった。
そこにはチームメイト達がスナックを買ったりテレビを見ていたりとめいめいに試合前の憩いを楽しんでいた。
より正確には皆楽しもうと必死になっていたと言うべきかも知れない。誰もが何時もより固い表情になっていたのだ。

ネイ「よっ。今度は何処の彼女だったんだ?」

森崎「俺の親だよたわけ。まさか俺の母親にまで粉かける気じゃねえだろうなてめえ?」

ネイ「う〜ん…30歳以下なら考慮するけど…」

森崎「40超えてるぞバカ。第一お前が義理の父親なんて想像もしたくねえ」

525 :2 ◆vD5srW.8hU :2009/07/11(土) 11:13:29 ID:c4w5MDRo
サトルステギ「それ以前に人妻に手を出す発想を咎めないのかよオイ!?」

パルメイラスメンバー「いや、だってネイだし」「ネイだからな」「実にネイらしい」「ネイはこんなもんだろ」

ネイ「ハハハ、皆良く分かってるじゃないか」

トニーニョ「(長年の付き合いだが、正直ジェトーリオを笑える人間性ではないな…)」

ネイの節操の無さがチームの雰囲気を和らげると言うのはパルメイラスではよくあるシーンだった。
だが大一番が明日に控えていると言う緊張感はそう簡単に制御できる物ではなく、
すぐにぷっつりと沈黙が訪れてしまう。それに最初に耐えられなくなったのはオルヘスだった。

オルヘス「そ、そうだモリサキ!サンパウロのツバサってお前の昔のチームメイトなんだろ?」

森崎「ん?ああそうだ。ブラジルの制度で言えばデンチ・デ・レイチ(12〜13歳)と
インファンチル(13歳〜15歳)の頃、ずーっと同じチームだったぞ。日本の年齢分けカテゴリーは少し違うが」

リンコン「あ、俺も興味あるな。ツバサってどんな奴なんだ?」

森崎「………」

A 「俺がこの世でもっとも嫌いなクズ野郎だよ!」
B 「外面は取り繕ってるが、中身は大分腐ってるな」
C 「紛れも無い天才だが、それ故に打たれ弱い」
D 「嫌いだしムカつくが、サッカーに関してはクソ真面目だな」

      http://capmori.net/test/read.cgi/morosaki/1243871260/l50にて
            ☆2009/7/11 12:00:00☆ から投票期間を設けます。
    そこから  20  票カウントし、一番多く票が入った選択肢で続行します。引き分けの場合は
   その次の票をタイブレーカーに使います。どれか一つに確定した場合はその時点で投票を
         止めて下さい。尚、投票はageた書き込みのみを採用しています。

526 :創る名無しに見る名無し:2009/07/11(土) 15:46:47 ID:F8iWUJql
これ大会に向けて日本に戻ったらプロ入りはおじゃん?

527 :創る名無しに見る名無し:2009/07/11(土) 16:48:00 ID:xVIlwQSo
だったら来てないだろう、前大会のケンカが一時チームを離れた前例もある
そもそも実力があればキャリアなんて関係ないさ

528 :2 ◆vD5srW.8hU :2009/07/11(土) 16:54:16 ID:c4w5MDRo
>D 「嫌いだしムカつくが、サッカーに関してはクソ真面目だな」

ゲレーロ「嫌い?」

ミラ「物凄くぶっちゃけたなあ」

森崎「実際にムカつく奴なんだよ。俺は天才なんだ、だから何もかもが上手く行って当たり前なんだ、
みたいな態度をいっつも取りやがる。その癖中途半端に善人ぶるが、弱い奴は当然の様に見下す。
恨みを買っても悪びれた例もねえ…ああ、思い出すだけでイライラしてきたぞ」

ブランコ「でもまあ、人としては嫌っていてもサッカー選手としては認めてるって事か?」

森崎「…まあな。実際に強いし、才能も卑怯な程に恵まれてる。
練習でも手を抜いた所なんて見た事がねえ。選手として見るんならそこそこ頼もしい。そこそこな」

アレクセイ「一試合平均1.8ゴール1.8アシストの奴は”そこそこ”じゃ済まないだろ!」

森崎「フン。ザコチームと当たり続けてたんだ、大した記録じゃねえよ」

翼の話題になっただけで面白いほど不機嫌になる森崎を見てチームメイト達に
呆れた様なホッとした様な空気が流れる。そこでポロッと本音を洩らしたのはサトルステギだった。

サトルステギ「とにかく、嫌っているんなら手加減とか油断とかしなさそうだな。よかったよ」

森崎「ああん?馬鹿言うな、誰があんな奴に手加減なんかして堪るかよ!ったく、俺はもう寝るぞ!」

529 :2 ◆vD5srW.8hU :2009/07/11(土) 16:55:49 ID:c4w5MDRo
ドスドスと足音荒く自室に戻る森崎。そんな彼の後姿にチームメイト達はニヤニヤ笑いを堪えきれなくなった。

ネイ「俺は天才なんだ、それが当たり前なんだ、って言う態度ねえ…しかも弱い奴は当然の様に見下す。
まるっきりモリサキの事じゃないかよ。モリサキが天才と言えるかどうかは議論の分かれる所だけどさ」

トニーニョ「ポイントは”中途半端な善人”の部分だな。モリサキの事を善人と評する者はまず居ないだろう。
最初から開き直ったタイプだと認識されていたら、裏表がある偽善者だと反発を食らう事も無い」

サトルステギ「でもさー、大抵の天才タイプってそんな感じじゃん?居るんだよ、アルゼンチンに
ファン・ディアスって奴が。俺が天才ファン・ディアスだ!な〜んて自分で言っちゃうんだぜ?」

パルメイラスメンバー「うわ、似てねェ!」「お前だってアルゼンチンのエースストライカーを自称してるだろ!」
「まあ俺達だってレベルの低いクラブに移籍したらそういう態度を取ってるって見られるだろうな」



自分がチームメイト達の笑いの肴になっているとは露知らず、森崎は自室のベッドで横になっていた。
さっさと眠ってしまいたいのだが彼の頭はどうしても翼の事を考えてしまう。

森崎「(あいつを初めて見たのは修哲小と南葛小の対抗戦の時だっけ。確か若林の腰ぎんちゃくを
やっていた不愉快な時代だ。だから最初は若林に恥をかかせた翼に喝采を送ってたんだっけ…
それが南葛SCでチームメイトになってから、だんだんウザさが目に付いてきたんだった。
ボールは友達だの日本をワールドカップで優勝させるだのほざくのはまだ耐えられたが、
俺は天才なんだから勝って当然、俺に出来ない事なんて無いって馬鹿面はいっつもぶん殴ってやりたかったぜ)」

森崎は翼への嫌悪が積み重なっていった経緯を回想しながら寝返りを打った。
自分の傲慢な態度や言動、数々の姑息な裏工作や身勝手な奇行は
全く省みない辺りが彼らしいと言えよう。

530 :2 ◆vD5srW.8hU :2009/07/11(土) 16:57:12 ID:c4w5MDRo
森崎「(更にムカついたのはあいつの偽善者っぷりだな。爽やかな熱血スポーツ少年のフリを
しやがる癖に内心では人を見下しまくってたのが丸分かりだったぜ。
プレイスタイルも個人プレイバリバリの癖にチームプレイこそ一番大事、なんて顔しやがって。
まあこれは後ほど改善されたが…何の事は無い、俺の存在が脅威になったから自分の駒を
増やそうとしやがっただけだ。俺がキャプテンになった頃から段々変わっていったんだよな、アイツ)」

ふと森崎は暗闇の中で自分の利き手を見詰めた。ゴールキーパーとしてはそれ程大きくない手である。

森崎「(それら全部をひっくるめて何倍にも嫌にさせたのが…あいつが本当に天に選ばれた存在の様に
サッカーの才能に溢れ返っていた事だ。天才じゃない奴ならウザさも偽善者っぷりも
ただの馬鹿として切って捨てられたんだが、あいつは俺よりも早く天才として覚醒していた!
あいつを嫌っていたのは俺だけじゃない、それなのにあいつが天才だから何もかもが許されていた!
…だが、皮肉なモンだな。俺はそんなあいつが我慢できなくてガムシャラに頑張りまくった結果ここに居るんだ。
ある意味では恩人って事か?うわあ、吐き気がしてくる程嫌な考えだ)」

森崎は再び目を閉じ、高ぶる気持ちに任せて飛び起きる準備に入った。

森崎「だが…それもここまでだ。もう俺はお前の先を行っている。明日お前を倒し、俺は更に上に行く!
日本のワールドカップ優勝はお前じゃない、俺が実現するんだ…覚悟と感謝をしな、翼ァ!」

ガバッ!

ゴチッ!

森崎「イテェエエエッ!?た、タンス!こ、小指!い、いてえ!畜生、なんで俺がこんな目に〜!」

531 :2 ◆vD5srW.8hU :2009/07/11(土) 16:59:24 ID:c4w5MDRo
一旦ここまで。

532 :創る名無しに見る名無し:2009/07/12(日) 01:52:50 ID:GW0DSASf
次はサンパウロチームの試合前日の描写かな?
wktk

533 :創る名無しに見る名無し:2009/07/12(日) 17:24:36 ID:sMPuK5/S
そういやこの世界の言語はどうなってんだっけ
原作だと翼がポルトガル語を勉強してたけど
森崎もポルトガル語で話してるのか?

534 :創る名無しに見る名無し:2009/07/12(日) 17:36:04 ID:jqiANtPX
>この世界では日本語が世界共通語です。
まとめwikiより

535 :創る名無しに見る名無し:2009/07/12(日) 17:39:34 ID:sMPuK5/S
>>534
ありがと
となると海外へサッカー留学ってのも
大分県民が駒大苫小牧に野球留学する程度の感覚かもなあ

536 :創る名無しに見る名無し:2009/07/12(日) 19:22:25 ID:xK2eW1jl
いや、全然違うだろw

537 :創る名無しに見る名無し:2009/07/12(日) 21:46:07 ID:m1nqWuYZ
まぁ言葉は同じでも文化は違うだろうからなぁ。食べ物とかもw

538 :2 ◆vD5srW.8hU :2009/07/13(月) 09:44:27 ID:u5EQ8NDH
パルメイラスの選手達が決戦前夜を和気藹々と過ごしている頃、
サンパウロの面々も彼らのドラマを迎えていた。

この日、サンパウロユースが泊まっているホテルには見目麗しい金髪の女が訪れていた。
かつての知人チェザーレ・ストラットを訊ねてイタリアからやってきたミアータ・コリーニである。

ストラット「ミ、ミアータ…」

ミアータ「ストラット」

ストラット「会議室、会議室を借りてあるんだ。そこで、二人っきりで、話そう…」

ミアータ「うん…」

恐怖と罪悪感に震える若い男が静かな憂いに満ちた若い女を密室に連れ込む。
そんな奇妙だが何故か何処にでもありそうな光景を翼は遠くから横目で見送った後、
エレベーターに向かって無言で歩き始める。だが途中でラウンジを通り過ぎようとした時、
そこに居た4人が彼に声をかけてきたので足を止めざるを得なかった。

アマラウ「あ、ツバサ!探してたんだぞ!」

翼「…なんだ?何かあったのか?」

マウリシオ「まず、誰ッスか?あの綺麗なねーちゃん」

翼「ストラットの恋人らしいよ。詳しい事は知らないし、知ろうとも思わない」

539 :2 ◆vD5srW.8hU :2009/07/13(月) 09:45:02 ID:u5EQ8NDH
ドトール「ここ数日ストラットの様子がおかしかったのと関係あるのか?」

翼「多分ね。だからキャプテンとしてメンタルを作り直せって言っておいたんだよ。
後はまあ…女の子をあまり待たせるのは良くないってね」

マウリシオ「おおっ、意味深な発言だ!」

翼「茶化すなよ。俺にだって再会を誓った女の子位居るさ。それで、ただ俺を
冷やかしたかっただけかい?生憎話のタネに出来る様な面白い話は無いよ」

またマウリシオやアマラウが騒いでいるだけかと思った翼はさっさと踵を返そうとする。
だがここで今まで黙っていたバビントンが慌てて彼を引き止めた。

バビントン「ま、待ってくれよ!僕達、ツバサに聞きたい事があったんだ」

翼「何を?」

バビントン「ええと…ええと。僕、ツバサに感謝してるんだ。僕はアルゼンチンから来たから
風当たりが強かったけど、ツバサはもっと色眼鏡で見られていたのに黙って努力し続け、
結果を出し続けて認められる様になった。そんなツバサを見る度に僕も頑張らないとって思えたから…」

翼「…有難うバビントン。でもそれは別に俺に感謝しなくても良いと思うよ。
俺は俺自身の為に努力したんだし、君の努力だって君自身の為だろう?」

バビントン「それでもだよ。それに、僕がアルゼンチン人だからってバカにする奴が居た時、
君は冷めた視線を向けただけで黙らせたじゃないか。君は自分の為にやったとか
国籍に関係なく実力が上のチームメイトを優先したとか言いそうだけど…」

翼「………」

540 :2 ◆vD5srW.8hU :2009/07/13(月) 09:45:51 ID:u5EQ8NDH
ストレートな情景と感謝の意をぶつけられた翼は彼にしては珍しく返答に困り頭をかいた。
明らかに照れている様子にアマラウがニヤリと笑う。

アマラウ「お前は自分がなりたい程悪人でも冷血でもねーよ、ツバサ」

翼「…結局からかっているだけかい?」

マウリシオ「まあ待って待って。俺達だってバビントンの様な事情は無いけど、
なんだかんだ言ってキャプテンを頼りにしてるんスよ。だから、俺達も頼って欲しいなーって」

ドトール「俺とアマラウはジュベニール(15〜17歳)時代からお前を知っている。
ある日突然入団テストで日本人とは思えない程の凄腕が入ってきた衝撃は今でも記憶に新しい。
だがあの時のお前は今に比べると…そうだな、心を閉ざしている…そんな様子がなかった」

翼「!」

アマラウ「お前にムカついた事も何度かあるけどさ、それでもここまでウチを引っ張ってくれたキャプテンなんだ。
だから、リオカップが近づく程に様子がおかしくなっていったお前を心配したって良いだろ?」

マウリシオ「それにキャプテンが不調かも知れないなんて不安を抱えたまま大一番に挑むのはマジ勘弁!
チームメイトの不安を解消するのもプロ精神溢れるキャプテンの役割じゃないッスか?」

バビントン「だから…聞かせて欲しいんだ。パルメイラスのモリサキに対する反応の訳を。
それと…何故そんな、張り詰めた様子になっているのかを。僕たちの為に、そして願わくばツバサの為にも」

翼「………」

チームの主力メンバー数人に理屈と感情両方で詰め寄られた翼は困惑を露にした顔で
ソファーに座り込み、顎に手を当てため息をもらした。

翼「…ちょっと待ってくれ。どう説明したら良いか…頭の中で言葉をまとめたいんだ」

バビントン「うん…」

541 :がんばりセービング!:がんばりセービング!
がんばりセービング!

542 :2 ◆vD5srW.8hU :2009/07/13(月) 09:51:55 ID:u5EQ8NDH
いったんここまで。

543 :創る名無しに見る名無し:2009/07/13(月) 12:18:35 ID:KutpZpN6
( ;∀;)イイハナシダナー

544 :2 ◆vD5srW.8hU :2009/07/13(月) 13:31:06 ID:u5EQ8NDH
一方会議室に入ったストラットは、二人きりになった事で更に動転していた。
彼はミアータと目を合わせる事すら出来ず、視線を宙に漂わせながら必死に言葉を探している。

ストラット「その…ええと…ミ、ミアータ!久しぶりだな!(なんか言え!なんか言うんだよ!)」

ミアータ「うん。久しぶりね、ストラット。会いたかったわ」

ストラット「何故ここに…?(わっバカ俺のバカなんでそんな事言うんだよ!?)」

ミアータ「…ゲルティスさんに教えてもらったの」

ストラット「そうか…あいつとはイタリアリーグで戦った事があるからな…(もっと気の利いたこと言えよ俺!
あああもう泣きそうになってるどうしようどうしよう逃げたい誰か助けてくれ逃げたい!)」

なんとか紡ぎだした白々しい言葉はミアータを涙目にさせただけだった。
更に慌てだすストラットに対し彼女はゆっくりと近づき…

ストラット「(うっ引っ叩かれるよなやっぱりその後グチグチと恨み辛みを言われてから絶交だきっとそう…)」

ぽふっ。

ストラット「…えっ?」

彼の胸に抱きついた。

ミアータ「ストラット…!イタリアに戻ってきて…!」

545 :2 ◆vD5srW.8hU :2009/07/13(月) 13:31:30 ID:u5EQ8NDH
ストラット「ミアータ…」

ミアータ「探したのよ…この三年間、ヨーロッパ中を…それでも全然みつからなくて、会いたくて…!」

涙。恨み。怒り。蔑み。ありとあらゆる負の感情に備えていたつもりだった。
彼女がまだ自分を求めてくれるなど、絶対に有り得ない筈だった。

ミアータ「ずっとずっとこうしたかった。もう一度貴方の腕に抱かれたいと泣かなかった夜は無かったわ…
ただそれだけを考えて、他の何も目に入らなくて…やっと、ここで貴方をみつけたの。捜し求めた貴方を」

ストラット「………」

これは夢なのだろうか?都合の良い妄想に逃げてしまったのだろうか?
まさか現実なのならば、一体どうすべきなのか?

バラバラに千切れた思考が踊り狂い、ストラットは何も言えなくなる。
だが次のミアータの言葉が彼の心に光を差した。

ミアータ「もうこれ以上待てないわ!抱きしめて、ストラット!」

ストラット「………」

ギュッ。

何をすべきなのかではなく何をしたいか。ストラットは己の心に導かれるまま
ミアータの小さな細い体を強く、だが優しく、抱きしめる。

ミアータ「ああ…!」

ストラット「ミアータ…俺は国を捨てた男…いや、違う。捨てたんじゃなくて逃げたんだ。
国だけじゃない。家族からも、友からも…君からも逃げた…」

ミアータ「ストラット…」

546 :2 ◆vD5srW.8hU :2009/07/13(月) 13:31:52 ID:u5EQ8NDH
ストラット「そんな俺に戻ってこいと…ミアータ!そんな事を言ってはダメなんだ!」

ミアータ「どうして…?」

ストラット「もう俺の事なんか忘れてくれ!それが俺が君に出来る精一杯なんだ!
自分でも酷い男だと思う。だけどもう俺はイタリアに戻る事も君と一緒に居る事も出来ないんだ!
怖いんだ!もう俺は誰に憎まれても構わない、憎まれるのは怖くない!
大切な仲間達を、愛する君を!これ以上傷つけるのが怖くて堪らないんだ!」

ミアータ「…ウソよ」

ストラット「ウソじゃない!」

ミアータ「だったらどうして貴方の腕はこんなに強く私を抱きしめているの?」

ストラット「なっ…!?くっ!」

ストラットの腕は本人の意思を裏切り、ミアータの腰を手放そうとしなかった。
ミアータに指摘され自覚しても尚彼の腕は言う事を聞かない。
せめても抵抗に首と肩を反らし彼女から離れると、何かがちりんと音を立てた。
それは彼女が首から下げているネックレスに加工されたメダルだった。

ストラット「…これは…!」

ミアータ「ええ、貴方が14歳の時初めて全国リーグで得点王になった時のメダルよ」

ストラット「今でも…持っていてくれたのか…」

ミアータ「お風呂の時も寝る時も肌身離さずよ」

547 :2 ◆vD5srW.8hU :2009/07/13(月) 13:32:34 ID:u5EQ8NDH
ストラット「何故そこまで…」

ミアータ「だって…約束してくれたじゃない。今は無理だけど、後5年以内にプロになって
ガンガン稼ぐから前払いだって。最初の契約金でスイス旅行に行こうって…言ってくれたじゃない…」

ストラット「俺は…俺、は…」

時の流れを水に例えるのならば、その水にどれだけ晒されても錆びず色褪せない思い出もある。
ふとストラットは底なし沼の中からミアータの姿をした天使に手を引かれ、何処か高い所へ連れて行かれる感覚に陥った。

ミアータ「あの時の約束から、3年と9ヶ月…ワールドユースまで後1年と3ヶ月だよ…」

ストラット「!!」

暗闇しか見えなかった彼の目の前に細く小さい、だが強く輝く光が一筋差し込んだ。
彼は今、自分が何をすべきかを考えなくなった。代わりに、自分が何をしたいかを考える様になった。

ストラット「………まだ、約束は守れるんだな(もう、逃げなくて良いんだ。逃げちゃダメなんだ)」

ミアータ「ええ…!」

ストラット「分かったよミアータ。俺はイタリアに戻る。イタリアユースに参加し、ワールドユースで得点王になってみせる!
そうすれば複数のビッグクラブが小切手を片手に俺の下に駆けつけてくる…間に合わせてみせるよ、絶対!
(何を迷っていたんだ俺は。簡単な事じゃないか…俺は逃げない。逃げたくないんだ!)」

ミアータ「………お願いね。ブラジルに来るだけでも凄くお金がかかったから…」

ストラット「ハハハ、借りは多いな…」

二人は笑った。泣きながら笑った。やっとみつけた救いを得て。

548 :2 ◆vD5srW.8hU :2009/07/13(月) 13:34:07 ID:u5EQ8NDH
いったんここまで。
我ながらキャプ森を書いたとは思えない…

549 :創る名無しに見る名無し:2009/07/13(月) 13:51:33 ID:KutpZpN6
ミアータの考えが読めんな・・・
これは1/3の純情な感情なのか・・・

550 :創る名無しに見る名無し:2009/07/13(月) 14:47:32 ID:mqRBVKjr
ミアータ「(……計画どおり。ストラット、ちゃんと償ってね。そう、 一 生 懸 け て )」

551 :創る名無しに見る名無し:2009/07/13(月) 15:22:13 ID:5ZXPTOA4
ヤンデレのミアータに死ぬほど愛されて眠れないストラット

552 :2 ◆vD5srW.8hU :2009/07/13(月) 18:48:06 ID:u5EQ8NDH
ここで場面をラウンジに居る翼たちに戻そう。翼は数分間沈黙した後、意を決した様に座り直した。
ちょうどアマラウとマウリシオがポテトチップスの袋を持ってきたタイミングだった。
ドトールはコーヒーを静かに啜り、バビントンはじっと座っている。

翼「…順を追って話した方が分かりやすいと思う。俺と森崎の出会いの前後から」

バビントン「うん。それがいいと思うよ」

マウリシオ「ドンドンどーぞ!」

翼は皆が座ったのを見計らい、ポテトチップを一枚食べてから口を開いた。

翼「ねえ、ワールドカップって何?」

バビントン「えっ…?本気で聞いてるんじゃないよね?」

マウリシオ「それってどういう引っ掛け問題なんスか?」

ドトール「質問の意図が分からないのだが…」

アマラウ「何って、そりゃお前…ワールドカップだろ!」

いきなり素っ頓狂で意味不明な質問をされたと感じた4人はそれぞれの反応を返す。
翼はそのどれもに”やっぱりな”と言わんばかりに頷いた。

翼「ブラジルやアルゼンチンじゃそれが当たり前だろうね。でもその質問、俺の母さんが監督に聞いた事があるんだ。
日本ではワールドカップを知らない人が知っている人より多いかも知れないぐらいだ。
それどころかサッカーのルールを知らない事だって珍しくない。想像できるかい?」

553 :2 ◆vD5srW.8hU :2009/07/13(月) 18:48:25 ID:u5EQ8NDH
バビントン「うわあ…日本ってそうなのかい?」

マウリシオ「マジ!?ちょっと信じられないって!」

ドトール「理屈としては、サッカーが広まっていない国もあると分かるが」

アマラウ「ハッキリ言って全然想像できねえなあ」

翼「だろうね。でも実際にそうなんだ。そんな国で育った俺は、物心つく前からサッカーが大好きだったんだ。
両親の話では1歳の頃に車に撥ねられた時サッカーボールのお陰で助かったそうだけど…これは多分作り話だろうね。
とにかく、俺は11歳の時まで入るチームも無いままずっと一人でサッカーをやっていたんだ。
周りからはバカにされたけど、そんなのは気にならなかった。それだけサッカーが大好きだったんだ。何故なんて考えない程に」

ドトール「(まずは翼にとってサッカーとは何か、を説明しているんだな)」

翼「森崎と出会ったのはサッカーが比較的盛んな地域に引っ越して、国内の少年チームとしては
最強クラスのチームに入った時なんだ。そこで俺はエースだった。キャプテンにもなった。
逆に森崎は…今では信じられないだろうけど、居ない方がマシって言うレベルのサブキーパーだったんだ」

アマラウ「ハァ!?あの凄腕キーパーが足手まといレベルだったって言うのかよ!」

翼「そう。なんでチームに入れたのか不思議な程弱い癖に、常に自信満々で自分勝手。
それだけならまだしも、意味不明な事を繰り返してチームに迷惑をかける事もしばしば。
途中で正ゴールキーパーが負傷で抜けちゃって、あいつが正ゴールキーパーになった時は物凄く不安だったよ」

バビントン「…ごめん。フラメンゴとサントスを零封した今の姿と全然結びつかないんだけど…」

翼「気持ちは分かるよ。あいつとずっと一緒に居た俺でも未だに信じたくないんだから。
ただ…あいつは少しずつ強くなった。セコイ小細工もムチャな博打も純粋な暴力も使っていたけど、
同時に自分を鍛え、支持を集め、情報を得て…強くなる為には、そして勝つ為にはどんな事でもやった。
自分勝手で不愉快な所は全然変わらなかったから嫌いなままだったけど、確かに強くなったんだ」

マウリシオ「あー、そういえばサントス戦でドリブルなんかしてたッスね。なんかチームメイトに逆切れしてたみたいだし」

554 :2 ◆vD5srW.8hU :2009/07/13(月) 18:49:48 ID:u5EQ8NDH
翼「俺としては嫌いで鬱陶しい存在だったけど、同時に使えるキーパーならガマンするつもりだったんだ。
バカな事をしてチームをピンチに陥れるのは本当に腹が立ったし、その癖威張り散らしているのは
心底軽蔑したけど、他に実力のあるキーパーが居なかったからしょうがない…それで良かったんだ。
上の年齢のチームに移った時、俺じゃなくてあいつがキャプテンに選ばれるまでは」

バビントン「(あ、核心らしき場所に近づいた感がするぞ!)」

翼「信じられなかったよ…なんであんな奴が俺の上に立つんだ?ってね。
でも、段々分からざるを得なかった。あいつの劣等感に裏打ちされた我武者羅さが、
俺の下につく事を良しとしない反骨精神が、満たされる事の無いエゴイズムが
俺には無い強さを生み出しているんだって。これを認め、対抗手段を考えるには時間がかかったけどね」

アマラウ「その対抗手段ってのはなんだ?」

翼「俺も手段を選ばない強さを求める事にしたんだよ。具体的には、チームメイトをもっと
感情抜きに有効活用しようってね。あいつが俺を差し置いてキャプテンに選ばれたのは
それが上手かったからだし。そしてそれを叶える為の手段は、俺がナンバー1の選手として
頂点に立ち勝利をもたらし続け誰もが認めるキャプテンとして君臨する事だった」

マウリシオ「丁度ウチでやってる事ッスね!…ってぇー、その言い方、上手くいかなかったんスか?」

翼「ああ…その後全日本Jrユースでフランス国際Jrユース大会に出場した時も、
キャプテンに選ばれたのは森崎だった。しかも俺は大失態を犯しチームを予選敗退の危機に
晒したのに対し、森崎は優勝の原動力となってMVPに選ばれた。GKなのにMVPだ。
俺は認めざるを得なかったんだ。実力で森崎に追いつかれた事を…」

ドトール「そしてそれからサンパウロに来て今に至る、と言う訳か」

555 :2 ◆vD5srW.8hU :2009/07/13(月) 18:50:25 ID:u5EQ8NDH
翼「サンパウロに来て、俺は本当に良かったと思っている。憧れ続けたレベルの高いブラジルサッカーに挑戦し、
俺は強くなった。結果も出し続けた。だけど、次第に強くなればなる程ある思いが大きくなっていったんだ。
本当に俺は強くなったのか?森崎はもっと強くなっているんじゃないのか?ひょっとして追い抜かれたんじゃ?」

ここで翼は一つ息を吐き、ムシャムシャとポテトチップを貪った。
他の4人は食べる手を止めてただただ聞き入っていた。

翼「サンパウロに来てから三年間、後になる程これしか考えられなくなった。そしてとうとう時が来た…
明日、全てが分かる。俺は本当に強くなれたのか。森崎を引き離せたのか。答えが出る!
俺は勝つ。勝って倒すんだ。本来俺の敵になんかなり得ない筈の森崎を!」

翼が再びポテトチップを噛み砕く。それでも4人は無言だった。
塩分の取りすぎで気持ち悪くなった翼は立ち上がり、売店に向かい歩き始めた。

翼「…こういう訳だよ。明日、俺は全力を尽くす。それだけは保障する」

言い残すと共に翼は去っていった。
彼の後姿が角を曲がり見えなくなってからようやく4人は口を開く事が出来た。

ドトール「パラノイア…だろうな。ツバサの自信はモリサキの存在に脅かされている」

アマラウ「モリサキに勝てなかったらこの3年間は全て無駄だったと思っているのかよ…」

マウリシオ「ナンバー1を目指すのは大いに結構だけど、なんか違くないかなあ?」

ドトール、アマラウ、マウリシオの3人がそれぞれの感想を述べ、最後にバビントンがポツリと呟いた。

バビントン「僕は嫌な予感がするよ。明日の試合、勝ってもツバサは得る物が無いんじゃないかって。
そしてもし負けたら…ツバサは、何か大きな物を失うんじゃないだろうか…」

556 :2 ◆vD5srW.8hU :2009/07/13(月) 18:51:32 ID:u5EQ8NDH
いったんここまで。

557 :創る名無しに見る名無し:2009/07/13(月) 18:57:28 ID:Km9g0KJl
乙です。
今まさに一つの山を迎えようとしてるんだな…

558 :創る名無しに見る名無し:2009/07/13(月) 19:35:54 ID:UC1WWZdP
明日の試合がきになるぜえ

559 :創る名無しに見る名無し:2009/07/13(月) 20:16:15 ID:wwT3ecTO
零封にして翼を精神的に再起不能にしたくなるな


560 :創る名無しに見る名無し:2009/07/13(月) 20:51:31 ID:hXwM1Jev
ストラットに取られるのはしょうがないとしても翼だけは完封したいと思った

561 :創る名無しに見る名無し:2009/07/13(月) 22:10:30 ID:WHUOWdpy
> アマラウ「モリサキに勝てなかったらこの3年間は全て無駄だったと思っているのかよ…」
>
> マウリシオ「ナンバー1を目指すのは大いに結構だけど、なんか違くないかなあ?」
>
> バビントン「僕は嫌な予感がするよ。明日の試合、勝ってもツバサは得る物が無いんじゃないかって。
> そしてもし負けたら…ツバサは、何か大きな物を失うんじゃないだろうか…」

これって負けても仲間の力か森崎の言葉か何かで立ち直ることは出来るけど勝っちゃうと目標を失うパターンだな


562 :創る名無しに見る名無し:2009/07/14(火) 00:12:14 ID:VxsVB9fj
いや、人間味を失う代わり覇道を突き進むフラグが立つのだろう。
正直いって覇王と化したツバサも見てみたい。

563 :創る名無しに見る名無し:2009/07/14(火) 00:42:01 ID:AARf8Wew
翼、大きな星が点いたり消えたりしないことを祈る

564 :2 ◆vD5srW.8hU :2009/07/14(火) 07:28:31 ID:cSvAppsH
翼「(どうかしているな、俺。確かに皆の言う通り張り詰めている)」

売店でミネラルウォーターの瓶を買った翼はそのまま封を切る事も無く棚に並べられた
新聞や雑誌をぼんやりと眺めていた。どれもこれもリオカップの特集が組まれており、
表紙や一面にデカデカとサンパウロとパルメイラスの選手達の写真が使われている。

翼「(余計な事は忘れてさっさと寝たいな。ストラットの様子でも見に…?)」

ミアータ「だからパパはもうかんかん。言い包めるのには苦労したわ〜」

ストラット「そ、そうだろうな。俺も、侘びを入れに行くよ…(ま、まだ続くのか〜…)」

勿論そんな物を見ていては心が安らぐ筈が無い。何か気を紛らわすのに
ちょうど良い物は無いかと翼が考えた矢先、ミアータとストラットの声が廊下から響いてきた。
顔を廊下の方に向けた翼は予想外な光景を目にする事になった。

ゆっくりと歩きながら話している二人は笑顔だった。しかしミアータの笑顔は
柔らかいのに何処か不気味な物であり、逆にストラットの笑顔はヘビに睨まれた蛙が
必死に愛想笑いで媚を売っている様な見るからに情けない物だったのだ。

ストラット「そ、そうだ!学校の方はどうなんだ、皆元気か?(話題そらせ話題!)」

ミアータ「う〜ん、分からないわ。16の頃から働いて旅費を貯めていたから…皆ともすっかり疎遠になっちゃった」

ストラット「…す、すまない…俺のせいで…(やぶ蛇だったーっ!!)」

ミアータ「良いのよ、こうしてもう一度貴方と一緒に居れるのが一番大事なんだから」

565 :2 ◆vD5srW.8hU :2009/07/14(火) 07:30:29 ID:cSvAppsH
翼「(なんと言うか…理解したくない会話になっているなあ…)」

どう見ても男として苦境に立たされているストラットの姿に翼も冷や汗を禁じえない。
ふとストラットと視線が会うと、たちまち彼はSOSを瞳に込めてきた。
すかさず男としての防衛本能が翼の頭に”関わるな”と命令してくる。

ストラット「(助けてくれツバサ助けてくれツバサ後生だ頼む!)」

翼「(いや、自業自得でしょ?元の鞘に戻れたみたいだし、良かったじゃないか)」

ストラット「(この状況見て物言えよ俺は今針の筵に縛り付けられているんだよ!)」

翼「(ごめん。俺、女の恐ろしさって物を今初めて見たから。何も力になれないよ)」

ミアータ「ストラット?どうしたの?ホテルまで送ってくれるんでしょう?」

ストラット「あ、ああすまない!今すぐ行く!(畜生、薄情者ーっ!)」

まるで鎖に引っ張られた様にダッシュで数歩先に行ったミアータの所に
駆けつけるストラットを見て翼は心底同情したが、助ける気には全くならなかった。
特に遠ざかる彼らの会話が耳に入ると見捨てて良かったと思うばかりだった。

ミアータ「ねえ、さっきの女の人貴方の事を見てなかった?」

ストラット「は!?ハハハ何を言うんだミアータ、アイツはツバサだよれっきとした男だよ!
あいつの何処をどう見れば女に…(ヒイイッ!このクセも昔のままなのかあっ!?)」

ミアータ「ツバサは知ってるわ。そうじゃなくて売店の店員の女の人よ」

ストラット「きっ、きっ、客かな?って思ったんだよきっと!絶対!(もうローマの時の様なマネは止めてくれーっ!)」

翼「(あの調子でホテルまでずっと続くのか…かわいそうに。俺はああならない様にしよう)」

566 :2 ◆vD5srW.8hU :2009/07/14(火) 07:33:36 ID:cSvAppsH
いったんここまで。

567 :創る名無しに見る名無し:2009/07/14(火) 10:39:56 ID:1cM7wJH0
翼はどうでもいいがストラットさんは救われて欲しいんだぜ……

568 :創る名無しに見る名無し:2009/07/14(火) 12:09:12 ID:vPjFQs2t
こんなことを三年も考え続けてるのが翼の弱さだな

569 :創る名無しに見る名無し:2009/07/14(火) 16:57:47 ID:lje+UJkp
嫌われっぷりが凄いなw
今の翼
南葛時代より人間くさくて俺は好きだぜ。

570 :創る名無しに見る名無し:2009/07/14(火) 18:56:56 ID:ODHL5iKp
大会中ずっと森崎を冷静に分析してるように見えたのは
影に怯えていたからか
あと
二人の関係は憎悪と信頼が入り混じった複雑な物
これが全部明らかになったのがいいね

571 :2 ◆vD5srW.8hU :2009/07/14(火) 23:51:35 ID:cSvAppsH
そして決戦の朝…
とあるホテルのフロントで今後の森崎と翼に小さくない影響をもたらす出来事が起きていた。

賀茂港が見守る中、片桐陽子が国際電話をかけていたのだ。

陽子「もしもし。以前お話した片桐陽子よ。お久しぶり。貴方の活躍はここブラジルにも届いているわ。
今季のリーグ戦では開幕から1位を独走中なんでしょう?トップチーム昇格も時間の問題って聞いているわよ。
あ、はい。用件は森崎くんと翼くんの事よ。以前頼んだでしょう?この二人の対決が起きそうな時は
知らせて欲しいって。今日、彼らが直接対決するのよ。それもブラジルのプロ候補生達の
サバイバルトーナメント、リオカップの決勝でね!…そう。いよいよ彼らのどっちが上か分かるのよ。
今から6時間もすれば結果が出ているだろうから、その時また電話するわ。それじゃ失礼!」

ガチャン。

陽子「相変わらずそっけないなあ。女の子相手なんだから少し優しくしてくれても良いのに」

賀茂「あいつは由緒正しい家柄のボンボンだろ?女には警戒しろって子供の頃から躾けられたんじゃねーの?」

陽子「私、別にそういうつもりは無いんですけどね。仕事が大事だから恋愛もする気無いし」

賀茂「(半ば家出状態とは言え片桐グループの令嬢がそんなんでいいのかねえ)んで、なんつってた?」

陽子「お世辞は良いだの、そうかだの、待っているだの、それ位しか言いませんでしたよ」

賀茂「なるほど、本音を語るつもりはねえんだろうな。若林源三らしいぜ」

572 :2 ◆vD5srW.8hU :2009/07/14(火) 23:52:04 ID:cSvAppsH
短いですが今夜はここまで。

573 :創る名無しに見る名無し:2009/07/15(水) 01:35:14 ID:hoLqjacR
うお、若林も強くなってそうだな。
それはそれで楽しみ。

574 :創る名無しに見る名無し:2009/07/15(水) 03:03:39 ID:istnmr4b
翼に買っても次はジャパンカップで若林とか。
気が抜けないぜ。

575 :創る名無しに見る名無し:2009/07/15(水) 08:05:26 ID:kULSehRe
なんだK‐1欧州チャンピオンにでもなってるかと思ってたのに

576 :創る名無しに見る名無し:2009/07/15(水) 20:14:15 ID:VRAd53V5
でも若林に負ければゲームオーバーだろうしなあ。
サブキーパーになってもそのまま続けたら、WYの大半はNPC同士の試合でしたってことになりかねない。

577 :創る名無しに見る名無し:2009/07/15(水) 22:32:48 ID:LG3CDO44
若林さんは素の能力上げてきても
カードの引きはアレだったのであまり怖い気がしない罠w

578 :創る名無しに見る名無し:2009/07/15(水) 23:58:12 ID:RGIoW8Xb
原作では15歳でトップに上がる歴史的な選手だった事を思えば
遥かにおとなしいといえよう

579 :創る名無しに見る名無し:2009/07/16(木) 13:08:49 ID:ggNTsn5g
ゲームでは10代(多分18歳か19歳)でバロンドールとってるしな

580 :2 ◆vD5srW.8hU :2009/07/16(木) 16:31:22 ID:4w5bwrKd
二人はドイツの名門サッカークラブ、ハンブルガーSVのユースチームに所属する若き日本人GK若林源三に
連絡を取っていた。今日の試合に勝ったチームが招待される日本のジャパンカップでのライバルチームとして
ハンブルガーSVも招待されているのである。勿論これも「プロジェクト・カウンターウィング」の一環であり、
若林は森崎と翼どちらが勝ったとしても兜の緒を締めてもらう為に用意された強敵である。

賀茂「さあ、今日から数ヶ月は忙しくなるぜ!リジャパンカップ、全日本ユースの結成及び合宿、
そしてワールドユースアジア予選!覚悟は良いか、片桐妹。ぶっ倒れるなよ?」

陽子「その前に今日のリオカップ決勝ですよ。ほら見て下さい、凄い人手!」

往来に出た二人はあっと言う間に洪水の如き人の流れに遭遇した。
決戦を我が目で見ようと熱狂的なファン達が四方八方から暴力的な勢いで雪崩れ込んでいるのだ。
二人の泊まっているホテルは歩いて行ける程競技場に近い立地にある
高級ホテルなのだが、それでも競技場に入るだけでも相当な体力が削られそうだ。

賀茂「こりゃあ今日は超満員だな!…んで、お前さんはまた俺を盾にするつもりか?」

陽子「良いじゃないですか。若い女の子が背中で抱きついてくれるなんて、
六本木あたりなら一万円位取られるんじゃないですか?」

賀茂「一万円は取りすぎだバカヤロ!つーか一体どこでそんな知識つけてんだ?」

陽子「実際に見た事がある訳じゃないですよ。これも社会勉強の一環です」

賀茂「大体だな、俺はテニスボールには興味ねえんだ。せめて野球のボール位ねえと…」

陽子「あら、賀茂さんのピンポン球でサッカーをしてほしいんですか?ラケットごと?」

賀茂「片桐の奴、もっとちゃんと妹を躾けとけよ…ほれ、ついたぞ」

581 :2 ◆vD5srW.8hU :2009/07/16(木) 16:32:47 ID:4w5bwrKd
やがて二人はエスタジオ・ド・マラカナンに入り込んだ。当然と言うかなんと言うかスタジアムは
超満員で、すぐ隣に居ても普通の声では聞き取り辛い。

陽子「すご〜い!一体何人居るんでしょうねえ?」

賀茂「さあな。収容人員は20万人だそうだが、ほぼ満杯に見えるな…」

陽子「でも、あのスタンドなんか危なそうじゃありません?老巧化しているみたいですし」

賀茂「その内落ちて事件になったりしてな。さて…いよいよだ」

陽子「いよいよですね」

いよいよリオカップの決勝戦、パルメイラスVSサンパウロが始まる。
永らく同じチームで栄光を掴み取ってきた森崎有三と大空翼の夢の対決が行われる。

陽子「テレビもラジオもモリサキ、ツバサの大合唱ですよ。新聞なんかこんなに!」

賀茂「どれどれ?”無失点男モリサキ、その伝説は決勝戦さえも飲み込んでしまうのか?”
”ツバサ・オオゾラ前代未聞の10ゴール10アシスト達成間近!”
”得点王の大本命ストラット、栄光まで後たった1ゴール””ブラジルの希望の星、ネイとトニーニョ”
”リオカップは異国人に乗っ取られた〜カルロス・サンターナの大罪〜”
ふーん、流石にキャプテンだけあって扱いもデカいな。なんかブラジルに批判的なトーンが強いが」

陽子「なにせブラジルユースのキャプテンとして期待されていたカルロス・サンターナが
まさかの零封負けを食らっちゃいましたからね。そして決勝に勝ちあがったチームは
両方とも日本人がキャプテン。更にエースストライカーはそれぞれアルゼンチン人とイタリア人。
これじゃあ流石にブラジルとしては恥かしいでしょう」

賀茂「キヒヒ…日本の躍進はまだまだこれからだぜ」

582 :2 ◆vD5srW.8hU :2009/07/16(木) 16:33:31 ID:4w5bwrKd
日本サッカー協会の関係者二人がこんな会話をしている頃、
スタジアムの別所では当のブラジルユースの候補者の面々が一箇所に集っていた。

ザガロ「全く、何でお前らなんかと同席しねえといけねえんだ」

メオン「仕方が無いだろう。ブラジルサッカー協会の指示だ」

ジェトーリオ「今の内に仲良くしとけってお節介だよね〜、これ」

サンタマリア「前向きに考えておけ。俺達は既にブラジルユースの主力に数えられているとな」

ディウセウ「ケンカすんなよ〜、折角すんげェ試合が見れそうなんだからワクワクしとこうぜ〜」

グレミオのクラウディオ・メオン。
サントスのマルシオ・パッソス・ザガロとジョゼ・パウロ・リベリオとディエゴ・デ・オリヴェイラ・セウジーニョ。
フラメンゴのカルロス・サンターナとリカルド・サンタマリアとジョゼ・トゥーリオ。
この7人は半ば以上不本意ながらも彼らを打ち破ったチーム同士の対決を見届けに来ていた。

カルロス「………」

ディウセウ「んーっ?どうしたんだ、カルロス」

カルロス「いや、なんでもない…(コインブラは今日は来ていないのだろうか…)」

ザガロ「まあ良い。試合前に俺のウナギを食わせてやるぜ、有り難く思いな」

ジェトーリオ「な、なにそれ?」

メオン「黒焦げに見えるんだが…」

ォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!

観客「おい、アレ見ろよ!」「わっ、すごーい!」「流石あの二人のコンビネーションだ!」

583 :2 ◆vD5srW.8hU :2009/07/16(木) 16:35:38 ID:4w5bwrKd
サンタマリア「ん?」

ディウセウ「なんだなんだ?」



スタジアムを突如沸かせたのはパルメイラスの試合前のウォーミングアップだった。

ポンポンポンポンポンポンポンポンポンポン!!

ネイとトニーニョが二人で三つのボールをリフティングしていたのだ。
当然通常よりはるかに早いペースの難しいリフティングになるが、二人はボールを一度も地面に落としていない。

森崎「おいおい、お前ら何やってんだ?試合前に余計な体力使うなよ」

ネイ「まあまあ、折角の決勝戦なんだから盛り上げていこうぜ!」

トニーニョ「(これはパルメイラスがお前だけのチームではないと言う意思表示でもあるんだよ、モリサキ)」

ポンポンポンポンポンポンポンポンポンポン!!

翼「(ネイとトニーニョか…パルメイラスの攻撃の主力は彼らだ。今日の試合、あの二人もきっちり抑えないと)」



カルロス「ほう、出来るな。あれほどのコンビネーションは一昼一夜ではできない」

ザガロ「けっ、くだらねえサーカス芸を見せびらかしやがって!」

ジェトーリオ「甘ッ!何これ甘ったるいよ!まるでケーキみたいだ!」

メオン「しかも焦げ臭い!そもそもこれは食える物を焼いたのか?」

ザガロ「なんだとコラ!」

ディウセウ「あ〜あ、また始まっちまったかあ〜」

584 :2 ◆vD5srW.8hU :2009/07/16(木) 16:38:16 ID:4w5bwrKd
いったんここまで。

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