キャプテン森崎 Vol. II 〜Super Morisaki!〜
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レス数が900を超えています。1000を超えると表示できなくなるよ。
【全国の】キャプテンEDIT40【壁】

1 :キャプテンEDIT ◆EUWFb5QXUg :2012/07/30(月) 23:24:44 ID:???
このスレはキャプテン森崎のスピンアウト作品に当たる、キャプテンEDITのスレです
森崎くんと同世代に生まれたサッカー少年・大前くん(オリキャラ)を操作し、彼を名選手に育てたり育てなかったりします
現在の目標は全国大会での南葛へのリベンジ&優勝!
読者の皆さんに引いて頂いたカードや、投票していただいた選択肢に従い、物語が展開します

前スレ
【最強DF】キャプテンEDIT39【決定戦】
http://capmori.net/test/read.cgi/morosaki/1342189092/

〜前回までのあらすじ〜

花輪中を降し、三回戦に勝ち進んだ大前たち鳴紋中サッカー部。だが正GK渡会が不在という不安を抱えた上での戦いを強いられてしまう。
ここで立ちはだかるのは長崎代表比良戸中。今までの試合で敢えて1−0決着を繰り返し、実力を隠してきたダークホースである。
前半、大前が首尾よく先制ゴールを上げるが、比良山の追加点が反則として取り消され、返す刀で同点に追い付かれてしまう。
比良戸中キャプテン・次藤に苦戦を強いられる大前、ストライカー佐野に翻弄される守備陣。
予想以上の苦戦に瀕する中、監督代行の菱野が次藤のスタミナを削る作戦を提案する。
直後、比良山が今度こそ決めた正真正銘のゴールで2−1と再びリードを得る鳴紋中。果たして、作戦を成功させ三回戦突破は成るか?


〜前スレの出来事〜

森崎「中里に期待した僕が馬鹿でした」
中里「もりさき いいすぎ」
松山「石田と武井をリリースし、準々決勝進出をアドバンス召喚! そして手札から特殊召喚した鳴紋中とダークチューニング!」
小田(ふ)「そんな形でお前に満足されて堪るか!」
比良山「ノーゴール……またしてもゴール取り消し……」
園村「ぼ、ボールが怖い……ていうかゴールが怖い」
実況「大前くん、吹っ飛んだー!」
次藤「ぬははは! 大前も吹っ飛ばしたことだし、ワシが日本一のパワーファイタータイ!」
菱野「……。よし みんな きけ。 じとうを たたきつぶす」
大前「なにそれこわい」

401 :森崎名無しさん:2012/08/13(月) 01:54:08 ID:???
★達也の活躍→  ハート6 =★

402 :森崎名無しさん:2012/08/13(月) 01:54:12 ID:???
★本多の活躍→  スペード9 =★

403 :森崎名無しさん:2012/08/13(月) 01:54:37 ID:???
★浅村の活躍→  スペード7 =★

404 :森崎名無しさん:2012/08/13(月) 01:55:09 ID:???
★水守の活躍→  ダイヤA =★

405 :森崎名無しさん:2012/08/13(月) 01:55:54 ID:???
★末松の活躍→  ダイヤ10 =★

406 :森崎名無しさん:2012/08/13(月) 01:55:56 ID:???
★末松の活躍→  スペードQ =★

407 :森崎名無しさん:2012/08/13(月) 01:56:14 ID:???
★輝林の活躍→  ダイヤ3 =★


408 :森崎名無しさん:2012/08/13(月) 01:57:21 ID:???
★渡……園村の活躍→  ダイヤ3 =★


409 :森崎名無しさん:2012/08/13(月) 01:57:23 ID:???
★渡……園村の活躍→  ハート10 =★

410 :森崎名無しさん:2012/08/13(月) 01:58:33 ID:???
一人も覚醒無しとは。

411 :森崎名無しさん:2012/08/13(月) 01:59:10 ID:???
ダイヤ3は働き者ですね

412 :森崎名無しさん:2012/08/13(月) 01:59:24 ID:???
比良戸がそれだけ踏ん張ったってことだ

413 :森崎名無しさん:2012/08/13(月) 02:00:30 ID:???
やる気あるやつとないやつの差が激しいな

414 :キャプテンEDIT ◆EUWFb5QXUg :2012/08/13(月) 02:01:59 ID:???
まさかの覚醒ゼロダイジェストとなった中、比良山が一人気を吐いて得点したところで今回はここまでです
ジェイ○ンのレベルアップ画面も真っ青ですねw

菱野「……やはり監督がベンチにいらっしゃらないと、このチームは駄目なのでしょうか?」
やす子「せやな」

しかも守備陣全員が活躍無しとは……佐野がもう一ゴールくらい上げてもおかしくないようなw
次回は比良戸中戦終了の顛末からになります。飯地監督と渡会の特訓風景もそろそろ入るかも?
それでは皆様、今回も深夜まで拙作にお付き合いいただき、ありがとうございました!

415 :森崎名無しさん:2012/08/13(月) 02:02:27 ID:???
怪我して練習はお流れだからいい加減イージーか菱野さんに決勝前特訓の依頼でもするか

416 :森崎名無しさん:2012/08/13(月) 02:03:45 ID:???
>佐野がもう一ゴールくらい上げてもおかしくないようなw
よし、判定だ乙でした

★佐野の活躍→ ! card=★

417 :森崎名無しさん:2012/08/13(月) 02:06:29 ID:???
確かにそろそろ依頼してもいいと思うけど、相手としては水守あたりがいいかな。

418 :森崎名無しさん:2012/08/13(月) 02:07:04 ID:???
★佐野の活躍→  クラブ7 =★

419 :森崎名無しさん:2012/08/13(月) 02:11:06 ID:???
水守の面倒は自分で見る、でいいんじゃないかな
派閥活動で散々世話になったことだし最後に恩返しでよくね

420 :森崎名無しさん:2012/08/13(月) 02:13:55 ID:???
監督の依頼は本当に一番後回しにしたほうが多分いい。
テルがもし東邦戦前半終わっても限界突破しないようなら決勝前に主力DFを大幅に強化できる最後の機会があるかもしれん。

421 :森崎名無しさん:2012/08/13(月) 02:18:08 ID:???
なんか日本語変だったな。
最後の機会があるかもしれんじゃなくて、最後の機会になるかもしれないだ。

422 :森崎名無しさん:2012/08/13(月) 02:35:24 ID:???
となると残りはマネージャーになるわけだけど、個人的には達也がいいかな。
現状では輝林以外では総合400台狙える選手だけど、能力が偏っているから次の覚醒で
ドリブルが60になっても総合400いかずに、成長制限かかるだろうし、
そこをマネージャーが覚醒フラグの回収状態を2/4ぐらい進めてくれればあとは試合中の覚醒で何とかなりそうだしな。

423 :森崎名無しさん:2012/08/13(月) 09:09:08 ID:???
普通に使う能力は言うほど偏ってないし、もっと優先して鍛えないとマズいやつらがいるから達也はいいや。


424 :森崎名無しさん:2012/08/13(月) 09:59:08 ID:???
ここからはボスラッシュですね。楽しみだ

425 :森崎名無しさん:2012/08/13(月) 10:54:27 ID:???
まだぜんぜん足りない選手もいるしね。
ただ代表入り目指すなら、総合400台はひとつの目安といってもいいと思うけど。

426 :森崎名無しさん:2012/08/13(月) 11:01:55 ID:???
DF陣がこの先の敵だとちょっと不安なんだよな、テル含めて。
クリアーはまだいいとして、ブロックは技発動が確率発動なだけに次藤と比べると大分下になるしね。
水守も悪くないけど、何故かソウルブロックが発動するのって数値低い時というのもまたんともしがたい。

427 :森崎名無しさん:2012/08/13(月) 13:08:36 ID:???
むずかしいな。チームの全体のバランスを考えて強化するか、JYのことも考えて強化するか。

428 :森崎名無しさん:2012/08/13(月) 19:20:04 ID:???
全国で数戦してもう左より右サイドの方が軽いってばれただろうな。
右には左でいう最終ラインのテルもいないし、代わりに鬼FWがいるが

429 :森崎名無しさん:2012/08/13(月) 23:59:45 ID:???
JYには大前、比良山、雪村、本多、輝林、渡会、水守、達也を入れたいけど水守と達也が少し厳しいかな?

430 :森崎名無しさん:2012/08/14(火) 00:01:28 ID:???
一番厳しいのは渡会だろ

431 :森崎名無しさん:2012/08/14(火) 00:03:11 ID:???
渡会はこれから挽回できる

432 :森崎名無しさん:2012/08/14(火) 00:11:51 ID:???
東邦と南葛との試合で良い結果を残せればいけると思うが。
監督の特訓の成果に期待だな。

433 :森崎名無しさん:2012/08/14(火) 00:29:13 ID:???
枠にいれるのはいいがスタメンになれそうなのが大前、比良山、輝林辛うじて雪村、本多どっちかってのが情けない

434 :森崎名無しさん:2012/08/14(火) 00:36:12 ID:???
それはしょうがないだろ、各チームのエースが集まってできるチームだし。

435 :森崎名無しさん:2012/08/14(火) 00:47:42 ID:???
JYMVPの本多さんはどこの国に行くのか

436 :森崎名無しさん:2012/08/14(火) 00:54:31 ID:???
まあ本多と雪村ぐらいはスタメン定着させてやりたいかな。
ベンチで解説やなにィ!?要員に成り下がるのは流石に不憫。

437 :森崎名無しさん:2012/08/14(火) 00:56:05 ID:???
MVP(笑)の本多だけはなんとかしたいなぁーw

438 :森崎名無しさん:2012/08/14(火) 00:57:20 ID:???
いや両方は無理じゃね
ただでさえ中盤厚いのに3トップ採用率が上がるわけだし
定着出来るの本多だけだと思う

439 :森崎名無しさん:2012/08/14(火) 00:58:48 ID:???
>>436
その二人翼と松山とポジション被ってるんだよね
岬もいるし両方は厳しいかも

440 :森崎名無しさん:2012/08/14(火) 01:00:51 ID:???
これは雪村留学フラグおっ立ててWYで強敵(とも)として参戦くるで

441 :森崎名無しさん:2012/08/14(火) 01:03:34 ID:???
キャプテンになれば片方はまず入れられると思うが。

442 :森崎名無しさん:2012/08/14(火) 01:06:02 ID:???
人事を決めるのは大前じゃなくて見上だからなあ。
全日本には元より翼、松山、岬、三杉とタレントが揃ってるし
それを押しのけても鳴紋勢をスタメンとして出すメリットがないとキャプテンになったとこで難しい。

443 :森崎名無しさん:2012/08/14(火) 01:10:55 ID:???
本編と違って三杉の心臓病治ったからな
翼、三杉、松山はまずスタメン確定だから岬、雪村、本多から入れるのはフォーメーションによるが基本一人
まぁ多分雪村は外れるな

444 :森崎名無しさん:2012/08/14(火) 01:11:56 ID:???
ただ岬って総合的には優秀な選手なのは分かるけど、そこまですごい選手かな。

445 :森崎名無しさん:2012/08/14(火) 01:12:18 ID:???
雪村は今のところ翼のデッドコピーでしかないからね。それを言ったら渡会も森崎のそれだけど。

446 :キャプテンEDIT ◆EUWFb5QXUg :2012/08/14(火) 01:12:51 ID:???
>>415,418
瞑想さん「私を選んでもいいのよ?(チラッ」
>>416
乙ありがとうございます!
>>418
鳴紋中一同「「クラブ活動を引きうけてくれてありがとう!」」
佐野「ちくしょー!」

>>特訓、どうするの?
JY入りしそうな味方を強化するか、全国を勝ち抜くために補強するか、
悩みどころですね。どんな選択が選ばれるでしょう?

>>JYの面子・布陣
3トップははまれば強力ですが、現状の比良山がシュート専門なのがネック……かも?
MF陣の壁の厚さは、松山が次回のふらの戦で教えてくれるかもしれません

>>渡会ェ
イージーの特訓に賭けましょうw
もう既にある程度の強さなので急激なパワーアップは難しいですが、頑張って良いカードを引いて下さい(汗)

では、遅くなりましたが今回の投下です

447 :森崎名無しさん:2012/08/14(火) 01:13:11 ID:???
岬はすぐ消えるから能力以下の評価にされやすそう

448 :キャプテンEDIT ◆EUWFb5QXUg :2012/08/14(火) 01:14:00 ID:???
★大前の活躍→  ハート3 =★★比良山の活躍→  ダイヤQ =得点!★★雪村の活躍→  ダイヤ3 =★★宇津木の活躍→  クラブ10 =★
★達也の活躍→  ハート6 =★★本多の活躍→  スペード9 =★★浅村の活躍→  スペード7 =★★水守の活躍→  ダイヤA =★
★末松の活躍→  ダイヤ10 =★★輝林の活躍→  ダイヤ3 =★★渡……園村の活躍→  ダイヤ3 =★
比良山が得点……した以外、誰も活躍せず! どういうことなの……
★佐野の活躍→  クラブ7 =★
……。
-------------------------------------------------------------------------------------------------------------------
実況「もう完全に後が無い比良戸中、キックオフから猛然と鳴紋ゴールに迫るーっ!
対する鳴紋中、こちらは相手の勢いに飲まれかけているぞ! 果たしてこのまま点差を維持出来るかーっ!?」

姫路「シュート! とにかくシュートだ!」

曽田「綺麗に崩そうなんて、考えなくていい!」

竹野「キーパーにさえ届けば、ゴールの可能性はある!」

大前「ぐっ……予想以上の勢いだ!(これが後の無い者の怖さ、ってヤツか! 追い詰められて今まで以上に力を出している!)」

ドライブシュートの影響で動きが鈍った大前でさえ、最終ラインの守りに動員する鳴紋中。
比良戸中の猛攻は、あわや四点差も覆りかねないと錯覚させる勢いである。

森崎(観客席)「レッドカードからの追加点が、逆に火を着けた形になったか。あのままズルズル崩れていくと思ったんだけどな」

高杉(観客席)「ぷぷっ!(自信満々に『……決まったな。これで比良戸中は終わりだ』なんて言ってたのに。だ、駄目だ、笑える!)」

森崎(観客席)「……高杉、後でシメる」

449 :キャプテンEDIT ◆EUWFb5QXUg :2012/08/14(火) 01:15:02 ID:???
石崎(観客席)「お、おいっ! しっかりしろよ鳴紋中! このまんまじゃ、残り二十分で点差を守りきれない、なんてことに――」

翼(観客席)「ならないよ」

石崎(観客席)「――えっ?」

翼(観客席)「……比良戸中で消耗しているのは、次藤だけじゃない。MFの曽田や竹野だって、十分に疲れてるさ。
前後半と動きまわっていたからね。そんな状態で全員前掛かりの総突撃なんかすれば……」

松山(観客席)「そろそろ比良戸側にも動けなくなる選手が出始めるな。無謀な突撃のツケが出てくる頃だ」

観客席の幾人か、そう判断したのと同時だった。

曽田「うっ……!?」

竹野「あ、足が……震える!?」

末松「お〜? 何だか知らないけど、ボールを奪うチャ〜ンス!」

曽田「あっ!?」

疲労で足がもつれ出した曽田が、ボールロストする。

450 :キャプテンEDIT ◆EUWFb5QXUg :2012/08/14(火) 01:16:31 ID:???
実況「あっと、セカンドボールをフォローした曽田くん、まったく無防備なまま末松くんにボールを奪われる!
末松くん、フォローに来た竹野くんも何とか振り切って大きくクリアー!」

竹野「ち、ちくしょう!」

末松「へへへ〜! 俺だって、やれるじゃな〜い!」

水守「そ、そうですね……(ほとんどボールに絡んでなかった体力満タンの状態で、ヘロヘロの敵を相手にすればこうなるのも当然な気が)」

浅村「しっ! 水守、それは俺たちが言えた義理じゃないっスよ」

そして、大きくクリアーされたボールをフォローしたのは――

佐野「あっ!?」

中城「なっ!?」

次藤「なにィ!?」

比良山「……よし! ようやく攻められるか!」

――鳴紋中でただ一人前線に残っていた比良山。

実況「比良戸中、なんという不運! そして鳴紋中、なんという幸運! センターサークル付近で比良山くんがボールを持ちます!
そして比良戸中はセンターバック以外、相手ゴール前! これは強烈なカウンターだァ!」

451 :キャプテンEDIT ◆EUWFb5QXUg :2012/08/14(火) 01:17:33 ID:???
菱野「よし……局所的に押し込まれることがあっても、流れ自体はこちらにありますわ!」

大前「比良山! そのままシュートレンジに行ったら即、撃てェ!」

比良山「ああ!(いちいち抜いていては接触の際の事故が怖い。ここは『ゴールが見えたら撃つ』の精神で行く!)」

次藤「や、やらせるかや! ワシはまだゴール前におるタイ!」

猛然とほぼ無人の比良戸陣地を、ゴールに向かって進む比良山。
それに対し次藤が吼える。疲労に引き攣り出した身体に鞭打っての抗戦の構えに、比良山は勿論全力で応えた。

比良山「では、俺とも勝負して貰うぞ次藤! ……行けェ!」

実況「比良山くん、距離30mの地点でロングシュートォ! お得意のスネイクレイドが牙を剥くゥ!」

森崎(観客席)「おいおい、この上比良山にまで新必殺技かよ?」

井沢(観客席)「必殺技のバーゲンセールだな……って、なにィ!?」

客席の井沢が思わず声を上げた。
比良山の放ったシュートは鋭くカーブを描いたかと思うと僅かに浮き上り、ゴールの上隅を狙い撃つ。
いかに次藤といえど疲労のかさんだ身ではこれを捉えきれず、キーパー畠山もほとんど何も出来ず、そのまま狙い通りに叩き込まれてしまう。

452 :キャプテンEDIT ◆EUWFb5QXUg :2012/08/14(火) 01:18:48 ID:???
――ピィイイイイイイイイイイイイイイイイイィっ!

実況「決まったァ! 鳴紋中、六点目ェ! これでスコアは6−1! 五点差! もうこれは何があっても覆らないぞォ!」

井沢(観客席)「ば、バナナシュートに下回転もミックスして、斜めに浮き上るボール、だと?」

滝(観客席)「井沢……(得意のバナナシュートの、更に上を行かれたんだ……ショックだろうな)」

翼(観客席)「なかなか凄いシュートだな……(あれ? 何で井沢が物凄くショックを受けているんだろう?)」

そして、それが事実上のトドメだった。
以後の比良戸中は完全に精彩を欠き、ボールは中盤で行きつ戻りつするダレた展開が続く。
一応、比良戸のエースを自認する佐野が、終了間際に突っ掛けるも、

佐野「このまま無様に負けるために全国に来たんじゃない! せめて、せめて後一点!」

輝林「……しまった!?」

水守「このままじゃ1対1に!? 園村ーっ!」

園村「うわわわーっ!?」

佐野「うおりゃあああっ! ……うっ!?」

――ガコン。
――ピッ、ピッ、ピィイイイイイイイイイイイイイイイッ!

実況「おっと! 比良戸中、ここにきてまさかのポスト!
キーパーと1対1に持ちこみ、あと少しの所で一矢を報いれるか、というところで不運なミスです!
そしてここで長い笛! 試合終了です! 鳴紋中、終わってみれば6−1の大差で比良戸中を降し、準々決勝進出です!」

453 :キャプテンEDIT ◆EUWFb5QXUg :2012/08/14(火) 01:20:01 ID:???
佐野「そ、そんな……」

園村「た、助かった……」

佐野と園村。審判の笛と実況の声に、脱力してピッチにへたり込む二年生二人。
だが、二人の内心は安堵と悔恨と、全く別の方向を向いていた。

大前「お、終わった……(は、花輪戦に続いて、精神的に疲れる試合だ……)」

雪村「ぼ、僕ももうヘトヘトだよォ……」

本多「うむ……これだけ骨身に堪える仕事は久しぶりだ……」

宇津木「ダイジェストではあっさり描写されていたが実は俺たちは俺たちは後半中走り通しなんだが?
それを容赦なく割愛して終わらせた作者に俺の怒りが有頂天になった」

達也「誰に行ってるんですか、誰に……」

大前ら鳴紋中選手たちもぐったりと座り込んでしまう。点差だけ見れば大楽勝。
だが、その点差を縮ませまいと走り回った時間は、着実に心身を疲労させていた。
……一方、意気揚々と全国に乗り込んで大敗した比良戸中の面々は、

佐野「ちくしょう……ぢぐじょう……っ!」

曽田「泣くなよ、佐野……お前は良く頑張った」

姫路「お前はちゃんとゴールを上げて、仕事を果たしたじゃないか。俺なんて、キーパーに届きさえしなかったんだぜ?」

竹野「そうそう。お前は確かにあの同点の瞬間、鳴紋を追い詰めていたんだ。胸を張れよ?」

佐野「でも……でもっ!」

454 :キャプテンEDIT ◆EUWFb5QXUg :2012/08/14(火) 01:22:10 ID:???
今日一ゴールを挙げた比良戸最大の殊勲者ながら、結局はチームを勝利に導くことが出来なかった佐野。
彼は小柄な体を震わせて、男泣きに泣いていた。
周囲の先輩選手たちが慰めの声を掛けるも、後から後からこぼれおちる涙は止められなかった。

次藤「……立て、佐野」

佐野「じ、次藤さん……」

疲労困憊でフラフラの身を押して、座り込む佐野の前に仁王立ちになる次藤。

次藤「ありきたりの言葉ばってん、お前には来年もあるタイ。来年もここに来て、今度こそ優勝すると」

佐野「うぅ……ぐすっ」

次藤「泣くんじゃなか。今日いっちゃん活躍したお前がそがんことじゃ、六点も取られたワシや畠山はどげんするとばい?
来年のキャプテンはお前タイ。せやったら、悔しい時こそ胸を張るっちゃ! そいが下のもんを引っ張る男の仕事タイ!」

自身が感じる無念を毛ほども見せず、激励を送る次藤。
その言葉に、その姿勢に、佐野はユニフォームの袖で頬を拭い、顔を上げた。

佐野「は、はいっ!」

畠山「へへへ、やっぱり佐野に一番効くのは次藤の言葉か」

秋沢「お熱いねーお二人さん!」

次藤「ばっ、何を言うとね!?」

佐野が泣きやんだ途端に周囲から飛ぶからかいの声に、次藤は唾を飛ばして怒鳴り返す。
敗戦の衝撃も、少しだけとはいえ和らいでいるようだ。

455 :キャプテンEDIT ◆EUWFb5QXUg :2012/08/14(火) 01:23:16 ID:Xt2kv35o
大前「比良戸中……こういうとこを見ると、一枚岩の良いチームだな」

比良山「ああ。俺たちを苦しめただけの事はある」

雪村「でも反則ディフェンスは許さない。絶対にだ」

達也「雪村先輩も案外、執念深いですね……」

と、そこで。
大前と次藤の視線が合った。

大前「…………」

次藤「…………」


先に3票入った選択肢で進みます。メール欄を空白にして、IDを出して投票してください。

A.「お前のパワーには感服したぞ。吹っ飛ばされたなんて久しぶりだったよ」 試合の締めは爽やかに!
B.「どうだ次藤? 試合前に言った通り、忘れられない試合になっただろう?」 ニヤリと笑う!
C.「ふっ、あんな啖呵を切ったのに五点差か。ざまァないな!」 おい、森崎が憑依してないかコイツ!?
D.「おい、次藤。森本を出せ。あの反則の借りは退場程度じゃ収まらん!」 大前くん、器ちっちぇーっ!?
E.(試合の後はこんなむさくるしい男じゃなく菱野さんの顔を見たい……) ぶん殴るぞコラ
F.その他(自由選択です。大前に取らせたい行動を併記してください

456 :森崎名無しさん:2012/08/14(火) 01:24:00 ID:vlHR/x0w
B

457 :森崎名無しさん:2012/08/14(火) 01:24:11 ID:nUmiumac


458 :森崎名無しさん:2012/08/14(火) 01:24:49 ID:xQMyhLIQ


459 :森崎名無しさん:2012/08/14(火) 01:25:47 ID:???
D クリアボム!

460 :キャプテンEDIT ◆EUWFb5QXUg :2012/08/14(火) 02:27:07 ID:???
>>B.「どうだ次藤? 試合前に言った通り、忘れられない試合になっただろう?」 ニヤリと笑う!
-------------------------------------------------------------------------------------------------
そう言い不敵に笑った大前に対し、次藤は肩を竦めた。

次藤「ヘロヘロの汗だくの癖によう言うタイ……と、言いたかところばってん、こん点差じゃ負け惜しみか。
ああ、お前の言う通り寝ても覚めても忘れられそうになか。
大前良……お前の首はワシが取る。そんまで誰にも渡さんよう、心しておくタイ!」

次いで、男臭い……否、強烈に雄を匂わせる笑みを湛えて宣言する。
対する大前も、あくまでふてぶてしく答えた。

大前「ああ……気長に待ってるよ。今年こそ全国一になって、次は玉座でお前を待ってやるさ」

次藤「がっはっはっはっ! 剛毅なこっちゃ! ばってん、ワシが狙う大物首はそうでなかな!」

――がしっ。

どちらともなく手を差し出し合い、そして握り合う。

実況「見て下さい、この光景を! 両チームキャプテン、互いの健闘を称える様に手を取り合っております!
負傷、反則などのアクシデントはありましたが、試合が終わればノーサイド!
実にクリーンで胸の透くような一幕であります!」

比良山(いや、でもこれって――)

雪村(――実質的には、お互い『今度やる時もぶっ飛ばしてやるぜ!』って宣言みたいなものだよね?)

互いに力の限りでぶつかり合った益荒男同士の握手。
何も知らない実況席は無邪気に感動し、鳴紋中の一部選手は少し引いていたとか何とか。

461 :キャプテンEDIT ◆EUWFb5QXUg :2012/08/14(火) 02:28:18 ID:???
佐野「大前の弟……達也って言ったか? 来年、もう一度だ。今度こそ、お前なんかには止められねえぞ?」

達也「そん時ゃ、もう少し背ェ伸ばして来て下さいよ。佐野セ・ン・パ・イ?」

佐野「……生意気な一年! おい、そこのキーパー! お前も次やる時は一ゴール程度じゃ済まないからな! ケケケっ」

園村「な、何で俺まで!?」

水守(僕や宇津木、浅村もいるんだけどなー)

一方で、この試合でやり合った佐野と達也に因縁が生じたり、そのとばっちりを園村が受けたりしていた。
かくして、鳴紋中の三回戦は幕を閉じる。
準々決勝、ベスト8への切符を懸けた戦い。残る注目カードは――王者・南葛中の一戦である。

森崎(観客席)「面白くねえな……あの野郎が勝ち上がってくるとは」

翼(観客席)「頼むから明日、昨日の今日でふらの中に、南宇和にした様な変な応援したり、しないでくれよ?」

森崎(観客席)「するかよ、そんな下手な天丼!」

長野(観客席)「いや、そういう問題か?」

462 :キャプテンEDIT ◆EUWFb5QXUg :2012/08/14(火) 02:29:37 ID:???
翼(観客席)「それは置いておいて、こっちも試合の準備に移ろうか。どこが勝ちあがろうと、最後に優勝旗を手にするのは俺たちだ!」

石崎(観客席)「応っ!」

森崎(観客席)「あ、こら、翼! 勝手に仕切るな! キャプテンは俺だぞ!」

高杉(観客席)(今のところはな……グフフっ!)

来生(爆睡中)「グガー……グゴー……ZZZ……」


※ 大前と次藤の関係が『追う者と追われる者』になりました ※
※ 達也と佐野の関係が『全国でのライバル』になりました ※
※ 園村の佐野への感情が『俺のそばに近寄るなーっ!』になったりならなかったりしました ※

463 :キャプテンEDIT ◆EUWFb5QXUg :2012/08/14(火) 02:31:34 ID:???
〜試合後・控室〜

菱野「皆様、お疲れさまでした。今日は普段と違う状況での戦いを、見事にモノにされましたわね。6−1……ご立派な成果ですわ」

大前「ああ。ほとんど無我夢中だったけど、何とかすることが出来たよ(菱野さん、疲れてる。やっぱり気疲れするものなんだな)」

監督代行の職務を無事終えた菱野の表情には、疲労の色が濃い。
ベンチをまとめ上げ、ピッチに指示を与える監督の仕事は、ただ戦術について提言するだけの立場とはまるで趣きを変える。
言ってみれば、参謀と指揮官の違い。菱野はそれを如実に味わっていた。

大前「……菱野さんも大変な仕事、お疲れ様。良い監督ぶりだったよ」

菱野「いえ、私のしたことといえば、少し戦術に口を挟んだ程度で……それも効果の程はイマイチで、結局のところは、
皆さんのお力で打開することになりましたし」

達也「けどまあ、割と手詰まり感が合った状況じゃ、結構な励ましになったぜ? 先輩の作戦」

雪村「そうそう! カッコ良かったよ菱野さん」

本多「うむうむ。将来はライセンスでも取って、未来のこのチームを率いる仕事に就いてみんか?」

菱野「そ、それはちょっと大袈裟なような……」

落田「いえいえ! 菱野さんなら今にも務まりますとも! 何なら明日の試合も菱野さんが監督で――」

と、落田がいらんことを言った瞬間である。

464 :キャプテンEDIT ◆EUWFb5QXUg :2012/08/14(火) 02:32:52 ID:???
やす子「ほーぉ? 誰がこの飯地やす子に替わって監督をするですってェ!?」

落田「ぎゃああああああっ!?」

ばぁんと音を立てて控室のドアを開ける飯地監督。
スチール製のドアに叩きのめされて、落田が宙を舞った。

国岡「げ」

大前「か、監督!」

菱野「お戻りになりましたのね!?」

やす子「応ともよーっ! 飯地やす子、只今をもって帰還したわよーっ! 私が不在の間にも無事勝てた様で、みんなご苦労!
でもって、明日の試合に間に合うように、特訓済みの渡会くんも『持って』来たわっ!」

渡会「きゅ〜〜〜〜……っ」

と、ここで何人かの人間が、飯地の小脇に抱えられた渡会の姿に気づく。

本多「わ、渡会!? 大丈夫か、生きているか!?」

園村「怪我とか無いですよね!? 明日の試合は無事出られますよね!?」

465 :キャプテンEDIT ◆EUWFb5QXUg :2012/08/14(火) 02:33:52 ID:???
やす子「大丈夫だ、問題無い。……この私が大会中に選手をぶっ壊す様な不手際をしでかすとでも?」

大前「まあ、確かに」

雪村「不思議と試合に支障の出る怪我人は、出したこと無いですよね」

雪村の言う通り、飯地監督の特訓はハード極まりないものだが、その実選手のコンディションはキッチリと整えられている。
この女史の恐ろしいところは、選手のオーバーワークの危険水域をギリギリ見極める眼力も持っていることだった。
恐らく、考えてのことではなく本能で行っているのだろうが。

宇津木「監督のコーチング能力はA+といったところかな。この辺りがどこぞの危険人物とは一足も二足も出ている状態」

水守「誰なのさ、どこぞの危険人物って」

その瞬間、世界を放浪している無精髭の男性が一人、くしゃみをしたとかしなかったとか。

大前「で、肝心の渡会の特訓の方はどうだったんですか? 見たところ、かなり厳しくしごいたみたいですけど」

やす子「それなんだけどね――」

466 :キャプテンEDIT ◆EUWFb5QXUg :2012/08/14(火) 02:35:03 ID:???
〜数時間前〜

試合の会場近くの運動公園。
渡会への特訓は、そのサッカーグラウンドを利用して行われていた。

やす子「はい、また抜かれた! 相手に迫られるととりあえず前、ってのが君の悪い癖よ!
時にはどっしりと構える余裕も見せる! それが相手を惑わすことに繋がる事もあるって、覚えておきなさい!」

渡会「は、はいっ!」

試合の開始前からみっしりと、改めてキーパーのイロハを教え直す。
先日の花輪中戦。レッドカードに繋がるとびだしをした原因は、渡会の心理の裏に隠れた自信の無さ、と飯地は見ていた。
頼れるセンターバック・輝林の陰にいた渡会は、それに劣等感を感じる一方で頼りにし過ぎていたのではないか。
その余りに輝林と気脈を合わせようとし過ぎて、必殺セーブを使う余裕があったのに無闇にとびだしたのではないか。
それが飯地の分析である。
これを矯正する方法はただ一つ。
もう一度渡会に、基礎からキーパーのなんたるかを教え直し、正GKとしての自覚をより確かなものにすることである。

やす子(ある程度方向性の固まった渡会くんを、急激にパワーアップさせるには、まず基礎に立ち返らせることが重要!
とても一日の特訓だけでは出来ることじゃないけど……だからこそ、やり甲斐がある! も、燃えてきたわーっ!)

そうして、己の熱情のままに特訓に打ち込む飯地。
が、運動公園のグラウンドにはそんな光景を見つめる視線が――

467 :森崎名無しさん:2012/08/14(火) 02:36:30 ID:???
まさか……w

468 :キャプテンEDIT ◆EUWFb5QXUg :2012/08/14(火) 02:37:00 ID:Xt2kv35o
先着1名様で以下の文の『!』の後のスペースを消してカードを引いてください。

★出番が無かったのはこの判定の為だったんだよ!→ ! card=★

カードの絵柄で結果が変化します
ダイヤ・ハート → 「やれやれ。あれだけ検査に手間取らせて、結果は後日とはね……ん? あれは――」
            通りすがりのMくんだ! いや、本質的にはSだけど……
スペード・クラブ → 「ママー、あれって……」「しっ! 見ちゃいけません!」 通りすがりの母子だった……ガックリ・……
JOKER → 「ほう……この極東で、しかもあんな若い身空の女性で、サッカーのコーチとはな」
         な、謎のブラジル人監督だ! ブラジル人監督……一体何アンなんだ……

469 :森崎名無しさん:2012/08/14(火) 02:37:15 ID:???
★出番が無かったのはこの判定の為だったんだよ!→  ハート6 =★

470 :森崎名無しさん:2012/08/14(火) 02:37:21 ID:???
★出番が無かったのはこの判定の為だったんだよ!→  ダイヤ6 =★


471 :森崎名無しさん:2012/08/14(火) 02:37:28 ID:???
キタ!

472 :森崎名無しさん:2012/08/14(火) 02:38:39 ID:???
しかも原作での背番号6で登場

473 :キャプテンEDIT ◆EUWFb5QXUg :2012/08/14(火) 03:27:38 ID:???
どうも書くのに手間取ってすみません
通りすがりの三杉がコーチに加わる理由を合理的に描写するのがちょっと難しかったので(汗)
これが今回最後の判定ですので、出来ればお付き合いくださいませ

★出番が無かったのはこの判定の為だったんだよ!→  ハート6 =★
ダイヤ・ハート → 「やれやれ。あれだけ検査に手間取らせて、結果は後日とはね……ん? あれは――」
            通りすがりのMくんだ! いや、本質的にはSだけど……
------------------------------------------------------------------------------------------------------------------
三杉「やれやれ。一体、何だったんだ? あれだけ念入りに検査するなんて。身体の調子は悪くないはずなんだが……」

弥生「はふ……はふ……ま、待ってくださいよ、キャプテーンっ!」

後ろにちょろちょろと付いて回る弥生を引き連れて、会場への道を急ぐ三杉。
不可解な緊急検査入院を一晩で終えて、今は再び全国大会を観戦に向かう途中である。

三杉「お陰で昨日のリハビリメニューはこなせなかったし……それで完治が遅れたらどうするんだ」

弥生「か、完治してない自覚があるなら、もっとゆっくり歩いて下さいよぉ……」

三杉「む……(確かに、気付かない内に早足になっていたな。心臓負担が掛かる……いけない、いけない)」

と、弥生の諫言で歩調を緩めた時である。

三杉「ん? あれは――」

やす子「でやああああっ! イージーショットォ!」

渡会「なんのォ!」

ボールを打つ打撃音と、それを手でもって受け止める快音。それが三杉の耳に響いた。
何気なく目で追うと、そこにはやたら豪快なシュートを蹴る女性を相手にする、中学生程度の年齢のキーパーの姿がある。

474 :キャプテンEDIT ◆EUWFb5QXUg :2012/08/14(火) 03:28:41 ID:???
三杉「――あれは……確か鳴紋中のキーパー?」

弥生「ああ、度会くんですね。ドカイくん。昨日の試合で退場になった人ですよ」

三杉「……マネージャー。それ、多分渡るに会うって書いてワタライって読むんだと思うんだけど」

弥生「えっ? そ、そうなんですか!?」

三杉「まあ、珍しい名字ではあるが、その読み間違いはちょっと……昨日、退場になったって?
それで今日は出場停止か。ふぅん……」

そう言い、土手の上からグラウンドを見下ろすうちに、三杉の中で疼き出すものがあった。
都大会決勝。不本意な体調不良で負けたあの一戦以来、果たしてどれだけボールを蹴らずに来ただろうか。
心臓に無理を掛けず完治を目指す為とはいえ、ここ最近は地道なリハビリ程度の運動しかしていなかった。
……三杉とて、リハビリの重さは重々承知している。
生まれつき患っている身で、限られた時間とはいえ試合に出れるのは、たゆまぬリハビリに耐えてきたお陰だ。
気まぐれ程度の思いつきで激しい動きをしては、積み重ねてきた時間全てを棒に振りかねない。
だが、今日は……どういうわけか調子が良い。
賢明なはずの彼が、少し思いっきりボールを蹴っても構わないだろう、という気になるくらいには。

三杉「……すみません、ちょっと僕も混ぜてもらって構いませんか?」

弥生「え、ええっ!?」

気が付けば、傍らの弥生が声を上げるのにも構わず、土手を下りて声を掛けていた。
渡会が、不機嫌そうな表情で振り向く。

渡会「はァ? 誰だよ、お前。急に声掛けて、何の真似だ?」

三杉「僕かい? そうだね、通りすがりのサッカー好き、かな」

渡会「……こっちは遊びでやってんじゃないんだ。気まぐれに球蹴りたいなら、他当たってくんないか」

475 :渡会「伝説って?」やす子「ああ!」 ◆EUWFb5QXUg :2012/08/14(火) 03:30:33 ID:???
と、釣れない返事の渡会。
対して、特訓を付けていた飯地は目が飛び出るほど驚く。

やす子「な、なにィ!? そういう君は三杉淳! 小学生時代はあの南葛SCを限界一杯まで苦しめた、伝説の選手じゃないの!」

渡会「えっ(マジ? そんな有名なヤツだったの、コイツ?)」

三杉「これは恥ずかしいな(それにしても伝説とは大袈裟な)。僕の顔を知っていて貰えたなんてね」

弥生(いや、顔知っててもらわなかったら、叩き出されて終わりでしたよね?)

やす子「そりゃ勿論よ! 鍛えがいのある選手は一度見たら忘れないわ!」

三杉「ええっと、そう言えば貴女は?」

やす子「私が鳴紋中サッカー部監督、飯地やす子である!」

胸を張って名乗る飯地。

三杉「(監督? あのチームの監督ってほとんどテクニカルエリアに顔出さないからなァ)……そういえば、今日の試合は?」

やす子「ん。優秀な代行に任せて来たわ。
正直、三回戦よりもその先が難物だし、丁度いい機会だから集中的にこの子の面倒見ようと思ってね」

弥生「め、鳴紋中って、急場に監督の代行が出来る人材がいるほど、サッカーに力を入れてたんですかね?」

三杉「(普通の公立中にそんな予算は無いと思うが……はて?)そうですか。ところで、先程の申し出へのお返事は頂けませんか?」

三杉がそう話を振ると、飯地は珍しく悩ましげに考え込んだ。

476 :キャプテンEDIT ◆EUWFb5QXUg :2012/08/14(火) 03:32:00 ID:???
やす子「うーん……渡会くんにも色々なプレイヤーをぶつけて鍛えたいのは山々なんだけどねー。
君、身体の方は大丈夫なの? こういうとズルイけど、練習中に何があっても私は責任を負いかねるんだけど……」

心臓という重大な器官に病を抱えた選手である。
まかり間違って途中で倒れられたら、大きな問題となってしまうだろう。
三杉を監督する大人に許可も得ずボールを蹴らせることには、流石の飯地も二の足を踏んだ。

三杉「三十分。いえ、十分で良いんです。ご心配されずとも、自分の身体の事は自分が良く分かっていますよ」

弥生(いやいや、そんなこと言っても許可が出る訳は――)

やす子「ならば良し!」

弥生「――出すんだ!?」

思い切りのいい返事に、弥生も思わず素っ頓狂な声を上げてしまう。

やす子「という訳よ、渡会くん! 短い時間だけど、このレベルの選手との対決は得難い経験となるわ!
しっかり取り込んで血肉にして、特訓に役立てなさい!」

渡会「って、俺の意見は無視ですか? ……ちっ、しょうがないなァ」

と、三杉の方にボールを放って、ゴールマウスの前に構える渡会。

渡会(監督、やけにコイツの身体を心配してたけど、確かにヤケに細いなー。せりあいとかの時、大丈夫か?)

三杉(やはり足元にボールがあると、いつもより心臓が跳ねる……けど、発作の様な息苦しさは無い。胸が躍る、というヤツか。
……久しぶりに、思いっきり行くぞ!)

かくして渡会への特訓は、奇妙な乱入者を加えて再開されるのだった。

477 :キャプテンEDIT ◆EUWFb5QXUg :2012/08/14(火) 03:33:32 ID:Xt2kv35o
先着3名様一行ずつで以下の文の『!』の後のスペースを消して判定を行ってください。

★飯地のスパルタ指導→ ! card=★
★三杉のドSコーチ→ ! dice=★
★渡会の練習→ ! card=★

二枚のカードのマークが一致した場合、数値の合計に+5されます。
なお、JOKERの数字は15、マークは全てのマークと同じとします。
カードとダイスの数値で結果が……

35以上→渡会、神になる。全能力+4、マークに応じた成果習得! 更に最大ガッツ+50!
31〜34→渡会、超化。全能力+3、マークに応じた成果習得! 更に最大ガッツ+20!
26〜30→渡会、進化。全能力+2、マークに応じた成果習得! 更に最大ガッツ+10!
21〜25→渡会、変貌。全能力+1、マークに応じた成果習得!
16〜20→渡会、飛躍。マークに応じた成果習得!
11〜15→渡会、成長。マークに応じたフラグ習得or回収!
2〜10→渡会、脱皮。覚醒フラグ+1/4

効果があった場合、監督の絵柄に応じたスキル習得!
ダイヤ → 三杉「退場の原因とはいえ、君のとびだしは大きな武器だ。もっと伸ばそう」 やす子「うっしゃー! 燃えて来たーっ!」
ハート → 三杉「もう少しパンチングに安定感が必要だと思うな」 やす子「それもそうね!」
スペード → 三杉「1対1の判断はこうすれば良くなるんじゃないかな?」 やす子「良い目の付けどころだわ!」
クラブ → 三杉「敵エース以外のシュートは、キャッチで処理できるようになるべきでは?」 やす子「その発想は無かった!」
JOKER → やす子「よし、それ全部やろう」 三杉「えっ」 渡会「えっ」

と分岐します。

478 :森崎名無しさん:2012/08/14(火) 03:33:47 ID:???
★飯地のスパルタ指導→  スペード8 =★

479 :森崎名無しさん:2012/08/14(火) 03:33:58 ID:???
★飯地のスパルタ指導→  スペードK =★
いけぇ!!

480 :森崎名無しさん:2012/08/14(火) 03:34:10 ID:???
★三杉のドSコーチ→  2 =★

481 :森崎名無しさん:2012/08/14(火) 03:34:52 ID:???
★渡会の練習→  ハートJ =★

482 :森崎名無しさん:2012/08/14(火) 03:35:15 ID:???
三杉GJ!

483 :森崎名無しさん:2012/08/14(火) 03:36:01 ID:???
よしよし全能力+1に一対一+3になったかな

484 :森崎名無しさん:2012/08/14(火) 03:38:40 ID:???
ベストとまでは行かなかったがそれなりに良い結果だったな。

485 :キャプテンEDIT ◆EUWFb5QXUg :2012/08/14(火) 03:39:29 ID:???
貴公子パワーのお陰で、渡会が無事パワーアップ出来たところで、今回はここまでです
やっぱり三杉は書く時に緊張しますね……人気キャラな上に頭が良いものですから、
書いてるうちにボロとか出ないかガクブルものです
次回はこの続きから、南葛の三回戦をサラッとやって夜の選択になると思います
今回はとりわけ遅くまでお付き合いいただき、ありがとうございました!

486 :森崎名無しさん:2012/08/14(火) 03:41:01 ID:???
遅くまで乙です。

487 :森崎名無しさん:2012/08/14(火) 10:40:25 ID:???
下剤乙

488 :森崎名無しさん:2012/08/14(火) 19:51:44 ID:???
Mさん
「よかれとおもってでてきたよ!すこしわすれてた?」

489 :森崎名無しさん:2012/08/15(水) 01:23:00 ID:???
夜の行動どうしようかと思ったが、早めに休む選択すると回復判定優遇されるみたいだな過去スレ見ると

490 :森崎名無しさん:2012/08/15(水) 01:35:53 ID:???
最低でも治りかけ以上か

491 :キャプテンEDIT ◆EUWFb5QXUg :2012/08/15(水) 01:44:26 ID:???
>>486-487
乙感謝です……って、GJな働きをしても下剤ですかw
>>488
忘れてないよっ。いえ、本当にこの判定の為に比良戸戦では登場させなかったんです
本当ですよ?
>>489-490
まあ、その選択もありといえばありです

最近、また投下が遅くなり始めてすみません
今回の投下です
深夜投下にもかかわらず無判定パートが長くなっていますので、ご注意ください
これも全て三杉淳ってヤツのせいなんだ

492 :キャプテンEDIT ◆EUWFb5QXUg :2012/08/15(水) 01:45:33 ID:???
飯地のスパルタ指導→  スペード8 =★
★三杉のドSコーチ→  2 =★
★渡会の練習→  ハートJ =★
8+2+11=21 … 21〜25→渡会、変貌。全能力+1、マークに応じた成果習得!
スペード → 三杉「1対1の判断はこうすれば良くなるんじゃないかな?」 やす子「良い目の付けどころだわ!」
---------------------------------------------------------------------------------------------------------------------
三杉「それじゃあ……行くよ!」

そうして三杉は助走を付けて走り出し、まずは小手調べの直接フリーキックを蹴る。

渡会「う、うおぉおっ!?」

軽やかな動き、流麗なフォーム、そして正確な読みと狙い。
大前のドライブシュートや比良山のスネイクレイドのような大技ではないが、それでも身に感じる脅威度はかなりのものだ。
マークする者がいないこともあって十分に狙い澄まされたそれは、もしかするとスカイラブハリケーン並に危険なシュートかもしれない。

渡会「こん……のォ!」

鋭い軌道で飛来するそれを、渡会はダイビングキャッチを繰り出すことで、なんとか両手に収める。

弥生「きゃ、キャプテンのシュートを止めた!?」

三杉「ほぉ……」

好調時のフリーキックが止められたことに、三杉の力量をよく知る弥生は声を上げ、本人も僅かに瞠目する。

493 :キャプテンEDIT ◆EUWFb5QXUg :2012/08/15(水) 01:46:46 ID:???
だが、最も驚いているのは止めた渡会だ。

渡会(なんてヤツだ……これ、ただのシュートだろ!? いくらフリーキックとはいえ、必殺キャッチでないと止められないだと?
このレベルの選手が、どうして全国大会に出られなかったって言うんだ!?)

やす子(パワーは無いけど、それを補って余りあるテクニックとアイディア……。
とてもじゃないけど、ブランクがある上に心臓にハンデを背負っている選手とは思えないわね)

渡会が突如現れた未知の強敵を前に冷たい汗を流し、飯地は聞きしに勝る才気に思わず唸る。
三杉はというと、そんな二人の様子を気にした風も無く、ゆったりとした歩調でペナルティエリアの近くまで歩く。

三杉「流石は全国取りを本気で狙うチームの正GKだ。やっぱりただのシュートではゴールは割れないか」

渡会「……そりゃどーも(くそ。この口ぶりだと、やっぱり何か必殺シュートを持ってやがるか、コイツも)」

三杉「そう不機嫌そうな顔をしないでくれよ渡会くん。僕だって、結構自信のあった一発を止められて、軽くショックなんだしね。
……ええっと、飯地監督でしたっけ? 今度はダイレクトシュートで行きたいんで、高めのセンタリングをお願いします」

やす子「あいよー。ほんじゃ、渡会くんボール貸して」

と、要求通りにクロスを上げやすい位置に付く飯地。

渡会「高めのダイレクトシュート、ね。悪いがそいつはウチのチームの専売特許だ。簡単にはやらせねえぜ?」

内心感じる不安を押し殺しながら、再び身構える渡会。
思い起こされるのは、昨日に経験したばかりの最悪の失点劇。
それを振り払うように、グラブを嵌めた両手を景気良く打ち合わせる。

494 :キャプテンEDIT ◆EUWFb5QXUg :2012/08/15(水) 01:47:57 ID:???
三杉「それもそうだね。じゃあ君のお眼鏡に適うよう、精一杯やらせて貰おうかな」

渡会(今、はっきり分かった。コイツ、絶対に性格悪い!)

穏やかな笑顔と慇懃な物腰をしているが、その裏に見え隠れするのは絶対的な自信。
何とはなしにそれを感じ取った渡会は、三杉の本性を直感的に看破する。
そして、これから飛んでくるシュートも、それに見合うだけのものであることも確信する。

渡会(ダイビングキャッチじゃ、まず無理。人数を掛けられない状況じゃ、とびだしも効果薄。
となると……アサルトキャッチで行くっきゃないか。この後の特訓の為にも、飛ばさずに行きたかったんだが……)

いきなり特訓に殴り込んできた輩を、鼻高々で返してやるほど渡会のプライドは低くない。
ここは渾身のセービングで、何としても止める。その意思を固めた。

やす子「おーし! そんじゃ、蹴るわよーっ!」

三杉「はい」

渡会「……いつでも来い!」

弥生(あわわ。キャプテンったら、すっかり『アレ』を出す気になってる……身体に負担が大きいのにー!)

そして飯地監督の蹴ったセンタリングに、三杉が軽快な走り出しでとびついた。
ダッシュの勢いを殺さないままにくるりと腰から回って背を向け、そのまま重力に引かれるように縦に回転しながらのキック。

渡会(やっぱりオーバーヘッドか!)

華奢な体格――特に首周りの細さから、三杉は大前のようなヘディンガーではない、ということは見ただけで分かっていた。
そんな選手が高い浮き球で強烈なダイレクトシュートを撃とうとすれば、その名の通り頭を越して蹴るオーバーヘッドしかない。

495 :キャプテンEDIT ◆EUWFb5QXUg :2012/08/15(水) 01:49:05 ID:???
渡会(悪いが、そりゃ見慣れたもんだぜ! ウチにはヘディングの専門家だけでなく、オーバーヘッドのスペシャリストもいるんでね!)

ボレーからオーバーヘッドまで、手広くダイレクトシュートを得意とする比良山。
彼と練習時に相対した経験を元に、渡会はシュートの軌跡を瞬時に求め、そのコースに身を乗り出す。
三杉のオーバーヘッドは、確かに打点が高い上にいやらしい狙い方をしている。
だが渡会のアサルトキャッチは、積極的に前に出て敵が撃てるコースを潰し、前進の勢いでもって球威を相殺する必殺セーブ。
これを前にしては、ただのオーバーヘッドなど通用しない。
……はずなのだが、

三杉「悪いけど、僕のオーバーヘッドは――」

渡会(なっ!?)

三杉「――人に言わせると、普通とちょっと違うらしいよ?」

三杉が放った物は、ただのオーバーヘッドとは趣きを異にしていた。
通常、オーバーヘッドキックとは、高い打点を利して地面に叩きつけるように撃つシュート。
自然、高所の位置エネルギーを得た分だけ威力が上がる、という仕組みだ。
しかし三杉の場合、本人の繊細さを表す様に叩きつける、といった蹴り方はしない。
……三杉のオーバーヘッドは、ボールを『擦る』。
腰の横方向の捻りが終わりきらない、回転の途中の状態のまま撃つことで、ボールの横を撫で擦るように蹴るのだ。
自然、放たれたシュートは横回転を帯び、カーブが掛かる。
その為、ボールは渡会が想定したコースを外れ、伸ばした右腕を嘲笑うように曲がり、ゴールへと伸びていく。
既に宙を薙いだ手で、身体の後ろのボールを掴めるはずはない。
ファサっ、と優しげにネットが揺れる音が渡会の耳に届いた。ゴール、である。

やす子「お見事。これが……噂に聞く三杉淳の『ハイパーオーバーヘッド』」

三杉「フフフ、そう呼ぶ人もいるらしいですね(コレを出すのは久しぶりだな。撃つ必要があった東邦戦では腹痛の所為で……忌々しい)」

音もしないほど柔らかい着地を決めながら、三杉がそう言う。
その言葉を、渡会は身が震えるほどの衝撃と共に聞いていた。

496 :キャプテンEDIT ◆EUWFb5QXUg :2012/08/15(水) 01:50:12 ID:???
渡会(ば、馬鹿な……今のシュートはまるで、立花兄弟のデルタツイン以上……!
ひ、一人でそんな大技を出せる様なヤツがいるチームが、全国に出てきていないだと!?)

紛れも無く全国トップクラスのFWを抱えるチームのGKとして、彼らに追いつこうと必死で足掻き続けてきた渡会。
しかし、その自負は今、粉微塵に砕かれた。
……全国は広い。このような凄腕が野に埋もれている程に。
渡会は改めてそのことを知った。

渡会「も、もう一回! もう一回だ!」

三杉「え? もう一回って……またオーバーヘッドで、ということかい?」

渡会「ああ! 鳴紋中のキーパーとして、これ以上誰とも知らないヤツにハイボールで負けて堪るか!
頼む! もう一回だけでいいから!」

やす子(誰とも知らないヤツ、って……いやいや、三杉くんって超有名だから。確かウチの学校にもファンクラブの会員がいた様な)

三杉「うーん、困ったな……そんなに何度も使っていたら、他のプレイを試す前に僕が持たないよ」

そう言い、三杉は柔らかく髪を掻き上げる。
ハイパーオーバーヘッドは、紛れも無く大技だ。必然、体力の消耗は大きくなる。
出来ればドリブルなども今日の内に試しておきたい三杉としては、そう何度も繰り出したくないところである。

渡会「そこを何とか!」

やす子「……そんじゃあ、次は三杉くんのやりたいプレイに付き合って、それで勝てたらリベンジでいいじゃん。
ちょうど今、お互いに一勝一敗なんだし」

三杉「それは名案ですね! 是非、そうしましょう」

渡会「よし! 望むところだ! 次は何だ? 俺はキーパーだから、勝負できそうなのは後、1対1くらいだぞ?」

497 :キャプテンEDIT ◆EUWFb5QXUg :2012/08/15(水) 01:51:24 ID:???
三杉「ちょうどよかった。僕、それも得意だよ?」

渡会「言ったな? 吐いた唾は飲めんぞー!?」

そして、なし崩し的に1対1勝負が始まる。

弥生「きゃ、キャプテーン! もうそろそろ、お医者さんに止められている時間に……って、聞いてない!?」

渡会「うおりゃあああっ!」

三杉「ふっ、甘い!」

やす子「うっひょー! 今のが『芸術的』とも言われた三杉淳のドリブル! 辛抱堪らん! この子も鍛えたい!」

……結局、痺れを切らした弥生が乱入するまで続いた1対1勝負は、渡会が負け越し、ハイパーオーバーヘッドへのリベンジは叶わなかった。
が、自チームのエースたちとは毛色の違う相手との経験を通じ、渡会の判断力は大いに磨かれたという。
そして勿論、三杉たちと別れた後も、渡会は発奮した飯地監督に心行くまでしごかれるのだった。

三杉「ま、マネージャー? 僕をどこへ引き摺って行くんだ? もうすぐ鳴紋中の試合の時間に――」

弥生「病・院ですっ! まったく何を考えているんですか! 気が付けば、止められている三十分の倍は動いていましたよ!?
倒れていないのが奇跡じゃないですか! 今すぐ、もう一度検査して貰わないと!」

三杉「――ま、待ってくれ! 今日の試合は、絶対に面白いものが見れるはずなんだ!
鳴紋と戦う比良戸は、僕の見るところ実力を隠していてね!?」

弥生「いいから病院ーっ!」

……もしかすると、この邂逅によって三杉と弥生の関係は読者諸兄の知るものと大きく変化するかもしれない。
が、それは今後の展開次第ということで。

498 :キャプテンEDIT ◆EUWFb5QXUg :2012/08/15(水) 01:52:27 ID:???
〜再び控室〜

やす子「――てなことがあったのよ」

大前(三杉……アイツ、何しているんだ? 監督の話だと、アイツとの出会いが特訓にいい方向に作用したらしいけど――)

多少の因縁がある人物の不可解な行動に、思わず頭に手をやってしまう大前だった。

雪村「三杉って、あの『ガラスのエース』三杉淳? 小学校時代は凄い有名な人だったじゃない!」

本多「そうなのか? いや、俺たちは県外のことには正直疎くてな」

宇津木「ちゃんと仕事すろ。三杉淳といえば南葛の大空と森崎、大友の中山さんがアライアンス組んでも手こずった、とてとてのMF。
必殺のハイパーオーバーヘッドは飛ぶながら叩きつける技と違って華麗な超必殺技だと有名だべ」

輝林「……渡会さんを手玉に取るとは、やはり衰えてはいませんでしたか(となると例の都大会決勝の件は、やはり――)」

やす子「ま、急に混ぜてくれって言われた時は面食らったけど、渡会くんの成長に少なくない貢献をしてくれたのは確かだしね!
今度会った時は、何かお礼しなきゃねー。今日はマネージャーらしい子に引っ張られてあっという間にいなくなっちゃったし。
ねえ、何かあの子の喜びそうなものって知らない? 大前くんたち兄弟とか輝林くんは、彼と同じ東京出身でしょ?」

大前「いや、俺も二、三言交した程度の仲ですし……」

輝林「……対戦経験がありません」

達也「俺は学年違うんで」

499 :キャプテンEDIT ◆EUWFb5QXUg :2012/08/15(水) 01:54:50 ID:???
やす子「(輝林くん、思わせぶりなセリフの割に……)あら、そう。残念。じゃあ、思い切って今度お寿司でも奢っちゃいましょうか!
去年ね、ここの近くに安くて美味しい店を見つけたのよー」

菱野「い、いつの間にそんな目星を……」

大前「じゃあ、俺らも連れて行ってくださいよ。優勝した後の、祝賀会代わりにでもね」

やす子「ぬかしおる。こやつめ、ハハハ!(いやいや、いくら安くても全員分のお寿司は無理っ! 無理だから!)」

本多「何にせよ、これで――」

渡会「うーん、うーん……ちくしょう三杉め……今度こそ止める〜……あ、監督それは無理やめて……」

本多「――お前もより強くなって戦列復帰という訳だな。今日の仕事への、何よりの報酬だよ」

と、未だにうわ言を漏らしながら気絶する渡会に、いつになく優しい目を向ける本多だった。


※ 渡会の才能が開花し、全能力が+1されました! ※
※ 渡会のスキル・1対1+2が1対1+3に進化しました! ……ただし、持っていたせりあいフラグも回収されてしまいました ※

500 :キャプテンEDIT ◆EUWFb5QXUg :2012/08/15(水) 01:56:48 ID:???
その後は南葛中の三回戦を偵察するため、客席に移動した鳴紋中だったが、そこで得られたものは少なかった。
というのも、南葛中の相手は可もなく不可も無くといったレベルのチームであり、展開されたのはいつもの南葛の試合だったのだ。
つまり……無失点大量得点の、一方的な虐殺試合だ。

実況「試合終了ーっ! 王者南葛・ベスト16でも向かうところ敵無し! スコアは実に8−0! これが全国大会で出る点差か!?
先程の鳴紋やふらの以上のものを見せてくれました! 相手校を鎧袖一触で粉砕し、準々決勝進出だーっ!」

大前(観客席)「森崎がオーバーラップし、滝がサイドを上がり、長野が落とし、来生や井沢が決め、大空は我が道を行く。
まったく、嫌になるくらいいつも通りだな。全国まで来たら、何か新しい発見でもあるかと思ったけど、まるで隙が見当たらない」

菱野(観客席)「強いて言えば森崎選手のオーバーラップ後、がら空きになったゴールですが……
まずボールを取れる選手がいなくては、それがチャンスにはなりませんわね(ANS、このチームにどこまで通用するでしょうか?)」

雪村(観客席)「うっ、大空のヤツ、去年より凄みが増してない?」

宇津木(観客席)「雪村さん、悪いが俺のログには何も無いな(正直、アイツはレベルが違うというのが正直な感想。
だが、勝った者が強いのだとい名セリフを知らないのかよ。全国で一番のMFは俺たちを優勝に導く雪村さんだ!)」

本多(観客席)「ふらのの松山も大概だが、アレは攻撃面ならそれ以上だ。まったく、どこまでも難儀な敵だ」

息を呑む鳴紋中選手たちの見下ろすピッチでは、挨拶を終えた南葛イレブンが余裕の表情で引き上げを始めていた。

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