キャプテン森崎 Vol. II 〜Super Morisaki!〜
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レス数が900を超えています。1000を超えると表示できなくなるよ。
【全国の】キャプテンEDIT40【壁】

1 :キャプテンEDIT ◆EUWFb5QXUg :2012/07/30(月) 23:24:44 ID:???
このスレはキャプテン森崎のスピンアウト作品に当たる、キャプテンEDITのスレです
森崎くんと同世代に生まれたサッカー少年・大前くん(オリキャラ)を操作し、彼を名選手に育てたり育てなかったりします
現在の目標は全国大会での南葛へのリベンジ&優勝!
読者の皆さんに引いて頂いたカードや、投票していただいた選択肢に従い、物語が展開します

前スレ
【最強DF】キャプテンEDIT39【決定戦】
http://capmori.net/test/read.cgi/morosaki/1342189092/

〜前回までのあらすじ〜

花輪中を降し、三回戦に勝ち進んだ大前たち鳴紋中サッカー部。だが正GK渡会が不在という不安を抱えた上での戦いを強いられてしまう。
ここで立ちはだかるのは長崎代表比良戸中。今までの試合で敢えて1−0決着を繰り返し、実力を隠してきたダークホースである。
前半、大前が首尾よく先制ゴールを上げるが、比良山の追加点が反則として取り消され、返す刀で同点に追い付かれてしまう。
比良戸中キャプテン・次藤に苦戦を強いられる大前、ストライカー佐野に翻弄される守備陣。
予想以上の苦戦に瀕する中、監督代行の菱野が次藤のスタミナを削る作戦を提案する。
直後、比良山が今度こそ決めた正真正銘のゴールで2−1と再びリードを得る鳴紋中。果たして、作戦を成功させ三回戦突破は成るか?


〜前スレの出来事〜

森崎「中里に期待した僕が馬鹿でした」
中里「もりさき いいすぎ」
松山「石田と武井をリリースし、準々決勝進出をアドバンス召喚! そして手札から特殊召喚した鳴紋中とダークチューニング!」
小田(ふ)「そんな形でお前に満足されて堪るか!」
比良山「ノーゴール……またしてもゴール取り消し……」
園村「ぼ、ボールが怖い……ていうかゴールが怖い」
実況「大前くん、吹っ飛んだー!」
次藤「ぬははは! 大前も吹っ飛ばしたことだし、ワシが日本一のパワーファイタータイ!」
菱野「……。よし みんな きけ。 じとうを たたきつぶす」
大前「なにそれこわい」

454 :キャプテンEDIT ◆EUWFb5QXUg :2012/08/14(火) 01:22:10 ID:???
今日一ゴールを挙げた比良戸最大の殊勲者ながら、結局はチームを勝利に導くことが出来なかった佐野。
彼は小柄な体を震わせて、男泣きに泣いていた。
周囲の先輩選手たちが慰めの声を掛けるも、後から後からこぼれおちる涙は止められなかった。

次藤「……立て、佐野」

佐野「じ、次藤さん……」

疲労困憊でフラフラの身を押して、座り込む佐野の前に仁王立ちになる次藤。

次藤「ありきたりの言葉ばってん、お前には来年もあるタイ。来年もここに来て、今度こそ優勝すると」

佐野「うぅ……ぐすっ」

次藤「泣くんじゃなか。今日いっちゃん活躍したお前がそがんことじゃ、六点も取られたワシや畠山はどげんするとばい?
来年のキャプテンはお前タイ。せやったら、悔しい時こそ胸を張るっちゃ! そいが下のもんを引っ張る男の仕事タイ!」

自身が感じる無念を毛ほども見せず、激励を送る次藤。
その言葉に、その姿勢に、佐野はユニフォームの袖で頬を拭い、顔を上げた。

佐野「は、はいっ!」

畠山「へへへ、やっぱり佐野に一番効くのは次藤の言葉か」

秋沢「お熱いねーお二人さん!」

次藤「ばっ、何を言うとね!?」

佐野が泣きやんだ途端に周囲から飛ぶからかいの声に、次藤は唾を飛ばして怒鳴り返す。
敗戦の衝撃も、少しだけとはいえ和らいでいるようだ。

455 :キャプテンEDIT ◆EUWFb5QXUg :2012/08/14(火) 01:23:16 ID:Xt2kv35o
大前「比良戸中……こういうとこを見ると、一枚岩の良いチームだな」

比良山「ああ。俺たちを苦しめただけの事はある」

雪村「でも反則ディフェンスは許さない。絶対にだ」

達也「雪村先輩も案外、執念深いですね……」

と、そこで。
大前と次藤の視線が合った。

大前「…………」

次藤「…………」


先に3票入った選択肢で進みます。メール欄を空白にして、IDを出して投票してください。

A.「お前のパワーには感服したぞ。吹っ飛ばされたなんて久しぶりだったよ」 試合の締めは爽やかに!
B.「どうだ次藤? 試合前に言った通り、忘れられない試合になっただろう?」 ニヤリと笑う!
C.「ふっ、あんな啖呵を切ったのに五点差か。ざまァないな!」 おい、森崎が憑依してないかコイツ!?
D.「おい、次藤。森本を出せ。あの反則の借りは退場程度じゃ収まらん!」 大前くん、器ちっちぇーっ!?
E.(試合の後はこんなむさくるしい男じゃなく菱野さんの顔を見たい……) ぶん殴るぞコラ
F.その他(自由選択です。大前に取らせたい行動を併記してください

456 :森崎名無しさん:2012/08/14(火) 01:24:00 ID:vlHR/x0w
B

457 :森崎名無しさん:2012/08/14(火) 01:24:11 ID:nUmiumac


458 :森崎名無しさん:2012/08/14(火) 01:24:49 ID:xQMyhLIQ


459 :森崎名無しさん:2012/08/14(火) 01:25:47 ID:???
D クリアボム!

460 :キャプテンEDIT ◆EUWFb5QXUg :2012/08/14(火) 02:27:07 ID:???
>>B.「どうだ次藤? 試合前に言った通り、忘れられない試合になっただろう?」 ニヤリと笑う!
-------------------------------------------------------------------------------------------------
そう言い不敵に笑った大前に対し、次藤は肩を竦めた。

次藤「ヘロヘロの汗だくの癖によう言うタイ……と、言いたかところばってん、こん点差じゃ負け惜しみか。
ああ、お前の言う通り寝ても覚めても忘れられそうになか。
大前良……お前の首はワシが取る。そんまで誰にも渡さんよう、心しておくタイ!」

次いで、男臭い……否、強烈に雄を匂わせる笑みを湛えて宣言する。
対する大前も、あくまでふてぶてしく答えた。

大前「ああ……気長に待ってるよ。今年こそ全国一になって、次は玉座でお前を待ってやるさ」

次藤「がっはっはっはっ! 剛毅なこっちゃ! ばってん、ワシが狙う大物首はそうでなかな!」

――がしっ。

どちらともなく手を差し出し合い、そして握り合う。

実況「見て下さい、この光景を! 両チームキャプテン、互いの健闘を称える様に手を取り合っております!
負傷、反則などのアクシデントはありましたが、試合が終わればノーサイド!
実にクリーンで胸の透くような一幕であります!」

比良山(いや、でもこれって――)

雪村(――実質的には、お互い『今度やる時もぶっ飛ばしてやるぜ!』って宣言みたいなものだよね?)

互いに力の限りでぶつかり合った益荒男同士の握手。
何も知らない実況席は無邪気に感動し、鳴紋中の一部選手は少し引いていたとか何とか。

461 :キャプテンEDIT ◆EUWFb5QXUg :2012/08/14(火) 02:28:18 ID:???
佐野「大前の弟……達也って言ったか? 来年、もう一度だ。今度こそ、お前なんかには止められねえぞ?」

達也「そん時ゃ、もう少し背ェ伸ばして来て下さいよ。佐野セ・ン・パ・イ?」

佐野「……生意気な一年! おい、そこのキーパー! お前も次やる時は一ゴール程度じゃ済まないからな! ケケケっ」

園村「な、何で俺まで!?」

水守(僕や宇津木、浅村もいるんだけどなー)

一方で、この試合でやり合った佐野と達也に因縁が生じたり、そのとばっちりを園村が受けたりしていた。
かくして、鳴紋中の三回戦は幕を閉じる。
準々決勝、ベスト8への切符を懸けた戦い。残る注目カードは――王者・南葛中の一戦である。

森崎(観客席)「面白くねえな……あの野郎が勝ち上がってくるとは」

翼(観客席)「頼むから明日、昨日の今日でふらの中に、南宇和にした様な変な応援したり、しないでくれよ?」

森崎(観客席)「するかよ、そんな下手な天丼!」

長野(観客席)「いや、そういう問題か?」

462 :キャプテンEDIT ◆EUWFb5QXUg :2012/08/14(火) 02:29:37 ID:???
翼(観客席)「それは置いておいて、こっちも試合の準備に移ろうか。どこが勝ちあがろうと、最後に優勝旗を手にするのは俺たちだ!」

石崎(観客席)「応っ!」

森崎(観客席)「あ、こら、翼! 勝手に仕切るな! キャプテンは俺だぞ!」

高杉(観客席)(今のところはな……グフフっ!)

来生(爆睡中)「グガー……グゴー……ZZZ……」


※ 大前と次藤の関係が『追う者と追われる者』になりました ※
※ 達也と佐野の関係が『全国でのライバル』になりました ※
※ 園村の佐野への感情が『俺のそばに近寄るなーっ!』になったりならなかったりしました ※

463 :キャプテンEDIT ◆EUWFb5QXUg :2012/08/14(火) 02:31:34 ID:???
〜試合後・控室〜

菱野「皆様、お疲れさまでした。今日は普段と違う状況での戦いを、見事にモノにされましたわね。6−1……ご立派な成果ですわ」

大前「ああ。ほとんど無我夢中だったけど、何とかすることが出来たよ(菱野さん、疲れてる。やっぱり気疲れするものなんだな)」

監督代行の職務を無事終えた菱野の表情には、疲労の色が濃い。
ベンチをまとめ上げ、ピッチに指示を与える監督の仕事は、ただ戦術について提言するだけの立場とはまるで趣きを変える。
言ってみれば、参謀と指揮官の違い。菱野はそれを如実に味わっていた。

大前「……菱野さんも大変な仕事、お疲れ様。良い監督ぶりだったよ」

菱野「いえ、私のしたことといえば、少し戦術に口を挟んだ程度で……それも効果の程はイマイチで、結局のところは、
皆さんのお力で打開することになりましたし」

達也「けどまあ、割と手詰まり感が合った状況じゃ、結構な励ましになったぜ? 先輩の作戦」

雪村「そうそう! カッコ良かったよ菱野さん」

本多「うむうむ。将来はライセンスでも取って、未来のこのチームを率いる仕事に就いてみんか?」

菱野「そ、それはちょっと大袈裟なような……」

落田「いえいえ! 菱野さんなら今にも務まりますとも! 何なら明日の試合も菱野さんが監督で――」

と、落田がいらんことを言った瞬間である。

464 :キャプテンEDIT ◆EUWFb5QXUg :2012/08/14(火) 02:32:52 ID:???
やす子「ほーぉ? 誰がこの飯地やす子に替わって監督をするですってェ!?」

落田「ぎゃああああああっ!?」

ばぁんと音を立てて控室のドアを開ける飯地監督。
スチール製のドアに叩きのめされて、落田が宙を舞った。

国岡「げ」

大前「か、監督!」

菱野「お戻りになりましたのね!?」

やす子「応ともよーっ! 飯地やす子、只今をもって帰還したわよーっ! 私が不在の間にも無事勝てた様で、みんなご苦労!
でもって、明日の試合に間に合うように、特訓済みの渡会くんも『持って』来たわっ!」

渡会「きゅ〜〜〜〜……っ」

と、ここで何人かの人間が、飯地の小脇に抱えられた渡会の姿に気づく。

本多「わ、渡会!? 大丈夫か、生きているか!?」

園村「怪我とか無いですよね!? 明日の試合は無事出られますよね!?」

465 :キャプテンEDIT ◆EUWFb5QXUg :2012/08/14(火) 02:33:52 ID:???
やす子「大丈夫だ、問題無い。……この私が大会中に選手をぶっ壊す様な不手際をしでかすとでも?」

大前「まあ、確かに」

雪村「不思議と試合に支障の出る怪我人は、出したこと無いですよね」

雪村の言う通り、飯地監督の特訓はハード極まりないものだが、その実選手のコンディションはキッチリと整えられている。
この女史の恐ろしいところは、選手のオーバーワークの危険水域をギリギリ見極める眼力も持っていることだった。
恐らく、考えてのことではなく本能で行っているのだろうが。

宇津木「監督のコーチング能力はA+といったところかな。この辺りがどこぞの危険人物とは一足も二足も出ている状態」

水守「誰なのさ、どこぞの危険人物って」

その瞬間、世界を放浪している無精髭の男性が一人、くしゃみをしたとかしなかったとか。

大前「で、肝心の渡会の特訓の方はどうだったんですか? 見たところ、かなり厳しくしごいたみたいですけど」

やす子「それなんだけどね――」

466 :キャプテンEDIT ◆EUWFb5QXUg :2012/08/14(火) 02:35:03 ID:???
〜数時間前〜

試合の会場近くの運動公園。
渡会への特訓は、そのサッカーグラウンドを利用して行われていた。

やす子「はい、また抜かれた! 相手に迫られるととりあえず前、ってのが君の悪い癖よ!
時にはどっしりと構える余裕も見せる! それが相手を惑わすことに繋がる事もあるって、覚えておきなさい!」

渡会「は、はいっ!」

試合の開始前からみっしりと、改めてキーパーのイロハを教え直す。
先日の花輪中戦。レッドカードに繋がるとびだしをした原因は、渡会の心理の裏に隠れた自信の無さ、と飯地は見ていた。
頼れるセンターバック・輝林の陰にいた渡会は、それに劣等感を感じる一方で頼りにし過ぎていたのではないか。
その余りに輝林と気脈を合わせようとし過ぎて、必殺セーブを使う余裕があったのに無闇にとびだしたのではないか。
それが飯地の分析である。
これを矯正する方法はただ一つ。
もう一度渡会に、基礎からキーパーのなんたるかを教え直し、正GKとしての自覚をより確かなものにすることである。

やす子(ある程度方向性の固まった渡会くんを、急激にパワーアップさせるには、まず基礎に立ち返らせることが重要!
とても一日の特訓だけでは出来ることじゃないけど……だからこそ、やり甲斐がある! も、燃えてきたわーっ!)

そうして、己の熱情のままに特訓に打ち込む飯地。
が、運動公園のグラウンドにはそんな光景を見つめる視線が――

467 :森崎名無しさん:2012/08/14(火) 02:36:30 ID:???
まさか……w

468 :キャプテンEDIT ◆EUWFb5QXUg :2012/08/14(火) 02:37:00 ID:Xt2kv35o
先着1名様で以下の文の『!』の後のスペースを消してカードを引いてください。

★出番が無かったのはこの判定の為だったんだよ!→ ! card=★

カードの絵柄で結果が変化します
ダイヤ・ハート → 「やれやれ。あれだけ検査に手間取らせて、結果は後日とはね……ん? あれは――」
            通りすがりのMくんだ! いや、本質的にはSだけど……
スペード・クラブ → 「ママー、あれって……」「しっ! 見ちゃいけません!」 通りすがりの母子だった……ガックリ・……
JOKER → 「ほう……この極東で、しかもあんな若い身空の女性で、サッカーのコーチとはな」
         な、謎のブラジル人監督だ! ブラジル人監督……一体何アンなんだ……

469 :森崎名無しさん:2012/08/14(火) 02:37:15 ID:???
★出番が無かったのはこの判定の為だったんだよ!→  ハート6 =★

470 :森崎名無しさん:2012/08/14(火) 02:37:21 ID:???
★出番が無かったのはこの判定の為だったんだよ!→  ダイヤ6 =★


471 :森崎名無しさん:2012/08/14(火) 02:37:28 ID:???
キタ!

472 :森崎名無しさん:2012/08/14(火) 02:38:39 ID:???
しかも原作での背番号6で登場

473 :キャプテンEDIT ◆EUWFb5QXUg :2012/08/14(火) 03:27:38 ID:???
どうも書くのに手間取ってすみません
通りすがりの三杉がコーチに加わる理由を合理的に描写するのがちょっと難しかったので(汗)
これが今回最後の判定ですので、出来ればお付き合いくださいませ

★出番が無かったのはこの判定の為だったんだよ!→  ハート6 =★
ダイヤ・ハート → 「やれやれ。あれだけ検査に手間取らせて、結果は後日とはね……ん? あれは――」
            通りすがりのMくんだ! いや、本質的にはSだけど……
------------------------------------------------------------------------------------------------------------------
三杉「やれやれ。一体、何だったんだ? あれだけ念入りに検査するなんて。身体の調子は悪くないはずなんだが……」

弥生「はふ……はふ……ま、待ってくださいよ、キャプテーンっ!」

後ろにちょろちょろと付いて回る弥生を引き連れて、会場への道を急ぐ三杉。
不可解な緊急検査入院を一晩で終えて、今は再び全国大会を観戦に向かう途中である。

三杉「お陰で昨日のリハビリメニューはこなせなかったし……それで完治が遅れたらどうするんだ」

弥生「か、完治してない自覚があるなら、もっとゆっくり歩いて下さいよぉ……」

三杉「む……(確かに、気付かない内に早足になっていたな。心臓負担が掛かる……いけない、いけない)」

と、弥生の諫言で歩調を緩めた時である。

三杉「ん? あれは――」

やす子「でやああああっ! イージーショットォ!」

渡会「なんのォ!」

ボールを打つ打撃音と、それを手でもって受け止める快音。それが三杉の耳に響いた。
何気なく目で追うと、そこにはやたら豪快なシュートを蹴る女性を相手にする、中学生程度の年齢のキーパーの姿がある。

474 :キャプテンEDIT ◆EUWFb5QXUg :2012/08/14(火) 03:28:41 ID:???
三杉「――あれは……確か鳴紋中のキーパー?」

弥生「ああ、度会くんですね。ドカイくん。昨日の試合で退場になった人ですよ」

三杉「……マネージャー。それ、多分渡るに会うって書いてワタライって読むんだと思うんだけど」

弥生「えっ? そ、そうなんですか!?」

三杉「まあ、珍しい名字ではあるが、その読み間違いはちょっと……昨日、退場になったって?
それで今日は出場停止か。ふぅん……」

そう言い、土手の上からグラウンドを見下ろすうちに、三杉の中で疼き出すものがあった。
都大会決勝。不本意な体調不良で負けたあの一戦以来、果たしてどれだけボールを蹴らずに来ただろうか。
心臓に無理を掛けず完治を目指す為とはいえ、ここ最近は地道なリハビリ程度の運動しかしていなかった。
……三杉とて、リハビリの重さは重々承知している。
生まれつき患っている身で、限られた時間とはいえ試合に出れるのは、たゆまぬリハビリに耐えてきたお陰だ。
気まぐれ程度の思いつきで激しい動きをしては、積み重ねてきた時間全てを棒に振りかねない。
だが、今日は……どういうわけか調子が良い。
賢明なはずの彼が、少し思いっきりボールを蹴っても構わないだろう、という気になるくらいには。

三杉「……すみません、ちょっと僕も混ぜてもらって構いませんか?」

弥生「え、ええっ!?」

気が付けば、傍らの弥生が声を上げるのにも構わず、土手を下りて声を掛けていた。
渡会が、不機嫌そうな表情で振り向く。

渡会「はァ? 誰だよ、お前。急に声掛けて、何の真似だ?」

三杉「僕かい? そうだね、通りすがりのサッカー好き、かな」

渡会「……こっちは遊びでやってんじゃないんだ。気まぐれに球蹴りたいなら、他当たってくんないか」

475 :渡会「伝説って?」やす子「ああ!」 ◆EUWFb5QXUg :2012/08/14(火) 03:30:33 ID:???
と、釣れない返事の渡会。
対して、特訓を付けていた飯地は目が飛び出るほど驚く。

やす子「な、なにィ!? そういう君は三杉淳! 小学生時代はあの南葛SCを限界一杯まで苦しめた、伝説の選手じゃないの!」

渡会「えっ(マジ? そんな有名なヤツだったの、コイツ?)」

三杉「これは恥ずかしいな(それにしても伝説とは大袈裟な)。僕の顔を知っていて貰えたなんてね」

弥生(いや、顔知っててもらわなかったら、叩き出されて終わりでしたよね?)

やす子「そりゃ勿論よ! 鍛えがいのある選手は一度見たら忘れないわ!」

三杉「ええっと、そう言えば貴女は?」

やす子「私が鳴紋中サッカー部監督、飯地やす子である!」

胸を張って名乗る飯地。

三杉「(監督? あのチームの監督ってほとんどテクニカルエリアに顔出さないからなァ)……そういえば、今日の試合は?」

やす子「ん。優秀な代行に任せて来たわ。
正直、三回戦よりもその先が難物だし、丁度いい機会だから集中的にこの子の面倒見ようと思ってね」

弥生「め、鳴紋中って、急場に監督の代行が出来る人材がいるほど、サッカーに力を入れてたんですかね?」

三杉「(普通の公立中にそんな予算は無いと思うが……はて?)そうですか。ところで、先程の申し出へのお返事は頂けませんか?」

三杉がそう話を振ると、飯地は珍しく悩ましげに考え込んだ。

476 :キャプテンEDIT ◆EUWFb5QXUg :2012/08/14(火) 03:32:00 ID:???
やす子「うーん……渡会くんにも色々なプレイヤーをぶつけて鍛えたいのは山々なんだけどねー。
君、身体の方は大丈夫なの? こういうとズルイけど、練習中に何があっても私は責任を負いかねるんだけど……」

心臓という重大な器官に病を抱えた選手である。
まかり間違って途中で倒れられたら、大きな問題となってしまうだろう。
三杉を監督する大人に許可も得ずボールを蹴らせることには、流石の飯地も二の足を踏んだ。

三杉「三十分。いえ、十分で良いんです。ご心配されずとも、自分の身体の事は自分が良く分かっていますよ」

弥生(いやいや、そんなこと言っても許可が出る訳は――)

やす子「ならば良し!」

弥生「――出すんだ!?」

思い切りのいい返事に、弥生も思わず素っ頓狂な声を上げてしまう。

やす子「という訳よ、渡会くん! 短い時間だけど、このレベルの選手との対決は得難い経験となるわ!
しっかり取り込んで血肉にして、特訓に役立てなさい!」

渡会「って、俺の意見は無視ですか? ……ちっ、しょうがないなァ」

と、三杉の方にボールを放って、ゴールマウスの前に構える渡会。

渡会(監督、やけにコイツの身体を心配してたけど、確かにヤケに細いなー。せりあいとかの時、大丈夫か?)

三杉(やはり足元にボールがあると、いつもより心臓が跳ねる……けど、発作の様な息苦しさは無い。胸が躍る、というヤツか。
……久しぶりに、思いっきり行くぞ!)

かくして渡会への特訓は、奇妙な乱入者を加えて再開されるのだった。

477 :キャプテンEDIT ◆EUWFb5QXUg :2012/08/14(火) 03:33:32 ID:Xt2kv35o
先着3名様一行ずつで以下の文の『!』の後のスペースを消して判定を行ってください。

★飯地のスパルタ指導→ ! card=★
★三杉のドSコーチ→ ! dice=★
★渡会の練習→ ! card=★

二枚のカードのマークが一致した場合、数値の合計に+5されます。
なお、JOKERの数字は15、マークは全てのマークと同じとします。
カードとダイスの数値で結果が……

35以上→渡会、神になる。全能力+4、マークに応じた成果習得! 更に最大ガッツ+50!
31〜34→渡会、超化。全能力+3、マークに応じた成果習得! 更に最大ガッツ+20!
26〜30→渡会、進化。全能力+2、マークに応じた成果習得! 更に最大ガッツ+10!
21〜25→渡会、変貌。全能力+1、マークに応じた成果習得!
16〜20→渡会、飛躍。マークに応じた成果習得!
11〜15→渡会、成長。マークに応じたフラグ習得or回収!
2〜10→渡会、脱皮。覚醒フラグ+1/4

効果があった場合、監督の絵柄に応じたスキル習得!
ダイヤ → 三杉「退場の原因とはいえ、君のとびだしは大きな武器だ。もっと伸ばそう」 やす子「うっしゃー! 燃えて来たーっ!」
ハート → 三杉「もう少しパンチングに安定感が必要だと思うな」 やす子「それもそうね!」
スペード → 三杉「1対1の判断はこうすれば良くなるんじゃないかな?」 やす子「良い目の付けどころだわ!」
クラブ → 三杉「敵エース以外のシュートは、キャッチで処理できるようになるべきでは?」 やす子「その発想は無かった!」
JOKER → やす子「よし、それ全部やろう」 三杉「えっ」 渡会「えっ」

と分岐します。

478 :森崎名無しさん:2012/08/14(火) 03:33:47 ID:???
★飯地のスパルタ指導→  スペード8 =★

479 :森崎名無しさん:2012/08/14(火) 03:33:58 ID:???
★飯地のスパルタ指導→  スペードK =★
いけぇ!!

480 :森崎名無しさん:2012/08/14(火) 03:34:10 ID:???
★三杉のドSコーチ→  2 =★

481 :森崎名無しさん:2012/08/14(火) 03:34:52 ID:???
★渡会の練習→  ハートJ =★

482 :森崎名無しさん:2012/08/14(火) 03:35:15 ID:???
三杉GJ!

483 :森崎名無しさん:2012/08/14(火) 03:36:01 ID:???
よしよし全能力+1に一対一+3になったかな

484 :森崎名無しさん:2012/08/14(火) 03:38:40 ID:???
ベストとまでは行かなかったがそれなりに良い結果だったな。

485 :キャプテンEDIT ◆EUWFb5QXUg :2012/08/14(火) 03:39:29 ID:???
貴公子パワーのお陰で、渡会が無事パワーアップ出来たところで、今回はここまでです
やっぱり三杉は書く時に緊張しますね……人気キャラな上に頭が良いものですから、
書いてるうちにボロとか出ないかガクブルものです
次回はこの続きから、南葛の三回戦をサラッとやって夜の選択になると思います
今回はとりわけ遅くまでお付き合いいただき、ありがとうございました!

486 :森崎名無しさん:2012/08/14(火) 03:41:01 ID:???
遅くまで乙です。

487 :森崎名無しさん:2012/08/14(火) 10:40:25 ID:???
下剤乙

488 :森崎名無しさん:2012/08/14(火) 19:51:44 ID:???
Mさん
「よかれとおもってでてきたよ!すこしわすれてた?」

489 :森崎名無しさん:2012/08/15(水) 01:23:00 ID:???
夜の行動どうしようかと思ったが、早めに休む選択すると回復判定優遇されるみたいだな過去スレ見ると

490 :森崎名無しさん:2012/08/15(水) 01:35:53 ID:???
最低でも治りかけ以上か

491 :キャプテンEDIT ◆EUWFb5QXUg :2012/08/15(水) 01:44:26 ID:???
>>486-487
乙感謝です……って、GJな働きをしても下剤ですかw
>>488
忘れてないよっ。いえ、本当にこの判定の為に比良戸戦では登場させなかったんです
本当ですよ?
>>489-490
まあ、その選択もありといえばありです

最近、また投下が遅くなり始めてすみません
今回の投下です
深夜投下にもかかわらず無判定パートが長くなっていますので、ご注意ください
これも全て三杉淳ってヤツのせいなんだ

492 :キャプテンEDIT ◆EUWFb5QXUg :2012/08/15(水) 01:45:33 ID:???
飯地のスパルタ指導→  スペード8 =★
★三杉のドSコーチ→  2 =★
★渡会の練習→  ハートJ =★
8+2+11=21 … 21〜25→渡会、変貌。全能力+1、マークに応じた成果習得!
スペード → 三杉「1対1の判断はこうすれば良くなるんじゃないかな?」 やす子「良い目の付けどころだわ!」
---------------------------------------------------------------------------------------------------------------------
三杉「それじゃあ……行くよ!」

そうして三杉は助走を付けて走り出し、まずは小手調べの直接フリーキックを蹴る。

渡会「う、うおぉおっ!?」

軽やかな動き、流麗なフォーム、そして正確な読みと狙い。
大前のドライブシュートや比良山のスネイクレイドのような大技ではないが、それでも身に感じる脅威度はかなりのものだ。
マークする者がいないこともあって十分に狙い澄まされたそれは、もしかするとスカイラブハリケーン並に危険なシュートかもしれない。

渡会「こん……のォ!」

鋭い軌道で飛来するそれを、渡会はダイビングキャッチを繰り出すことで、なんとか両手に収める。

弥生「きゃ、キャプテンのシュートを止めた!?」

三杉「ほぉ……」

好調時のフリーキックが止められたことに、三杉の力量をよく知る弥生は声を上げ、本人も僅かに瞠目する。

493 :キャプテンEDIT ◆EUWFb5QXUg :2012/08/15(水) 01:46:46 ID:???
だが、最も驚いているのは止めた渡会だ。

渡会(なんてヤツだ……これ、ただのシュートだろ!? いくらフリーキックとはいえ、必殺キャッチでないと止められないだと?
このレベルの選手が、どうして全国大会に出られなかったって言うんだ!?)

やす子(パワーは無いけど、それを補って余りあるテクニックとアイディア……。
とてもじゃないけど、ブランクがある上に心臓にハンデを背負っている選手とは思えないわね)

渡会が突如現れた未知の強敵を前に冷たい汗を流し、飯地は聞きしに勝る才気に思わず唸る。
三杉はというと、そんな二人の様子を気にした風も無く、ゆったりとした歩調でペナルティエリアの近くまで歩く。

三杉「流石は全国取りを本気で狙うチームの正GKだ。やっぱりただのシュートではゴールは割れないか」

渡会「……そりゃどーも(くそ。この口ぶりだと、やっぱり何か必殺シュートを持ってやがるか、コイツも)」

三杉「そう不機嫌そうな顔をしないでくれよ渡会くん。僕だって、結構自信のあった一発を止められて、軽くショックなんだしね。
……ええっと、飯地監督でしたっけ? 今度はダイレクトシュートで行きたいんで、高めのセンタリングをお願いします」

やす子「あいよー。ほんじゃ、渡会くんボール貸して」

と、要求通りにクロスを上げやすい位置に付く飯地。

渡会「高めのダイレクトシュート、ね。悪いがそいつはウチのチームの専売特許だ。簡単にはやらせねえぜ?」

内心感じる不安を押し殺しながら、再び身構える渡会。
思い起こされるのは、昨日に経験したばかりの最悪の失点劇。
それを振り払うように、グラブを嵌めた両手を景気良く打ち合わせる。

494 :キャプテンEDIT ◆EUWFb5QXUg :2012/08/15(水) 01:47:57 ID:???
三杉「それもそうだね。じゃあ君のお眼鏡に適うよう、精一杯やらせて貰おうかな」

渡会(今、はっきり分かった。コイツ、絶対に性格悪い!)

穏やかな笑顔と慇懃な物腰をしているが、その裏に見え隠れするのは絶対的な自信。
何とはなしにそれを感じ取った渡会は、三杉の本性を直感的に看破する。
そして、これから飛んでくるシュートも、それに見合うだけのものであることも確信する。

渡会(ダイビングキャッチじゃ、まず無理。人数を掛けられない状況じゃ、とびだしも効果薄。
となると……アサルトキャッチで行くっきゃないか。この後の特訓の為にも、飛ばさずに行きたかったんだが……)

いきなり特訓に殴り込んできた輩を、鼻高々で返してやるほど渡会のプライドは低くない。
ここは渾身のセービングで、何としても止める。その意思を固めた。

やす子「おーし! そんじゃ、蹴るわよーっ!」

三杉「はい」

渡会「……いつでも来い!」

弥生(あわわ。キャプテンったら、すっかり『アレ』を出す気になってる……身体に負担が大きいのにー!)

そして飯地監督の蹴ったセンタリングに、三杉が軽快な走り出しでとびついた。
ダッシュの勢いを殺さないままにくるりと腰から回って背を向け、そのまま重力に引かれるように縦に回転しながらのキック。

渡会(やっぱりオーバーヘッドか!)

華奢な体格――特に首周りの細さから、三杉は大前のようなヘディンガーではない、ということは見ただけで分かっていた。
そんな選手が高い浮き球で強烈なダイレクトシュートを撃とうとすれば、その名の通り頭を越して蹴るオーバーヘッドしかない。

495 :キャプテンEDIT ◆EUWFb5QXUg :2012/08/15(水) 01:49:05 ID:???
渡会(悪いが、そりゃ見慣れたもんだぜ! ウチにはヘディングの専門家だけでなく、オーバーヘッドのスペシャリストもいるんでね!)

ボレーからオーバーヘッドまで、手広くダイレクトシュートを得意とする比良山。
彼と練習時に相対した経験を元に、渡会はシュートの軌跡を瞬時に求め、そのコースに身を乗り出す。
三杉のオーバーヘッドは、確かに打点が高い上にいやらしい狙い方をしている。
だが渡会のアサルトキャッチは、積極的に前に出て敵が撃てるコースを潰し、前進の勢いでもって球威を相殺する必殺セーブ。
これを前にしては、ただのオーバーヘッドなど通用しない。
……はずなのだが、

三杉「悪いけど、僕のオーバーヘッドは――」

渡会(なっ!?)

三杉「――人に言わせると、普通とちょっと違うらしいよ?」

三杉が放った物は、ただのオーバーヘッドとは趣きを異にしていた。
通常、オーバーヘッドキックとは、高い打点を利して地面に叩きつけるように撃つシュート。
自然、高所の位置エネルギーを得た分だけ威力が上がる、という仕組みだ。
しかし三杉の場合、本人の繊細さを表す様に叩きつける、といった蹴り方はしない。
……三杉のオーバーヘッドは、ボールを『擦る』。
腰の横方向の捻りが終わりきらない、回転の途中の状態のまま撃つことで、ボールの横を撫で擦るように蹴るのだ。
自然、放たれたシュートは横回転を帯び、カーブが掛かる。
その為、ボールは渡会が想定したコースを外れ、伸ばした右腕を嘲笑うように曲がり、ゴールへと伸びていく。
既に宙を薙いだ手で、身体の後ろのボールを掴めるはずはない。
ファサっ、と優しげにネットが揺れる音が渡会の耳に届いた。ゴール、である。

やす子「お見事。これが……噂に聞く三杉淳の『ハイパーオーバーヘッド』」

三杉「フフフ、そう呼ぶ人もいるらしいですね(コレを出すのは久しぶりだな。撃つ必要があった東邦戦では腹痛の所為で……忌々しい)」

音もしないほど柔らかい着地を決めながら、三杉がそう言う。
その言葉を、渡会は身が震えるほどの衝撃と共に聞いていた。

496 :キャプテンEDIT ◆EUWFb5QXUg :2012/08/15(水) 01:50:12 ID:???
渡会(ば、馬鹿な……今のシュートはまるで、立花兄弟のデルタツイン以上……!
ひ、一人でそんな大技を出せる様なヤツがいるチームが、全国に出てきていないだと!?)

紛れも無く全国トップクラスのFWを抱えるチームのGKとして、彼らに追いつこうと必死で足掻き続けてきた渡会。
しかし、その自負は今、粉微塵に砕かれた。
……全国は広い。このような凄腕が野に埋もれている程に。
渡会は改めてそのことを知った。

渡会「も、もう一回! もう一回だ!」

三杉「え? もう一回って……またオーバーヘッドで、ということかい?」

渡会「ああ! 鳴紋中のキーパーとして、これ以上誰とも知らないヤツにハイボールで負けて堪るか!
頼む! もう一回だけでいいから!」

やす子(誰とも知らないヤツ、って……いやいや、三杉くんって超有名だから。確かウチの学校にもファンクラブの会員がいた様な)

三杉「うーん、困ったな……そんなに何度も使っていたら、他のプレイを試す前に僕が持たないよ」

そう言い、三杉は柔らかく髪を掻き上げる。
ハイパーオーバーヘッドは、紛れも無く大技だ。必然、体力の消耗は大きくなる。
出来ればドリブルなども今日の内に試しておきたい三杉としては、そう何度も繰り出したくないところである。

渡会「そこを何とか!」

やす子「……そんじゃあ、次は三杉くんのやりたいプレイに付き合って、それで勝てたらリベンジでいいじゃん。
ちょうど今、お互いに一勝一敗なんだし」

三杉「それは名案ですね! 是非、そうしましょう」

渡会「よし! 望むところだ! 次は何だ? 俺はキーパーだから、勝負できそうなのは後、1対1くらいだぞ?」

497 :キャプテンEDIT ◆EUWFb5QXUg :2012/08/15(水) 01:51:24 ID:???
三杉「ちょうどよかった。僕、それも得意だよ?」

渡会「言ったな? 吐いた唾は飲めんぞー!?」

そして、なし崩し的に1対1勝負が始まる。

弥生「きゃ、キャプテーン! もうそろそろ、お医者さんに止められている時間に……って、聞いてない!?」

渡会「うおりゃあああっ!」

三杉「ふっ、甘い!」

やす子「うっひょー! 今のが『芸術的』とも言われた三杉淳のドリブル! 辛抱堪らん! この子も鍛えたい!」

……結局、痺れを切らした弥生が乱入するまで続いた1対1勝負は、渡会が負け越し、ハイパーオーバーヘッドへのリベンジは叶わなかった。
が、自チームのエースたちとは毛色の違う相手との経験を通じ、渡会の判断力は大いに磨かれたという。
そして勿論、三杉たちと別れた後も、渡会は発奮した飯地監督に心行くまでしごかれるのだった。

三杉「ま、マネージャー? 僕をどこへ引き摺って行くんだ? もうすぐ鳴紋中の試合の時間に――」

弥生「病・院ですっ! まったく何を考えているんですか! 気が付けば、止められている三十分の倍は動いていましたよ!?
倒れていないのが奇跡じゃないですか! 今すぐ、もう一度検査して貰わないと!」

三杉「――ま、待ってくれ! 今日の試合は、絶対に面白いものが見れるはずなんだ!
鳴紋と戦う比良戸は、僕の見るところ実力を隠していてね!?」

弥生「いいから病院ーっ!」

……もしかすると、この邂逅によって三杉と弥生の関係は読者諸兄の知るものと大きく変化するかもしれない。
が、それは今後の展開次第ということで。

498 :キャプテンEDIT ◆EUWFb5QXUg :2012/08/15(水) 01:52:27 ID:???
〜再び控室〜

やす子「――てなことがあったのよ」

大前(三杉……アイツ、何しているんだ? 監督の話だと、アイツとの出会いが特訓にいい方向に作用したらしいけど――)

多少の因縁がある人物の不可解な行動に、思わず頭に手をやってしまう大前だった。

雪村「三杉って、あの『ガラスのエース』三杉淳? 小学校時代は凄い有名な人だったじゃない!」

本多「そうなのか? いや、俺たちは県外のことには正直疎くてな」

宇津木「ちゃんと仕事すろ。三杉淳といえば南葛の大空と森崎、大友の中山さんがアライアンス組んでも手こずった、とてとてのMF。
必殺のハイパーオーバーヘッドは飛ぶながら叩きつける技と違って華麗な超必殺技だと有名だべ」

輝林「……渡会さんを手玉に取るとは、やはり衰えてはいませんでしたか(となると例の都大会決勝の件は、やはり――)」

やす子「ま、急に混ぜてくれって言われた時は面食らったけど、渡会くんの成長に少なくない貢献をしてくれたのは確かだしね!
今度会った時は、何かお礼しなきゃねー。今日はマネージャーらしい子に引っ張られてあっという間にいなくなっちゃったし。
ねえ、何かあの子の喜びそうなものって知らない? 大前くんたち兄弟とか輝林くんは、彼と同じ東京出身でしょ?」

大前「いや、俺も二、三言交した程度の仲ですし……」

輝林「……対戦経験がありません」

達也「俺は学年違うんで」

499 :キャプテンEDIT ◆EUWFb5QXUg :2012/08/15(水) 01:54:50 ID:???
やす子「(輝林くん、思わせぶりなセリフの割に……)あら、そう。残念。じゃあ、思い切って今度お寿司でも奢っちゃいましょうか!
去年ね、ここの近くに安くて美味しい店を見つけたのよー」

菱野「い、いつの間にそんな目星を……」

大前「じゃあ、俺らも連れて行ってくださいよ。優勝した後の、祝賀会代わりにでもね」

やす子「ぬかしおる。こやつめ、ハハハ!(いやいや、いくら安くても全員分のお寿司は無理っ! 無理だから!)」

本多「何にせよ、これで――」

渡会「うーん、うーん……ちくしょう三杉め……今度こそ止める〜……あ、監督それは無理やめて……」

本多「――お前もより強くなって戦列復帰という訳だな。今日の仕事への、何よりの報酬だよ」

と、未だにうわ言を漏らしながら気絶する渡会に、いつになく優しい目を向ける本多だった。


※ 渡会の才能が開花し、全能力が+1されました! ※
※ 渡会のスキル・1対1+2が1対1+3に進化しました! ……ただし、持っていたせりあいフラグも回収されてしまいました ※

500 :キャプテンEDIT ◆EUWFb5QXUg :2012/08/15(水) 01:56:48 ID:???
その後は南葛中の三回戦を偵察するため、客席に移動した鳴紋中だったが、そこで得られたものは少なかった。
というのも、南葛中の相手は可もなく不可も無くといったレベルのチームであり、展開されたのはいつもの南葛の試合だったのだ。
つまり……無失点大量得点の、一方的な虐殺試合だ。

実況「試合終了ーっ! 王者南葛・ベスト16でも向かうところ敵無し! スコアは実に8−0! これが全国大会で出る点差か!?
先程の鳴紋やふらの以上のものを見せてくれました! 相手校を鎧袖一触で粉砕し、準々決勝進出だーっ!」

大前(観客席)「森崎がオーバーラップし、滝がサイドを上がり、長野が落とし、来生や井沢が決め、大空は我が道を行く。
まったく、嫌になるくらいいつも通りだな。全国まで来たら、何か新しい発見でもあるかと思ったけど、まるで隙が見当たらない」

菱野(観客席)「強いて言えば森崎選手のオーバーラップ後、がら空きになったゴールですが……
まずボールを取れる選手がいなくては、それがチャンスにはなりませんわね(ANS、このチームにどこまで通用するでしょうか?)」

雪村(観客席)「うっ、大空のヤツ、去年より凄みが増してない?」

宇津木(観客席)「雪村さん、悪いが俺のログには何も無いな(正直、アイツはレベルが違うというのが正直な感想。
だが、勝った者が強いのだとい名セリフを知らないのかよ。全国で一番のMFは俺たちを優勝に導く雪村さんだ!)」

本多(観客席)「ふらのの松山も大概だが、アレは攻撃面ならそれ以上だ。まったく、どこまでも難儀な敵だ」

息を呑む鳴紋中選手たちの見下ろすピッチでは、挨拶を終えた南葛イレブンが余裕の表情で引き上げを始めていた。

501 :キャプテンEDIT ◆EUWFb5QXUg :2012/08/15(水) 01:57:50 ID:???
翼「よし、今日はハットトリック達成! これで得点王ランキングは後一点で追いつくな(今年こそ、得点王とMVPは渡さないぞ!)」

石崎「凄かったなあ今日の翼は! こっちのブロックは似たり寄ったりなのばっかりだから、この勢いだと今年こそ得点王だな!」

森崎「ぬぐぐぐっ!(くそ、アイツの所為で三試合連続ゴールしたのにインパクトが喰われてやがる。おのれ翼めェ!)」

井沢(俺も今日二ゴールの活躍なのに、どいつもこいつも翼、翼、翼っ! 忌々しい!)

長野「滝、今大会初ゴールおめでとう」

滝「なあに、それも今日3アシストのお前には負けるぜ」

岩見(森崎、今日はヤケに味方にボールを回していたな。相手はやはり井沢、滝、長野の自分よりの仲間。
……例の疑惑の所為で落ちた求心力を、回復させたいのか?
だが、今日の翼の活躍でその効果の程は微妙に、といったところか)

小田(寿司)「中里、今日はいつもにまして消え気味だったな? もっと積極的に行こうぜ?」

中里「あ、あははは……き、昨日の正座のしびれが残っていたのかな?
(鳴紋中の連中の前で、本気のプレイは出来んでゴザル……もしかすると、身のこなしから正体がバレるやも――)」

山森(俺の出番、まだかな……せっかく、今までより強くなれたのに……)

大会半ばを過ぎても、王者に陰りの気配なし。それが現時点での周囲の評価だった。
鳴紋中がこの最強の敵とまみえるのは、決勝戦。その途上に立ちはだかる相手は、あと二つ。

502 :キャプテンEDIT ◆EUWFb5QXUg :2012/08/15(水) 01:58:51 ID:???
大会得点ランキング(表記はメインキャラのみ)
9ゴール 大前
8ゴール 翼
6ゴール 小田(ふ)
5ゴール 比良山、反町、松山
4ゴール 井沢
3ゴール 森崎、来生、政夫、和夫、佐野
2ゴール 雪村、沢田、長野
1ゴール 滝、岩見

大会アシストランキング(表記はメインキャラのみ)
6アシスト 沢田
5アシスト 滝、長野、松山
4アシスト 沢田、松山
3アシスト 大前、政夫、和夫
2アシスト 雪村、本多、長野
1アシスト 宇津木、森崎、井沢、小池、次藤

503 :キャプテンEDIT ◆EUWFb5QXUg :2012/08/15(水) 01:59:52 ID:WdUPTpTI
〜旅館、夜〜

大前「大会もいよいよ残り半分、ってところか。これからが正念場だな!
……なのに俺は怪我で練習できない。南葛の試合も見て身体がうずうずしているのに、思いっきり運動出来ないとは。くっ、もどかしいなァ!
こうなったら、誰かチームメイトを焚きつけに行くか? それとも、監督や菱野さんに特訓の依頼をする?」


先に3票入った選択肢で進みます。メール欄を空白にして、IDを出して投票してください。

A.誰かと話す(対象も併記してください)
×.一人で特訓だ!(現在、大前は怪我をしています)
×.誰かと二人で特訓だ!(現在、大前は怪我をしています)
D.疲れているし、さっさと寝よう
E.久々に瞑想でもしてみるか
F.その他(自由選択です。大前に取らせたい行動を併記してください)

504 :森崎名無しさん:2012/08/15(水) 02:00:45 ID:8mUoc0eQ
A 水守

505 :森崎名無しさん:2012/08/15(水) 02:01:15 ID:MORtYxZ+
A菱野

506 :森崎名無しさん:2012/08/15(水) 02:01:45 ID:iPq1TEac
A 水守

507 :森崎名無しさん:2012/08/15(水) 02:02:41 ID:AFVyVj62
A 水守

508 :キャプテンEDIT ◆EUWFb5QXUg :2012/08/15(水) 02:08:17 ID:???
水守と会話することに決めた所で、短いですが今回はここまでです
流石にこう連続で深夜更新は辛いです、すみません(←貴様が早く始めればよかろうなのだ)

それにしても、私は何でこんなに三杉に文章量を割いてるんでしょう……
これじゃあまるでキャプテン渡会・第××話『謎のライバル登場! その名は三杉!』
って感じです。筆が滑るって、怖いですね(汗)

次回は何とかふらの戦が始まる所まで進めたいと思います
それと、前スレの埋めもどうにかしようかと
今回も拙作にお付き合いいただき、ありがとうございました

509 :森崎名無しさん:2012/08/15(水) 02:09:26 ID:???
アシストランキングタケシが分裂してる……大した奴だ

510 :森崎名無しさん:2012/08/15(水) 02:11:49 ID:???
普通のタケシとサッカーカットのタケシがいるんだよ乙

511 :キャプテンEDIT ◆EUWFb5QXUg :2012/08/15(水) 02:12:16 ID:???
>>509
ゲェー!? タケシと、それと気が付けば松山も!?
すみません、正しくは以下の通りです
これで大丈夫……なはず
ご指摘ありがとうございました

大会アシストランキング(表記はメインキャラのみ)
6アシスト 沢田
5アシスト 滝、長野、松山
3アシスト 大前、政夫、和夫
2アシスト 雪村、本多、長野
1アシスト 宇津木、森崎、井沢、小池、次藤

512 :森崎名無しさん:2012/08/15(水) 02:15:12 ID:???
アシストランク松山も分裂中っす忍者の多い大会だなw
ついでに翼アシスト0ってMFとしてどうなのよ?w

513 :森崎名無しさん:2012/08/15(水) 02:20:28 ID:???
乙でした。

森崎の妨害もあるのにMFでこれだけ得点重ねるってことは
相当前目に張ってるかボール受けたらこねないで即シュート態勢に入ってるんだろうな。
去年は10アシストもしてるんだから、いい加減アシストする気がないって誰かに気づかれてもよさそうだな。
三杉に見上、鳴紋だったら菱野さんあたりかな早期で気付きそうなのは。

514 :森崎名無しさん:2012/08/15(水) 04:32:16 ID:???
次はふらのか 守備力は比良戸より下だろうから得点には苦労しなさそうだな
真っ向勝負のほうが松山も喜ぶし力押しでいいんじゃないかな

515 :森崎名無しさん:2012/08/15(水) 09:35:23 ID:???
同じ分身しているのに誰にも気づかれない長野……

516 :森崎名無しさん:2012/08/15(水) 17:50:07 ID:???
しょうがないとはいえ、比良戸はぜんぜん守備陣の出番は無かったし、
ふらの戦は大前が動くのは松山と当たるときと、アシストもしくは点取るときぐらいでよさそうだな。

517 :森崎名無しさん:2012/08/15(水) 18:59:23 ID:???
今までは体力に余裕があるうちは動いていたけど、あえて動かないのも仲間を鍛えていく上では大事かな。

518 :キャプテンEDIT ◆EUWFb5QXUg :2012/08/16(木) 00:13:37 ID:???
>>510
乙感謝です! いやいや、この時代でサッカーカットは未来に生き過ぎですw
私たちの時代から見ても相当な未来に感じますがw
>>512
サイタマですから
>>513
乙、ありがとうございます。まあ、本スレ翼も中学生編ではアレでしたしねw
>>515
あわわ、まだミスがorz
ご指摘、ありがとうございます。以下、訂正後のものです。何度も似たようなミスをしてすみません

大会アシストランキング(表記はメインキャラのみ)
6アシスト 沢田
5アシスト 滝、長野、松山
3アシスト 大前、政夫、和夫
2アシスト 雪村、本多
1アシスト 宇津木、森崎、井沢、小池、次藤

>>514,516-517
さて、どう戦うのが正解でしょうかね
比良戸中戦も結構私の予想とは違う展開になりましたし


では、今回の投下です

519 :キャプテンEDIT ◆EUWFb5QXUg :2012/08/16(木) 00:14:41 ID:3RjjYRpw
>>A.誰かと話す → 水守
---------------------------------------------------------------------------------------------------------
大前(ある程度、現状の伸びしろが大きく……そして、補強の必要が大きいポジションにいる者。
となると、やっぱり水守か。前回もハーフタイム中に焚きつけて、浅村との特訓に行かせたんだよな)

とはいえ、まだまだ成長に期待を掛けたい可愛い後輩である。
大前は水守と話をするために二年生数人が起居する部屋へと向かった。

――コン、コン。

大前「おーい、水守はいるかー?」

ノックしてから声を掛けると、ややしてドアが開かれた。
そこから顔を覗かせたのは――


先着1名様で以下の文の『!』の後のスペースを消してカードを引いてください。

★水守くん、いるの?→ ! card=★

カードの絵柄で結果が変化します
ダイヤ → 浅村「水守なら、宇津木と一緒に練習に出たっスよ?」
ハート → 宇津木「水守は浅村と練習に出たんだが? ちゃんと予定を把握しておけと言いたい痛い目を見る」
スペード・クラブ → 水守「はい、なんでしょう?」
JOKER → やす子「水守くんなら、これから私が特訓に連れて行くわ!」 なにィ!?

520 :森崎名無しさん:2012/08/16(木) 00:14:55 ID:???
★水守くん、いるの?→  クラブ8 =★

521 :キャプテンEDIT ◆EUWFb5QXUg :2012/08/16(木) 00:32:21 ID:???
★水守くん、いるの?→  クラブ8 =★
スペード・クラブ → 水守「はい、なんでしょう?」
---------------------------------------------------------------------------------------------------------
大前「お、部屋にいたか水守。いや、まあ、特訓の進捗状況とかその辺の話をしようと思ってな」

水守「特訓、ですか。そうですね……今日の試合、僕らDFはあまりボールに絡めていませんでしたし。
これから寝るまでの間に少し出ようかな、とは思っているんですよ。色々と試したいこともありますしね」

大前(おおぅ……す、凄くききわけがいい……出来た後輩過ぎて、怖いくらいだ)

実は二連続で練習について意見をしに行くことに、僅かながら躊躇を感じていた大前。
だが、恐ろしく素直に言を受け入れる水守の態度に、ホッと胸を撫で下ろす。

水守「ただ、練習のパートナーなんですけど……。
宇津木は今日、消耗の大きかった中盤の選手ですし、浅村は何だか間が悪く声を掛けそびれちゃいまして」

見ると、宇津木は早くも布団を被って寝息を立てており、浅村の姿は見えない。
恐らく風呂にでも行ったか、他の同級生に誘われてどこかで寛いでいるのだろう。

大前「あらら。それは困ったな」

水守「ですので、大前さん。ちょっと観るだけでいいんで、付き合ってくれませんか?」

大前「まあ、見るだけなら怪我には障らないし、良いぞ」

水守「ありがとうございます! 助かりますよ!」

522 :キャプテンEDIT ◆EUWFb5QXUg :2012/08/16(木) 00:33:38 ID:3RjjYRpw

  … … …


というわけで、近場の運動公園にやってきたのだった。

水守「今、練習しているのはタックルなんですけど……一人じゃ練習しづらいですね」

大前「怪我さえ無けりゃ、俺が相手になったんだけどなァ」

水守「まあ、それは仕方ないですよ。ちょっと相手をイメージしながらタックルのフォームを見せますので、
気になる事があったら言って下さいね?」

大前「ああ、分かった」

とは言ったものの、大前は練習に取り掛かり始める水守を見て思案する。

大前(うーん、ただ見てるだけってのも座りが悪いな。折角俺も来ているんだし……練習用アイテムでも貸してあげようか?)


※ タックル練習用アイテム・瀟洒なナイフ:残り使用回数一回 ※

先に3票入った選択肢で進みます。メール欄を空白にして、IDを出して投票してください。

A.出来た後輩の為だ! ケチケチせず使うぜ!
B.残り一回だし、ここはとっておこう……

523 :森崎名無しさん:2012/08/16(木) 00:33:59 ID:2vnOQUSo


524 :森崎名無しさん:2012/08/16(木) 00:34:04 ID:yF5wE3Ng


525 :森崎名無しさん:2012/08/16(木) 00:35:47 ID:2ajH941U


526 :キャプテンEDIT ◆EUWFb5QXUg :2012/08/16(木) 00:44:03 ID:3RjjYRpw
>>A.出来た後輩の為だ! ケチケチせず使うぜ!
-----------------------------------------------------------------------------------------------------------------
大前「待て、水守。練習を始める前に、これを身に付けろ。タックルの練習に効果があるらしいぞ?」

水守「えっ、なんですかコレ? ……ナイフ、型のお守り?」

大前「何でも、集中力を高めてキレのあるタックルを出すのに役立つそうだ」

水守「は、はあ……じゃあ使わせて貰います(大前さんって、意外と験を担いだりするタイプなのかな)」

そんなこんなで、水守の夜の練習が始まった。


先着1名様で以下の文の『!』の後のスペースを消して判定を行ってください。

★タックルはキレたナイフや→ ! card+! dice/2=★

カードとダイスを合計した値(端数切り捨て)で以下の様に分岐します
12〜14→↓の結果+更に才能開花で全能力+1!
7〜11→タックルフラグを回収!
6以下→成果無し……
15以上→新必殺タックル習得! 更に才能二段階開花で全能力+2!

527 :森崎名無しさん:2012/08/16(木) 00:45:08 ID:???
★タックルはキレたナイフや→  スペード5 + 4 /2=★

528 :森崎名無しさん:2012/08/16(木) 00:45:11 ID:???
★タックルはキレたナイフや→  クラブ4 + 2 /2=★


529 :森崎名無しさん:2012/08/16(木) 00:46:35 ID:???
ギリギリだったな

530 :キャプテンEDIT ◆EUWFb5QXUg :2012/08/16(木) 01:08:40 ID:???
>>529
珍しく、いちたりたでしたね。特訓アイテム様々です

★タックルはキレたナイフや→  スペード5 + 4 /2=7★
7〜11→タックルフラグを回収!
---------------------------------------------------------------------------------------------------------------
仮想の敵選手を相手に延々とタックルを繰り出すモーションを見せる水守。
だが、対戦相手をイメージしながら的確な動きが出来るほど、水守も器用ではない。

大前「うーん……やっぱりイメージトレーニングで急なパワーアップ、ていうのは難しいのかな」

いつだったか、イメージトレーニングだけで大幅にパワーアップ出来た男には言われたくない。
まあ、その時にはイメージを補強する材料を用意して貰った上でのことだが。

水守「くっ、難しいですね……」

大前「それに、無理に考えを続けながら動いてるせいか、どうにも続けるごとにぎこちなくなって来てないか?
……水守。ここは一度、何も考えずに思いっきり動いてみるのはどうだろう」

水守「何も、考えずに――」

それは浅村との特訓の際にも、言われたことだった。

531 :キャプテンEDIT ◆EUWFb5QXUg :2012/08/16(木) 01:09:48 ID:???
水守(そうだ、無心……思考を放棄するのではなく、雑念を捨てて、一所懸命の気持ちで相手に挑む!
今の僕に足りないのは、それなんじゃないか?)

そう思った瞬間だった。

水守「――見えた! そこォ!」

大前「お、おおおぉぉおおぉっ!?」

先程のまでのチグハグな動きから一転、身体を投げ出す様な思い切りの良いタックル。
今まで水守が心がけていた、丁寧にボールを奪う動きではなく、相手を吹っ飛ばしてでも奪うというひたむきな動きである。

大前「い、今のタックルは結構凄いんじゃないか? それだよ水守! この手応えを、覚えておくんだ!」

水守「え、ええっ!(完成した……僕の新必殺タックルが!)」


※ 水守がタックルフラグを回収し、新必殺技『ソウルタックル』を習得しました! ※
※ 発動率1/4、威力3(吹っ飛び係数4)の必殺タックルです ※
※ アイテム『瀟洒なナイフ』を使いきりました。消滅します ※

532 :キャプテンEDIT ◆EUWFb5QXUg :2012/08/16(木) 01:10:51 ID:3RjjYRpw
〜一方、その頃〜

大前が怪我を押して水守の練習を見ていたころ、他にも収まりがつかずに動き出すものがあった。
特に今回偵察した南葛戦、そしてふらの戦。
決勝で待つ大敵と、明日に控える難敵。それを見据えれば、いくら腕を上げても足りるものではない。
その思いに突き動かされた選手とは――


先着1名様で以下の文の『!』の後のスペースを消してカードを引いてください。

★動き出すヤツら→ ! card=★

カードの絵柄で結果が変化します
ダイヤ → 比良山が本多に声を掛けた!
ハート → 宇津木が夜中に目を覚まして練習に出かけた! 謙虚だなー憧れちゃうなー
スペード・クラブ → 末松がパワーブロック強化のために練習に出かけた!
クラブのA → やす子「な〜んて展開があると胸熱……ZZZ……」 上記のモノローグは監督の夢だった!
ダイヤのK・JOKER → 菱野「ふぅ……今日の試合であの方の特訓用データが取れましたわ!」 あれ、選手じゃないの?

533 :森崎名無しさん:2012/08/16(木) 01:12:01 ID:???
★動き出すヤツら→  ダイヤQ =★


534 :森崎名無しさん:2012/08/16(木) 01:13:34 ID:???
いちたりないか。

535 :森崎名無しさん:2012/08/16(木) 01:13:58 ID:???
今度はいちたりないでござる

536 :キャプテンEDIT ◆EUWFb5QXUg :2012/08/16(木) 01:25:16 ID:???
本多「逆に考えるんだ。たりた→たりない、ときたら次はたりるが来ると思うんだ」
比良山「……その論理だと、一人たりないに当たる者が出ると思うんだが」

★動き出すヤツら→  ダイヤQ =★
ダイヤ → 比良山が本多に声を掛けた!
---------------------------------------------------------------------------------------------------------------
本多「……珍しいな、比良山。お前が俺を誘うとは」

比良山「まあ、俺も今日の試合で思うところがあってな……」

と、本多を連れ出して近くの河原に出る比良山。
今日の試合、いやここ最近の試合では、比良山はシュートに専念する展開がほとんどである。
というのも、相方・大前の急成長に置いて行かれまいと、シュートの成長に専念し過ぎ、他の分野が遅れがちになったためである。

比良山「このままでは俺は、大前が落としたボールを蹴り込むだけの男になってしまう……そんな体たらくでは、相棒とはとても言えん。
もっとボール運びや守備面でも磨きを掛けねば、サポートにすらなりはしない」

本多「(いや、それだけでも敵には十分な脅威だが……)やる気があるなら、別に良い。では、今日は何を鍛える?」

比良山「ドリブル、だな。折角の1対1用シュートも、ドリブルが問題外では効果が半減だ。
覚えたフェイントを腐らせない必要もある。ここは基礎的なドリブル技術を磨き直しておきたい」

本多「ふむ。では、俺はタックルを担当だな。折角の残業だ。俺も何か、一つくらいは成果を得ておかんとな」

比良山「ああ、頼む」

そうして始まった比良山と本多の深夜練習。その効果の程は――

537 :キャプテンEDIT ◆EUWFb5QXUg :2012/08/16(木) 01:26:16 ID:3RjjYRpw
先着2名様1行ずつで以下の文の『!』の後のスペースを消して判定を引いてください。

★比良山のドリブル練習→ ! card=★
★本多のタックル練習→ ! card=★

【比良山】
Q・K→スキル・ドリブル+2習得! 更に才能開花で全能力+1!
7〜J→ドリブルフラグが立つ
6以下→成果無し……
JOKER→スキル・ドリブル+2習得! 更に才能二段階開花で全能力+2!
【本多】
Q・K→↓の結果+更に才能開花で全能力+1!
7〜J→タックルフラグ回収!
6以下→成果無し……
JOKER→タックルフラグ回収! 更に才能二段階開花で全能力+2!

538 :森崎名無しさん:2012/08/16(木) 01:27:07 ID:???
★比良山のドリブル練習→  ダイヤ4 =★

539 :森崎名無しさん:2012/08/16(木) 01:27:56 ID:???
★本多のタックル練習→  ハート10 =★

540 :森崎名無しさん:2012/08/16(木) 01:28:10 ID:???
★本多のタックル練習→  ハート8 =★

541 :森崎名無しさん:2012/08/16(木) 01:28:13 ID:???
★本多のタックル練習→  ハート10 =★

542 :森崎名無しさん:2012/08/16(木) 01:30:23 ID:???
本多くん、相手をダイスにするのは試合だけにしなさい!

543 :キャプテンEDIT ◆EUWFb5QXUg :2012/08/16(木) 02:59:01 ID:???
すいません、ちょっとNPCパートに手こずっていましたorz
例によってこの後、長い話が続きますが、ご容赦ください(汗)

★比良山のドリブル練習→  ダイヤ4 =★
6以下→成果無し……
★本多のタックル練習→  ハート10 =★
7〜J→タックルフラグ回収!
----------------------------------------------------------------------------------------------------------------
一念発起し、ドリブル練習に挑む比良山。
だが、シュート特化に専念し過ぎたツケは、思ったより高かったらしい。

比良山「よし、ここで――」

本多「ダブルヒールか! させん!」

比良山「――なにィ!?」

鳴紋中でも上位のボールカット能力を持つ本多。
その壁を抜きあぐね、ひたすらドリブル失敗が積み重なっていく。

比良山「ぜぇ……ぜぇ……。ま、まさかここまで錆びついていたとは……」

本多「仕事は何事も積み重ね、だからなァ。そう一朝一夕に上手くなりはしないということか」

涼しい顔でそう言いながらも、自分はしれっと得意のタックルに磨きを掛けている本多。
結局、この日の特訓は無駄とはならなかったものの、比良山がかつてのドリブル技術を取り戻すのは、まだ先のことになりそうだった。


※ 本多がタックルフラグを回収し、必殺技『アイスエッジ』の発動率が1/2になりました ※

544 :キャプテンEDIT ◆EUWFb5QXUg :2012/08/16(木) 03:00:21 ID:???
〜数時間前、東京・東邦学園中等部サッカー部クラブハウス〜

時は僅かに前後する。
ここ東京の東邦学園では、三回戦の試合を終えたサッカー部員たちが、仮の住まいであるクラブハウスに帰りつこうとしていた。

松木「ふー、毎日バス移動なんて疲れるぜ」

高島「ホントホント。東京と埼玉が近いってのは分かるけど、大会期間中くらい向こうに宿でも取って欲しいぜ」

島野「あの成金ブタ野郎、金持ちの癖に妙なところでケチ臭ェな?」

川辺「いや、それがさ……アイツ、実家は埼玉だろ? 向こうで散々迷惑掛けた上に、金持ちになった途端東京に出たんだ。
そんな足で砂を掛ける様な去りかたしたもんだから、あっちじゃ日向とその関係者を止める宿は無いんだって!」

小池「うわ、マジなんですかそれ?」

今井「わっ、馬鹿! 声が大きい!」

憂さ晴らしの様に日向の悪口を言いながらバスを降りる選手たちが、不意に声を潜める。
停車したにも関わらず、不機嫌そうに大股を広げて座席に着いたまま、ジロリとこちらを睨む若島津に気付いたからだ。

若島津「…………(グズどもめ)」

タケシ(ううっ、居心地悪いなァ……)

そして、肩をすぼめて身を隠す様な沢田。

545 :キャプテンEDIT ◆EUWFb5QXUg :2012/08/16(木) 03:01:52 ID:???
東邦選手たち「くっ、そういえばコイツがいたんだ……」「飼い主は留守だってのに、ご苦労なこった」「ケッ!」

北詰監督(若島津め、強権を振るう事は無いが、この気を許さずに周囲を威圧するような態度。まるで日向の番犬だ。
やり難くって敵わん。かといって、コイツも沢田も外すわけにはいかん戦力というのが、頭が痛いところだ)

反町(はァ……本人がいないとはいえこれじゃあ、やっぱり言いたいこともいえない)

大会を危なげなく勝ち上がり、いよいよ準々決勝へ挑むチームとは思えない、険悪なムードが漂う。
……そこへ。
更に事態を大きく変える劇薬が投じられようとしていた。

日向「よう、皆」

妙にボロボロな服を纏い、不敵な笑みを浮かべながら、停車場に現れた精悍な男。
一同、彼が誰なのか分からず、目を瞬いたり隣の仲間に確認するように視線を送ったりと、困惑を露わにする。
……最初に声を上げたのは北詰監督だった。

北詰「……ひ、日向!? 日向なのか?(馬鹿な……あの肥満児が!?)」

東邦中等部のサッカー部監督として、不本意ながらあれこれ指図を受ける身だった北詰。
彼は二年前、激太りする前の引き締まった姿の、入学当初の日向に見覚えがあった。もっとも、その後半年で一気に肥えたのだが。

反町「えっ?(あれが……日向? 冗談だろ!?)」

若島津「日向さん! 戻ってきたんですか!」

タケシ「お久しぶりです、日向さん!」

反町を始め部員一同、更なる混乱を覚えていたが、忠実な子飼い二人はすぐさま気を取り直して声を掛ける。

546 :キャプテンEDIT ◆EUWFb5QXUg :2012/08/16(木) 03:03:24 ID:???
日向「おお、タケシ。合流していたんだな」

小池(た、確かに声はヤツの物だ……)

北詰「……日向、お前いままで一体何をしていた?」

日向「沖縄で減量してきたんですよ。結果は見ての通りです」

そう言って片腕を持ち上げ、誇示するように力瘤を作ってみせる。
溢れる様な力感、堅くしかし靭やかそうなそれは、断じて贅肉ではない。まるで鉄片を身体にぶちこんだ様な、筋肉の塊だった。
この見事に鍛え直した身体を見せつける目的は、どう考えてもただ一つ。
……明日からは、自分が試合に出る。その意思表示に他ならなかった。

反町「ちょっと待てよ、俺は日向の参加を認めないぞ!」

日向「ん?」

それを敏感に察し、前に進み出て怒鳴る様に異議を宣言した反町。

反町「この大会はここまで俺達の力で勝ち進んできたんだ。
ここで今まで参加していなかった日向が参加したら俺達の今までの戦いは何だったんだ!
全国大会に出場したくても人数の都合上、同行する事すら出来なかった控えの選手達はどうなるんだ!」

若島津「なにィ!?(反町、貴様……!)」

タケシ「あわわわ……(あ、あの大人しい反町さんが、日向さんに刃向った!?)」

今までチームに迷惑を掛け続けたかと思えば、何も告げずに姿をくらましながら、帰るなり傍若無人に大会に出ようとする日向。
その態度には流石に反町もカっとなった。今まで言いたいことも言えずに溜まっていた鬱憤。それを吐き出す様に熱弁を振るう。

547 :キャプテンEDIT ◆EUWFb5QXUg :2012/08/16(木) 03:04:33 ID:???
反町「それにこの大会で俺は、コイツとずっとツートップを組んでいたんだ! 今更、アンタなんかと組めるか!
コンビネーションの確認なんかしている時間なんか無いし……アンタとそれをするつもりも無い!」

東邦名無しFW「そ、反町……!(ジーン……)」

松木「そうだ! 今更合流しやがって、何様のつもりなんだ!」

小池「大体散々肥満体で足引っ張ってきた癖に!」

島野「アンタなんかに送るパスはねぇよ!」

川辺「金持ちだからって良い気になるんじゃねぇ!」

今井「東邦はアンタ一人の物じゃねぇんだ!」

高島「これ以上好き勝手にされてたまるか!」

古田「俺達は俺達の力で全国制覇するんだ!」

反町に呼応して、一斉に日向反対のシュプレヒコールを上げる東邦の選手たち。
監督たる北詰もこれを押さえる間もなく、沢田は口元に手をやりながらおたおたするだけ。
若島津は、苛立たしげに眉を動かすとジャージの袖をめくり上げた。
対して、日向は――

日向「ククククク……ハァーッハッハッハッハッハッハッハッハッハッ!!」

――笑い出した。
突然の狂態に、部員たちは呆気に取られて静まり返り、若島津は手近な部員を殴ろうとした手を止める。

北詰「ひ、日向……?」

すわ乱心かと心配げな声を上げる北詰を無視し、日向は獰猛な笑みを向けた。

548 :キャプテンEDIT ◆EUWFb5QXUg :2012/08/16(木) 03:05:58 ID:???
日向「ちょっと見ない内に随分偉くなったなあ反町? 俺が居ない間に大会で活躍して、気取ってやがんのか?
ハッ! 弱小ばかりのブロックに居ながら、得点王にもなれやしないでいるのによォ!
それに……お前の奨学金はウチの会社が出してやっているのを忘れたのか?」

反町「うっ……」

如何に粋がろうと、反町は東邦学園の一学生に過ぎない。
下卑た話だが、そんな彼とその家族にとって、ヒューガー(株)から出る奨学金は生命線と言っていい。
でなければ、金の掛かる東邦学園になど所属していられない。
スポーツ強豪私立に所属することで得られる待遇、実績、経歴の箔……それは全て日向の財布と胸先三寸に依存しているのだ。
日向の脅迫は、正にこの死命を制する一点を突いたと言っていい。
だが、

反町「……ああ、好きにしろよ!退部だろうと退学だろうと!」

今日の反町は、それを振り切ろうとするほどまでに激していた。

北詰「!」

若島津「反町……!」

タケシ(陰口ならともかく、学校までやめるって……日向さんって、ここまで嫌われていたんだ…)

反町「別に良いさ! 俺には全国大会で活躍した実績がある! 他の学校に行ってそこで活躍してやるさ!
そしてアンタは、選手に逃げられるようなクソキャプテン、クソ経営者として、ここで恥でも晒してるんだな!」

一気呵成に言い切って、荒く肩で息をする反町。普段温厚で優しげな彼の激情に、再び周囲が反骨心を取り戻す。

549 :キャプテンEDIT ◆EUWFb5QXUg :2012/08/16(木) 03:07:04 ID:???
松木「よく言った反町! 俺もそうしてやるさ!」

小池「もう日向に怯えるのは懲り懲りだ!」

島野「アンタと一緒に出場なんて願い下げだ!」

川辺「そんな決勝戦なんかボイコットしてやるぜ!」

今井「サッカーは11人居なければ出来ないんだよ!」

高島「金の力で何でも出来ると思うな!」

古田「俺達はアンタの為にサッカーをやっている訳じゃない!」

東邦名無しFW「お、俺も反町につくぞ!」

誰も彼もが反町を指示し、日向に背くこの状況。
流石の鼻持ちならないキャプテン兼経営者も、この事態に遭っては折れざるを得ないだろう。
そう判断した北詰は、先んじて日向を制するために口を開く。

北詰「聞いての通りだ日向、全員の同意が無ければお前を……」

日向「チッチッチッチッチッ……」

だが、返って来たのは舌を鳴らしながら指を振る、欧米人じみた人を小馬鹿にしたジェスチャー。

日向「お前らは二つ根本的な勘違いをしている。それを教えてやろう」

この態度には学園とヒューガー(株)に雇われている側である北詰も額に青筋を浮かべたが、日向はそのまま続けた。

550 :キャプテンEDIT ◆EUWFb5QXUg :2012/08/16(木) 03:08:05 ID:???
日向「一つは、俺が金だけの男では無いと言う事……そして、もう一つは……」

言いながら、足元に転がしていたボールを軽く蹴りあげる。
そして、重力に引かれて落ちてくるそれを、思いっきり振りかぶった足で蹴りつけに行った。
反町は不快げに眉を顰めつつ言葉を継ぐ。大方、シュート力を誇示してそれを材料にしようというのだろうが、そうはいかない。
どんな凄いシュートが飛んでこようと、絶対にNOを突きつけてやる。そう思い、口を開いたのだが、

反町「分かってないな、今更まともに動ける体になったからって――」

その言葉は、最後まで続けることは出来なかった。
顔の横、3cmとない至近距離を何かが掠めて飛んでいく。
チカッと微かな熱が頬に走るのを感じながら、反射的にそれを目で追った。
その正体は日向が思い切り蹴り出したボール。それが反町の頬を掠め、背後のマイクロバスに直撃する。

――爆音。

銅鑼を鳴らした様なけたたましい打撃音と、風船の爆ぜる様な破裂音。
ボールがバスの車体にぶち当たり、重機のハンマーに叩きのめされたかのようにへこみ、そしてそれを為したボールが破裂した結果だった。
思わず耳を塞ぎたくなるような騒音だが、反町はそれに反応することが出来ない。
サッカー選手として、ストライカーとして鍛え続けた動体視力が、今起こった一部始終をハッキリと見てしまった為に。
理解を超えた光景を不幸にも理解してしまい、あまりの衝撃に身体が硬直してしまったが為に。

日向「もう一つは……俺の敵の敗因は、俺を敵に回した事だ。
今ここで選べ。別チームに行き、俺のこの『タイガーショット』をブロックする側になりたいか……?
それともこのチームに留まり、俺がゴールを量産するのを見る側になりたいかをな?」

その言葉を聞きながら、反町は今更のように頬の切り傷から血が流れるのを感じた。
同時に、膝から力が抜けてへたり込んでしまう。
気付けば、他のチームメイトのほとんど――北詰監督すらそれに倣うかのように地べたに尻を着けていた。
最早、否やの声を上げる者は、誰一人としていない。
この光景を絵に描いて額に入れれば、気の利いた誰かが『暴君への屈服』などと名付けそうなものだった。

551 :キャプテンEDIT ◆EUWFb5QXUg :2012/08/16(木) 03:11:02 ID:???
タケシ(流石日向さん、変わってないなァ……)」

若島津(昔の――いや、あるべき姿を取り戻したな……この人にだけは逆らっちゃいけないんだよ)

北詰(わしの指導者としての信念は…人生は…一体なんだったのだろう…)

耳が痛くなる様な沈黙を破ったのは、日向が満足げに鼻を鳴らす声だった。

日向「フンッ。ようやく理解できたか愚民どもが……おい、タケシ。今、大会は何回戦まで進んでいたんだったけな?」

タケシ「あ、はいっ! 今日三回戦が終わって、明日から準々決勝です!」

日向「若島津。得点王のランキングは? そこのボンクラが三位あたりだってのは覚えてたが、他をど忘れしちまったぜ」

若島津「……現在、鳴紋中の大前が九ゴールで首位。それに続くのが翼の八ゴールです」

日向「ほう、そいつァ良いことを聞いた――」

子飼いの二人の報告に、日向は嬉しげに笑う。
ライバルの活躍を我がことの様に思って……などという殊勝な気持ちではない。では、正解はと言うと――

日向「――てことは残り三試合、鳴紋も南葛も零封して俺が五、六点取り続けりゃ、十分得点王に成れる計算ってことだな!」

――傲慢にも程があるこの宣言である。
だが、今や東邦学園サッカー部にこれを笑い飛ばせるものはいない。
このタイガーショットの威力ならば……東邦学園のチーム力にこれが加われば、可能性はある。
もっともそれを喜ぶ人間は日向とその子飼い二人のみだったのだが。

――全国大会準々決勝。
――猛虎・日向小次郎、復活す。

大前たちがそれを知ることになるのは、いよいよ明日のことである。

552 :キャプテンEDIT ◆EUWFb5QXUg :2012/08/16(木) 03:13:49 ID:???
鳴紋中が殊勝に特訓に明け暮れている陰で、日向くん好き勝手絶頂、
といったところで今回はここまでです
どうも、また深夜三時台まで続いてしまってすみません(汗)
次回はふらの側のパートを描写してから、ようやく準々決勝開始まで行けそうです
では、今回も拙作にお付き合いいただき、ありがとうございました!

553 :森崎名無しさん:2012/08/16(木) 03:14:29 ID:???
そこまで言うんなら辞めちゃえばいいのに反町…
けど辞められないのが反町くんなんだろうなぁと思った。

乙でしたー

554 :森崎名無しさん:2012/08/16(木) 03:24:08 ID:???
やはり反町君は秋の神様がいなければ駄目だな(現人神でも可)

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