キャプテン森崎 Vol. II 〜Super Morisaki!〜
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アク規中代理カキコ依頼スレその3

1 :2 ◆vD5srW.8hU :2013/07/17(水) 22:52:22 ID:Q6q7LdTg
困った事に、海外から書き込んでいる私はしばしばアクセス規制に
巻き込まれます。壷を使っているのにも関わらず、です。

その間本スレを停滞させるのもしのびないので、有志の方々に
ここに貼った内容を本スレにコピペして頂けると助かります。
尚コピペの際名前欄は「代理コピペ」にして下さい。

内容の重複を避ける為にコピペする前に一言このスレで
「自分がコピペするよ」と宣言するのが慣習となっております。

私側の不都合を皆さんにフォローしてもらうのは心苦しいですが、
更新を途絶えさせるよりはマシだと思いましたのでご協力、お願いします。

148 :森崎名無しさん:2013/08/15(木) 23:35:52 ID:???
行ってきます

149 :2 ◆vD5srW.8hU :2013/08/16(金) 00:43:12 ID:h36B5HHU
〜ドイツユース宿舎〜

カルツ「ふーっ。見応えのある試合だったぜよ」

カペロマン「でもグダグダだったぜ。9人相手に日本は何やってんだか」

ポブルセン「けっ。どうせなら9人相手に負けて恥さらせば良かったのに」

メッツァ「(日本が負けてたら自分で倒せなかった事を憤りそうだけど)」

マーガス「結局は、日本が勝ち上がったか…」

シェスター「有り難い話だ。これでまた日本と戦える!」

シュナイダー「…日本とイタリアの事は今は忘れろ。俺達の目の前には今ブラジルが
立ちはだかっているんだ。自他共に認める最強のサッカー王国がな」

ミューラー「…まさか、怖気づいたんじゃないだろうな」

シュナイダー「誰がそんな真似をするか。ブラジルから最強の称号をもぎ取り、
日本と決着をつけ、新生ドイツの力を世界の頂点に示す。それが俺達のやる事だ。
その為には一切の油断も萎縮も許されない…俺達によそ見をしている暇はないんだ」

フライハイト「その為には、やはりブラジル対策を完璧にしておかないとな」

シュナイダー「その通りだ。15分休憩してからブラジルのビデオを見直すぞ」

カルツ「あいよっと。コーラでも買ってくるかね」

150 :2 ◆vD5srW.8hU :2013/08/16(金) 00:45:14 ID:h36B5HHU
〜ブラジルユース宿舎〜

ゲルティス「(アルシオン…ストラット…残念だったな)」

サンタマリア「よし。第一次データ収集はこれ位でいいか」

トニーニョ「今はドイツ解析の方が先決だな」

ネイ「昨日も散々やってたのにまだやるのか。俺には到底マネできないなァ」

ドトール「チームにはそういう役目の者が必要だ。俺も手伝おう」

アマラウ「ご苦労さん。頼むぜ」

ディウセウ「オラ、腹減っちまった!なんか食いに行こっぜー!」

ザガロ「ウナギだ。それ以外は認めん」

マウリシオ「またそれッスか!栄養偏りますよ!」

ジェトーリオ「僕は別の店に行くよ〜ん」

コインブラ「(…解せない」」

カルロス「(やはり、コインブラは孤立しているな。本人がそれを気にしていないのが一番の問題だ。
だが、今日の試合にコインブラは明らかに何かを感じていた…それがこいつの魂に火をつけてくれれば…)」

コインブラ「(何故イタリアはあれ程粘る事が出来た?何故そうした?理不尽な退場を重ねられたのにも
関わらず、何故抗い続けられた?そこまでして勝ちたかったのか。何の為にそんな事を…)」

151 :2 ◆vD5srW.8hU :2013/08/16(金) 00:47:06 ID:h36B5HHU
上記2レスのコピペをお願いします。

152 :森崎名無しさん:2013/08/16(金) 07:22:01 ID:???
行ってきます。

153 :2 ◆vD5srW.8hU :2013/08/16(金) 23:38:43 ID:h36B5HHU
〜全日本ユース宿舎〜

その日の晩、イタリアを打ち破った疲弊を元にホテルに戻った全日本ユースの選手達を
出迎えたのは彼らにとっては極めて予想外な人物だった。

オワイラン「やあ、全日本ユースの皆!お疲れ様!」

森崎「へっ?…お、お前、サウジアラビアの?」

中山「マーク・オワイラン…」

オワイラン「覚えていてくれて嬉しいよ。疲れている所に押しかけて済まないが、
まずは決勝進出おめでとうと言わせて欲しい。君たちの躍進はサッカーは
欧州と南米だけの物じゃないと証明してくれたんだ。この調子でそのまま優勝して欲しい」

森崎「あ〜、激励に来たのか…それは分かるんだが、お前の後ろに居る白衣の群れは一体…」

オワイラン「我がサウジアラビアサッカー協会が誇る、サッカー代表専属スポーツドクターチームさ!」

アジア予選で戦ったサウジアラビアユースのキャプテン、マーク・オワイランが
10人以上の医者を引き連れて現れたのだ。片桐と陽子も非常に疲れた表情で横に立っている。

中山「えっ、まさか…」

オワイラン「そう、今日の試合で負傷者が多かっただろう?折角のワールドユース決勝戦、
全力を出せずに負けてしまったら悔やんでも悔やみきれないじゃないか。
僕もそんな尻すぼみな結末は見たくない。だから君たちの力にならせてくれ!」

森崎「マジか!?…良いんですか、片桐さん」

片桐「…彼から要請を受けて、私が許可を出した。手続きは私に任せて、素直に治療を受けてくれ」

154 :2 ◆vD5srW.8hU :2013/08/16(金) 23:44:08 ID:h36B5HHU
全日本メンバー「へえ、こりゃ有り難いな」「片桐さんが許可しているんなら問題ないんだろ」
「有難う、オワイラン。恩に着るよ」「何でもいいからさっさと休もうぜー」

片桐「(問題ない訳あるか…やり過ぎだこの馬鹿王子!加減と言う物を知らないのか!
お前が言い出した形でも、日本サッカー協会はサウジアラビアサッカー協会に借りを作るんだぞ!
私の独断で決めても穏便に済ませられる形にしたかったのに…どうすればいいんだこれ)」

陽子「(メディア対策どうしよう…早速目ざとい記者がホテルの周りをウロウロしているし…
賀茂さんは何とかしてくるって言ってたけど、一体何をしてくるつもりなのかしら)」

森崎「(…どう見ても問題ない訳なさそうだな…特に片桐さんの顔が青い…)」



*オワイランの暴走で、全日本ユースの選手達の怪我の治療速度が上がりました。
決勝戦開始時点で翼以外は万全の状態、翼は「なおりかけ」状態とします。

負傷からの回復はあまりルールとしてハッキリしておらず、また準決勝でここまで
負傷者が相次ぐのは完全に想定外でしたので決勝戦でリセットの乱発を避ける為に
こういった処置を施しました。ご了承お願いします。

155 :2 ◆vD5srW.8hU :2013/08/16(金) 23:45:16 ID:h36B5HHU
森崎「ふい〜、腹減った腹減った。メシメシ…ん?」

約1時間後、負傷者ではない森崎は疲労回復のマッサージを受けただけで医師団から
解放され、すきっ腹を抱えてホテルのロビーに向かっていた。
そこで彼が見た物はどうやら国際電話をかけているらしい陽子だった。

陽子「うん、それじゃお願い骨皮くん。頼んだわよ」

ガチャッ。

陽子「よし、これで…え、森崎くん!?そこに居たの?」

森崎「いや、今通りがかったばかりだが…」

A 「何か骨皮に頼んでいたみたいだけど、何だったんだ?」
B 「お疲れ様。いつも面倒な事ばかりやってもらってるな」
C 「よ、陽子さんまさか、ほ、骨皮の奴と…!?」
D 「ひょっとして、オワイランのやらかしと関係ある電話だったか?」
E 「これから晩飯なんだ。どうだ、一緒に?」

      http://capmori.net/test/read.cgi/morosaki/1369149231/l50にて
            ☆2013/8/17 00:30:00☆ から投票期間を設けます。
    そこから  15  票カウントし、一番多く票が入った選択肢で続行します。引き分けの場合は
   その次の票をタイブレーカーに使います。尚、投票はageた書き込みのみを採用しています。

156 :2 ◆vD5srW.8hU :2013/08/16(金) 23:46:31 ID:h36B5HHU
上記3レスのコピペをお願いします。

157 :森崎名無しさん:2013/08/17(土) 00:43:51 ID:???
いってきます

158 :2 ◆vD5srW.8hU :2013/08/19(月) 22:20:38 ID:F4ueoJf2
>B 「お疲れ様。いつも面倒な事ばかりやってもらってるな」

陽子「へっ?」

森崎「だってよ、俺達選手は試合と練習の時以外は基本的に自由時間だし、自分以外からも
体調を配慮して貰える立場だからな。陽子さんがやっている仕事は昼も夜も無さそうだし、
体調も自力で維持しないといけないし、なにより面倒臭い仕事ばっかりなんだろ?」

陽子「まあ、そうだけど…裏方ってそう言う物だしね」

森崎「だからお疲れ様、だよ。俺が自分でそういう事やらないといけないと思ったらゾッとするしな」

陽子「…うん。有難う」

森崎から出た言葉は陽子を驚かせる物だったらしく、彼女は盛んに瞬きを繰り返した。
それでも森崎が言葉を連ねると次第にはにかみ、嬉しそうな声色に変わる。

陽子「でも私は大丈夫よ。確かに忙しい時期もあるし、今はその真っ最中だけど逆に暇な時期もあるしね。
なにより実際にサッカーをやる森崎くん達に比べればただ面倒なだけで身も心も負担は軽いものよ。
森崎くんの事だから、俺がそんなもので参る訳ないだろ?とか言っちゃうんだろうけど」

森崎「良く分かってるじゃないか」

陽子「それはそうよ。何年あなたのサポートをしていると思っているの?」

159 :2 ◆vD5srW.8hU :2013/08/19(月) 22:22:11 ID:F4ueoJf2
森崎「(機嫌は良さそうだな…)」

A 「じゃあいっその事人生のパートナーになってくれないか?」
B 「そうだなあ、今後も何かと世話になりそうだなあ」
C 「そのサポートの集大成を決勝戦で見せるぜ」
D 「有難う。何と言うか、本当に有難う。感謝しているんだ」
E 「ところでこれから晩飯に行くつもりなんだが、一緒に来るか?」

      http://capmori.net/test/read.cgi/morosaki/1369149231/l50にて
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160 :2 ◆vD5srW.8hU :2013/08/19(月) 22:23:33 ID:F4ueoJf2
上記2レスのコピペをお願いします。

161 :森崎名無しさん:2013/08/19(月) 22:29:50 ID:???
行ってきます

162 :2 ◆vD5srW.8hU :2013/08/21(水) 22:03:44 ID:GD0oXGRE
>C 「そのサポートの集大成を決勝戦で見せるぜ」

陽子「あ………」

森崎「どうしたんだ?」

陽子「そっか…そうだったわね…」

ふと陽子は遠くを見る目になり、わずかに頬を染めた。
何とも乙女らしい反応に森崎も注目せざるを得ない。

陽子「私、以前言ったよね。お嬢様としての生涯を送らないといけないんだって
子供の頃は諦めていたのが、ある人の影響で変わったって」

森崎「ああ、アジア予選の頃言ってたな」

陽子「あれってね…森崎くんの事だったんだよ」

森崎「えっ!?」

ややあっておもむろに森崎の方を向いた陽子は瞳を潤ませていた。
あふれ出る何かを堪え切れないと言わんばかりの表情は
“女”をふんだんに感じさせる物で、森崎の鼓動も激しくなる。

陽子「最初はね、日本が弱い筈のサッカーで世界一になれちゃうなんて凄いな〜、って思っただけだった。
それで暇つぶしのつもりで森崎くんの事を調べると、どんどんのめり込んで行ったんだ。
昔は弱くて誰にもアテにされていなかったのに、ガムシャラに色んな事をやって次第に強くなって…
私もこの人みたいになりたい。弱いなら強くなればいいって思える様になりたい。
そう思って兄さんの所に転がり込んだんだ…自分の行動で何か自分だけの物を得たかったから」

森崎「そうだったのか…」

163 :2 ◆vD5srW.8hU :2013/08/21(水) 22:04:54 ID:GD0oXGRE
陽子「勿論私はサッカーなんて出来ない。そもそも運動が苦手だしね。
だけど私は裏方仕事なら出来るかも、って思って日本サッカー協会に入って、活動して…
そしてここまで来れたんだ。森崎くんみたいに、ガムシャラに頑張った結果が出たんだ。
それを今、すごく実感できたんだ…」

ここで陽子はじっと森崎を見つめた。その瞳に普段は感じない、
森崎にとっては異物に等しい感情が次々と湧き上がってくる。

陽子「有難う、森崎くん。あなたのお蔭よ」

森崎「陽子さん…」

A 「まだだぜ。そのお礼は、優勝してからの方がいいだろ?」
B 「それじゃ、そのお代は陽子さんって事で」
C 「その調子で、俺をもっとも近い位置でサポートし続けてくれないか?」
D 「いや…そろそろ陽子って呼んでいいか?」
E 「そんなに大事な事なら、親御さんの事情で止めさせる訳にはいかないな」

      http://capmori.net/test/read.cgi/morosaki/1369149231/l50にて
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    そこから  15  票カウントし、一番多く票が入った選択肢で続行します。引き分けの場合は
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164 :2 ◆vD5srW.8hU :2013/08/21(水) 22:05:55 ID:GD0oXGRE
上記2レスのコピペをお願いします。

165 :森崎名無しさん:2013/08/21(水) 22:06:10 ID:???
行ってきます

166 :2 ◆vD5srW.8hU :2013/08/26(月) 21:30:47 ID:s5Z4bsC+
>A 「まだだぜ。そのお礼は、優勝してからの方がいいだろ?」

陽子「………森崎くんらしいね…この大会で優勝した後は、
オリンピックもワールドカップも優勝してからの方がいいって言っていそう」

森崎「おいおい、いくら俺でもたまには休むぞ?この大会の後は流石に休養を入れるさ」

陽子「そっか…そうだよね…森崎くんを見ていると一体何処まで行くのか、
急ぎ過ぎて墜落したりしないか不安になるけど、ちゃんと休みも取るつもりなら安心かな」

森崎「(なんか…変な気分だな…)」

二人の会話に甘い雰囲気が漂い始め、森崎は自分の感情を持て余し始めた。
思えばこれほど肩に力を入れずに話し合い、純粋に労りの気持ちを向けられたのは何時以来か。
ライバルや敵とは常に嘲り合い、仲間からは支持を集める為強さを見せ続け、
それらの疲れを勝利の愉悦以外の何かで癒す事はあっただろうか。

森崎「(もう少し、何か話す事ないかな…)」

もう少しこの時間を楽しみたい。森崎は素直にそう思った。
だが陽子の思惑は違った。

陽子「…それじゃ、森崎くんが頑張り過ぎで倒れたりしなさそうだって安心できたし…私は仕事に戻るね」

森崎「えっ?もうかよ。メシぐらい一緒に食わないか?」

陽子「ごめん、これから日本に飛ばないといけないから。もうそろそろ空港に行かないと。それじゃあ、またね!」

スタタタ…

森崎「…ちぇっ。いい雰囲気かと思ったのになあ」

167 :2 ◆vD5srW.8hU :2013/08/26(月) 21:31:56 ID:s5Z4bsC+
陽子は仕事に戻るといい、足早に立ち去って行った。
仕事と言われてしまってはそれを邪魔する訳にはいかない森崎は見送るしかない。

森崎「まあいいか。ある程度口説けたし、いい反応だったし」

やがて森崎は今日の所はこれで十分だと納得し、気を取り直してホテルの外に向かった。



彼は知らない。婦人用化粧室に駆け込んだ陽子が胸を押さえながらため息をついていた事を。

陽子「あぶない、あぶない…何をやっているのかしら、私」

仕事の話は嘘ではなかった。だが空港に行く前に夕食を共にする時間くらいは十分あった。
ただ単に彼女が踏み出せなかっただけだった。

陽子「…これでいいのよ。決勝戦なんて大一番の前に、私の事で気を散らさせる訳にはいかないんだから。
だからあの対応でいい筈。深入りしちゃ、ダメ………だったら最初からそんな雰囲気にするべきじゃなかったわよね。
本当に何やってるんだろ。臆病だなあ、私。あの頃から全然変わっていないじゃないの。ああもう…」

168 :2 ◆vD5srW.8hU :2013/08/26(月) 21:35:29 ID:s5Z4bsC+
上記2レスのコピペをお願いします。

169 :森崎名無しさん:2013/08/26(月) 21:58:27 ID:???
行ってきます。

170 :2 ◆vD5srW.8hU :2013/08/27(火) 01:22:17 ID:VjSf+QbA
一時の安らぎを得た全日本ユースとは裏腹に、決戦を控えた2チームがある。
ドイツユースとブラジルユースである。

当然彼らは明日の準備に忙しい夜を送っていた。



〜ドイツユース宿舎、会議室〜

ルディ「以上がブラジルユースの選手達のデータと予想スタメンだ。しっかり頭に叩き込んでおけ。
流石はブラジルと言わざるを得ないタレントの宝庫だが、つけいるスキはいくつもある」

シュナイダー「(やはり相当に強いな…日本以上かも知れん。だが、戦い様はある)」

ルディ「マーガス、まずはお前の働きが重要となるぞ。相手の跳ね返し屋、アマラウも中々の物だが
断言する、お前の方が有利だ。お前のチャンスメイクが攻撃の鍵になるぞ」

マーガス「はい!」

シュナイダー「(マーガスはポストプレイヤーとしては世界一になれる男だ)」

ルディ「シュナイダー、お前は当然厳しいマークに晒されるだろう。だがそんなのは何時もの事だ。
相手はボール狩り役のドトールとジェトーリオ、ブロッカーのディウセウ、そしてセービングに長けた
ゲルティスと一通り揃った守備体制だ。お前も相手と状況に応じて適切な攻め方をしろ」

シュナイダー「はい(俺は世界一のストライカーとして勝利をもぎ取ればいい。それだけだ)」

ルディ「無論相手もこちらの得意な攻撃パターンをむざむざ使わせてはくれないだろう。
どちらが主導権を握れるかは中盤での攻防にかかっている。各々の役割をしっかりと把握するんだ」

カルツ「(向こうは恐らく4−4−2。こっちは3−5−2だ。5対4で負ける訳にゃいかんぜよ)」

171 :2 ◆vD5srW.8hU :2013/08/27(火) 01:24:14 ID:VjSf+QbA
ルディ「ポブルセン、お前はパスワークに振り回されるな。誰が決定的な場面で切り込もうとしているか
カンを働かせてアタックするんだ。そしてボールを持ったら時折パスを織り交ぜつつ何時も通り敵陣に向かって突撃しろ」

ポブルセン「はい…」

シュナイダー「(ポブルセンは愚かな狂犬だが、敵に噛みつかせれば十二分に役に立つ)」

ルディ「メッツァ、お前のロングパスは何時も以上に重要になる。ブラジルの中盤はどちらかと言えば
パスカットが苦手だ。お前がどれだけスムーズに前線につなげられるかで攻撃回数が左右される」

メッツァ「はーい」

シュナイダー「(メッツァはパサーに徹する計算しやすい戦力だ。常に敵を困らせる事が出来る)」

ルディ「カペロマン、お前はメッツァの逆サイドに配置されている分攻め易くなる筈だ。
マークを集められたらしめた物だと味方を上手く使え。守備参加も忘れるなよ」

カペロマン「はい」

シュナイダー「(カペロマンのサイドアタックとコーナーキックは分かり易く強力な武器だ)」

ルディ「カルツ、お前は守備参加は勿論だがそれ以上にボールキープ役として働かなくてはいけない。
ブラジルは前線の守備力も高い。チームメイトが奪ったボールを奪い返されないのがお前の仕事だ」

カルツ「はいっと」

シュナイダー「(カルツは大きな武器はないが、決定的な仕事に必ず絡む頼れる男だ)」

172 :2 ◆vD5srW.8hU :2013/08/27(火) 01:25:20 ID:VjSf+QbA
ルディ「シェスター、お前が中盤の守備の要だ。ブラジルはチーム全体としてドリブルのレベルが高いが
パサーも数人居る。奴らが何をしてきても良い様に備え、向こうのシュート数を減らすんだ」

シェスター「はい!」

シュナイダー「(シェスターはウチの中盤に足りない守備力を提供してくれる貴重な存在だ)」

ルディ「中盤の対策は以上だ。だがこれでも攻め込まれる時、シュートを撃たれそうになる時はあるだろう。
いざそうなった時、DF達とGKはどうすればいいのか。次はそこに共通認識を図る」

フライハイト「(現実的な勝利を目指すのなら失点は1点が限界だ)」

ルディ「クランケ、恐らくブラジルはサイドアタックをしてこないだろう。ミドルシューターが多いチームだからだ、
わざわざセンタリングを上げる必要がない。中央に寄せて前に出て、ラストパスのカットを狙え」

クランケ「はい」

シュナイダー「(クランケはラストパスに割り込む専門家)」

ルディ「ヨハンセン、お前はカルロスの相手に集中しろ。奴は世界トップクラスのドリブラーだが
お前なら対抗できる。無論味方と協力してな。カルロスが近寄り過ぎるのを阻止できれば失点率はグッと下がる」

ヨハンセン「はい」

シュナイダー「(ヨハンセンはエース殺し)」

ルディ「フライハイト、お前にはもっとも難しい役割を頼む事になる。ゴール前にひっついていれば
良い訳でもなく、無暗に飛び出しても藪蛇だ。臨機応変にとしか言えん。だがやってみせろ」

フライハイト「…はい」

シュナイダー「(フライハイトはハイレベルな万能選手だ。こいつになら最終ラインを任せられる)」

173 :2 ◆vD5srW.8hU :2013/08/27(火) 01:26:48 ID:VjSf+QbA
ルディ「ミューラー、お前には特に言う事はない。強いて言えば飛び出しの機会はあまり無いだろうから
無理に飛び出しを狙おうとせずどっしりと構える位だ。パンチングでしっかりと防いでいけば大丈夫だ」

ミューラー「はい

シュナイダー「(ミューラーはサイクロンもライトニングタイガーも防げる。何の心配もない)」

ルディ「作戦は以上だ。最後に一言だけ言っておく。準決勝でブラジルに当たった事を不運に思うな。
むしろ幸運に思え。最強を証明する為には倒さなくてはならない相手なのだ、ならば早い内に済ませてしまうんだ」

ドイツメンバー『はい!』

ルディ「ドイツサッカーの、お前たちの強さを見せつけてこい!!」

ドイツメンバー『はい!!』

シュナイダー「(そう…最強のサッカー王国の称号をブラジルから奪い、それを手土産に決勝戦で
日本と決着をつける!サッカー選手としてこれ以上ない程のシチュエーションだ。嬉しくない筈がない。
勝つ。勝てるのではない、勝つ!俺達は勝って頂点を手に入れて見せる!)」

174 :2 ◆vD5srW.8hU :2013/08/27(火) 01:28:02 ID:VjSf+QbA
1時を過ぎてしまいましたが、上記4レスのコピペをお願いします。

175 :森崎名無しさん:2013/08/27(火) 01:30:22 ID:???
行ってきます。

176 :175:2013/08/27(火) 08:43:45 ID:???
すみません、3レス投稿した所で寝落ちしてしまったようです。
4レス目を投稿してうさった方、ありがとうございました。

177 :2 ◆vD5srW.8hU :2013/08/28(水) 00:02:04 ID:kMWujnmo
〜ブラジルユース宿舎、会議室〜

ロベルト「さて、ドイツユースのデータおさらいは以上だ。もうするまでもないとは思うがな」

ブラジルメンバー『………』

ロベルト「改めて言うまでもなく、ドイツは強い。ここまではずっと楽勝続きだったが、
ドイツ相手にはそうはいかん。よって…今回から本気を出せ。許可する!」

マウリシオ「よっしゃあ!」

ザガロ「やっとか…鬱憤が溜まっていたぜ」

ネイ「派手に遊ぶかあ!」

ロベルト「騒ぎすぎるな。次は具体的な作戦内容だが、既にサンタマリアと
話し合い決めた作戦があるので、サンタマリアにそれを解説してもらう」

サンタマリア「はい。みんなきけ、ドイツ相手にやる事は3つのシンプルな作戦だ」

ジェトーリオ「3つ?今回は少な目だね」

サンタマリア「それ程目立った穴がなく、しかも武器が多いハイレベルなチームが相手だからだ。
アレコレ細かい指示を出して朝令暮改的な事態に陥るよりも、やるべき事を分かり易くまとめ
後は各々の状況判断に任せる方が上手くいく。特に俺達の場合はな」

トニーニョ「始めてくれ。2トップ対策、攻撃権の独占、そしてシュートラッシュだったな」

サンタマリア「そうだ。まずは相手の得点源をどうするかの作戦、2トップ対策だ。
マーガスに自由にポストプレイをさせているとその分シュナイダーがシュートを撃ち放題だ。
無論オフサイドトラップによって回数を減らさせるが、それだけでは対策にならん。
よってまずはアマラウに任せるだけじゃなく、ディウセウにもサポートしてもらう」

178 :2 ◆vD5srW.8hU :2013/08/28(水) 00:03:36 ID:kMWujnmo
ディウセウ「オラなのか?ドトールじゃなくて?」

ドトール「俺はこぼれ球になった時に備える役割だ。シュナイダーに極力撃たせん為にな」

カルロス「2トップ対策としては極めて妥当だな。だがそこまでやっても
毎回止められるとは思えない。そこで必要になってくる次の手段はなんだ?サンタマリア」

サンタマリア「ああ、そこで次の作戦、攻撃権の独占が重要になってくる。まずはジェトーリオ、
お前がカペロマンをマークし奴のサイドアタックを封じろ。それだけでドイツは相当困るだろう」

ジェトーリオ「はーい。得意分野だよ」

サンタマリア「残りはポブルセン、メッツァ、カルツ、シェスター、フライハイトなどだが…
こいつらは残りの前線のメンバーで流動的に守って対処する。俺が下がり目の位置からサインを送るから
それに従ってくれ。ドイツにどんな攻め方をしても駄目、と焦らせるのが重要だ」

トニーニョ「了解した」
ネイ「オッケー」
マウリシオ「はいッス!」
ザガロ「仕方ねえな」

カルロス「守備は分かった。攻撃は?」

サンタマリア「攻撃はFWとMFが頻繁にポジションチェンジを繰り返し、相手によって
ドリブルとパスを使い分ける。特に短いバックパスを活用してミドルシュートチャンスを増やすんだ」

カルロス「なるほど。それが最後の作戦、シュートラッシュに繋がるんだな」

サンタマリア「その通り。シュートラッシュははっきり言って作戦などとは呼びたくないのだが…
今回は重要だ。ミューラーを攻略する為に、そしてドイツの弱点をつく為にミドルシュートを
積極的に撃っていくのが大事になるんだ。積極的に、どころか乱発でもいい位だ」

179 :2 ◆vD5srW.8hU :2013/08/28(水) 00:04:48 ID:kMWujnmo
ザガロ「ククク…いいじゃねえか。俺好みの作戦だ」

サンタマリア「以上の3点をくれぐれも忘れないでくれ。これ等に反さないのなら何をしてもいい。何か質問は?」

ゲルティス「…質問ではないが、頼みがある」

サンタマリア「ん?お前からか?珍しいな」

ゲルティス「単純な頼みだ…2点取ってくれ」

カルロス「うん?…俺達攻撃陣が2点以上取れば、負けないと言っているのか?」

ゲルティス「そうだ。俺はこの試合の失点数は1になる確率がもっとも高いと考えている。よって2点取ってほしい」

カルロス「…分かった。元より取れるだけ取るつもりだ、2点以上取ってみせよう」

サンタマリア「他には何かないか?………よし。以上で説明終了です、監督」

ロベルト「うむ。それでは最後に監督らしい事を言っておく。この作戦は俺から見ても文句の付けどころがない。
だがそれでもサッカーは何が起きるか分からない。だから…もし劣勢に追い込まれたら今までのサッカー人生の中で
一番辛くて屈辱的だった事を思い出せ。そしてそれをどうやって乗り越えてここまで来たかを思い出せ。以上だ」

ブラジルメンバー「(今までで一番辛くて…)」「(屈辱的だった事…)」「(それは勿論、コイツだな!)」



コインブラ「……………」



カルロス「(未だコインブラは孤立したまま…やはり監督はこいつを試合に出す気はないのだろうか?
そしてコインブラは全く本心を見せようとしない…もう限界だ。リスクを覚悟でぶつかりあってみなければ!)」

180 :2 ◆vD5srW.8hU :2013/08/28(水) 00:06:12 ID:kMWujnmo
上記3レスのコピペをお願いします。

181 :森崎名無しさん:2013/08/28(水) 00:08:41 ID:???
行ってきます

182 :2 ◆vD5srW.8hU :2013/09/05(木) 13:28:45 ID:qY13xZ8o
強敵との決戦に備えるブラジルユースとドイツユース。この2チームの間には一つ決定的な差があった。

それはチームが一枚岩であるか否かである。

事情を知らない者ならドイツユースの方が内紛の危険性が高いと考えるだろう。
西ドイツと東ドイツと言う二つに分かれていた国が数十年の時を経て融合を試みている今、
西側と東側には経済格差を始めとする様々な問題が発生していた。
2つのサッカーチームを融合させる事もまた問題が発生して当然であり、実際に発生しかけていた。

しかしドイツユースはこの問題をいち早くクリアしていた。
個人個人の思惑はどうあれど全員が新生ドイツの栄光を望んでいるのに違いはなく、
それを西ドイツ側の若手のカリスマであるシュナイダーがスパルタ式に統率し、
更に東ドイツ側の若手で最大の実力者であるフライハイトがそのシュナイダーの
参謀役を買って出た事で西側と東側の融合はほぼ理想的に進んでいたのである。
ポブルセンとミューラーと言う問題児たちも居たが、彼らの問題行動は西東の件とは
関係がない本人の資質のせいだった為むしろ西東の件を意識させない効果すらあったかも知れない。

本当に問題があったのはブラジルユースの方であり、それはコインブラの存在だった。

南米には半ば都市伝説扱いされている、知る人ぞ知るアマチュア選手が存在する。
“勝負請負人A(エース)”と言う冗談の様な名称で知られ、
生半可なプロ選手をはるかに凌ぐ実力を持ってアマチュアサッカーの賭け試合に介入して
金を稼ぐ謎の達人と言う名称以上に冗談にしか聞こえない選手。
その正体こそアルツール・アンチネス・コインブラその人である。

彼はロベルト本郷の誘いによりブラジルユースに加入し、他者を圧倒する実力をみせつけ10番を着る資格を得た。
しかし試合には一切出場せず、内外から様々な憶測を呼びながらベンチに座り続けている。
その存在は本来一つにまとまっている筈のブラジルユース内の巨大な異物であり続けた。

決勝戦への最後の椅子争いを明日に控えた前夜、ブラジルユースキャプテンのカルロス・サンターナはついに動いた。
コインブラの真意を確かめ、彼がチームにとって何なのかを見極める為に。

183 :2 ◆vD5srW.8hU :2013/09/05(木) 13:30:18 ID:qY13xZ8o
コインブラ「こんな所に呼び出して何の用だ…?」

カルロス「お前には聞きたい事が山ほどある。俺が納得いくまで付き合ってもらうぞ」

カルロスはコインブラと一対一で対峙していた。
ミーティングの数十分後、会議室に彼だけを呼び出したのだ。

コインブラ「そう長く付き合うつもりはない。何を聞きたいのか最初にハッキリさせろ」

カルロス「では要点を3つに絞ろう。俺が知りたいのは過去、現在、そして未来に関わる事だ。
まずは…お前が俺の記憶の中にあるアーサーと同一人物なのかどうか。
次に…お前がブラジルユースに入るまで何処で何をしていたか。
最後に…お前がこのブラジルユースで何を何の為にしようとしているかだ」

二人の会話は決して友好的な物ではなかった。カルロスはブラジルユースの選手達の中では
かなり温厚な人物だが、それでも度重なるコインブラの身勝手で理解し難い振る舞いを
これ以上放っておけないと言う決意を込めた声を出していた。

コインブラ「……………」

カルロス「まずはこれに答えろ。お前はフラメンゴのデンチ・デレイチ(少年)チームに居たのか?
あの時、サッカーボールに慣れていなかった俺が入団テストに落ちそうで焦っていた時に
一緒に練習して助けてくれた…その後再会を約束したアーサーなのか?」

コインブラ「………ああ。俺は確かにフラメンゴに所属していた。そして退団した日に
お前にサッカーボールを譲ったのも覚えている。こんなに長く持ち続けているとは思わなかったがな」

カルロス「やはり…!」

それに対するコインブラの反応は何とも読み難い物で、渋々ながら淡々と答えるその表情は
不快感を主とした感情を隠しきれていなかった。

184 :2 ◆vD5srW.8hU :2013/09/05(木) 13:34:02 ID:qY13xZ8o
カルロス「だが、お前は結局戻ってこなかった。チームの誰に聞いてもアーサーなどと言う者は
知らないと言われた。あれはコインブラと言う名で登録していたからなのか?」

コインブラ「…いや。クラブの誰もが俺の事を居なかった事にしたかったからだろう」

カルロス「何!?なんでそんな事が…いや…上手すぎたからか」

コインブラ「そうだ…俺はチームの為に全力を尽くしてプレイしたが、その結果得られた物は
俺を持て余してまとまる事が出来なくなり、崩壊したチームだった。実にくだらない結末だったさ」

カルロス「(サラッと言っているが…恐らくは、とんでもない境遇だったのだろう。
あれだけずば抜けていれば相手チームから反則やラフプレイを繰り返されていたに違いない。
それなのにチームメイトも指導層も味方ではなく敵と化していたとしたら…恐ろしい物だな)」

コインブラ「お前にも覚えがあるだろう?自分の無力を強い相手を妬む事で誤魔化そうとする者達の視線を」

カルロス「…確かに俺もそういう思いをした事はある。だがそれだけでサッカーを止めようとは思わないし、
そんな下らないトラブルは上のレベルに上がっていけば自然と消え去る。その先に得られる物がある筈だ」

コインブラ「…得られる物、だと?くだらんな」

カルロス「くだらないだと…?クラブサッカーを止めたのになぜそんな事が言えるんだ?
他のどこかでサッカーをしていたのだろうが、そこで何を見たと言うんだ?」

コインブラ「………やけに詳しそうだな。ある程度事前に調査してきたのか?」

カルロス「俺が知っているのは8年前お前が俺と入れ替わる様にフラメンゴを退団した事。
あちこちのアマチュアサッカーに介入して金を稼いでいた事。
そしてそれは病気の養父…ジャイロを養う為に行っていた事くらいだ」

二人の価値観は噛み合わず、次第に会話は剣呑さを増していく。
少年時代の旧友同士が思い出話をしている筈なのに、とてもそんな穏やかな空気ではなかった。

185 :2 ◆vD5srW.8hU :2013/09/05(木) 13:35:58 ID:qY13xZ8o
コインブラ「…そこまで分かっているのにそれ以上何を聞きたいと言うんだ?」

カルロス「この程度では全然足りはしないさ。何故フラメンゴに戻ってこなかったんだ?
それ以降何故クラブに入らず、そんな生活をしていたんだ?そしてその年月に何を見てお前はこうなったんだ!」

コインブラ「…フラメンゴに戻る訳などない。あの日、お前と別れて家に戻ったら親父は倒れていたんだからな」

カルロス「!」

コインブラ「デンチ・デレイチのチームでプレイしていても金は貰えん。逆に払わされる側だ。
かと言って何のツテもない子供が働いたとしても大の大人の入院費には到底足りない。
当時俺がまとまった金を稼ぐには、子供だと侮る大人を挑発して金を巻き上げる位しか無かった」

カルロス「…よくそんな事が出来たな?いくら上手いとは言え、12歳じゃ限界があっただろうに…」

コインブラ「当然最初から上手く行った訳じゃなかった。だから親父の残したノートに従い
練習を積み重ね、多勢に無勢を引っくり返し…そんな事を繰り返している内に力がついていった」

カルロス「なるほど…ジャイロは指導者としても優れていたと言う訳か。だが、彼はもうこの世には…」

コインブラ「…俺が15の時、目の前で息を引き取ったぞ。最後までブラジルサッカーの行方を気にしてな」

カルロス「流石と言うべきか…骨の髄までセレソンだったんだな。見習わなければ」

コインブラ「…一体何を見習うと言うんだ?」

カルロス「うん?それは勿論、そのブラジルサッカーにかける情熱と信念を…」

コインブラ「親父がそれで何を得られたと言うんだ!」

カルロス「!!?」

186 :2 ◆vD5srW.8hU :2013/09/05(木) 13:37:00 ID:qY13xZ8o
先に声を荒げたのはコインブラの方だった。彼は初めて感情を剥き出しにし、カルロスを糾弾する側に回った。

コインブラ「伝説の選手?要は忘れ去られたどうでもいい存在だ。親父の見舞いには俺以外誰も来なかったぞ」

カルロス「誰もか?引退後は世捨て人の様な生活をしていたと聞いたが…誰も来なかったのか?」

コインブラ「そうだ。金を持っている元選手なりサッカー協会関係者なりが居ただろうに、
誰も親父を助けようとしなかった。世間は親父以降の世代と、今の世代のセレソンについて騒ぐばかりだった!」

カルロス「それは…仕方がないだろう。偉大なセレソンでありながら、引退後生活を乱し
悲惨な最期を遂げた選手も居る。身内としてはそんな理屈では納得し難いだろうが…」

コインブラ「そんな事は分かっている。結局親父は何も得られず、何も残らなかっただけだ。
第二次世界大戦で全盛期を逃しながら、それでもワールドカップに出てボロボロになり…
その後の選手達の活躍の陰に忘れ去られた。頂点を目指して得た結果は…むなしい最期だった」

カルロス「(伝説の名選手に最期は何も残らなかっただって…?そんな事が本当に有り得るのか…?)」

コインブラ「頂点に達すれば妬みと恨みを買い、達せなければそれすら得られず存在を消される。
お前はその一体何を見習うと言うんだ。見習って何が得られると言うんだ!」

カルロス「(違う…何も残らないなんて、そんな筈はない!そんな筈は…!)」

栄光を求めた結果と最期。生々しい体験を聞かされたカルロスはそれを否定したかった。
だが否定する事は出来なかった。初めて見るコインブラの激情を押し返せなかった。

カルロス「…なら、お前は…お前は何故ここにいるんだ?ここで何をしているんだ…?」

コインブラ「っ………」

代わりに絞り出した質問はコインブラの怒りを鎮める効果があった。

187 :2 ◆vD5srW.8hU :2013/09/05(木) 13:38:08 ID:qY13xZ8o
コインブラ「……………」

カルロス「何故ブラジルユースに入った?何故…サッカーを続けているんだ?」

コインブラ「…親父が何を見ていたか、知りたかったからだ」

カルロス「ジャイロが…」

コインブラ「親父は最後の最後まで後悔らしきものを見せなかった。
ブラジルが勝つと我が事の様に喜び、ブラジルが負けると何日も嘆いていた。
俺にはそれが理解できない。だから…監督に誘われてここに来た。
実際にセレソンになってみれば、親父が何故あそこまで拘り続けたか分かるかも知れないとな」

カルロス「そうだったのか…それなら、何か分かった事があるんだな?」

コインブラ「…いや。全く分からない」

カルロス「!!」

冷静になったコインブラは問われるまま己の目的と意図を語り出し、カルロスに背を向けて
窓から夜空を見上げた。故に気付かなかった。カルロスの肩が怒りで震え始めた事に。

コインブラ「この大会を見てきても、何も分からなかった。やはり俺には
何の縁もなく、何の価値もないのだろう。セレソンとして頂点を目指す事は」

カルロス「………それで、お前はどうするつもりだ。結局見物するだけでワールドユースを終えるつもりか?」

コインブラ「そうだな…それでもいいが、ブラジルが負けそうになったら出るつもりだ。
監督には少しばかり恩があるし、どうせなら無価値でも頂点と言う奴を得ておきたい。
明日の試合は俺抜きならドイツが勝つ確率が高い。だから…」

188 :2 ◆vD5srW.8hU :2013/09/05(木) 13:39:15 ID:qY13xZ8o



カルロス「ふざけるな!」



コインブラ「!?」

故にカルロスが怒声を上げた時、彼の怒りを宥める手段はもう無かった。

カルロス「何がブラジルが負けそうになったら出るつもり、だ!そんな事は例え監督が許しても
この俺が、ブラジルユースキャプテンのカルロス・サンターナが許さん!」

コインブラ「…自分で言っていて矛盾に気付かないのか?監督に刃向う上に
勝利の為に最善を尽くさないのがお前のキャプテンとしての務めだと…」

カルロス「キャプテンだから言っているんだ!今ハッキリと確信した!
そんな腑抜けた状態のお前はチームの癌でしかない!お前を試合に出させる訳にはいかない!」

コインブラ「なんだと!?」

続いてコインブラも激昂した。それは初めて彼がチームメイトに見せた剥き出しの感情だった。
二人の生の激情がぶつかり合い、殺し合いに発展しそうな程緊迫した空気が場に満ちる。

カルロス「何が何も分からなかっただ!何が何の縁も価値もないだ!
今のお前の話と今までのお前の振る舞いを見てそんな戯言を信じる奴が居るか!
それにも拘わらず己の魂や信念を賭けて戦う覚悟の無い奴などただの足手まといだ!」

コインブラ「足手まといと来たか!俺に出せる手も足も無い奴が良く言えた物だな!」

189 :森崎名無しさん:2013/09/05(木) 13:39:59 ID:???
表情が素敵です

190 :2 ◆vD5srW.8hU :2013/09/05(木) 13:41:37 ID:qY13xZ8o
カルロス「確かに純粋に実力だけで比べれば俺は未だお前に追いついていない。
だがその差はお前が願っている程大きな物ではない…練習ではなく実戦なら!
1対1ではなくチーム対チームの試合なら!間違いなく俺が勝つ程度の小さな差だ!」

コインブラ「ほざきやがって…そんなに魂やら信念やらが大事だと言うのなら
明日の試合でドイツを倒してみるんだな。俺の見立てでは3−2でドイツが勝つ」

カルロス「ああ倒してやろうとも。俺がセレソンとは何かを見せてやる。
お前には絶望的に足りない物があると証明してやる。それを精々学ぶんだな。
それを見ても尚何も分からないのなら…お前は最初からセレソンにはなれなかったと言う事だ」

コインブラ「良いだろう。くだらん物を見る羽目になりそうだがな」

カルロス「…話は以上だ。さっさと寝ろ。これ以上口で語る事はない」

カッ、カッ、カッ、カッ…

コインブラ「……………」



かくして二人の主義主張は一切の妥協を見出す事なく、激突と火花のみを後に残した。

ブラジルユースは10番を着る選手が孤立したまま準決勝に挑む事になる。

191 :2 ◆vD5srW.8hU :2013/09/05(木) 13:43:24 ID:qY13xZ8o
上記8レス(>>189以外)のコピペをお願いします。


>>189
ここはコピペ用スレなので、感想などは雑談スレもしくは本スレでお願いしますね。

192 :森崎名無しさん:2013/09/05(木) 13:43:32 ID:???
行ってきます。

スミマセン、189は誤爆です。

193 :2 ◆vD5srW.8hU :2013/09/07(土) 00:47:23 ID:gaszjmxg
〜大会22日目、リオ州のエスタジオ・ド・マラカナン〜

ウワァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!

観客「来た来た来たーーーッ!待ってましたァ!」「遂に我らがブラジルユースの出番だぜ!!」
「今日の相手はドイツだ!」「やっと歯応えのあるチームを倒せそうだな」
「今までのザコとはちょっと違うぞ!気をつけろよーっ!」「油断するな!ちゃんと勝て!」
「カルロス!得点王取れよーっ!」「ゲルティス!ドイツなんかに得点させるなよーっ!」

放送「全世界の皆さまこんにちは!ここエスタジオ・ド・マラカナンは最早数えるのも
嫌になる程超満員!観客席が抜けてしまわないか心配してしまう喧噪に包まれています!
それもその筈、今日のゲームは我らがブラジルユースがドイツユースと準決勝で激突するのです!
御存じドイツユースは大会前から優勝候補の一角として名高かった強敵!

グループ予選こそ2位突破だったものの、ここまでの4試合での戦績は18得点3失点と
2位突破だから何だと言わんばかりの堂々たる戦果!その証拠に準々決勝ではグループCを
1位突破したウルグアイユースを4−1で一蹴しており、また一足早く決勝進出を決めた
全日本ユースとも激戦の末に2−2で引き分けているのです!

準決勝の相手として不足なしのこのチームを率いるのは現在8ゴールで得点王ランキングで
カルロスくんと同率3位についているエースストライカーのカール・ハインツ・シュナイダー!
彼の得点力は我らがブラジルユースにとって多大なる脅威となるでしょう。
まずはこのシュナイダーくんを抑え込めるかどうかが守備における最重要課題となります。

そしてドイツは勿論守備も堅いのは言うまでもありません!その象徴はGKのミューラーくん!
豪快な体格とそれ以上に豪快なセービングは生半可なシュートを寄せ付けません!
鋼鉄の巨人と言う従来の異名に加え、今大会で雷神と言う新たな異名を得た彼に
我らがブラジルのシューター達はどう立ち向かうのでしょうか?目が離せません!」

準決勝のマラカナンスタジアムは当然の如くブラジルの勝利を願うブラジル人観客で満員だった。
ドイツ人の応援団がどれだけ声を張り上げてもかき消される程である。

194 :2 ◆vD5srW.8hU :2013/09/07(土) 00:48:34 ID:gaszjmxg
松山「なんか、実況が露骨にブラジル寄りだな…」

三杉「当然の事だよ。ブラジルがホームチームなんだから」

赤井「これ位なら大人しい方っスよ。国によっちゃもっと酷かったりしますから」

翼「ブラジルが決勝に出てきた場合、俺達はもっと悪役にされるよ」

試合を観戦しに来た全日本ユースにも注目が集まる事はなかった。
近くの者達は彼らをチラチラと見はしたが、やはり気になるのは目の前の試合の様で
すぐにフィールドに視線を戻してしまう為彼らは落ち着いて会話が出来た。

中山「この試合はどっちが勝つとしても大いに参考になるな。一瞬たりとも見逃せないぞ」

中里「森崎。この試合、どんな結果になると思うでゴザルか?」

森崎「ん?そうだな…」

A 「シュナイダーには悪いが、ブラジルの大勝の予感がするぜ」
B 「僅差でブラジルだな。ドイツ相手に相性が良いと思う」
C 「五分五分だな。どっちに転ぶか、最後まで分からない」
D 「ドイツが勝つだろうな。流石に楽勝とは行かないだろうが」
E 「ブラジルの奴らは大した事がねえ。ドイツの圧勝だ」

      http://capmori.net/test/read.cgi/morosaki/1369149231/l50にて
            ☆2013/9/7 12:00:00☆ から投票期間を設けます。
    そこから  15  票カウントし、一番多く票が入った選択肢で続行します。引き分けの場合は
   その次の票をタイブレーカーに使います。尚、投票はageた書き込みのみを採用しています。

195 :2 ◆vD5srW.8hU :2013/09/07(土) 00:49:36 ID:gaszjmxg
上記2レスのコピペをお願いします。

196 :森崎名無しさん:2013/09/07(土) 03:02:34 ID:k1sDrruU
完了しました!
ちなみに自分は昨日規制解除確認しました。

197 :2 ◆vD5srW.8hU :2013/09/10(火) 00:42:53 ID:oluqs3UA
>C 「五分五分だな。どっちに転ぶか、最後まで分からない」

森崎はしばらく考えてから分からないと答えた。

次藤「なんじゃ?お前にしちゃ煮え切らん答えじゃのう」

森崎「しょうがねえだろ、本当に分からないんだ。どっちも得点力が高いし、
守備力に大して差がある訳でもねえ。目立った弱点もない。そうなれば後は流れと駆け引きだ」

翼「…俺はブラジル有利と見るな」

森崎「あん?」

翼「一見攻撃力と守備力は拮抗している様に見えるが、ブラジルの方が攻守共に支配力が高い。
端的に言ってブラジルの方がチャンスを多く作れると思うんだ」

森崎「チャンスの数かよ。それだけじゃ分かったもんじゃねえぞ。
シュート撃ちまくったのにギリギリまで逆転できなかったのは何処の攻撃陣だ、ああ?」

翼「一般論だろ…それを言うならヘルナンデスにセーブ率で負けていただろうに」

早田「おいおい、こんな所でケンカしてんじゃねえよ」

森崎「チッ」

翼「………」

日向「どうせ見てりゃ分かるぜ。フフフ…」

198 :2 ◆vD5srW.8hU :2013/09/10(火) 00:44:50 ID:oluqs3UA
全日本ユースが何時もの内ゲバをしている最中、フィールドでは両チームのキャプテンがセンターサークルで
闘志をぶつけあっていた。特に遺恨は無い二人の仲だったが、だからと言って仲良くする気は毛頭無い。

シュナイダー「こうしてフィールドで出会うのは初めてだな。カルロス・サンターナ」

カルロス「ああ。だがこれからお互い長い付き合いになるだろうさ。共に国の代表としてな」

シュナイダー「そうだな。この試合、俺はホームチームのブラジルを打ち倒し以後ブラジルから
恨まれる選手となるだろう。そしてお前は俺にリベンジを果たす事を義務付けられるだろう」

カルロス「いや、それはないさ。俺の方が歴史的な統一を象徴するチームの栄光を阻み、
新生ドイツの門出にケチをつけた存在としてドイツサッカーに首を狙われる様になるのさ」

シュナイダー「…良かった。優等生タイプと聞いていたが、きちんとそう言う事も言えるんだな」

カルロス「当然だ。お互いの健闘を誓い合う時は、同時に己の勝利を誓う物だろう?」

シュナイダー「良く分かっている様でなによりだ。それでこそ遠慮なく叩き潰せると言う物だ」

カルロス「こちらもな。さて、そろそろお客さんを焦らすのは止めてコイントスをしようか」

シュナイダー「ああ。審判、お願いします」

審判「(何時もこれ位無難なやり取りだったらな〜…)」

コイントスはドイツが取り、シュナイダーは迷いなくボールを選んだ。
試合はドイツユースからのキックオフで始まる。

199 :2 ◆vD5srW.8hU :2013/09/10(火) 00:46:31 ID:oluqs3UA
クランケ「(東ドイツ出身の俺には正に未来がかかった試合だ)」
ヨハンセン「(決勝戦に行き、優勝し、ビッグクラブへ行くんだ!)」
マーガス「(敵の跳ね返し屋に負けて堪るか。俺は世界一のポストプレイヤーだ!)」
メッツァ「(とにかくパスを成功させなきゃ。僕にはそれしかないんだから)」
カペロマン「(さあて、ブラジルのサイドの守備はどんな物だ?)」
シェスター「(どんな攻め方でも対応してみせ、俺がヒーローだ!)」
ポブルセン「(ブラジルめ…地獄の底に突き落としてやる!精々苦しめ!)」
フライハイト「(今日は晴天か…雨の加護は得られない。苦しい試合になりそうだな)」
カルツ「(どう考えても楽には勝たせてくれないよなァ。忙しくなりそうだぜ)」
ミューラー「(師匠、見ていて下さい。俺はどんなチームにも負けない)」
シュナイダー「(さあ行くぞ。マリー、お兄ちゃんは勝ってみせるぞ)」



マウリシオ「(俺がオマケとか経験積み要員じゃないって所、見せなきゃな!)」
ドトール「(ドイツは強敵だ。一瞬の油断も許されない)」
アマラウ「(だが勝つのは俺達ブラジルに決まっているんだぜ)」
ジェトーリオ「(相手がカッカしてドツボに嵌ってくれると嬉しいんだけどな〜)」
ザガロ「(鋼鉄の巨人だか雷神だかをスクラップにしてやるぜ!)」
ディウセウ「(うひょー、強そう!オラワクワクしてきたぞ!)」
ネイ「(柔よく剛を制す!こうやって勝つのがモテル秘訣なんだよな〜)」
トニーニョ「(まずは序盤、必ず主導権を握ってみせる)」
サンタマリア「(こちらの作戦が嵌れば相手の弱点がどんどん露呈する筈だ)」
ゲルティス「(セルフコンディションチェック完了。これより実戦に入る)」
カルロス「(俺が、俺達が、セレソンだ!)」

200 :2 ◆vD5srW.8hU :2013/09/10(火) 00:48:12 ID:oluqs3UA
上記3レスのコピペをお願いします。


>>196
私はまだまだ規制が解除されない様です。
せめてエンディングや後書きを書く頃になっていたら
解除されていて欲しいなあ…

201 :森崎名無しさん:2013/09/10(火) 02:40:01 ID:???
行ってきます

202 :森崎名無しさん:2013/09/10(火) 03:20:54 ID:???
すいません。197はいけたんですが198・199は無理でした。
残り2レス他の人お願いします。

203 :森崎名無しさん:2013/09/10(火) 03:22:48 ID:???
それではいってきます

204 :2 ◆vD5srW.8hU :2013/10/12(土) 14:34:51 ID:gepBbMKo
ピィイイイイイイイイイイイイイイイイイイイ!!
ワァアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!

放送「待ちに待ったキックオーーーーーフ!前半のキックオフ権利はドイツユースから!
マーガスくんが蹴り、シュナイダーくんがしばらくキープしてから…ポブルセンくんに!ドリブル開始!」

シュナイダー「(まずはポブルセンの突進でジャブとしよう)」

サンタマリア「(ポブルセンか。それなら)ネイ、トニーニョ!」

ネイ・トニーニョ『OKだ!』

キックオフしたドイツはまずはポブルセンをけしかける事にした。
上手く突破できればチャンスが作れるし、そう上手くいかなくともブラジルの守りを試せると計算して。

ポブルセン「オラァ!かかってこいひ弱なブラジル人どもがァアア!!」

ダカダカダカッ!!

ネイ「ひ弱ときたか!」

トニーニョ「それは大間違いだ」

放送「サイドからネイくんとトニーニョくんが寄せてきた!ポブルセンくんを早めに止めたい!」

彼らの目論見はある意味当たる事になる。ブラジルの守りを試すと言う目的に置いては。

森崎「ん?早速ネイにトニーニョか」

中山「パルメイラス時代のチームメイトだよな?どうだ?」

森崎「二人共攻撃型のテクニシャンタイプだ。ポブルセンの突進は止められないだろうな」

205 :2 ◆vD5srW.8hU :2013/10/12(土) 14:38:21 ID:gepBbMKo
スピードとテクニックで勝負するドリブラー、ネイ。
ドライブシュートと堅実性に定評のあるMF、トニーニョ。
攻撃力は目を見張る物があるが守備力はそれ程でもない。
世間的な評価はこの様な物であり、森崎もそう認識していた。

今日、誰もが思い知る事になる。この二人を含めたブラジルユースの選手達は既に彼らが知る者達ではないと。

ネイ「(トニーニョ!ツインタックルだ、行け!)」

トニーニョ「(当然そのつもりだ)」

ズザザーッ!

ポブルセン「その程度かァ!」

ガゴォッ!!

放送「トニーニョくんタックル!しかしポブルセンくんのパワーに押され…」

ズザザァアアーッ!
バシィン!ポーーーーーン!!

ポブルセン「な…なんだとォ!?」

森崎「!!?」

206 :2 ◆vD5srW.8hU :2013/10/12(土) 14:40:02 ID:gepBbMKo
放送「ああーーーーっと!しかし間髪入れずネイくんがタックルし、ボールをこぼさせる事に成功!
こぼれ球はサンタマリアくんがフォロー!ドイツの出鼻を挫く事に成功しました!」

観客「よっしゃーーー!いいぞネイ!」「ナイスタイミングのタックルだ!」「見たかドイツ!」

トニーニョはポブルセンのパワーに押し負けたが、続くネイのタックルが運良く成功しこぼれ球になった。
観客の殆どは今のプレイをそう解釈したし、それは間違っていた訳ではなかった。

だが見る目を持つ者は分かっていた。今のディフェンスは運よくタイミングが絶妙だった訳ではない事を。
ネイとトニーニョが立花兄弟をも唸らせる連携で決めたタックルだったと言う事を。

政夫「おい!今の狙ってやっただろ!」

和夫「ああ!間違いない、コンビプレイだ!」

早田「先に行った奴を囮兼壁にして、計算された時間差で本命のタックルを強化したのか!」

三杉「森崎…確か彼らは、こんな技は使っていなかったよね?連携は得意だったが」

森崎「…ああ。俺がチームに居た頃はこんな事出来なかったぜ。全く、敵に回った途端新技なんか覚えやがって」

翼「まずはブラジルが主導権を握るかな?」



放送「ボールを奪い返したブラジル、パスワークを使い堅実にドイツ陣内に攻め入ります。
しかし序盤はガンガン行って良い時間帯、そろそろ仕掛ける頃でしょうか?」

フライハイト・カルツ・カルロス『………』

207 :2 ◆vD5srW.8hU :2013/10/12(土) 14:41:21 ID:gepBbMKo
サンタマリア「(やはりカルロスは警戒されているな。だが当然過ぎる事だ)ザガロ!」

バコッ!

カルロスが敵チームの選手達と睨み合いを余儀なくされているのを見たサンタマリアは
躊躇無くザガロにパスをした。ブラジルのタレントはカルロスだけではない為
この程度で彼が困る事はない。ザガロの実力を知っていれば尚更の事である。

ザガロ「よし、行くぜェ!」

ダダダダッ!

放送「サンタマリアくんからザガロくんへ!ザガロくん、突進開始!」

シェスター「来たなウナギマン!クランケ、サポート頼むぞ!」

クランケ「おう(ウナギマンって何だ?)」

ダダダダッ!

ドイツはシェスターとクランケがザガロのパワーに対抗すべくダッシュで迎え撃った。
当然ザガロが強引なドリブルの使い手と知っての事である。

ザガロ「…バカめ!」

バババババッ!

シェスター「えっ!」

クランケ「なにィ!」

ヒュンッ!

208 :2 ◆vD5srW.8hU :2013/10/12(土) 14:42:23 ID:gepBbMKo
故に、ザガロが強引なドリブルではなく華麗なドリブルを繰り出しテクニック勝負を
挑んできた時二人の反応は遅れ、大した事も出来ずに抜かれてしまった。

カルツ「(なんだと!?あいつ、ヒューガに似たタイプだった筈なのに!)」

フライハイト「(ブラジル代表としてのテクニックも持ち合わせていたか…)」

放送「ザガロくん抜いたーーーっ!力ではなく技でPA内に切り込みました!
チャンスだ!前半4分で早くも得点チャーーーーーーーーーンス!!」

観客「よっしゃーーー!流石ザガロだぜ!」「行け!先制点を奪っちまえ!」

こうしてブラジルユースはほぼ理想的な展開で最初のシュートチャンスを得た。

グワァアアアアアアアアッ!!

ザガロ「吹っ飛べデカブツ!ぬォオオオオオオ〜〜〜!!」

バッグワァアアアアアアアアアアアアアアン!!
ギュルギュルギュルギュル!

ミューラー「調子に乗るな…!」

209 :2 ◆vD5srW.8hU :2013/10/12(土) 14:44:42 ID:gepBbMKo
バッ!
バキィイイイイイイン…!
パァーーーーーーン!

ザガロ「…ちっ!」

ミューラー「この程度のシュートで俺は破れん」

だがいきなりダブルイールでゴールを許す程ミューラーは甘くなく、
勢い良く放たれたボールはミューラーの巨大な拳と地面に挟まれて甲高く破裂した。

放送「撃ったーーーーーっ!!ザガロくんのダブルイールだァ!…ああっとしかし、
ミューラーくんいきなりミョルニルをみせつけた!ボールは哀れ、破裂させられてしまいました。
前半4分、まずはブラジルが1本目のシュートを撃ちましたがこれは見事に防がれました」

観客「あ、あああ〜…」「ちぇっ、そう簡単には行かないか」「なぁに、何度でも撃てばいいのさ!」

カルロス「(よし、行ける。このまま攻撃権を独占し、シュートを撃ちまくる!)」

シュナイダー「(まずは流石はブラジルと言った所か。だがこの程度で萎縮していられん)」

210 :2 ◆vD5srW.8hU :2013/10/12(土) 14:46:33 ID:gepBbMKo
上記6レスのコピペをお願いします。

211 :森崎名無しさん:2013/10/12(土) 16:22:36 ID:???
行ってきます

212 :2 ◆vD5srW.8hU :2013/10/13(日) 12:26:45 ID:SPjew9YE
ミューラー「ハァッ!」

ボッガァアアアアアアアアアアアアン!!

ミューラーは交換されたボールを勢い良く蹴り出した。当然前線のマーガス狙いである。

マーガス「(よし!コンドルとやらの実力、見せてもらうぞ!)」

サンタマリア「(予想通り、アマラウを意識し過ぎだ…ディウセウ!)」

ディウセウ「(おう!オラの出番だな!)」

放送「ミューラーくん大きくキック!早速ドイツの速攻パターン、マーガスくんの頭狙いです!
しかしブラジルにもコンドルの異名を持つ跳ね返し屋、アマラウくんが居る!
早速二人ともベストポジションを争って走りこみます!」

アマラウ「(本来は一対一で勝負したい所だがな…チームの為だぜ)」

マーガス「(ポジショニングが甘い…?これなら行ける!)」

マーガスはアマラウとの対決を試合前から意識していた。そして実力で打ち勝つつもりでも居た。
ブラジルユースの高いクリア役と言えばアマラウであり、それ以外のDFは自分の相手ではない…
特に大柄でパワーはあるがジャンプ力に欠けるディウセウは殆ど歯牙にもかけていなかった。

だがそれは大きな誤りだった。

バッ!
バッ!
バッ!

213 :2 ◆vD5srW.8hU :2013/10/13(日) 12:28:20 ID:SPjew9YE
ディウセウ「キャ!ノ!ン!」

マーガス「!!?」

ガガガッガッ!!

ディウセウ「クリ!アーーーッ!!」

マーガス「ぐわああっ!?」

ドガアアッ!

ディウセウはジャンプ力でこそ及ばなかったものの、体の大きさを上手く行かして
ベストポジションを確保した上で競り合った。こうなるとパワー勝負では彼が圧倒的に有利で、
当然アマラウも居る状況ではマーガスは打ち勝つ事が出来ずに吹き飛ばされてしまう。

シュナイダー「(何!?アマラウだけでなく、ディウセウもあんなクリアが出来るのか!)」

アマラウ「(ジャンプ力がないんならパワーとポジショニングで補えばいい…
理屈は簡単だけど無茶しやがるなあコイツ。ザガロと気が合うのも納得だ)」

放送「ああっとしかし、頭一つ抜けたのはその二人ではなくディウセウくん!
豪快なクリアでマーガスくんごとボールを跳ね返した!これは幸先がいい!」

観客「よっしゃあ!ドイツの速攻パターンを防いだぞ!」「ディウセウ!ディウセウ!」

214 :2 ◆vD5srW.8hU :2013/10/13(日) 12:30:16 ID:SPjew9YE
翼「おや?アマラウがマーガスの相手役かと思ったら…」

次藤「なんやアイツ、ワシと似た体格ばってんあんな事も出来っとね?」

若島津「ジャンプ力の無さを体格とポジショニングで補うクリアか。理には適っている」

葵「ドイツ、いきなりポストプレイ対策をされちゃいましたね?」

松山「毎回成功する訳じゃないだろうが、これであんまりマーガスには頼れなくなったな」

若林「…まずいぞ、ドイツ」

山森「そうですね、出鼻を上手く挫かれ続け…」

若林「それだけじゃない。ブラジルはドイツの攻撃パターンのほぼ全てに対策できているかも知れん」

赤井「えっ?マジっすか?」

三杉「…君もそう思ったか。どうやら、翼くんの予想通りの展開になるかもね」



ブラジルがシュートを積極的に撃っていくつもりなのは誰の目にも明らかだった。

放送「再びブラジルボール、しばらくパスを回します。下がり目に位置したサンタマリアくんが
司令塔となったオーソドックスなパスワーク、言わば嵐の前の静けさです」

215 :2 ◆vD5srW.8hU :2013/10/13(日) 12:32:23 ID:SPjew9YE
ネイ「おいサンタマリア!そろそろくれよ!」

ダダダダッ!

ヨハンセン「(ネイが来る…?いや!?)」

サンタマリア「ナイスデコイ」

シュッシュッ!
ダダッ!

ヨハンセン「しまった!」

放送「おっとここでサンタマリアくんネイくんとスイッチ…いや!そう見せかけて
右サイドに切り込みました!シュートチャンスだ!」

フライハイト「(焦る事はない。サンタマリアよりも脅威度が高いのは…)」

サンタマリア「任せたぞ!」

ボムッ!

放送「撃たない、バックパス!これは少し距離を取っていたカルロスくんへのパスだ!」

ワァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!

観客「よっしゃー!カルロスに渡った!」「いけーっ!ミラージュシュートだァ!」「決めろカルロス!」

フライハイト「(そう、カルロスだ。撃たせて止める)」

216 :2 ◆vD5srW.8hU :2013/10/13(日) 12:35:08 ID:SPjew9YE
前半8分、カルロスがミラージュシュートを放つ。

カルロス「(ブロッカーは…二人か。だが関係ない。撃つ!)行くぜミラージュシュート!」

グワァアアアアアアアアアアアッ!!
バッギュゥウウウウウウウウン!!

放送「出たァ!カルロスくんのミラージュシュート!」

フライハイト「っ!」
クランケ「うわあっ!」

チッ…
ドガアッ!

ミューラー「チィッ!」

バッ!
バコォオオオオン!

これをフライハイトが反転ブロックで威力を弱め、ミューラーはパンチングで
(ブラジル側から見て)左コーナーキックに逃れる事に成功した。

放送「防がれたァ!これはコーナーキック!ブラジルのチャンスは続きます」

観客「あ〜〜〜っ、惜しい!」「なあに、コーナーならまだまだ行ける!」

サンタマリア「(コーナーか。それなら、出し惜しみせずに行くか!)」

217 :2 ◆vD5srW.8hU :2013/10/13(日) 12:37:32 ID:SPjew9YE
上記5レスのコピペをお願いします。

218 :森崎名無しさん:2013/10/13(日) 12:44:07 ID:???
行ってきます

219 :2 ◆vD5srW.8hU :2013/10/14(月) 00:54:34 ID:oK4BXiDI
更にブラジルのチャンスは続く。

放送「コーナーキック!何かが起こりそうな予感がします!キッカーはサンタマリアくん。
一体どのシューターを使ってくるのか、我々以上にドイツが気にしているでしょう!」

フライハイト「(ディウセウは…駆け込もうと思えば駆け込める、程度の位置か…)」

ミューラー「(どいつもこいつも撃つ気満々…これ程までにシューターが多いチームと
戦った事はない。俺が予測などしたら薮蛇…ならばボールの動きだけを見るか)」

ピィイッ!

ディウセウ「おっしゃ!」

ダダッ!

岬「あっ!これはダイレクトだよ!」

翼「えっ?」

フライハイト「(ディウセウが走りだした…?いや、勢いがない。フェイクか。なら誰に…)」

サンタマリア「今だ!」

ダダッ!
グワアアアアッ!

フライハイト「なにィ!?」

バシュゥウウウウウウウウウウウウウウウウウン!!
ギュルルルルルルル!

220 :2 ◆vD5srW.8hU :2013/10/14(月) 00:57:06 ID:oK4BXiDI
放送「おお〜っ!?サンタマリアくんまさかの直接シュート!これは得意のバナナ…いや!
ブーメランシュートだ!バナナシュートより遥かに曲がるブーメランシュートです!」

カルツ「ちょっ、待て!」

シェスター「し、しまった!」

サンタマリアのブーメランシュートはドイツの誰も予測しておらず、
誰もブロックする事が出来なかった。ここまでは完全にサンタマリアの狙い通りだった。

ミューラー「騒ぐなグズども!」

バッ!
バコォオオオオオオオン!!

サンタマリア「なにィ!(ミューラーだけは読んでいたと言うのか?試合経験が少ない筈のアイツが!)」

ミューラー「この程度のシュート、何本撃っても無駄だ!」

シェスター「な、ナイスだミューラー!」

だがサンタマリアにとって誤算だったのはミューラーが最初から選手の動きなど見ておらず、
ボールだけ見ていた為惑わされなかった事だった。

放送「し、しかしミューラーくんこれも力強くパンチング!不意をついた筈のシュートでしたが
彼だけは勘で読んでいたのでしょうか?上手くシェスターくんの前方に弾きました!」

シュナイダー「よし、攻めるぞ!」

ドイツメンバー『おう!!』

221 :2 ◆vD5srW.8hU :2013/10/14(月) 00:58:09 ID:oK4BXiDI
上記2レスのコピペをお願いします。

222 :森崎名無しさん:2013/10/14(月) 06:41:23 ID:???
やってみます

223 :2 ◆vD5srW.8hU :2013/10/16(水) 00:55:27 ID:hW5I0rKs
シェスター「そろそろ反撃させて貰わなきゃな!」

マウリシオ「そうは行かないッスよ!」

放送「シェスターくんにマウリシオくんがつい…」

シェスター「それ位じゃ俺は止められないぞ坊や!」

ババババッ!

マウリシオ「うえっ!?」

放送「た…がすぐに抜かれてしまいました!そしてシェスターくんパス!このボールはカペロマンくんに!」

早くも3本もシュートを撃たれたドイツは早いうちにやり返したいと言う心理で反撃を狙い、
マーガスのポストプレイに次ぐ得意戦法であるカペロマンのサイドアタックを試みる。

若林「得意のサイドアタックか…だが、これも当然対処済みだろう」

三杉「だろうね。ああ、やっぱりジェトーリオだ」

ジェトーリオ「は〜い、ここは通行止め。諦めてボール頂戴」

カペロマン「フッ。お前が噂の外道野郎か」

放送「このサイドアタックを阻まんとハーフライン間際でジェトーリオくんがついた!」

224 :2 ◆vD5srW.8hU :2013/10/16(水) 00:57:12 ID:hW5I0rKs
カペロマン「俺のサイドアタックを止められるか?」

スタッ。
シュシュッ!
ダダダッ!

ジェトーリオ「やるねえ。サイドラインをすっごく上手く使ってるよ。で・も♪」

グイッ!

カペロマン「なっ!?(このタイミングでも審判に見えていないのか?)」

ズサッ!

しかしジェトーリオの見え難い反則を混ぜたディフェンスを突破する事はカペロマンには難しかった。
ただしドイツもただ単純にカペロマンの単独突破に期待していた訳ではない。

ジェトーリオ「それだけじゃ僕は抜けないよ…〜ん!?」

放送「ジェトーリオくん奪いました!…ああっと、しかし!」

シュナイダー「上手いディフェンスだ。ではボールキープの方はどうだ?」

ジェトーリオ「や、ヤバッ…!」

225 :2 ◆vD5srW.8hU :2013/10/16(水) 00:58:57 ID:hW5I0rKs
ドゴォオオッ!

ジェトーリオ「ぐべぁああああ〜っ!!」

シュナイダー「こっちは大した事はないな」

カペロマン「おお!良い気味だぜ!」

ゲルティス「…PA内に微速後退。敵に時間を消費させ、切り込みかシュートの二択を強制しろ」

ドトール・アマラウ・ディウセウ『おう!』

放送「すかさずシュナイダーくんに奪い返され、ジェトーリオくん吹っ飛ばされた!
ブラジル、遂に自陣にドイツの侵入を許してしまいました!ドイツの最初のシュートが生まれるか?」

ドイツ側もまたカペロマンが止められた時用にシュナイダーが寄せており、ボールの再奪還に成功した。

中山「おおっ!今のはドイツの読み勝ちか」

日向「だが…ここからどうするつもりなんだろうな?」

シュナイダー「(前には…ドトール、アマラウ、ディウセウの3人か…)」

こうしてとうとうエースストライカーを筆頭に攻め入る事に成功したドイツだったが、
そこから先をどうするかが問題だった。ジェトーリオを突破してもまだDFは3人も残っており、
どの様な攻め方をしても対応が出来る体勢。勿論グズグズしていたらブラジルのMFが戻ってくる。

226 :2 ◆vD5srW.8hU :2013/10/16(水) 01:02:22 ID:hW5I0rKs
ポブルセン「何してやがるシュナイダー!撃たないんなら俺に寄越せ!」

シュナイダー「…いいだろう。撃て」

ポンッ。

放送「シュナイダーくんチャンスエリアに駆け込んでから…左にパス!ここにはポブルセンくんだーっ!!」

シュナイダーはドリブルしながら考えた後、ポブルセンに撃たせる事にした。
そのまま通じれば良し、弾かれるのなら自分が追撃すれば良しと判断して。

ポブルセン「ブラジル人どもよ!俺の力を思い知れ!そして…後悔しろーーーっ!!」

グワアアアアアアアアアッ!!

放送「ポブルセンくんのマーダーショット!かなり強力なシュートです!」

ディウセウ「よしっ!いっちょやってみっかァ!」

ゲルティス「(この状況でのマーダーショットがディウセウを突破する確率…55%)」

バギュォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!!

ディウセウ「うぅううううりゃーっ!!」

ボグォオオオオオオッ!
ズズズズズ…
ポトッ。

ポブルセン「な…なにィ!?」

227 :2 ◆vD5srW.8hU :2013/10/16(水) 01:03:57 ID:hW5I0rKs
ドイツの目論見は叶わなかった。ポブルセンのマーダーショットはディウセウがブロックに完全成功した。
やっと撃てた一本目のシュートはキーパーまで届かなかったのだ。

放送「止めたーーーっ!!ディウセウくんガッチリブロック!巨体を活かして踏ん張り
シュートの勢いに打ち勝ち、弾く事すらせずトラップしました!これはファンプレイです!」

ワァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!

観客「いいぞいいぞディウセウ!」「ちょっとヒヤッとしたが、これなら安心だな!」

森崎「あー、ディウセウはブロック力も上がってるな。当然っちゃ当然だが」

翼「一年間あったんだ。リオカップの時よりはパワーアップしているだろうさ」

松山「でも、ビデオから想像していた姿より更に強いんだが…」

三杉「この大会はこれまで楽勝続きだったからね。新技をいくつか隠していたんだろう」

ディウセウ「ヘッヘヘー…」

ポブルセン「野郎ッ…!」

シュナイダー「(これは…相当な我慢を強いられる試合になるかも知れん…)」

シュート数で圧倒されそうな上に、折角撃てたシュートも厚い壁に阻まれる。
苦戦を予感したシュナイダーの顔は普段より更に鋭く厳しい物になっていた。

228 :2 ◆vD5srW.8hU :2013/10/16(水) 01:05:10 ID:hW5I0rKs
上記5レスのコピペをお願いします。

229 :森崎名無しさん:2013/10/16(水) 01:05:42 ID:???
行ってきます。

230 :森崎名無しさん:2013/10/16(水) 01:09:24 ID:???
完了です。

231 :2 ◆vD5srW.8hU :2013/10/22(火) 00:15:38 ID:JziXiKPw
ブラジルは更に苛烈な攻撃を続けていく。

ディウセウ「そーりゃっと!」

ボッコォオオオオオオオン!

放送「ディウセウくん大きく蹴り上げた!これをトニーニョくんがジャンピングトラップ。
ここからネイくんとのコンビプレイで攻め上がるのでしょうか?」

トニーニョ「(いや…今回は俺だけで行く。上がれ、ネイ)」

ネイ「(オッケー)」

ダダダッ!

放送「いや、二人の距離は開き気味です。どうやらトニーニョくん、しばらくは自力で攻め上がる模様!」

メッツァ「(あいつもドリブル上手いんだよなー。上手くカルツと連携しないと…)」

トニーニョ「そんな時間をやると思うか?」

ダダダダーッ!
ヒュッ!

メッツァ「えっ!?」

放送「ここでトニーニョくん加速!メッツァくんは驚いたのかノーチェックで行かせてしまいました!」

232 :2 ◆vD5srW.8hU :2013/10/22(火) 00:17:25 ID:JziXiKPw
トニーニョは単独で勝負したがらないメッツァの心理を読み、猛ダッシュで彼を置き去りにした。

カルツ「何やってやがるメッツァ!ええいシェスター、援護を!」

シェスター「分かっているさ!」

トニーニョ「(よし、ここで使うべきだ)」

グワアアッ!

放送「ああっとトニーニョくん振りかぶった!?これはロングシュートか?」

カルツ「(こんな距離でシュート?そんな馬鹿な事をしてくれるんだったらむしろラッキーだ)」

シェスター「(これはパスだ!つまり、俺のホウセンカが物を言う!)」

バッコォオオオオン!
ギュワーーーン!

更に逆サイドに流す大きなパスを出す。その軌道にはカルツとシェスターの二人が居た為
このパスの成功率は高くないだろうと思われた。

カルツ「(なんだこりゃ!?やたら速くて高いぞ!)」

シェスター「(届かない…けど、サイドラインを超えるだろうこれは…)な、なにィ!?」

放送「いや、パスです!速くて高い…高すぎるか!?いや、こ、これは!」

233 :2 ◆vD5srW.8hU :2013/10/22(火) 00:18:55 ID:JziXiKPw
翼「あれは…!ドライブパスじゃないか!」

ギュルルルルン!

しかしシェスターの予想と頭上を越えていったパスは強烈なドライブ回転により
狙い通り逆サイドにちょうどいい高さに落ちる様になっていた。

トニーニョ「甘いぞドイツ。俺にもこれ位は出来る」

森崎「あの野郎…これも昔に使ってりゃいい物を…」

ダダダダッ!

マウリシオ「ナイスパス!こいつは貰ったぜ!」

バッ!グルンッ!
グワァアアアアアアアアアアアアアアッ!!!

放送「この高いボールに駆け込むのはマウリシオくんだ!高くジャンプして
オーバーヘッドキックに行きます!クランケくん追いすがるが、間に合いそうにない!」

翼「!!?」

若林「あ、あのフォームは…!」

ミューラー「(フン。あんなキック力の無さそうな奴のオーバーヘッドなど…!?)」

バッ!

234 :2 ◆vD5srW.8hU :2013/10/22(火) 00:20:10 ID:JziXiKPw
マウリシオ「いっけぇええええええええ!!」

ブワッギュルァアアアアアアアアアアアアアアッ!!!

放送「マウリシオくんのオーバーヘッドキック…!違う!」

トニーニョのセンタリングからマウリシオが放ったシュートはただのオーバーヘッドキックに見えた。

ギュゥウーーーーーーン!!
グ、グ、グッ!

下に向かって打ち下ろされた筈のそのボールが非常識にも上に曲がり始めるまでは。

岬「翼くんのドライブオーバーヘッド…!?」

松山「マジかよ!」

翼「(マウリシオが…これが出来るなんて…!)」

マウリシオ「(俺は年下ってハンデに負ける気はサラサラないんですよ、ツバサ!)」

ミューラー「クッ…こんな…小細工になどォ!」

ブンッ!
バチィイイン!

放送「ドライブオーバーヘッドだーーーっ!!しかしミューラーくんかろうじて弾く!」

235 :2 ◆vD5srW.8hU :2013/10/22(火) 00:21:15 ID:JziXiKPw
マウリシオ「(げっ、これでもダメなのか?…まあいいや)」

予想外の大技に間一髪で気付いたミューラーだったがそれでも対応の遅れは拒めず、
咄嗟に腕を振り上げて不恰好に弾き上げるのが精一杯だった。

ネイ「チャ〜ンス♪」

ダダダダッ!
グワアアアッ!

それはつまり、ブラジルのチャンスが継続すると言う事である。

ミューラー「…おのれェ!」

放送「ボールは逆サイド!ネイくんだ!ネイくんが合わせに行っているーーっ!!」

観客「よっしゃーーーっ!!叩き込め!」「キャーーーー!決めてネイーーーーッ!!」

フライハイト「拙い…!」

ヨハンセン「やらせるかーっ!」

ダダダッ!

ネイ「よっと!」

ポコン。
ギュルンッ!
グワアアアアアアッ!

236 :2 ◆vD5srW.8hU :2013/10/22(火) 00:22:28 ID:JziXiKPw
フライハイト「(かわされた…が、これなら!)」

ねじ込みを狙うネイは得意のディレイドスピンボレーでDFを振りきり、シュートに行った。

ネイ「決めるぜ!…えっ!?」

シュウウンッ!

ミューラー「うぉーーーーーっ!!」

バギィイイイイイイン!

だがDFをかわした僅かな時間を利用したミューラーが、体勢の悪いまま飛び出しもう一度ボールを跳ね上げる。

放送「おおおおお〜〜っとォ!?しかしミューラーくんが物凄い勢いで飛びついたァ!
シュートが阻止され、ボールは更に弾かれて行く!」

観客「ウッソー!?何でそこに居るのよ!」「折角のネイのシュートだったのに!」

ネイ「(冗談だろ…なんであそこから間に合うんだよ…)」

ミューラー「…くうっ!?」

トニーニョ「まだだ、今度こそ!」

バッ!

237 :2 ◆vD5srW.8hU :2013/10/22(火) 00:23:30 ID:JziXiKPw
ここで更にシュートを撃たれていたらドイツは今度こそ失点していたかも知れない。
ブラジルもそれを狙ってトニーニョがこぼれ球に向かって飛んでいた。

マーガス「フザけるな!いい加減にしとけよ!」

バッ!

トニーニョ「うっ!?」

バコォオオオン!

だがドイツもマーガスが戻ってきて競り勝った事でやっとクリアに成功し、
3連続でシュートを浴びる事はかろうじて阻止した。

放送「これをトニーニョくんとマーガスくんが競り合い…マーガスくんクリア!
ブラジル、惜しくも畳みかけきれませんでした。前半18分、ここまで優勢に攻めていますが
ミューラーくんを中心とした粘り強い守りに後一歩の所で持ち堪えられています」

観客「くっそぉ、惜しい〜!」「まあまあ、ここは素直にドイツを褒めてやろうじゃないか」

森崎「ったく、一体いくつ新技用意してきやがったんだブラジルユースは」

シュナイダー「(これは…危険だ。危険な試合だ…!)」

こうしてピンチをまた切り抜けたドイツだったが、キャプテンのシュナイダーは冷や汗を禁じ得なかった。
ここまでのシュートはブラジルが5本に対しドイツはわずか1本。しかもドイツのシュートは
GKまで届いていないのに対し、ブラジルのシュートは全てミューラーの奮闘によって防がれている有様。

試合展開がブラジルの一方的優勢になっているのは火を見るよりも明らかだった。

238 :2 ◆vD5srW.8hU :2013/10/22(火) 00:24:38 ID:JziXiKPw
上記7レスのコピペをお願いします。

239 :森崎名無しさん:2013/10/22(火) 00:25:30 ID:???
行ってきます。

240 :2 ◆vD5srW.8hU :2013/10/24(木) 00:49:49 ID:sK4QhCMg
ドイツは2度目の反撃のチャンスの先陣をメッツァに切らせた。

放送「このこぼれ球はメッツァくんがフォロー!ドイツにとっては久々の攻撃チャンスです!」

シュナイダー「上がれメッツァ!ネイとトニーニョが戻っていない今がチャンスだ!」

メッツァ「分かってるよ!(でも…)」

ダダダダッ!

放送「パサーとして知られるメッツァくんですが、ここはドリブルで攻め上がります。
あっと、ブラジル誰もチェックに行かない?ネイくんとトニーニョくんが戻りに
走っていますが、このままではブラジルサイド奥深くまで攻め入られてしまうでしょう」

サンタマリア「(メッツァにチェックに行っても、パスカットは難しい。
それよりも他の奴らのマークを固め、パスを出しても意味がないと言う状況を作る)」

メッツァ「(やっぱりこうされちゃうよね〜…さて、どうしたものやら)」

幸運にも、メッツァは軽視された為にマークが緩く今度はボールをブラジル陣内に運ぶのは容易だった。
不幸にも、メッツァがボールを運んだだけでは決定的なチャンスを作るのは容易ではなかった。

山森「パスの出し所に困っていますね…」

若林「メッツァは自分で決定的な仕事は出来ない。故に放置されやすく、
ボールを前に運びやすくなると言うメリットはあるが、そこからどうするかが問題だ」

241 :2 ◆vD5srW.8hU :2013/10/24(木) 00:51:01 ID:sK4QhCMg
メッツァ「(…相手の予想通りだろうけど、シュナイダーの体力を余らせないのが一番か)」

バコッ!

放送「ここでシュナイダーくんにパスが通った!ドトールくんとアマラウくんが詰めに行く!
ここで抜かせてしまってはドイツのシュートチャンスになってしまう!」

メッツァは悩んだ末にシュナイダーを頼る事にした。マーガスとカペロマンがしっかりマークされており、
ポブルセンが先程防がれていてはもうシュナイダーの個人技に頼る事しか思いつかなかった。

シュナイダー「(不利だと分かっていてもやるしかないか…!)」

バババッ!

ドトール「無駄だ。通しはしない」

アマラウ「ちょっとムシが良すぎないか、ってな?」

ズザザァッ!
バチィーーーン!

シュナイダー「くっ…!」

放送「通さない!ドトールくん上手くこぼしました!あっとしかし!」

ダダダッ!

カペロマン「まだだ!俺が居るぜ!」

放送「カペロマンくんが中央に寄ってきていた!これをフォロー!」

242 :2 ◆vD5srW.8hU :2013/10/24(木) 00:52:43 ID:sK4QhCMg
しかしシュナイダーはアマラウのサポートを受けるドトールにしっかりマークされており、
ドリブルで抜き去る事が出来ずボールをこぼされてしまう。これをカペロマンがフォローしたが、
すぐにでもジェトーリオに追いつかれそうになったカペロマンはすぐ撃つしかない。

ジェトーリオ「あれっ?いいのかなー、君サイドじゃないと役立たずじゃん」

カペロマン「余計なお世話だ!くらえっ!」

グワアアアアアアアアアッ!!

放送「すかさず振りかぶる!カペロマンくんのサイドワインダーだーーーっ!!」

ゲルティス「俺に任せろディウセウ(この位置からのサイドワインダーの得点確率…5%)」

ディウセウ「いいのか?んじゃオラはフォローに備えるぞ」

カルツ「(くそっ…あの位置からじゃ多分…)」

バッコォオオオオオオオオオオオオオオオン!!

ギュインギュインギュインギュイン…!

ゲルティス「(キャッチ成功確率76%…)」

バッ!
シュィイイイイイイイイイイイイン…!

森崎「!!」

ガシイッ!

243 :2 ◆vD5srW.8hU :2013/10/24(木) 00:53:50 ID:sK4QhCMg
ゲルティス「キャッチ成功」

カペロマン「…くそっ!」

放送「しかし止めたーーーっ!!ゲルティスくん物凄い反応速度でガッチリキャッチ!
左右にあれ程ぶれるシュートを迷いなく正確に掴み、トレードマークのダークイリュージョンの
凄さを見せつけました!流石はACミラン所属のキーパーマシンです!」

観客「よっしゃー!流石ゲルティス!」「どーしたドイツ!全然ダメじゃないか!」

赤井「出たっス!あれがゲルティスのセービングです!」

三杉「森崎に近いタイプだな。凄い瞬発力を伴ったセービングだ」

森崎「チッ。生意気な…正面からのサイドワインダーなんかキャッチ出来て当たり前だっての。
ありゃサイドから独特の軌道で惑わすから効果的なんだよ。正面からじゃただのツインシュートみたいなモンだ」

岬「うん。カペロマンがわざわざ中央で撃たされた時点でドイツの負けだね」

日向「このままじゃドイツは無様に負けるだけだ。どうするつもりなんだか」

止むを得ず即撃ったカペロマンのサイドワインダーは類まれなる瞬発力を見せた
ゲルティスのセービングに完全に阻まれた。ドイツはこれでやっとシュートを敵GKに
届かせたが、その結果は全く勇気づけられない物だった。

ルディ「(いかん…こうまで攻防両方で圧倒されるとは!このままでは先制点を奪われた時点で負けかねない!)」

シュナイダー「………くそっ」

244 :2 ◆vD5srW.8hU :2013/10/24(木) 00:55:35 ID:sK4QhCMg
上記4レスのコピペをお願いします。

245 :森崎名無しさん:2013/10/24(木) 02:52:00 ID:???
いってきます

246 :2 ◆vD5srW.8hU :2013/10/29(火) 00:58:24 ID:vl96oUyI
ゲルティスがあっさりサイドワインダーをキャッチした事で、当然またブラジルの攻撃が始まる。
ここでシュナイダーは決断を迫られた。

シュナイダー「(…戻るべきか、戻らぬべきか…)」

この試合彼はここまでカウンターに備え前線で張っていた。
基本的に彼は典型的なストライカータイプで、守備は前線では行うが自陣奥深くまで戻る事は殆どない。

こう表現すると人によっては守備貢献をしない我儘なFWと評するかも知れないが、
速攻に備える事で己の攻撃力で敵チームを威圧するのもFWの仕事の一つである。
FWが攻撃よりも守備を重視し自陣に戻れば当然チームの攻撃力は落ちるし
敵チームのDFが攻撃参加を得意とするタイプであれば積極的にそれを狙ってくるであろう。

だがそれらを承知した上でシュナイダーは今は自陣に戻り守備とボールキープに貢献すべきか真剣に悩んだ。
このまま攻撃され続ければ遠からず失点する確率はかなり高い。
少なくとも試合終了まで無失点のまま切り抜けられる事を期待するのは楽観的に過ぎるだろう。
ならば彼も自陣内でボール争いに関わり、試合の流れを変えるべきではないのか?



ルディ「(くそっ…私の見通しが甘かったと言うのか?だが、これでは修正する箇所など…)」

同じタイミングで彼の父親であるルディ監督も悩んでいた。昨晩与えた指示が殆ど役に立っていないのはまだいい。
作戦にミスがあったのならそれを修正すれば試合の流れを変えられる可能性があるからだ。

だが相手は攻撃力も守備力も想定していた範囲を優に超えており、しかも何か奇抜な事をしている訳でもない。
両チームが自分たちの得意な戦い方で真正面からぶつかりあった結果ブラジルが優勢になっているだけなのだ。
つまりそもそもミスなどしていないのだから、都合よく流れを変えられる修正箇所などない。
正攻法の修正ではなく奇策ならば話は変わるが、勿論それは多大なリスクを伴う。

247 :2 ◆vD5srW.8hU :2013/10/29(火) 00:59:40 ID:vl96oUyI
ルディ「(ダメだ…!いっそ私が無能ならまだ良かった!それなら打てる手が何かしらあった筈なのに!
今のままでは選手達が耐え抜き、反撃の機会をみつけるまで待つしかない!…なんと無力な監督だ)」

結果、ルディ監督は動きたくても動けなかった。
最初からベストメンバーを出しているのだから流れを変えられるスーパーサブなど居ない。
またドイツユースにはユーテリティプレイヤーが少なく、特に大胆にポジションチェンジ出来るのは
フライハイト位の物である。フォーメーションを弄って光明を見出すのも難しい。

ルディ「(いや…今、私が監督としてすべき事は選手達を…特に守備陣を信じる事だ。
ブラジルの攻撃は変幻自在の剣林弾雨。しかし問答無用で装甲を貫ける大砲は持っていない。
もし持っていたらとっくに使っていただろう。先制点が喉から手が出る程欲しいのは向こうも同じ。
故に…勝機はカウンターに有りだ!待っていればチャンスは必ず来る!その為には…)」

焦りに耐え抜いた熟慮の末、ルディ監督は動きたくても動けないのではなく、動きたくても動かない事を決めた。
藪蛇をつつく誘惑に耐え自分の作ったチームとそれを構成する選手達を信じる無策の策。
それこそがこの試合の勝利への道だと信じて彼は何も動かずじっと見守り続けた。
彼の息子であるシュナイダーが万が一誘惑に負けてしまった場合はすぐさま止めるつもりで。

ルディ「(お前だけは守備に下がってはいけないぞ、カール)」



カルロス「(相変わらずシュナイダーは前線に残っているのか?)」

サンタマリア「(ダメだな。ジェトーリオのサインは相変わらずだ)」

ブラジルユースもまた、シュナイダーの動きに注目していた。
それもサンタマリアが直接見るのではなくゲルティスからジェトーリオを経由したサインで。
彼らはシュナイダーに自分が観察されている事を視線で気付かれたくなかった。

248 :2 ◆vD5srW.8hU :2013/10/29(火) 01:01:20 ID:vl96oUyI
つまり、彼らはシュナイダーに守備に戻って欲しかったのである。

カルロス「(作戦は7割がた成功している。2トップ対策、攻撃権の独占、シュートラッシュ…
全て実現出来ているが、ミューラーが予想以上に固い事とシュナイダーが守勢に
回ってくれていないのが問題だ。奴を自陣に閉じ込めれば9割がた勝利が決まるんだが…)」



シュナイダー「(…戻らない。俺は戻ってはいけない!)」

ブラジルユースの目論見は外れた。わざわざサインを使い気付かれない様配慮したのは無駄になった。

シュナイダー「(ここで戻ってもジリ貧になってブラジルを喜ばせるだけだ。
俺が守備に戻ればキープ率は上がるだろう。だがそれは自陣内のキープ率であり
敵陣に攻め込める時間はむしろ減る。そしてそれはシュートチャンスの減少に繋がるんだ。
ブラジルも見た目程余裕がある訳じゃない。あれだけ撃ちまくっていてもミューラーを
崩せない事は必ず近い内に苛立ちと油断に繋がる!その一瞬のスキこそが反撃のチャンスだ!)」

シュナイダーは熟慮の末にあくまで前線で待ち続ける事を決断した。
この決断が前半と先制点の行方を左右する事になる。

放送「さあここでザガロくんがボールを持ちました!丁度いいシュートレンジです!」

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