キャプテン森崎 Vol. II 〜Super Morisaki!〜
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【影の役者】鈴仙奮闘記30【天才の相棒】
676 :
鈴仙奮闘記
◆pXM64Uz50c
:2015/08/17(月) 00:34:45 ID:???
ポーンッ、……パシッ。
小悪魔「――き、来た。もう一度、チャンスが」
パチュリー「……時間が無い。そのまま前に出しなさい、小悪魔。
『オフサイドトラップ』の危険はあるけれど、成功率は五分と五分。
私が成功しそうなギリギリの位置をレクチャーするから、そこを狙って」
小悪魔「わ、分かりました。……パチュリー様を信じます!」
グワァァァァァァッ……バシュウウウウウウウウッ!
ギュルギュルギュルギュルギュルギュルッ!
実況「ボールをフォローした小悪魔選手、今度は長距離のパス!
霊夢選手とパチュリー選手が揉み合った隙を突いて、前線のレミリア選手へと縦ポンだ〜!」
霊夢「……アリス!」
アリス「分かっているわよ、霊夢!」
スッ……!
実況「ですが、元々霊夢選手のワンマンチームでは無く、
それぞれのポジションに一流クラスの選手が勢揃いしている博麗連合は焦らない!
霊夢選手に代わり、第二のゲームメイカーであるアリス・マーガトロイド選手が指揮を執って……!」
677 :
鈴仙奮闘記
◆pXM64Uz50c
:2015/08/17(月) 00:36:04 ID:???
アリス「(……ロングパス。ゲームを司るパチュリーは霊夢と同じく、
さっきまでの混戦の影響で身動きが取れていない。だったら、ここは……)――皆!」
サッ……!
衣玖「(アリスさんからのサイン。これは……)了解です、ラインを上げましょう」
タッ! タタタタタッ……!
天子「あー、あれね。勝つべからざるは守るなり、勝つべきは攻むるなり……って奴。
あれって、『攻撃は最大の防御なり』ってだけ覚えてる奴が多いけど、
実際は『負けそうな時はちゃんと守っとけ』とも言ってるのよねー」
萃香「何言ってんだ。負けそうな時は飲んで忘れる! これに限るでしょ!」
中里「(拙者は足が速い。ご婦人方と足並みを揃えるよう、少し手加減しなくては)」
玄爺「………」
博麗連合のDF陣は、小悪魔が放ったパスをオフサイドにするという明確な意図で、
兵隊の隊列の如く揃って、最終ラインを大きく上げ始めた。
アリス「(幻想郷にサッカーが流行った時、私は流行に乗り切れなかった。
だけど今は、皆との話題作りの為に研究した戦術がある!
どうかしらパチュリー。今の私のサッカー戦術は、貴女にも負けていない筈よ……)」
森崎「(――脳内で留まっていたアイツの戦術を、実戦化する為に尽力したのは俺だけどな。
自分で教えりゃ良いのに、勿体ぶるから練習に苦労したぜ)」
678 :
鈴仙奮闘記
◆pXM64Uz50c
:2015/08/17(月) 00:38:31 ID:???
アリスの戦術眼。そして博麗連合の統率の取れた動きは確かに優れていた。
オフサイドトラップの成功率は原則五分五分ではあるが、
今回に限ってはスカーレットムーンズの分が悪い事を、パチュリーは認識していた。
昔のような、理論家で頭でっかちな彼女であれば、ここは素直にアリスの勝ちを認め退くべきシーンだった。
……しかし。
パチュリー「(本にある理論では、ここは攻めるべき局面では無い。
だけど……ここ最近の慌ただしい日々のせいで。私は、何というか……往生際の悪さというか、馬鹿になったみたい。
だって、こうしている今だって、敗北の可能性を考慮せず、勝利の可能性を積み上げる事にしか目が無いのだから)」
厄介な友人の影響か。成長しつつある友人の妹の影響か。
はたまた、自分の事をマスターと頼ってくれる、馬の骨も知らぬお人良しのためか。
パチュリーは、博麗連合の見事なオフサイドトラップを見てもなお、
自分が小悪魔に与えた指示は正しく、それにより、自分達の攻撃は成功すると信じていた。信じる事にした。
だから彼女は、ボールが地面に着くよりも、審判の笛を確認するよりも先に。
チームメイトに対して、こう指示を出す事にした。
パチュリー「――皆、上がりなさい。 ……『ファストブレイク』よ!」
―――パチュリーの号令は、紅魔スカーレットムーンズによる、前半最後の猛攻撃の開幕を告げる狼煙となった。
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0ch BBS 2007-01-24