キャプテン森崎 Vol. II 〜Super Morisaki!〜
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【影の役者】鈴仙奮闘記30【天才の相棒】

1 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/06/29(月) 22:01:33 ID:???
このスレは、キャプテン森崎のスピンアウト作品で、
東方Project(東方サッカー)とのクロスオーバー作品です。
内容は、東方永夜抄の5ボス、鈴仙・優曇華院・イナバがサッカーで師匠を超えるために努力する物語です。
他の森崎板でのスレと被っている要素や、それぞれの原作無視・原作崩壊を起こしている表現。
その他にも誤字脱字や稚拙な状況描写等が多数あるかと思いますが、お目こぼし頂ければ幸いです。

☆前スレ☆
【レイセンガ】鈴仙奮闘記29【タダシイヨ】
http://capmori.net/test/read.cgi/morosaki/1432654054/
☆過去ログ・攻略ページ(キャプテン森崎まとめ@Wiki内)☆
http://www32.atwiki.jp/morosaki/pages/104.html

☆あらすじ☆
ある日突然幻想郷にやって来た外来人、アラン・パスカルと中山政男との出会いにより、
師匠、八意永琳に並ぶ選手になると決心した鈴仙・優曇華院・イナバ。

全幻想郷代表選抜大会で活躍し、代表メンバーの一員となる事を夢見てきた鈴仙はある日、
自身が『プロジェクト・カウンターハクレイ』のキャプテン候補に選ばれている事を知る。
それは霊夢や紫達幻想郷に敵対し、以て幻想郷の価値観を覆すという壮大な計画。
更に鈴仙は、全幻想郷代表の下部組織、『リアル・幻想・セブン』の一員として、
乱心した八雲紫と幻想郷を救って欲しいと紫の式・八雲藍から懇願された。

幻想郷を変える為に戦うか、幻想郷を守るために戦うか。そう思い悩む鈴仙の心の隙を突く悪しき者もいた。
それは『プロジェクト・カウンターハクレイ』と『リアル・幻想・セブン』との争いに乗じ漁夫の利を狙う第三勢力。
聖徳ホウリューズの一員にして、『ハイパーカンピオーネ』計画の一翼を担う天性の詐欺師・岬太郎だった。

試合開始前、岬は鈴仙と同じFWの相棒・因幡佳歩の疑心を巧みに利用し、チーム内における不和を演出する。
それは鈴仙により破られ失敗に終わってしまうが、しかし、それでも尚聖徳ホウリューズは強かった。
観客扇動に一芸特化選手、特殊戦術の使用。あらゆる手に苦しめられるルナティックスだったが、
前半終了間際にパスカルが覚醒して1点をもぎ取り、試合は1−1の同点に。
そして迎える後半戦。影の役者がひしめく全幻想郷選抜大会を勝ち抜くのは一体――。

754 :森崎名無しさん:2015/08/24(月) 07:12:55 ID:???
【崩れゆく】鈴仙奮闘記31【負けず嫌い】

755 :森崎名無しさん:2015/08/24(月) 18:26:47 ID:???
【これが】鈴仙奮闘記31【私のサッカーだ!】
【ストライカーの】鈴仙奮闘記31【条件】
【ルナティックスの】鈴仙奮闘記31【晴れ舞台】
【誰だって】鈴仙奮闘記31【譲れないものがある】


756 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/08/25(火) 00:19:57 ID:Nar5QZ/Q
こんばんは、今日もこのスレで更新します。
埋めネタはしばらくやれる時間が無く、本編の更新に力を割きたいので、
容量ギリギリまでこのスレを更新したいと思います。
>>754さん、>>755さん。スレタイ提案ありがとうございます!

757 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/08/25(火) 00:21:31 ID:Nar5QZ/Q


パチュリー「…………」


レミリア「………」

美鈴「………え!? 負けてる! パチュリー様が案外アッサリ負けてるー!?」

小悪魔「ぱ、パチュリー様ぁ……? 大丈夫ですか、パチュリー様ー!?」

パスワークによる敵SBの釣り出し及び、レミリアを囮にしたパチュリーによるサイド突破作戦。
0−2の現状をひっくり返す為のスカーレットムーンズの秘策……
と、思われる何かは、想像以上に案外大したことなく終わってしまった。
パチュリーは必殺のドリブルを出す前に咳き込んでしまい動きを停止。
そしてそのまま、タックルに向かって来た天子の手により思いっきり吹っ飛ばされてしまったためである。

実況「……え。え〜っと。パチュリー選手、ここでオーバーラップして来た博麗連合の左サイドバック。
天界出身の超攻撃的DF・比那名居天子選手によりボールを奪われてしまいました!
パチュリー選手の実力ならば、充分に勝利出来る勝負かと思われましたが……やはりここは、前半からの疲労が祟ったか!?」

パチュリー「はぁ、はぁ、はぁ……! ゴホゴホッ!」

咲夜「パチュリー様。もしや持病の喘息が……!?」

パチュリー「この間身に付けた、喘息を封じる回復魔法――『フォトシンセシス』は少し、欠陥があったみたいね。
どうやら私の体力の低下に合わせて、魔法の効きが弱くなってしまっている……ゴホッ!ゴホッ!」

小悪魔「そんな! それじゃあ、もう試合だって続行不可能じゃないですか。
このまま続けたら、呼吸困難になって死んじゃいますよ!」

758 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/08/25(火) 00:22:50 ID:???
そして同時に、パチュリー本人による体力と魔力切れ申告も、この状況の深刻さに拍車を掛けていた。
総合力で大きく突き放されている紅魔スカーレットムーンズが逆転をするには、
霊夢と魔理沙に並ぶかそれ以上の実力を持った、パチュリーとレミリアの両方の存在が不可欠。
しかし今早くも、勝利に向かう為の車の両輪の片方は、既に壊れかけているように見える。
現にパチュリーは、咲夜にも小悪魔にも分からないように、こう静かに呟いていた。


パチュリー「そう……死ぬ。死ぬってのも――案外、悪くないかもねぇ」




759 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/08/25(火) 00:24:24 ID:???
天子「へっへー。良い顔してんじゃない。どんよりと霧がかって、あんた達の気質とぴったり。
蛇足を為す者、終に其の酒を失えり。――お前調子ぶっこき過ぎてた結果だよ? ……って意味よ!
――ヘイ、衣玖!」

バシィッ!

衣玖「待ってました、総領娘様。ここは私の仕事時ですね」

ポムッ。 ……グワァァァァアアアッ……!

実況「パチュリー選手からボールを奪い取った天子選手、
そのまま近くのMFにして天子選手の実質的な世話係となりつつある永江衣玖選手にパス!
そして衣玖選手、咲夜選手がタックルに近づく前にその右脚を振り上げて……!」

衣玖「これが私の仕事。『竜宮の使い遊泳弾』よ!」

――バギュウウンッ! ゴオオオッ!

美鈴「なッ……! は、早い! そして鋭い……!」

小悪魔「ふ、ふええ……! 私の『トップスピンパス』と互角じゃないですかー!?」

衣玖「あら、勘違いしないで下さいな。今のパスは私の仕事の半分です」

咲夜「半分……? それって、どういう意味かしら?」

衣玖「良い質問ですね。残りの半分は――今からシュートに向かう総領娘様を見れば分かりますよ」

760 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/08/25(火) 00:26:35 ID:???
ニッコリと咲夜に営業スマイルを向けた衣玖は、美鈴と小悪魔を飛び越え、
絶対の自信でボールをフォローした天子の方を示した。
そこでは、天子が――『フリーでは無いが、とてつもなく安定した体勢』でボールを持ち、バイタルエリアの中央に立っていた。

天子「いやー。やっぱり衣玖のパスは最高!
精度は霊夢やアリスに劣るけど、この抜群のパスの収まり具合は誰にも真似できないわよね!
さっすが『空気を読む程度の能力』なだけあるわー! 褒美に イチゴ牛乳 を奢ってやろうじゃない!」

衣玖「恐悦至極に存じます(飲み物なんかより有給が欲しいです)」

パチュリー「ゴホッ、ゴホッ……。そう言えば、聞いた事があるわね。
天界の竜宮の使いはパスの名手。彼女達によって届けられたパスは、
『アシストが付く局面で、パスを受けた者のシュート力を2分の1で1増幅させる力がある』……って伝説」

陸「何アルか、その具体的な伝説。1って何アル、1って! 後2分の1ってどうやって調べたアルか!」

天子「そんなのはどうだっていいの!
兎に角、衣玖だって霊夢とアリスの影に隠れがちだけど凄いって事よ。パスだけはね!
――と、いう訳で行くわよ……!
今度は、さっきの『気炎万丈の剣』なんかとは格が違う。マジで決める時の技なんだから……!」

              ブウンッ、ザクッ! ゴオオオオオオオオオオオオオオオッ………!!
  ――グワアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア……ッ!!

実況「……こ、これは〜〜! 天子選手、腰に帯刀していた緋色に光る剣――『緋想の剣』を地に突いて、
そのまま念じながらゆっくりと右脚を捻りながら上げ始めます。
すると、周囲から様々な光――これは人間や妖怪の「気質」でしょうか!?
――が、磁石のように天子選手の中へと吸い込まれていく!」

           天子「天界から見れば、妖怪も人間も同じヒトに類するモノ。人類に過ぎない。
               そして私は、そんな全人類の気質を集めて――緋想の天に変えてやる!
               食らいなさい! ――『全人類の…………緋想、天』―――!」

761 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/08/25(火) 00:27:52 ID:???

              バァァッ、ゴオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオンッ!
       ズガアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!
                  ビイイイイイイイイイイイイイイイイイ………ンン!!

実況「そして……放たれた〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!
これは! これこそが比那名居天子選手最強のシュート! 周囲の気質をも自分の力に変えて放つ、
最強の緋い弾丸シュート! ……『全人類の緋想天』!!
気質の層が赤いレーザーのようになって、紅魔スカーレットムーンズのゴールを突き破りに向かいます!」

咲夜「……凄いシュートね。これがDFの放ったシュート?
他のチームだったら、文句なしでエースストライカーになれるわよ。勿体無い」

天子「駄目よ。他の雑魚チームなんて行ったら、この私が目立って当然になっちゃうじゃん。
私はそんなぬるま湯みたいな世界よりも、もっと生きてそこにある現実と戦いたいの!」

咲夜「そう。天人とは思えない程殊勝な、良い発言ですわね。
……けれど、永遠を生きる天人のお遊戯と、一瞬に生きて死ぬ人間の戦いとを一緒にされては困るわ!」

ゴオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ……!
バァッ! グルンッ!
          ――――――バギイイイイイッ!!

咲夜「―――ッ!!」

天子「あらあら……。見事な反転ブロックでしたけど。それで吹っ飛ばされるのが、人間の戦い方かしら?
だとすると、心底馬鹿馬鹿しいわね。特攻するだけならサルでも出来るっつーの」

咲夜「……まさか。人間は人間である限り、無為な討ち死にはしないわよ。
人間は動物と違って、仲間の死に意味を持たせる事ができるの。――ですよね、陸君?」

陸「……ああ、あんたのお蔭で見えたアルよ。 ……このシュートの目指すべきコースがァッ!」

762 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/08/25(火) 00:30:05 ID:???
バァァッ!

陸「チェスト〜〜〜! 『雷斬脚』〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!」

ドゴオオオオオオオオオオオオッ! バギイイッ………ググッ……ポロン。

メイド妖精A「あっ……! わ、私前に蹴ります! 魔理沙さんとかが来ないうちに!」

グワァァッ、バゴオオオッ……!

天子「……へーえ。吹っ飛ばされるのを見越して、最初から威力減衰とコースの割り出しに努めたのね。
ゆゆうじょうぱぱわーって奴? ――私やっぱり、そういうの案外嫌いじゃないかも」

実況「天子選手の大型シュートは、十六夜咲夜選手のブロックと陸選手のセービングの合わせ技により防がれた!
魔理沙選手や小町選手がタックルに来る前に、
メイド妖精選手がボールを前に出し……これは幸運にも小悪魔選手がフォローに成功しました!
スカーレットムーンズ、ここから逆転なるでしょうか〜〜〜!?」

輝夜(観客席)「……ねえ。今しれっと止めてたけどさ。あのシュート、わりかし強くなかった?」

霞(観客席)「最新型のスカ……シュート力測定器によると――。
シュート威力は61に衣玖さんのアシスト強化があって更にプラス1。62ポイントでした。
これは鈴仙さまの『マインドエクスプロージョン』にも匹敵する威力です」

てゐ(観客席)「(……あれ? でもそんな天人サマの最強シュートに並ぶ威力のシュートを
平然と出せる鈴仙って。ひょっとしなくても、かなりヤバい選手じゃない……?)」

妹紅(観客席)「っていうか。パチュリーって本当に大丈夫かな? まだ咳してるみたいだけど」

鈴仙(観客席)「ううーん。パチュリーさんには色々お世話になってるから、心配だなぁ……
(――でも、変ねぇ。パチュリーさんの様子について、何となく違和感があるような、ないような。
何というか……その、何かを狙っているような。それこそ、捨て身の覚悟でやるべき「何か」を……?)」

763 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/08/25(火) 00:46:50 ID:???
パチュリー「(―――――)……ゴホ、ゴホ」

レミリア「(……パチェ。大分消耗した風に見えるわね。――この辺が、潮時かしら)」

実況「……ボールをフォローしたボランチの小悪魔選手、小町選手からの申し訳程度のタックルを
『やや華麗なドリブル』で捌きつつ、パスの出し先を考えている模様です!
頼みの綱であるパチュリー選手が喘息の発作で大きく消耗する中、小悪魔選手は責任重大だ!」

小悪魔「(最初はパチュリー様にサイドを上がって貰うって話だったけれど。
パチュリー様があの状態じゃあ、攻めて頂くのは厳しいかも。
だったら、さっき丁度前に上がって頂いて。
今も右サイド側上がり目の位置に居る、レミリアお嬢様に決めて貰おうかな……?)
――お、お嬢様! 今から私がレミリアお嬢様にパスを出しますっ!!」

グワアアアアアアッ、バシュウウウウウウウウウッ! ――ギュルギュルギュルギュルギュルギュル…………!

レミリア「おや……私に出してくれるの? 嬉しいねぇ。
考えてみれば、私はあんた(小悪魔)の直接の上司でも無いのに、色々と付き合って貰って」

この時、スカーレットムーンズはパチュリーの失態から立ち直りつつあった。
天子が放った『全人類の緋想天』を、普段は水と油な咲夜と陸が協力し止めたという事実が、
彼女達に再び結束の大切さと諦めない事の重要さを再確認させてくれていた。
だから、パチュリーとレミリアの考えたという策が失敗したとしても、このまま辛抱強く攻めて行けば、あるいは――。
小悪魔はそんな強い想いで、前方のレミリアへと会心の『トップスピンパス』を放った。


バッ! ……スカッ、スウッ!


アリス「……ッ、届かないわね」

霊夢「……なかなかやるじゃない」

764 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/08/25(火) 00:48:39 ID:???
そのパスは、パスカットの名手であるアリスや、
そのアリスをも上回るパスカット力を誇る霊夢ですら触れる事も出来なかった。
このパスはレミリアまで通る。そしてきっと今度こそ、レミリアが決めてくれる。

――根拠も無くそう信じていた小悪魔は、その後、自身の考えが如何に浅はかだったかを知る事となった。
その理由はいくつかあるが、まず小悪魔は一つ事実を誤認しかけていた。


??「………遅い」

――タッ。シュッ。  ……パシッ。


ボールは、レミリアまで通らなかったのだ――何者かによる巧みなパスカットによって。
その者は、霊夢にも負けず劣らず精度の高い技術によって、小悪魔のパスをまるで読んでいたかのように胸でトラップした。
……が。「パスをカットされた」という事実について、小悪魔にとって驚くべきことでは無い。
驚くべきこそは、その「何者か」の正体だった。

小悪魔「――え? な、なんで……?」


パチュリー「………………ゴホッ、ゴホッ。…………ボール、頂いたわ」


小悪魔からレミリアへの会心のパスを奪い取ったのは、博麗連合の選手では無い。
「何者か」の正体とはつまり、小悪魔も良く知るどころか、尊敬し敬愛すべき選手。
紅魔スカーレットムーンズが誇るガラスの大図書館―――パチュリー・ノーレッジその人だった。

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