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1- レス

【行く者】キャプテンEDIT36【残る者】


[866]キャプテンEDIT ◆wM6KXCkaLk :2012/06/09(土) 00:54:25 ID:???
真田「おおぅ……(グギュルル)」

一之瀬「い、痛い……(ピーゴロゴロ)」

本間「こ、こんなんじゃ試合にならない……(キュルルルル)」

異常な量の脂汗を滲ませて脇腹を押さえながら、亡霊のようにふらふらとフィールド上を徘徊する武蔵中の選手たち。
体調と共に判断力を低下させた彼らは、その時々でボールが転がる方へ、反射的に足を向けるだけのカカシと化していた。
いや、前半からフル出場している選手の中には、既に棒立ちになったり、酷い時には座り込んでいたりする者もいる。
省66

[867]キャプテンEDIT ◆wM6KXCkaLk :2012/06/09(土) 00:56:05 ID:???
フィールドに立ってはいるものの、ほとんど試合になっていない武蔵中を前に、東邦キャプテンである日向が声を上げる。
だが、部員のほとんどは嫌な顔をするだけだ。
それもそのはず。でっぷりと肥えた日向の身体は、あの鳴紋の末松より不健康な肥満だ。
この試合、珍しくピッチに立っているも、調整の『ち』の字も無い様な状態で、まるで動けていない。
それこそ、日向の工作により不調に陥った武蔵中の面々の方が、まだマシなくらいだ。

若島津「……俺だ! 俺に持ってこい!」
省55

[868]キャプテンEDIT ◆wM6KXCkaLk :2012/06/09(土) 00:57:18 ID:???
実況「若島津くん、誰にも止められなァい! まるで無人の野を行くがの如く武蔵ゴールへ向けて突っ走るーっ!」

若島津(そしてっ! 俺は昔から日向さんの力に着いて来たっ! 俺が信じるのは他を圧する力のみ!
俺を見込んでくれた日向さんに応える為にも、汚い試合だろうと全力で勝つっ!)

日向「そうだ。それでいい若島津……」

子飼いの部下の意欲あふれるプレイに、日向は弛んだ頬を歪ませる。
その眼前で、若島津はついにゴール前に侵入しシュートに行く。
省20

[869]キャプテンEDIT ◆wM6KXCkaLk :2012/06/09(土) 00:58:23 ID:???
腹痛を常備している薬で軽減しつつ戦ってきた三杉だが、流石にもう限界だった。
元々、心臓病を抱えていた彼の身体は、それほど強くはない。
生来の持病に加えて、体調の悪化まで抱えていては、最早プレイしているだけで奇跡と言える域の状態なのだ。

三杉(行きたかったな……全国。もう一度、あの翼くんと森崎と、今度は万全の体調で、心行くまで勝負したかった。
そして、あの大前とも――)

後半戦から監督に無理を言って強行出場した三杉。 省37

[870]キャプテンEDIT ◆wM6KXCkaLk :2012/06/09(土) 00:59:29 ID:???
日向「プハーッ!運動の後のコーラはうめえなあ!!」

そして控室に入るなり、無理を言って備え付けさせた冷蔵庫からコーラを取り出し呷る。
その自堕落な姿に、反町が物言いたげな横目を送った。

反町(いや……日向さん後半バテちゃって全然動いてなかったじゃないですか……)

日向「それはそうと、目標は50−0だって言ったのに、あの武蔵から十しか取れないっておまえら一体やる気あるのか!?
あ!? やる気のない奴はレギュラーから外すぞ!!」
省44

[871]キャプテンEDIT ◆wM6KXCkaLk :2012/06/09(土) 01:00:49 ID:???
反町たち「「なにィ!?(金も権力もある日向を、面と向かって罵倒するとは何者!?)」」

日向「ぶひィ!?(ロッカールームに乱入者だと!? 警備は何をしていたっ!)」

若島津「日向さん、ぶひィは無いでしょう……」

と、ツッコむ若島津。いくら心酔しているとはいえ、この聞き苦しい反応はアウトらしい。
それはともかく、この中では一番冷静だった若島津は、気を取り直して侵入者に向き直った。

若島津「あなたは……吉良監督じゃないですか。お久しぶりですね」
省52

[872]キャプテンEDIT ◆wM6KXCkaLk :2012/06/09(土) 01:02:07 ID:???
吉良「あの三杉を相手に10−0という大勝。なのに満ちぬ。より巨大で圧倒的な勝利を求める。
それこそ貴様が満たされておらぬことの何よりの証拠よ。貴様は飢えているはずだ。渇いているはずだよ小次郎」

日向「う、ううっ……」

反町(おおっ!? 流石はかつての恩師! あの日向が反論できないでいる!
こ、このままこの人を説き伏せて、東邦を健全なチームへと再生させて下さい、吉良とかいう人!)
省47

[873]キャプテンEDIT ◆wM6KXCkaLk :2012/06/09(土) 01:03:39 ID:???
若島津「ううっ!?(た、確かにっ! 今まで黙って従っていたが、確かにどこか違和感があった! 今の日向さんは、らしくないと!)」

小池(おい、何で『一理ある』みたいな顔してるんだよ若島津ゥ!?)

高島(どう考えても、今の日向以上のトンデモ理論だろォ!?)

若島津(そうだ……足りなかったんだ、失われていたんだ! 本来のこの人らしさというものが!
地位、財産、権力――子どもの頃に無かった全てを得た日向さんは、引き換えに最も大事なものを失っていた!)
省29

[874]キャプテンEDIT ◆wM6KXCkaLk :2012/06/09(土) 01:04:48 ID:???
吉良「このままでは、この若島津も旅に出たというタケシも、お前には付いて行けなくなるぞ?
何故なら――負けるからだ。一匹の狼に率いられれば羊の群れといえども奮闘するが、豚が頭では勝てる戦も取りこぼす。
去年、森崎や翼ではなく鳴紋中とかいう新参のチームに敗れたがその証よ。
タケシはいざしらず、若島津は本質的に誇り高き狼っ! このまま日本一に縁が無いままでは、貴様はいずれ見捨てられる!」

日向「わ、若島津が……っ!? 若島津が俺を見捨てるだとォ!?」
省37

[875]キャプテンEDIT ◆wM6KXCkaLk :2012/06/09(土) 01:06:07 ID:???
日向「沖縄、か……」

そう呟かれるのを、若島津のサイボーグ化によって強化された聴覚は、確かに捉えていた。

若島津(日向さん……っ! やはり、あなたはもう一度自分の手で戦うことを選ぶのですね!?)

日向(ジジイめ……俺の手駒に反抗心を抱かせる真似しやがって! 裏工作にも気付いているようだし、丁度いい!
このままスナイパーと一緒に沖縄に乗り込んで、確実に口封じしてやるっ!)

……その言葉に込められていた真意は、大幅に取り違えていたのであるが。


省13

[876]キャプテンEDIT ◆wM6KXCkaLk :2012/06/09(土) 01:07:09 ID:???
〜三年目8月〜

大前「……全員集合っ!」

キャプテン大前の号令とともに、鳴紋中サッカー部員全員が集合する。
時は八月、場所は鳴紋中グラウンド。全国大会に向けての最後の特訓の為に、メンバー全員が集まっていた。

大前「みんな、よく集まってくれた。先月の県大会、この前に観た南葛の試合。
色々と思うこともあるだろうが、今俺たちがしなくてはならないことは一つ! ……全国大会に向けて実力を養うことだ!」
省39


0ch BBS 2007-01-24