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1- レス

【反撃の】ファイアーモリブレム40【狼煙】


[693]モリブレム ◆RK7RVcZMX2 :2012/10/12(金) 07:29:41 ID:???
イスラス「なっ…?」

イスラスの横を通り抜けていったものは突風ではなかった。
丁度自分と同い年ぐらいの背格好の少年だ。帽子を深くかぶったその姿から表情は読み取れないが、
自分がもらうはずだったグミを手のひらの上でひょうきんに弄ぶ姿に、イスラスの頭にカチンと音が響く。

イスラス「この野郎!待ちやがれ!」

????「待てと言われて待つ奴がいたら警察はいらないんだぜ〜」

バヒュウッ!ズダダダダダダッ!!

イスラス「は、速い…!?」
省43

[694]モリブレム ◆RK7RVcZMX2 :2012/10/12(金) 07:31:16 ID:???
????「オタクもしつっこいね。まさかこの俺が追いつかれちまうなんて。
     こうなっちまえば俺も腹は決めた。どこへでも突き出してくれよ。
     だが、このチビ達のことは見逃してくれよ。たのむ……」

イスラス「……いいよ、別に。でも、俺の言うことを一つだけで聞いてもらうぜ」

????「な、なんだよ……」

イスラス「お前、足速いよな。俺より足の速いやつに会ったのは初めてだから驚いた。 省28

[695]モリブレム ◆RK7RVcZMX2 :2012/10/12(金) 07:32:44 ID:???
イスラス「資産家がオランダに来た理由は、孤児の引き取り手を探してのことだった。
     沢山いた子供たちも一人、また一人と新しい家族を見つけて幸せそうに去っていった」

レンセンブリンク「その話なら僕も聞いたことがあります。確か僕の遠縁も一人引き取っていたはずです」

三杉「確かレンセンブリンクはあの『ヨハン』の流れを汲む家系だったね」

アヤックスアカデミーの伝説であるファンベルグを遡ること更に数十年前に存在した選手。 省37

[696]モリブレム ◆RK7RVcZMX2 :2012/10/12(金) 07:34:21 ID:???
マッハー「もっと腕を振って、足をあげて!そんなんじゃ何時まで経っても俺様には追いつけないぞ―!」

イスラス「…う、うるさい!いつか、いつかぜったいに追いついてやる…!」

彼の指導は時折頭にくることもあり、取っ組み合いの喧嘩に発展することもあったのだが
イスラスの足の速さは日を追うごとにさらに洗練された物へと成長していった。

実況「さぁ、こぼれ球を拾ったマッハーくん、右サイドを一気に駆け上がる! 省46

[697]モリブレム ◆RK7RVcZMX2 :2012/10/12(金) 07:35:31 ID:???
イスラス「お前に追いつき追い越すのが俺の目標だからな」

マッハー「言ってくれちゃって。お前が進んでいる間、俺だって前に進んでることを忘れるなよ〜」

白い歯をむき出しにしたサルのような小憎らしい笑顔で突き出してくる時計の数値を見てイスラスは肩を落とす。

イスラス「お前も0.3秒縮めてんのかよ。まだ速くなるってのか…?」

マッハー「世の中は広いぜ。中には100mを5秒で走るって噂のあるやつだっているらしいんだ。 省47

[698]モリブレム ◆RK7RVcZMX2 :2012/10/12(金) 07:36:34 ID:???
公園を抜け、路地を飛び越え、倉庫を通り過ぎる。
驚き後ずさる通行人をすり抜けつつ、二人は風のように走り抜ける。
そろそろ家が見えてくる。見通しもよく、車通りも少ない、
子供の落書き帳のようなアスファルトの地面の斜向かいがゴール地点だ。

???「にーちゃーん!イーくーん!早く早く!」

マッハー「おおー我が可愛い妹よ。兄ちゃんが今抱きしめて頬ずりして……あ、危ない!」

マッハーの妹が二人を迎えにと飛び出した道路の先に、 省26

[699]モリブレム ◆RK7RVcZMX2 :2012/10/12(金) 07:37:40 ID:???
三杉「……じゃあ、その足の事故っていうのは今の話のことだったのか」

イスラス「俺が目を覚ましたのは病院だった。程度の差はあれ、3人とも事故からは逃れられなかった。
     それでもマッハーの妹……シャルは頭を軽く打っただけで済んだし、
     マッハー自身も打ち身と左足の骨折と、命にかかわる程の怪我じゃなかった。
     だが、俺の右足は車に乗られてひしゃげ、皮膚の組織は完全に壊れちまっていたらしい」
省48

[700]モリブレム ◆RK7RVcZMX2 :2012/10/12(金) 07:38:57 ID:???
二人のスピードスターの帰還に、コーチもチームメイトも喜んでくれた。
だが、イスラスは痛々しい姿でリハビリを続けているマッハーの姿を間近で見ていた。
本来、彼がここにいるはずがない。それなのに何故――。



シャル「ぶえっくしょん!ううー、誰かが噂でもしてるのかなぁ。
    ……えーっと、アルバムアルバム。どこにしまったっけ」

中里から没収したイスラスの写真をしまうために、シャルは自室の荷物入れを片っ端からひっくり返していた。
省20

[701]モリブレム ◆RK7RVcZMX2 :2012/10/12(金) 07:40:07 ID:???
シャル「にーちゃんの足、まだ治らないの?」

林檎の皮を慣れた手つきで剥きながら、シャルはベッドに足を投げ出して唇を尖らせる兄のマッハーを呼ぶ。

マッハー「いや、もう治ってるさ。普通に歩いたり飛んだり、走ったりするなら問題ない。
     でも、前みたいに風のように走ってボールを蹴ることは難しいってだけさ」

シャル「でも、にーちゃんよりひどい怪我だったいーくんはもうピンピンしてるよ。
    にーちゃんからもらった皮膚のおかげだって、すっごい喜んでた」
省32

[702]モリブレム ◆RK7RVcZMX2 :2012/10/12(金) 07:41:07 ID:???
マッハー「いいから頼む!……俺、アイツのこと一瞬でも恨めしく思っちまった。
     皮膚なんか提供しなきゃよかった、そうすれば今頃俺がアイツのように走れてたのにって。
     最悪だよ。最低だよ。……なぁ、だから頼む。この馬鹿兄のふざけた頭を叩き起こしてやってくれ」

シャル「……兄さん……あ、イスラス!こ、これは違うの!その、そのね……」

間の悪いことに、お見舞いに来たイスラスに今の会話を聞かれてしまっていた。

イスラス「………」
省29

[703]モリブレム ◆RK7RVcZMX2 :2012/10/12(金) 07:42:19 ID:???
シャル「あれからもうすぐ10年かぁ。時が経つのは速いよね。兄さんの足の速さといい勝負かも」

その日からシャルは長い金髪を狩り落とし『マッハー』と名乗った。
ジュニアクラスと言えどもやはり男女の実力の壁は厚く、なかなか兄のような結果は残せない。
幸いなことに、周囲からは怪我の後遺症だろうと思われ、実力不足のカモフラージュになっていた。
それでも足の速さだけは兄ゆずりであったため、ウインガーとしての働きはしっかりとこなせていた。
省41


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0ch BBS 2007-01-24