キャプテン森崎 Vol. II 〜Super Morisaki!〜
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【崩落のステージ】Another-C_8【 前篇 】

1 :アナカン ◆lphnIgLpHU :2011/09/29(木) 19:43:51 ID:L+HomlPU


この物語はフィクションです。
史実や実在の人物を連想する場面があるとしても、物語とは関係がありません。
風土、名称については文献を参考としていますが、想像のウェイトも大きく、事実と異なります。


そして……この物語はキャプテン森崎のスピンアウトであり…
  とある貴公子と仲間達の サッカーに賭けた青春を描いたストーリーです。




…エッチなのはいけないと思います!




733 :アナカン ◆lphnIgLpHU :2011/11/19(土) 19:22:28 ID:???

少年「それをどうやって為すのか疑問にお思いでしょうが、心配ありません。
    貴方にお願いし、ぜひ協力者にと引き入れて貰った男の部下に、それが出来る人間がいます。」

プロシュート「…………」 ゴゴゴゴゴ

目の前の少年の涼やかな表情は少しも歪んでいない。
話す言葉は淀みなく、一切の迷いも不安も感じさせない。

少年「…………………………………。 先輩、有難うございました。
    後は僕一人でもきっと大丈夫です、部屋に戻って待っていて下さい。」

少女「えっ…そう………? あ、でも…うん……判った。
    それじゃあメリーの事、宜しくお願いしておいてね。」

少年「ええ、土着のネットワークから協力を得られれば、メリー先輩もきっと…ですよ。」

少女「うん、ありがとう…。 頼りにしてるからね。」

それでもプロシュートの纏う空気が変わった事に少年も気付いたのだろう。
彼は少女の方に励ますような笑顔を向け、部屋を出るよう指示する。
すると少女の方は少し躊躇う素振りを見せつつも、少年の言葉に従って席を立った。


734 :アナカン ◆lphnIgLpHU :2011/11/19(土) 19:24:17 ID:???

ガチャッ

プロシュートの後方で扉の開閉音が聞こえた。
それを契機にしてプロシュートは再び口を開き始める。

プロシュート「メリーって奴をどうこうする…ってのが、オレ達への依頼という訳か。
        クックッ…まあどうこう≠チて事もねえか。」

少年「………」 スッ

プロシュートの言葉へ応える替わりに、少年は一枚の封筒を差し出した。
これまでに2回、プロシュートが受け取ったのと全く同じ封筒である。
依頼の詳細はこの封筒の中に示されている…という事であろう。

プロシュート「………。 こいつを受け取る前に、もう一つだけ聞きたい事がある。」

少年「なんでしょうか?」

プロシュート「テメェーは一体何者だ?」

少年「おや、ボクの事が気になりますか?」

プロシュート「そりゃあな。」

少年「フフ…そんなのわざわざ聞かずとも、調べればすぐに判りますよ?
    そんな興味、関心事よりも、プロシュートさんは他に僕から聞いておくべき事がありますよ。」

プロシュート「話を反らすんじゃねえ。 答えるつもりがねぇーなら、喋らせてやってもいいんだぜ。」


735 :アナカン ◆lphnIgLpHU :2011/11/19(土) 19:25:25 ID:???

プロシュートは初めて少年に対して強い警告を放った。
言葉での警告は一度きり、次は戦闘だと持ちかけたのだ。
しかし少年は表情を変えなかった。

少年「貴方が説得し、見事に協力者となってくれた彼…
    ブルーノ・ブチャラティ≠フ能力を知りたくはありませんか?」

プロシュート「なっ…!」 ガタッ

思わず膝でテーブルを蹴ってしまったプロシュート。
こいつが何を言ってきても驚くつもりはない…その覚悟でいたが、これは予想の範囲を遥かに超えていた。

プロシュート「テメェー……どういうつもりだ?」 ゴゴゴゴゴゴゴゴ

少年「まあまあ…ブチャラティは貴方と同じように、マフィアでありながら気高い覚悟を持った人物です。
    プロシュートさんも初めて会ったにも拘わらず、シンパシーを感じたんじゃないですか?
    『どうやらこいつは信頼できる、命を預けるに足る奴だ』ってね。」

プロシュート(確かに……ブチャラティは不思議と信頼したくなる奴だ。
        立場は違うが、こいつはオレと似ている気がするとも思った…)

少年「そしてブチャラティを口説いた際、彼は一つの条件を出した筈です…。
    即ち麻薬ルートの放棄、撲滅=cそして貴方はそれを受け入れました。
    何故ならば…貴方は『仲間の仇を討てるなら、麻薬ルートを放棄してもいい』と思ったからです。
    それをブチャラティも感じた筈、だから彼はフィレンツェまで貴方に同行して来ているのです。」

プロシュート「何が言いたい…?」 ゴゴゴゴゴゴゴ

736 :アナカン ◆lphnIgLpHU :2011/11/19(土) 19:26:32 ID:???

少年「けれど……貴方と、貴方の部下のペッシさんは」

プロシュート「ペッシは部下じゃねえ、弟分だ…。」

少年「…失礼しました。 貴方とペッシさんにとっては仲間の無念を晴らす事が本懐でしょう。 
    それに組織のボス、幹部に取って代われば、自然と利益は入ってくるようになる。
    ゆえにこそ、麻薬ルートを切り捨てる事も……いや、ブチャラティと同調すら出来る。
    しかし他のメンバーはどうです? 莫大な利益を生む麻薬ルートを手放しますか?」

プロシュート「なっ…!」

少年「ブチャラティはここでの話を聞いたら、もう一度貴方に問うでしょう。
    『本当にお前達は*ヶルートを手放す意志があるか?』と。」

プロシュート「……………。」

少年「そうなったら、貴方はブチャラティにどう答えますか?」

プロシュート「グッ…!」

プロシュートは唇を噛んでいた。
血が滲むほどに強く噛んでいた。

少年「それからもう一つ……ブチャラティは確かに貴方へ協力する事を決めました。
    しかし本当に貴方に必要なのは…プロシュートさん、彼の部下の能力なのです。
    ブチャラティは部下に敬愛されるリーダーですが…
    それでも巨大な組織を裏切ってまで、部下達は彼に着いていくでしょうか?」

プロシュート「……やりようはある、奴だってチームのリーダー張ってんだ…。」


737 :アナカン ◆lphnIgLpHU :2011/11/19(土) 19:32:38 ID:???

少年「ええ…ですが先程言った通り、彼は目的を隠して部下を利用するだけなどという事はしません。
    彼にしてみれば、組織への裏切りに自分の部下を巻き込む事になります。
    そして彼の性質上、目的を隠して部下を利用するだけなどという事はしません。
    だからこそ…彼は一人だけの身で貴方に同行しているんですよ?」

プロシュート「ならばどうする…? テメェーは使えない情報を寄越しただけか?」

少年「フフッ、いいえ……ありますよ。 ブチャラティの部下に進んで能力を使わせる方法が。」

プロシュート「なにっ?」


       ドドドドドドドドドドドドドドド

少年「言ったでしょう、ブチャラティは部下に敬愛されているリーダーだって。
    それが今、貴方に同行して外に一人で居ます…ああ、ペッシさんも一緒ですよね。」

プロシュート「テメェ……」

プロシュートの背中はいつの間にか汗でビッショリになっていた。
こんな汗を掻いたのは、初めてリゾットに対面したあの時以来…
いや、あの時以上に底知れない物を、今ここで感じていた。


738 :アナカン ◆lphnIgLpHU :2011/11/19(土) 19:34:08 ID:???

       ドドドドドドドドドドドドドドド

少年「さて、もう一度だけ聞きますよ。  僕が何者かという事と、ブチャラティの能力…
    本当に知りたいのはどちらですか? 一方だけなら教えて差し上げます。」

プロシュート「………!!」


   ドドドドドドドドドドドドドドド
       ドドドドドドドドドドドドドドド
           ドドドドドドドドドドドドドドド


*********

一旦ここまでです。
明日か明後日にはまた三杉の話に戻ります。

739 :アナカン ◆lphnIgLpHU :2011/11/21(月) 12:10:01 ID:???

グオングオン……

プロシュート「ふうぅぅぅぅ…」

エレベーターが下降を始め、ようやくプロシュートは溜息を吐いた。
あの部屋での出来事がグルグルと頭を巡る。
小僧っ子の言った言葉で判った事もある、解らない事も残っている。

プロシュート「ユブンタイか…」

・アラブ首長国連邦の王家に取り入り、卓越した商才で石油王となった人物の名。
・パッショーネ創立初期から、上の方で裏取引を交わしてきた超の付くお得意様。
・最近もパッショーネのダミー会社を使い、仕手戦にて映画会社を一つ潰そうとしている。

この辺までがオレ…いや、組織の中で耳に聡い奴なら大概知っている情報だ。
そんで…

パッショーネ−ユブンタイ間にどれほどデカイ金の流れがあるか、まともに把握出来る奴ぁいないが…。
今になって暗殺チームにボスの情報をコッソリ提供するとは、単なる金蔓じゃあなかったって事だ。
それにまあ一族の奴が、ガキほどの年齢の奴であれ程の器…バカにできやしない。
んで『ボスを倒した後は、ビジネスパートナーとして新たな関係を築きたい』と来たもんだ。
チームにとっちゃあ機会が降ってきたと思えるが、その後の事はまた話が別だ。


740 :アナカン ◆lphnIgLpHU :2011/11/21(月) 12:11:12 ID:???

…ってとこまでが、話を全部を鵜呑みにした場合だが。

プロシュート「っつーかよぉ、パッショーネの上側の内部情報知りすぎだろ…?」 フゥー

もう一度深い溜息を吐くプロシュート。
今までユブンタイ側から伝えられた情報は幹部レベルに相当していた。
スタンド能力などは、その最たる例……
支部レベルの幹部(ポルポ)よりも上(ペリーコロやボス)でしか知りえない情報だ。

プロシュート(幹部クラスで裏切者(オレが言うのも何だが)がいる…?
        んで、暗殺チーム(オレ達)はそれに利用されてるって事か?)

その可能性に思考が行き着いてしまい、先程よりも頭が重苦しくなるプロシュート。
だとすれば、ボスを暗殺して成り替わろうと考えている自分達は、とんだ道化という事になる。
頂点(てっぺん)の内部抗争に、手足として好い様に使われている事になるからである。

プロシュート(チッ…)

状況のせいで『引き下がる』という考えが頭にチラつき、自らに腹を立てるプロシュート。
思わずポケットの中の拳に力を入れると…。


741 :アナカン ◆lphnIgLpHU :2011/11/21(月) 12:12:34 ID:???

グシャリ…

プロシュート(おっと…?)

何かを握り潰す感触があった…それは先程あの少年から渡された依頼&蕪宸ナある。
彼はまだこの中身を見ていない。

プロシュート(…………) ビリ

ポケットの中からクシャクシャになった封筒を取り出し、封筒に挿入された洋紙の中身に目を通す。
進むか引くかを考えていたプロシュートにとって、この行為は何気ない物だった。
少女が小声で口にしていたメリー≠ニいう人物の姓名が書かれているものと、彼は当然考えていた。
しかし……

プロシュート(!?)

ゾワリ…と背筋が寒くなった気がした。
身の毛もよだつ邪悪とは、その何たるかを彼はこの洋紙に見た。
そこに書かれていたのは3人の男の姓名だった。


742 :アナカン ◆lphnIgLpHU :2011/11/21(月) 12:15:14 ID:???

一人はプロシュートの疑問を完全に解消する人間の名。
先程彼は幹部クラスの情報を流されたと考えたが…その名によって、例外がある事を思い出させられた。

『情報分析チーム所属・サカザキ』

一番上に書かれていたのは、その名とその男の居場所だった。
…ペリーコロの側近でもあるこの東洋人…プロシュートの耳に入る程、かなりの切れ者と噂に高い男。
暗殺チームに流された情報は、全てサカザキならば知り得た可能性が高い。
この名が挙がったと言う事は、ユブンタイが内通者の存在と目的を開示したと言って良かった。


残りの二人についてはいずれも大物であったが、プロシュートと直接の関連があった人物ではない。
しかし二人のうちの一方…その名前にこそ、プロシュートは吐き気をもよおす『邪悪』を感じさせられた。
一人は財界で将来が期待されている、とある大会社の有能な御曹司。

『ヴィットーリオ・チェッキ・ゴーリ』

こちらは彼にとって別にどうでも良かった。
肝心なのはもう一人の方である……

プロシュート(この名を出すかよ…あのガキが…………。
        ハッ、本物の怪物だぜ、野郎………人間じゃねえ。)


743 :アナカン ◆lphnIgLpHU :2011/11/21(月) 12:17:18 ID:???

ガラガラ…

アンティーク風のエレベーターの扉が片開きに開いた。
スタスタと前に歩きだすプロシュート。
ホテルを出れば、弟分のペッシと協力者であるブチャラティが自分を待っている筈である。

プロシュート(さぁて、なんつって説明すっかな……ブチャラティの奴によぉ。)

これから先の事を考えるのも頭が痛くなるが…
彼はまず目の前の頭痛の種をどうにかしなければならない。
Aを選ぶか、Bを選ぶか・・・・・・彼、プロシュートにとっては重大過ぎる選択であった。


744 :アナカン ◆lphnIgLpHU :2011/11/21(月) 12:18:19 ID:???

<フィオレンティーナ・オフィス>

三杉達…中山とバンビーノを除いた9人は、フィオレンティーナのオフィスに来ていた。
言わずもがな、フィオとトップ契約を結ぶためである。
トップ契約と言う事で、重く堅苦しい雰囲気を想像していた三杉だが…
その予想に反し、実際はアッサリとした物だった。

三杉(ふぅ…後はサインをここに書けば、僕も一応はセリエAの一員か……)

ようやくと言って構わないだろう。
三杉は一つの到達点に辿り着いた事になる。

三杉(…………)

もう一度だけ契約の内容を見直してみた。

『契約はWトーナメントの参加を踏まえて一先ず2年。
 所属はWトーナメント終了まで基本的にリザーブチーム、リーグ戦の出場機会は少。
 ただしチームとして特別に遠征試合を組む計画は挙がっている。
 オーナーに変更があった場合、契約内容に変更はなく、そのままの条件で譲渡される。
 契約の反故があった場合は、過失のある方に違約金が課せられる。』


745 :アナカン ◆lphnIgLpHU :2011/11/21(月) 12:19:38 ID:???

三杉(ふむ…Wトーナメント優勝を目的とするなら、何ら問題ない条件だろうな。)

契約金と年棒は端した金(それでも庶民からすれば大金)だが、新人契約としては妥当な気もする。
それよりも三杉は、自らの目的に沿っている契約内容である事に重きを置いていた。
…ゆえに、この契約書にサインをする事に何ら文句は出なかった。

三杉「それでは宜しくお願い致します。」

人事部「こちらこそ。 期待していますので、これから頑張って下さいね。」

サインを書きこんだ契約書を提出し、握手を交わす三杉。
人事部の人間に誘導されて個室から出ると……仲間達も既に契約を終えて出てきていた。
皆それぞれに感慨深い顔をしているが…両手離しに喜んでいる者は居なかった。
まだ監督とコーチの事で、喜べない部分があるのは当然の事と思われた。

三杉(……アンザーニ監督の容体は良くなっていっているんだろうか…?)

三杉もまた、彼らの様子から自分の思うところを刺激される。
しかしそうも言っていられない。
寮に戻ったら明日のテストマッチに向けてチームミーティングをしなければならないのだ。
契約がアッサリしていたとは言え、合同説明などもあり、時計はもうすぐ夕方を指し示そうとしている。
ゆっくりと談笑している暇などそうそう無いという事だ。


746 :アナカン ◆lphnIgLpHU :2011/11/21(月) 12:20:39 ID:???

現状を考え、早々と帰宅しようとしている三杉だが…
そんな彼に対して話しかけてくる者が居た。

トレイゼ「やあ少年…ジュン・ミスギだったな? トップ契約おめでとう。」

三杉「あなたは……」


A 「ヴィットーリオさん・・・」
B 「トレイゼさん・・・」
C 「御曹司・・・」
D 「まwゆw毛www」
E 「閣下! トレイゼ閣下!」
F 「置鮎萌え!」
G そ の 他

2票選ばれた選択肢で続行します。(投票はメル欄空白で宜しくお願い致します。)
あとD〜Fは要4票です。


747 :森崎名無しさん:2011/11/21(月) 12:22:27 ID:1fALjSqY


748 :森崎名無しさん:2011/11/21(月) 13:18:07 ID:qy1ql38M
B

749 :アナカン ◆lphnIgLpHU :2011/11/21(月) 16:53:08 ID:???

> B 「トレイゼさん・・・」
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

声をかけてきた人物の事を三杉は知っていた。
ヴィットーリオ・トレイゼ・チェッキ・ゴーリ。
ACFフィオレンティーナの執行役員…フロントの中でも人事権を有す大物である。
三杉達のトップ契約を決めた張本人でもある。

三杉「あなたは…トレイゼさん。」

初めて顔を合わせた時に『ヴィットーリオという仰々しい名前が嫌い』と言っていたのを思い出し、
またコーチと同じように御曹司≠ネどと呼ぶのも無礼だろうと考えた結果…
『トレイゼさん』と言う無難な愛称を三杉は呼んでいた。

トレイゼ「おや、どうやらちゃんと覚えていてくれたようだ。」

三杉「ええ勿論。 あっ…それより、どうも有難うございました。
    こうしてトップに上がれたのはトレイゼさんのお陰です。」

トレイゼ「いや、それは違う。 キミ達がトップに上がるのは、十分に実力が備わっているからだ。
      決して私の贔屓目があったとは思わないで欲しい。
      まっ……それはつまり、実力がなければ干され、いずれチームを去って貰う事を意味する。」

三杉「むっ…はい、勿論です。 今後も実力を磨いていく意志は変わりません。」


750 :アナカン ◆lphnIgLpHU :2011/11/21(月) 16:54:33 ID:???

トレイゼ「ならば結構、今後も期待させて貰うとしよう。
      …話は変わるが、アンザーニの事は残念だった…キミ達もショックを受けている事と思う。」

三杉「ええ……そうですね、正直キツイです…………」

トレイゼ「済まんな、時期が時期だけに代わりの監督を直ぐに用意する事も出来ん。
      …尤もアンザーニの代わりになれる者など、誰も居やしないが。」

三杉「………」

トレイゼ「明日はテストマッチだったな。
      監督不在の状態で厳しい戦いになるだろうが、是非頑張ってくれたまえ。」

三杉「はい…。」

監督の話ではどうしても口数が減ってしまうのを抑えられず、三杉は生返事のような形になってしまう。
しかしトレイゼも三杉の心情が解らないでもないのか、不快な顔を見せる事は無かった。
その後に二言三言交わし、『それでは』と帰途に就く旨を伝える三杉。
背を向けたところで、『そうだ、待ちたまえ』とトレイゼが何かを思い出して呼び止めた。
何事かと疑問の顔を浮かべて振り返ると…


751 :アナカン ◆lphnIgLpHU :2011/11/21(月) 16:55:47 ID:???

トレイゼ「もし良ければで構わないのだが、選手を一人見てくれないか?
      先日、入団希望でテストを受けに来た者が居るのだが…」

三杉「…はい……。」

トレイゼ「ポジションはDF全般との事で、実力は私の見た所でプリマヴェーラにて並程度という所だ。」

三杉「…何か特別気になる所のある選手なのですか?」

トレイゼ「いや、私には特に見る所があった訳ではないが…ジョアンが頻りに目を鋭くしていたのだ。
      もしかすると素質を秘めた選手かも知れん、などと考えている。
      キミが気に入るようなら、ナカヤマの代わりとしてリザーブチームへ回しても良い。」

三杉「なるほど……ちなみに、その選手の名は?」

トレイゼ「うむ、マーク・オワイランと言う。」

三杉(マーク…? 最近何処かで聞いたような気がするが……ふむ?)

トレイゼ「さて、どうだろうか? キミが良ければ直ぐにでもグラウンドへ呼び出すが。」

三杉「そうですね……(まあ、軽く実力を見るくらいならば時間も掛からないだろうが…)」


752 :アナカン ◆lphnIgLpHU :2011/11/21(月) 16:59:20 ID:???

A 承る
B お断りする
C そうだ、そんな事よりミハエルの話をしなければ。 オワイランとかどーでもEし。
D 『マークとやらの実力は見る』・・・『ミハエルの紹介もする』。
  「両方」やらなくっちゃあならないってのが、「キャプテン」のつらいところだな。
   覚悟はいいか?オレはできてる。
E そ の 他

2票選ばれた選択肢で続行します。(投票はメル欄空白で宜しくお願い致します。)


753 :森崎名無しさん:2011/11/21(月) 17:14:15 ID:wj7qw+wA
D以外に何を選べというのかね

754 :森崎名無しさん:2011/11/21(月) 17:27:51 ID:qy1ql38M
D

755 :森崎名無しさん:2011/11/21(月) 17:44:34 ID:???
オワイランはてっきりライバル側だと思ってたが…うれしい誤算半分、
一度味方になるならぶちギレモード出現で敵に回る可能性があるのが半分だなあ

756 :アナカン ◆lphnIgLpHU :2011/11/21(月) 19:10:54 ID:???

>>755
三杉やブンナークがコンバートする案や、その他の可能性も幾通りか考えましたが・・・
実はかなり初期から考えていた人選であり、また皆様に意見を募った時にも自然と肯定意見の多かった
彼に白羽の矢が立つ結果になりました。 シナリオ的にも、彼になるべくしてなったように思います。
=============================================

> D 『マークとやらの〜オレはできてる。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

三杉「了解しました、オワイランについては僕が実力を量ってみます。
    結果如何では、こちらのチームに回す件をお願いすると思います。」

トレイゼ「うむ、頼んだぞ。 では彼には連絡を取っておくので、後の事は頼む。」

三杉「あっ…もう少しだけ宜しいでしょうか?」

トレイゼ「うん?」

三杉「ジョバンニ・マンフレディーニがチームから離脱する件についてですが……
    彼の穴を埋める選手に心当たりがあり、推薦させて頂きたく思います。
    ただ…事情があって、直近の実力ではなく将来性に期待する類の選手になりますが…。」

トレイゼ「ふむ…話してみたまえ。」

三杉「かくかくしかじかまるまるもりもりトレイゼ△□×(さんカッケー死角無し)」

元ユヴェントスのプリマに所属しており…
コッパ・イタリア・プリマヴェーラでも活躍していたミハエル・ドノヴァンの事を三杉は話した。
自ら知り得る限りの事情と最悪に近い怪我の現状、それを差し引いても期待されるセンスなど…
多少トレイゼを持ち上げる小細工を弄しつつ、三杉は懸命に説明を行った。


757 :アナカン ◆lphnIgLpHU :2011/11/21(月) 19:13:07 ID:???

トレイゼ「ふむ…まあジョアンの発掘してきたキミ達もまた、怪我や病気を乗り越えた選手だからな。
      現在のハンデが将来に影響する物とは決して言えんが…。」

三杉「…………」

トレイゼ「だが、その怪我が癖になっている類の物ならば、話は変わって来るだろう。
      ……少々検討させて貰う、まあ前向きになるよう努力はするが。」

三杉「はい、お願い致します。」

どうやらこの話はスンナリとはいかなかったようである。
しかしながら、話を好意的に受け取ってくれているのか、言葉には配慮が感じられた。
この様子ならば最悪でも入団テストを受けるくらいまでは辿り着くであろう。

『それでは』と三杉はトレイゼに挨拶し、仲間に先に戻るよう話し、グラウンドへと向かう。
ウェアを借り、軽いアップをしながらマーク・オワイランを待っていると…
やがて、耳に心地よい爽やかな声の挨拶が聞こえた。


758 :アナカン ◆lphnIgLpHU :2011/11/21(月) 19:14:19 ID:???

オワイラン「こんにちは。」

三杉「こんにちは。 ……あぁっ、そうか。 君がマーク≠セったんだね。」

オワイラン「ええ、2日振りです。」

三杉「うん、そういう事になるね。」

挨拶を返しながら振り向くと…そこには見覚えのある顔がいた。
アラブ系の民族衣装で、フィレンツェの夕方の街並みに溶け込んでいた…
従者らしき人物に『マーク様』と呼ばれていた少年である。

三杉「……」


A 早速やる事をやろう。
B いやいや、まずは少し雑談でもしてから。

2票選ばれた選択肢で続行します。(投票はメル欄空白で宜しくお願い致します。)
ちなみに当然ながら時間は刻々と過ぎていきます。


759 :森崎名無しさん:2011/11/21(月) 19:20:30 ID:1fALjSqY


760 :森崎名無しさん:2011/11/21(月) 19:24:48 ID:qy1ql38M
A

761 :アナカン ◆lphnIgLpHU :2011/11/21(月) 20:18:21 ID:???

> A 早速やる事をやろう。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

あまり時間を食っても、この後のミーティングが押す事になるという事情もあり・・・
また彼がメンバーになると決まったわけでもない。
故に、ビジネスライクになってしまうが、今日の所は余計な雑談等を排する事にする三杉。

三杉「さて、それじゃ早速やる事をやりたいんだが・・・アップの方は?」

オワイラン「ここまで軽く走りながらきましたし、いつでも平気です。」

三杉「そうか、話が早くて助かるよ。 ポジションがDFと聞いているけど間違いないかい?」

オワイラン「ええ一応・・・。」

三杉「ベネ。 それじゃ僕のドリブルをタックルで阻止して見せてくれ。」

それだけ言って、三杉はボールを手にセンターサークルの位置に就く。
オワイランはそれに合わせるように、三杉が目指すゴールの間に立つ。

三杉(さて・・・それじゃ、見せて貰うよ。) ダッ


762 :アナカン ◆lphnIgLpHU :2011/11/21(月) 20:21:23 ID:???

先着2名様(順番通りじゃない書き込みは無効)で
 ★三杉 ドリブル(! card)68 +(! dice + ! dice)=★
 ★オワイラン タックル(! card)63 +(! dice + ! dice)=★
と(!とcardの間のスペースを抜いて)書き込んで下さい。

【攻撃Max】−【守備Max】
≧2 → 三杉がオワイランを抜いた
=1〜-1 → こぼれ球になった(数値によってどちらかが優勢な描写に)
≦-2 → オワイランにボールを奪われた

【基本ルール以外の補正・補足・備考】
三杉のマークがダイヤで「芸術的ドリブル(+5)」、
 ハートで「華麗なドリブル(+3)」、スペードで「やや華麗なドリブル(+2)」が発動。
オワイランのマークがダイヤ・ハートで「ショーテルタックル(+2)」が発動。

今回の勝負でオワイラン≠ェ勝利した場合はボーナス。
覚醒についてはオワイランのみ♀ョ全敗北でも覚醒します。


763 :森崎名無しさん:2011/11/21(月) 20:23:15 ID:???
 ★三杉 ドリブル( ハートQ )68 +( 34 )=★

764 :森崎名無しさん:2011/11/21(月) 20:23:29 ID:???
★オワイラン タックル( ダイヤ6 )63 +( 35 )=★

765 :森崎名無しさん:2011/11/21(月) 20:23:40 ID:???
★オワイラン タックル( ハート5 )63 +( 51 )=★

766 :アナカン ◆lphnIgLpHU :2011/11/21(月) 20:28:11 ID:???
負けた方が良い時でも無駄にそれなりの数字を出した三杉に祝杯を上げつつ・・・本日はここまでとします。
あと実力を確認しておきたい項目を一つ二つ考えておいて下さい、明日選択して貰うと思います。

767 :森崎名無しさん:2011/11/21(月) 20:30:39 ID:???
ブロック、ドリブル、パスあたり? 何はなくともブロックだろうけど。
しかしオワイラン、この感じだと中山さんの即穴埋めとはいかなそうだな
(そんなレベルの戦力がゴロゴロしているわけでもないだろうけど

768 :森崎名無しさん:2011/11/21(月) 20:31:15 ID:???
乙!トレイゼ閣下!乙!

この数値差と技じゃあ簡単には負けんべ

769 :森崎名無しさん:2011/11/21(月) 20:37:30 ID:???
トラップVSクリアみたいなフィジカル勝負も入れては?
負けたほうがいいらしいし、DFで必要な能力かつ三杉の苦手分野も一つ位は

770 :アナカン ◆lphnIgLpHU :2011/11/22(火) 12:26:18 ID:???

>>768
乙感謝です、閣下も薔薇の花弁を浮かべたお風呂で喜んでおります。
まあ簡単に覆せない実力差だからこそ、ボーナスが発生するんですよね。
=============================================

    三杉 ドリブル( ハートQ )68 +( 3 + 4 )+(華麗+3)=78
 オワイラン タックル( ダイヤ6 )63 +( 3 + 5 )+(ショーテル+2)=73

【攻撃Max】−【守備Max】≧2 → 三杉がオワイランを抜いた
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

オワイラン「タァァァァーー!!」 ズザッ

緩い地面でも踏み固められそうな力強い踏み込みで、距離を詰めて来ようとするオワイラン。
身体を前傾させての突進…そこから体勢を入れ替えてのスライディングタックルである。

三杉(スピードは大した事がない、だが小柄な割に力強さは感じる。) スゥ…

対する三杉は、実力を量るための『手を抜く事は無く』『観察にも意識を置く』両手持ちのプレイ。
しかしそれでも埋められない程、技術の差が両者にはある。
三杉はオワイランの突進に焦る事なく足下のボールをずらし、最小限の動作で避けようとした。


771 :アナカン ◆lphnIgLpHU :2011/11/22(火) 12:29:22 ID:???

ユラリ…

三杉(おやっ?) ピキーン

オワイラン「そこぉっ!」 グイッ

  フワッ
      ズザアァァァァァァ!!!!

オワイランのタックルに不自然な挙動が見られた為、予定を変えて跳躍で跳び越える三杉。
下を見ると、刈りとるようなタックルが、思わぬ方向から繰り出されているのが判った。
プリマヴェーラノ大会を戦い抜いた三杉にとって、動作その物はありふれた質であるが・・・
どうやら一工夫も二工夫も入れて来ているようである。

三杉(なるほど、出処の見え難いタックルか……僕のディレイドとコンセプトは共通しているな。)

何が起きたのか、何を狙ったのかを読み取りながらも、ミスをする事なく着地も決め…
結果としてオワイランは三杉に見事抜かれてしまった事になった。
恐らく今のタックルは彼にとって秘策であったと判断される。
それが一度目から通用しなかったとあれば、気を落としていると思われたが…

オワイラン「凄い! なんて華麗なドリブルなんだろう!
       ボクも今のタックルは中々鋭く出来たと思ったけれど…全然敵わない!」

三杉(…………)

予想外な事にオワイランは甚く感心・・・どころか喜んでいる様にも受け取れる。
思わず怪訝な顔を返してしまう三杉だが、オワイランは爽やかな笑顔を保ったままだ。
ともかくとして、彼のタックルは現時点で確かにプリマヴェーラの並レベルなのは間違いない。
しかしながら、(動作自体は稚拙だが)プレイに工夫を加えようという創造力は評価出来なくも無いと言った所。


772 :アナカン ◆lphnIgLpHU :2011/11/22(火) 12:30:31 ID:???

三杉「(まあ・・・大会前の僕だったら、多少は戸惑ったかな? ・・・っと、それより。)
    取り敢えずタックルについては大体判った。 他にも2,3見せて貰いたいが構わないか?」

オワイラン「ええ勿論、何でも構いませんよ。」

三杉「よし言ったな? それじゃあ・・・」


実力を見てみたい項目を以下の中から2種選んで投票してください。
お1人様につき最大2項目を投票する事が出来ます(投票はメル欄空白で宜しくお願い致します。)

[ドリブル、パス、シュート、パスカット、ブロック、トラップ、クリア、競り合い]

※1番目と2番目に2票に達した項目について勝負観察します。


773 :森崎名無しさん:2011/11/22(火) 12:34:58 ID:307T17dA
ブロック
クリア

774 :森崎名無しさん:2011/11/22(火) 12:44:44 ID:CvJzRulc
ドリブル、ブロック

775 :森崎名無しさん:2011/11/22(火) 12:48:49 ID:a3iUkqPY
クリア

776 :アナカン ◆lphnIgLpHU :2011/11/22(火) 14:02:51 ID:???

> ブロック、クリア
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

もしも中山の穴を埋める事を考えるならば…CB、贅沢を言えばリベロとしての能力が欲しい。
とは言えリベロの攻撃参加は本当に困った時の最後の手、或いは奇襲に該当する類の者である。
常に必要なのはCBとしての強さであり、目の前の彼に求める第一は迷いなく守備。

三杉「それじゃあ…ブロックとクリアを見せて貰おう。」

オワイラン「ええ、判りました。」

それゆえに三杉はブロックとクリアという、ゴール前での強さを披露して貰う事にする。
そしてオワイランは要求に対し、反論なく素直に応えるのだった。

三杉「では僕は仮想敵を想定し、抜きながらドリブルで上がっていく事にしよう。
    そしてベストなシュートコースに入ったらミドルシュートを放つ。
    君はそのシュートをブロックする努力をしてくれ。」

オワイラン「ええ。」

三杉「……………それじゃ、行くよ。」

三杉は暗に挑発のような物言いをしたつもりだった。
それでもオワイランからは予想した反応が見られなかった。
何か言おうかと一瞬迷ったが、今は先にやる事を一通りやろうと思い直す。
そして三杉はセンターサークルから、斜めに切るようにドリブルを開始した。


777 :アナカン ◆lphnIgLpHU :2011/11/22(火) 14:04:32 ID:???

先着2名様(順番通りじゃない書き込みは無効)で
 ★三杉 ドライブシュート(! card)73+(! dice + ! dice)=★
 ★オワイラン ブロック(! card)64+(! dice + ! dice)=★
と(!とcardの間のスペースを抜いて)書き込んで下さい。

【シュート】−【クリアorブロックMax】
≧6 → シュートは邪魔される事なく放たれた。
=5〜1 → シュートは放たれた。だが有効ブロック分だけ威力減少。(1の場合-2、他は-1)
=0〜-1 → 辛うじてシュートコースを逸らされた。
≦-2 → シュートを阻止された。

【基本ルール以外の補正・補足・備考】
ドライブシュートは吹飛係数4を有す。
オワイランのマークがダイヤで「ハイボレーブロック(+4)」、ハートで「ダイビングブロック(+4)」が発動。


778 :森崎名無しさん:2011/11/22(火) 14:14:10 ID:???
★三杉 ドライブシュート( ダイヤ8 )73+( 22 )=★


779 :森崎名無しさん:2011/11/22(火) 14:16:15 ID:???
数値は低いしボーナスチャンスかな

780 :森崎名無しさん:2011/11/22(火) 14:21:57 ID:???
 ★オワイラン ブロック( ハート6 )64+( 14 )=★

781 :アナカン ◆lphnIgLpHU :2011/11/22(火) 16:38:07 ID:???

 三杉 ドライブシュート( ダイヤ8 )73+( 2 + 2 )=77
 オワイラン ブロック( ハート6 )64+( 1 + 4 )+(ハイボレー+4)=73 ※吹飛
【シュート】−【クリアorブロックMax】=4 → 有効ブロック分だけ威力減少。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

ドガアァァァァァァッ!!!

オワイラン「わあぁぁぁぁぁぁっ!!」

ドリブルで切り込んでのドライブシュートであった。
流れの中でのポジショニングを見ておきたい意図で、敢えてFKではない形で臨んだが…
結果は見ての通り、オワイランの小柄な身体を吹き飛ばしてゴールネットへボールが突き刺さった。

オワイラン「あ痛たた……」

三杉(これは明快だ、僕がシュートを撃つまでのポジショニングが悪い。
    けれど撃った後の反応は不思議と早かったな…跳び込みにも迷いがなかったし。
    うーむ………評価が難しい素材…かなぁ………)

先程のタックルの時も思ったが、このオワイランは悪い部分と評価出来る部分を両方持っているようなのだ。
悪い部分を改善できれば、それは戦力として十分期待出来そうだと言えるが…
問題は、この悪い部分と言うのがサッカー選手にとっての基礎に相当する事である。

まともな指導を受けていれば、当然出来る様な事がオワイランは出来ていない。
基礎をまともに埋めもせず、工夫や反射だけで好き勝手にこなそうとする選手……
コーチも監督も好まないタイプだろうし、三杉自身も決して良い印象を持てない。
薄々とそんな風に思い始めてしまっていた。


782 :アナカン ◆lphnIgLpHU :2011/11/22(火) 16:39:25 ID:???

オワイラン「今のシュートも凄かったですね!」

三杉「わっ!? えっ、あっ、ああ……」

オワイラン「あんなシュートは映像でしか見た事がなかったので感動しました。」

三杉「そうかい?」

オワイラン「ええ、凄いです。 出来ればもう一度受けてみたい所ですけど…次はクリアなんですよね?」

三杉「ああ、その通りだよ。 …少し待っててくれ、クロスボールを上げてくれる人を呼んでくるから。」

そう告げて、三杉はオフィスへ連絡を入れに行く。
連絡は問題なく繋がり、やがて練習生が一人グラウンドへ寄越されて来た。

練習生「ゴール前にクロスを上げれば良いんですね? 高低はどちらが良いですか?」

三杉「君の得意な方で頼むよ。 咄嗟のコース判断も試したいから、僕達は直前まで知らない方が良い。」

オワイラン「ですね。」

練習生「判りましたー。 それじゃ、お二人がポジションに就いたら直ぐに上げます。」

こんな感じで段取りを済ませ、三杉らはゴール前に就いた。
二人は多少の距離を空け、練習生が助走を始めるのを待つ。


783 :アナカン ◆lphnIgLpHU :2011/11/22(火) 16:41:21 ID:???

練習生(よし、じゃあいくぞっ!) ダァッ


先着3名様(順番通りじゃない書き込みは無効)で
 ★クロスボールの高低 → ! card (ダイヤ・ハート→高い浮き球/スペード・クラブ→低い浮き球)
 ★  三杉 高/低トラップ(! card)67/66 +(! dice + ! dice)=★
 ★オワイラン 高/低クリア(! card)65/65 +(! dice + ! dice)=★
と(!とcardの間のスペースを抜いて)書き込んで下さい。

【攻撃Max】−【守備Max】
≧2 → トラップ成功!
=1〜-1 → 競り合いの結果、ボールがこぼれた!
≦-2 → オワイランがクリアした!

【基本ルール以外の補正・補足・備考】
高い浮き球の場合、オワイランのクリアはダイヤかハートで「オーバーヘッドクリア(+1)」に変化。

今回の勝負でオワイラン≠ェ勝利した場合はボーナス。
覚醒についてはオワイランのみ♀ョ全敗北でも覚醒します。

784 :森崎名無しさん:2011/11/22(火) 16:42:31 ID:???
ははあ。
オワイラン、マトモなコーチの指導を受けてないのか?

 ★クロスボールの高低 → クラブ10 (ダイヤ・ハート→高い浮き球/スペード・クラブ→低い浮き球)

785 :森崎名無しさん:2011/11/22(火) 16:43:36 ID:???
 ★  三杉 高/低トラップ( ハート8 )67/66 +( 65 )=★

786 :森崎名無しさん:2011/11/22(火) 16:49:11 ID:???
★オワイラン 高/低クリア( ダイヤ7 )65/65 +( 14 )=★

787 :森崎名無しさん:2011/11/22(火) 16:50:26 ID:???
オライワンが勝てる可能性のある勝負に限って本気を出す三杉さん

788 :森崎名無しさん:2011/11/22(火) 16:50:44 ID:???
この三杉淳容赦せん!

789 :森崎名無しさん:2011/11/22(火) 17:28:32 ID:???
もしセンタリング判定でJOKER出てたら
練習生が名有り選手になっていただろうか?

790 :アナカン ◆lphnIgLpHU :2011/11/22(火) 18:20:05 ID:???

   クロスボールの高低 → クラブ10 (低い浮き球)
   三杉 低トラップ( ハート8 )66 +( 6 + 5 )=77
 オワイラン 低クリア( ダイヤ7 )65 +( 1 + 4 )=70
【攻撃Max】−【守備Max】≧2 → トラップ成功!
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

シュルルルルル…

三杉(低い!) バッ

オワイラン(ボール…!) バッ

出されたクロスボールに反応し、両者が動き出す。
ただこれも三杉の方がたっぷり1秒は判断が早く、その差は大きかった。
ベストポジションへ先に走り込み、競ろうとするオワイランをスルリとかわして…

トンッ……

何事もない、ノーマークだったかのように、三杉は易々とトラップして見せた。
クロスボールをトラップするプレイを、三杉はイタリアの地でほとんどやって来ていない。
それゆえに今回は、自分のプレイの質も悪いかと思っていたのだが…

三杉(…っと、いけない。 滅多にない場面だからって、プレイに全神経を集中させてしまった…。
    彼の能力を量らなければいけない場面なのに、今のは良くなかったな。)

オワイラン「くっ…!」

動作の質にはそこまで差があったわけではない。
単純に、ここ一番の集中力の差が出てしまった形。
そのせいか、今回の結果にはオワイランから悔しそうな声が漏れていた。


791 :アナカン ◆lphnIgLpHU :2011/11/22(火) 18:21:56 ID:???

《マーク・オワイラン》
 ド    パ   シ   タ  カ    ブ    ト   ク    競   合計   高/低  LV
??  ??  ??  63  ??  64  ??  ??  ??  ???  2/2 34

ショーテルタックル(1/2でタックル+2)
ハイボレーブロックタックル(1/4でブロック+4)100消費
ダイビングブロック(1/4でブロック+4)150消費
オーバーヘッドクリア(1/2で高クリア+1)80消費
その他…?
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

三杉「取り敢えずこんな所か。」

幾らかは推量出来たマーク・オワイランの実力をまとめる三杉。
DFとしては、プリマヴェーラで並レベルと言っていたトレイゼの言葉通りであった。
少なくとも中山の穴を直ぐにでも埋められる選手かと言えば……それは間違いなく『No』だろう。

しかしこれまたトレイゼが言っていた事だが、ジョアンが頻りに目を鋭くしていたという話の通り・・・
三杉の目から見ても、決して見る所のない選手ではなかった。
いや、むしろ見る所がありすぎた。 良い所も悪い所も。

三杉(さて・・・トレイゼさんは僕達のチームに彼を回してくれても良いと言ったが・・・)


792 :アナカン ◆lphnIgLpHU :2011/11/22(火) 18:22:58 ID:???

A 「それじゃ、君には僕らのチームに入っても貰う。 トレイゼさんには僕が話しておくから。」
B 「・・・・・・・・・済まないが、僕らのチームでやるには君じゃ力不足過ぎる。」
C 「ところで『凄い凄い』と頻りに言っていたが、悔しくはないのか?」
D 「ちょっと聞きたいんだけど、以前はどんなチームに所属していたんだい?」
E 「好きなモビルスーツとスタンド、それから念能力を教えて貰おうか。」
F 「僕は決して忘れない。 そして、決して忘れさせないよ・・・この日のことを!!
    フッ、フフッ、フハハハハハハ!!」」
G そ の 他

『3』票選ばれた選択肢で続行します。(投票はメル欄空白で宜しくお願い致します。)


793 :森崎名無しさん:2011/11/22(火) 18:31:35 ID:n0Ru6r/o


794 :森崎名無しさん:2011/11/22(火) 18:34:28 ID:kS+x2/EM


795 :森崎名無しさん:2011/11/22(火) 18:41:37 ID:TTBnXs8s


796 :森崎名無しさん:2011/11/22(火) 18:41:53 ID:???


797 :アナカン ◆lphnIgLpHU :2011/11/22(火) 22:40:13 ID:???
身内が救急で運ばれたけれど大丈夫でした。
本日は更新を終了します。

798 :森崎名無しさん:2011/11/22(火) 22:42:29 ID:???
お忙しい中更新お疲れ様でした。

799 :森崎名無しさん:2011/11/23(水) 21:13:46 ID:???
乙です。
どこも大変だなあ

800 :アナカン ◆lphnIgLpHU :2011/11/24(木) 11:30:51 ID:???
>>798 いえいえ、連絡を受けた直後から更新ぶん投げちゃいました。すみません。
>>799 乙感謝です、事件は突然起こる物なんですよね。

松山さんの御家族も早く全快なされば良いのですが・・・そうなるようお祈り致します。
=============================================

> D 「ちょっと聞きたいんだけど、以前はどんなチームに所属していたんだい?」
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

三杉「オワイラン、ちょっと聞きたいんだが……以前はどんなチームに所属していたんだい?」

オワイラン「どんなチーム…と言うと?」

三杉「所属していたチームの名前さ。 イタリア以外の国のクラブチーム、例えばバルサに所属していたとか…
    地元の何処其処のクラブチームに所属していたとか、はたまたハイスクールのクラブ活動だったとか…。」

オワイラン「ああ、そういう事ですね。 それだったら、マグアナックの皆と一緒にやっていました。」

三杉「マグアナックと言うと…名前は知らないが、地元のクラブチームという事かな?」

オワイラン「いえ…えーと、オワイランの家が雇っているSP達の事なんです。
       彼らがプライベートの時間にサッカーを嗜むので、それに混ぜて貰っていました。」

三杉「…………えっ…? あっ…も、もしかしてクラブチームに所属した事はないって事…?」

頷くオワイランに、三杉は呆れを通り越すほどの驚きを覚えていた。
ふざけるなと言いたくなる経歴なのだが、それにしては上手すぎる。
趣味で片手間にサッカーを嗜んできたのだとしたら、驚異的と言っても良いだろう。
納得のいかない三杉は、オワイランに更なる説明を求めていた。
それに対する回答は概ね以下の通りである。


801 :アナカン ◆lphnIgLpHU :2011/11/24(木) 11:32:10 ID:???

彼が積極的にサッカーを教わりに行っていたのは、マグアナックの隊長を務めているラシードなる人物。
ラシードは十数年前までサウジ・プレミアリーグで活躍し、国の代表選手に選抜された事もある実力者。
当然現在のラシードの本職はサッカーでは無い為、教えて貰える時間は多くなかった。
オワイランは自らの自由になる時間のほとんどをサッカーに費やして来たとの事で、ラシードの教えを
受ける以外では、試合のビデオを何遍も見て研究したり、自己流で腕を磨いていたという。

三杉「なるほど、引退したプロ選手の弟子と言って良いのかな……。
    しかし聞いた限りでは、専門の教育を受けたコーチの指導を受けてはいない、と…。
    長所と短所が異常にクッキリしているわけだ。 うーん………」

口に手を当て、唸るくらいに三杉は判断に困った。
このオワイラン、まともなサッカー教育を受けているとは全く言えない。
そりゃあ、プロに多少の個人技を教わったくらいで、後は自己流で磨いてきた身が…
イタリアのプロ候補生レベルまでの実力を備えてきたのは脅威である。
『才能がある』なんて一言では済まない、その情熱と掛けてきた時間も本物に疑いない。

だがフィオレンティーナは、チーム戦術が機能する事で実力を発揮する類のチームである。
オワイランが加入するならば、彼は知識と『Play For Team』の倫理を身に付けなくてはならない。
それがあるからこそ、三杉は彼を自らのチームに入れるべきか二の足を踏む。

三杉(新田やブンナークなどは、2年間という時間と先の大会のお陰でそれを身に付けた…。
    しかしオワイランには彼らの半分程度しか時間が無い。それに新しい監督やコーチとの折衝もある。
    …しまったな、こんな事ならジョアンコーチに新しくコーチになる人物の事を聞いておけば良かった。)

結局三杉はこの場での決断を保留せざるを得ず、オワイランにその旨を伝えるのだった。
三杉が感じた長所と短所、それが生まれた予想原因と課題も添えて。
合格を言い渡されない事で、彼の表情が曇ったり怒り出したりするのを予想していたが…
オワイランは最後まで、そのニコやかな表情を崩したりはしなかった。


802 :アナカン ◆lphnIgLpHU :2011/11/24(木) 11:35:10 ID:???

<フィオレンティーナ選手寮B・ミーティング室>

三杉「…という事から、このフォーメーションで行こうと思っているんだ。
    質問…もしくは自分の役割を聞き逃した人は居るかい?」

寮に戻った三杉は、明日のテストマッチにおける作戦ミーティングを実施していた。
三杉がWボートを使ってメンバーに示した作戦内容は、>>637-668にて考えた案そのままだ。
それに対する意見要求がなければ、そのままの形で実行という事になるのだが・・・


先着で
 ★ディスカッション、乱舞の太刀→! card
と(!とcardの間のスペースを埋めて)書き込んで下さい、カードやダイスによって分岐します。

《ダイヤ》 マルコが微修正要求
《ハート、スペード》 特に何もない!
《クラブ奇数》 ???「この試合はオレを中央に置いて欲しい。」
《クラブ偶数》 ???「この試合はボクを中央において欲しい。」
《クラブA》  ガチャッ  ???「この試合はオレをGKに使うべき!」 だれテメェ
《JOKER》 ガチャッ ミハエル「今日からフィオレンティーナに入る事になりました。」 トレイゼ仕事はえぇ


803 :森崎名無しさん:2011/11/24(木) 11:37:46 ID:???
 ★ディスカッション、乱舞の太刀→ スペード4

804 :森崎名無しさん:2011/11/24(木) 11:38:23 ID:???
★ディスカッション、乱舞の太刀→ スペードA


805 :森崎名無しさん:2011/11/24(木) 19:23:06 ID:???
そのクラブAが判定にあるだけで何故かほっとするぜ

806 :森崎名無しさん:2011/11/24(木) 19:24:32 ID:???
いつ登場するんだろうなあ、ブ●ノ…。

807 :アナカン ◆lphnIgLpHU :2011/11/24(木) 20:00:53 ID:???

>>805 ふひひ、予定調和。

>>806 どうでしょうねえ? 彼に対する私のビジョンがクラブAしか無いのですが…
=============================================

> ディスカッション、乱舞の太刀→ スペード4
> 《スペード》 特に何もない!
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

結局このミーティングで反論も修正案も出る事はなかった。
三杉の案が完璧なのか、彼らが今の状況で積極的な思考に欠けたのかは知れないが…
ともかくとしてフィオレンティーナのカンピオーネへの対抗策は、概して以下のまま変化なしと言う事だ。

・守備よりも攻撃を優先。
・攻撃のメインは左サイド…バンビーノの駆け上がり、または三杉による左斜めの切り込み。
・新田の中央からの攻め上がり、ミドルシュートも積極的に使っていく。
・守備はボランチとサイドバックが緊密に連携を取る事に主眼をおく。

三杉は自分の戦術に、それほど大きな間違いがあるとは考えていない。
だが実際の所がどうだかは、修正してくれる監督が居ない為、自分を信じるしかなかった。
その答えは明日の試合の中でのみ示されるのである。


808 :アナカン ◆lphnIgLpHU :2011/11/24(木) 20:02:09 ID:???

<某宿泊施設>

カルバリョ「あーあ・・・っと。」

ディッテンベルガ「どうした? お前が溜め息とはらしくないな。」

カルバリョ「いや、監督≠ェ何(なーに)考えとるんかと思ってなぁ。
       あんな戦い方よー知らんて……勝てる気せんわあ。」

ディッテンベルガ「そうか? オレはそうでもないがな…なあイスラス?」

イスラス「………さてな…。」

フィレンツェの中心部からそう遠くない土地。
とある企業の保養宿泊施設に彼らは集まっていた。

ヤベッチュ「まーまー、そんな暗い顔せんと。
       カルバリョはーん、コーチに見捨てられたらボクとお笑いコンビ組みましょ。」

カルバリョ「阿保か! お前、地元じゃ負け知らずだからって調子のっとるんちゃうか!?
       こっちは地元に戻ったらご近所に目ぇ合わせて貰えんのやぞ!?
       あーもー、ギャングの息子になんてなりたくなかったー!
       サッカーで英雄にならんとロマーノ以外の友達も彼女も一生出来へんてー!」

ヤベッチュ「ははは、この人やっぱ頭のネジ外れとるわー。 おもろ、天性のボケやわ。
       悪そうな奴と話してる時みたいにしとったら絶対人気者なのにー。」


809 :アナカン ◆lphnIgLpHU :2011/11/24(木) 20:03:16 ID:???

ディッテンベルガ「悪そうな奴は大体友達だからな。 それで一般人との接し方を忘れてしまうとは…。」

イスラス「……クック…」

カルバリョ「そこ、笑うな! 今はウケとか狙ってへんのや!」

明日はテストマッチを控えている身の彼ら。
戦術は事前に伝えられているのだが、無茶振りのようなソレに対して各人思う所があるようだ。
少なくともメンバーの大半は相手に対して借りがあり、明日は雪辱のチャンスとなるのだが…
その可能性を下方修正してしまうような戦術に、悲観する者も居ればニヤリとする者も居た。

ガタッ…

フィッツウォルタ「先に部屋に戻るよ。 キミはもう暫くゆっくりしていると良い。」

レビタン「ふぃっつうぉるた?」

そんな中で(初めて顔を合わせたピャタコーフを除けば)唯一人、浮かない顔を貫き通す者も居た。
タブリス・フィッツウォルタ…サッカーに必要な全ての要素を鍛えてきた理想のボランチである。
激戦だったプリマヴェーラ大会でASローマがベスト4に勝ち上がったのも、彼の力が大きいであろう。

彼は夕食の後も話の輪に加わろうとせず、離れた席で物憂げに何かを考えている様子であった。
ローマでのチームメイトでもあるレビタンは、心配そうに彼に付き添っていたが…
フィッツウォルタはどうやら一人になりたかったのか、先に席を立って行った。


810 :アナカン ◆lphnIgLpHU :2011/11/24(木) 20:04:18 ID:???

フィッツウォルタ「………」 フゥー

フィッツウォルタは、カルバリョが吐いていたのは違う…本当に深刻な溜め息を吐く。
いま彼が向かっているのは、自分の部屋に通じている廊下へではなかった。
逆方向…選手達に割り当てられた部屋ではなく、スタッフの部屋であった。
やがて彼は一室の近くで立ち止まる。 それはジョアンの部屋だった。
しばし立ち竦んでいた彼だが、意を決してノックすべく扉に近付く。 すると…

フィッツウォルタ(ん…? 話し声………先客…か。)

聞き覚えのある声が二つ、フィッツウォルタの耳に聞こえたのだった。
誰の声かはすぐに判った。 一人は当然ながらジョアン、もう一人はクスタ・イスマエル。
出直すべく今は立ち去ろうと思ったフィッツウォルタだったが…
二人の会話は、あろう事か…扉を介していても明確に聞き取れるほどハッキリしていた。
盗み聞きをするつもりで来た訳ではないが、自分の名が聞こえたせいで、
つい彼はその場で固まってしまうのだった。


<部屋の中・時間は少しを遡る>

ジョアン「よくそこまで自分を磨いたな、クスタ。
      そのディフェンス技術は既に芸術的と言っても大袈裟ではない。」

クスタ「いえ…準決勝では2失点、決勝に至っては3失点です。
     私はまだ自分の事を誇れる気になんかなれません。」


811 :アナカン ◆lphnIgLpHU :2011/11/24(木) 20:05:19 ID:???

ジョアン「それでいい。 後は経験だ…世界中の強い選手、多くの戦術に触れろ。
      お前がトッププロに仲間入りするのを妨げる物は既に無いのだ。
      いつまでも驕りのないお前だからこそ、私は安心してそう言えるんだ。」

クスタ「勿体無い…。 …ですが、その言葉を裏切らぬよう精進を続けます。」

ジョアン「うむ…。 クスタ、一つだけ頼みたい事がある。」

クスタ「何でしょうか…?」

ジョアン「アルシオンを支えてやってくれ。」

クスタ「えっ…? でも、アルシオンはボク…いや、私の力なんて必要としないのでは?
     彼のテクニックは圧倒的です、この世代の中では頭一つ抜き出ているでしょう。」

ジョアン「確かにアルシオンは巧い、そして強い…だがその強さには脆さが共存している。
      10年という時間は余りに長すぎた……。」

クスタ「ジョアンコーチ……。」

ジョアン「サッカーに絶対は無い、どんな要素が絡んで来るかも判らない。
      奴はフィールドの中の魔物を忘れている…いや、最初から知らないのかも知れん。」

クスタ「………」


812 :アナカン ◆lphnIgLpHU :2011/11/24(木) 20:06:22 ID:???

ジョアン「いずれは試合の中で挫折を知らなければならない。
      だが奴はカンピオーネを統べる者、陽の当たる場所でサッカーをするべき者…
      私はアルシオンが敗れる姿を見たくはないのだ…。」

クスタ「…その時が来たら、私が守れと?」

ジョアン「ああ…。 お前だから頼むのだ、クスタ。」

クスタ「判りました、やりましょう。 それが私に恥≠ニ熱≠与えて下さった貴方の夢ならば。
     どんな状況が訪れようとも…このイスマエルはアルシオンの背中を守ります。」

ジョアン「……すまん。」

クスタ「ところで……コーチ?」

ジョアン「どうした?」

クスタ「何故…ジュン・ミスギを呼ばなかったのです?
     コーチにはその権利があったのではなかったですか?」

ジョアン「ミスギか……。」

クスタ「彼は素晴らしい選手です。 ユブンタイは勿論、フィッツウォルタよりも上でしょう。
     オーナーとの折衝もあるのでしょうが、それでも……」


813 :アナカン ◆lphnIgLpHU :2011/11/24(木) 20:07:25 ID:???

ジョアン「確かにミスギは傑物だ。 技術もあり、思考も優れている。 自ら泥を被る事も厭わぬ。
      私の目指すチーム作りも理解してくれよう。 真実おもしろい人材であることは認める。
      …だが奴は本質的に指導者だ、司令塔だ。 誰かの後塵を拝する種の人間ではない。」

クスタ「コーチ、それはつまり…」

ジョアン「アルシオンとミスギ…この両者は並び立つ事は出来ないだろう。」

クスタ「…なるほど。 いいえ、納得しました。」

ジョアン「だが勘違いはするな、フィッツウォルタがミスギに劣っている等と言うつもりは無いぞ。
      フィッツウォルタはカンピオーネにとって不可欠な選手だ、奴が居ない事は考えられん。」

クスタ「えっ?」

ジョアン「奴がミスギに劣っているのは得点力くらいの者で、逆にゴール前では奴の方が上だ。
      総合力では互角に近い所で競っているのだよ。 問題はその思想、覚悟の方向性だ…」

クスタ「それは一体……?」

ジョアン「うむ、それは…………」


814 :アナカン ◆lphnIgLpHU :2011/11/24(木) 20:08:27 ID:???

<廊下>

フィッツウォルタ「…………」

フィッツウォルタはこっそりと腕で顔を拭った。

彼は三杉と主な役割が近い選手であった。
ローマがフィオレンティーナに破れ、彼は半ば諦めていたのだ。
カンピオーネに三杉が招集されるならば自分の席は無い、そして自分は彼に敗れた…と。

しかし現実に呼ばれたのは自分で、三杉の姿はなかった。
フィッツウォルタは悩んだ、何故自分なのかと。
敗北感は彼に納得や迎合を許さず、針の筵を与え続けていた。
だがジョアンの言葉を聞き、モヤモヤと胸に渦巻いていた霧がいま晴れた。

フィッツウォルタは扉の前を離れ、食堂へと歩き出した。
仲間達≠ニ言葉を交わし合う為に。


815 :アナカン ◆lphnIgLpHU :2011/11/24(木) 20:11:20 ID:???
本日は此処までです。
明日はようやく試合が始められそうです。
前の試合から何ヶ月だボケぇー。

すみません、選択肢ではないですが今回だけageさせて下さいーそれでは。

816 :森崎名無しさん:2011/11/24(木) 20:24:29 ID:???
おおーちゃんと敵チームのメンバーにもドラマが続いているってのは素敵だね
寄せ集めじゃぁないんだな

817 :アナカン ◆lphnIgLpHU :2011/11/25(金) 14:19:54 ID:???

>>816
どぅおーもー。 そうですね、カンピ選手達にも当然ドラマが続きます。
単なる敵チームメンバーという記号にさせず、考えて行動選択をさせたいです。
=============================================

翌朝、三杉達は指定の貸切バスに乗り込んで移動していた。
行く先の詳細は知らされていないが、車で1時間弱とのこと。
移動の方角から考えると、フィレンツェを飛び出してピサにまで出張るのかどうか…という所であろう。

しかしバスに乗っている選手達は、当然ながらそんな事に関心はない。
今日行われるテストマッチの事が半分、いまだ回復の情報のないアンザーニへの心配が半分。
ある程度の余裕がある者でも今後の不安で頭がもたげる様で、流れ行く風景や行先に気を留める者は居ない。

三杉淳はと言えば、彼は沈んだ表情で窓の外へ顔を向けている。
本当ならば、監督が普段するようなミーティングのおさらいをするべき所だろう。
だが彼はそれをする事が出来ず、ボーっと何を見るでなく意識を散漫にしているのだ。

三杉(アンザーニ監督………)

昨日までの2日間、彼はキャプテンとして監督の代理として、自分のやるべき事を一通り成し得た。
しかしやるべき準備を終えると、彼の心は自然とアンザーニへの心配に向き、戻れなくなっていた。
試合を控えているとはいえ、余りに自分が薄情だったのではないかと責める気持ちが生まれていた。

三杉(監督ならば『自分の為すべき事をやれ』と言っただろうとは思うし、それはきっと正しいだろう。
    けれどこれは…人として自分を許したくない気持ちは理屈じゃあない………。)

人間は鉄で出来ているわけではない・・・その事を三杉は今更に知った。


818 :アナカン ◆lphnIgLpHU :2011/11/25(金) 14:21:32 ID:???

やがてバスが停車し、目的地への到着を告げる。
降りた所には広大な駐車場、巨大な建造物が在ったが、人の気配が全くと言って良いほど無かった。
それどころか最後の数分は他の車の姿が一切なかったのだが…違和感に気付いた者が何人居ただろうか?

妙な雰囲気に圧倒され立ち尽くしていると、間もなく建造物から女性の案内人が出て来た。
そして『こちらです』と愛想良く誘導をしてくれるので、三杉達は黙って付いていく。



オルミーガ「到着したそうだ。」

ナムリス「そうか、ご苦労だった。 …では行こうか、ピャタコーフ。
      ミルチビッチ、サビチェビッチは例の観戦席で父君を待て。 オルミーガ、お前もな。」

サビチェビッチ「それが命令なら聞いてやるさ。」
ミルチビッチ「…………。」 ムスッ

ナムリス「そんなに不機嫌そうな顔をするなよ、ミルチビッチ。 お前の出番は後半からだ。」

ミルチビッチ「そんな予定ではないと聞いているが?」

ナムリス「フフッ、必ずそうなる。」

そう答えると、愛想の皆無な彼らの反応を背にナムリスはピャタコーフと共にロビーを後にした。


819 :アナカン ◆lphnIgLpHU :2011/11/25(金) 14:23:09 ID:???

5分少々歩かされた三杉達は、グラウンドへと到着していた。
好く芝が整備され、水捌けも良さそうな見るからに上等のグラウンドに。

…案内人が一礼して去り、三杉達が芝に足を踏み入れると………
対局方向のベンチから、見知った顔が何人も混じった集団が出てきた。
彼らは皆、赤と黒…ACミランのカラーをリバースしたようなユニフォームを着用している。

ダラピッコラ「ミゲル・・・・・・」
カルバリョ「よっ、ロマーノ。 ヴェネちゃんも調子はどや?」
レントゥルス「はは・・・あんましかなー。」

マルコ(フィッツウォルタ…)
フィッツウォルタ(悪いけどマルコ、もうボクはキミに構っていられない。 それよりも・・・)
三杉(うん・・・? フィッツウォルタ・・・・・・僕を見ているのか?)

新田(イスラス、今日はアンタを乗り越えさせて貰うぜ。)
イスラス(威勢が良さそうだな・・・・・・クック)

ディッテンベルガ(ナカヤマか・・・彼には負けたくないな。)
中山「シニョーリ、ディッテンベルガ、そしてクスタか・・・」
ミュラー(守備、攻撃、いずれにも負けたくない相手ばかり・・・勝てるのか、我々は?)

ブンナーク(クスタにレビタンか…今日のゴール前も厚苦しそうだな。)
クスタ(守る・・・カンピオーネのゴールはお前達の好きにはさせんぞ、フィオレンティーナ。)
レビタン(二度ト負ケテハヤラナイ、れびたん燃エテキタ。)


820 :アナカン ◆lphnIgLpHU :2011/11/25(金) 14:24:25 ID:???

バンビーノ(あいつ、アルシオン・・・・・・アル、か・・・。 やっぱり・・・。)
アルシオン(・・・・・・・・・・・・)

スペルマン(やっぱりキミだったのか……エフゲニー・クラウド…
       キミの心が戻っていたのなら、こんなに嬉しい事はないけれど…ボクは…)
ピャタコーフ(・・・・・・・・・・・・)


因縁が余りにも強すぎる為であろうか・・・
カンピオーネとフィオレンティーナの選手達は、互いに睨み合ったまま微動だにしなかった。
・・・いや、それは正確ではない。 カンピオーネには何人かの例外も存在していた。
その内の一人が、フィオレンティーナのキャプテンである三杉にこう話しかける。

ナムリス「どうやら誰も言わないようなのでボクが・・・・・・今日は宜しく、フィオレンティーナの皆さん。
      キックオフの予定は10時から・・・つまりあと30分そこそこだね。
      それまで好きにアップでもミーティングでもしていると良いよ。」

三杉「ああ・・・そうか、どうもありがとう。 宜しく、ええと・・・」

ナムリス「ボクはナムリス・ユブンタイ、以後お見知りおきを。 いい試合をしよう、ミスギ。」

三杉「宜しく、ユブンタイ。」

ナムリスの挨拶に応え、三杉は続けて・・・


821 :アナカン ◆lphnIgLpHU :2011/11/25(金) 14:25:49 ID:???

A カンピオーネの他の選手に話しかけた。
B ジョアンが何処にいるか尋ねた。
C ブルノが何処にいるかを尋ねた。
D 三杉「今日の試合、お前達に勝ち目は100%ないぜ!」 爆勝(笑?)宣言した。
E 余計な事はせずに引き下がった。 サッサとアップを済ませてキックオフを待つのだ。
F そ の 他

2票選ばれた選択肢で続行します。(投票はメル欄空白で宜しくお願い致します。)


822 :森崎名無しさん:2011/11/25(金) 14:27:35 ID:9TORgFmY


823 :森崎名無しさん:2011/11/25(金) 14:28:34 ID:q18SKa/Y
A

824 :森崎名無しさん:2011/11/25(金) 14:40:23 ID:RX9Qqx06
A

825 :アナカン ◆lphnIgLpHU :2011/11/25(金) 14:45:38 ID:???

> A カンピオーネの他の選手に話しかけた。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

ナムリス以外のカンピオーネ選手に話しかけます。
会話したい相手を以下の中から1名選んで投票してください。(投票はメル欄空白で宜しくお願い致します。)

[ピャタコーフ、シニョーリ、イスラス、アルシオン、
  フィッツウォルタ、レビタン、ディッテンベルガ、クスタ、カルバリョ]

※最初に2票に到達したキャラと会話します。


826 :森崎名無しさん:2011/11/25(金) 14:47:41 ID:RX9Qqx06
フィッツウォルタ

827 :森崎名無しさん:2011/11/25(金) 14:50:20 ID:9TORgFmY
クスタ

828 :アナカン ◆lphnIgLpHU :2011/11/25(金) 14:50:43 ID:???

あ、ヤベッチュの名前を入れるの忘れてました。
でもまっ、いいか。 ヤベッチュですしね。

829 :森崎名無しさん:2011/11/25(金) 14:52:03 ID:???
「ヤベッチュ」という名前がどうしても「矢部っち」に見える今日この頃。
どうしてだろう、彼の横に小さいおっさんのスタンドが見えるんだが・・

830 :森崎名無しさん:2011/11/25(金) 15:25:04 ID:CRE6dOhA
フィッツウォルタ

831 :アナカン ◆lphnIgLpHU :2011/11/25(金) 17:35:12 ID:???

>>829
そうですよね、私も勿論あの人が頭を過ぎってます。
正直、大半の人が矢部っちイメージなんじゃないですかね?
=============================================

> フィッツウォルタ
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

三杉(クスタとシニョーリのパルマ、イスラスとディッテンベルガのレッチェ…皆、厳しい相手だった。
    だが、ある意味一番苦しめられたのはキミの居るローマだったな。)

フィオレンティーナは戦術のチームとして認識を得られるようになった。
しかし彼らの、三杉の本当の強さはもっと深いところにある。
彼は強敵を相手にする時、その場の状況だけでなく90分通した長期的な視野で戦術を扱う。
それは言わば、最後に勝利を得る為の戦略的思考…。
レッチェのポゼッションも、パルマのゴール前も最後は無力化したから勝てたのである。

しかしローマだけは例外だった。
フィッツウォルタのデータサッカーを破ったのは、マルコ・オジオとアンザーニ監督の二人…。
彼らの計算にあやかった事、そして試合中に仲間の後押しでパスの本質を再確認出来た事、
更には2トップの大活躍…その結果としてフィオレンティーナはローマに逆転勝利したのだ。

三杉(僕だけだったらフィッツウォルタの頭脳に敗れていただろう…。
    だから彼には借りがある、知恵比べでは絶対に負けたくない。)

アンザーニの件で消沈していた三杉が、ようやく静かな闘志の種火を灯し始める。
自分に対して強い眼光を向けて来るフィッツウォルタに対し、一歩、二歩と近付いた。
するとフィッツウォルタの方も一歩前に出て、目を逸らす事なく口を開いた。


832 :アナカン ◆lphnIgLpHU :2011/11/25(金) 17:36:17 ID:???

三杉「今日は宜しく。 戦力差はあるかも知れないが…勝たせて貰うよ、フィッツウォルタ。」

フィッツウォルタ「こちらこそ。 以前のような不覚はもう取らない、覚悟しておいて欲しい。」

プリマヴェーラ大会では、掴みどころのない不思議な話術で掻き乱してきたフィッツウォルタ。
しかし今日はそのようなイメージを完全に排し、熱い闘志のような物すら感じさせられる。
それに対して三杉は…

A 「君ってそんなキャラだったっけ?」
B 「…不覚? ふふっ、実力差だって事を正しく認識させてあげるよ。」
C 「望むところさ、君の思い通りにはさせない。」
D 「なんかさっきやたら睨んで来てたようだけど気のせい?」
E 「ふーんふーんふーんふーんふーん♪」
F 「そんな事よりマルコがてるんだけど……相手してあげて?」
G 「アルシオンって凄いらしいけどそんなに凄いの?」
H そ の 他

2票選ばれた選択肢で続行します。(投票はメル欄空白で宜しくお願い致します。)


833 :森崎名無しさん:2011/11/25(金) 17:44:07 ID:9TORgFmY


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