キャプテン森崎 Vol. II 〜Super Morisaki!〜
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【影の役者】鈴仙奮闘記30【天才の相棒】

1 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/06/29(月) 22:01:33 ID:???
このスレは、キャプテン森崎のスピンアウト作品で、
東方Project(東方サッカー)とのクロスオーバー作品です。
内容は、東方永夜抄の5ボス、鈴仙・優曇華院・イナバがサッカーで師匠を超えるために努力する物語です。
他の森崎板でのスレと被っている要素や、それぞれの原作無視・原作崩壊を起こしている表現。
その他にも誤字脱字や稚拙な状況描写等が多数あるかと思いますが、お目こぼし頂ければ幸いです。

☆前スレ☆
【レイセンガ】鈴仙奮闘記29【タダシイヨ】
http://capmori.net/test/read.cgi/morosaki/1432654054/
☆過去ログ・攻略ページ(キャプテン森崎まとめ@Wiki内)☆
http://www32.atwiki.jp/morosaki/pages/104.html

☆あらすじ☆
ある日突然幻想郷にやって来た外来人、アラン・パスカルと中山政男との出会いにより、
師匠、八意永琳に並ぶ選手になると決心した鈴仙・優曇華院・イナバ。

全幻想郷代表選抜大会で活躍し、代表メンバーの一員となる事を夢見てきた鈴仙はある日、
自身が『プロジェクト・カウンターハクレイ』のキャプテン候補に選ばれている事を知る。
それは霊夢や紫達幻想郷に敵対し、以て幻想郷の価値観を覆すという壮大な計画。
更に鈴仙は、全幻想郷代表の下部組織、『リアル・幻想・セブン』の一員として、
乱心した八雲紫と幻想郷を救って欲しいと紫の式・八雲藍から懇願された。

幻想郷を変える為に戦うか、幻想郷を守るために戦うか。そう思い悩む鈴仙の心の隙を突く悪しき者もいた。
それは『プロジェクト・カウンターハクレイ』と『リアル・幻想・セブン』との争いに乗じ漁夫の利を狙う第三勢力。
聖徳ホウリューズの一員にして、『ハイパーカンピオーネ』計画の一翼を担う天性の詐欺師・岬太郎だった。

試合開始前、岬は鈴仙と同じFWの相棒・因幡佳歩の疑心を巧みに利用し、チーム内における不和を演出する。
それは鈴仙により破られ失敗に終わってしまうが、しかし、それでも尚聖徳ホウリューズは強かった。
観客扇動に一芸特化選手、特殊戦術の使用。あらゆる手に苦しめられるルナティックスだったが、
前半終了間際にパスカルが覚醒して1点をもぎ取り、試合は1−1の同点に。
そして迎える後半戦。影の役者がひしめく全幻想郷選抜大会を勝ち抜くのは一体――。

569 :森崎名無しさん:2015/08/07(金) 18:46:06 ID:???
ドーモ、妖怪サン
妖怪スレイヤーです

570 :森崎名無しさん:2015/08/07(金) 19:24:18 ID:???
ヨウカイスレイヤーさんの正体はハクレイの巫女ではないのか?

571 :鈴仙奮闘記 ◆pXM64Uz50c :2015/08/08(土) 01:00:43 ID:???
こんばんは、今日もあまり時間が取れず、無判定パートが続きますが更新していきます。
>>563-565
なんもかんも中山のせいだ!あと主人公は霊夢だろ!…ってのが紫の主張ですね。
>>566-567
中山さんは紫達によって仕組まれた罠に掛かった感じです。
>>568
岩見軍団だったら逆に幻想郷の統治者になれそうですね…。

572 :鈴仙奮闘記 ◆pXM64Uz50c :2015/08/08(土) 01:01:53 ID:???
霊夢「……なるほど。こうなる事まで、全てはアンタの仕組んだストーリーだった訳ね、紫」

紫が中山への断罪を宣言した直後。そんな紫に追いついたかのように、今度は霊夢が空から現れた。
殆ど訳が分からぬまま現状を傍観していた鈴仙は、藁にも縋るような想いで霊夢に助けを求めるも。

鈴仙「あっ、れ、霊夢! 何とかしてよ。なんか、八雲紫が中山さんを退治するとか言ってるんだけど……!」

霊夢「――無理よ。『アレ』を見ちゃった以上、私だって、紫と同じような結論になっちゃうもの。
打ち出の小槌も反則アイテムも無しに、単に人望だけで、あれだけの人妖を動かすなんて。
神子や正邪が途轍も無く可愛らしく見える程の力だわ」

紫「そうでしょう、霊夢? 分かってくれて嬉しいわ」

鈴仙「そ、そんな……!」

鈴仙の期待に反して、霊夢は博麗の巫女としての職務を全うする気でいた。
つまり、彼女もまた、中山政男は確かに幻想郷の秩序に大きな風穴を空ける存在であると認識していた。

霊夢「……まぁ。建前づくりとしては、随分と大袈裟だとは思うけどね」

紫「建前? 何のことかしら。私には表も裏も無い、清らかな乙女なのだけれど」

とはいえ、鈴仙から見ても霊夢と紫とは完全に一枚岩であるようには見えなかった。
少なくとも、霊夢は何らかの事情を知っているように思える。
霊夢はひとり言のようにこう呟いた。

霊夢「アンタは前々から、この大会を通じてサッカーで幻想郷に悪影響を与える中山政男。
あと、その影響を色濃く受けた鈴仙とかを退治しなさいと再三再四私に指示して来た。
だけど、私は何となく乗り気で無かった。
……だから、今みたいな状況を上手くでっち上げて、体よく中山政男の危険性を私に実証したいと。
そう思っていたんじゃないのかしら?」

573 :鈴仙奮闘記 ◆pXM64Uz50c :2015/08/08(土) 01:03:32 ID:???
紫「………フフ」

霊夢の独白に紫は嗤う。それは肯定も否定もしていないように思えた。

霊夢「――そうか。だからアンタは神子達を。聖徳ホウリューズへの締め付けを敢えて行わなかったのね。
無論そこには、一回退治された神子達の危険度は中山政男よりも低いから……という安心もあったのでしょうけど。
真の狙いはそこじゃない。適度に連中へ恩を売っておいて、ここぞの場面で自分の手駒にする為……とかだったんじゃないの?」

神子「おいおい、それは酷い言い草だな博麗の巫女よ。
それじゃあまるで私達が、プライドも無く強者の間を飛び回り寄生する、コウモリ野郎みたいじゃないか」

輝夜「いや、それはその通りでしょ」

永琳「……貴女達は元から、今日の試合の勝敗には大して興味が無かったのね。
勝利に徹するようでいて、時に隙のある作戦を選択したのは――今回の計画にかこつけて、
裏切りの可能性がある者を平和裏にお払い箱にする意図もあったのかしら?」

岬「……!(……もしそうだとしたら、僕をすぐに消耗させた挙句に反則プレーを要求した事にも、
反則後の僕の印象操作について冷淡だった事にも、説明が付く。
――豊聡耳神子にとって、八雲紫というバックアップを得ている以上。
試合中のああした行動は、彼女にとって単なる厄介払いの為の茶番に過ぎなかった、という事か……。
だとしたら、詐欺師としても完敗だ。僕は、小手先の技術に囚われて、大局を見切れていなかった……)」

更に霊夢が指摘した可能性――豊聡耳神子と八雲紫は裏である程度手を結んでいた――についても、
紫は霊夢の疑問に答える代わりに、曖昧な笑みを浮かべたままこう話しだす。

紫「……豊聡耳神子の企てる【ハイパー・カンピオーネ】計画については知っていたわ。
しかし、彼女の計画には時間が掛かる。ならば、時間も資源も限られた中、優先順位は自ずと低くなってしまいます。
現在は目下の、かつ大きな危機に対して動かねばなりませんわ」

霊夢「……その答え方。殆ど肯定してるようなもんじゃない」

574 :鈴仙奮闘記 ◆pXM64Uz50c :2015/08/08(土) 01:04:50 ID:???
霊夢は皮肉るが、仮に紫の意図が彼女の予期した通りであるならば、今回の事態を説明するのは容易である。
中山を吊し上げる為の一連の騒ぎを神子が主導したとすれば、それは紫に恩を売る結果となるからだ。
更に紫としても、自ら手を汚さず危険因子を排除する為の錦の御旗を作れる上、
将来の危険因子たる可能性がある神子達の情報を得られるのだから、決して損な話ではなく。
紫と神子とが、彼女らの部下すらもあずかり知らぬ場所でこうした交渉を進めていても、何らおかしくはない。

紫「さて。話が逸れてしまったけれど……中山政男君?」

中山「……僕は、貴女に殺されるのでしょうか」

周囲の疑念が高まる中、紫は本題とばかりに中山に向き合った。
人形のような美しさ、愛らしさの中に禍々しさと狂気を孕んだ瞳に心が吸い込まれそうになる。
しかしそれでも、中山は弱弱しくもハッキリと言葉を紡いだ。

紫「殺しはしませんわ。力に訴えて君の首をこの場で捻る事は簡単ですけど、
それは即ち、私が貴方の持つ力に屈した事の証左となってしまう。
だから、この幻想郷の理に則って、貴方が正しく『退治』される事。……それがまず第一に必要となります」

中山「そうですか。では、もし僕が幻想郷の理どおり『退治』されれば、問題は無いと」

紫「――いいえ。私はそれだけを望んでいる訳では無くってよ。
具体的には、退治の後、速やかに幻想郷から外界へと帰還される事。そして……」

スッ……。

そこで初めて、紫は霊夢と中山以外の人物に視線を向けた。
彼女の目線は中山を通り過ぎ、しかし輝夜や永琳、神子程奥には行かず。
……その中間に居た、長い兎耳を付けた少女の場所で止まった。

575 :鈴仙奮闘記 ◆pXM64Uz50c :2015/08/08(土) 01:07:11 ID:???
鈴仙「…………!」

最初は取り乱していた鈴仙も、この期に及んでは少しだけ順応できていた。
事前に藍や永琳から、紫の計画や悪意などについて聞き及んでいたから、覚悟があったのかもしれない。
ともかく、鈴仙を見据えて、彼女は虚ろにこう言い放った。

紫「私が退治を望むのは、正確には中山政男だけでは無い。
鈴仙・優曇華院・イナバ。貴女もまた、幻想郷の理に従って、博麗の巫女により退治されるべきと考えます。
何故なら貴女もまた、中山政男の共犯。
なにせ貴女は、彼の持つ『希望』による影響を一心に受け、それを幻想郷中へとバラ撒いた張本人だからね」

鈴仙「……そう、ですか」

紫「あら。思ったより反応が薄いわね。誰から事前に話を聞いていたのかしら」

この言葉を聞いて、紫は藍と自分の密会――力が減退した紫を救うための計画――が
発覚してしまったのではないかと強い畏れを抱いた。
アレは紫に決して聞かれてはならない、と藍も強く念を押していたのだから。
しかしそれは杞憂だったようで、紫はなんてね、と悪戯っぽく呟くと、これ以上の追及は行わない。
ただし、彼女は代わりに鈴仙の耳元へと近寄り、こう甘い言葉を吐いた。

紫「……貴女はここで諦めて、『退治』されれば良いの。そうしたら、誰も何も傷つく事は無い。
中山政男は帰り、貴女は元の生活に戻るだけ。……何も、辛い事は無いのよ」

鈴仙「…………」

576 :鈴仙奮闘記 ◆pXM64Uz50c :2015/08/08(土) 01:10:02 ID:???
霊夢「退治と言っても、弾幕ごっこでも弾幕アクションでも無いわ。これは形式的な……いわば儀式。
『幻想郷を破壊し得る力を持った中山政男は、その部下共々博麗の巫女にやられました。
その後、皆で宴会をやりました。結局、中山政男も案外大した事なく、幻想郷はいつもの幻想郷のままでした。』
……そんな、いつものストーリーを。いつもの世界を繰り返す為にも必要な茶番を。
――鈴仙。アンタと中山君は演じてくれれば、それで良いのよ。
紫にハメられて悔しい気持ちは分かるけど、……私だって、これ以上良い方法は無いと思うし」

霊夢もまた、普段のさばさばとした口調は鳴りを潜め、
紫の提案する儀式への参加こそが最善ではないかと提案してくれた。
恐らくそれは紫の策略をも度外視して、
どうすれば鈴仙が一番傷つかずに済むかを、霊夢なりに考えてくれた上での結論ではないかと思った。

鈴仙「(八雲紫は言った。この場で霊夢により『退治』される事を決めれば良いと。
そうすれば、辛い事はなにも無くなると)」

鈴仙もまた、考えていた。どうする事が、自分にとっての最善なのか。
これまで、【プロジェクト・カウンターハクレイ】や【リアル・幻想・セブン】への参加などの話こそあったが、
それらは全て、中山や鈴仙を排斥しようとする紫と戦う為の選択だった。

鈴仙「(……だけど。私は本当に戦わなくちゃいけないの?
私は本当に信じられる仲間を得て。師匠にも並び立ち得る選手になりつつあって。
その上で――私は一体、何を望もうというの?)」

今ここで、現実に紫と相対して。
あらゆる手段で――そこに姑息が紛れていても――幻想郷全体の為に尽くそうとする紫に、本当に対立すべきなのか。
鈴仙は強い疑問を覚えるようになった。

中山「鈴仙さん。言わなくても分かってると思うが……自分自身が、一番良いと思う選択をするんだぞ。
俺や永琳さん。あるいは輝夜さんなんかに囚われなくても良い。自分の意志がどうあるかに従って……!」

577 :鈴仙奮闘記 ◆pXM64Uz50c :2015/08/08(土) 01:24:17 ID:HvKIT762
紫「――静かに。これ以上貴女の思想が。……希望の力が感染しては堪らないわ」

中山「ぐっ……!」

鈴仙「(希望……それだけ取り出すと良い言葉だけど。
希望を得る為には多くの困難に立ち向かわないといけないし、
強い希望を持っていると、その分感じる絶望だって大きくなってしまう。
だから、八雲紫が病毒のように扱うのも、あながち間違いじゃないのかも)」

不意に鈴仙の眼前に現れた、新たなる選択肢……紫とは戦わないこと。
その魅力的な内容に、鈴仙は思わずこれまでの記憶すら忘れてのめり込みそうになる。
しかし同時に鈴仙は、中山が最後に放った言葉も思い出していた。

『自分の意志がどうあるかに従って』。――鈴仙は、紫にこう返答した。

鈴仙「私は……」

A:それでも希望を諦めない。異変の主犯として、自分は霊夢に立ち向かう!
B:もう辛い想いはしたくない。このまま退治され、穏やかな生活を取り戻す。

先に2票入った選択肢で進行します。メール欄を空白にして、IDを出して投票し……



鈴仙「……投票なんて、しなくたっていいわよ。こんなの、決まり切ってるんだからさ」


――投票なんかあっても無くても関係ない。
他者の意志なんかに左右されずとも、左右されたとしても。
鈴仙がこの場で出すべき答えは決まっていた。

578 :鈴仙奮闘記 ◆pXM64Uz50c :2015/08/08(土) 01:30:16 ID:???




鈴仙「――私は。……傷ついたって良い! それでも、中山さんが私に教えてくれた希望を諦めたくない!
茶番以下の口裏合わせなんてまっぴら御免よ。 ――私は、幻想郷を破壊する異変の主犯として、最後まで戦う!
その先待ち受けているのが悪夢だったとしても、それでも……それでも! 私は行くしかないんだから……!!」

579 :鈴仙奮闘記 ◆pXM64Uz50c :2015/08/08(土) 01:36:21 ID:???
――と、言ったところで今日の更新はここまでです。
長引いた試合後イベントですが、明日には終わらせてからウサギBの命名イベント。
明後日以降は紅魔スカーレットムーンズVS博麗連合戦へと繋いで行こうと思います。
……つまり、命名イベント以降は暫くNPCシーンが続く事になります(汗)

<現在出ている名前案>(>>421さんより)
・因幡 霞(かすみ)
・因幡 椿(つばき)
・因幡 風音(かざね)
・因幡 鈴音(すずね)

それでは、皆様、本日もお疲れ様でした。

580 :森崎名無しさん:2015/08/08(土) 07:55:37 ID:???
乙ロット!

とうとう鈴仙も言いたいこと言ったな!
これからが本当の異変だ・・・!覚悟しろ!

581 :森崎名無しさん:2015/08/08(土) 10:20:19 ID:???
どっかで見たことあると思ったらこれ今やってるキン肉マンだ
希望が友情パワーで紫があやつそのまんまだ

582 :森崎名無しさん:2015/08/08(土) 11:02:29 ID:???
惑わされるなーッ
惑わされるなと言っておるーっ

583 :鈴仙奮闘記 ◆pXM64Uz50c :2015/08/09(日) 02:27:10 ID:???
こんばんは、遅くなりましたが今日も更新します。
>>580
乙ロットありがとうございます。
ここから決勝戦までは、この勢いのままハイテンションで進めていきたいですね。
>>581-582
今やってるキン肉マンは分かりませんが、
希望がどうこうってあたりは、最近クリアしたダンガンロンパの影響を受けてるかもです(汗)

584 :鈴仙奮闘記 ◆pXM64Uz50c :2015/08/09(日) 02:28:14 ID:???
紫「何を言ってるのか、ちょっと良く分からなかったわね」

紫はおどけたように、しかしその視線は先程の数倍も冷たく、鈴仙を睨みつける。
中山すらも怯んでしまいそうな程おぞましいその眼は、
怖がりの鈴仙にとって卒倒失禁レベルの怖さがあったが……それでも、もう退けなかった。
いや、退きたくないという強い気持ちがあった。

鈴仙「――私は、戦うって言ったのよ!
中山さんに導いて貰った道を、これからも自分の力で切り開くために……!」

霊夢「いや……。無理しなくて良いってば。足ガクガクに震えてるし」

鈴仙「む、武者震いだってば!」

本当は、自分の足が無意識に震えている事にすら気づいていなかった。
霊夢にすら心配される異常事態にも堪えず、鈴仙はびしっと人差し指を立てて、紫にこう宣言する。

鈴仙「……中山さんは勿論、私だって、今みたいな言いくるめで納得するもんですか。
もしも私や中山さんが間違ってるって言うんなら、正々堂々とサッカーで勝ってから言ってよね!」

紫「…………」

紫は黙っていた。笑顔はもはや顔だけだった。

霊夢「……でもさ、紫。それも一理あるんじゃないの。
というか、こんな騒ぎが出るまでは、『サッカーでの私達の勝利をもって異変の解決とする』
みたいな話だった気がするし。……だから、今日は一旦退い―――」

585 :鈴仙奮闘記 ◆pXM64Uz50c :2015/08/09(日) 02:33:29 ID:???
紫「だったら、中山政男の代わりに、貴女を排除しようかしら」

鈴仙「は、話を最後まで……!」

スッ……ブウン。
――バババババババババババババババババババババッ!

鈴仙「……え?」

気付くと、紫は霊夢の諫言をも制して、鈴仙の周囲に多重の弾幕を巡らせていた。

紫「――中山政男は確かに貴女の言う通り。
私達はより正式な手順を踏み、退治するべきかもしれないわね。
その方がより良い『見せしめ』となるのだから。

けれど……考えてみれば貴女の場合は別。
サッカーでしか戦う術を知らない彼と違って、弾幕ごっこでも格闘技一般でも、
貴女の力を正当に較べ合う手段は沢山あるんだもの。
だったら――今この場で、貴女を排除しておいても、決して悪くは無い筈よね?」

一秒間に3353発。
粒弾小弾中弾大弾特大弾。くない弾ナイフ弾楔弾札弾星弾月弾銃弾ウイルス弾。
幻想郷の内外から揃えられた弾丸が鈴仙の周囲に壁を作っている。
普段の弾幕ごっことは違う点は二つあって、そこには一切の抜け道が無い点と、
一発一発が鈴仙の肉体を焼き切る程の威力が籠められていた点だった。

紫は長くて白い指を打ち鳴らそうとしていた。彼女は今そこで鈴仙を亡き者にしようと考えている。

鈴仙「(……私はあくまでも、中山さんのオマケにすぎない。
だから、中山さんを退治するタイミングは善処こそすれ、私なんかは、ある程度はどうなっても良いと。
そういう事かしら。……だとしたら、舐められたものね)」

586 :鈴仙奮闘記 ◆pXM64Uz50c :2015/08/09(日) 02:38:41 ID:???
紫「大丈夫よ。1フレーム単位で正確な動きさえ出来れば抜けられる穴があるから、
この弾幕は完全なる不可能弾幕じゃない。……命名決闘法違反じゃありませんわ」

紫はこの時、少なからず逆上していたのかもしれない。
霊夢の制止すら聞かずに、彼女は残酷な笑みを浮かべて弾を放つタイミングを見計らっていたが。
……結果的は間の抜けた事に、彼女は『第三者』による襲撃を見逃してしまう事となった。



???「……スピア・ザ・グングニルッ!」


バギュルルルルルルルルルルルルッ……ズバァァッ!!

バンッ! バリバリバリバリ……バシュウウウウウッ!!!



紫「!?」


鈴仙と紫とを隔てるように、天空から一陣の紅光が刺した。
その一撃は少なくとも紫にとっては然したる威力では無かったらしいが、
しかし弾幕の壁を打ち破るには充分な制度と破壊力があった。

587 :鈴仙奮闘記 ◆pXM64Uz50c :2015/08/09(日) 02:39:46 ID:???
鈴仙「(や、やっぱり怖い……! ――って、あれ?)」

意識を失いそうな緊迫感の中、鈴仙はその隙に気付く。
眼前には弾幕は無く、代わりに紅い槍が地面に突き刺さっていたのだから、気付かない方がおかしいとも言える。

紫「――貴女も私を裏切る気かしら。
私は、貴女方のような妖怪の為に、こうして危険因子を取り除こうと奮闘しているというのに……」

紫は心底哀しむように空を仰いで呟く。
果たして、その先には槍を投げ放った張本人が不敵な笑みを湛えていた。
彼女は腕を組みながら、尊大な態度でこうも言い放った。

レミリア「何を言うか八雲の大妖。私は貴殿に協力してやろうと思っていたのに。
折角の準決勝戦の会場が、バラバラになってた事への腹いせに、ね」

鈴仙「あ。……れ、レミリアさん!?」

そこに居たのは、幻想郷では間違い無く高名な妖怪の一つである吸血鬼。
紅魔館の当主であるレミリア・スカーレット本人で間違いが無かった。
彼女は外見相応の好奇心旺盛な瞳を輝かせながら地上へと降りて行き、紫に対してこう話す。

レミリア「大体の話は聞かせて貰った。そして、その上で私は貴殿に宣言しようじゃないか」

紫「……私の行為が姑息である、とでも? もしくは、鈴仙を排斥しない為の陳情かしら?」

レミリア「どっちでも無いわね。私は姑息であっても全力を尽くしての行為ならば否定はしないし、
どっかの自称賢者ならともかく、この私までもがあんな頭の緩い兎風情を助け出す義理も無い」

鈴仙「(頭の緩い兎……どーせ私なんか……)」

588 :鈴仙奮闘記 ◆pXM64Uz50c :2015/08/09(日) 02:41:05 ID:???
紫「だったら何か。その中身をお聞かせ頂きたいわね。
協力と言っていたけれど。もしや貴女が私に代わって、この鈴仙を排除してくれるとでも?」

紫は嘲るように招かれる第三者へと尋ねた。レミリアはハハハと笑って、紫にこう答えた。

レミリア「さすがは妖怪の賢者ね! その通り。私が代わりに鈴仙を。アイツらを退治してやるって言ってんのよ」

霊夢「………………は?」

突拍子も無い発言に、いよいよ場は凍り付く。
それも、これまでの緊張感を引き継いだものでは無い、単純な混乱によって。
ただし幸いな事に、今のレミリアの発言を解説してくれる人物も追いついた。

パチュリー「……はぁ。要するにレミィは拗ねてるだけなのよ。
準決勝戦第二試合そっちのけで、あんた達が鈴仙やら中山政男を吊し上げてるから。
当の鈴仙達にしろ、私達そっちのけで、異変を解決するだの霊夢に挑むだの言ってるしねぇ」

咲夜「ただでさえ人一倍プライドの高いお嬢様ですし……」

美鈴「あはは、困ったものですねぇ」

陸「ハヒーッ! 貴様らか弱い人間である朕に荷物持ちさせんなアルー!」

フラン「zzz……」(←昼なので陸におぶさって寝ている)

佳歩「あ! 紅魔スカーレットムーンズの人達です!」

小悪魔「あらどうも。ご無沙汰してます」

……とはいえ、彼女達にはあくまで解説役であり、今目下で繰り広げられている
レミリアと紫との静かな対立を止めるまでには至らない。
鈴仙がビビり、霊夢が辟易としている中、二人は未だ話し続けていた。

589 :鈴仙奮闘記 ◆pXM64Uz50c :2015/08/09(日) 02:42:16 ID:???
レミリア「……大体、気にくわないのよ。自分こそが幻想郷の秩序を守る存在だ。
だから自分がか弱い妖怪達を調子に乗った人間から守ってやろう、的な考えがさ。
だってさ。人間の創り上げた希望に対する敵ってのは、希望を台無しにする、絶望的な理不尽や恐怖。
――すなわち、私達妖怪そのものじゃない。だから、私達にも鈴仙を退治する権利があるって訳よ」

紫「……霊夢や私に代わって、貴女が『希望』を退治してくれると。だとしたら、それは随分な思い上がりね。
暴力を振るうしか能が無い吸血鬼風情に、中山政男の希望を打ち砕けるとは、私には思えないわ」

レミリア「私だけだったらそうかもね。
でも、私には優秀な妹やら自称賢者やらメイドやら門番やら中国人やらが居るのよ。
相手が希望の力で結束しているとしたら、私達はいわば、絶望の力で結束した軍団。
条件は敵と大体一緒だと思うし、むしろ我らの方が敵役に相応しい気すらするけれど?」

霊夢「……はぁ。長々と喋っちゃって。でも、大体言いたい事は分かったわ」

永遠に終わりそうに無い紫とレミリアの口論に割って入ったのは霊夢だった。

霊夢「要するにレミリア。アンタは私や紫に対して、『鈴仙の敵役ぶるなら、まずは自分達を倒してからにしろ!』
……って、言いたい訳でしょ。それには私も同意だから、心配しなくて良いわよ。
今回の件だって、紫が勝手に突っ走ったのもあるしね」

紫「あら。その点については私だって反対はしていませんわ。
ただ単に、『紅魔スカーレットムーンズは、永遠亭ルナティックスに対立する器ではない』と主張していただけですし」

レミリア「あんですってぇー!? やる前から決めつけないでよね、バーカ!」

咲夜「お嬢様、口調がブレイクしております」

レミリア「おっと……コホン。――ならば、準決勝戦はきちんと執り行われると。
そして我々が勝った場合は、先ほどの異変解決がどうとかも含めて、
全て我々の思い通りにしても良いと。そういう認識で良かったかしら?」

590 :鈴仙奮闘記 ◆pXM64Uz50c :2015/08/09(日) 02:44:08 ID:???
紫「更なる絶望で、中山政男の希望に蓋をすると言うのなら、それは止めませんわ。……出来るならば、だけど」

パチュリー「――試合が恙なく行われるのは、嬉しい知らせだけど。
……こんなボロボロのスタジアムじゃあ、もう試合なんてできないわね。
フィールド中に穴は開いてるし、観客席は瓦礫の山だし……。
今からでも、人里のサッカーコートにでも移動すれば良かった?」

紫「いいえ。それには及びませんわ。……この程度の事なら、それっ」

ブウウン。パァァァァァァァァァアアアアアアアッ……!

パスカル「うわっ、凄い! スタジアムがまるで、巻き戻し映像のように元の姿に戻って行くぞ!」

ウサギD「ど、どんな仕組みなんですか!?」

慧音「……八雲紫の得意とする、『境界操作能力』の応用かな。
例えば、『過去』と『現在』の境界を曖昧にし、過去に健在だったスタジアムの光景を復元させたとか」

妹紅「永琳とか輝夜とかと付き合っていると忘れがちだけど。あれも中々におかしい能力だよなぁ……」

鈴仙「(……本当に。ほんっと〜〜〜〜に。八雲紫って力を失いつつあるのよね。
これで本気じゃないとしたら、一体どれだけチート級な妖怪なのよぉ……!)」

紫「……疲れたから、私は別の場所で状況を静観させて頂く事にするわ。
――霊夢。後は頼んだわよ。全ては、私達が愛する幻想郷の為に……」

ブウウン……スッ。

霊夢「あっ、行っちゃった。――全く、紫にも困ったものねぇ。
……しょうがない。私もめんどいけど、試合準備にでも行きますか」

タッ、タッ……。

591 :鈴仙奮闘記 ◆pXM64Uz50c :2015/08/09(日) 02:45:48 ID:???
――紫が去り、少しずつではあったが、事態はとりあえずの収束を迎えようとしていた。
試合後の下剋上騒ぎは中山によって解決され、
その後の紫による中山糾弾は鈴仙の主張によって退けられ、
鈴仙への報復は、午後からの準決勝第二試合を控えたレミリアによって防がれた。
――そして、今、紆余曲折を経て準決勝第二試合は始まろうとしている。

レミリア「おい、頭の緩い兎妖怪さん」

鈴仙「……私、ですよねぇ」

レミリア「別に、バカにして言った訳じゃないけどね。頭が緩い方が、柔軟に物事を考えられる訳だしさ」

最後に、鈴仙の命を結果的に救ってくれたレミリアは鈴仙に声を掛ける。
先ほど自分達を退治する、と言った割にその口調は非常に親しげだった。

鈴仙「あの、さっきはありがとうございます。もしも、あの槍が無かったら……」

レミリア「あの槍が無かったところで、きっと誰かが助けに来てたよ。私は関係ない。
ただ単純に、面白くないから喧嘩を売っただけよ」

鈴仙「それって、自分が無視されてた事……だったり?」

レミリア「ま、それが9割ね」

鈴仙「思ったより多い!?」

レミリア「当たり前じゃない。私を誰だと思ってる、って話よ。……っと、着いちゃったわね。私のチームの控室」

鈴仙「ええ。その……観客席で応援してます。紅魔スカーレットムーンズ」

レミリア「ええ、ありがとう」

592 :鈴仙奮闘記 ◆pXM64Uz50c :2015/08/09(日) 02:48:13 ID:???

鈴仙はスタジアムのフィールドから控室までレミリアを見送った。
途中の彼女は上機嫌な様子で、鈴仙もそこまで会話に困らなかった。
そして結局、鈴仙は思い至る事が出来なかった。

中山「(……俺のせいで、鈴仙さんは命を失いかけた。
鈴仙さんは、それでも俺の教えてくれた希望を諦めないと言ってくれたけれど。
俺だけが傷つくならそれで良い。
だが、俺は。他者をそんな目に遭わせてまで、この場所に居ても良いのだろうか……?)」


――今回の一件は、あの中山の強靭な精神にすら、僅かならぬ罅を入れていたという事実に。

593 :鈴仙奮闘記 ◆pXM64Uz50c :2015/08/09(日) 02:59:05 ID:fbshiDjU
……と、言ったところで今日の更新はここまでです。
明日はウサギBの命名イベントから開始します。
流れとしては、現在出ている名前(下記)+次の更新時(明日夕方ごろ)までに出ている名前+自由選択枠(要4票)
で3票決の投票をし、必要に応じて決戦投票をする……と言う流れを考えています。
なので、皆様につきましては、積極的に名前案を考えて頂ければ幸いです。

(現在出ている名前案)
・因幡 霞(かすみ)
・因幡 椿(つばき)
・因幡 風音(かざね)
・因幡 鈴音(すずね)

(参考:ウサギBの特徴)※私がパッと思いついたもの、考えているものを抜粋
・基本的には真面目な性格(外見的にも真面目なイメージ(?))
・主にウサギCへツッコミを行う
・ややデータマン気質
・新聞記者(射命丸)に憧れている
・データマンをこじらせた結果(?)、スパイとしての能力が高い
・サッカー能力はオールラウンド型だが、パスが上手い


それでは、皆様、本日もお疲れ様でした。

594 :森崎名無しさん:2015/08/09(日) 03:15:56 ID:???
乙です
紫がどうみてもいろんな意味でハードウェア

595 :森崎名無しさん:2015/08/09(日) 19:35:57 ID:???
乙なのです

紫さん、こうみえて鈴仙さんチートクラスの強さですよ!
ただ周りがそれ以上に規格外すぎるだけです!

596 :鈴仙奮闘記 ◆pXM64Uz50c :2015/08/09(日) 19:39:58 ID:fbshiDjU
こんばんは、今日はウサギBの命名イベントをしようと思います。
>>594
乙ありがとうございます。
ハードウェアは良く分かりませんが、多分似たキャラは居るかと思いますw

597 :鈴仙奮闘記 ◆pXM64Uz50c :2015/08/09(日) 19:45:19 ID:fbshiDjU
>>595
乙ありがとうございます。
原作的に鈴仙は地味に強キャラだと思いますが、『地味に強キャラ』の域からは抜けられないイメージですね…。

【命名イベント・ウサギB】

ウサギB「……あっ、鈴仙さま、お疲れ様です」

鈴仙「ありがと。……何だか大変な事になっちゃったわね」

レミリアとの会話を終えた鈴仙は、続く準決勝第二試合。
紅魔スカーレットムーンズ対博麗連合2015の観客席で仲間達と合流した。
一番通路側に座っていたウサギBは、そんな鈴仙にタオルとスポーツドリンクを用意してくれていた。

ウサギB「あと、これが今大会における紅魔スカーレットムーンズの分析データです。
やっぱり、私達と練習試合をした時と比べて、チーム力が格段に成長しているみたいでした」

しかもそれに加えて、ウサギBは独自の分析データに基づき作られたレジュメを鈴仙に手渡してくれる。
新聞記者に憧れていて、情報収集を得意とするウサギBだったが、
こうして思えば、職業人的な気配りや手回しにも長けているのも彼女である。
守矢みらくるずへのスパイ工作で大きな成果を挙げてくれた事もあり、
鈴仙はウサギBに参謀として全幅の信頼を寄せていた。

鈴仙「……でも、凄い分析量ね、ホントに。どうやって、ここまで調べているの?」

ウサギB「えっと。それはまあ、色々とコネやらツテを使いまして」

鈴仙「(どんなツテなんだろ……)」

――ただ、その周到過ぎる仕事には恐ろしい裏がありそうではあるが。

598 :鈴仙奮闘記 ◆pXM64Uz50c :2015/08/09(日) 19:47:19 ID:fbshiDjU
ウサギB「……ところで、鈴仙さま。一つお願いがあるんです」

鈴仙「え、お願い?」

だから、そんな一人でも何とかしてくれそうなウサギBにお願い事があると聞いた時、
鈴仙は少し驚いた。

ウサギB「はい。……とは言っても、大した事では無いんですけど。
仕事をするにあたって、私にも個としての名前が欲しいんです。
これまでは何とかなったけど、やっぱり、手を広げる際には、名前という信頼が必要って事もあって」

鈴仙「い、いや……別に良いけど。凄い理由ね」

ウサギB「私は今でこそ、探偵やスパイみたいな事しかやってないですけど。
将来は、自分の名前の新聞を世に出したいって思ってるんです。
天狗や人間のためだけじゃない。もっと色んな人や妖怪の為になる新聞を、作ってみたいんです。
そして。そのためにはやっぱり、私の、私としての『名前』が必要になるんです」

ウサギBは切実な瞳で鈴仙にそう訴えかける。その言葉に嘘は無いように思えた。

鈴仙「なるほど。あんたの新聞やデータに懸ける気持ちは分かったわ。
――でも、私なんかで良いの? 貴女の名付け親になるなんて……」

ウサギB「はい。鈴仙さまのお蔭で私は自分に自信を持てるようになりましたし。
それに、データだけでは測れない事象が世の中には沢山あるって事を、教えてくださいました」

額まで綺麗に切りそろえられた真っ直ぐな短髪を揺らして、
純朴そうながらも知性の煌めきを秘めた瞳を鈴仙へと向けるウサギB。
元気そうなイメージの佳歩と外見的な年齢はさして変わらないが、
ウサギBからは、どちらかと言えばインドアな雰囲気を感じる。

599 :鈴仙奮闘記 ◆pXM64Uz50c :2015/08/09(日) 19:49:59 ID:fbshiDjU
ウサギB「てゐ様や佳歩ちゃん。それとお師匠様にも相談したんですけど、三人とも、
やっぱり鈴仙さまに決めて貰ったら良いんじゃないかって。ですから……お願いできますか?」

鈴仙「(師匠まで、そんな事仰ってたのね……。そうなると、ますます責任重大ね)」

輝夜「(アレ? 私は……?)」

――名前を付ける理由こそ、これまでの佳歩やつかさの時とは異なり特殊だが、
しかし彼女が名前に懸ける想いの強さは一緒である。
だからこそ、鈴仙は安易に名付けられないと思って真剣にウサギBに相応しい名前を考える。
そして、その結果考え付いたのは――。



***ウサギBの名前を選択してください***

A:因幡 霞(かすみ)
B:因幡 椿(つばき)
C:因幡 風音(かざね)
D:因幡 鈴音(すずね)
E:レミリア「私の解釈では、ウサギBは『可能性の獣』なのよね。きゅうけつ獣ごっこ」
  鈴仙「『仮現獣性』〈ヴァリアブラ・ベスティア〉、ね」
F:ここは敢えて『ウサギB』という名前にしてはどうか。
G:その他 *4票決

先に【3】票入った選択肢で進行します。メール欄を空白にして、IDを出して投票してください。
本日21時30分時点で未決でしたら、2票以上入ったもので決戦投票を行います。

600 :森崎名無しさん:2015/08/09(日) 19:56:22 ID:llsy47lI
A
全然関係ないですが忍びなれども忍ばない忍者の桃色(知性派の裏番)が同じ名前だったりします

601 :森崎名無しさん:2015/08/09(日) 19:58:51 ID:i6qqoJjA
G 因幡 李白

602 :森崎名無しさん:2015/08/09(日) 20:00:18 ID:rjGDeExw
A

603 :森崎名無しさん:2015/08/09(日) 20:09:43 ID:3f1t0lLo
A

604 :森崎名無しさん:2015/08/09(日) 21:37:38 ID:???
ハードウェアはキャラじゃないです
頭が固い、融通が利かない、決まった動きしているみたいだからそう思っただけです

分かりにくくてすみませんでした

605 :鈴仙奮闘記 ◆pXM64Uz50c :2015/08/10(月) 01:04:51 ID:LKJ+kdew
すみません、本当はスカーレットムーンズ戦の開始まで行きたかったのですが、力尽きました(汗)
ほんの少し+無判定となり恐縮ですが、命名イベントの最後だけ先に更新します。
>>600
検索して知りましたが、戦隊ヒーローものはネタを出すのが大変だなぁと思いましたw
>>604
ああ、こちらこそすみません。そういう意味だったんですね。
あまり最近のアニメとかに詳しくないので、そうしたキャラが居るのかと思ってしまってました(汗)

606 :鈴仙奮闘記 ◆pXM64Uz50c :2015/08/10(月) 01:06:09 ID:???
A:因幡 霞(かすみ)

鈴仙「……かすみって、どうかしら? 霞って書いて」

ウサぎB「霞……ですか。綺麗な名前ですね」

鈴仙「カスミソウの花には清らかな心とか、親切とか花言葉があるらしくてね。
それが、いつも個性的な皆を纏めてくれるBちゃんにもぴったりかと思って。
それに、私達はこれまでBちゃんのデータ収集や工作活動のお蔭で、ここまでやって来れた。
試合でも、鮮やかな活躍は無くとも、オールラウンドな能力と技巧的なパスで、いつも私達の戦略の穴を埋めてくれていた。

……丁度、花束を作るには綺麗な花の周囲を彩るカスミソウが欠かせないように。
Bちゃん。――いえ。霞ちゃん。……貴女は、私達にとって欠かせない存在なのだから」

ウサギB「鈴仙さま。――そこまで、私の事を考えて下さって……」

鈴仙が考えた名前を、ウサギBは気に入ってくれたようだった。
鈴仙自身も、霞という文字のイメージと、ウサギBのイメージとで強い繋がりがあると思った。

鈴仙「後は、佳歩やつかさと同じに、因幡の姓を与えましょうか。
あなたも、私とてゐの姉妹みたいなもんだからね」

607 :鈴仙奮闘記 ◆pXM64Uz50c :2015/08/10(月) 01:07:24 ID:???

ウサギB「……はい。ありがとうございます、鈴仙さま。
さっそく、他の仲間にも報告して来ようと思います!
――とは言っても、もうすぐ試合ですから、もうちょっとは我慢ですけどね」

永遠亭の妖怪ウサギにとって、上司から名前を貰う事は大変名誉な事だ。
そんな名誉な事があっても、即座にはしゃぎ回らずに居たのは、
ウサギB……いや、霞がしっかり者である事の証左であろう。

霞「……えへへっ」

ただし、その代わり、この時の霞は――年相応に嬉しそうな笑顔を鈴仙に見せてくれていた。


*ウサギBが名前を貰い、「因幡 霞(いなば 霞)」になりました!
 以降は「ウサギB」ではなく、「因幡 霞」(もしくは霞)と表記します。

608 :鈴仙奮闘記 ◆pXM64Uz50c :2015/08/10(月) 01:14:50 ID:???
…と、これだけですが今日の更新はここまでです。
明日から暫くNPC戦となってしまいますが、決勝戦前の最後の大試合という事で、
決勝戦へのモチベーションアップになれば良いなと思っています。

それでは皆さま、本日もお疲れ様でした。

609 :森崎名無しさん:2015/08/10(月) 01:18:00 ID:???
乙なのです

まさか佳歩ちゃんに続いて霞ちゃんが採用されるとは……
感無量なのです

そういえば博麗チームを見るのは初めてですね
さすがに霊夢さん達もお嬢様相手に手札を隠しては勝てまい……
そうだといいなあ(願望)

610 :鈴仙奮闘記 ◆pXM64Uz50c :2015/08/11(火) 00:31:13 ID:???
こんばんは、準決勝第二試合を始めていきます。
>>609
乙と名前の提案ありがとうございます!
今回の準決勝第二試合は、本スレのブラジルVSドイツ戦みたいな立ち位置を考えています。
なので戦力の大体全ては、この試合で分かるようにしたいと思っています。

611 :鈴仙奮闘記 ◆pXM64Uz50c :2015/08/11(火) 00:32:21 ID:YRgTZCP+
〜大会15日目・午後・固定イベント〜
【決勝トーナメント・準決勝第二試合 博麗連合VS紅魔スカーレットムーンズ】
−妖怪の山モリヤスタジアム・観客席−

岬「……はあ」

――騒がしさが戻りつつある守矢スタジアム。
鈴仙がウサギBに名前を付けようとしていた時、
あの後聖徳ホウリューズから放り出されたような恰好となってしまった岬太郎は、大きく溜息を吐いていた。

岬「(――僕は最初、豊聡耳神子に勝負を挑んだ心算でいた。
だけど結果として、それは用済みになった僕を放り出す為に、彼女が仕組んだ茶番に過ぎなかった。
八雲紫に恩を売れた聖徳ホウリューズは、幻想郷中でも最強の後ろ盾を得る事に成功し。
そしてきっと、これからはヒューガーとの連携も深めて、少しずつ、自分の力を強めていくつもりなんだろう。
……現在進行中の、【ハイパーカンピオーネ】計画を、より盤石とするために)」

岬はこの幻想郷で初めて、詐欺師として大きく敗北した。
不運や偶然と言った外的要因は関係なく、完全に自らの能力を出し切って、それで負けたのである。
人生で初めて味わったこの挫折は、岬の合理的な思考に、ある程度の支障を生じさせていた。

岬「(ふう。……考えれば考える程、思考が後ろ向きになる。こんな屈辱は生まれて初めてだ。
――けれど。今は気持ちを切り替えて、試合でも見るしかないか……)」

とはいえ、合理的な思考が出来ない状態で泥沼に嵌る程、岬は愚かな少年では無い。
彼は気を取り直して、眼前で今始まりつつある試合に意識を集中する事にした。

612 :鈴仙奮闘記 ◆pXM64Uz50c :2015/08/11(火) 00:33:54 ID:YRgTZCP+
−モリヤスタジアム・フィールド−

実況「さあ……午前中の試合後にはちょっとしたトラブルもありましたが無事に解決し、
予定通り今、午後の試合が始まろうとしています!
そしてこの午後の試合こそが、今大会でも1、2を争う超ビッグカード!
由緒正しき名門・紅魔スカーレットムーンズ対、今大会最強チームの博麗連合2015の準決勝戦!!
午前中の試合も見ごたえあるものでしたが、この試合は恐らくそれ以上!!
里の評論家の中には、この試合を事実上の決勝戦と評する者すら居る位です!!」

観客「ワアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」
「レミリアお嬢様ー! 勝ってくれー!」「博麗が勝つだろう」「魔理沙ー! またあのシュート見せてー!」

霊夢「……観客達も逞しいなぁ。午前中にあれだけ騒ぎがあったのに、もう戻って来てるし」

魔理沙「(午前中、何か騒ぎがあったのか……?
くそっ。練習に精一杯で、異変に構ってられないなんて、主人公として屈辱だぜ……)」

針妙丸「え? 試合の後何かあったの?」

天子「何よ! 異変だったら私も混ぜなさいよね!」

衣玖「総領娘様が混じると、話が余計に面倒になりそうですので止めて下さい」

小町「ねみぃ……(そういや最近練習ばっかりで仕事に行ってないなぁ。100日連続欠勤くらい?)」

アリス「(この大会で活躍して、私の知名度を上げる。そして友達を増やすのよ……!)」

萃香「うーい、酒はまだかー! 何ならメタノールでもいいぞー!」

中里「幻想郷にも慣れて来たでゴザるが。そう言えば紅魔館の吸血鬼と会うのは始めてでゴザったな。
(……ボインボインのセクシーヴァンパイアが居れば、もっと良かったのに……でゴザる)」

613 :鈴仙奮闘記 ◆pXM64Uz50c :2015/08/11(火) 00:37:13 ID:YRgTZCP+
森崎「(レミリア・スカーレット。今大会得点王であり、『紅帝』の異名を持つナンバーワンFWだったか。
……漸く、この俺がキーパーをするに相応しい相手が出たみたいだな)」


実況「王者の風格で最終ラインの確認をしている博麗連合!
霊夢選手を中心に、大会がある度気まぐれで召集されるメンバーですが、
玄爺選手を除いては、どの選手もエース格の能力を誇る強者揃い!

ゴールキーパーの森崎有三選手は、当初は謎多きドリブラーとして考えられていましたが、
決勝トーナメント第一試合ではあの星熊勇儀選手を完封する程のファインセーブを見せた一流GK!

左サイドバックの比那名居天子選手は、オーバーラップからのシュートを得意とする攻撃的DF。
しかし天人特有の丈夫さを活かしたタックルやブロックは強烈で、格の違いを見せつけて来ました!

右サイドバックの中里正人選手も攻撃的ですが、こちらはドリブルによるボールキープを得意としております。
守備においても忍者らしい多彩な技を持っており、敵チームはあらゆる場面で彼に苦戦させられるでしょう。

センターバックの伊吹萃香選手については説明不要!
幻想郷でも屈指のGKでもありながらCBでもある彼女を抜いて、ボールをゴールへと届かせるのは困難が予想されます!」

ミッドフィルダー、左サイドハーフの永江衣玖選手は隠れた名脇役。
バランスの取れた突破能力・守備能力に加え、アシストに特化したパスは仕事人を想起させられます。

右サイドハーフのアリス・マーガトロイド選手は、一流のゲームメイカー。
華麗なパスと論理に裏打ちされた戦術眼に、紅魔スカーレットムーンズがどう立ち向かうかは見物です!

そして、そんなアリス選手をも抑えてトップ下に立つのが、我らが主人公・博麗霊夢選手!!
圧倒的な総合力と天性のカンを活かしたスーパーシューティングプレイヤーの凄さについては、もはや説明不要でしょう!
ドリブル、パス、シュート。タックル、パスカット、ブロック、クリア。全ての分野において最高レベルの才能を持っており、
取り分け天才的なドリブル突破と、高い浮き球への反応速度については他の追随を許しません!」

614 :鈴仙奮闘記 ◆pXM64Uz50c :2015/08/11(火) 00:38:16 ID:YRgTZCP+

実況「博麗連合、今日の試合はブラジルタイプ……失礼、ハクレイタイプ風の4−3−3を採用しています。
ハクレイタイプでは、I番の選手をウイングに持って行き、中盤選手の飛び出しを活用するものですが、
今回は、ハクレイタイプの要の位置に、少名針妙丸選手を配置しております。

博麗連合への加入はつい最近の針妙丸選手ですが、ドリブルとシュートによる牽制役を期待されているのでしょう。
彼女がどれだけ敵陣をかき乱せるか。それがこの試合の結果にもつながって来るかもしれません!

左のフォワードは三途の川勤務の小野塚小町選手。平均的FWだった彼女は、今大会に向けてポストプレイを磨いた模様。
フットワークは重いですが、試合を決定づける大仕事をやってくれそうな。そんな貫録が漂います!!

そして、博麗連合を長年支える第二の主人公! センターフォワードの霧雨魔理沙選手は幻想郷屈指のストライカー!
一時は伸び悩みも指摘されましたが、それは全試合に見せた『ファイナルスパーク』の威力で雲散霧消!
この試合でも、持前のダイナミックなプレーを見せてくれる事を、大いに期待しております!」

魔理沙「…………」

霊夢「――魔理沙。分かってると思うけど」

魔理沙「『ファイナルスパーク』だろ? ――分かってるよ。撃たないよ……」

霊夢「あのシュートは、あんたのサッカー寿命……いや、もしかしたら命にとって危険すぎるもの。
だから今は魔法使いっぽく。如何に戦略的に相手に勝つかを考えてて……お願い、だからさ」

魔理沙「……うん。あの業突く張りの霊夢にお願いされちゃあ、断れないしな」

霊夢「……お願いね。本当に」

タッ……。

魔理沙「(……普段だったら、口喧嘩でも始める所だったのに。あの霊夢に気を遣われてるのか?
――だとしたら、私って本当に情けないな……)」

615 :鈴仙奮闘記 ◆pXM64Uz50c :2015/08/11(火) 00:39:37 ID:YRgTZCP+
***


実況「博麗連合、霊夢選手と魔理沙選手が何やら打ち合わせをしており……!
そして、キャプテンの霊夢選手を除いて、それぞれの持ち場へと着いて行きました〜〜!!
後は紅魔スカーレットムーンズだけです!!」

レミリア「――クク。この試合に勝ち、ルナティックスとの決勝戦にも勝てば。
漸く、我らが幻想郷の王として君臨する事となりそうね……」

パチュリー「そう簡単に上手く行くとは思えないけどね。
大体、王になってもめんどくさいだけでしょ。何かビジョンとかある訳?」

レミリア「ないよ。なってから考える方が楽しいじゃない」

パチュリー「……レミィらしいわね。まぁ、そっちのが幻想郷っぽくて良いと思うけど」

咲夜「私はどうあろうとお嬢様を支えるだけですから、どうでも良いですわね」

美鈴「いや、どうでも良いってのはどうなんでしょうか、咲夜さん……」

陸「朕は金と女さえあれば良いアル」

フラン「(今日はできるかな。お姉様との連携技……)」

小悪魔「が、頑張りましょう、みなさん!」

616 :鈴仙奮闘記 ◆pXM64Uz50c :2015/08/11(火) 00:40:52 ID:YRgTZCP+
実況「対する紅魔スカーレットムーンズもまた、各自の持ち場へと離れていきます!
今日の試合、スカーレットムーンズは中盤底に人数を割いた、トリプルボランチの4−3−3!

ゴールキーパーの陸大雷選手は、足技を得意とする異色のキーパーですが、その実力は本物!
博麗連合の並み居るシューターからも、そう易々とはゴールを奪われはしないでしょう!

今試合ディフェンスリーダーを務める十六夜咲夜選手も、大会に向けて得意のタックルを更に伸ばしました!
他の分野は勿論、タックルに長ける妖精メイド達への指揮の手腕も大いに期待できるでしょう!

左サイドバックについた紅美鈴選手! 彼女の跳ね返し能力には以前より定評がありますが、
強引なドリブルや強烈な必殺シュートなど、攻撃的サイドバックとしての活躍もあるでしょう!

中盤を支えるのは、紅魔館の動かない大図書館にして、賢者を自認するパチュリー・ノーレッジ選手!
霊夢選手にも匹敵する能力を持ちながら、30分しか戦えないハンデがあった彼女ですが、
今大会ではそれをほぼ克服しています。霊夢選手とのトップ下対決が今から楽しみだ〜〜!

そして、そんな彼女の後ろ、ボランチに居るのは縁の下の力持ち・小悪魔選手です。
自慢の『トップスピンパス』が、博麗連合の中盤にどこまで通用するかも見物でしょう!

スカーレットムーンズのツートップに立つのは勿論吸血鬼姉妹!
妹のフランドール・スカーレット選手は、元々強烈なプレイヤーでしたが、
姉との連携も強めており、妖怪の山FC戦では超強烈な必殺シュートを魅せてくれました。

そして姉のレミリア・スカーレット選手は、既に何度も説明したとおり、今大会屈指のストライカー!
現時点で準決勝を終えた鈴仙選手に並ぶ12ゴールを決めており、
この試合でも森崎選手に勝利しゴールを決める可能性も高い!

更に彼女はシュートだけでなく、ドリブルによる突破やパスによるゲームメイク。
タックルやクリアなどの守備能力でもそれぞれ一流の水準を見せている、正真正銘の名選手!!
今日の試合、純粋な勝ち負けは勿論ですが、
レミリア選手対魔理沙選手のストライカー対決も気になるところです!!」

617 :鈴仙奮闘記 ◆pXM64Uz50c :2015/08/11(火) 00:46:27 ID:YRgTZCP+
実況「――さあ、レミリア選手が霊夢選手に向き合い、コイントスが始まった模様です!」

霊夢「……表。私達の先行ね」

レミリア「ふん。丁度良いハンデだな。実はこの結果も、私が運命を操って決めた事なのだよ」

霊夢「はいはい」

実況「コイントスの結果は……博麗連合が先攻! そしていよいよ! 幻想郷サッカー史に名を残す名勝負の火蓋が……!」

―――ピィイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイッ!!

実況「火蓋が、切って落とされました〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜! 博麗連合のキックオフで試合開始です!!」

−−@−− @森崎
−−A−− A玄爺
B−D−C B天子 D萃香 C中里
−−−−−
E−I−G E衣玖 I霊夢 Gアリス 
−−−−−
−−−J− J針妙丸  
F−H−− F小町 H魔理沙
博麗連合2014:4−3−3
紅魔スカーレットムーンズ:4−4−2
−H−−− Hフラン
−−−J− Jレミリア
−−I−− Iパチュリー
−−−−−
−FEG− E小悪魔
C−D−B C美鈴 D咲夜
−−A−−
−−@−− @陸

618 :鈴仙奮闘記 ◆pXM64Uz50c :2015/08/11(火) 00:49:04 ID:???
……と、言ったところで今日の更新はここまでです。
皆様、本日もお疲れ様でした。

619 :鈴仙奮闘記 ◆pXM64Uz50c :2015/08/12(水) 00:40:15 ID:???
こんばんは、更新していきます。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
霊夢「さて、行きましょうか」

タッ……。
――ワアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!

実況「博麗連合のキックオフで、ボールはいきなりトップ下の霊夢選手に! そして見て下さいこの大歓声!
ボールを持っただけで、観衆はスーパーシューティングプレイヤーに夢中となるのです!」

レミリア「そして、そんな観客共を絶望のドン底に突き落とすのが私ら妖怪の仕事ってね。……フラン、行くわよ」

フラン「うん、お姉様!」

タッ、タタタッ!!

フラン「ぶっ壊れちゃえ、『レーヴァティン』!」

レミリア「夜の恐怖に怯えろ、『ドラキュラクレイドル』!」

――ズザアアアアアアアッ、ゴオオオオオオオオオオオオオッ!
  ……バギュルルルルルッ、グワッシャアアアアアアアアアアンッ!

実況「そしてそんな霊夢選手にぶつかって行くのは、紅魔館の吸血鬼姉妹!
守備も一流なレミリア選手は言うまでも無く、パワーを活かした接触プレイに長けるフランドール選手にとっても、
タックルによるボールカットはむしろ得意分野!
二人とも自慢の必殺タックルを発動させて、まるで小さな竜巻の如く、霊夢選手を吹き飛ばしに向かいます!」

620 :鈴仙奮闘記 ◆pXM64Uz50c :2015/08/12(水) 00:41:56 ID:???
鈴仙(観客席)「う、うひゃあ……凄いタックルね、こりゃあ。私だったら奪われてるかも」

てゐ(観客席)「でも、どうかねぇ。あの位だったらお師匠様だってやってるし。幾ら二人掛かりっても……」

パチュリー「(……駄目ね。この程度じゃあ、レミィは霊夢に勝てない)」

霊夢「……じゃま」

ガシィッ。 ……ポーーーーーーーーーンッ!

レミリア「……しまった。上だったか」

実況「ああ〜〜っと! レミリア選手達のタックルは霊夢選手に全く敵わない!
霊夢選手自慢の『ヒールリフト』で、フラン選手諸共あっさりと躱されてしまいます!」

魔理沙「(あの技。私が持ってたサッカー教則本をチラっと見ただけで、霊夢は一発でマスターしちまったんだよな。
……あれから大分経つけど、私はまだできないのに)」

パチュリー「……そこまでよ。ここから先は通さな――」

タッ、クルルルルル……シュパァァァァッ!!

パチュリー「!?(……ま、負けた。この私が、真正面から来て何の反応も出来なかった……!)」

霊夢「何か言った?」

実況「続けて霊夢選手、パチュリー選手を『華麗なドリブル』でアッサリと突破!
天才トップ下対決はまず、霊夢選手に軍配が上がりました!!
霊夢選手はわき目も振らず、その実力を誇示するように中央を進んで行きます!」

621 :鈴仙奮闘記 ◆pXM64Uz50c :2015/08/12(水) 00:44:08 ID:???
鈴仙(観客席)「う、うひゃあ……凄いタックルね、こりゃあ。私だったら奪われてるかも」

てゐ(観客席)「でも、どうかねぇ。あの位だったらお師匠様だってやってるし。幾ら二人掛かりっても……」

パチュリー「(……駄目ね。この程度じゃあ、レミィは霊夢に勝てない)」

霊夢「……じゃま」

ガシィッ。 ……ポーーーーーーーーーンッ!

レミリア「……しまった。上だったか」

実況「ああ〜〜っと! レミリア選手達のタックルは霊夢選手に全く敵わない!
霊夢選手自慢の『ヒールリフト』で、フラン選手諸共あっさりと躱されてしまいます!」

魔理沙「(あの技。私が持ってたサッカー教則本をチラっと見ただけで、霊夢は一発でマスターしちまったんだよな。
……あれから大分経つけど、私はまだできないのに)」

パチュリー「……そこまでよ。ここから先は通さな――」

タッ、クルルルルル……シュパァァァァッ!!

パチュリー「!?(……ま、負けた。この私が、真正面から来て何の反応も出来なかった……!)」

霊夢「何か言った?」

実況「続けて霊夢選手、パチュリー選手を『華麗なドリブル』でアッサリと突破!
天才トップ下対決はまず、霊夢選手に軍配が上がりました!!
霊夢選手はわき目も振らず、その実力を誇示するように中央を進んで行きます!」

622 :鈴仙奮闘記 ◆pXM64Uz50c :2015/08/12(水) 00:45:44 ID:???
小悪魔「そ、そんな! お嬢様と妹様が。パチュリー様があんな簡単に負けるなんて……!」

咲夜「……小悪魔。あんたも力を貸して。質で競ってもダメなら、数で押し切るのよ!」

メイドF「は、はい!」

メイドG「わかりましたぁ!」

霊夢「……後少し抜けばチャンスみたいね。魔理沙は追いついてる?」

魔理沙「馬鹿にすんな! すばしっこさだけはお前にも負けてないからな。そっちこそ、ここでトチるなよ!」

霊夢「はいはい。分かってるってば」

咲夜「……お友達と会話が弾んで何よりだけど。そんなに暢気で、果たして私のナイフを躱せるかしら?」

霊夢「試合中にナイフを使ったら反則でしょ?」

実況「霊夢選手、真っ直ぐ進んで次は咲夜選手、小悪魔選手とメイド妖精2名に囲まれましたが……!
しかし、それでも余裕の表情! 王者の威厳か、それとも危機意識が無いだけかは良く分かりませんが、
幻想郷屈指のタックラーである咲夜選手を前にしてもひるまずドリブルに向かう様子です!」

咲夜「随分と舐めて下さいますわね、この私にドリブル勝負を挑むなんて。
――だけど。貴女はもうすでに、この私が操る時間の中!」

スッ……。


咲夜「捻じれて曲がりなさい! 奇術・『幻惑ミスディレクション』!」


ズザアアアアアアアアアアアアアッ! ズバッ、ズバズバァァァァアアアアアアア!!

623 :鈴仙奮闘記 ◆pXM64Uz50c :2015/08/12(水) 00:47:21 ID:???
小悪魔「で、出たぁ! 咲夜選手がこの大会に向けて開発した新技タックル!!
二段から三段に進化したハイスピードフェイントタックルは、まさに逃げ場の無い脚技の檻!
これが完璧に入ったぁ! 入りましたよ!!」

メイドF「それに加えて、僅かな逃げ道は……!」

メイドG「私達妖精メイド隊がキッチリ抑えてるからねー! フフフ……観念してね、博麗の巫女!!」

霊夢「…………」

……ピタリ。

咲夜「……?(動きが、止まった……! 逃げ場が無いから観念したのかしら? それとも……)」

ベストコンディションでの4人掛かりのタックルを受けても尚、霊夢の表情は虚ろなまでに平穏だった。
獲物を絡め取った筈の咲夜はこの時、動物的な嫌な予感を覚えていたにも関わらず、
彼女は自身の理性を信じ、タックルに向かう脚を止めなかったが――これが、彼女にとって致命傷となった。



霊夢「――『博麗幻影』」

スッ。 ……ブウウウン。 ――スカスカスカッ!

小悪魔「……あれ?」

咲夜「……! そ、そんな! 『幻惑ミスディレクション』が完璧に入ったのに……!」

メイドF・メイドG「ど、どうして巫女が消えてるのぉぉぉ!?」


咲夜が。小悪魔が。妖精メイド達が完璧に捉えたと思った――いや、思わされていた霊夢の影は、既にどこにも居なかった。

624 :鈴仙奮闘記 ◆pXM64Uz50c :2015/08/12(水) 00:53:39 ID:???
霊夢「私は一歩も動いていないわ。あんた達が勝手に見当違いの方向にタックルしただけでしょ」

咲夜「……完敗ですわ(――私は博麗の巫女を舐めていたみたいね。
今の彼女は、普段の霊夢じゃなかった。私達の先に潜む『異変』を解決する為の機械……そんな目をしていた)」

パスカル(観客席)「な、なんだ……なんだよ、アレ! まるで次元が違いすぎる……!
まるで、エイリンさんの全力のドリブルが絶え間なく続いているような……!」

永琳(観客席)「――あれが博麗霊夢よ。覚えておきなさい」

中山(観客席)「(……だが。あの咲夜さんのタックルも、決して霊夢さんに負けている筈は無く。
むしろ他の仲間達の助力も含めれば互角以上にも見えたが。……しかし、結果として彼女は勝った。
そんな数値をひっくり返す、豪運とも違う、『何か』があると見るべきだろうな)」

ワアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!

実況「早〜〜〜い! 早い早い早い! 霊夢選手、試合開始僅か1分!
完全なる単独行動、ドリブル中央突破のゴリ押しで、紅魔スカーレットムーンズの主力を圧倒し得点チャンス!
スカーレットムーンズの名誉の為に言っておけば、彼女達のボールカット能力は決して低くありません!
むしろタックルに関しては、咲夜選手やパチュリー選手を筆頭に、
全チームでも1、2を誇る強さを持つと言っても過言ではないでしょう。
要するに、それだけ霊夢選手の突破力が凄すぎたのです!!」

観客「ワアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」
「れーいーむ!」「れーいーむ!」「そのまま決めろー!」「次は魔理沙だ!」「小町さんだったりして…寝てるけど」

魔理沙「流石だぜ、霊夢! さあ、私に高い球を! このまま景気づけに一発決めてやる!」

霊夢「やかましいわねぇ、本当に。針妙丸を大きくしたみたい。――ま、精々頑張りなさいな」


グワァッ、バシュウウウウウウウウウウウッ!

625 :鈴仙奮闘記 ◆pXM64Uz50c :2015/08/12(水) 01:02:30 ID:???
実況「霊夢選手、そこから高い浮き球をCFの霧雨魔理沙選手へと放り出した〜〜!
そう! これが博麗連合の黄金パターン! 霊夢選手が運び、魔理沙選手が決める!
幻想郷最強のゴールデンコンビにより、博麗連合はまずは1点をもぎ取ってしまうのでしょうか!
魔理沙選手、大きくボールに向かって振りかぶって……!!」

魔理沙「……動くと撃つ。いや、撃つと動くだ!――星符・『ドラゴンメテオ』!」

グワァァァッ……! バギュウウウウウウウウウウウウウウウウンッ! ビイイイイイイイイ………………イイン!!

実況「そのまま、オーバーヘッドキックの体勢で『マスタースパーク』を放ちました!!
これは霧雨魔理沙選手が以前から得意とする必殺ダイレクト・『ドラゴンメテオ』!
爆音とレーザー音を鳴らしながら、まさしく隕石の如く紅魔スカーレットムーンズのゴールへと突き刺さり……!?
いや、ちょっと待ってください!! 地面から紫色の閃光が、隕石に向かって走り出しました〜〜〜!!」

カッ!

陸「こんな、妹君の『495年の波紋』にも劣るヘナチョコシュート、全然怖くないアルね!
……チェスト〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!! 『襲爪雷斬脚』〜〜〜〜〜〜!!」

バギュウン! ドンンッ! ……バチィィィッ!

魔理沙「……マジかよ。完璧に防がれちまった」

実況「紫色に光ったのは陸選手の右脚でした!
彼がメイド妖精や美鈴選手がクリアに向かう中颯爽と飛び出し、自慢の新必殺技!
『襲爪雷斬脚』で魔理沙選手のシュートを完璧にクリアしてみせました〜〜〜!
やはりこの大会、紅魔スカーレットムーンズも強くなっていた〜〜〜〜〜〜!!」


陸「――フン。朕の強化なぞ屁のカスレベルアル。他のヤツラの成長っぷりを見て、度肝抜かすなヨ」

霊夢「(小手調べで突っ込んでみたけど……予想通り。レミリアの奴。今回はかなり『ガチ』みたいね……)」

626 :鈴仙奮闘記 ◆pXM64Uz50c :2015/08/12(水) 01:05:03 ID:???
…と、言ったところで今日の更新はここまでです。
皆様、本日もお疲れ様でした。

627 :鈴仙奮闘記 ◆pXM64Uz50c :2015/08/13(木) 00:12:23 ID:???
鈴仙(観客席)「今飛び出したのって、陸だったっけ。ああまで凄いと、堪ったモンじゃないわねぇ……」

パスカル(観客席)「そうだな。単独でも恐らく、エイリンさんの『爆宙アポロ』をも防ぎうる威力はあった。
まして今回はメイリンさんやメイド妖精も居た分、さっきの『ドラゴンメテオ』は、間違い無く分が悪かったな」

霞(観客席)「分析データによると、魔理沙さんの高空シュートの最大火力は61。
単純比較はできませんが、星熊勇儀さんの『大江山嵐』や、
蘇我屠自古さんの『ガコウジサイクロン』にも若干劣っている印象ですね……」

輝夜(観客席)「それでも昔は、『幻想郷最強シュート!?』とか恐れられてたんだけどねぇ。
当時の私は魔理沙相手だったら普通のシュートでもゴール許してたから、良く分からないけど」

慧音(観客席)「……とはいえ。そうした事実は本人もきちんと把握済みか。落ち込んでいる様子が無い」

妹紅(観客席)「今のは霊夢と魔理沙的には、軽い小手調べだったのかも。 ……ほら、フィールドを見て」

慧音と妹紅の声に釣られてルナティックスメンバーがフィールドを覗く。
確かに、霊夢と魔理沙は今の一連の攻撃失敗を気にしている素振りも無かった。
想定の範囲内である、いやむしろ期待以上の結果だったと楽しげな風に、
二人は中盤でのボールの奪い合いに参加しようとしていた。


***

628 :鈴仙奮闘記 ◆pXM64Uz50c :2015/08/13(木) 00:13:24 ID:???
ダダダダッ! シュッ、シュシュッ!

針妙丸「えーん! どうして病弱なのに私よりもすばしっこいのー!?」

パチュリー「私はトロいわよ。あんたがチョコマカしてるのを逆手に取ってるだけ。……それと」

――スッ。クルンッ! ……シュパァァァァァァァッ!

パチュリー「相手の隙を突いてタックルするのは良いけれど。技に溺れ過ぎているわ。
自分の技術に対してそうした高いプライドがあるから、いつまで経っても友達ができやしない」

アリス「と、ととと、友達は関係ないでしょう?!」

実況「陸選手がクリアしたボールは一旦パチュリー選手がフォロー!
パチュリー選手は巧みなドリブルで、針妙丸選手やアリス選手のタックルを捌いています!
今大会に向け、普段の『芸術的なドリブル』に加え、『華麗なドリブル』もマスターした彼女のドリブルはまさに至宝!
霊夢選手にも負けない足さばきで、試合の天秤をスカーレットムーンズ側へと傾けて行きます!」

魔理沙「だったら……私と霊夢が相手ならどうかな!」

タッ!

パチュリー「それは――勝率が余り良いとは言えないわね、降りよ。……小悪魔」

バシュッ……。

小悪魔「は、はい! 頑張りますっ!」

タッ、グワァァァァァッ……!

629 :鈴仙奮闘記 ◆pXM64Uz50c :2015/08/13(木) 00:15:12 ID:???
実況「暫く中盤の乱戦を落ち着いて処理して来たパチュリー選手は、
霊夢選手と魔理沙選手の最接近を受けて一旦ボールを後ろに。
ボールを預かったのはボランチの小悪魔選手!
小悪魔選手はパチュリー選手に代わり、前線のレミリア選手目がけて脚を振り上げて……!」

小悪魔「――『トップスピンパス』です!」

実況「小悪魔選手、パス! ――伝家の宝刀・『トップスピンパス』だ〜〜〜〜!!」

バシュウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウッ!ギュルルルルルルルルルルルルルルル!

衣玖「くっ……! こんなに凄いパス、私の管轄ではありませんね!」

実況「パスカットに出たのは……博麗連合の左サイドハーフの永江衣玖選手!
ですが、身軽な彼女を以てしても、ダイナミックに軌道を変える小悪魔選手のパスには追いつけない!
しかし、レミリア選手へとボールを渡す前に、博麗連合の忍者サイドバック・中里正人選手が飛び出します!」

中里「中の里の名誉に掛けて防いで見せよう! ぬうううんっ!」

ブンッ! ブウウウウ…………ウウウウ……ン!

中里「『縮地法』!」

                       バッ! ……パシッ!!

小悪魔「そ、そんな! 私の『トップスピンパス』が……!?」

実況「そして中里選手、パチュリー選手のパスにも引けを取らない威力の『トップスピンパス』を、
自慢の忍術で器用にカットしてしまいました!! ボールは再び博麗連合です!」

630 :鈴仙奮闘記 ◆pXM64Uz50c :2015/08/13(木) 00:16:48 ID:???
小悪魔「すみません、パチュリー様。私が力不足だったばかりに……」

パチュリー「気にしないで。あそこまでのパスカット技術があるんだったら、
私が魔理沙達のタックルを掻い潜ってパスを出していた所で、きっと弾かれていたわ。
確率的には、決して分が悪い勝負では無かった」

中里「――そしてご婦人。理論はまさしく完璧のようでゴザるが……。
実戦では雑談をする一瞬の隙が命取りになると心得よ! 『分身ドリブル』!」

タッ、ギュウン! ブウウウウウンッ!

パチュリー「ご指摘ありがとう。だけどその内容は本で読んだ事があるわ。……火符・『アグニシャイン』」

タッ、ズザアアアアアアアアアアアアアアッ!ゴオオオオオオオオッ!
……バチイイッ、ポロッ。

中里「……むう。完璧に隙を突けたと思ったのでゴザるが。
理論もここまで敷き詰めれば盤石となるのか。……恐ろしや、でゴザる」

パチュリー「(とはいえ、彼に仕事をされちゃったわね。私を退けつつ、ボールを前に押し出すという大事な仕事を。
……まあ、霊夢達が前線に戻らない限り、まだ大丈夫だとは思うけど)」

実況「ボールを奪った右サイドバックの中里選手は、
そのままオーバーラップで果敢にボールを運びにいきましたが、
これはパチュリー選手により阻まれます!
ですがボールはこぼれ球となり前方へと向かい……右サイドハーフのアリス選手がフォローしました!」

631 :鈴仙奮闘記 ◆pXM64Uz50c :2015/08/13(木) 00:18:05 ID:???
アリス「(紅魔の十六夜咲夜はパスカットにやや弱い筈。だったら……)針妙丸ちゃん。
ここから一気にワンツーで前線まで向かいましょ」

針妙丸「えー、いいけど大丈夫? アリスって確か、友達居ないんでしょ?」

アリス「少ないだけよ。私は群れるのが嫌いだからね。でもしょうがないわね、あんたがそこまで言うなら……」

針妙丸「まあアリスはパス霊夢の次に上手いから大丈夫だよね。やろっか!」

アリス「………(ど、どうしてそこで話を切るのよぉ……!
ここは孤独な私の魅力に惹かれ友達になろうとするが、私が一旦それをクールに断るような。
友情ドラマとかでも大事な、出会いの場面でしょうがぁ……!)」

パシッ、パシッ……。

メイドF「タックルしか練習してないから、取れな〜い!」

メイドG「な〜い!」

咲夜「……流石に、パスでは貴女には敵いませんわね」

実況「中里選手が弾いたボールをフォローしたアリス選手は、
得意の個人技ではなくここは敢えて、近くの針妙丸選手とワンツーで連携し、タックルに長けた紅魔の最終ラインを突破!」

実況「そしてアリス選手は最後に、バイタルエリアにて針妙丸選手へとグラウンダーのパスを渡しました!
針妙丸選手、陸選手と美鈴選手のみが守るゴールに向かって右脚を素早く振りかぶります!」

632 :鈴仙奮闘記 ◆pXM64Uz50c :2015/08/13(木) 00:21:11 ID:???
針妙丸「――いっけぇぇぇっ、これが私の必殺シュート。妖剣・『輝針剣』だ!」

……グワァァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ、バシュッ!
シュパァァァァァァァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ……!

美鈴「う、うひゃあっ! は、早すぎですこのシュート!
(――でも、お嬢様のシュートと比べて威力は大した事ない! これだったら、今の陸君なら……!)」

陸「ちぇっ、地上シュートとはめんどくさいアルね。でも、この程度……」

グッ。バッ!――バチイイイイッ!

陸「中国三千年の歴史を使うまでも無いネ!」

バッチイイイイッ!

実況「針妙丸選手が放ったシュートは……陸選手がパンチング!
やや我流っぽいきらいはありますが、一流のキーパーにも負けない反応速度でシュートを弾いてみせました。
大会前の練習試合ではパンチングが出来ず、必殺の『雷斬脚』を連発していた時代とは大違いです!!」

レミリア「(アイツ自身は謙遜してるけど、中国の奴は見違えるようになった。技術的にも、人間的にも。
……この辺り、あの中山やら最近の鈴仙が好きそうな、『努力』ってヤツなのかしらね)」

陸が針妙丸のシュートを危なげなく止めた時、レミリアがしたり顔で頷いていた。

633 :鈴仙奮闘記 ◆pXM64Uz50c :2015/08/13(木) 00:23:09 ID:???
アリス「まだボールは生きているわ。食らいなさい、『ドールズウォー』!」

グワァァッ、バシュウウウウウウウウウウッ!

陸「なんのなんのーっ! これもパンチングで充分!」

バチイッ、ポーーーンッ!

小町「……んあ。 起き抜けだけど、良い所にハイボールがあるねぇ。
そんなら一発食らいな! ……これが私の新技、『ヒガンスカイライン』さ!」

グワァァッ! バゴオオオオオオオオオオオッ!

陸「むー。これは流石に『雷斬脚』程度は必要アルか……?」

美鈴「いいえ、その必要はありません陸君! チェスト〜〜! 『彩虹風鈴』ッ!」

バッ! グルンッ! ドガアアアアアアアアアアアアアアッ!

針妙丸「あれ! またボール来た! だったら一対一で……」

咲夜「そうはさせません、『ミスディレクション』!」

バッ! ズザアアアアアアアアアアアアアアアアアッ、バババッ! ……バシッ。

――そして陸はそんなレミリアの期待と信頼を知ってか知らずか、
この先に続いたアリスや小町、再び針妙丸によるシュートラッシュを悉く退け続けた。
……その中には、咲夜や美鈴など他の仲間達の活躍もあったが。

634 :鈴仙奮闘記 ◆pXM64Uz50c :2015/08/13(木) 00:25:14 ID:???
***


佳歩(観客席)「う、うわぁ。凄い守備力です! ああまでシュートを撃たれても、びくともしないなんて!」

つかさ(観客席)「『紅魔は攻撃と中盤はともかく、守備陣はイマイチ』……という昔の評価は、
もはや改めるべきかもしれませんね」

てゐ(観客席)「まあ、攻めっぱなしにされてて、カッチリ守り切れてないのはご愛嬌って気もするけど……」

霞(観客席)「そこは博麗連合の必殺シューターの多さもありますし。一概には言いきれませんよ」


***


――とはいえ、てゐが指摘した通り、スカーレットムーンズはシュートを防いではいたものの、
博麗連合の攻勢に押され気味であったという事実は否めなかった。
事実、上述のメンバーに霊夢と魔理沙が合流した瞬間、中盤低めで拮抗していたボール争いは
一気に博麗連合へと傾き――。

魔理沙「そらっ、観念しな! ボールを私達に寄越すんだ!」

ダダダダダダダッ! ズザアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!

咲夜「……ッ!(駄目、早い。『ザ・ワールド』を使う暇すら無いなんて。
でも、悪魔の荒鷲とも囁かれたこの私が、そう簡単に負けてなるものですか……!)」

バチイイッ! グググッ……。

635 :鈴仙奮闘記 ◆pXM64Uz50c :2015/08/13(木) 00:31:28 ID:???

魔理沙「くそっ、粘るな! メイド業で鍛えた足腰は伊達じゃないって事か。でも、この位置なら……!」

グググッ……ポロッ。
――ピィイイイイイイイイイイイイイイッ!

実況「おっとここでホイッスル!
魔理沙選手のタックルに咲夜選手は持ち堪えきれず、ボールを後方へと零してしまいました!
よってここは、博麗連合のコーナーキックで試合再開となります!」

パチュリー「(……やはりこうなってしまったわね。チーム力の差もあって、
完璧にボールを前に送れない限りは、どうあってもボールを前へと追いやられてしまう。
――重々想定はしていた展開だけど。やはりこれが続くと……厳しいわね)」

咲夜「(今の場面。一番キープ力のある私がもっと頑張る必要があったのに……!)」

陸「(体力はまだあるけど、なーんか嫌な感じアルな)」

レミリア「(私の勘が告げているわね。この前半5分のコーナーキック。
これがいきなり、この試合における大きな山の一つになると……。
――はてさて。どっちの有利に傾きますやら)」

審判のジャッジに従い、博麗連合の、スカーレットムーンズのメンバーが集まる。
その中には当然霧雨魔理沙やその他博麗連合の攻撃陣は勿論、別格のオーラを纏った博麗霊夢もまた含まれている。
圧倒的な個を打ち破り、一度は息を吹き返しかけた紅魔スカーレットムーンズ。
彼女達は次に、個では無く集団によって、再び窮地に立たされる結果となった。

636 :鈴仙奮闘記 ◆pXM64Uz50c :2015/08/13(木) 00:33:27 ID:???
……と、言ったところで今日の更新はここまでです。
まだ前半5分かよって感じですが、このシーンが終わったら、結構時間が経つと思います。
皆さん、本日もお疲れ様でした。

637 :鈴仙奮闘記 ◆pXM64Uz50c :2015/08/14(金) 00:37:29 ID:???
――ピィイイイイイイイイイイイイイイイッ!

そして、スカーレットムーンズメンバーによる懸命の努力も虚しく。
前半6分、彼女達は改めて博麗連合の強さに戦慄する事となった。
ホイッスルと共にアリスから打ち上げられたボールは、
ポストプレイヤーとして覚醒した(本人談)博麗連合のFW・小野塚小町へと届き。

小町「ポストプレイって良いよねぇ……。前線で突っ立ってても怒られないし、
シュートと違って体力もそんな消費しないし。まさにあたいの為に作られたプレーだわ……」

美鈴「そ、そんなふざけた動機でサッカーやってる人なんかに負けられませんよ!
競り合いだったら私だって負けちゃいないんだから……って」

バアアアアアアアアアアア……ンッ!

小町「そ〜〜っれっ! これがあたいの『宵越しポストプレイ』さ!
届くモンなら届かせてみなよ、門番ごときに届くんだったらね!」

美鈴「た、高い……! とどかない……!?」

――ポーーーンッ! 

レミリア「見事なポストプレイね。美鈴一人じゃあ、ちょっと荷が重かったか。
まあ仕方が無い、私もクリアに向かわせて貰おうか!」

ダッ!

小町は背の高い美鈴よりも更に高く飛び上がって、
そこから更にオーバーヘッドキックの要領で空中で一回転し、低いボールを前方へと供給する。
そこには数合わせのメイド妖精に加え、前線から守備の為に戻ったレミリアが独特の体勢での新低空クリア
――『レミリアストレッチ』の構えで身構えていたが……。

638 :鈴仙奮闘記 ◆pXM64Uz50c :2015/08/14(金) 00:38:37 ID:???
魔理沙「ナイスだ小町! これで決めてやる!!」

ゴオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!

そんな中をお構い無しに突っ走る一陣の閃光。構えとしてはダイビングボレーと同じ。
しかし、努力の天才である霧雨魔理沙の脚力は、魔法による強化を合わせれば既に常人をも凌駕しており、
その為に低いボールに動きを合わせる魔理沙の周囲の空気は、摩擦で燃えて光に見える。

魔理沙「『ドラゴンメテオ』がダメなら、お次は低い球で勝負だ!
迸れ閃光、轟け雷鳴! 彗星・『ブレイジングスター』ーーーーッ!!」

カッ! ドゴオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッツ!!
バギュウウウウウウウウウウウウウウウウンッ!

ショットガンの如く押し出された魔理沙のダイビングボレー……と呼ぶには圧倒的すぎる大技、
『ブレイジングスター』。
それはクリアに向かう妖精メイド達を完膚なく打ちのめし、
強靭なフィジカルでぶつかって行ったレミリアすらも退けて陸へと邁進する。

陸「『ファイナルスパーク』とやらを出さずとも、この威力アルか! 全く、コイツ本当に人間カ!?」

魔理沙「のうのうと悪魔の館で暮らせる程図太いお前さんには言われたくないぜ!」

陸「その悪魔の館から私財をかっぱらってくと評判のヤツが、余計なお世話アル!
だがまぁ……もう一遍食らうが良いアル、朕の――『襲爪雷斬脚』を!」

バァァァッ! タッ! ダアアアアアアアアアアンッ!
――バギイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイッ!

――ガンッ! ……ギリギリギリッ……ポーーーーン!

639 :鈴仙奮闘記 ◆pXM64Uz50c :2015/08/14(金) 00:39:51 ID:???
魔理沙「ぐぁぁっ!」

陸「あだーーーーっ!」

スカーレットムーンズは、この時点でも辛うじてではあるが堅守を貫いていた。
小町のポストプレイこそ通したものの、そこからの魔理沙の『ブレイジングスター』すらも、
大人数でのクリアとレミリアのフィジカルによる威力減衰もあって、陸は辛うじて弾けてはいた。
……しかし、これがスカーレットムーンズの限界中の限界だった。

霊夢「……決める!」

咲夜「霊夢……!(――美鈴が敗れ、陸君が飛び出し、お嬢様とメイド妖精達は吹き飛ばされた。
やはり霧雨魔理沙は侮れない存在だった。そして、それ以上に霊夢は危険……!)」

バッ!

霊夢が高いボールに動きを合わせた中、
ただ一人まともに守備に動けるのは、もはや咲夜しか残されていなかった。

咲夜「(あの構えだと……きっと霊夢が放つのは必殺の『夢想封印・瞬』ではなくて
オーバーヘッドキック……もとい、『巫女サマーソルト』に違いない。……けれど)」

バァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァッ!

――そして、そんな咲夜が驚嘆する程に、霊夢は自然と高く飛び上がった。
自然。そう表現するのが相応しいまでに、霊夢は空中へと浮かび上がっていた。
1メートル2メートル程度では無い。このモリヤスタジアムを一望できる程度に。

640 :鈴仙奮闘記 ◆pXM64Uz50c :2015/08/14(金) 00:41:33 ID:???
咲夜「(その『巫女サマーソルト』ですら、私一人では大きく不利!
おそらく、『プライベートスクウェア』を上手く放てたとしても勝率は五分以下……!
だけど、やるしかない!)……紅魔の名にかけて! ――プライベート……」

霊夢「それっ!」

バギュウウウウウウウウウウウウウウン!
 ギュウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウッ!

咲夜「――スクウェア!!」

バァァァッッ! グルウウウンッ…………! 

霊夢が高空からボールを打ちおろし、十六夜咲夜はそのボールに動きを合わせた。
軸足を大きく回転させた反転ブロック――『プライベートスクウェア』で単身霊夢に迎え撃つ。
その動きはプレッシャーの中にあっても淀みなく、まさしく瀟洒と言うに相応しいものだったが――。

ギュウウウウウウウウッ。――ブンッ! ゴォォォォォォオオオオオオッ……!

咲夜「……!(ぼ、ボールが大きく伸びた。――後少しで、弾く事が出来たのに……!!)」

咲夜は大きく絶望した。霊夢が放ったシュートは彼女の胸元で大きく跳ね、
速度を伸ばして急速に変化してしまった。それはまるで神に愛されたかのような幸運。
霊夢が感覚的に撃ち放ったシュートは、偶然か必然か、最も完璧な軌道を正確になぞっていた。
……そして。


バシュウウウッ、ズバァァァァァアアアアアアアアアアアアアアアアッ!
――ピピィイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイッ!!

641 :鈴仙奮闘記 ◆pXM64Uz50c :2015/08/14(金) 00:47:15 ID:???
霊夢「……ふう。とりあえずは1点ね」

レミリア「……(私が居ながら、なんてザマかしら。――だが、この借りは必ず返す)」

――全幻想郷代表選抜大会準決勝、紅魔スカーレットムーンズ対博麗連合の試合。
先制点を挙げたのは博麗連合。前半6分。
ここまでの時間、殆どボールに触れる事すらままならなかったスカーレットムーンズにとって、
今回の失点はとりわけ屈辱的に映った。




紅魔スカーレットムーンズ 0 − 1 博麗連合2015

642 :鈴仙奮闘記 ◆pXM64Uz50c :2015/08/14(金) 00:48:19 ID:???
大会得点ランキング(表記はメインキャラのみ):
12ゴール レミリア、鈴仙
9ゴール  フランドール、射命丸
8ゴール  魔理沙
7ゴール  勇儀
6ゴール  来生、屠自古
5ゴール  星、諏訪子、霊夢
4ゴール  森崎、神子、反町
3ゴール  早苗、謎の向日葵仮面
2ゴール  神奈子、ピエール、メルラン、天子、赤蛮奇、空、佳歩、岬
1ゴール  妹紅、咲夜、美鈴、サニー、リリーB、ぬえ、響子、永琳
       影狼、藍、幽々子、幽香、針妙丸、パチュリー、小田、椛、パスカル


大会アシストランキング(表記はメインキャラのみ):
6アシスト パチュリー、霊夢
5アシスト 小町
4アシスト てゐ、神子
3アシスト 早苗、ピエール、小悪魔、マミゾウ
2アシスト 森崎、反町、はたて、岬、空、お燐、ウサギB、レミリア、アリス
1アシスト 鈴仙、影狼、大妖精、橙、諏訪子、佳歩
       衣玖、針妙丸、リリーW、ルナサ、ぬえ、永琳、妹紅

643 :鈴仙奮闘記 ◆pXM64Uz50c :2015/08/14(金) 00:51:05 ID:???
……と、言ったところで今日の更新はここまでです。
皆様、本日もお疲れ様でした。

644 :森崎名無しさん:2015/08/14(金) 01:43:54 ID:???
乙でした!
地味に陸の成長が半端ない気がする。

645 :森崎名無しさん:2015/08/14(金) 01:46:40 ID:???
森崎並とはいかんが、補正選べる必殺技が増えたことの強みだな。
ぶっちゃけ本編のもライトニングタイガー防げるほど強いし...

646 :鈴仙奮闘記 ◆pXM64Uz50c :2015/08/15(土) 00:31:46 ID:???
こんばんは、無判定ですが更新します。
東方紺珠伝がとうとう発表されましたね。
私はコミケに行くほどの余裕は無いのでまだゲットしてないですが、気になって早速キャラや曲のネタバレを見てました。
曲凄い良かったです。1〜3面も良かったのですが、4面以降は本当にツボに嵌りました。特に6面の曲がヤバかったです。
あと、やっぱりえーりんは凄いと思いました(小並感)

>>644
乙ありがとうございます。
今回の陸は本スレWY編相応の実力+必殺空クリアを身に付けた感じですね。
>>645
本編からして雷斬脚で威力83出せてますし、必殺クリアくらいあれば、
森崎ゲルティスミューラーヘルナンデス若林には及ばずとも、
エスパダスやドールマンクラスのGKには充分並べると思います。

647 :鈴仙奮闘記 ◆pXM64Uz50c :2015/08/15(土) 00:33:15 ID:???
実況「決まった、ゴール!! まず先制点を挙げたのは博麗連合!
魔理沙選手を中心とした猛攻の末、霊夢選手が見事なオーバーヘッドキック……いえ!
『巫女サマーソルト』で紅魔のゴールを奪いました!
1−0! 前半6分で博麗連合が1−0でリード!
やはり紅魔はこのまま、博麗連合の圧倒的な総合力に敗れてしまうのでしょうか〜〜!?」

観客「ワアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」
「す、すげぇえええ!」「人間がどうやったら、あんな空高く飛べるんだ!?」「れーいーむ!」「れーいーむ!」

パスカル(観客席)「ただのオーバーヘッドであの威力か。
キリサメマリサの高低隙の無い大砲は勿論厄介だが、彼女のねじ込みにも要注意だな……」

霞(観客席)「データが出ました! さっきの霊夢さんのシュートは高度5、威力58、誤差補正12です!」

てゐ(観客席)「? 高度と威力は何となく分かるけど、誤差補正って何?」

霞(観客席)「えっと。最終威力を出す際に、打ち出した時のコースとか蹴り方とか敵の位置とか。
色々な要素を加味して加えられる補正値の事です。
基本は6か7位で収束するんですが、今回は理論上最大値の12が出ましたね……。
普通、誤差補正で最大値が出るのは36分の1程度なのですが、霊夢さんは絶好調みたいです」

ウサギC(観客席)「(! dice + ! dice)のことだよね〜」

霞(観客席)「雰囲気無くなるから言わないでよ、Cちゃん!!」



***

648 :鈴仙奮闘記 ◆pXM64Uz50c :2015/08/15(土) 00:34:55 ID:???

魔理沙「……くそっ」

数多くのシューターによる乱れ撃ち。一流のゴールキーパーをも崩し得る主砲。
そして、絶対的なトップ下による完璧なゴール。
全ての者が理想的だと頷ける筈のゴールを前に、しかし博麗連合のストライカーは納得していなかった。

魔理沙「……(また、決まらなかった……。小町にもアシストして貰ったのに、また……!
しかも、そのミスをまた霊夢に尻拭いして貰って……。私、主人公のクセにカッコ悪すぎだろ)」

魔理沙はこの時、『ブレイジングスター』が必ずや紅魔のゴールを撃ち抜くと確信していた。
――いや、確信するよう努力していた。
自分は『ファイナルスパーク』が無くとも、博麗連合のCFであり幻想郷きってのFWであると。
つまり、今の自分は「まだ」、長年来の親友とも並び立てる存在であると。そう信じていたかった。

魔理沙「(確かにレミリアの奴も目が高い。あの陸ってのは間違いなく一流クラスのゴールキーパーだよ。
だけど、森崎や萃香に敵う程の一流じゃない。あの程度、私は一人でぶっ倒せないとダメなんだよ……!
今みたいに霊夢に助けて貰っちゃ、ダメなんだよ……! やっぱり、『ファイナルスパーク』が無いとダメなのか……?)」

これまでの試合でも、自分は『幻想郷きってのFW』に相応しい活躍をしていない自覚があった。
同格のライバルだった筈のレミリアには大きく水を開けられ、
ゴール数ではレミリアの妹や案外大したことない射命丸にも負けて。
単純なシュートの威力では、レミリアは勿論、勇儀や幽香などの古豪に敵わなくなってきていて。
しかも最近では、自分とは正反対なヘタレFWの鈴仙が、かつての自分の位置に就こうとしている。
方や自分は、苦労して新必殺シュートを編み出しても、それは自身の寿命を引き換えにして放つ代物だった。
……そんな背景があったからこそ、今の何でもないシュート失敗を、魔理沙はひどく気にしていた。

649 :鈴仙奮闘記 ◆pXM64Uz50c :2015/08/15(土) 00:37:24 ID:???
霊夢「(……魔理沙のやつ、やっぱし不満そうにしてる)」

そして霊夢は当然、魔理沙がそうした苦悩を抱いている事は知っていた。
知っていたし、友人としてどうにかしたいとも思っていた。
――しかし、元来他者との深い関わりを好まぬ(知らぬ?)霊夢は、少し不器用でもあった。

霊夢「……あのね、魔理沙。今の局面は別に悪く無かったと思うわよ。
大体、シュートが入る入らないってのは運なんだし、この位気にしない方が……」

霊夢は自分なりに優しさを籠めた言葉で、魔理沙に働きかけたつもりだった。
しかし、同格だと思いたい友人から為された同情は、魔理沙の心を更に惨めにしただけだった。
だから……彼女の口から思いがけずこうした言葉が零れてしまう事も、ある意味では仕方なかった。

魔理沙「――ふん。随分と攻撃的なトップ下様だな、おい?」

霊夢「……え?」

魔理沙「お前はさっき、ねじ込みに備えてPA内に居たようだけど、
今の局面、レミリアがクリアに成功して中盤を省略される可能性もあっただろ。
もしそうなっていたら、お前のせいで点を取られてたのかもしれないんだぞ!
お前が良いとこどりをしたいって前に上がったせいで、私達はリスクを負わされたんだ!」

魔理沙は苛々と霊夢の判断ミスを詰る。そこに魔法使いらしい論理性は無い。
単に彼女は、自分自身への怒りを霊夢に転嫁しているだけだった。
そして、魔理沙はそこまで分かっているにも関わらず、口から毒を吐かずにはいられなかった。

魔理沙「最初のプレーだってそうだろ? お前は色々めんどいとか言ってるけれど。
実際は自分が居ないとこのチームは。いや……この幻想郷は成り立たないだとか!
天才の自分が凡人共を導いてやらなきゃだとか思ってるんだろ!」

霊夢「……魔理沙。私が凡人を導くなんて面倒な事、する訳ないでしょ?
お金積まれたらどうなるかちょっと自信ないけど。まあとにかく、ちょっと落ち着き――」

650 :鈴仙奮闘記 ◆pXM64Uz50c :2015/08/15(土) 00:39:57 ID:???
まくしたてるように、これまでの不安を言葉にしていく魔理沙。
霊夢は最初、そんな魔理沙を止めようと思っていたが……不意に発した魔理沙の一言が、
霊夢の希薄な感情に火を付けてしまった。

魔理沙「落ち着いてられるかよ。こんな蛇女がトップ下のチームでさ!
どうせお前は、私みたいな才能の無い無能な奴を無理矢理隣に置いて、優越感に浸りたいだけなんだろ。
――前に言ってた『友達』なんてのは方便で、結局は博麗の巫女である自分の引き立て役が欲しかった……」

霊夢「……!」

―――ぱちんっ。

霊夢「――そんな訳、無いじゃない。ばっかじゃないの……!」

クルッ。スッ……。

歓声に沸くスタジアムが、乾いた音を聞いて静まった。
怒り心頭にセンターサークルへと戻る霊夢と、惚けたように立ち尽くす魔理沙を交互に見比べ、
歓声はたちまちどよめきに変わった。
実況が霊夢と魔理沙の仲たがいをセンセーショナルに報じる中。
既に仲間内での打ち合わせを終えて、キックオフの準備を終えていたレミリアは霊夢を嘲笑する。

レミリア「いやぁ、若いって良いねぇ。私も後485歳くらい若かったら、あんたらの輪の中に入れたのに」

霊夢「勘弁してよ。面倒なのが二人になったら、流石の私も面倒を見切れないから」

霊夢は辛うじて、自分よりも首一つ二つ程背が低いレミリアに対して皮肉を言ってのけた。
レミリアはニヤリと笑って、上目づかいに言い放った。


レミリア「本当だったら仲直り出来るよう、パチェか咲夜辺りに場を取り持つよう命令してるトコだったけど。
貴様等の心の弱さが生んだ不和――我らが勝利の為に、精々利用させて貰うぞ?」

651 :鈴仙奮闘記 ◆pXM64Uz50c :2015/08/15(土) 00:44:37 ID:???
……と、言ったところで今日の更新はここまでです。
明日は大目に更新できればと思っています。
皆様、本日もお疲れ様でした。

652 :森崎名無しさん:2015/08/15(土) 07:37:17 ID:???
ストライカーは点を取りたいんじゃ・・・自分でゴールを決めたいんじゃ・・・
それは意地なんじゃ・・・分かってくれ霊夢・・・

ところで魔理沙が地獄行きしそうなんですが

653 :森崎名無しさん:2015/08/15(土) 07:57:23 ID:???
この魔理沙は後々セーヌ川ダイブをかましてしまいそうだ……


紺珠伝みたいに新作が出ると物語にも微修正を加えたりしますか?


654 :森崎名無しさん:2015/08/15(土) 13:05:53 ID:???
なんか魔王の時みたいになってる。
なんで劣等感覚えるキャラにどこもなってるんだろうね。

655 :森崎名無しさん:2015/08/15(土) 13:31:30 ID:???
努力を惜しまないからじゃない?

656 :鈴仙奮闘記 ◆pXM64Uz50c :2015/08/15(土) 17:55:56 ID:???
こんにちは、更新をしていきます。

>東方新作について
紺珠伝については、微修正程度だったらあると思いますが(キャラが登場したり、敵チームにスポット参戦するなど)
大筋だけは変えないようにしたいと思っています。
新作では永琳や鈴仙と深い関係がありそうなキャラが出て来るみたいなので、絡みのあるシーンは作っていきたいですね。

>>652
霊夢はその辺りの気持ちをあんまり理解していない…訳では無いけれど、
他人の気持ちを何となく察するのに慣れてないようなイメージがありますね。
魔理沙まで地獄に行くと、地獄が飽和してしまいそうなので多分なんとかなりますw
>>653-655
正直に言って、某スレの魔理沙像をかなり強くイメージしています。
また、強靭な精神を持つ森崎と敢えて対比している所もあります。
内心強い劣等感を覚えつつも、それを普段は臆面にも出さず努力を重ねるというのが魔理沙だと思っていますが、
その『普段』が見えないと、ただ鬱屈してるだけなキャラクターに見えてしまうかもしれませんね。
この辺りの描写は、今後予定している、鈴仙との絡みでも出していきたいと思っています。

657 :鈴仙奮闘記 ◆pXM64Uz50c :2015/08/15(土) 17:57:17 ID:???
ピィイイイイイイイイイイイイイイイイイイッ!

実況「先ほど1点のビハインドを許した、紅魔スカーレットムーンズのキックオフで試合再開です!
スカーレットムーンズ、まずはボールをトップ下のパチュリー選手に預け、
手堅くボールをキープして攻め時を見計らっている様子!」

パチュリー「(相手が浮足立った状況の今、こっちは逆に焦らして様子を見るのが吉ね。それに……)」

魔理沙「くそっ……! このボール死ぬまで借りてくぜ、パチュリー!」

タッ、ズザアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!

――シュンッ! シュパッ!

魔理沙「……ちっ。お得意の『芸術的なドリブル』か!」

パチュリー「――生憎と、そうカリカリした人間の小娘に分け与えてやるだけの叡智は、持ち合わせていないけど?」

霊夢「馬鹿ね魔理沙。 だからここは一緒にタックルに行こうって言ったのに……!
ええいっ、食らいなさい! 『パスウェイジョンニードル』ッ!」

バシュッ! ズバアアアアアアアアアアアアアアアアッ!

――クルルルルッ…バッ、バババッ! …スパァァッ!

パチュリー「腰が浮いているわよ。博麗の巫女が、情けない」

霊夢「……今のは『華麗なドリブル』かしら。中々やるじゃない」

658 :鈴仙奮闘記 ◆pXM64Uz50c :2015/08/15(土) 17:58:26 ID:???
パチュリー「(――幸いにも。一対一ならば、私は霊夢や魔理沙が相手でもボールキープで優勢に戦える余裕がある。
いや、私だけじゃない……)――レミィ。後は任せたわ」

バシュウウッ! パシッ。

レミリア「ふん、ご苦労だったなパチェ。後は真打の私に任せなさい」

アリス「吸血鬼と言うのは、どこまで傲慢な種族ね。もう勝った気でいるのかしら?」

衣玖「私は私の仕事をこなすのみ。その仕事には、貴女の足止めも含まれています」

レミリア「ハ。傲慢だって? 私はこれでも、謙虚な吸血鬼として界隈では有名なのよ。
だって、あんた達のような取るに足らない雑魚が相手だって……!」

バッ! グワァァァァッ!

レミリア「――こうやって、全力を以て叩き潰してやってあげてるんだからね!
食らいな雑種共! 紅魔の行進、『スカーレットマーチ』だ!」

ドンッ! ――ドガガガガガガガガ!! バギイィイッ! グシャァァァッ!

アリス「くっ……!」

衣玖「ふ、吹っ飛ばされるのは仕事には無かったのですが……あーれー」

実況「紅魔スカーレットムーンズ! 今度は試合開始時と打って変わって中盤を支配しています!
パチュリー選手とレミリア選手。霊夢選手と魔理沙選手にも劣らない紅魔のゴールデンコンビが猛威を振るう!
先ほどの喧嘩が原因か、イマイチ連携しきれない霊夢選手と魔理沙選手を差し置いて、
じりじりとラインを上げて、博麗連合のゴールを脅かします!」

659 :鈴仙奮闘記 ◆pXM64Uz50c :2015/08/15(土) 17:59:26 ID:???
森崎「チッ、何喧嘩してんだよあいつ等! 幻想郷の選手にゃプロ意識ってモンが無いのか!?」

天子「ないでしょ。だって私らプロじゃないし」

中里「……今更愚痴を言っても始まらぬでゴザるよ、森崎。 それに――敵は今や門前へと来たりっ!」

中里がそう叫ぶと同時に、森崎は怒りの矛をスッと収めて前方に視線を戻す。
そこには、先ほどまで攻勢を伺いボールキープに努めていたスカーレットムーンズの前線メンバー
――レミリア、パチュリー、フランドールの三名がバイタルエリアへと押し寄せていた。

パチュリー「(……試合は前半14分。アクションを起こすならば、今ね)……レミィ、行くわよ!」

レミリア「了解。フランも上がってなさい! まずはアンタに撃たせてあげるから」

サッ……。

フラン「(あのサインは、たしか……アレだったわね)――フフッ、待ちくたびれちゃったわ、お姉様!
私、早く博麗連合のゴールを粉々にしたいわぁ!」

ダッ!

実況「――パチュリー選手はボールを持ったまま、博麗連合のサイド深くへと切り込んでいきます!
そして、フランドール選手をペナルティエリア奥、ゴールの真正面へと向かわせました。
一方、レミリア選手はねじ込みに備えてか、やや離れた位置に陣取ります。
この位置取りからして、まずは同点に並びたいスカーレットムーンズ。
ここはフランドール選手の大型シュート・『495年の波紋』でゴールを狙う算段でしょうか!」

中里「そうはさせまい! 忍法……」

バシュウウッ! ギュウウウンッ! ――スカッ!

660 :鈴仙奮闘記 ◆pXM64Uz50c :2015/08/15(土) 18:00:43 ID:???

中里「ぬ、ぬうっ……! 少し、遅かったでゴザるか……!」

パチュリー「――今のは肝が冷えたわ。もし貴方が一秒早く跳んでいたら。
私のパスですらも弾かれていたでしょうね」

実況「中里選手は自慢の身軽さを活かしてパスカットに向かいましたが……!
しかし、これは後僅かでパチュリー選手の出したセンタリングに届かない!
ボールは予想通り、フランドール選手の頭上へと渡ります!」

萃香「えへへっ、来たね吸血鬼妹! ひっさしぶりに私の『ミッシングパープルパワー』が火を吹くかね、こりゃ。
それとも――私の四天王奥義の出番かな?」

天子「ちょっと、私を忘れないでよね。私はブロックもかなり固い!」

玄爺「………」

森崎「(……………フランドールのシュート、か。あれは俺も見た事はあるが確かに中々のシュートだったな。
あれは俺でも、全力じゃないと完璧にキャッチするのは難しい。
弾くだけなら『がんばりダイビング』でも可能だが……レミリアがねじ込みに来ているのも不安、材料……?)」

フラン「よーっし、いっくよーーーっ!」

グワァァァァァァァァァァァアアアアアッ!

実況「で、出た〜〜! 出た出た出た〜〜〜!
フランドール選手が高いボールに動きを合わせて右脚を鞭のようにしならせ飛び込んで行った〜〜!
これは間違い無く、自慢の『495年の波紋』の体勢! 博麗連合、ここで守れるか〜〜!」

ワアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!

森崎「(………いや。違うな。――何かが、おかしい)」

661 :鈴仙奮闘記 ◆pXM64Uz50c :2015/08/15(土) 18:02:58 ID:???
森崎「(……紅魔の妹は狂気の妹。普通に考えれば狂気に任せてシュートを撃つに決まっている。
……筈だが、こいつ。――妙に聞き分けが良すぎないか……?)」

――フランドールのシュートに対し、観客が騒ぎ、実況が煽り、仲間選手が警戒する中。
この試合ゴールを任されていた森崎は、スローモーションになる光景の中で、
自慢の小賢しい頭をフル回転させていた。

森崎「(……それだけじゃない。フランドールは低空からのシュートを得意とする筈なのに、
パチュリーが上げたさっきのセンタリングは高すぎる。
あの中里をも退けるレベルのパスを撃てる奴が、こんな雑なミスをする訳がねぇ)」

レミリア「(――我ら紅魔は如何な相手だろうと全力で叩き潰す。
けれどその『全力』とは、常に正々堂々公明正大、馬鹿正直で猪突猛進とは限らないのよ……)」

森崎「(そして……アイツの。レミリアの微妙な表情の動き! こいつは間違いねぇ!)
……萃香! これは罠だ! クリアに向かえーーーーーーーっ!」

萃香「へ? クリア!? ……まぁ、別に私の取り柄はブロックだけじゃないけど……さっ!」

バッ! グワアアアアアアアアアアッ……!

視界の隅で、レミリアがほんの僅かに唇を歪ませたのを見て森崎は確信した。
だから、自信を持って、前方の萃香に対してそう指示を出せた。

フラン「え? こ、ここで……ここで来るの!?」

萃香「良く分からんが、お嬢ちゃん。この私が競り合うからには、タダでは帰さないよ!」

グッ! グググッ……ポーーンッ!

662 :鈴仙奮闘記 ◆pXM64Uz50c :2015/08/15(土) 18:04:26 ID:Oahb6gRA
そして、完全に想定外な萃香の動きに対し、フランドールは焦りに動きを強張らせた。
それが隙だと言わんばかりに、萃香が容赦なく空中でフランドールの華奢な身体にチャージを浴びせる。
無論、彼女とて吸血鬼であるため、如何に鬼の四天王が相手であっても一方的にやられるだけでは無かったが。
――しかし、虚を突かれた事もあり、ボールを後方へと零してしまった。

レミリア「……ほう。良く分かったな、私達の狙いが」

森崎「何勿体ぶってんだよ。こんなの、サッカーの世界じゃ常識だろうが」

レミリアは低いボールに動きを合わせつつも、心底驚いたように目を丸くして森崎と対峙している。
そんな彼女を森崎は嘲笑った。

森崎「フランドールはあくまで囮。本当は高いボールをスルーさせて、
俺が体勢を崩した所を、お前が決めるつもりだったんだろ?
あの狂気の妹がかくも献身的なプレーをする訳が無い、という心理的ミスリードのつもりだったのかもしれないが。
ハッキリ言って、バレバレだ。ミステリー小説だったら三流、いや……三十流もいいトコだぜ」

グワアアアアアアアアアアアアアアッ……!

レミリア「――ならば今度、パチェに頼んで古今東西のミステリー小説を掻き集めて貰おうかな。
だが、それはそれ、これはこれだ。……狙いは外れたが、ここで私がシュートを決めれば同じだろう?」

森崎「本気でそう思ってるんだったらおめでたいぜ。だったら俺を止めてみろ」

レミリア「ハハハ。ただの人間が、吸血鬼を前にしてその余裕か。
紅霧異変の時に我が館へと特攻して来た、どこかの白黒を思い出す」

森崎「俺をあんなヘタレと一緒にすんな。それよりも俺は心配だぜ。
お前のそのカリスマぶった態度が、俺のせいで粉々にブレイクしてしまう事がな!」

663 :鈴仙奮闘記 ◆pXM64Uz50c :2015/08/15(土) 18:10:09 ID:???
実況「あ……ああ〜〜〜っと! これはどうした事でしょう!
フランドール選手へのセンタリングは、実はシュートでは無くレミリア選手へのスルーが目的!
しかしそのスルーにいち早く察知した森崎選手により、その狙いは外れた!
ですが……ですが、脅威の身体能力で飛びついたレミリア選手が諦めず、低空でのダイレクトシュートに向かっています!
そして……今! 両雄が真正面でぶつかりあった〜〜〜〜〜!!」


レミリア「――紅く焼き尽くしてくれる、『ダイレクトレッドサン』ッ!」

森崎「――ふざけろ、三下! これが俺の……『がんばりセービング・改』だッ!」

……バッ、シュウウウウウウウウウウウウウッ!
ドゴオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!
                           ―――バァァァァァァァァァァアッ!
レミリア「HAーーーーッ!」                  森崎「うおおーーーーーっ!」

……かくして、紅帝は初めて狂王と衝突した。
ダイレクトで放たれた事で威力を増幅されたマスターオブレッドサンが、
森崎のどてっぱらをぶち抜こうと加速し燃える。
その勝負は互角であるかにも見えたが――だがしかし、実は違った。
レミリアが低空シュートに向かい、森崎が全力でのセービングに出た時点で、
この両者にはある程度の実力差があった。そして、今回は――その実力差通りの決着となった。
……すなわち。


ゴオオオオッ………――――ガ シ  イ    イ     イ       イ      ッ!


レミリア「………ッ!」

森崎「……取ったぜ。お前の負けだ、レミリア・スカーレット」

664 :鈴仙奮闘記 ◆pXM64Uz50c :2015/08/15(土) 18:11:39 ID:???
……と、言ったところで一旦ここまでです。
続きは深夜までには更新します。

665 :森崎名無しさん:2015/08/15(土) 18:37:19 ID:???
まあジュニアユース直後の森崎のセービング値は明らかにおかしいからなw

666 :森崎名無しさん:2015/08/15(土) 18:50:36 ID:???
一人だけ別世界に足を突っ込んでた状態だったからなぁ・・・

667 :鈴仙奮闘記 ◆pXM64Uz50c :2015/08/16(日) 01:59:30 ID:???
更新を再開します。
>>665-666
流石にJr.ユースそのままだったら無理ゲーですので、
あれよりは弱くなってますが、それでもこれまでのGKと比べて規格外な強さになってます。

668 :鈴仙奮闘記 ◆pXM64Uz50c :2015/08/16(日) 02:01:44 ID:???
ワッ……ワァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!?

観客席から戸惑いも籠った絶叫が鳴り響く。しかし、これも無理のある事では無かった。
――燃え盛る太陽のシュートは、森崎の掌中に完全に収まっていたからだ。
森崎有三は、幻想郷最高のストライカーであるレミリア・スカーレットに対し……完勝した。

実況「……す、凄い……! これは夢でも見ているのでしょうか!
確かに、確かに森崎選手は前の試合でも星熊勇儀選手が即席で生み出した
倍速二回転大江山嵐――『零歩必殺嵐』を防いだ実績もあったため、
決して今のプレーも不思議ではありません! ですが……やはり何度も見ても凄い物は凄い!
更に凄い事は、この森崎有三という選手は妖怪でも神でも亡霊でも何でもない!
何の力も持たぬ、ごく普通の人間なのです! 人間が、鬼や吸血鬼に勝利したのです!!」

観客「森崎って奴、そんなにすごかったのか!?」「俺、守備嫌いなFWだとずっと勘違いしてた!」
「勇儀姐さんだけじゃなく、レミリアさんのシュートも防ぐなんて……」「もっりさき!」「もっりさき!」

中山(観客席)「少し厳しいシュートだったが……森崎ならばあの程度の水準のシュートは、
これまでも真正面から受けて来ている。勝利は順当だったろう。
無論、あいつでも完璧に防げるかどうかは五分程度だっただろうが……。――ここは、あいつの勝負強さが出たな」

鈴仙(観客席)「(中山さん、嬉しそう……やっぱり森崎君と親友なだけあるわねぇ。
しかし、それにしても……あれが森崎有三! 改めて、本当に規格外のGKだわ……)」

輝夜(観客席)「(えーりんを呼んでも防げる自信が無いわね……アレ。決勝に来たらどうしよ)」

永琳(観客席)「……威力として、レミリア・スカーレットの『ダイレクトレッドサン』は、
星熊勇儀の『零歩必殺嵐』に比較して高くない。
怒りによって、その力が増幅されていたという事実を加味してもね」

慧音(観客席)「だが……レミリア・スカーレットは幻想郷サッカー史でも最古参の選手だ。彼女を信奉している人妖も多い。
だからこそ、星熊勇儀のシュートを防いだ事以上に、今の森崎のセービングは驚きに映っただろう」

669 :鈴仙奮闘記 ◆pXM64Uz50c :2015/08/16(日) 02:03:04 ID:???
レミリア「――サッカーは強い者が勝つんじゃなくて、勝った者が強い。
だから、お前の勝利は偶然じゃなくて運命なんだろう。 ……忌々しいけどね」

森崎「(……こいつ。『アイツ』と同じような事を言ってやがる)――へっ、負け惜しみはそれだけか?」

レミリア「もし私の作戦が嵌ってたら勝ってた。私はダイレクトよりもバイシクルの方が上手い。
運が悪けりゃあんたが普通に負けてた。さっきのシュートはちょっと調子が悪かった。
私は夜行性だからお昼だと眠くてやる気が出ない。新聞の占いが最下位だった。……えっと。後は」

森崎「思ったより多いな……。――ま、吠えてろ。お前が無駄口を叩けば叩くほど、俺の価値は上がるんだからな」

レミリアの超然とした態度に苛立ちながらも、森崎は早速の次の手を考えていた。
勿論、自分がこれから活躍して目立つ為の手である。

森崎「(さーて。そろそろオーバーラップでもするか? それとも寝釈迦ポーズで敵の神経を逆なでしようか?
いやいやそれともゴールバーで懸垂してセーブ力の練習でも始めようか?)」

そしてその手には、一見して奇行にしか見えない……いや、奇行そのものが多々ある。
むしろ奇行じゃない手の方が少なかったりする。
森崎は練習の合間に付け足している脳内の奇行ノートから、とっておきのヤツを取り出そうとして――。


ズキィィッ……!


森崎「……ッ!」


――鋭く走った、自身の腰の痛みによって、その思考は中断された。

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