キャプテン森崎 Vol. II 〜Super Morisaki!〜
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【追う蜃気楼は】鈴仙奮闘記39【誰が背か】

1 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2017/03/04(土) 00:12:29 ID:???
このスレは、キャプテン森崎のスピンアウト作品で、東方Project(東方サッカー)とのクロスオーバー作品です。
内容は、東方永夜抄の5ボス、鈴仙・優曇華院・イナバがサッカーで世界を救う為に努力する話です。
他の森崎板でのスレと被っている要素や、それぞれの原作無視・原作崩壊を起こしている表現。
その他にも誤字脱字や稚拙な状況描写等が多数あるかと思いますが、お目こぼし頂ければ幸いです。

☆前スレ☆
【ウドンゲ春の】鈴仙奮闘記38【天パ祭り】
http://capmori.net/test/read.cgi/morosaki/1477741789/
☆過去ログ・攻略ページ(キャプテン森崎まとめ@Wiki内)☆
http://www32.atwiki.jp/morosaki/pages/104.html

☆あらすじ☆
ある日突然幻想郷にやって来た外来人、アラン・パスカルと中山政男との出会いにより、
師匠に並ぶ名選手になると決心した鈴仙・優曇華院・イナバ。
彼女は永琳の庇護下で実力を大きく伸ばし、幻想郷中の勢力が集まった大会でMVPを勝ち取った!

しかしその夜鈴仙は、自身の成長は永琳の計画であった事、その計画の副作用で
月に眠る大いなる厄災――「純狐」が八雲紫の身体を乗っ取り目覚めつつある事を明かされる。
そして、鈴仙は永琳に懇願される。「純狐」の純粋なる狂気を止めるべく、
次に紫が計画した大会――『幻想スーパーJr.ユース大会』に優勝し、世界を救って欲しい……と。

鈴仙は戸惑いつつも、永琳の願いを受け入れ、
幻想郷の秩序の変革を狙う新チーム・リトルウイングズの一員として、大会に優勝することを誓った。
その後、修行のため鈴仙は単身ブラジルに渡り、様々な困難や出会いを経験しつつも、
合流した反町一行の助力もあり、ブラジルサッカーの登竜門・リオカップの二回戦、サントスとの戦いに勝利した。

快進撃を続ける鈴仙達の次の相手は優勝候補の名門・フラメンゴ!
「アーサー」に対し謎の執着を見せるカルロスを筆頭とした強豪チームを相手に、
アルゼンチンでの修行を終えた佳歩達の合流があっても苦戦し、前半を1−2の劣勢で終える。
後半戦はてゐの本気、つかさの気合、そして佳歩の知略によって戦況は同点に押し返したものの、
フラメンゴの知将・サンタマリアが奥の手を発揮して……?
そして、カルロスとコリンチャンスのとあるメンバーとの間に隠された大きな秘密の正体は……?

249 :鈴仙奮闘記 ◆7FYDJhnnhM :2017/06/19(月) 00:45:26 ID:???
今日の更新はここまでです。
>>248のクイズですが、ガチガチなロジックとかは組んでませんので、
【】に抵触しない仮説はまだ残されていますので、それを元に気軽に頂ければ幸いです。
ちなみに、私が考えた答え及び理由については、>>248-249のトリップで作っています。

ちなみに作中に書けませんでしたが、【こいし、お空、モブの皆さんは犯人ではありません】。
推理にもならない読み当てクイズに近いものですし、
ちょっとした話題だと思って、本当に気軽に考えて頂ければ幸いです。

>>242
一旦乙ありがとうございます。
文章主体だと、どうしても更新ペースが更に落ちてしまいますね…
とはいえ試合主体だと、それはそれで今の更新速度では、展開が更に間延びしてしまう感があるので
バランスが難しいです。


本日も遅くまでお疲れ様でした。

250 :森崎名無しさん:2017/06/19(月) 02:11:30 ID:???
さとり様
>・【さとりが能力で読み取る限り、客室には矢車への害意を持つ者はいない】
>・【館の中には、今客室に居る以外の人間は存在しない】

消去法でさとりの能力で心を読んでないさとり様自身ということに
ただ、この場合はさとりなりの事情が大いにあるはずだろうけど

251 :森崎名無しさん:2017/06/19(月) 18:41:35 ID:???
矢車じゃなくて松山とか?
まぁ、一覧にないからさとり様な気がするが

252 :森崎名無しさん:2017/06/19(月) 19:28:57 ID:???
鈴仙奮闘記 ◆7FYDJhnnhM
これだ!この人だ!間違いない!

253 :森崎名無しさん:2017/06/19(月) 19:31:56 ID:???
>>252
確かに事件を起こした(書いた)人物だわなw

254 :森崎名無しさん:2017/06/20(火) 19:49:26 ID:???
リチャード

松山とサッカーの練習をしていて殺人タックルを食らわせちゃったから
そのあと松山は矢車に代わってから食堂で倒れた

255 :森崎名無しさん:2017/06/20(火) 20:12:42 ID:???
あー、松山を傷つけて矢車に戻ったなら矢車への悪意はないわな
誰でもできそうだけど

256 :森崎名無しさん:2017/06/21(水) 00:01:36 ID:???
>・ロリマー    被害妄想持ちで死亡フラグを立て、中盤あたりで順当に死にそうな人。
>・トーマス    影が薄いから犯人だと読者にメタ読みミスリードさせてから死にそうな人。
縦読みすると「ロト」……つまり犯人は伝説の勇者だったんだよ!

257 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2017/06/25(日) 19:08:15 ID:???
こんばんは、遅くなりましたが更新再開します。
今回のクイズの正解でしたが、犯人はさとりで、理由は自分自身の心を読んでいないから、でした。
(>>248のトリップ #犯人はさとり、>>249のトリップ #自分の心を読んでない)
コメント頂いた方はありがとうございました。

>>250
参加ありがとうございました。伏線を回収しつつ、さとり様のヒロイン力を出していきたいですね。
>>251
松山も出て来る予定です。
>>252-253
そこまで考えてませんでしたw
「読者が犯人」「作者が犯人」あたりは既にネタが出ているみたいですね…
>>254
参加ありがとうございました。ただすみません、松山への害意は考えていませんでした。
>>255
そうですね。その辺りの描写も大事でしたね…
>>256
さとり様伝説の勇者ロト説

258 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2017/06/25(日) 19:09:25 ID:???
>さとり様

あたいは真面目に、犯人が誰かを考える。
まず、外部犯はいない。【館の中には、今客室に居る以外の人間は存在しない】。これは間違いないだろう。
次に、内部犯もいない。【さとりが能力で読み取る限り、客室には矢車への害意を持つ者はいない】。
……で。こうなると外部にも内部にも犯人が居ないって話になるんだけど。

「……いんや。一人だけ除外されてない人物がいる」

そして、あたいは……真面目に考えた結果、一番あり得ない選択肢に辿り着かざるを得なかった。
さとり様は、そんなあたいの内心を読んでくれたように優しく頷き。

「そう。……とどのつまり、これは推理ではなく茶番だったのですよ。お燐」
「――そんな。でも、一体どうして……?!」

世の中には知らない方が良い真実も沢山あるって言うけれど。
まさか、この事件の真相がそうだったなんて。

「でも、おかしいですよ。さとり様! だって、あたいは知っている。心を読む能力なんて無くたって、分かってた!」

だから、思わずあたいは叫びそうになっていた。

「さとり様。貴女はあの男に同情していた。周囲の悪意に絶望し、心を閉ざしてしまった矢車くんに!
 いいや、同情だけじゃない。それは共感や親愛の情にも繋がっていたし。何だったら――!」
「お燐」

これ以上は言わせないと、さとり様は静かに制する。そしてその代わりに、彼女は厳かに自白した。


「私は――矢車君を殺しました。いえ。凌辱などではなく……殺したのです。
 【私はここで、矢車想という人間を殺した】のです」

259 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2017/06/25(日) 19:10:34 ID:???
*****


〜???〜


こいし「そうだよ。矢車さんを殺したのは、お姉ちゃんなんだよ」

不意に声がして、さとりはページを捲る手を止めた。

さとり「……」

暗い室内には、手元に点けられた蝋燭くらいしか光源がなく、
恐らく自分の背後に居るであろう、その姿は見えない。

さとり「……ええ。漸く分かったわ。あんたがずうっと、どこに隠れていたのかも。
    そして……私が何故、このイギリスの地で、矢車君に導かれたのかも」

こいし「どうでも良いけどさー、お燐って推理小説のセンス皆無だよねぇ。
    大事な情報は書かない割に、自分が書きたいどうでも良い事には紙面を割きまくるし。
    エッセイストとか私小説とかまだしも、推理小説を名乗っててこれは最悪だよ」

さとり「それにはついては私も同意見だけれど。……今は、そうした楽しい会話をしている暇はないのよ」

260 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2017/06/25(日) 19:11:41 ID:???
さとりは、手元にある小説――いや、そう呼ぶにも本来ならば烏滸がましいレベルの紙束を一心不乱に読みふける。
愛しい妹との再会を祝うよりも、彼女はまず、贖罪を行う必要があったのだ。

さとり「私は……彼に。矢車君に会いたいと思っていた。だけど、それは間違いだった。だから私は――矢車君を殺すしかなかった」

こいし「うん。そうだったね。……でも、お姉ちゃんは自ら手を下す事が出来ず、病んでしまった。
    だから、お燐に頼んだんだよね。『お姉ちゃんが矢車さんを殺す筋書きの小説を作る』ことを。
    こうしたら、お姉ちゃんは自分の手を汚さずとも、矢車さんを殺す事ができるから。
    ほら。話してごらんよ。お姉ちゃんはなぜ、矢車さんを殺したかったのかをさ?」

さとり「…………」

こいしの話す内容に偽りはない。そう知っていたさとりは敢えて何も答えない。
いや。さとりは小説の続きを読む事で、こいしの問いかけに応じようとした。

261 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2017/06/25(日) 19:13:20 ID:???
*****


「そんな、さとり様が犯人だなんて。でも一体どうして、そんな事に……?」
「あの人は……変わってしまったわ」
「ええっ、矢車がですか? こんな迷惑な催しを開いてる時点で充分変わってるというか。
 ああいや、前から変わっていないっていうか」

この場の雰囲気を少しでも和らげるため、おどけるようにあたいはそう返してみせるが効果はない。
さとりは違うの、と言う代わりに首を振りながら、こう続けた。

「彼はもう、私の知る矢車君ではなくなっていった。……彼は私達の保護から離れ、人との関わりを思い出し。
 ――そして、完全なる調和を愛する好青年へと変貌していたわ」
「完全なる調和……ですか。なんかまた、前とは別な意味で胡散臭いですけど。
 でも、……そうか。さとり様は一人で会いに行ってたんですね。事件が起きる前、矢車に」
「ええ……そうよ。そして、事件は……その時に起きました」


さとり様は首肯する。そして、その時のやりとりを回想しつつあたいに話してくれた。



262 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2017/06/25(日) 19:15:38 ID:???
*****


こいし「そうそう。イギリス行きが決まったお姉ちゃんは、周囲のサッカー関係者の心を読み取って、
    松山くんも一緒にイギリスでサッカー留学してるって事を知ったんだったよね。
    で、お燐に内緒でコッソリ会いに行った。なるほどなぁ。現実とリンクしてるんだねぇ、この小説」

さとり「……そうよ」

ページを捲る手を止めないまま、さとりはぶっきらぼうに肯定する。
そうだ。そうでなくてはいけない。そうでなければ、自分は矢車を殺す事など、出来ないのだから。
少なくとも、自分の内心で――しかもお燐にお膳立てして貰った上で殺せなければ、さとりは永遠にこの牢獄から抜け出せない。
さとりは、意を決したまま次のページを読み始めた。


*****


「やあ、さとりさん。俺の事を心配して来てくれただなんて、嬉しいな」
「……え?」

一人でコッソリ矢車に会いに行ったさとり様は面喰ったらしい。
ボロボロの衣服で隙あらば自分を罰しようとする矢車が……なんか、違う。目の前に居たのは、完璧を愛する、一人の好青年だった。

「ハハ、やっぱり驚くよなァ、前の俺を知ってるさとりさんじゃあ。
 でも俺、変わったんだ。あれから全日本に戻り、兄弟……松山と共にサッカーの腕を磨き、
 そして一度は嫌われた周囲の信頼を再び取り戻せた。それから、俺は気付いたんだ。
 サッカーとは調和……完璧なる調和が無ければ成り立たないってさ」
「そ、そうですか……」

昔みたいに、意味不明な彼をボロクソにけなしてやりたい。そして彼の不器用さと誠実さを理解してあげたい。
そう思っていたさとり様は、彼の成長を前に……少しの安心と、それ以上の寂しさを感じていた。

263 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2017/06/25(日) 19:16:41 ID:???

*****



こいし「あっ、ここは現実とは違うね。だって、実際にヨークシャーのクラブハウスに行ったとき、
    松山くんは自分の中の矢車さんの人格を取り込んでいたんだからさ。
    パーフェクト・ハーモニーがどうとかみたいな性格は一緒だけど、この違いは何を意味しているのかな?」

さとり「それは私の心の弱さ……かしら。私の心の地獄に共感し、同じ視線から歩いてくれる友がもう居ない。
    その事実を、受け入れられなかった。
    矢車君はまだ、松山君の中に居る。いて欲しい。そんな願望を、お燐は作中に反映してくれたのだと思うわ」

こいし「ふうん。なんかややこしいね」

姉の苦しみに対して、妹はそっけない。しかし、それも仕方がない。
何故ならば――

さとり「矢車君が居ない現実と、矢車君が居て欲しいと願った私の空想。
    そのギャップを一度埋めてくれたのが、こいし。貴女の存在だった」

こいし「そうだよ。私はイマジナリーフレンドの妖怪。心の弱かった松山くんが、自身の中に孤独なヒーローを生み出したように。
     お姉ちゃんは、自分のヒーローだった人の抜け殻に、再び自分のヒーローの役割を被せようとしたんだよね。
     勿論、そんな事は到底できないんだけど。この私が居るなら話は別だもん」

小説と違い、現実では松山光は松山光であり、矢車想など存在しなかった。
当たり前だ。ここが幻想郷であるならともかく、人間の少年の願望がこの外界で形を取れる筈がない。
しかも、松山光は現実に向き合い、現実で自らを大きく成長させていた。――借り物の人格・矢車想を必要としない程に。

さとり「だから私は……あの時、願ってしまった。『もう一度、あの人に――矢車君と、話したい』と。
    それが、最も抱いてはならない願いだと知っていながら」

264 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2017/06/25(日) 19:17:43 ID:???


*****


「私は安心しながらも、何だか、居場所が無いという感覚を覚えていました。
 そしてそれは、単に彼が成長したからではなかった」

チャリンと音がして、さとり様の手から何かが落ちる。それはゴテゴテしたシルバーの装飾がついた、ネックレスだった。

「フフ……笑えるでしょう、お燐? これ、私が矢車君への手土産として購入したのよ?
 人から嫌われる事を厭わないサトリ妖怪が、特定の一人に好意を持って貰いたいと思って、こんな物を買うなんて」

そもそもこんな中二的なデザインのネックレス買うんじゃねーよ貰った人困るだろとか、普段なら突っ込めるだろうに。
自嘲的な笑みを浮かべるさとり様を、あたいは全く笑えなかった。

「だけれど、それは必要無かった。その理由は……」

さとり様はチラリとベッドで伏せる矢車の手元を見る。そこには銀色の指輪があった。
その意味を、さとり様の内心を、誰がそれ以上追求できようか。


265 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2017/06/25(日) 19:18:44 ID:???
*****


こいし「現実の松山くんは、藤沢さんって女の子とよりを戻していたんだっけ。
    こりゃあますます、矢車さんって存在は過去の物になったと思うよね。お姉ちゃんも。
    お姉ちゃんが好きだったヒーローのお人形は、もう要らないって捨てられたようなモンだもの」

さとり「でも、思えばそれが一番決定的な理由だったかもしれない。
    松山くんの輝かしい成長を見れば見る程、私の理解者だった矢車君は消えていくような気がして。
    ――それは単なる、私のエゴに過ぎないのに」

こいし「松山くんの現実逃避用の一人格に過ぎなかった矢車さんが、お姉ちゃんにとっては大事な意味を持ってたんだよね。
    そりゃあ仕方ないよ。――で、この後小説のお姉ちゃんは。そして現実のお姉ちゃんはどうしたのかな?」

さとり「……現実の私は、マンチェスターのGKとして。そして松山君は、ヨークシャーのMFとして。
    練習試合を行う機会があった。そこで、私の願望は、こいしを媒介に暴走しました」

小説はいつの間にか、最後のページまで到達していた。さとりはそれを読みながら、彼女の本来の『今』を思い出す。



266 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2017/06/25(日) 19:20:23 ID:???

*****


「私は……あの時の彼に戻って欲しかった。だから、未練がましくも、泣きながら懇願しました。
 勿論、彼にとっては、そんな懇願など困るだけだと言うのに。
 混乱した私は、やがて矢車君に詰め寄り、争いとなって――」
「それで……矢車は重傷を負ってしまった。って事ですかい……!?」

さとり様は――目に涙を溜めながら頷いた。……それは、悲しい事件だった。
一人の孤独な少女の未練が。光を掴んだ少年への。そして、それを称賛する人間への嫉妬が生み出した悲劇。
普段は口が止まらないあたいですら、目を伏せ俯く事しかできなかった。
しかし。パンドラの箱を開いた後には、希望も残されていた。さとり様は――最後にこう小さく、しかし、力強く呟いた。

「松山君。お燐。……そしてこいし。ごめんなさい。私はもう、過去には縛られない。
 この過ちを最後に――私も、光を掴んでみせるから」


                                                             (了)

267 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2017/06/25(日) 19:21:33 ID:???


*****


実況「お〜〜っと! これは一体どうした事か!?
    新技『パーフェクトイーグルショット』で貴重な1点を挙げた松山選手、突然頭を抱えて苦しみだす!
    そして不思議な事に、その身体まで大きく変化して……!?」

矢車「今。俺の事を笑ったのは誰だ……?!」

咲夜「!? あれは、地霊殿サブタレイニアンローゼスに居た飛蝗の妖怪……!」

さとり「……ぁ。矢車、君。私……もう一度、話……し……」

フラリ……バタンッ!

お燐「さ、さとり様っ!? どうしてあの人がこんな所に……って、さとり様ーっ!?」

実況「そして同時に、今しがたゴールを奪われたさとり選手も倒れる! 審判が笛を吹いたため、
    試合はハーフタイムとなりましたが、一体、大丈夫なのでしょうか〜〜!?」

矢車「俺は……光を認めない。真っ暗闇の地獄の中で、薄汚く永久を生きる。さとり……お前は俺の妹になれ……」



268 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2017/06/25(日) 19:23:39 ID:???

――そうだ。
そうだった。
自分の心を投影した薄暗い牢獄の中、さとりは漸く思い出した。そして、強く自覚した。

さとり「小説では、私は矢車君を殺す事が……彼への未練を断ち切る事ができた。
    だけど……私は、現実の矢車君も、殺す必要がある。次はお燐の小説でじゃなく、自分自身の手で……!」

こいし「――お燐は頑張ってくれたよ。心も読めないのに、誰よりもお姉ちゃんの事を良く知っているから。
    だから、お姉ちゃんの心を映した小説を書く事が出来た。……文才はないっぽいけど。
    でも、それだけじゃあ、お姉ちゃんの無意識に潜む未練は倒しきれなかった。
    だからやっぱり――最後は、お姉ちゃんが矢車さんを殺してみせて!!」

さとり「ええ。……どうやらお燐には、どうやら大きな借りが出来たみたいね」

こいし「お姉ちゃん。今、試合は前半終了時点で0−1。
    味方にはお燐と、紅魔館の助っ人が居るけれど、やっぱり矢車さんはメッチャ強い!
    GKのお姉ちゃんが頑張らないと、この試合負けちゃうし。
    矢車さんも……私も、ずっとこのままになっちゃうかも! だから……頑張って!」

こいしの――妹の呼びかけがだんだんと薄くなり。
自分の未練という身勝手な動機から妹を犠牲にし、矢車を生み出した自分を罰する為に造った牢獄は、
少しずつ白んでいく。

さとり「何が……『俺は自分を罰する事にした』……ですか。自分で自分を鎖に縛って自己満足だなんて。
    ――キモいんですよ。自分を罰するんだったら、自分の殻に籠るんじゃなくって……!」

……光を掴んだ一人の少年の為にも、妹の為にも、さとりは自分の罪を、自ら罰しなくてはいけない。
しかしそれは、牢獄で小説を読むという逃避であってはならない。


さとり「私は戦います。そして……光を掴んでみせる! 小説ではなく、この現実世界で……!」

269 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2017/06/25(日) 19:29:54 ID:FJErg/s6


*さとりの「とめます!」(1/2でセーブ+2)が、
  「光を掴みます!」(1/2でセーブ+3(敵リード時はセーブ+4))に進化しました。











――――――――――――――――――――――――――――――――
……と、言ったところで一旦ここまでにします。余力があれば、また今夜更新したいです。
試合描写の多くは省く予定ですが、矢車VSさとりの対決判定を入れたいと思っています。
大分時間をおかけしましたが、さとりの章もクライマックスに入ったので、もう少しで鈴仙の章に戻れると思います。

270 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2017/06/25(日) 19:44:10 ID:???
参考として、現在のさとり&お燐の能力を再度貼っておきます。
【イギリス派遣メンバー 現時点での能力値】
選手名   ド  .パ シ タ  カ .ブ  せ  総  高/低 ガッツ
さとり    49  48 48 48 48 47 54  342 2 / 2  775 セーブ力54
お燐    ..53  54 51 51 53 50 47  359 1 / 2  730


〜必殺技・スキルリスト〜
   さとり
パンチング59、キャッチ56
所持中のフラグ:なし
光を掴みます!(1/2でセーブ+3(敵リード時はセーブ+4))
スキル・覚妖怪(PA内のシュートについてセーブ+5、一対一+5、読み違え発生しない)
スキル・とびだし+2
スキル・一対一+3
スキル・想起(相対する選手の知り得る技をコピーして使用可。その技に使用するガッツの1.5倍を消費)

    お燐
所持中のフラグ:サイドプレイヤー
キャットランダムウォーク(1/4でドリブル+5)
キャッツウォーク(1/4でドリブル+3)
スプリーンイーター(シュート+5)160消費
火焔の車輪(1/4でタックル+3、吹飛2)
ゾンビフェアリーカット(1/4でパスカット+3)
ゴーストブロック(1/4でブロック+4、コーナーキックの時は+6)100消費、
ゴーストタウン(1/4でブロック+6、コーナーキックの時は+8)150消費を習得しました。
スキル・サイドアタック(ライン際でボール所有時、全能力+2)

271 :森崎名無しさん:2017/06/25(日) 21:46:25 ID:???
一旦乙です
なんて苦々しいお話だ……お口直しとGMさんへの差し入れに甘いの出ろ!
タブクリア

272 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2017/06/25(日) 22:07:36 ID:???
更新再開します。
>>271
乙ありがとうございます。長文なのに読んで感想をいただけるのは大変うれしいです。
長文を投下するのはやはりドキドキしますので…
タブクリアありがとうございます。なんか甘そうで良かったです。

参考としてこの試合のフォーメーション図を置いておきます。

−−@−− @トーマス
−−A−− Aバクスター
C−D−B Cリカード Dマクニール Bブランク
−−−−− 
E−I−G Eケント I矢車 Gジョンソン
−−−−−
−−−−− 
F−H−J Fカーサー Hテル Jジョーンズ
ヨークシャー 4−3−3
マンチェスター 3−5−2
−−−−−
−J−H− Jスコット Hバーナード
−−−−−
G−I−F Gお燐 Iアレン Fテイラー 
−D−E− Dモートン E咲夜
B−A−C Bターナー Aアンダーソン Cマーチン 
−−−−−
−−@−− @さとり


273 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2017/06/25(日) 22:08:49 ID:???

ピィイイイイイイイイイイイイイイイイッ!

実況「さあ、後半戦の開始です! 前半終了前に倒れたマンチェスターのさとり選手は……復活!
    後半戦も続投のようです!」

お燐「(さとり様。あたいの書いた小説……読んでくれたんだね)」

さとり「お燐……いえ。何かを言うのは後です。さあ、矢車君に勝つには、あんたの攻撃力が大事なんですからね」

お燐「言わずもがな、ですよ。さとり様がミスっても、このあたいが取り返してあげます!」

さとり「本当に一言の多い子ね……。大丈夫、私はもうミスりませんので」

テイラー「頑張ってくれよ? なんせこの俺達マンチェスター対ヨークシャーの試合、
      何故かイングランド中の名選手が観戦しに来てるんだ。恥ずかしいプレイはできないんだからな!」

咲夜「微力ながらも、私も居るわ。いつでも頼って下さいね?」

さとりは思い出す。自分はマンチェスターの一員としてチームに参加し、修練を積み。
そして今日、松山が率いるヨークシャーとの練習試合に臨もうとしていたのだ。
周囲を見渡して状況を確認し。さとりは……力強く宣言した。

さとり「矢車君は私が止めます。皆さんは、全力でゴールをもぎ取ってください!」



274 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2017/06/25(日) 22:10:51 ID:???


*****


矢車「――眩しいんだよ。お前は……!」

グワァァァッ!

……それから、さとりの出番が来たのはすぐだった。
圧倒的な肉体能力でお燐を、テイラーを、そして助っ人の咲夜を突破した矢車は、
ペナルティエリア内で大ジャンプ。センタリングで上がって来たボールを思い切り叩き付け――。

矢車「ハイパー・ホッパーキック……」

ドゴオオオオオオオオオオオンッ!

実況「で、出た〜〜! 前半途中に謎の変身を遂げた松山選手もとい、矢車選手!
    長身に白髪をはためかせ、昔ながらの特撮ヒーローの如き大技を繰り出す!
    さとり選手、これを止められるのか〜〜〜!?」

さとり「(彼の人格は、こいしを媒介にして構成されている。そしてこいしの人格を私は読む事ができない。
     故に、PA内と言えどこの勝負は全くのアドバンテージはない! 全力で止めなくては……!)」

275 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2017/06/25(日) 22:13:45 ID:???


先着3名様で、

★矢車→ハイパーホッパーキック 62 ( ! card )( ! dice + ! dice )=★
★アンダーソン→ブロック 52 (! card)(! dice + ! dice)+(人数補正+1)=
 マーチン→ブロック 52 (! card)(! dice + ! dice)+(人数補正+1)=★
★さとり→パンチング 59 (! card)(! dice + ! dice)=★

と書き込んでください。カードやダイスの結果で分岐します。

【シューター】−【キーパー】
≧2→矢車の「ハイパーホッパーキック」がさとりを制する!
≦1→さとり、矢車の影に勝利する!
【補足・補正・備考】
矢車の「ハイパーホッパーキック」には吹飛係数3があります。
さとりのマークがダイヤ・ハートで、「光を掴みます!(+4)」が発動します。
矢車のスキル・無意識の仮面により、さとりのスキル・覚妖怪は無効となります。


*止められない場合でもストーリーは進行しますが、止められた場合はほんのすこしボーナスがあります。

276 :森崎名無しさん:2017/06/25(日) 22:15:05 ID:???
★矢車→ハイパーホッパーキック 62 ( クラブ9 )( 5 + 1 )=★

277 :森崎名無しさん:2017/06/25(日) 22:17:46 ID:???
★アンダーソン→ブロック 52 ( スペード3 )( 5 + 3 )+(人数補正+1)=
 マーチン→ブロック 52 ( クラブ9 )( 1 + 4 )+(人数補正+1)=★

278 :森崎名無しさん:2017/06/25(日) 22:19:58 ID:???
★さとり→パンチング 59 ( スペード3 )( 5 + 3 )=★

279 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2017/06/26(月) 00:31:51 ID:???
★矢車→ハイパーホッパーキック 62 ( クラブ9 )( 5 + 1 )=68★
★アンダーソン→ブロック 52 ( スペード3 )( 5 + 3 )+(人数補正+1)=61
 マーチン→ブロック 52 ( クラブ9 )( 1 + 4 )+(人数補正+1)=58★
★さとり→パンチング 59 ( スペード3 )( 5 + 3 )=67★
≦1→さとり、矢車の影に勝利する!


ゴオオオオッ……ドガァッ、ドガァァッ!

アンダーソン「ぐわぁぁぁっ!」

マーチン「さっきのマツヤマってヤツよりも、パワーが上がってやがる!」

――超高度から連続で撃ち落とされる矢車のキックを前に、
マンチェスターのDF陣はなす術もなく吹き飛ばされる。

矢車「さとり……お前には光は似合わない……俺と一緒に地獄に堕ちよう……」

さとり「ふふ。プロポーズのつもりでしたら、お生憎と三流以下ですね。
    ――そんな謎な価値観を押し付けて来る男なんて、断固お断りです!」

バァァァッ! ガシイイイイイッ!

そして、ボールと共に矢車は落下し、さとりに対して愛ではなく地獄を囁く。
ずっと聞きたいと思っていた暴力的なネガティブ発言にさとりは薄く微笑むも、
しかしそれには屈せず、力強く飛び出してボールを押さえつける。

矢車「何故、お前は光を掴みたがる? 希望など持っていても、どうせロクな事にならないと言うのに……」

さとり「ですが、貴方は……いえ。松山君は光を掴んでみせた。 だったら、私もそれに続こうとして何が悪いのですか!?」

280 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2017/06/26(月) 00:32:57 ID:???
堕ち行く矢車と、天を仰ぎ見るさとり。ボールを挟んで二人の思想は対立する。

さとり「……いえ。確かに私は地底と地上の架け橋を望みながらも、一方で卑屈さと自堕落さを捨てられていなかった。
    貴方の影が未だこうしてここに居るのも、そんな私の未練が根強い証拠です。
    ですが――私を理解してくれているお燐の為にも。こいしを私の勝手な願望による拘束から救い出す為にも。
    私は、光を掴まなくては……!」

矢車「他人の為に光を掴む……? どうせすぐに裏切られて地に堕ちる事が目に見えているというのに……!
    どぉせ俺達みたいな嫌われ者は、虐げられるのが丁度良いのさ……」

さとり「昔の……いえ、少し前の私だったら、その言葉に甘えていたでしょう。
    ですが、今はもう引けません。ここまでされて、もう引けるもんですか!」

グッ。ググググッ……!

しかし、拮抗した状態は長くは続かない。勝負の明暗はどちらかに傾きつつある。
そして今回の場合――勝負をしたのはさとりの精神力だった。

矢車「なにィ……? ここまで来て、まだ諦めないだと……?」

さとり「――私は、貴方の言うどん底から、光を掴んでみせる……!」

――本当は、あなたと一緒に光を掴みたかったのだけれど。
その言葉を抑えながら、さとりは丁寧にシュートの威力を減衰させていき。

グッ……バチイイッ……!

矢車「……!」

実況「さとり選手、力技で矢車選手のパワーシュートを……防ぎ切った〜〜!
    あの小さい身体で信じられません! 恐るべき力強さです!!」

281 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2017/06/26(月) 00:34:01 ID:???
観客「ワアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!」

……さとりは、自身の未練と弱さの象徴に勝利した。
彼女は、過去の想い出を克服し、光を掴む為の第一歩を踏み出した。
シュートに失敗し、よろめきながら地面に降り立つ矢車を前にして。

さとり「矢車君。貴方は――私の、思い出の中でじっとしていてください」

矢車「それで良いさ。無理に会おうとせずとも、そうして思い続ける限り。……俺達は、永遠に一緒だ」

二人は、それぞれに別れの言葉を告げる。それはかつて矢車が地霊殿を離れた時のような、
一時の別れを示唆するものではない、重く厳然として離別を意味する。
しかし、それにも関わらず、二人の表情は穏やかで……かつ、希望に満ちている。

カッ! ゴオオオオオオオオオオオッ!

そうして、矢車がさとりに対して静かに微笑みかけた瞬間。辺りは薄白い光に包まれた。
松山の身体を覆っていた地獄の魔鎧が剥がれ、大気中に拡散し、やがて虹色のオーロラへと昇華していく。

お燐「うわぁ、綺麗……! 試合中だけど、見入っちゃいますね!」

さとり「……そう言えば、あの人が言ってたわね。いつか、白夜を見に行きたいって。
    それは、こんな空の事だったのかしら……」

矢車想は松山光が生み出した、現実逃避の為の一人格。松山が光を掴んだ今は既に存在しない。
さとりの願いは彼との再会であり、それは果たされたが……それを歪な願いと理解したさとりは、
最後には自分の力で再会した友人を再び白夜の葉てへと消し去った。
しかし、そんな悲しい物語であったにも関わらず――さとりの表情には後悔はなかった。何故なら。

282 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2017/06/26(月) 00:37:16 ID:???

さとり「……例え。貴方の存在が幻想であったとしても。私はその幻想に救われた。
    ですから、例え思い出の中にあり続けるとしても、私は決して貴方を忘れません。
    そうすれば――私達は、永遠に一緒。ですからね」

彼女はもう、地獄の底であっても、希望を持ち続け――そして、光を掴む術を身に着けていたのだから。

お燐「さとり様。永遠に一緒なのは矢車だけじゃありませんぜ。あたいだって、永遠に一緒です。
    なぜって、さとり様が死んだら、死体は持ち去って永久保存しちゃう予定でしたしね」

さとり「あんたは元々死体にしか興味が無いんでしょうに。――いえ。本心は言わずとも結構、分かっているのだあら。
    ……お燐。貴女にも感謝しているわ。本当にありがとう」

お燐「フフフン。素直なさとり様だなんて、珍しいですねぇ〜。その言葉、墓まで持って来ますよ?」

――そして、そんな彼女を常に案じ、支え続ける存在が居たのだから。

実況「え、えーー……っと。只今、オーロラが発生したため、収まるまで暫く、試合は中止いたします!
    観客の皆さん! 騒がないでください! 異常気象は暫くしたら収まるとの見込みです」

リチャード「おいおい、信じられねぇぜ。いつからヨークシャーのサッカーはサーカスになった?」

ロブソン「……だが、強敵が居たという事実には変わりない。今回の観戦は収穫があった」

ロリマー「お、俺のシュートだって負けちゃいねーぞ!?」


さとり「……あぁ。光が眩しい。けれど……眩しいのも、たまには悪くはありませんね」

白昼の燐光に心を奪われ騒然とするスタジアムを尻目に、さとりとお燐。
地底の主従は、手のひらを掲げて、空に浮かぶ光を掴んでみせた。

283 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2017/06/26(月) 00:40:25 ID:sKPDhnvk
――と、言ったところで今日の更新はここまでにします。次回はエピローグ兼さとりとお燐の練習フェイズ2回目(ラスト)に入りますが、
進行の円滑化の為、先に投票を行いたいと思います。(さとりとお燐の能力値は>>270参照)

☆さとりの練習コースを選んでください。
 先に2票入った選択肢で進行します。メール欄を空白にして、IDを出して投票してください。

A:地底のスーパーグレートゴールキーパーコース
  コース概要:安定したセーブ力を誇る、地底のスーパーグレートゴールキーパーを目指します。
          PA内における高いセーブ力は勿論の事、強力なフィジカルや一対一における読み合いの強さも活かせる、
          ハイクオリティなプレーヤーを目指し――「ひ弱なさとり様がフィジカルww」……ですか。聞こえてますよ、お燐。
  主な上昇能力:☆せりあい、セーブ力、ガッツ、必殺セーブ(自動発動・ガッツ消費無)

B:地底のスーパーがんばりゴールキーパーコース
  コース概要:爆発的なセーブ力を出せる、地底のスーパーがんばりゴールキーパーを目指します。
          フィジカルは覚妖怪としての能力があるから、二の次でも構わない。
          それよりも敵の必殺シュートをエレガントにふせ――「さとり様のガッツだと、すぐ息切れしますよ?」
          ……ですか。わ、分かってるわよ!
  主な上昇能力:☆セーブ力、ガッツ、必殺セーブ(選択発動・ガッツ消費有)

C:地底のスーパー読心ゴールキーパーコース
  コース概要:覚妖怪としての才能を最大限に生かす事を目指します。
          PA内における高い守備力は勿論、想起技を活かしたオーバーラップも出来るトリックスターに!
          ――「うーん。要するに基本的なGKは二の次、って事ですか?そりゃちょっとマズいんじゃ……」
          ……ですか。や、やっぱりお燐もそう思う?うーん……。
  主な上昇能力:セーブ力、せりあい、スキル(一対一、想起関係)、フィールダー能力

<参考:コース練習について>
・☆印は伸びやすい項目、△印は伸びにくい項目、?印は運で伸びが大きく変わる項目です。
 (能力値が高くなるにつれ、☆印が消える、△印が出来るなどが起き、伸び辛くなります。)
・コース練習では、能力値に加え、能力に応じた技の『フラグ習得・回収』も行われます。
・能力値の基準は大体、53くらいが世界でそこそこ、55くらいが世界でもかなり強い、
 57になると世界トップクラス(あるいはトップ)です。(能力値限界は57です)

284 :森崎名無しさん:2017/06/26(月) 01:36:23 ID:YSKRzbBQ


285 :森崎名無しさん:2017/06/26(月) 01:41:46 ID:Yt6Znly2

乙でした、兄貴……ギムレットには早すぎるよ

286 :森崎名無しさん:2017/06/26(月) 11:10:45 ID:YSKRzbBQ


287 :森崎名無しさん:2017/06/26(月) 11:11:47 ID:YSKRzbBQ
っと、すいません、誤爆しました
>>286は無視してください

288 :森崎名無しさん:2017/06/26(月) 11:11:54 ID:+G+PGw9I
A

289 :森崎名無しさん:2017/06/26(月) 11:17:38 ID:???
さとりはAに特化になったか
にとりは必殺セーブ型にして差をつけるのも面白いかな?

290 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2017/06/27(火) 00:05:50 ID:JoEvnqmM
〜エンディング〜

*****


――そんなワケで書き上がったあたいのネオ本格推理小説・『サトリピア連続殺人事件』は、
イギリスの栄誉ある推理小説コンクールで賞を総ナメ……するどころか、なんと一次予選すら通過しなかった。

「当たり前でしょう。まず、タイトルがおかしいですし。サトリピア要素も連続殺人要素も無かったじゃないの」
「いやぁ。これはアレですよ。ミスリードっていうか、タイトルから読者を騙していくスタイルっていうか」
「どう見てもミスリードじゃなくて、あんたの気まぐれだってのがバレバレよ……」

矢車を巡る一連の事件を終えてもなお、さとり様はいつも通り愛想が悪い。
そんなんだから皆に嫌われるんだと思うけどな。何だかもったいないよ。
――と、そんなあたいの心が伝わったのだろうか。さとり様は少しだけ表情を緩めて。

「けれど。まぁ……始めて小説を書いた割には、良く出来てるんじゃないかしら?
 いきなり賞を目指すのは早計だけど、千里の道も一歩から。
 このまま書きたい事を、伸び伸びと書いていくこと。それが、上達の秘訣とも言うし」

比較的優しい笑顔でそう言ってくれた。やっぱり、前と比べて変わったかも。

「でも、イギリス旅行もあと僅かですねぇ。次はブラジルだっけか。
 あの病院のお姉さん、元気にやってるかなぁ」
「病院のお姉さん……鈴仙さんの事ですね。私も、あの子の事は嫌いじゃありません。
 いつもひた向きで一生懸命なのは、良く伝わって来ますから。……どこかの誰かと違ってね」


291 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2017/06/27(火) 00:07:41 ID:JoEvnqmM

――前言撤回。やっぱりこのお方の皮肉屋毒舌っぷりは、そう簡単に治るモンではない。
まぁ。その内心が分かっている身としては、可愛いんだけれど。
寂しがりやで構われたがり。だけど人と接する事は苦手。そんな不器用さが、さとり様の良さなんだから。

「……………」

……イタタ、足踏まれた。

「――そ、そういや。あの試合からの練習はどうでした? 安定型のGKを目指して、
 ひたすらフィジカルトレーニングに励んだとか聞いてましたけど……」

こうなったら話題を逸らすしか、赤面めんどくさモードのさとり様から逃れる術はない。
そしてさとり様もこのまま引きずるのはもっと恥ずかしいと踏んだのか、
これまでの会話もあたいの内心も無かった事にして。

「そうですね。……ええ。私もいくつか収穫がありました」

――と、練習の成果を語って下さった。

292 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2017/06/27(火) 00:10:05 ID:JoEvnqmM
先着2名様で、

★さとりのせりあい特訓→ ! dice + ! dice +(ボーナス+1)=
 さとりのセーブ力特訓→ ! dice + ! dice +(ボーナス+1)=★
★さとりの最大ガッツ特訓→ ! dice + ! dice +(ボーナス+1)=
 さとりの必殺セーブ特訓→ ! dice + ! dice +(ボーナス+1)=★

と書き込んで下さい。カードやダイスの結果で分岐します。

せりあい特訓→10以上でせりあい+1、スキル・とびだし+5習得(既存のスキル・とびだし+2が成長)
          5以上でせりあい+1、スキル・とびだし+4習得
          2以上でせりあい+1、スキル・とびだし+3習得

セーブ力特訓→10以上でセーブ力+2、スキル・PKストッパー習得
          5以上でセーブ力+2
          2以上でセーブ力+1

最大ガッツ特訓→10以上でガッツ+75
           5以上でガッツ+50
           2以上でガッツ+25

必殺セーブ特訓→10以上で「光を掴みます!」の威力+1
           5以上でフラグ習得

*矢車に勝利したため、さとりの全判定にボーナス+1がついています。

293 :森崎名無しさん:2017/06/27(火) 00:11:31 ID:???
★さとりのせりあい特訓→ ! dice + 3 +(ボーナス+1)=
 さとりのセーブ力特訓→ ! dice + 2 +(ボーナス+1)=★

294 :森崎名無しさん:2017/06/27(火) 00:13:06 ID:???
★さとりのせりあい特訓→ 6 + 3 +(ボーナス+1)=
 さとりのセーブ力特訓→ 1 + 3 +(ボーナス+1)=★

295 :森崎名無しさん:2017/06/27(火) 00:14:53 ID:???
★さとりの最大ガッツ特訓→ 5 + 2 +(ボーナス+1)=
 さとりの必殺セーブ特訓→ 3 + 4 +(ボーナス+1)=★

296 :森崎名無しさん:2017/06/27(火) 00:30:52 ID:???
ボーナスが上手く活きたね

297 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2017/06/27(火) 00:37:47 ID:JoEvnqmM
今日の更新はここまでにします。
描写に先立って、今度はお燐の成長プランも事前に投票したいと思います。(お燐の現能力は>>270)

☆お燐の練習コースを選んでください。
 先に2票入った選択肢で進行します。メール欄を空白にして、IDを出して投票してください。

A:ザ・コラプション−サイドアタッカーコース−
  コース概要:元々得意だった、サイド際の攻撃力上昇に特化したコースだっけか。
          ドリブル、シュート、パス。この三点に絞って爆発的に強くなっちゃうよ!
          ……元々スカスカだった守備はとんでも無い事になりそうだけど。ま、別に良いよね?
  主な上昇能力:☆特殊スキル(サイド際の攻撃能力強化)、☆ドリブル、☆シュート、パス

B:ライ・イン・ピース−サイドバックコース−
  コース概要:サイド際の職人になるべく、サイドバックとしての能力も身に付けちゃうよ。
          元々の伸びしろもあるから、全体的に万遍なく能力を鍛える事ができそうかなぁ。
          ……器用貧乏?良いんだよ、サイド際では器用万能になれるから!
  主な上昇能力:☆特殊スキル(サイド際の守備能力強化)、☆タックル、☆パスカット、☆ブロック、ドリブル、パス、シュート

C:ビー・オブ・グッド・チアー−運び屋コース−
  コース概要:サイド際に囚われず、ボールを下から上まで運ぶ事に特化してみようっと。
          タックルやパスカットでボールを奪い、ドリブルやパスでボールを運ぶ。
          で、アシスト成立時、味方のシュート力を上昇させる。それに必要な体力も磨く。
          自分で決めたりブロックしたりは出来ないけれど、一定の需要はあるよね?
  主な上昇能力:☆特殊スキル(アシスト○)、☆ドリブル、☆パス、☆タックル、☆パスカット、☆最大ガッツ

<参考:コース練習について>
・☆印は伸びやすい項目、△印は伸びにくい項目、?印は運で伸びが大きく変わる項目です。
 (能力値が高くなるにつれ、☆印が消える、△印が出来るなどが起き、伸び辛くなります。)
・コース練習では、能力値に加え、能力に応じた技の『フラグ習得・回収』も行われます。
・能力値の基準は大体、53くらいが世界でそこそこ、55くらいが世界でもかなり強い、
 57になると世界トップクラス(あるいはトップ)です。(能力値限界は57です)

298 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2017/06/27(火) 00:55:13 ID:???
>>285
乙ありがとうございます。
この台詞の元ネタの本は読めてませんが、さとり様と矢車には大人なハードボイルド感があってほしいですね。
>>289
さとりはPA内で滅法強い代わりに、基礎的なセーブ力やせりあいの限界がやや低めになっています。
にとりの成長プランについては、大技GKの他にも、さとりと同時運用できるDF特化という選択肢もあると思います。
この辺りで迷って頂けるようなバランスを組んでいきたいですね。
>>296
これでさとりのPA内飛び出し力は67、パンチングは61(PA内では66(1/2で+3か+4))になりましたね。
本スレの才レベルに換算すれば、PA内では常時威力85〜89のセーブ値が出せる化け物っぷりです。
一対一はもっとすごいです。コインブラ君でも負ける確率の方が高いです。

299 :森崎名無しさん:2017/06/27(火) 01:21:44 ID:86+ifRpw

乙です

300 :森崎名無しさん:2017/06/27(火) 10:28:47 ID:y2kd8zy6


301 :森崎名無しさん:2017/06/27(火) 13:07:50 ID:JGyRcXwE
B

302 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2017/06/28(水) 00:02:40 ID:SgxRIZBU
★さとりのせりあい特訓→ 6 + 3 +(ボーナス+1)=10
 さとりのセーブ力特訓→ 1 + 3 +(ボーナス+1)=5★
★さとりの最大ガッツ特訓→ 5 + 2 +(ボーナス+1)=8
 さとりの必殺セーブ特訓→ 3 + 4 +(ボーナス+1)=8★

「……そうね。とはいえ、体格もあるから、純粋な筋肉はあれ以上付かなかったわ。
 だけど、体幹のバランスを整えることと、とびだす時のポジショニングを理論立てて学習出来たのは大きかった。
 ――これなら、DFの人数が多い時は、自らとびだしてボールを奪う事も選択肢に入りそうです」
「成程。確かに言われてみれば、何となくガッシリしたような気もしますね。今のさとり様ならゴリラの群れに入っても違和感ないですよ」
「だから、なんであんたはいつも表現が大袈裟かつ余計なのよ。
 はぁ。紅魔館のメイドはあんなに瀟洒なのに。ウチの従者と来たらいい加減だし、主を敬う気はゼロだし……」

さとり様はわざとらしく溜息を吐く。これが凡百の従者だったらここで謝罪するなり靴を舐めるなりするだろうが、
あたいは別に何も気にしない。……いやいや、あたいが凡百以下のクソ従者って意味じゃないよ。
つまりあたいは、日頃のながーい付き合いのお蔭で、さとり様限定で読心能力を身に着けているという話だ。

「『でも、そんないい加減なお燐が傍に居てくれたからこそ、私は今こうして前を向いて居られるのよね』
 ……ですか。ふむ……照れますぞ」
「! お……お燐め。……地霊殿に帰ったら、灼熱地獄の燃料にしてやるんだから」

せっかくだから、物真似しながらさとり様の内心を朗読してみた。
(さとり妖怪は心を読むだけじゃなく、その内容を朗読してワンセットと聞いた事がある)
……こんな舐めた態度に対し、妖精レベルの罵詈雑言しか返せない。つまりこれは、やっぱり図星なのだろう。
悔しそうな視線を向けながら、さとり様は雑に練習成果を総括して、会話を強引に終わらせた。

「――話が脱線しましたけど。私はフィジカルを鍛えました。上手くいきました。ほら、これで良いでしょ?」

*さとりのせりあいが+1されました。54→55
*さとりがスキル・飛び出し+5を習得しました。(スキル・飛び出し+2はスポイルされました)
*さとりのセーブ力が+2されました。54→56
*さとりの最大ガッツが+50されました。775→825
*さとりが必殺セーブフラグを習得しました。

303 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2017/06/28(水) 00:04:08 ID:SgxRIZBU
「――で。かくいうあんたはどうなのよ。ここまで散々私を弄って来たんですから。
 さぞかし有意義なサッカー生活を送って来たんでしょうね」
「ええ、ええ。勿論ですとも。あたいがサッカーそっちのけでイギリス観光を楽しむような、
 そんじょそこらのチャラチャラした駄猫に見えますか!?」
「はい」
「むぐ。言いますねぇ、さとり様も」

仕返しだと言わんばかりに嫌味にニヤつくさとり様。だがしかし、この程度で笑顔を凍らせるあたいではない。
死体が微笑むのと同じように、あたいは笑顔を絶やさないのがモットーなのだ。

「じゃあ、こっちも報告しますね。あたいの成長っぷりに、びっくらこかないでくださいよ?」

と、取りあえず(相手が相手なだけに)100%見え見えのハッタリをかましてみたは良いものの。
さて。練習はどんな塩梅だったっけ。サイドバック路線を目指して練習に明け暮れたのは覚えているけれど。
その結果はどうだったかと言うと――。


先着3名様で、

★お燐の特殊スキル特訓→ ! dice + ! dice+(ボーナス+1) =
 お燐のタックル特訓→ ! dice + ! dice+(ボーナス+1) =★
★お燐のパスカット特訓→ ! dice + ! dice+(ボーナス+1) =
 お燐のブロック特訓→ ! dice + ! dice+(ボーナス+1) =★
★お燐のドリブル特訓→ ! dice + ! dice+(ボーナス+1) =
 お燐のパス特訓→ ! dice + ! dice+(ボーナス+1) =
 お燐のシュート特訓→ ! dice + ! dice+(ボーナス+1) =★

と書き込んで下さい。カードやダイスの結果で分岐します。
(結果表については次レス参照)



304 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2017/06/28(水) 00:06:08 ID:SgxRIZBU
特殊スキル特訓→10以上でスキル・サイドプレイヤーとスキル・サイドディフェンサー習得
          5以上でスキル・サイドプレイヤー習得、スキル・サイドディフェンサーのフラグ習得
          2以上でスキル・サイドプレイヤー習得

タックル特訓→10以上でタックル+2、「火焔の車輪」の発動率アップ
         5以上でタックル+2、「火焔の車輪」の発動率アップ
         2以上でタックル+1


パスカット特訓→10以上でパスカット+2、「ゾンビフェアリーカット」の発動率アップ
         5以上でパスカット+2、「ゾンビフェアリーカット」の発動率アップ
         2以上でパスカット+1

ブロック特訓→10以上でブロック+3、「死体繁華街」習得
         5以上でブロック+3、フラグ習得
         2以上でブロック+2

ドリブル特訓→10以上でドリブル+2、「キャッツウォーク」の発動率上昇
         5以上でドリブル+1、フラグ習得
         2以上でドリブル+1

パス特訓→10以上でパス+2、「旧地獄の針山」習得
         5以上でパス+1、フラグ習得
         2以上でパス+1

シュート特訓→10以上でシュート+2、「食人怨霊」習得
         5以上でシュート+1、フラグ習得
         2以上でシュート+1

*お燐の成長判定には、推理を当てた事に対する判定ボーナス+1がついています。

305 :森崎名無しさん:2017/06/28(水) 00:07:51 ID:???
★お燐の特殊スキル特訓→ 5 + 2 +(ボーナス+1) =
 お燐のタックル特訓→ 6 + 6 +(ボーナス+1) =★

306 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2017/06/28(水) 00:11:57 ID:???
……と、言ったところで今日の更新はここまでにします。
次回でさとりの章は終わりとなり、鈴仙の章もリオカップ準決勝・パルメイラス編に入ります。
>>299
乙ありがとうございます。

307 :森崎名無しさん:2017/06/28(水) 00:17:46 ID:???
★お燐のパスカット特訓→ 4 + 6 +(ボーナス+1) =
 お燐のブロック特訓→ 6 + 1 +(ボーナス+1) =★

308 :森崎名無しさん:2017/06/28(水) 00:39:51 ID:???
★お燐のドリブル特訓→ 2 + 5 +(ボーナス+1) =
 お燐のパス特訓→ 5 + 2 +(ボーナス+1) =
 お燐のシュート特訓→ 2 + 2 +(ボーナス+1) =★

309 :森崎名無しさん:2017/06/28(水) 00:49:20 ID:???
全部5以上で10以上も2つか
良い結果になったね

310 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2017/06/28(水) 01:02:30 ID:???
すみません、寝る前に気付いたのですが、
タックルとパスカットについては5以上の結果と10以上の結果が同じになってました。

これでは勿体無いですので、後付けですが、
「お燐はタックル・パスカットについてそれぞれフラグを習得」という扱いにしたいと思います。
大変失礼しました。
>>309
お燐はそもそも勧誘のきっかけになった特訓イベントでも大成長してますし、持ってますね。
バランス良く成長したお蔭で、ことサイド際においては脅威的な存在になったと思います。

311 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2017/06/29(木) 23:16:03 ID:???
★お燐の特殊スキル特訓→ 5 + 2 +(ボーナス+1) =8
 お燐のタックル特訓→ 6 + 6 +(ボーナス+1) =13★
★お燐のパスカット特訓→ 4 + 6 +(ボーナス+1) =11
 お燐のブロック特訓→ 6 + 1 +(ボーナス+1) =8★
★お燐のドリブル特訓→ 2 + 5 +(ボーナス+1) =8
 お燐のパス特訓→ 5 + 2 +(ボーナス+1) =8
 お燐のシュート特訓→ 2 + 2 +(ボーナス+1) =5★

「ええっと、どうだったかな。練習のし過ぎで何だか記憶が曖昧でして」
「――いいえ、別に言わなくても良いわ。……よく頑張りましたね、お燐」

いや。聞かれた時点でどうやらさとり様の術中に嵌っていたらしい。
まいったな。あんまり努力とか恥ずかしくて嫌いだったから黙ってようと思ってたけど、
心を読まれちゃあ意味がない。

「――べっつに。あたいは、さとり様に置いてかれたくなかっただけです。
 いんや、さとり様だけじゃあない。お空も、こいし様も。みーんな、揃いも揃って凄い人達ばかりだもん。
 あたいだけが普通の化け猫だったら、何時の間にか、また誰もいなくなっちゃいそうで……」

だったら、先にクソ恥ずかしい本音を口に出しておいた方が、まだ受けるダメージは少ない。
今の自分の顔がどんな状態かは想像したくもないけれど、あたいは久しぶりに、素直な感情を吐露した。
そしてそれを、さとり様はからかう事も嘲笑う事もしない。

「ふふ……大丈夫です。私は最初から分かっていますよ。貴女が笑顔を絶やさないのも、いつも素直じゃないのも。
 ……怖いのよね? 他者から拒絶される事が、どうしようも無く。
 死体を持ち去る忌み嫌われし妖怪が、そうした感情を持つ事の滑稽さは別として。
 貴女は誰より、友人を、仲間を。……そして、主を失う事を、恐れている」
「……………」

312 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2017/06/29(木) 23:17:31 ID:???
あたいの脳裏に、あの日の事が蘇る。……今からすると大分前、お空が八咫烏の力に目覚めた、あの日の事だ。
神の力を得て、地上を侵略すると公言して憚らない親友を前に、あたいは二つの恐れを抱いていた。
一つは、調子に乗ったお空の悪事がさとり様にバレ、殺されてしまうこと。
そしてもう一つは……仮にさとり様がお空を許したとしても。
この旧地獄で得たはじめての友達が、自分とは、遠い場所に行ってしまうことだった。

「……お燐」
「ええ」

……さとり様は、嫌が応にも人の感情が流れ込んで来るらしい。望もうとも、望まざろうとも。
そして当然、流れて来るのは望まざる感情が多い。だけど……さとり様は、こうも話した事がある。

「貴女は誰よりも軽薄で傍若無人に見えるけれど、本当は誰よりも繊細で仲間想いな子。
 ……それを知る事ができたのは、私が嫌われ者の覚妖怪だったから。
 だとすると。……人の心を読める事も、存外に悪い事ばかりじゃありません」
「……ええ」

ああ、駄目だ。練習結果を報告しただけなのに、最悪にカッコ悪い顔になっている。
――やっぱり、いくら毒舌と皮肉を磨いても。この人には絶対勝てないなぁ……。


*お燐がスキル・サイドプレイヤー(サイド際でボール所有時、全能力+2)を習得しました。
*更に、お燐がスキル・サイドディフェンサーのフラグを習得しました。
*お燐のタックルが+2されました。51→53
*更に、必殺タックル「火焔の車輪」の発動率が1/2に上昇しました。
*お燐のパスカットが+2されました。53→55
*更に、必殺パスカット「ゾンビフェアリーカット」の発動率が1/2に上昇しました。
*お燐のブロックが+3されました。50→53
*お燐のドリブルが+1されました。53→54
*お燐のパスが+1されました。54→55
*お燐のシュートが+1されました。51→52
*お燐がせりあい以外の能力値について、フラグを習得しました。

313 :森崎名無しさん:2017/06/30(金) 00:09:57 ID:???
サイドアタックは元からあったし、かなりえぐいことになりそうだな
サイドプレイにおいては

314 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2017/06/30(金) 00:58:25 ID:???
――そんな時だった。コンコンと借り住まいのドアが音を立て、ガチャリと開け放たれる。
あたいが慌てて目をゴシゴシ拭うとそこには、二つの人陰が立っていた。

「やっほー、お姉ちゃん」
「どうも」

その二人は……さとり様が自らの試練を乗り越えた証であるとも言えた。

「あら。こいしと……松山君。よく来てくれたわね」

小柄で儚げで愛らしい、しかし一方で目に見えぬ狂気を湛えた少女。
さとり様が愛するたった一人の愛妹――こいし様が、
同じくイングランドで修練を積んだかつての居候・松山君を引き連れてやって来たのだ。

「あれ、お燐って泣いてる?」

そして、思慮深き姉と違ってこいし様は天真爛漫――悪く言えば空気を読まない。
あたいの事なんて放っておけばいいのに、今に限ってそんな事を言って来るんだから。

「あっ、さとりさん。……そのシルバーのネックレス、似合ってますよ」
「…………」

が。こいし様の幼さ故のKYさとは異なる、大人の善意と真摯さ溢れる、成熟し切ったKYがここにもう一人。
オイオイ松山くん。これ、一人称だからこそ敢えて描写しないでおいてあげたんだよ? さとり様の為にさ。


315 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2017/06/30(金) 00:59:30 ID:???
「……ええ。どうもありがとう」

さとり様はにべもなく微笑んでいるが、その内心は計り知れない。
……なんせ、今はもう存在しない、『空想上の友人』に贈りたかったプレゼントを、
さとり様はあの試合の日からずうっと、自分のトレードマークであるがごとく大事に身に着けているのだ。
が、松山光のKYっぷりはこんなものではない。

「やっぱり、さとりさんは兄貴の事を好きだったんじゃ……」
「う、うわぁー。会ってから数秒でそんな突っ込んだ会話、良くできるねー」

これには流石のこいし様も苦笑い。若干ドン引きしながら会話に耳を傾けている。
松山君のキックオフシュートに対して、さとり様はどこぞのラブコメ宜しく耳を真っ赤にして――。

「あ、それはないです」

――たりはせず、完全なる真顔で返してみせた。このお方、安易なツンデレほど嫌いな物はないって公言するだけある。
が。そうは言いつつも穏やかに、

「ですが。本来は貴方の中にしか存在しなかった空想上の友人が、幻想として存在して。
 そして……幻想と現実の境界が失われた今となっても、妹の能力を媒介して現れて。
 その付き合いの中で……あの人の孤独さに惹かれなかったと言えば、嘘になります」

恐らくさとり様なりの、正直な心情を告白してみせる。
こうしてみると、KYと覚妖怪とは相性がいいのかもしれない。互いにヘンな気疲れせずに、本音トークが出来ている感はある。

「俺達はそろそろ、空港に向かいます。……さとりさん達は?」
「ええ。私達も同じ予定です。目的地はブラジルですが」
「やったー! 私、シュラスコ食べたかったんだよねー」
「……こいしは帰りなさい。紅魔館のメイドが、貴女を幻想郷まで案内してくれると言っていたわ」
「ええーっ」

316 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2017/06/30(金) 01:00:36 ID:???
とはいえ、松山君達がここに現れたのは、そんな湿っぽい話をする為だけではなかった。
むしろ現実的。幻想郷と外界という隔てはあれども、あたい達4人はイギリスでは珍しい日本人(たぶん)。
お金やら足やら、ここまでの物語と比べたら超絶せせこましい世話の為だけに、一緒に空港まで行こうと言う話だった。
……もっとも、久しぶりに姉と会えたこいし様的には、すぐの別れに納得いかないようだったが。

「分かって頂戴、こいし。何も知らなかった貴女はともかく、私とお燐はかなりの危険を冒している。
 もしも私達の身に何かがあれば、お空は、地霊殿は。そして……旧地獄は、どうなるか分からない。
 こいし。家で引き籠っていなさいとは言わない。けれど――あなたには、無事でいて欲しいの」
「でも、そんなのつまんないよ。私もお姉ちゃんと一緒にサッカーしたいよー」

それが姉のエゴである事は、さとり様も重々承知だったろう。
そしてそれで簡単に折れるこいし様でもない。が。そんな少し困った空気を打ち消したのは、

「はぁ。……だったら、お兄ちゃんと一緒に日本まで行こうか?」
「うーん……お兄ちゃんがそう言うなら……」
「!?!!!???!」

――意外過ぎる事に、ここに来て以来空気を読めずにいた松山くんだった。
……というか、様子がおかしい。何故こいし様はこの元地獄少年に懐いているんだ?
確かに矢車が実体化したのは、こいし様の能力の影響が強いとは聞いていたけれど。
え? それが何かアレな影響を与えたとか? というか松山君、彼女いるって聞いたけど大丈夫なのか?

「……松山くん? 貴女、ウチのこいしに何を……?」

あたいはさとり様以外に懐かないこいし様が、松山君に懐いているのを驚いていたけれど。
この中でもっとも様子がおかしいのはさとり様である。いや、様子がおかしい理由は明白だけどさ。
これには流石の松山君も危機を察知したのか、

「い、いや。別に。ただ、前の試合の時! 俺の中で兄貴の人格が抜けたと思ったら、そばにはこの子がいて。
 それで、色々と面倒を見ている内になんか懐いて……い、イテテテテ!?」

317 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2017/06/30(金) 01:01:36 ID:???

慌てて取り繕っているが、時すでに遅し。

「ウフフ……? 如何に鍛えた人間と言えども、鳩尾を鍛える事は出来ませんからね。
 どうですか……恐怖のトラウマで、妹を誑かした事を一生後悔させてあげますよぉ……?」

せりあい力55スキル・飛び出し+5保有者のトラウマ攻撃(物理)が、松山君の痛覚を的確に刺激する。
これはヤバい。心が読めるだけに人が痛みを感じる部分についてヤケに詳しいぞこのお方。
引きこもり読書家やめて、プロレスラーに転向できるんじゃないか?

「ひ、ひいいっ! は、話せばなんとかなります、さとりさん! 俺は貴女に返しきれない恩だって……」
「恩があるからこそ、ですよ? さ、次は爪の間行きますよ……」
「そんなァ。俺はただ、光を掴みたかっただけなのにギャアアアアーー!」

……と、ふざけた感想は置いといてだ。こうしてジャレつく松山くんとさとり様を見て、真面目に思う事だってあるのだ。
覚妖怪とKYはウマが合うという持論を述べたあたいだが、更に……古明地さとりと松山光は、似た者同士なのではないか、と。
どちらも互いに一人のヒーローの影を追い求めた、というのあるけれど。
さとり様も松山君も、不器用で、生きづらさを抱えてて、幻想に閉じこもりがちな所があって。
だけどそれでいて、どうしようもないまでの理想家で、努力家で、暗闇に居ながらも、光を掴みたがっている。
あたいには、その生き方はしんどすぎて、到底真似をする事ができない。今あるものを守るだけで精一杯なんだから。

「でも。そうしないと、貴女が遠くに行っちゃうって言うんだったら。あたいだって掴んでみせますよ。
 日陰者や嫌われ者には丁度お手頃な。だけど充分眩しい――『白夜の光』ってヤツをさ」

……さとり様が松山くんをシメる事に夢中になっているのをいいことに。
あたいはとてつも無くクサい事を思いながら、今書いているこの手記の筆を一旦置く事にした。

318 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2017/06/30(金) 01:02:47 ID:???


        かくして、隠者は光を掴み、死を抱く歯車は自らの在り方を見出した。

        だが、それは忌み嫌われし二人にとっては始まりにしか過ぎない。

   彼女達は空を越え、海を渡り、大地を跨ぎ――そして、迷える少女を照らす光となるだろう。

            幻想の友は失せども、その思いは永遠に消えず。

           暗い暗い地獄の夢は今、輝ける楽園への礎となった。


                                             〜さとりの章・完〜

319 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2017/06/30(金) 01:09:49 ID:???



*****


〜イングランド・路地裏〜

幽香「想像の3割増しには下らない本だったわね。作者のドヤ顔がチラつく、馴れ馴れしくてうざったい文体が気になったわ」

『サトリピア連続殺人事件』と題された自費出版の古本を投げ捨てながら、
退屈そうに風見幽香は路地裏で倒れる男達を踏みつけるようにして歩く。
彼女は全幻想郷選抜メンバーに選ばれながら、紫や変なTシャツを着る謎のコーチの意向により、
イングランドでのサッカー修行を命ぜられていたのだが、
彼女は編入予定だったリヴァプールの選手を軒並み凌辱し尽くした後、
どこのチームにも所属せず、ストリートサッカーでその嗜虐性を満足させる日々を過ごしていた。

咲夜「――こんなところに居たのね。随分と探したわ」

……そして、同じく全幻想郷選抜メンバーに選ばれていたにも関わらず、
レミリアの独断専行により、先んじてイングランドに潜入していた咲夜の目的の一つ。
それこそが、風見幽香とのコンタクトにあった。

幽香「あら。誰かと思ったら懐かしい顔ね」

咲夜「別にそこまで懐かしくは無いと思いますけれど。……失礼。
    どうでしょうか。あの時のお嬢様からのスカウトについて、考え直してくれましたでしょうか」

幽香「……ああ。となると、リグルに声をかけていたのも貴女達だったという訳ね。
    ――で。結論から言うと……下らないわね」


320 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2017/06/30(金) 01:10:56 ID:???
両者ともに緊張を緩めず、互いに牽制する様子を隠さない。
一歩間違えれば殺し合いにすら発展しかねない、そんな危うさが二人を包む。
……が。それはほんの一瞬の事だった。そもそも彼女達の目的は暴力的な物では無い。紳士的な「話し合い」だった。

幽香「下らないけれど……。確かに、今の全幻想郷選抜の方が更に下らないかもしれない。
   紫は崇高な理念を唱え、幻想郷と博麗の巫女の尊さを訴えるけれど、私から言わせると、空虚すぎる。
   昔のあいつは、あんなんじゃなかったわ。
   ま、その時点で疑念はあったんだけど……今回の『選手派遣』で、その疑念は確信に代わったとも言えるわね」

咲夜「……と、言いますと?」

幽香「簡単よ。紫はイチャモンを付けて私達を海外に飛ばして修行と言っているけれど。
    これは私のようなアウトローな大妖怪を外に追いやり、あるいは庇護すべき相手を人質に取る作戦にしか見えないわ。
    より大きな、そして人道に欠く『何か』を為そうとする前段階として、ね」

咲夜「成程。そうであれば私達……いえ、お嬢様と同じ考えに、貴女も至ったという訳ですね。
    私達が今もこうして泳がせられているという、最大の不安要素はありますが」

幽香「あら。不安に思っていたの? 私は凄くウキウキする要素だと思っていたけれど。
    だって、これがもしも相手のミスであれば、その隙を突いて凌辱できるし。
    これがもしも相手の罠であれば、その罠を打ち砕いて凌辱できるじゃないの。どっちに転んでも最高だわ」

その嗜虐性、残虐性を隠さずに幽香は可愛らしく微笑む。
かつて謎の向日葵仮面として幻想郷を凌辱の恐怖に叩き落とした怪物は、自身を蔑ろにする部外者達の乱入に、
密やかなフラストレーションを溜め込んでいたのかもしれない。だからこそ、この局面において、漸く彼女は頷く。
他者に追従する事を嫌い、暴力と支配を愛する究極嗜虐怪物が、吸血鬼風情の考えた計画に乗ろうと決意した。

幽香「……ええ。良いわ。やっぱりその方が面白そうだもの。私も一枚噛ませて貰うわ、あんた達の計画――いえ。
    計画と呼ぶにも烏滸がましい。最高につまらない、一夜限りのお祭りにね」

その計画の全貌は未だ知れぬが、彼女が浮かべた最高の笑顔を見ると、
それが少なくとも人間にとって好ましい計画では無い事は、火を見るよりも明らかだった。

321 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2017/06/30(金) 01:17:16 ID:INDPpa2s
……と、言ったところで今日の更新はここまでにします。
次回からは、鈴仙の章に入りますが、その前にさとりとお燐の最終能力を載せます。
>>313
サイドに居続ける限りでは、お燐は地味に世界最高クラスのプレーヤーですね。
サイド以外でも悪くは無いですが、パッとはしない感じになると思います。
(ちなみにスキル・サイドアタックはスキル・サイドプレイヤー習得時にスポイルされています。もし勘違いしてたらごめんなさい)

【イギリス派遣メンバー 現時点での能力値】
選手名   ド  .パ シ タ  カ .ブ  せ  総  高/低 ガッツ
さとり    49  48 48 48 48 47 55  343 2 / 2  825 セーブ力56
お燐    ..54  55 52 53 55 53 47  369 1 / 2  730

〜必殺技・スキルリスト〜
   さとり
パンチング61、キャッチ58
所持中のフラグ:必殺セーブ
光を掴みます!(1/2でセーブ+3(敵リード時はセーブ+4))
スキル・覚妖怪(PA内のシュートについてセーブ・とびだし・一対一+5、読み違え発生しない)
スキル・とびだし+5
スキル・一対一+3
スキル・想起(相対する選手の知り得る技をコピーして使用可。その技に使用するガッツの1.5倍を消費)

    お燐
所持中のフラグ:サイドディフェンサー、ドリブル、パス、シュート、パスカット、タックル、ブロック
キャットランダムウォーク(1/4でドリブル+5)
キャッツウォーク(1/4でドリブル+3)
スプリーンイーター(シュート+5)160消費
火焔の車輪(1/2でタックル+3、吹飛2)
ゾンビフェアリーカット(1/2でパスカット+3)
ゴーストブロック(1/4でブロック+4、コーナーキックの時は+6)100消費、
ゴーストタウン(1/4でブロック+6、コーナーキックの時は+8)150消費を習得しました。
スキル・サイドプレイヤー(ライン際に居る時、全能力+2)

322 :森崎名無しさん:2017/06/30(金) 02:13:54 ID:???
乙でした
まあさすがに重複したらドリブルがヤバイことになるからね

323 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2017/07/01(土) 16:48:00 ID:???
文章パートのみですが、更新再開します。
>>322
乙ありがとうございます。
重複してない現時点でもお燐はかなり強いですし、これで重複だったら流石にヤバいです(汗)

324 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2017/07/01(土) 16:49:12 ID:???
−鈴仙の章C− 〜VS パルメイラス〜

〜回想シーン〜

少年にとって、あの年上の女性は憧れだった。日系を思わせる綺麗な黒髪に、ごく薄く日焼けした肌。
全体的に成熟しきった大人の雰囲気を纏っているのに、その瞳は子供のように、あどけなさと好奇心に光っている。
そして何より――彼女は、少年がサッカーに懸ける人生を歩めるに至った、最大の恩人でもあった。

アヤソフィア「……入団テストに落ちそうなんですか。だったら、一緒に練習しましょうか。
        今なら、本物のサッカーボールだってあげちゃいますよ」

カルロス「いいの……?」

――少年の名はカルロス・サンターナ。
彼が後にここフラメンゴで才能を開花させ、引いては南米随一の選手になる事を、
この時はアヤソフィアを含め、誰一人として知らない。

アヤソフィア「勿論ですとも、天狗はウソをつきません。
        ――ただし。一緒に練習をするには、ひとつだけ交換条件があります」

カルロス「交換条件……僕、お金持ってないよ。ここまで来れたのも、今まで頑張って働いて。
      父さんと母さんも応援してくれたからだったし……そ、それなのに……もしダメだったら……ううっ」

現に、今のカルロスは自分で話した通り、名門チームの入団テストを受けに遥々上京したが、
夢儚く散りゆく、どこにでも居るブラジルの平均的な少年の一人に過ぎなかった。
正確にはこの時点でもその才能と実力は抜きんでてはいたが、それでも、
早熟ながらその才能を活かしきれず埋没する少年は掃いて捨てる程いたため、彼は特別ではなかった。


325 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2017/07/01(土) 16:50:37 ID:???

アヤソフィア「あ、あややややーっ! 泣かないでください泣かないでなーかーなーいーでっ!?
         いたいけな子供から金品をせびろうとする程、私も落ちぶれちゃいませんって!
         ひいいっ、回りの大人の目線が痛いーっ!?」

周囲のスタッフがアヤソフィアに怪訝な目を向ける中、それを否定するように彼女は続ける。

アヤソフィア「コホン。……で、交換条件って言っても、お金とかじゃないです。
        ズバリ、ええーっと、カルロス……くんですか。胸の名札にそう書いてあります。
        キミがこのチームに入団した暁には、私の弟くんのオトモダチになってあげてほしい。
        ――ただ、それだけの事なんですよ」

カルロス「オトモダチ……? 本当に、それだけでいいの?」

アヤソフィア「ええ、そうですよ。というか今日にしたって、私は弟くんのお迎えのために、
         わざわざ仕事を切り上げてここに来た位なんですからね」

外見上の年齢よりも幼さを感じさせる、アヤソフィアの悪戯っぽい笑みを見て、
カルロス少年はその警戒心を幾分か和らげていたようだった。

カルロス「うん! わかったよ。僕、お姉ちゃんの弟くんとトモダチになる!」

アヤソフィア「おやおや……入団した暁には、という話だったのに、もう入団できた前提で話してますね?
        それだけ前向きなキミなら大丈夫だ。ようし、お姉ちゃんが人肌脱いじゃいますよ!」

そしてアヤソフィアもまた、打算の無い満面の笑みでカルロスに頷き――練習を開始した。
アヤソフィアが準備しておいたボールをひったくると、カルロスは無邪気に問いかける。

326 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2017/07/01(土) 16:55:30 ID:???
カルロス「ねえ、お姉ちゃんはの名前も教えてよ!」

アヤソフィア「ええ。私はしゃめ……じゃなくって、アヤソフィアです。
        気軽に『アヤお姉ちゃん』とか呼んでくれて構いませんよ?(だったら本名と同じで楽だし)」

カルロス「アヤソフィ……? 何だか、珍しい名前だね。
      アヤソフィ……アヤソファ……わかった、アーサーだ! よろしくね、アーサーお姉ちゃん!」

アヤソフィア「う、うえぇえっ? そりゃあ流石に無理がありませんか? っていうかアーサーって男の名前ですし。
        私、これでも花も恥じらう乙女なんですけどっ!?」

カルロス「えっへへー。だってその方が面白いじゃん! それじゃ、一緒にパス練習しよう、アーサーお姉ちゃん!」

ダッ!

アヤソフィア「あやや、話を聞こうともしない。全く、これだから子どもは……ぶつぶつ」

子供特有の理不尽で不条理なあだ名に不満を抱きつつも、その顔は素直な笑みを湛えている。
それは、これまでの長い天狗としての生活でも、未だ日の浅いブラジル人としての生活でもする事のできなかった、
彼女にとって貴重で、大切な感情の一つだった。

アヤソフィア「(……でも。これできっと良くなる。カルロス君もそうだけど。
         彼がトモダチになってくれれば、アルツール君だって、これまでよりずっと楽しく、サッカーができるようになる筈。
         ……きっと、こうした方が良いに決まってるわ)」

――アヤソフィアは満足気に頷き、カルロスを追いかけていった。
……この時、彼女はまだ知らない。
自分自身の善意の数々が、後により多くの悲しみを呼ぶ結果へと繋がってしまう事に。

327 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2017/07/01(土) 16:56:42 ID:???
〜回想シーン終了〜

カルロス「……あの時の想い出は、俺にとって何よりも尊く、何よりも掛けがえの無いものだった。
      結局あれから行えたのは計画的な『練習』ではなく、『遊び』と呼ぶにふさわしいものだったが。
      それでも。アーサーお姉ちゃんは、俺にサッカーボールの感覚を教えてくれただけじゃない。
      入団テストに合格するため、結果を出す事に焦っていた俺に、
      ボールを通して人と人が繋がり合う面白さ……サッカーの楽しさを、思い出させてくれたんだ」

アヤソフィア「……カルロス君はその後のテストで伸び伸びとしたプレーができ、
        その才能を如何無く発揮したそうですな。はてさて、私のきまぐれも、案外大したことあるんですねぇ」

鈴仙達プロジェクト・カウンターハクレイの目指す目標:全幻想郷選抜撃破の為の第一歩でもある、
ブラジルサッカーの登竜門・リオカップ。
その準決勝であるフラメンゴの試合が終わり、観客が帰っていった無人のスタジアム。
そこにカルロスとアヤソフィア――そして鈴仙は立ち尽くしていた。

鈴仙「ちょ、ちょっと待ってよ。アヤソフィア……いや、もう面倒だから本名で聞くけど。射命丸!
    あんたは、昔にもブラジルに居た事があるの!?」

アヤソフィア「私の事はアヤソフィアでお願いします、鈴仙さん。
         詳細は後述しますが、少なくともこの地において、私は射命丸文としてではなく、
        アヤソフィアという名のブラジル人として在りたいと思っているのでね」

アヤソフィア――射命丸文が語った内容。自分はかつて、ブラジルの地に来た事があり、
当時のカルロス・サンターナと出会っていたという事実は、鈴仙を驚かせるに充分だった。
そして、良くも悪くも軽薄に見えた彼女の豹変の理由が、その事実と関連している事は明らかだった。

328 :森崎名無しさん:2017/07/01(土) 16:58:01 ID:???
なんだ射命丸って案外大したことあるんだな

329 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2017/07/01(土) 16:58:34 ID:???
鈴仙「後述って……一体何があったって言うのよ。あんたとカルロス君。そしてブラジルとの間に。
    それて、今のあんたの虚無的な態度にも関係してるの……?」

カルロス「……あなたの素性は一旦置いておくとしても、俺も聞きたい。
      俺の入団テストの日から今までに、何があった? 何があなたを変えた?
      少なくとも、今のあなたは――俺が知るアーサーお姉ちゃんではない」

だからこそ、鈴仙もカルロスも聞きたかった。彼女は今、何を想い、何を目指しているのか。
決して自分の本心を曝さないアヤソフィアの真意を問いただしたかった。
しかし。真剣な表情の二人に反し、アヤソフィアは残酷に嘲笑い、

アヤソフィア「あやや。何があった? と言われましても、それはごくごく明白ですよ? ねぇ、鈴仙さん。カルロス君?」

そう言い放つのみに過ぎない。とはいえ、これには鈴仙も反撃の準備があった。

鈴仙「勿体ぶって話さずとも。どうせアレでしょ?『射命丸って案外大したことなくね?』って皆に言われ続けて、
    そのせいで腐ってブラジルでクダ撒いてただけなんでしょ?」

――そもそも、鈴仙は知っている。今でこそ思わせぶりな態度を見せているアヤソフィアだったが、
その恐らくの理由は、極めて陳腐かつ下らないものである事を。そしてここまでシリアスさをかもし出して来た本人すらも、

アヤソフィア「やめろォ!」

――と、綺麗なまでのお約束をもって、自らの手でシリアスをぶち壊してみせる。

鈴仙「……ほら。どーせそれがトラウマで拗らせただけなんでしょ」

アヤソフィア「う、うぐぐぐ……ま、まあそれも若干は否定できませんが! 若干は! 否定できませんが!!」

330 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2017/07/01(土) 16:59:52 ID:???
――アヤソフィア、いや射命丸には悪いが場が白けてしまった気がするも、罪悪感はない。
何故なら、もしそれが原因でアヤソフィアが虚無的思考に陥った所で、それは完全に自己責任なのだから。
むしろ、はたてや椛と言った彼女の盟友達は堕落する射命丸を何度も支えて救っている。
そんな彼女達の想いを知って、一時はサッカーへの意欲を復活した時期すらあるのだから、
ちょっとした気の持ちようで再びネガティブに落ちるのは、ますます迷惑である。

鈴仙「まぁ……気持ちは分からなくはないけれど。
   別にそういう相談だったら、私だってしてあげられると思うし――」

結論として、フラメンゴ戦でも目立った活躍ができなかった射命丸がゴネているだけ、と判断しかけた鈴仙は、
試合での疲れを癒すべく。そして何だかんだで引き続き仲間であり続けるであろう射命丸を引き戻す為にも、
一旦この場における話を切り上げようとしたのだが。

カルロス「……まさか」

鈴仙「?」

カルロスは今の鈴仙の話を聞いて、笑う事も納得する事もなく思考を巡らせていたようであり
――そして、気付く。彼女が心に頂いた闇の正体と、その深さを。
鈴仙がそこに居る事すら気に留めず、彼女の胸元近くまで詰め寄って、そして……こう話す。

カルロス「……アーサーお姉ちゃん。もしかしてあなたは、復讐を考えているのか。
      『案外大したことない』と喚く暴徒の手により、人生を滅茶苦茶にされた、
     あなたの義理の弟であり、俺の親友でもあった……アルツールの!?」

これに対し、アヤソフィアは答える代わりに続きを語り始めた。
彼女がサッカーを憎悪し、復讐を決意する事に至るまでの喜劇と
――その喜劇の裏に隠されていた、悲劇的な真実を。

331 :森崎名無しさん:2017/07/01(土) 17:05:33 ID:???
(え、シリアス案件?『射命丸って案外大したことなくね?』ってネタにしずらくなるの?(汗))

332 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2017/07/01(土) 17:11:23 ID:???
一旦ここまでにします。続きはできれば夜にやりたいです。

システム的なアナウンスですが、このイベント終了後をもって、
リオカップ序盤の鈴仙を支えてくれていたアヤソフィアがチームから永久離脱します。
ただ、これはJOKERが出る級の何かが起きない限りは規定路線として考えていたイベントのため、ご了承ください。

>>328
流石に本家コインブラ君程ではないですが、
かなり大したことある強さになって鈴仙の前に立ちふさがる予定です。
>>331
詳細はネタバレになるので言えないですが、最終的にはシリアスな雰囲気をしたギャグになると思います。
自分としては、シリアスでも最終的にある程度中和されれば、ネタにしづらくなることは無いと思っていますが
この辺りは受け取り方もあるので微妙かもしれません。


333 :森崎名無しさん:2017/07/01(土) 18:10:37 ID:???
コインブラもそういえばオールスターもブラジル戦も思ったほど大した活躍をしていなかったような・・・

334 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2017/07/02(日) 01:31:06 ID:???
更新再開します。
>>333
言われて読み返しましたが、ブラジル戦はまだボールキープ成功してたり、
若林相手にゴール決めたりしてましたがそれでも意外と勝ってなく、オールスター戦は更に活躍が無かったですね…
(特にオールスター戦は)周囲のレベルも高すぎたので仕方ないかもしれませんが。

そしてリーサルツイン前の回想シーンで、コインブラ君とカルロスの練習シーンが描かれてましたが、
それと比べて随分カルロスを幼く描写してしまったかもしれません(汗)
この辺りについては、同年代の男子では無く、年上の綺麗なお姉さんに声を掛けられて緊張した等、
脳内保管して頂ければと思います。キャプ森本スレは読みこんでるつもりでしたが、まだまだ読み込みが足りませんね…

335 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2017/07/02(日) 01:32:51 ID:???


〜回想シーン〜


ビュンッ! シュンシュンッ、シュパァッ!

アルツール「へへっ、すげーだろ姉ちゃん! 俺の『高速ドリブル』! これさえあれば、次の試合も俺がMVPだよな!」

アヤソフィア「あややっ、そりゃあ勿論。とはいえ、何時だって弟くんがお姉ちゃん的にはナンバーワンですがね!」

アルツール「や、やめろよー。照れるじゃねーか。あはははっ! ようし、次はシュートの練習だ!
        ちゃんと見ててくれよな、アヤお姉ちゃん。この俺の『マッハシュート』!」

アヤソフィア「マッハシュート……ああ、例の新技でしたな。期待してますよ!」

貧富の差が拡大しているブラジル・サンパウロ市内の中でもとりわけ薄汚れた貧民街の一角。
忙しそうな労働者達が疎まし気な視線を送る中、アヤソフィアは少年とのサッカーに興じ、ニコニコとした笑顔を送り続ける。
その笑顔の中――彼女は内心で溜息をついた。

アヤソフィア「(はぁ……半分以上は自業自得とは言え。私、何してるんだろ)」

アヤソフィア――射命丸文は、千年を生きた幻想郷の鴉天狗であるが、
その年齢に反して、少なくとも組織内では順風満帆とは言えなかった。

アヤソフィア「(はぁーあ。ブラジルで政変があった。日本。ひいては幻想郷の経済にも影響を及ぼす可能性がある、よ。
         そんなモン、影響あるわけないじゃない! 上の方々は、とりあえず『何かやった感』を出して、
         アリバイを作っておく事に必死なんだろうけどさ……)」


336 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2017/07/02(日) 01:34:28 ID:???

根は生真面目で融通が利かず、組織の和に従ってはいるが上には決して媚びを売らない。
天狗にしては珍しいタイプの彼女は、『特命任務』と称し、必要なのかどうか分からない業務に従事させられる事が多かった。
彼女が今こうして、11歳の少年と戯れているのも、その業務の一環だった。

アヤソフィア「(『アヤソフィア・アントゥーナ・コインブラ。18歳。病気がちの養父と、
          未だ幼い弟の生活費を稼ぐために新聞配達とバーのアルバイトをこなす傍ら、
          ジャーナリストを目指して写真と記事を編集社に寄稿しては落選している。』
          ……何なのよ、この設定)」

幻想郷を離れた外の世界には当然、天狗など存在しない。
万一存在したとしても、幻想が科学によって否定されたこの世界において、
幻想郷の内部と同じような神通力を発揮できる訳がない。
このブラジルの地において、誇り高き天狗である射命丸は、その設定通り、
ただの18歳の人間の小娘として、情報を仕入れ大天狗達に報告せざるを得なかった。

アルツール「くらえ、『マッハシュート』!」

グワァァッ! バギュウウウンンッ! キラキラキラッ……シュンッ!

アヤソフィア「なにィ!? ボールがきえた!?」デデデデデン!←2の初マッハシュートの時の演出SE

……そのため、彼女は『設定』に準じる必要がある。そうでなくては怪しまれ、
怪しまれれば自らを守る術はなく、自らを守る術がなくては、他に守ってくれる者もいないからだ。
アヤソフィアは弟思いの姉という設定に忠実に、楽しげに笑いながら弟のサッカー遊びを見守っていた。

337 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2017/07/02(日) 01:36:59 ID:???

アルツール「……なあ、アヤお姉ちゃん。俺、スーパーストライカーになれるかな。親父が昔そうだったみたいにさ」

アヤソフィア「ええ。勿論できますとも。私が仕込んだ『高速ドリブル』も、『スピードタックル』も。
        弟くんはあっという間にモノにしてしまいました。……この年齢で、です。
        きっと、10年後……ううん、それよりもっと早くには、間違いなくプロ入りしてるでしょう」

アルツール「あたり前だっての! その位じゃねーと、むしろプロじゃやってけないぜ!」

アヤソフィア「おやおや頼もしい。ですがそれも、きちんとした日々の努力あってこそ、ですよ。
        そうでなければ、折角の才能も台無しですから」

アルツール「それも分かってるってば! んもー、お姉ちゃんまで親父と同じ事ばかり言うんだからな!」

幻術をもって、ごく平凡な貧しい家庭に紛れ込んだアヤソフィアだったが、
偶然にも、この家庭が特別なものであった事を悟ったのは暫くしてからだった。

アヤソフィア「(伝説のスーパーストライカー・ジャイロ……そして、その養子アルツール。
         彼らのサッカーに関する素養は間違いなく最高であり、天才的。
         それこそ、人間の身でありながら鬼や天狗の域にまで達し得る程に)」

アヤソフィアの養父という設定の壮年男性は、現在こそは体調を崩しがちではあるが、
かつては国内きってのストライカーであり。そして、その養子もまた、彼の教えの元で高い基礎能力を有していた。
天狗としての能力の殆どを失いつつも、足の速さには自信のあったアヤソフィアだったが、
それを自慢した数日後、アルツールはその足の速さを活かしたプレーを全て自分の物にしていた。

338 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2017/07/02(日) 01:38:13 ID:???
アルツール「――俺。アヤお姉ちゃんにはホントに感謝してるんだ」

アヤソフィア「……あや?」

――ある日、強気な彼が珍しくそう漏らした事がある。
この奇妙な姉弟関係が始まってから、恐らく数か月程が経った頃だろうか。
その日は確か、フラメンゴのデンチ・デレイチ部門の入団テストを翌日に控えた日
――つまり、アルツールがフラメンゴのデンチ・デレイチに入団してから、1年が経とうとしていた時だった。

アルツール「……俺、チームに入ってばかりは、全然サッカーが楽しくなかったんだ。
        皆、俺がうますぎるからって、化け物を見るような目で見てさ。
        友達も一人も出来なかったし、それに、上手くできても誰も褒めてくれなかった。
        親父は居たけど、体調を崩しがちだったからグラウンドまでは来てくれなかったし」

アヤソフィア「(そう……でしたね)」

アヤソフィアは良く知っている。この家の養女として彼と初めて出会った時の寂しい瞳を。
望まないにも関わらず他者から疎んじまれ、友人を失い続けて来た、人を信じる事のできない孤独な光を。
そんな彼と、上司から疎まれ閑職を強いられる自分とに、都合の良い共感を覚えただけだったのかもしれないが。
――彼女は、何時の間にか、設定ではなく心から、アルツールを弟として案じるようになっていた。

アルツール「だけど。アヤお姉ちゃんが来てからは変わった。相変わらずチームの皆とは上手くいかないけれど。
        でも、サッカーで上手く行ったら、誰よりも喜んでくれたし、上手くいかなかったら一緒になって悲しんでくれた」

アヤソフィア「上手くいかなかったとき……ああ、先月の試合でしたか。確かにあの時は、失敗が多かったですねぇ」

339 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2017/07/02(日) 01:39:54 ID:???
アルツール「アイツら、その時はもっと酷かった! 普段は俺が上手くて文句を言うくせに、いざ失敗したら馬鹿にしやがる!
        『アルツールって案外大したことなくね?』って笑って来やがるんだ! 本当に殴ってやろうかと思った!」

アヤソフィア「でも、それで殴らなかった弟くんは立派でしたよ? 私は腹が立って『やめろォ!』って連呼してましたけど」

アルツール「ハハハ……。でも、俺が殴らなかったのは、そうやってアヤお姉ちゃんが代わりに怒ってくれたからだよ。
        自分は一人じゃない。誰かが自分の傍に居てくれるんだって。
        ……そう思うだけで、サッカーが楽しいって思えるようになれた。本当だよ。
        あと、お姉ちゃんが親父の面倒を見てくれるお蔭で、体調も良くなったって言ってたし。
        今度の試合があれば、自分も俺の活躍を見に行きたいって言ってくれた!」

アヤソフィア「(本来、この少年と私は関わりあう事は無い。彼は現実に生き、私は幻想に生きる身だから。
         もしも、私という幻想が無ければ、彼はきっと潰れていたかもしれない。いや、彼だけじゃない、彼の養父も……。
         ――だから、これはきっと、良かった事なのよね)」

そして、アルツールもまた、アヤソフィアの影響を受け、本来の真っ直ぐで素直な少年へと戻りつつあった。
彼の才能への妬みからくる陰湿な虐めは続いていたが、それを理由をサッカーを嫌いになり、
力を得る事に対し虚無感を抱くような事態にはならないでいた。

アルツール「明日、入団テストなんだ。……俺と同い年や年下、ひょっとしたら年上の奴が、
        新しくチームに入ってくると思う」

アヤソフィア「入団テスト、ですか。弟くんは、去年のテストで合格したから……後輩ができるんですね?」

アルツール「後輩とか、そんなんは関係ないって。実力があるヤツが無いヤツよりも上ってだけで、
        年齢は、デンチ・デレイチとかジュベニールとかを分けるだけでしかないし」

アヤソフィア「うーむ。そんなもんなんですねぇ」

アルツール「そんなもんだって。シロートは口突っ込むんじゃねえよ。
        そもそもデンチ・デレイチって言っても一言では言えなくてだな……」

340 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2017/07/02(日) 01:41:10 ID:???
年頃の少年らしい生意気な口調で、アルツールはアヤソフィアにブラジルサッカー界について
講釈を垂れようとしている。本当はアヤソフィアも事前知識として仕入れている情報が多かったのだが、
寡黙だった彼が、熱っぽく好きな事を話している横顔を見ていると、止める気がしなくなっていた。

アルツール「……って事だから、プロって言っても大多数は上手くいかないんだ。
        勿論、俺はその中でスーパーストライカーになってみせるけどな」

アヤソフィア「ふふ。……そうですか。期待していますよ
         (流石にその頃には、私も任務完了で幻想郷に戻っていると思うけどね……)」

アルツール「お、おう……」

アヤソフィアは少しだけ寂しそうに微笑むが、アルツールは気にしていないようだった。
いや……正確に言えば、これまで色々と話しているのも、気にしている別の『何か』を、意識して隠しているようだった。
そして、これまでの短い姉弟関係からでも、アヤソフィアはそれが何であるかを理解していた。

アヤソフィア「……トモダチ、出来ると良いですね」

アルツール「……んなっ! そ、そんなの何も思ってねーし!!」

――純粋な悪戯心から、その内容を呟いてみる。明らかに顔を真っ赤にした事から、図星のようだった。

341 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2017/07/02(日) 01:42:43 ID:???
アヤソフィア「あやや、そんなに恥ずかしがる事じゃあないですよ。トモダチってのは大事なモノですから。
        共に同じ道を行き、途中で道を違えても互いを尊重し合い。例えぶつかり合う事があろうとも。
        最後にはきっと、必ず同じ頂を仰ぎ見る事ができるような。
        ……そんなトモダチが、弟くんにも出来ればいいなって、お姉ちゃん思いますよ?」

アルツール「できねーよ、そんなモン……」

アヤソフィア「あれあれ? 何を根拠にそう『できない』って決めつけてるんです?
        『できない』って決めつけるのはザコの特徴って言ってたのは、どこのどなただったかしら?
        ねぇねぇ、未来のスーパーストライカー様はご存じですかー?」

アルツール「……う、うるさいうるさい! 当たり前だ! トモダチの一人や二人くらい、作ってやらぁ!」

大人ぶる事が多いアルツールだったが、やはりこの辺りは年相応の子どもだ。
アヤソフィアは噴き出すのを堪えながら、よしよしとアルツールの頭をくしゃりと撫でてあげて。

アヤソフィア「それなら安心ですな。明日は迎えに来ますから、是非とも紹介してくださいね?
        弟くんの、はじめてのオトモダチ」

アルツール「お、おう! そんなの楽勝だっての、いちいち頭撫でんじゃねー!」

強がる弟の幸せを純粋に願いながら、明日の入団テストの会場へと向かうのだった。
新しいオトモダチと一緒に使える、新品のサッカーボールを鞄に詰め込んで。

この日からすぐに、アヤソフィアは知る事になる。彼に初めてのオトモダチが出来た事を。
彼が真に心からサッカーを愛する少年へと生まれ変わった事を。

342 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2017/07/02(日) 01:43:56 ID:???

そしてアヤソフィアは知らずして、勅命により幻想郷へと戻る事となり。
――奇しくも再び訪れたブラジルの地にて遅れて知る事となった。
彼が、その愛するサッカーにより、奪われてしまったという残酷な事実を。

上司の勅命により、アヤソフィアがブラジルから幻想郷に戻ってから2年後。
政争鳴り止まぬ国内においては日常茶飯事であるため、小さくではあったが、
新聞各社はこのような見出しの記事を書いていた。



「フラメンゴの天才サッカー少年、暴徒に押され交通事故! 重体となり意識回復は絶望的」




343 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2017/07/02(日) 01:45:44 ID:???
〜回想シーン終了〜

カルロス「……あまりに忌々しい記憶だったから、俺はずっと口に出さないようにしていた。
      サンタマリアは勿論、ジェトーリオですらも、この事は話題に上げた事がない。
      だが、俺は知っている。……アルツールは――俺の親友は、アーサーお姉ちゃんが言う、
      『案外大したことなくね?』というフレーズと共に、奪われたと」

アヤソフィア「――私がそれを知ったのは、つい半年前。二度目の機会としてブラジルに訪れた時の事でした。
        6年前、突然の勘当という体で飛び出した私の真意を、ジャイロさんと弟くんは
        気付いていたのかもしれない。もしそうなら、もう一度会いに行きたい。
        そう願って懐かしのスラム街を抜けた先にあったのは、既に売りに出された廃屋でした」

鈴仙「…………」

アヤソフィア「『あの天才のアルツール君の事だ、きっと既にトッププロ入りして、高級マンションにでも住んでいるに違いない』
        『惜しくもサッカーを諦めて、その代わり安定した職を見つけて細々と働いているに違いない』
        『もしや、ホームレス寸前の生活をしながら、賭けストリートサッカーと無銭飲食で食いつないでいるのかもしれない』
        ――調べれば調べる程、私の都合のいい幻想は消え失せていきました。
        まず、フラメンゴにもどこのチームにも、アルツール・アンチネス・コインブラという選手は所属していない。
        サンパウロ市のどこの企業にも、同名の職員は勤務していない。
        浮浪者や好ましくない連中にすら聞いてみましたが、彼という痕跡はどこにも見当たらなかった。
        その中で見つけたのが、アルツール君が試合に負けて暴徒化したファンと揉み合いになり、
        交通事故に遭ったというニュースでした。……今も、市内の病院で植物人間状態となっています」

カルロス「………………」

その事実を改めて確認し、表情を一層暗くしたのはカルロスだった。
彼は一歩前に躍り出て、半ば懇願するようにアヤソフィアににじり寄り、

カルロス「アーサーお姉ちゃん。もしあなたが弟を失った事への復讐を望んでいるとしたら。それは俺に対してやってくれ!」


344 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2017/07/02(日) 01:47:49 ID:???

土下座に近いポーズすら取って這い蹲り、カルロスは涙でフィールドを濡らす。
サッカーサイボーグとすら呼ばれ、冷静で大人びた立ち振る舞いが特徴的なカルロス・サンターナらしからぬ、
気弱で、孤独で、自信の持てない平凡な少年のような仕草だった。

アヤソフィア「……記事には、『同年代での1位を決める重要な試合で、エースストライカーの選手がミスを連発。
         それに対して『案外大したことない』と煽り立てる一部のファンに対し、アルツール君が『やめろォ』!
         と、噛みついた事により、事件が起きた』と書いてあります。――カルロス君。貴方の事だったんですね」

カルロス「そうです! だからアルツールも……アーサーお姉ちゃんも誰も悪くない!
      無論、一番悪いのは暴徒と化したファンだったとしても、……失敗をしたのは俺なんです!
      だから、もうそんな冷たい瞳をするのは止めてほしい!!」

全てのプライドをかなぐり捨ててでも泣きはらすカルロスに対し、アヤソフィアは――。

アヤソフィア「大丈夫ですよ。カルロス君は何一つ悪くありません。全力を尽くしたって、失敗する時だってありますし。
         それで私が、貴方がしくじったせいで弟くんが事故に巻き込まれた、だなんて言う訳がないでしょう?
         むしろ、感謝さえしています。
         ……フラメンゴでずうっと、弟くんの――アルツール君の親友として居続けてくれたのですから」

――と、恐らくは過去に良く見せていたのであろう、柔らかく穏やかな笑みを浮かべた。
想定していなかった反応に対し、カルロスは一旦冷静さを取り戻す。

カルロス「……では、当時のファンを憎んでいる、と? 確かにあの一件がショックとなり、
      アルツールの養父も体調を大きく崩し、昨年には亡くなってしまったが……」

アヤソフィア「ファンの方も、仕方ありません。好きな物を全力で応援したい気持ちは分かりますし、
        もう既に遺族への謝罪や賠償など、然るべき措置は取られたと記事にもありました。
        それ以上、私刑を加える気もありませんよ」

カルロス「……分からない。では一体、アーサーお姉ちゃんは何を恨んでいるんだ?
      ずっとブラジルに居れない事情があったとはいえ、どうして今になってさえ、そんな暗い瞳をしているんだ!?」

345 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2017/07/02(日) 01:49:47 ID:???
鈴仙「………あんた、まさか」

――カルロスとアルツールを巡る過去については何も言えない鈴仙だったが、
会話が核心に近づくにつれ、自分の知る情報と、最近のアヤソフィアの影とが、
これまで提示された過去と組み合わさり、パズルのようにピタリと当てはまる感覚を覚える。

鈴仙「……あんたはこれまで、『案外大したことない』などと馬鹿にするファンの心無い感情を浴び続けて来た。
   日本で。幻想郷で。ブラジルで。自分自身に対して。自分以外の人に対して。
   マイナスの感情が理不尽に叩き付けられる光景を、何度も見続けて来た!」

アヤソフィア「………」

今度はアヤソフィアが黙る番だった。彼女は小さく頷き、鈴仙に続けるよう促した。

鈴仙「でも、あんた自身に掛けられる声については、あんたは仲間の手を借りながらも乗り越えて来た。
    だけど、ブラジルの地で、あんたはこれまでを超える、どうしようも無い理不尽を知った。
    辛い目に遭いながらもサッカーを愛し続けた少年が、サッカーが引き起こした感情に殺された事実を知り。
    根は生真面目なあんたに、黒い決意を抱かさせるに至った。つまりそれは――」

ここで、アヤソフィアが手を翳して制する。
鈴仙が続けようとした目的の正体を、アヤソフィアは自らの口で語った。


アヤソフィア「……そう。全ての元凶は、『サッカー』というスポーツがあるからこそ起きた。
        サッカーさえ無ければ、才能と愛を併せ持つ者が虐げられる事がなく。
        そして、理不尽な罵声も、理不尽な暴力からも逃れられるのです。
        私は、『サッカー』そのものを憎みます。愛を向ける者に対して唾を吐き、愛無き者への暴力を促すサッカーを。
        私は、この手で葬り去ろうと考えているのですよ……!」



346 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2017/07/02(日) 01:54:19 ID:???
射命丸が虚無系ラスボスに良くある「皆死ねば救われる」的な発言をしたところで、今日はここまでにします。
明日には練習の選択肢に入れると思います。文章が長くなってしまいすみませんが、読んで頂ければ幸いです。
(突っ込み所は多々あると思いますが、その辺りは優しく笑って下されば幸いです(汗))
本日もお疲れ様でした。

347 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2017/07/02(日) 10:59:28 ID:???
カルロス「サッカーそのものを、この手で葬り去る……!?」

――傷つきながらもサッカーを愛そうとした少年への仕打ちの原因を、
アヤソフィアは短絡的に特定個人によるものと考えていなかった。
彼女は、サッカーというスポーツ。22人の人間が球を蹴り合うという行為そのものが、
人を狂わせ傷つける全ての元凶であると信じきっていた。

鈴仙「そんなの……狂ってる!」

意味も解らず鈴仙が叫ぶ通り、彼女のそうした思考は狂人のそれであった。
アヤソフィアが、射命丸が体験した出来事については理解したし、そこで抱いたであろう感情も共感できた。
しかし、最後の結論だけが、どうしても理解できない。そんな鈴仙に、アヤソフィアはおどけた態度を取る。

アヤソフィア「あれ? 理解できませんかね? 鈴仙さんだったら、私が言ってることも、
         感覚的に理解できると思ったのですが。だって……ホラ。感じませんでした?
         リオカップ開会式で、試合後で発生した膨大な数の観衆の狂気を。
         単なるスポーツに熱狂し、人生を賭け、そこで散る事すら良しとする少年達の狂気を!
         貴女の瞳が、それを『視て』来たのではないですか? 狂気、感じるんでしたよね?」

鈴仙「――そ、それは……!」

しかし、その中で彼女が語る内容は、鈴仙にも心当たりがあった。
リオカップだけではない。先の全幻想郷選抜大会でも、
サッカーによる同じような感情のうねりを――狂気の渦を目の当たりにした。
そしてそれは、鈴仙が捉えきれる範囲すら越え、月の狂気を呼び起こし、
最後には――幻想郷を隔てる結界すら破壊してみせた。


348 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2017/07/02(日) 11:00:37 ID:???

アヤソフィア「貴女が永琳さんからどのような説明を受けてるかは知りませんが。
         経験則として、こと人間の狂気程危うく、制御できないものはありません。
         そしてサッカーという場は、人間の狂気を殊更に増幅してしまう。
         ――であれば、こうしたものを放置しておくのもおかしいでしょう?」

カルロス「だ、だが。サッカーを通して救われる人も大勢いる! 俺もそうだった!
      そして……あなたが誰よりも愛したアルツール自身がそうだったんじゃないのか!
      もしもこの世からサッカーが無くなれば、一番悲しむのはあなたの義弟だ!」

たじろぐ鈴仙に割り込んだのはカルロスだった。彼は狂気の概念は分からないにしても、
少なくとも今のアヤソフィアを見て、アルツールが喜ぶ訳がない事は理解していた。
しかし、そうした呼びかけは彼女としても想定内だったのだろう。
アヤソフィアは少しだけ表情を曇らせつつも、

アヤソフィア「……ええ、そうでしょうね。ですが――もう決めたのです。
        彼が悲しもうが、私は、サッカーを滅ぼさなくてはならない、と。
        そうでなければ、彼のような悲劇は永遠に繰り返されるでしょうから」

と、改めてその狂った計画に殉ずる事を決意した様子で頷く。

アヤソフィア「――さて。私のお話はこれでおしまいです」

スッ……。

カルロス「ま、待ってくれ! まだ疑問は沢山ある! どうしてそこまで頑なになる必要があるんだ!
      そもそもどうやって、サッカーという世界中で流行しているスポーツを滅ぼそうと思っているんだ!
      それに、それに……!!」

追いすがるカルロスの手を払いのけ、アヤソフィアは一点だけ答える。

349 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2017/07/02(日) 11:02:08 ID:???
アヤソフィア「前者についての回答はパスで。しかし、後者について。
        ――私がどのように、サッカーを滅ぼそうとしているのかについては、お答えしましょうか。
        ……私は次の幻想スーパーJr.ユース大会で、ブラジル代表として出場します。
        そして、ブラジル代表を優勝へと導きたいと思っています。
        これにより、私はサッカーが滅んでいくものと確信しています」

鈴仙「?? ブラジル代表が優勝すれば……」

カルロス「サッカーが、滅ぶ……? 一体どういう事だ! 俺達をからかっているのですか!?」

アヤソフィア「今お答えできるのはこの程度。
        鈴仙さん。今日を機に私はチームを去ります。楽しかったですよ、貴女がたとの友情ごっこ。
        カルロス君。同じブラジル代表として、また貴方とサッカーができる日を楽しみにしてますよ。
        ……あはははっ。あははははははははっ!」

スッ……。

そうして、アヤソフィアは消えた。まるで蜃気楼のように、始めからここに居なかったようにすら思える。
カルロスは彼女のその見えない背中を追うように走り続けて……。

カルロス「どうして……どうして、こうなってしまったんだ……!」

――と、悲しく項垂れる事しかできないでいた。


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0ch BBS 2007-01-24