キャプテン森崎 Vol. II 〜Super Morisaki!〜
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【サッカーも】キャプテン岬3【ゲームも好き】

1 :キャプテン岬 ◆ma4dP58NuI :2019/09/01(日) 15:08:09 ID:rBXP2cuk
『はじめに』
この物語はフィクションです。
現実世界で実在する人物も登場いたします。また1983年から91年までの史実を踏まえてはいます。
ただ物語の展開上脚色や私的設定付与も多々あり、純然たる歴史的事実からは離れてしまっております。

またキャプテン翼のキャラクターのみならず、非サッカー漫画以外のキャラクターも多く
登場しておりますが、実在人物同様、物語に沿う形での脚色や設定付与が多く、どうかご寛恕を願います。

最後に、この物語の主人公は岬太郎です。
ここの岬君は原作を参考にしたり、本編をチェックしてみたり、自身の願望を当てはめてみたりと、
どれにもピタリとは当てはまらない、大変面妖な様相をとっております。
それでも彼の物語として、読み進め楽しめてもらえれば幸いです。

【前スレまでの簡単なあらすじ】
1983年8月、岬太郎はパリに来仏。
知人の男の子が近い将来襲われるであろう危険に対し、岬自身が立ち向かわなくてはならないと
予言されるなど、後日の波乱を予感されるお告げを、叔母の体を借りた祖先の霊から告げられる。
その覚悟がはっきりと固まらないうちに、パリ日本人学校へと入学しサッカー部に入部するも、
近所のフランス人学校チームから因縁をつけられ(たという態で)、賭け試合を行う事となった。
現在は前半が終了し0−0のままでハーフタイムに入り、落ち込んでいるあずみをフォローしよう、
というところまで進んでおります。

前スレ
【赤と8ビットの】キャプテン岬【物語《ロマン》】
http://capmori.net/test/read.cgi/morosaki/1510457921/

266 :森崎名無しさん:2020/03/28(土) 19:17:24 ID:yMiiZJYE
@

大丈夫?練習での引きが悪いので能力値を上げるのに失敗ばっかりしてるけど

267 :キャプテン岬の人 ◆ma4dP58NuI :2020/03/28(土) 19:47:51 ID:wRW/in8s
本日は考えがまとまらないので、ここまでといたします。

>>266
判定表は2さんの本編、より具体的に言えばリオカップまでの森崎の練習成長判定表を参考にしております。
その際「サッカー強豪国の有力クラブの練習がこれ位なら、プロの指導を受けている形跡の無い岬君ならこんな感じかな」と
意図的に自動成長幅、練習判定を辛くしております。
日本よりレベルが高い環境とはいえ、能動的に動かないとパワーアップしない……
そんな状況をイメージしました。また判定は偏りもあります。これからきちんと上手く行くようになると思います。
勿論、あまりに停滞が続き過ぎるようですと、方法の検討はしたいと思っております。


268 :キャプテン岬の人 ◆ma4dP58NuI :2020/04/05(日) 21:12:44 ID:4VuGuJ8w
本日はなかなか筆が進まなかったので、1レスだけ進行いたします。


@自分の教室
―――――――――――――――――――――――――――
先着で
★自分の教室にいる人 ! num★
と書き込んで下さい。数値で分岐します。!とcardの間のスペースは埋めてください。

9→あずみに会う
8→特にこれといった事はなかった
7→特にこれといった事はなかった
6→特にこれといった事はなかった
5→あずみに会う
4→千早に会う
3→特にこれといった事はなかった
2→特にこれといった事はなかった
1→聖薇に会う
0→聖薇に会う

269 :森崎名無しさん:2020/04/05(日) 21:18:23 ID:???
★自分の教室にいる人  2

270 :キャプテン岬の人 ◆ma4dP58NuI :2020/04/10(金) 19:03:29 ID:W0agP08I
★自分の教室にいる人  2 ★⇒特にこれといった事はなかった
――――――――――――――――――――――――――――――――――
1983年10月第2週、練習フェイズ


岬「……結局これといった事もなく終わったか、手駒になりそうな人間は見つからないか。
  ま、それより今は練習だ。ここのところ冴えないからなあ、今日は上手くいくといいけど」

準備体操を済ませ、パリでもすっかり日課となった自主練習を開始した。


A ドリブル:24 凄く上がりやすい
B パス: 22 凄く上がりやすい
C シュート:19 凄く上がりやすい
D タックル:21 凄く上がりやすい
E パスカット:21 凄く上がりやすい
F ブロック:20 凄く上がりやすい
G せりあい:19 凄く上がりやすい
H ガッツ:705 凄く上がりやすい

・凄く上がりやすい
JOKER→+2&必殺技のフラグ習得!
13→+2! (+10)
7〜12→+1! (+5)
1〜6→効果がなかった

先に1票入った選択肢で進行します。メール欄を空白にして、IDを出して投票してください。
*現在の倦怠感(5つたまると練習効率が1段階下がります)
 ドリブル:0 パス:0 シュート:1 タックル:0 パスカット:1
 ブロック: 0 せりあい:0  ガッツ: 1

271 :森崎名無しさん:2020/04/10(金) 19:25:51 ID:gUGahV2Y
A

272 :キャプテン岬の人 ◆ma4dP58NuI :2020/04/10(金) 19:36:44 ID:W0agP08I
A ドリブル:24 凄く上がりやすい
――――――――――――――――――――――――――――――――――
先着で
★1983年10月第2週の練習(凄く上がりやすい) ! card ★
と書き込み!とcardの間の隙間を埋めて下さい。数値で分岐します。

JOKER→+2&ドリブル技習得!
13→+2!
7〜12→+1!
1〜6→効果がなかった

*岬君は現在ドリブルフラグを所持しております。

短いですが、本日の投稿はこれまでといたします。

273 :森崎名無しさん:2020/04/10(金) 19:54:09 ID:???
★1983年10月第2週の練習(凄く上がりやすい)  クラブ5

274 :キャプテン岬の人 ◆ma4dP58NuI :2020/04/11(土) 20:58:56 ID:BxrN1TF6
★1983年10月第2週の練習(凄く上がりやすい)クラブ5 ★⇒効果が無かった
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
岬「うーん……」

ボールを持ち、左右前後に身をくねらせる。勿論漠然と体を動かしている訳ではない。早乙女家で手に入れた
壁の向こう側の赤い国、ソビエトで発刊されたスポーツ雑誌のトレーニング理論に沿った練習のはずだ。

岬「(長いスパンでトレーニング計画を組んで取り行う事で、効果的な訓練成果が発揮される……
   そう書いていたはずだ。理屈は理に適っていたし、焦るな)」

なかなか進まぬ訓練具合に焦りそうになる自分を押さえつけ、練習を上がる事となった。

*ドリブル値は変わりませんでした。



1983年10月第2週 自由時間フェイズ

不調に終わった練習の翌日。私用を済ませようとした僕だったが、ふと思い出し机へと引き返した

岬「そう言えば、せっかく書き溜めていたメモを見てなかった。読み返さないと」

あれこれ備忘のためにとっておいた気になる事についてまとめておいたメモ帳を取り出し、確認する。

275 :キャプテン岬の人 ◆ma4dP58NuI :2020/04/11(土) 21:01:21 ID:BxrN1TF6
【共通重要事項】
・早川あずみ、早乙女聖薇、如月千早への、如月優の護衛の意志確認

岬「(信じたくない事だけど、沙織さんの預言はいつでも的確だった。だから何としても、
3人には協力してもらわないといけない。少しずつ心の中を探っていって、決心を固めてもらおう。
そして、彼女達の個別の懸念事項は……ここだ)」

・早川あずみ
 現在サッカーが上手くいかずスランプか。本人も気にしている模様。また3人の中で最も優護衛への動機づけが乏しいのも課題。

・早乙女聖薇
 賭け試合について否定的な立場をとる。彼女を説得せねば収入源断絶の恐れあり。
 また彼女にとり憑いていた幽霊?も気になるところ。

・如月千早
 実の姉というだけあって弟を守りたいという意志は一番強そうだが、当然ながら自分達に何ができるかという疑念も強い。
 沙織さんの事についての説明は困難と思われるため、姉弟との絆を深める事でより一層、
弟を守りたいと強く思わせる事が良いと考える。

岬「(こんなところかな。ただ、このところ不調気味の練習の具合も気になるし、どっちにしよう)」


A サッカーの練習に出かける、あと1回選択可
B パリのどこかに出かける(さらに分岐)

所持金:454フラン

先に1票入った選択肢で進行します。メール欄を空白にして、IDを出して投票してください。

276 :森崎名無しさん:2020/04/11(土) 21:44:02 ID:GvkCBgGI
更新乙です!


277 :キャプテン岬の人 ◆ma4dP58NuI :2020/04/12(日) 19:48:41 ID:8ao+MksA
これより投稿を開始いたします。

>>276
乙感謝です!いや、サッカー描写でないところで乙が来るのは何年ぶりでしょうか……


B パリのどこかに出かける
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

A 【天ケ瀬家】
B 【ル・エスト(早乙女家)】
C 【アタリフランス(早川家)】
D 【双海家】
E 【如月家】
F 無間神社
G ナムコフランス
H 居住地域周辺を散歩する
I その他、自由回答(要2票)

先に1票入った選択肢で進行します。メール欄を空白にして、IDを出して投票してください。

【】の場所は出かける前に電話で確認する事が出来ます。電話確認で不在となった際には
自由行動の時間は消費されません。

※以前の選択では早乙女家の電話連絡は不可となっていましたが、入学の際のクラスメイト電話番号通知の
際に通話可能としていたのを、表に反映させるのを忘れておりました。申し訳ありませんでした。

278 :キャプテン岬の人 ◆ma4dP58NuI :2020/04/12(日) 20:17:51 ID:8ao+MksA
本日は体調がすぐれないため、1レスのみとなりましたが終わりとさせてください。

279 :森崎名無しさん:2020/04/12(日) 20:38:40 ID:obM2zW86
B

280 :キャプテン岬の人 ◆ma4dP58NuI :2020/04/13(月) 20:08:46 ID:TXzY77RI
B 【ル・エスト(早乙女家)】
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
岬「聖薇の所にでも行くか。済ませないといけない用事がいっぱいあるし。
  電話で来る事を伝えれば確実だけど、不意打ちに予告なく僕の方からやってきたら、
  相手が動揺してチャンスができるかも。ただ居なかったら無駄足だし、どうしようかな」

A 電話して事前に訪問の意思を伝える(不在の可能性あり。その場合でも時間は消費されません)
B 連絡なくふらりと現れてみる(不在の可能性あり。
               その場合この週の自由時間フェイズは終了しますが、居た場合は来訪ボーナスがつきます)

先に1票入った選択肢で進行します。メール欄を空白にして、IDを出して投票してください。
なお、私用のため一旦席を離れます。都合により今日はこれでおしまいとなる可能性がある事をご了承願います。

281 :森崎名無しさん:2020/04/13(月) 20:17:39 ID:tFDJl1e+
B

282 :キャプテン岬の人 ◆ma4dP58NuI :2020/04/13(月) 22:02:15 ID:TXzY77RI
B 連絡なくふらりと現れてみる
(不在の可能性あり。その場合この週の自由時間フェイズは終了しますが、居た場合は来訪ボーナスがつきます)
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
先着で
★待ち人はいずこ ! card★
と書き込み!とcardの間の隙間を埋めて下さい。スートで分岐します。

JOKER→愛「会いたかった!」 聖薇の母親が聖薇に取りつき……泣いている?!
ダイヤ・ハート→聖薇「……」岬「(何か本を読んでるな)」*さらに分岐
スペード→早乙女「いらっしゃい。聖薇は部屋よ」
クラブ→家に鍵がかかっている。誰もいないようだ


都合により、本日はこれまでといたします。

283 :森崎名無しさん:2020/04/13(月) 22:28:40 ID:???
★待ち人はいずこ  ハート6

284 :キャプテン岬の人 ◆ma4dP58NuI :2020/04/14(火) 21:39:49 ID:ufl4OJsI
★待ち人はいずこ  ハート6 ★⇒聖薇「……」岬「(何か本を読んでるな)」*さらに分岐
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
岬「(よかった)」

確認も取らずに出かけて無駄足になるかと心配していたが、
目当ての少女は期待を無下にする事無く居てくれてホッとした。
これから話しかけようとしていた当の聖薇は、ル・エストの玄関横に備えつけられた
木のベンチに腰かけ、無心に何かを読みふけっているようだった。
よほど夢中になっているらしく、彼女の元まで僕が近づき、
肩触れあいそうになる程近くに座っても反応さえしない。
この堅物少女がそこまで熱心になる本とはどんなものか。
気付かれないようにそっと、彼女が読むものをのぞいてみた。


先着で
★本を読む少女 ! card★
と書き込み!とcardの間の隙間を埋めて下さい。スートで分岐します。

JOKER→岬「(あの神代文字……えっ!?)」聖薇「きゃっ!?」?「……よお」
       本から発せられた波紋が聖薇の瞳に跳ね返り、筋骨隆々の精悍な男が現れた!?
ダイヤK→聖薇「𪮷、抬、𪮷、𪮇、𪮷、抬、𪮷、𪮇……」
    岬「(サムハラ、サムハラ……沙織さんの教本だ!)」
ハートK→聖薇「……みさきくん……」岬「(日記に……僕の顔?)」
ダイヤ・ハート→聖薇「父さん……樹里亜……」岬「(アルバムか……しかし随分小さい頃の写真だ)」
スペード・クラブ→岬「(本……小説か。題名は『初恋』、作者はイワン=ツルゲーネフ……)」



本日はこれで終わりといたします。なお、このところ毎日投稿できていましたが、
次からは内容を色々と吟味する必要があるため、いつも通りの最速週1投稿ペースに戻りそうです。
しかも今度の土日に投稿できるかもわかりませんが、何卒お許し願います。

285 :森崎名無しさん:2020/04/14(火) 22:17:29 ID:???
★本を読む少女  クラブ5

286 :キャプテン岬 ◆ma4dP58NuI :2020/04/19(日) 07:09:53 ID:oWtiwplU
今週分の投稿は、内容が固まっておりません為、お休みさせてください。
何とぞご了承お願いいたします。

287 :キャプテン岬 ◆ma4dP58NuI :2020/04/26(日) 21:31:27 ID:N9wFb0J2
済みません、今日はPCの具合がおかしいため、投稿できません。
ただ、早ければ明日から投稿が再開できそうですので、今しばらくお待ち願えないでしょうか。

288 :キャプテン岬の人 ◆ma4dP58NuI :2020/04/27(月) 21:21:00 ID:L9IjP/7s
             第5話 『あのひとにとって、わたしはなんだろう?』



『わたしからほんの五、六歩離はなれた所――青々したエゾ苺の茂しげみに囲まれた空地に、
 すらりと背の高い少女が、縞の入ったバラ色の服を着て、白いプラトークを頭にかぶって立っていた。
 そのまわりには四人の青年がぎっしり寄り合って、そして少女は順ぐりに
 青年たちのおでこを、小さな灰色の花の束たばで叩たたいているのだった。青年たちはさも嬉うれしそうに、てんでにおでこを差出す。
 一方少女の身振りには(わたしは横合いから見ていたのだが)、
 実になんとも言えず魅惑的な、高飛車な、愛撫するような、あざ笑うような、しかも可愛かわいらしい様子があったので、
 わたしは驚きと嬉しさのあまり、あやうく声を立てんばかりになって、
 自分もあの天女のような指で、おでこをはじいてもらえさえしたら、
 その場で世界じゅうのものを投げ出してもかまわないと、そんな気がした……』



そっと聖薇の傍に座り、夢中になっている本を盗み見る。彼女が読み進める本の装丁は
図書館の奥深くに整然と備わっているような荘重なものだ。

岬「(主人公が相手にぞっこんになっている……恋愛小説かな?)」

しいんと秋の穏やかなひかりがあたたかくつつむ中、すっかり本の世界に入ってしまっているようだ。

289 :キャプテン岬の人 ◆ma4dP58NuI :2020/04/27(月) 21:23:02 ID:L9IjP/7s
聖薇「とうとう俺は、こうして彼女の前に坐っている」「俺は彼女と知合いになったのだ……なんという幸福だろう、ああ!」

興に乗っているのだろう、時折魂が本から飛び移って来たかのように、
彼らのセリフが聖薇の口からこぼれ出ていくのが、僕にも聞こえる。

聖薇「おお、めざまされた魂の、つつましい情感よ、その優しい響きよ、そのめでたさと静もりよ。
   恋の初めての感動の、とろけるばかりの悦びよ――汝らはそも、今いずこ、今いずこ?」
岬「(相当だなあ。ここは興を冷まして機嫌を損ねたらマズいかな、いや、ここで切り出さないと曖昧になるかな。どうしよう)」

じいっと朗読に聴き入りながら、僕は……


A もう少し都合のいいタイミングを見計らって声をかける
B 今声をかけてみる
C その他、自由回答(要2票)

先に1票入った選択肢で進行します。メール欄を空白にして、IDを出して投票してください。


*短いですが、本日の投稿はこれで終わりといたします。

290 :森崎名無しさん:2020/04/27(月) 21:45:10 ID:28sATi5s
A


291 :キャプテン岬の人 ◆ma4dP58NuI :2020/04/29(水) 14:52:14 ID:m5u4zQgk
A もう少し都合のいいタイミングを見計らって声をかける
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
岬「(もう少し待ってみよう。集中している時に声をかけて気分を悪くさせたら後々面倒だ。
   まだ出だしのあたりだし、声をかけるかかけないかはその時に考えても遅くない)」

そう思い定めてもうしばらく、聖薇の読書を眺めている事にした。

そうしてジッと話を追っていくうちに、物語は1つ目の山場に入ってきた。
この物語のヒロイン、公爵令嬢ジナイーダが主人公と下僕たち、
もといジナイーダに片想いの紳士方を自宅に呼び寄せ、「罰金ごっこ」や「縄まわし」に歌舞音曲……
様々な遊びの中で主人公を含めた恋の下僕たちは
ジナイーダに振り回され、道化にされながらもそれによって歓喜に打ち震えているといったあり様だった。
そうしていく中である興味深い影響を読み取る事ができた。これらの遊びの冒頭、「罰金ごっこ」の時だ。
ジナイーダが手に持つ男物の帽子の中にクジが入っており、その中に1枚だけ「キス」
と書かれた紙を引き当てた者は、想い人の手にキスができるという。



『「キス!」と、わたしは思わず大声を上げた。
「ブラヴォー!この人に当ったわ」と、令嬢がすかさず引取って――「まあ嬉しい!」――
そして椅子を下りると、なんともいえず晴れやかな甘い顔つきで、じっとわたしの眼をのぞきこんだので、
私の心臓はワッとばかり踊り立った。
「あなたは嬉しくって?」と、彼女は私にきいた。

ジナイーダは私の前に立つと、私を一層よく見ようとするかのように首を少し横にかしげ、いとも荘重に片手を差しのべた。
私は眼の中が暗くなった。片膝をつこうとしたが、べったり両膝ついてしまって、おそろしく不器用に唇をジナイーダの指に触ふれたので、
むこうの爪つめで自分の鼻さきに、かるい引っかききずをこしらえてしまったほどだった』

292 :キャプテン岬の人 ◆ma4dP58NuI :2020/04/29(水) 14:53:56 ID:m5u4zQgk
この時だ。

より正確には「あなたは嬉しくって?」とジナイーダが尋ね、主人公が嬉しさに呆然としている時だ。
両手で本を持ち読んでいた聖薇がおもむろに右手を離し、日の光にかざすようにして目の前に手のひらを移した後、
右手のみがジナイーダとなったかのように厳かに彼女の口元に近づき、唇に軽く触れたのだった。
手が唇から離れた瞬間、陶然と、しかしどこか物憂げな様子の表情を浮かべて嘆息を漏らす様を見て、
僕の中に取りとめの無い思いが浮かぶ。

岬「(読書にしては思い入れが激しすぎるような……もしかして、実際に誰か好きな人でもいるのかな?)」

それからしばらくは思い入れが形として表れる事はなく、静かに読み進めていく。
聖薇に次の動きが見られたのは、物語が中盤に入り、即興の創作話をジナイーダが皆に披露するところだ。
その時聖薇は驚嘆すべき事に、目を閉じ一座の1人となって物語に聴き入っている表情で、
令嬢のつぶやきをよどみなく朗読してみせるのだった。

293 :キャプテン岬の人 ◆ma4dP58NuI :2020/04/29(水) 14:55:54 ID:m5u4zQgk



『さて女王は、そんなお追従に耳をかしたり、音楽を聴きいたりしているけれど、その実お客の誰だれ一人にだって、目もくれないの。
六つの大窓が、上から下まで、天井から床ゆかまで、すっかりあけ放たれて、
その外には、大きな星くずをちりばめた暗い夜空や、大きな木々の茂しげった暗い庭があります。女王は、その庭に見入っているの。
そこには、木立こだちのそばに噴水があって、闇やみの中でも白々しらじらと、長く長く、まるで幻まぼろしのように見えています。
女王の耳には、人声や音楽の合間々々に、静かな水音が聞えるのです。女王は、闇に見入りながら、こんなことを考えるの――
皆さん、あなた方はみんな、貴い生れで、賢くて、お金持です。
あなた方は、わたしを取巻いて、わたしの一言一句を重んじて、わたしの足もとで死ぬ覚悟かくごでいらっしゃる。
つまりわたしは、あなた方の生死を、わたしの手に握っているわけです。
……ところが、あの噴水のそばには、あのさわさわと鳴る水のそばには、
わたしの愛する人、わたしの生死をその手に握っている人が、たたずんで、わたしを待っているのよ。
その人は、おごった衣裳も着ていないし、宝石もつけてはいず、誰もその名を知る人はありません。
けれど、その人はわたしを待ち受けているし、また、わたしがきっと行くものと信じきっています。
――ええ、わたしは行きますとも。
一旦わたしが、その人のところへ行って、一緒になろうと思ったら最後、
わたしを引留めるほどの力は、この世のどこにもありはしない。
そこでわたしは、あの人と一緒に、あの庭の暗がりへ、木立のそよぐもとへ、
噴水のさわさわ鳴る陰かげへ、姿を消してしまうの……』




294 :キャプテン岬の人 ◆ma4dP58NuI :2020/04/29(水) 14:59:16 ID:m5u4zQgk
途中から胸に右手を押し当て、話すたびに愁声が深まっていく。朗読を終えた頃には悲痛さえ感じられた。

岬「(もし実際にいるとしたら、そう順風満帆という訳ではなさそうだ。
   自分から相手に惚れているが相手はつれない……そんな感じだろうか)」

感情が完全に登場人物のものになってしまった聖薇を見てまた思う。
今話しかけたら、物語のロマンチックな感覚で僕の言葉を、僕自身をとらえてくれるだろう。

岬「(それともクライマックスはまだ先だし、そこまで待ってみるかな。
   余韻にそっと寄り添うように語りかければ効果は絶大のはず。
   それとも用心して、読み終わるまで待っていた方がいいだろうか)」


A 今声をかけてみる
B クライマックス直後の感極まった時に、そっと声をかける
C 読み終わるまで待つ
D その他、自由回答(要2票)

先に1票入った選択肢で進行します。メール欄を空白にして、IDを出して投票してください。

そしていったん席を離れます。続きは夜に投稿できるかもしれませんし、
できないかもしれません。なにとぞご了承願います。

295 :森崎名無しさん:2020/04/29(水) 18:07:23 ID:WWD255rI
B

296 :キャプテン岬の人 ◆ma4dP58NuI :2020/04/29(水) 22:10:19 ID:m5u4zQgk
済みません、今日はこれ以上続きを投稿できそうにありません。
代わりと言っては語弊がありますが、Bを選んだ295さんへ、貴方の選択は、

     _______________
    (パーフェクトコミュニケーション)チャッチャッ、チャッチャララーチャン!
      ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

Aでは懸念通り興を冷ましてしまう結果となりますし、
Cだとクライマックスの後にエピローグを挟んでしまうため興奮がある程度落ち着いてしまっています。

Bを選んだことにより岬君の懸念事項であった「優君の護衛依頼」「賭け試合の承諾」が無条件で受けいれられ、
さらに彼女との特殊イベントが発生します!
このイベントも岬君の将来に関わってくるものですので、どうかお楽しみに。



297 :キャプテン岬 ◆ma4dP58NuI :2020/05/03(日) 15:13:34 ID:ckL9aHIw
申し訳ありませんが、本日は投稿を休ませてください。5月5日の岬君の誕生日に投稿できるよう、
全力を尽くして執筆いたします。

298 :キャプテン岬の人 ◆ma4dP58NuI :2020/05/05(火) 00:46:46 ID:2vLj8NCA
今日は我らが主人公岬太郎君の誕生日という事で、
Twitterにて誕生日イラストを投稿してみました。興味のある方はこちらより
ご覧になってはいかがでしょうか。

https://twitter.com/sc3loyupbCmTqIC/status/1257324276178235392

この物語につきましては、本日または明日にでも投稿できるよう、努めてまいります。

299 :キャプテン岬の人 ◆ma4dP58NuI :2020/05/05(火) 18:59:54 ID:2vLj8NCA
第5.1話『覚悟を決めろ』


B クライマックス直後の感極まった時に、そっと声をかける
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
岬「(やっぱり気分が最高に盛り上がった時が話しやすい。いい気分になって話を受け入れやすくなる。ここは待とう)」

ジナイーダの片想いの相手が分かっていない以上、クライマックスはまだのはずだ。そこまで待って
ハイテンションになった時に声をかけてみよう。そう思って声をかけ驚かせたくなる衝動を抑え、あと少しだけ待つことにした。
そして残りのページが爪でつまめそうになる位に少なくなってきた時、遂にその好機が到来した。


『木造の小さな家のあけはなされた窓に向って、背中をこちらへ向けながら、
父が立っていたのである。父は胸を窓がまちにもたせていた。
家の中には、カーテンに半ば隠れながら、黒っぽい服を着た女が坐って、父と話をしている。この女が、ジナイーダだった。
わたしは立ちすくんでしまった。全くのところ、そんなことは思いもかけなかったのである。
わたしのしかけた最初の動作は、逃げ出すことだった。
『父は振返ふりかえるかもしれない』と、わたしは考えた。――『そしたら、もう万事休すだ』……
けれど、不思議な感情が――好奇心よりも強く、嫉妬などよりまだ強く、恐怖よりも強い感情が、わたしを引止めた』


岬「(お…きたきたきましたよ)」

300 :キャプテン岬の人 ◆ma4dP58NuI :2020/05/05(火) 19:01:29 ID:2vLj8NCA
思わせぶりな描写、そして残り枚数からして、主人公の父親がジナイーダの片想いの相手だろう。
ここまで来てこの昼ドラ的な展開から見て、ここがクライマックスに違いない。この予感は、すぐに証明された。


『その彼女の顔を、今なおわたしは目の前に見る思いがする。
――悲しげな、真剣な、美しい顔で、そこには心からの献身と、嘆きと、愛と、一種異様な絶望との、
なんとも言いようのない影がやどっていた。
そうとでも言うほかには、わたしは言葉を考えつかない』


岬「(やっぱりそうだったか、さてどうな)」
聖薇「ああ!」

ハッとして顔を上げる。僕の存在に気付かれたかと思ったが、聖薇は相変わらず視線を本に向けたままだ。
主人公の父を引き留めようとしたジナイーダがその相手から思い切り、腕に鞭を打ちすえられているところを読んで、
哀切な声を上げていたらしかった。その後の聖薇の仕草といったら!
僕の頭では詩的な感情を表せないので、文豪の表現を借りてみたい。

『聖薇は、ぴくりと体を震ふるわしたが、無言のままちらと想像の恋人を目の前に見ると、
その腕をゆっくり唇へ当てがって、(想像上の)一筋真っ赤になった鞭のあとに接吻した』

301 :キャプテン岬の人 ◆ma4dP58NuI :2020/05/05(火) 19:03:37 ID:2vLj8NCA
そこまで読んでため息をつき、再びそのキズ1つないきれいな腕に口づけした後、
折り畳むようにゆっくりと本を閉じ、ベンチの隅に置いた後に顔を上げ、
葉が散って隙間が大きくなったマロニエの枝の間越しに空を見上げ、つぶやきだした。

聖薇「わが悲しみは、ただひとり君の姿にみたされて……このわびごころ、何ものの乱し騒がすものもなし。
   かくて胸は、またも燃え、恋いわたる……愛さでやまぬ胸なれば」(※)

今だ。

岬「お嬢さん、空を見つめてごらんなさい」

ここが機だ。僕が彼女の物語に入り込み、彼女の心へ働きかける絶好のチャンスだ。

岬「日の光と風を感じなさい。鞭の痛みが生きる希望になるものでしょうか」
聖薇「光も、風も、私には届きません。見上げたところで、あの人は……」

悲嘆にくれた表情で返事をしたところで、ハタと口が止まる。悲しみにひたっていた表情が元に戻り、
そしてすぐに、みるみるうちに顔を赤く染めあげながら、サビついたブリキ人形のようにぎこちなく振り向いて、口を開いた。

聖薇「み、み……みみみ、みさ、き、くん……?」



※:アレクサンドル・プーシキンの抒情詩『グルジヤの丘の上』より。
『初恋』でもジナイーダが主人公にその個所を読ませるシーンがある。

302 :キャプテン岬の人 ◆ma4dP58NuI :2020/05/05(火) 19:13:53 ID:2vLj8NCA
返事の代わりに、僕は体をさらに聖薇へ近づけ、互いの腕が接する程近くに接近した。

聖薇「ひゃっ」

この反応、この表情、何よりこの間の勉強会の時とは別人としか思われない、甘い悲鳴。
ここまで見て僕に対し、少なくとも好意的にとらえていると考えても決して自惚れとは言われないだろう。
そうであるなら、相手が戸惑い混乱しているこの時に、衝撃を与えなくては。

岬「ゴメン、もっと早く声をかければよかった。夢中になって本を読んでる早乙女さんが可愛くて、つい」
聖薇「えっ……か、かわいい?みさきくんが、わたしを?」

とろけたため息のような返事を聞きながら、先の希望的推察を事実として受け止めた。
そして優しい笑顔を浮かべながら、次の行動について頭を働かせる。

岬「(ここまで好意的だったとはね、うれしい誤算だ。ただ、ここはまだ、しばらく辛抱しないといけないだろう。
   ここで彼女との仲を決定的にする事は簡単だ。

『聖薇、愛しているよ、いつまでも一緒にいよう』

   そう言えば彼女は大喜びで僕に飛び込み、遠からぬうちに全てを僕に捧げるようになるだろう)」

以前父さんが語った早乙女財閥の話が胸に飛来する。だが今は、これを奥深く押し籠めなくてはいけない。

303 :キャプテン岬の人 ◆ma4dP58NuI :2020/05/05(火) 19:15:10 ID:2vLj8NCA
少々、私用につき中断いたします。続きは午後8時までに投稿いたします。

304 :キャプテン岬の人 ◆ma4dP58NuI :2020/05/05(火) 19:46:48 ID:2vLj8NCA
視線を彼女の頭上へと飛ばす。その先には僕と早乙女母娘、そして千早とあずみとで食事をとった、あのテーブルが見える。

岬「(まずは生き残らないと。沙織さんの預言と勾玉の発光から見て
   千早・あずみ・聖薇の3人の協力が無いと優君は殺される)」

祖霊『心してかからねば命は落ち、落命せずとも命運は尽きる』

少し前に叔母の沙織さんによる神おろしで語った先祖の言葉が、頭の中に蘇ってきた。
理不尽ではあるが3人力を合わせて戦わねばならない以上、彼女に深入りしすぎるとあずみと千早との仲に不和が生じ、
それによって不測の事態が起こるかもしれない。

岬「(あずみちゃんは特に気を付けないと、聖薇を敵視していたしなあ。それに)」

素直で淳良、そして人のために自分の命も惜しまなかった、幼子の顔が脳裏に映る。

岬「(1度自分が助けた子供を、見ないふりして殺されるのを見たくはないしね。さらに)」

思考を切り替え、今度は別の仲間について思案をめぐらす。

岬「(あずみちゃんと千早さん、今まで僕は多くの人に出会ってきた。女の子だって数え切れないほどに。
   でもあの2人は、上手くは言えないけれど……他とは違う気がする)」

305 :キャプテン岬の人 ◆ma4dP58NuI :2020/05/05(火) 19:48:17 ID:2vLj8NCA
岬「(これからもっと大きくなるというか、光るものを持っているというか。
   勾玉の件が印象に残り過ぎたのかな?いや、それ以前からだ。
   少なくともあずみちゃんは、サッカーで人並外れた才能を見せたじゃないか。まあ活躍はアレだったけど、ともかく)」

視線を聖薇へと戻す。そろそろ話をつなげて、不安がらせたり勘づかれたりされないようにしなくてはいけない。

岬「うん。その顔を見ると僕も、ホッとした気持ちになれるよ……ただ」
聖薇「ただ、どうしたの?」
岬「あ、いや、大した事じゃないんだ。ただ、読書するところを見てて気になる事があったから……」

わざと受け答えに間を開けて相手に尋ねさせ、やむを得ずという風にして語りだす。

岬「さっきの朗読を聴いていて、物語の少女が恋に苦しんだり、鞭打たれたりした時の語りが、
  他のところと比べて妙に熱がこもっているというか、真に迫っているというか。
  ひょっとしたら、何か悩んでいる事があるんじゃないかって」

勘違いだったらゴメンと言い添えた後、反応を見るべく彼女をジッと見つめてみる。
僕との視線が合った瞬間、彼女はハッとした顔つきになり、そして次第に苦しげな、
申し訳ありませんでしたと言いたげな顔色となっていく。
しばらく見つめあっているうちに耐えきれなくなり、顔をそらしてしまった。

306 :キャプテン岬の人 ◆ma4dP58NuI :2020/05/05(火) 19:49:18 ID:2vLj8NCA
岬「大丈夫、つらいなら話さなくていいし、僕も見なかった事にするから」
聖薇「いえ、待って」

聖薇は今だこちらに振り向かずに話す。話すというより腹の底から無理無理しぼり出したような語気だ。

聖薇「わたし、は」

何とか語りかけようとしてきたが、途中で息がつまったようだ。
荒い吐息を叩きつけるように何度もついてから、僕に振り向き、告げた。



聖薇「私は、岬君が、大好きです」



途切れながらも一気に告白してから、ギュッと堅く口と瞼を締めてしまった。
勇気を振りしぼった反動が押しよせているのだろう。
こめかみの震えが治まり、目が再び開きだしてから、告白を続けた。

307 :キャプテン岬の人 ◆ma4dP58NuI :2020/05/05(火) 19:50:51 ID:2vLj8NCA
聖薇「今から思えば、初めてここで会った時から、岬君に心を寄せていたような気がします。
   包み込むような温かさ、ずっと安心していられる誠実さ……初めて家に上げた人が、岬君で良かった」
岬「(初対面で、そこまで喜んでいたかなあ)」

記憶を自己修正させているんじゃないかと当て推量を働かせているうちに、それを裏付ける言葉が僕へ送られてきた。

聖薇「ですが私は馬鹿ですから、自分の感情が何であるかさえも分かっていませんでした。それが分かったのは、あの日の、
   ブローニュの森でサッカーをする岬君を見かけた時です。
   自分より大きくて荒々しい、しかも大勢に囲まれていても、立て板に水が流れていくように自然に、
   華麗に抜き去っていく姿を見て、この人は優しいだけじゃない、
   危地に陥っても余裕さえ感じていられる強い人なんだと、思わずにはいられませんでした。
   そして何度活躍して勝利しても、少しも驕らない大きな心の人。そこまで思いが至ってようやく、
   私は岬君に恋している、いつまでも一緒にいたいんだって、気付いたのです」
岬「(……おや、愛の告白の割には)」

表情に深い憂いが漂っている。僕の返事はどうなるかとか、そういうものではない。もっと根の深いものだ。
気にしすぎであればいいがと思っている時、当の本人がその憂いの正体も、明かしてくれた。

308 :キャプテン岬の人 ◆ma4dP58NuI :2020/05/05(火) 19:52:56 ID:2vLj8NCA
聖薇「ですが、やはり私は浅はかでした。そんな素敵な人ならば、
   もっと多くの、そして私よりも魅力的な人も、岬君を好きになるでしょう。
   そしていつかその人の手を取って、私の手の届かない所へと去ってしまう」

ああ!

そこまで語った途端、聖薇が感極まった叫び声を上げた。
とんでもない過ちをしでかした事に気付いた時のような、自責感と絶望感が顔に刻み込まれている。
そして脇に置いてあった『初恋』を手に取って顔を隠し、懇願した。

聖薇「見ないで、お願い岬君、私を見ないで!今の私、きっとみにくい顔になっている……
   クラスメイトに嫉妬して、どうしたら盗まれないかと思った人の顔なんて!
   だから見ないで!そしてこのまま帰って、今日の事はすっかり忘れて、
   それから別のもっと素敵な人と付き合って、楽しい学校生活を送ってください、ね、私はおふたりのために……」



岬「ヴ・ドヴェ・ヴ・セパレ!」



えっ?突然のフランス語に、先程まで悲愴な心境を語っていた口から、
間抜けた声が聞こえてきた。間を置かせずに話を続ける。

309 :キャプテン岬の人 ◆ma4dP58NuI :2020/05/05(火) 19:54:03 ID:2vLj8NCA
岬「早乙女さんにつきっきりで教えてもらえたから、少しは話せるようになったけど、
  発音はダメだ、もっと勉強しないと」
聖薇「岬君、今のは」
岬「ああ、『ヴ・ドヴェ・ヴ・セパレ』ね。その『初恋』で主人公の父さんがそう語っていたはず」

そう言いながら詳しい説明はせず、本をつまみ上げる。思った通り、両目も両頬も濡れて光っていた。

聖薇「あっ、だめっ」
岬「そうだね、こんな事で泣いてちゃダメだよ。早乙女さんが泣いたら僕も悲しくなるんだから」

ポケットからハンカチを取り出して、聖薇の涙をぬぐってやる。

聖薇「あ、あう、みさき、くん」

戸惑ってはいるが嫌がりも身じろぎもせず、少しずつ落ち着きながら顔ふきを大人しく受け入れてくれた。
そうしてすっかり感情が静まったところで、本題に入る。

岬「『あなたは思い切らないといけない』そう言う意味だったと思う。
   ただ、あの話もそうだけどこれだと意志が伝わらない。
   今の漫画風に言うと、こんな感じかな。『猶予は終わりだ、覚悟を決めろ』」

310 :キャプテン岬の人 ◆ma4dP58NuI :2020/05/05(火) 19:56:09 ID:2vLj8NCA
岬「実際ジナイーダさんも恋を諦めるなり
  戦略を立てて相手の心をつかむ手管をとるなりどちらかに覚悟を決めていれば、
  あんな結末にならなかったかもしれない。鞭打たれるだけで終わりになるより
  ここで思い切って悩んでいるところを話してみて。話せば案外活路が見えて、どうにかなるかもしれない。
  相手役になるかもしれない、クラスメイトの子、教えてほしいんだ」

「え、で、でも」聖薇はためらう。「2人は、岬君のよく知る人ですから」

岬「(2人?イヤな予感がする)大丈夫、誰であっても、早乙女さんを嫌いになったりしない。約束するよ」

力強く念押しをする。彼女はしばらく黙った後、ぽそりと口を開きだした。


聖薇「私が、岬君を盗られてしまうんじゃないかと思ってしまった人は……
   早川さんと、如月さん」

311 :キャプテン岬の人 ◆ma4dP58NuI :2020/05/05(火) 19:57:10 ID:2vLj8NCA
                第5.2話『パリの恋路は四差路?』


岬「(やっぱりか、よりにもよってなあ)」

悪い予感は的中した。あずみと千早に、男がらみで対抗心、いや劣等感を抱いているとは。

岬「(これからの神社での特訓や戦闘に備えて、仲良くなってほしいんだけどねえ)」

僕の悩みに気付く訳もなく、聖薇は語り続ける。

聖薇「早川さんはあの通り礼儀知らずで、素直に人の話を聞かないところはありますけど、
   いつでも元気で、快活で、どんな相手にも物怖じしない勇気があって、年下の子にも好かれる表裏の無い人。
   そして何より、岬君と部活動を共にして、心を通わせる機会が一番多い人です」
岬「(2人きりのサッカー特訓の事は、バレてないみたいだ、よかった)」

あずみとの(サッカーの)逢瀬が知られていない事に密かに安心しているうちに、話はもう1人の方に移る。

312 :キャプテン岬の人 ◆ma4dP58NuI :2020/05/05(火) 19:58:33 ID:2vLj8NCA
聖薇「如月さんには委員会で、気が高ぶり過ぎた私を抑えてくれたり、厳しくも筋の通った意見を告げてくれたり、
   周りの人達の意見を伝えてくれたり……どれだけ助けられたか分かりません」
岬「(そう言えば千早も、風紀委員にも所属しているんだっけ。才智が備わっていて、それ以上に責任感が強そうだな)」

入手した新情報を記憶していくうちに、話は懸念事項へと入っていく。

聖薇「それで如月さんとは話をする機会も多いのですが、日がたつにつれ如月さんの口から、岬君の事を口にする回数が増えてきました。
   それも話すたびに、岬君への尊敬の念が強まっているのを、言葉の端々から感じます。
   もちろん、溺愛している弟さんを命がけで助けた恩人である以上、敬意を抱くのは当然ですが、もしや、という不安が。
   弟さんが日本でも、危ない目にあっていたという事も、岬君に語るところを聞くまで走りませんでしたし……」

そういえば、千早については他の2人に比べて関わりが薄い気がする。今月末の優君誕生日に親交を深めてみよう。
そう考えていたところで聖薇から、真剣なまなざしで、問いかけられた。

聖薇「正直に私へおっしゃってください。岬君は誰か、意中の人はいらっしゃるのでしょうか。
   それでもし、誰もいなくて、私が嫌いという訳でなければ、
   岬君のそばに、一緒にいさせてもらえないでしょうか……」

313 :キャプテン岬の人 ◆ma4dP58NuI :2020/05/05(火) 20:00:17 ID:2vLj8NCA
岬「(とうとう核心に来たか。女の子の一番繊細な想い、いい加減に扱うと後が怖いぞ。
   かといって誰かとくっつくと、凶悪犯に対する一致団結がとてつもなく難しくなる)」

あれこれ悩み、しかし表情はいつもと変わらぬ平静さを保ち続けながら、僕は人生の選択肢を選んだ。


A 「僕はあずみが好きだ」はっきり明言しておく
B 「僕は千早が好きだ」はっきり明言しておく
C 「僕は聖薇が好きだ」はっきり明言しておく
D 「今の課題が全て完全に終わるまで、返事は待ってほしい」凶悪犯撃退まで保留してもらう
E 「(おや、あれは僕をここに誘った猫、それに店の花壇もいい感じ……
  猫と花になぞらえて自分の気持ちを伝えてみるか)」
  3人とも皆素晴らしいので選べない、いや選ぶべきでもなく、3人とも愛していきたいと、遠回しに伝える
F その他、自由回答(要3票)


注!今回の選択は今後の展開に大きく関わる可能性があるため、通常とは異なり
先に【2票】入った選択肢で進行します。また投票開始は【本日午後11時ちょうど】からとなります。
最後に、【メール欄を空白にしてIDを出して投票】してください。
【開始時間以前の投稿】【IDが表示されない投稿】は無効となります。

314 :森崎名無しさん:2020/05/05(火) 23:30:56 ID:pJ+HbNi6
D

315 :森崎名無しさん:2020/05/06(水) 01:29:17 ID:6AwOpruU


316 :森崎名無しさん:2020/05/06(水) 03:51:30 ID:aZnWTOls
C

317 :キャプテン岬 ◆ma4dP58NuI :2020/05/06(水) 09:08:54 ID:suAJ4CMA
大切なことを申し忘れましたので、急ぎ申し上げます。
AかB、好きな人はあずみか千早だ、を選択した場合でも、その彼女達に
告白する義務は発生せず、黙ったままそのままの関係で居続ける事も出来ます。

万一選択を変更する場合はお手数ですが、ID欄空白に加え何番目のレス(9時7分現在で314〜316)者かを
明記した上で投票なさってください。
混乱を招きかねない事後報告を行ってしまい、申し訳ありませんでした。

318 :キャプテン岬 ◆ma4dP58NuI :2020/05/06(水) 09:21:53 ID:suAJ4CMA
追記、行動の幅を残そうと先のレスで申しましたが、やはりそれではこの選択の意味が無くなると考えましたので、
317のレスの発言は取り消し、以下のようにいたします。

・A〜Cを選んだ後、その相手が岬君の彼女候補となる。フラれるか別れるまでは対象を変更できない。
・すぐに告白しなくても良いが、時間がたつにつれ感情値が減少する。
 更に一定期間たつと引っ越しでその相手が去ってしまい、その相手以外の感情値も減少する。

最後に、指示が二転三転してしまった事を、深くお詫び申し上げます。

319 :森崎名無しさん:2020/05/06(水) 12:31:48 ID:Ui44uMN2
A

320 :キャプテン岬 ◆ma4dP58NuI :2020/05/10(日) 20:50:52 ID:k9boi1Oc
すみません、前回の投稿で頑張った反動か、なかなか話を書けないため、本日はお休みさせてください。
そして、岬君の誕生祭でこちらを読むようになった方がもしいらっしゃっればですが、
元々私は執筆のペースが週に一度あれば速い方でして、非常に遅いです。
どうか御了承を願います。

321 :キャプテン岬の人 ◆ma4dP58NuI :2020/05/17(日) 10:52:08 ID:Z4JbIyWA
A 「僕はあずみが好きだ」はっきり明言しておく
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
岬「(さて、どう話を進めていくべきか)」

切ない瞳で見つめてくる相手に対し、一刻も早く答えるべく急速に思考を働かせる。

岬「(最優先しなければいけないのは、僕を含め誰1人死なせない、傷つけないようにする事)」

霊能者、いや超能力者の沙織さんの援助があるとはいえ、その沙織さんを殺してしまえる敵と、僕達は戦わないといけないのだ。

岬「(だから)早乙女さん」
聖薇「は、はいっ!」

来たかと思い身構える聖薇をよそに、僕は目の前に隆々としているマロニエを指さす。

岬「僕は今、何を指してる?」
聖薇「何を、って、それはマロニエの木では」
岬「それじゃあ、マロニエを指してるのは?」
聖薇「岬君の指です」
岬「そうだね。それで、指はマロニエかな」
聖薇「まさか、そんなはずは。どうして今、そんな話を?」

322 :キャプテン岬の人 ◆ma4dP58NuI :2020/05/17(日) 10:53:13 ID:Z4JbIyWA
的外れというか、意図が読めない話の展開に、怪訝な表情を隠せていない。
そしてそれは、恋が実るか否かに全神経を集中させている聖薇の心に、隙が生じたという事だ。
今この隙間に、割って入る。

岬「なかなか込み入った話だからね。なのに僕は話が上手くないから、言葉じゃなくて言葉の先に注目してほしくて」

そう言いながら指さす右手を戻し聖薇へと向き直して、語る。

岬「話の前に、謝らないといけない。本来何の関係も無い
  早乙女さん達を命の危険にさらさせる事になって、どれだけお詫びすればいいか」
聖薇「そんな、岬君は何も悪くありません。それに生徒を守るのは風紀委員長の最重要義務です」

そこなんだ。そう殊更に声を荒げてみせる。思わぬ攻勢に聖薇はひるみ、虚ができる。そこだ。

岬「早乙女さんのいけないところはそこなんだ。義務や義理を因果関係と混同しちゃうところ。
  早乙女さんが風紀委員長じゃなくても、凶悪犯は優君を襲いにくる。
  そこまで義務にこだわって突き進むと、窮地に陥る子が出てくる。だからここで言う」

語気を緩め、一大決心を語るにふさわしい重々しげな口調で、告げた。



岬「僕はあずみが好き、あずみちゃんにそう告白する」





323 :キャプテン岬の人 ◆ma4dP58NuI :2020/05/17(日) 10:54:17 ID:Z4JbIyWA
聖薇「え、あの、そんな」

急に話が本題に戻り、再び混乱しはじめてきたが、

岬「僕は優君を護りたい」

再び話を横にそらす。サッカーで言えば強引にドリブル突破すると思わせた直後に、
フェイントをかけ相手を狼狽させるようなもの。
こちらの思惑を相手に信じ込ませるにはとにかく混乱させ冷静に考える暇を与えず、
さり気なく示したこちらにとって都合の良い仮定を真実だと思いこまさなければいけない。

岬「もっと言うなら優君にはもっともっと長生きして、
  友達と遊んだり絵を描いたり好きな人と一緒になって幸せになってほしい。
  早乙女さんも同じ思いだろうし、お姉さんの如月さんもそれ以上だ。でも、あずみちゃんは違う。
  あの子に対して2人ほどの責任感や愛情はない。
  当然だよ。付き合いがそんなにある訳じゃない、
  せいぜい同じ学校のビデオゲーム好きという位の縁で命を賭ける人なんていない。
  でも優君を助けるにはあずみちゃんの力が必要で、その時までに準備を整えておかないと、彼女まで殺されてしまう」

ここまで語りながらふと、シャルポワの事を思い出した。年端も行かぬ子に首ったけなあのフランス少女がこれを聞いたら、
迷うことなく仲間に加わり、7度殺されようと7度蘇って恋人の敵を討ち果たそうとするだろう。

岬「(けど彼女は『選ばれて』いない。沙織さんを殺せる相手に対して、1人減らす余裕があるとも思えない。
   たとえこの場は恨まれてでも、3人全員を向かわせないといけないんだ)」

僕らしくもない。人との間を上手く立ち回って労せずに利益を手にしてきた僕だが、
この危難はどう考えても、覚悟を決めずには切り抜けられそうにない。

岬「だから僕は伝えるんだ。僕はあずみが好きだって」

324 :キャプテン岬の人 ◆ma4dP58NuI :2020/05/17(日) 10:57:43 ID:Z4JbIyWA
あずみが好き。好きな人は自分以外の別の女が好き。そうハッキリと言葉を叩きこまれて、
右に左に話が振れて混乱していた聖薇の頭がピクンと震える。
再び悲嘆にくれる前に、すばやく聖薇の目の前に人差し指を突きつけた。
マロニエと指、言葉と意味、あずみと聖薇。
突然の行動に聖薇はたじろぐ。だがすぐに「真実」へと思い至ったらしく、僕へ尋ねた。

聖薇「そ、それでは、早川さんへの告白は、如月さんへの弟さんを助けるために、行う事なのですね、そうですよね」

否定されたら全てが終わる、そんな今にもすがりかからんとする聖薇の気迫が、声へ表情へと発して飛びかかる。

聖薇「私が嫌いとか邪魔だとか、そういう訳ではないのですよね?あなたの神様が授ける試練を乗り越えて、
   あなたに相応しい女性になれば、受け入れてくださいますよね?」

有無を言わせず一気に言い切ってしまってから、いいえと小さく言葉をつく。
顔は自戒の念がこもったような、神妙なものとなっていた。

聖薇「いけません、このままではただただ相手にまとわりつこうとする面倒な女になるだけです。
   そんな女性を好きになる男性は世界のどこにもいないでしょう。
   まずはあなたの全てを理解して、受け入れられるようにならなければ。例えば、この間の賭け事について」

325 :キャプテン岬の人 ◆ma4dP58NuI :2020/05/17(日) 11:00:07 ID:Z4JbIyWA
岬「(おや、ここで賭け試合の話か)」

いつか切り出そうとは思っていたが、こんな場面で出てくるとは。鬼が出るか蛇が出るか心の中で身構えたが、
出てきたのは文学少女らしいと言うべきか、ファンタジックとも言うべき突飛な発想だった。

聖薇「あのような暴れ者達の所業を見て、あなたも心をきっと痛めていたのでしょう。
   ですが説教では何の効果も無いと見てとって、最もショックを与えるであろう金銭面から打撃を与え、
   悔悟を促そうとしたのでしょう」

僕の右手を両手で包み込んで目の前へと持ち上げながら、一点の曇りもない瞳を捧げ、語る。

聖薇「その事に思い至って、『この人を好きになってよかった』。心の底からそう感じられるようになりました。
   誰に対しても厳しく、そして優しい人。そんな人と知り合えたと心に想うだけで、
   どれだけ心が満たされたか分かりません」

とうとうと「理解」とは程遠い、幻想的なまでに美化した僕の姿を語ってくれている聖薇を見て、
悪人にたぶらかされ全てを奪われながらも恍惚としている姿を幻視してしまった。
そのうちこれもどうにかすべきかと、要らぬ心配をしてしまっていると、凛々しい表情に戻った聖薇が、僕に告げた。



聖薇「どうかこれから、家にお越しください。あなたに一歩でも近づけるように、今まで隠していた秘密を、明かします。
   ……母さんは今日、遅くまで帰りません」





326 :キャプテン岬の人 ◆ma4dP58NuI :2020/05/17(日) 11:02:51 ID:Z4JbIyWA
         第5.3話『聖薇の正体、そして過去』



聖薇がル・エストの鍵を開け、ドアを開く。長く話をしていた事もあって日が傾いていたためもあるが、
窓という窓にカーテンがキッチリと敷かれていたため、室内は数m先の視界がおぼつかなくなる程に暗かった。

聖薇「ごめんなさい。今明るくします」

そう詫びた聖薇からカチリと音がして、ボンヤリと薄暗い光が頭上から部屋を照らし出す。
横浜あたりの観光街道に見られるガス灯を模した電灯の形も相まって、男女の密か事にふさわしい雰囲気をかもし出していた。

岬「(いけない。別にこれから、アレだ、ヘンな事をするわけじゃない。ただ話を聴くだけだ)」
聖薇「よろしければ、お茶でも」
岬「あ、うん、ください」

少しお待ちくださいと言い残し、聖薇は奥へと退いていった。暗闇からこれまたボンヤリとした光が漏れ、
続いてカチッとガスコンロの点火音が聞こえた後に、お盆にティーカップ、ティーポットを載せて運ぶ聖薇が見えた。

聖薇「粗茶ですが」
岬「いえいえ、ありがとう……これ、紅茶なんだ」

327 :キャプテン岬の人 ◆ma4dP58NuI :2020/05/17(日) 11:04:12 ID:Z4JbIyWA
聖薇「はい、スーぺリア・ダージリンです。もしかして紅茶は」
岬「いや、嫌いじゃないよ。ただ久しぶりに飲むなあと思って」

家で飲むのは水か牛乳、日本にいた頃はそれに麦茶が加わる程度で、紅茶などは数える程しか口にした事が無い。
とはいえせっかくの好意であるし、本題に入る前にリラックスしよう。そう思って紅茶に口を着ける。

岬「うん、おいしい」
聖薇「そうですか、よかった」
岬「まろやかで、とろんと優しく口の中で広がって、いい感じ」

上品な味わいにふっと満足げにため息をつく。しいんとした暗がりの中に吐息は浸み入り、
ここに聖薇と2人きりになっている事を意識させられる。

聖薇「本当によかった。この紅茶、私の好きなお茶ですから」

僕が飲むのを目にしてから、聖薇も紅茶を口にする。向かい合った中で飲む紅茶。


静かなひととき。


しばらくそうして何もせずに紅茶を飲み、ほとんど無くなりかけたところで、僕を呼ぶ声が聞こえてきた。

岬「なんだろう」
聖薇「そろそろ、話の続き、させてもらえないでしょうか」

328 :キャプテン岬の人 ◆ma4dP58NuI :2020/05/17(日) 11:06:04 ID:Z4JbIyWA
本題について切り出してきた。口をふき両手を膝の上に揃えながら、話を再開する。

聖薇「これから話す事は、誰にも話さないと、約束してくださらないでしょうか。友達にも、先生にも、私の母にも……
   母さんから、堅く口止めされてますから」
岬「うん、絶対に誰にも話さない、約束する」

出来るだけ安心感を与えられるよう、声色に混じり気ない返事をする。それを聞いて少しホッとした顔色になった後、
隠し続けてきた秘密というのを、僕に明かしはじめた。

聖薇「日本の五大財閥に水瀬、片桐、東豪寺、若林、そして早乙女財閥がある事は知っていると思います」
岬「うん(早乙女財閥……やはりそうか)」

素知らぬ顔をして、聖薇の告白を聞き続ける。

聖薇「その早乙女財閥内の、早乙女電子株式会社は、ご存知ですか」
岬「まあ、日本にいる頃にCMで見たし、パソコンとか売り出している会社だったような」

ここまで返事をして、ようやくハタと思い至ったという風に話を打ち切り、もしやという口調で、問いかける。



岬「まさか、いや、もしかしてだけど、早乙女さんって」
聖薇「そのもしか、です。私は早乙女電子の元代表取締役社長早乙女愛の長女、早乙女聖薇です」




329 :キャプテン岬の人 ◆ma4dP58NuI :2020/05/17(日) 11:08:00 ID:Z4JbIyWA
父さんが語った通りだった。聖薇が早乙女財閥の御令嬢だという話は、本当だった。

岬「そうか、そうだったんだ、今までちょっと、失礼なことでもしてたかな」
聖薇「そんな!」

慌てて僕に飛び込んで抱きつき、矢継ぎ早に哀願した。

聖薇「そんな事はありません!お嬢様だからって遠慮して離れて行かないで、
   クラスの皆と変わりなく接してくれて、ただのクラスメイトとして気遣ってくれたことがどれだけ嬉しかったか。
   上げ奉らないで、どうかクラスメイトの早乙女聖薇として、一緒にいさせて……」

親しい相手が去ってしまうかもという恐怖と焦燥を受け止めながら、ゆっくりと赤子をなだめるように聖薇の頭を撫でてやる。
無心にすがりつく聖薇の姿を見て、愛おしさが湧かない訳では無かったが、後の事を考えぐっとこらえる。

どれだけ時間がたっただろう。ようやく落ち着いた聖薇は取り乱した事を詫び、眼鏡を据え直した後、告白を続けたのだった。



先着で
★聖薇の過去 ! card★
と書き込み!とcardの間の隙間を埋めて下さい。スートで分岐します。

ダイヤ絵柄・JOKER→?「……よう」岬・聖薇「「あなたは!!」」
ダイヤ〜スペード→クラブ+過去についてより詳細に語る
クラブ→過去に何があったか、なぜ風紀委員長になったかを語る

330 :キャプテン岬の人 ◆ma4dP58NuI :2020/05/17(日) 11:56:16 ID:Z4JbIyWA
一旦ここまでといたします。なお、岬君が後日あずみちゃんへ告白する事を決めていますが、
あずみちゃんが受け入れるか、そもそもどう反応するかは、スムーズにいくかもしれませんし
いかないかもしれない事を御留意お願いいたします。

331 :森崎名無しさん:2020/05/17(日) 12:29:14 ID:???
★聖薇の過去  スペード3

332 :キャプテン岬の人 ◆ma4dP58NuI :2020/05/24(日) 17:00:18 ID:rU+8pYsg
申し訳ありません。今週はお休みさせてください。

333 :キャプテン岬の人 ◆ma4dP58NuI :2020/05/28(木) 00:10:56 ID:WkquqaaE
Twitterにてキャプテン岬のメインヒロインのうちの1人、早乙女聖薇さんの
イラストを投稿いたしました。興味のある方はこちらよりご覧になってください。
なお、年齢は原作にちなんで高校生の頃の姿となっております。

・セーラー服姿の聖薇さん
https://twitter.com/sc3loyupbCmTqIC/status/1265659499253084161

・ビキニ水着姿の聖薇さん
https://twitter.com/sc3loyupbCmTqIC/status/1265660198909145088

334 :キャプテン岬の人 ◆ma4dP58NuI :2020/05/31(日) 16:57:13 ID:8HS4w75M
★聖薇の過去  スペード3 ★→過去に何があったか、なぜ風紀委員長になったかを、詳細に語る
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
聖薇「先にも言いましたが、私は早乙女財閥次期総帥の長女として、父母妹と4人、家族と共に日本で暮らしていました。
   皆とても優しく穏やかで、一緒にいた日々が忘れられません。……離れ離れになったいきさつと共に」

岬「(会えなくなった?離婚でもしたかな)」

ドロドロとした話でも来るか、そう思った僕だったが、耳に聞こえてきたのはより奇怪な話だった。

聖薇「何年か前に日本で起こった、連続切り裂き事件は覚えてます?」
岬「まあ、テレビで見た位は」

もう何年前だったかも思い出せないが、東京のどこかの高級住宅地を中心に何度もバラバラ殺人が発生していた。
手がかりすらろくに見つからず一向に犯人が捕まらない事もあって、
「和製切り裂きジャック」だのあれこれ毎日のように騒いでいたんだっけ。

聖薇「その時私の家のすぐ近くでも起きたので父と母が心配して、
   それまでの車での送迎に加えて、私のためだけにガードマンを3人もつけてくれたのです。
   万が一にも危ない目に合わないようにって」

そこまで語ってから、聖薇は大きく深くため息をついた後、恐ろしい話を語りはじめたのだった。

335 :キャプテン岬の人 ◆ma4dP58NuI :2020/05/31(日) 16:58:18 ID:8HS4w75M
―――
―――――
―――――――
―――――――――


『うわっ!』


突然体が宙がえりになり、強かに落下して頭を「天井に」打ちつけてしまいました。
それも私だけではなく運転手も、そして山の大きいガードマン達も揃って打ちつけられてしまっていたのです。

瞬時のうちに私達を乗せた自動車が、空き缶を蹴飛ばすように激しく横転していたのでした。
打ちつけた頭の痛みにうめく暇もなく、非難のためガードマンに腕を引っ張られながら、なんとか外に出ました。

そして立ち上がってその場から立ち去ろうとした時、しぶきが顔にかかりました。
はじめは水しぶきだと思いました。その日は雨が降っていましたし、水たまりもあちこちにできていましたから。

ですが目元をぬぐった手が赤黒く染まり、目の前で運転手さんが金切り声を上げて倒れるのを見て、
私の顔にかかったのは血だと、理解させられました。
運転手さんが道路へ倒れ伏した先には、1人の男性が立っていました。それも様子が普通ではありません。



何しろ雨が降り続いているというのに、その人の周りには透明な膜でもあるかのように雨がドーム状によけて通っていたのですから。





336 :キャプテン岬の人 ◆ma4dP58NuI :2020/05/31(日) 16:59:52 ID:8HS4w75M
その奇怪な現象と、鉄サビをこすり合わせたような不気味な笑い声を聞いて、この人が例の殺人鬼だと直感いたしました。

ガードマン達もそう思って私の前について身構えたのですが、その屈強な人達が全員、
かまいたちに切り刻まれる木の葉のように、何mも離れた相手に瞬時にズタズタにされ、断末魔を上げて倒れてしまいました。

周りの人達を音もなく殺してしまった後、その人は私を見て薄笑いを浮かべながら、私に向かって歩き出してきました。

その時私がどう思ったか!あの血の気の無い薄笑いは一生忘れることはないでしょう。
恐怖のあまり口が裂けそうになる程に叫んで、気を失ってしまいました。



―――――――――
―――――――
―――――
―――


そこまで語ったところで、聖薇にしてはらしくもない荒いため息が吐き出されていた。
僕がそっとティーポットを持ってカップに注いで渡しても、わずかにうなづく以外は反応する気力も残ってないようだった。
重く静まった聖薇の心情をかき乱さぬよう黙って待っているうちに、聖薇が語りを再開した。

337 :キャプテン岬の人 ◆ma4dP58NuI :2020/05/31(日) 17:03:01 ID:8HS4w75M
聖薇「意識が戻った時、私は病室のベッドで横たわっていました。
   妹が泣き叫びながら飛びついて、父と母までが頬に涙を濡らしているのを見て、あの出来事は
   夢でも幻でもなく現実に起こったの事なんだと、否応なく受け止めざるをえませんでした。
   体の方はどういう訳か傷1つなく、検査を受けてもおかしいところはなかったのですぐに退院できました。
   ですが家に返って静かな自分の部屋へ戻ってみると、
   あの凄惨な光景がかえって鮮烈に蘇ってきて、絶えず恐怖に襲われるようになりました。
   ドアが不意に空いただけでも叫び声をあげるぐらいで、悪夢はどれだけ見たか数え切れません。
   外出はおろか外を眺めるのさえ怖くなって、家の中で閉じこもっていました。
   ただただそうしてあの恐ろしい記憶が私をむしばみ続けていた頃のある日、母が私に告げました」


早乙女『聖薇、2人で一緒に、殺人鬼の追ってこれない所で過ごしましょう』
聖薇『2人で、って、母さんのお仕事は』
早乙女『辞めました』
聖薇『ええっ!?』


聖薇「母は私を元気にするために、大企業の社長の地位を投げ捨てて、
   異国の地で2人きりで生活する道を選んでくれたのです。
   日本にいる頃は仕事で月に1度も会えませんでしたのに。
   他の家族と離れるのは寂しかったですが、母がいればきっと何とかなる、
   漠然とですがそんな風に思って、パリに移り住む事になったのです」

338 :キャプテン岬の人 ◆ma4dP58NuI :2020/05/31(日) 17:05:00 ID:8HS4w75M
聖薇「そうして母と一緒に本を読んだり、料理を作ったり、あちこちを散歩したりしているうちに、
   いつの間にか自分の内に怖いという気持ちが消えてなくなっていきました。
   そして学校に通うようになってから、みんなにはこんな怖い思いはしてほしくない、
   ずっと安心して過ごしていけるようになってほしいと思って、
   風紀委員へと入り学校内の安全と安全を脅かすであろうモノについて、目を光らせていました」

明かされなかったこれまでの境遇と、その心。忘れないようにと
頭に今までの言葉を刻み込んでいると、またも言葉がかかってきた。

聖薇「ですから私が優君を護ろうというのは、ただ義務として、あるいは関心を引くためだけに行こうという訳では無いのです。
   今の私のように、人生に悲惨な事があってほしくない、ずっと幸せでいてほしい。その一心だという事を信じてほしくて」

岬「う、うん、分かったよ」

聖薇の決意に同意したところで、自分の胸の内に置いていた疑問を晴らすべく、聖薇に尋ねてみた。

岬「そういえば、日本で襲われて気を失った時に、何か覚えていた事はある?」

339 :キャプテン岬の人 ◆ma4dP58NuI :2020/05/31(日) 17:07:08 ID:8HS4w75M
聖薇「あの時に、ですか?いえ全く」
岬「それじゃあ、この間の試合の後の事は?荒くれ達に向かって行った時の事」
聖薇「あの時……あの時も、ボールが私へと飛んできたのを見てから、記憶が途切れてしまってまして。
   気付いた時には早川さん達に担がれて家に運ばれていました」
岬「(直接の記憶はなしか)お母さんからは、何か言われなかった」
聖薇「それですけど、何でも私がフランスの男の子達をいたぶっていたという話を聞かされたみたいで、
  『あまりおてんばが過ぎないようにね』と、パリに来てからはじめて叱られてしまいました」
岬「(ははあ、あずみちゃんだな)」

快く思っていない相手だけに、聖薇がしでかしてしまった事を誇張して話してしまったのだろう。
あの母親の事だから本気にはしていないだろうが、後日機会を見つけて彼女をたしなめないといけないか。
そんな事を思いながら、話を核心へと進める。

岬「その記憶の無い時なんだけど、その時の早乙女さんは口調も態度も随分と漢っぽくなっていた。
  しかも雰囲気だけの話じゃなくて、あの荒くれ達を全員、ボール越しに次々と吹き飛ばしていたんだ」
聖薇「え、わ、私が、あの人達を!?」
岬「そう、あっという間にね。まるでお話に出てくるような、もう1つの人格が発現したみたいに。
  そして最後に、それとも違うような妙な事を言っていたね。『俺の愛のために』って」

340 :キャプテン岬の人 ◆ma4dP58NuI :2020/05/31(日) 17:08:34 ID:8HS4w75M
聖薇「俺の愛って、もしかして、母の」
岬「おそらくね。人格が違うというより、全くの別人のようだった。何か心当たりは」
聖薇「いえ、私も初耳でした。そんな不思議な事が私の身に起こっていたなんて。今日の夜にでも、母に尋ねてみます」

聖薇には何かが憑いている。しかし本人には全く意識も心当たりも無いという。
これ以上尋ねても進展は無さそうだったので、その後二言三言とりとめもない話を交わした後、帰宅する事にした。

別れの挨拶を口にして外に出る。ドアからカチリと鍵のかかる音を後ろにして立ち去ろうとした時、かけた鍵を外す音が聞こえ、
次いで慌ただし気にドアが開いて、聖薇が僕を呼び止めた。

聖薇「お待ちください。言い忘れていましたが、実は来月に私の誕生日がありまして。
   もしお暇でしたら、お越しになりませんか」

そのあまりに嬉しげな、僕の訪問を期待した笑顔を見て、
普段の僕にはあり得ない事だが、考えもせずに行くと返事をしてしまった。
その後家路に着きながら、あずみちゃんの事を思い出す。まだ関係を整理していないのにと後悔しきりだった。



だが、すぐに悩む必要はなくなった。

341 :キャプテン岬の人 ◆ma4dP58NuI :2020/05/31(日) 17:10:27 ID:8HS4w75M
翌日の朝、服を着替え終わって朝食の準備に取り掛かろうとしたところで、電話が鳴った。
受話器を取ると聖薇の声が、気ぜわしげに耳に伝わる。

聖薇「すみません、今日から私、しばらく学校を休みます」
岬「今日から?どうして」
聖薇「ごめんなさい、すぐに切らないといけなくて、これから少なくとも1カ月は、日本に戻らないといけません。
   詳しい話は日本に着いてから話しますので、それでは」

失礼しますと言い残し、電話を切られてしまった。聖薇らしからぬ乱雑とさえいえる説明不足と慌てぶり。

岬「(まあ、誕生会が中止になっただけでも良しとしよう)」

そう自分に言い聞かせて受話器を置いた直後、またもけたたましく電話が鳴り響く。
かけ直しかと思ったが、今度は電話越しにも分かるほど、心が浮き立っている人間の声が聞こえてきた。

沙織「ああ太郎くん!ビッグニュースよ!日本に戻って、いや私の人生で最大の、飛び抜けた上客から神おろしの依頼が!」

無間神社パリ分社を建立した後、運営が落ち着いてきたところで沙織さんは日本での様子を確認すべく一時帰国していたのだ。
その沙織さんに、飛び切り金払いのいい相手から依頼が来たという。その名を聞いて、僕は目を見開いた。


沙織「相手はなんと、早乙女電子の元社長さん!その娘さんにとり憑いているのは誰か、教えてほしいって!」




342 :キャプテン岬の人 ◆ma4dP58NuI :2020/05/31(日) 17:12:24 ID:8HS4w75M
*聖薇の感情値が6→13(最大値)になりました。岬の提案を無条件で受け入れるようになります。
 更に「信頼」「親友」段階のボーナスも適用されます。詳しくは前スレの464レスを参照の事。
http://capmori.net/test/read.cgi/morosaki/1536464753/464

*聖薇の各人に対する感情が以下のように判明いたしました。

聖薇→(大好き)→岬
聖薇→(だらしない・劣等感)→あずみ
聖薇→(感謝・劣等感)→千早



と、いうところで岬と聖薇の1エピソードはいったんここで終わりです。
ちなみに聖薇の誕生日を11月にしたのは、後々の誕生日が他の主要人物と重ならないように
というこちらの都合による独自設定となります。

如月千早:2月25日
岬太郎:5月5日
早川あずみ:不明、7・8月頃が望ましい?
早乙女聖薇:11月に設定

聖薇とあずみの誕生日はまた後日確定する事といたします。その際は皆様の意見もうかがってまいります。


最後に、月の最後に得られる、今月分の岬君の収入を決定するために、以下の投稿をお願いいたします。
空白は埋めて投稿してください。

★このようにかせぐのだ⇒10+! num+! numフラン★

それでは、本日の投稿はこれで終わりといたします。

343 :森崎名無しさん:2020/05/31(日) 19:40:48 ID:???
★このようにかせぐのだ⇒10+ 8 + 9 フラン★

344 :キャプテン岬 ◆ma4dP58NuI :2020/06/07(日) 21:51:06 ID:+spIrzDw
すみません、本日は投稿をお休みさせてください。明日投稿出来るよう尽力いたします。

345 :キャプテン岬の人 ◆ma4dP58NuI :2020/06/08(月) 18:19:28 ID:uFaMwq9o
★このようにかせぐのだ⇒10+ 8 + 9 フラン★→27フラン獲得!
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


第5.4話『このようにかせぐのだ』


僕は今、ヴォルテール通りのアタリフランス社前にいる。
より正確には、1階のゲームセンターとゲームソフト売り場を横目に抜けてたどり着いた、2階のオフィス入口にいる。

あずみ『受付に着いたらこれを渡して、話は通しておくから、問題なくキーを渡してくれるわ』

以前の打ち合わせで聞いた言葉を思い出す。胸ポケットから丁寧に折り畳んだ紙切れを取り出した後、受付へと歩いていく。

受付嬢「こんにちは、かわいい坊ちゃん、何かごよう?お名前は?」

幼さが残る少年がおずおずと自分の前に歩み出てくるのを見て、
受付嬢としてではなく1人の年上の大人として、鷹揚としたところをみせようとする気持ちがくすぐられたようだ。

岬「はい、岬太郎です!あずみちゃんからここに来てほしいって言われました!」

これから金銭の受け渡しを円滑に続けるには、万が一にも疑われたりしないように、相手の望んでいるイメージへと応えてみた。

346 :キャプテン岬の人 ◆ma4dP58NuI :2020/06/08(月) 18:20:29 ID:uFaMwq9o
受付嬢「あら、プリンセスから?そう、ふふ、うちのプリンセスはやんちゃで男勝りだけど、いい子だから大事にしてあげてね」

あずみちゃんは親の会社の人達からも可愛がられているようだ。密かに頭へ情報を浸みこませた後、
何食わぬ顔で「書類」を渡す。受付嬢はその1枚の紙を手に取って、目を丸くした。



岬太郎に対し、第2保管室の505キーの貸与を認める。
また、この証書により当該人物の第2保管室の入室を認めるものとする。

アタリ株式会社フランス支社代表取締役社長 早川こずえ



フランス語でこう言った内容の文書を渡す。
まさかこんな子供から社長直々の指示書類が渡されるとは思わなかったのだろう。
まごつきながら机の下から鍵を取り出して僕に渡し、保管室までの道筋を説明した後で、
いってらっしゃいませと恭しく頭を下げて見送ってくれた。

岬「(しかし、いくら一人娘の頼みとはいえ、支社長の名前を使ってまでここまでするとはね)」

そこまで自分の子供を溺愛しているのか、それとも商売に貪欲なのか。
あずみ母の思惑に想いを馳せているうちに、第2保管室へとたどり着いた。

347 :キャプテン岬の人 ◆ma4dP58NuI :2020/06/08(月) 18:23:44 ID:uFaMwq9o
鍵を開けて中に入る。中にはイベントで使っていたのか、様々なコスチュームスーツや小道具があちこちに収納されていた。

岬「(戦隊ものっぽいこのアタリスーツなんか、あずみちゃん好きそうだなあ……あ、あった)」

目当てのロッカーを見つけた。
鍵穴の上には8つのダイヤルがあり、指示したコードを入れないと開かないようになっていると、あずみちゃんから聞かされている。

あずみ『N、O、C、O、L、E、C、O、だからね。大切な事だから、忘れないで』
岬「(それはまあ、大事だろうなあ。信仰的な意味で)」

チラリと双海の双子の顔が浮かぶ。それはともかく、中に入っていた封筒を取り出す。
中にはいつどこで誰がいくら使ったかという明細書とそれを元にした僕の取り分、
2フラン硬貨13枚とチップとして1フラン、計27フランが入っていた。

岬「(675円相当、亜美や真美に奮闘してもらってもこれ位か。まあ1週間の金額ではあるし、
   今は安定収入の口が出来ただけ良しとしよう)」

少ないながらも収入源を確保した事に満足して、僕は保管室を後にした。この先この金の成る木を肥やしていけるかは僕の頭と、脚次第だ。


348 :キャプテン岬の人 ◆ma4dP58NuI :2020/06/08(月) 18:26:53 ID:uFaMwq9o
*賭け試合の報酬として27フランを獲得した!

岬の所持金:252フラン→279フラン



岬父「岬一郎です。これから恒例となる週最後の収入イベントについて、
   太郎がどのように報酬を受け取っているかを伝えるべくチュートリアルを挿入してみました。
   次回からは特に記述はしませんが、毎回こんな風に収入を得ていると理解してくだされば幸いです。
   本日はこれで終わりとなりますが、どうかこれからも、太郎をよろしくおねがいいたします」

349 :キャプテン岬の人 ◆ma4dP58NuI :2020/06/12(金) 17:54:50 ID:lLFaD+6k
失礼いたします。申し訳ありませんが私用が立て込む形となりまして、
現状では満足のいく水準の岬君の物語を描ける見込みが厳しいものとなってしまいました。
その為勝手ではありますが、今月中のキャプテン岬の投稿をお休みさせてください。
来月も様々な用事があるため、投稿再開は早くとも来月の11日(土)からの見込みとなっております。

なにとぞ今しばらくお待ちくだされば幸いです。

350 :キャプテン岬 ◆ma4dP58NuI :2020/06/25(木) 22:55:02 ID:umOQc0H+
すみません、本日は投稿をお休みさせてください。明日投稿出来るよう尽力いたします。

351 :キャプテン岬 ◆ma4dP58NuI :2020/06/25(木) 23:05:22 ID:fvXHLN9M
申し訳ありません。なぜか350にて身に覚えのない投稿がされていますが、残念ながら来月11日くらいまで
投稿できないのは変わりません。混乱を招きかねない事となった事を、お詫び申し上げます。

352 :キャプテン岬の人 ◆ma4dP58NuI :2020/07/12(日) 11:56:46 ID:HQ2M1uog
丸山「早乙女さんは日本に一時帰国しました」

朝の回で開口一番に告げるや、教室内は一斉にざわめきだした。なにしろ誰より規則や規律にうるさく、
そして誰よりも早く登校して委員会活動の下準備や学校周辺の見回りに出る精力的な活動を見せていた風紀委員長が、
何の前触れもなく姿をかき消し仕事を放り投げてしまうとは。

あずみ「やった、これで学校に平和が戻ったよ」

嬉しさを隠そうともせず、隣からあずみちゃんが話しかけてくる。

あずみ「いろいろチョッカイばかりかけてくるから、バチが当たったんだ。すました顔してあたしの」
丸山「静かに!」

カンカンとチョークが黒板にノックされ、騒々しいおしゃべりが制止される。

丸山「1カ月位でまた、ここに戻ってきます。母親のお仕事の都合でやむなく日本に行くというだけですから、
   皆さん心配しないように」
あずみ「えー、そんなァ……神は死んだ、神は死んだ……」

353 :キャプテン岬の人 ◆ma4dP58NuI :2020/07/12(日) 11:58:47 ID:HQ2M1uog
一時帰国に過ぎないと告げられて、隣の少女はたちまち露骨に不機嫌な表情をさらけ出す。
ため息が僕の方にまで届いてくるがお構いなしだ。そんな時。

岬「(相変わらずだなあ、こんな調子で協力なんてできるやら)」
千早「ちょっといいかしら」
岬「どうしたの」
千早「早乙女さんの事、教えてもらえる」

えっと思わず口に出そうになるところを抑え、動揺を隠すべくできるだけゆっくり千早の方へと体を向けて、きき直した。

岬「急に一体、どうしたの」
千早「さっきの先生の話、どうもストンと腑に落ちないというか、隠したい事に気付かせないようにというのか、とにかくモヤモヤしていて」
岬「そうかな、特にヘンなところは無さそうだったけど」
千早「いえ、間違いなくあるわ」

話をやんわりとそらそうとするもキッパリと断言され、話は進行する。

千早「これから早乙女さんが帰ってくるまで、代わりの風紀委員長を決めなければいけない。
   面倒事ばかりの役割で急な事だから、決まっても熱心に取り組んではくれないでしょう」
   あずみ「ふーん、なんならいない時ぐらい風紀委員なんてやらずに」
千早「あずみ」

子供をたしなめる母親のように、友達を軽く言葉で制止する。

千早「そういう訳にはいかないでしょう。
   校内の見回りの人の手配とか、集団下校の付き添いの割り振りやその時の観察レポートの管理とかはどうするの」
あずみ「あーっ、そうか」

354 :キャプテン岬の人 ◆ma4dP58NuI :2020/07/12(日) 12:00:28 ID:HQ2M1uog
説明を聞いてあずみちゃんは納得し、引き下がる。この頃物騒になってきたパリにて生徒を安全に帰宅させるという名目の下、
例の凶悪犯に対する警戒と情報収集体制を、学校でとっている。

千早「そんな仕事をなんのフォローもせずに放り投げるなんてこと、絶対にしないひとなのに。
   そもそもいなくなるという事さえ初めて知った。絶対に、何かあったのよ。それで、岬君に尋ねてみようと思って」
岬「いや、気持ちは分かるけど僕なんかに」
千早「ふふふ」

否定をしようとすると千早は、なぜだか楽しげな笑みを僕に向けて、話し続ける。

千早「遠慮もしすぎるとイヤミになるわ。この間のサッカー部の活躍、学校で知らない人はいないから。
   当然、その後の早乙女さんとのやり取りも」

僕とそれ以外の態度の変わりぶりの事だろう。周りにはフランス人達しかいなかっただろうから、
話の詳細は分からないだろうが、話が広がっていくうちに誇張されてもおかしくない。
そして、よそを向いていたあずみちゃんが、突如風を切るような勢いでこちらに振り向き、
僕へと顔を突きつけるように近づけながら、問い詰めてきた。

あずみ「そうね。あいつがどんな寝言言ってたのか、スッゴク知りたいなあ」

355 :キャプテン岬の人 ◆ma4dP58NuI :2020/07/12(日) 12:02:49 ID:HQ2M1uog
千早「あずみの事はともかく、もしそんな親しい仲なら、何かしら話してくれているんじゃないかって、思ったの。
   せめてさしつかえの無いところだけでも、話してもらえないかしら。これからの事もあるから」
岬「(うーん、どうしよう。聖薇からは話さないでと頼まれたし、
   あずみちゃんは明らかに知りたい事が違っているし……ここは)」


A 「いや、僕も初耳で驚いているんだ」 あくまでシラを切り通す
B 「先生と同じ事を話していただけだよ」 当たり障りのない事だけを話す
C 「それは言えない、僕だけにって事で話してくれたんだから」 話す気はないという事を示す
D その他、自由回答(要2票)

先に1票入った選択肢で進行します。メール欄を空白にして、IDを出して投票してください。



そして本日はこれまでと致します。
なお、この回のタイトルが思い浮かばなかったのですが、
これはというタイトルがあれば、どうかご教示お願いいたします。

356 :森崎名無しさん:2020/07/13(月) 21:05:57 ID:mGckjzl6
B

357 :キャプテン岬の人 ◆ma4dP58NuI :2020/07/19(日) 15:01:32 ID:bTIe4pos
B 「先生と同じ事を話していただけだよ」 当たり障りのない事だけを話す
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
岬「先生と同じ事を話していただけだよ、明日からしばらく日本に行くって」
千早「そう、それなら」
あずみ「あん!?」

不機嫌、いや敵意さえ感じられる鋭い視線を向けながら手を伸ばし、僕の頬をつかむ。

岬「うふぁ」
あずみ「あのヤロー、アンタだけにそんなことぬかしてたってワケ、まるで自分が、ただ1人の特別な存在みたいに」
岬「いやそれは、話したのだってたまたま出会っただけ痛っ」

何故だか起こった少女のご立腹をなだめようとしたが、頬にかかる圧がさらに強くなっていく。

あずみ「フン、あんな奴とおしゃべりなんかしたバツよ、あーあ朝からヤなこと聞いたわ、ったく……」

プリプリとした具合に顔を膨らませて、苛立たしげに机から立ち去ってしまった。
既に朝の会が終わり周りは別のおしゃべりに高じていて、こちらの方に関心が向かわないのが不幸中の幸いだった。

358 :キャプテン岬の人 ◆ma4dP58NuI :2020/07/19(日) 15:03:09 ID:bTIe4pos
千早「あずみったら、またすねちゃった。大丈夫よ、あの位なら1時間目が始まる頃までに戻って来るわ」
岬「だといいんだけど。なんであんなに感情的になるかなあ」
千早「さあ?それにしても早乙女さんがねえ、岬君にだけなんて」
岬「そうかな、他の人にも」
千早「風紀委員の私達に伝えられてない事が、他のクラスメイトに教えているなんて考えにくいわ。
   ふふふ、色々と面白くなってきたし、思うところもあるけれど、
   もう少しで授業だからここまでにしておくわ、じゃあね」
岬「う、うん、じゃあね(何か知っているようだけど……時間もないし、今はやめておこう。
  あずみちゃんの方はどうしたものかねえ……)」

若干の波乱を含みつつ、大過はなくこの場をやり過ごすこととなったのだった。


※あずみの感情値と対人関係は以下のようになりました。
感情値(8→7)
あずみ→(あの野郎!)→聖薇

359 :キャプテン岬の人 ◆ma4dP58NuI :2020/07/19(日) 15:04:31 ID:bTIe4pos
1983年10月第2週第1フェイズ、学校内


岬「(ああ、終わった)」

体を伸ばす。授業が全て終わり、サッカー部の練習まで時間がある。その間をどうすべきだろうか。

@自分の教室、
A上級生の教室
B下級生の教室 
C音楽室
D情報室
E校庭
F誰とも会わずにサッカー部練習に加わる


1票入った選択肢で進行します。メール欄を空白にして、IDを出して投票してください。

なお、Fを選んだ場合、2分の1の確率で練習時間か自由時間のどちらかをもう1回多く利用できます。
それ以外の場合は、その場所にいるであろう人と交流を行えます(誰もいない場合もあります)。
場所によって会える人が変わってきますし、複数の箇所で会える人もいます。

360 :森崎名無しさん:2020/07/19(日) 18:57:11 ID:nrQsnt+A
A

361 :キャプテン岬の人 ◆ma4dP58NuI :2020/07/19(日) 22:26:50 ID:bTIe4pos
本日はこれで終わりといたします。最後に1つだけ投稿を。



A上級生の教室
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
先着で
★上級生の教室 ! card★
と書き込み!とcardの間の隙間を埋めて下さい。スートと数値で分岐します。

・ダイヤ
KとL:天ケ瀬と大杉
J:中江 
I:天ケ瀬
H:秋山
G:永井
F:黒田 
E:渋沢
D:藤田
C:大杉
B:金子
A:西園寺    
@:塩野

それ以外:知っている人は誰もいなかった

362 :森崎名無しさん:2020/07/19(日) 22:59:27 ID:???
★上級生の教室  ダイヤ3

363 :キャプテン岬 ◆ma4dP58NuI :2020/07/28(火) 21:31:56 ID:7DC8fndE
すみません、私用に追われるあまり、先週分の投稿を失念しておりました。

用事はとりあえず一段落しましたので、今週こそ続きを投稿いたします、今しばらくお待ちください。

364 :キャプテン岬の人 ◆ma4dP58NuI :2020/08/02(日) 15:09:14 ID:xK69mOlg
★上級生の教室  ダイヤ3 ★⇒金子(DF)
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
部活動が始まるまではまだ時間がある。そう思ってふらりと校舎を歩いていると、
上級生、中等部の人達の教室が見えてきた。サッカー以外の先輩達の一面が見えるかもしれないと思い
中に入ってみると、聞き覚えのある声が僕を呼んでくる。

金子「おう、岬じゃないか、どうした」
岬「(サッカー部でDFしている人だったな、なんて返事しよう)」

A:岬「中学生になったら別の校舎に移ると聞いて、今のうちに覚えておこうと思いまして」
B:岬「このあたりで強いチームか、凄いプレーヤーがいれば教えてほしいと思いまして」
C:岬「パリでプレゼントのおもちゃを買える所を探していて、先輩なら教えてくれるかもと」
D:岬「この間の試合の後、早川さんからどうも嫌われたみたいで、どうすればいいかと」
E:岬「もし良ければ、今度の土日にでも一緒に練習できればとうれしいです」
F:その他、自由回答(要2票)

先に1票入った選択肢で進行します。メール欄を空白にして、IDを出して投票してください。

365 :森崎名無しさん:2020/08/03(月) 22:15:50 ID:/3sE7sJw
E

366 :キャプテン岬 ◆ma4dP58NuI :2020/08/05(水) 16:55:28 ID:6g8Kr2oM
本日は都合により少々早い時間に投稿いたします。そしてこれからの今月中、私用により、
投稿できる日が不透明なものとなります。何卒ご理解をよろしくお願い申し上げます。




E:岬「もし良ければ、今度の土日にでも一緒に練習できればとうれしいです」
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
ここのところ1人だけの練習がまるで効果を上げていない。想像では限界がある。
誰か他人の介添えが必要かもしれない。少なくともこの先輩との親交は深められるだろう。
そう算段を立てて申し入れをしてみたところ、その先輩からの返答は……

先着で
★金子先輩の返事 ! card★
と書き込み!とcardの間の隙間を埋めて下さい。スートで分岐します。

JOKER:ダイヤ・ハート+金子「ちょうどいい、新技の特訓につきあってくれよ」
ダイヤ・ハート:金子「いいぜ、今度の土曜にでも行こう」
スペード・クラブ:金子「あー、ちょっと野暮用があって、行けないんだわ」
クラブA:あずみ「ダメッ、岬君はあたしと行くのッ!」 唐突に現れたあずみに腕をつかまれる!


265KB (08:00PM - 02:00AM の間一気に全部は読めません)
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