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【新隊長】異邦人モリサキ3【始動】
[46]異邦人 ◆ALIENo70zA
:2012/11/01(木) 19:56:41 ID:???
「その、ぼ、僕はセサの生まれなんです」
「セサ……ああ、トルキアの端っこにある」
「は、はい、そのセサ公国です」
セサ公国。
古トルキア帝国末期、帝国の大貴族であった某公爵が所領の独立を認められた国家である。
面積はドルファン王国の半分程度。
トルキア半島の北西端に位置する、小国家であった。
「セサは、その、土地が良くないですし、対岸のイングランドに睨まれてちゃんとした港もないですから、
えっと……つまり、すごく貧しい国なんです」
省34
[47]異邦人 ◆ALIENo70zA
:2012/11/01(木) 20:02:28 ID:???
「ヴァン=トルキアからの荷がなければ、小麦も塩も手に入りません。
石材も木材も、布だってセサの国の中で賄うには全然足りません。
どれだけ高くたって、僕らはそれを買うしかないんです。止められたら、飢えて死ぬだけです」
セサという国の人間は、きっと皆、こうやって笑うのだろう。
「トルキアに人を出せと言われたら、セサの男たちは駆り出されます。
それが戦でも、麦の刈り入れでも、安い賃金でいいように使われます。
省37
[48]異邦人 ◆ALIENo70zA
:2012/11/01(木) 20:03:45 ID:???
「おっ母さんのためなら、か。孝行息子だな、お前」
「母は、女手ひとつで僕を育ててくれましたから……当然です」
そう言うカイルの栃色の瞳には、心からの慈しみが溢れている。
先ほどまでの乾いた笑みとは打って変わったその目に、森崎がカイルを招き寄せると、
いくさ働きには到底向かぬ細い肩をぽんと叩いた。
「なるほどな……ま、俺も頼りにしてるからよ、給金は弾むぜ」
「あ、ありがとうございます! 僕、一生懸命働きますっ!」
省4
[49]異邦人 ◆ALIENo70zA
:2012/11/01(木) 20:04:46 ID:???
//部隊訓練
「―――おい、そこ! そうだ、赤毛のお前だ、ちょっと横見てみろ!
……分かったか、前に出すぎてんだよ! 狙い撃ちにされてえのか!」
森崎の怒声が響き渡るのは、広大な運動場である。
「だああ、違う違う! 盾の隊列を崩すんじゃねえ! テメエが守るのは隣の奴だっての!
逆隣の奴がテメエを守るんだよ! 一箇所でも穴開けたらそこから崩れるんだ、忘れんな!」
九月に入隊した新兵の内、歴戦を重ねた者はほんの数えるほどである。
省37
[50]異邦人 ◆ALIENo70zA
:2012/11/01(木) 20:06:12 ID:???
//休養
「くぁ……ちくしょう、久々の休みだってのに、メシを食いに出る気力もねえぞ……」
『うわあ……』
寝台の上に突っ伏した森崎の姿は、さながら馬車に轢き潰された蛙である。
体の芯に鉛でも詰め込まれたような倦怠感に、身を起こすのすら億劫だった。
「人にあれこれ言うってのは、自分の体を苛めるよりよっぽど堪えるな……」
『大変だねえ、隊長さんも』
「他人事だと思いやがって……くそう」
省30
[51]異邦人 ◆ALIENo70zA
:2012/11/01(木) 20:07:21 ID:???
皆様、ご回答ありがとうございます。
ご覧の通り、コピペの順番を間違えてイベントテキストが先になってしまいました!
本来、このレスが
>>44
の前に入ります。
お恥ずかしい限りです……。
気を取り直しまして。
それでは早速、
>>39-40
の選択については……
>>42
さら ◆KYCgbi9lqI様の案を採用させていただきます!
そろそろガッツが黄色信号ですからね。
また部隊訓練もこの辺りで消費と上昇値を見ておいた方が戦略も立てやすくなるでしょう。
省25
[52]異邦人 ◆ALIENo70zA
:2012/11/01(木) 20:08:26 ID:???
******
*D26.10月 「気のいい傭兵団のエース」森崎有三
メインイベント
『才気』
マルタギニア海の沿岸は、欧州の中でも温暖な気候で知られている。
その一端に連なるドルファンも例外ではなく、冬の雨は多いものの、雪が降ることは
十数年に一度という程度である。
とはいえ無論、常夏というわけにはいかない。
夏が過ぎれば短い秋と長い冬が待っていることに変わりはなかった。
「うぅ、さすがに朝晩は冷えるようになってきたな……」
省26
[53]異邦人 ◆ALIENo70zA
:2012/11/01(木) 20:09:27 ID:???
ひそひそと言い交わす森崎の行く手にあったのは、まるで道を塞ぐように横付けされた馬車である。
兵舎のあるシーエアー地区からフェンネル地区の訓練場に続く閑静な道のこと、
何か近隣に用があって停まっているわけでもあるまいと思いながら見やった馬車は、
近くで見ればひどく豪奢なものだった。
全体を純白に塗られた車体は、森崎もよく目にする粗末な乗合馬車とは比べ物にならない。
精緻な計算のもとに施された彫刻が白い車体を彩り、まるで羽ばたく鳥のようにその全体像を錯覚させる。
省45
[54]異邦人 ◆ALIENo70zA
:2012/11/01(木) 20:10:27 ID:???
乱暴に言い放って森崎を睨む、その姿はよくよく見れば確かに女性である。
灰色がかった銀髪を長く伸ばした顔立ちは、むしろ美人といってもいい。
しかし、森崎が迷ったのも無理はなかった。
獰猛とすら言えるような目で森崎を睨みつける彼女の出で立ちはといえば、
糊のきいた純白のカッターシャツに黒のベスト、胸元にはベルベットでできた臙脂のリボンタイ。
そして何より、その足を覆うのはスカートではなく、すっきりとしたラインの黒のパンツであった。
省46
[55]異邦人 ◆ALIENo70zA
:2012/11/01(木) 20:11:28 ID:???
「……じゃあ、どうして俺の名前を」
「用があって捜してたんだよ。っと、勘違いすんじゃねえぞ」
「……?」
「用があるのはオレじゃない。……あっちだ」
すげなく言った女性が、す、と滑るように歩むと、馬車の扉に正対する。
「お嬢さん、間違いないみたいだぜ」
声は、馬車の中にかけられたものである。
僅かな間を置いて、くぐもった声が返ってくる。
「……そう。開けなさい」
「へいよ、っと」
省42
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0ch BBS 2007-01-24