キャプテン森崎 Vol. II 〜Super Morisaki!〜
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銀河シュナイダー伝説8 〜集結篇〜
1 :
◆DWysPbgK..
:2011/09/05(月) 22:08:18 ID:P0Wi+Ypo
人類が地球という名の辺境の惑星より銀河系という開拓の道を歩み始めて800年余。
世界は『銀河帝国』と『自由惑星同盟』という2つの勢力によりいつとも終わりのない争いを続けていた。
そこに現れし1人の人物。彼の名はカールハインツ・フォン・シュナイダー。
金髪碧眼の若者である彼はついに子爵位の内定を手にし、爵位を持つ門閥貴族の道を歩む事になる。
彼の先にあるのは門閥貴族の筆頭として自由惑星同盟の叛徒達を滅する未来か、それとも…
今はまだ若き青年である彼の未来、それを知る者は未だいない。
銀河の歴史がまた1ページ…
前スレ
銀河シュナイダー伝説7 〜琢磨篇〜
http://capmori.net/test/read.cgi/morosaki/1314288999/
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銀河シュナイダー伝説6 〜切磋篇〜
http://capmori.net/test/read.cgi/morosaki/1312889688/
銀河シュナイダー伝説5 〜求道篇〜
http://capmori.net/test/read.cgi/morosaki/1300034158/
銀河シュナイダー伝説4 〜岐路篇〜
http://capmori.net/test/read.cgi/morosaki/1298468514/
銀河シュナイダー伝説3 〜小星篇〜
http://capmori.net/test/read.cgi/morosaki/1296506795/
銀河シュナイダー伝説2 〜青雲篇〜
http://capmori.net/test/read.cgi/morosaki/1294392924/
銀河シュナイダー伝説1 〜黎明篇〜
http://capmori.net/test/read.cgi/morosaki/1291283308/
993 :
外伝〜銀河森崎伝説〜
:2011/09/29(木) 23:53:13 ID:bOTUfrhE
カルツ「…そうじゃな。ゼッフル粒子に指向性があれば一番いいんじゃが、ほかに手は無いか…」
髑髏のような印象を持たせる仮面の下に隠れたオヤジ顔はそれでも爪楊枝を咥えており、ほかに作戦は
ないかと考える。が、中心地を押さえられているという不利は確かに存在し、尚且つ時間を
かけすぎてしまえば上に上っていた小隊がダミーに気づいて戻ってくるだろう。
ミレウス「じゃあ、僕が西側から陽動をかけるからカルツは正面からお願いね。数はこちらが上なんだ。
負けないよ、きっと」
そういうと厚手のグローブごしにカルツの拳を叩き、自身の小隊を率い敵の死角から西方向へ向う。
〜〜〜
モリサキ(…反応が無いな。罠か?)
通信手に上の階の小隊と連絡がつかないか何度か試させた後にそんな事を思うモリサキ。
本来ならば何人かを上の階に向わせ連れ戻せば良いのであるのだが、こうも通信網がガタガタになって
しまっていては最悪同士討ちの可能性もあり、下手に動けない。
994 :
外伝〜銀河森崎伝説〜
:2011/09/29(木) 23:55:59 ID:bOTUfrhE
ビルト「隊長。この場を放棄して上の階に向われてはいかがですか?」
見通しが良い…逆に言うと力押しに弱いこの大階段正面は守るに適しておらず、また敵がいきなり
爆破という暴挙に出ないことから敵としてもこの施設は出来るだけ少ない傷で確保したいのであろうと
判断した配下のビルト伍長はそう進言する。
モリサキ「違うな。敵の待ちはまさしくそれだ。我々がこの位置にいるのは何も作戦尊守の為ではない。
この階段沿いに出来た柱…この施設の見取り図を見るに、ここさえ残れば宇宙防衛管制司令部が崩壊
する事は無い。つまり、我々がこの場にいるからこそ敵は動けないでいる。我々が上の階の精鋭たちの
命を握っているんだ」
肌の色が黒いビルトの言葉にそう解説をしていると…
ゴト…
モリサキ「来るぞ!西側だ!!ビルト伍長!半数を纏めてその任に当たれ!」
僅かな音を聞き逃さず的確に命令すると、伍長の返事を待たずに再び激戦の最中へ身を投じる。
〜〜〜
995 :
外伝〜銀河森崎伝説〜
:2011/09/29(木) 23:57:04 ID:bOTUfrhE
〜〜〜
ガン!!!ガキン!!!!
それはその会話の僅か数分後のことだった。
???「ちい!!おんしやるの!」
装甲服の上からなので体格はわからないが相手は歴戦の勇者…というには僅かに若い声がしていた。
モリサキ「粉クソ!!」
ドオン!!!
幾人かの死体を作り出したモリサキに襲い掛かってきたのは恐らく敵の士官。もしかしたらモリサキ
の予想する作戦を実際に実行しようとしている責任者なのかもしれない。
???「ハッ!!」
その軌跡は確実に人間の弱点を通っており、一撃でもいなし損なうと致死に至る斬撃だった。
モリサキ「ちぃ!西側は囮か!!」
守りきれば勝ちであるモリサキは相手を倒す事を諦め、守りに転じる事で何とか凌ぎきってはいたが、
その才覚はモリサキ以上。彼自身白兵戦にはかなりの自信を持っていただけに恐ろしい事だった。
〜〜〜
996 :
外伝〜銀河森崎伝説〜
:2011/09/29(木) 23:58:06 ID:bOTUfrhE
〜〜〜
カルツ(強か!!)
カルツにとって対面する敵の強さは想定外だった。
射撃はお世辞にも上手いとは言いがたい彼は、その代わり同年代の白兵戦において敵はほとんどいなかった。
醸し出す雰囲気と立ち居振る舞いによって同年代と判断したカルツはゼッフル粒子を散布させながら
突っ込むという二段構えの作戦で相手を殲滅させようとしたのだが、敵はどうやらその考えを
読みきったらしい。射撃による反撃ではなく、炭素クリスタル製の戦斧をもって反撃を試み、
尚且つこちらの技量に抗しえるほどの実力を持っていたのだ。
???「ちぃ!西側は囮か!!」
そして作戦の残り半分もばれてしまう。
カルツ(まずか!これ以上の長期戦は無意味じゃ。)
血を浴びてどす赤くなった斧を横薙ぎに掃い、距離をとるカルツ。
997 :
外伝〜銀河森崎伝説〜
:2011/09/29(木) 23:59:07 ID:bOTUfrhE
カルツ「おんし、名前は?」
自身の策を完全に読まれた人間に対し、尚且つ自身の武力に匹敵する青年に対し、僅かな興味を
もちそんな質問をしてしまう。
???「モリサキ。モリサキ・ユウゾウ少尉」
時間稼ぎとしては敵としても願っても無い事なのだろう。素直にそう答える敵少尉。
カルツ「モリサキか。ワシの名はヘルマン・カルツ。この場はきさんの勝利じゃ。じゃが、次に
まみえるときはワシが勝つ。」
そう答えると、発熱しない照明弾によって退却命令を出すのだった。
〜〜〜
998 :
外伝〜銀河森崎伝説〜
:2011/09/30(金) 00:00:21 ID:k4paI1nw
〜〜〜
同盟軍上司「お手柄だな、モリサキ少尉」
カルツたちの小隊が引き波のように去っていった僅か数分後、まるでタイミングを計っていたかのように
戻ってきた第6小隊に身を寄せていた中隊長。前線指揮を得意とする彼は6個小隊を預かる身でありながら
常に前線へと顔を出していた。
モリサキ「いえ。命令ですから」
本当なら上層部の作戦の杜撰さを毒づきたいところだが、折角の昇進チャンスである。
自身を高く売りつけるには、自身の選択の正しさを雄弁する必要があり、そのためには直属の
上司に臍を曲げられないようにする必要がある。
同盟軍上司「そうかそうか。なんにせよ施設の被害はごく軽微で済んだのは僥倖だ。私の顔も立つしな」
空調システムと携帯型の強力ファン、通気ダクトをフル稼働させ、ゼッフル粒子の発火濃度以下まで
霧散させている一般兵をよそに、満足げな表情で死傷兵については言明せず、退却しようとする
帝国兵への掃討戦を立案するため揚陸艦に設置された急場造りの本営へと消え去るのだった。
モリサキ(………どいつもこいつも……)
というモリサキの心の声は誰に聞こえることも無く霧散されながら…
〜〜〜
999 :
外伝〜銀河森崎伝説〜
:2011/09/30(金) 00:01:29 ID:k4paI1nw
〜〜〜
地上におけるエル・ファシル奪還作戦が満足のいく結果をむかえる頃、そのはるか上空でも決着は
つこうとしていた。
アル・サレム「ファイヤー!!」
新任の第9艦隊指令は後方に位置していた同じく新任の第4艦隊指令のパストーレの出番を待つまでも
なく帝国軍の駐留艦隊を蹂躙していた。
モートン「どうやら勝ちましたね」
アル・サレム「奴さんの士気が初めから低かったからな、当然だろう」
副指令の座を与えられていたライオネル・モートンの言葉に満足げに返答する司令官。
元々帝国にとっては辺境の星のひとつに過ぎなく、有人惑星といえど市民もいない、しかも兵站も
不十分というそもそも『タダで返すのは勿体無いから』という、戦略上無意味な占領を続けているという
屈折した理由をもつ星での戦いである。
結果は戦う前に決まっており、完勝という形であったとしても彼がこれをもって昇進できる…というには
武勲は足りないであろう。
もちろん彼自身それは知っているのだが、だがそれでもあの英雄を生んだ星である『エル・ファシル』の
奪還である。自然と顔は綻びこれから数ヶ月は良い夢を見れそうではあった。
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1000 :
外伝〜銀河森崎伝説〜
:2011/09/30(金) 00:02:31 ID:k4paI1nw
〜〜〜
ミレウス「負けちゃったね」
敗走する一群の中、満身創痍の彼らはまぎれていた。
カルツ「こればかりは仕方にゃあて。ワシらはワシらのできることをした。結果兵士の死亡率も
他の隊より低かし、何よりワシらはまだ生きちょる。昇進は出来んじゃろが次に繋がる戦いじゃった」
数箇所の傷とその倍の数を数える打ち身を鎮痛剤一つでごまかしている誇りだらけの彼は
それでも笑いながらそう答える。
ミレウス「そっか。そうだよね。僕たちの戦いはまだ終わっていない。きっとかならずもう一度…」
旧式の巡航艦の中、ワープ直前のエル・ファシルはまるで彼らをあざ笑うかのように輝いてみえたという。
銀河シュナイダー伝説8 〜集結篇〜 了
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