キャプテン森崎 Vol. II 〜Super Morisaki!〜
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異邦人モリサキ

1 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/01(金) 00:31:21 ID:Hgnh9qno


本作は恋愛SLG『みつめてナイト』を基にした二次創作です。

騎士の時代が終わりつつある南欧は架空の小国、ドルファン王国。
戦火の迫るこの国に傭兵として降り立った東洋人、森崎有三の体験する
波乱万丈の三年間を描きます。


独自要素が強いため、外伝スレを経ずにスレを立てさせていただきました。
ご容赦下さいませ。



126 :森崎名無しさん:2012/06/03(日) 06:08:13 ID:???

森崎
[命中ロール  25 ]

127 :さら ◆KYCgbi9lqI :2012/06/03(日) 06:20:28 ID:???

森崎
[イニシアチブロール  4 ]

名前欄空白は無効ですよ。

128 :◆RZdXGG2sGw :2012/06/03(日) 07:27:45 ID:???

森崎
[命中ロール  69 ]

129 :◆W1prVEUMOs :2012/06/03(日) 07:49:50 ID:???

森崎
[ダメージロール  2 + 6 ]

130 :森崎名無しさん:2012/06/03(日) 12:23:29 ID:???
個人戦闘はSPDが最も重要か
逆にATKは低くてもATK-DEFの値がマイナスでも0扱いだから最低限ダイス二個分のダメージは当てられる
まあ、あくまで最低限だけど

131 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/03(日) 12:43:51 ID:???

ヤク中ビリー
[イニシアチブロール  1 ]
[命中ロール  47 ]
[ダメージロール  6 + 4 ]


132 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/03(日) 12:46:30 ID:???
・イニシアチブ処理
森崎 4+4 先手!
ビリー 2+1

森崎
・命中処理
20-10+69-10=69 命中!
・ダメージ処理
10-8+8+5=15

ビリー
・命中処理
10-20+47=37 命中!
・ダメージ処理
12-20+10=10


森崎の攻撃は命中し15ダメージ!
ビリーを撃破!

133 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/03(日) 13:34:39 ID:???
***


(ブンブン丸だと……? 上等だ!)

外野からの野次に発奮し、慎重にビリーとの距離を測り始める森崎。
向かい立つビリーは攻め疲れたか、荒い呼吸で肩を上下させながらナイフを翳している。
森崎になかなか狙いを定めさせなかった動きも、すっかり鳴りを潜めていた。

「ぜぇ……はぁ……、ど、どうした黒髪野郎……?
 泣いて謝るなら、ひい、はあ、許してやっても、いいぜ……?」
「……」

挑発にも答えず、森崎は右半身を大きく引く。
ほとんど顎に近いところまで拳を引き戻した半身の構えから、摺り足で僅かずつ距離を修正。
息遣いは細く、吸い、吐く度に神経を研ぎ澄ませ、しかし無駄な力は抜いていく。

「―――」
「だんまりかよ、この野郎……ッ!」

対峙する相手の纏う空気が変わったことに気付けるほどの場数は、ビリーにはなかった。
叫ぶや、飛びかかる。
突くでもなく、腰溜めにするでもない、袈裟懸けに近い中途半端な軌道の刃を、
森崎の集中力はしっかりと見切っていた。
一瞬を更に何分割にもするような細切れの時間の中、少しずつ大きくなるビリーの姿。

134 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/03(日) 13:35:45 ID:???
(狙いは一点……ここだッ!!)

軽く握っただけの拳を、肩口から打ち出すと同時。
地を踏みしめた軸足から腰へ、腰から背へ、背から肩へと力を伝達させていく。
全身の体重が、肩から腕へと伝わり、肘を通過して拳へと繋がる瞬間。
初めて固く握り締められた拳が、標的を打撃する。

「―――!」

動き出した時間の中。
森崎の引き戻した拳には、確かな手応えだけが残っている。
一瞬の静寂の後、奇妙な音が響いた。
何が起こったのかもわからず立ち尽くしていたビリーの、喉の奥、肺腑の底から響く音である。

「……ぐ、ぎ、が、えぁ、ぁぁぁ……あ、ぎゃ、ぎゃあああ!?」

唸り声のような声は、すぐに悲鳴へと変わった。
衝撃が痛覚に変わり、それで初めて、自身が強烈な打撃を受けたことに気付いたようだった。
尖った鷲鼻が、その中途から自然にはあり得ない方向へとねじ曲がり、盛大に血を垂れ流しだす。

「……鼻ごと人中をぶち抜いた。しばらくは飯も食えねえぞ、鳥野郎」
「ひゃ、ひ、ぃぃぃ……」

砕けた鼻骨と前歯とを必死に押さえながらのた打ち回るビリーに向けて、森崎が言い放つ。
両手の間からぼたぼたと溢れる血と、眼前に転がった前歯の欠片と、そして倒れた自身を見下ろす森崎とを
交互にその目に映しながら、ビリーが声にならない声を上げた。

135 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/03(日) 13:36:46 ID:???
「一撃必殺。これが俺の故郷のやり方よ」
「あ……、ひ……」
「光モンまで持ちだして、今更ゴメンナサイでもねえよな、チンピラ」

必死で痛みに耐えているのか、満足に身動きすらできないトサカ頭に向けてもう一撃くれてやろうと
足を振り上げる森崎。
しかしその足を下ろすより僅かに早く、森崎にかけられる声があった。

「―――おっと、その辺にしといてもらおうか」

スキンヘッドの男である。
ビリーが森崎とやりあっている間も、加勢するでもなく薄笑いを浮かべながら
その様子を眺めていたはずの男が、ゆらりと身を起こして森崎を見据えていた。
口元はいまだに弓の形に歪められていたが、蛇のように細い目に友好的な光はない。
その手にはいつの間にか、身の丈ほどもある長い棒が握られていた。

「しゃ……しゃむあにひぃぃ……!」

蹲っていたビリーが、スキンヘッドの声を聞くや顔を上げ、おそるべき勢いで這いずると
その足にすがりつく。

「あにひぃ……、いれえぇ、いれえぇよぉ……」
「ったく、弱っちいくせに無理するからだ、ビリー」

涙と鼻血とに塗れたビリーに見上げられたスキンヘッドが、苦笑しながら言う。

「からきぃ、とっれ、くれよぉ……あにひぃぃ……!」
「俺に任せとけ。……おう東洋人、弟が世話ンなったな」

手にした棒の端でビリーを自らの影においやりながら、スキンヘッドが森崎に向き直る。
その僅かな身のこなしを見た森崎が、静かに緊張の度合いを高めていく。

136 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/03(日) 13:37:48 ID:???
『あのハゲ、強いの?』
「……少なくともトサカとは比較にならねえ。おそらくどっかで正式な訓練を受けてるな」

ふわりと舞うピコに答えた森崎の呟きが耳に入ったか、スキンヘッドが口の端を上げた。

「ほう、わかるかい」
「……軍人崩れか」
「ま、その端くれってとこだ」

言うや、スキンヘッドが手にした長棒を器用に回し始める。
身の丈ほどの棒が男の右手から左手、前後左右上下をぶれることなく巡っていく。

「元カミツレ地区警備隊、地廻りのサムといやあ、ここらじゃちったあ知れた顔よ。
 バーストン兄弟に売られた喧嘩、次は俺が買わせてもらうぜ」

啖呵が切られると同時。
ひょう、と風を切った棒がサムと名乗った男の手に収まり、びしりと正面に構えられる。

「……」

隙なく構えられた棒の前に、森崎が無言で腰の長剣へと手を伸ばす。
躊躇わず、抜いた。

「上等だぜ東洋人。簀巻きにして埠頭から手前ぇの郷へ叩っ返してやるよ。
 ビリー、お前も本当の喧嘩ってのをよく見とけ。……ビリー?」

油断なく森崎を見やりながら言うサムが、しかし返事が返らないことに不安を覚えたか、
足元にちらりと目を落とす。
瞬間、愕然とした表情を浮かべてしゃがみ込むサム。
ビリーが、倒れていたのである。

137 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/03(日) 13:38:49 ID:???
それも先ほどまでの、痛みに泣きながらのた打つ倒れ方ではなかった。
言葉もなく、ただ奇妙に力の抜けた、人体が肉と脂の塊になりつつある段階に特有の、それは倒れ方である。
苦しげに胸を押さえたビリーの喉からは、ひう、ひう、と奇妙に震える呼吸音が響いていた。
足先は痙攣するように震え、蒼白な顔色は森崎に殴られた腫れだけを不気味に浮き上がらせている。

「発作か……こんな時に! ……おいビリー、薬はどうした!?」
「……ぃ、いえ……、に……」
「馬鹿野郎! いつも持ち歩いてろと、あれほど言ったろうに!」

絞り出すようなビリーの声音と、憤りよりも焦燥の色が濃いサムの怒号。

『……何がどうしたの?』
「……俺に聞くなよ」

対峙している森崎のことなど一切忘れたようなその挙動に毒気を抜かれた森崎が肩をすくめ、
手にした刃をぷらぷらと揺らしながら口を開く。

「あー……その、続きはもういいのか?」
「チッ……! 久々に楽しめそうな喧嘩だったが、今はそれどころじゃねえ……!」
「あ、そう……」

ぎろりと睨め付けるサムの細い目には既に戦意がない。
言葉通り、それどころではないようだった。
その様子を見てとった森崎が、ゆっくりと距離を取りながら剣を鞘に収める。

「……覚えときな、東洋人。次はこうはいかねえぞ」

スキンヘッドのサムはビリーを抱えると、それだけを言い残して倉庫街から消えていった。


***

138 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/03(日) 13:39:53 ID:???


「……おととい来やがれ、ってか」
『捨てゼリフは綺麗にお約束通りだね……』

夕陽は既に水平線の彼方へと没しかけ、夜の暗さが辺りを覆い始めた倉庫街でぼそりと呟く森崎。
そんな彼の背にかけられる声があった。

「あの……」

か細い声は、少女のものである。
振り返れば果たしてそこには、先ほどトサカ頭に絡まれていた少女が立っていた。
暗がりの中とはいえ、改めて見直しても取り立てて美しいというほどではない。
長い栗色の髪はさらさらとやわらかそうに流れていたし、どこか幸薄そうな顔立ちは
それを好む類の男からすればたまらないものがあっただろうが、しかし、それだけである。
体つきも少女特有の、まだまだ成熟しきらぬものであると看破した森崎が、呆れたように言う。

「……あんた、まだ逃げてなかったのか」
『正直、忘れてたよね。喧嘩の方が楽しくなってて』

茶化すピコに平手を繰り出す森崎。
命中するより遥かに早く、ピコは夜空へと舞い上がる。
そんな森崎の様子に不思議そうな顔をしながら、少女がともかくも頭を下げた。

「あ、あの……ありがとう、ございました」

139 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/03(日) 13:40:54 ID:???
震えるような、小さな声。
埠頭から聞こえてくる波の音にもかき消されそうな、それは儚げな響きだった。

「……あの、改めてお礼に伺いたいので……」
「あ? いいよ、そんなの」
「せ、せめて……お名前だけでも、教えていただけませんか」

面倒くさげに手を振る森崎に、しかし少女は食い下がる。
今にも消えてしまいそうな声とは裏腹に、存外に芯の強いところがあるのかもしれなかった。

「あ……お名前を伺うなら、私から先に名乗らなきゃ、失礼ですよね」
「いや、そういうことじゃ……」
『この子、結構人の話聞かないタイプじゃない?』
「すみません……私は、ソフィア・ロベリンゲ……っていいます」

いつの間にか降りてきたピコが指差す前で、少女が名乗る。

「ソフィア……か」
「はい。あの、あなたは……」


140 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/03(日) 13:46:55 ID:???
*選択

A「……森崎。森崎有三だ」
B「貴様に教える名などあるものか!」(必要CP:5)

森崎の行動としてどれか一つを選択して下さい。
その際【ソフィアに期待する属性】を必ず付記していただくようお願い致します。
期限は『6/3 17:00』です。

採用された属性は本編に反映されます。
特に攻略に影響はしませんので、見た目でも精神的なものでも、ご自由に指定して下さい。

またBはいわゆる「ネタ選択肢」です。
例示として出してありますが、今は実質的には選べません。
何が恐ろしいといって、原作にもこの選択肢が実際に存在する点です…。
ちなみに原作でこの選択をすると、ソフィアはこれ以降一切出てこなくなります。

141 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/03(日) 13:48:21 ID:sRO+OMSI
と、一応告知ageをば。

142 :◆W1prVEUMOs :2012/06/03(日) 14:06:40 ID:???

【BL趣味】

143 :さら ◆KYCgbi9lqI :2012/06/03(日) 14:12:45 ID:???
A この森崎なら軽口を混ぜながら自己紹介しそう。
属性っていうのかな?『武器マニア』

144 :傍観者  ◆YtAW.M29KM :2012/06/03(日) 14:20:35 ID:???
選択は【A】
属性は【律儀】かな。ボーイッシュ系好みの個人的趣味とはちょっと違うけど、
ちょっと無口&臆病系っぽい子のキャラには似合わないでしょう。
それなら、せっかく売った恩を最大限返してくれそうなのがいい。


145 :雑魚モブ ◆.xniaLTHMk :2012/06/03(日) 14:35:57 ID:???

【ソフィアに期待する属性】は【愚直】
森崎とは対照的な真っ直ぐさや、バカ正直さを持つオアシス的な娘になってほしいから。

146 :とやま ◆bz6wYVJDKA :2012/06/03(日) 14:47:08 ID:???
選択はA 
森崎は常識を弁えているだろうしね。

属性については、服装とかはけっこう描写されているようなので
ここはひとつ見えない部分、後の展開に期待して、『酔うと性格が豹変する』でw

147 :見てる人 ◆S/MUyCtQBg :2012/06/03(日) 15:07:27 ID:???
選択肢A

重要そうな人物だろうと思って、一応最初は礼儀正しくしとけばいいかなーと。
【天然ドジっ娘】事件に巻き込まれたりするけど、悪気はなく人に好かれる感じ。

148 :聴衆 ◆0Sa9mRG4IM :2012/06/03(日) 16:10:08 ID:???
選択は【A】
属性は【歌姫】

原作パパッと調べてみました

149 :ノータ ◆JvXQ17QPfo :2012/06/03(日) 16:16:58 ID:???

理由:今回は無し

属性:さみしがり屋


150 :テトラ ◆yfCGLLZSBA :2012/06/03(日) 16:48:40 ID:???
A【誠実】
無難ですが信頼できる人物がいいかなと


151 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/03(日) 18:53:07 ID:???
皆様、回答ありがとうございました。
それでは早速、>>140の選択については……

>>145 雑魚モブ ◆.xniaLTHMk様の案を採用させていただきます!
愚直……想定していたソフィアのキャラ像に近く、かつ私の発想にないイメージでした。
ありがとうございます。
CP3を進呈いたします。

>>144 傍観者  ◆YtAW.M29KM様、>>150 テトラ ◆yfCGLLZSBA様にご回答いただいた
「律儀」「誠実」も、やはりキャラに沿った属性ですね。
この辺りは原作の延長線上でカバーできるかもしれません。
それぞれCP1を進呈いたします。

>>146 とやま ◆bz6wYVJDKA様の案にも非常に惹かれたのですが、これから登場するキャラに
お酒絡みのイベントを予定しておりまして……泣く泣く断念です。
CP1を進呈いたします。

152 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/03(日) 18:56:11 ID:???
>>142
時代的、宗教的には極めて危険な趣味ですねw
東洋人の森崎には馴染みのある男色文化ですが、舞台となる南欧あたりでは
バレたら縛り首の危険も……。

>>143
これまた意外な線を!
あれこれ武器を選んでもらうデート……なんていうのも楽しそうですね。

>>147
オーソドックスは正義ですね。
ヒロイン勢には必ず一人はいるタイプ。

>>148
属性が歌姫というと、何だか天才っぽいですねw
すごい有名人になりそう。

>>149
寂しがり屋……いいですよね。
ほんわかした方向にも、シリアスな方向にも持っていけそうです。
未登場のヒロイン候補の一人にはその属性が装備されておりますので、そちらにご期待下さい!


回答いただいた方の全員にEP1を進呈いたします。
また、獲得されたCP/EPの一覧表を作成いたしました。
随時更新していきますので、参考にしていただければ幸いです。

ttp://www39.atpages.jp/msaki/points.htm

153 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/03(日) 18:57:58 ID:???
***


「……森崎。森崎有三だ」
『あ、ちょっとカッコつけてる〜! ……森崎。森崎有三だ。 ……ぷ、ぷぷっ』

計算し尽くしたキメ顔で名乗った矢先に、ピコの茶化した声が飛ぶ。
ふわふわと舞うその姿を捕まえて締めあげたい衝動を必死に抑える森崎。
そんな内心を知る由もなく、ソフィアと名乗った少女は森崎の名を聞いて微笑む。
路傍に一輪咲く花の、風を受けて揺れるような微笑だった。

「モリサキ、さん……。素敵なお名前ですね」
「そりゃどうも」
『お世辞でも嬉しいよ』

我慢しきれずにピコを睨む森崎。
ソフィアにしてみれば、突然中空に鋭い視線を向けたようにしか見えなかっただろう。

「……?」
「すまん、何でもない」

不思議そうな顔で見られたのを、どうにか咳払いで誤魔化した。

「ではモリサキさん、いずれ改めてお礼に伺います」
「だから別にいいって、そんな大したことしてねえし」
「そんなこと! モリサキさんが来てくれなかったら、私……。
 きちんとしたお礼くらい、させて下さい」
「……」

薄闇の中に、少女の瞳だけがきらきらと遠い星明かりを映して煌めいている。
瞬間、その光の中に吸い込まれそうになって森崎が言葉を失う。
沈黙を肯定と受け取ったか、ソフィアが頷くと口を開いた。

154 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/03(日) 18:58:59 ID:???
「その、モリサキさんは外国の方……ですよね。傭兵宿舎の方に伺えば、宜しいでしょうか」
「あ、ああ……お嬢さんが、よく知ってるな」
「父が、軍におりましたので……」

言ったソフィアの表情が翳ったのは、夜の闇の仕業だっただろうか。
顔を上げた少女の表情には、既に翳はない。

「それでは、そちらに伺います。……本当に、ありがとうございました」
「ああ。気をつけて帰んな」

ぺこりと頭を下げて踵を返した少女を、森崎は倉庫街の外れまでそっと見送るのだった。
街明かりの中にその背が消えて行くのを確認して一息つく森崎の肩に、ふわりと妖精が舞い降りる。

『カッコいいね〜! 初日から女の子なんか助けちゃってさ、よっ、色男!』
「ヘッ、イイ男にはトラブルの方から寄ってくるのさ」
『ま、それはさておいて……と』

顎に手を当ててキメてみせた森崎のポーズを、さらりと流すピコ。

155 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/03(日) 19:00:03 ID:???
『早く宿舎行こ? もうすっかり陽も暮れちゃったよ』
「……そうだな。えーっと、地図は……と」
『うんうん』
「……」
『……どうしたの?』

怪訝そうに訊ねるピコに、手元の地図をためつすがめつしていた森崎が
ニコリと笑って答える。

「暗くて見えねえ」
『……どうすんのさ!』
「とりあえず街に出るか……ドタバタで腹も減ったしな」

森崎が指定された兵舎に辿り着いたのは、夜もすっかり更けた頃のことであったという。



   『少女の騎士(前編)』了



156 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/03(日) 19:01:26 ID:???
*D26.4
訓練選択パート


******


『まあまあの部屋じゃない?』

そう言ったピコが、部屋の中をぐるりと周るように飛んでいく。
森崎があてがわれた一室は傭兵宿舎の二階、角部屋である。
既に夜も遅かったからだろうか、人気のない廊下ではどの扉もピタリと閉ざされていて、
部屋までの案内をしてくれた下男の他には誰にも会うことはなかった。

「寝台、食卓、椅子……もなかなかしっかりしてるな。おっ、文机まで備え付けられてんのか」

家具類のがたつきを確かめていた森崎が、部屋の隅にある書き物用の机を見て感心したように声を上げる。
これまで流れ歩いた国の兵舎、それも傭兵用の宿舎といえば監獄の独房と大して違いのない、
一、ニ歩も歩けば足先が扉か寝台に行き当たるような代物であった。
それがこの部屋には食卓に椅子も用意され、しかもそれらが余裕を持って配置されるだけのスペースがある。

「やっぱドルファンはカネを貯め込んでるって話、本当だったんだな」
『ボーエキ利権がどうの……って言ってたやつ?』
「それだよ」

頷いた森崎が寝台に腰掛けると、着込んでいた革の外套ごと旅装を解いて床に放り投げる。
長剣は既に枕元の壁に立て掛けてあった。

157 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/03(日) 19:02:47 ID:???
『難しいことはわかんないけど、傭兵でも騎士として取り立てようっていうんだから
 太っ腹な王様がいるんだよ、きっと』
「かもな。俺達だってその話に乗っかろうってんだ」
『そのためには頑張って手柄を立てなくっちゃね!』

最後にブーツとズボンから足を解放すると、半裸の森崎はそのまま寝台へと倒れ込む。

「くぁーっ、疲れた……!」
『明日から早速訓練所通いだよ。今日はちゃんと寝て旅の疲れを抜かないとね』
「前のカネでしばらく遊んでたからな……キツいなあ……」
『もう! 今日だってあんなチンピラに苦戦してたし、ちゃんと鍛えなおさないと
 勲章の前にお花を供えられちゃうよ!』
「わーった、わーった……明日からは本気出すって……」

ピコの声を聞いているのかどうか、森崎はもぞもぞと毛布に潜り込んでいく。

『ちょっと、最後に一つだけ!
 明日からのスケジュールを決めてから寝てよね!』

***

158 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/03(日) 19:07:28 ID:???
森崎有三 ガッツ:80
称号:<流浪のブンブン丸>


『じゃ、まず手始めに……今月は何をするの?』


主人公である森崎やその部隊を鍛えるパートです。
一ターンを前半・後半に分け、二つの訓練項目を選んで実行します。
現在、選べる項目は剣術・馬術・体術・魅力・礼法・墓守・休憩の7種類です。

剣術・馬術・体術・魅力は同名のパラメータが上がりますが、ガッツが下がります。
礼法は同名のパラメータを、墓守はパラメータ「モラル」をごく僅かに上昇させますが、ガッツが下がります。
礼法・墓守は訓練判定を行わず、常に一定量が上昇します。
休憩はガッツを回復します。休憩に成功や失敗はなく、常に一定量が回復します。

なお、現在のガッツで二回訓練をしても残りガッツが0にはなりません。


『6/3 23:00』までに、剣術・馬術・体術・魅力・礼法・墓守・休憩の中から『二種類』選んで下さい。
同じ訓練を二つ選んでも構いません。
その際【選択理由】を必ず付記していただくようお願い致します。

159 :傍観者  ◆YtAW.M29KM :2012/06/03(日) 19:13:02 ID:???
選択は【剣術・魅力】。
理由は【初期は強すぎるほどには強くないようだから戦力は高めておきたい(剣術)
    使う機会の多いだろう人間関係を良好にするパラメーターは
    早めに挙げたほうがいいと思われるが、礼法は下がっちゃったし(魅力)】です。


160 :見てる人 ◆S/MUyCtQBg :2012/06/03(日) 19:14:06 ID:???
馬術 体術
【選択理由】 前回の戦闘より、スピードが足りていない気がしたので。

161 :さら ◆KYCgbi9lqI :2012/06/03(日) 19:19:13 ID:???
馬術 体術
理由 前回の戦闘をみて戦闘の時に一番上げなければならないのはスピードではないかと感じました。

162 :◆W1prVEUMOs :2012/06/03(日) 19:34:42 ID:???
体術・魅力
戦闘で重要なスピードとイベントに関わる魅力をカバーするため

163 :ノータ ◆JvXQ17QPfo :2012/06/03(日) 19:53:45 ID:???
馬術 体術
理由:バトルを見るとスピードの30差は大事だと思ったから。必中と回避60%はかなり良い
   序盤は個人技がものを言いそうなので早めに上げたい

164 :とやま ◆bz6wYVJDKA :2012/06/03(日) 21:30:53 ID:???
選択:体術 魅力
理由:前者はまず称号ブンブン丸からの脱却を目標にしたいから。
   後者は森崎の人物像の構築を早めるべく、他キャラとのフラグ立てを円滑にするためです。

165 :◆9OlIjdgJmY :2012/06/03(日) 22:04:13 ID:???
剣術 剣術
一撃必殺が故郷の戦法だそうですし、いっそのことブンブン丸路線継続もありかなとw
クラウドさんとかガッツさんとかみたいな大剣使い系で。

166 :聴衆 ◆0Sa9mRG4IM :2012/06/03(日) 22:15:16 ID:???
剣術・馬術
【選択理由】 馬上の有利を築きたい

167 :テトラ ◆yfCGLLZSBA :2012/06/03(日) 22:16:05 ID:???
体術・休憩
ブンブン丸と言われてしまったので命中を上げるため
休憩は回復量を確認するためとガッツ重要なので

168 :Q513 ◆RZdXGG2sGw :2012/06/03(日) 22:52:34 ID:???
コテつけました。


選択:馬術・魅力
理由:
魅力は「戦闘では直接の役には立たない」が「有効なスキルを多く獲得できる」らしいから。
こういうのは早めに上げておくとお得な気がしたので。

馬術は、攻撃力とスピードを考えて。
あと、イメージ把握のために、合戦前に乗馬する森崎を見ておきたかった

169 :雑魚モブ ◆.xniaLTHMk :2012/06/03(日) 23:37:14 ID:???
剣術・馬術
理由
やっぱり土台を固めるのなにより大事だと思うし
後の人間関係に関わる大切なイベントとかで負けないよう今から鍛えていきたいから。

170 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/04(月) 00:24:46 ID:???
皆様、ご回答ありがとうございます。
それでは早速、>>158の選択については……

>>164 とやま ◆bz6wYVJDKA様の案を採用させていただきます!

最初の訓練パートということもあり、なかなか選択の難しい中で皆様それぞれしっかりと
成長ビジョンを示していただきました。
その中でも特に明快な目標を提示していただいた案を今回は採用いたしました。
CP3を進呈いたします。

また同様の案を示していただいた>>162 ◆W1prVEUMOs様にもCP1を進呈いたします。


>>159
そうですね、なかなか無双するというわけにはいきません。
ただ礼法は高ければ礼儀を重んじるタイプの人たちからの印象は良くなりますが、
高すぎると今度は労働階級やくだけた交流を好む人たちとの関係にハンデを負ってしまうので
一長一短というところがあります。
魅力が高いとその両方に有利という着眼点に関してはその通りです。

>>160,161
確かにシステム上、SPD値は非常に重要です。
これが相手より低い場合にはかなりの苦戦を強いられてしまうでしょう。
前回の戦いに限れば、数値上はかなり有利だったんですが……どうしてこうなった!

>>163
SPD値で30の差を達成できれば一方的な展開になるでしょうね。
ただ特化型は取得できるスキルが少なくなってしまうのと、相性の悪い相手に当たると
非常に厳しい戦いになってしまうのが難点かもしれません。

171 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/04(月) 00:26:05 ID:???
>>165
攻撃特化は一撃必殺のロマンと一発KOのリスク、両方を背負う諸刃の剣ですね。
ただ大剣使いが戦場で大暴れ、というのは確かに憧れるシチュエーションです。

>>166
スキルは対応するパラメータによってある程度の系統があります。
馬術系には馬術系の強みがありますので、是非狙ってみて下さいね。

>>167
確かにガッツは最重要です。
ガッツ切れによる入院のペナルティはかなり重く設定していますので、
まだ0ではないからといって油断すると大変なことになってしまうかも。

>>168
魅力を早めに上げておくのは色々な点で有利になりますね。
ご指摘の通り数値が直接戦闘に影響しない分だけ、魅力絡みで獲得できるスキルは
強力な効果を発揮するものが多いようになっています。

ここまで、回答いただいた皆様にはそれぞれEP1を進呈いたします。


>>169
申し訳ありません!
期限外の回答となるため、今回は無効扱いとさせていただきます。

イベント戦闘には「絶対に負けられない戦いが……」と連呼したくなるような
重要な戦いも多いので、しっかり訓練していきたいですね。

172 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/04(月) 00:29:15 ID:???
*D26.4
訓練所イベント

******

翌朝のことである。
ドルファン城塞の南、埠頭近くの兵舎から繁華街を西に抜け、運河を渡りそこから更に街を通り過ぎて、
徐々に人家がまばらになっていく先に、ようやくそれは見えてくる。

ドルファン陸軍、第一総合訓練所。
訓練所といっても、壮麗な建物があるわけではない。
街外れと敷地とを隔てる武骨な高い壁の向こうにあるのは、幾つか点在する頑丈にして無機質な研修施設と
ただ広大な馬場、そして放置されているようにしか見えぬ荒れ野である。
その荒れ野を運動場と、係官は言った。
森崎が立っているのは運動場の中央、つまりは荒れ野の真っ只中である。
城塞の西側にあるこの訓練所からは遥か遠い東城壁の向こうからようやく朝陽が射そうかという時間だった。

「畜生、夜明けの風はまだ冷えるな……」
『もう……南欧だからって、油断して薄着で来るからだよ。ほら、周りはちゃんとしてるよ』

使い込んだ革鎧の下には麻の鎧下一枚という格好の森崎が、ピコの言葉に周りを見回す。
森崎の周囲、それぞれがある程度の間合いを保って立つのは同じように集められた外国人傭兵たちである。
思い思いの装備、武器を手に立つ荒くれ者たちを見やって、森崎が肩をすくめる。

「数はざっと三百ってとこか。……固まってる集団がいねえってことは、俺みたいな流れ者が殆どだな」
『傭兵団の所属じゃなくて、フリーばっかりってこと? 珍しいねえ』
「ま、デカいとこは乗ってこなかっただけかも知れねえがな。騎士として取り立てる……なんてのは
 俺ら流れ者にしか興味ねえ報酬だろうしよ」
『かもねぇ……あ、ほら見て、あそこ』

173 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/04(月) 00:30:34 ID:???
ピコの指差す先を見れば、褐色の肌に縮れた黒毛の男たちがいる。
かつて新大陸と呼ばれた大西洋の向こう、西洋圏の出身者に多い特徴であった。
外国人傭兵とは言い換えれば各地で食い詰めた荒くれ者どもの集まりであるとはいえ、その殆どが
白人である中にあっては東洋人である森崎同様、相当に目立つ容姿である。

「西洋圏からの連中もいるのか。ま、人種の坩堝ってやつだな」
『わ、こっち来たよ』

ピコの言葉通り、西洋圏出身と思しき男たちの中から二、三人ばかりが森崎に向かって歩いてくる。
先頭に立つのはニヤニヤと薄笑いを浮かべた褐色の肌の優男風。
その優男にまとわりつくような視線を向ける、褐色を通り越して黒炭のような肌を持つ男。
更にその後ろから来るのは二人を迷惑そうに見やる、これは白人の、背の高い仏頂面の男である。

「何だなんだ、東洋人までいるのかよ! 俺、東洋人って初めて見たぜ」
「僕もだよ、ネイくん。まったく傭兵隊は人種のサラダボウルだねえ」

薄笑いを浮かべたまま近づいてきた優男が、森崎の目の前に立つとわざとらしい口笛を吹いてみせる。
その背後で優男をネイと呼んだのは黒人の男である。
ねっとりとした口調が癇に障る男だった。

『キミと同じこと言ってるよ。オトモダチになってきたら?』
「……」

174 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/04(月) 00:31:53 ID:???
耳打ちするピコに顔をしかめる森崎。
そんな森崎の心中を知ってか知らずか、ネイと呼ばれた褐色の男が背後の黒人を無視するように振り返ると、
遅れてやって来た白人の男に声をかける。

「お前には言ってねえよ変態。な、トニーニョ! 東洋人だぜ」
「……指をさすんじゃない」

トニーニョと呼ばれた白人が、半ば諦めたように呟くと溜息をつく。
上背の高さに加え、殆ど坊主頭に近い短さに刈り込んだ髪と眉間に皺を寄せる仏頂面で
相当の迫力を醸し出している男だった。
そのトニーニョが森崎へと向き直ると、口を開く。

「仲間が失礼した。こいつはいつもこんな調子でな。気を悪くしないでくれ」
「えー、何だよトニーニョ。こいつサムライかも知れないんだぜ? 面白いじゃん」

トニーニョの謝罪を一瞬で台無しにするネイ。
そんな二人を前に、森崎は―――


175 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/04(月) 00:41:16 ID:5SpsD5RE
*選択

A 「別に構わねえよ」 揉め事は避ける。
(モラル・礼法が上がります)

B 「……ナメられるのは趣味じゃねえ」 手を出す。
(礼法が下がります)

C 「サムライってのは、こういう技を使うヤツのことか?」 あれは……伝説の『居合』!?
(モラルが下がります)

この選択により、新たな称号とスキルが入手できます。
『6/4 21:00』までに、森崎の行動としてどれか一つを選択して下さい。
その際【選択理由】を必ず付記していただくようお願い致します。

また【今後傭兵として出てきてほしいゲストキャラ】を募集いたします。
ゲストは男女を問わず、またキャプ翼キャラでなくても構いませんが、
冒頭の注意事項にあるように本作ではキャラの死亡があり得ますので
その点は充分にご注意下さい。
またそれを鑑みて、ゲスト希望は「無し」でも問題ありません。
ゲストと行動選択は別々に採用を決定いたしますのでご安心下さい。

といったところで、本日の更新はこれまでとさせていただきます。
夜遅くまでのお付き合い、ありがとうございました。
それではまた、次回更新にて。

176 :聴衆 ◆0Sa9mRG4IM :2012/06/04(月) 00:57:59 ID:???
乙でした

A 手の内は見せすぎるものではない

【今後傭兵として出てきてほしいゲストキャラ】
ナポレオン

177 :さら ◆KYCgbi9lqI :2012/06/04(月) 07:54:24 ID:???
A この程度の事で揉め事を起こしてたら狂犬と変わらないと思います。
それに上手くいけば一緒に訓練出来てスキルの一つも手に入れる可能性があるかなっと思います。
出て来てほしいキャラ『カルツ』傭兵の中には職人気質の人がいると思いますのでピッタリかなと思います。

178 :Q513 ◆RZdXGG2sGw :2012/06/04(月) 09:05:03 ID:???
Aこの二人はとりあえず仲間候補だと思ったので

出してほしいのはスウェーデンのレヴィンですかねー。
ゲストは死亡もありうるし、場合によっては森崎にとって『身内の敵』になるかも、とも想定しました。
本編や他の外伝でそこそこいい位置をとっているキャラがそうなるとちょっと辛いような気が。
ならば、あまり出番のない彼に活躍の機会を与えてみてはと。
尖って殺伐としてそうなキャラは、物語に別のフレーバーを加えてくれそうだとも思いました。
(でも、きれいなレヴィンなら、それはそれで「あり」だと思います)。

それと、味方ならば心強そう、というのもあります。

179 :傍観者  ◆YtAW.M29KM :2012/06/04(月) 10:07:59 ID:???
選択は【A】、理由は【和をもって尊しとなす】。
傭兵ゲストは【見上さん】とかどうですか。
理由は【私も昔腕利きの傭兵だったが、膝に矢を受けてしまってな…的ベテランキャラがほしい。
    Q513氏の仰る通りどこまで役にたってくれるかわからない中で、サポートしてくれるベテランがほしい】

180 :雑魚モブ ◆.xniaLTHMk :2012/06/04(月) 15:34:30 ID:???
A 序盤で敵はできるだけ作りたくないから

【今後傭兵として出てきてほしいゲストキャラ】は『来生』
胃が痛くなる選択肢に備えて笑いを提供してくれるコメディアンがいた方がいいと思ったから。
殺しても死ななそうな男だし。

181 :ノータ ◆JvXQ17QPfo :2012/06/04(月) 18:10:24 ID:???
「A」
理由:選択肢によって優れたスキルや称号が貰えそうだが、仲間は何事にも変えられないから

傭兵ゲスト:カミソリファイター【早田】、重歩兵【次藤】、衛生兵【反町】、密偵【中里】
      同じ東洋人なら何でもどれでも。称号もソレっぽく付けてみた。
      流石に主役級は重要人物で出てきそうなのでこんなメンツに

182 :◆9OlIjdgJmY :2012/06/04(月) 20:00:11 ID:???
A お口が緩いのは森崎も同じだから、こんなことでいちいち腹は立てないかなと。

傭兵ゲストはサウジユースのバルカン
中世の世界観で傭兵団が人種の坩堝なら、イスラム圏出身もいた方が華があるかなあと。
豪快で感情豊かな性格も傭兵っぽいと思います。
「つよい・かたい・おそい」キャラも自軍に一人は欲しいですしねw

183 :◆W1prVEUMOs :2012/06/04(月) 20:18:07 ID:???

多くの友人を作った方が有利と思うから

相手が拳で語るタイプならBでもよいのだが
トニーニョの態度からそういうタイプではなさそう

【今後傭兵として出てきてほしいゲストキャラ】野比のび太
伝説のノビタジスタw

184 :テトラ ◆yfCGLLZSBA :2012/06/04(月) 20:59:40 ID:???
A
前回のチンピラに比べ強敵であり、自分に不利な展開が多そうだから
またトニーニョはまともそうな人物なので

ゲストキャラは中国の王と飛の凸凹コンビで
まあ嫌な未来が容易に想像できてしまうんですが

185 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/04(月) 23:47:45 ID:???
皆様、ご回答ありがとうございます。
それでは早速ですが>>175の、まず行動選択については……

>>177 さら ◆KYCgbi9lqI様の案を採用させていただきます!

満場一致でAが選ばれる中、何より鋭かったのは
「この程度の事で揉め事を起こしてたら狂犬と変わらない」とのお言葉。
正にその通りで、Bが選ばれていた場合は称号は『野良犬』になる予定でした。
お見事、ということでCP3を進呈いたします。


そしてゲスト傭兵募集については……

>>177 さら ◆KYCgbi9lqI様の「カルツ」
>>178 Q513 ◆RZdXGG2sGw様の「レヴィン」
>>179 傍観者  ◆YtAW.M29KM様の「見上」
>>182 ◆9OlIjdgJmY様の「バルカン」

を採用させていただきます!
今回は物語上で既に振られた役回りがないキャラの中から、バリエーションを重視して選考いたしました。
登場は少し先になりますが、彼らの活躍にご期待下さいませ。
皆様にはそれぞれCP3を進呈いたします。

186 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/04(月) 23:49:37 ID:???
>>176
ナポレオンはちょっとだけ顔見せの予定がありまして、今回は見送らせていただきました。
ちなみにピエールも同じ場面に登場いたします。

>>180
来生がいたら一服の清涼剤になってくれそうですね。
しかし「殺しても死ななそう」とは仰る通りで、もし彼が死亡判定に失敗しても
私の手に負えそうにないという、GMの未熟を理由に見送らせていただきました。
申し訳ありません!

>>181
本編に登場するかどうかは展開次第といったところですが、全日本の面子は
わりと役回りが決まっておりまして、今回は見送らせていただきました。
中里は(勿論忍者として)出番が確定しておりますので、お楽しみに。

>>183
他スレ様での人気キャラを取り扱うのは難しいという部分で見送らせていただきました。
またこの後で語られますが、この傭兵隊では銃を使えないのです……。
後半の敵軍は銃を使ってきますので、そちらに参戦していたら恐ろしい敵になりそうですね。
スキル「速射」「百発百中」「遠距離狙撃」とか。勝てません!

>>184
トニーニョはまともでいいヤツ(……のはず)なので、良くしてあげて下さいね!
ゲストについては、この世界の中国にあたる国との絡みで今回は見送らせていただきました。
敵側で顔見せ的に出てくる可能性が、もしかしたらほんの少しだけある……かもしれません。

187 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/04(月) 23:58:39 ID:???
A「別に構わねえよ」揉め事は避ける。


「……そう言ってもらえると助かる」

軽く手を振って答えた森崎の反応に、トニーニョが胸を撫で下ろす。
口を尖らせたのは興味をいなされた格好になった優男、ネイである。

「ちぇ、つまんねーの。お前、案外『慎重派』だな!」
「こら、ネイ! いい加減にしろ!」
「そうだね、彼やっぱり慎重派だよね、僕もそう思ってたよネイくん」
「お前も黙れ!」

賑やかな西洋圏の三人組を前に、森崎はぽかんと口を開けている。

「し、慎重派……」
『……すごいね、キミがそんな事言われるの初めてかも』

呆然と呟いた森崎の頭上で、同じく呟くピコ。
しばし弛緩した空気が流れた、かに見えた。

188 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/04(月) 23:59:53 ID:???

「貴様ら、何をやっとるか!! さっさと整列しろ!!」

びりびりと、雷鳴のような怒号が響いたのはそのときである。

「……っ!? 何だァ!?」
『うるさっ……って、あそこ! あの丘の上!』

ピコに言われるままに振り返れば、遠く小高い丘の上に誰かが立っている。
森崎の立つ位置からは小さな人影にしか見えなかったが、信じ難いことに、
怒号はその人物が発したようだった。

「嘘だろ……あそこから今の声って……」
「どんな喉をしているんだ……」

呆然と漏らしたのはネイとトニーニョである。
ネイの背後に張り付いて離れない黒人の男ですら、毒気を抜かれたように人影を見やっている。

「―――聞こえなかったかヒヨッコども! 整列しろと言っている!!
 その頭に被った卵の殻を脱いで三秒以内、急げ!!」

再び、雷鳴が轟いた。

「……! ありゃヤバそうだ……行こうぜ、トニーニョ」
「あ、ああ……」

ネイに促され、駆け出そうとしたトニーニョがちらりと森崎の方へ振り返る。
同じく走り出した森崎が、何とはなしにトニーニョと並走する形になった。

「……俺はアントニオ・コンセイソン。トニーニョと呼ばれている。それで、こいつが……」
「俺、ネイな! ファビオ・デルネイ・フロレンシオ……って長くて呼びにくいだろ?」

189 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/05(火) 00:01:02 ID:???
前を走りながら言うネイ。
優男のように見えて、その走り方には無駄がない。
細身の体にも引き締まった筋肉が隠されているようだった。

「そうか、俺は……」
「え、僕は? 僕のことは紹介してくれないのそういう流れじゃないのネイくん?」
「黙れ糞虫」

言いかけた森崎の言葉を遮るように口を挟んだのは黒人の男である。
いつからそこにいたのか、ネイのすぐ脇にぴたりと寄り添うように走っていた。
その姿を見やって、トニーニョが小さく首を振りながら言う。

「……奴はジョゼ・トゥーリオ。見ての通りの男だ」
「気軽にジェトーリオって読んでくれて構わないよ、ただしネイくんに手を出したら百回殺すけどネ」
「……こいつは無視していいぜ。俺もそうしてる」
「そんなァ、ひどいよネイく〜ん」

長身で坊主頭の白人、トニーニョ。
褐色の肌と機敏な動作の優男、ネイ。
ネイに執心する不気味な黒人、ジェトーリオ。
一通りの紹介は終わったようだった。
最後に、森崎が口を開く。

「俺は森崎。森崎有三だ」
「そうか。今日からは同じ釜の飯を食う仲だ。よろしく頼む」

走りながらの名乗りである。
握手はない。
しかし、それが彼らと森崎との出会いであった。


***

190 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/05(火) 00:04:14 ID:???


称号が『流浪の慎重派』になりました。

スキル『牽制打』を獲得しました。
種別:アクティブ
消費ガッツ:10
効果:そのターンの攻撃ダメージを70%とし、命中値を+30する。

191 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/05(火) 00:05:50 ID:???
***


「よく来たなゴロツキども! 端からブタ箱へ放り込みたくなる面構えだ!」

運動場と名のついた荒野に、野太い声が響き渡る。
兎にも角にも整列した三百人の傭兵を前に向かい立つのは一人の男である。
年の頃は四十前といったところだろうか。
陽に透かすと緑がかる黒髪に、やや褐色を帯びた肌。
左目には大きな傷跡が走っていたが、瞳には強烈な眼光が宿っている。

「俺がこの総合訓練所の主任教官、ヤング・マジョラムだ!
 今回編成された外国人傭兵大隊の隊長も兼任している!」

肩章に刻まれた階級は男が大尉の地位にあることを示している。
剛健を絵に描いたような筋肉質の体躯に胸甲を纏い、挨拶代わりの一言に色めき立つ
荒くれ者どもの殺気を物ともしない様は正に歴戦の古強者といった風情であった。

「この度、貴様ら穀潰しを一端の兵団に仕上げて戦場に送るというこの上なく厄介な仕事を
 上から押し付けられた! よって俺の機嫌はすこぶる悪い!!」

言いながら、ニヤリと笑う。
獣が牙を剥くような笑い方であった。

「まず貴様……それからそこの貴様、そっちもだ。一歩前に出ろ」

傭兵たちの隊列の中から指名されたのは、特に何の変哲もない男たちである。
何故自分たちが指名されたのかもわからず、怪訝そうな顔で列から外れる。

「何だァ? これから始まるしごきの見せしめってか? 運の悪いヤツらだぜ」
「……いや、違うな」

192 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/05(火) 00:06:53 ID:???
ぼそりとこぼしたネイの呟きに、トニーニョが答える。
それを聞きつけた森崎が、僅かに肩をすくめて感心したように囁く。

「へえ、あのトニーニョとかって坊主頭、意外とよくわかってんじゃねーか」
『……どういうこと?』
「今呼ばれたヤツら、歳も人種もバラバラだけどな……一つ、共通点があるんだよ」
『え? ん〜……、あ! あいつら、皆……』

言われたピコが何かに気付いたように森崎の方を向いた途端、雷鳴が轟く。
主任教官、ヤング・マジョラムの一喝である。

「今、前に出た貴様ら―――得物を捨てろ!」
「……、……!?」
「……なにィ!?」

耳ではなく腹の底に響く怒号が収まり、それから一瞬遅れて、言われた男たちが驚愕し、
思わず自らの手にした得物に目をやる。

「俺たち流れの傭兵は、それぞれ手前ぇの得物を持って戦場を渡り歩く。
 当たり前だが訓練の時にもそいつを使う……大事な相棒だ、宿舎に置いてくるわけもねえ」
『そうだね、あたしだって置いてかれたら怒るもんね!』
「……お前は盗まれる心配、ないけどな」
『こーんな可愛いコをつかまえて失礼じゃない?』
「……で、今呼ばれた連中の相棒はといやあ、だ」

しなを作るピコを無視して、森崎が続ける。

『もう! ……銃、だね』

193 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/05(火) 00:11:49 ID:???
頬をふくらませたピコが、それでも答えてみせた。
果たして、ヤングに指名された男たちの手にあったのは、銃器である。
短銃や長銃といった違い、或いは火縄、ミュケレットから新式のフリントロックまで形式の差はあれ、
一様に銃と呼ばれるそれらを、そしてそれらを手にした男たちを見やって、ヤングが言い放つ。

「この国では陸戦において銃火器は一切使用していない! 己の体と技だけが頼りだ!
 他所で銃に慣れてきた者は、ここでは地獄を見るぞ!」

ヤングの言葉に、傭兵たちの間には明らかな動揺が走る。
そこかしこで不安げな目を見交わし合う姿。
聞いてねえぞ……という声が漏れるのを耳にして、森崎が肩をすくめる。

「南欧圏じゃ銃はまだまだ行き渡ってねえ。特にスィーズランドから離れれば離れるほど
 軍の体質が旧い。……んなこたあ、ちっと目端が利きゃ分かることだろうによ」
『情報収集が甘いねえ』
「……まあ、そう言うな」

独り言じみた森崎の呟きに反応した者が、ピコの他にもう一人いた。
目をやれば仏頂面の坊主頭が腕を組んでいる。
トニーニョである。
先ほどは意識していなかったが、提げているのは森崎と同じ長剣である。
それが彼愛用の武器であるようだった。

「傭兵などというものは初陣で半分が死ぬ。空いた穴を埋めるのははぐれ者や犯罪者、借金持ちだ。
 生き残り、知恵と力をつけていく者とそうでない者の差は開いていく一方だからな」
「僕らベテランは初心者を盾にして生き残ろうとするしね、ネイくん」

けらけらと笑いながら口を挟んだのはジェトーリオ。
水を向けられたネイはそれを完全に無視して森崎に片目を瞑ってみせる。
ネイの腰には二本の短槍、ジェトーリオはといえば、その奇妙な仕草でくねる背に
何かの得物を背負っているようだったが、森崎には一見して判別がつかない。

194 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/05(火) 00:12:50 ID:???
「ま、盗んだか拾ったかの銃を見せびらかすような馬鹿は真っ先にくたばっていくってことさ。
 ついでにどっかの糞虫も道連れにしてくれると助かるんだが」

ちろりとジェトーリオの方を見やった視線には、心底からの侮蔑と嫌悪が篭っている。

「……何があったんだ、こいつら?」
「すまん、聞かないでくれ……」

思わず訊いた森崎に、トニーニョが眉間の皺をますます深くしながら答える。
そんな空気を振り払ったのは、ヤングの大音声であった。

「このご時世に銃兵隊を編成しないなんてイカレてると思ったか?
 ……ハハハ、俺もそう思う」

冗談めかして笑い飛ばしたその表情はしかし、隠しようもない苦味に支配されていた。
滲み出た本音を噛み潰すように、ヤングが小さく首を振ると続ける。

「……それでもまあ、これが上からのお達しというヤツだ。嫌なら荷物をまとめるんだな。
 貴様ら碌でなしが三回生まれ変わっても払えそうにない桁の違約金を用意できるなら、だが」

その言い様に怯んだのは、ヤングに詰め寄ろうとしていた、銃を手にする者を中心とした面々である。
びくりと固まったその背を見やって森崎が溜息をつく。

195 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/05(火) 00:13:52 ID:???
「哀れな連中だぜ。……サインは慎重に、ってな」
『勉強料、命より高くつかないといいねえ……』

最も激烈に反応した面々が凍りついたことで、どよめきも次第に収まっていく。
やがて静まり返った三百人の傭兵を見渡すと、ヤングがゆっくりと口を開いた。

「さて……どうやら俺の言うこともお上の方針も気に入らないヤツがいるようだな。
 機嫌の悪い上官に楯突くとはいい度胸だが……連帯責任だ。
 全員、まずこの運動場を十周ばかり走ってこい」

見渡す限りの荒野をぐるりと指さして、早くしろ日が暮れるぞ、とヤングが笑った。


***

196 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/05(火) 00:20:03 ID:I4BjvYb+
***
*D26.4 「流浪の慎重派」森崎
訓練ダイス

※訓練は前後半に分かれています。
★マークごとにお一人づつ、!と numnumの間のスペースを消してダイスを引いてください。
目標値【50】に対しプラスマイナス30以内で成功、プラス31以上で大成功、マイナス31以下で失敗となります。
大成功時は成果が1.5倍、失敗時は0.5倍となります。


前半(体術)1
! numnum + ! numnum + ! numnum =

前半(体術)2
! numnum + ! numnum + ! numnum =

後半(魅力)1
! numnum + ! numnum + ! numnum =

後半(魅力)2
! numnum + ! numnum + ! numnum =


***
とてもいい結果が出るといきなりスキルをゲットできる……かも、といったところで
本日の更新はこれまでとさせていただきます。
夜遅くまでのお付き合い、ありがとうございました。
それではまた、次回更新にて。

197 :傍観者  ◆YtAW.M29KM :2012/06/05(火) 00:22:12 ID:???

前半(体術)1
53  +  39  +  44 =

198 :さら ◆KYCgbi9lqI :2012/06/05(火) 00:23:51 ID:???

前半(体術)2
60  +  58  +  50 =


199 :Q513 ◆RZdXGG2sGw :2012/06/05(火) 00:24:48 ID:???
おお、レヴィン出てくるっすか。


後半(魅力)1
37  +  66  +  79 =


200 :ノータ ◆JvXQ17QPfo :2012/06/05(火) 00:27:44 ID:???

後半(魅力)2
80  +  19  +  96 =

201 :さら ◆KYCgbi9lqI :2012/06/05(火) 00:32:51 ID:???
魅力のスキルは獲得出来そうな感じがする。

202 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/06(水) 01:12:04 ID:???
>>197-200
皆様、ありがとうございます。
それぞれEP1を進呈いたします。


*D26.4 「流浪の慎重派」森崎
訓練結果

前半(体術)1
53  +  39  +  44 = 成功3
前半(体術)2
60  +  58  +  50 = 成功3

→成功6


後半(魅力)1
37  +  66  +  79 = 成功3
後半(魅力)2
80  +  19  +  96 = 大成功1 成功1 失敗1

→大成功1 成功4 失敗1

203 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/06(水) 01:13:49 ID:???
***


「ようっっ……やく、解散かよ……!
 ホントに日が暮れるまで走らせやがった、あの鬼教官……!」

薄暗い野原に弱々しく響くのは、大の字に寝転んだネイのぼやきである。
周囲はネイと同じように息も絶え絶えといった様子で横たわる男たちで溢れていた。

「修練が足りんな、ネイ」
「まったくだぜ」

そんなネイを見下ろすように腕を組んだトニーニョが言うのへ、森崎が同調する。
ある者は横たわり、ある者は地に伏せて胃液をぶち撒け、またある者は泡を吹いて失神している中で
平然と立っているのは二人くらいのものである。

「何でそんなに元気なんだよ、お前ら!?」
「いや……別に元気じゃねえよ、充分疲れてるぜ」
「僕はへとへとだよ、ネイくん。ああ、もうダメかも〜」
「うるさい死ね」

ネイのすぐ脇に寄り添うように倒れ込もうとしたジェトーリオが乱暴に蹴飛ばされるのを見やりながら、
森崎が小さく肩をすくめる。

「鎧も背嚢もナシだってのに息上がってんし、さすがに身体なまってるなって感じだぜ?
 けどまあ、疲れましたもうダメですって顔してたって、的にされるだけだしな」
「モリサキの言う通りだ。疲弊した者、諦めた者、混乱した者……敵はそういう輩から狙ってくる。
 逆に意気軒昂を誇示していれば刃も弾も避けて通るというものだ」

うんうん、と頷き合う二人を寝転んだまま見上げるネイが、その言葉に苦虫を噛み潰したような顔をする。

204 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/06(水) 01:14:51 ID:???
「セーシン論かよ。汗臭ぇ〜……」
「経験論だっつーの。ま、サボりたきゃ適当にサボればいいさ」

苦笑しながら森崎が続ける。

「所詮、傭兵なんてのは食い詰め浪人だしよ。キツいツラいで鍛錬から逃げて、
 明日死ぬのが仕事みてえなもんだ。ま、俺ぁ今日鍛えて生き残る方を選ぶ。そんだけよ」
「……」

飄々とした言葉に盛られた毒にネイが口を閉ざす。
代わりに森崎へと話しかけたのはトニーニョだった。

「そういえばモリサキ、お前は東洋人だろう?」
「大雑把な括りだな。まあ、そうだよ」

言う森崎にしても、かつて新大陸と呼ばれていた西洋圏の各国を詳しく知っているわけではない。
お互い様と割りきって頷く。

「そのお前が、何故南欧まで来て傭兵などやっている?」
「……おいおい、トニーニョさんよ」

トニーニョの問いに、森崎が口の端を上げる。
呆れ混じりの苦笑であった。

「昨日までつるんでた連中が次の戦場じゃ敵味方、その逆だっていくらでもあるのがこの渡世だぜ。
 お互い過去の詮索はナシ、ってのは傭兵のイロハのイ……西洋圏じゃ常識が通用しねえのか?」
「……! おい、そんな言い方……!」

露骨なさや当てに反応したのはネイである。
眉尻を上げて身体を起こそうとしたネイを、トニーニョが手で制する。

205 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/06(水) 01:15:52 ID:???
「いや、いいんだネイ。今のは確かに俺が悪い」
「……」

それでも不満そうに口を尖らせるネイを見やってから、トニーニョが森崎に向かって軽く頭を下げる。

「気を悪くしたのならすまない、そういうつもりではなかった」
「……まあ、謝ってもらうもんでもねえさ」
「俺が気になったのはモリサキ、お前は随分と年若いように見えるが、それにしては
 かなりの経験を積んでいる風だと思ってな。……気になるとつい口に出る。悪い癖だ」

自嘲気味に呟くトニーニョに、森崎が首を振る。

「いいさ。しっかし……年若いって俺、一体いくつだと思われてるんだ?
 この欧州じゃ実際より若く見られるのにも慣れちまったが……」
「ふむ……そうなると少し上に見積もったとして……俺たちと歳はそう変わらないのか?」

腕を組んだトニーニョが、夜闇の忍び寄る中で値踏みするように森崎を見つめる。
と、足元のネイが、上体だけを起こして言う。

「ちなみに俺たちは二十一だぜ」
「あ、僕は一個上だよ、ネイくん!」
「お前はもう歳とれないようにそこで死ね。つーか生まれてくんな」
「……」

短い間にもはや定番のようになりつつある、褐色の優男と黒人のやり取りを聞きながら森崎が黙り込む。
渋面であった。

206 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/06(水) 01:16:56 ID:???
「……? どうした、モリサキ」
「俺……数え十八の時分に国を飛び出して、かれこれ十年……くらいになるんだが」
「そうか。……って、なにィ!?」
「嘘だろぉ!?」
「ふうん」

驚愕する一同を前に、森崎が眉間に皺を寄せたまま肩を落とす。

「はぁ……どっと疲れた。先に帰らせてもらうぜ……」
「あ、おいモリサキ! ちょっと待てって!」
「お、俺たちが悪かった! そ、そうだ! 途中で一緒に飯でも食わないか!」

とぼとぼと歩き出した森崎の背を、トニーニョが慌てたように追う。
疲れた身体に鞭打って起き上がるとその後に続くネイ。
そのネイに影のように寄り添うジェトーリオ。

森崎がこの国で出会った、最初の仲間たちである。


***

207 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/06(水) 01:17:58 ID:???
//体術訓練


「走れ! 走れ! 走れ! 基礎体力のない奴にこなせる訓練などない!」

今日も今日とて、広い荒野にヤングの大音声が響き渡る。
三百人の荒くれ者どもがその声に尻を叩かれるようにしながら(そして時折、本当に木剣で尻を叩かれながら)
走り続けて、もう何時間になるだろうか。

「クソッ! 楽しそうだな、あのサド教官! この運動場のだだっ広さときたら、思う存分
 訓練ができるように……じゃなくて、単にあいつのダミ声で近所から苦情が来ないように
 こうなってんじゃないか?」
「ぼやくな、ネイ。無駄に息が上がるだけだ」

前方を走るトニーニョとネイ、そしてそのネイのすぐ後ろに張り付くようにしているジェトーリオの
背を眺めながら、森崎が額にじっとりと浮かぶ汗を拭う。
滝のように流れ出る汗は既に枯れ果てている。
今滲むのは、ほとんど脂と区別のつかない粘性の液体だった。

「……ってあの野郎、昨日はまともな筋力のない奴に拳闘も体捌きもあるか! とか言って
 一日中、重り石を持ち上げさせてたじゃねえかよ! おかげでこっちは全身バッキバキだってのに……」

遠く霞むヤングの姿を恨めしげに見やりながら、森崎がぼそりと漏らした瞬間。
その遠い影が、ぐるりとこちらを向いた。

208 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/06(水) 01:18:59 ID:???
「そこ! そんなに気に入ったのなら、今日も石を上げるか!」
「なにィ!?」

よく見えなくとも真っ直ぐ自分に向けられていると分かる雷光のような視線と
強烈な指向性を持った声が、森崎を直撃していた。
恐るべき地獄耳に驚く間もなく、声は森崎めがけて降ってくる。

「モリサキといったか、貴様だけ特別にメニューを追加してやってもいいぞ!」
「……おとなしく走るよ! 走ればいいんだろ!」
「まあそう遠慮するな!」

叫んでペースを上げた森崎を、しかしヤングの笑みを含んだ声は逃がさない。
今、あの男は咎人をいたぶる煉獄の獄吏と同じ顔で笑っていると、森崎は確信する。

「貴様のために今から特訓を組んでやるから、安心して走り込め!
 とはいえ、毎日同じ箇所を鍛えても筋を傷めるだけだからな!
 きっちり責任をもって、昨日とは違う地獄を味あわせてやる!」
「ゲェェー!? ちくしょう、こうなったらネイ、トニーニョ、お前らも……っていねえ!?」

巻き添えを捜す森崎の視界には、既に誰の姿もない。
いち早く逃げおおせたのだと察した森崎を待つのはただ一人、緑なす髪の獄吏であった。


※体術が上がりました。
ガッツが20下がりました。


209 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/06(水) 01:20:00 ID:???
//魅力訓練

ふぉん、と風を切る音を立てて刃が走る。
訓練所の荒野では青空の下、傭兵たちが素振りの最中であった。
と、森崎が剣を振るう手を止めて振り返る。

「どうした、モリサキ?」

聞いたトニーニョに、森崎がニカリと笑って言う。

「なあ、どうだ? そっちの角度から見るのが一番カッコよくねえか、俺?」
「……いいから真面目にやれ、また教官にどやされるぞ」

呆れたように眉根を寄せて素振りに戻ったトニーニョに、森崎がなおも言い募る。

「いや、だってよ。毎日むさ苦しい男どもに囲まれて汗に塗れてると、こう、思わねえか?
 たまには黄色い声できゃ〜、とか言われてみてえ、ってよ」
「言われたい、言われたい!」

食いついたのはネイである。
こちらは得意の短槍を突き出す型を止めて、話題に加わってくる。

「街にさえ出られれば、可愛い女のコの五人や六人は朝飯前、昼飯までにもう五人、
 ってなもんなのにさ! こう訓練漬けじゃ、俺の美貌を活かす暇もありゃしないぜ」

言ったネイに、すかさずジェトーリオがまとわりついて甲高い声を上げる。
その姿はさながら美しく花を咲かせた若木に絡みつく蛇である。

「きゃ〜、ネイく〜ん!」
「死ね、今すぐ港から海に飛び込んで二度と浮かんでくるな!」

210 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/06(水) 01:21:05 ID:???
短槍の柄でこそげ落とすようにジェトーリオを引き剥がすネイを横目に、
森崎がトニーニョに話しかける。

「で、どうなのよ、トニーニョさんは。切った張ったでいつくたばるかもわからねえ身空、
 たまにゃ剣の鈍色じゃねえ、桃色に囲まれたかねえかって話よ」
「俺は……その、そういうのに興味は……」

ニヤニヤと笑いながら迫る森崎に、珍しくトニーニョが言い淀む。
冷静沈着を旨とするこの男には稀有な反応であった。
森崎が何かを言う前に、後ろから野次を飛ばしたのはネイである。

「興味ありまくりだろ、ムッツリ坊主!」
「今何と言った、ネイ! もう一度言ってみろ!」

気色ばむトニーニョ。
これもまた珍しい光景である。

「え、なにお前、案外イケる口かよ?」
「……」

急に親近感を覚えた森崎が訊ねるが、トニーニョは口を噤んでしまう。

「……」
「……」

周囲に奇妙な静けさが降りていた。
気付けばトニーニョだけでなく、ネイやその足元に転がっていたはずのジェトーリオさえもが
いつの間にか立ち上がって神妙な顔をしている。

211 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/06(水) 01:23:00 ID:???
「ん? どうしたお前ら、急におとなしくなりやがって……」
「……お前、女どもに騒がれたいのか、そうかそうか」
「そりゃそうだろ、……って……」

すぐ後ろから響いた、重厚な声に思わず軽口を叩きかけた森崎が、何かに気付いたように
ゆっくりと全身を軋ませながら振り返る。
果たして、そこに立っていたのは

「俺がお前を男前にしてやろう……誰からも一目置かれるような、立派な男前にな……!」
「い、いや、その……」
「まずは素振り、この鉛入りの剣に変えて三百! その後は腹筋からいつものコースを大サービスで三倍だ!
 準備運動の後もまだまだ専用の養成講座が待ってるぞ……始め!」

その日、荒野には日が暮れるまで蛙の潰れるような悲鳴が響いていたという。


※魅力が上がりました。
 ガッツが20下がりました。


***

*D26.4 「流浪の慎重派」森崎
訓練終了

残りガッツ:40

212 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/06(水) 01:24:18 ID:???
******


*D26.4
メインイベント
『少女の騎士(後編)』


「っくあぁぁぁーーーー! 全身痛ぇー……」

よく晴れた春の青空の下、大きく伸びをしたのは森崎有三である。
長剣一本をベルトで腰に提げただけの平服で石畳の上を歩いている。

「あの鬼教官、俺を目の敵にしやがって……他の連中の倍はしごかれてんぞ、絶対!」
『すっかり標的だねえ……あれ? でも、この前はズイブン偉そうなこと言ってなかったっけ?
 グズは死ね! 俺は鍛えて生き残る方を選ぶんだぜ! とか何とか』
「キメ顔でそんな嫌なこと言うキャラだったか、俺……」

目の前にふわりと舞い降りた相棒、ピコの小芝居に顔をしかめる森崎。

「つうか、これでもマシな方だぜ? 他の連中なんざ、月に一度の休みだってのに兵舎どころか
 ベッドからも降りられねえようなのがゴロゴロしてんだからよ。あの女好きのネイなんかもな」
『まあねえ……せっかく誘ったのに、一歩も動きたくないって断られたし……』
「だろ? こうして生活物資の買い出しに行けるだけでも俺の頑健頑丈は称えられるべきなんだよ。
 ほれ、苦しゅうないぞ。思う存分、褒め称えるがいい」
『わー、すごーい! キミはエラいよ! カッコいいよ!』
「ふふ、そうだろ?」

ふわふわくるくると、森崎の周りを舞い踊りながら拍手してみせるピコが、一通り踊り終えると
ぴたりと森崎の眼前に静止する。

213 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/06(水) 01:25:19 ID:???
『……キミ、空しくない?』
「まあ、ちょっとな……」
『……』
「……」
『さ、バカなことやってないでお買い物済ませちゃお。まず臭くない下着ね!』
「今あるの、旅の間からずっと水洗いだけして履いてるヤツだからな……」

ちらりと自らの体を見下ろして襟元をはだけ、立ち上る異臭に思わず天を仰いで
歩を早めた森崎が、しかしすぐにぴたりと立ち止まって首をひねる。

「あー……っと、で、この手のモンを買うとなると……どこだ?」
『この国に来てから今日まで、ほとんど兵舎と訓練所の往復しかしてなかったからねえ……』
「正直、飯屋以外の店とかよくわかんねえんだよな」
『ま、せっかくだし、一通りぐるっと廻ってみようよ』
「マジか……とっとと片付けて疲れ取りたかったんだが……」

げんなりした顔で言う森崎。

『もう! どうせその内チェックしなきゃならないんだから、今日やっておこうよ!』
「はあ、仕方ねえか……と、まず今、俺たちがいるのは城南区、シーエアー地区だな」
『あたしたちの兵舎がある地区だね』

ドルファン王国の首都である城塞都市ドルファンは、中央に配置された王城をぐるりと囲むように
街が建設され、その更に外側を高い城壁が守るという、オーソドックスなローマンスタイルである。
城下ドルファン地区を中心として、東西南北をそれぞれ区切る形で地区分けが成されている。

『全部で五地区あるんだよね』
「それぞれに個性豊かな特色のある、マルタギニアの真珠。それが首都ドルファンです……か」
『それ、何読んでんの?』

214 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/06(水) 01:26:21 ID:???
言ったピコが森崎の手元にふわりと舞い降りる。
森崎が持っていたのは幾つかに折りたたまれた紙片である。

「んあ? こりゃ旅行者向けの地図だ。部屋に備え付けられてたんだよ」
『へえ、便利だねえ』
「傭兵宿舎に観光地図もねえもんだけどな……」
『で、このシーエアー地区の特色は?』

聞いたピコに、森崎が地図を見ずに答える。
さすがに数週間とはいえ、毎日歩いている街並みであった。

「ここは港があって、船乗りや荷揚げ人夫相手の盛り場があって……俺たちみたいな外国人の行き来も多い。
 ま、良く言えば活気がある地区だな」
『悪く言えば?』
「ガラが悪ぃ」

一言で切って捨てる森崎。

「品がなくて、安っぽくて、薄汚ねえ。だからこそ俺ら流れ者には馴染むんだが……。
 坊ちゃん嬢ちゃんネンネちゃんには向かねえ街だな」
『そういえばこの間も、女のコが絡まれたもんねえ』
「あったな、んなこと……ま、そういうことさ」

この国に降り立ったその日に巻き込まれた騒動を思い出して、森崎が肩をすくめる。

「つっても、このシーエアーも東側に出りゃ教会だ墓地だ灯台だ、ってえ辛気臭い代物が
 揃ってるみたいだけどな」
『ふうん。あのコも教会の帰りとかだったのかねえ』
「さあな……お、そういや、港からちょっと歩けばビーチもあるらしいぜ」
『まだ海水浴には早いけどね』

四月の青空に向かってぱたぱたと羽ばたきながら、ピコが言う。

215 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/06(水) 01:29:31 ID:NzJufiKg
『で、どう? 臭くない下着は売ってそう?』
「どうかな……、まあ娼館があるんだから、下着くらいそこらで売ってるかもしれんが……。
 ぐるっと廻るって言い出したのはお前だろ。あんまり寄り道ばっかしてると時間なくなるぞ?」
『うーん、そう言われると……どうしよう?』


*選択

A シーエアー地区(歓楽街)を巡ってみる

B 他を当たる


※選択によりイベントが発生します。
 またこの後の行動回数に影響が出ます。
 寄り道ができるのは全部で三箇所までです。

森崎の行動としてどれか一つを選択して下さい。
その際【その選択肢を選んだ理由】を【森崎の視点から】
必ず付記していただくようお願い致します。
期限は『6/6 21:00』です。


***

選択理由にも徐々にロールプレイ要素を加えつつ、といったところで
本日の更新はこれまでとさせていただきます。
夜遅くまでのお付き合い、ありがとうございました。
それではまた、次回更新にて。

216 :Q513 ◆RZdXGG2sGw :2012/06/06(水) 07:39:13 ID:???

まずは近所を知っておくことからでしょ

217 :さら ◆KYCgbi9lqI :2012/06/06(水) 10:14:26 ID:???
B ガッツが少ない様に感じるので歓楽街よりも別の所で買い物した方が良いんじゃないかな。

218 :さら ◆KYCgbi9lqI :2012/06/06(水) 11:00:22 ID:???
B 選択理由はガッツが少ない様に感じるので歓楽街よりも別の所で買い物した方が良いんじゃないかな。
森崎視点からはピコの言う通り寄り道も面白いかもなと思うのではないでしょうか。
に訂正します。

219 :◆9OlIjdgJmY :2012/06/06(水) 19:32:38 ID:???

ピコの意向に従って他地区も廻るのなら、下着はそっちで買った方が時間短縮になると考えて。
近所で買ったパンツ持ったまま遠出するのも珍妙だし。

220 :◆W1prVEUMOs :2012/06/06(水) 19:42:17 ID:???

ガラが悪い歓楽街の人間より一般人とお近付きになりたいから
森崎視点からは長く留まるのでピコの言うとおり飯屋以外の店も一通り知っておくのがいいと思ったから

221 :雑魚モブ ◆.xniaLTHMk :2012/06/06(水) 19:58:43 ID:???

どうせその内チェックしなきゃならないなら予定のない今のうちに済ませておきたいから
森崎視点の理由は疲れてる今バーストン兄弟に鉢合わせたくないから

222 :ノータ ◆JvXQ17QPfo :2012/06/06(水) 20:20:35 ID:???
「B」
理由:地元の地理が飯屋と兵舎、訓練所ぐらいしか知らない今の森崎が
   下着を買いに行くのであれば地元でぐるぐる回るより
   商店街のある地区で確実に買える方を選ぶはず。

223 :テトラ ◆yfCGLLZSBA :2012/06/06(水) 20:33:22 ID:???
B
買い物が目的だし歓楽街に行くには時間が早いので

224 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/07(木) 00:54:26 ID:???
皆様、ご回答ありがとうございます。
それでは早速、>>215の選択については……

>>222 ノータ ◆JvXQ17QPfo様の回答を採用させていただきます!
まったくもってその通り、と頷かざるを得ない、簡潔にして合理的な回答でした。
CP3を進呈いたします。


>>216
そうですね。
もし寄り道をしていたらこの街に特有の知己や称号を得られていたことでしょう。
勿論、他の寄り道にも同様のイベントはあるわけですが。

>>218
ガッツが減るような歓楽街の使い方……は、ずばり選択と引き次第で可能でした。
相変わらずの鋭い読みに感服いたします。

>>219
妙な絵面ですよね……まあ、さすがにナマでぶら下げていくわけではないでしょうけどもw

>>220
清濁併せ呑むのが理想……とはいうものの、善人と交わっていればそうなりやすいですし、
悪党との関わりが深ければ自然とそちらに近づいていきますね。

>>221
バーストン兄弟との鉢合わせ……なるほど、もしAの回答が採用されていたら
そのアイデアを頂いてCP進呈、というところでした。

>>223
確かにこの街の本番は夜ですね。
街を巡る順番が逆だったなら、或いは……?

225 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/07(木) 00:55:34 ID:???
ご回答いただいた方全員にEP1を進呈いたします。

***

B 他を当たる


「……ま、フツーに考えて商店街に出た方がいいよな、買い物するなら」
『そだね』
「正直、あっち側にも興味はあるんだけどな」

言って森崎が覗き込んだ路地の向こうには、桃色やら紫色やらで彩られた独特の店が並んでいる。
曲がりくねった金文字で飾られた看板には『夜の殿堂・黒ネコ亭』『艶笑楼』『通人喫茶・はいたまま』等々、
いかにも、といった風情の屋号が刻まれていた。
独特の空気感を持つそれらの店をちらりと見やったピコが、わざわざ森崎の顔の前へと降りてきては
路地の奥と森崎の目とを見比べて、小さな肩をすくめてみせる。

『……ふーん』
「な、何だよその目は! その街を知るには、その街の女を知るのが一番手っ取り早いんだよ!」
『何さ、知った風なこと言っちゃって』
「痛ぇっ!」

ふわりと飛んだピコが、森崎の耳を引っ張ったものである。

『さ、フツーに考えて次行くんでしょ、次』
「イテテ、だから離せって、おい!」

こうして森崎は小さな相棒に耳たぶを掴まれたまま引きずられていくのであった。


***

226 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/07(木) 00:56:35 ID:???


「お城は今日も異常なし、っと」
『ま、尖塔の先っぽしか見えないけどね』

城塞都市ドルファンの中央に壮麗な姿で聳え立つのがドルファン王城である。
周囲を城壁と濠とに囲まれた、その旧トルキア様式を受け継ぐ建築美術の粋が衆目に晒されるのは
年に一度、クリスマスの夜だけだった。

「で、この城の周りが城央、ドルファン地区ってわけだな」
『このキャラウェイ通りも、すっかり見慣れたねえ』

キャラウェイ通りは王城の南東に位置する、この城塞都市一の目抜き通りだった。
両手いっぱいに買い物を抱えて家路につく主婦、緊張の面持ちで商談に向かう商人、
人の多さに目を白黒させる異国の男、お使いに走る小僧、連れの男に服をねだる少女、
巡回する地区警備隊の歩哨から、それを警戒しながらカモを見定めようとする悪党まで、
広い通りはあらゆる種類の人間で溢れている。

『毎日毎日、すごい人の数だよね』
「ま、このドルファンは南欧じゃ一番景気のいい国の一つだからな。人は金に寄ってくるもんだ」
『キミもその一人ってわけだね』

マルタギニア海貿易の中継拠点として栄えるドルファン港の富を象徴するような、それは一大商業地である。
シーエアー地区と隣接する南側には比較的安価な品物を扱う雑貨商や食料品を扱う市場があり、
北側、即ち王城に近づくほど高級な店構えが増えてくる。

「実は俺、この先に何があるのかはよく知らねえんだよ」
『そうなの?』
「普段メシ食いに出てくるのはこの辺までだからな」

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