キャプテン森崎 Vol. II 〜Super Morisaki!〜
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異邦人モリサキ

1 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/01(金) 00:31:21 ID:Hgnh9qno


本作は恋愛SLG『みつめてナイト』を基にした二次創作です。

騎士の時代が終わりつつある南欧は架空の小国、ドルファン王国。
戦火の迫るこの国に傭兵として降り立った東洋人、森崎有三の体験する
波乱万丈の三年間を描きます。


独自要素が強いため、外伝スレを経ずにスレを立てさせていただきました。
ご容赦下さいませ。



200 :ノータ ◆JvXQ17QPfo :2012/06/05(火) 00:27:44 ID:???

後半(魅力)2
80  +  19  +  96 =

201 :さら ◆KYCgbi9lqI :2012/06/05(火) 00:32:51 ID:???
魅力のスキルは獲得出来そうな感じがする。

202 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/06(水) 01:12:04 ID:???
>>197-200
皆様、ありがとうございます。
それぞれEP1を進呈いたします。


*D26.4 「流浪の慎重派」森崎
訓練結果

前半(体術)1
53  +  39  +  44 = 成功3
前半(体術)2
60  +  58  +  50 = 成功3

→成功6


後半(魅力)1
37  +  66  +  79 = 成功3
後半(魅力)2
80  +  19  +  96 = 大成功1 成功1 失敗1

→大成功1 成功4 失敗1

203 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/06(水) 01:13:49 ID:???
***


「ようっっ……やく、解散かよ……!
 ホントに日が暮れるまで走らせやがった、あの鬼教官……!」

薄暗い野原に弱々しく響くのは、大の字に寝転んだネイのぼやきである。
周囲はネイと同じように息も絶え絶えといった様子で横たわる男たちで溢れていた。

「修練が足りんな、ネイ」
「まったくだぜ」

そんなネイを見下ろすように腕を組んだトニーニョが言うのへ、森崎が同調する。
ある者は横たわり、ある者は地に伏せて胃液をぶち撒け、またある者は泡を吹いて失神している中で
平然と立っているのは二人くらいのものである。

「何でそんなに元気なんだよ、お前ら!?」
「いや……別に元気じゃねえよ、充分疲れてるぜ」
「僕はへとへとだよ、ネイくん。ああ、もうダメかも〜」
「うるさい死ね」

ネイのすぐ脇に寄り添うように倒れ込もうとしたジェトーリオが乱暴に蹴飛ばされるのを見やりながら、
森崎が小さく肩をすくめる。

「鎧も背嚢もナシだってのに息上がってんし、さすがに身体なまってるなって感じだぜ?
 けどまあ、疲れましたもうダメですって顔してたって、的にされるだけだしな」
「モリサキの言う通りだ。疲弊した者、諦めた者、混乱した者……敵はそういう輩から狙ってくる。
 逆に意気軒昂を誇示していれば刃も弾も避けて通るというものだ」

うんうん、と頷き合う二人を寝転んだまま見上げるネイが、その言葉に苦虫を噛み潰したような顔をする。

204 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/06(水) 01:14:51 ID:???
「セーシン論かよ。汗臭ぇ〜……」
「経験論だっつーの。ま、サボりたきゃ適当にサボればいいさ」

苦笑しながら森崎が続ける。

「所詮、傭兵なんてのは食い詰め浪人だしよ。キツいツラいで鍛錬から逃げて、
 明日死ぬのが仕事みてえなもんだ。ま、俺ぁ今日鍛えて生き残る方を選ぶ。そんだけよ」
「……」

飄々とした言葉に盛られた毒にネイが口を閉ざす。
代わりに森崎へと話しかけたのはトニーニョだった。

「そういえばモリサキ、お前は東洋人だろう?」
「大雑把な括りだな。まあ、そうだよ」

言う森崎にしても、かつて新大陸と呼ばれていた西洋圏の各国を詳しく知っているわけではない。
お互い様と割りきって頷く。

「そのお前が、何故南欧まで来て傭兵などやっている?」
「……おいおい、トニーニョさんよ」

トニーニョの問いに、森崎が口の端を上げる。
呆れ混じりの苦笑であった。

「昨日までつるんでた連中が次の戦場じゃ敵味方、その逆だっていくらでもあるのがこの渡世だぜ。
 お互い過去の詮索はナシ、ってのは傭兵のイロハのイ……西洋圏じゃ常識が通用しねえのか?」
「……! おい、そんな言い方……!」

露骨なさや当てに反応したのはネイである。
眉尻を上げて身体を起こそうとしたネイを、トニーニョが手で制する。

205 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/06(水) 01:15:52 ID:???
「いや、いいんだネイ。今のは確かに俺が悪い」
「……」

それでも不満そうに口を尖らせるネイを見やってから、トニーニョが森崎に向かって軽く頭を下げる。

「気を悪くしたのならすまない、そういうつもりではなかった」
「……まあ、謝ってもらうもんでもねえさ」
「俺が気になったのはモリサキ、お前は随分と年若いように見えるが、それにしては
 かなりの経験を積んでいる風だと思ってな。……気になるとつい口に出る。悪い癖だ」

自嘲気味に呟くトニーニョに、森崎が首を振る。

「いいさ。しっかし……年若いって俺、一体いくつだと思われてるんだ?
 この欧州じゃ実際より若く見られるのにも慣れちまったが……」
「ふむ……そうなると少し上に見積もったとして……俺たちと歳はそう変わらないのか?」

腕を組んだトニーニョが、夜闇の忍び寄る中で値踏みするように森崎を見つめる。
と、足元のネイが、上体だけを起こして言う。

「ちなみに俺たちは二十一だぜ」
「あ、僕は一個上だよ、ネイくん!」
「お前はもう歳とれないようにそこで死ね。つーか生まれてくんな」
「……」

短い間にもはや定番のようになりつつある、褐色の優男と黒人のやり取りを聞きながら森崎が黙り込む。
渋面であった。

206 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/06(水) 01:16:56 ID:???
「……? どうした、モリサキ」
「俺……数え十八の時分に国を飛び出して、かれこれ十年……くらいになるんだが」
「そうか。……って、なにィ!?」
「嘘だろぉ!?」
「ふうん」

驚愕する一同を前に、森崎が眉間に皺を寄せたまま肩を落とす。

「はぁ……どっと疲れた。先に帰らせてもらうぜ……」
「あ、おいモリサキ! ちょっと待てって!」
「お、俺たちが悪かった! そ、そうだ! 途中で一緒に飯でも食わないか!」

とぼとぼと歩き出した森崎の背を、トニーニョが慌てたように追う。
疲れた身体に鞭打って起き上がるとその後に続くネイ。
そのネイに影のように寄り添うジェトーリオ。

森崎がこの国で出会った、最初の仲間たちである。


***

207 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/06(水) 01:17:58 ID:???
//体術訓練


「走れ! 走れ! 走れ! 基礎体力のない奴にこなせる訓練などない!」

今日も今日とて、広い荒野にヤングの大音声が響き渡る。
三百人の荒くれ者どもがその声に尻を叩かれるようにしながら(そして時折、本当に木剣で尻を叩かれながら)
走り続けて、もう何時間になるだろうか。

「クソッ! 楽しそうだな、あのサド教官! この運動場のだだっ広さときたら、思う存分
 訓練ができるように……じゃなくて、単にあいつのダミ声で近所から苦情が来ないように
 こうなってんじゃないか?」
「ぼやくな、ネイ。無駄に息が上がるだけだ」

前方を走るトニーニョとネイ、そしてそのネイのすぐ後ろに張り付くようにしているジェトーリオの
背を眺めながら、森崎が額にじっとりと浮かぶ汗を拭う。
滝のように流れ出る汗は既に枯れ果てている。
今滲むのは、ほとんど脂と区別のつかない粘性の液体だった。

「……ってあの野郎、昨日はまともな筋力のない奴に拳闘も体捌きもあるか! とか言って
 一日中、重り石を持ち上げさせてたじゃねえかよ! おかげでこっちは全身バッキバキだってのに……」

遠く霞むヤングの姿を恨めしげに見やりながら、森崎がぼそりと漏らした瞬間。
その遠い影が、ぐるりとこちらを向いた。

208 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/06(水) 01:18:59 ID:???
「そこ! そんなに気に入ったのなら、今日も石を上げるか!」
「なにィ!?」

よく見えなくとも真っ直ぐ自分に向けられていると分かる雷光のような視線と
強烈な指向性を持った声が、森崎を直撃していた。
恐るべき地獄耳に驚く間もなく、声は森崎めがけて降ってくる。

「モリサキといったか、貴様だけ特別にメニューを追加してやってもいいぞ!」
「……おとなしく走るよ! 走ればいいんだろ!」
「まあそう遠慮するな!」

叫んでペースを上げた森崎を、しかしヤングの笑みを含んだ声は逃がさない。
今、あの男は咎人をいたぶる煉獄の獄吏と同じ顔で笑っていると、森崎は確信する。

「貴様のために今から特訓を組んでやるから、安心して走り込め!
 とはいえ、毎日同じ箇所を鍛えても筋を傷めるだけだからな!
 きっちり責任をもって、昨日とは違う地獄を味あわせてやる!」
「ゲェェー!? ちくしょう、こうなったらネイ、トニーニョ、お前らも……っていねえ!?」

巻き添えを捜す森崎の視界には、既に誰の姿もない。
いち早く逃げおおせたのだと察した森崎を待つのはただ一人、緑なす髪の獄吏であった。


※体術が上がりました。
ガッツが20下がりました。


209 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/06(水) 01:20:00 ID:???
//魅力訓練

ふぉん、と風を切る音を立てて刃が走る。
訓練所の荒野では青空の下、傭兵たちが素振りの最中であった。
と、森崎が剣を振るう手を止めて振り返る。

「どうした、モリサキ?」

聞いたトニーニョに、森崎がニカリと笑って言う。

「なあ、どうだ? そっちの角度から見るのが一番カッコよくねえか、俺?」
「……いいから真面目にやれ、また教官にどやされるぞ」

呆れたように眉根を寄せて素振りに戻ったトニーニョに、森崎がなおも言い募る。

「いや、だってよ。毎日むさ苦しい男どもに囲まれて汗に塗れてると、こう、思わねえか?
 たまには黄色い声できゃ〜、とか言われてみてえ、ってよ」
「言われたい、言われたい!」

食いついたのはネイである。
こちらは得意の短槍を突き出す型を止めて、話題に加わってくる。

「街にさえ出られれば、可愛い女のコの五人や六人は朝飯前、昼飯までにもう五人、
 ってなもんなのにさ! こう訓練漬けじゃ、俺の美貌を活かす暇もありゃしないぜ」

言ったネイに、すかさずジェトーリオがまとわりついて甲高い声を上げる。
その姿はさながら美しく花を咲かせた若木に絡みつく蛇である。

「きゃ〜、ネイく〜ん!」
「死ね、今すぐ港から海に飛び込んで二度と浮かんでくるな!」

210 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/06(水) 01:21:05 ID:???
短槍の柄でこそげ落とすようにジェトーリオを引き剥がすネイを横目に、
森崎がトニーニョに話しかける。

「で、どうなのよ、トニーニョさんは。切った張ったでいつくたばるかもわからねえ身空、
 たまにゃ剣の鈍色じゃねえ、桃色に囲まれたかねえかって話よ」
「俺は……その、そういうのに興味は……」

ニヤニヤと笑いながら迫る森崎に、珍しくトニーニョが言い淀む。
冷静沈着を旨とするこの男には稀有な反応であった。
森崎が何かを言う前に、後ろから野次を飛ばしたのはネイである。

「興味ありまくりだろ、ムッツリ坊主!」
「今何と言った、ネイ! もう一度言ってみろ!」

気色ばむトニーニョ。
これもまた珍しい光景である。

「え、なにお前、案外イケる口かよ?」
「……」

急に親近感を覚えた森崎が訊ねるが、トニーニョは口を噤んでしまう。

「……」
「……」

周囲に奇妙な静けさが降りていた。
気付けばトニーニョだけでなく、ネイやその足元に転がっていたはずのジェトーリオさえもが
いつの間にか立ち上がって神妙な顔をしている。

211 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/06(水) 01:23:00 ID:???
「ん? どうしたお前ら、急におとなしくなりやがって……」
「……お前、女どもに騒がれたいのか、そうかそうか」
「そりゃそうだろ、……って……」

すぐ後ろから響いた、重厚な声に思わず軽口を叩きかけた森崎が、何かに気付いたように
ゆっくりと全身を軋ませながら振り返る。
果たして、そこに立っていたのは

「俺がお前を男前にしてやろう……誰からも一目置かれるような、立派な男前にな……!」
「い、いや、その……」
「まずは素振り、この鉛入りの剣に変えて三百! その後は腹筋からいつものコースを大サービスで三倍だ!
 準備運動の後もまだまだ専用の養成講座が待ってるぞ……始め!」

その日、荒野には日が暮れるまで蛙の潰れるような悲鳴が響いていたという。


※魅力が上がりました。
 ガッツが20下がりました。


***

*D26.4 「流浪の慎重派」森崎
訓練終了

残りガッツ:40

212 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/06(水) 01:24:18 ID:???
******


*D26.4
メインイベント
『少女の騎士(後編)』


「っくあぁぁぁーーーー! 全身痛ぇー……」

よく晴れた春の青空の下、大きく伸びをしたのは森崎有三である。
長剣一本をベルトで腰に提げただけの平服で石畳の上を歩いている。

「あの鬼教官、俺を目の敵にしやがって……他の連中の倍はしごかれてんぞ、絶対!」
『すっかり標的だねえ……あれ? でも、この前はズイブン偉そうなこと言ってなかったっけ?
 グズは死ね! 俺は鍛えて生き残る方を選ぶんだぜ! とか何とか』
「キメ顔でそんな嫌なこと言うキャラだったか、俺……」

目の前にふわりと舞い降りた相棒、ピコの小芝居に顔をしかめる森崎。

「つうか、これでもマシな方だぜ? 他の連中なんざ、月に一度の休みだってのに兵舎どころか
 ベッドからも降りられねえようなのがゴロゴロしてんだからよ。あの女好きのネイなんかもな」
『まあねえ……せっかく誘ったのに、一歩も動きたくないって断られたし……』
「だろ? こうして生活物資の買い出しに行けるだけでも俺の頑健頑丈は称えられるべきなんだよ。
 ほれ、苦しゅうないぞ。思う存分、褒め称えるがいい」
『わー、すごーい! キミはエラいよ! カッコいいよ!』
「ふふ、そうだろ?」

ふわふわくるくると、森崎の周りを舞い踊りながら拍手してみせるピコが、一通り踊り終えると
ぴたりと森崎の眼前に静止する。

213 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/06(水) 01:25:19 ID:???
『……キミ、空しくない?』
「まあ、ちょっとな……」
『……』
「……」
『さ、バカなことやってないでお買い物済ませちゃお。まず臭くない下着ね!』
「今あるの、旅の間からずっと水洗いだけして履いてるヤツだからな……」

ちらりと自らの体を見下ろして襟元をはだけ、立ち上る異臭に思わず天を仰いで
歩を早めた森崎が、しかしすぐにぴたりと立ち止まって首をひねる。

「あー……っと、で、この手のモンを買うとなると……どこだ?」
『この国に来てから今日まで、ほとんど兵舎と訓練所の往復しかしてなかったからねえ……』
「正直、飯屋以外の店とかよくわかんねえんだよな」
『ま、せっかくだし、一通りぐるっと廻ってみようよ』
「マジか……とっとと片付けて疲れ取りたかったんだが……」

げんなりした顔で言う森崎。

『もう! どうせその内チェックしなきゃならないんだから、今日やっておこうよ!』
「はあ、仕方ねえか……と、まず今、俺たちがいるのは城南区、シーエアー地区だな」
『あたしたちの兵舎がある地区だね』

ドルファン王国の首都である城塞都市ドルファンは、中央に配置された王城をぐるりと囲むように
街が建設され、その更に外側を高い城壁が守るという、オーソドックスなローマンスタイルである。
城下ドルファン地区を中心として、東西南北をそれぞれ区切る形で地区分けが成されている。

『全部で五地区あるんだよね』
「それぞれに個性豊かな特色のある、マルタギニアの真珠。それが首都ドルファンです……か」
『それ、何読んでんの?』

214 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/06(水) 01:26:21 ID:???
言ったピコが森崎の手元にふわりと舞い降りる。
森崎が持っていたのは幾つかに折りたたまれた紙片である。

「んあ? こりゃ旅行者向けの地図だ。部屋に備え付けられてたんだよ」
『へえ、便利だねえ』
「傭兵宿舎に観光地図もねえもんだけどな……」
『で、このシーエアー地区の特色は?』

聞いたピコに、森崎が地図を見ずに答える。
さすがに数週間とはいえ、毎日歩いている街並みであった。

「ここは港があって、船乗りや荷揚げ人夫相手の盛り場があって……俺たちみたいな外国人の行き来も多い。
 ま、良く言えば活気がある地区だな」
『悪く言えば?』
「ガラが悪ぃ」

一言で切って捨てる森崎。

「品がなくて、安っぽくて、薄汚ねえ。だからこそ俺ら流れ者には馴染むんだが……。
 坊ちゃん嬢ちゃんネンネちゃんには向かねえ街だな」
『そういえばこの間も、女のコが絡まれたもんねえ』
「あったな、んなこと……ま、そういうことさ」

この国に降り立ったその日に巻き込まれた騒動を思い出して、森崎が肩をすくめる。

「つっても、このシーエアーも東側に出りゃ教会だ墓地だ灯台だ、ってえ辛気臭い代物が
 揃ってるみたいだけどな」
『ふうん。あのコも教会の帰りとかだったのかねえ』
「さあな……お、そういや、港からちょっと歩けばビーチもあるらしいぜ」
『まだ海水浴には早いけどね』

四月の青空に向かってぱたぱたと羽ばたきながら、ピコが言う。

215 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/06(水) 01:29:31 ID:NzJufiKg
『で、どう? 臭くない下着は売ってそう?』
「どうかな……、まあ娼館があるんだから、下着くらいそこらで売ってるかもしれんが……。
 ぐるっと廻るって言い出したのはお前だろ。あんまり寄り道ばっかしてると時間なくなるぞ?」
『うーん、そう言われると……どうしよう?』


*選択

A シーエアー地区(歓楽街)を巡ってみる

B 他を当たる


※選択によりイベントが発生します。
 またこの後の行動回数に影響が出ます。
 寄り道ができるのは全部で三箇所までです。

森崎の行動としてどれか一つを選択して下さい。
その際【その選択肢を選んだ理由】を【森崎の視点から】
必ず付記していただくようお願い致します。
期限は『6/6 21:00』です。


***

選択理由にも徐々にロールプレイ要素を加えつつ、といったところで
本日の更新はこれまでとさせていただきます。
夜遅くまでのお付き合い、ありがとうございました。
それではまた、次回更新にて。

216 :Q513 ◆RZdXGG2sGw :2012/06/06(水) 07:39:13 ID:???

まずは近所を知っておくことからでしょ

217 :さら ◆KYCgbi9lqI :2012/06/06(水) 10:14:26 ID:???
B ガッツが少ない様に感じるので歓楽街よりも別の所で買い物した方が良いんじゃないかな。

218 :さら ◆KYCgbi9lqI :2012/06/06(水) 11:00:22 ID:???
B 選択理由はガッツが少ない様に感じるので歓楽街よりも別の所で買い物した方が良いんじゃないかな。
森崎視点からはピコの言う通り寄り道も面白いかもなと思うのではないでしょうか。
に訂正します。

219 :◆9OlIjdgJmY :2012/06/06(水) 19:32:38 ID:???

ピコの意向に従って他地区も廻るのなら、下着はそっちで買った方が時間短縮になると考えて。
近所で買ったパンツ持ったまま遠出するのも珍妙だし。

220 :◆W1prVEUMOs :2012/06/06(水) 19:42:17 ID:???

ガラが悪い歓楽街の人間より一般人とお近付きになりたいから
森崎視点からは長く留まるのでピコの言うとおり飯屋以外の店も一通り知っておくのがいいと思ったから

221 :雑魚モブ ◆.xniaLTHMk :2012/06/06(水) 19:58:43 ID:???

どうせその内チェックしなきゃならないなら予定のない今のうちに済ませておきたいから
森崎視点の理由は疲れてる今バーストン兄弟に鉢合わせたくないから

222 :ノータ ◆JvXQ17QPfo :2012/06/06(水) 20:20:35 ID:???
「B」
理由:地元の地理が飯屋と兵舎、訓練所ぐらいしか知らない今の森崎が
   下着を買いに行くのであれば地元でぐるぐる回るより
   商店街のある地区で確実に買える方を選ぶはず。

223 :テトラ ◆yfCGLLZSBA :2012/06/06(水) 20:33:22 ID:???
B
買い物が目的だし歓楽街に行くには時間が早いので

224 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/07(木) 00:54:26 ID:???
皆様、ご回答ありがとうございます。
それでは早速、>>215の選択については……

>>222 ノータ ◆JvXQ17QPfo様の回答を採用させていただきます!
まったくもってその通り、と頷かざるを得ない、簡潔にして合理的な回答でした。
CP3を進呈いたします。


>>216
そうですね。
もし寄り道をしていたらこの街に特有の知己や称号を得られていたことでしょう。
勿論、他の寄り道にも同様のイベントはあるわけですが。

>>218
ガッツが減るような歓楽街の使い方……は、ずばり選択と引き次第で可能でした。
相変わらずの鋭い読みに感服いたします。

>>219
妙な絵面ですよね……まあ、さすがにナマでぶら下げていくわけではないでしょうけどもw

>>220
清濁併せ呑むのが理想……とはいうものの、善人と交わっていればそうなりやすいですし、
悪党との関わりが深ければ自然とそちらに近づいていきますね。

>>221
バーストン兄弟との鉢合わせ……なるほど、もしAの回答が採用されていたら
そのアイデアを頂いてCP進呈、というところでした。

>>223
確かにこの街の本番は夜ですね。
街を巡る順番が逆だったなら、或いは……?

225 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/07(木) 00:55:34 ID:???
ご回答いただいた方全員にEP1を進呈いたします。

***

B 他を当たる


「……ま、フツーに考えて商店街に出た方がいいよな、買い物するなら」
『そだね』
「正直、あっち側にも興味はあるんだけどな」

言って森崎が覗き込んだ路地の向こうには、桃色やら紫色やらで彩られた独特の店が並んでいる。
曲がりくねった金文字で飾られた看板には『夜の殿堂・黒ネコ亭』『艶笑楼』『通人喫茶・はいたまま』等々、
いかにも、といった風情の屋号が刻まれていた。
独特の空気感を持つそれらの店をちらりと見やったピコが、わざわざ森崎の顔の前へと降りてきては
路地の奥と森崎の目とを見比べて、小さな肩をすくめてみせる。

『……ふーん』
「な、何だよその目は! その街を知るには、その街の女を知るのが一番手っ取り早いんだよ!」
『何さ、知った風なこと言っちゃって』
「痛ぇっ!」

ふわりと飛んだピコが、森崎の耳を引っ張ったものである。

『さ、フツーに考えて次行くんでしょ、次』
「イテテ、だから離せって、おい!」

こうして森崎は小さな相棒に耳たぶを掴まれたまま引きずられていくのであった。


***

226 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/07(木) 00:56:35 ID:???


「お城は今日も異常なし、っと」
『ま、尖塔の先っぽしか見えないけどね』

城塞都市ドルファンの中央に壮麗な姿で聳え立つのがドルファン王城である。
周囲を城壁と濠とに囲まれた、その旧トルキア様式を受け継ぐ建築美術の粋が衆目に晒されるのは
年に一度、クリスマスの夜だけだった。

「で、この城の周りが城央、ドルファン地区ってわけだな」
『このキャラウェイ通りも、すっかり見慣れたねえ』

キャラウェイ通りは王城の南東に位置する、この城塞都市一の目抜き通りだった。
両手いっぱいに買い物を抱えて家路につく主婦、緊張の面持ちで商談に向かう商人、
人の多さに目を白黒させる異国の男、お使いに走る小僧、連れの男に服をねだる少女、
巡回する地区警備隊の歩哨から、それを警戒しながらカモを見定めようとする悪党まで、
広い通りはあらゆる種類の人間で溢れている。

『毎日毎日、すごい人の数だよね』
「ま、このドルファンは南欧じゃ一番景気のいい国の一つだからな。人は金に寄ってくるもんだ」
『キミもその一人ってわけだね』

マルタギニア海貿易の中継拠点として栄えるドルファン港の富を象徴するような、それは一大商業地である。
シーエアー地区と隣接する南側には比較的安価な品物を扱う雑貨商や食料品を扱う市場があり、
北側、即ち王城に近づくほど高級な店構えが増えてくる。

「実は俺、この先に何があるのかはよく知らねえんだよ」
『そうなの?』
「普段メシ食いに出てくるのはこの辺までだからな」

227 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/07(木) 00:57:39 ID:???
と、森崎が立ち止まったのはキャラウェイ通りの中心よりも南側、庶民的な店や露店が立ち並ぶ一角である。
傭兵用の兵舎には、飲み水を溜めた瓶はあっても三食を提供するサービスなどは存在しない。
必然、外食となる森崎たちの腹を満たすのがこの界隈であった。

「言ってたら腹減ってきたぜ。とりあえず何か食ってこう」
『さんせーい!』

迷いのない足取りで森崎が向かったのは一軒の食堂である。
華美ではないが落ち着いた装飾の看板には『波間のかもめ亭』と流麗な筆記体で刻まれている。
森崎、行きつけの店だった。
扉をくぐると、野太くも威勢のいい声が森崎を出迎える。

「へいらっしゃい! ……お、モリサキじゃねえか。珍しいなこんな時間に」
「今日は休みでね。街をぶらついてるってわけよ」

既に半分以上が埋まった店内を見渡しながら店主と挨拶を交わすと、勝手知ったるといった様子で
空いた席に腰掛ける森崎。

「何にする? って聞くまでもねえか」
「ああ、いつもので頼む」

禿げ上がった頭をつるりと撫でると、恰幅のいい店主は片手を上げて店の奥へと消えて行く。
そのやり取りで通じるほどに、森崎はこの食堂に通っていた。

228 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/07(木) 00:58:40 ID:5V+ljkxY
*ドロー

! と food の間のスペースを消して、「いつもの」メニューを決めて下さい。

「いつもの」って何だっけ? → ! food

※まともな食事であればガッツが回復します。
和食であればより大きく回復します。
ゲテモノの場合はガッツは回復しませんが、称号とスキルが手に入ります。

229 :森崎名無しさん:2012/06/07(木) 01:01:30 ID:???
「いつもの」って何だっけ? →  トリュフ

230 :さら ◆KYCgbi9lqI :2012/06/07(木) 01:03:40 ID:???
「いつもの」って何だっけ? →  京風懐石

231 :森崎名無しさん:2012/06/07(木) 01:15:49 ID:???
特に何も書かれていない判定でもコテ必要だから
230の料理が選ばれるんだよな?
かなり良いのが出たなあ

232 :森崎名無しさん:2012/06/07(木) 01:17:37 ID:???
庶民的な店が出す料理じゃないな。

233 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/07(木) 01:20:39 ID:???
>>230
お見事です。
通常のEPに加え、CP1を進呈いたします。

***


「へいお待ち!」

しばらくの後、店主が大きな盆に幾つもの小皿を乗せて運んでくる。
ことりと静かな音を立てて木製のテーブルに置かれたのは、
ドルファン近辺ではまず見かけない朱塗りの漆器である。
小さな皿の一つ一つには、一口大の野菜や魚が色鮮やかに盛りつけられていた。

「うひょー、これこれ! こいつを食わなきゃ始まらねえ!」

森崎が嬉々として言う。
それもそのはず、森崎の目の前に並んでいたのは他でもない、
彼の遠い故郷の料理だったのである。
手にしている食器もフォークやナイフではない、一膳の塗り箸であった。

「まさか海の向こうで、これほど繊細な都の味わいに会えるとは夢にも思わなかったぜ。
 これを食えただけでも、この国に来た甲斐があったってもんだ。
 給料全部はたいたって惜しくねえ味だぜ、こりゃあ」
「嬉しいことを言ってくれるねえ。ゆっくりしてってくんな」
「いっただっきまーす!」
『……ねえ、キミ』

早速先附の蒸し海老にかぶりつこうとした森崎の鼻先に、
ピコがふわりと舞い降りる。

234 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/07(木) 01:22:53 ID:???
「んあ? 何だよ」
『買い物のこと、このおじさんに聞いてみたら?』
「あ、ああ……そうだったな」
『キミ、自分が何しに出てきたか完全に忘れてたでしょ』
「んなことねえよ……なあ、オヤジ」

いかにも残念そうに口に運びかけた箸を置くと、森崎が
既に踵を返していた店主を呼び止める。

「ん? どうした、モリサキ。本場の車海老と違うのは勘弁してくれよ」
「いや、そうじゃなくてよ。あんた、この店は長いんだよな」
「おう、ヤマシロでの修行から戻って、もう十年近くになるぜ」

胸を張って答える店主。

「そいつぁ頼もしい。俺ぁこの街、慣れてねえからさ。ちっと買い出しのことで聞きてえんだが」
「へへっ、この界隈のことなら酒屋のジャンの不倫相手だって知ってるぜ」
「……いやそれはいいけどよ、この辺で安くて質のいい下着と、……」

と、森崎が言いかけた、瞬間である。
店主の顔色が、変わった。
いかにも人のいい、豪快な笑顔は何かの間違いであったかのように掻き消えていた。
代わりにそこに浮かんでいたのは、憤怒と侮蔑に満ちた形相である。
それは嫌悪よりも妥協なく、憎悪よりも湿度の高い、どろりと濁り異臭を放つ感情を、形にしたものであった。

「……!?」

一瞬ぎょっとした森崎だったが、すぐにその視線が自分に向けられたものではないことに気づく。
その黒く粘つく表情が向けられているのは、その後ろ。店の入口である。
そこに一つの、小さな影があった。

235 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/07(木) 01:24:16 ID:???
「テメェ……!! 二度と近寄んなって身体に教えてやっただろうが! まだ足りねえか!?」

つい今しがたまで愛想のいい言葉を紡いでいた口から吐き出されるのは、怒号である。
店中の客が何事かと店主の方に目をやり、それからその怒号の行き先に目をやって、
納得したように視線を戻す。
中には店主と同じ種類の表情を浮かべて店の入口に立つ影を睨みつける者もいた。
そこに立っていたのは、子供である。
薄汚れた襤褸を纏う、物乞いのような姿。
物乞いと違うのは、片手に銅貨らしきものを掴んで差し出しているところであった。
何かを訴えかけようとするその子供の、襤褸の隙間から溢れるくすんだ赤髪と浅黒い肌を見て
森崎が小さく呟く。

「ジタン……か」
『ジタン、って……あの、決まったところに住まずに旅を続けるっていう?』
「……ま、そういう意味じゃ俺らと似たようなもんだがよ」

ぼそりと言った森崎の言葉は、幸いにして店内の誰にも届かない。
絶え間なく響く店主の怒号と罵声に掻き消されていた。
と、ジタンの子供が小銭を片手に店内へと一歩を踏み入れる。

「……ッ!!」
「おかね、あります……。たべもの、売っ……」

子供が、その願いを言い切ることはできなかった。
店主の躊躇ない蹴りが、その腹の辺りへとめり込んでいた。
小さな影が、ひとたまりもなく店外へと飛んだ。

236 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/07(木) 01:25:17 ID:???
「ふざけんな! 俺の店に病気でもばら撒く気か、この虫喰い野郎!」

怒鳴った店主が、手近なテーブルで片付けられないまま置き去りにされていた陶器のカップを掴み、投げる。
ごす、と。
店の中にいてもわかるほど、鈍い音がした。
何に当たったのかは、考えるまでもなかった。

「消えやがれ! 汚らしい垢まみれが!」

最後にそう言い捨てると、店主が乱暴に扉を閉める。
ふう、とため息をついて振り返った店主の顔には、既に怒りの色はない。
いつもの愛想のいい笑顔が戻っていた。

「……いやあ〜、お騒がせしてすみませんね皆さん。しっかり叩き出してやりましたんで、
 もうここには近寄らないでしょう。さ、安心して続きを召し上がって下さい」

そう言ってから、それぞれのテーブルの客に律儀に頭を下げて回っていた店主が
最後に森崎の方へと近づいてくる。

「ああ、モリサキにも済まんことしたな。話の途中だったのに」
「いや……いいけどよ」

複雑な表情で手を振る森崎。

「やっぱここでもジタンは嫌われてるんだな」
「当たり前だろ?」

怪訝そうな顔をする店主。
まるで太陽は東から登るのかと聞かれたような、何の疑問を差し挟む余地もない即答だった。

237 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/07(木) 01:27:00 ID:???
「スィーズランドだってどこだって、同じじゃねえのかい?」
「……ま、オヤジの言う通りだよ。少なくとも俺の行った国では全部似たようなもんだった」
「そうだろ」

頷いて腕を組む店主。

「まったく、いつ涌いたのかもわからねえ不吉な余所者だ。
 どっから潜り込んだのか知らんが、ああいうのはお上もしっかり潰してくれねえと困るぜ」

憤懣やるかたないといった様子で渋面を作る店主に、森崎がぼそりと言う。

「ところで、俺も余所者の外国人だぜ」
「なに言ってやがる、あんた、ヒノモトはナンカツの生まれだろうが!」

何かの冗談と思ったか、店主が相好を崩して、バン、と森崎の背中を叩いた。

「あっちの旦那はアラブ人で、あそこの若いのはハンガリア人だ。
 かく言う俺だって、爺さんの爺さんは北欧の出よ!」

他のテーブルの客を見やりながら快活に笑う店主。
その言葉や表情には、一片の邪気もない。

「で、モリサキ。俺に何か聞きたいことがあったんじゃなかったか?」
「ああ、いや……また今度にするよ、忙しそうだしな」
「そうかい? ……へいらっしゃい!」

軽く手を振って席を立つ森崎。
その様子に何かを言いかけた店主が、しかし扉の開く音に振り返って駆け寄っていく。
店主の背を見送った森崎は、しばし無言のまま箸を動かすのであった。


※ガッツが50回復しました。

238 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/07(木) 01:29:43 ID:5V+ljkxY
***

「……ごっそさん。お代はここに置いとくぜ」
「お、すまねえなモリサキ。今後ともよろしく、またどうぞ!」

店主の威勢のいい挨拶を背に店を出る森崎の眼前を、ふわふわとピコが飛ぶ。

『この辺のお店のこと、聞きそびれちゃったね』
「ま、そんな空気でもなくなったしな。……さて、気を取り直して、どうすっかな」


*選択

A せっかくなので高級商店街へ足を伸ばしてみる。

B とりあえず他の地区へ行ってみようか。

※選択によりイベントが発生します。
 またこの後の行動回数に影響が出ます。
 寄り道ができるのは全部で三箇所までです。

森崎の行動としてどれか一つを選択して下さい。
その際【その選択肢を選んだ理由】を【森崎の視点から】
必ず付記していただくようお願い致します。
期限は『6/7 21:00』です。

***

地球の裏側にも懐石本舗は存在した、といったところで
本日の更新はこれまでとさせていただきます。
夜遅くまでのお付き合い、ありがとうございました。
それではまた、次回更新にて。

239 :さら ◆KYCgbi9lqI :2012/06/07(木) 14:11:20 ID:???
B高級商店街の連中が流れの傭兵にまともな対応をするとは思えない。他の場所で買い物はした方が良いと森崎なら考えると思う。

240 :◆XgzPoOaLlE :2012/06/07(木) 16:25:25 ID:???
B Aは金が勿体ない。だから他の地区で買い物する方が良い。店主に追い出された子供が近くにいるかどうか見てから移動する。

241 :とやま ◆bz6wYVJDKA :2012/06/07(木) 19:20:29 ID:???
選択:B
理由:下着の購入という目的を第一に行動するにおいて、
並べられているだろう品物の質から高級商店街はまず選択から外れてくる。
また少し不潔な今の格好でうろつき回りにくいかもしれない場所よりも、歩きやすい場所で買い物したいと考えそう。

242 :◆9OlIjdgJmY :2012/06/07(木) 19:20:43 ID:???

ナチュラルに存在する人種差別には森崎もある程度の違和感を感じているようなので
気を取り直すために、ちょっと歩きたい気分になるかなと。

243 :◆W1prVEUMOs :2012/06/07(木) 19:46:33 ID:???

・高級商店街と森崎のイメージが結びつかない

・貧しい人をゴミのように扱うのを見せられて高級商店街に行く気分じゃなくなった
(自分は人種差別というより貧富の差だと思った)

244 :Q513 ◆RZdXGG2sGw :2012/06/07(木) 20:57:47 ID:???
B
是とするわけではないが、止め(あるいは止められ)なかったのも事実。心の持っていき場がない。
少なくとも、ここは場所を変えてみたいところですかね

245 :雑魚モブ ◆.xniaLTHMk :2012/06/07(木) 20:59:57 ID:???

森崎は生まれながら持った才能を凄く妬むので(本編の話だが)同じように
生まれながらの差別などを嫌いそうなので不快感から離れたいと思うと思うから

246 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/08(金) 01:37:16 ID:???
皆様、ご回答ありがとうございます。
それでは早速ですが、>>238の選択については……

>>242 ◆9OlIjdgJmY様、>>244 Q513 ◆RZdXGG2sGw様、
お二方の回答を採用させていただきます!

満場一致でBが選ばれた中、微妙な心情をうまく拾っていただいたお二方には
CP3を進呈いたします。

またそれらの心情に近い回答をいただいた>>243 ◆W1prVEUMOs様、>>245雑魚モブ ◆.xniaLTHMk様にも
それぞれCP1を進呈いたします。


>>239
そうですね、もしAでこの街に向かうことになっていたら、かなり厳しい魅力判定となる予定でした。
勿論まだまだ序盤ですので、失敗してもそれなりのリターンは用意してはありましたが。

>>240
子供は……もう近くに留まってはいないでしょう。
溝が深まるのと同時に、彼らの危機管理意識も高まっていくのかもしれません。

>>241
高級商店街で一式揃えたら森崎の給料は軽く吹っ飛んでしまいそうですね。
出世してしまえばそれなりの格好が求められるので、こういう街にも用が出てきそうですが…。


ご回答いただいた皆様にはそれぞれEP1を進呈いたします。


***

247 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/08(金) 01:42:41 ID:???
「……」
『……』

店を出た森崎とピコには、しかし会話がない。
何度も見てきた現実ではあった。
あったが、しかし見慣れるものではない。
見慣れていいものでもないと、今の森崎は考えていた。
もう少し自分の中の何かが違えば、店主を止めることもできたのだろうか。
しかしそれは同時に、彼らの常識を真っ向から否定することでもある。
店主は決して悪人ではない。どころか、むしろ善人と呼んで差し支えない男だった。
愛想のいい笑顔と繊細な料理の味を思い出す。
するとしかし、悪鬼のような形相と皿の割れる音がその記憶に重なって融け合い、
何とも言えぬ苦味だけを舌の上に残して消えていくのだった。

「……ミソがついちまったな。河岸を変えるか」
『そうだね。ちょっと歩いたら、もやもやも消えるよ。……さ、レッツ・ゴー!』

しばらくして、ぼそりと呟いた森崎の言葉にピコも同意する。
肩に降りてちょこんと腰掛けた小さな相棒の重みが、この時ばかりは有難かった。


***

248 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/08(金) 01:43:42 ID:???


『で、歩いてきたはいいけど……ズイブン場違いな感じがするね、この辺も』

きょろきょろと周りを見渡しながらピコが森崎に訊ねるのは、周囲に閑静な、というよりも
ひどく上品かつ繊細な空気に包まれた佇まいが増えつつあったからである。
とある灰白色の高い塀の上には先端の鋭く尖った鉄の柵が備え付けられ、あるいは端正に
手入れをされていると思しき生垣の向こうには豪奢な邸宅が文字通り垣間見える。

「城東区、マリーゴールド地区だ。貴族の別宅や富豪の屋敷が並ぶ……いわゆる高級住宅街ってやつらしい。
 確かに俺たちにゃ場違いな雰囲気だぜ」
『キミなんか、うろついてるだけで不審者として捕まりそうだよね』
「けっ、言ってろ。……否定はできねえけどな」

付近の奇妙な静けさはひと気のなさを示すものではなく、優雅なスペースの使い方と、そして何より
粗雑な音を立てる存在が近辺からしっかりと排除されていることを表していた。
専属の馬車が多く通るのであろう、シーエアー地区とはまるできめ細やかさの違う石畳で舗装された
平らで真っ直ぐな道を足早に通り抜けようとする森崎。

『そもそもお店がないよね、どう見ても』
「まァ……何となく足が向いただけだからな。とっとと通り過ぎちまおう」
『……あ、ねえ、あれ何だろ、向こうの広いとこ』
「ん?」

ふとピコが指さしたのは、豪華な敷地の切れ間から見える、広大な空間である。
背の低い木で仕切られた、風通しの良さそうな大通りがどこまでも続いている。

249 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/08(金) 01:44:43 ID:???
通りの左右には生垣で整然と区画整理された花壇や庭園が広がり、その向こうには
四阿と思しき屋根も見えた。
果てなく続くようにさえ思えるその濃厚な緑と花々の彩りは幾重にも連なり、
繋がり合って見る者の瞳を捉えて放さない。

「あれは……国立公園だな」
『コクリツコーエン?』

ピコの鸚鵡返しに頷いた森崎が、手元の地図を見やって答える。

「昔は王族専用の屋敷だか馬場だかがあったのを、下賜して誰でも入れるようにしたんだとよ。
 何でもひたすらどデカくて、全部合わせると訓練所の野っ原よりも広いらしいって話だ」
『へえ、太っ腹だねえ。……ね、行ってみようよ!』

目を輝かせて指をさすピコに、森崎が肩をすくめて答える。

「やめとけやめとけ、色々な名所もあるみたいだが、いわゆるデートスポットだ。
 男一人で行ってもつまらんぜ」
『失礼しちゃう! ここに可愛い女の子がいるじゃない!』
「う〜ん……」

しばし悩んだ森崎だったが、やがて仕方ないとばかりに頷く。

「まあ、まだ時間はたっぷりあるしな」
『やった〜!』

嬉しそうに笑ったピコが、ひょいと舞い降りて森崎の腕を掴むや、ぱたぱたと翅を羽ばたかせる。

「おいおい、そう焦んなよ」
『命短し、ってね! 楽しい時間は目一杯遊ばなきゃ!』

250 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/08(金) 01:46:01 ID:???
***


聞きしに勝る国立公園。
陽を透かしてはためく翅に引きずられるようにして緑の海に足を踏み入れた森崎が
最初に思い浮かべたのは、そんな感想である。
どこまでも続いているように見えた大通りは、本当にどこまでも続いていた。
果てが、見えない。
等間隔に並ぶ街路樹はマロニエ、栃の木であろうか。
整然と並ぶ木を歩きながら数えていた森崎であったが、百を超えたところで諦めた。
狐狸の類に化かされて同じ所を延々と回っているのではないかと思い始めた頃、
急に眼前へと広がったのが大広場であった。
地図によれば中央広場というらしい。

『噴水だ〜! 広場だ〜! 彫像だ〜! すごーい! ひろーい!』
「おい、待てって!」

籠から解き放たれた蝶のようにふわふわと舞い上がっては降り、降りては舞い上がって
あちこちを指さしながらはしゃぎ回るピコ。
森崎はそんなピコを追いかけるのに精一杯である。

『ねえねえ、キミ! ここ、何があるんだっけ?』
「さっき言っただろ!」
『もう一回!』

言いながらピコは紅葉の葉よりも小さな手を一杯に広げると、くるくると回ってみせる。
手に負えないとため息をついた森崎が、眉根を寄せながら口を開く。

251 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/08(金) 01:47:30 ID:???
「いいか? まず名物はなんといっても『審判の口』と『トレンツの泉』。
 審判の口ってのは、嘘をついた人間が手を入れると食い千切られちまうって伝説を持つ彫刻だ」
『トレンツの泉は?』
「神話を基にした人魚の像が飾られた泉だ。コインを投げ入れると願いが叶うと言われてる。
 まあ、どっちも有名な観光スポットだな。俺でさえ知ってる。……ここにあるとは知らなかったけどな」
『で、他にもあるんだよね!』

付け加えるような森崎の言い訳など、興奮したピコの耳には入っていないようだった。

「ここが王族の邸宅だった頃の名残で、『フラワーガーデン』ってのがあるらしい。
 その名の通り、季節の花だけをひたすら集めた庭園なんだとさ。
 春と秋にしか開放されないらしいが、ちょうど今がその時期だな」
『すご〜い! 見てみたーい!』
「え〜と、ここからだと……右が審判の口。真っ直ぐ行くとトレンツの泉。
 左に曲がっていけばフラワーガーデンがある、らしいぞ」
『で、どれから回ろうか?』

何気なく言ったピコの言葉尻を、森崎の方は聞き逃さない。

「どれから……って、全部は無理だぞ! どれか一つだけ!」
『え〜!』
「えー、じゃない!」

断固として言う森崎。
ピコに負けじと、大きく両手を広げて周りを指し示す。

252 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/08(金) 01:48:34 ID:???
「つーかこの広さ、見りゃわかるだろ! 下手すりゃ一里四方じゃきかねえぞ?
 目的地に向かって歩いてくだけで一苦労だっての!」

つかの間、二人の視線が真っ向からぶつかり合う。
先に折れたのは、意外なことにピコの方であった。
目を逸らすと、頬を膨らませながら森崎の顔の周りを飛び回る。

『ぶ〜……じゃ、どれに行くかはキミが決めてよ』
「なんで俺が?」
『もう! デートコースは男の子が決めるものだよ!』
「くあ……」

思わず天を仰いだ森崎が、僅かな逡巡の後に決めた答えは―――



253 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/08(金) 01:49:51 ID:NdY1JNlo
*選択

A 「審判の口だな」 新聞記者とお姫様ごっこである。

B 「トレンツの泉だろ」 幸せが落ちているという噂である。

C 「フラワーガーデンかな」 期間限定である。


森崎の行動としてどれか一つを選択して下さい。
その際【選択理由】を必ず付記していただくようお願いいたします。
期限は『6/8 21:00』です。


******


恐るべきは森崎のエア充っぷり……! といったところで
本日の更新はこれまでとさせていただきます。
夜遅くまでのお付き合い、ありがとうございました。
それではまた、次回更新にて。

254 :雑魚モブ ◆.xniaLTHMk :2012/06/08(金) 06:04:02 ID:???
B
幸せになれるという噂が事実という証拠は無いが自分の近くに非科学的存在(ピコ)がいるので
信憑性が無い噂も信じてみる価値はあると考えると思うから

255 :さら ◆KYCgbi9lqI :2012/06/08(金) 10:40:50 ID:???
C 期間限定だし、ピコの反応が一番良さそうだったから。

256 :◆W1prVEUMOs :2012/06/08(金) 18:18:12 ID:???

ピコが彼女もありなんじゃね?と思ってたので
ピコに喜んでほしい

257 :とやま ◆bz6wYVJDKA :2012/06/08(金) 20:04:55 ID:???
選択:A
理由:なんとなくピコの行きたそうなところはCですが、せっかく選択権が森崎に委ねられているので。
   森崎のリードとして、男女のデート場所といえばここかなと。
   プラスやるイベントが明確、という点もあったりw

258 :Q513 ◆RZdXGG2sGw :2012/06/08(金) 20:55:38 ID:???

色々な植物を見続けていれば手持ち無沙汰になることはなさそう
幸いピコは興味あるみたいだし

259 :テトラ ◆yfCGLLZSBA :2012/06/08(金) 20:59:20 ID:???
B
傭兵なんで縁起の良さそう所に

260 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/08(金) 23:23:34 ID:???

皆様、ご回答ありがとうございます。
それでは早速、>>253の選択については……

>>256 ◆W1prVEUMOs様の回答を採用させていただきます!

恥ずかしい話、ピコに喜んでほしい……という視点は書いていてまったく想定していませんでした。
正に目から鱗、といった状態で森崎の人物像に新たな一面が加わりそうです。
CP3を進呈いたします。

同様の視点を提示いただいた>>255 さら ◆KYCgbi9lqI様、>>258 Q513 ◆RZdXGG2sGw様にも
それぞれCP1を進呈いたします。


>>254
この世界に魔法はありませんが、信じていれば奇跡くらいはどこかにあるかも知れませんね。
ちなみにこの世界のサイエンスは、実際の歴史よりかなり極端にケミカルに傾斜していたりします。

>>257
あの場所でやることは、まあお約束ですよねw
国立公園デートはこの後にも(選択や展開によっては複数回)チャンスがありますので、
試してみる機会はありそうですね。

>>259
確かに傭兵や船乗りといった命懸けの仕事を生業にしている人間は強く験を担ぎますね。
シビアな現実主義の部分と、それだけでは乗り越えられない理不尽に対する防衛心理の
複雑なせめぎ合いは興味深いところです。


261 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/08(金) 23:24:35 ID:???
***


「……じゃ、フラワーガーデンに行くぞ」
『わ〜い! でも、何で?』
「ぐっ……そ、それは、その……」

無邪気に問い返すピコに見つめられた森崎が、言葉に詰まって目を逸らす。
お前が喜びそうだから、とは気恥ずかしくてとても口にはできなかった。
代わりに出てきたのは、照れ隠しの悪態である。

「い、今しか見られないってのに弱いんだよ! 他に理由なんかねえぞ!」
『ふうん、そう? まあいいや、それじゃフラワーガーデンにレッツ・ゴー!』

言うべき言葉は、これで良かっただろうか。
いつも通りに聞こえただろうか。
僅かに熱を帯びた頬には、気づかれなかっただろうか。
くるりくるりと歓喜を表すように舞う小さな相棒を追いながら、森崎はそんなことを考えていた。



262 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/08(金) 23:25:58 ID:???
***


『うわぁ……』

そこにあるのは、色彩の海である。
春を告げるミモザの淡黄から菜の花の目の覚めるようなレモンイエローへと渡されたバトンは
橙色を帯びたレンギョウの房へと繋がり、マーガレットの蛍白色と水仙の透き通るような白が受け止める。
その向こうに広がっているのは一面のチューリップだった。
天を仰いで咲き誇る花の群れは五色の衣を纏うようにあらゆる彩りをその身に宿している。
パールゴールドから象牙色に近いカーキ、黄金色を経て橙、朱、緋、赤、紅、薔薇の如きクリムゾン、
マゼンタ、カーマインの先には躑躅色から珊瑚色、石竹色が広がり、桃色から淡い桜色。
唐突に目を刺すディープピンクをすぐ脇のバイオレットが中和し、インディゴから藤色、深紫と
円を成し、壮大な色彩環を形成している。
左右に目をやれば、群青と水色、淡紫と蒼と青とが交じり合っている一角はヒヤシンスとライラック、
ムスカリにクロッカスだろうか。
八重九重に花びらを散りばめて咲くラナンキュラスの絨毯も風に揺れて美しい。

「こりゃ、すげえな……」

森崎も、それきり声を失う。
圧倒的であった。
それは一輪二輪の花という単位ではなく、空間を埋め尽くして咲き誇る群体のようでもあった。
事実、花蜜の甘い匂いは大気に溶けて混じり合い、既にどの花の香りであったかは意味を成さない。
濃密な彩りの波濤は網膜を侵し、花の香は鼻腔の奥で弾けて揺れて、知らず森崎の膝がぐらりと崩れる。

263 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/08(金) 23:26:59 ID:???
「っ、と……」

慌てて姿勢を立て直す森崎。
その眼前には、花々の海を舞う小さな影がある。
透き通った翅は陽光を反射して時折きらりと煌めき、或いは咲く花の黄や紅や紫を映して
水面のようにゆらゆらと輝いている。
それは誇張なく神話の一幕、夢物語の中を舞う幻想に他ならなかった。
手を伸ばせば崩れて消えてしまいそうな儚さに、森崎は声をかけることもなく小さな相棒の姿を
その視線だけで追っていた。

「―――」

やがて、花々の間を遊ぶ小さな影が次第にこちらへと近づいてきて、
幻想の時間の終わりを告げる。

「もう……いいのか?」
『うん。充分だよ』

訊いた森崎の方が、その終幕を惜しむような顔をしている。
言ったピコは、目を閉じていた。
小さな手は胸の前で組まれ、空の一点に留まっている。
いま見た景色を、抱きしめるように。
刻むように。

『すごく……すごく、楽しかった。……ありがとね』

そっと呟いた顔は、いままでに見たどんな表情とも違っているように、森崎には思えた。
目を開けば、ひとたび翅が羽ばたけば、そこにいるのはきっと、いつもの相棒だろう。
しかし、いまこの時だけは、それはひどく異質で、特別で、そして何より貴いものであるように、思えた。


***

264 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/08(金) 23:28:01 ID:???

少し歩いて帰ろうかと、どちらからともなく言い出してからしばらくの後。
新緑の中、花の香りの余韻を楽しんでいた森崎の裾を、ピコがつい、と引っ張る。

『……ね、あの人、どうしたんだろ……?』

言われ、その小さな指が示す先を見る森崎。
さわさわと梢が揺れ、木漏れ日が複雑な文様を作り出している、その下に何かがあった。
芝生にうつ伏せのまま動かない影は男、それも肌や髪からは老爺のようである。

「あー……何やら、爺さんが蹲ってる……つーか、倒れてるな」
『の、呑気なこと言ってる場合じゃないよ! どうするの!?』
「まあ……」

ぐいぐいと引かれる裾を直しながら、森崎が選んだ道は―――


*選択

A 「どうした、爺さん」 介抱してやる。
(モラルが上がります。人物称号が変わります)

B 「放っとけ、きっと酔っ払って寝てんだよ」 関わらない。
(モラルが大きく下がります。人物称号が変わります)


森崎の行動としてどれか一つを選択して下さい。
その際【選択理由】を必ず付記していただくようお願いいたします。
期限は『6/9 21:00』です。


265 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/08(金) 23:29:01 ID:NdY1JNlo
******

いい感じ。でも他のお客さんがいたら、一体どう見えてたんでしょう…?
といったところで、本日の更新はこれまでとさせていただきます。
夜分のお付き合い、ありがとうございました。
それではまた、次回更新にて。

266 :◆W1prVEUMOs :2012/06/09(土) 08:24:05 ID:???

倒れてる老人を見捨てるようじゃ、ジタンの子供に店主がしたことと変わらないのではないか

267 :Q513 ◆RZdXGG2sGw :2012/06/09(土) 09:10:34 ID:???

情けは他人のためならず

268 :見てる人 ◆S/MUyCtQBg :2012/06/09(土) 10:18:07 ID:???
A 逆に考えるんだ。酔っ払って寝てるとしても、介抱したら吉良監督でキラノートとかもらえるかもしれない。

269 :◆9OlIjdgJmY :2012/06/09(土) 11:21:56 ID:???

自らを犠牲にして人助けするような聖人君子ではないが
たいして手間もかからない人助けくらいはする人物だと思うので。
ここは戦場ってわけでもないし。

270 :傍観者  ◆YtAW.M29KM :2012/06/09(土) 11:29:43 ID:???
A
「でも他のお客さんがいたら、一体どう見えてたんでしょう…?」が気になるんですな。
実はこの爺さんが起きてて見物してて変な噂を流された、は嫌w
あとまあ、ピコとの会話関係はもうちょっと気をつけたほうがいいかも。
魔法のない世界だし、精神病院送りはやっぱり嫌w

271 :さら ◆KYCgbi9lqI :2012/06/09(土) 11:37:17 ID:???
A平穏な時ぐらい人に親切にしておいても損はないと思います。

272 :とやま ◆bz6wYVJDKA :2012/06/09(土) 20:13:00 ID:???
選択:A
理由:見知らぬ少女を助ける、ピコを気遣える。
   そういった今の森崎の人間像ならば、こちらの選択が自然であろうから。

273 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/10(日) 02:48:47 ID:???
皆様、ご回答ありがとうございます。
それでは早速、>>264の選択については……

>>272 とやま ◆bz6wYVJDKA様の回答を採用させていただきます!
この選択では満場一致でAが選ばれていますが、これによって人物称号が変わりますので
今回のBのように、大きくモラルを下げるような選択肢は出現しなくなります。
簡単に言えば「すごくいい人っぽい選択肢」〜「普通の人っぽい選択肢」が出てくるようになりますね。
CP3を進呈いたします。

>>266 ◆W1prVEUMOs様の回答についても、差別意識と道徳観とはまた別の問題ではあろうかとは
個人的には愚考するものの、今回の展開にも少し絡めさせていただきます。
CP1を進呈いたします。

また>>268 見てる人 ◆S/MUyCtQBg様の回答ですが、そう来たか! というネタ、ありがとうございます。
この後のカードドローに加えさせていただきますので、CP1を進呈いたします。
また、そのドローで見事にヒットした場合は追加でCP3を進呈いたします。


274 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/10(日) 02:55:39 ID:???
>>267
そうですね。
見ている人は見ている(こともある)、ということを忘れてはいけません。
厄介事を呼び込む場合も、中にはありますが……。

>>269
はい、前述の通り、今回の人物称号変化でその傾向は強くなるでしょう。
礼法値次第でまた変わってくる部分でもありますが。

>>270
原則として……というより、例外なく「見えていない」ですからねw
とはいえまあ、傭兵として生きる限りはそう心配はないでしょう。
殺伐とした生活に心が病んでいる人の多い職種なので……。

>>271
そうですね。
ただ、モラルが上がりすぎると平時でなくても利他的な行動を取る場合がありますし、
方便のための嘘や、大のために小を切るような選択ができなくなりますので、
その点には覚悟か注意が必要になってくるかも知れません。
とはいえ、礼法・モラル共に中央値から離れるほど上がり/下がりづらくなりますので
あまり普段から過敏になることもありませんが。

275 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/10(日) 02:57:04 ID:???
A 「どうした、爺さん」 介抱してやる。


声をかけたのは、果たして純粋な義侠心や親切心からだったのか、
森崎自身にもそれはわからない。
先ほどの幻想の余韻が、訓練漬けの殺伐とした心を和らげていたのかもしれない。
或いはあの食堂で見た光景やその後の砂のような食事の味や、そういう森崎の中に燻っていたものたちが
今になって背中を押したのかもしれなかった。

(―――この国は、俺の調子を狂わせる)

蹲る人影に向けて踏み出しながら、そんなことを考える。
二歩目、そんな自分も悪くないと思えて、苦笑し、小さく首を振る。
悪いも悪くないも、ない。
いつであれ、どこであれ、見る景色、聞く言葉、それによって紡がれる感情や衝動や、
湧き上がる気持ちや発する声や、そういうものが自分だ。
そういう小さなもの、見えないもの、或いは大きなものや目を逸らせないものの集合が
森崎有三という男なのだと、森崎は考えている。
そうして三歩目を踏み出す前には、そんな風に考えていたことも、綺麗に忘れてしまっていた。

「おい、具合でも悪いのか?」

駆け寄った森崎が声をかけると、老爺は微かに顔を上げた。
白髪に長い白鬚を蓄えた老爺は、見れば身なりも整っている。
シャツの仕立てを間近で見れば、浮浪者や酔漢の類ではないことはすぐに分かった。

276 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/10(日) 02:58:07 ID:???
「……、……っ、……!」

荒い呼吸に血の気の引いた顔色。
蒼白に近い額にはじっとりとした汗が珠になっている。
震える手が、胸の辺りの生地を破り裂かんばかりに握り締めていた。

(と、すると……癪か、心の臓か)

一目、そう判断を下す森崎。
とはいうものの、医術の心得などあるはずもない。
胸を押さえる病人はそのどちらかであろうと見当をつけただけである。
そんな森崎をほとんど視線だけで見上げた老爺が、不安定な呼吸の中、もごもごと口髭を震わせた。

「……す、り、……」
「え? 何だって、爺さん」

老爺を抱きかかえるようにして耳を寄せた森崎が、その身体の軽さに驚きながら聞き返す。
薄い絹の生地越しに、べったりとした老爺の汗が掌に貼りついていた。

「く、くす、り……を、」
「薬!? 薬持ってんのか、爺さん! どこだ!」

耳元で怒鳴るような森崎の声に、老爺が震える手で指さしたのは胸元に下げられた小さなロケットである。
桃の種ほどの銀細工は、どうやら中が空洞になっている。
脇の留め金を開けると、中からは茶色い丸薬が一粒、転がり出てきた。

「っと……! こいつだな、水はなくても大丈夫か!?」

277 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/10(日) 02:59:31 ID:???
指先で摘めるほどの丸薬を落とさないように慎重に受け止めた森崎の問いに、
老爺が荒い息をつきながら首肯する。
痙攣と見紛わんばかりであったが、ともあれ森崎は丸薬を老爺の口元へと運ぶと、
薄く開いた唇の隙間へと指先で詰めるように押し込んだ。
呼吸、一つ。

「……、……っ……、……」

二つ、三つ、四つ。
十を超える頃、目に見えて老爺の息が整っていくのがわかった。
青ざめていた頬にも僅かに赤みが差し始める。

『ど、どう……?』
「ああ……とりあえずは、良さそうだ」

いつの間にか舞い降りて、髪を掴んでいたピコに向けて声をかける森崎。
と、その声をどう取ったのか、老爺が薄く目を開ける。

「ぉ、おお……。どこの……どなたかは、知らんが……、済まんかったの……」
「おい爺さん、無理すんな。しばらく寝てろよ」

止めようとする森崎を手で制して、眉間に皺を寄せた老爺が再び目を閉じるときっかり三つ、深呼吸する。
ゆっくりと上体を起こすと、もう一度大きく息をついた。

「いや……もう、大丈夫……。少し休めば、良くなる……」
「そうか? なら、いいけどよ……」

と、なおも心配げに老爺を見守る森崎の耳に、飛び込んでくる声があった。

278 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/10(日) 03:00:33 ID:???
「だ・ん・な・さ・ま〜!」

遠くの方で、誰かが大声で叫んでいる。

「おぉ〜い、旦那様ぁ〜! どちらにいらっしゃるんですかぁ〜!」

どうやら人を捜しているようだった。
その声を聞いた老爺が、真っ白な片眉を上げると口を開いた。

「おお、儂を捜しに来た者のようじゃ……」
「そうなのか?」
「散歩の途中で、はぐれてしまっての。済まんがお主、ちと呼んできてもらえぬか」
「そりゃ構わねえが……一人にして大丈夫か?」

気遣う森崎に、老爺が皺だらけの大きな手を振る。

「ああ、ようやく落ち着いてきたわい……もう、心配要らん。
 それにしてもお主、最近の若衆にしては珍しく、気のいい男じゃのう」
「気のいい、って……いや、それほどのことはしてねえよ」

言われた森崎は、照れたように鼻の頭を掻くばかりであった。


***

279 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/10(日) 03:02:05 ID:???


※モラルの上昇により、人物称号が『気のいい』に変わりました。
 全回答と判定に影響を及ぼします。

 現在の称号は『気のいい慎重派』です。


***

280 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/10(日) 03:03:13 ID:???


『……あの人、でいいんだよね……?』
「ああ、多分な……」

不安げに言うピコと目を見交わした森崎が視線を戻した先。
ぴょこぴょこと跳ねるように辺りを見回しているのは、一人の女性である。
春の陽気にも肌の露出を極力抑えるような黒の長袖にロングスカート。
ヒールの低い編み上げの革靴を履いた足は忙しげにあちらこちらへと歩を運んでいる。
布を巻いた頭の後ろからは一本にまとめた長い髪の束が覗いており、女性がその向きを
変えるたびに馬の尾のように揺れていた。

「旦那様ぁ〜! ……んもう、どーこ行っちゃったのかなー、あのおジイちゃんってば!
 ちょっと水を汲みに行ったらいなくなるんだもん。とうとうボケちゃったかな?」

主を呼ぶ声とほとんど変わらぬ大声で雑言を漏らしたその表情には、
遠目にも不安が浮かんでいるようには見えない。

「……本当にアレだよな?」
『あ、行っちゃうよ!』

声をかけそびれていると、女性は他の場所を探そうというのか、森崎の方から遠ざかっていこうとする。
慌てて呼びかける森崎。

「おい、あんた!」
「ひゃあ!? な、何!?」

それほど大きな声を出したつもりはない。
特に奇抜なことを口走ったわけでもない。
しかし突然背後から声をかけられた女性は大層驚いた様子で、文字通り飛び上がっていた。

281 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/10(日) 03:04:14 ID:???
「うお……」
『なんか、スゴい反応だったけど……』

女性は振り返って辺りを見回し、周囲には森崎しかいないと確認するや、血相を変えて猛然と駆けてくる。
思わず逃げ出しそうになる森崎だったが、何のために声をかけたのかを思い出し、
かろうじて自制した。

「ちょっと、そこのアンタ! もう! イタズラなら―――」
「ああ、驚かせちまったんならすまない。ひとつ確認したいんだが……」

眦を決して迫ってくる女性を手振りで制し、用件を伝えようとした森崎だったが、
女性の口から次に飛び出す一言に絶句することになる。

「―――イタズラなら、わたしも混ぜてよね!」
「え? ……混ぜ?」
「で! 次は何やるの!? 落とし穴? 看板の書き換え? トレンツの泉の小銭拾って
 塔みたいに積み上げて、ネコババしようとするヤツを脅かす遊びは先月もやったばっかりだから
 あんまりオススメできないけど、あ、でも逆に……」

女性の目に宿る意気込みは、本気だった。
本気で森崎が自分を驚かせたのだと思い、本気でそれが悪戯だと信じ、そしてまた、
本気で次の悪戯に自分も参加せんとする、それは瞳だった。

『やっぱり、人違いじゃないかな……。何だか、あんまり関わっちゃいけないニオイがするよ……』
「……。や、そうじゃなくてよ」

ピコの囁きに同意しかけた森崎が、一人迎えを待つ老爺の姿を思い出して小さく首を振る。
大きな瞳をキラキラと期待に輝かせる女性に向かって、意を決したように言った。

282 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/10(日) 03:05:39 ID:???
「なあ、あんたが捜してるのって、こんな髭生やした爺さんか?」
「え? なんで知ってるの? ……まさか! 誘拐犯!? 身代金目的!?」
「違ぇよ!」

放っておけば際限なく膨らみそうな妄想を一刀のもとに斬って捨てた森崎の言葉に
女性は一瞬だけきょとんとした表情を浮かべると、すぐに真剣な顔つきになり、
そしてすぐに照れたように笑って手を振る。

「じゃあ、まさか! ……新手のナンパ!? やだもう、それならそうと言ってよー!
 うーん……外国人かあ、どうしよっかなあ……ね、じゃあご飯、おごってくれる?
 わたし、キャラウェイ通りに言ってみたいお店があってさ、この間お姉ちゃんが
 友だちと行ってすっごい良かったとか言ってて、」
「爺さんの話はどこ行ったんだよ! ていうか人の話聞けよ!」

一言、二言で済む説明に要した時間は、ゆうに数分を超えたという。


***

283 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/10(日) 03:06:40 ID:???

「あ、いたいた! もう、えっらい捜したよ、旦那様〜!
 旦那様に何かあったら大奥様にも家令さんにも、大目玉じゃ済まないんですから〜!」

隙あらば無駄に喋り倒し、何かを見つけては駆け出して余計なことをしようとした挙句、
最後にはほとんど森崎に引きずられるようにしてきた女性が老爺を見つけるや言ったものである。

「おお、キャロル……面倒をかけたな」
「本当にもう、ダメですよ〜。子供じゃないんですから、あっちこっち出歩いちゃ」
「……」
『疲れてるね……』

もはや何を言う気力もない、といった体で首を振った森崎が、しかし女性の言葉に
ふと老爺を見やる。

「旦那様、大奥様に家令……って、そういや爺さん、あんた何者だ?
 やっぱこの近くに住んでる貴族か何かか?」
「おお、そうか。名乗りが遅れたの。儂は……」

老爺が告げた、己の正体とは―――



284 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/10(日) 03:08:18 ID:ioLiSuAo

*ドロー

越後のちりめん問屋? → ! card


※ ! と card の間のスペースを消してカードを引いて下さい。
結果によって展開が分岐します。

スペード・ハート→「しがない隠居の身よ。かつては白騎士などと呼ばれたこともあったがのう」
ダイヤ・クラブ→「……亡国の爺ぃじゃよ。革命の火は儂からすべてを奪っていった……」
JOKER→「この顔を忘れたか、森崎」「ま、まさか、あんた……明和の大虎、吉良耕三……か!?」


***


本当はこの時代にはまだ男性につくのは近侍であって、メイドさんではなかったと思います。
夢物語。といったところで、本日の更新はこれまでとさせていただきます。
夜遅くまでのお付き合い、ありがとうございました。
それではまた、次回更新にて。

285 :森崎名無しさん:2012/06/10(日) 03:10:37 ID:???
越後のちりめん問屋? →  ダイヤ8

286 :Q513 ◆RZdXGG2sGw :2012/06/10(日) 08:34:35 ID:???
越後のちりめん問屋? →  ダイヤ10

287 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/11(月) 01:25:41 ID:???
>>286
ドローありがとうございます。
EP1を進呈いたします。


***


越後のちりめん問屋? →  ダイヤ10


「……儂はアルメイト・オライリー。今となっては何者でもない、亡国の爺ぃじゃよ」

訥々と語る老人の言葉は、聞く者に沈黙を強いるだけの重さで満ちている。

「もう、十数年にもなるかのう……。革命の火は儂からすべてを奪っていった……愛する妻、
 息子たち、美しき我が所領と民……誇りある国の名すら」
「……」
『革命……っていうと……』

呟くピコの声も、独り言じみて低く響き、梢のざわめきに溶けていく。

288 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/11(月) 01:26:42 ID:???
「ボルキアの、亡命貴族……」
「……」

ピコの言葉を引き継ぐように漏らした森崎の言葉にも、老爺はただ目を閉じ、ゆっくりと首を振る。
それはおそらく、森崎の言葉を否定するものではなかった。
肯んじ得ぬ何か、たとえばそれは時であり、世の潮流であり、運命とさえ呼び習わされる
大きな何かへと向けられた、拒絶の意思であった。
再び、沈黙が降りる。
しかし強いられた沈黙など、意にも介さない者がいた。
勿論、老爺を捜していたメイドである。
けらけらと甲高い笑いで静寂の幕を切り払いながら、言う。

「なーに格好つけてるんですか旦那様。あ、この方、昔はベージャ侯爵っていって、
 ボルキアでは結構偉い貴族だったのよ。だからアンタも粗相しちゃダメだかんね!」
「……」
「……」

唖然とする森崎の腕をばんばんと叩いて笑うメイドの言葉に、脇に座る老爺が
脱力したように肩を落とす。
しかしそれは、呆れ果てたのでも弛緩したのでもなく、水槽に溜まった汚水を洗い流すような、
決して悪くない力の抜け方であるように、森崎には見えた。
このメイドの、ある種底抜けの精神は存外老爺にとっての救いであるのかもしれない。
そんなことを考える森崎に、メイドがその大きな目をくるくると回しながら口を開いた。

「あ、名乗ってなかったよね? アタシはキャロル・パレッキー。旦那様の身の回りのお世話してんだ。
 あ、下のお世話はするけどアッチの方はナシの契約だよ! っていっても、旦那様のは
 もう全ッ然、役に立たないけどね! キャハハ!」
「……むぅ……」

キャロルと名乗ったメイドの、あまりにもあけすけな言葉の羅列に、唸り声ともため息ともつかぬ音が
老爺の喉の奥から漏れた。
同情するように眉根を寄せた森崎が、小声で囁く。

289 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/11(月) 01:27:44 ID:???
「爺さん……あんたのとこ、人手が足りねえのか……?」
「これで仕事はよくできるんじゃよ、仕事はの……」
『……この人にできる仕事って、どんな仕事だろ?』

ピコの疑問は森崎にもまったく答えが出せないものであったが、しかし雇い主が言うのであれば
それなりに間違いのないことなのであろうと、肩をすくめる。

「ほら、帰りますよ、旦那様〜! じゃ、そこのアンタも、ありがとね!」

そんな森崎たちの内心など知る由もなく、キャロルは老爺の脇に立つと、肩を担ぐようにして
無理なく立ち上がらせる。
その手際だけをみれば、確かに慣れた仕事のようでもある。

「……おお、そうじゃ、お主。何か困ったことがあったら、儂の名を出してみるといい。
 ただの爺ぃにも、古い友人はおるでな。役に立つこともあるじゃろうて」

去り際、老爺は森崎にそんな言葉を残していった。
こうして国立公園の散歩は、森崎にとって様々な意味で忘れ得ぬものとなったのである。


******

290 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/11(月) 01:29:28 ID:???

称号『亡命貴族の知己』を獲得しました。
効果:評価+10。

現在の称号は「気のいい亡命貴族の知己」です。


※スキル「旧ボルキアの人脈」が一度だけ使えるようになりました。
旧ボルキア亡命貴族はドルファンとの政治的関係が深く、特定の判定に影響を及ぼします。
使用のタイミング、用途は任意に設定できます。
いざというとき、選択への回答に使用する旨を記載して下さい。
回答が採用された場合のみ、使用回数が消費されます。
【チャレンジ】でも使用可能です。その場合も採用時のみ使用回数が消費されます。


***

291 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/11(月) 01:30:58 ID:???

「ここを抜けて、もうちょっと行けば……ぐむむ、広すぎるんだよこの街!」
『まあ、一国の首都だからね……』

老爺とそのメイドと分かれ、しばらくの後。
支給されている簡単な地図を片手に悪戦苦闘していた森崎だったが、
ようやく正しい道を見出したようで、喜びの声を上げる。

「あそこを曲がって……ほら着いたぞ、次の目的地だ!」
『うわあ……』

角を曲がった森崎を出迎えたのは、瀟洒な街並みである。
一本の大きな坂をメインストリートとして左右には多種多様な色彩の店が所狭しと躍動していたが、
よく手入れの行き届いた街路樹が等間隔に配置され、雑然とした印象は与えない。
整備された石畳は落ち着いた色調で計算された景観を演出している。
明るい色調で並ぶ店構えは坂の下から見上げる森崎に近い方から画廊、喫茶店、菓子屋に小物屋、
小洒落た服屋に軽食店。
どれも明るい色調と可愛らしい装飾に彩られ、埃っぽさや胡散臭さとは無縁の佇まいである。

「マリーゴールド地区、ロムロ坂……。若者に人気の通りとは聞いてたが……。
 な、なかなかハイカラじゃねえか……」
『オシャレさんの街だね……』
「つーか、すげえ浮いてんぞ俺……」

292 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/11(月) 01:32:26 ID:???
どんよりとした顔で呟いた森崎は、言葉通り行き交う人々に奇異の視線を向けられている。
坂を登り、あるいは降りてくる人々は皆、垢抜けた身なりとこざっぱりとした流行の髪型で、
そして何より順風の生を謳歌する者たちに特有の、内側から湧き出すような笑みを浮かべている。
薄汚れた格好に殺伐とした顔つきで立ち尽くす森崎は、そんな彼らとはまさに対照的であった。

『仕方ないね……』
「てか、くそ……せめてこっち、見ろよ……」

刺のある視線を突き刺してくるのなら、まだいい。
跳ね返すことも、逆に突き返すこともできる。
しかしこの明るい街を行く者たちは皆、森崎を一顧だにしようとしないのである。
避けるでもなく、意図して無視するわけでもなく、単に目に入らぬというように、
あくまでも自然な様子で森崎を『ないもの』として扱うようであった。
それはいわば、満ち足りた者たちだけが交わす、そうでない者には見えず聞こえない信号が
頭の上を飛び交っているような、どうしようもない座りの悪さを森崎に与えていた。

『で、どうするの?』
「ぐぬぬ……こうなったら……」

しばらく唸っていた森崎が、意を決したように顔を上げる。

「……こうなったら、行くかピコ! 戦略的転し……」
『うん、逃げるんだね』

言いかけたところへさらりと被せられ、森崎の言葉が止まる。

293 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/11(月) 01:33:45 ID:???
「に、逃げ……」
『逃げるんだよね?』
「ぐ、ぬぅ……」

機先を制された森崎が、奇妙な声で呻く。
このとき、彼の中に巣食う天邪鬼が盛大に騒いだのだろうか。
口を開いて出てきた言葉は、心中とは正反対の代物であった。

「……ハン、に、逃げるだって!? この俺が!?
 森崎有三様が若僧どもの街なんぞにビビってるとでも!?」
『……違うの?』
「そんなわけあるか! 平気の平左だぜ!」

ぎぎぎ、と軋みを上げそうな仕草のまま踏み出した森崎の顔は、見事に強張っている。

『あーあ、無理しちゃって……』
「ほら何してんだピコ、迷子になっても捜してやんねえぞ!」
『はいはい……』

自らを奮い立たせるような怒鳴り声を、ぱたぱたと小さな翅が追いかけるのだった。


***

294 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/11(月) 01:39:51 ID:???
といったところで、本日の更新はこれまでとさせていただきます。
連日、選択のないヒキで申し訳ありません。
本来であればロムロ坂にも行く/行かないの選択があったのですが、
既に二回の行動キャンセルがあったため自動選択となっています。

ロムロ坂では国立公園ほどではありませんが小イベントがありますので、
選択を用意できる見込みとなっております。
それではまた、次回更新にて。

295 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/12(火) 03:43:17 ID:???
***


ドルファンにおける若者文化の発信地・ロムロ坂で最も多い業種は飲食店である。
昼間は喫茶店、夜にはアルコールを出す類の店が軒を連ね鎬を削り、栄枯盛衰を体現している。
そんな飲食店の次に多いのが、服飾を扱う店舗であった。
男性向けにはワイルド系からスポーティ、クール、シック、ビビッド、女性向けならキュートにファンシー、
ガーリーやらクラシックやらオーソドックスやらフォーマルやらのドレスにインナー、ジャケット、コート、
シャツにパンツにベルトにシューズ、帽子に時計にアクセサリーと、明日のモードを牽引すべく
それぞれの店ごとの特色を前面に押し出して綺羅星の如く並び、覇を競っていた。
無論、森崎にとって、それはさながら異界である。

「……」
『……』

ドレスコードがあるわけではない。
店員が冷たい目で見るでもない。
そもそも、それ以前の問題である。
森崎の行く手を阻むのは、己が心に聳え立つ敷居の高さであった。

「―――」

ごくり、と生唾を飲み込んで一軒目の扉と睨み合うこと二十分。
無理だと悟って二軒目と対峙すること十五分。
駄目だと呟いて向かった三軒目では、十分と保たなかった。

296 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/12(火) 03:44:19 ID:???
「やっぱり、俺にはまだ早いんだよ……」
『帰るなら止めないけどね……まあ、よく頑張った方じゃない』

四軒目の、流麗な筆記体で新トルキア語ではない文字が躍る看板を三十秒ほど眺めた森崎が
そう漏らすと、ピコがそよ風を微塵に刻んだような小さな小さなため息をついて、
森崎の背をぽんぽんと叩いた。
その小さな手の感触に押されるように踵を返した森崎が、とぼとぼと坂を下り出した、そのときである。

「あらン? ……ちょっと、そこのお兄さン」

蕩けるような声とともに森崎を包んだのは、くらくらするような甘い香りだった。
鼻腔の奥にまとわりつくように濃密なそれを麝香だと森崎が看破したのは、
かつて幾度か招かれた高級娼館に漂っていた匂いに酷似していたからである。
振り返ると、そこに女がいた。

「―――」

森崎が、息を呑む。
女性の、女性たる所以をその体一つで表現するような、それは女であった。

297 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/12(火) 03:45:20 ID:???
波打つ長い髪は陽光に融けてそれ自体が宝飾品であるかのように輝く黄金。
匠が生涯を賭けた一筆に引かれたような切れ長の瞳から真っ直ぐに鼻筋を下ると、
ふっくらと柔らかそうな唇は鮮烈な朱を引かれ、微笑のかたちに囚われている。
細い喉から流れるような肩のラインは青空の下に晒すことが赦されない罪業であるかのように
白くたおやかで、露出した二の腕に填められた大ぶりな黄金の腕輪は、まるでこの女を
誤って天へと登らせぬよう、大地に繋ぎ止めようとする風ですらあった。
ロングノーズの黒いブーツと萌黄色の長い薄布のドレープとに包まれた足は
御簾の向こうにその影だけを映す高貴な姫君のように脚線美だけを浮き上がらせ、
その魅惑の肌を軽々と覗くことを許さない。
衝動に任せて抱けば折れてしまうだろうと思わせる柳腰から視線を上げれば、
そこには楽園が揺れている。
南国の果実の皮を剥いて中からこぼれ出た白く甘い果肉のような、馥郁たる二つの膨らみに、
森崎の目はピンで留められたように固まっていた。
動けない。否、動くことを網膜が、視神経が、それを司る脳髄が、いま視線を動かすことを
徹底的に拒絶していた。
ふわふわと、ふるふると、おそらくは女の呼吸とともに上がり、下がり、揺れるそれを、
森崎の中の男性と呼べるすべてが求めていた。
世界から音が消える。
温度が消え、匂いが消え、色が消え、ただ視覚と触覚だけが残る世界で、森崎が静かに集中を高めていく。
光が、見えた気がした。
その光に向かって手を伸ばそうとした森崎が、

『この……ばかちんがぁ〜っ!!』
「ぐおおっ!?」

盛大に、叩かれた。
突然の衝撃に森崎は受け身も取れず、前のめりに転がる。

298 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/12(火) 03:46:21 ID:???
「……そんなに驚かれるとは思わなかったわぁ。ごめんなさいねン」

色も音も戻った世界で、女が眦の下がった目を丸くして森崎を見下ろしていた。

「……転んだだけだぜ。で、俺に何か用かい、お嬢さん」
『倒れたままカッコつけようとしても無駄だと思うよ』

じとりとした半目で腕を組んだまま、ピコが言う。
思わずそちらを睨んでしまう森崎だったが、女は意に介した風もなく口を開いた。

「お兄さン、この辺じゃすごぉく珍しいカッコ、してるわねぇ。
 私、断然お兄さンに興味持っちゃったのよン」

ねっとりと絡みつくような声音は森崎の耳朶に蠱惑的な響きと熱とを残して溶ける。
その言葉に、森崎がガバリと顔を上げた。

「俺に、興味? ……フフ、フハハ! どうだ! 俺のセンス、見てるヤツはいるってことだ!
 ロムロ坂、恐るるに足らずだぜ!」
『……センスって、きったないだけじゃない』

ぽつりと悪態をつくピコ。
まるでその言葉が聞こえているかのように、女が微笑んで、言った。

「センス? 何を言ってるのン」
「……え?」

大輪の花が開いたような、甘い魅惑に満ちた笑み。
唇の間から、白い歯が覗いた。

299 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/12(火) 03:47:23 ID:???
「私が興味あるのは、この街をそンなカッコで歩けるお兄さンの度胸よン。
 アナタ、磨き甲斐ありそうだわぁ。私の服で、変身させてあ・げ・る」
「……なにィ!?」

尻餅をついたままの森崎が見上げる先。
女の背後には、陽に映える白い看板に銀細工の文字が輝いている。

『サロン ノエル・アシェッタ』。

それが彼女の店の名であり、ブランド名であり、そして彼女自身の名でもあった。


***

300 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/12(火) 03:48:42 ID:???

「……で、俺にこの中から選べってのか」
「そうよン。まずはアナタがいまどこまでやれるのか、試させてもらうわぁ」

麝香の香り漂う室内に、声が響いた。
できる限り外の光を取り込まぬよう工夫された飾り窓の薄明かりが、店内を淡い色調で満たしている。
外界と切り離されたような静かな空間にいるのはノエルと森崎、そしてピコだけであった。
色彩もデザインもまったく統一感のない、かろうじて衣服というカテゴリだけで括ることのできる
生地たちが所狭しと吊り下げられている中、ノエルが森崎の前に並べたのは三種類の服である。

「……これは分かるぜ。ごく普通だ。仕立ても丁寧で悪くねえし、外に出てもまあ恥ずかしくはねえ」

言って森崎が指さしたのは、真ん中に置かれた一群である。
綿の開襟シャツに無地のスラックス。
風合いにも変わった点はない。
森崎がこの店に入って最初に注文した下着もこざっぱりとしたものが用意されている。

「が、こいつは何だ。服か。本当に」
「私としては、そっちがオススメなのよン。……ちょっと初心者にはキツいのが玉に瑕だけどねぇ」

右側に置かれた一群を指さした森崎に、ノエルが平然と答える。

『……ピエロみたいだね』

ぼそりと漏らしたピコがちょこんと座るその布地は、言葉通りサーカスの道化がその身に纏うような、
過剰なまでのフリルやレースに溢れたものであった。
薄暗い店内でもはっきりとわかるような極彩色をふんだんに使ったその珍妙な装束は上着とズボン、
更には帽子と靴までがどうやら一体化されているようで、蝉が脱皮する様を逆回しにするように
背中から体を入れ、丸く開いた穴から顔だけを出すらしい。

301 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/12(火) 03:49:48 ID:???
「……頭痛くなってきたんだが、一応最後まで聞くぜ。……こっちのは、本当にこれだけなんだな」
「勿論よン」

最後に、左側に置かれたそれを目線だけで示した森崎に、ノエルが魅惑の微笑を浮かべながら言う。

「これはこういうものよン。シルクロードの向こうからやってきた東洋の神秘よン」
「よーく知ってるぜ。……ただし、俺らはそのシンピとやらをこう呼んでたがな―――」

置かれた白く長い布切れを、森崎が掴むや叫ぶ。

「フンドシだろ、これ! 確かに下着だけどよ! 俺、ずっと着けてたけどよ!?
 どうしろってんだよ、これだけで!」
「注目、集まるわよン」
「そりゃそうだろうよ!」

ほとんど怒鳴りつけるような森崎の声にも、ノエルは動じない。
とろんとした蕩けるような瞳で森崎の目を見ると言ったものである。

「オリエンタルモード、来ちゃうかもしれないわよン?
 そうなったらアナタ、間違いなくファッションリーダーとして注目の的になれるわン」
「その前にお縄になるわ!」

力いっぱいに褌を握り締めて言う森崎の鼻先に、つい、と白魚のような指がつきつけられる。

「選ぶのは、アナタ。磨くのは、私」

ふっくらとした唇から声とともに漏れた吐息の震えが、薄暗い店内の大気を揺らして
森崎の耳に、或いは鼻孔に、そして舌の上に伝わる。

「リスクとリターンは仲の良い姉妹だわン。どちらかだけを連れ出すことはできないのよン。
 私は、アナタというリスクに賭けたのよン。アナタがどの道を選んでも、私の張りは変わらない。
 ……それでアナタは、どうするのン?」

302 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/12(火) 03:50:50 ID:aX5l3GLw
*選択

A チャレンジ! アバンギャルド!

B 無難! 初心者向け!

C 漢! 褌一丁! (必要CP:1)


※森崎の行動としてどれか一つを選択して下さい。
その際【選択理由】を【森崎の視点から】必ず付記していただくようお願いいたします。
期限は『6/12 21:00』です。


***

といったところで、本日の更新はこれまでとさせていただきます。
夜遅くまでのお付き合い、ありがとうございました。
それではまた、次回更新にて。

303 :雑魚モブ ◆.xniaLTHMk :2012/06/12(火) 06:47:41 ID:vU9c71/U

Aの服は相手によって不快感を与える恐れがあるから
また、流行の服などは流行が過ぎるとただの変な服になってしまうから。

304 :聴衆 ◆0Sa9mRG4IM :2012/06/12(火) 13:53:14 ID:???
A 森崎なら奇抜なものを好むも一興

305 :傍観者  ◆YtAW.M29KM :2012/06/12(火) 14:51:40 ID:???
B
戦場で手柄を誇示するためならド派手な服もいいかもしれないけど、
このスレの森崎は(というか森崎は基本的に)派手なカッコでいつもいられるほど肝は太くないでしょ。
そのへん、彼の神経は基本的にマトモだよ。

306 :さら ◆KYCgbi9lqI :2012/06/12(火) 18:40:40 ID:???
Aファッションの事に疎い森崎としてはノエルの目利きに賭けるってのも有りなんじゃないかと思います。

307 :森崎名無しさん:2012/06/12(火) 18:59:29 ID:???
B
リスク、リターンが問題になる時は当初の目的に立ち返って考える必要がある。
最初の購入目標は「臭くない下着(>>213)」、つまり目立とうとか流行とかは全く考慮する必要はない。
また、歴戦の傭兵である森崎は見栄えばかり気にして実用性を疎かにする未熟な傭兵も山ほど見てきているはず。

308 :源氏 ◆rLDAH8Hy8Y :2012/06/12(火) 19:00:36 ID:???
っと失礼>>307です。

309 :◆9OlIjdgJmY :2012/06/12(火) 19:57:21 ID:???

奇抜な衣装そのものに人の視線を集めることで森崎自身の印象は薄まる。
つまり有事の際に普通の服を着ることで潜入・逃走を容易になしうるというステルス効果を期待して。

勿論エロそうなお姉さんのオススメに応えたい下心もある。

310 :テトラ ◆yfCGLLZSBA :2012/06/12(火) 20:40:07 ID:???
B
今までの描写、年齢的にも奇抜な服を着る勇気はないと思う。
勇気よりも恥ずかしさの方が勝る気がする。

311 :Q513 ◆RZdXGG2sGw :2012/06/12(火) 20:56:02 ID:???

オススメってのに悩んだけれど、四六時中着るのは躊躇われるデザインに思えるんだよなあ
買った上で箪笥の肥やしにするのも不義理って気もするし


312 :傍観者  ◆YtAW.M29KM :2012/06/12(火) 21:03:57 ID:???
イザって時の一張羅に出来るのならそれも良いのでしょうけどね。

313 :見てる人 ◆S/MUyCtQBg :2012/06/12(火) 23:33:27 ID:???
ひょっとしたらEPとか使ってもいい場面だったかもですね。森崎センス無さそうだし。
『……ピエロみたいだね』 以外のヒントが見付からなかった。Bがよさそうかな?
私は時間間に合わなかった上に、EP持ってないですがw 格好が合わない的なのが本文でよく言われてたから。
貴重なCPを褌に使ってみたい気持ちも若干あった・・・

314 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/13(水) 03:09:19 ID:???
皆様、ご回答ありがとうございます。
それでは早速、>>302の選択については……

>>307-308 源氏 ◆rLDAH8Hy8Y様の回答を採用させていただきます!

すっかり状況に流されていた森崎を我に返らせる、快刀乱麻を断つようなお答え、お見事です。
CP3を進呈いたします。

また年齢という観点を提示していただきました>>310 テトラ ◆yfCGLLZSBA様の回答も、
次点として話に絡めさせていただきます。完全に盲点でした。
CP1を進呈いたします。



>>303
森崎の礼法値が高い場合は非常に説得力のあるお答えになっていたと思います。
過ぎた流行は……昔のテレビ番組などの映像を見ると、つい笑ってしまうことがありますよねw

>>304
現在のパラメータやこれまでの描写などから理由付けをしていただけると
採用の可能性もグッと高まってくるかと思います。

>>305
そうですね、現在のところは好き好んで傾くような人物像ではありません。
もっともその辺りは人物称号や、何より選択の積み重ねで大きく変わってくる部分でもあります。
派手好きでド外道な森崎も、場合によってはあり得る可能性……といったところでしょうか。

315 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/13(水) 03:10:51 ID:???
>>306
プロに任せる安心感は大きいですね。
いつの間にか丸め込まれてしまう危険性も無きにしも非ず……ですがw

>>309
あまりにも予想外のお答えが!
成る程、そういう視点もあるのですね……非常に興味深い切り口でした。
勉強させていただきました。

>>311
プレタポルテとはいえ、ショーの舞台で映えるような服は日常には不向きですね。
まあ、服くらい毎日替えようよ……とは思いますが、何しろ産業革命を迎えておらず
綿の大量生産がきかない時代の話、なかなかままならない部分もありそうです。


ご回答いただいた皆様にEP1を進呈いたします。


>>313
褌は超ハイリスクでしたが、万が一の大当たりを引けば恐ろしいリターンがありましたw
ちなみにピココールなどは危険な雰囲気が漂い始めたら後手に回らないよう
早めに使われることをお勧めいたします。
中盤以降は、目の前でシビアな選択を迫られている場面では既にもう手遅れで
ダメージコントロールに終始するしかない……という状況も考えられます。
勿論死亡判定の回避や妖怪いちたりないの撃退に使う分を貯めるのも戦略ですので、
そのさじ加減を含めてお楽しみいただければと思います。

316 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/13(水) 03:11:52 ID:???
***

B 無難! 初心者向け!


「さあ……選ぶといいわン」

ふっくらとした唇が動き、白く並びの良い歯が、その向こうで艶かしく蠢く舌が、音を紡ぐ。
森崎の鼓膜を通して喉の奥、脊髄の中枢にまで忍び込むそれは、ほとんど呪言である。
喉が、渇く。

「さあ―――」

息を吸えば肺腑を満たすのは麝香の甘い香り。
べったりとした薄い膜が肺の中にへばりつき、息苦しさを助長する。
そんな錯覚を覚えて、森崎の呼吸はますます乱れていく。

「……、」

何かを言おうとした森崎だったが、喉から漏れた掠れた音は声にならずに消えていく。
目の前には、三つの道。
原色の赤と緑、黄色が乱舞するような布地の一群が、森崎の網膜を刺激する。
ふらりと、手が伸びかけた。
極彩色のそれに指が触れる、その寸前。
森崎を止めたのは、光である。
目を刺す光は、点いては消え、消えては点き、明滅を繰り返していた。
視線を、動かす。

317 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/13(水) 03:12:54 ID:???
『……』

そこには、小さな幻想の精がいた。
はたり、はたりと、籠った空気を撹拌するように羽ばたく、透明な翅。
その翅が、飾り窓の隙間から射す薄明かりを反射していたのだった。

「……いや、待て。ちょっと待て。よく考えろ、俺」

くらくらと甘い香りに満たされていた頭の中に、目から入った光が差し込む。
清水が泥を落とすように、光の欠片は森崎の脳髄を洗い流していく。

「俺……何やってんだ? ここ、どこだ? 何でこんなことになってる?」

流行。若者文化。明るい街並み。道行く笑顔。きらびやかな店。
モード。アヴァンギャルド。ファッションリーダー。
それは何かと、問う。
答えは返らぬ。
返らぬのも、当然であった。
森崎の中に、つい今しがたまでそんなものは存在しなかった。
得体の知れぬ言葉たちが、蠱惑的な女の口を借りて森崎をぐるぐると縛っているに過ぎなかった。

「そうだ……! 俺は、俺はただ、下着の替えを買いに来たんだよ!
 それがどうして、こんな格好しなきゃなんねえんだ……っ!」

己を縛る鎖の束を引き剥がすように、叫ぶ。
立ち上がった森崎の目には、既に極彩色の服は映っていない。
それは単に奇天烈な布地の塊、糸で縫い合わされた得体の知れぬ言葉たちの集合体でしかなかった。

『……ていうかキミ、そんな冒険するほど若くないからね』
「なにィ!?」

ぼそりと呟いたピコの言葉が、トドメだった。

318 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/13(水) 03:13:54 ID:???
***


「せっかく期待してもらってるところ悪いが、俺はこいつを貰うぜ」

完全に我に返った森崎が、綿のシャツとスラックス、そしてこざっぱりとした下着を手にとって言う。

「……あらン、残念」

ほんの僅か、眉尻を下げた女の口から出た言葉は、それだけであった。
小さく肩をすくめた拍子に、たわわな双丘がゆるりと揺れた。

『……』
「……」

再び囚われかけた視線を二秒で逸らしたのが、森崎の精神力の発露といえようか。

「ここで着替えていってもいいわよン」
「いや、新しい服に袖を通すのは、水を浴びてからにするよ」

襟元に指を入れ、空気を送る仕草をしてみせる森崎。
その様子にノエルが頷き、扉を指し示す。

「ま、それもそうねぇ。お帰りはあちら……次に来たときには、また期待しちゃうわン」
「次もまたこういうのを貰うさ」

言って、森崎が厚い木製の扉を開ける。
ぎい、と軋んだその向こうから溢れ出す午後の陽光に目を細めた森崎が振り返ると、
元より薄暗かった店内がまるで闇に閉ざされているように錯覚する。
音のない屋内には、既に女の姿は見えなかった。

319 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/13(水) 03:15:00 ID:???
******


※称号『無難派オサレ・初級』を獲得しました。
効果:魅力+5。


******

320 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/13(水) 03:16:18 ID:???


『……今度は急に田舎臭くなってきたね』
「だな。まだ、さっきのロムロ坂からそんなに離れてねえはずなんだけどな」

ついに目的の買い物を果たした森崎が、傾きかけた日を浴びながらのんびりと歩いている。
春を謳歌する鳥たちの囀りや遠くから聞こえる牛の鳴き声が、やわかな陽射しと相まって
張り詰めた精神を解きほぐしていく。

『ケモノの臭いがするよ……あ、そこ牛の糞、気をつけて』
「なにィ!?」

慌てて飛び退く森崎の足元には石畳など敷かれていない。
かろうじて大きな石ころだけが取り除かれているだけの、土がむき出しの田舎道である。

「つーかまあ、農道だよな、これ」

広々とした視界にはまばらな人家とそれを囲む畑や果樹園が広がっている。
その向こうでは放牧されている牛がのそのそと草をはみ、文字通りの牧歌的な光景を醸し出していた。
そんな光景を見渡してぽそりと呟いた森崎が、木と草と土と堆肥と家畜の臭いの入り混じった空気を
大きく吸い込んで、ゆっくりと吐き出す。
城北、カミツレ地区。
山林と高原で構成された、農林業でドルファンという都市の人口を支える地域である。

321 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/13(水) 03:17:20 ID:???
『さっきよりよっぽどリラックスしてるねえ』
「ま、こっちのが性に合ってんのは否定しねえさ」
『で、キミの性に合ってるこの長閑な風景の向こうには何があるの?』

ピコの言葉に手元の地図を見なおした森崎が、書いてある文字をそのまま読み上げる。

「この辺にあるのは……地下墓地に神殿跡、だってよ」
『何それ?』
「旧トルキア時代より更に前、古代の遺跡らしいぜ。まあ観光スポットだな」
『ふうん。で、何か売ってるの?』
「土産物とかじゃねえか」
『ほしい?』
「いらねえなあ」

肩をすくめた森崎の手元に、ピコがふわりと舞い降りる。
腕に腰掛けて、地図を覗き込んでいるようだった。

『この、銀月の塔っていうのは?』
「それも遺跡だな。ただ他よりは新しくて、観光スポットってよりはどっちかっつーとデートスポットらしい」
『遺跡なのに?』
「山の上に立ってる塔で、見晴らしがいいんだと。ドルファン全体が見渡せるとか」
『は、はぁ〜ん』

そこまでを聞いて、ピコが森崎の腕に腰掛けたままにやりと笑うと、うんうんとわけ知り顔で頷く。

322 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/13(水) 03:18:21 ID:???
「……何だよ」
『街を一望できる……つまり、夜景もバッチリってことだよね』
「だな」
『で、周りは静かで、デートスポットとして有名で……』
「……」
『もう! コレ以上言わせないでよこのスケコマシ!』

きゃー、と頬を赤く染めながら小さな手でぱしぱしと森崎の腕を叩くピコ。
そんなピコの襟首を摘み上げると、森崎は無言でその小さな相棒を中空へと放り出す。

『ひゃあっ!? な、何するんだよ!』
「いいから、行くぞ」
『もう! レディはもうちょっと丁寧に扱ってよね!』

はたはたと透き通る翅をはためかせて戻ってきたピコが、森崎の頭にしがみつくと
拳を固めてぽこぽこと叩く。
小石が当たるどころか、髪が風にそよぐ程度の衝撃でしかなかった。

「こっちは腹減ってんだよ。いくら目的を果たしたっつっても、だらだら歩いてたら
 帰る前に日が暮れちまう」
『お昼、食べたじゃない!』
「食った気がしねえんだよ。それにあれから結構歩いてるだろ」

ぷりぷりと怒るピコを無視して歩き出した森崎が、ふと何かを思い出したように手元の地図に目をやった。

「そういや、あっちの山には燐光石の採掘場があるらしいな。てことは、飯場もあるか……」
『えー』
「何だよ」

即座に抗議の意を表明した相棒に、森崎が渋面を作る。

323 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/13(水) 03:19:24 ID:???
『採掘場って、炭鉱みたいなものでしょ?』
「基本、同じだろうな」
『そんな男祭りの会場みたいなとこ行くの、ヤだ』
「あァ?」
『クサそうだもん。せっかく買った服も汚れちゃうかもよ』

あくまで抗戦の構えを見せるピコの主張を、しかし森崎は取り合おうとしない。

「言いたいことはそれだけか? じゃ、行くか」
『ちょっと! あたしの話、聞いてる!?』
「あんまり腹が減ると、お前を塩とバターで食っちまうぞ」
『もう! いーだ!』

爪の先ほどの小さな白い歯を剥きだすピコにひらひらと手を振って、森崎は歩き出すのだった。


***


燐光石とは欧州全土で照明に使われる物質である。
化学反応により生じる独特の白色光は炎より格段に明るく、また熱をほとんど発しないため
一般家庭でも生活必需品として使用されている。
カミツレ東第三鉱山第四採掘場、通称ヒガシの山はドルファン国内では非常に貴重な、
質の良い燐光石を多量に産する鉱山であった。
燐光石の鉱脈は山中を縦に貫くように形成されることが多く、従ってその坑道は深く、険しい。
採掘は文字通りの命懸けであり、従事する男たちは高い賃金を目当てに集まってきた
命知らずの力自慢どもである。

『そういう意味じゃ、傭兵と似てるよね』
「基本くたばる俺らと、たまにくたばるこいつらって違いはあるけどな」
『……あんまり似てないかもね』

324 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/13(水) 03:20:24 ID:???
ガヤガヤと喧しく声の響く、天井の低い飯場を見回してピコが言うのへ、森崎が答える。
軽く一歩を退いたその脇を、どけどけ、と怒鳴りながら胸板の分厚い禿頭の男が通り過ぎていく。

「ま、傭兵稼業つっても、適当ないくさ場の見つからないときはこの手の仕事で
 糊口をしのぐことも多いしな。かく言う俺もその一人だが」
『う〜ん、でもやっぱりこのニオイは慣れないよ……』

くい、とその針の穴のような鼻をひくつかせたピコが不快げに呟く。
居並ぶ男たちが抱える皿から湯気を上げる、油ぎった揚げ物の匂いの他に飯場に満ちるのは、
他ならぬその男たちの放つ臭気。
即ち、汗と垢と土埃の入り混じった臭いである。

「そうか? 鉄と火薬と、それから臓物、血反吐の臭いが加わればいくさ場と同じだろ」
『言っとくけど、そっちにはもっと慣れないよ!』

言い放ったピコが、跳ねるように低い天井ギリギリまで舞い上がる。
そのすぐ下を潜るように飯場へと入ってきたのは、鉄板入りの靴音も激しい男たちの一群であった。
めくり上げた袖から覗く二の腕や胸板は例外なく逞しいが、陽光射さぬ鉱山労働のこと、
どの顔も不気味なほど日焼けをしていない。

『すっごい不健康そうだよね……』
「長けりゃ長いほど生ッ白くなってく仕事だ、日に焼けてんのは新米の証拠みたいなもんだぜ」
『で、キミはその新米に紛れてるってわけ?』
「慣れたもんだろ」

野太い笑い声が間近で弾ける中、森崎が食事の列に並んでいく。
笑い声が野戦砲の爆風なら、矢や小銃弾の替わりに飛び交うのは猥談である。
飯場に併設された娼館の女たちの具合の良し悪しから、寝物語に聞いた互いの寝技のキレについて、
或いは男としての前後優劣など、良家の子女が聞けば卒倒する以前に意味を理解できないような
おそろしく程度の低い、しかし当事者たちにとっては愉快極まりないのであろう文言が
音の波となって飯場全体を覆い尽くしている。

325 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/13(水) 03:21:29 ID:???
『……キミは、ギャハハって笑うようにはならないでね』
「善処するよ。……っと、飯だ飯! さて、今日のメニューは何かなっと」

列が進み、順番が来た森崎の前に出されたのは……



*ドロー

! と food の間のスペースを消して、メニューを決めて下さい。

フライドチキンと、あとなーに? → ! food


※今回の更新が終わった後にドローして下さい。
 処理は次回更新時に行われます。

まともな食事であればガッツが回復します。
肉類であれば大きく回復します。
ゲテモノの場合はガッツは回復しません。



***

326 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/13(水) 03:22:36 ID:???

「ふぃ〜、食った食った……と。……お? 何だ?」

空の皿を抱える森崎の耳に飛び込んできたのは、荒々しい物音である。
何か、硬いもの同士がぶつかる音。
それから陶器の割れる音と、飯場のざわめきを圧するような、聞くに堪えない罵声。
声の主は二人いるようだった。

『……喧嘩みたいだね』

ピコが呟く。
罵声の応酬はすぐに怒号に変わり、更には咆哮に近い叫び声へと変じていく。
今や飯場の視線を釘付けにするその騒動の元を見る森崎。

「デカいのとちっこいのがやり合ってるのか。……まあ、無理だな」

森崎が呟いた通り、体格差は如何ともし難いようだった。
周囲が迷惑そうに場所を開ける中、ポッカリと空いた空間で取っ組み合いを始めた二人だったが、
すぐに体躯の小さい方が組み敷かれる。
馬乗りになった巨躯の男は拳を振り上げると、容赦なく小さい方の男へと振り下ろす。
ぐしゃりと、顔にめり込んだ。
鼻筋が砕けたようで勢い良く血を噴き出し始めた小さい方の顔面へ、追撃の一発。
ぐう、と喉の奥から濁った音を漏らして、小さい方が首を振り、何事かを叫ぶ。
謝罪のようだった。
許しを請う小さい方の言葉にも、しかし巨躯の男はますます憤慨した様子で顔を赤くすると、
石塊のような拳を更に振り上げる。

『わ、あの人、あれ以上やられたら死んじゃうかも……誰も止めないのかな?』
「まあ、こういう場所での喧嘩は人死にが出ることも珍しくないからな……」
『う〜ん……どうする?』

327 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/13(水) 03:23:37 ID:3uJHPSGI
*選択

A 「おいおい、そこら辺にしときな」 割って入る。

B 「見てらんねえ。ちっこいの、助太刀するぜ」 不利な側に加勢する。

C 「他人の喧嘩に口出すのもなあ……」 傍観する。



*選択

森崎の行動としてどれか一つを選択して下さい。
その際【選択理由】を【森崎の視点から】必ず付記していただくようお願いいたします。
期限は『6/13 22:00』です。


また>>325のドローも宜しくお願いいたします。


******


といったところで、本日の更新はこれまでとさせていただきます。
夜遅くまでのお付き合い、ありがとうございました。
それではまた、次回更新にて。

328 :雑魚モブ ◆.xniaLTHMk :2012/06/13(水) 06:44:52 ID:???
フライドチキンと、あとなーに? →  スモークサーモン

329 :Q513 ◆RZdXGG2sGw :2012/06/13(水) 08:35:10 ID:???

謝っている以上、死にそうなのを放っておくのは後味が悪い
ただ、そもそもの非が小さい方にある可能性もあるので、止めるくらいにしておく

330 :とやま ◆bz6wYVJDKA :2012/06/13(水) 09:44:04 ID:???
選択:A
理由:目の前で人死が起こるなら止める。
   しかし事情も知らない争いに関して、下手に手を出すのは避けるべき。
   小さいほうにまだ若干の余裕があるのなら、
   いかなる経緯で喧嘩になったのか、周囲に者に聞いてから割って入る。
   と無難派は考えるかもw

331 :ノータ ◆JvXQ17QPfo :2012/06/13(水) 19:15:02 ID:???
「B」
理由:こんな場所での喧嘩は死人が出るのは珍しくないそうだから、途中から入るのも珍しくないだろう。
   とは言え、先の戦闘での結果を見る限り傭兵の森崎なら殺しはしないだろうし
   何より、飯屋で騒がられるのは良い気がしない、顔なじみのところでもないし。

332 :◆9OlIjdgJmY :2012/06/13(水) 20:22:06 ID:???

喧嘩で自制の利かない素人は実力行使で痛い目見せておいた方がいい。
でないとホントに殺人者になっちまうぞ。
と考えて

また、差別・メイド・デザイナーとやれやれな一日だったので、腹ごなしがてら運動したい気持ちもある。

333 :源氏 ◆rLDAH8Hy8Y :2012/06/13(水) 20:29:09 ID:???
A
事情は全く異なるだろうが、波間のかもめ亭での一件が脳裏をよぎる。
眼前で振るわれる暴力を上手く収めることが出来れば今日一日しこりを残さずに終わらせられるかもしれない。

周りの迷惑そうにしている客を巻き込む形で大男の頭を冷やすことが出来れば。

334 :◆W1prVEUMOs :2012/06/13(水) 20:38:01 ID:???

今の森崎はこういうトラブルを放っておくと目覚めが悪い
と思うはず

335 :テトラ ◆yfCGLLZSBA :2012/06/13(水) 20:56:35 ID:???
A
ここは鉱山労働者の飯場なので、森崎はあまり目立ちたくないはず
だが今までの事からこの状況を見過ごすことはできないと思う。
加勢は相手の体格、傭兵の森崎にとってアウェーなのでしない。

336 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/14(木) 01:01:07 ID:???
>>328
ドローありがとうございました。
EP1を進呈いたします。

※森崎のガッツが30回復しました。


皆様、ご回答ありがとうございます。
それでは早速ですが、>>327の選択については……

>>329 Q513 ◆RZdXGG2sGw様の回答を採用させていただきます!
シンプルかつ明確な指針、ありがとうございます。
CP3を進呈いたします。

また>>333 源氏 ◆rLDAH8Hy8Y様の回答もここまでの展開を踏まえて
森崎の心情を捉えた、素晴らしいものでした。
CP1を進呈いたします。

また>>330 とやま ◆bz6wYVJDKA様の回答について、
小さい方は大ピンチでしたので今回は採用を見送らせていただきましたが、
この先、その選択についての「手段」を講じていただく状況が出てきます。
その場合には今回いただいたようなご回答が模範的なものになるでしょう。
次点としてCP1を進呈いたします。

337 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/14(木) 01:02:12 ID:???
>>331
傭兵は軍属なので帯剣していますが、確かに斬り捨て御免というわけにはいきません。
喧嘩で相手を殺したのが露見してしまえば普通に殺人罪、それも軍法会議にかけられるので
ほぼノーウェイトで極刑です……もっとも森崎は「三年間は死なない」という
ゲーム上の呪いを持った身なので、違う展開になっていきますが。
また現在はモラルが高めなので、加勢に入るには「それっぽい」理由が必要になってきます。

>>332
なるほど、「あなたのためだから」は頷ける理由ですね。
人物称号がひとつ前であれば採用させていただいていたと思います。
それにしても、この波乱万丈の一日はいつまで続くのでしょうか……?

>>334
そうですね。
すっかりこの手の騒動を放っておけない体質になりつつあります。

>>335
意外な視点を提供していただきました。
なるほど、あえて「加勢は」しない理由というのも面白いですね。


ご回答いただいた皆様にはそれぞれEP1を進呈いたします。

338 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/14(木) 01:03:56 ID:???
***


A 「おいおい、そこら辺にしときな」 割って入る。


怒号と、暴力と、皿の割れる音。
その背を押したのは、眼前の光景が、何かひどく苦い後味を舌の上に蘇らせたからであろうか。
やり残してきたことを取り返そうと、心のどこかで考えていたのかもしれない。
立ち上がった森崎が声をかけたのは、大柄な男の拳がいま、まさに振り下ろされようとした瞬間である。

「……あァ!?」

野次や喧騒とは違う、突然の言葉に大柄な男が動きを止める。
殺気立った表情で振り返った、その目には森崎がどう映っていたものか。
男は憤然と立ち上がるや、猛然と森崎に向かってきたのである。

「すっこんでろ! 東洋人が!」

怒鳴った男が腕を振り上げ、拳を固める。
これから殴りますよと言わんばかりの挙動に、森崎が舌打ちして男を見据えた。

「チッ……すっかり頭に血が上ってやがる」
『こんなとこで怪我しないでね』

冷静に言うピコにちらりと視線を送った森崎に、拳が迫る。

339 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/14(木) 01:05:00 ID:DUSQAIUU
*チェック

体術判定

目標値【17】 → ! numnum

※ ! と numnum の間のスペースを消して数値を出して下さい。
難易度−体術を目標値とし、目標値以上の値が出れば成功。
00が出た場合は難易度にかかわらず成功となります。
結果によって展開が分岐します。

成功→ 軽く身を躱す。
失敗→ パンチが直撃! ガッツ減少。

340 :源氏 ◆rLDAH8Hy8Y :2012/06/14(木) 01:06:10 ID:???
目標値【17】 →  11

341 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/14(木) 01:07:35 ID:???
失敗→ パンチが直撃! ガッツ減少。


「俺を誰だと思ってんだよ、……っとお!?」

ひょい、と体を入れ替えようとした森崎の動きが、止まる。

「誰だ、こんなトコに椅子出しっぱなしにしてるヤツは……って!」
『危ない!』

ピコが叫んだときには、既に遅い。
石塊のような男の拳が、森崎の顔面を直撃していた。

「ぶべらっ!」

奇妙な悲鳴を上げながら飛んだ森崎が、食べかけの皿が満載されたテーブルに突っ込んで
盛大な音を立てた。

「……」
「……」

一瞬、飯場が静まり返る。
殴った男すら唖然とする中、

「痛ぇ……けど、まあ、これでひとまず気が済んだか?」

歯型の残る鶏肉や魚の切れ端、熱いスープを頭から被って湯気を上げる森崎が立ち上がり、
渋面を作りながら血の混じった唾を吐く。
しまらない姿に、大柄な男も毒気を抜かれた様子で森崎を見つめていた。


※ガッツが10減少しました。

342 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/14(木) 01:13:28 ID:???
***


「……なるほど。つまり、お前はこのキルト人……」

と、頭からコンソメスープの匂いをさせながら大柄な男の話を聞いた森崎が、
腫れ上がった鼻に布切れを詰めていた小男を顎で指す。
小男が、内出血で赤黒く染まった顔をびくりと怯えたように歪めた。

「こいつに、金を貸してたと」
「……そうだ。お袋への急な仕送りが必要だとか言うからよ。けど、この野郎」
「その金をすっかり博打でスッちまったってわけか」

冷たく言い放つ森崎に、小男が立つ瀬のない様子でおどおどと周囲を見回し始める。
無論、逃げ場などない。
森崎を挟んで大柄な男と小男が座る周りには飯場にいた男衆がすっかり人垣を作って
三人のやり取りを見ていた。

「返せと言ってもアテがねえ、取り返してくるからもう幾らか出してくれねえかと、こう来やがった!
 ふざけやがって、この野郎!」
「わかった、わかったから立ち上がるんじゃねえよ」

口にする内に興奮したのか、男がいきり立つのへ森崎が宥めるように言う。
憤懣やるかたない様子で、それでもどうにか椅子に座り直した男を見やってから、
森崎が小男に向かって口を開く。

「要はお前が悪いんじゃねえか、馬鹿野郎」
「ひっ……」
「そうだろ、わかりゃいいんだ。後はこのクソッタレがミンチになるまで、黙って見ててくんな」
「うわあ!」
「って、待て待て待て! だからすぐにカッカするんじゃねえよ!」

343 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/14(木) 01:14:29 ID:???
小男へ向かって手を伸ばしかける大柄な男。
すんでのところで制した森崎が、悲鳴を上げて椅子から転げ落ちた小男もろとも、
強引に二人を席に着かせる。

「こいつをタコにしたって、金が降ってくるわけでもねえだろ。
 気は晴れるかも知れねえが、その後は山から追い出されてお前の食い扶持がなくなるだけだ」
「むぅ……」

いかに荒くれ揃いの鉱山とはいえ、衆人環視の殺しとなればただでは済まない。
ましてここは深山幽谷の彼方ではなく首都城塞ドルファンの範疇であり、官憲の目もそれなりに厳しい。
それを思い出したのか、男が唸り声を上げて森崎を睨む。

「じゃ、どうしろってんだ。水に流せってのはナシだぜ」
「言わねえよ、んなこたあ。……お前、結局幾ら貸したんだ?」
「ひの、ふの、み……と、全部で……このっくらいだぜ」

聞けば、街に繰り出して美味い酒と飯が二、三度楽しめる程度の額である。
少し考えた森崎が、鼠のように周囲をちらちらと伺っている小男に声をかけた。

「お前」
「ひゃあ! 許してくれえ!」
「ワビ入れる前に働け」
「え?」

きょとんとした小男に、森崎が続ける。

344 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/14(木) 01:18:21 ID:???
「ここは日払いだろうが。今日からその賃金の半分、毎晩きっちりこいつに渡せ」
「そ、そんなあ……それじゃメシ食ったらすっかり飛んじまいまさあ……。
 オネエちゃんの晩酌がなけりゃ、こんなこの世の地獄に耐えられませんぜ」

心底から困り果てた、とでもいうかのように言ってのける小男に、
森崎の堪忍袋の緒が切れる。

「やかましい、昼間は額に汗して働け、夜はクソしてとっとと寝ろ!
 キレイな体になるまで酒も女もねえだろが!
 借りた金で賭場通いなんざする馬鹿にはちょうどいい薬だ!
 つうかテメエのせいで俺は飯の食いさしまみれになってんだぞ、わかってんのか!?」
「ひ……!」

食い下がる小男を、森崎が怒鳴りつける。

『ご飯の食べかすだらけなのは自業自得だけどね』
「……」
『あ、耳の後ろ、人参のしっぽついてるよ』

無言のままぎろりと中空の相棒をを睨んだ森崎が、へばりついた野菜くずを乱暴につまみ剥がすと、
口に放り込んでがりがりと噛み砕く。
その様子が恐ろしかったのか、すっかり萎びた小男に鼻を鳴らして、森崎が大柄な男へと向き直った。

「ここらの相場からすりゃ、来週には全額返ってくるだろ。この辺で落とさねえか。
 大体、お前が最初ッからこいつの性根を見抜いてりゃ、こんなことにはならなかったんだぜ」
「……」

大柄な男は、なおも渋面である。
眉根を寄せた森崎が、再度小男に顔を向けると、言う。

345 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/14(木) 01:19:56 ID:???
「おい、テメェ」
「うひっ!? まだ何か!?」
「さっきの約定、守れるか守れねえか……いま、ここで誓え」
「ま、守ります、守らせていただきやす、はい!」

迫力に押されたか、小男がぶんぶんと首を縦に振りながら口走るのを聞いた森崎が、
周りに人垣を作って立つ男たちを見渡しながら口を開いた。

「聞いての通りだ。これでも話を破るなら……そんときぁ、ここにいる全員が証人さ。
 改めてこの馬鹿を吊るし上げろ。俺が許す」
「ひぃぃ……」

周囲にいる男たちが首肯するのを見た小男が、締め上げられたように喉の奥から悲鳴を漏らす。

「もし街にトンズラこいたとしても、とっ捕まえて引っ立ててきてやる。
 どうだ、これで。俺の顔、立てちゃくれねえか」
「……」

しばらくの間、沈黙が降りた。
目を閉じ、眉間に皺を寄せて考え込んでいた大柄な男が、やがて大きく息を吐いて言った。

「わーった、わぁーったよ、黒髪の兄ちゃん。今度のこたぁ、それで構わねえ」
「うし、いい男っぷりだぜ、お前」

ニカリと笑った森崎が、ひとつ頷く。
と、おもむろに両手を掲げて言った。

346 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/14(木) 01:21:27 ID:???
「じゃ、こいつは俺の故郷の作法でよ。お前ら、ちっと手を出してくれ」
「……?」

森崎が促したのは、大柄な男、そして小男の両方にである。

「手締めつってな。事が片付いたら、言い立てた方も言い立てられた方もこれでお終い、って意味で
 一緒に手を打つんだ。そら、合図で行くぜ」
「お、おう……」
「へぃ……」

戸惑う男たちに身振りで手順を示してみせた森崎の、いよぉーお! という掛け声の直後。
シャン、と拍手が鳴り響いた。


******


称号『ヒガシの山の仲裁屋』を獲得しました。
効果:揉め事の交渉判定時に+5の修正。


******

347 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/14(木) 01:23:04 ID:???

『これでようやく一巡り、っと』
「もうすっかり夕暮れじゃねえか……くそう」

苦々しげに見上げた森崎の視線の先、夕陽は既に高い城壁の向こうである。
長い影に覆われた街並みは城西、フェンネル地区だった。

「毎日訓練所に通ってるんだし、まあ見慣れた景色といやあそうなんだが……。
 この辺、北側にはホントに住宅街しかないのな」
『通り道にはシアターとか運動公園なんてのもあるじゃない』

普段の通勤路を思い出したのか、ピコが顎に手を当てながら言うのへ
森崎がため息混じりに答える。

「あれは城に近い方、こっからだと運河の向こうだろ」
『うーん、そだっけ?』
「いい加減なヤツだな……」
『ちょっと地図見せて? へぇ、南に下ると色々とレジャーもできるんだ』

森崎が一日握りしめていたせいですっかり皺だらけになった地図を覗き込むピコ。
追って目線を落とした森崎が、そこに並ぶ文字を見て奇妙な作り声を上げる。

「運河沿いの遊歩道にゴンドラ乗り場……ねえ。恋人たちの定番コースってわけだ」
『ひがみっぽい言い方だね』
「疲れてるんだよ……今日はえらく色々あったからな。
 ただでさえ丸一日歩きどおしだったってのに」

ぐったりと肩を落として呟く森崎にピコがひらりと舞い降り、小さな手でぽふぽふとその背を叩く。

『まあまあ、あとはいつもの道を通って帰るだけだし、ね!
 どっかでちょっといいお酒でも呑んでこ!』
「はあ……そうすっか……」

348 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/14(木) 01:24:05 ID:???
ぼそりと漏らして歩き出す森崎の視界の端、家々の向こうには高い城壁が聳え立っている。
もう少し南下すれば、そこに大きな門が見えてくるはずだった。

「レッドゲート……か。」
『このドルファンの正門だよね』
「俺らがこの門から出るのは、いくさ場に向かうとき……さて、いつになるのかね。
 来週か、来月か、それとも来年か……」
『……』

それきり何となく黙り込んだまま歩き続ける森崎の行く手に、やがて見えてきたのはセリナ運河だった。
ドルファン南部の港湾と北部の山林とを繋ぐ、かつて流通の大動脈として栄えた運河である。
茜色から群青に変わろうとする空を映すそのセリナ運河に架けられた橋を渡って、シーエアー地区と
ドルファン地区の境に差し掛かろうかという辺りのこと。

「あの……すみません」

森崎の背にかけられる、か細い声があった。

「んあ?」
「あの……モリサキさん、ですよね?」

間抜けな声を上げながら振り返った森崎の目に映ったのは、夕闇に佇む一人の少女の姿である。
軍服を思わせる、しっかりと型取りされた濃紅色の上着にスコットランド風のチェック柄で織られたスカート。
胸元に咲く大きなリボンが、まだ子供らしさの抜けきらぬ少女を演出している。
フリルのあしらわれた白い肩掛けにかかる、長い栗色の髪がさらりと風になびくのを見て、
森崎がほんの数週間前の記憶を掘り起こす。

349 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/14(木) 01:25:06 ID:???
「あー……っと、ソフィア……だったか?」
「はい……!」

森崎が名を呼んだ瞬間、不安げだった少女の表情に笑顔が浮かぶ。
春、雪の下から顔を出す小さな花のような笑みだった。

「ソフィア・ロベリンゲです。その節はお世話になりまして、ありがとうございました」
「いやいや、頭上げてくれよ」

深々と礼をするソフィアに、森崎が慌てたように言う。
その肩にちょこんと腰掛けたピコが、ニヤニヤと笑いながら茶化した。

『こんなとこ、人に見られたら通報されちゃうもんねえ。”傭兵、学生を恐喝!”なーんて』
「頼むから黙ってろ……」
「え!? す、すみません!」

苦虫を噛み潰したような顔で呟いた森崎の声が届いたのか、ソフィアが弾かれたように顔を上げると
更に深々と頭を下げる。

「あ、いや、あんたに言ったんじゃねえんだ。気にしないでくれ」
「は、はい……」

とりなす森崎にようやく向き直ったソフィアだったが、ちらりと森崎の顔を見ると俯いてしまう。
そんなソフィアの様子に、ピコが森崎の耳に向かって囁く。

『怖がられてるんじゃない? 目付きが悪いんだよ、キミは』
「……」

350 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/14(木) 01:26:07 ID:???
その手に乗るかとばかりに無視する森崎。
沈黙が続きを促していると思ったのか、ソフィアが俯いたまま言葉を繋ぐ。

「あの、すみません、宿舎に伺うと言っていたのに、ちょっとバタバタしてしまって……。
 本当ならもっと早くお礼をしなければいけなかったんですけど……」
「いや、前にも言ったけどさ。お礼とかはいいって」
「そ、そんなわけにはいきません……!」

食い下がるソフィアに、森崎が小さくため息をつく。
以前にも感じたように、この少女は儚げな見た目に反して頑固なところがあるようだった。

「あんた、その制服は学生さんだろ?」
「え? ……あ、はい。学園に通っています。ドルファンでは国が授業料を出してくれるので……」
「公立学校ってやつか」
『そういえばドルファン文化部の意地がどーのこーのって、ヤング教官が言ってたね』

鬼の教練の合間に挟まれる雑談を思い出して言うピコに、森崎が頷く。
話題を逸らすにはうってつけだった。

「そういや、ドルファン学園があるのはフェンネルの東端……この近くだったよな」
「はい。この塀の向こうは、もう学園の敷地なんですよ」

傍らの、背丈よりも高い塀を見上げて言うソフィア。

「じゃ、帰り道ってわけか。……ん? 今日って安息日だよな」
「はい、そうですね」

事も無げに頷く。

351 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/14(木) 01:29:05 ID:DUSQAIUU
「休みの日まで勉学かよ。学生ってのも大変だな」
「いえ、本当は学校もお休みなんですけど」

そこまでを言ったソフィアが、僅かに言い淀む。

「私はちょっと、家庭の事情で、欠席が多くて……」
「……」

すぐに続けたソフィアだったが、家庭の事情、と口にした瞬間の表情の陰りを、森崎は見逃さなかった。



*選択

A 「家庭の事情……?」 首を突っ込む。

B 「……」 無言を貫く。


森崎の行動としてどれか一つを選択して下さい。
その際【選択理由】を必ず付記していただくようお願いいたします。
期限は『6/14 21:00』です。


***


長い一日もようやく終りが見えてきた、といったところで
本日の更新はこれまでとさせていただきます。
夜遅くまでのお付き合い、ありがとうございました。
それではまた、次回更新にて。

352 :雑魚モブ ◆.xniaLTHMk :2012/06/14(木) 06:35:08 ID:???
B
一日中色々な事件(?)に首を突っ込んできて、色々な人の事情に触れてきたが森崎にできたのは表面上解決だけで
問題の根本的解決にはつながらなかったので、今回は一歩離れた所から問題を観てみようと考えるから。

353 :さら ◆KYCgbi9lqI :2012/06/14(木) 10:45:35 ID:???
A森崎を多少なりとも信頼してる女の子の悩みを聞いてあげるってのも年上の男の人の甲斐性だと思います。
それにこの森崎なら聞かずにはおれないでしょう。

354 :森崎名無しさん:2012/06/14(木) 15:06:05 ID:???
あ、よく見たらカード結果のダイヤの良さって三番目かよ
爺さんの判定はダイヤとクラブが一緒だが、内容が違う感じなのかと勘違いしてたぜ
CP切った方が良かったかな

355 :森崎名無しさん:2012/06/14(木) 15:12:45 ID:???
もっとハードな判定が絶対あるからその時にリダイスしないとね。

356 :源氏 ◆rLDAH8Hy8Y :2012/06/14(木) 18:25:18 ID:???
A

ソフィアが森崎にお礼を、と少し頑なになってるのも内心では「助けて欲しい」と思っているからかもしれない。
何をしてやれるかは分からないが、ただ話を聞いてあげるだけでも思いつめた表情を解してあげられるだろうか。

357 :◆W1prVEUMOs :2012/06/14(木) 18:41:19 ID:???

慕ってくれる子の境遇に首を突っ込むのも悪くない
本人は突っ込まれたくかもしれないけど
本当に嫌なら言葉に出すこともしないだろうから

358 :傍観者  ◆YtAW.M29KM :2012/06/14(木) 18:46:22 ID:???
A
男と女がもめていたら「女ぁ!」と動くものだと怪盗さんが言ってました。
……というのは、ともかく。こういう時に聞いてほしくない人は口に出さないでしょう。
わざわざ言うってことは(深層心理でも)聞いて欲しい、愚痴りたい、と思ってるもんです。
ただ、愚痴る以上のことを望んでいるかどうかは慎重に応対する必要がありますけど。
(喋りたい、吐き出したい、しかし踏み込んできては欲しくない、というケースも珍しくない)

359 :◆9OlIjdgJmY :2012/06/14(木) 20:59:08 ID:???

苦学生にお礼をしてもらうわけにはいかないから事情を聞かねばと考えて。

360 :テトラ ◆yfCGLLZSBA :2012/06/14(木) 20:59:29 ID:???
B
森崎の方が厳しい経験もしているだろうし
あまり真っ当な生き方でもないのでこちらから口出しはしない。
それに会って日が浅いのに家庭の事情を聞くのははどうかと思ったので

361 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/15(金) 01:54:18 ID:???
皆様、ご回答ありがとうございます。
それでは早速ですが、>>351の選択については……

>>358 傍観者  ◆YtAW.M29KM様の回答を採用させていただきます!
ソフィアの機微を綺麗に拾い、またその一歩先までを見通された回答、お見事です。
ほとんど初対面だからこそ言えるような愚痴、なんていうのもありますよね。
CP3を進呈いたします。

また同様にソフィアの側からの視点を提示していただいた>>356 源氏 ◆rLDAH8Hy8Y様、
>>357 ◆W1prVEUMOs様にもそれぞれCP1を進呈いたします。


362 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/15(金) 01:55:25 ID:???
>>352
表面上の解決、とは実に鋭いご指摘です。
現実でもそうですが、根の深い問題はやはり一朝一夕に解決することはできません。
それが各々の心や、あるいは文化、社会に根ざした影に起因する問題であれば尚更ですね。
傍から見てどれほど素晴らしい解決策であっても、それを簡単に受容することができない場合も多いでしょう。

>>353
今の森崎はかなり積極的に目の前の事情に飛び込んでいきますね。
痛い目にあう可能性もありますが、その分リターンも大きいでしょう。

>>359
確かにそのために話題を逸らそうとしていましたが、相手が苦学生だから……というのは
面白い視点ですね。

>>360
率直に言って、そのようなご回答が多いことを想定していたので今の状況はかなり意外です。
もちろん多数決というわけではありませんが、皆様かなり鋭く切り込んだご回答を用意されていて、
すっかり感服している次第です。
今の森崎が真っ当な人に物を言えた柄か、というのは確かにその通りで、相手によっては評価値が低い内は
まったく聞く耳を持ってもらえないどころか逆効果になることもあるでしょう。


ご回答いただいた皆様にそれぞれEP1を進呈いたします。

363 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/15(金) 01:56:28 ID:???
***

A 「家庭の事情……?」 首を突っ込む。

ソフィアの口をついて出た言葉は、そしてその表情に落ちる翳りは、
何かを聞いてほしいという密かな要求であっただろうか。
それは、あるいは森崎でなくても構わなかったのかもしれない。
気のおけない友人や信頼できる恩師に話をした方が、より具体的な相談ができたかもしれない。
それでも今、この夕闇の迫る路地で、森崎に向けて発せられた言葉の中にそれがあったのなら、
聞き逃したフリはできなかった。

「家庭の事情……?」

様子を窺うように呟いた森崎に、ソフィアがはっと目を見開くと、そのまま俯いてしまう。

「……え、っと」
「あ、いや、話しづらいこと聞いちまったかな。すまん」
「いえ、いいえ!」

慌てて言う森崎に、ソフィアが首を振る。
ふるふると、長い髪が揺れた。
栗色の髪は夕闇に紛れて黒く、まるで足元の影が這い上ってソフィア自身に絡み付いているようでもあった。

「その……、大したことじゃ、ないんです……」
「……」

やがて訥々と話し始めた少女を、森崎は黙ってじっと見つめる。
ソフィアはといえば、ずっと俯いたままだった。

「弟が……少し体が、弱くて。線が、細いんです。……癇癪を起こすことも、多くて」

言葉を紡ぐソフィアの、表情は見えない。

364 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/15(金) 01:57:37 ID:???
「それで、母は……どうしても、その、弟にかかりっきりで……。
 仕方ないんです、弟は手のかかる子ですから、それは」
「……」
「母はそれで、いつも疲れてて、だから……家のことや、父の世話は、私が」

ぽろぽろと漏れる言葉は、しかし奇妙に歯切れが悪い。
何か一つの原因に帰結する問題ではないのだろうと、森崎は思う。
様々な要因が絡み合い、もつれ合って、家族という狭い関係の中で行き詰まっている。
それはきっと、湖の底に溜まる泥や、古い家のきいきいと立て付けの悪い扉と似たようなものなのだ。
軋んだ歯車を、それでも回し続けなければならいことなど、世にはありふれている。
だがありふれているからといって、澱んだ泥水を飲み干せるわけでも、開かない扉に耐えられるわけではない。
どこかで油を注さなければ、人という歯車は壊れてしまうのだ。

「いいんです。父のことも、家のこと、ご飯を作るのも、お買い物やお掃除や繕い物やお洗濯、
 好きなんです。好きでやってるって、思ってます。
 だけど、だから、どうしても学校は、お休みしなければならないときもあって……」

人によって、それは酒であり、快楽であり、あるいは愛情や、友情や、職務や目標であったり、
果ては空想や幻想にその役割を求めることもあるだろう。
少女にとっての油は、きっと今、この時間。
誰とも知らぬ男にぶつける、このとりとめのない愚痴なのだ。
そんな風に考えて、森崎は話を回すつもりで口を開く。

「世話……って、親父さんも、どっか悪いのか」
「……父は、戦場で足を傷めました」

しかし、それはどうやら少女にとってはナイーブな問題であったらしい。
そう言ったきり、今度こそ口を噤んでしまう。

365 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/15(金) 01:58:40 ID:???
「……」
「……」
『……キミ、今のはちょっと無神経』

いつの間にか森崎の側に浮かんでいたピコの声は、ソフィアには聞こえない。
聞こえないはずだったが、まるでその声に促されたかのように口を開いた。

「あの、すみません。変な話をしちゃって……」
「いや、聞いたのは俺だぜ。こっちこそ悪いな」

顔を上げたソフィアは、困ったように笑みの形を作る。
森崎もまた、同じように笑うふりをするより他になかった。

「……で、今日は学校だったんだよな?」
「あ、はい」

話題を変える森崎。
ほっとしたように、ソフィアが頷く。

「あの、それで、ちょっと勉強が遅れがちだったので、先生が特別にお休みの日に
 授業をしてくれることに……」
「へえ。いい先生じゃねえか」
「はい! オルガ先生って仰って、とっても綺麗で優しい、素敵な方なんですよ。
 落ちこぼれの私なんかにも、すごく良くしてくれるんです」

教師のことを語るソフィアの顔には心からの憧憬が浮かんでいる。
つい今しがたまでの影は消え去っていた。

366 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/15(金) 01:59:41 ID:???
「綺麗で優しい女教師……か」
『拙者にも一手、御指南願いたく候』
「お前、次言ったら翅引っこ抜くからな」
『きゃあ! 妖精ごろし!』

叫ぶや森崎の肩から飛び上がるピコ。
その姿に目をやってため息をつく森崎を、ソフィアが不思議そうに見つめている。

「……?」
「……何でもない」
「そうですか……。あの、それで、私のことはいいんです。それより、お礼……なんですが」
「結局そこに戻るんだな……」

胸の前で手を組んだソフィアが、森崎に向かって一歩踏み出す。
雑談はむしろ、壁を取り払う役目を担ってしまったらしい。

「あの、もし良かったら今度―――」

何かを言いかけたソフィアが、その瞬間、凍りついた。
名を呼ばれたときのはにかむような笑顔も、教師を語るときの憧憬溢れる瞳も、そこにはない。
儚さも、頑固さも、森崎の見てきた少女の一切が、そこからは失われていた。
代わりに少女を満たしていたのは、恐怖と嫌悪、そして絶望の色である。
何かに打ちのめされてきた者だけが浮かべる光を湛えたその瞳が見つめるのは、森崎の背後。
辺りから既に夕陽の彩りは消えている。
宵闇の向こうから、それはやってきた。

「―――捜したよ、ソフィア」

367 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/15(金) 02:00:43 ID:???
底冷えのするような声音を紡いだのは、男である。
深紫のシルクシャツに、漆黒のベストとスラックス。
腰から提げているのは細身の長剣、レイピアだった。
精緻な細工を施された金の柄が、ベルトの黒に映えて静かな威圧感を放っている。
一目で最高級の仕立てと分かる装束を身に纏う、その容姿は端正にして怜悧。
永久凍土の氷を砕いて嵌め込んだような薄青色の瞳が、射貫くようにソフィアを見つめている。
長い金髪が、ゆらりと闇を掻き混ぜるように揺れた。
夜を率いて歩くような、それは男であった。

「……ジョアン」

射竦められたソフィアの漏らした、それが男の名であるようだった。
ジョアンと呼ばれた男が、口の端だけを上げた微笑を浮かべる。

「言っただろう、僕の目の届かないところに行かないでおくれと。
 外出するならきちんと家族に報告すべきではないかな、ソフィア」
「……」

俯き、唇を噛み締めて黙り込むソフィア。
吹き抜ける嵐をじっと耐えるような、姿だった。

「父上も心配しておられた。……さあ、言うべきことはあるかな」
「……」
「……」
「……めん、……さい」

暫しの沈黙の後、掠れた声が薄闇の通りを僅かに揺らす。
その声に、ジョアンが一歩を踏み出した。
革靴の底が立てる、かつりという音に、ソフィアがびくりと肩を震わせる。

368 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/15(金) 02:01:44 ID:???
「ん? 何か言ったかい、ソフィア」
「……ごめんなさい、ジョアン。以後……気をつけ、ます」

ようやくにして絞り出したような、声音。
涙声ではない。震え声でもない。
それはただ、ひび割れた荒れ野を吹く風のような、どこまでも乾いた謝罪だった。

「わかってくれればいいんだ、ソフィア。……さあ、送るよ。馬車を回してある」
「……」

肩に回された手を拒むこともなく、ジョアンと共に歩き出そうとしたソフィアが、
ほんの一瞬だけ足を止める。
ちらりと森崎を見たその瞳は何かを言いたげで、しかし口を開くことが罪であるかのように、
ソフィアは沈黙のまま目を逸らした。

「……」
「そこの、東洋人」

かける言葉もなくその背を見送ろうとした森崎に、ふと足を止めたのはジョアンである。

「……! 違うのジョアン、あの人は何でもないの、ちょっと道を聞かれただけなの、
 早く帰りましょう、ね」

表情を強張らせたソフィアが、これまでになく強い口調でまくし立てるのを聞いているのかどうか。
悠然と振り返ったジョアンが、森崎の方へと向き直る。

369 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/15(金) 02:03:06 ID:???
「……ッ!?」

その視線がただ自らの方を向いた、それだけで森崎は全身が総毛立つのを感じる。
じり、と思わず一歩を下がりかけた足を、かろうじて止めた。
そんな森崎に、口元だけを歪ませる笑みを向けてジョアンが言う。

「僕のフィアンセが世話になったようだな。礼金が欲しいのならエリータスを訪ねてくるといい。
 貴様の年給程度でよければ包むよう言っておく」
「エリータス……?」

傲然の二文字を具現化したような態度であったが、森崎は常の悪態をつくこともせず、
気を張り詰めたままでそれだけを口にする。

「五家評議会のエリータス家を知らないとは……流石は辺境からの来訪者、というべきかな。
 聖騎士ラージン・エリータスが三男、自由騎士ジョアン・エリータスの名、覚えておくがいい。
 そしてこのソフィアは、僕の将来の妻となる女性だ」

振り返らぬまま肩を震わせているソフィアの、栗色の髪を嬲るように梳きながら名乗りを上げたジョアンが、
ふと間をとってから、続ける。

「そうだな、大切なことを聞き忘れていた」

すう、と細められた氷青色の瞳が、酷薄な色を浮かべる。

「―――貴様は、ソフィアの、何だ?」

びりびりと、全身が警告を発しているのを森崎は感じていた。
緩んだ休日の日常はすっかりどこかへ吹き飛んでいた。
答えを誤ってはならぬ。今この場にあるのは命のやり取りに他ならない。
そう経験と勘とが告げる中、森崎がゆっくりと口を開く。

370 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/15(金) 02:05:18 ID:yuQwwJ+I
*選択

A 「恩人……てやつさ。あんたがご丁寧に調べ上げた通りにな」

B 「通りすがりだ。彼女には道を聞いただけでね」

C 「友人……いや、恋人候補ってところかな」


森崎の行動としてどれか一つを選択して下さい。
その際【選択理由】を必ず付記していただくようお願いいたします。
期限は『6/16 0:00』です。


******


宿敵、登場! といったところで
本日の更新はこれまでとさせていただきます。
夜遅くまでのお付き合い、ありがとうございました。
それではまた、次回更新にて。

371 :雑魚モブ ◆.xniaLTHMk :2012/06/15(金) 06:05:53 ID:???
A
ソフィアは明らかに助けを求めているし、あんな他人を見下すのがデフォルトのような奴には反発するのが森崎だが
今この場で大人しくしとかないと後でソフィアが何されるか分からないし、ただの傭兵である森崎を消すこと位
簡単だと思うので無難にかつ少しの反抗心を込めて。

本当は「何が自由騎士だ、自分の自称恋人は束縛しまくってるくせに」位の悪態をつきたい

372 :さら ◆KYCgbi9lqI :2012/06/15(金) 09:41:16 ID:???
A調査か報告が入ってる以上、通りすがりで道を聞いたってのは信用して貰えない。
ならば実際恩人と言えるのだから、正直に言った方が良いと森崎なら判断すると思います。
個人的にはこの二人と別れた後エリータスの指示で森崎を襲撃してくる可能性が有るので帰り道の警戒は怠って欲しくないですね。

373 :さら ◆KYCgbi9lqI :2012/06/15(金) 10:17:36 ID:???
【ピココール】
この貴族は自分が知ってる事に嘘を言ったりすればプライドを傷付けられたと言って怒るタイプだと思うか?
それとも自分の知ってる事に対してトラブルを避けようと見え見えの嘘を言う人間を見て喜ぶタイプかどう思う?
初めて使ってみたけど、こんな感じの質問で良いかな?


374 :聴衆 ◆0Sa9mRG4IM :2012/06/15(金) 14:10:03 ID:???
C森崎に女はいらぬが名乗りに遠慮もいらぬ

375 :ピコ ◆ALIENo70zA :2012/06/15(金) 16:37:36 ID:exnOAvLU
>>373
うーん…あたしのガンリキで見たところ、すっっっごくプライドの高そうなヤツだから、怒るっていうよりも
わざわざ相手にするまでもない…なんて、呆れられるんじゃないかな?

だから、ヘタレたことを言えばこの場は収まるかもしれないけど…そこで後ろ向いちゃってるソフィアってコは、どう思うかな…。
何しろ相手は女のコ、向こうの言った通りにしたんだから平気だろう、なんて思ってたら大・大ミステイクだからね!

でも…だからってあんまり刺激しすぎるのも、なんだかイヤ〜な感じがするよ…。
よっぽど腕に覚えがあるならいいけど…。

376 :源氏 ◆rLDAH8Hy8Y :2012/06/15(金) 17:53:03 ID:???
A

この状況だけを見ればキザ男に一発食らわせてやるのも悪くないが、実際のところソフィアと会ったのは僅か二度、
友人と言える程の付き合いでも無いのでややこしいことになるのは御免被りたいというのが今の正直な感想。
何と言っても森崎の目的は騎士叙勲なのだから。

ただ、嘘を言ってこの場を穏便に済ます程に卑屈にもなれない。
事実を飾らずに述べて立ち去ろう。

377 :傍観者  ◆YtAW.M29KM :2012/06/15(金) 18:24:20 ID:???
A

Cは嘘つき(二度あっただけで友人と言えませぬ。ましてや!)の上に喧嘩売り、Bはソフィアが決定的に傷つく。
そう考えればAは消去法といっていいのではないでしょうかね。
ここはソフィアから話を聞けただけでよしとするべきでしょう。
そのご、このキザ氏からソフィアを奪い取るかどうかはまた考えればよろしい。

378 :さら ◆KYCgbi9lqI :2012/06/15(金) 18:48:36 ID:???
Aピココールを聞いて理由だけ変えさして貰います。
森崎ならば卑屈になってソフィアを傷付けずさほど挑発的でもなく皮肉を交える事が出来るこの選択肢を選ぶと思います。
別れた後に襲撃の警戒はした方が良いかもしれないですけど。

379 :◆W1prVEUMOs :2012/06/15(金) 18:57:03 ID:???
A
ピコの見立てから
呆れられてこの場を収めるのは、自分だけが屈辱に耐えればいいわけではなく
ソフィアの心にも暗い影を落とすことになるから。
だけどCまで行くとトラブルになるので×

380 :◆9OlIjdgJmY :2012/06/15(金) 20:14:54 ID:???

彼女の態度から、おそらくソフィアはジョアンに事件のことを伝えていない。
現場は人気のない倉庫街。当事者以外に誰もいなかった。
何故ジョアンは知っているのでしょうね?森崎は頭の回転が早いイメージです。

そのあたりを暗に仄めかすニュアンスがあるので、Aを選択します。
「『いろいろ』邪魔して悪かったな。」と皮肉を付記したいくらいです。

381 :傍観者  ◆YtAW.M29KM :2012/06/15(金) 20:21:21 ID:???
>>380
あー、その視点はなかった! なるほど、「そう」考えるのが自然ですわ!
CP10たまってたらそのへん突っつきたくなるくらいの見事な推理。

382 :テトラ ◆yfCGLLZSBA :2012/06/15(金) 23:51:17 ID:???
B
森崎は政略結婚を良くは思わないだろうが理解していると思う。
相手の実力・立場も強いしヘタレだがソフィアを諦める。
そもそもソフィアとは会って二回目だし、皮肉を言うために危険を冒す必要はない。
傭兵なので保身が大切。

383 :見てる人 ◆S/MUyCtQBg :2012/06/16(土) 01:45:23 ID:???
うわぁ、おもしれぇw いつも仕事から帰宅すると投票間に合わないのが残念ですわ。
>380とかすごいな・・・何度も読まないと、「調べあげた」の意味とかもわからなかったわ。
道を聞いた恩なのかなーとか考えてましたよ。おどけた口調でBも面白いですが、伝わらない可能性高そう。

384 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/16(土) 04:21:30 ID:???
皆様、ご回答ありがとうございます。
重要な選択だけに様々な見方でじっくりと考えていただけたようで、改めて御礼申し上げます。
それでは、>>370の選択については……

>>380 ◆9OlIjdgJmY様の回答を採用させていただきます!
いや、お見事。
このご回答、中盤の大きめなイベントに深く関わることになりそうです。
あまりに鋭い読みに、思わず当該イベントを大きく前倒ししようかとすら考えましたw
CP3、更に物語の推進ボーナスをプラスして2点の計5点を進呈いたします。

また>>372,378 さら ◆KYCgbi9lqI様、初のピココール使用、ありがとうございます。
今回のようにかなり明確な指針を提示できることも多いので、積極的にご活用下さいね。
システムの例示にご協力いただきましたので、CP1を進呈いたします。



>>371
しっかりと状況を見たご回答、ありがとうございます。
そうですね、正味の話は後先考えずにガツンと言ってやれ! という気分ですw
なかなかそういうわけにもいかないのが難しいところですが。

>>374
原作は恋愛SLGなので、これからも沢山の女の子が登場します。
硬派を貫くには困難が伴いますが、説得力次第では不可能ではありません!

>>376
はい、Cが選ばれていた場合には実際かなりややこしいことになっていました。
それでも「ややこしいことになりそう」だからという理由だけでは目の前のトラブルを避けられないのが
高モラルの大きなデメリットの一つですね。
見え見えの罠だとしても回避するのにそれなりの理屈、工夫が必要になってくることがあります。

385 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/16(土) 04:22:33 ID:???
>>377
堅実なご意見だと思います。
このキザ野郎はまだまだ出てきてしまいますので、しっかり嫌ってやって下さいませ。

>>379
はい、深刻なトラブルに発展するとガッツ的な意味でかなり危険でした。
事ほど左様にピココールは便利なので、要所で活用して下さいね。

>>381
お見事でしたね。
脱帽です。

>>382
その理由でBを選択するには現在のモラルが高すぎますね……。
人物称号はプレイヤーの都合よりも優先されてしまいますので、更に一捻りが必要です。
モラルや礼法が高くなりすぎると、低くする選択肢そのものがあまり出てこなくなってしまいますし、
(もちろんその逆も然り、ですが)その辺りのさじ加減は実はこのゲーム最大の考えどころでもあります。


ご回答いただいた皆様にそれぞれEP1を進呈いたします。


>>383
うまくご参加いただける時間設定にできず申し訳ありません。
何かご要望などありましたら仰って下さいね。
皆様にはいつも驚くほど深く読み込んでご参加いただいていて、感謝するばかりです。


386 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/16(土) 04:23:34 ID:???
***


A 「恩人……てやつさ。あんたがご丁寧に調べ上げた通りにな」


森崎とて、幾つもの戦場を生き抜いてきた男である。
ただ一方的に気圧されているわけではなかった。
初撃を凌いだのであれば次に来るのは攻めの好機だと、森崎は理解していた。
そんな森崎の、しっかりと息を整えて吐き出した言葉には、棘がある。
受け取る者を刺す棘だ。
そして棘に含まれているのは、緩やかな毒だった。

「……賢しいな、東洋人」

細かな棘から指先を伝う毒に、氷青色の瞳が険しさを帯びていく。
その表情に森崎は己の考えが正しかったことを確信し、僅かに口の端を上げる。
眼前の男は、ソフィアが世話になった、と口にした。
それも礼金を用意するほどの。
何故、この男がそれを知るのか。

「余所者は知り合いが少なくてね」

誰かと違って、と言葉にはせず目線に込める。
じり、と。それを耳にした男の気配が変わっていく。
余裕に満ちた酷薄の下から、ちろちろと怒りの種火が顔を覗かせようとしている。
もう一歩踏み込めば、それは炎となって燃え上がるだろう。
しかしそれは森崎のみならず、おそらくはこの男の傍にいるソフィアをも巻き込む熱となる。
故に森崎はあえて一歩を退いた。

387 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/16(土) 04:27:23 ID:???
「頭、使わねえと生きていくのも難しいのさ」
「……吠えて命を縮める犬もいる。気をつけることだな」

ニヤリと笑って言った森崎に、苦々しげに鼻を鳴らしてジョアンが返す。
この日、交わす刃はここまでと理解した表情だった。
一瞬の後、元のように傲岸の仮面を被ると、ジョアンはその視線をソフィアの方へと向ける。

「帰ろう、ソフィア。いつまでもこんなところにいてはいけないよ」
「……」

振り返らぬままのソフィアは、ふるふると小さく首を振るばかりで黙りこんでしまう。
そんな婚約者の様子にジョアンは大袈裟に肩をすくめると、ぞっとするほど甘い声で言葉をかける。

「……おやおや、疲れてしまったんだね。
 早く馬車に乗り給え、今夜はゆっくり休むといい」

言いながらソフィアの肩を抱いたジョアンが踵を返し、かつかつと足音を立てながら
森崎には一瞥をくれる様子もなく去っていく。
闇に紛れようとするその背に、森崎の声がかけられた。

「邪魔して悪かったよ―――『この間から色々と』、な」
「―――」

それは最後の、そしてとっておきの、毒だった。
男の傲岸を貫き不遜を割る、致命の一撃。
漆黒のベストを纏った背が、しかし宵闇にも明らかなほどにビクリと揺れた。
揺れて、直後。
目には見えず耳には聞こえない何か、おそらくは人を裂き肉を抉るが如き何かが、
男の背から膨れ上がった。

388 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/16(土) 04:28:25 ID:???
遠く離れて立つ森崎が、鼻先を掠めるその何かに気圧されかけ、石畳に両足を踏みしめる。
がちりと、腰の辺りで何かが鳴った。
知らず手を伸ばしていた剣の柄が、鞘と当たって響いた音だった。
森崎の眼前で爆ぜようとしたそれは、しかし臨界を迎える寸前、懸命に押さえ込まれるように震え、
次第に圧縮されて縮んでいく。

「……」

縮んでなお、鼻先から気配が遠ざかりつつあってなお、森崎をして油断なく構えさせたそれは、
硬い革靴の足音が馬車の中に吸い込まれると同時、ようやくにして霧消するのだった。


***

389 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/16(土) 04:30:26 ID:???


『色々あった一日だったけど……最後にミソがついちゃったね』
「……」

兵舎への帰途。
ふわふわと周りを舞うピコの言葉に、森崎は答えない。
いま、その思考を占めるのは、相棒の声でも、波乱の一日への回想でも、
栗色の髪の少女ですらない。
そこにあるのは、ただ一人の男の姿であった。

「ジョアン……エリータス」

あの男とはもう一度、否、この先幾度も相まみえることになるだろう。
そんな確信に近い予感と共に、ただその名だけを呟く。
刻むように。
森崎の眼差しは、戦士のそれである。
宿る光はいささかも揺らがず、夜の闇を切り裂くように爛々と輝いていた。



   『少女の騎士(後編)』了


.

390 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/16(土) 04:44:15 ID:???
******

ようやく初回ターン終了! といったところで、
本日の更新はこれまでとさせていただきます。
明け方までのお付き合い、ありがとうございました。

さて、参加していただいている皆様におかれましては
長い長い四月、いかがでしたでしょうか。
次月以降は長々しいテキストでのナビは徐々に鳴りを潜めさせ、
比較的短いスパンで選択や判定を行なっていく方針です。

四月全体が大体これ以降の4〜6ヶ月分ほど…という辺りをひとつの目安として
考えておりますが、ここまでをプレイしていただいての感触、ご感想を含めて
更新テンポやタイミング、ボリュームについて等々、色々とご意見ご指摘を
お寄せいただければ幸いです。
それではまた、次回更新にて。

391 :◆W1prVEUMOs :2012/06/16(土) 08:49:47 ID:???
> 四月全体が大体これ以降の4〜6ヶ月分ほど
これからはこの一ヶ月で物語の6分の1消化することになるのか
割と短編な感じ?

392 :さら ◆KYCgbi9lqI :2012/06/16(土) 09:28:15 ID:???
重要な選択肢には時間を取って貰えると思いますが、ちょっとした選択肢なら時間は短くても良いと思いますね。
更新テンポは、このスレのシステムでは、どうしても遅くなるのは仕方ないと思います。
ボリュームは多いと思った事はないですね。書く方は大変でしょうけど。


393 :◆W1prVEUMOs :2012/06/16(土) 09:41:40 ID:???
時間が短いと参加できない=CP・EP獲得のチャンスが減ってしまうから
今ぐらいがちょうどいいんじゃないかな

394 :森崎名無しさん:2012/06/17(日) 00:20:19 ID:???
獲得したCPやEPをどう使うかも結構悩ましいですね。

395 :傍観者  ◆YtAW.M29KM :2012/06/17(日) 12:27:01 ID:???
うーん、個人的には更新スピード早いほうがうれしいので、痛し痒し。

CPとEPの使い方は、とりあえず自分は「常にCP5は残るように」と考えてる。振り直しがしたいw

396 :森崎名無しさん:2012/06/17(日) 18:38:07 ID:???
たしかに一番悪いマークが出たらリドローしたくなりそうだ。

397 :森崎名無しさん:2012/06/17(日) 18:59:58 ID:???
【数値加算】も有るしね。

398 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/18(月) 01:16:29 ID:???
皆様、ご意見ありがとうございます。


>>391
はい、年単位で時間のかかる設計にはしておりません。
元々は周回プレイを視野に入れたシステムなのですが、物語性の強化という
語り手側のエゴで、シナリオ面がかなり増量されているのが現状です。

>>392
期限を短く区切っても、更新のできる時間はどうしても夜22時以降となってしまうのが
悩みの種ですね……。
重要な選択についてはもちろん丸一日に近い期限を設けておりますが、
それでも生活時間帯によっては厳しいという方もいらっしゃるでしょうし
その辺りについては随時ご意見をお待ちしております。

>>393
更新回数が増えれば獲得機会も増えますが、特定の時間でしか参加できないという
プレイヤーの方にご迷惑をおかけしてしまうんですよね……。

>>395
一日二更新、となると22〜23時頃に前日夜の選択からの続き。
そこから0〜1時頃までで区切った小選択……という形も考えられますが、
主に私の技量の問題で足踏みをしております。
CP/EPはそれぞれの方針が色濃く出る部分かと思いますが、
まず最初の戦争モードで様子を見てみるのも一手かと。

399 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/18(月) 01:17:32 ID:???
*D26.5
フレーバーテキスト


◎ダナン返還問題

熱心に新聞の活字を追っていた森崎有三が思わず声を上げたのは、五月十四日の朝である。

「きな臭くなってきやがった」
『朝から物騒なことを言わないでよ……もう。で、何があったの?』

小さな眉をしかめるピコに、森崎が新聞から目を上げて答える。

「戦争の臭いだよ」
『戦争? ……でもプロキアって王様が変わっちゃったから、もう戦争しないんじゃなかった?』
「ま、王じゃねーけどな。そういう流れにはなってた」

言って僅かに渋面を作る森崎。

「このまま終戦……てんじゃ、こちとらおまんまの食い上げだからな。焦ったぜ」
『月のお給料はもらえるじゃない』
「違約金で契約解除って線が濃かったんだよ。そもそも俺らは何でこの国に来たと思ってんだ」
『何で、って……あ』

何かに気付いたようなピコに、森崎が頷く。

「そうだ。このドルファンは戦果次第じゃ傭兵だって騎士として取り立てるって触れ込みなんだよ。
 だからわざわざこんな南の果てまで来たんじゃねえか」
『そっか、戦争がなくなったら……』
「賃金はあっても、仕官のクチはねえ」
『ど、どうするの?』
「そこで、こいつよ」

400 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/18(月) 01:18:34 ID:???
言った森崎が、手にした新聞をぱんと叩く。
見出しには、『ヴァルファ=プロキア会談破談』との文字が踊っていた。

「いいか? まず、今月の頭のことだ」
『うんうん』
「ゲルタニアの首相選挙が終わって、いつも通りコールっておっさんが勝った」
『ゲルタニアって、お隣の国だよね』
「そうだ。プロキアとも国境を接してる」

ドルファンの北東に位置するゲルタニアは十数年前に共和制へと移行した軍事大国である。
両国の間にはベルトニア山脈が聳えており、隣国とはいえ人的交流はそれほど多くはない。
政治的関係は、共和制移行の際に生じたゲルタニア=プロキア戦争にドルファンが
ゲルタニア側として参戦した経緯もあって比較的良好である。
ベンヤミン・コールは現職の首相であり、共和制移行以来、実に四選を果たしていた。

『で、そのゲルタニアのおじさんがどうしたの?』
「ああ、そのハゲが余計なことを言い出したんだ。ゲルタニアはドルファンとプロキアの
 休戦問題の早期解決を期待しており、仲介の労をとる用意もある、ってな」
『どういうこと?』
「要は、お節介を焼いてこの戦争をちゃんと終わらせてくれるってのさ」
『ふうん。いい人だね』
「だーかーら、そう簡単に終わっちゃ困るんだっての!」
『あ、そうか。……ひゃ!』

宙に浮かぶ小さな妖精が、悲鳴と共に天井近くまで舞い上がる。
指で弾こうとした森崎の手から逃れたのだった。

『何するんだよ、キミ!』
「話、戻すぞ」
『もう!』

ぷりぷりと怒ってみせるピコの様子を気にした風もなく、森崎が話を続ける。

401 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/18(月) 01:20:55 ID:???
「で、このゲルタニアの表明に乗っかったのがプロキアのヘルシオ公だ。
 まあドルファンは賠償金だのをやたらとふっかけてたからな」
『戦争したいの?』
「駆け引きってやつだろ。取れるとこからは徹底的に搾り取ろうとするのが政治ってもんだ」
『ひどーい』
「ヘルシオ公はとにかく休戦の話し合いを前に進めたいってんで、せっかく雇い入れた傭兵団、
 ヴァルファバラハリアンに改めて渡りをつけた。
 まあ連中がダナンに居座ってちゃ、まとまる話もまとまらねえからな」

口を尖らせるピコを無視して言った森崎が、手にした新聞をもう一度掲げてみせる。

「その結果が、こいつよ」
『……破談?』
「そうだ。ヴァルファは雇い主のプロキアから要求されたダナン撤収を断りやがった。
 何を考えてるんだか知らねえが、違約金を吊り上げようって腹かもな」
『プロキアも大変だねえ……』
「まあな。つっても、元々向こうから仕掛けてきた戦争だ。自業自得ってもんだぜ」

肩をすくめる森崎。

402 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/18(月) 01:23:22 ID:???
「何にせよ、相手はただの傭兵団じゃねえ、全欧最強のヴァルファ様だからな。
 ドルファンもプロキアもこいつを無視して話は進められないってわけだ」
『ど、どうなるの……?』
「話し合いで終わりかけてたところに、カネと剣とが割り込んできたのさ。
 一戦交えて白黒つけなきゃまとまらねえって雲行きだぜ」
『う〜ん……』
「納得いかないか? つっても、これが俺らの生業だからな」

そうして、事態は概ね森崎の想像通りに推移することとなる。
五月十七日、プロキアはヴァルファバラハリアンとの契約を破棄。
ダナン撤収に応じない場合は武力行使も辞さないとの姿勢を打ち出す。
これに対しプロキア側の対応を非難するヴァルファはダナン占拠の維持を強行、
ダナンを巡る情勢は一気に緊迫の度合いを増していくのだった。


******

403 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/18(月) 01:24:26 ID:???
*D26.5
訓練選択


「貴様らも知っての通り、ヴァルファの連中はプロキアの意向を無視してダナンに居座っている!
 これがどういう意味だか、わかるな!」

荒野に響き渡るヤング・マジョラムの大音声も、既に耳に慣れてきた感がある。
整列した三百の傭兵を前に朝の訓示を行うヤングが、大きな身振りで傭兵たちを指し示すと、
一拍を置いて続ける。

「そうだ、貴様らが地獄に叩き込まれる日が近づいてきたということだ!
 一日でも長くこの世を楽しみたいなら、一層の訓練に励め! 以上だ!」


***


『それで、今月は何をするの?』

森崎有三
称号:気のいいヒガシの山の仲裁屋
現在のガッツ:110

剣術・馬術・体術・魅力・礼法・墓守・休憩の中から『二種類』選んで下さい。
同じ訓練を二つ選んでも構いません。
その際【選択理由】を必ず付記していただくようお願い致します。
期限は『6/18 23:00』です。


***

404 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/18(月) 01:26:28 ID:AtiYrq+w
他所のお国事情、実は中盤から終盤にかけて森崎の運命に大きな影響を及ぼします。
といったところで、本日の更新はこれまでとさせていただきます。
夜遅くまでのお付き合い、ありがとうございました。
それではまた、次回更新にて。

405 :さら ◆KYCgbi9lqI :2012/06/18(月) 10:09:44 ID:???
剣術・魅力
まず戦争が近いと思うので攻撃力と守備力を強化出来る剣術を選びました。
前の訓練選択の時に言われてたんですが魅力というのは重要なものだというので序盤に上げておこうと思いました。

406 :◆W1prVEUMOs :2012/06/18(月) 19:47:26 ID:???
体術・魅力
最初のうちは目に見える成果が出るまで同じ訓練を繰り返した方がいいかと思い

407 :ノータ ◆JvXQ17QPfo :2012/06/18(月) 20:36:34 ID:???
体術・魅力
理由:上と同じような感じ。
   それとこの戦いは、死なない、逃げない、負けない戦いをしないとまずいからね
   回避と防御に特化したら序盤は楽になりそう

408 :◆9OlIjdgJmY :2012/06/18(月) 22:01:13 ID:???
体術・魅力
前回、とてもよい判定結果ならスキル習得かもとおっしゃっていたので
ポイントの蓄積で習得できる仕組みなら、今回まず間違いなく習得できるから。

409 :Q513 ◆RZdXGG2sGw :2012/06/18(月) 22:43:53 ID:???
体術・休憩
体術のスキル狙い。それと、ガッツも多いほうがいいんじゃないかと

410 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/19(火) 03:38:53 ID:???
皆様、ご回答ありがとうございます。
それでは早速、>>403の選択については……

>>407 ノータ ◆JvXQ17QPfo様の回答を採用させていただきます!
目的意識のはっきりした育成方針の提案、ありがとうございます。
CP3を進呈いたします。
ただ次回からは、他の方と似たご回答でもご自身の言葉でお願いいたしますね。

同様にスキル取得を意識された>>406 ◆W1prVEUMOs様、>>408 ◆9OlIjdgJmY様も
CP1を進呈いたします。


>>405
はい、戦争の足音は迫っています。
そろそろ攻撃力のアップも意識していきたいですね。

>>409
そうですね、休憩はとても重要です。
戦争が起こる月にはその旨が告知されますので一応の回復は可能ですが、
イベント内で突発的な戦闘やガッツの上下が発生することも多いので
ギリギリを維持するのは非常に危険ですね。

411 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/19(火) 03:39:54 ID:???
***


「なあ、ヤングのおっさん」
「教官と呼ばんか! モリサキ、貴様は今日明日の基礎訓練を倍にしろ!」

汗まみれの森崎がヤング・マジョラムをつかまえて尋ねたのは、とある昼下がりのことである。
耳どころか下腹にずしんと響く大声を受けながら、森崎は平然と肩をすくめてみせる。

「はン、いつものことじゃねえか」
「……俺も段々と、貴様に懲罰を与えているのか特訓をしてやっているのか分からなくなってきた。
 で、何だ。気になることでもあったか」

眉根を寄せるヤングに、森崎が視線で遥か彼方を示す。

「や、あちらさんは何をやってんだと思ってよ」
「あちら……? ……む」

つられて見やったヤングが、途端に渋面を作る。
荒野の向こうにあったのは、きらびやかな一団の姿であった。
遠目にも分かる、選びぬかれた駿馬。
それにまたがるのは種々様々な趣向を凝らし、しかし一様に陽光を反射してぎらぎらと輝く
銀細工と思しき鎧を纏った男たち。
周囲には馬の口を取る者や馬上の男たちに何かを命じられて走っていく者、或いは大量の荷を背負って
側に控える者たちなど、おそらくは馬上にある男たちの従卒と思しき取り巻きが溢れていた。

「……気にするな。訓練を続けろ」
「って、言われてもよ……こないだまであんなの、いなかっただろ」

食い下がる森崎に、ヤングが大きくため息をついて重い口を開いた。

412 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/19(火) 03:41:40 ID:???
「……彼らは自由騎士だ。訓練は義務ではない」
「自由騎士……?」

耳慣れない言葉に森崎が首を傾げる。
つい最近どこかで聞いた気もするが、思い出せない。
少なくともこれまで渡り歩いてきた各国には存在しない階級だった。
そんな森崎に、ヤングが説明を加える。

「自身で騎士の称号を得たわけではなく、また軍属としての階級も持たない世襲の騎士のことを、
 我らがドルファンでは畏敬を込めてそう呼んでいる」

その口調に込められていたのは、無論のこと畏敬などではない。
明らかな侮蔑。
そしてまた我らが、と口にしたときに滲むのは、諦観であった。
同時に、そこまで言われてようやく森崎の脳裏に浮かぶ記憶があった。
夜を纏うように現れ、自らを自由騎士と名乗った男。

「……ジョアン・エリータス」
「ん? 奴を知っているのか?」
「……」

にわかに表情を険しくした森崎の無言をどう取ったか、ヤングが続ける。

「エリータス家はドルファンの西、エローという都市を所領に持つ大貴族でな。
 武門の代表として王室会議……この国の政治の中枢にも名を連ねる、名家中の名家だ。
 官僚や宮廷貴族を束ねるピクシス家と並んで『旧家の両翼』などと呼ばれることもある。
 ジョアン・エリータスは、現当主の三男だ」

413 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/19(火) 03:42:55 ID:???
華々しく並ぶ言葉の数々を聞いた森崎が、ボソリと漏らす。

「さしずめ老中の子……ってとこか。道理で偉そうなわけだ」
「ロージュー? 何だそれは」
「いや、こっちの話だ。続けてくれねえか」

呟きを耳にしたヤングが怪訝そうな顔をする。
森崎が小さく首を振って、先を促した。

「……まあ現当主といっても、聖騎士として名を馳せた奴の父親は既に他界しているから、
 いま家を切り盛りしているのはその妻、つまりジョアンの母であるエリータス卿夫人だ。
 女傑と呼ばれる方だが、ジョアンのことは猫っかわいがりしていたらしいな」
「カネもコネも使い放題ってわけだ」
「……」

無言のまま、ヤングは大きな傷痕の走る左の片眉だけを上げる。
それは森崎の言に対する、明快な肯定であった。

「そんなわけで、ジョアンという男は自由騎士どもの中心……ある意味では
 その象徴とも言える存在だ。わかったら訓練に戻れ」
「つまり、だ。大貴族サマのボンボンが、似たような脛かじりどもを集めて
 七光りで騎士ごっこをしてるってことだろ」
「お前は……」

引き下がらない森崎に、ヤングが天を仰ぐ。

414 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/19(火) 03:47:13 ID:???
「おっさん、連中には訓練の義務もないって言ったろ。
 要は気が向いた時に集まっちゃあ、ああやって遊んでるだけ。
 どうせこの後は汗を流してどこぞで盛大に宴でも開くんだろうな」
「……」

沈黙は、雄弁な肯定だっただろうか。

「ジョアンのヤツもあの中にいるのか?」
「どうだろうな。気紛れな男で、自由騎士たちの『訓練』に参加するかどうかも
 その日の気分次第と聞いている」
「……そうかい」

肩をすくめた森崎が、ふと銀の鎧の一団を見やる。
と、驚いたように声を上げた。

「ん? ……おいおい、何やってんだあの連中」

森崎の視線の先、一団は大きな円を描くように広がっている。
その円の中に進み出たのは二つの鎧姿である。
背丈よりも長い巨大なランスを下げた二人は、円の端と端で互いに向かい合うように
ゆっくりと馬を回すと、静止する。
眉根を寄せる森崎の脇で、ヤングが唸るように言った。

「……あれはジョスト、だろう」
「はァ?」

耳慣れぬ単語を森崎が頭の中から探し出すまで、しばしの時間を要した。

「ジョスト……って、まさか馬上槍試合か!?」
「その通りだ」

415 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/19(火) 03:48:51 ID:???
ジョストとは、欧州で古くから行われていた騎士たちの遊興である。
集団戦ではなく、一騎討ちの形式で行われる試合をそう呼んだ。
しかし時代の流れとともに廃れ、どの国でも何十年も前に途絶えているような、
古典的な競技のはずであった。

「実際ンなことやってんの、初めて見たぜ……骨董品市場かよ」
「あれがこの国の、今の騎士の戦いだ。彼らは彼らなりに、本気で訓練をしているつもりだろう」

再び、静寂が降りた。
森崎がヤングの発した言葉の意味を咀嚼するのには、先ほどの倍以上の時間が必要だった。

「……嘘だろ」

ようやくにして絞り出したのは、そんな言葉である。

「なあ、おい、確認させてくれよ、ヤングのおっさん」
「何だ」
「この南欧じゃ、まだ百年戦争の続きをやってんのか」
「……」
「銃を使わねえとか、そういう段階じゃねえだろ、ありゃあ」
「……」
「矢と砲弾の雨が降ってパイクが押し寄せてくる中で、やあやあ我こそは、とでもやるつもりかよ」
「……彼らは、若い」

責めるような森崎の言葉に、沈黙を守っていたヤングがようやく口を開く。

「父祖の武勇伝と絵巻物でしか戦争を知らん世代だ」
「笑えねえ冗談だぜ」

皮肉げに言った森崎に、更に追い打ちをかけるようなヤングの言葉が続く。

416 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/19(火) 03:49:54 ID:???
「だが俺たちはその絵巻物と轡を並べるのさ」
「なにィ!?」

驚愕する森崎に、ヤングが淡々と言葉を紡ぐ。

「ドルファン王都騎士団は俺たち傭兵大隊を覗いては全八大隊から構成されている」

俺たち、とヤングは言った。
傭兵大隊の長を兼任するとはいえ、彼は大尉の階級を持つれっきとした正規軍の軍人である。
そこに込められた感情は、森崎には分からない。
分からないがしかし、その立ち居地の一筋縄ではいかないことだけは、理解できた。

「一大隊の定数は平時230名。槍騎兵……つまり騎士が100名と、専任の砲兵が10名。
 それから騎士たちの家から供出される従卒が120名。原則として連中の輜重はこの従卒が務める」
「従卒も編制に含めてんのかよ」
「……」

森崎がこぼすのを、ヤングは無視する。

「南欧ドルファンといやあ陸戦の雄、ってな評判も今は昔、か……で、戦時は」
「戦時定数は550名。平時編成に加え、徴募のパイク兵160名、弓兵160名が加わる」
「徴募ねえ……農民や狩人を召し上げるって話だろ」

苦々しげに、森崎。

「その通りだ。そこはどの国でも変わらんな」
「……」
「他所と違うところといえば、我らが誇り高きドルファン陸軍では大隊所属の正騎士の数を
 大幅に水増ししていることくらいだ」
「なにィ!?」

驚愕は続く。

417 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/19(火) 03:51:12 ID:???
「騎士の定数は100名と言ったな。だが実のところそれが正騎士だけで満たされたことは、
 先のプロキア=ゲルタニア戦役以来、一度もない」
「……」
「現役で戦場を知る歴戦の騎士たちは年老い、騎士団を退いていく一方だ。
 軍属を望まん自由騎士どもを数に組み入れて、ようやく誤魔化している。
 ……今となっては、定数の約半分が自由騎士だ」
「ちょ、ちょっと待て」

開陳された事実を整理するように、森崎が言う。

「……つまり、この軍の主体である騎士団の、主戦力であるところの騎士は、
 実はその半分が軍属ですらねえ、あの決闘ごっこどもってことか!?」
「どうだ、笑えるだろう」
「笑うしかねえよ!」

叫ぶように言った森崎が、口の端を上げて笑みの形を作る。
天を仰げば、漏れた嘆息が青空に登っていく。

「ハハ、とんでもねえ国に来ちまったのかも知れねえな、俺……」
「ぼやくな、それだけ貴様らにも勲功を上げる機会が多いということさ」
「生き残れりゃ、な……」

新緑の季節の日はまだ高く、森崎の目を焼く。
瞼を閉じた森崎が、やがてがっくりと肩を落としてヤングの方へと向き直る。

418 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/19(火) 03:52:39 ID:???
「……はァ。ところでさっき、連中の輜重は従卒がやるって言ってたけどよ」
「ああ」
「肝心の、俺たちの補給は誰がやってくれるんだよ」
「それは御用の酒保商人が着いてくる。食料、武器防具の替えから博打、女まで何でもござれの一座だ。
 ま、分かってるだろうが連中に嫌われるとしんどいぞ、上手く付き合えよ」

言ったヤングが、ぽんと森崎の肩を叩くと踵を返して歩いて行く。
話はこれで終わり、ということのようだった。
もう一度深く溜息をついた森崎の見やる先で、きらきらと輝く銀鎧が馬とともに駆けていく。
取り囲む人垣からは、楽しげな歓声が響いていた。



******

419 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/19(火) 03:54:11 ID:???



訓練ダイス

※訓練は前後半に分かれています。
★マークごとにお一人づつ、!と numnumの間のスペースを消してダイスを引いてください。
目標値【50】に対しプラスマイナス30以内で成功、プラス31以上で大成功、マイナス31以下で失敗となります。
大成功時は成果が1.5倍、失敗時は0.5倍となります。


前半(体術)1
! numnum + ! numnum + ! numnum =

前半(体術)2
! numnum + ! numnum + ! numnum =

後半(魅力)1
! numnum + ! numnum + ! numnum =

後半(魅力)2
! numnum + ! numnum + ! numnum =



******

420 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/19(火) 03:55:13 ID:9bPY4BPI

今回は三つのスキル獲得チャンスがありますが、三つめは体術の結果次第……といったところで
本日の更新はこれまでとさせていただきます。
夜遅くまでのお付き合い、ありがとうございました。
それではまた、次回更新にて。


421 :◆9OlIjdgJmY :2012/06/19(火) 04:37:43 ID:???
61  +  79  +  38 =

422 :◆9OlIjdgJmY :2012/06/19(火) 04:43:23 ID:???
【数値加算】
EPを5消費して>>421の真ん中に+5します。
これで79+5=84で大成功になるのかな?

423 :◆9OlIjdgJmY :2012/06/19(火) 04:45:51 ID:???
コピペミスしてますね。加算も当然無効ですね…

前半(体術)1
54  +  30  +  61 =

424 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/19(火) 04:46:37 ID:???
>>422
はい、その通りです。
初めての数値加算、ありがとうございます。
システムの例示にご協力いただきましたので、CP1を進呈いたします。

425 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/19(火) 04:47:44 ID:???
>>423
本作では多少のコピペミスなどは判定に影響させないようにしておりますので、お気になさらず。
体術1は>>421-422を採用いたします。

426 :テトラ ◆yfCGLLZSBA :2012/06/19(火) 06:12:07 ID:???

前半(体術)2
55  +  92  +  68 =

427 :Q513 ◆RZdXGG2sGw :2012/06/19(火) 06:53:49 ID:???

後半(魅力)1
85  +  85  +  83 =

428 :森崎名無しさん:2012/06/19(火) 06:58:08 ID:???

後半(魅力)2
32  +  69  +  74 =


429 :さら ◆KYCgbi9lqI :2012/06/19(火) 08:16:50 ID:???

後半(魅力)2
81  +  41  +  88 =


430 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/21(木) 00:30:31 ID:???

皆様、ご回答ありがとうございます。
それぞれEP1を進呈いたします。



前半(体術)1
61  +  79(+5)  +  38 = 大成功1 成功2

前半(体術)2
55  +  92  +  68 = 大成功1 成功2

→大成功2 成功4


後半(魅力)1
85  +  85  +  83 = 大成功3

後半(魅力)2
81  +  41  +  88 = 大成功2 成功1

→大成功5 成功1

431 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/21(木) 00:31:32 ID:???
//体術訓練

ずうん、という地響きと共に叩きつけられた巨体が、そのまま地に這う。
濛々と舞う土埃の向こうから現れたのは、仁王立ちのヤングである。

「よし、次!」

言い放ったその鷹の如き目は、倒れたままぴくりとも動かない巨体など既に映していない。

「……今の、見たか?」
「ああ……あれだけ体格の違う男が宙を飛んだぞ……」

ぞっとしたように言うネイに、トニーニョが答える。
彼らは体術訓練の真っ最中であった。
体術といっても、徒手空拳の強さを競う格闘技の訓練ではない。
居並ぶ傭兵たちは一様に、利き手に刃を潰された剣や穂先が木で覆われた槍といった訓練用の得物を持ち、
もう片方の腕には厚い木の板に鉄の枠を取り付けられた円盾を固定している。
訓練はそれらを装備したままの密着戦を想定したものであった。

「どうした、次! 申し出る者はいないのか!」

ならば、というように犠牲者を探しだそうとするヤングの前に、手が挙がった。

「俺が行くぜ」
「モリサキ!?」
「うへえ、お前わざわざ死にに行くのかよ!」

仲間たちの驚きの声が響く中、一歩を踏み出した森崎がニヤリと笑う。

432 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/21(木) 00:32:33 ID:???
「なぁおっさん、本気でやってもいいんだよな? 怪我しても恨みっこなしだぜ」
「大口だけは一人前だが、そこに」

と、いまだ地に伏したままの巨体を顎で指したヤングが答える。

「そこに倒れてるのも確か、似たようなことを言っていた気がするぞ」
「ヘッ、一緒にするんじゃねえよ」

盾を前に構えた森崎が、言いながら無造作に間合いを詰める。
圧力をかけて近づき、足を掛けるか蹴りを見舞うか、それともそのまま盾で一撃を狙うかという動きである。

「俺らの国にはな、柔の技ってもんが―――」

口にしかけた森崎が、ぐるりと回転した。
構えた盾を支点とした、綺麗な一回転である。

「―――なにィ!?」

舌を噛まなかったのは僥倖というべきか、あるいは森崎も最低限度の矜持を見せたものか。
そのまま、背中から地面に落ちる。

「ぐっ……!」

どこをどうされたものか、森崎にもはっきりとはわからない。
盾でできた死角に伸びたヤングの手がその縁を掴んで固定し、更には一瞬の内に体を入れ替えて密着された、
かろうじてそれが認識できただけである。
気がついたときには、何事もなかったかのように立つヤングの姿を逆さまに見上げていた。

433 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/21(木) 00:33:33 ID:???
「……ほう、受身くらいは取れるようだな。なら遠慮はいらんだろう、立て」
「な……」
「ここからは手加減なしだ。存分に胸を貸してやる!」

牙を剥くように笑ったヤングの視線は、森崎を見据えて放さない。

「また始まったぜ……」
「ああ、モリサキのやつもエラいのに目をつけられたもんだ……」
「どんだけ東洋人嫌いなんだよ、あの鬼教官……」

外野のざわめきも収まらぬ。
そんな中、立ち上がった森崎が砂の混じった唾を吐き捨てると、再び盾を前に構えてヤングへと向き直る。

「いい度胸だ……来い! モリサキ!」
「そう何度も投げられてたまるかー!」


***


この日、文字通り足腰立たなくなるまで続けられた訓練の中で森崎が何度宙を舞ったのか、
数えていたものは誰もいない。
それでも日の傾いた荒野の真ん中、精根尽き果てて大の字に倒れた森崎に向けて
ヤングは言ったものである。

「貴様にも『見習い拳士』程度の素養はあるようだな! 明日からはまた違うメニューでしごいてやる!
 よく休んでおけ!」



434 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/21(木) 00:34:34 ID:???
******


※称号が『気のいい見習い拳士』になりました。

スキル『受身』を獲得しました。
種別:パッシブ
消費ガッツ:-
効果:個人戦闘時、DEF値を+10する。


******

435 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/21(木) 00:35:35 ID:???

//魅力訓練


「……確かに、良くなってるな」

褐色の優男、ネイが不意にそんなことを呟いたのは、やはり素振りの最中である。
言われた森崎が手を止め、怪訝そうに訊ねる。

「何だよ、藪から棒に」
「いや、前に言ってただろ、お前」
「だから、何を」
「女のコたちにきゃ〜きゃ〜言われたいってよ」
「あー……だっけか」

そんなことを言った気もする、程度の記憶で答える森崎に、ネイが苦笑する。

「何だ、覚えてないのかよ。ま、でも、どっかで意識してたんじゃないか。
 ちゃんと良くなってるぜ」
「つーか、さっきから何が良くなってる、ってんだ」
「いや、だから……」

一拍置いたネイが、それこそ女性に見られれば黄色い歓声を上げられそうな笑みを浮かべて続けた。

「―――カッコ良くなってる、って言ってんだぜ」
「……ぶっ!?」

思わず吹き出し、げほげほと咽たのは言われた森崎だけではない。
すぐ後ろで黙々と剣を振っていたトニーニョもまた、全力で咽返っていた。
そしてまた色めき立ったのは、無論のことジェトーリオである。

436 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/21(木) 00:36:53 ID:???
「ネイくんちょっとどいて。そいつ殺せない」
「どっから涌いて出たんだお前! 黙って自分の腹でも掻っ捌いてろ!」

背中に忍ばせた鞭状の得物へと手を伸ばす黒人に、ネイが思い切り蹴りを入れて黙らせる。
そんな姿を見ながら、しかし森崎も一歩を退く。

「い、いや、ネイ、お前……俺にそっちのケは……」
「そ、そうだぞネイ、個人の嗜好に立ち入る気はなかったが、そういうことなら先に言ってもらわんと……」
「ハァ!? ……って何言ってんだ、バカ! バカなのかお前ら!」

引き攣った顔で手を振る森崎、そして同様に青ざめた顔で後退るトニーニョの姿に、
ようやく何を勘違いされているのか気付いたネイが慌てたように言う。

「そうじゃねえよ! 俺だって野郎になんか一インチの興味もねえやい!」
「え……」
「そうなのか……」
「安心したような顔をするんじゃねえよ! 俺が好きなのは昔っから死ぬまで女のコたちだけ!
 知ってるだろ、そんくらい!」
「いや……それもカモフラージュなのかと……」
「だああっ! んなわけあるか!」

しばらくして誤解が完全に解けるまで、むくつけき傭兵たちの大部分はネイの周りから離れ、
ごく一部の数名は逆に妙に近い位置で素振りを続けていたという。


***

437 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/21(木) 00:38:27 ID:???

「……ふう、エラい目に遭った。何でちょっとモリサキのことを褒めただけでこんなことに……」
「災難だったな」
「お前が言うな!」

訳知り顔でぽんぽんと肩を叩く森崎に、ネイが噛み付く。

「まあまあ……ところで、モテモテ免許皆伝のネイ師匠のお墨付きってことは、
 俺もイケメン軍団の仲間入りってことか? ま、わかってたことだけどな」
「調子に乗んな」

ふぁさ、と黒髪をかき上げる森崎を、ネイが呆れたように見やる。

「前より清潔感は出てきたよ。だがまあ、せいぜいまだ『フツメン』ってとこだ」
「……何だよ、普通って」
「ま、スタートラインには立ててるってことさ。けど、このレースは長くて厳しいぜ。
 気を抜くとすぐ脱落するからな、精進しろよ」


******


※称号が『気のいいフツメン』になりました。

スキル『清潔感』を獲得しました。
種別:パッシブ
消費ガッツ:-
効果:魅力判定時、目標値を10下げる。同様のスキルとは効果が重複しない。


******

438 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/21(木) 00:40:43 ID:???

//複合スキル獲得


「最近、貫禄がついてきたな」
「あ? ……お前に言われると真実味があるな、貫禄番長のトニーニョさんよ」

長身に坊主頭の強面、更には全身が鍛え上げた筋肉で覆われた姿を見やって森崎が返すのへ、
トニーニョがその仏頂面を険しくする。

「茶化すな。……お前には、人を惹きつける何かを感じるという話さ。
 俺だけじゃない……他の連中やヤング教官も、近頃のお前には一目置いているだろう」
「おいおい、持ち上げても何も出ねえぞ。大体、俺がここに来てからまだ一ヶ月ちょいだぜ?
 近頃も何も……」

言った森崎に、トニーニョが表情を変える。
それは彼にしては珍しい、苦笑とも言える笑みであった。

「その短い期間で、いつの間にか人の輪の中にいる……お前には『リーダー』の才があるのかもしれないな」
「……よせやい、照れるぜ」
「それは」

手を振った森崎の仕草を止めるような、声音。
思わず見返した森崎の目に、トニーニョの苦い笑みは変わらず映っている。

「……それは、俺にはないものだ」

しかし紡がれる言葉は、どこか寂しげに響くのだった。


439 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/21(木) 00:41:44 ID:???
******


※称号が『気のいいリーダー』になりました。

スキル『鉄壁』を獲得しました。
種別:部隊アクティブ
消費練度:10
効果:使用ターン、任意の1部隊の防御ダメージを50%にする。


******

440 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/21(木) 00:42:49 ID:???

*D26.5 「気のいいリーダー」森崎有三
メインイベント
『少女と騎士』


新緑の薫りも強くなってきた、ある朝のことである。
欠伸混じりの森崎が、まずは水でも汲みに行こうかと部屋を出ようとした、その足元で
カサリと鳴るものがあった。

「……手紙?」
『何なに、どーしたの?』

扉の下に挟まれた、それは白い封筒であった。
拾い上げた森崎が朝の光に透かすように、表裏を改める。
宛名はない。

「直接届けに来たってわけか」
『でも、この名前って……』

白い封筒に宛名は書かれていない。
しかし、裏には小さな字で差出人の署名があった。
―――ソフィア・ロベリンゲ。

「……」
『とりあえず、開けてみようよ』
「……そうだな」

441 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/21(木) 00:44:02 ID:???
ピコに促された森崎が、部屋の中に戻ると文机へと向かう。
特に封緘はされていない封筒を開けると、中にはやはり白い便箋が一枚。

  ―――この間は申し訳ありませんでした。

ユーゾー・モリサキ様、と書かれた手紙は、そんな謝罪から始まっていた。

「……この間、か」
『あのジョアンとかいうキザ男のことだよね』

あの、薄闇の道を思い浮かべる。
自分とは無関係だと必死に言い募った彼女。
振り向かなかった、その背中。
その真意が、直接に書かれていたわけではなかった。
しかし、礼と謝罪とが幾重にも織りなされる文章から、それは匂い立つようであった。

『……ホント、嘘のつけなそうな子だね』
「バカ正直というか、なんというか……」

そんな手紙の締めくくりは、意外な言葉で結ばれていた。

「……つきましては次のお休みの日、五月祭が開かれます。
 この街を知っていただくには良い機会かと存じます。
 宜しければ、是非ご案内させていただきたく……か」

読み上げた森崎の頭に、ピコがひらりと舞い降りる。

『お礼……ていうか、デートのお誘いじゃない、これ?』
「まあ、そう読めるな」
『ふふ〜ん、この色男! ……で、どうするの?』

ちょいちょい、と頭をつつくピコをぞんざいに振り払いながら、森崎が口を開く。

442 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/21(木) 00:46:13 ID:0J7QSWn+
「どうするもこうするも……」


*選択

A 誘いを受ける。

B 言い訳を探してみる。


森崎の行動としてどれか一つを選択して下さい。
その際【森崎の心情から、選択理由】を必ず付記していただくようお願い致します。
期限は『6/21 23:00』です。


***


最速での「鉄壁」獲得はちょっと予想外でした、といったところで
本日の更新はこれまでとさせていただきます。
夜遅くまでのお付き合い、ありがとうございました。
それではまた、次回更新にて。

443 :さら ◆KYCgbi9lqI :2012/06/21(木) 11:51:28 ID:???
A 季節毎のイベントって大切にしたいですね。
森崎ならば恋愛感情が有るかどうかは別にして少女の好意は無下にはしないと思います。

444 :ノータ ◆JvXQ17QPfo :2012/06/21(木) 15:53:01 ID:???
A
理由:何らかの策略が蠢いている可能性も否定できないが、この少女の誘いを断る理由は特にない
   むしろ前の訓練で仲間から良い評価を受けた森崎なら自信を持ってこの誘いを受けると思います   
   障りのない服装、清潔感ある感じになった森崎は、どう思われるか気になるはず

445 :◆W1prVEUMOs :2012/06/21(木) 21:41:23 ID:???

ソフィアがキザ男の目を盗むという危ない橋を渡ってるのに、それを無下にしたら男がすたる

446 :◆9OlIjdgJmY :2012/06/21(木) 22:59:12 ID:???

ソフィアが心配なのは勿論、ジョアン本人も重要人物ぽいので情報が欲しい。
あいつがボンクラだと森崎の戦死確率が上がりそう。

447 :さら ◆KYCgbi9lqI :2012/06/22(金) 00:21:04 ID:???
この国の軍のありようを聞く限り契約期間中にこの国滅びてもおかしくない感じだね。

448 :傍観者  ◆YtAW.M29KM :2012/06/22(金) 00:33:13 ID:???
少なくとも、このまま進めば滅びかねない国のあり方ですね

449 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/22(金) 00:42:11 ID:???
皆様、ご回答ありがとうございます。
それでは早速、>>442の選択については……

>>444 ノータ ◆JvXQ17QPfo様の回答を採用させていただきます!
魅力訓練の結果から自信をつけているという視点は非常に新鮮でした。
なるほど、流れとしても自然ですね。
CP3を進呈いたします。


>>443
確かに今の森崎がそういった行動を取るのは考えにくいですね。
一年目の季節イベントはメインイベントに関わることが多くなっていますので、
来月以降に出てくる新キャラクター共々お楽しみ下さいませ。

>>445
はい、ソフィアはソフィアで色々と多方面に気を遣う立場にあります。
男としてフォローしてあげたいところですね。

>>446
自由騎士は軍属ではないので指揮権こそありません(もっと言えば参戦義務すらありません)が、
人手不足のドルファン軍においては彼らが戦局に影響を与えるのは確かですね。
ちなみにジョアン本人についてはまだ秘密ですが、自由騎士の大半はボンクラです…。


ご回答いただいた皆様にEP1を進呈いたします。


450 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/22(金) 00:50:48 ID:???
>>447
はい、実はドルファンの軍事力はガタガタです。
政治と外交の側でどうにか綱渡りを続けているのが現状ですね。
まあ、だからこそ傭兵が活躍する余地もあるのですが…。

>>448
現状で開示されている情報はまだまだ氷山の一角ですが、
確かに未来を楽観視できる状況ではありませんね。
一番の問題は、当事者たちの多くがその危機感を持てていないことです。

451 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/22(金) 00:54:08 ID:???
******


それから幾つかの日が流れ、瞬く間に五月祭の当日となった。
まだ小鳥の囀りが響く朝のこと、森崎が覗き込むのはこの日のために新調した手鏡である。
映り込んだ顔に髭の剃り残しがないことを確認した森崎が、濡らした髪の流れを手櫛で整える。
身につけた服も清潔感のある白いシャツに、細身のパンツ。
色はこの春流行の枯葉色である。

『ま、流行ってるってノエルさんに勧められたのを、そのまま買っただけだけどね』
「うるさいな。流行なんて研究する時間はなかったんだよ」
『でも今回は最初から普通っぽい服、売ってくれたね』
「いや、あれは絶対隠し玉を用意してる目だったぞ……油断できねえ」
『目ぇ〜? へえ、胸しか見てないのかと思ったよ』
「それは男として当ぜ……ゴホン、何のことだか分かんねえな」

咳払いとともに言った森崎が、もう一度鏡を覗くと、一つ頷く。

「さて、とりあえず……」
『身だしなみは整えたね。最低限』
「一言余計だっつーの」
『何だかんだ言って、結構ノリノリじゃない……』

呆れたように言って中空をくるりと回ったピコに、森崎が指を振ってみせる。

「チッチッチ、一度やると決めたら完璧を期すのが俺の流儀だぜ」
『こないだネイに褒められたからって、すっかり自信つけちゃって……』

半目になったピコには構わず、森崎が手早く革のベルトに愛用の長剣を提げて言う。

452 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/22(金) 00:55:09 ID:???
「出るぞ」
『え、もう? まだ約束の時間にはかなり早いけど……』
「バーカ、まずは相手の下調べだ。本当なら昨日までにやっておきたかったんだけどな」

余暇、という言葉を差し挟む余地のない地獄の訓練を思い浮かべて渋面を作る森崎。
小さく首を振って嫌な記憶をかき消すと、部屋の扉を開ける。

「敵を知り、己を知れば……ってのは兵法の鉄則だろ」
『そういうとこ、いやらしいよね』
「……」

じろりと睨んで歩き出した森崎を追いかけて、ピコがぱたぱたと羽ばたく。

『待ってってば! もう、それで具体的にはどうするの?』
「誰もが足を運んで、情報が集まる場所がある」
『酒場?』
「相手は女学生だっつの」


***


白い壁には彫刻による精緻な装飾。
ステンドグラスには聖母の姿が刻まれ、朝陽に美しく煌めいている。
重厚な扉の上に掲げられた黄金の十字架を見上げたピコが、ポツリと呟く。

『……教会?』
「そうだ」
『デートの成功でもお祈りするの?』
「んな女々しい真似するか!」
『わ、こわ〜い』

453 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/22(金) 00:59:00 ID:???
怒鳴られたピコが、悪びれた様子もなく青い空へと舞い上がる。
それを見上げた森崎が、ため息をついて続けた。

「そもそも森崎家が奉じるのは代々、熱田の神宮と決まってるんだよ。
 まあこっちで必要になることもあるから、礼拝の仕方くらいは知ってるけどな」
『冗談だよ。いつも通り、教区の信徒名簿を覗くんでしょ?』

再びふわりと降りてきたピコが言うのへ、森崎が渋面を作る。

「ひどい言われようだな」
『確かに生まれた年月から住所、家族構成なんかもわかるけどさ……わりと姑息だよね、キミ』
「知能派と言え、知能派と。いくら俺が清潔感に溢れた……」
『フツメンだからって』

さらりと言ったピコに、森崎の言葉が一瞬途切れる。
目を閉じ、息を整えて言い直した。

「いくら俺が清潔感に溢れたイケメン予備軍だからって、何の準備もなしに
 敵地に飛び込むのは主義に反するのさ」
『あ、そ……で、その予備軍さんはどうやってそれを見せてもらうつもり?』
「それはだな……」

454 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/22(金) 01:00:09 ID:bLORINas
*選択

A 正面から頼み込む。

B 策を弄する。

C きっといるに違いない美人のシスターと仲良くなってしまおう。(必要CP:1)


森崎の行動としてどれか一つを選択して下さい。
その際【選択理由】を必ず付記していただくようお願い致します。
またBを選択する場合はこれまでの描写・スキル・称号・パラメータなどから【手段】を提示して下さい。
期限は『6/22 23:00』です。

455 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/22(金) 01:02:15 ID:???
楽しいデート、その前に……といったところで、
本日の更新はこれまでとさせていただきます。
夜遅くまでのお付き合い、ありがとうございました。
それではまた、次回更新にて。

456 :傍観者  ◆YtAW.M29KM :2012/06/22(金) 01:05:00 ID:???
C 冬馬由美好きなんだよね、という本音はともかく。
  わざわざCP使う選択肢なんだし、有利になってくれるでしょう、と。

457 :さら ◆KYCgbi9lqI :2012/06/22(金) 10:42:25 ID:???
A傭兵という職業柄、ドルファン出身の商人や船乗り又は傭兵の名前ぐらい覚えてても、おかしくないと思います。
教会の神父さんなら世話になったので、その人の遺族に会いたいとか住所が知りたいって云えば見せて貰えるんじゃないかな。

458 :ノータ ◆JvXQ17QPfo :2012/06/22(金) 22:55:41 ID:???
C
理由:例外的にCPを使った選択肢には裏ワザの可能性があるため
   恐らくこの選択肢がそうではないかと判断しました

459 :◆9OlIjdgJmY :2012/06/22(金) 22:59:57 ID:???

デートの予行演習もかねて

460 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/23(土) 00:56:48 ID:???
皆様、ご回答ありがとうございます。
それでは早速、>>455の選択については……

>>457 さら ◆KYCgbi9lqI様の回答を採用させていただきます!
どちらかと言えばB寄りの回答という気もしますが、手段の提示はお見事でした。
CP3を進呈いたします。


その他の皆様全員で特殊選択肢であるCを選ばれるというまさかの展開には驚きましたw
が、残念。これは普通にネタ選択肢です……。
こういう場合は基本的にハイリスク、(場合によっては)ハイリターンというパターンが多くなっています。
ちなみに今回もし選ばれていたら、基本的にガッツ消費、低確率(5%程度)で称号&スキル獲得でした。

特殊選択肢にて初の回答をいただいた皆様には、システム例示で物語の進行を補助していただいたことに対して
それぞれCP1を進呈いたします。



>>456
おお、いいご趣味ですね。
冬馬さんの演じるもう一人は攻略難易度が高すぎる(おそらく初回プレイでは早期にバッドエンドが確定する)ため
今回は顔見せがあるかどうかという程度の予定ではありますが、ご要望次第では出番増量も……?

>>458
今回はこのような結果となりましたが、賭けに出ることで大きな成果を得られることも確かにありますので、
ここぞという場面でまた挑戦してみて下さいね。

>>459
本番がこの直後なので、さすがにもうちょっと間を空けたいところですねw

461 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/23(土) 00:58:37 ID:???
***


A 正面から頼み込む。



その空間は静謐に満ちている。

「お邪魔しま〜す……」

分厚い樫の大扉は、森崎が引くと音も立てずに開いた。
柔和な白に統一された内壁は森崎の視線よりも少し上からアーチを描き、頂点で繋がって
ドーム状の天井を形作っている。
飾り窓から射す朝の光が古びた長椅子を飴色に照らし出す、その中を貫くのは深い紅の絨毯だった。
真っ直ぐに祭壇へと続くそれは、さながら告解の道である。

「……誰か、いませんか〜」
『ねえキミ、どうしてそんなに小声なの』
「大声出せる空気じゃねえだろ、何か」

おそるおそる、といった風情で絨毯を踏みしめる森崎の、その囁き声すら音の波となって
壁に反響するように感じられた。
陽光の透き通るような白と内壁の乳白に押し固められた静謐を揺るがす、それは罪悪である。
自然、押し黙った森崎が無人の教会の中央に立ち尽くす。
外に囀る小鳥の声も、この白の中には届かない。
まるで時の止まったようなその空間に、

「――――何か御用ですか」

唐突に、声が響いた。
低く、静かな、しかし異様に近い、声。

462 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/23(土) 01:00:17 ID:???
「……ッ!?」
『ひゃああっ!?』

ほとんど耳のすぐ後ろで発せられたような声に、反射的に振り返る森崎。
そこに、影はない。
しかし、数歩。
ほんの数歩を離れた場所に、白が、揺れていた。

「あ、あ、あんた……!?」
「……当教会に、何か御用でしょうか」

ゆらりと揺れた白の下には、透徹した瞳がある。
成る程、この瞳の持ち主ならば気配を感じさせぬのも当然と覗き込む者に納得させるような、
それは真夜中を吹く風の、黒。

「や、あの、その……」

純白に身を包んだ、黒い瞳の女。
白はベールと修道服。
女は、シスターであった。

「お話を、伺います」

微笑と銘打たれた仮面を隙なく被ったような笑顔を浮かべたシスターの、
低く掠れた声が堂内に響いた。


***

463 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/23(土) 01:01:17 ID:???


「……なるほど。最近この街へいらしたのですね。それでこの街に住んでいるはずの、
 以前に世話になられた方の消息が知りたい……と」

純白のベールの下から覗く静謐な微笑は、淡々と紡がれる言葉と相まってひどく乾いた印象を与える。
喉がひりつくような感触を覚えた森崎が、唾を飲み込みながら曖昧に頷く。

「はあ……まあ、そんなところで……」
『テキトーなこと言っちゃって』

頭の上にちょこなんと肘をついて言うピコの言葉は無視しつつ、森崎が困ったような笑顔を浮かべて続ける。

「……いや、それでその、信徒名簿なんかを……まあ、見せてもらえれば、話も早いかと思いまして……」
「構いませんよ」
「だよな、いや、だと思いました! それじゃまあ、そういうことで……って、いいのかよ!?」

あまりにもあっさりと頷いたシスターに、思わず踵を返そうとしていた森崎が
逆に驚きと共に訊き返す。

「いやいやいや、マズいんじゃねーのそういうの!? もうちょっとこう、警戒心をだな」
『キミが言うかね……』
「私どもの教区では、特に隠し立てするようには申しつかっておりません。
 名簿に記載をさせていただく際にも、その旨は皆様にご説明しております」
「あ、そ、そうなんだ……、ですか……?」

取り乱す森崎とは対照的に、あくまでも平静かつ淡々と話すシスター。
ひどく釈然としない気持ちで森崎が呟いたときである。
きい、と微かに軋む音を立てながら、祭壇の脇に据えられた扉が開いた。

「―――何を騒いでいるのですか」

464 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/23(土) 01:02:18 ID:???
扉の向こうから現れたのは、一人の男である。
足元までを真っ直ぐなラインで覆う黒のキャソックを纏い、背中まで垂れる栃色の長い髪をまとめるように
頭頂に乗せた円形の帽子、カロッタはやはり司祭の位を表す黒の一色。

「あ、神父様……」

シスターが神父と呼んだ男は、ほとんど足音すら立てることなく歩いてくる。

「申し訳ありません、こちらの方が名簿をご覧になりたいと……」

神父が、森崎から数歩の位置で立ち止まる。
背の高い男であった。
口元には神職にある者らしく柔和な笑みを浮かべていたが、小さな丸眼鏡の向こうに光る、
見下ろすような視線はおそろしく熱量が低い。

「……」
『……なんだか、寒くない?』

露出した腕をさすりながら、ぶるっと震えてみせたピコの方へと目をやる余裕は、森崎にはない。
得体の知れぬ怖気は、本能が眼前の神父を警戒しているものであった。

「そうですか、あなたが」
「……」

かけられる声はねっとりと柔らかく、しかし肌にへばりついて毛穴から沁み渡るような、
生理的な嫌悪感を催させるものである。

465 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/23(土) 01:04:34 ID:???
「結構ですよ。我が教区にお住まいになっている方であれば、どなたでも名簿をご覧いただけます。
 貴方も今は我が教区の信徒ですからね、森崎有三さん」
「……」
『ねえ、今この人、すんごい流暢にキミの名前を発音しなかった?
 モリサキ、じゃなくて森崎、だったよね。日本語できるのかなあ』

感心したように言うピコだったが、森崎自身はまったく違うことを考えていた。

(問題は、そこじゃねえ。……俺はまだ、名乗ってねえんだぞ)

だが神父は、平然と森崎の名を呼んでみせた。
自身が事前に調べ上げられているという事実は言いようのない不気味さを感じさせる。
そしてまた何より森崎の神経をささくれ立たせたのは、今この場でそれを明らかにしてみせた
神父の意図が判然としないことである。

(ついうっかり……なんてワケ、ねえな)

森崎が逸らすことなく見返したままでいる神父の目には、理性の光があった。
たとえそれが触れる者を凍てつかせるような極低温の煌めきであったとしても、
少なくともつまらない間違いで手の内を明かすような男にできる眼差しではない。
ならばそれは恫喝か、警告か、或いは他に何かの思惑があるのか。
その目的が分からぬことが、森崎の心を波立たせる。
と、そんな森崎の内心を知ってか知らずか、神父がついと頭を下げると、笑みを深くしてみせた。

「……失礼。私はこれから所用がありまして、出かけなければなりません。
 何かあればシスター・ルーナにお聞き下さい」
「……」

無言を貫く森崎の態度にも、神父が表情を変えることはない。
色のない笑顔を向けて、言う。

466 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/23(土) 01:05:35 ID:???
「弱者は己に頼らず、天に頼るしか術はありません。
 教会はいつでも扉を開いております、いつでもお越し下さい。……それでは」

言い終え、十字を切った神父が、シスターに向けてひとつ頷くと、歩き出す。
現れたときと同じようにほとんど足音を立てぬ神父は、そのまま教会の大扉から出て行くのだった。


***


「しっかりした紙だな。……この手の技術もスィーズランド譲りってわけか」

神父がいなくなって暫く経つ今もなお、警戒感はまだ全身を支配している。
それでも森崎は、ともかくも最初の目的を果たすべく、シスターから渡された教区名簿の
分厚い皮表紙を開いていた。

「ロベリンゲ、ロベリンゲ……と。お、これだな」
『どれどれ? ……ひゃ!』

名簿の上に身を乗り出すピコを摘み上げ、脇に移動させる森崎。

『もう! 口で言えばいいじゃない!』
「ソフィア・ロベリンゲ……ふむふむ」
『ね、聞いてる!?』

抗議を無視した森崎が、そこに書かれている文字列に目を走らせていく。
ソフィア・ロベリンゲ。
D**年、12/10生まれ。
学生、所属はドルファン学園。
家族は父ロバート、母ロミルダ、弟エリク。
現在フェンネル地区**号在住―――。

467 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/23(土) 01:06:39 ID:???
「……ま、こんなところか」

ソフィア、そして家族の情報に一通り目を通した森崎が顔を上げると、
そこにピコの姿はない。

「……あれ? おーい、もういいぞ、ピコ!」
『もう、キミなんか知らない!』

呼んだ森崎に返ってくるのは、声ばかりであった。


***


サウスドルファン駅はドルファン地区の南西、シーエアー・フェンネルのそれぞれと
境を接する位置にある、環状馬車の停車駅である。
五月祭の今日、周辺で様々な催し物が開かれる沿道は黒山の人だかりであった。

「さーてと、約束の時間にはまだ少し早いが……」
『あれ? ねえ、あそこ……ソフィアじゃない?』
「ん?」

目印にと指定された軽食店の近くまで来た森崎が辺りを見回していると、
ようやく機嫌を直したのか、再び姿を現したピコにつんと袖を引かれる。
言われた森崎が目を細めれば、人波の向こう、歩行者の流れから少し離れた壁に
そっと寄り添うように立つのは、確かに待ち合わせの相手である少女のようだった。

「……いつから待ってるんだ?」
『まあ、遅れて来るようなタイプじゃないだろうけどねえ』

そんなことを言い交わしながら、人ごみをかき分けてそちらへと向かう森崎。
その目の前で―――

468 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/23(土) 01:07:40 ID:eXV6pfKY

*ドロー

目の前で? → ! card


※ ! と card の間のスペースを消してカードを引いて下さい。
結果によって展開が分岐します。

スペード・ハート・ダイヤ→こちらに気付いたソフィアが歩いてくる。
クラブ→ソフィアに声をかけるナンパ男が。またか!
JOKER→突然、馬車を引いていた馬がいななくと、手綱を振りきって駆け出した! 暴れ馬だ!


469 :傍観者  ◆YtAW.M29KM :2012/06/23(土) 01:10:14 ID:???
目の前で? →  ダイヤ2

470 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/23(土) 01:45:07 ID:???
>>469
ドローありがとうございます。
EP1を進呈いたします。


***


スペード・ハート・ダイヤ→こちらに気付いたソフィアが歩いてくる。


「あっ……モリサキさん」

小さく手を振りながら歩いてくる少女は、森崎がこれまでに見た姿とは大きく印象が違う。
それもそのはず、今日の彼女が纏っているのは学園の制服ではないのだった。
ともすれば儚げな印象を与えるその上半身を包むのは、淡い緑色のブラウス。
その上から薄桃色の精緻な刺繍を施されたショールを肩にかけ、腰から下を覆う紅色の長いスカートは
ふわりと初夏の風に揺れてやわらかいシルエットを描いている。
栗色の髪は若草色のリボンで一つにまとめられ、ちょうど馬の尾のように後ろへと垂らされていた。

「おはようございます。今日はいらしてくださって、ありがとうございます」

正面に立つや、深々と頭を下げるソフィア。
ぴょこんと、まとめられた髪が跳ね上がった。
鷹揚に頷き返す森崎にどこか困ったような笑顔を浮かべながら、ソフィアが続ける。

「毎日お疲れのところ、無理を言ってしまったんじゃないかって、ちょっと心配で……」
「……」
「えっと……私、どこか、変……ですか?」

無言のまま見つめる森崎に、僅かに顔を赤らめてソフィアが訊ねる。
そんなソフィアを前に、森崎は―――

471 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/23(土) 01:48:17 ID:eXV6pfKY

*選択

A 服を褒める。

B 照れて口ごもる。


森崎の行動としてどれか一つを選択して下さい。
その際【選択理由】を必ず付記していただくようお願いいたします。
期限は『6/23 23:00』です。


******


実はこの欧州世界、原作からしてイベリア半島とイタリア半島が存在しません。
ローマがないなら、はてさてこれは何カトリック? といったところで
本日の更新はこれまでとさせていただきます。
夜遅くまでのお付き合い、ありがとうございました。
それではまた、次回更新にて。


472 :雑魚モブ ◆.xniaLTHMk :2012/06/23(土) 15:54:22 ID:???
A
森崎自身が服のセンスが無いので素直に感心すると思ったから
また、ソフィアの反応から服について何か言ってもらいたいのではと思ったから

473 :源氏 ◆rLDAH8Hy8Y :2012/06/23(土) 16:16:44 ID:???
A

大人の男である森崎は女学生相手に照れたりなどしないっ
自分がこの日の為に身だしなみ服装に気を使ったように、ソフィアも……と思うと
感じた通りの言葉が素直に出るのではないだろうか。

474 :◆W1prVEUMOs :2012/06/23(土) 18:01:55 ID:???

森崎がおっぱい星人に見えるのは、実はロリコンをカムフラージュしているからである

475 :さら ◆KYCgbi9lqI :2012/06/23(土) 19:02:28 ID:???
A精一杯のオシャレをしてきたであろうソフィアの気持ちを理解しない森崎ではないでしょう。

476 :Q513 ◆RZdXGG2sGw :2012/06/23(土) 21:38:34 ID:???
B
意外とシャイなんじゃないかな。あと、迂闊な誉め方をしてミスるのがこわかったり

477 :◆9OlIjdgJmY :2012/06/23(土) 22:26:46 ID:???

リーダーの資質があるなら細かい気遣いもできそうなので。

478 :見てる人 ◆S/MUyCtQBg :2012/06/23(土) 22:47:37 ID:???
A 
森崎は、ソフィアがいつもと違う格好をしていることに気が付いてる。
そして、前のオッパイの女の人とは違い、年下の女の子だから。なんとか頑張って褒める。
ここで照れて口ごもるような男だと、この先、女難の相が見えてくると思うし。

479 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/24(日) 16:06:25 ID:???
皆様、ご回答ありがとうございます。
それでは早速、>>471の選択については……

>>473 源氏 ◆rLDAH8Hy8Y様の回答を採用させていただきます!
なるほど、自身が努力した分、相手も頑張っている……忘れがちですが忘れてはいけない、
実に良い観点だと思います。
CP3を進呈いたします。

また同様にソフィアの努力について言及して下さった>>475 さら ◆KYCgbi9lqI様、
>>478 見てる人 ◆S/MUyCtQBg様、また現在の称号という効果的な切り口を提示していただいた
>>477 ◆9OlIjdgJmY様にもそれぞれCP1を進呈いたします。


>>472
そうですね、せっかくのデートですから出会い頭に好意的なリアクションをしてほしいと思うのは
普遍的な心理でしょう。
策がないなら服を褒めろ、あってもいいけどとにかく褒めろ、という格言(?)は
初デートから倦怠期まで広範囲にカバーできるアクティブスキルです。

>>474
斬新な視点! ……ですが、この物語の登場人物は全員18歳以上です。
そうは見えなくても世の中のルール的にそうなっています。
……それはともかく、ロリコンという名の紳士なら照れずにエレガントに相手を愛でましょう!

>>476
本作でのカード判定は基本的に「運を天に任せる」という状況を想定しますので、
相手のリアクション自体にドローを入れることはあまりしないようにしています。
そういった判定が必要とされる場面では、たとえば『褒める』という選択肢に
最初から「どう褒めるか」という【手段】を明記していただく形になりますので、
その意味ではご安心下さい。

480 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/24(日) 16:07:38 ID:???
***


A 服を褒める。


「ああ……すまん、つい見つめちまった」
「えっ……?」

どこか変か、と問われて間髪入れずにこう答えたのが森崎である。
彼は少年とは違う種類の生き物、即ち男性であった。
そして彼はまた、少女が女という生き物とイコールであることを知っている。

「学園の制服しか見たことなかったからな。……可愛いぜ、そのカッコ」
「……っ」

目の前の少女が、自分が費やした手間暇など比べ物にならないほど、今日という時間のために
様々なものを消費し、消耗し、あるいは練磨し、研鑽したことくらいは理解している。
それはたとえば履き古した革靴の代わりに彼女の足元を彩る赤いストラップシューズであり、
白く眩しい首元あたりから微かに漂う柑橘系の香りであった。
だからこそ、賞賛を込めて素直に告げたその一言は、しかし劇的な効能を示す。
ソフィアは、一瞬にして赤面したのである。

「……あ、あ、ありがとう、ございます……っ。
 私、あんまりそういうの、言われたことなくて……」

481 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/24(日) 16:09:30 ID:???
言った森崎の方が驚くほどに、耳まで赤く火照らせた少女が、俯き、一瞬だけ顔を上げ、
森崎と視線を合わせるやすぐにまた地面に親の敵でも見つけたように下を向きながら言う。
言葉通り、正面から褒められることにまったく慣れていないようだった。
女性は賛美を糧に美しくなるものだ。
だから美しい女性が好きならばその時々で素直に褒めるのが巡り巡って自分のためにもなる。
森崎はそんな風に考えていたが、それを彼女と同世代の少年たちに求めるのはまだ酷だっただろうか。
それにしても、と森崎は心の隅で思う。
まるきり耐性というものがないように見えるこの少女には、婚約者と称する男がいる。
ジョアン・エリータス。
あの傲慢な男は、彼女を賛美し、言葉で愛でることはないのだろうか。

(……ま、それでどうって話でもねえか)

口に出すことは流石にできない、そんな疑問を森崎は喧騒の中に捨てて少女へと向き直る。

「あの、五月祭は、お祭りですから……その、普段より、頑張る日で……。
 それで、いつも着られないような服、なんかも、頑張ってみようかな、って……」

ソフィアの、言い訳とも照れ隠しともつかぬ弁明はまだ続いていた。
その消え入るような声に、森崎は笑顔を浮かべて頷く。

「そっか。うん、いいと思うぜ、そういう気持ち」
「……はいっ」

春の花のような笑顔が、ようやく咲いた。


***

482 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/24(日) 16:20:15 ID:???


「そこのお嬢さん、五月の花嫁になってみないかい!」

そんな声がかけられたのは、森崎とソフィアが出店を冷やかし、果汁入りの氷水を飲みながら
歩いていたときのことだった。
見て下さいあのお花綺麗ですね、おぉそうだな見たことないけど何て花なんだろうな、
あれもチューリップなんですよ珍しい品種ですけど、へえそうなのかよく知ってるな、と、
二人がその声を完全に無視したのは、自分たちにかけられたものだとは露程も思わなかったからである。

「ねえ俺っちの話、聞いてるかな! そこの黒髪の人の横の、そうあなた、お嬢さん!
 五月の花嫁、ねッ!」
「……?」
「あァ!?」

ほとんど肩に手が触れんばかりの距離にまで近づいて再度発せられた、どこまでも軽い声に
ソフィアと、そして森崎が振り返る。
立っていたのは、中年男性であった。
僅かに生え際の後退した髪を油でびっちりと固め、身にまとうモーニングは原色の黄。
陽光にチカチカと反射するのは金糸銀糸の刺繍だろうか。
まるでノエルの作る『上級者向け』の服だな、と思いながら森崎が男に向けて一歩を踏み出す。
ちょうどソフィアを背に隠すような位置取りである。

「……男連れを目の前でナンパたぁ、いい度胸だな」
「ぃえっ!? ちょ、ちょっと東洋のお兄さん……目が、目が怖い!
 そうじゃなくて、五月の花嫁が、ちょっとお話、聞いてもらえませんかァー!?」

ぺき、ぺきと拳を鳴らす森崎を、しかし押し留めたのは意外なことにソフィアであった。

「あ、あの、モリサキさん!」
「……?」
「た、たぶんこの方は、その、モリサキさんがお考えのような方では、ないと……思います」

483 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/24(日) 16:21:38 ID:???
そんなソフィアの様子に、怪訝な顔をしながらもひとまずは拳を下げる森崎。
そう、そう教えてあげて、と必死に頷く男にちらりと目をやってから、ソフィアが続けた。

「五月の花嫁っていうのは、この辺りに昔からある言い伝えなんです。
 天使さまの御遣いとして選ばれた女の人が、幸運と祝福を運んでくる……っていう」
「そうなの! それで、その伝説にあやかって、このドルファンの五月祭では
 毎年『五月の花嫁』を選ぶコンテストが、ここ大事なトコね、花嫁コンテストが開かれるの!
 俺っちはその参加者をね、集めてるってワケ!
 お兄さんの大事なコにちょっかいかけたんじゃないの、おわかり?」

ソフィアの言葉を継いで一気に言い切った男が、引き攣った笑顔のまま森崎に人差し指を立てる。
ふん、と鼻を鳴らした森崎が、ソフィアの方へと振り返った。

「……と、言ってるが……」
「はい、そういうコンテストは確かに毎年開かれていますけど、でも、あれは事前の抽選で
 出場する人を決めるって……。倍率も、すごく高いっていう話で……」

話を振られたソフィアが僅かに眉根を寄せる。
森崎の表情が再び険しくなっていく気配を感じたか、男が慌てたように口を開いた。

「いやー、それが、それがね! 今年に限って事故だ目眩だ腹痛だ、しまいには本当に花嫁に、
 どころか母ちゃんになっちまうからこっちには出られないわー、なんてのまでいる始末で、
 土壇場で結構な欠員が出ちまってるのよ! 俺っちたち、運営全員大弱り!」

大袈裟に頭を抱えてみせる男。

「……それで、そうやって飛び込みで参加者を募集してるってわけか」
「そう! お兄さん、話が早い!」

一瞬で立ち直った男が、くるりと回ってソフィアの正面に立つと、覗き込むようにして言う。

484 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/24(日) 16:22:40 ID:rCmrQzP6
「……で、どう? お嬢さん」
「どう、って言われても……」
「俺っちも長年このコンテストに関わってんだけどさ、お嬢さんにはこう、光るものを感じるんだよね!
 ビビーっと! ……きっといい線いくからさ、出てみよう、ネ!」
「で、でも、急に言われても、衣裳なんかも持ってませんし……」

立て板に水の如くまくし立てられたソフィアが及び腰で答えるのを、男が軽くいなす。

「そんなのこっちで用意してるから!
 お嬢さんは身一つで来てもらえれば、後はステージに立つだけ!」
「……ステージ」

ふとソフィアの呟いたその単語は、ただ男の言葉を繰り返しただけのようにも、
あるいはどこか、遥か遠い何かをぼんやりと見やりながら口にされたようにも、聞こえた。

「……」

視線が、森崎と交錯する。



*選択

A 花嫁コンテストへの参加を勧める

B 辞退するように勧める


森崎の行動としてどれか一つを選択して下さい。
その際【選択理由】を必ず付記していただくようお願いいたします。
期限は『6/25 23:00』です。

485 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/24(日) 16:24:00 ID:???
******

といったところで、まだまだ早い時間ではありますが、
本日の更新はこれまでとさせていただきます。
お付き合い、ありがとうございました。
それではまた、次回更新にて。

486 :雑魚モブ ◆.xniaLTHMk :2012/06/24(日) 18:50:48 ID:???
B
ウマイ話には裏があるってのが世の摂理だし、この男が本物の運営者かどうかもの怪しいので警戒するにこしたことはない
また、仮に参加して優勝でもしてジョアンに森崎と一緒にいたことが知られるとソフィアが何されるか分からないから

487 :傍観者  ◆YtAW.M29KM :2012/06/24(日) 19:16:36 ID:???
A
確かに、優勝(あるいは参加だけでも)すればジョアンとの関係は悪化するだろうが、
「あるいはどこか、遥か遠い何かをぼんやりと見やりながら口にされたようにも、聞こえた。」
ってことは、彼女の物語に関わる何かが「ステージ」や「芸能」にあるんだろうね。
男ならトラブルを嫌うのではなく、物語に飛び込むべきではないかな。

488 :さら ◆KYCgbi9lqI :2012/06/24(日) 20:29:12 ID:???
【ピココール】
この男は本当に大会運営の人間だと思うか?
それにこんな都合良い話があるものだろうか?

489 :ピコ ◆ALIENo70zA :2012/06/24(日) 22:45:40 ID:???
>>488
あれ…よく見たら、あっちでもこっちでもオジサンとかおにーさんがペコペコ頭を下げてるね。
キミたちにしたのと同じように声をかけちゃあ、邪険にされてるみたいだよ(そりゃ、若いコは大抵デート中だからね!)。
だからまあ、とりあえず偽物ってことはないんじゃないかな?

490 :ノータ ◆JvXQ17QPfo :2012/06/24(日) 22:56:52 ID:???
A
理由:ピコの言う通りならジョアン関係ではなさそうなので
   と言うよりもジョアンなら、自分の花嫁なのにこんな大会に参加させようとは思わないはず
   ソフィアもおそらく着たいだろうし

491 :見てる人 ◆S/MUyCtQBg :2012/06/24(日) 22:59:47 ID:???
A
出ちゃおうぜ。本人の自信にもつながるだろうし、祭りは楽しまなきゃ!

492 :傍観者  ◆YtAW.M29KM :2012/06/24(日) 23:07:25 ID:???
あ、私や雑魚モブ氏の言っている「ジョアンとの関係」っていうのは、このイベントの背後にヤツが居るという話ではなく、
参加あるいは優勝で評判になる→森崎とソフィアのデートがジョアンに知られる→険悪に、ってことね、念のため。

493 :さら ◆KYCgbi9lqI :2012/06/25(月) 09:56:06 ID:???
Aジョアンの事は気にかかりますが、ソフィアも舞台に立ちたそうな感じなんで背中を押してあげるのも良いんじゃないかな。

494 :◆9OlIjdgJmY :2012/06/25(月) 22:58:23 ID:???

花嫁コンテストがイベントとして面白そうなので。

495 :Q513 ◆RZdXGG2sGw :2012/06/26(火) 09:03:07 ID:???

目立ってしまうかもしれないけれど、まあお互い楽しむのが大事だろうし

496 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/28(木) 00:43:24 ID:???

皆様、ご回答ありがとうございます。
しばらく間が空いてしまい、申し訳ありませんでした。
それでは早速、>>484の選択については……

>>487 傍観者  ◆YtAW.M29KM様の回答を採用させていただきます!
まったく付け加えることのないくらい、要点を綺麗に拾っていただきました。
ありがとうございます。
CP3を進呈いたします。

また同様にソフィアと舞台の関連に言及して下さった>>493 さら ◆KYCgbi9lqI様にも
CP1を進呈いたします。
そうですね、最初に少しだけ背中を押してあげさえすれば走り出せる子もいるのです。
常にムチを入れていないとどこまでも緩む子も中にはいますが…。


>>486
生き馬の目を抜く欧州、細かな警戒は大切です。
が、まあ、その気になれば膨大な資金と人員を投入できる相手に対して、一傭兵である現在の森崎に
完璧な防戦ができるかというと…どこかで割り切りは必要になってくるでしょう。
(GMとしてもラダトームの町の周りに死神の騎士やダースドラゴンを置くような真似はしませんw)
勿論、警戒ラインを下げすぎれば悲劇に向かって一直線ということもありますので、
さじ加減には常に気をつけていきたいところではあります。


497 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/28(木) 00:44:25 ID:???
>>490
そうですね、ジョアンにとってはまったくメリットがないでしょう。

>>491
はい、お祭りでは遠慮したら負けです!

>>494
イベントの描写に時間を取られましたが、お楽しみいただければ幸いです。


ご回答いただいた皆様にそれぞれEP1を進呈いたします。


>>495
そうですね、楽しむのが一番です。
後のことは後で考えても、まだいい場面でしょう。


498 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/28(木) 00:45:26 ID:???
***


A 花嫁コンテストへの参加を勧める


「行ってこいよ」

森崎が告げるのは、直截な一言であった。
迷うのならば行けと、少女の背を押すように言う。
ステージというものに少女がどのような気持ちを込めるのか、今の森崎は知らない。
それでも、そこに何かを求めるのであれば立ち止まる道はないと、森崎は思う。
それは明日の命の保証のない、傭兵という身の上からくる生き急ぎ方であっただろうか。

「ですが……」

言い淀むソフィアの目には、躊躇いがある。
その躊躇いの内にはジョアンのことも含まれているのだろうというのが、森崎の直感である。
舞台に立つことか、それによって人目につくことか、あるいは自分の意志で何かをしようとすることそれ自体か、
いずれあの男の気に障るのだろう。
目の前の少女、一回りも下の年端もいかぬ少女は、それで森崎に累が及ぶことを懸念しているのだ。

「俺のことは、気にすんな」

ならば、そう言ってやるのが森崎有三という男の役割である。
身一つより他に守るものとてないのが風来坊の強み、火の粉が振りかかるならば払えばいいと笑うのが、
今この少女にしてやれる最上のことだった。
あとはソフィア自身が決めることだと、目線で告げる。
得るものと失うものとを天秤にかけて、決断すればいい。

499 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/28(木) 00:46:30 ID:???

「……はい」

ソフィアは、しっかりと森崎の目を見て頷いた。
森崎の言いたいことは余さず伝わったようだった。
賢い子だ、と思う。

「モリサキさん」

派手な格好の男に付き添われて会場の裏口に入っていく寸前、ソフィアが森崎に笑って、言った。

「応援……して下さいね」


***

500 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/28(木) 00:47:31 ID:???

「皆様、たいっっへん長らくお待たせいたしましたぁーッ!!」

新緑の薫りも爽やかな青空の下、甲高くもよく通る声が響く。
と、同時。五月祭の催し物が開かれる広場の中でも一際大きく設営された特別会場の舞台に、
目が痛くなるような黄色のモーニングを着込んだ男が飛び出してきた。
声は、男が発したものである。

『あ、あの人!』
「司会だったのかよ、あのオッサン……」

呟く森崎が座るのは、舞台上で喋る男が用意したという席である。
ちょうど舞台正面、最前列でこそないものの顔がしっかりと見える程度には近い距離という上席だった。
司会の男の顔もよく見える。
つるりと広い額を撫でた男が、大きな身振りと共に口を開いた。

「これより五月祭のメインイベント、『五月の花嫁コンテスト』を開催いたします!
 野郎ども、麗しの令嬢を迎える準備はいいかあぁぁ!?」

うおおおお、と地鳴りのような声が応える。
席という席を埋め尽くし、立ち見までびっしりと詰まった千を超える群衆の殆どは男性である。

「うるせえな……」
『歓声が野太いよ……』

あまりの温度差についていけない森崎をよそに、舞台上の男はてきぱきと場を進行していく。
幾つかの注意事項を述べた後、審査員たちの紹介を終えると、いよいよ出場者の呼び込みである。

「まずは一番手! 城南市場の看板娘! モバー・モビー姉妹が登場だぁー!
 はりきって、どうぞー!!」

501 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/28(木) 00:48:32 ID:???
うおおおお。
さながら地鳴りを抑える巫女のように袖から現れた二人の女性を見て、しかし森崎は拍子抜けする。

「……大したことねえな、おい」
『うーん……フツー、だね』

思わず漏らした声は周囲の歓声にかき消される。
が、しかし何度見ても舞台上にいるのは実にありふれた容姿の、それも少しばかり歳のいった姉妹である。
身につけるドレスも豪奢というには程遠い、おそらくは先祖代々受け継がれてきたものであろう
時代がかった色味とデザインの、有り体に言えば単なるトルキア地方の民族衣装である。
照れ笑いを浮かべながら手を振る姿も見事に垢抜けない。

「まあ、公募抽選って言ってたしな……こんなもんか」
『もう結婚しちゃってる人は出られないだろうしねえ』

その言葉通り、しばらくは退屈な時間が続いた。
出てくるのは下町の売り子だの、ご町内最後の独身娘だのといった面々である。

「っかし、ロクなのがいねえなあ……この調子ならソフィアもかなりイイ線行くんじゃないか?」
『そうだねえ……優勝だって狙えちゃうかも?』

欠伸を噛み殺すこともない森崎が、肩を揉みほぐしながら言う。
そんな弛緩した空気は、しかし一変することとなる。

「―――大家族の末娘、モバック嬢でした! ありがとうございましたっ!」

大袈裟な身振りと共に出場者を袖へと送り出した司会の男が、言ったものである。

「さあ、盛り上がってまいりました! ……ここからは主催者推薦の面々が登場だぁッ!
 興奮しすぎてくたばるんじゃねえぞ、野郎どもッッ!」

502 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/28(木) 00:49:53 ID:???
グオォォォォ―――
突如、地鳴りが山崩れへと変化した。
周囲の男たちが、最早堪え切れぬとばかりに立ち上がる。

「な、何だァ!?」
『この人たち、まだこんなに盛り上がれたんだね……』

目を白黒させる森崎。

「まず最初にお目見えは北欧からの刺客、白き森の守護者、リューリ・ハルティカイネン嬢!!
 ―――どうぞッ!」

しゃん、と。
その蒼白のドレスを纏った女性の、歩を進める音が、森崎の耳に聞こえた。
地鳴りも、山崩れも、どこか地平の彼方へ消えていた。
凍りついたような静寂の中を歩むその女性は、一目見ただけでこれまでの出場者とは
根本的にレベルが違うことがわかる。
蒼のマーメイドラインに包まれるのはまるで繊細な細工物のような白い肌と細い腰。
白銀のティアラの下、濃いシャドウで強調される切れ上がった目元は刃物の如く鋭い。
薄い唇を彩るのは、紫の口紅である。
物語から抜けだしてきた雪の女王と言われれば信じてしまいそうな女性が舞台の中央へと進むと、
司会の男が駆け寄った。

「ではリューリ嬢、客席と審査員に向けて一言アピール、どうぞ!」

言われた女性が、見事な刺繍を施された本繻子の肘まである手袋に覆われた細い指を口元に当てると、
僅かに視線を動かした。
触れなば斬れん、というような瞳が、会場を睨め付ける。
一瞬の後、凍土を吹く烈風のような声が響いた。

「……誰も彼も間抜け面を並べて。生きているのが恥ずかしくないのかしら」

503 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/28(木) 00:50:54 ID:???
きぃん、と。
氷室から取り出した氷が、外気に触れて罅割れるような音が、聞こえた気がした。
ほんの僅かの間を置いて。
罅の中から漏れ出したのは、歓喜の叫びである。

ウゥゥゥオオオオォォォォォォォ―――

ほとんど涙を流さんばかり、もしも尻尾があれば根本から千切れんばかりの勢いで
ぶんぶんと揺らしているに違いない表情で喜ぶ男たち。

「こ、こいつら……怖ぇ」
『……そういうキミも、どうして立ち上がって手なんて振ってんのさ』
「なにィ!?」

愕然とする森崎に、ピコの視線が突き刺さる。
そんな様子にも当然ながら取り合うことなく、場は進んでいく。
氷の如き女性は既に袖へと帰っていた。

「駄犬ども! 存分に嬉ション漏らしたか!? 俺っちも今すぐ着替えてきたい!
 が、そんな暇は与えないぞ! お次はこの人! カミツレの自然が育んだ天然砲弾、
 ミス=ブレイクアップ、エッラ・ブロッジーニ嬢の登場だぁ!!」
「ハァ〜イ!」

呼び込みの声と共に舞台へと飛び出したのは、先ほどの凍てつく美貌とはあらゆる意味で対照的な女性である。


504 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/28(木) 00:52:07 ID:???
「ん〜、チュッ♪」

舞台中央へと走り込むや客席へと投げキッスをしてみせた、その唇はぷるんと厚い。
日に焼けて褐色に近くなった肌に絡むブルネットの髪はどこまでも艶っぽく、そして何より
朱を基調としたベルラインのドレスに包まれた肢体はそれ自体が強烈に男性へのアピールとなる、
破壊力に溢れるものであった。
豊満なバストから視線を下ろせば、引き締まった腰回りから肉感的な骨盤周辺へと張りのある肉が
みっしりとその存在感を主張している。
男と生まれたからにはその肉に手指を埋め、顔を埋め、汗と快楽の海に溺れたいと夢想せずにはいられない、
ある種の魔力に満ちた体つきであった。

「こ、こいつぁ……ゴクリ」
『……キミ、いい加減にしないと怒るよ』
「痛ぇ! 何すんだ!」
『ふん』

大胆にカットされた裾から垣間見える魅惑の太腿と弾力溢れるふくらはぎを凝視していた森崎が、
ピコに後頭部を叩かれた衝撃で我に返る。
舞台の上ではまるでその隙を縫うとでもいうように、女性がくるりと回転すると、
最後に前屈みになって口づけの真似、更には軽く舌を出してみせるポーズ。

ッググゴォォォォォォ―――

溢れそうな褐色の谷間と突き出された赤い唇、そして桃色の柔らかくも淫靡に蠢く舌の組み合わせを受けた
会場の雄叫びは、ほとんど咆哮と呼ぶのが相応しい。

「エッラ嬢、色々ありがとうございましたッ! ホントにありがとうございましたッッ!」

入って来たときとは逆にゆっくりと時間をかけて退場していく女性と目が合い、手を振られ、
投げキッスの直撃を受けた男たちがバタバタと倒れていく。
舞台の中央へと戻った司会の男はその惨状をあっさり無視すると大袈裟な身振りを更に加速させ、
踊り狂うようにしながら観客を煽り立てる。

505 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/28(木) 00:53:09 ID:???
「さあ、さあ、さあ、そしてお次はお待たせしました真打ち登場!!
 皆様御存知、あのご令嬢の出番だッッ! 野郎ども、その名を称える準備はいいか!?」

ごおおおおお。
咆哮をいなし、煽り、自在に操る様はさながらサーカスの獣使いである。

「それじゃあ行くぜッ! 花嫁コンテスト史上、連覇を果たしているのはこの人だけ!
 盤石の体制で狙うか偉業の三連覇! 絶対王者!! その名は―――」

男が、その手を客席に向ける。
声が、揃った。


「―――スー・グラフトン!!!!」


会場が、圧倒的な一体感に包まれていた。
名を呼んだ男たちが、爆発的な咆哮を上げる。
その異様な雰囲気を前に、一人の女性が袖から現れた。
が。

「……ん?」
『あれ……?』

首を傾げる森崎。
その視線の先にいたのは、ごく普通の女性である。

506 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/28(木) 00:54:10 ID:???
くるくるとした巻き毛に少し眼尻の垂れた、どちらかと言えば愛嬌のある顔立ち。
美人というには華が足りず、さりとて決して不細工でもない。
可愛らしくはあったがそれだけで、プリンセスラインを描く純白のドレスも
確かに花嫁衣裳としては相応しいものであるが、特段に高価そうなわけでも、
驚くような趣向を凝らしてあるわけでもないようだった。
手にしたブーケも、小さな花屋でも用意できそうな種類の大衆的な花を集めたもので、
その姿を何度も見直した森崎が、改めて唸る。

「……出番、間違えてねえか?」
『チャンピオン、のはず……だよね』

そんな森崎の目の前で、何の特徴もない女性は何の変哲もなく歩き、何気なく舞台の真ん中に立つと、

「今年こそ―――」

すう、と息を吸って。

「―――結ッッ婚!! してやるんだからああああああっっっ!!」

叫んだ。
瞬間、世界が変わる。

507 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/28(木) 00:55:11 ID:???
「……ッ!?」
『な、何……? 何が起きてるの!?』

轟、と。
地を奔り、空を駆け、文字通りに轟いたそれは、原初の雄叫びであった。
平凡を絵に描いたような女は、そこにはいない。
そこに立つのは、女の生という死屍累々たるいくさ場に舞い降りた、女神である。
小さな花を寄せ集めただけのブーケはその女が持つとき、神話に謳われる宝剣もかくやと煌めいて
向い立つ者すべてをひれ伏させ、ありふれたデザインのウェディングドレスはその気迫に包まれる時、
星を散りばめたように光り輝く唯一無二の戦装束となるのであった。

「―――」

それは幻想。
それは錯覚。
一人の女の、妄執とも言うべき気迫が生み出した幻である。
しかしそれはまた、この会場のすべてが共有できるだけの実存の確かさを持った、幻であった。
幻想が光を生み、生まれた光が会場を覆い尽くしていく。

「こ、こりゃあ……!」
『何で……? 引き込まれる……!』

溢れる光が、森崎を包んでいく。
真白い光の中で、森崎は歓声をあげていた。
喉も嗄れよと叫ばれるそれは王者を称え、賛美する、咆哮だった。


スー・グラフトン! スー・グラフトン! スー・グラフトン!
俺達の花嫁―――


***

508 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/28(木) 00:56:12 ID:???

「……」
『……あ、あれ……? ねえ、ちょっと、キミ!』
「……? ここ……どこだ……」

ピコの声で、気がついた。
慌てて見回せば、そこは元通りの会場である。
ぐったりと、力を使い果たしたように椅子に沈む男たちが目に入る。
森崎自身もひどい脱力感に襲われていたが、全身に鞭を入れるようにして身を起こした。

「……あの人、は……!?」

視線を向ける先には、しかし既に誰もいない。
がらんとした舞台は、まるで何事もなかったかのように変わらず存在している。
叩きに叩いた両手の赤さと痛み、質の悪い風邪でも引き込んだかのようにじんじんと痛む喉、
思う様に踏み鳴らしたせいで時折鈍痛を走らせる足、そういった肉体の感覚だけが、
先ほどまでの高揚感に浮かされたような光景が白昼夢でないことを森崎に教えていた。

「今の……何だったんだ?」
『わかんないけど……。チャンピオンって、すごいんだね……』
「そう……、だな……」

ぼそりと呟きあった森崎の目に、原色の黄色が映る。
舞台の端からよろよろと進み出る、司会の男であった。
どうやらこの男も王者の光に巻き込まれたらしい。
後退した生え際に浮かぶ脂が、午後の日差しにてらてらと輝いていた。

509 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/28(木) 00:58:38 ID:???
「……も、もはや言うことなんざありゃしないッ! 絶対王者に死角なし!
 今年もそのみなぎる気迫には更なる磨きがかけられていました!
 皆様、スー・グラフトン嬢に今一度、盛大な拍手を!」

ぱち、ぱち、と。
会場のそこかしこから断続的な拍手が聞こえる。
男たちのほとんどすべてを吸い尽くした王者に贈られる、それは誇り高き凱旋の唄であった。

「……さあ、それではこのコンテストもいよいよ最後の出場者となりました!」

無理矢理に声を絞り出すようにして、司会の男が舞台の袖を指し示す。

「最後?」
『ってことは……』
「ようやく、出番か」

頷いた森崎の見つめる先、舞台袖の向こうに、少女が立っているはずだった。

「大トリを務めますのは……おおっと、この人はデータがないぞ!」
 驚異の新星あらわる! 飛び入り参加で登場は―――」

ざわり、と会場が揺らめく。
予想外の煽りに、王者に奪われた熱気を僅かに取り戻した者たちがいたようだった。

「驚異の新星……」
『よく言うよね……』

司会の男の調子の良さにげんなりとした顔をする森崎。
無論のこと、壇上の男はそんなことを知る由もない。

「ソフィア・ロベリンゲ嬢だぁーッ! それでは! 張り切って、どうぞ!!」
「……」

510 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/28(木) 00:59:47 ID:???
呼び込みの声に応じるように、袖から一歩を踏み出したのは、ソフィアである。
淡い黄色のドレスの、Aラインの裾がふわりと揺れた。
かつ、かつ、と。
不安定なヒールの音が、あまりにも露骨に緊張を物語っている。

「……っ、……」

途中、何度かバランスを崩しそうになりながら、どうにか舞台の中央へと歩み出るソフィア。
ペコリと、一礼。
強張った顔が、会場を見た。

「……っ!」

見て、固まる。
固まって、俯いた。

「……」
『うわあ……ちょっと、大丈夫……じゃなさそうだね』

少女は俯いたまま、彫像のように動かない。
握り締められた小さなブーケだけが、その持ち主が生きた人間であることを示すように
ふるふると震えている。
栗色の髪をまとめ直した小さな銀の髪留めの、陽光を反射してきらりと光るのが、森崎の目に入った。

「―――」

ざわ、ざわと。
会場の空気が不穏な色を帯び始めようとした、その瞬間。
森崎が、思い切り息を吸って、叫んだ。


「―――頑張れ、ソフィア!」

511 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/28(木) 01:00:48 ID:xNFCHdok
*チェック

全力で応援せよ! → ! numnum

※ ! と numnum の間のスペースを消して数値を出して下さい。
出た数値によって結果が分岐します。
また今回は、森崎の応援効果に知名度が加算されます。
加算式は以下の通りです。

(評価*2+魅力/10)

→「10*2+73/10」=27

応援値【1〜100】に知名度【27】を加算して出た数値が……


・127〜80:
「……はい!」
 森崎の応援に、ソフィアがしっかりと応える!

・79〜40:
「頑張れー!」「平常心ー!」
 森崎の応援に触発されて、温かい応援の声が飛ぶ。ソフィアも勇気づけられたようだ。

・39〜27:
「何だ、あいつ……」「空気読めよ……」
 森崎に白い目が向けられる。ソフィアもすっかり落ち込んでしまっているようだ……。


512 :源氏 ◆rLDAH8Hy8Y :2012/06/28(木) 01:01:20 ID:???
全力で応援せよ! →  98

513 :傍観者  ◆YtAW.M29KM :2012/06/28(木) 01:02:15 ID:???
EPやCPをつぎ込む気まんまんだったけど…お見事と言わざるをえない。

514 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/28(木) 01:22:25 ID:???
>>512
重要なポイントでの素晴らしい引き、ありがとうございました!
通常のEP1に加え、CP3を進呈いたします!


***


わりと厳しい条件に設定したはずの5月イベントの成功が概ね確定!
といったところで、本日の更新はこれまでとさせていただきます。
夜遅くまでのお付き合い、ありがとうございました。
それではまた、次回更新にて。

515 :源氏 ◆rLDAH8Hy8Y :2012/06/28(木) 01:38:34 ID:???
お疲れ様でした。

我ながら凄い引きだった。

516 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/28(木) 22:22:07 ID:???
***


・127〜80:
「……はい!」
 森崎の応援に、ソフィアがしっかりと応える!


森崎の声は、一筋の矢であった。
寸分の狂いもなく飛んだ矢は、過たずにその目指す的を射抜いていた。
貫かれて真っ二つに割れたのは、ソフィアを縛る心の枷である。
す、と顔を上げた少女の表情に、もはや怯懦の色はない。

「……皆さん、はじめまして。ソフィア・ロベリンゲと申します」

千の群衆、二千の視線を前に口を開いたソフィアが、深々と一礼する。
向き直るその手に握られたブーケも震えを収め、その純白を静かに午後の日差しに晒している。

「今日は、急にこんな舞台に立てることになって、すごく……すごく緊張しています。
 ……でも」

一拍を置くソフィア。
ほんの僅か動かした視線の先に、森崎がいる。

「こんな私を、ここに立たせてくれた人がいました。それを、思い出せました」

絡み合うのは一瞬。
すぐに、その目は千の観客へと戻された。

「だから、私は私にできること、私のしたいと思うこと、しようと思います」

517 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/28(木) 22:23:28 ID:???
そこまでを言い切ったソフィアが、ちらりと司会を見やる。
原色の黄色を纏った男が、はっとしたようにソフィアを見、観衆へと気をやり、
それから我に返ったように大袈裟な身振りを取り戻して喋り出した。

「……っとぉ! 俺っちとしたことが、思わず雰囲気に飲まれちまったぜっ!
 こんな殊勝な娘、最近そうはいやしねえ! 会場の野郎ども、温かく見守ってやってくんな!
 それではソフィア嬢、アピールタイム、どうぞっ!」

司会が大仰に手を振って促すのへ、ソフィアが頷く。
観客席に向き直り、再びの礼。
ざわめきの静まるのを待って、言う。

「これが、私にできること……聞いてください」

背を伸ばし、胸を張って。
息を、吸う。そして、


   ―――西風 快天と共に帰りて―――


流れ出したのは、透き通るソプラノだった。


   西風 快天と共に帰りて
   花や草 その家族と燕たち 小夜啼鳥の声と
   白く朱い春を告げる


それは他愛もない、誰もが知っている一昔前の流行歌である。
春の訪れの喜びをうたう歌。
巡り来る温もりと恵みとに感謝を捧げる歌であった。

518 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/28(木) 22:24:32 ID:???


   澄み渡る空 緑なす牧場
   天帝 愛し子に微笑み


時折声を震わせ、また息遣いを乱しながら、しかし歌は続く。
懸命に、真っ直ぐに、ただ歌をうたう、そのことだけを見つめるような、声音。


   空気も水も 大地もまた愛に満ちる
   すべての獣たちは 再び愛に目覚める


最後の一節を歌い終えると、すう、と音が消える。
風の音も、街の喧騒も、千の観衆の身じろぎすら歌声に吸い込まれたかのような、一瞬の静寂。

「―――」

ぱち、ぱち、と。
その張り詰めたような静けさを崩したのは、拍手である。
最初の音は、森崎の手から放たれていた。
そのことに気付いた隣席の男が負けじと両手を打ち合わせ、それが前後に伝わり左右に伝播して、
すぐに会場全体を覆っていく。
万雷の拍手が、舞台の上の少女へと降り注いでいた。

「……ありがとう、ございました……っ」

519 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/28(木) 22:25:37 ID:???
二千の手から響く、豪雨のような音の嵐に、ソフィアが戸惑ったように立ち尽くしながら、言う。
それだけを口にするのが、精一杯のようだった。
ともすればそのまま崩れ落ちそうな危うさで立つ少女に、司会の男が慌てたように喋り出した。

「す、す、素ン晴らしいぃぃ! まさに、まさに驚異の新星ッ!
 ソフィア・ロベリンゲ嬢でした!! 皆様、どうぞ改めて拍手をお願いいたしますッッ!」

絶叫を演じながら、袖に目線で合図を送る男。
飛び出してきた裏方たちが少女へと駆け寄ると同時、その淡い黄色のドレスがふらりと揺れる。

「……!?」
『ちょ、ソフィア……大丈夫なの?』

森崎と、そして観衆が息を呑む前で、しかし少女は倒れる寸前、自らの足で立ち直った。

「ありがとう、ございました……!」

割れんばかりの歓声を前に、最後にもう一度だけ深く礼をすると、ソフィアは支えようとする裏方を
手で制しながら、ゆっくりと舞台から去っていく。
その背には、いつまでも鳴り止まぬ拍手と歓声が贈られていた。


*** 

520 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/28(木) 22:26:39 ID:???


「……純白のブーケ賞、か。『五月の花嫁』には届かなくて、残念だったな」
「い、いえ! とんでもないです!」

ぶんぶんと首を振る、少女の手には小さな硝子細工が輝いている。
繊細な花々の束とそれを包む紙を模した硝子に、木製の台座が据え付けられた置物。
サウスドルファン駅前を紅く染め上げる夕焼けに照らされたそれは、コンテストの入賞者に贈られる
ささやかな賞品であった。

「本当に私なんかがこんなに素敵なもの、いただいてしまっていいのかって思うくらいですから……」
「な〜に言ってんだ」

帰り道、少女が身につけているのは既に淡い黄色のドレスではない。
元の通り、若葉色のブラウスと薄桃のショール、紅色のスカートという姿に着替えている。
戸惑ったような表情を浮かべるソフィアに、森崎がおどけて言った。

「あのとき、あの歌は掛け値なしに俺に響いた。いや、俺だけじゃねえ。あの会場にいた全員に、
 そいつは伝わったんだ。観客席のど真ん中にいた俺が保証する」
「そんな……」
「だからソフィア、そりゃ君に与えられた正当な評価の印だ。素直に受け取っときな」
「……はい」

森崎の言葉に、夕日に照らされた頬を更に赤くしたソフィアが、手にした硝子細工を
抱き締めるようにしながら、足を止める。
どうした、と振り返る森崎を、ソフィアの真っ直ぐな視線が捉えていた。

521 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/28(木) 22:27:40 ID:???

「今日は……すごく。すごく、楽しかったです。ううん、それだけじゃなくて……」

言葉を探すように。

「なんて言ったらいいんでしょう。その……私でも、ちゃんとできるんだ、って……。
 やりたいこと、やりたいって言うの、楽しい……って。変な言い方ですけど、その」

小さく頷いて。

「歩ける、って。私でも、前に歩いていけるんだって。そういう風に、思えたんです、今日。
 だから、私……今日のこと、忘れません。きっと、ずっと」

そう、言った。
夕陽の朱を従えて、それはとても清らかで、触れればたちまちに砕けてしまいそうに繊細な、一瞬。

「―――」

手を伸ばしたいという衝動と、その一瞬を崩してはならぬという情動と。
その二つが森崎を板挟みにして、あらゆる行動を封じる。

「……って、あ、あの!」

言葉を失った森崎の、その表情をどう受け取ったものか。
ソフィアが慌てたように手を振って、口を開く。
揺れる硝子細工が夕陽に煌めいた。

「す、すみません、今日はこの街をご案内させていただくって、お誘いしたんですよね。
 なのに私、自分のことばっかりで……! こんなんじゃ、その!」
「いいや」

わたわたと表情を変える少女に、森崎が苦笑しながら言葉を遮る。

522 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/28(木) 22:28:44 ID:???
「いや、俺も楽しかった。そいつは間違いないぜ」
「そう、ですか……?」
「ああ、君のおかげだ」

頷いてみせる森崎。
なら良かった、と文字通りに胸を撫で下ろしたソフィアが、ふと表情を変えて口を開いた。
赤い頬と、どこか真剣な瞳。

「あの、モリサキさん。宜しければ、途中まで……」

言いかけた、そのときである。

「―――おい、そこのお前ぇ!」

ひび割れたダミ声が、少女の言葉を街の喧騒ごと断ち切るように響いていた。
反射的に振り返った森崎の目に映ったのは、声に違わぬ姿である。
だらしなく着崩されたシャツに無精髭、緩められたベルト。
無造作に乱れた髪の下から覗く澱んだ目は、夕暮れにも明らかなほど赤く充血している。
酒焼けした鼻を擦りながら森崎を睨みつけるその姿は、どこからどう見ても薄汚い酔いどれである。

「聞ぃ〜てんのかぁ!? お前だぁ、黒髪野郎ぉ」

呂律の回らない口調で何事かを呟きながら歩を踏み出す、そのたびに左の半身だけが沈む。
右の足を傷めているのか、左足だけに重心が偏っている証だった。
そんな酔いどれを前に、森崎は―――

523 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/28(木) 22:29:46 ID:xNFCHdok

*選択

A 「何か用か、おっさん」 適当にあしらう。

B 「……」 無視する。

C 「おいおい、大丈夫か」 思わず手を貸そうとする。


森崎の行動としてどれか一つを選択して下さい。
その際【選択理由】を必ず付記していただくようお願いいたします。
期限は『6/29 23:00』です。


******


五月ももうすぐ終わり……といったところで
少し早めですが、本日の更新はこれまでとさせていただきます。
お付き合いありがとうございました。
それではまた、次回更新にて。

524 :傍観者  ◆YtAW.M29KM :2012/06/28(木) 22:34:36 ID:???
【ピココール】
この酔っ払い、ただの酔っ払いだと思うか?
それとも、スリや暗殺者の類に見えるか?

525 :ピコ ◆ALIENo70zA :2012/06/29(金) 00:28:11 ID:???
>>524
お酒のニオイはプンプンするけど、犯罪のニオイはしないね……。
あれ? そういえばどっかで「足を傷めた人」の話を聞いたことがあるような……?

526 :さら ◆KYCgbi9lqI :2012/06/29(金) 10:32:41 ID:???
Cソフィアから父親が戦場で脚を傷めたってのは聴いてましたし、この酔っ払いが文句付けてる相手は森崎だけなんですよね。
だからこの酔っ払いはソフィアの父親の可能性が高いと思います。
それに戦場で負傷して身体が不自由になるってのも森崎にとっても他人事ではないですしね。

527 :◆W1prVEUMOs :2012/06/29(金) 18:14:51 ID:???

ソフィアの父親の可能性が高いから

ピココール超便利!
だけどピココール無しで「足を傷めた人」にピンと来るようにならなきゃな…orz

528 :◆W1prVEUMOs :2012/06/29(金) 21:11:03 ID:???
待てよ、父親の問題はナイーブなことらしいから、もしかして関わるのは危険か?
Bに変更します

529 :Q513 ◆RZdXGG2sGw :2012/06/29(金) 21:21:47 ID:???

理由はどうあれ、昼間っから飲んだくれているような相手に因縁をつけられているわけで
「組みしやすし」と思われるのは避けたい
というわけで丁重にではなく、少し強気に出てみる

530 :傍観者  ◆YtAW.M29KM :2012/06/29(金) 21:22:11 ID:???
EPはCPと比べて簡単にたまるし、積極的に仕掛けていったほうが良さ気だねー。
あくまで【ピコの視点】でしかないわけだけど、それでもヒントとしては超有用だ。
シリアスなスレで多くの悲劇は【プレイヤーの見落としやスレ主との意識・解釈の違い】で起きてたから、
それを未然に防げる確率が高いのは超嬉しい。

531 :Q513 ◆RZdXGG2sGw :2012/06/29(金) 21:24:37 ID:???
……あ、夕暮れでしたね。では「昼間っから」の部分はなしということで

532 :見てる人 ◆S/MUyCtQBg :2012/06/29(金) 21:32:14 ID:???
C ソフィアの前だし、大人の対応力を見せつけてやるぜ。
  ピココールにて、危険は無さそうだし。ソフィア父の可能性あるし。

533 :Q513 ◆RZdXGG2sGw :2012/06/29(金) 21:41:25 ID:???
みなさんと同じく、自分もたぶんソフィア父だと思ってるんですが、これでロベルトだったらどうしよう……

534 :◆9OlIjdgJmY :2012/06/29(金) 22:45:44 ID:???

ソフィア父ならどんな対応をしても角が立ちそうなので
一番ここまでの森崎らしい選択肢を。

535 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/30(土) 16:25:16 ID:???

皆様、ご回答ありがとうございます。
それでは早速、>>523の選択ですが……

>>526 さら ◆KYCgbi9lqI様の回答を採用させていただきます!

ピコのヒントに加えて、男が文句をつけている相手は森崎だけ、という点にも
鋭く突っ込んでいただきました。
こういうところを拾っていただけるのは嬉しい限りです。
CP3を進呈いたします。

また、ここはピンポイントでピココールを使っていただいた傍観者  ◆YtAW.M29KM様にも
見事なアシストということでCP1を進呈いたします。
それとルール上ではあまり想定していなかったのですが、コール権のみを使用されて
選択への回答自体は確認できなかった場合でもEP付与は行われることとします。

この件については後ほどルールを改定しておきます。

536 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/30(土) 16:26:19 ID:???
>>527-528
はい、すごく便利です。
困ったときにはどんどん彼女に頼って下さいね!

>>529,531,533
この場面、強気に出ること自体は悪くない選択でした。
これまでに「ナメられないこと」を重視する場面が多ければ選ばれやすかったのですが。
ところで今気づいたのですが、ソフィア父の名前は……き、気のせいですね、きっとw

>>530
そうですね、何らかの見落としを防ぐ目的では非常に有効です。
一度起こってしまった過去は変えられませんので、転ばぬ先の杖として活用いただければと思います。

>>532
スリや暗殺者といった『犯罪者』ではありませんが、何しろ相手は酔っぱらいですので
どう出てくるのか常識ではなかなか推し測りにくいところがありますね。

>>534
そうですね、実際向こうから絡んできているので、丸く収めるのは難しそうです。
ちなみに四月以降は選択肢に「(礼法が上がります)」などのガイドアナウンスが付いていませんが、
実際にはモラル・礼法とも都度細かく変動していますので、人物称号も変化する可能性があります。
ここまでの森崎らしい行動が選ばれ続けた場合は、その方向性をより強調するかたちになるでしょう。

537 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/30(土) 16:27:21 ID:???
***


C 「おいおい、大丈夫か」思わず手を貸そうとする。



知らず手を差し出したのは、傷めた足を引きずるその男の姿を、どこかで
自らにもあり得る未来像として重ね合わせたからかもしれない。
だがそんな森崎の心情など、酔漢は知る由もなかった。

「……気安く触るんじゃぁ、ねぇ〜よ!」

差し伸べられた手を乱暴に払いのけた男は、どろりと濁った目で森崎を見ると
やにわに拳を握って殴りかかってきたのである。


538 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/30(土) 16:28:31 ID:nsWO32no
*チェック

体術判定

目標値【18】 → ! numnum

※ ! と numnum の間のスペースを消して数値を出して下さい。
難易度【酔漢の攻撃+不意打ち】−体術を目標値とし、目標値以上の値が出れば成功。
00が出た場合は難易度にかかわらず成功となります。
結果によって展開が分岐します。


成功→腰の入っていないパンチが森崎にヒットする。
失敗→森崎はひょい、と身をかわす。

539 :ノータ ◆JvXQ17QPfo :2012/06/30(土) 16:32:40 ID:???
目標値【18】 →  09


540 :傍観者  ◆YtAW.M29KM :2012/06/30(土) 16:33:04 ID:???
目標値【18】 →  06
あー、選択をしなかったのは単純に「他の人と同じ事しかいえないから」でしたわ。

541 :ノータ ◆JvXQ17QPfo :2012/06/30(土) 16:36:36 ID:???
やべえ、CP3とEP5使いまーす

542 :傍観者  ◆YtAW.M29KM :2012/06/30(土) 16:38:19 ID:???
…ん? 失敗のほうが「かわす」なの? 成功失敗は酔っ払い視点?
ということは、このまま失敗の方がいいの?

543 :さら ◆KYCgbi9lqI :2012/06/30(土) 16:42:33 ID:???
引き直しの時は宣言してから勝手に引くのかな?

544 :源氏 ◆rLDAH8Hy8Y :2012/06/30(土) 18:02:39 ID:???
>>542
目標値の低さからして成功すると痛くも痒くもないパンチが森崎に当たるのでしょうね。

一方森崎がかわすと殴った方がそのまま前のめりになって頭から地面に突っ込むんじゃないかな
足が不自由な上に酔っているので余計な怪我をするかもしれない。

545 :◆W1prVEUMOs :2012/06/30(土) 18:28:42 ID:???
それは自分も思ったけど
こういう曖昧な時はGMに確認する前に引き直ししたら取り返しがつかなくなるね

546 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/30(土) 19:54:23 ID:???
遅れまして申し訳ありません。
それではここで裁定&回答タイムです。

結論から申し上げますと、今回は>>539および>>541が適用され、
>>539にてノータ ◆JvXQ17QPfo様にEP1を進呈いたします。
その上で、CP/EP使用により数値に+10され結果は「成功」となります。
以下、ご質問にお答えいたします。

>>542
成功/失敗は常に主人公視点とお考えいただいて結構です。
今回の場合はズバリ>>544源氏 ◆rLDAH8Hy8Y様の仰るとおりで、
失敗の結果まで見事に言い当てていただいています!

>>543
numnumなどの数値でチェック・判定が入る場合はCP使用による
リドローの対象にはなりません。
あくまで数値の加減算のみが行えます。
なお、カード判定でリドローを行なっていただく場合は仰るとおり、
宣言と同時に引き直しをしていただいて結構です。

>>544
CPを進呈したくなるくらいにお見事な読みです!

>>545
はい、物語の内容ではなくシステム的な部分でご質問がある場合には
いつでもお気軽にどうぞ。
今回のように回答まで時間が空いてしまったり、その結果としてプレイヤー側に
不利となる可能性がある場合には、期限の延長や判定のやり直しも含めて
改めて検討させていただきます。

547 :傍観者  ◆YtAW.M29KM :2012/06/30(土) 19:57:33 ID:???
>成功/失敗は常に主人公視点とお考えいただいて結構です。
了解、ご回答ありがとうございます。スレによっては敵側視点で良し悪しが出ることもあったので、そこが不安でした。

548 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/30(土) 20:08:16 ID:???
***


成功→腰の入っていないパンチが森崎にヒットする。


「何だぁ!?」

突然の攻撃に驚いた森崎が、咄嗟に身をかわそうとする。
へろへろと飛んでくる酔漢の拳を食らうような鍛え方はしていなかったが、
しかしそのとき森崎の目が捉えていたのは眼前の男の体勢である。
足腰の座らぬまま大振りのパンチを放った男は、完全に自らの腕に振り回されていた。
軸にしている左足がふらりとよろけ、しかし男の右足は明らかに異常をきたしている。
このまま身をかわしてしまえば、男は自分の体重を支えきれずに転倒するだろう。
泥酔し、片足もまともでないとなれば受身が取れるかどうかもわからない。

(―――チッ、仕方ねえな)

刹那の判断である。
ふらふらとブレながら迫り来る拳を、森崎は胸で受け止めるようにして男の転倒を防ぐのだった。
ごすん、と。
見た目よりは重い衝撃が森崎を襲ったが、しかし大したダメージにはならない。

「うおっと、っと、と……」

自らの危地を救われたとはつゆ知らず、男はふらふらと森崎から離れると壁にもたれかかる。
急に動いて目が回ったのか、こめかみを押さえたまま森崎を睨みつける男。

「……いくら何でもいきなり殴られる覚えはねえぞ、おっさん?」

549 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/30(土) 20:09:27 ID:???
そんな男に森崎が詰め寄ろうとした、その矢先、

「やめて! 何してるの、お父さん!」
「……!?」

少女の声が、森崎の動きを止めた。
壊れた人形のように、ぎぎ、と軋む音を立てながら振り返る。

「オ、オトウサン……なにィ!? この酔っぱら……いや、えーと……」

あまりにも急なことに混乱している森崎が言葉を探す間に、ソフィアは酔いどれへと駆け寄っている。

「お父さん! またこんな時間からお酒なんて……!」
「うるせぇ……。もうカネの心配はいらんだろぉがぁ……」
「……」

無精髭をもごもごと揺らす男の言葉に、ソフィアが黙る。

「それより、お前ぇ! お前だぁ、東洋人! なぁに、人を見下してやがんだぁ〜?」
「アンタが勝手に尻餅ついてんだろうがよ……」
「あァ!? ぶつくさ聞こえねぇ〜んだよ! 黒髪野郎ぉ!」
「……へいへい」

酔いどれの理不尽な言い様に、反論したところで仕方ないと気付いた森崎が
肩をすくめて口を閉ざす。
そんな森崎に、男がアルコール臭に満ちた吐息をふんだんにまき散らしながらがなり立てる。

「お前ぇ、ウチの娘ぇ……ソフィアを連れ回してるそうじゃねぇかぁ?」
「どこで、そんな……」

呟くソフィアに、男が答える。

550 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/30(土) 20:10:53 ID:???
「親切な人がぁ、教えてくれたんだぁ〜! おい、東洋人! これ以上ウチの娘にぃ、
 近づくんじゃあ、ねぇ……! 変な噂を立てられでもしたらぁ、この子がぁ、傷つくんだぞぉ……?」

酒臭い息と共に、奇妙に呂律の回らない口調でまくし立てる男。

『……日も暮れる前から飲み歩いてる父親がくっついてる方が、よっぽど変な噂が立つんじゃないかな』

いつの間にか頭の後ろに降りてきていたらしいピコがボソリと呟くのへ、内心でよくやったと
拍手を送りながら森崎は神妙な表情を崩さないよう努力する。
そんなやり取りを知らないソフィアが、男をたしなめるように表情を険しくする。

「お父さん……!」
「お前も、お前だぁ……ジョアン君という、立派なぁ、フィアンセがいるんだぞぉ……?
 それを、こんな東洋人風情とぉ……病気でも感染されたら、どう言い訳す―――」
「もうやめて!」

それは、ほとんど叫ぶような声だった。
森崎の聞いたことがない声を出し、見たことのない表情をしているソフィアが、そこにいた。
家族と呼べる者にしか見せ得ぬ、生の感情。
しん、と。
強制された沈黙が、その場に降りた。
最初に口を開いたのは、ひどく戸惑ったような顔をした酔漢である。

「……ソフィア、」
「すぐ、帰るから」

何かを言おうとした男の言葉を遮って、少女が首を振る。

551 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/30(土) 20:12:00 ID:???
「お父さんも家に戻って。お母さんが心配するわ」
「……。おい、東洋人」

突き放すようなソフィアの態度に、悄然と肩を落とした男が歩き出して二歩。
ぎろりと、森崎を睨んだ。
すっかり酔いの醒めた、しかし黄ばみ、充血して濁った目。

「今後、娘に近づいたら―――骨の二、三本は覚悟しろ」

それだけを言い残して、去っていく。
ずるり、ずるりと歩みに取り残されるような右足が石畳に擦れる音の、すっかり消えた頃。
ソフィアが、森崎の方を向かないまま、俯いて口を開く。

「……ごめんなさい。父が、不愉快なことばかり言って」
「いや……」

その声音の重苦しさに、森崎は咄嗟に言葉が出ない。
それでも何か場を取り繕おうと切っ掛けを探す森崎の機先を制するように、
ソフィアが続けていた。

「父は……ロバート・ロベリンゲは、昔は、立派な騎士だったんです。
 今はあんな姿ですけど、私は……私は父を、尊敬しています」

それは、誰に向けた言葉だったのだろうか。
弁明にも謝罪にも届かず、さりとて告解とも寛恕を求める言葉ともつかぬ、宙ぶらりんの独白。
その意図を掴めずにいた森崎に、少女が俯いていた顔を上げると向き直り、改めて深く頭を下げた。

552 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/30(土) 20:13:17 ID:???
「すみません。父が心配しますので、これで失礼します。
 ……今日は、楽しかったです」

礼を言うその表情には、笑顔はない。
頬の赤みも、舞台の高揚も、ない。
沈黙と首肯とをもってただ見送るより他になかった森崎の見つめる先、
歩み去る少女の背を追うように、宵闇が街を包もうとしていた。



   『少女と騎士』(了)




553 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/30(土) 20:14:45 ID:???

*D26.6
フレーバーテキスト


◎運河の遺体

夏の気配が漂い始めたドルファンには珍しく、どんよりと曇った朝のこと。

『ほらキミ、寝癖がついてるよ!』
「うるさいな……後でやるっての」

ピコを追い払うようにぞんざいに手を振った森崎が、食卓の前で熱心に何かを読んでいる。
粗悪な紙にびっしりと活字の並ぶそれは、新聞と呼ばれるものであった。

『ちょっと、ご飯食べるのかそれ読むのかどっちかにしなよ、お行儀悪いよ!
 もう……これだけ田舎に来れば新聞なんてあるわけないと思ってたのに、
 変なところはスィーズランドを見習っちゃうんだから』

ため息混じりの小言は森崎の耳を素通りしていく。

「セリナ運河に身元不明の水死体……か」
『うええ……ドザエモンは嫌だねえ。ていうか、それわざとあたしに聞こえるように言ってない?』
「遺体は腐敗と白骨化が進んでおり、死後数ヶ月は経過しているものと思われる……とよ。
 よかったな、土左衛門なんて通り越してグロいやつみたいだぜ」
『もう、意地悪だなキミは!』
「蝿なんかもそりゃもうわんさか……」
『わーっ! わーっ!』

554 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/30(土) 20:15:58 ID:???
それ以上の言葉が聞こえないように大声を出したピコが、小さな拳を固めてぱかぱかと森崎の頭を叩く。

「痛っ! わ、わかった、俺が悪かった!」
『もう! 次にやったら絶交だからね!』

言ったきり、ぷいと顔を背けると姿を消してしまうピコ。
残された森崎は小さく肩をすくめると、テーブルに置かれたカップから温いエールを啜るのだった。


***


数日後。
この季節には珍しい雨がドルファンの石畳をほんの少しだけ湿らせた翌日、
いつものように新聞に目を通していた森崎が思わず声を上げた。

「身元不明の遺体は行方不明の神父……だと?」
『何、なに?』

ふわふわと飛んできたピコが森崎の頭の上にちょこんと腰掛けて、新聞の紙面を覗き込む。

『十八日にセリナ運河で発見された身元不明の遺体は……』
「以前より行方が解らなくなっていたアイン・カラベラル神父である事が、関係者の証言により
 明らかになった。カラベラル神父は四月三日、自宅を出た後に行方不明になっていた……か」
『こないだのドザエモンか……』
「……」

頭上の声にじとりと湿り気を感じた森崎が、反射的に新聞を放り出して頭を守ろうとする。

555 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/30(土) 20:16:59 ID:???
『あはは、もう怒ってないよ』
「……そりゃ助かるぜ」
『でもさ、これって事件? それとも事故?』

ほっと胸をなで下ろした森崎に、ピコが尋ねてくる。

「さあな……記事もそこまで書いてねえ。区警……地区警備隊がどう考えてるのかは何ともな」
『神父様じゃ、酔っ払って足を踏み外す……なんてこともないだろうしねえ』
「明和の大虎みてえな神父も、中にはいるかもしれんがな」
『葡萄酒は神の血じゃ〜、もっと持ってこんか〜い! って?』

遥か遠い故郷の有名人を真似てみせるピコの仕草に、森崎が口の端を上げる。

「……しかし、そうなると今の神父は俺らと同じような時期にこの街に来たってことになるのか」
『あの針金みたいな神父様だね』
「……」

その場にいるだけで周囲の温度を下げるような、独特の存在感を思い返した森崎が
ぶるりと大きく身を震わせた。

「あいつ、ここに来る前はどこにいたんだろうな」
『神父様のことをアイツとか言わない! いくらキミの信じる神様と違っててもね。
 ……でも、そうだね。なんか怖かったし、きっと寒いところだよ。北の方』
「何でだよ」
『北の人はだいたい、おっきくて怖いんだよ』
「お前、そりゃ偏見ってもんじゃねえのか……。だいたいあの神父、どう見てもトルキア人だろ」
『じゃあ北の方のトルキア人だよ!』
「無茶苦茶言うな……」

力説するピコを白い目で見る森崎。
その朝の話題は、そんな風にして日常に紛れていくのだった。

556 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/30(土) 20:18:55 ID:???

*D26.6 「気のいいリーダー」森崎有三
訓練選択


「貴様らも知っての通り、ヴァルファは我がドルファンおよび元雇用主のプロキア、
 その両面に対し宣戦を布告してきた! 全欧最強の余裕というやつか? 違う!
 我々がナメられきっているということだ!」

響き渡るヤングの大音声は、いつにも増して大きい。
漲る気合いの表れであった。

「王室会議の腑抜けどもは今月末まで撤収期限を設けるなどと呑気なことを抜かしてやがるが、
 それでカタがつくならあの赤備え共はハナっからこんな面倒を起こさん!
 我が国は近いうちに必ず……早ければ来月早々にもダナンへと派兵することになるだろう!」

告げられる命の期限に、居並ぶ傭兵たちにざわりと動揺が走る。
それを押さえるように、ヤングが力強く言葉を継いだ。

「貴様らの役目は何だ!? 骨抜きの騎士団に代わって全欧最強をぶちのめすことだ!
 血のションベンが枯れ果てるまでしごいてやるからそのつもりでいろ!」


557 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/30(土) 20:21:21 ID:nsWO32no
***


*訓練選択
「気のいいリーダー」森崎有三
ガッツ70 評価10


『今月は何をするの?』

剣術・馬術・体術・魅力・礼法・墓守・休憩の中から『二種類』選んで下さい。
同じ訓練を二つ選んでも構いません。
その際【選択理由】を必ず付記していただくようお願い致します。
期限は『7/1 21:00』です。


***


実は作中の時代には成瀬川土左衛門は生まれてもいません。
といったところで、本日の更新はこれまでとさせていただきます。
本日もお付き合い、ありがとうございました。
それではまた、次回更新にて。

558 :見てる人 ◆S/MUyCtQBg :2012/06/30(土) 21:04:52 ID:???
剣術・馬術

体術と魅力は、ある程度成功させたので。少しこちらも鍛えておきたい。

559 :さら ◆KYCgbi9lqI :2012/06/30(土) 21:10:56 ID:???
体術 剣術
体術が得意ってのを武器にしたいですね。剣術は攻撃力が全く上がってないってのは少し不安なので。

560 :Q513 ◆RZdXGG2sGw :2012/07/01(日) 06:31:43 ID:???
休憩・休憩

来月早々にも派兵、でしょ?1回の訓練で20減るし、ガッツをもっておいた方がいいと思う

561 :◆W1prVEUMOs :2012/07/01(日) 13:23:09 ID:???
剣術・休憩
今度は攻撃スキルが欲しいのと派兵に備えて休憩
テンプレ読む限り戦争パートでガッツが関係するのは一騎討ちだけなので休憩×2するほどでもないかなと

562 :◆9OlIjdgJmY :2012/07/01(日) 17:20:57 ID:???
剣術・休憩
突発的に喧嘩を売られる可能性もありますし
戦争を抜きにしてもガッツが50以下になるのは怖いので休憩します。
後は攻撃力上昇&あわよくば攻撃系スキル獲得を目指し剣術を。

563 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/07/03(火) 00:16:11 ID:???

皆様、ご回答ありがとうございます。
それでは早速、>>557の選択については……

>>561 ◆W1prVEUMOs様、および>>562 ◆9OlIjdgJmY様の回答を採用させていただきます!

お二人ともほぼ同様の育成方針でしたが、休憩への姿勢は対照的とも言えますね。
戦争パートでのガッツ消費が一騎討ちだけなのも、突発的にイベントが発生するのもその通りです。
GMから言えるのは、入院してしまうと色々なことがいきなり苦しくなるかも…ということですね。
勿論シナリオ構成も苦しくなりますので、可能な限り避けるようにして下さると助かりますw
お二人にはそれぞれCP3を進呈いたします。


>>558
訓練2回で残りガッツ30となるのは、実はかなり危険なラインです。
その月のメインイベント次第という部分はあるものの、黄色を通り越して赤信号と考えていただければ。
計算上は楽勝できるはずだったビリーに20ダメージもらった実績もありますので…。

>>559
そうですね。攻撃力は初期状態ですから、ここでしっかり鍛えていきたいところです。
体術がホームグラウンドというキャラ付けも面白いですね。

>>560
戦争パートはメインイベント扱いなので、(リアルな時系列にはちょっと目をつぶってもらって)
訓練パートを消化した後に出撃となります。
いきなり戦争でどうにもならず詰み…という状態を回避するための救済措置ですが、
休憩一回の回復量をご覧いただいて、来月の戦略を練っていただければと思います。


564 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/07/03(火) 00:17:26 ID:MmjyUQVY
*訓練ダイス

※訓練は前後半に分かれていますが、休憩が選ばれた今月は前半だけとなっています。
★マークごとにお一人づつ、!と numnumの間のスペースを消してダイスを引いてください。
目標値【50】に対しプラスマイナス30以内で成功、プラス31以上で大成功、マイナス31以下で失敗となります。
大成功時は成果が1.5倍、失敗時は0.5倍となります。


前半(剣術)1
! numnum + ! numnum + ! numnum =

前半(剣術)2
! numnum + ! numnum + ! numnum =


565 :傍観者  ◆YtAW.M29KM :2012/07/03(火) 00:19:12 ID:???
前半(剣術)1
07  +  66  +  13 =

566 :源氏 ◆rLDAH8Hy8Y :2012/07/03(火) 00:21:07 ID:???

前半(剣術)2
97  +  77  +  28 =

567 :傍観者  ◆YtAW.M29KM :2012/07/03(火) 00:21:35 ID:???
あちゃ、こりゃ酷い。cp3とEP5を使って、せめて13を23にします。

568 :源氏 ◆rLDAH8Hy8Y :2012/07/03(火) 00:27:55 ID:???
CPを使うの初めてなのでこれで良いのか分かりませんが
>>566の二番目にCP3を使用して77に+5で82にすると大成功に出来るのかな?
合っていたらCP3使用でお願いします。

569 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/07/03(火) 00:32:00 ID:???
>>567,568
はい、両宣言とも承りました。

570 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/07/03(火) 02:01:33 ID:???
***

皆様、ご回答ありがとうございます。
それぞれEP1を進呈いたします。


*訓練結果

前半(剣術)1
07  +  66  + 13(+10) = 成功2 失敗1

前半(剣術)2
97  +  77(+5)  + 28 = 大成功2 成功1

→大成功2 成功3 失敗1


571 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/07/03(火) 02:02:34 ID:???

//剣術訓練


「百九十一、百九十二、百九十三―――」

汗の臭いと熱気の充満する屋内訓練場に谺するのは、数をかぞえる声である。
ぶうん、と風を切る音が響くたび、その数は増えていく。

「……うへえ。モリサキのヤツ、気合入ってるなー」
「出撃が近いという緊張感の現れだ、お前も見習え」

遠くからはそんな仲間たちの声が聞こえる。
しかし、剣を振るう森崎の精神はそれほど研ぎ澄まされているわけではない。
むしろその内心は焦りに乱れ始めていたのである。
走り、投げられ、悪夢の如き筋肉痛と戦い続ける内に身体は少しづつ元の通り動くようになってきた。
しかし剣の勘はまだまだ戻っているとは言い難い。
これで戦えるのか、幾多の敵と刃を交え、いくさ場から生きて戻れるのか。
焦りは迷いを生み、迷いは剣筋を鈍らせ、鈍った剣筋がまた焦りを呼ぶ。
そんな悪循環から目を逸らすように、森崎は闇雲に剣を振るっていたのである。
腕が軋む。肩が痛む。背筋が引き攣る。しかしそれ以上に、胸の奥に澱む何かが、重かった。

「―――そこまでだ、モリサキ」

数が三百を超えた頃、彼を止めたのは鋭く重い声。
主任教官、ヤング・マジョラムであった。

572 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/07/03(火) 02:03:36 ID:???
「……」
「そこまでだ、と言っている。これは命令だ」

ちらりと目線を動かしただけで再び素振りを再開しようとした森崎を、ヤングが重ねて止める。

「邪魔すんなよ、ヤングのおっさん。……ほら、おっさん呼ばわりしたぜ。
 懲罰でもう三百ばかし追加だ、文句はねえだろ」
「お、おいモリサキ……」
「少しは口を慎め、相手は上官だぞ」
「構わん、フロレンシオ、コンセイソン。貴様らは自分の訓練に戻れ」

険悪な空気に、さすがに割って入ろうとするネイとトニーニョ。
それを制したヤングが、大きくため息をついて森崎を見やる。

「そんなに懲罰が食らいたいか」
「ああ、地獄の特訓とやらをお待ち申し上げてるぜ」
「そうか」

頷いたヤングが、その大きく傷の入った左目だけを見開いて、森崎に命じた。

「……モリサキ。貴様に謹慎を命じる」
「な……なにィ!?」

思わず絶句する森崎に、ヤングはすぐに背を向けて歩き出そうとする。

「話はそれだけだ。分かったら宿舎に戻れ。メシは部屋に届けさせる」
「な……おい、待てよ! 待てって、おっさん! 何で謹慎なんだよ! ふざけんな!」
「馬鹿者! やめろモリサキ!」
「お前、何しようとしてるのか分かってんのか!」
「さすがに剣持って上官にバックアタックは、ちょっとシャレになんないよ〜」


573 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/07/03(火) 02:04:54 ID:???
詰め寄る森崎を、今度は傭兵たちが身をもって止める。
そうしなければ何をしでかすかわからない、それほどの剣幕であった。

(畜生……もう少しで何かが掴めそうだったのに……! 畜生……!)

数人がかりで取り押さえられながら、森崎は歯噛みするのだった。

※剣術が上がりました。
 ガッツが20下がりました。


//休憩

「クソッ……復隊は明日だと!? 身体がなまりきっちまうぜ、あの傷モノ野郎!」
『……ようやく悪態をつく元気は戻ってきたみたいだね』

森崎の声の他には物音一つしない部屋の中で、ピコがふわふわと退屈そうに舞いながら言う。

「俺は最初から元気だぜ。そうでないように見えたなら、剣を振れないからかもな」
『よく言うよ。謹慎って言われたその日はベッドに倒れて動けなかったじゃない。
 無理しすぎたっていい結果は生まれないよ』
「チッ……このせいでくたばったら、あの野郎の枕元に化けて出てやるぜ」
『じゃ、このおかげで生き延びられたら教官には死ぬほど感謝しないとね』

営倉にぶち込まれないだけでもありがたいと思え、と告げたヤングの差配で
愛剣から遠ざけられてはや一週間。
酷使しすぎた身体と精神を休めた森崎が、再び鍛錬の日々に戻ろうとしている。

※ガッツが100回復しました。


******

574 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/07/03(火) 02:05:54 ID:???

*D26.6
訓練所イベント


「―――貴様らが外国人傭兵か! なるほど、聞きしに勝るとはこのことだ。
 あまりに貧相で、俺としたことが不覚にも驚かされたわ!」

そんな声と共に下卑た笑い声が響いたのは、森崎が復隊した数日後の昼下がりである。
何だなんだ、と耳目を集めたのは一人の男だった。
晴天の下にぎらぎらと輝く白銀の板金鎧。
初夏の太陽に照らされて陽炎すら揺らめかせるその表面には精緻な獅子の彫刻が刻まれ、
瞳の部分にはご丁寧に象嵌すら施されている。

「……自由騎士か」

ジョアン・エリータスの凍り付くような殺気どころか、港で対峙した棒使いにも遠く及ばないであろう
気構えのない顔つきを一目見るなり、関わるのも馬鹿馬鹿しいとばかりに踵を返そうとする森崎。
そういえば午前中には遠くでまた馬上槍試合の大会が開かれていた気がする。
参加者や従卒は三々五々解散したようだったが、まだ残っていた物好きな、あるいは暇を持て余した者が
傭兵たちの訓練する一画にふらりと立ち寄ったようだった。

『放っといていいの?』
「金持ちの洟垂れ相手にしてる暇なんざねえよ。こちとら遅れを取り返さなきゃならないんだぜ」
『ま、それもそうだね……って、何か騒いでるよ?』

ピコの言う方へと目をやれば、その中心にはやはり無闇にぎらぎらと輝く鎧姿がある。
小脇に兜を抱えた男が、座り込んだ傭兵の一団に近づくと、あからさまな侮蔑を込めて何かを言ったようだった。
ざわり、と空気が変わる。
言われた男たちの目が次第に据わっていくのが、遠目からもわかった。
貧乏人、だの、捨て駒、だのといった単語が、風に運ばれて切れ切れに聞こえた。

575 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/07/03(火) 02:07:03 ID:???
『ちょっと、雰囲気よくないね』
「……面倒なことになりそうだな」

男たちが、目配せをし始める。
白銀の鎧の男はまるで気付いた風もない。
森崎からも離れた場所にたむろしていた男たちが、座り込んだ一団を、ひいては白銀の鎧の男を
遠巻きに囲むように、しかし目立たないように少しずつ動き出していた。
鎧の男は、それでも気付かない。
もう少しで包囲が完成し、人垣が周囲からその一団を隠すことに成功しようとしていた、そのとき。

「やめましょうよ〜、ねえ」

輪の中に飛び込んで気の抜けた声を上げる男がいた。

「……ネイ!? あいつ、何やって……」

森崎の驚く間もあればこそ、褐色の肌の優男はヘラヘラとおどけたように笑顔を浮かべながら、
鎧の男に近づいていく。
周囲の傭兵たちが呆気にとられる中、

「ね、旦那。いつまでもこんな辛気臭い野郎どもを見てたって面白かぁないでしょ?
 ささ、少しは退屈も紛れたところで、お帰りはあちらですよ、っと」

身振りを交えながらそんなことを言うネイの、褐色の手が白銀の鎧に触れた、瞬間。

576 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/07/03(火) 02:08:30 ID:MmjyUQVY
「……ッ!」

ぱしん、と。
白銀の手甲に包まれた、鉄の拳が。
ネイの手を、乱暴に払った。

「気安く触るな! 折角の鎧が汚れるわ、西洋圏の―――」

愚かな男は気付いていなかった。

「―――『奴隷上がり』が!」

それが、取り返しのつかない一言であることに。



*選択

A 割って入ろうとする

B 殴り飛ばす


森崎の行動としてどれか一つを選択して下さい。
その際【行動理由】を必ず付記していただくようお願いいたします。
期限は『7/3 23:00』です。

577 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/07/03(火) 02:11:45 ID:???
******

ちなみに先述通り、この世界での「西洋圏」とは新大陸を指します。
ややこっしいんですが、そこは原作の用語をそのまま使用しております。
といったところで、本日の更新はこれまでとさせていただきます。
夜遅くまでのお付き合い、ありがとうございました。
それではまた、次回更新にて。

578 :さら ◆KYCgbi9lqI :2012/07/03(火) 09:19:29 ID:???
【ピココール】
この自由騎士を、殴った場合この塲が収まると思うか?
それともこれをきっかけにコイツを皆でリンチしてしまうと言うことは有り得るだろうか?


579 :ピコ ◆ALIENo70zA :2012/07/03(火) 10:07:18 ID:MmjyUQVY
>>578
ていうかもう、剣とか抜いちゃってる血の気の多いのがいるみたいだよ……。
こうなっちゃうとお上品な態度じゃ逆にどっちも引っ込みがつかないかも。

この後のことは……うーん、何だか寒気がするよ。
リンチとか、そんなにヒドいことにはならないって気もするけど……何だろ?
遠くの方から、冷た〜い風が吹いてくるみたいな……。


580 :さら ◆KYCgbi9lqI :2012/07/03(火) 15:24:55 ID:???
Bピコのアドバイスを聞いてAでは中途半端ではないかなと思います。
ならば殴るしかないですね。自由騎士もネイかジュトーリオに殺されるよりマシでしょうしね。

581 :源氏 ◆rLDAH8Hy8Y :2012/07/03(火) 21:00:17 ID:???
A

刀傷沙汰になってしまっては事情も碌に調べられずに
傭兵側が一方的に処断されることになるのは明白。
そうなる前に拳で男の喧嘩に持ち込む。

582 :源氏 ◆rLDAH8Hy8Y :2012/07/03(火) 21:01:37 ID:???
っと、選択肢間違いです。
AではなくBでしたっ

583 :雑魚モブ ◆.xniaLTHMk :2012/07/03(火) 21:41:56 ID:???
B
戦争も近いので仲間の和を乱したくないし、もう言葉で止まる雰囲気でもないので
『貧相』な外国人傭兵に殴られたくらいじゃ自由騎士さんは痛くも痒くもないだろしうネ

584 :見てる人 ◆S/MUyCtQBg :2012/07/04(水) 23:00:59 ID:???
B
お前はカレイだ・・・泥にまみれろよ。
と、魚住さんも言ってますし。敢えて泥かぶったほうがカッコイイ。
ネイをここで失うのは嫌だし、森崎なら何があっても大丈夫でしょ。
気のいいリーダー だし。

585 :見てる人 ◆S/MUyCtQBg :2012/07/04(水) 23:02:21 ID:???
まさかの23時59秒。こりゃ間に合わなかったかな?

586 :森崎名無しさん:2012/07/04(水) 23:03:29 ID:???
一日違うよ。

587 :森崎名無しさん:2012/07/04(水) 23:04:11 ID:???
というか締め切り昨日ですね
>>576

588 :森崎名無しさん:2012/07/04(水) 23:57:28 ID:???
スイマセンでした。

589 :ピコ ◆ALIENo70zA :2012/07/05(木) 01:06:52 ID:???

皆様、ご回答ありがとうございます。
それでは早速、>>576の選択については……

>>583 雑魚モブ ◆.xniaLTHMk様の回答を採用させていただきます!
自由騎士の言葉を逆手に取った部分も切れ味が素晴らしいです。
仲間の視線を意識していただいたのも大きいですね。
CP3を進呈いたします。

またピココールでアシストしていただいた>>580 さら ◆KYCgbi9lqI様、
現実的な視点を提示していただいた>>581-582 源氏 ◆rLDAH8Hy8Y様の回答も
それぞれ本文に取り入れさせていただきますので、CP1を進呈いたします。


>>584
申し訳ありません!
それもこれも毎日コンスタントに更新できないGMの不徳の致すところです……。
ところで現在のところ大方の期限はキリよく23:00としていますが、実際に更新作業に取り掛かれるのは
23:30頃だったりします。
期限もそこまで延ばした方が、参加していただける機会が増えるでしょうか?


590 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/07/05(木) 01:08:11 ID:???
ひゃあ、名前欄に謎の妖精さんが!
お恥ずかしい。


***


B 殴り飛ばす


瞬間、森崎が駆け出したことには幾つかの理由がある。
無論のこと、仲間への侮辱を許せぬ気持ちもあった。
反吐の如き言葉を吐き散らす下衆には、相応の報いを受けさせねばならぬ。
確かに傭兵は個人主義者の集まりである。
しかし訓練をこなし、汗を流す内に芽生える連帯とて当然にあった。
同じ釜の飯を食う者が何処の馬の骨とも知れぬ下郎に蔑まれたのを日和見的にやり過ごしては
示しというものがつかない。
潰された面子は、誰かが何らかの形で贖わねばならぬ。
そうして、その誰かとは即ち、この哀れな下郎でなくてはならなかった。
しかしまた同時に、その激情だけに身を浸すには、森崎の目に映る光景は危険に過ぎたのである。

(……早まるんじゃねえ、ジェトーリオ!)

その黒人の背を、森崎は見ていた。
ネイの手が払われた瞬間、色めき立つ周囲とはまるで違う時間の中にいるように、
ジェトーリオだけが動きを止めていた。
そして、愚かな鎧の男が文字通りに致命的な言葉を吐いたそのとき、ジェトーリオのそこだけが
型で抜かれたように生白い掌が、ベルトの背に挟んだ得物へと伸ばされ、掴み、引き抜かれたことを、
森崎はしっかりと目にしていたのである。

591 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/07/05(木) 01:09:12 ID:???
(―――届けッ!)

森崎がかけくらべをする相手は、黒い風である。
風は刃を孕んでいる。
吹き抜けた瞬間、それは鮮血を巻き上げて散るだろう。
それだけは、避けねばならぬ。
殴る蹴るであれば、苦しいながらも言い訳の立てようもある。
しかし斬ってしまっては、そして何より殺してしまっては、もはや後戻りができない。
下手人には確実な極刑が待っている。
愚かしくも哀れな貴族の子弟などと引き換えるには、大きすぎる代償だった。

「この……馬鹿野郎がッ!」

叫びながら突き出された森崎の拳は、風よりも疾かった。
手首に重い衝撃。
自由騎士の顔面を捉えた一撃は、歪んだ頬骨を力点、ねじ曲がった首を支点として、着込まれた鎧の重量を
ほぼダイレクトに伝えてくる。
振り切るように、打ち抜いた。

「……、……!」

ぎ、とも、ぐぅ、ともつかぬ悲鳴が、男の喉の辺りから漏れる。
全力疾走の速度と鍛え上げた筋力、そして美しいフォームから放たれた右ストレートは、
その白銀の板金鎧ごと、男を地面へと叩きつけたのである。

「……モリ、サキ……?」

すぐ背後、呆然とした呟きは振り向くまでもない、ジェトーリオのものである。
片手を軽く上げた森崎が、その手を自らの背に移動させ、腰の辺りをとんとんと叩く。
得物を仕舞え、という身振りであった。

592 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/07/05(木) 01:10:13 ID:???
「……」

振り向かぬ森崎には、その表情は見えない。
しかし僅かな間を置いて、小さな溜息と金属が擦れる音とが聞こえた。
どうやら意図は伝わったようであった。

(さて、次は……どうしたもんかな)

思案しながら倒れた男へと歩み寄る森崎。

「起きな、お坊ちゃん」
「……き、きしゃまぁ……!」

自慢の鎧の腹に爪先で軽く蹴りを入れながら言う森崎に、倒れた男が我に返ったように激昂する。
口の中を切ったのか、滑舌が悪いことおびただしい。

「お、お、俺をだりぇだとおもっへる……!? かの騎士侯ひゃく、せばすしゃん・じょわんうぃるから
 八代つじゅく武門のほまりぇ、じょわんうぃる家の、ひぃっ……!?」
「おう、そうかい、名門のお坊ちゃん。よーくご存知だぜ」

全身を覆う鎧の重量に、男は起き上がることができないようだった。
誉れも何もなく地に転がったまま、口から涎で薄まった血を溢しながらまくし立てる男へ
のしかかるようにして、森崎が告げる。

「だからよ、俺ら貧相な傭兵としては武門の誉れ高き騎士侯爵様の八代目だか九代目だかに
 胸ぇ借りて、一丁稽古でもつけてもらおうかと思ってな」
「にゃ、にゃに、を……」

陽光に照らされて熱い白銀の鎧を拳でごつんと一つ叩いて、森崎がニヤリと笑う。

593 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/07/05(木) 01:12:24 ID:criY5V5E
「いやあ、痛くも痒くもねえよなあ? こんだけ豪勢な鎧で身を固めた自由騎士様だ。
 ヒンソーなステゴマのガイジンに殴られて痛いよ痛いよ、なんて泣きが入るはずもねえ。
 実にご立派なことだぜ、泰然自若としたそのお姿。稽古の流れで転んじまってもビクともしねえ!
 なあ、そうだろ? そうだよなあ?」
「ぐ……」


*チェック

交渉判定

目標値【25】 → ! numnum

※ ! と numnum の間のスペースを消して数値を出して下さい。
難易度(無理難題・相手知性『低』90)−(主導権20/恐怖20/苦痛10/混乱10/仲裁スキル「ヒガシの山」5)を
目標値とし、目標値以上の値が出れば成功。
00が出た場合は難易度にかかわらず成功となります。
結果によって展開が分岐します。

成功→ 「ぐ、ぐぬぬ……」 相手はぐうの音も出ない。
失敗→ 「ぐ……う、うわああん! 怖いよ、助けて、パパー!」 泣き出してしまった……。


594 :傍観者  ◆YtAW.M29KM :2012/07/05(木) 01:22:35 ID:???
目標値【25】 →  93
10分経過しても誰も引かないし、引くか。ダメだった場合はCP/EP期待!

595 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/07/05(木) 01:25:19 ID:???
>>594
お見事です!
ダイスロールは時の運、そうご遠慮なさらずズバッと引いてやって下さいw


成功→ 「ぐ、ぐぬぬ……」 相手はぐうの音も出ない。


******


※称号が『気のいい拳のネゴシエイター』になりました。

スキル『仲裁?』を獲得しました。
種別:パッシブ
消費ガッツ:-
効果:交渉判定時、+10の修正。モラル値が40以下のときには+20の修正となる。
この効果は同様のスキルと重複する。
ただしモラル値が80を超えるとき、このスキルは発動しない。


******

596 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/07/05(木) 01:27:04 ID:???

「ひぃ……っ」

森崎の鋭い眼差しに間近で睨まれ、思わず首を縦に振ってしまう男。

「なら、話は終わりだな。この場には何もなかった、問題も、諍いも、何にも、」

と、森崎が言いかけた、そのとき。

「―――!?」

太陽は燦々と照りつけている。
雲一つない空は初夏の色を隠すこともなく、風は火照った肌を癒すが如く、爽やかに吹いている。
だと、いうのに。

(な、何だ……この感じ!)

すう、と。
その場を覆ったのは、鳥肌の立つような冷気である。
それは物理的な温度ではない。
ただの気配である。
しかし人の奥底、骨の髄と臓腑の中とを寒からしめる、怖気に満ちた気配であった。
反射的に顔を上げた森崎が、自由騎士の存在など忘れたように跳ね起きると、一歩を飛び退く。

「……」

広い野原に立ち、あるいは座り、あるいは倒れ伏したままの全員が、冷気に誘われるように振り返る、
その先には黒の一色があった。
蒼穹の下、陽光の白と大地の緑と土色の世界から抜け落ちたような、黒。


597 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/07/05(木) 01:28:06 ID:???
「ジョアン……エリータス……!」

歩み来る男の名を、知らず呟いたのは森崎自身である。
人垣が割れる。
囲みが解ける。
男の纏う底知れぬものを、その場にいる誰もが肌で感じていた。
森崎の睨む前、まるで無人の野を征くが如く、騒動の中心まで悠然と歩を進めてきたジョアンが、

「やあ、マルセル。こんなところで、何をしているんだい」

と。
散歩の途中で見かけた友人に声をかけるように、微笑すら浮かべながら言った。
相好を崩したのは、倒れたままの鎧の男である。
ジョアンの差し伸べた手を握り、ようやく身を起こしながら口を開く。

「……じょ、ジョアン君! 良かった、助かった、聞いておくれよ!
 こいつら平民以下の外国人のくせに、俺のことを……」
「マルセル・ジョワンヴィル」

まくし立てようとした男の言葉が、ただの一言で遮られた。
名を呼んだだけの、声。
しかしその声音は、人の心胆を鷲掴みにするが如きものである。
マルセルと呼ばれた自由騎士の男が、凍りついたように固まる。

「もう一度聞くが―――こんなところで、何をしているんだい。
 今日の大会で、一勝すらできなかった君が、こんなところで、何を?」

598 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/07/05(木) 01:29:26 ID:???
手は、握られたままでいる。
男を見下ろしながら一節ごとに区切るように発音される、それはさながら罪の宣告である。

「そ、それ……、は……」

自由騎士が、炎天下に鎧までを着込んだ身でありながら蒼白な顔色でジョアンを見上げる。
今にもガタガタと震えだしそうな表情の自由騎士を、この場に現れたときから一寸たりとも変わらぬ
微笑を向けるジョアンが手を引き、立ち上がらせた。
一人では上体を起こすことも叶わぬ重量を片手で引き上げたジョアンが、懐から取り出した絹のハンカチで
自由騎士の鎧についた泥土を丁寧に落とすと、周囲を睥睨するように、口を開く。

「友人が大変な失礼をしたようだ。このジョアン・エリータスが深く詫びよう。
 ―――が、それはそれとして、だ」

汚れたハンカチから手を離すジョアン。
地に落ちたハンカチが、風に吹かれて転がっていく。

「私の友人を傷つけた礼も、相応にさせてもらわねばなるまい。
 ……相手は、誰かな」

微笑は、変わらぬ。
変わらぬまま、声は牙と爪とを帯びていた。
直立不動のままでいた自由騎士の男が、ジョアンの視線に促されて慌てて指さしたのは、
やはり森崎である。
ジョアンの氷青色の目が、その姿を認めた途端に蛇の如く細められていく。

「ほう……貴様か、東洋人」
「……悪縁も縁の内、か」

嫌な言葉だ、と吐き捨てた森崎の身に一切の油断はない。
抜刀こそしていないものの、利き手は剣の柄に置かれていつでも抜けるように構えている。

599 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/07/05(木) 01:30:41 ID:???
「……」
「―――」

言葉が途切れる。
喉が、ひりつく。
じっとりした汗が森崎の背筋を垂れるのは、初夏の陽光のせいだけでは決してなかった。
絡む視線が、漆黒と氷青色とのせめぎ合いが、その中心点に何かを結晶させようとした、その寸前である。

「貴様ら、何を騒いでいる!!」

凍りついたような場を根こそぎ吹き飛ばすような、大音声。
走り来るヤング・マジョラムの姿は、この一連の騒動に強制的な幕引きをもたらす機械仕掛けの神である。

「……命冥加なことだな、東洋人」

つまらなそうに視線を外したジョアンが、呟くと踵を返す。
自由騎士の男がおろおろと周囲を見回し、それから慌てたように追いかけようとしたその歩みが、
三歩を歩いて止まった。

「……そうそう、貴様も顔くらいは見知っていたかな。私の婚約者―――ソフィアだが」

立ち止まったジョアンが、振り返らないままに言う。

600 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/07/05(木) 01:32:49 ID:???
「この間、実に楽しい休日を過ごしたようだ。誰だか知らないが、感謝しなくてはならないな。
 その親切な誰かのおかげで、」

と、たっぷりと間をとって、ジョアンが肩を震わせる。

「おかげで彼女を花嫁修業に入らせる、いい切っ掛けになったのだから。
 良き安息の後には、より一層の勤勉を―――我がエリータスの家訓に相応しい女性だよ、ソフィアは!」

表情を見せぬその背には、しかし隠しようもなく明らかな、愉悦の二文字が浮かんでいる。

「今年中は我が屋敷から外に出ることもなかろうが……それほどの一日であったのなら、釣り合いもとれよう。
 クク……ハハハ、ハハハハ!」

悦に入った笑い声は、いつまでも高らかに響いていた。
黒を纏うその背が見えなくなっても、森崎の耳朶にこびりつくように、いつまでも。


******

601 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/07/05(木) 01:34:32 ID:???
といったところで本日の更新はこれまでとさせていただきます。
選択まで届かず申し訳ありません。
次回は6月メインイベントからのスタートとなります。
夜遅くまでのお付き合い、ありがとうございました。
それではまた、次回更新にて。

602 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/07/05(木) 12:12:50 ID:???
******



*D26.6 「気のいい拳のネゴシエイター」森崎有三
メインイベント

『ふたりはなかよし』





603 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/07/05(木) 12:13:57 ID:???

毎朝そうしているように訓練所への道を行く森崎の耳に、毎朝のそれとは違う音が飛び込んできたのは、
朝の陽射しもうららかな初夏のある日のことである。

「ぃや……ぁ……!」

甲高い、ほとんど音と呼べるような悲鳴。
そして、それを掻き消すような猛烈な吠え声であった。

「何だァ!?」
『犬と……女のコ?』

慌てて角を曲がった森崎が見たのは、ピコの言葉通りの組み合わせ。
まだ幼いとすら言える年頃の、学園のものらしき制服を着た少女と、痩せ細り毛並みも乱れた野良犬である。
野良犬は何が気に障ったのか、明らかな敵意を剥き出しに吠え続けている。
吠え声とともに涎を撒き散らしながら少女を睨むその黄色く濁った眼光は凶悪で、
年端もいかぬ幼い少女を恐怖の底に叩きこむには十分な迫力を有していた。

「やぁ……い、やぁ……」

そんな野良犬に嵐のような咆哮を浴びせられる少女の顔色は蒼白である。
目にいっぱいの涙を溜め、すっかり怯えきった声を漏らすその様子はどこまでもか弱気で、
今にもへたり込んでしまいそうだった。
蜂蜜色のふわふわとした巻き毛が、ふるふると首が振られるのに合わせて、力なく揺れた。

「あー、こりゃあ……」
『ちょっと興奮しちゃってるねえ……あのコ、急に倒れたりしたらガブッといかれるんじゃないかな』
「他人事みたいに言うな……」
『他人事だからね。ま、どうするかはキミが決めることだよ』

604 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/07/05(木) 12:15:24 ID:criY5V5E

*選択

A 少女を助ける

B 手をこまねく



森崎の行動としてどれか一つを選択して下さい。
その際【選択理由】を必ず付記していただくようお願いいたします。
期限は『7/5 23:30』です。


******


変則的な時間の更新ですが、一旦ここまでで失礼いたします。

605 :傍観者  ◆YtAW.M29KM :2012/07/05(木) 12:24:14 ID:???
A
「ああいう」ことがあって間もないだけに、哀れな少女を放置できるキャラではもう無いでしょ、森崎。
深い関係にならないよう助けたあとはなれることがあったとしても、「まず助ける」は反射的行動のはず。

606 :さら ◆KYCgbi9lqI :2012/07/05(木) 14:39:53 ID:???
Aここで手をこまねくと噛まれてしまいますからね。助けるなら冷静に素早く対応をするべきだと思います。

607 :雑魚モブ ◆.xniaLTHMk :2012/07/05(木) 20:33:50 ID:???
A
野犬が狂犬病とか持っていたら洒落にならないから
本編の話だが森崎は犬を飼っていた経験があるらしいので扱いも上手いはず・・・動物に好かれなさそうな性格だがw

608 :◆W1prVEUMOs :2012/07/05(木) 20:36:19 ID:???

危機的状況を黙って見過ごすキャラじゃないから

しかしジョアンはライバルポジだなあ
ソフィアと関わるのをやめればコイツとの縁も切れるのかもしれないが
それよりはソフィアルートでがっつり対峙した方が面白いか

609 :Q513 ◆RZdXGG2sGw :2012/07/05(木) 21:33:49 ID:???
A
助けられるだけの力はあるだろうし、助けるべき相手とみた


610 :◆9OlIjdgJmY :2012/07/05(木) 22:39:28 ID:???

正直ヒロイン候補は少し間引いちゃいたいくらいなのですがw
ここで助けない合理的理由が思い付かないので

611 :ノータ ◆JvXQ17QPfo :2012/07/05(木) 23:19:01 ID:???
A
ここで助けなきゃ男と称号が廃るってもんだ!

612 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/07/06(金) 00:11:24 ID:???
皆様、ご回答ありがとうございます。
それでは早速、>>604の選択ですが……

>>605-611、皆様の回答を等しく採用させていただきます!
これはさすがに横一線、迷う余地なしといったところでしたね。
設問の甘さに未熟を噛み締めつつ、皆様にCP3を進呈いたします。


613 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/07/06(金) 00:13:12 ID:???
>>605
ここからのキャラはソフィアと違ってかなり癖が強いので、距離の取り方は重要かもしれません。
というか、非常に鋭いところを突かれていてGM的にはかなりドギマギしております!

>>606
はい、その反応はキャラ的に極めて正しいと思います。

>>607
この頃の犬・狐などは非常に危険ですね。
ワクチンもありませんので、感染した時点でほぼ100%アウトです。

>>608
ジョアンの次の出番はかなり先になる予定です。
それまでに様々な方面での力を蓄えておきたいところですね。

>>609
お察しの通り、ヒロイン候補です。
どのようなキャラなのかは……すぐにわかりますw

>>610
現状、森崎はかなりのお節介焼きキャラなので、いきなり突き放していくのは
なかなか難しいところですね。
問題は次から次へと起こっていきますが、同時には解決できない……ということはありませんので
その点だけはご安心下さい。

>>611
はい、格好良くキメてやって下さい!


614 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/07/06(金) 00:14:15 ID:???
***

A 少女を助ける


幼い少女の、溢れ出しそうな涙を湛えた瞳が森崎を捉える。
瞬間、その目に宿った光は少女の心に灯る希望のもたらしたものであっただろうか。

「……ち、しゃーねえな。遅刻でおっさんにどやされねえ程度に、パパっと片付けるか」
『そう言うと思ったよ』

どこか満足げに頷くピコにひとつ鼻を鳴らして、森崎が走り出す。
走りながら腰に伸ばされた手は、提げられた長剣を鞘ごとベルトから抜き取っていた。

「おら、こっちだ!」

森崎の声と走り来る気配に、驚いたように振り返った痩せ犬がその場を飛び退く。
それを追うように、森崎が鞘に収まったままの長剣を大きく振り回した。

615 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/07/06(金) 00:15:24 ID:okiW0Zfo

*チェック

剣術・体術判定

目標値【33】 → ! numnum

※ ! と numnum の間のスペースを消して数値を出して下さい。
シーン難易度【100】−(剣術+体術/2)を目標値とし、目標値以上の値が出れば成功。
00が出た場合は難易度にかかわらず成功となります。
結果によって展開が分岐します。


成功→適度な一撃が野良犬にヒット!
失敗→空振り! 野良犬の反撃だ!

616 :さら ◆KYCgbi9lqI :2012/07/06(金) 05:52:02 ID:???
目標値【33】 →  17

617 :さら ◆KYCgbi9lqI :2012/07/06(金) 05:59:43 ID:???
cp9とEP5を使って数値を37にします。
酷い引きだね。

618 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/07/06(金) 16:37:29 ID:???
なるほど…チェックの失敗を引いた個人がリカバリするような流れですと、ちょっと負担が重いですね。

そういった理由で判定を躊躇されることも考えられますし、ここで暫定的に数値加算に関するルールを改訂いたします。


・数値加算が行われた場合、その宣言から24時間以内であれば当該プレイヤーの消費したEP及びCPの一部、
あるいはその全部を他のプレイヤーが肩代わりすることができる。
その場合は【代理消費】と宣言し、どの処理について何ポイントを受け持つのかを明示すること。
※本改訂は>>616以降を適用範囲とする。


これはプレイヤーの皆様の互助的な交流とゲームの円滑な攻略を主眼としたものであり、
決して負担を強制するものではありません。
ご覧の通り対症療法ですので、ご意見や改善案、より良い解決法のご提案などありましたら
是非ともお寄せくださいませ。

それでは、夜の本更新まで失礼いたします。

619 :源氏 ◆rLDAH8Hy8Y :2012/07/06(金) 17:04:31 ID:???
それでは【代理消費】させて頂きます。

>>616
使用CP:3ポイント

620 :源氏 ◆rLDAH8Hy8Y :2012/07/06(金) 17:06:04 ID:???
おっとこの場合の「処理」は>>617で行われた加算ですね。

621 :◆W1prVEUMOs :2012/07/06(金) 18:48:34 ID:???
【代理消費】

>>617
使用CP:3ポイント

622 :さら ◆KYCgbi9lqI :2012/07/06(金) 20:35:56 ID:???
皆さんありがとうございます。助かりました。

623 :傍観者  ◆YtAW.M29KM :2012/07/06(金) 20:48:55 ID:???
ところで、相談に乗ってくれないか?
「「ああいう」ことがあって間もないだけに、哀れな少女を放置できるキャラではもう無いでしょ、森崎。
深い関係にならないよう助けたあとはなれることがあったとしても、「まず助ける」は反射的行動のはず。」
この私の発言のどこかにGMをドギマギさせるような「鋭いところ」があったらしい。どこだと思う?
深い関係にならないように離れる……のあたりだと思うんだが(つまり、さっさと離れないと逃げられなくなる)。

624 :さら ◆KYCgbi9lqI :2012/07/06(金) 21:01:43 ID:???
多分そうだと思います。今度の女の子恐らく一途なんじゃないですかね。

625 :◆W1prVEUMOs :2012/07/06(金) 22:04:47 ID:???
あとはこの少女に限らず反射的に助ける性格のせいで女性関係では「女たらし」になってしまうとか?
でもピコは満足げに頷いてるから(>>614)このこと自体は悪いことではないのかな

626 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/07/07(土) 00:21:44 ID:???
>>619 源氏 ◆rLDAH8Hy8Y様、>>621 ◆W1prVEUMOs様、早速のご利用ありがとうございます。
システムの例示にご協力いただいたということで、それぞれCP1を進呈いたします。

>>623-625
もちろん詳細は秘密ですが、この後の展開も含めて色々と考えてみて下さいね!


***

成功→適度な一撃が野良犬にヒット!


「……このっ!」

狙い定めて振った剣の鞘は、吸い込まれるように痩せ犬の鼻先へと命中する。
ぎゃん、と潰れたような悲鳴を上げた野良犬は、泡を食って逃げ出していくのだった。

「大丈夫か、……とぉ!?」
「……!」

遠ざかっていく犬が戻ってくる気配のないことを確認して、振り返った森崎が思わずのけぞる。
なんとなれば、走り寄ってきた少女が、跳ねるように森崎の胸に飛び込んできたのであった。

「うわっぷ!」

蜂蜜色のふわふわした巻き毛が森崎の視界を埋める。
振り払ったその向こうに、今度は深い泉が現れた。
赤みがかった薄茶色の、それは潤んだ瞳である。
幼さと愛らしさの最大公約数を追求したような、大きく丸い瞳がぱちぱちと瞬きしながら、
森崎の眼前数インチまで迫っていた。
幼い顔立ちのわりに長い睫毛が印象的だというのは、その己の胸丈ほどまでしかないであろう、
ふにゃりと軽くやわらかな体の熱と、甘い香りの漂う吐息とを感じながらの、森崎の内心の弁である。

627 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/07/07(土) 00:22:45 ID:???
「ぁ……」

幼い少女のふっくらとした唇が、何かの音を紡ごうとした。
そのときである。

「こらあぁぁーっ!」

怒声が、響いた。

「何してんだ、お前ーっ!!」

森崎の正面から走り来る、それは一陣の風である。
風は、制服を着た少女の形を模していた。
きつく吊り上がった気の強そうな眼差しに、肩口まで伸ばされた癖の強そうな亜麻色の髪。
全身から醸しだされる雰囲気には純粋な怒りが色濃く浮き出ている。

「この―――」

森崎からわずか数歩の距離を置いて急制動をかけた少女が、親の敵を見つけたような顔で森崎に怒鳴った。

「変 質 者 ! ロリィから離れろ!」
「なにィ!?」

想定外の言葉に目を見開く森崎。
と、その胸に抱き止められるかたちになっていた幼い少女が、肩越しに振り返ると、
その表情をぱっと明るくする。

628 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/07/07(土) 00:23:47 ID:???
「あ、レズリーお姉ちゃんだあ!」
「ロリィ! そいつから離れな! こっちに来るんだ!」
「うん!」

言われた幼い少女が、森崎の首に回していた手をあっさりと放すと、身軽な動作で地面に降り立ち、
走ってきた少女の側へと駆けていく。
と思えば、ロリィと呼ばれた幼い少女は、今度はレズリーと呼ばれた少女へと抱きついた。

「こ、こらロリィ!」
「レズリーお姉ちゃん、おはよう〜」
「挨拶はまた後で、な! 今はそれよりコイツを……」

と、視線を移そうとしたレズリーが驚いたように声を上げる。

「お、おいお前! 何を逃げようとしてんだ!」
「……いや、普通に出勤しようとしてるだけだが」
『面倒なことになりそうだから、さっさと立ち去ろうとしたんだよね』

頭の後ろで手を組みながらふわふわと浮かぶピコをひと睨み、森崎が仕方なく立ち止まって
少女たちへと向き直る。

「思うんだが、何かひどい誤解をされてるんじゃねえかな、俺」
「何を! とうとう直接手を出しておいて、言い逃れできると思ってるのか、この変質者!」
「変質者……」
『まあ、傍から見ればそんな感じだったけどね』
「……」

ピコの言いように思わず口を噤む森崎。
この国では見慣れぬ黒髪の、しかも武装した外国人が見知らぬ幼女を抱きかかえていたのである。
経緯を知らず、絵面だけを見たとしたら、これは誤解しない方がおかしい。
そこで森崎は―――

629 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/07/07(土) 00:26:29 ID:LTq/m8Vk
*選択

A 言葉を尽くして釈明を図る。

B ロリィに説明を求める。

C 猛ダッシュ! (必要CP:1)


森崎の行動としてどれか一つを選択して下さい。
その際【選択理由】を必ず付記していただくようお願いいたします。
期限は『7/7 23:30』です。


******


正ヒロイン候補五人の内、三人まで登場! といったところで
本日の更新はこれまでとさせていただきます。
夜遅くまでのお付き合い、ありがとうございました。
それではまた、次回更新にて。


630 :雑魚モブ ◆.xniaLTHMk :2012/07/07(土) 06:46:29 ID:???
B
ここで逃げだすと誤解が広まって称号が『気のいいナンデス』とかになるかもしれないから
また疑われて人物が釈明する場合は物的証拠がないと信憑性が無いので他人に説明を求めるのが一番かと

631 :◆W1prVEUMOs :2012/07/07(土) 10:12:14 ID:???

ロリィが説明下手で大変な誤解を受けるというお約束の展開がありそうなので
また、他人の行動に判定は絡まないけど、Aなら最悪CPEPつぎ込めばどうにでもなる

632 :さら ◆KYCgbi9lqI :2012/07/07(土) 10:29:00 ID:???
A Cだとレズリーに変質者として認知されそう。Bだとロリィに恋人として紹介されそう。
ならば自分から説明した方がトラブルの回避や誤解を避けれると思いますね。

633 :源氏 ◆rLDAH8Hy8Y :2012/07/07(土) 20:45:50 ID:???
A

どうもこのマイペースな少女に説明を頼んでも誤解がより深まるような悪い予感しかしない。
「犬に襲われていたから追い払っただけ」と簡潔に事実を述べるのが吉。
少女の抱きつきグセは相手も承知しているようだし。

634 :◆9OlIjdgJmY :2012/07/07(土) 22:58:41 ID:???

ここで手間取っていると確実に遅刻してしまうから。
誤解もロリィが事実を話せば後で解けるだろう。

635 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/07/10(火) 01:02:45 ID:???
皆様、ご回答ありがとうございます。
それでは早速、>>629の選択については……

>>630 雑魚モブ ◆.xniaLTHMk様の回答を採用させていただきます!
疑われている人物自身の釈明の信憑性については実に鋭い読みでした。
特にこの場面、レズリーは森崎を頭から敵対視している上に非常に興奮しているので
この先の展開の難易度が一時的に跳ね上がるところでした。
また称号『ナンデス』もいいネタいただき、ということで本編に反映させていただきます。
CP3を進呈いたします。

また非常に明快な論理でこのシーンの攻略を試みる案を出していただいた
>>631 ◆W1prVEUMOs様にも次点としてCP1を進呈いたします。
仰る通り、Aが選択されていた場合は、この後「説明の手段・ロジック」の選択を経て
魅力・手段チェックという流れでしたので、いざとなればポイントゴリ押しが通用しました。
このシーンの突破に限れば極めて効果的な選択理由でしたね。
GMはこういった方向性のご回答をとても採用しやすい傾向にあります。
そしてまた仰る通り、お約束の展開もこの後で存在しますが、難易度はだいぶ下がりますw

また>>633 源氏 ◆rLDAH8Hy8Y様の、レズリーもロリィの抱きつきグセを知っている、というのは
鋭い……というかGMも目からウロコのご指摘です!
もしもAが採用されていたら、判定に対しとても強い材料として機能していたでしょう。
こちらもCP1を進呈いたします。


636 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/07/10(火) 01:16:22 ID:???
>>632
確かに成功すれば誤解も解けましたが、興奮状態のレズリーを説得するのは少し手間でしたね。
ちょっとだけ攻略情報を漏らしてしまうと、現状の森崎の人物称号は初期状態のレズリーに対して
弱いながらもマイナスの補正を持っています。

>>634
Cが選ばれていたら変質者フラグ一直線でした!
誤解は……余計に深まっていたかもしれませんw


ご回答いただいた皆様にそれぞれEP1を進呈いたします。

637 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/07/10(火) 01:17:29 ID:H5dwRuBE
「あー……、どうせ俺が何を言っても納得しないだろ? だったら……」

と、森崎は幼い少女、ロリィを見やる。

「そこのお前。お前だ、そう、な! このオネエちゃんに事情、説明してやってくれ」
「……!」

しかし、急に話を振られたことに驚いたのか、ロリィはびくりとした顔で森崎を見返すと、
そそくさとレズリーの影に隠れてしまう。

「そりゃないだろっ!」
「……っ」
「お前! この期に及んでロリィを泣かせるのか!」

いよいよもって険しくなるレズリーの表情に、唯一の突破口が封じられて途方に暮れる森崎が
これ以上の面倒を避けるべく逃走経路を内心で模索し始めた、そのとき。


*チェック

魅力判定

目標値【2】 → ! numnum

※ ! と numnum の間のスペースを消して数値を出して下さい。
シーン難易度【20】−(魅力)を目標値とし、目標値以上の値が出れば成功。
00が出た場合は難易度にかかわらず成功となります。
結果によって展開が分岐します。

成功→「違うの、お姉ちゃん……」 ロリィの証言が得られそうだ。
失敗→「う、うぅ……」 これだから子供は……!

638 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/07/10(火) 01:20:46 ID:H5dwRuBE
※※※


GMより皆様にご質問です。
このシーン、難易度をご覧いただいてもお分かりの通り、実は自動成功しています。

さてこのような場合、これまでは内部的に処理して何度かスルーしてきたのですが、そうなると
EP獲得チャンスが減るという側面もあるため、ここで皆様の意思確認を行いたいと思います。

EP1を獲得する機会(と、ダイスロールする楽しさ!)と、
1%の失敗リスク(加えて、チェックが行われるまでのタイムラグ)。
天秤にかけて、どちらが望ましいでしょうか?

それぞれのご意見を拝見して総合的に判断させていただきます。
システムに関するアンケートのため、ご回答いただいた皆様には
それぞれCP1を進呈いたします。


※※※

639 :源氏 ◆rLDAH8Hy8Y :2012/07/10(火) 01:23:07 ID:???
目標値【2】 →  59

私は自動成功にして先の話を見たいですね。

640 :傍観者  ◆YtAW.M29KM :2012/07/10(火) 01:24:35 ID:???
代理消費のお陰で参加者全体でのポイント使用はかなり余裕ができたから、
EP1にこだわるよりはスピードのほうが大事かなー。

641 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/07/10(火) 01:24:49 ID:???
***

成功→「違うの、お姉ちゃん……」 ロリィの証言が得られそうだ。


ぼそり、と。
子供じみた声は、ロリィである。
何事かと振り返ったレズリーを見上げて、ロリィが続ける。

「この人ね、ロリィを助けてくれたの……」
「え……?」

意外な言葉に、レズリーが目を丸くする。

「学校にね、行こうとしたら……怖い犬さんがね、わんわんって吠えてて……」
「……」
「ロリィ、とっても怖くって、泣きそうになっちゃんだけど、でも、この……」
「コイツが?」

無遠慮に森崎を指さすレズリー。
ロリィが頷く。

「ばーってきて、えいって犬さんをやっつけてくれて……だからロリィ、嬉しくって」
「嬉しくて……?」
「つい、ぎゅーってしちゃったの。とってもカッコよかったから……」
「……」
「えへへ」
「……」
「……」

642 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/07/10(火) 01:25:50 ID:???
沈黙が、重かった。
特にその重みを感じていたのは、レズリーであっただろう。
多少の憤りはあったが、徒に少女を虐める趣味はない。
肩をすくめた森崎が、状況を打ち切るべく口を開いた。

「俺、もう行っていいかな」
「あ、え、あの、えーっと……」

大人の対応に、咄嗟に適応できず言葉を失うレズリー。
と。
困ったように中空へと目を走らせ、必死に何かを言おうとするその背に、新たな声がかけられた。

「―――どうかしましたか、ロピカーナさん、コールウェルさん」

低く落ち着いた、しかし明晰な意志の響きを持つ声音と共に拡がったのは、淡い花の香りである。
鼻孔をくすぐる茉莉花の、甘く爽やかな芳香に誘われるように視線をやった森崎が、香りの主を見る。
少女たちの背後、朝陽の下にも白く匂い立つ、それは女性である。
年の頃は三十に満たぬほどであろうか。
麗人であった。
銀白色の波打つ髪を頭の後ろできっちりとひっつめた、そのともすれば冷たくも映る端正な顔立ちの中、
特に目を引くのは銀縁の眼鏡である。
薄緑色の、理知の光を湛えた瞳を守護するように煌めく、それはさながら硝子の城壁。
その壁の向こうに垣間見える顔は化粧気が薄く、淡い桃色の口紅と、森崎の肺の奥を撫でるような
茉莉香の香水だけが美しく整った目鼻立ちを彩っていた。
身に着けているのは純白の襟付きブラウスである。
上半身のラインを隠すような、ふわりと柔らかい仕立ては一目で絹であると分かる。
腰から下を覆うのは濃紺の、尻から腿にかけてぴったりと張りつくような膝丈のタイトスカート。
足元はモンクストラップの黒い革靴である。
全体に清楚で、品良く、そして窮屈な服装だと、森崎は思う。
まるで成熟した女という要素を構成する何もかもを、その服という檻の内側に無理やりに
押し込めようとしてでもいるような、そんな印象であった。

643 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/07/10(火) 01:26:51 ID:???
「あ、オルガちゃん!」
「オルガ、センセー……?」

振り返った少女たちがそう呼ぶのへ、苦笑を返す女性。
先生、と呼ばれるところを見れば、少女たちの教師であるようだった。
引き結ばれた口元が緩むと、途端に親しみやすい表情が顔を覗かせる。

「こら」

短く叱るその声も、茶目っ気の混じったものである。

「クラリック先生って呼びなさい、っていつも言ってるでしょ。
 ……それで、どうしたの? 何か揉めていたようだけれど」

言った女性が、森崎を睨む。
親しみやすそうな笑顔から一転、あからさまに不審者を見る目である。

「い、いや……それが、どうもあたしの勘ちが……」
「ね、オルガちゃん、ロリィね!」
「クラリック先生」

しどろもどろに何事かを弁明しようとするレズリーを遮って、クラリック女史に
満面の笑みを向けるロリィ。
訂正されても、悪びれた風もなく続ける。

644 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/07/10(火) 01:28:10 ID:H5dwRuBE
「えへへ、クラリックせんせい、ロリィね、このお兄ちゃんに、抱っこしてもらったの!」
「お、お兄ちゃん……!?」
『お兄ちゃん……』
「お兄ちゃんがね、たたたーって来てね」

森崎と、そしてピコの動揺をよそに、ロリィのたどたどしい言葉は続く。

「それでね、ばーん! って剣を出してね、ぶんぶんって振りまわして、
 すっごいカッコよくて、ロリィ、ぎゅーってされちゃったの!」
「……」

ロリィの言に、クラリックの薄緑色の瞳が森崎を射貫く。

「おい……」
『さっきと比べて、だいぶ証言が変わったね……。っていうか、この説明だと……』


*チェック

魅力・評価判定

目標値【36】 → ! numnum


※ ! と numnum の間のスペースを消して数値を出して下さい。
シーン難易度【90】−(魅力/3+評価*2)−スキル『清潔感』10
を目標値とし、目標値以上の値が出れば成功。
00が出た場合は難易度にかかわらず成功となります。
結果によって展開が分岐します。

成功→「そうでしたか……」 一応信用してもらえたようだ。
失敗→「―――ナンデスでしたか。区警を呼びます」 ナンデスって何!? ……が、そのとき?

645 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/07/10(火) 01:30:31 ID:???
******

こちらのチェックが本番、といったところで
本日の更新はこれまでとさせていただきます。
夜遅くまでのお付き合い、ありがとうございました。
>>638のアンケートについては引き続きご意見をお待ちしております。

それではまた、次回更新にて。


646 :◆9OlIjdgJmY :2012/07/10(火) 01:31:20 ID:???
目標値【36】 →  63

647 :◆9OlIjdgJmY :2012/07/10(火) 01:38:52 ID:???
ケースバイケースで良いのではないでしょうか?
GMさんがサクサク更新したいとき→自動成功
GMさんが一呼吸置きたいとき→一応判定
みたいな感じで。

648 :さら ◆KYCgbi9lqI :2012/07/10(火) 06:20:05 ID:???
サクサク進めても問題ないとGMが判断すれば良いと思いますね。

649 :◆W1prVEUMOs :2012/07/10(火) 18:07:49 ID:???
>>638
自動成功(失敗)してるのに本来無いはずの可能性が1%でも生まれるようなことは
個人的には嫌ですね

650 :見てる人 ◆S/MUyCtQBg :2012/07/10(火) 22:05:15 ID:???
サクサク感のほうが大事だと思います。
1%の引きのために少し時間がかかるのであれば、物語が進むほうが楽しく感じます。
自動成功が失敗すると悲しいですし、自動失敗が成功するのを期待するのも・・・
後半に余ったポイントで無理やり成功できそうなレベルならアリかもですが。

651 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/07/12(木) 00:22:49 ID:???

皆様、アンケートへのご回答ありがとうございます。
なるほど、大筋において自動成功/失敗時の判定を内部処理する点で反対のご意見はなさそうですね。
それでは、今後は演出上必要と判断する場合を除いて自動的に成功、あるいは失敗する判定については
チェックを挟まず、シナリオの進行を優先させていただきます。
また更新スピードが低下することを懸念されるご意見も多いようで、この点については
別途改善努力させていただきます。

改めまして、今回ご回答いただいた皆様に御礼申し上げます。

652 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/07/12(木) 00:23:53 ID:???
***


成功→「そうでしたか……」 一応信用してもらえたようだ。



頷いたクラリックの様子に疑いの色はない。

『今ので信用しちゃうの……?』

思わずピコが首を捻るのも無理からぬことではあったが、よく見ればクラリックの目線は
証言をもたらしたロリィではなく、その傍らに立つレズリーの方を向いていた。
どうやらレズリーの態度、その口から反論や森崎への怒りの言葉が飛び出さないかを観察していたようだった。
してみると最初からロリィの言は判断材料と考えていなかったものか。

「我が校の生徒がご迷惑をお掛けしたようで、申し訳ございませんでした」

この教師、存外に冷静な目で生徒たちを見ているのかもしれない。
そんなことを考える森崎に、クラリックが深く頭を下げる。
ひっつめた銀髪の下、白いうなじが目に眩しい。

「い、いやいや、迷惑ってほどじゃねーよ、はは、ははは……」
『鼻の下、鼻の下!』

向き直ったクラリックが、つい、と森崎に一歩近づいて口を開く。
ふわりと香る茉莉花と、眼鏡の向こうのミントグリーンの瞳。
間近で見れば思わず惹き込まれるような、女ざかりであった。

653 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/07/12(木) 00:24:54 ID:???
「わたくし、このドルファン学園で教鞭を執っております、クラリックと申します。
 何かございましたら、学園までご連絡いただければと存じます」
「や、こりゃどうも、ご丁寧に……」
『だからそのニヤケ顔、どうにかしなさいよ!』

ピコがぽすぽすと後頭部を叩くのを、森崎は気にも留めない。

「それでは、授業が始まりますので、わたくし共はこれで失礼致します。
 ……ほらロピカーナさん、コールウェルさんも。教室へ入りなさい」

振り返って声をかけた、二人の雰囲気は対照的である。

「はい……」
「はーい! じゃあね、お兄ちゃん! またね!」

どこまでも気まずそうに、森崎と目を合わせようとしないレズリー。
一方ロリィはといえば、両手をぶんぶんと振り回すようにしながら満面の笑顔を浮かべて
学園の正門の方へと歩いていくのだった。
そんな二人と、その後に続くクラリックの背を見送る森崎に、ピコがふとその頭を叩く手を止めて呟く。

『ていうかさ』
「ん?」
『あのロリィってコ、制服着てたよね』
「ああ、着てたな」
『レズリーってコと同じ制服だったね』
「そうだな。……って、何が言いたいんだよお前」

怪訝な顔をする森崎の前に飛んで回ったピコが、その小さな指を明後日の方向に向ける。

654 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/07/12(木) 00:26:17 ID:???
「ん?」

その指す先には、やはり学園に登校しようとするものだろうか、子供たちの一団が道を急いでいる。
しかし。

「あれ? 制服が……」
『うん、違うね』

デザインの大枠に違いはない。しかしレズリーやロリィ、そして森崎の記憶にあるソフィアが
纏っていたような濃紅色のベストとスカートを、道の向こうの子供たちは身に着けていない。
そこにいたのは、白を基調としたものと、青を基調にしたものの、二通りである。

『歳の頃から考えても、白いのが初等部。青いのが中等部なのは間違いないね。毎日見てるでしょ、キミも』
「だっけか……?」
『で、さっきの赤いのが高等部。じゃあ、さ』
「あの、ロリィってのは……」
『……』
「……」

沈黙が降りた。
異郷の地には、まだまだ森崎には想像もつかぬ深淵が存在するようだった。
と、思わず天を仰いだ森崎の額に、ピコがぺとりと降り立って言う。

『で、時間はいいの?』
「……。うおおっ、忘れてた! ヤベえ、走るぞ!」


******

655 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/07/12(木) 00:27:18 ID:???


「くぁ……今日は特にくたびれたぜ……」

日も暮れかけた薄闇のキャラウェイ通りに、しょぼくれた男の声が響く。
我らが森崎有三である。
気怠げに頭を掻く森崎の周りをくるくると旋回しながら、ピコが笑う。

『朝からオモシロい目にあってたしね』
「ヒドい目だっつーの! 結局遅刻してヤングのおっさんにどやされるしよ!」
『それはいつものことじゃない。……それにあのセンセーには、だいぶ鼻の下伸ばしてたよね?』

ピコの白い目が森崎に突き刺さる。

「うえっほ、ごほん。……さて、どこで飯食ってくかな」
『もう、すぐ誤魔化して』
「しっかし、今日は妙に人通りが多いな……こりゃどこも混んでそうだぜ」

と、森崎が夕飯の目星をつけようと思案気に辺りを見渡していると。

「あ、お兄ちゃんだ!」

耳に飛び込んでくる甲高い声。
思わず森崎がびくりと背筋を伸ばす。

「うぐ……この声は」
「おーい! お兄ちゃ〜ん!」
『呼ばれてるよ、お・兄・ちゃ・ん』

わざとらしく繰り返してみせるピコをひと睨み、慌てて声の方へと目を向ける森崎。
すると、夜目にも鮮やかな蜂蜜色の巻き毛がふわふわと揺れながらこちらへと向かってくるのが見えた。
その後ろからは面白くなさそうな顔を浮かべた、すらりと背の高い少女も追いかけてくる。

656 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/07/12(木) 00:28:32 ID:???
「わ〜い、お兄ちゃんだ!」

巻き毛の少女、ロリィが人ごみをかき分けてすっかりその姿を表すと、駆けてきた勢いそのままに跳んだ。
朝の再現のような光景に、このことを半ば予想していた森崎がその小さな体を渋々ながらも抱きとめる。

「こら! いきなり何するんだ、お前は」
『ひゅ〜ひゅ〜、妬けちゃうね〜』

無責任に囃し立てるピコの相手をする余裕もなく腰の辺りにまとわりつくロリィを引き剥がそうとする森崎に
冷たい声をかけるのは、当然ながら追いついてきたレズリーである。

「……楽しそうだな、アンタ」
「そう見えるか!?」
「フン」

半ば呆れたような表情のままそっぽを向いてしまうレズリー。
朝方のような怒りの色こそないようだったが、森崎への悪感情は払拭されていないらしい。

「ふ〜! ね、お姉ちゃん、どうしたの?」

と、一通りまとわりついて満足したのか、しばらくするとロリィは森崎から離れてレズリーの方へと駆けていく。
ぽふ、とその胸に顔を埋めたロリィが見上げるのへ、レズリーが一転して微笑を向ける。

「何でもないさ」
「ふ〜ん」

蜂蜜色の巻き毛を手櫛で梳く、その微笑はどこまでもやわらかい。
そんな顔もできるのか、と内心で思いながら森崎が口を開く。

「いいから、子供は早く家に帰れよ。親が心配すんぞ」
「あー、違うよ、お兄ちゃん!」
「違う……?」

657 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/07/12(木) 00:31:10 ID:???
ムッとしたような顔で何かを言い返そうとしたレズリーよりも早く、ロリィが森崎に反論する。

「今日は夏至祭だよ! だから夜まで遊んでてもいい日なんだもーん!」
「夏至祭……?」

首を捻る森崎が記憶を辿る。

『そういえば、新聞にそんなことも書いてあったね』
「そうだっけか……? まあ、夏至を祝うのは珍しいことじゃないが……今日だったのか」
『訓練漬けだと日にちの感覚がなくなるから嫌だねえ』

そんなことを小声で言い合う森崎に、ロリィが続ける。

「ロリィたち、一回お家に帰って、着替えてきてるんだよ!
 パパとママにも、ちゃんと言ってきたから大丈夫!」

そう言って笑ったロリィが、くるりと回ってみせる。
まったく意識していなかったが、言われてみれば二人とも私服である。
ロリィが着ているのはフリルとレース、そして花飾りがたっぷりと散らされた黄色のワンピース。
夏物らしく肩口が大きく開いた、少女趣味というよりはそのもの児童が着るような、可愛らしい服である。
一方、森崎から少し離れたところで仏頂面を浮かべるレズリーが身に着けているのは、
ロリィのそれとは見事に対照的であった。
気の強さを体現したような、波打つ亜麻色の髪を無造作に後ろへと流した彼女が着るのは
ノースリーブの襟付きシャツにレザーのスカート。
色はどちらも黒を基調としてワンポイントにブラウン、ワインレッドが配置されている。
ぴったりと身体に貼りつくようなデザインは、すらりと背が高く、一見スレンダーに思える
そのラインの下から女性らしい膨らみがしっかりと自己主張するのを助けていた。
スカートから伸びる太腿から膝、ふくらはぎにかけては細くしなやかで、しかし僅かに肉のついた
その脚は、見る者が見れば即座に金を積むだろう。
実際、周囲の視線が様子を窺うようにちらちらと彼女の方へと向けられている。
どうやらレズリーは学生らしからぬ、既に完成されつつある肢体の持ち主であるようだった。

658 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/07/12(木) 00:32:12 ID:YJMbmozk

「……何、見てんだよ。オジサン」

視線に気づいたのか、胸元を隠すようにしながら不審げに目を細めるレズリー。
吊り上がり気味の端正な目が細められると奇妙な迫力が出る。

「なにィ!? お、おじさん!?」
『うわー。若いコはザンコクだねえ』
「お、俺はただ―――」


*選択

A レズリーの服を褒める

B ロリィの服を褒める

C とりあえず誤魔化そう

D レズリーの身体を褒める(必要CP:1)


森崎の行動としてどれか一つを選択して下さい。
その際【選択理由】を必ず付記していただくようお願いいたします。
またCを選ぶ場合は「どう誤魔化すか」の【手段】も併記して下さい。
期限は『7/12 23:00』です。

659 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/07/12(木) 00:35:42 ID:???
******

服飾については時代性を無視する方向に開き直りつつあります…ってまあ、
そもそも描写しないという手もあるんですが。
といったところで、本日の更新はこれまでとさせていただきます。
夜遅くまでのお付き合い、ありがとうございました。
それではまた、次回更新にて。

660 :さら ◆KYCgbi9lqI :2012/07/12(木) 11:01:47 ID:???
C森崎が最近オシャレ初心者になった事を伝える。。
だから女性や男性のオシャレな服を自分に取り入れられないかと熱心に見てしまう。
そしてロリィの服は似合ってるが参考にならない。だがレズリーの服は参考になるかなと思い、熱心にみてしまった。
だが不快になったなら申し訳ないと謝る。

661 :見てる人 ◆S/MUyCtQBg :2012/07/12(木) 21:27:24 ID:???
A 素直に似合ってると言う。あんまり言葉を並べると、エロ崎になってしまう。
  Bだと、エロリ崎になってしまううえに、レズリーの反感もらいそうだし。

662 :◆9OlIjdgJmY :2012/07/12(木) 21:55:02 ID:???
A 正直に見とれていたと言いたいです。
どんなリアクションとるのか気になるので。

663 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/07/13(金) 00:38:32 ID:???

皆様、ご回答ありがとうございます。
それでは早速、>>658の選択については……

>>660 さら ◆KYCgbi9lqI様の回答を採用させていただきます!
獲得した称号も織り込みながらの話法、流れが実に素晴らしいですね。
こうも完成度が高いご回答には何も言うことがありません!
CP3を進呈いたします。


>>661
はい、下手な言い訳だと余計に怒らせてしまいそうな場面でしたので、
素直な言葉も決して悪い選択ではありませんでしたね。
しかしエロリ崎とは……もはや原型を留めていないですねw

>>662
Aの選択結果から少しだけ抜粋すると、

>「あ、アンタがおかしなこと言うからだろっ!」
>「おかしなことも何も……つーか、お前くらいならよく言われてんだろ、このくらい」
>「アタシくらいならって何だよ!」
>「いや、お前くらいキレイならって話だが」
>「……っ!」

こんな感じでしたね。
……悪い大人が若い子たぶらかしてる感に満ちあふれています。


ご回答いただいた皆様にそれぞれEP1を進呈いたします。

664 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/07/13(金) 00:40:04 ID:???
C >>660

***


「あー……お前、ロムロ坂って知ってるか?」
「はァ? ……当たり前じゃん」

唐突に出てきた単語に機先を制され、レズリーが困惑したように答える。
まずは奇襲成功であった。

「俺こないだ、初めてあそこに行ってさ。……なんつーか、負けるかって気になったんだよ。
 あそこ歩いてて、お、あの東洋人、なかなかいいじゃん、みたいに言われるようになりてえな、って」
「……」

話の流れが見えず、黙り込むレズリー。

「ああいうとこ、初めて行くとさ。すげえ敗北感に打ちのめされるってこと、ねえか?
 うわ、今の俺すげえレベル低くて恥ずかしい、帰りてえ、何でこんなとこ来ちまったんだ、って」
「……」
「でもその一方で、どっか……あるんだよな。ここに馴染めりゃ、もしかして今までとは
 全然違う自分になれるんじゃねえか。昨日までとは断然違う明日になるんじゃねえか。
 そんな、根拠もねえけど、期待しちまうって感じ」
「……そういうのは、ちょっとわかる、けど」

話に飲まれたように、レズリーが相槌を打ってしまう。
その様子に一つ頷いた森崎が、続ける。

665 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/07/13(金) 00:41:05 ID:???
「で、どうすりゃそうなれるかって考えたらよ。一番早ぇのはやっぱ、見て盗むってことなんだよな」
「盗む……?」
「職人の世界じゃよく言うんだぜ? 技術は教えてもらうもんじゃない、自分の目で見て盗めって。
 要は、観察して、分析して、自分の中でしっかり噛み砕きながらモノにしてけってことさ」
「……」
「つーわけで、俺は決めたのさ。イケてるヤツがいたら、まずばっちり見て」

と、一拍置いて森崎が口の端を上げる。

「そいつの技ン中で盗めるもんがあるなら、手前ぇのもんにしちまおうって、さ。
 ま、ロリィの方は……いくら似合ってても俺に持ってこれるもんはなさそうだったからよ。
 ついお前の方をじっと見ちまった。気分、損ねちまったなら謝るよ。悪かった」

頭を下げる森崎。
対するレズリーはといえば、振り上げた拳の下ろしどころをなくしたように眉根を寄せながら、
しかし何を言うこともできず視線を逸らし、あちらこちらを見回すふりをしていた。

「……。……、あ、……」

しばらくそうして口を何度か開けては閉じ、閉じては開けて何事かを言おうとしていたレズリーが、
ようやく言葉を見つけたのか声を上げようとした瞬間、棒立ちになっていたその身体に飛びついた者がいる。
無論のこと、ロリィであった。

「うん! お姉ちゃん、とってもステキだもんね! わ〜い、お兄ちゃんもそう思ってたんだ!
 ロリィとおんなじだね!」
「あ、ああ……」

まあ、妙にツンケンしたところがなけりゃあ余計にいいな、という言葉はグッと飲み込んで曖昧に頷く森崎。
レズリーもまた、ロリィに向かってややぎこちなく笑みを形作ってみせる。

666 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/07/13(金) 00:42:07 ID:???
「……そ、そうだよな! ありがと、ロリィ! ロリィがそう言ってくれるのは嬉しいよ」
「うん! お姉ちゃん、カッコ良くってステキ! ロリィ、お姉ちゃんだ〜い好き!」

ロリィが、という部分を露骨に強調しながら言ったレズリーは、森崎の方を見ようとしない。
まとわりつくロリィの、ふわふわとした髪を撫でつけるようにしている。
その感覚が心地良いのか、ロリィは満々の笑みでレズリーに体重を預けていた。
そんな様子に小さく肩をすくめた森崎が、じゃあ気をつけてな、と片手を上げて踵を返そうとする、
その背中をむんずと掴むように、ロリィの声が飛ぶ。

「そうだ! ねぇ、お兄ちゃんもいっしょにお祭りに行こうよ!」
「なにィ!?」


******


※称号が『気のいい無難派オサレ・三級』になりました。

効果:即時、魅力+5


******

667 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/07/13(金) 00:43:24 ID:???
何が悲しくて疲れた身体で子守なんぞ、と。
答えようとした森崎の口を閉ざさせたのは、

「……どうせあの東洋人は失敗するって」
「だよな、なら次は俺たちが行こうぜ」

耳に飛び込んできた、ひそひそとした会話である。
そっと目線だけを動かせば、何やらこそこそと打ち合わせに興じる若者たちの姿があった。
冴えない風体にどんよりと薄暗いオーラ。
いかにも女っ気に縁がなく、飢えていそうな一団である。

「……あんなマブ、祭りの日に放っとく手はねえよ」
「けどよ、コブ付きみてえだぜ。妹かなんかしらんけど、あのガキ邪魔くさくね?」
「テキトーに撒いちまえばいいだろ」
「じゃ、じゃあ……あ、あの子はオ、オラが、デ、デートする」
「ゲェ、お前ナンデスだったのかよ……もしかして、キルト人って皆そうなのか」
「一緒にすんな! コイツだけだ、コイツだけ!」

楽しそうだな、と声をかけて、まとめて路地裏に引きずり込みたい。
真剣にそう思った森崎が、大きなため息をついて口を開いた―――。

668 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/07/13(金) 00:47:31 ID:ZQ9+jM+g
*選択

A 「仕方ねえ……ちょっとだけだぞ」 仕方なく同行する。

B 「……祭りと聞いちゃあ、黙ってらんねえしな!」 開き直って祭りを楽しむ。

C 「子供は家に帰って寝る時間だ!」 どうにか彼女たちを家に帰そうとする。


森崎の行動としてどれか一つを選択して下さい。
その際【選択理由】を必ず付記していただくようお願いいたします。
期限は『7/13 23:30』です。


******


今回提示された【手段】で「礼法」も少しだけ上がっています、といったところで
本日の更新はこれまでとさせていただきます。
夜遅くまでのお付き合い、ありがとうございました。
それではまた、次回更新にて。

669 :さら ◆KYCgbi9lqI :2012/07/13(金) 15:50:18 ID:???
A男達の声が聞こえてしまった以上、用心棒代わりに付き添ってあげるってのも良いと思います。
それにロリィに興味のある男はチェックしときたいですね。犯罪者予備軍かも知れませんので。

670 :◆W1prVEUMOs :2012/07/13(金) 20:15:44 ID:???

狼共の会話を聞いた以上スルーはできないが、Aだと好感度上げてしまう恐れがあるので
女性問題で苦労したくないのでヒロインは一人に絞りたい

671 :森崎名無しさん:2012/07/13(金) 22:22:25 ID:???
A「疲れているけど狼どもに喰わせるわけにもいかねえか」
という現在の心境に一番合致してそうなので。

あと、ツンデレにはツンデレ気味に対抗しようということでw

672 :◆9OlIjdgJmY :2012/07/13(金) 22:24:34 ID:???
すみません、>>671に名前を忘れてました。

673 :源氏 ◆rLDAH8Hy8Y :2012/07/13(金) 22:32:59 ID:???
B

大きな声で賑やかに楽しむことで周りの注目を集め、男たちへの牽制になるかもしれない。
森崎の声を聞きつけた知り合いが合流してくれたら更に助かるかな。
当然のことだけど帰りはちゃんと送り届ける!

674 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/07/14(土) 20:37:11 ID:???

皆様、ご回答ありがとうございます。
それでは早速、>>668の選択については……

>>669 さら ◆KYCgbi9lqI様の回答を採用させていただきます!
意識されてのものかどうかは分かりかねますが、二行目、大ファインプレーです。
このタイミング、この選択肢でしか切れない鬼札をピンポイントで切ってこられた回答には正直、脱帽です。
これでロリィのワーストエンドルートは七割方回避されたのではないでしょうか。
通常のCP3に加え、+CP3を進呈いたします!

また>>673 源氏 ◆rLDAH8Hy8Y様の、ここで森崎の知り合いを投入するというアイデア、いただきです。
ちゃっかり本編に反映させていただきますので、CP2を進呈いたします。


675 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/07/14(土) 20:38:26 ID:???

>>670
申し訳ありません、しっかりと説明してしまうべきかを迷っている内に思わぬ誤解を
与えてしまったかもしれませんので、ここである程度補足させていただきます。

特定のヒロインと積極的に親しくなろうとせず、距離を置くような選択をされたとしても、
(あるいはもっと思い切って突き放すような選択をされたとしても)その距離感を反映したままで
イベントは展開され、森崎は否応なくその渦に巻き込まれていくことになります。
また各ヒロインの出番はいわゆる「お当番回」制ですので、好感度でそのヒロインの出番が減ることや
(勿論、感情の積み重ね次第で経緯は大きく変わっていくことになりますが)ルートそのものが
消滅するといったことは、原則としてないものとお考え下さい。

この辺り、もし強いご要望がありましたら詳細に説明させていただきますが、プレイヤーの皆様との
認識の齟齬を防ぐべく公開させていただくにせよ核心に近い攻略情報となる可能性がありますので、
今回はここまでの説明に留めさせていただきます。

翻りまして、女性問題のみならず人間関係での苦難は……これは申し訳ありません、本作においては
避けては通れない難関であるとお考えいただければと存じます。
戦争馬鹿に徹しようとしても、名を上げれば様々な人間が様々な思惑を持って近づいてくるものです。


>>671-672
そうですね。損な性分ですが、それが現在の森崎のいいところでもあります。
果たして、ツンデレ合戦は吉と出るか凶と出るか……?

676 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/07/14(土) 20:39:30 ID:???
***

A 「……ちょっとだけだぞ」 仕方なく同行する。


「わ〜い! お兄ちゃんもいっしょにお祭りだ!」
「……チッ」

無邪気に喜ぶロリィ、そして舌打ちするレズリーの前で森崎が油断なく目を配っていたのは、
先ほどからこそこそと女漁りの相談に興じる一団である。
つまらない連中ではあったが、その中でも一人、ロリィにちらちらと秋波を送る太った男の気配は
森崎の本能的な警戒心を呼び起こしていた。
あの男、どこか良くない目をしている。
そんな根拠もない直感であったが、しかし森崎をして幾多の戦場を生き延びさせてきたのは
紛れもなくこの直感である。

「……キルト人、か」
『中東圏に近い方の人たちだよね。確か、この国では……』
「建築、それも古い遺跡だの神殿だのの修繕を専門にするギルドを仕切ってるな」

口の中で呟く森崎に、どこからともなく舞い降りたピコが答える。
この数ヶ月で目にし、耳にしてきた情報を記憶から掘り起こす森崎。
多数派を形成し得ぬ移民や少数民族は、得てして同じ業種に身を寄せることが多い。
結果的にその特定業種における人種比率が逆転し、寡占を遂げる現象もまま見られることであった。
ドルファンにおけるキルト人もまた、その一つである。

677 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/07/14(土) 20:40:32 ID:???
『でもキルト人って、大抵は背が高くてがっしりしてるよね。……あのヒトと違って』
「隣の男は典型的なキルトって感じだけどな」

ぼそりと漏らしたピコの言葉通り、ロリィを横目で見やっている男はおよそキルト人の特徴とは程遠い。
労働帰りといった風情の汚れた肌着に、足元の赤土に汚れた頑丈なブーツ、浅黒い肌や砂色の髪こそ
隣の男と似通っていたものの、共通点はそれだけである。
背が低く、いかにも締まりのない体つき。
そして何より肉に埋もれそうな、垂れ下がった眼尻から漏れ出る粘着質の気配。

「……見て見ぬふり、ってわけにもいかねえしな」
『お兄ちゃんもタイヘンだねえ』

茶化すようにピコの言う、その向こうではレズリーが時折森崎を睨むようにしながら
ロリィに食い下がっている。

「おいロリィ、何だってこんなヤツを……」
「だってお兄ちゃんもいっしょのほうがぜ〜ったい、楽しいもん!」
「そうは言ってもな……」

なおも渋るレズリーにロリィが擦り寄り、頤を上げてその瞳を覗き込む。
ほとんど鼻の頭同士が触れ合うような、背徳的な光景を想起させる近さである。

「……だめ?」

潤んだ瞳に間近で見つめられたレズリーが、くぅ、と奇妙な唸り声を漏らす。
しばらくそうして視線を絡ませ合っていたが、やがて大きなため息をついて頷いた。

「ロリィにはかなわないな……」
「わ〜い! だからお姉ちゃん好き〜!」

678 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/07/14(土) 20:41:33 ID:???
「……勘違いすんなよ、アンタ」

抱きつくロリィを苦笑混じりに撫でながら、森崎を睨みつけるときにだけ
器用に眼光を強めて、レズリーが言う。

「アンタみたいなのを一人にしておくよりは、傍で監視してたほうが安全だってだけだからな」
「お前、いったい俺を何だと思ってんだ!?」
「いいか! ロリィに手を出そうとしたらタダじゃおかないからな!」
「出すかバカ!」
「フン、どうだかね」

鼻を鳴らしたレズリーの腰にべったりと貼り付きながら、ロリィが森崎の方へ笑顔を向ける。

「大丈夫だよ、お姉ちゃん。お兄ちゃんはちゃ〜んとロリィを守ってくれるもん! ね!」
「ね! って言われてもなあ……」

天を仰いだ森崎の目に映るのは、すっかり暗くなった夜空に輝く星々と、
にやにやと状況を見守っていたらしき、小さな相棒の姿である。

『ま、ガンバッてね、お兄ちゃん!』


***

679 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/07/14(土) 20:42:34 ID:???

カミツレの山々は南欧を縦断する大山系、ベルトニア山脈の南の切れ端である。
ドルファン東部を覆う山地を三本の指に見立てれば真ん中の指の爪の先に当たるその山肌に、
この夜だけは炎が灯っている。
夏至祭名物、カミツレの大火紋である。
赤々と燃える炎で山肌に描かれているのは国教の象徴たる十字架とそれを守護する剣。
そして、それらを見守るように位置するのが大きなイルカであった。
イルカはドルファンの国体、つまり王家の意匠である。
国教、騎士団、そして王家。
ドルファンという国家を形作るそれらの紋様は夜空に浮かぶ壮大な絵巻物となって人々の心を打つ。

「……それで、この人出かよ」

カミツレ高原駅にこれほどの人間が集まるのは、なるほど年に一度のことであろう。
乗合馬車から降りた森崎が思わず嘆息する、それは閑散とした田舎町という常の姿を
微塵も感じさせさない、おそるべき盛況ぶりだった。
先ほどのサウスドルファン駅周辺も混んでいるとは感じたが、祭りの中心だという
この付近に至ってはその数倍の人出があるようにすら思える。
先日の五月祭にも匹敵しようかという混雑、それも夜闇の中という状況に先の困難を予感する森崎。
彼に求められる役割は、彼自身が予感したように面倒に満ち溢れ、そしてまた予想していたより
遥かに多彩でもあるのだった。

680 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/07/14(土) 20:44:19 ID:Zpt/PnjI
人ごみを歩けばスリからの護衛。
隙あらば寄ってくるナンパへの壁。
挙句の果てには小遣いが底をついたロリィに駄菓子や飲み物を買ってやる小銭入れとして
八面六臂の大活躍を要求され、元から残り少ない体力と気力は次第にすり減っていく。

「ここまでとは聞いてねえぞ……俺一人で捌ききれるか?」

思わず呆然と呟いた森崎の耳に、

「モリサキ……?」

天からの助けの声が、聞こえた気がした。
振り返ると、そこには―――


*ドロー

振り返ればヤツがいる → ! card


※ ! と card の間のスペースを消してカードを引いて下さい。
結果によって展開が分岐します。

スペード→「奇遇だな、モリサキ」 息抜きに来ていたトニーニョだ!
ハート→「お前も隅に置けないな!」「え〜、誰?」 ネイと、それを囲む女のコたちだ!
ダイヤ→「―――」 誰もいない……空耳だったのだろうか?
クラブ→「あ、やっぱモリサキじゃん!」 嵐を呼ぶ女、キャロルだ! いつの間に名前を!?
JOKER→「戦を前に女遊びか……まだまだ鍛え方が足りんと見えるな」ヤング教官……と、隣の美女は誰?

681 :傍観者  ◆YtAW.M29KM :2012/07/14(土) 20:45:24 ID:???
振り返ればヤツがいる →  クラブ9
ガチで犯罪者予備軍だったのか・・怖い怖い。

682 :さら ◆KYCgbi9lqI :2012/07/14(土) 20:47:14 ID:???
【リダイス】
振り返ればヤツがいる →  クラブ2
全く意識してませんでした。

683 :傍観者  ◆YtAW.M29KM :2012/07/14(土) 20:47:17 ID:???
あー、ここでクラブは嫌だなあ。提案なんですが、
CP5を消費して「誰かに引きなおしてもらう」ってありですか?
責任はとりたいが自分の運に自信はないw
まあ、次の人にプレッシャーかけるようなのもまずいかも、ですが。

684 :さら ◆KYCgbi9lqI :2012/07/14(土) 20:50:01 ID:???
もう一度引き直す?

685 :ノータ ◆JvXQ17QPfo :2012/07/14(土) 20:51:24 ID:???
【リダイス】
振り返ればヤツがいる →  クラブ3


686 :ノータ ◆JvXQ17QPfo :2012/07/14(土) 20:52:24 ID:???
うげぇ

687 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/07/14(土) 20:53:12 ID:???
>>683
構造としては同じですし、

ルール改訂:
【代理消費】の適用範囲はリドローにも及ぶ。

とします。
代理消費されるのであれば、改めてアンカーで指定して下さいませ。


…しかし3連続ですか…。

688 :傍観者  ◆YtAW.M29KM :2012/07/14(土) 20:54:36 ID:???
じゃあ、私が払うので四人目お願いしますorz
先払いで【代理消費】CP5宣言ということで。

689 :さら ◆KYCgbi9lqI :2012/07/14(土) 20:59:29 ID:???
しばらくして引く人いなかったら自分で引いたら良いと思いますよ。

690 :傍観者  ◆YtAW.M29KM :2012/07/14(土) 21:00:16 ID:???
そですねー。21:10まで待とうと思います。

691 :傍観者  ◆YtAW.M29KM :2012/07/14(土) 21:11:04 ID:???
時間が来たので自分で振りまする。

【リダイス】
振り返ればヤツがいる →  スペード5

692 :◆W1prVEUMOs :2012/07/14(土) 21:57:21 ID:???
>>675
なるほど
ではイベントには全力で臨まないとプラスにはなりませんね

693 :見てる人 ◆S/MUyCtQBg :2012/07/14(土) 22:00:38 ID:???
【代理消費】 >>691 CP1
【代理消費】 >>685 CP1
【代理消費】 >>682 CP1
ナイス引き直しです

694 :◆9OlIjdgJmY :2012/07/14(土) 22:30:57 ID:???
【代理消費】 >>691 CP1
【代理消費】 >>685 CP1
【代理消費】 >>682 CP1
性犯罪者予備軍もいるのか…怖いw

695 :雑魚モブ ◆.xniaLTHMk :2012/07/14(土) 22:58:25 ID:???
【代理消費】 >>691 CP1
【代理消費】 >>685 CP1
【代理消費】 >>682 CP1

696 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/07/16(月) 00:55:02 ID:???
>>691
お見事です!
皆様の意地と粘り腰が実りましたね。


***


スペード→「奇遇だな、モリサキ」 息抜きに来ていたトニーニョだ!


「トニーニョ……!」

その日々見慣れているはずの仏頂面を目にした瞬間の、森崎の表情は筆舌に尽くし難い。

「ど、どうしたんだ、そんな顔をして」
「地獄に仏ってのは、あるもんだなぁ……」

小走りに駆け寄るやその手を握り、ほとんど胸に掻き抱かんばかりの森崎の様子に、
トニーニョが目を白黒させる。

「実はな、トニーニョ……」
「あれ、お兄ちゃん、その人、だあれ?」
「ぐっ……!」

言いかけた森崎の後ろから声がする。
目下頭痛の種たる少女の声だった。
振り返った森崎が、引きつる口の端を力一杯引き上げながら言う。

「あ、ああ……俺の、同じ釜の飯を食ってる仲間さ。ちょっと、そこで待っててくれるか」
「は〜い。あ、ねえお姉ちゃん、あれ可愛いよ!」

697 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/07/16(月) 00:56:03 ID:???
言われた側から安物のアクセサリーを並べた露店に目を輝かせて走っていくロリィ。
その鮮やかな黄色いワンピースの背中についた大きなリボンが揺れるのを見やりながら、
森崎が大きなため息をつく。

「あのお嬢さんは……? お前の妹、というわけでもなさそうだが……」
「ああ……実はな、トニーニョ」

向き直った森崎が、神妙な顔つきでトニーニョを見つめ、おもむろに頭を下げた。

「すまん……力を貸してくれ!」
「な……!?」

突然のことに驚くトニーニョを前に、森崎は頭を上げず不動を貫く。
それは、返答を待つ姿勢である。
利害や打算による交渉ではない、純粋に助力を請う姿。

「……お前がそんなことを言うのは初めてだな」

数秒の後、言ったトニーニョが小さく森崎の肩を叩く。

「いいさ。詳しく聞かせてくれ」

顔を上げた森崎が見たのは、どこか照れくさそうな、しかし笑みである。
初めて見る、トニーニョの笑顔であった。
思わずぽかんとその顔を見つめてしまう森崎。

「……? どうした」
「ああ、いや……」

誤魔化すように笑って、森崎が話しだす。

698 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/07/16(月) 00:57:04 ID:???
「力を貸してほしいってのは他でもねえ、あいつらのことなんだよ」

顎をしゃくって露店の指輪や首飾りに見入る少女二人を指す森崎。

「……言っておくが、俺も女性の扱いは苦手だぞ。そういうのはネイの専門だからな」
「ああ、安心してくれ……その手の艶っぽい話じゃねえから」

即座に首を振る森崎。
そうかと頷いたトニーニョに、簡単に事のあらましを説明する。

「ふむ……成る程、な」

話を聞いたトニーニョが、渋面を作って森崎に言う。

「人の頼みを断らんのはお前のいいところかもしれんが……あまり安請け合いばかりしていると、
 いつか身を滅ぼすぞ」
「ああ、肝に銘じとくよ……」

げんなりとした様子で言う森崎。

「まあ、自分でわかっているならいいさ。では、俺は周辺の哨戒と警護を担当するとしよう。
 お嬢さん方が楽しめるようなエスコートはモリサキ、お前に任せるぞ」
「助かるぜ……トニーニョ、この恩は必ず返すからな!」
「まあ、せいぜい期待して待っていようか」

苦笑したトニーニョが、目を細めて歩き出す。
早速、少女たちに近づこうとする男を見つけたようだった。



699 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/07/16(月) 00:58:06 ID:???
******


※称号が『気のいいトニーニョの友人』になりました。

スキル『トニーニョへの加護・A』を獲得しました。
種別:パッシブ/特殊
消費ガッツ:-
効果:ゲーム中一度だけ、トニーニョが死亡判定に失敗した際にそれを覆すことができる。
   このスキルは戦争パートだけでなく、イベント判定でも効果を発揮する。


******

700 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/07/16(月) 01:00:05 ID:???

「これ、おいしいね、お姉ちゃん!」
「ああ、ちょっとぼそぼそしてるけど……甘いのはいいな」

出店で買った焼き菓子を頬張りながら、少女たちは楽しそうに談笑している。
その脇を歩く森崎が、先を行くトニーニョが振り返ってちらりと目線を送ってくるのに小さく頷く。
ここらで少し時間を稼げ、という合図だった。

「……お、あれ見てみろよ、ロリィ」

立ち止まった森崎が、適当な出店の一つを指さして声を上げる。
もご、と焼き菓子を飲み込んだロリィがそちらを見るや、目を輝かせた。

「占い屋、相性から明日の運勢まで、何でも見通します、だって!
 ねえねえ、面白そうだよ、見てもらおうよ!」
「わ、ちょっと、ロリィ、あんま引っ張んないでって」

飛び上がるようにしてレズリーの腕を取ったロリィが、ゆさゆさとその体を揺さぶる。
と、ふと思い出したように森崎の方を向くロリィ。

「ねえ、お兄ちゃんはロリィとお姉ちゃん、どっちと占ってみたい?」
「な……!?」

突然の質問に、森崎の口から出た答えは―――


701 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/07/16(月) 01:03:37 ID:X3D80x1A
*選択

A そりゃあロリィだよ。

B まあ、レズリーかな。

C いっそ両方ってのはダメか?

D いや、俺、占いとかはちょっと……。


森崎の回答としてどれか一つを選択して下さい。
その際【選択理由】を必ず付記していただくようお願いいたします。
期限は『7/16 23:30』です。


******


といったところで、本日の更新はこれまでとさせていただきます。
夜遅くまでのお付き合い、ありがとうございました。
それではまた、次回更新にて。

702 :さら ◆KYCgbi9lqI :2012/07/16(月) 12:30:19 ID:???
A 最初はロリィと森崎が占うから、次はレズリーとロリィで占ってみたらと提案したいですね。
片方が一人で好き勝手な所行かれると付き添いにならないですから、これなら二人とも同じ所にいてくれるのではないかと思います。

703 :見てる人 ◆S/MUyCtQBg :2012/07/16(月) 12:33:38 ID:???
【ピココール】
ロリィって答えたら、レズリー怒るかな?手を出したらタダじゃおかないと言われてるし。
またロリィも、森崎がレズリーって答えるのを遠慮してるとか思われるかな?

704 :ピコ ◆ALIENo70zA :2012/07/16(月) 13:07:59 ID:???
>>703
まあレズリーってコは……怒るだろうねえ。
ロリィってコの方は、そんなに深いことは考えてないと思うけど……ていうか、
レズリーって答えが返ってくるかも、なんてこれっぽちも考えてないんじゃないかな?

705 :見てる人 ◆S/MUyCtQBg :2012/07/16(月) 13:48:15 ID:???
A
ピココールを受けて、無難にAで。ロリィも喜ぶだろうし、森崎もなんだかんだ楽しめるし。
レズリーへのフォローに関してですが、場の雰囲気を察してくれる・・・といいな。
それか、Cを交えたような・・・レズリーも占ってみる?って問いかけるのもアリかも。
トニーニョに任せてはいますが、ガチ犯罪者予備軍が暴れ出さないかが心配ですね。

706 :傍観者  ◆YtAW.M29KM :2012/07/16(月) 13:57:56 ID:???
あえてB。奇襲とか好きで御座る。

707 :◆9OlIjdgJmY :2012/07/16(月) 15:36:00 ID:???
B なんとかレズリーをつついてみたいというのもありますし

「『ロリィと占ってみたい』なんて言ったら
 お前のことが大好きな『お姉ちゃん』に怒られちまうからな。」
とでも軽口を叩けば、ロリィも臍は曲げないと思いまして。

708 :◆W1prVEUMOs :2012/07/16(月) 18:23:39 ID:???

レズリーが名前のとおり同性愛なら
自分に言い寄ってくる男より恋敵の方に警戒心を持つんじゃないかと思って

709 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/07/17(火) 00:17:53 ID:???
皆様、ご回答ありがとうございます。
それでは早速、>>701の選択については……

>>707 ◆9OlIjdgJmY様の回答を採用させていただきます!
台詞はほぼそのまま本編に採用させていただきました。
軽妙洒脱なフォローに思わず「やりおる……」と唸ってしまいましたよw
CP3を進呈いたします。


>>702
はい、ロリィを一人にすると平気でどこかへ行ってしまいますね。
今はトニーニョがカバーしてくれますが、これが誰もいないとか、ましてキャロルだと……。

>>705
レズリーは空気を読まない子ですね……本作の登場人物、特に女性は皆その傾向が強いですが、
その中でもなかなかのものです。
ちなみに強面なガードが睨みをきかせていますので、おかしな連中への判定は自動成功しています。

>>706
奇襲が有効なタイプ、逆に真正面から切り捨てるタイプ、理解できずにスルーしてしまうタイプ、
あるいは一笑に付すタイプ、理解した上でノリ良くつきあってくれるタイプ……。
十人十色ですが、レズリーはどのタイプでしょうね。

>>708
なんだか露骨にそれっぽいネーミングセンスですが……さて、どうでしょう?
……ちなみに原作のシナリオライターさんは物凄い凝り性だと思います。


ご回答いただいた皆様にそれぞれEP1を進呈いたします。

710 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/07/17(火) 00:19:15 ID:???
***


B まあ、レズリーかな。


「え?」
「な……!」

きょとんとするロリィの脇で、絶句したのはレズリーである。
ロリィを見、森崎を見て、占いの看板を見やったレズリーが最後にもう一度森崎に目を戻し、
平静を装おうと咳払いをしようとしてひとしきり噎せ、涙目のまま無理やり呼吸を整えて、
結局裏返った声のまま、言った。

「な、な、何を言ってんだよ、アンタ!?」
「何って……占うならお前とかな、って」
「ざ……ざっけんな! か、からかってんのか! からかってんだろ!?
 ア……アンタとの相性なんか最悪に決まってんだ! わざわざ占ってもらう必要なんかないね!
 そ、そうだ、アンタと占うくらいならあたしはあっちの人と一緒に入るよ!」

と、震える指で示したのは、少し離れた場所から横目でこちらの様子を窺っていた坊主頭の白人。
言わずと知れたトニーニョだった。

「俺か!?」

唐突に話題を振られ、ぎょっとしたように目をむくトニーニョ。
レズリーはといえば鼻息も荒く、半分血走ったような赤い目で森崎とトニーニョとを交互に睨んでいる。
今にも駆け出してトニーニョを占い屋のテントの中に引きずり込みそうな具合であった。
聞いてないぞ、何とかしろと訴えてくるトニーニョの視線に、森崎が口を開こうとする、その寸前。

「ぶ〜!」
「うわ、ロ、ロリィ!?」

711 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/07/17(火) 00:20:16 ID:???
頬をいっぱいに膨らませたロリィが、森崎とレズリーの間に割り込んできたのである。

「どうしてお兄ちゃん、ロリィといっしょにって言ってくれないの?
 お兄ちゃん、ロリィのこと、キライ?」
「いや、そうじゃねえよ」
「……?」

こういった流れになることは当然予測していた森崎が、混乱の極みで何かを怒鳴ろうとしていた
レズリーの機先を手振りで制し、慌てることもなくロリィに向かって言う。

「お前と占ってみたい、なんて言ったら……お前のことが大好きな『お姉ちゃん』に怒られちまうからな」
「……」

僅かな沈黙が降りた。
ぷく、と膨らんだ頬が、次第に萎んでいく。
彼女なりに、何かを黙考しているらしかった。

「……」
「……」
「……そっか! そうだね!」

どういった思考回路が、どういった経緯で働いたのかは森崎には見当もつかない。
つかないが、ともあれロリィは何事かを納得したようだった。
ぱあ、と曇り空が晴れるように、ロリィの顔に笑みが広がっていく。

「お姉ちゃん、ロリィと離れたらひとりになって、さびしくなっちゃうもんね!
 ……でもお兄ちゃん、それ、ぶっぶ〜、だよ! だって、お兄ちゃんがお姉ちゃんといっしょだったら、
 今度はロリィがさびしくなっちゃうもん! だから……お姉ちゃんと行くのは、だーめ!」
「……!? ロ、ロリィ……?」
「お姉ちゃんは、ロリィと占ってもらうんだもん! お兄ちゃんはそこで待っててね!」

712 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/07/17(火) 00:21:17 ID:???
べぇーっ、と可愛らしく舌を出して楽しげに笑うと、ロリィがレズリーの腕に飛びついた。
いまだ混乱の淵にあるレズリーは、わけもわからぬ内に引きずられていく。

「ああ、ま、行ってこい」

肩をすくめた森崎が、苦笑交じりに二人を送り出す。
怪しげな看板の下に垂れ下がった布をかき分けて中に入ろうとするその背を見守っていると、

「―――」

ふと、視線を感じた。
気付けばレズリーがテントの入口で振り返り、肩越しにこちらを見ているのだった。

「……ん? どうした」
「な……なんでもないよ!」

聞いた森崎に怒鳴り返すレズリーの表情は、推し量るのが難しい。
声音の通りに怒っているような、しかしどこか困ったような、そんな顔が見えたのは一瞬。
ぷい、と目を逸らすと、レズリーはすぐにテントの中へと入っていってしまう。

「……俺のような朴念仁が言うのもなんだがな、モリサキ」

と、背後。
すぐ近くの声は、いつの間に近づいてきたものか、トニーニョである。

「年端もいかない娘に、駆け引きを強いるな。戸惑っていただろう」
「そうか? 誰だってこういうのを越えて、いい女になっていくもんだと思うぜ、俺は」
「まったく、ネイのようなことを言うな……」
「それにまあ、」

腕組みをしたトニーニョが眉間に皺を寄せるのへ、森崎がどこかさばさばとした声音で、言う。

713 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/07/17(火) 00:22:22 ID:???
「どうせ俺たちゃ、明日をも知れねえ傭兵だ。後腐れがなくって、練習台にはちょうどいいだろ」
「……」
「おっと、そう怖い顔すんなよ。俺だって死にたがりってわけじゃねえ」
「……」
「……」

ぎろりと横目で睨んだトニーニョの方を、森崎は見ようとしない。
ただ口の端を上げ、薄く笑った表情を作ったまま、遠い山肌に燃える炎の絵を見上げている。
そんな森崎の様子にしばらく厳しい顔をしていたトニーニョだったが、やがて大きなため息をついて
口を開いた。

「……なら、いいさ」

首を振ったその眼前で、ゆらりとテントの入り口にかけられた布が揺れる。
それを見た森崎は、空気を変えるように殊更明るい声を作るのだった。

「と、出てきたみてえだな。……おーい、どうだった?」
「うん! ロリィたち、すご〜く仲良しだねえ、って!」

呼びかけるや駆け寄ってきて言うロリィは満面の笑顔である。
一歩、二歩を遅れてロリィの後をついてくるレズリーにも、森崎が訊く。

「そうだったのか?」
「あ、ああ……大体そんな感じさ」

歯切れの悪い返事を返すレズリーの顔は、どこかぼんやりとしているように見えた。

「……そうか」
「ああ、そうさ」

714 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/07/17(火) 00:23:22 ID:???
今度は何かを振り払うような、即答。
釈然としない森崎が尚も言い募ろうとすると、

「―――はて、そこのお主」

布の隙間から、嗄れた声がした。
声の主は、どうやらテントの中である。

「お主じゃ、外におられるお若いの」
「……お、俺か?」

思わず自分を指差す森崎。
一瞬トニーニョの方を見やり、その坊主頭が小さく頷くのを確認した森崎が軽く入り口の布を持ち上げると、
奥の暗がりには一人の老婆が座っている。
老婆の前には大きな水晶玉があるようだった。

「……お主、奇妙な相をしておるの。この婆の水晶が疼いておる。
 このような相の持ち主を観たのは久方ぶりじゃ」

森崎はテントの中に踏み込んですらいない。
ただ声に誘われ、入り口の隙間から中を覗き込んだだけである。
しかし老婆はそんな森崎をちろりと目にするや、ぶつぶつと呟くように続けた。

「お主にはこの先、大いなる苦難と栄光が待っておるじゃろう……。
 しかし差し当たり、行く手にあるのは―――」

715 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/07/17(火) 00:24:23 ID:u5bLKyww

*ドロー


星の導き → ! card


※ ! と card の間のスペースを消してカードを引いて下さい。
結果によって展開が分岐します。

スペード:『幸運の星』来月から3ヶ月間、訓練効率アップ(目標値-20)。
ハート:『勤勉の星』合計二回分の訓練効率アップ(目標値-20)。
ダイヤ:『平穏の星』特になにもなし。
クラブ:『努力の星』来月の訓練効率ダウン(目標値+20)。
JOKER:『運命の星』一年間、全判定にプラス修正。ドロー一段階アップ。

716 :源氏 ◆rLDAH8Hy8Y :2012/07/17(火) 00:25:13 ID:???
星の導き →  クラブ9

717 :森崎名無しさん:2012/07/17(火) 00:25:37 ID:???
星の導き →  ダイヤ7

718 :さら ◆KYCgbi9lqI :2012/07/17(火) 00:26:43 ID:???
【リドロー】
星の導き →  ダイヤK

719 :源氏 ◆rLDAH8Hy8Y :2012/07/17(火) 00:27:16 ID:???
【リドロー】
星の導き →  スペード5

720 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/07/17(火) 00:32:59 ID:???
ドローありがとうございます。
スペード確定でよろしいでしょうか。


***


スペード:『幸運の星』来月から3ヶ月間、訓練効率アップ(目標値-20)。


「喜ぶがいい、『幸運の星』が見えるぞ。……ああ、お代は結構じゃよ」
「そ、そうか。ありがとよ」

もごもごとそんなことを言う老婆を不気味に思った森崎が礼もそこそこに身を引くと、
そっと入り口の布を元通りに閉じる。

「待たせたな……って、おい!?」

振り返ると、少女たちの姿が見えない。
慌てて周囲を見回せば、トニーニョの姿もなかった。

「……お兄ちゃ〜ん!」
「ロリィか!?」

と、微かに聞こえる声に、森崎が目をやる。
すると遥か遠く、人ごみの向こうに見えたのは特徴的な坊主頭である。

「もう遅いから、ロリィたち帰るねえ〜!」
「なにィ!?」

声は、坊主頭のすぐ側から聞こえてくる。
トニーニョは堅実な仕事をしているようだった。

721 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/07/17(火) 00:35:00 ID:???

「待てって、おい!」

慌てて追いかける森崎。
結局、おそるべき乗車率の乗合馬車からサウスドルファン駅で少女二人を無事に下ろし、
それぞれの自宅近くに送り届けるまで、森崎たちの任務は続いたのであった。


***


「子供は、元気だな」
「……ああ」
「恩があると思うなら、早めに返せよ」
「……任せとけ」

宿舎への帰り道、森崎の奢った温いワインを空けながらぼそりと言うトニーニョに、
森崎がどんよりとした声で返す。
ロリィの歳のことは、最後まで口にすることのない森崎だった。



   『ふたりはなかよし』(了)


.

722 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/07/17(火) 00:36:04 ID:???

*D26.7
フレーバーテキスト

◎第一次ダナン派兵

D26年、六月。
国境都市ダナンを占拠した傭兵団、ヴァルファヴァラハリアンは周辺国の内、
プロキア、ゲルタニア、ハンガリアの三国に対して侵略の意思はない旨を表明。
ドルファンとの単独対決姿勢を明確にする。

一方ドルファン王室会議は先のバストニア内戦へのシベリアによる軍事介入、その後の軍駐留と
実効支配の轍を踏むことを恐れ、また騎士団はかつて陸戦の雄と称された自らの力を誇示すべく、
それぞれの思惑が合致した結果として隣国ゲルタニアによる兵力供出の申し出を拒否。
これを受けてゲルタニア、ハンガリアはドルファン=ヴァルファ間の武力衝突に対して不干渉を打ち出し、
内戦により疲弊しているプロキアはヴァルファへの刺激を避けつつもダナンを見据える国境線に兵力を配備、
弱腰ながらその侵攻を警戒する構えをとった。
事実上の静観である。

こうして南欧諸国それぞれの姿勢が固まりつつある、六月三十日。
ドルファン側の告示したダナン撤退勧告の最終期限である。
ヴァルファはこの日も黙して動かず、ここにドルファン軍とヴァルファとの武力による衝突は
ほぼ確実なものとなったのである。
王室会議により、派兵予定は七月中旬と決定された。

723 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/07/17(火) 00:37:34 ID:???

しかし七月に入り、静観の構えを見せていたプロキアが、各陣営にとって想定外の動きを見せる。
対ヴァルファの名目で東洋圏最強と言われる軍事結社、シンラギククルフォンを雇用したのである。
東洋圏最強、のみならず最悪の組織と呼ばれるのが彼らであった。

何となれば、シンラギククルフォンとは軍事組織であると同時にテロ組織であり、
また政治結社でもあったからである。
東洋圏の政変には常に彼らの影がちらつくと言われ、正規の傭兵活動から非合法の暗殺、誘拐、
果てはテロリズムまでを自らの益のために躊躇なく行う彼らを嫌悪し忌避する者は多く、
しかし同時に、その極めて優秀な戦力を利用しようとする者もまた後を絶たないのだった。

派遣されたのはシンラギククルフォンの一個大隊、右陣紫南軍団である。
ベトナム戦役でホーチミン政府側を勝利に導き、また同時に反政府軍とその拠点に対して行った
徹底した虐殺行為で悪名を轟かせた一団であった。

プロキアの思惑定かならぬ中、シンラギ部隊は永世中立国スィーズランド、そして不干渉を表明した手前、
彼らの入国・領内通過を拒否できなかったハンガリアを経由してプロキアへ入国。
直ちに国境沿いへと移動を開始する。
ドルファンとの正面衝突を企図していたとみられるヴァルファはプロキア軍を弱卒で意気薄く、
与し易しとして後背となる北側には牽制の部隊を置くのみであったが、シンラギの参戦により
ダナン北方、国境線であるテラ北河畔へと相当の兵力を割かざるを得ない状況に追い込まれた。
第一、第四大隊をテラ北河戦線。
第二、三、五大隊をダナン南方、旧軍自治区イリハへと再展開させるヴァルファ。

対するドルファンは七月十四日、騎士団ニ個大隊および外国人傭兵部隊を首都城塞より出撃させる。
ドルファン=プロキア戦争の端緒、世に言うイリハ会戦の火蓋が切って落とされようとしていた―――。


724 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/07/17(火) 00:40:29 ID:u5bLKyww
*D26.7
訓練選択

『今月は何をするの?』

森崎有三
称号:気のいいトニーニョの友人
現在のガッツ:150


剣術・馬術・体術・魅力・礼法・墓守・休憩の中から『二種類』選んで下さい。
同じ訓練を二つ選んでも構いません。
その際【選択理由】を必ず付記していただくようお願い致します。
期限は『7/17 23:30』です。


******


この訓練が終われば、ちょっとした選択を挟みまして
いよいよ戦争の時間です―――といったところで、
本日の更新はこれまでとさせていただきます。
夜遅くまでのお付き合い、ありがとうございました。
それではまた、次回更新にて。

725 :さら ◆KYCgbi9lqI :2012/07/17(火) 15:17:35 ID:???
剣術 馬術
剣術は前回から継続して訓練したいですね。馬術は一回ぐらい訓練しときたいですね。

726 :Q513 ◆RZdXGG2sGw :2012/07/17(火) 18:21:22 ID:???
剣術・休憩

剣術はスキル獲得のため。それと個人戦への備えから、休憩

727 :◆W1prVEUMOs :2012/07/17(火) 19:16:24 ID:???
【システムコール】
順調に女の子に気に入られてますね
森崎が突き放してもイベントには巻き込まれるのなら全員に優しくしたいところですが
>>698のトニーニョの忠告とは別に、女性問題で身を滅ぼすこともあるシステムなのでしょうか?

728 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/07/17(火) 20:15:46 ID:???
>>727
少しシナリオ全体の構造に関わることなので、リンク先でお答えいたしますね。
その類の情報を見るとどうしても興冷めしてしまう、という方は
ご覧いただかないようにお願いいたします。

ttp://www39.atpages.jp/msaki/res727.txt

上記をご覧いただかなくても不利にならない程度にお答えをまとめますと、
「基本的には複数同時攻略をしていただいても大丈夫です」。

729 :◆9OlIjdgJmY :2012/07/17(火) 20:42:24 ID:???
剣術 馬術
幸運の星を最大限活用して、戦争前に能力アップとスキル獲得を狙いたいです。
ガッツも100は残るのでそこまで危険ではないと思いますし。

730 :◆W1prVEUMOs :2012/07/17(火) 21:01:58 ID:???
>>728
どうもありがとうございます
自分は余計なこと考えすぎてたみたいです

731 :傍観者  ◆YtAW.M29KM :2012/07/17(火) 21:06:13 ID:???
まあ、気持ちはわかるよ。二股すると不利なスレ、多いもんね。

732 :◆W1prVEUMOs :2012/07/17(火) 21:31:00 ID:???
昼ドラみたいになったら怖いですからねw

733 :ノータ ◆JvXQ17QPfo :2012/07/17(火) 21:53:58 ID:???
剣術、馬術
理由:今まで能力特化でステータスや称号、スキルの判明を調べられたので
   ここらで総合力を上げたい。

【システムコール】
ステータス画面みたいな物ってないんですかね?
実際にどれくらい能力が上がったとか、ネイから女の子の評価を聞けるとか

734 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/07/17(火) 23:38:58 ID:???
>>733
パラメータのほとんどをマスクしているのは、原作で「実はこうしたかった(が、諸般の事情で断念した)」という
声があった、というそれだけの理由でして、本作独自のシステム的な事情ではありません。
どの道、一騎討ちがあればそれぞれの数値から元のパラメータを割り出すことも簡単なので
最近では単にプレイヤーの皆様に不便を強いているだけではないかという思いに駆られていました。

そうですね、いい機会ですから今後、剣術・馬術・体術・魅力については公開パラメータとし、
伴ってATK・DEF・SPD・イニシアチブの各値も公開いたします。
(礼法・モラルおよび攻略に関わる幾つかの管理数値はマスクを継続させていただきます)

ヒロインからの評価については…描写から判断していただくということでお願いいたします。
内部的には好感度オンリーの一元管理ではないので、公開してしまうと思いきりネタバレになってしまうのです。
悪しからずご了承いただければ幸いです。

735 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/07/18(水) 01:20:34 ID:???

皆様、ご回答ありがとうございます。
それでは早速、>>724の選択については……

>>726 Q513 ◆RZdXGG2sGw様の回答を採用させていただきます!
戦争を前に能力値の底上げも大事ですが、ガッツは更に重要になってきます。
ここは休憩を挟んでおくのが(森崎の引きにもかかってきますが)安全策ですね。
CP3を進呈いたします。


>>725
そうですね、馬術が一度も訓練できなかったのは少し想定外です。
ただ後々になれば判ることなのですが、馬術の初期スキルは強力なものながら
実は今回の戦争では効力を発揮しないので、結果論としては最適解に近いです。

>>729
訓練二回でガッツ110……想定では優勢圏内なのですが、引きによってはCP/EPを
それなりに使用することにもなりかねませんでしたので、今回は休憩を採用いたしました。
万が一にも初手から入院となると厳しいですからね。

>>730-732
「二股をすることによるピンチ」は「二股をしない結果の悲劇」に比べれば可愛らしいものです、とだけ!
昼ドラ的には……ならないように、森崎を導いてあげて下さいw

>>733
はい、特化型は相性が悪いと一方的な展開になってしまいますからね。
あまり尖り過ぎない方が無難であるとは思います。


ご回答いただいた皆様に、それぞれEP1を進呈いたします。

736 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/07/18(水) 01:21:54 ID:EO0grySw
*訓練ダイス

※訓練は前後半に分かれています。
★マークごとにお一人づつ、!と numnumの間のスペースを消してダイスを引いてください。
目標値【50】に対しプラスマイナス30以内で成功、プラス31以上で大成功、マイナス31以下で失敗となります。
大成功時は成果が1.5倍、失敗時は0.5倍となります。


前半(剣術)1
! numnum + ! numnum + ! numnum =

前半(剣術)2
! numnum + ! numnum + ! numnum =


737 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/07/18(水) 01:23:16 ID:???
******

といったところで、戦争前最後の選択までは届きませんでしたが、
本日の更新はこれまでとさせていただきます。
夜遅くまでのお付き合い、ありがとうございました。
それではまた、次回更新にて。

738 :源氏 ◆rLDAH8Hy8Y :2012/07/18(水) 01:23:18 ID:???

前半(剣術)1
80  +  48  +  51 =

739 :源氏 ◆rLDAH8Hy8Y :2012/07/18(水) 01:25:59 ID:???
一つ目に数値加算をしたいのですが、現在の私のCPEPをお教え頂けますでしょうか?

740 :傍観者  ◆YtAW.M29KM :2012/07/18(水) 01:35:22 ID:???

前半(剣術)2
10  +  72  +  26 =


741 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/07/18(水) 01:36:40 ID:???
>>736
訂正です!
『運命の星』の効果で目標値は【30】となっています。
61以上で大成功、失敗はしません。

>>738 源氏 ◆rLDAH8Hy8Y様については
CP6/EP14となっております。
数値加算については上記訂正を踏まえてお考えいただくようお願いいたします。
お手数をお掛けして申し訳ありません。

742 :傍観者  ◆YtAW.M29KM :2012/07/18(水) 01:37:38 ID:???
うーん、いまいちコレ系の引きはよくないかな。
10にCP3EP5を払って20にし、失敗を回避したく思います。

743 :傍観者  ◆YtAW.M29KM :2012/07/18(水) 01:38:50 ID:???
あ、すでに効果はいってたんですね。742の消費はキャンセルさせてもらっていいですか?

744 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/07/18(水) 01:42:14 ID:???
重ねての訂正です。
>>738のドローにより源氏 ◆rLDAH8Hy8Y様のEPは15になっています。
また目標値の修正効果は『幸運の星』によるものです。
不手際が続きまして申し訳ありません。

>>743
はい、もちろん承ります。
ご安心下さい。

745 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/07/18(水) 01:52:07 ID:???
>>738への【数値加算】については『7/18 13:00』まで期限を延長いたします。
ご質問への回答が遅れ、また誤回答となりましたことをお詫びいたします。

それでは、改めまして本日はこれにて失礼させていただきます。

746 :源氏 ◆rLDAH8Hy8Y :2012/07/18(水) 07:58:36 ID:???
期限延長ありがとうございます。>>738に【数値加算】します。
61以上ですから・・・
「48」に「EP15」使用して「63」に
「51」に「CP6」使用して「61」に

これで全部大成功になったかな
おお綺麗にCPEP使いきったw

747 :さら ◆KYCgbi9lqI :2012/07/18(水) 09:37:46 ID:???
【代理消費】 >>746 EP5

748 :◆W1prVEUMOs :2012/07/18(水) 20:08:59 ID:???
【代理消費】

>>746
使用CP:6ポイント

CP尽きる人も出てきたかあ
大事に備えて優先順位の低いもの(訓練とか)は失敗のまま進める方がいいかもしれない

749 :傍観者  ◆YtAW.M29KM :2012/07/18(水) 20:23:17 ID:???
ここんところ景気よく使ったからね。
でも、たとえば稼ぎ頭の◆9OlIjdgJmY氏とかはまだCPを20オーバーとか持ってるし、
代理消費のお陰でみんなまんべんなく減らしてるはずだから、
まだそこまで気にしなくていいと思うけど。

750 :源氏 ◆rLDAH8Hy8Y :2012/07/18(水) 21:51:44 ID:???
>>747,748
ありがとうございます。
CPEPは地道に参加していれば自然と貯まるもの、という認識ですので
機会があれば出し惜しみ無しでいこうと思っております。

751 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/07/20(金) 01:06:58 ID:???
******


皆様、ドローありがとうございます。
それぞれEP1を進呈いたします。

CPやEPの使い方はプレイヤーの皆様の個性、プレイスタイルがはっきりと出るところですね。
色々と試してみて、自分なりのスタイルを見つけて下さいませ。
たとえばエンディング直前まで貯め込んで、ラストバトルでどかんと一撃勝利……なんていうのも
有りといえば有りですし、浪漫としては面白いですね。
GMとしてはちょっと困りますがw


******

752 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/07/20(金) 01:08:14 ID:???
***


*訓練結果

前半(剣術)1
80  + 63  + 61 = 大成功3

前半(剣術)2
10  + 72  + 26 = 大成功1 成功2

→大成功4 成功2 失敗0


***

753 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/07/20(金) 01:09:17 ID:???

//剣術

立ち上る陽炎は、垂れ落ちた汗の溜まりが蒸発していくものである。

「……百二十一、百二十二、」

炎天下の全体訓練を終えた森崎が、屋内練習場でひとり素振りを続けている。
謹慎を命じられた先月までのような、闇雲なそれではない。
一振りごとに剣筋を意識し、ぶれをなくし、量をこなすのではなく質を高めていく、そんな修練であった。
溜まった疲労と過剰な鍛錬との悪循環はすっかり克服されていた。
謹慎という名の強制的な休息も、罰を受けている間は苦痛以外の何物でもなかったが、
終わってみればそれが何より必要であったことを森崎は痛感している。

「百三十五、百三十六、」
「―――ふむ」

背後に立つのがヤング・マジョラムであると気づいてはいたが、森崎は振り返らない。
あれだけ正面から食って掛かっておいて、今更休息を有難うございましたとは、とても言えなかった。
言えないから、振り返らない。
代わりに以前とは違う修練の程を見せることが、森崎なりの礼である。
口より剣で、弁明より結果で答えるのがいくさ場に立つ者の心得だ、などと内心でうそぶくのが
半分がた単なる照れ隠しであるとは、自分でも理解していた。

「百五十ニ、百五十三、」
「剣士として、少しはマシになったようだ。……まだまだ『見習い』の域だがな」
「百五十四、百五十五、」

森崎はその言葉に応えを返すことはない。
礼を込めて、熱を込めて、ただ真っ直ぐに剣を振るう。


754 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/07/20(金) 01:10:18 ID:???

※ガッツが20減少。
剣術が32上がりました。


現在のガッツ:130
剣術:68 馬術:10 体術:62 魅力:78
ATK:78 DEF:130 SPD:72 ini:14


******


※称号が『気のいい見習い剣士』になりました。

スキル『スマッシュ』を獲得しました。
種別:アクティブ
消費ガッツ:10
効果:攻撃の最終ダメージを150%として計算する。


******

755 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/07/20(金) 01:11:27 ID:???

//複合スキル取得


「あの噂、聞いてるか? モリサキ」

ネイがそんな風に切り出したのは、出征も近づいてきたある日のことである。

「……? 何だよ、噂って」
「聞いてないのかよ! 仕方ねえなあ……ここだけの話だぜ?」
「へいへい」

勿論、折を見て広めろという意味である。
適当に頷いた森崎に、ネイがぐっと身を寄せる。
どうしても秘密の話という体を装いたいらしかった。
ほんの数歩離れた位置に立つジェトーリオの目がすう、と細められていくのがわかったが、
とりあえずネイのなすがままにさせてやる森崎。

「……今度の戦、この傭兵大隊を二つの部隊に分けるらしいんだ」
「そんなの珍しくもねえだろ」
「話はここからだって! で、一つは当然ヤング教官が指揮を執る」
「ま、そうだろうな」

言ってから、森崎がふと思いついて訊ねる。

「なら、もう一つの隊は誰が仕切るんだ?」
「そこよ」

我が意を得たり、とばかりにニヤリと笑ったネイが、森崎の首を抱き寄せるようにして顔を近づける。
背後から感じる視線はほとんど殺気に変わりつつあったが、まだ僅かに余裕はあるだろうと見当をつけて
森崎が先を促すように頷く。
その程度には、ネイとジェトーリオという二人との付き合い方もわかってきていた。

756 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/07/20(金) 01:12:51 ID:???
「名前が挙がってんのは、トニーニョと……お前だよ、モリサキ!」
「なにィ!?」
「そう驚くことでもねえさ。ここの連中の半分はただの力自慢や喧嘩が強いってだけの荒くれ者ども、
 実際のいくさは初陣ってのがゴロゴロしてる。まずそいつらには任せらんねえだろ?」
「まあ……な」
「で、まあ残った古強者の中で……」
「そんな大したもんでもねえだろ。これまでたまたま生き残れたってだけで」

大袈裟な言いように思わず口を挟んでしまう森崎に、ネイが渋い顔でその額を小突く。

「痛ぇっ」
「茶化すなって。で、その古強者どもの中で抜きん出てるのがトニーニョとお前ってわけだ。
 トニーニョの奴はほれ、あの強面とガタイに似合わず学もあるし、他人の世話も焼くタチだ。
 皆が一目置いてる」
「ああ、そうだな」

自身も先月、しっかり世話になったことを思い出しながら頷く森崎。

「でまあ、あいつとは違う意味でモリサキ、お前も一目置かれてるのさ」
「……何か、あんまりいい意味じゃねえ気がするんだが」
「そんなことねえよ。鬼のヤングに楯突いちゃあ懲罰食らって、毎日特別扱いで
 無茶苦茶なシゴキを受けてるのに結局そいつをこなしちまう。
 最近じゃやっとうもサマになってきてるし、何やかやで憎めねえとこあるしな、お前」
「よせやい、照れるぜ」
「……って、自由騎士の豚野郎を真っ先にぶん殴った、後先考えねえイカレっぷりに
 惚れ込んだ連中が言ってる」
「……」
「そいつらからはお前、傭兵大隊の『切り込み隊長』なんて渾名されてるみたいだぜ」

言って、ネイが森崎の胸の辺りをぽんと叩く。

757 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/07/20(金) 01:13:52 ID:???
「ま、俺としちゃ言いたいことは一つだ。トニーニョにせよお前にせよ、部隊長に選ばれた暁には
 このネイさんのこともしっかり引き立ててくれよ?」
「ケッ、そういう話かよ」

呆れたように言う森崎だが、顔は笑っている。

「事前の根回しは円滑な人間関係のキホンってね。……ま、よろしく頼むよ。『切り込み隊長』さん!」
「調子のいいやつだぜ……まったく」


******


※称号が『気のいい切り込み隊長』になりました。

スキル『鼓舞』を獲得しました。
種別:部隊アクティブ
消費練度:10
効果:任意の味方一部隊の士気を+20する。


******

758 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/07/20(金) 01:14:56 ID:???

//休憩


『ねえ、今朝はこんなにゆっくりしてていいの?』

ピコが言うのへ、森崎が新聞から目を離して窓の外を見る。
日はすっかり城壁の上に顔を出し、爽やかな朝の訪れを告げていた。
常ならば早朝の走り込みや素振りに勤しむ頃合いである。

「来週にはここを発つ。いくさの本番を前に身体を休めるのも鍛錬の内さ」
『もう……休んでなんていられるかー! って、こないだは暴れてたくせに』

ピコの白眼視を無視して、森崎は新聞に目を戻す。

「プロキアがシンラギククルフォンを雇用……。シンラギ―――か」

呟いた森崎が見るのは、目前に迫った戦場か、その先の未来か。
あるいは、遥か遠い過去であったかもしれない。



※ガッツが100回復しました。

現在のガッツ:230
剣術:68 馬術:10 体術:62 魅力:78
ATK:78 DEF:130 SPD:72 ini:14


******

759 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/07/20(金) 01:16:57 ID:???
といったところで、またもや選択まで届きませんで申し訳ないのですが、
本日の更新はこれまでとさせていただきます。
夜遅くまでのお付き合い、ありがとうございました。

戦争前最後の選択については明日の比較的早い時間に更新し、
少し長めに期限を取らせていただこうかと思っております。
それではまた、次回更新にて。

760 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/07/20(金) 09:41:28 ID:???
******


*D26.7
訓練所イベント



東洋圏の傭兵部隊シンラギククルフォンの参戦により、ヴァルファ麾下の兵団が
大幅に再編成されるのを見て取ったドルファン王室会議が王都騎士団第二、第四大隊、
および外国人傭兵大隊に出撃準備の命を下したのは、七月十日のことである。

「―――整列、点呼!」

大音声に応じるように隊列が組まれ、数を数える声が山びこのように谺していく。
夏季には珍しい曇天の下、訓練所の主任教官にして傭兵大隊隊長たるヤング・マジョラム大尉が
運動場に整列させた三百人の傭兵を前に口にしたのは、出撃に際しての長々しい訓示でも、激励でもない。
出撃が決まった、という事務的な報告と、更に散文的な軍の展開についての説明である。

「―――以上に述べたように、我々は先発隊の一翼を担う。主軸は王都騎士団第ニ大隊。
 先発隊全体の指揮官は第二大隊長カイル・コーツ大佐が兼任される。
 左翼には道中で合流する予定のトロサ騎士団。右翼は王都騎士団第四大隊。
 傭兵大隊は最右翼に展開し第四大隊の援護に回る」

と、ヤングが言葉を切った瞬間に溢れ出たのは不満と疑問の声である。

761 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/07/20(金) 09:42:30 ID:???
「何だそりゃ? 俺たちゃ騎士様の尻ぬぐいでもしてろってことか?」
「第四大隊つったら、あの自由騎士どもで水増しされてる隊だって話だぜ」
「うへえ、あいつらがわんさかいるのかよ……」
「つか、トロサ騎士団って何だ?」
「この国の西の方にある都市だってよ。何でもわざわざそこの領主が私兵を出すって話だ」
「へえ……主君の求めに応じるなんざ、今時できた忠義心じゃねえか」
「いや、王室会議は別に招集かけてねえって話だぜ。勝手に押しかけてくるらしい」
「……相変わらずワケがわからねえな、この国の軍は」

蜂の巣を突いたような騒ぎを鎮めたのは、

「黙れッッ!!」

の一言である。
雷に打たれたように静まり返る場を見渡して、ヤングが再び口を開く。

「続けるぞ。今回の作戦にあたり、我が外国人傭兵大隊を二部隊に分ける。
 騎兵を主体とした突撃部隊と、弓兵を主体とした後方支援部隊だ。
 前者を第一分隊とし、俺が直接指揮を務める。そして―――」

一旦言葉を切り、その場に立つ三百の顔、六百の目を一つずつ見据えるようにたっぷりと時間を取るヤング。
固唾を飲んで立ち尽くす男たちの緊張が頂点に達しようとした、その瞬間。

「―――ユーゾー・モリサキ。第二分隊は貴様に任せる」

その名が、呼ばれた。

762 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/07/20(金) 09:43:31 ID:???
「なにィ!?」
「あのイカレ東洋人かよ!」
「コンセイソンじゃないのか……」
「いや、俺は最初ッからモリサキを推してたぜ」
「嘘つけ、この野郎!」

再び喧騒に満たされようとした曇天の下を、どん、と鈍い音が駆け抜けた。
無言で、しかし地を割るような勢いで足を踏み鳴らしたのは、勿論ヤングである。
ただの一挙動で静粛を強制すると、ヤングがぎろりと傭兵たちを見回す。

「これは決定事項だ。反論は許さん。辞退もなしだ」

言ってのけた眼光の鋭さ、声音の威圧感に誰もが言葉を失う中、
ざ、と。
一歩を踏み出した者がいる。

「コンセイソン……反論は許さんと言ったが、聞こえなかったか?」

アントニオ・コンセイソン。
親しい者からはトニーニョと呼ばれる男である。
長身の坊主頭から発せられる独特の迫力と仏頂面は常と変わらぬ。

「反論ではありません、教官」
「大隊長と呼べ。いつまで訓練生気分でいるつもりだ」
「申し訳ありません、大隊長」

動じた風もなく謝罪したトニーニョが、

「……モリサキ。先月の騒ぎを覚えているか」

振り返ると、友の名を呼ぶ。
ざ、と人垣が割れた。

763 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/07/20(金) 09:44:32 ID:???
「トニーニョ……」

遮るもののなくなった二人の間に、濡れたような風が吹く。
雨が近いのかも知れなかった。

「ネイが侮辱されたあの時、真っ先に飛び出したのはモリサキ、お前だった。
 本当なら、俺がやらなきゃいけないことだったのにな」

その頬に僅かに浮かんでいたのは、自嘲の笑みだろうか。

「俺は躊躇ったんだ。一瞬、考えてしまった。貴族と俺たちの身分の差や、立場の違いや、
 この先のことや、そういう、本当に大切なことに比べたらどうでもいい何かを、な」
「……」
「だが……お前は迷わなかった。あの糞野郎を、モリサキ、お前は正面からぶん殴った。
 ぶん殴ってくれたんだ」

森崎の目を真っ直ぐに見据え、トニーニョは一言ずつを噛み締めるように言う。

「仲間の名誉のために真っ先に飛び出すような男になら、命を預けても悔いはない。
 俺は、そう思う。皆は、どうだ?」

最後は、問いかけだった。
静寂は俄にざわめきを生み、ざわめきは次第に密かな相談になり、やがて相談は一つの声に結実する。

「……ああ、そうだな」
「俺たちも異論はねえぜ」
「第二部隊はお前が仕切ってくれや、モリサキ」
「頼むぜ、モリサキ!」

三百の同意が波となり、森崎に決断を促すように押し寄せる。
その波に背を押され、森崎は―――

764 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/07/20(金) 09:45:39 ID:???
*選択


A 分隊長を引き受ける。


森崎の行動としてどれか一つを選択して下さい。
その際【分隊の公約】を必ず付記していただくようお願いいたします。
期限は『7/21 15:00』です。

※【公約】システムについて説明いたします(ルールにも後ほど追記いたします)。
 これは戦場で指定される部隊目標や戦術目標とは別に、部隊長が個人的に部下へ約束する項目になります。
 達成された目標の難易度に応じて部隊員の支持や評価値が上がるなどのメリットがありますが、
 未達の場合は逆にそれらの値が下がることになってしまいます。
 できるだけ余裕を持って達成可能な目標を指定することをお勧めいたします。
 【公約】は戦争パートごとに設定できます。

公約の例)
1.分隊員のスキルをすべて使用して勝利条件を達成する。(達成難易度:極めて易)
2.分隊員(名前あり)から戦死者を出さない。(達成難易度:易)
3.敵一部隊をこの分隊で撃破する。(達成難易度:易〜並)
4.分隊損耗率を40%以下に抑える。(達成難易度:並)
5.敵ニ部隊をこの分隊で撃破する。(達成難易度:並〜難)
6.部隊スキルを一切使用せず勝利条件を達成する。(達成難易度:並〜難)
7.分隊損耗率を0%にする。(達成難易度:難)

初の戦争パート前で難易度の感覚的な設定も何もない状態ですので、今回は上記から選んでいただいて結構です。
原則としては1〜4までから採用させていただきますが、勿論独自の公約を掲げていただいても構いません。
なお「易〜並」など、幅のあるものはEP/CPの使用有無によるものです。

難易度はあくまで机上の想定によるものですので、実際の展開とは大きく異なってくる可能性があります。
GMの事前想定と極端に乖離した場合は未達ペナルティを課さないなどの処置を取ることがあります。

765 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/07/20(金) 09:50:45 ID:AV+9Romo
******

公約通り早めの更新、といったところで
本日の更新はこれまでとさせていただきます。
お付き合い、ありがとうございました。

またスレ容量限界が近くなっておりますので、上記選択とは別に
次スレのタイトルを募集させていただきます。
形式は自由、森崎板の伝統を踏襲していただいても、まったく独自に
考案していただいても構いません。
勿論タイトルも作品の一部ということで、案を出していただいた方全員にEPを、
採用させていただいた場合にはCPを進呈いたします。

それではまた、次回更新にて。

766 :さら ◆KYCgbi9lqI :2012/07/20(金) 18:48:29 ID:???
公約 2.分隊員(名前あり)から戦死者を出さない。
名前ありを死なせないってのは隊を強くする上でかなり大切だと思います。
【森崎隊】異邦人モリサキ2【出動】

767 :さら ◆KYCgbi9lqI :2012/07/20(金) 19:22:17 ID:???
選択肢忘れてましたね。


768 :◆W1prVEUMOs :2012/07/20(金) 19:26:43 ID:???
2.分隊員(名前あり)から戦死者を出さない。(達成難易度:易)
初めてで何も分からないので易しくてEP/CPも減らないものを

769 :◆W1prVEUMOs :2012/07/20(金) 19:27:51 ID:???

2.分隊員(名前あり)から戦死者を出さない。(達成難易度:易)
初めてで何も分からないので易しくてEP/CPも減らないものを

770 :ノータ ◆JvXQ17QPfo :2012/07/20(金) 20:49:25 ID:???
A
【公約】1、2、3
理由:騎士の尻拭いという立場からくるとなれば武勲は敵から頂戴し、全力でやるしかない
   恐らくではあるが、3を選べば開始前に味方の士気などを高めるかもしれないし

771 :源氏 ◆rLDAH8Hy8Y :2012/07/20(金) 20:50:34 ID:???
A
3.敵一部隊をこの分隊で撃破する。(達成難易度:易〜並)

>なお「易〜並」など、幅のあるものはEP/CPの使用有無によるものです。
最初だから確実に、というのはあるでしょうが
CPEPを使用すれば難易度は「易」、使用しなくても「並」ならば決して分の悪い賭けではないはず。

あと一応質問です。
>>764には書かれていませんが、公約を複数選択するのは(「1〜4」等)無しなのですよね?

【隊長】異邦人モリサキ2【就任】
【貴族の傲慢】異邦人モリサキ2【傭兵の意地】

772 :ノータ ◆JvXQ17QPfo :2012/07/20(金) 22:13:42 ID:???
あ、よく見たら味方の士気は開始時にMAXになるんだった
複数選択もダメみたいでしたら3でお願いします

773 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/07/21(土) 02:12:30 ID:???
>>772
はい、その通りです。
選択も3として承りますね。

774 :D ◆wSerlfzosE :2012/07/21(土) 06:20:39 ID:???
追いついたので初書き込み!トリップはこれで問題無いのだろうか……。

A
公約は「3」。
理由は、森崎が事ある毎に言っているように、稼ぎに来た傭兵にとっては戦果がなによりも欲しいものだろうから。
『切り込み隊長』的にも、公約3番は似合っているしね!

775 :見てる人 ◆S/MUyCtQBg :2012/07/21(土) 13:58:33 ID:???
A 2
切り込み隊長としては3を選択したいんですが。
約束ということなら、これがいいと思います。
敵を倒す事も大事ですが、みんなを大事に思ってることを伝えたいから。

書き込み間に合った!w

776 :◆9OlIjdgJmY :2012/07/21(土) 14:48:46 ID:???
A 公約は2で
『鉄壁』や『トニーニョへの加護』など、この公約向きのスキルが多いので。

2回目の戦争ではハイリスクハイリターンを狙ってみるのも面白いかも。

777 :◆W1prVEUMOs :2012/07/21(土) 20:48:17 ID:???
【女も部隊も】異邦人モリサキ2【俺が守る】

778 :見てる人 ◆S/MUyCtQBg :2012/07/22(日) 01:35:00 ID:???
【ヒロインは】異邦人森崎2【ピコなのか】

779 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/07/23(月) 01:12:56 ID:???
***


A 分隊長を引き受ける。


「―――わかった。俺に任せとけ」

しっかりと頷く森崎。
途端、周囲の声がスラングと拳混じりの手荒い歓迎と祝福に変わる。

「イテ、痛てて、おま、痛っ、やめ、こら、……痛えつってんだろコラァ!」
「うわ、分隊長が怒った!」
「やべえ、押さえろ!」

と、喧騒の中心となっていた森崎の首根っこがぐい、と掴まれる。
そのまま引きずり出された森崎が、

「誰だ、この野郎調子に乗りやが……って、」
「―――」

怒鳴りつけようとした森崎の声が、尻すぼみに消えていく。
眼前、吐息を感じるような距離にあったのは左目に大きな傷痕が走る強面。
ヤング・マジョラムである。

780 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/07/23(月) 01:14:22 ID:???
……失礼いたしました。
一つ上のレスは見なかったことに!


それでは、改めまして。
皆様、ご回答ありがとうございます。
それでは早速、>>764の選択については……

>>775 見てる人 ◆S/MUyCtQBg様の回答を採用させていただきます!
みんなを大事に思ってること、重要ですね……。
森崎、すっかり善人でお節介焼きですし、隊長仕事のまず第一歩としては
こちらを採用させていただきました。
またスレタイ応募もありがとうございます。
CP3を進呈いたします。


781 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/07/23(月) 01:15:23 ID:???
>>766
はい、名有りキャラは各自固有のスキルを所持していますし、
今月まではまだ選べませんでしたが、一緒に訓練することで
そのスキルを強化していくことも可能になっています。
長く活躍させてあげることが結果的に部隊の強化にもつながりますね。
スレタイ候補もありがとうございます!

>>768
そうですね、まず一回の戦争パートでどの程度のポイント使用が必要になるか、
その辺りを見極めていくのも大事だと思います。
そしてスレタイ応募、ありがとうございます!

>>770
何しろ友軍は「あの」自由騎士ですから……武勲を稼ぐチャンスは多いかもしれません。
但し活躍は損害と隣り合わせ、しっかりマネジメントしてあげて下さいね。

>>771
はい、一応シミュレート上でも、大きな事故が起こらなければこなせるだろうというラインを
『並』としています。個人戦よりも数値の振れ幅は少ないはずなので、シミュレート精度が
大きく乱れていないことをGMとしても祈っています。
スレタイ応募もありがとうございます!

>>774
初参加、ありがとうございます!
そして早速の称号を絡めたご回答、本作の特色をしっかりとご理解頂いているようで
GMとしても感無量です。どうかこれからも末永く楽しんでやって下さいませ!

>>776
そうですね。今回の最難選択肢、分隊損耗率0%などはかなりの運ゲーとなってしまいますが、
戦争の勘どころを掴んでからであれば、ある程度の冒険もできるでしょう。
今回は展開の関係上、そしてまた初の戦争前ということもあってこのタイミングとなりましたが、
次回以降は公約の選択を「マップ提示」および「目標提示」の後にする予定です。

782 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/07/23(月) 01:16:49 ID:???
***


A 分隊長を引き受ける。


「―――わかった。俺に任せとけ」

しっかりと頷く森崎。
途端、周囲の声がスラングと拳混じりの手荒い歓迎と祝福に変わる。

「イテ、痛てて、おま、痛っ、やめ、こら、……痛えつってんだろコラァ!」
「うわ、分隊長が怒った!」
「やべえ、押さえろ!」

と、喧騒の中心となっていた森崎の首根っこがぐい、と掴まれる。
そのまま引きずり出された森崎が、

「誰だ、この野郎調子に乗りやが……って、」
「―――」

怒鳴りつけようとした森崎の声が、尻すぼみに消えていく。
眼前、吐息を感じるような距離にあったのは左目に大きな傷痕が走る強面。
ヤング・マジョラムである。

783 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/07/23(月) 01:17:54 ID:???
「続けてもいいか? モリサキ分隊長」
「……」

こくこく、と無言で頷く森崎。
その襟首を掴んでいた手を離して、ヤングの鷹の目が周囲を睥睨する。
視線の走った先から、乱れていた隊列が逆回しで整っていくのだった。
場が落ち着いたのを見計らって大きく頷いたヤングが、改めて声を張り上げる。

「では、その他の人員の編成を発表する! アントニオ・コンセイソン!」
「はい!」

呼ばれ、最前列に直立不動でいたトニーニョが前に出る。

「貴様は第一分隊! 俺の補佐につけ!」
「はっ!」
「フロレンシオ! トゥーリオ! 貴様らは第二分隊!」
「は、はいっ」
「は〜い」
「次に……」


******

※称号が『気のいい分隊長』になりました。

スキル『分隊指揮』を獲得しました。
種別:特殊
消費ガッツ:-
効果:戦争パートで分隊の指揮ができるようになる。

******

784 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/07/23(月) 01:18:55 ID:???

「えー、ごほん」

咳払いをひとつ。
森崎の前に整列するのは外国人傭兵隊、第二分隊百五十人の傭兵たちである。
自らの言葉を静寂の内に待つ男たちに、緊張の面持ちで森崎が口を開く。

「……改めて、俺が第二分隊を預かることになった森崎有三だ」
「知ってるぜ」
「今更挨拶もないよね〜」
「テメエら、茶化すんじゃねえ! つうか、今のネイとジェトーリオだろ!」

早速飛んだ野次に怒鳴る森崎。
苦笑と失笑の輪が広がり、緊張の度合いが緩んだ。
その様子に姿勢を崩した森崎が、しかし眼差しだけは真剣に、告げる。

「まあ、いきなり隊を仕切るっつってもよ、そう簡単に俺を信じてついてこいとか、
 んなこたぁ言えねえやな。……だがよ、これだけは。これだけは聞いてくれ」

その眼光の強さに、居並ぶ荒くれ者どもが一瞬、しん、と静まり返った。

「ネイ、ジェトーリオ。それから他の連中も」

ほとんど一人ひとりを見回すようにして。

「お前らの命は俺が預かった。預かったからには、取りこぼさねえ。
 生きて、帰ってこさせてやる。それが俺の仕切る、この隊の決め事だ」

言う。
反応は、僅かな間を置いて返ってきた。

「……ヘッ。モリサキのくせに、カッコつけたこと言いやがって!」

785 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/07/23(月) 01:19:57 ID:???
最初に言葉を発したのは褐色の優男、ネイである。
それからその背にへばりつくように立った黒人、ジェトーリオが続く。

「そうだね、ネイくん。モリサキのくせに生意気だよね」
「黙れ生ゴミ!」

そんないつものやり合いを口火にして、傭兵たちが次々と森崎に向けて声を上げる。

「ヘン、俺たちゃ生きて帰ってきてやるぜ、頼まれなくってもよ。
 ……そしたらついでに、お前の顔も立つってもんだろ?」
「そうだな、いきなり決め事を反故にさせちゃあバツが悪い」
「ま、せいぜい新米分隊長の顔を潰さないようにしてやるさ」
「元々潰れたみてえな顔してる奴が何か言ってるぜ!」
「わはは、違ぇねえ!」

口々に言っては豪快に笑い、親指を立て、自らの胸板を叩いてみせる男たち。

「お前ら……」
「おいおい、勝手にカンドーしてんじゃねえよ!」
「俺らは俺らのために生きて帰るってえ、当たり前の話をしてんだぜ」
「んだ、勘違いすんじゃねえぞ。それよりホレ、挨拶が終わったらどうすんだ?」
「しっかり頼むぜ、分隊長さんよ!」

荒くれどもの声は、しかし心なしか常よりも温かい。
少なくとも森崎はそう感じた。

786 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/07/23(月) 01:22:29 ID:???
「……よし、それじゃまずは隊列の確認、それから各自、支給装備の点検をして再集合だ!
 もう出撃まで何日もねえぞ! グズグズしてる暇はねえ、急げよ!」
「おう!!」

曇天の下、百五十の声と足音が揃って響く。
この内、幾つがこの場に戻ってこられるのかはわからない。
しかしひとつでも多くの声、ひとつでも多くの足音をここに戻してやりたい。
ただ剣を振るい、自分の命ひとつを守り抜けばよかったこれまでとは違う戦いが待っている。
なすべき仕事を、なそう。
そう思いを新たにする森崎の頬を、夏の風が撫でていく。
灰色の曇り空の下、しかしその風は行く手に待つ戦場の熱を帯びているように、熱かった。


787 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/07/23(月) 01:26:49 ID:???
******

といったところで、本日の更新はこれまでとさせていただきます。
ちょうどもう少しでスレの容量限界ということですので、
次回、戦争パートは新スレから再開させていただきます。

特に埋めネタなどは考えておりませんが、何かご質問やご意見、
もしくは埋めネタ案などありましたら是非お寄せ下さいませ。

夜遅くまでのお付き合い、そしてまた初スレッドのお付き合い、
本当にありがとうございました。
それではまた、次回更新にて。

788 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/07/26(木) 00:24:31 ID:???
新スレを立てました。
皆様、次スレでもどうぞ宜しくお願いいたします。

【貴族の傲慢】異邦人モリサキ2【傭兵の意地】
http://capmori.net/test/read.cgi/morosaki/1343227315/

789 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/09/01(土) 13:03:46 ID:???
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――――――――――l、!¨フp、._   _.. イヾハ !ノノ l:::}ー>
―――.--、_―――――! .l l.._`′     ー ′  .ノ:,'..:..:>   埋められて
―‐ 「`ヽ.、__ノ――‐.. -‐'' ^'.l.   ,.ニ-‐‐ 、   r'.:/..:..:..>
―r┴、、_ノ { ―‐r''´..:..:..:..:..:..:.}    ト、._.. -}    `K..:..:..::>     たまるか〜!!
‐⊥‐r┘  `ー-┴'⌒ソ..:..:..:...-ト.、 レ' ̄ `V   .   〉..:..<
(、__`ヽ、       /..:..:.:/ /:..:.:`r、`ー‐ ′,.イ  /..:..:..:..´⌒ヽ

790 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/09/01(土) 13:05:58 ID:???
        r‐--、_...-‐ヘ  __
       _j   __ノ^ヽ   \   !
      /..:.::/ 厂   /\   `   |`ー .
    ノ;:=-'′ ′   ;   `' ー┐ !:::.::l
   /   /     l      ! ヽ:::.!
  /  . '′   / /|       ‘ 、 \{
  { .:/  /  ..:/ | i:       \ \
  V  .:; ゙ .;:∠ィ'´  '"j八L_`ヽ    ゙:.. `:. ヽ
  { .:/.:〃"{しハ    "{しハァヘ.   ::. j}   }
   ヽ::{::/,ハ j;;::ノ      j;;:::ノ  j、   :}/  ′
    八{:i:::}   、       /ハ:. 〃.: /
     ゞ:,,:x'   . __..    、_ノ .::八{: : レ′
   __   {{\      ー=彡イ..:ノx、:{
  〃⌒   ゞ; 介: ... '゙   / ::{、_j}::.ヽ
  ゞ.__ ___.ノ.:::jノリ :i: |     {:i ::.[jリ::..:.:..\
    `¨¨¨>‐---‐'´|      jハ :::j :::::::.::.::.:
   /i7′  ヽ       ノ j} _ノ `丶:::::.:
  / 人     `  -ー ,.≠'´    __,..」
 {{    \          {:{ _.. -‐'^´: : : :
 从 . :   `7x..__.. -‐ァナ"j:}      : : :
ノ^ヘV     / [_j     {{_,ノノ      : : :
   ヽ   / / ∧    `¨´   _..  ==ニ
    \{  / iト、 . : :  == ''"´

ところで…公式人気投票1位の私の出番…
いえ、なんでもありません…

791 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/09/01(土) 13:07:39 ID:???
              ____
          _,,--"     '' ̄゛``‐-、
        __-'            ':::::;;;:::\
       ,-'    .......,,,,,,,;;;;;;;;;;;;;;;;;;;: O:::;;;;;;;;i
      /    ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;λノ..;;;;;;;;;;l
     /  .  ..::;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;,,;:-:;;-〜ーー-、、_;;!
    /  :; ..,;;;;;;;;;;_,--" ̄;;;;;;;;;;;;;;;;;...;;;;;;;;;.....;;;;;`-、.
   /  .:;;:. ..,;;;,-..i;;i;;;;....;;;;;;;;...;;;;..;;;;;...;;;......;;i;;;;;....;;;i;;;;;':、
   / ..,;;:..:;;/;/;;l;;;; ..;;;;;...;;;;;..;;;;;..;;;;;...;;;;;....;;..;;i;;;...;;;;i;;;`;,
  / ..,;;;;;;;/.:;;i;;;i;;; ..;;;;...;;;;;;;;;λ;;;;..;;;;;;...;;;;;;;..;;;;..;;l;;;....;;;l;;;|i、
  |..:;:,;;;;;;/:::l;;;l;; .;;;;;;;;...;;;;...;;;;从;;;;;...;;;;;;;...;;;;;;...;;..;;;;;;l;;;...;;l;;;;l
  |,:;;::;;;;;|:::l;;;;i; ..;;;;;...;;;;..;;;/;/ \゛、;;...;;...;;;;;;;;...;;...;;;;i;;;...;;|;;;|
  |;;:::;;|;;|;;|;;;..;;;;;;;;..;;--/ノ―――--、::;;;..;;;-__::;;...;;;;l;;;..;;;|;;|
   |;;;;;;|;;;;|;;|;;;;.;;;;;;;;.;;;;ノγ´~~^`ヽ \、`‐、_;;:__;`‐、;;;;;l;;;.;i;;;|
   \i;;;;;i;;|:;;...;;;;;;;;// y::......:::i     `/`'-、_;;;;;;;;...;;i;;.;i;;;|
    |;;;;l:;l;;;;;;;;;:;;;l  ;O;;;;゚ノ      |;;,,;;;i \::;;;;..;;;!;.;l;;|
    |;;〔 !:i;;;;;;;;;|   ー‐‐-     lo;;゚ノ l /;リ;..;!;;;/;|
     |;;;;\!:l;;;;;;;l            ``   |;ノ;;;;;ノ;l;/
      i.:::;;;;;;;l;l;;;;|           τ   |:;;;;/|;;/
      `、::;;;;;;;|'':!;ゝ             /川ノノ
       \;;;;|  \       ___.._.   /ノ'ノ
        \|   \            /
        「~⌒^ヽ ::;:\      /;;ノ
        / ̄ ̄\\ ::;;\ _ __/.;;;Y;;ヽ.

…あなたは顔見せの予定があるだけ、私よりマシじゃないかしら。

792 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/09/01(土) 13:10:51 ID:???
                       _,.............          ,-、      
                      ,.-'ir.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:`ヽ、  ┌、,....、_/ ;;;,ヽ;=-
                     , ',.:':.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:ヽ.  ヽ{_,....コレ'彡ヽヽ.._
                     ,.',:':.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:..ヾ'  ;ヽ.ヽ フ      ≦´、
                 /,'.:..:.:.:.:.:.:.:.:.:'`'ヽ .:ヽ:.ヽ.:.ヽ Y { /彡   ミ  `ミ、
                    ,'.:':.:':.:':.ソ    ヽ ヽ.:.:.ヽ.:ヽイヽ,;' t;y' ヽ ヾ ミ   -、
                ,...._!.:   ,:,:,,;,_:.:ヽ.:.:ヽ.:ヽ,. -'´ ,;yぅ,    ミ ヽ    ,., `、
              ,イ  ,..>、;:.:.:.:.:.:.:.:.:.ヽ.:ヽ:.:.,;=tテ  '、`Y,,,._ミミミミ,.-  ,//,.',.-ぅ ;,
              ヾ~´  {三ニ≡ゞ、__,.イ,ヘぅ,ノ    _', し'Lミミ,-'    r' ''‐'_,こ,っ',
               ヽ,- ノ.i:.ノ.i:.i.:i.:.:.:.:.:.:ヽ       ' ,.ヒシ'´      ;}   _;='っ l,
                N_/.:/,'.:.:;:.;:;.:.:.:.:.:.:.:ヽ....__,r'‐‐‐'´  /   /,.'川  ,. - ' ´  l
                〉7./.'.:.:,.':,.'.,.':.:人.:.:.:.:ヽ  "ュ___,,,:::,,.'彡N/~7   /   ,' ;  ヽ
                y'/:'..::,.'.,.'.,.':/´ ̄ヽ.:.:.:ヽ く!.:.:.:.:!`ヽ、    .l   i  ,.',.' ;    ヾ、
                 /./.:.:.,.':,.'.:./´ ̄ ̄`ヽ、:ヽ l.:.:.:.:.!.  ヽ    l    !;;,.',.' .,'     ヾ
              /./:.:.:,.',.':./        ヽヾh:.:.:.! ,   ヽ  !    !;; ;  ;  ;   ヾ,
              ,'./:.,,;.:,.'/!          `'ヽ`-イ   ヽ l    !;;,,,; ,'、 ,' ミ   }
              i ,,;;;,,/ ! '、            `' ‐、_   y'    .!;;;;;',..' "     l!

ソフィアさんって、もしかして私の祖先…?

793 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/09/01(土) 13:11:58 ID:???
              ____
          _,,--"     '' ̄゛``‐-、
        __-'            ':::::;;;:::\
       ,-'    .......,,,,,,,;;;;;;;;;;;;;;;;;;;: O:::;;;;;;;;i
      /    ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;λノ..;;;;;;;;;;l
     /  .  ..::;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;,,;:-:;;-〜ーー-、、_;;!
    /  :; ..,;;;;;;;;;;_,--" ̄;;;;;;;;;;;;;;;;;...;;;;;;;;;.....;;;;;`-、.
   /  .:;;:. ..,;;;,-..i;;i;;;;....;;;;;;;;...;;;;..;;;;;...;;;......;;i;;;;;....;;;i;;;;;':、
   / ..,;;:..:;;/;/;;l;;;; ..;;;;;...;;;;;..;;;;;..;;;;;...;;;;;....;;..;;i;;;...;;;;i;;;`;,
  / ..,;;;;;;;/.:;;i;;;i;;; ..;;;;...;;;;;;;;;λ;;;;..;;;;;;...;;;;;;;..;;;;..;;l;;;....;;;l;;;|i、
  |..:;:,;;;;;;/:::l;;;l;; .;;;;;;;;...;;;;...;;;;从;;;;;...;;;;;;;...;;;;;;...;;..;;;;;;l;;;...;;l;;;;l
  |,:;;::;;;;;|:::l;;;;i; ..;;;;;...;;;;..;;;/;/ \゛、;;...;;...;;;;;;;;...;;...;;;;i;;;...;;|;;;|
  |;;:::;;|;;|;;|;;;..;;;;;;;;..;;--/ノ―――--、::;;;..;;;-__::;;...;;;;l;;;..;;;|;;|
   |;;;;;;|;;;;|;;|;;;;.;;;;;;;;.;;;;ノγ´~~^`ヽ \、`‐、_;;:__;`‐、;;;;;l;;;.;i;;;|
   \i;;;;;i;;|:;;...;;;;;;;;// y::......:::i     `/`'-、_;;;;;;;;...;;i;;.;i;;;|
    |;;;;l:;l;;;;;;;;;:;;;l  ;O;;;;゚ノ      |;;,,;;;i \::;;;;..;;;!;.;l;;|
    |;;〔 !:i;;;;;;;;;|   ー‐‐-     lo;;゚ノ l /;リ;..;!;;;/;|
     |;;;;\!:l;;;;;;;l            ``   |;ノ;;;;;ノ;l;/
      i.:::;;;;;;;l;l;;;;|           τ   |:;;;;/|;;/
      `、::;;;;;;;|'':!;ゝ             /川ノノ
       \;;;;|  \       ___.._.   /ノ'ノ
        \|   \            /
        「~⌒^ヽ ::;:\      /;;ノ
        / ̄ ̄\\ ::;;\ _ __/.;;;Y;;ヽ.

残念ながらメットは遺伝しないわ。

794 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/09/01(土) 13:13:27 ID:???
           -、-、, -―z._
        ,∠二 \l/二¬、\
       / _   /__ヽ_ \ヽ
       /イ __ ヘY/_∠二`   l |
       ///〈 r宀ヘト、|\| トヽ||
        |/l厶{、   /「` V _」|
         jハ ィih     __  |/7| |
          . ヒノ   '¨´   ノイ
          | `, -―┐  ∧l〈
              ヽ V ̄ / ∠/V
               \ ー' /   /\_
            //丁o   /\_, -\
           /Vト、}__/   /   ヽ
             /  0}ノ      /    \|
         /   /      /   /   ヽ
           l /         /  ,       |
           |l|  0 ー--― l  /     |
     〈`V⌒ヽ' |         ∨     / /
     ∨ ⌒`〉l         |       / /

俺の出番はまだかな!?

795 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/09/01(土) 13:15:10 ID:???
              ____
          _,,--"     '' ̄゛``‐-、
        __-'            ':::::;;;:::\
       ,-'    .......,,,,,,,;;;;;;;;;;;;;;;;;;;: O:::;;;;;;;;i
      /    ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;λノ..;;;;;;;;;;l
     /  .  ..::;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;,,;:-:;;-〜ーー-、、_;;!
    /  :; ..,;;;;;;;;;;_,--" ̄;;;;;;;;;;;;;;;;;...;;;;;;;;;.....;;;;;`-、.
   /  .:;;:. ..,;;;,-..i;;i;;;;....;;;;;;;;...;;;;..;;;;;...;;;......;;i;;;;;....;;;i;;;;;':、
   / ..,;;:..:;;/;/;;l;;;; ..;;;;;...;;;;;..;;;;;..;;;;;...;;;;;....;;..;;i;;;...;;;;i;;;`;,
  / ..,;;;;;;;/.:;;i;;;i;;; ..;;;;...;;;;;;;;;λ;;;;..;;;;;;...;;;;;;;..;;;;..;;l;;;....;;;l;;;|i、
  |..:;:,;;;;;;/:::l;;;l;; .;;;;;;;;...;;;;...;;;;从;;;;;...;;;;;;;...;;;;;;...;;..;;;;;;l;;;...;;l;;;;l
  |,:;;::;;;;;|:::l;;;;i; ..;;;;;...;;;;..;;;/;/ \゛、;;...;;...;;;;;;;;...;;...;;;;i;;;...;;|;;;|
  |;;:::;;|;;|;;|;;;..;;;;;;;;..;;--/ノ―――--、::;;;..;;;-__::;;...;;;;l;;;..;;;|;;|
   |;;;;;;|;;;;|;;|;;;;.;;;;;;;;.;;;;ノγ´~~^`ヽ \、`‐、_;;:__;`‐、;;;;;l;;;.;i;;;|
   \i;;;;;i;;|:;;...;;;;;;;;// y::......:::i     `/`'-、_;;;;;;;;...;;i;;.;i;;;|
    |;;;;l:;l;;;;;;;;;:;;;l  ;O;;;;゚ノ      |;;,,;;;i \::;;;;..;;;!;.;l;;|
    |;;〔 !:i;;;;;;;;;|   ー‐‐-     lo;;゚ノ l /;リ;..;!;;;/;|
     |;;;;\!:l;;;;;;;l            ``   |;ノ;;;;;ノ;l;/
      i.:::;;;;;;;l;l;;;;|           τ   |:;;;;/|;;/
      `、::;;;;;;;|'':!;ゝ             /川ノノ
       \;;;;|  \       ___.._.   /ノ'ノ
        \|   \            /
        「~⌒^ヽ ::;:\      /;;ノ
        / ̄ ̄\\ ::;;\ _ __/.;;;Y;;ヽ.

システム的に必要ないわ。帰ってちょうだい。
…ネイ君がその役目を担う構想もあったみたいだけどね。

796 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/09/01(土) 13:16:11 ID:???
―――――――――― _,-'´::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::`-,―――――ト、―‐
―――――――――‐_,-':::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::',―‐、__人_ノ `ー′
―――――――――‐ィ:::::::::::::::::::::::::::::::::::::_;:-r、::.r-、::i―ノ
――――――――― ´{::::i、ト(ヽ( !、r'ソ-'フ_,..- l::!r、l::}―> ところで
――――――――――l、!¨フp、._   _.. イヾハ !ノノ l:::}ー>
―――.--、_―――――! .l l.._`′     ー ′  .ノ:,'..:..:> お前らいったい  
―‐ 「`ヽ.、__ノ――‐.. -‐'' ^'.l.   ,.ニ-‐‐ 、   r'.:/..:..:..>
―r┴、、_ノ { ―‐r''´..:..:..:..:..:..:.}    ト、._.. -}    `K..:..:..::>  誰なんだ!?    
‐⊥‐r┘  `ー-┴'⌒ソ..:..:..:...-ト.、 レ' ̄ `V   .   〉..:..<
(、__`ヽ、       /..:..:.:/ /:..:.:`r、`ー‐ ′,.イ  /..:..:..:..´⌒ヽ


797 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/09/01(土) 13:17:16 ID:???
              ____
          _,,--"     '' ̄゛``‐-、
        __-'            ':::::;;;:::\
       ,-'    .......,,,,,,,;;;;;;;;;;;;;;;;;;;: O:::;;;;;;;;i
      /    ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;λノ..;;;;;;;;;;l
     /  .  ..::;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;,,;:-:;;-〜ーー-、、_;;!
    /  :; ..,;;;;;;;;;;_,--" ̄;;;;;;;;;;;;;;;;;...;;;;;;;;;.....;;;;;`-、.
   /  .:;;:. ..,;;;,-..i;;i;;;;....;;;;;;;;...;;;;..;;;;;...;;;......;;i;;;;;....;;;i;;;;;':、
   / ..,;;:..:;;/;/;;l;;;; ..;;;;;...;;;;;..;;;;;..;;;;;...;;;;;....;;..;;i;;;...;;;;i;;;`;,
  / ..,;;;;;;;/.:;;i;;;i;;; ..;;;;...;;;;;;;;;λ;;;;..;;;;;;...;;;;;;;..;;;;..;;l;;;....;;;l;;;|i、
  |..:;:,;;;;;;/:::l;;;l;; .;;;;;;;;...;;;;...;;;;从;;;;;...;;;;;;;...;;;;;;...;;..;;;;;;l;;;...;;l;;;;l
  |,:;;::;;;;;|:::l;;;;i; ..;;;;;...;;;;..;;;/;/ \゛、;;...;;...;;;;;;;;...;;...;;;;i;;;...;;|;;;|
  |;;:::;;|;;|;;|;;;..;;;;;;;;..;;--/ノ―――--、::;;;..;;;-__::;;...;;;;l;;;..;;;|;;|
   |;;;;;;|;;;;|;;|;;;;.;;;;;;;;.;;;;ノγ´~~^`ヽ \、`‐、_;;:__;`‐、;;;;;l;;;.;i;;;|
   \i;;;;;i;;|:;;...;;;;;;;;// y::......:::i     `/`'-、_;;;;;;;;...;;i;;.;i;;;|
    |;;;;l:;l;;;;;;;;;:;;;l  ;O;;;;゚ノ      |;;,,;;;i \::;;;;..;;;!;.;l;;|
    |;;〔 !:i;;;;;;;;;|   ー‐‐-     lo;;゚ノ l /;リ;..;!;;;/;|
     |;;;;\!:l;;;;;;;l            ``   |;ノ;;;;;ノ;l;/
      i.:::;;;;;;;l;l;;;;|           τ   |:;;;;/|;;/
      `、::;;;;;;;|'':!;ゝ             /川ノノ
       \;;;;|  \       ___.._.   /ノ'ノ
        \|   \            /
        「~⌒^ヽ ::;:\      /;;ノ
        / ̄ ̄\\ ::;;\ _ __/.;;;Y;;ヽ.

転校してこない(予定の)転校生よ。
あなたは……傭兵さんね。いつか機会があったら会いましょう。

798 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/09/01(土) 13:18:16 ID:???
        r‐--、_...-‐ヘ  __
       _j   __ノ^ヽ   \   !
      /..:.::/ 厂   /\   `   |`ー .
    ノ;:=-'′ ′   ;   `' ー┐ !:::.::l
   /   /     l      ! ヽ:::.!
  /  . '′   / /|       ‘ 、 \{
  { .:/  /  ..:/ | i:       \ \
  V  .:; ゙ .;:∠ィ'´  '"j八L_`ヽ    ゙:.. `:. ヽ
  { .:/.:〃"{しハ    "{しハァヘ.   ::. j}   }
   ヽ::{::/,ハ j;;::ノ      j;;:::ノ  j、   :}/  ′
    八{:i:::}   、       /ハ:. 〃.: /
     ゞ:,,:x'   . __..    、_ノ .::八{: : レ′
   __   {{\      ー=彡イ..:ノx、:{
  〃⌒   ゞ; 介: ... '゙   / ::{、_j}::.ヽ
  ゞ.__ ___.ノ.:::jノリ :i: |     {:i ::.[jリ::..:.:..\
    `¨¨¨>‐---‐'´|      jハ :::j :::::::.::.::.:
   /i7′  ヽ       ノ j} _ノ `丶:::::.:
  / 人     `  -ー ,.≠'´    __,..」
 {{    \          {:{ _.. -‐'^´: : : :
 从 . :   `7x..__.. -‐ァナ"j:}      : : :
ノ^ヘV     / [_j     {{_,ノノ      : : :
   ヽ   / / ∧    `¨´   _..  ==ニ
    \{  / iト、 . : :  == ''"´

わ……私、薬局でバイトはしていないんです、すいません…
ず〜っと先に、会えるとか会えないとか…

799 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/09/01(土) 13:19:46 ID:???
           -、-、, -―z._
        ,∠二 \l/二¬、\
       / _   /__ヽ_ \ヽ
       /イ __ ヘY/_∠二`   l |
       ///〈 r宀ヘト、|\| トヽ||
        |/l厶{、   /「` V _」|    俺、ネイ! よろしくな!
         jハ ィih     __  |/7| |
          . ヒノ   '¨´   ノイ
          | `, -―┐  ∧l〈
              ヽ V ̄ / ∠/V
               \ ー' /   /\_
            //丁o   /\_, -\
           /Vト、}__/   /   ヽ
             /  0}ノ      /    \|
         /   /      /   /   ヽ
           l /         /  ,       |
           |l|  0 ー--― l  /     |
     〈`V⌒ヽ' |         ∨     / /
     ∨ ⌒`〉l         |       / /


―――――――――― _,-'´::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::`-,―――――ト、―‐
―――――――――‐_,-':::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::',―‐、__人_ノ `ー′
―――――――――‐ィ:::::::::::::::::::::::::::::::::::::_;:-r、::.r-、::i―ノ
――――――――― ´{::::i、ト(ヽ( !、r'ソ-'フ_,..- l::!r、l::}―> 
――――――――――l、!¨フp、._   _.. イヾハ !ノノ l:::}ー>
―――.--、_―――――! .l l.._`′     ー ′  .ノ:,'..:..:> いいから偽者は
―‐ 「`ヽ.、__ノ――‐.. -‐'' ^'.l.   ,.ニ-‐‐ 、   r'.:/..:..:..>
―r┴、、_ノ { ―‐r''´..:..:..:..:..:..:.}    ト、._.. -}    `K..:..:..::> さっさと帰りやがれ! 
‐⊥‐r┘  `ー-┴'⌒ソ..:..:..:...-ト.、 レ' ̄ `V   .   〉..:..<
(、__`ヽ、       /..:..:.:/ /:..:.:`r、`ー‐ ′,.イ  /..:..:..:..´⌒ヽ


800 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/09/01(土) 13:20:47 ID:???
            /  /    /      __,/  r‐、 \,_ \
           ,  /  _彡'´   _, -‐ ' / // \| l| マ\|
            l  /   ̄厂丁二  ̄ ̄ //  / /ハ! ハ ト、
             l /  / | /V /     / \ / /  |l/ l/ |
             | / /  ハ V /     ゞ≡/ /l/ /ナ  | /
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          /\_彡ィ7 /      /´   | | / ,′  l/
      , -‐ァヘ、   ノく / ,       、     V/ /|     |
     / / / `フ  / 、:l          ー/ ̄/ / 丶   l_
   / / /_/   l   l\ ヽ、   厂  // \ _/   ハ
    /_,∠ _ \  :'  l   \/\_/  /′  /   l    ハ
   /     \ \|  |   /_         |        l |
   ′  ,        ̄\|\ |   /  \          |   l    | |
 /   /         |\ |一个i   \        |    |    ||

フッ…次スレも楽しんでくれたまえ。ハーッハッハハ!

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0ch BBS 2007-01-24