キャプテン森崎 Vol. II 〜Super Morisaki!〜
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異邦人モリサキ

1 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/01(金) 00:31:21 ID:Hgnh9qno


本作は恋愛SLG『みつめてナイト』を基にした二次創作です。

騎士の時代が終わりつつある南欧は架空の小国、ドルファン王国。
戦火の迫るこの国に傭兵として降り立った東洋人、森崎有三の体験する
波乱万丈の三年間を描きます。


独自要素が強いため、外伝スレを経ずにスレを立てさせていただきました。
ご容赦下さいませ。



353 :さら ◆KYCgbi9lqI :2012/06/14(木) 10:45:35 ID:???
A森崎を多少なりとも信頼してる女の子の悩みを聞いてあげるってのも年上の男の人の甲斐性だと思います。
それにこの森崎なら聞かずにはおれないでしょう。

354 :森崎名無しさん:2012/06/14(木) 15:06:05 ID:???
あ、よく見たらカード結果のダイヤの良さって三番目かよ
爺さんの判定はダイヤとクラブが一緒だが、内容が違う感じなのかと勘違いしてたぜ
CP切った方が良かったかな

355 :森崎名無しさん:2012/06/14(木) 15:12:45 ID:???
もっとハードな判定が絶対あるからその時にリダイスしないとね。

356 :源氏 ◆rLDAH8Hy8Y :2012/06/14(木) 18:25:18 ID:???
A

ソフィアが森崎にお礼を、と少し頑なになってるのも内心では「助けて欲しい」と思っているからかもしれない。
何をしてやれるかは分からないが、ただ話を聞いてあげるだけでも思いつめた表情を解してあげられるだろうか。

357 :◆W1prVEUMOs :2012/06/14(木) 18:41:19 ID:???

慕ってくれる子の境遇に首を突っ込むのも悪くない
本人は突っ込まれたくかもしれないけど
本当に嫌なら言葉に出すこともしないだろうから

358 :傍観者  ◆YtAW.M29KM :2012/06/14(木) 18:46:22 ID:???
A
男と女がもめていたら「女ぁ!」と動くものだと怪盗さんが言ってました。
……というのは、ともかく。こういう時に聞いてほしくない人は口に出さないでしょう。
わざわざ言うってことは(深層心理でも)聞いて欲しい、愚痴りたい、と思ってるもんです。
ただ、愚痴る以上のことを望んでいるかどうかは慎重に応対する必要がありますけど。
(喋りたい、吐き出したい、しかし踏み込んできては欲しくない、というケースも珍しくない)

359 :◆9OlIjdgJmY :2012/06/14(木) 20:59:08 ID:???

苦学生にお礼をしてもらうわけにはいかないから事情を聞かねばと考えて。

360 :テトラ ◆yfCGLLZSBA :2012/06/14(木) 20:59:29 ID:???
B
森崎の方が厳しい経験もしているだろうし
あまり真っ当な生き方でもないのでこちらから口出しはしない。
それに会って日が浅いのに家庭の事情を聞くのははどうかと思ったので

361 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/15(金) 01:54:18 ID:???
皆様、ご回答ありがとうございます。
それでは早速ですが、>>351の選択については……

>>358 傍観者  ◆YtAW.M29KM様の回答を採用させていただきます!
ソフィアの機微を綺麗に拾い、またその一歩先までを見通された回答、お見事です。
ほとんど初対面だからこそ言えるような愚痴、なんていうのもありますよね。
CP3を進呈いたします。

また同様にソフィアの側からの視点を提示していただいた>>356 源氏 ◆rLDAH8Hy8Y様、
>>357 ◆W1prVEUMOs様にもそれぞれCP1を進呈いたします。


362 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/15(金) 01:55:25 ID:???
>>352
表面上の解決、とは実に鋭いご指摘です。
現実でもそうですが、根の深い問題はやはり一朝一夕に解決することはできません。
それが各々の心や、あるいは文化、社会に根ざした影に起因する問題であれば尚更ですね。
傍から見てどれほど素晴らしい解決策であっても、それを簡単に受容することができない場合も多いでしょう。

>>353
今の森崎はかなり積極的に目の前の事情に飛び込んでいきますね。
痛い目にあう可能性もありますが、その分リターンも大きいでしょう。

>>359
確かにそのために話題を逸らそうとしていましたが、相手が苦学生だから……というのは
面白い視点ですね。

>>360
率直に言って、そのようなご回答が多いことを想定していたので今の状況はかなり意外です。
もちろん多数決というわけではありませんが、皆様かなり鋭く切り込んだご回答を用意されていて、
すっかり感服している次第です。
今の森崎が真っ当な人に物を言えた柄か、というのは確かにその通りで、相手によっては評価値が低い内は
まったく聞く耳を持ってもらえないどころか逆効果になることもあるでしょう。


ご回答いただいた皆様にそれぞれEP1を進呈いたします。

363 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/15(金) 01:56:28 ID:???
***

A 「家庭の事情……?」 首を突っ込む。

ソフィアの口をついて出た言葉は、そしてその表情に落ちる翳りは、
何かを聞いてほしいという密かな要求であっただろうか。
それは、あるいは森崎でなくても構わなかったのかもしれない。
気のおけない友人や信頼できる恩師に話をした方が、より具体的な相談ができたかもしれない。
それでも今、この夕闇の迫る路地で、森崎に向けて発せられた言葉の中にそれがあったのなら、
聞き逃したフリはできなかった。

「家庭の事情……?」

様子を窺うように呟いた森崎に、ソフィアがはっと目を見開くと、そのまま俯いてしまう。

「……え、っと」
「あ、いや、話しづらいこと聞いちまったかな。すまん」
「いえ、いいえ!」

慌てて言う森崎に、ソフィアが首を振る。
ふるふると、長い髪が揺れた。
栗色の髪は夕闇に紛れて黒く、まるで足元の影が這い上ってソフィア自身に絡み付いているようでもあった。

「その……、大したことじゃ、ないんです……」
「……」

やがて訥々と話し始めた少女を、森崎は黙ってじっと見つめる。
ソフィアはといえば、ずっと俯いたままだった。

「弟が……少し体が、弱くて。線が、細いんです。……癇癪を起こすことも、多くて」

言葉を紡ぐソフィアの、表情は見えない。

364 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/15(金) 01:57:37 ID:???
「それで、母は……どうしても、その、弟にかかりっきりで……。
 仕方ないんです、弟は手のかかる子ですから、それは」
「……」
「母はそれで、いつも疲れてて、だから……家のことや、父の世話は、私が」

ぽろぽろと漏れる言葉は、しかし奇妙に歯切れが悪い。
何か一つの原因に帰結する問題ではないのだろうと、森崎は思う。
様々な要因が絡み合い、もつれ合って、家族という狭い関係の中で行き詰まっている。
それはきっと、湖の底に溜まる泥や、古い家のきいきいと立て付けの悪い扉と似たようなものなのだ。
軋んだ歯車を、それでも回し続けなければならいことなど、世にはありふれている。
だがありふれているからといって、澱んだ泥水を飲み干せるわけでも、開かない扉に耐えられるわけではない。
どこかで油を注さなければ、人という歯車は壊れてしまうのだ。

「いいんです。父のことも、家のこと、ご飯を作るのも、お買い物やお掃除や繕い物やお洗濯、
 好きなんです。好きでやってるって、思ってます。
 だけど、だから、どうしても学校は、お休みしなければならないときもあって……」

人によって、それは酒であり、快楽であり、あるいは愛情や、友情や、職務や目標であったり、
果ては空想や幻想にその役割を求めることもあるだろう。
少女にとっての油は、きっと今、この時間。
誰とも知らぬ男にぶつける、このとりとめのない愚痴なのだ。
そんな風に考えて、森崎は話を回すつもりで口を開く。

「世話……って、親父さんも、どっか悪いのか」
「……父は、戦場で足を傷めました」

しかし、それはどうやら少女にとってはナイーブな問題であったらしい。
そう言ったきり、今度こそ口を噤んでしまう。

365 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/15(金) 01:58:40 ID:???
「……」
「……」
『……キミ、今のはちょっと無神経』

いつの間にか森崎の側に浮かんでいたピコの声は、ソフィアには聞こえない。
聞こえないはずだったが、まるでその声に促されたかのように口を開いた。

「あの、すみません。変な話をしちゃって……」
「いや、聞いたのは俺だぜ。こっちこそ悪いな」

顔を上げたソフィアは、困ったように笑みの形を作る。
森崎もまた、同じように笑うふりをするより他になかった。

「……で、今日は学校だったんだよな?」
「あ、はい」

話題を変える森崎。
ほっとしたように、ソフィアが頷く。

「あの、それで、ちょっと勉強が遅れがちだったので、先生が特別にお休みの日に
 授業をしてくれることに……」
「へえ。いい先生じゃねえか」
「はい! オルガ先生って仰って、とっても綺麗で優しい、素敵な方なんですよ。
 落ちこぼれの私なんかにも、すごく良くしてくれるんです」

教師のことを語るソフィアの顔には心からの憧憬が浮かんでいる。
つい今しがたまでの影は消え去っていた。

366 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/15(金) 01:59:41 ID:???
「綺麗で優しい女教師……か」
『拙者にも一手、御指南願いたく候』
「お前、次言ったら翅引っこ抜くからな」
『きゃあ! 妖精ごろし!』

叫ぶや森崎の肩から飛び上がるピコ。
その姿に目をやってため息をつく森崎を、ソフィアが不思議そうに見つめている。

「……?」
「……何でもない」
「そうですか……。あの、それで、私のことはいいんです。それより、お礼……なんですが」
「結局そこに戻るんだな……」

胸の前で手を組んだソフィアが、森崎に向かって一歩踏み出す。
雑談はむしろ、壁を取り払う役目を担ってしまったらしい。

「あの、もし良かったら今度―――」

何かを言いかけたソフィアが、その瞬間、凍りついた。
名を呼ばれたときのはにかむような笑顔も、教師を語るときの憧憬溢れる瞳も、そこにはない。
儚さも、頑固さも、森崎の見てきた少女の一切が、そこからは失われていた。
代わりに少女を満たしていたのは、恐怖と嫌悪、そして絶望の色である。
何かに打ちのめされてきた者だけが浮かべる光を湛えたその瞳が見つめるのは、森崎の背後。
辺りから既に夕陽の彩りは消えている。
宵闇の向こうから、それはやってきた。

「―――捜したよ、ソフィア」

367 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/15(金) 02:00:43 ID:???
底冷えのするような声音を紡いだのは、男である。
深紫のシルクシャツに、漆黒のベストとスラックス。
腰から提げているのは細身の長剣、レイピアだった。
精緻な細工を施された金の柄が、ベルトの黒に映えて静かな威圧感を放っている。
一目で最高級の仕立てと分かる装束を身に纏う、その容姿は端正にして怜悧。
永久凍土の氷を砕いて嵌め込んだような薄青色の瞳が、射貫くようにソフィアを見つめている。
長い金髪が、ゆらりと闇を掻き混ぜるように揺れた。
夜を率いて歩くような、それは男であった。

「……ジョアン」

射竦められたソフィアの漏らした、それが男の名であるようだった。
ジョアンと呼ばれた男が、口の端だけを上げた微笑を浮かべる。

「言っただろう、僕の目の届かないところに行かないでおくれと。
 外出するならきちんと家族に報告すべきではないかな、ソフィア」
「……」

俯き、唇を噛み締めて黙り込むソフィア。
吹き抜ける嵐をじっと耐えるような、姿だった。

「父上も心配しておられた。……さあ、言うべきことはあるかな」
「……」
「……」
「……めん、……さい」

暫しの沈黙の後、掠れた声が薄闇の通りを僅かに揺らす。
その声に、ジョアンが一歩を踏み出した。
革靴の底が立てる、かつりという音に、ソフィアがびくりと肩を震わせる。

368 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/15(金) 02:01:44 ID:???
「ん? 何か言ったかい、ソフィア」
「……ごめんなさい、ジョアン。以後……気をつけ、ます」

ようやくにして絞り出したような、声音。
涙声ではない。震え声でもない。
それはただ、ひび割れた荒れ野を吹く風のような、どこまでも乾いた謝罪だった。

「わかってくれればいいんだ、ソフィア。……さあ、送るよ。馬車を回してある」
「……」

肩に回された手を拒むこともなく、ジョアンと共に歩き出そうとしたソフィアが、
ほんの一瞬だけ足を止める。
ちらりと森崎を見たその瞳は何かを言いたげで、しかし口を開くことが罪であるかのように、
ソフィアは沈黙のまま目を逸らした。

「……」
「そこの、東洋人」

かける言葉もなくその背を見送ろうとした森崎に、ふと足を止めたのはジョアンである。

「……! 違うのジョアン、あの人は何でもないの、ちょっと道を聞かれただけなの、
 早く帰りましょう、ね」

表情を強張らせたソフィアが、これまでになく強い口調でまくし立てるのを聞いているのかどうか。
悠然と振り返ったジョアンが、森崎の方へと向き直る。

369 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/15(金) 02:03:06 ID:???
「……ッ!?」

その視線がただ自らの方を向いた、それだけで森崎は全身が総毛立つのを感じる。
じり、と思わず一歩を下がりかけた足を、かろうじて止めた。
そんな森崎に、口元だけを歪ませる笑みを向けてジョアンが言う。

「僕のフィアンセが世話になったようだな。礼金が欲しいのならエリータスを訪ねてくるといい。
 貴様の年給程度でよければ包むよう言っておく」
「エリータス……?」

傲然の二文字を具現化したような態度であったが、森崎は常の悪態をつくこともせず、
気を張り詰めたままでそれだけを口にする。

「五家評議会のエリータス家を知らないとは……流石は辺境からの来訪者、というべきかな。
 聖騎士ラージン・エリータスが三男、自由騎士ジョアン・エリータスの名、覚えておくがいい。
 そしてこのソフィアは、僕の将来の妻となる女性だ」

振り返らぬまま肩を震わせているソフィアの、栗色の髪を嬲るように梳きながら名乗りを上げたジョアンが、
ふと間をとってから、続ける。

「そうだな、大切なことを聞き忘れていた」

すう、と細められた氷青色の瞳が、酷薄な色を浮かべる。

「―――貴様は、ソフィアの、何だ?」

びりびりと、全身が警告を発しているのを森崎は感じていた。
緩んだ休日の日常はすっかりどこかへ吹き飛んでいた。
答えを誤ってはならぬ。今この場にあるのは命のやり取りに他ならない。
そう経験と勘とが告げる中、森崎がゆっくりと口を開く。

370 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/15(金) 02:05:18 ID:yuQwwJ+I
*選択

A 「恩人……てやつさ。あんたがご丁寧に調べ上げた通りにな」

B 「通りすがりだ。彼女には道を聞いただけでね」

C 「友人……いや、恋人候補ってところかな」


森崎の行動としてどれか一つを選択して下さい。
その際【選択理由】を必ず付記していただくようお願いいたします。
期限は『6/16 0:00』です。


******


宿敵、登場! といったところで
本日の更新はこれまでとさせていただきます。
夜遅くまでのお付き合い、ありがとうございました。
それではまた、次回更新にて。

371 :雑魚モブ ◆.xniaLTHMk :2012/06/15(金) 06:05:53 ID:???
A
ソフィアは明らかに助けを求めているし、あんな他人を見下すのがデフォルトのような奴には反発するのが森崎だが
今この場で大人しくしとかないと後でソフィアが何されるか分からないし、ただの傭兵である森崎を消すこと位
簡単だと思うので無難にかつ少しの反抗心を込めて。

本当は「何が自由騎士だ、自分の自称恋人は束縛しまくってるくせに」位の悪態をつきたい

372 :さら ◆KYCgbi9lqI :2012/06/15(金) 09:41:16 ID:???
A調査か報告が入ってる以上、通りすがりで道を聞いたってのは信用して貰えない。
ならば実際恩人と言えるのだから、正直に言った方が良いと森崎なら判断すると思います。
個人的にはこの二人と別れた後エリータスの指示で森崎を襲撃してくる可能性が有るので帰り道の警戒は怠って欲しくないですね。

373 :さら ◆KYCgbi9lqI :2012/06/15(金) 10:17:36 ID:???
【ピココール】
この貴族は自分が知ってる事に嘘を言ったりすればプライドを傷付けられたと言って怒るタイプだと思うか?
それとも自分の知ってる事に対してトラブルを避けようと見え見えの嘘を言う人間を見て喜ぶタイプかどう思う?
初めて使ってみたけど、こんな感じの質問で良いかな?


374 :聴衆 ◆0Sa9mRG4IM :2012/06/15(金) 14:10:03 ID:???
C森崎に女はいらぬが名乗りに遠慮もいらぬ

375 :ピコ ◆ALIENo70zA :2012/06/15(金) 16:37:36 ID:exnOAvLU
>>373
うーん…あたしのガンリキで見たところ、すっっっごくプライドの高そうなヤツだから、怒るっていうよりも
わざわざ相手にするまでもない…なんて、呆れられるんじゃないかな?

だから、ヘタレたことを言えばこの場は収まるかもしれないけど…そこで後ろ向いちゃってるソフィアってコは、どう思うかな…。
何しろ相手は女のコ、向こうの言った通りにしたんだから平気だろう、なんて思ってたら大・大ミステイクだからね!

でも…だからってあんまり刺激しすぎるのも、なんだかイヤ〜な感じがするよ…。
よっぽど腕に覚えがあるならいいけど…。

376 :源氏 ◆rLDAH8Hy8Y :2012/06/15(金) 17:53:03 ID:???
A

この状況だけを見ればキザ男に一発食らわせてやるのも悪くないが、実際のところソフィアと会ったのは僅か二度、
友人と言える程の付き合いでも無いのでややこしいことになるのは御免被りたいというのが今の正直な感想。
何と言っても森崎の目的は騎士叙勲なのだから。

ただ、嘘を言ってこの場を穏便に済ます程に卑屈にもなれない。
事実を飾らずに述べて立ち去ろう。

377 :傍観者  ◆YtAW.M29KM :2012/06/15(金) 18:24:20 ID:???
A

Cは嘘つき(二度あっただけで友人と言えませぬ。ましてや!)の上に喧嘩売り、Bはソフィアが決定的に傷つく。
そう考えればAは消去法といっていいのではないでしょうかね。
ここはソフィアから話を聞けただけでよしとするべきでしょう。
そのご、このキザ氏からソフィアを奪い取るかどうかはまた考えればよろしい。

378 :さら ◆KYCgbi9lqI :2012/06/15(金) 18:48:36 ID:???
Aピココールを聞いて理由だけ変えさして貰います。
森崎ならば卑屈になってソフィアを傷付けずさほど挑発的でもなく皮肉を交える事が出来るこの選択肢を選ぶと思います。
別れた後に襲撃の警戒はした方が良いかもしれないですけど。

379 :◆W1prVEUMOs :2012/06/15(金) 18:57:03 ID:???
A
ピコの見立てから
呆れられてこの場を収めるのは、自分だけが屈辱に耐えればいいわけではなく
ソフィアの心にも暗い影を落とすことになるから。
だけどCまで行くとトラブルになるので×

380 :◆9OlIjdgJmY :2012/06/15(金) 20:14:54 ID:???

彼女の態度から、おそらくソフィアはジョアンに事件のことを伝えていない。
現場は人気のない倉庫街。当事者以外に誰もいなかった。
何故ジョアンは知っているのでしょうね?森崎は頭の回転が早いイメージです。

そのあたりを暗に仄めかすニュアンスがあるので、Aを選択します。
「『いろいろ』邪魔して悪かったな。」と皮肉を付記したいくらいです。

381 :傍観者  ◆YtAW.M29KM :2012/06/15(金) 20:21:21 ID:???
>>380
あー、その視点はなかった! なるほど、「そう」考えるのが自然ですわ!
CP10たまってたらそのへん突っつきたくなるくらいの見事な推理。

382 :テトラ ◆yfCGLLZSBA :2012/06/15(金) 23:51:17 ID:???
B
森崎は政略結婚を良くは思わないだろうが理解していると思う。
相手の実力・立場も強いしヘタレだがソフィアを諦める。
そもそもソフィアとは会って二回目だし、皮肉を言うために危険を冒す必要はない。
傭兵なので保身が大切。

383 :見てる人 ◆S/MUyCtQBg :2012/06/16(土) 01:45:23 ID:???
うわぁ、おもしれぇw いつも仕事から帰宅すると投票間に合わないのが残念ですわ。
>380とかすごいな・・・何度も読まないと、「調べあげた」の意味とかもわからなかったわ。
道を聞いた恩なのかなーとか考えてましたよ。おどけた口調でBも面白いですが、伝わらない可能性高そう。

384 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/16(土) 04:21:30 ID:???
皆様、ご回答ありがとうございます。
重要な選択だけに様々な見方でじっくりと考えていただけたようで、改めて御礼申し上げます。
それでは、>>370の選択については……

>>380 ◆9OlIjdgJmY様の回答を採用させていただきます!
いや、お見事。
このご回答、中盤の大きめなイベントに深く関わることになりそうです。
あまりに鋭い読みに、思わず当該イベントを大きく前倒ししようかとすら考えましたw
CP3、更に物語の推進ボーナスをプラスして2点の計5点を進呈いたします。

また>>372,378 さら ◆KYCgbi9lqI様、初のピココール使用、ありがとうございます。
今回のようにかなり明確な指針を提示できることも多いので、積極的にご活用下さいね。
システムの例示にご協力いただきましたので、CP1を進呈いたします。



>>371
しっかりと状況を見たご回答、ありがとうございます。
そうですね、正味の話は後先考えずにガツンと言ってやれ! という気分ですw
なかなかそういうわけにもいかないのが難しいところですが。

>>374
原作は恋愛SLGなので、これからも沢山の女の子が登場します。
硬派を貫くには困難が伴いますが、説得力次第では不可能ではありません!

>>376
はい、Cが選ばれていた場合には実際かなりややこしいことになっていました。
それでも「ややこしいことになりそう」だからという理由だけでは目の前のトラブルを避けられないのが
高モラルの大きなデメリットの一つですね。
見え見えの罠だとしても回避するのにそれなりの理屈、工夫が必要になってくることがあります。

385 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/16(土) 04:22:33 ID:???
>>377
堅実なご意見だと思います。
このキザ野郎はまだまだ出てきてしまいますので、しっかり嫌ってやって下さいませ。

>>379
はい、深刻なトラブルに発展するとガッツ的な意味でかなり危険でした。
事ほど左様にピココールは便利なので、要所で活用して下さいね。

>>381
お見事でしたね。
脱帽です。

>>382
その理由でBを選択するには現在のモラルが高すぎますね……。
人物称号はプレイヤーの都合よりも優先されてしまいますので、更に一捻りが必要です。
モラルや礼法が高くなりすぎると、低くする選択肢そのものがあまり出てこなくなってしまいますし、
(もちろんその逆も然り、ですが)その辺りのさじ加減は実はこのゲーム最大の考えどころでもあります。


ご回答いただいた皆様にそれぞれEP1を進呈いたします。


>>383
うまくご参加いただける時間設定にできず申し訳ありません。
何かご要望などありましたら仰って下さいね。
皆様にはいつも驚くほど深く読み込んでご参加いただいていて、感謝するばかりです。


386 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/16(土) 04:23:34 ID:???
***


A 「恩人……てやつさ。あんたがご丁寧に調べ上げた通りにな」


森崎とて、幾つもの戦場を生き抜いてきた男である。
ただ一方的に気圧されているわけではなかった。
初撃を凌いだのであれば次に来るのは攻めの好機だと、森崎は理解していた。
そんな森崎の、しっかりと息を整えて吐き出した言葉には、棘がある。
受け取る者を刺す棘だ。
そして棘に含まれているのは、緩やかな毒だった。

「……賢しいな、東洋人」

細かな棘から指先を伝う毒に、氷青色の瞳が険しさを帯びていく。
その表情に森崎は己の考えが正しかったことを確信し、僅かに口の端を上げる。
眼前の男は、ソフィアが世話になった、と口にした。
それも礼金を用意するほどの。
何故、この男がそれを知るのか。

「余所者は知り合いが少なくてね」

誰かと違って、と言葉にはせず目線に込める。
じり、と。それを耳にした男の気配が変わっていく。
余裕に満ちた酷薄の下から、ちろちろと怒りの種火が顔を覗かせようとしている。
もう一歩踏み込めば、それは炎となって燃え上がるだろう。
しかしそれは森崎のみならず、おそらくはこの男の傍にいるソフィアをも巻き込む熱となる。
故に森崎はあえて一歩を退いた。

387 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/16(土) 04:27:23 ID:???
「頭、使わねえと生きていくのも難しいのさ」
「……吠えて命を縮める犬もいる。気をつけることだな」

ニヤリと笑って言った森崎に、苦々しげに鼻を鳴らしてジョアンが返す。
この日、交わす刃はここまでと理解した表情だった。
一瞬の後、元のように傲岸の仮面を被ると、ジョアンはその視線をソフィアの方へと向ける。

「帰ろう、ソフィア。いつまでもこんなところにいてはいけないよ」
「……」

振り返らぬままのソフィアは、ふるふると小さく首を振るばかりで黙りこんでしまう。
そんな婚約者の様子にジョアンは大袈裟に肩をすくめると、ぞっとするほど甘い声で言葉をかける。

「……おやおや、疲れてしまったんだね。
 早く馬車に乗り給え、今夜はゆっくり休むといい」

言いながらソフィアの肩を抱いたジョアンが踵を返し、かつかつと足音を立てながら
森崎には一瞥をくれる様子もなく去っていく。
闇に紛れようとするその背に、森崎の声がかけられた。

「邪魔して悪かったよ―――『この間から色々と』、な」
「―――」

それは最後の、そしてとっておきの、毒だった。
男の傲岸を貫き不遜を割る、致命の一撃。
漆黒のベストを纏った背が、しかし宵闇にも明らかなほどにビクリと揺れた。
揺れて、直後。
目には見えず耳には聞こえない何か、おそらくは人を裂き肉を抉るが如き何かが、
男の背から膨れ上がった。

388 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/16(土) 04:28:25 ID:???
遠く離れて立つ森崎が、鼻先を掠めるその何かに気圧されかけ、石畳に両足を踏みしめる。
がちりと、腰の辺りで何かが鳴った。
知らず手を伸ばしていた剣の柄が、鞘と当たって響いた音だった。
森崎の眼前で爆ぜようとしたそれは、しかし臨界を迎える寸前、懸命に押さえ込まれるように震え、
次第に圧縮されて縮んでいく。

「……」

縮んでなお、鼻先から気配が遠ざかりつつあってなお、森崎をして油断なく構えさせたそれは、
硬い革靴の足音が馬車の中に吸い込まれると同時、ようやくにして霧消するのだった。


***

389 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/16(土) 04:30:26 ID:???


『色々あった一日だったけど……最後にミソがついちゃったね』
「……」

兵舎への帰途。
ふわふわと周りを舞うピコの言葉に、森崎は答えない。
いま、その思考を占めるのは、相棒の声でも、波乱の一日への回想でも、
栗色の髪の少女ですらない。
そこにあるのは、ただ一人の男の姿であった。

「ジョアン……エリータス」

あの男とはもう一度、否、この先幾度も相まみえることになるだろう。
そんな確信に近い予感と共に、ただその名だけを呟く。
刻むように。
森崎の眼差しは、戦士のそれである。
宿る光はいささかも揺らがず、夜の闇を切り裂くように爛々と輝いていた。



   『少女の騎士(後編)』了


.

390 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/16(土) 04:44:15 ID:???
******

ようやく初回ターン終了! といったところで、
本日の更新はこれまでとさせていただきます。
明け方までのお付き合い、ありがとうございました。

さて、参加していただいている皆様におかれましては
長い長い四月、いかがでしたでしょうか。
次月以降は長々しいテキストでのナビは徐々に鳴りを潜めさせ、
比較的短いスパンで選択や判定を行なっていく方針です。

四月全体が大体これ以降の4〜6ヶ月分ほど…という辺りをひとつの目安として
考えておりますが、ここまでをプレイしていただいての感触、ご感想を含めて
更新テンポやタイミング、ボリュームについて等々、色々とご意見ご指摘を
お寄せいただければ幸いです。
それではまた、次回更新にて。

391 :◆W1prVEUMOs :2012/06/16(土) 08:49:47 ID:???
> 四月全体が大体これ以降の4〜6ヶ月分ほど
これからはこの一ヶ月で物語の6分の1消化することになるのか
割と短編な感じ?

392 :さら ◆KYCgbi9lqI :2012/06/16(土) 09:28:15 ID:???
重要な選択肢には時間を取って貰えると思いますが、ちょっとした選択肢なら時間は短くても良いと思いますね。
更新テンポは、このスレのシステムでは、どうしても遅くなるのは仕方ないと思います。
ボリュームは多いと思った事はないですね。書く方は大変でしょうけど。


393 :◆W1prVEUMOs :2012/06/16(土) 09:41:40 ID:???
時間が短いと参加できない=CP・EP獲得のチャンスが減ってしまうから
今ぐらいがちょうどいいんじゃないかな

394 :森崎名無しさん:2012/06/17(日) 00:20:19 ID:???
獲得したCPやEPをどう使うかも結構悩ましいですね。

395 :傍観者  ◆YtAW.M29KM :2012/06/17(日) 12:27:01 ID:???
うーん、個人的には更新スピード早いほうがうれしいので、痛し痒し。

CPとEPの使い方は、とりあえず自分は「常にCP5は残るように」と考えてる。振り直しがしたいw

396 :森崎名無しさん:2012/06/17(日) 18:38:07 ID:???
たしかに一番悪いマークが出たらリドローしたくなりそうだ。

397 :森崎名無しさん:2012/06/17(日) 18:59:58 ID:???
【数値加算】も有るしね。

398 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/18(月) 01:16:29 ID:???
皆様、ご意見ありがとうございます。


>>391
はい、年単位で時間のかかる設計にはしておりません。
元々は周回プレイを視野に入れたシステムなのですが、物語性の強化という
語り手側のエゴで、シナリオ面がかなり増量されているのが現状です。

>>392
期限を短く区切っても、更新のできる時間はどうしても夜22時以降となってしまうのが
悩みの種ですね……。
重要な選択についてはもちろん丸一日に近い期限を設けておりますが、
それでも生活時間帯によっては厳しいという方もいらっしゃるでしょうし
その辺りについては随時ご意見をお待ちしております。

>>393
更新回数が増えれば獲得機会も増えますが、特定の時間でしか参加できないという
プレイヤーの方にご迷惑をおかけしてしまうんですよね……。

>>395
一日二更新、となると22〜23時頃に前日夜の選択からの続き。
そこから0〜1時頃までで区切った小選択……という形も考えられますが、
主に私の技量の問題で足踏みをしております。
CP/EPはそれぞれの方針が色濃く出る部分かと思いますが、
まず最初の戦争モードで様子を見てみるのも一手かと。

399 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/18(月) 01:17:32 ID:???
*D26.5
フレーバーテキスト


◎ダナン返還問題

熱心に新聞の活字を追っていた森崎有三が思わず声を上げたのは、五月十四日の朝である。

「きな臭くなってきやがった」
『朝から物騒なことを言わないでよ……もう。で、何があったの?』

小さな眉をしかめるピコに、森崎が新聞から目を上げて答える。

「戦争の臭いだよ」
『戦争? ……でもプロキアって王様が変わっちゃったから、もう戦争しないんじゃなかった?』
「ま、王じゃねーけどな。そういう流れにはなってた」

言って僅かに渋面を作る森崎。

「このまま終戦……てんじゃ、こちとらおまんまの食い上げだからな。焦ったぜ」
『月のお給料はもらえるじゃない』
「違約金で契約解除って線が濃かったんだよ。そもそも俺らは何でこの国に来たと思ってんだ」
『何で、って……あ』

何かに気付いたようなピコに、森崎が頷く。

「そうだ。このドルファンは戦果次第じゃ傭兵だって騎士として取り立てるって触れ込みなんだよ。
 だからわざわざこんな南の果てまで来たんじゃねえか」
『そっか、戦争がなくなったら……』
「賃金はあっても、仕官のクチはねえ」
『ど、どうするの?』
「そこで、こいつよ」

400 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/18(月) 01:18:34 ID:???
言った森崎が、手にした新聞をぱんと叩く。
見出しには、『ヴァルファ=プロキア会談破談』との文字が踊っていた。

「いいか? まず、今月の頭のことだ」
『うんうん』
「ゲルタニアの首相選挙が終わって、いつも通りコールっておっさんが勝った」
『ゲルタニアって、お隣の国だよね』
「そうだ。プロキアとも国境を接してる」

ドルファンの北東に位置するゲルタニアは十数年前に共和制へと移行した軍事大国である。
両国の間にはベルトニア山脈が聳えており、隣国とはいえ人的交流はそれほど多くはない。
政治的関係は、共和制移行の際に生じたゲルタニア=プロキア戦争にドルファンが
ゲルタニア側として参戦した経緯もあって比較的良好である。
ベンヤミン・コールは現職の首相であり、共和制移行以来、実に四選を果たしていた。

『で、そのゲルタニアのおじさんがどうしたの?』
「ああ、そのハゲが余計なことを言い出したんだ。ゲルタニアはドルファンとプロキアの
 休戦問題の早期解決を期待しており、仲介の労をとる用意もある、ってな」
『どういうこと?』
「要は、お節介を焼いてこの戦争をちゃんと終わらせてくれるってのさ」
『ふうん。いい人だね』
「だーかーら、そう簡単に終わっちゃ困るんだっての!」
『あ、そうか。……ひゃ!』

宙に浮かぶ小さな妖精が、悲鳴と共に天井近くまで舞い上がる。
指で弾こうとした森崎の手から逃れたのだった。

『何するんだよ、キミ!』
「話、戻すぞ」
『もう!』

ぷりぷりと怒ってみせるピコの様子を気にした風もなく、森崎が話を続ける。

401 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/18(月) 01:20:55 ID:???
「で、このゲルタニアの表明に乗っかったのがプロキアのヘルシオ公だ。
 まあドルファンは賠償金だのをやたらとふっかけてたからな」
『戦争したいの?』
「駆け引きってやつだろ。取れるとこからは徹底的に搾り取ろうとするのが政治ってもんだ」
『ひどーい』
「ヘルシオ公はとにかく休戦の話し合いを前に進めたいってんで、せっかく雇い入れた傭兵団、
 ヴァルファバラハリアンに改めて渡りをつけた。
 まあ連中がダナンに居座ってちゃ、まとまる話もまとまらねえからな」

口を尖らせるピコを無視して言った森崎が、手にした新聞をもう一度掲げてみせる。

「その結果が、こいつよ」
『……破談?』
「そうだ。ヴァルファは雇い主のプロキアから要求されたダナン撤収を断りやがった。
 何を考えてるんだか知らねえが、違約金を吊り上げようって腹かもな」
『プロキアも大変だねえ……』
「まあな。つっても、元々向こうから仕掛けてきた戦争だ。自業自得ってもんだぜ」

肩をすくめる森崎。

402 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/18(月) 01:23:22 ID:???
「何にせよ、相手はただの傭兵団じゃねえ、全欧最強のヴァルファ様だからな。
 ドルファンもプロキアもこいつを無視して話は進められないってわけだ」
『ど、どうなるの……?』
「話し合いで終わりかけてたところに、カネと剣とが割り込んできたのさ。
 一戦交えて白黒つけなきゃまとまらねえって雲行きだぜ」
『う〜ん……』
「納得いかないか? つっても、これが俺らの生業だからな」

そうして、事態は概ね森崎の想像通りに推移することとなる。
五月十七日、プロキアはヴァルファバラハリアンとの契約を破棄。
ダナン撤収に応じない場合は武力行使も辞さないとの姿勢を打ち出す。
これに対しプロキア側の対応を非難するヴァルファはダナン占拠の維持を強行、
ダナンを巡る情勢は一気に緊迫の度合いを増していくのだった。


******

403 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/18(月) 01:24:26 ID:???
*D26.5
訓練選択


「貴様らも知っての通り、ヴァルファの連中はプロキアの意向を無視してダナンに居座っている!
 これがどういう意味だか、わかるな!」

荒野に響き渡るヤング・マジョラムの大音声も、既に耳に慣れてきた感がある。
整列した三百の傭兵を前に朝の訓示を行うヤングが、大きな身振りで傭兵たちを指し示すと、
一拍を置いて続ける。

「そうだ、貴様らが地獄に叩き込まれる日が近づいてきたということだ!
 一日でも長くこの世を楽しみたいなら、一層の訓練に励め! 以上だ!」


***


『それで、今月は何をするの?』

森崎有三
称号:気のいいヒガシの山の仲裁屋
現在のガッツ:110

剣術・馬術・体術・魅力・礼法・墓守・休憩の中から『二種類』選んで下さい。
同じ訓練を二つ選んでも構いません。
その際【選択理由】を必ず付記していただくようお願い致します。
期限は『6/18 23:00』です。


***

404 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/18(月) 01:26:28 ID:AtiYrq+w
他所のお国事情、実は中盤から終盤にかけて森崎の運命に大きな影響を及ぼします。
といったところで、本日の更新はこれまでとさせていただきます。
夜遅くまでのお付き合い、ありがとうございました。
それではまた、次回更新にて。

405 :さら ◆KYCgbi9lqI :2012/06/18(月) 10:09:44 ID:???
剣術・魅力
まず戦争が近いと思うので攻撃力と守備力を強化出来る剣術を選びました。
前の訓練選択の時に言われてたんですが魅力というのは重要なものだというので序盤に上げておこうと思いました。

406 :◆W1prVEUMOs :2012/06/18(月) 19:47:26 ID:???
体術・魅力
最初のうちは目に見える成果が出るまで同じ訓練を繰り返した方がいいかと思い

407 :ノータ ◆JvXQ17QPfo :2012/06/18(月) 20:36:34 ID:???
体術・魅力
理由:上と同じような感じ。
   それとこの戦いは、死なない、逃げない、負けない戦いをしないとまずいからね
   回避と防御に特化したら序盤は楽になりそう

408 :◆9OlIjdgJmY :2012/06/18(月) 22:01:13 ID:???
体術・魅力
前回、とてもよい判定結果ならスキル習得かもとおっしゃっていたので
ポイントの蓄積で習得できる仕組みなら、今回まず間違いなく習得できるから。

409 :Q513 ◆RZdXGG2sGw :2012/06/18(月) 22:43:53 ID:???
体術・休憩
体術のスキル狙い。それと、ガッツも多いほうがいいんじゃないかと

410 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/19(火) 03:38:53 ID:???
皆様、ご回答ありがとうございます。
それでは早速、>>403の選択については……

>>407 ノータ ◆JvXQ17QPfo様の回答を採用させていただきます!
目的意識のはっきりした育成方針の提案、ありがとうございます。
CP3を進呈いたします。
ただ次回からは、他の方と似たご回答でもご自身の言葉でお願いいたしますね。

同様にスキル取得を意識された>>406 ◆W1prVEUMOs様、>>408 ◆9OlIjdgJmY様も
CP1を進呈いたします。


>>405
はい、戦争の足音は迫っています。
そろそろ攻撃力のアップも意識していきたいですね。

>>409
そうですね、休憩はとても重要です。
戦争が起こる月にはその旨が告知されますので一応の回復は可能ですが、
イベント内で突発的な戦闘やガッツの上下が発生することも多いので
ギリギリを維持するのは非常に危険ですね。

411 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/19(火) 03:39:54 ID:???
***


「なあ、ヤングのおっさん」
「教官と呼ばんか! モリサキ、貴様は今日明日の基礎訓練を倍にしろ!」

汗まみれの森崎がヤング・マジョラムをつかまえて尋ねたのは、とある昼下がりのことである。
耳どころか下腹にずしんと響く大声を受けながら、森崎は平然と肩をすくめてみせる。

「はン、いつものことじゃねえか」
「……俺も段々と、貴様に懲罰を与えているのか特訓をしてやっているのか分からなくなってきた。
 で、何だ。気になることでもあったか」

眉根を寄せるヤングに、森崎が視線で遥か彼方を示す。

「や、あちらさんは何をやってんだと思ってよ」
「あちら……? ……む」

つられて見やったヤングが、途端に渋面を作る。
荒野の向こうにあったのは、きらびやかな一団の姿であった。
遠目にも分かる、選びぬかれた駿馬。
それにまたがるのは種々様々な趣向を凝らし、しかし一様に陽光を反射してぎらぎらと輝く
銀細工と思しき鎧を纏った男たち。
周囲には馬の口を取る者や馬上の男たちに何かを命じられて走っていく者、或いは大量の荷を背負って
側に控える者たちなど、おそらくは馬上にある男たちの従卒と思しき取り巻きが溢れていた。

「……気にするな。訓練を続けろ」
「って、言われてもよ……こないだまであんなの、いなかっただろ」

食い下がる森崎に、ヤングが大きくため息をついて重い口を開いた。

412 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/19(火) 03:41:40 ID:???
「……彼らは自由騎士だ。訓練は義務ではない」
「自由騎士……?」

耳慣れない言葉に森崎が首を傾げる。
つい最近どこかで聞いた気もするが、思い出せない。
少なくともこれまで渡り歩いてきた各国には存在しない階級だった。
そんな森崎に、ヤングが説明を加える。

「自身で騎士の称号を得たわけではなく、また軍属としての階級も持たない世襲の騎士のことを、
 我らがドルファンでは畏敬を込めてそう呼んでいる」

その口調に込められていたのは、無論のこと畏敬などではない。
明らかな侮蔑。
そしてまた我らが、と口にしたときに滲むのは、諦観であった。
同時に、そこまで言われてようやく森崎の脳裏に浮かぶ記憶があった。
夜を纏うように現れ、自らを自由騎士と名乗った男。

「……ジョアン・エリータス」
「ん? 奴を知っているのか?」
「……」

にわかに表情を険しくした森崎の無言をどう取ったか、ヤングが続ける。

「エリータス家はドルファンの西、エローという都市を所領に持つ大貴族でな。
 武門の代表として王室会議……この国の政治の中枢にも名を連ねる、名家中の名家だ。
 官僚や宮廷貴族を束ねるピクシス家と並んで『旧家の両翼』などと呼ばれることもある。
 ジョアン・エリータスは、現当主の三男だ」

413 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/19(火) 03:42:55 ID:???
華々しく並ぶ言葉の数々を聞いた森崎が、ボソリと漏らす。

「さしずめ老中の子……ってとこか。道理で偉そうなわけだ」
「ロージュー? 何だそれは」
「いや、こっちの話だ。続けてくれねえか」

呟きを耳にしたヤングが怪訝そうな顔をする。
森崎が小さく首を振って、先を促した。

「……まあ現当主といっても、聖騎士として名を馳せた奴の父親は既に他界しているから、
 いま家を切り盛りしているのはその妻、つまりジョアンの母であるエリータス卿夫人だ。
 女傑と呼ばれる方だが、ジョアンのことは猫っかわいがりしていたらしいな」
「カネもコネも使い放題ってわけだ」
「……」

無言のまま、ヤングは大きな傷痕の走る左の片眉だけを上げる。
それは森崎の言に対する、明快な肯定であった。

「そんなわけで、ジョアンという男は自由騎士どもの中心……ある意味では
 その象徴とも言える存在だ。わかったら訓練に戻れ」
「つまり、だ。大貴族サマのボンボンが、似たような脛かじりどもを集めて
 七光りで騎士ごっこをしてるってことだろ」
「お前は……」

引き下がらない森崎に、ヤングが天を仰ぐ。

414 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/19(火) 03:47:13 ID:???
「おっさん、連中には訓練の義務もないって言ったろ。
 要は気が向いた時に集まっちゃあ、ああやって遊んでるだけ。
 どうせこの後は汗を流してどこぞで盛大に宴でも開くんだろうな」
「……」

沈黙は、雄弁な肯定だっただろうか。

「ジョアンのヤツもあの中にいるのか?」
「どうだろうな。気紛れな男で、自由騎士たちの『訓練』に参加するかどうかも
 その日の気分次第と聞いている」
「……そうかい」

肩をすくめた森崎が、ふと銀の鎧の一団を見やる。
と、驚いたように声を上げた。

「ん? ……おいおい、何やってんだあの連中」

森崎の視線の先、一団は大きな円を描くように広がっている。
その円の中に進み出たのは二つの鎧姿である。
背丈よりも長い巨大なランスを下げた二人は、円の端と端で互いに向かい合うように
ゆっくりと馬を回すと、静止する。
眉根を寄せる森崎の脇で、ヤングが唸るように言った。

「……あれはジョスト、だろう」
「はァ?」

耳慣れぬ単語を森崎が頭の中から探し出すまで、しばしの時間を要した。

「ジョスト……って、まさか馬上槍試合か!?」
「その通りだ」

415 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/19(火) 03:48:51 ID:???
ジョストとは、欧州で古くから行われていた騎士たちの遊興である。
集団戦ではなく、一騎討ちの形式で行われる試合をそう呼んだ。
しかし時代の流れとともに廃れ、どの国でも何十年も前に途絶えているような、
古典的な競技のはずであった。

「実際ンなことやってんの、初めて見たぜ……骨董品市場かよ」
「あれがこの国の、今の騎士の戦いだ。彼らは彼らなりに、本気で訓練をしているつもりだろう」

再び、静寂が降りた。
森崎がヤングの発した言葉の意味を咀嚼するのには、先ほどの倍以上の時間が必要だった。

「……嘘だろ」

ようやくにして絞り出したのは、そんな言葉である。

「なあ、おい、確認させてくれよ、ヤングのおっさん」
「何だ」
「この南欧じゃ、まだ百年戦争の続きをやってんのか」
「……」
「銃を使わねえとか、そういう段階じゃねえだろ、ありゃあ」
「……」
「矢と砲弾の雨が降ってパイクが押し寄せてくる中で、やあやあ我こそは、とでもやるつもりかよ」
「……彼らは、若い」

責めるような森崎の言葉に、沈黙を守っていたヤングがようやく口を開く。

「父祖の武勇伝と絵巻物でしか戦争を知らん世代だ」
「笑えねえ冗談だぜ」

皮肉げに言った森崎に、更に追い打ちをかけるようなヤングの言葉が続く。

416 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/19(火) 03:49:54 ID:???
「だが俺たちはその絵巻物と轡を並べるのさ」
「なにィ!?」

驚愕する森崎に、ヤングが淡々と言葉を紡ぐ。

「ドルファン王都騎士団は俺たち傭兵大隊を覗いては全八大隊から構成されている」

俺たち、とヤングは言った。
傭兵大隊の長を兼任するとはいえ、彼は大尉の階級を持つれっきとした正規軍の軍人である。
そこに込められた感情は、森崎には分からない。
分からないがしかし、その立ち居地の一筋縄ではいかないことだけは、理解できた。

「一大隊の定数は平時230名。槍騎兵……つまり騎士が100名と、専任の砲兵が10名。
 それから騎士たちの家から供出される従卒が120名。原則として連中の輜重はこの従卒が務める」
「従卒も編制に含めてんのかよ」
「……」

森崎がこぼすのを、ヤングは無視する。

「南欧ドルファンといやあ陸戦の雄、ってな評判も今は昔、か……で、戦時は」
「戦時定数は550名。平時編成に加え、徴募のパイク兵160名、弓兵160名が加わる」
「徴募ねえ……農民や狩人を召し上げるって話だろ」

苦々しげに、森崎。

「その通りだ。そこはどの国でも変わらんな」
「……」
「他所と違うところといえば、我らが誇り高きドルファン陸軍では大隊所属の正騎士の数を
 大幅に水増ししていることくらいだ」
「なにィ!?」

驚愕は続く。

417 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/19(火) 03:51:12 ID:???
「騎士の定数は100名と言ったな。だが実のところそれが正騎士だけで満たされたことは、
 先のプロキア=ゲルタニア戦役以来、一度もない」
「……」
「現役で戦場を知る歴戦の騎士たちは年老い、騎士団を退いていく一方だ。
 軍属を望まん自由騎士どもを数に組み入れて、ようやく誤魔化している。
 ……今となっては、定数の約半分が自由騎士だ」
「ちょ、ちょっと待て」

開陳された事実を整理するように、森崎が言う。

「……つまり、この軍の主体である騎士団の、主戦力であるところの騎士は、
 実はその半分が軍属ですらねえ、あの決闘ごっこどもってことか!?」
「どうだ、笑えるだろう」
「笑うしかねえよ!」

叫ぶように言った森崎が、口の端を上げて笑みの形を作る。
天を仰げば、漏れた嘆息が青空に登っていく。

「ハハ、とんでもねえ国に来ちまったのかも知れねえな、俺……」
「ぼやくな、それだけ貴様らにも勲功を上げる機会が多いということさ」
「生き残れりゃ、な……」

新緑の季節の日はまだ高く、森崎の目を焼く。
瞼を閉じた森崎が、やがてがっくりと肩を落としてヤングの方へと向き直る。

418 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/19(火) 03:52:39 ID:???
「……はァ。ところでさっき、連中の輜重は従卒がやるって言ってたけどよ」
「ああ」
「肝心の、俺たちの補給は誰がやってくれるんだよ」
「それは御用の酒保商人が着いてくる。食料、武器防具の替えから博打、女まで何でもござれの一座だ。
 ま、分かってるだろうが連中に嫌われるとしんどいぞ、上手く付き合えよ」

言ったヤングが、ぽんと森崎の肩を叩くと踵を返して歩いて行く。
話はこれで終わり、ということのようだった。
もう一度深く溜息をついた森崎の見やる先で、きらきらと輝く銀鎧が馬とともに駆けていく。
取り囲む人垣からは、楽しげな歓声が響いていた。



******

419 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/19(火) 03:54:11 ID:???



訓練ダイス

※訓練は前後半に分かれています。
★マークごとにお一人づつ、!と numnumの間のスペースを消してダイスを引いてください。
目標値【50】に対しプラスマイナス30以内で成功、プラス31以上で大成功、マイナス31以下で失敗となります。
大成功時は成果が1.5倍、失敗時は0.5倍となります。


前半(体術)1
! numnum + ! numnum + ! numnum =

前半(体術)2
! numnum + ! numnum + ! numnum =

後半(魅力)1
! numnum + ! numnum + ! numnum =

後半(魅力)2
! numnum + ! numnum + ! numnum =



******

420 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/19(火) 03:55:13 ID:9bPY4BPI

今回は三つのスキル獲得チャンスがありますが、三つめは体術の結果次第……といったところで
本日の更新はこれまでとさせていただきます。
夜遅くまでのお付き合い、ありがとうございました。
それではまた、次回更新にて。


421 :◆9OlIjdgJmY :2012/06/19(火) 04:37:43 ID:???
61  +  79  +  38 =

422 :◆9OlIjdgJmY :2012/06/19(火) 04:43:23 ID:???
【数値加算】
EPを5消費して>>421の真ん中に+5します。
これで79+5=84で大成功になるのかな?

423 :◆9OlIjdgJmY :2012/06/19(火) 04:45:51 ID:???
コピペミスしてますね。加算も当然無効ですね…

前半(体術)1
54  +  30  +  61 =

424 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/19(火) 04:46:37 ID:???
>>422
はい、その通りです。
初めての数値加算、ありがとうございます。
システムの例示にご協力いただきましたので、CP1を進呈いたします。

425 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/19(火) 04:47:44 ID:???
>>423
本作では多少のコピペミスなどは判定に影響させないようにしておりますので、お気になさらず。
体術1は>>421-422を採用いたします。

426 :テトラ ◆yfCGLLZSBA :2012/06/19(火) 06:12:07 ID:???

前半(体術)2
55  +  92  +  68 =

427 :Q513 ◆RZdXGG2sGw :2012/06/19(火) 06:53:49 ID:???

後半(魅力)1
85  +  85  +  83 =

428 :森崎名無しさん:2012/06/19(火) 06:58:08 ID:???

後半(魅力)2
32  +  69  +  74 =


429 :さら ◆KYCgbi9lqI :2012/06/19(火) 08:16:50 ID:???

後半(魅力)2
81  +  41  +  88 =


430 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/21(木) 00:30:31 ID:???

皆様、ご回答ありがとうございます。
それぞれEP1を進呈いたします。



前半(体術)1
61  +  79(+5)  +  38 = 大成功1 成功2

前半(体術)2
55  +  92  +  68 = 大成功1 成功2

→大成功2 成功4


後半(魅力)1
85  +  85  +  83 = 大成功3

後半(魅力)2
81  +  41  +  88 = 大成功2 成功1

→大成功5 成功1

431 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/21(木) 00:31:32 ID:???
//体術訓練

ずうん、という地響きと共に叩きつけられた巨体が、そのまま地に這う。
濛々と舞う土埃の向こうから現れたのは、仁王立ちのヤングである。

「よし、次!」

言い放ったその鷹の如き目は、倒れたままぴくりとも動かない巨体など既に映していない。

「……今の、見たか?」
「ああ……あれだけ体格の違う男が宙を飛んだぞ……」

ぞっとしたように言うネイに、トニーニョが答える。
彼らは体術訓練の真っ最中であった。
体術といっても、徒手空拳の強さを競う格闘技の訓練ではない。
居並ぶ傭兵たちは一様に、利き手に刃を潰された剣や穂先が木で覆われた槍といった訓練用の得物を持ち、
もう片方の腕には厚い木の板に鉄の枠を取り付けられた円盾を固定している。
訓練はそれらを装備したままの密着戦を想定したものであった。

「どうした、次! 申し出る者はいないのか!」

ならば、というように犠牲者を探しだそうとするヤングの前に、手が挙がった。

「俺が行くぜ」
「モリサキ!?」
「うへえ、お前わざわざ死にに行くのかよ!」

仲間たちの驚きの声が響く中、一歩を踏み出した森崎がニヤリと笑う。

432 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/21(木) 00:32:33 ID:???
「なぁおっさん、本気でやってもいいんだよな? 怪我しても恨みっこなしだぜ」
「大口だけは一人前だが、そこに」

と、いまだ地に伏したままの巨体を顎で指したヤングが答える。

「そこに倒れてるのも確か、似たようなことを言っていた気がするぞ」
「ヘッ、一緒にするんじゃねえよ」

盾を前に構えた森崎が、言いながら無造作に間合いを詰める。
圧力をかけて近づき、足を掛けるか蹴りを見舞うか、それともそのまま盾で一撃を狙うかという動きである。

「俺らの国にはな、柔の技ってもんが―――」

口にしかけた森崎が、ぐるりと回転した。
構えた盾を支点とした、綺麗な一回転である。

「―――なにィ!?」

舌を噛まなかったのは僥倖というべきか、あるいは森崎も最低限度の矜持を見せたものか。
そのまま、背中から地面に落ちる。

「ぐっ……!」

どこをどうされたものか、森崎にもはっきりとはわからない。
盾でできた死角に伸びたヤングの手がその縁を掴んで固定し、更には一瞬の内に体を入れ替えて密着された、
かろうじてそれが認識できただけである。
気がついたときには、何事もなかったかのように立つヤングの姿を逆さまに見上げていた。

433 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/21(木) 00:33:33 ID:???
「……ほう、受身くらいは取れるようだな。なら遠慮はいらんだろう、立て」
「な……」
「ここからは手加減なしだ。存分に胸を貸してやる!」

牙を剥くように笑ったヤングの視線は、森崎を見据えて放さない。

「また始まったぜ……」
「ああ、モリサキのやつもエラいのに目をつけられたもんだ……」
「どんだけ東洋人嫌いなんだよ、あの鬼教官……」

外野のざわめきも収まらぬ。
そんな中、立ち上がった森崎が砂の混じった唾を吐き捨てると、再び盾を前に構えてヤングへと向き直る。

「いい度胸だ……来い! モリサキ!」
「そう何度も投げられてたまるかー!」


***


この日、文字通り足腰立たなくなるまで続けられた訓練の中で森崎が何度宙を舞ったのか、
数えていたものは誰もいない。
それでも日の傾いた荒野の真ん中、精根尽き果てて大の字に倒れた森崎に向けて
ヤングは言ったものである。

「貴様にも『見習い拳士』程度の素養はあるようだな! 明日からはまた違うメニューでしごいてやる!
 よく休んでおけ!」



434 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/21(木) 00:34:34 ID:???
******


※称号が『気のいい見習い拳士』になりました。

スキル『受身』を獲得しました。
種別:パッシブ
消費ガッツ:-
効果:個人戦闘時、DEF値を+10する。


******

435 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/21(木) 00:35:35 ID:???

//魅力訓練


「……確かに、良くなってるな」

褐色の優男、ネイが不意にそんなことを呟いたのは、やはり素振りの最中である。
言われた森崎が手を止め、怪訝そうに訊ねる。

「何だよ、藪から棒に」
「いや、前に言ってただろ、お前」
「だから、何を」
「女のコたちにきゃ〜きゃ〜言われたいってよ」
「あー……だっけか」

そんなことを言った気もする、程度の記憶で答える森崎に、ネイが苦笑する。

「何だ、覚えてないのかよ。ま、でも、どっかで意識してたんじゃないか。
 ちゃんと良くなってるぜ」
「つーか、さっきから何が良くなってる、ってんだ」
「いや、だから……」

一拍置いたネイが、それこそ女性に見られれば黄色い歓声を上げられそうな笑みを浮かべて続けた。

「―――カッコ良くなってる、って言ってんだぜ」
「……ぶっ!?」

思わず吹き出し、げほげほと咽たのは言われた森崎だけではない。
すぐ後ろで黙々と剣を振っていたトニーニョもまた、全力で咽返っていた。
そしてまた色めき立ったのは、無論のことジェトーリオである。

436 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/21(木) 00:36:53 ID:???
「ネイくんちょっとどいて。そいつ殺せない」
「どっから涌いて出たんだお前! 黙って自分の腹でも掻っ捌いてろ!」

背中に忍ばせた鞭状の得物へと手を伸ばす黒人に、ネイが思い切り蹴りを入れて黙らせる。
そんな姿を見ながら、しかし森崎も一歩を退く。

「い、いや、ネイ、お前……俺にそっちのケは……」
「そ、そうだぞネイ、個人の嗜好に立ち入る気はなかったが、そういうことなら先に言ってもらわんと……」
「ハァ!? ……って何言ってんだ、バカ! バカなのかお前ら!」

引き攣った顔で手を振る森崎、そして同様に青ざめた顔で後退るトニーニョの姿に、
ようやく何を勘違いされているのか気付いたネイが慌てたように言う。

「そうじゃねえよ! 俺だって野郎になんか一インチの興味もねえやい!」
「え……」
「そうなのか……」
「安心したような顔をするんじゃねえよ! 俺が好きなのは昔っから死ぬまで女のコたちだけ!
 知ってるだろ、そんくらい!」
「いや……それもカモフラージュなのかと……」
「だああっ! んなわけあるか!」

しばらくして誤解が完全に解けるまで、むくつけき傭兵たちの大部分はネイの周りから離れ、
ごく一部の数名は逆に妙に近い位置で素振りを続けていたという。


***

437 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/21(木) 00:38:27 ID:???

「……ふう、エラい目に遭った。何でちょっとモリサキのことを褒めただけでこんなことに……」
「災難だったな」
「お前が言うな!」

訳知り顔でぽんぽんと肩を叩く森崎に、ネイが噛み付く。

「まあまあ……ところで、モテモテ免許皆伝のネイ師匠のお墨付きってことは、
 俺もイケメン軍団の仲間入りってことか? ま、わかってたことだけどな」
「調子に乗んな」

ふぁさ、と黒髪をかき上げる森崎を、ネイが呆れたように見やる。

「前より清潔感は出てきたよ。だがまあ、せいぜいまだ『フツメン』ってとこだ」
「……何だよ、普通って」
「ま、スタートラインには立ててるってことさ。けど、このレースは長くて厳しいぜ。
 気を抜くとすぐ脱落するからな、精進しろよ」


******


※称号が『気のいいフツメン』になりました。

スキル『清潔感』を獲得しました。
種別:パッシブ
消費ガッツ:-
効果:魅力判定時、目標値を10下げる。同様のスキルとは効果が重複しない。


******

438 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/21(木) 00:40:43 ID:???

//複合スキル獲得


「最近、貫禄がついてきたな」
「あ? ……お前に言われると真実味があるな、貫禄番長のトニーニョさんよ」

長身に坊主頭の強面、更には全身が鍛え上げた筋肉で覆われた姿を見やって森崎が返すのへ、
トニーニョがその仏頂面を険しくする。

「茶化すな。……お前には、人を惹きつける何かを感じるという話さ。
 俺だけじゃない……他の連中やヤング教官も、近頃のお前には一目置いているだろう」
「おいおい、持ち上げても何も出ねえぞ。大体、俺がここに来てからまだ一ヶ月ちょいだぜ?
 近頃も何も……」

言った森崎に、トニーニョが表情を変える。
それは彼にしては珍しい、苦笑とも言える笑みであった。

「その短い期間で、いつの間にか人の輪の中にいる……お前には『リーダー』の才があるのかもしれないな」
「……よせやい、照れるぜ」
「それは」

手を振った森崎の仕草を止めるような、声音。
思わず見返した森崎の目に、トニーニョの苦い笑みは変わらず映っている。

「……それは、俺にはないものだ」

しかし紡がれる言葉は、どこか寂しげに響くのだった。


439 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/21(木) 00:41:44 ID:???
******


※称号が『気のいいリーダー』になりました。

スキル『鉄壁』を獲得しました。
種別:部隊アクティブ
消費練度:10
効果:使用ターン、任意の1部隊の防御ダメージを50%にする。


******

440 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/21(木) 00:42:49 ID:???

*D26.5 「気のいいリーダー」森崎有三
メインイベント
『少女と騎士』


新緑の薫りも強くなってきた、ある朝のことである。
欠伸混じりの森崎が、まずは水でも汲みに行こうかと部屋を出ようとした、その足元で
カサリと鳴るものがあった。

「……手紙?」
『何なに、どーしたの?』

扉の下に挟まれた、それは白い封筒であった。
拾い上げた森崎が朝の光に透かすように、表裏を改める。
宛名はない。

「直接届けに来たってわけか」
『でも、この名前って……』

白い封筒に宛名は書かれていない。
しかし、裏には小さな字で差出人の署名があった。
―――ソフィア・ロベリンゲ。

「……」
『とりあえず、開けてみようよ』
「……そうだな」

441 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/21(木) 00:44:02 ID:???
ピコに促された森崎が、部屋の中に戻ると文机へと向かう。
特に封緘はされていない封筒を開けると、中にはやはり白い便箋が一枚。

  ―――この間は申し訳ありませんでした。

ユーゾー・モリサキ様、と書かれた手紙は、そんな謝罪から始まっていた。

「……この間、か」
『あのジョアンとかいうキザ男のことだよね』

あの、薄闇の道を思い浮かべる。
自分とは無関係だと必死に言い募った彼女。
振り向かなかった、その背中。
その真意が、直接に書かれていたわけではなかった。
しかし、礼と謝罪とが幾重にも織りなされる文章から、それは匂い立つようであった。

『……ホント、嘘のつけなそうな子だね』
「バカ正直というか、なんというか……」

そんな手紙の締めくくりは、意外な言葉で結ばれていた。

「……つきましては次のお休みの日、五月祭が開かれます。
 この街を知っていただくには良い機会かと存じます。
 宜しければ、是非ご案内させていただきたく……か」

読み上げた森崎の頭に、ピコがひらりと舞い降りる。

『お礼……ていうか、デートのお誘いじゃない、これ?』
「まあ、そう読めるな」
『ふふ〜ん、この色男! ……で、どうするの?』

ちょいちょい、と頭をつつくピコをぞんざいに振り払いながら、森崎が口を開く。

442 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/21(木) 00:46:13 ID:0J7QSWn+
「どうするもこうするも……」


*選択

A 誘いを受ける。

B 言い訳を探してみる。


森崎の行動としてどれか一つを選択して下さい。
その際【森崎の心情から、選択理由】を必ず付記していただくようお願い致します。
期限は『6/21 23:00』です。


***


最速での「鉄壁」獲得はちょっと予想外でした、といったところで
本日の更新はこれまでとさせていただきます。
夜遅くまでのお付き合い、ありがとうございました。
それではまた、次回更新にて。

443 :さら ◆KYCgbi9lqI :2012/06/21(木) 11:51:28 ID:???
A 季節毎のイベントって大切にしたいですね。
森崎ならば恋愛感情が有るかどうかは別にして少女の好意は無下にはしないと思います。

444 :ノータ ◆JvXQ17QPfo :2012/06/21(木) 15:53:01 ID:???
A
理由:何らかの策略が蠢いている可能性も否定できないが、この少女の誘いを断る理由は特にない
   むしろ前の訓練で仲間から良い評価を受けた森崎なら自信を持ってこの誘いを受けると思います   
   障りのない服装、清潔感ある感じになった森崎は、どう思われるか気になるはず

445 :◆W1prVEUMOs :2012/06/21(木) 21:41:23 ID:???

ソフィアがキザ男の目を盗むという危ない橋を渡ってるのに、それを無下にしたら男がすたる

446 :◆9OlIjdgJmY :2012/06/21(木) 22:59:12 ID:???

ソフィアが心配なのは勿論、ジョアン本人も重要人物ぽいので情報が欲しい。
あいつがボンクラだと森崎の戦死確率が上がりそう。

447 :さら ◆KYCgbi9lqI :2012/06/22(金) 00:21:04 ID:???
この国の軍のありようを聞く限り契約期間中にこの国滅びてもおかしくない感じだね。

448 :傍観者  ◆YtAW.M29KM :2012/06/22(金) 00:33:13 ID:???
少なくとも、このまま進めば滅びかねない国のあり方ですね

449 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/22(金) 00:42:11 ID:???
皆様、ご回答ありがとうございます。
それでは早速、>>442の選択については……

>>444 ノータ ◆JvXQ17QPfo様の回答を採用させていただきます!
魅力訓練の結果から自信をつけているという視点は非常に新鮮でした。
なるほど、流れとしても自然ですね。
CP3を進呈いたします。


>>443
確かに今の森崎がそういった行動を取るのは考えにくいですね。
一年目の季節イベントはメインイベントに関わることが多くなっていますので、
来月以降に出てくる新キャラクター共々お楽しみ下さいませ。

>>445
はい、ソフィアはソフィアで色々と多方面に気を遣う立場にあります。
男としてフォローしてあげたいところですね。

>>446
自由騎士は軍属ではないので指揮権こそありません(もっと言えば参戦義務すらありません)が、
人手不足のドルファン軍においては彼らが戦局に影響を与えるのは確かですね。
ちなみにジョアン本人についてはまだ秘密ですが、自由騎士の大半はボンクラです…。


ご回答いただいた皆様にEP1を進呈いたします。


450 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/22(金) 00:50:48 ID:???
>>447
はい、実はドルファンの軍事力はガタガタです。
政治と外交の側でどうにか綱渡りを続けているのが現状ですね。
まあ、だからこそ傭兵が活躍する余地もあるのですが…。

>>448
現状で開示されている情報はまだまだ氷山の一角ですが、
確かに未来を楽観視できる状況ではありませんね。
一番の問題は、当事者たちの多くがその危機感を持てていないことです。

451 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/22(金) 00:54:08 ID:???
******


それから幾つかの日が流れ、瞬く間に五月祭の当日となった。
まだ小鳥の囀りが響く朝のこと、森崎が覗き込むのはこの日のために新調した手鏡である。
映り込んだ顔に髭の剃り残しがないことを確認した森崎が、濡らした髪の流れを手櫛で整える。
身につけた服も清潔感のある白いシャツに、細身のパンツ。
色はこの春流行の枯葉色である。

『ま、流行ってるってノエルさんに勧められたのを、そのまま買っただけだけどね』
「うるさいな。流行なんて研究する時間はなかったんだよ」
『でも今回は最初から普通っぽい服、売ってくれたね』
「いや、あれは絶対隠し玉を用意してる目だったぞ……油断できねえ」
『目ぇ〜? へえ、胸しか見てないのかと思ったよ』
「それは男として当ぜ……ゴホン、何のことだか分かんねえな」

咳払いとともに言った森崎が、もう一度鏡を覗くと、一つ頷く。

「さて、とりあえず……」
『身だしなみは整えたね。最低限』
「一言余計だっつーの」
『何だかんだ言って、結構ノリノリじゃない……』

呆れたように言って中空をくるりと回ったピコに、森崎が指を振ってみせる。

「チッチッチ、一度やると決めたら完璧を期すのが俺の流儀だぜ」
『こないだネイに褒められたからって、すっかり自信つけちゃって……』

半目になったピコには構わず、森崎が手早く革のベルトに愛用の長剣を提げて言う。

452 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/22(金) 00:55:09 ID:???
「出るぞ」
『え、もう? まだ約束の時間にはかなり早いけど……』
「バーカ、まずは相手の下調べだ。本当なら昨日までにやっておきたかったんだけどな」

余暇、という言葉を差し挟む余地のない地獄の訓練を思い浮かべて渋面を作る森崎。
小さく首を振って嫌な記憶をかき消すと、部屋の扉を開ける。

「敵を知り、己を知れば……ってのは兵法の鉄則だろ」
『そういうとこ、いやらしいよね』
「……」

じろりと睨んで歩き出した森崎を追いかけて、ピコがぱたぱたと羽ばたく。

『待ってってば! もう、それで具体的にはどうするの?』
「誰もが足を運んで、情報が集まる場所がある」
『酒場?』
「相手は女学生だっつの」


***


白い壁には彫刻による精緻な装飾。
ステンドグラスには聖母の姿が刻まれ、朝陽に美しく煌めいている。
重厚な扉の上に掲げられた黄金の十字架を見上げたピコが、ポツリと呟く。

『……教会?』
「そうだ」
『デートの成功でもお祈りするの?』
「んな女々しい真似するか!」
『わ、こわ〜い』

453 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/22(金) 00:59:00 ID:???
怒鳴られたピコが、悪びれた様子もなく青い空へと舞い上がる。
それを見上げた森崎が、ため息をついて続けた。

「そもそも森崎家が奉じるのは代々、熱田の神宮と決まってるんだよ。
 まあこっちで必要になることもあるから、礼拝の仕方くらいは知ってるけどな」
『冗談だよ。いつも通り、教区の信徒名簿を覗くんでしょ?』

再びふわりと降りてきたピコが言うのへ、森崎が渋面を作る。

「ひどい言われようだな」
『確かに生まれた年月から住所、家族構成なんかもわかるけどさ……わりと姑息だよね、キミ』
「知能派と言え、知能派と。いくら俺が清潔感に溢れた……」
『フツメンだからって』

さらりと言ったピコに、森崎の言葉が一瞬途切れる。
目を閉じ、息を整えて言い直した。

「いくら俺が清潔感に溢れたイケメン予備軍だからって、何の準備もなしに
 敵地に飛び込むのは主義に反するのさ」
『あ、そ……で、その予備軍さんはどうやってそれを見せてもらうつもり?』
「それはだな……」

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