キャプテン森崎 Vol. II 〜Super Morisaki!〜
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異邦人モリサキ

1 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/01(金) 00:31:21 ID:Hgnh9qno


本作は恋愛SLG『みつめてナイト』を基にした二次創作です。

騎士の時代が終わりつつある南欧は架空の小国、ドルファン王国。
戦火の迫るこの国に傭兵として降り立った東洋人、森崎有三の体験する
波乱万丈の三年間を描きます。


独自要素が強いため、外伝スレを経ずにスレを立てさせていただきました。
ご容赦下さいませ。



578 :さら ◆KYCgbi9lqI :2012/07/03(火) 09:19:29 ID:???
【ピココール】
この自由騎士を、殴った場合この塲が収まると思うか?
それともこれをきっかけにコイツを皆でリンチしてしまうと言うことは有り得るだろうか?


579 :ピコ ◆ALIENo70zA :2012/07/03(火) 10:07:18 ID:MmjyUQVY
>>578
ていうかもう、剣とか抜いちゃってる血の気の多いのがいるみたいだよ……。
こうなっちゃうとお上品な態度じゃ逆にどっちも引っ込みがつかないかも。

この後のことは……うーん、何だか寒気がするよ。
リンチとか、そんなにヒドいことにはならないって気もするけど……何だろ?
遠くの方から、冷た〜い風が吹いてくるみたいな……。


580 :さら ◆KYCgbi9lqI :2012/07/03(火) 15:24:55 ID:???
Bピコのアドバイスを聞いてAでは中途半端ではないかなと思います。
ならば殴るしかないですね。自由騎士もネイかジュトーリオに殺されるよりマシでしょうしね。

581 :源氏 ◆rLDAH8Hy8Y :2012/07/03(火) 21:00:17 ID:???
A

刀傷沙汰になってしまっては事情も碌に調べられずに
傭兵側が一方的に処断されることになるのは明白。
そうなる前に拳で男の喧嘩に持ち込む。

582 :源氏 ◆rLDAH8Hy8Y :2012/07/03(火) 21:01:37 ID:???
っと、選択肢間違いです。
AではなくBでしたっ

583 :雑魚モブ ◆.xniaLTHMk :2012/07/03(火) 21:41:56 ID:???
B
戦争も近いので仲間の和を乱したくないし、もう言葉で止まる雰囲気でもないので
『貧相』な外国人傭兵に殴られたくらいじゃ自由騎士さんは痛くも痒くもないだろしうネ

584 :見てる人 ◆S/MUyCtQBg :2012/07/04(水) 23:00:59 ID:???
B
お前はカレイだ・・・泥にまみれろよ。
と、魚住さんも言ってますし。敢えて泥かぶったほうがカッコイイ。
ネイをここで失うのは嫌だし、森崎なら何があっても大丈夫でしょ。
気のいいリーダー だし。

585 :見てる人 ◆S/MUyCtQBg :2012/07/04(水) 23:02:21 ID:???
まさかの23時59秒。こりゃ間に合わなかったかな?

586 :森崎名無しさん:2012/07/04(水) 23:03:29 ID:???
一日違うよ。

587 :森崎名無しさん:2012/07/04(水) 23:04:11 ID:???
というか締め切り昨日ですね
>>576

588 :森崎名無しさん:2012/07/04(水) 23:57:28 ID:???
スイマセンでした。

589 :ピコ ◆ALIENo70zA :2012/07/05(木) 01:06:52 ID:???

皆様、ご回答ありがとうございます。
それでは早速、>>576の選択については……

>>583 雑魚モブ ◆.xniaLTHMk様の回答を採用させていただきます!
自由騎士の言葉を逆手に取った部分も切れ味が素晴らしいです。
仲間の視線を意識していただいたのも大きいですね。
CP3を進呈いたします。

またピココールでアシストしていただいた>>580 さら ◆KYCgbi9lqI様、
現実的な視点を提示していただいた>>581-582 源氏 ◆rLDAH8Hy8Y様の回答も
それぞれ本文に取り入れさせていただきますので、CP1を進呈いたします。


>>584
申し訳ありません!
それもこれも毎日コンスタントに更新できないGMの不徳の致すところです……。
ところで現在のところ大方の期限はキリよく23:00としていますが、実際に更新作業に取り掛かれるのは
23:30頃だったりします。
期限もそこまで延ばした方が、参加していただける機会が増えるでしょうか?


590 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/07/05(木) 01:08:11 ID:???
ひゃあ、名前欄に謎の妖精さんが!
お恥ずかしい。


***


B 殴り飛ばす


瞬間、森崎が駆け出したことには幾つかの理由がある。
無論のこと、仲間への侮辱を許せぬ気持ちもあった。
反吐の如き言葉を吐き散らす下衆には、相応の報いを受けさせねばならぬ。
確かに傭兵は個人主義者の集まりである。
しかし訓練をこなし、汗を流す内に芽生える連帯とて当然にあった。
同じ釜の飯を食う者が何処の馬の骨とも知れぬ下郎に蔑まれたのを日和見的にやり過ごしては
示しというものがつかない。
潰された面子は、誰かが何らかの形で贖わねばならぬ。
そうして、その誰かとは即ち、この哀れな下郎でなくてはならなかった。
しかしまた同時に、その激情だけに身を浸すには、森崎の目に映る光景は危険に過ぎたのである。

(……早まるんじゃねえ、ジェトーリオ!)

その黒人の背を、森崎は見ていた。
ネイの手が払われた瞬間、色めき立つ周囲とはまるで違う時間の中にいるように、
ジェトーリオだけが動きを止めていた。
そして、愚かな鎧の男が文字通りに致命的な言葉を吐いたそのとき、ジェトーリオのそこだけが
型で抜かれたように生白い掌が、ベルトの背に挟んだ得物へと伸ばされ、掴み、引き抜かれたことを、
森崎はしっかりと目にしていたのである。

591 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/07/05(木) 01:09:12 ID:???
(―――届けッ!)

森崎がかけくらべをする相手は、黒い風である。
風は刃を孕んでいる。
吹き抜けた瞬間、それは鮮血を巻き上げて散るだろう。
それだけは、避けねばならぬ。
殴る蹴るであれば、苦しいながらも言い訳の立てようもある。
しかし斬ってしまっては、そして何より殺してしまっては、もはや後戻りができない。
下手人には確実な極刑が待っている。
愚かしくも哀れな貴族の子弟などと引き換えるには、大きすぎる代償だった。

「この……馬鹿野郎がッ!」

叫びながら突き出された森崎の拳は、風よりも疾かった。
手首に重い衝撃。
自由騎士の顔面を捉えた一撃は、歪んだ頬骨を力点、ねじ曲がった首を支点として、着込まれた鎧の重量を
ほぼダイレクトに伝えてくる。
振り切るように、打ち抜いた。

「……、……!」

ぎ、とも、ぐぅ、ともつかぬ悲鳴が、男の喉の辺りから漏れる。
全力疾走の速度と鍛え上げた筋力、そして美しいフォームから放たれた右ストレートは、
その白銀の板金鎧ごと、男を地面へと叩きつけたのである。

「……モリ、サキ……?」

すぐ背後、呆然とした呟きは振り向くまでもない、ジェトーリオのものである。
片手を軽く上げた森崎が、その手を自らの背に移動させ、腰の辺りをとんとんと叩く。
得物を仕舞え、という身振りであった。

592 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/07/05(木) 01:10:13 ID:???
「……」

振り向かぬ森崎には、その表情は見えない。
しかし僅かな間を置いて、小さな溜息と金属が擦れる音とが聞こえた。
どうやら意図は伝わったようであった。

(さて、次は……どうしたもんかな)

思案しながら倒れた男へと歩み寄る森崎。

「起きな、お坊ちゃん」
「……き、きしゃまぁ……!」

自慢の鎧の腹に爪先で軽く蹴りを入れながら言う森崎に、倒れた男が我に返ったように激昂する。
口の中を切ったのか、滑舌が悪いことおびただしい。

「お、お、俺をだりぇだとおもっへる……!? かの騎士侯ひゃく、せばすしゃん・じょわんうぃるから
 八代つじゅく武門のほまりぇ、じょわんうぃる家の、ひぃっ……!?」
「おう、そうかい、名門のお坊ちゃん。よーくご存知だぜ」

全身を覆う鎧の重量に、男は起き上がることができないようだった。
誉れも何もなく地に転がったまま、口から涎で薄まった血を溢しながらまくし立てる男へ
のしかかるようにして、森崎が告げる。

「だからよ、俺ら貧相な傭兵としては武門の誉れ高き騎士侯爵様の八代目だか九代目だかに
 胸ぇ借りて、一丁稽古でもつけてもらおうかと思ってな」
「にゃ、にゃに、を……」

陽光に照らされて熱い白銀の鎧を拳でごつんと一つ叩いて、森崎がニヤリと笑う。

593 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/07/05(木) 01:12:24 ID:criY5V5E
「いやあ、痛くも痒くもねえよなあ? こんだけ豪勢な鎧で身を固めた自由騎士様だ。
 ヒンソーなステゴマのガイジンに殴られて痛いよ痛いよ、なんて泣きが入るはずもねえ。
 実にご立派なことだぜ、泰然自若としたそのお姿。稽古の流れで転んじまってもビクともしねえ!
 なあ、そうだろ? そうだよなあ?」
「ぐ……」


*チェック

交渉判定

目標値【25】 → ! numnum

※ ! と numnum の間のスペースを消して数値を出して下さい。
難易度(無理難題・相手知性『低』90)−(主導権20/恐怖20/苦痛10/混乱10/仲裁スキル「ヒガシの山」5)を
目標値とし、目標値以上の値が出れば成功。
00が出た場合は難易度にかかわらず成功となります。
結果によって展開が分岐します。

成功→ 「ぐ、ぐぬぬ……」 相手はぐうの音も出ない。
失敗→ 「ぐ……う、うわああん! 怖いよ、助けて、パパー!」 泣き出してしまった……。


594 :傍観者  ◆YtAW.M29KM :2012/07/05(木) 01:22:35 ID:???
目標値【25】 →  93
10分経過しても誰も引かないし、引くか。ダメだった場合はCP/EP期待!

595 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/07/05(木) 01:25:19 ID:???
>>594
お見事です!
ダイスロールは時の運、そうご遠慮なさらずズバッと引いてやって下さいw


成功→ 「ぐ、ぐぬぬ……」 相手はぐうの音も出ない。


******


※称号が『気のいい拳のネゴシエイター』になりました。

スキル『仲裁?』を獲得しました。
種別:パッシブ
消費ガッツ:-
効果:交渉判定時、+10の修正。モラル値が40以下のときには+20の修正となる。
この効果は同様のスキルと重複する。
ただしモラル値が80を超えるとき、このスキルは発動しない。


******

596 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/07/05(木) 01:27:04 ID:???

「ひぃ……っ」

森崎の鋭い眼差しに間近で睨まれ、思わず首を縦に振ってしまう男。

「なら、話は終わりだな。この場には何もなかった、問題も、諍いも、何にも、」

と、森崎が言いかけた、そのとき。

「―――!?」

太陽は燦々と照りつけている。
雲一つない空は初夏の色を隠すこともなく、風は火照った肌を癒すが如く、爽やかに吹いている。
だと、いうのに。

(な、何だ……この感じ!)

すう、と。
その場を覆ったのは、鳥肌の立つような冷気である。
それは物理的な温度ではない。
ただの気配である。
しかし人の奥底、骨の髄と臓腑の中とを寒からしめる、怖気に満ちた気配であった。
反射的に顔を上げた森崎が、自由騎士の存在など忘れたように跳ね起きると、一歩を飛び退く。

「……」

広い野原に立ち、あるいは座り、あるいは倒れ伏したままの全員が、冷気に誘われるように振り返る、
その先には黒の一色があった。
蒼穹の下、陽光の白と大地の緑と土色の世界から抜け落ちたような、黒。


597 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/07/05(木) 01:28:06 ID:???
「ジョアン……エリータス……!」

歩み来る男の名を、知らず呟いたのは森崎自身である。
人垣が割れる。
囲みが解ける。
男の纏う底知れぬものを、その場にいる誰もが肌で感じていた。
森崎の睨む前、まるで無人の野を征くが如く、騒動の中心まで悠然と歩を進めてきたジョアンが、

「やあ、マルセル。こんなところで、何をしているんだい」

と。
散歩の途中で見かけた友人に声をかけるように、微笑すら浮かべながら言った。
相好を崩したのは、倒れたままの鎧の男である。
ジョアンの差し伸べた手を握り、ようやく身を起こしながら口を開く。

「……じょ、ジョアン君! 良かった、助かった、聞いておくれよ!
 こいつら平民以下の外国人のくせに、俺のことを……」
「マルセル・ジョワンヴィル」

まくし立てようとした男の言葉が、ただの一言で遮られた。
名を呼んだだけの、声。
しかしその声音は、人の心胆を鷲掴みにするが如きものである。
マルセルと呼ばれた自由騎士の男が、凍りついたように固まる。

「もう一度聞くが―――こんなところで、何をしているんだい。
 今日の大会で、一勝すらできなかった君が、こんなところで、何を?」

598 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/07/05(木) 01:29:26 ID:???
手は、握られたままでいる。
男を見下ろしながら一節ごとに区切るように発音される、それはさながら罪の宣告である。

「そ、それ……、は……」

自由騎士が、炎天下に鎧までを着込んだ身でありながら蒼白な顔色でジョアンを見上げる。
今にもガタガタと震えだしそうな表情の自由騎士を、この場に現れたときから一寸たりとも変わらぬ
微笑を向けるジョアンが手を引き、立ち上がらせた。
一人では上体を起こすことも叶わぬ重量を片手で引き上げたジョアンが、懐から取り出した絹のハンカチで
自由騎士の鎧についた泥土を丁寧に落とすと、周囲を睥睨するように、口を開く。

「友人が大変な失礼をしたようだ。このジョアン・エリータスが深く詫びよう。
 ―――が、それはそれとして、だ」

汚れたハンカチから手を離すジョアン。
地に落ちたハンカチが、風に吹かれて転がっていく。

「私の友人を傷つけた礼も、相応にさせてもらわねばなるまい。
 ……相手は、誰かな」

微笑は、変わらぬ。
変わらぬまま、声は牙と爪とを帯びていた。
直立不動のままでいた自由騎士の男が、ジョアンの視線に促されて慌てて指さしたのは、
やはり森崎である。
ジョアンの氷青色の目が、その姿を認めた途端に蛇の如く細められていく。

「ほう……貴様か、東洋人」
「……悪縁も縁の内、か」

嫌な言葉だ、と吐き捨てた森崎の身に一切の油断はない。
抜刀こそしていないものの、利き手は剣の柄に置かれていつでも抜けるように構えている。

599 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/07/05(木) 01:30:41 ID:???
「……」
「―――」

言葉が途切れる。
喉が、ひりつく。
じっとりした汗が森崎の背筋を垂れるのは、初夏の陽光のせいだけでは決してなかった。
絡む視線が、漆黒と氷青色とのせめぎ合いが、その中心点に何かを結晶させようとした、その寸前である。

「貴様ら、何を騒いでいる!!」

凍りついたような場を根こそぎ吹き飛ばすような、大音声。
走り来るヤング・マジョラムの姿は、この一連の騒動に強制的な幕引きをもたらす機械仕掛けの神である。

「……命冥加なことだな、東洋人」

つまらなそうに視線を外したジョアンが、呟くと踵を返す。
自由騎士の男がおろおろと周囲を見回し、それから慌てたように追いかけようとしたその歩みが、
三歩を歩いて止まった。

「……そうそう、貴様も顔くらいは見知っていたかな。私の婚約者―――ソフィアだが」

立ち止まったジョアンが、振り返らないままに言う。

600 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/07/05(木) 01:32:49 ID:???
「この間、実に楽しい休日を過ごしたようだ。誰だか知らないが、感謝しなくてはならないな。
 その親切な誰かのおかげで、」

と、たっぷりと間をとって、ジョアンが肩を震わせる。

「おかげで彼女を花嫁修業に入らせる、いい切っ掛けになったのだから。
 良き安息の後には、より一層の勤勉を―――我がエリータスの家訓に相応しい女性だよ、ソフィアは!」

表情を見せぬその背には、しかし隠しようもなく明らかな、愉悦の二文字が浮かんでいる。

「今年中は我が屋敷から外に出ることもなかろうが……それほどの一日であったのなら、釣り合いもとれよう。
 クク……ハハハ、ハハハハ!」

悦に入った笑い声は、いつまでも高らかに響いていた。
黒を纏うその背が見えなくなっても、森崎の耳朶にこびりつくように、いつまでも。


******

601 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/07/05(木) 01:34:32 ID:???
といったところで本日の更新はこれまでとさせていただきます。
選択まで届かず申し訳ありません。
次回は6月メインイベントからのスタートとなります。
夜遅くまでのお付き合い、ありがとうございました。
それではまた、次回更新にて。

602 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/07/05(木) 12:12:50 ID:???
******



*D26.6 「気のいい拳のネゴシエイター」森崎有三
メインイベント

『ふたりはなかよし』





603 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/07/05(木) 12:13:57 ID:???

毎朝そうしているように訓練所への道を行く森崎の耳に、毎朝のそれとは違う音が飛び込んできたのは、
朝の陽射しもうららかな初夏のある日のことである。

「ぃや……ぁ……!」

甲高い、ほとんど音と呼べるような悲鳴。
そして、それを掻き消すような猛烈な吠え声であった。

「何だァ!?」
『犬と……女のコ?』

慌てて角を曲がった森崎が見たのは、ピコの言葉通りの組み合わせ。
まだ幼いとすら言える年頃の、学園のものらしき制服を着た少女と、痩せ細り毛並みも乱れた野良犬である。
野良犬は何が気に障ったのか、明らかな敵意を剥き出しに吠え続けている。
吠え声とともに涎を撒き散らしながら少女を睨むその黄色く濁った眼光は凶悪で、
年端もいかぬ幼い少女を恐怖の底に叩きこむには十分な迫力を有していた。

「やぁ……い、やぁ……」

そんな野良犬に嵐のような咆哮を浴びせられる少女の顔色は蒼白である。
目にいっぱいの涙を溜め、すっかり怯えきった声を漏らすその様子はどこまでもか弱気で、
今にもへたり込んでしまいそうだった。
蜂蜜色のふわふわとした巻き毛が、ふるふると首が振られるのに合わせて、力なく揺れた。

「あー、こりゃあ……」
『ちょっと興奮しちゃってるねえ……あのコ、急に倒れたりしたらガブッといかれるんじゃないかな』
「他人事みたいに言うな……」
『他人事だからね。ま、どうするかはキミが決めることだよ』

604 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/07/05(木) 12:15:24 ID:criY5V5E

*選択

A 少女を助ける

B 手をこまねく



森崎の行動としてどれか一つを選択して下さい。
その際【選択理由】を必ず付記していただくようお願いいたします。
期限は『7/5 23:30』です。


******


変則的な時間の更新ですが、一旦ここまでで失礼いたします。

605 :傍観者  ◆YtAW.M29KM :2012/07/05(木) 12:24:14 ID:???
A
「ああいう」ことがあって間もないだけに、哀れな少女を放置できるキャラではもう無いでしょ、森崎。
深い関係にならないよう助けたあとはなれることがあったとしても、「まず助ける」は反射的行動のはず。

606 :さら ◆KYCgbi9lqI :2012/07/05(木) 14:39:53 ID:???
Aここで手をこまねくと噛まれてしまいますからね。助けるなら冷静に素早く対応をするべきだと思います。

607 :雑魚モブ ◆.xniaLTHMk :2012/07/05(木) 20:33:50 ID:???
A
野犬が狂犬病とか持っていたら洒落にならないから
本編の話だが森崎は犬を飼っていた経験があるらしいので扱いも上手いはず・・・動物に好かれなさそうな性格だがw

608 :◆W1prVEUMOs :2012/07/05(木) 20:36:19 ID:???

危機的状況を黙って見過ごすキャラじゃないから

しかしジョアンはライバルポジだなあ
ソフィアと関わるのをやめればコイツとの縁も切れるのかもしれないが
それよりはソフィアルートでがっつり対峙した方が面白いか

609 :Q513 ◆RZdXGG2sGw :2012/07/05(木) 21:33:49 ID:???
A
助けられるだけの力はあるだろうし、助けるべき相手とみた


610 :◆9OlIjdgJmY :2012/07/05(木) 22:39:28 ID:???

正直ヒロイン候補は少し間引いちゃいたいくらいなのですがw
ここで助けない合理的理由が思い付かないので

611 :ノータ ◆JvXQ17QPfo :2012/07/05(木) 23:19:01 ID:???
A
ここで助けなきゃ男と称号が廃るってもんだ!

612 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/07/06(金) 00:11:24 ID:???
皆様、ご回答ありがとうございます。
それでは早速、>>604の選択ですが……

>>605-611、皆様の回答を等しく採用させていただきます!
これはさすがに横一線、迷う余地なしといったところでしたね。
設問の甘さに未熟を噛み締めつつ、皆様にCP3を進呈いたします。


613 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/07/06(金) 00:13:12 ID:???
>>605
ここからのキャラはソフィアと違ってかなり癖が強いので、距離の取り方は重要かもしれません。
というか、非常に鋭いところを突かれていてGM的にはかなりドギマギしております!

>>606
はい、その反応はキャラ的に極めて正しいと思います。

>>607
この頃の犬・狐などは非常に危険ですね。
ワクチンもありませんので、感染した時点でほぼ100%アウトです。

>>608
ジョアンの次の出番はかなり先になる予定です。
それまでに様々な方面での力を蓄えておきたいところですね。

>>609
お察しの通り、ヒロイン候補です。
どのようなキャラなのかは……すぐにわかりますw

>>610
現状、森崎はかなりのお節介焼きキャラなので、いきなり突き放していくのは
なかなか難しいところですね。
問題は次から次へと起こっていきますが、同時には解決できない……ということはありませんので
その点だけはご安心下さい。

>>611
はい、格好良くキメてやって下さい!


614 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/07/06(金) 00:14:15 ID:???
***

A 少女を助ける


幼い少女の、溢れ出しそうな涙を湛えた瞳が森崎を捉える。
瞬間、その目に宿った光は少女の心に灯る希望のもたらしたものであっただろうか。

「……ち、しゃーねえな。遅刻でおっさんにどやされねえ程度に、パパっと片付けるか」
『そう言うと思ったよ』

どこか満足げに頷くピコにひとつ鼻を鳴らして、森崎が走り出す。
走りながら腰に伸ばされた手は、提げられた長剣を鞘ごとベルトから抜き取っていた。

「おら、こっちだ!」

森崎の声と走り来る気配に、驚いたように振り返った痩せ犬がその場を飛び退く。
それを追うように、森崎が鞘に収まったままの長剣を大きく振り回した。

615 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/07/06(金) 00:15:24 ID:okiW0Zfo

*チェック

剣術・体術判定

目標値【33】 → ! numnum

※ ! と numnum の間のスペースを消して数値を出して下さい。
シーン難易度【100】−(剣術+体術/2)を目標値とし、目標値以上の値が出れば成功。
00が出た場合は難易度にかかわらず成功となります。
結果によって展開が分岐します。


成功→適度な一撃が野良犬にヒット!
失敗→空振り! 野良犬の反撃だ!

616 :さら ◆KYCgbi9lqI :2012/07/06(金) 05:52:02 ID:???
目標値【33】 →  17

617 :さら ◆KYCgbi9lqI :2012/07/06(金) 05:59:43 ID:???
cp9とEP5を使って数値を37にします。
酷い引きだね。

618 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/07/06(金) 16:37:29 ID:???
なるほど…チェックの失敗を引いた個人がリカバリするような流れですと、ちょっと負担が重いですね。

そういった理由で判定を躊躇されることも考えられますし、ここで暫定的に数値加算に関するルールを改訂いたします。


・数値加算が行われた場合、その宣言から24時間以内であれば当該プレイヤーの消費したEP及びCPの一部、
あるいはその全部を他のプレイヤーが肩代わりすることができる。
その場合は【代理消費】と宣言し、どの処理について何ポイントを受け持つのかを明示すること。
※本改訂は>>616以降を適用範囲とする。


これはプレイヤーの皆様の互助的な交流とゲームの円滑な攻略を主眼としたものであり、
決して負担を強制するものではありません。
ご覧の通り対症療法ですので、ご意見や改善案、より良い解決法のご提案などありましたら
是非ともお寄せくださいませ。

それでは、夜の本更新まで失礼いたします。

619 :源氏 ◆rLDAH8Hy8Y :2012/07/06(金) 17:04:31 ID:???
それでは【代理消費】させて頂きます。

>>616
使用CP:3ポイント

620 :源氏 ◆rLDAH8Hy8Y :2012/07/06(金) 17:06:04 ID:???
おっとこの場合の「処理」は>>617で行われた加算ですね。

621 :◆W1prVEUMOs :2012/07/06(金) 18:48:34 ID:???
【代理消費】

>>617
使用CP:3ポイント

622 :さら ◆KYCgbi9lqI :2012/07/06(金) 20:35:56 ID:???
皆さんありがとうございます。助かりました。

623 :傍観者  ◆YtAW.M29KM :2012/07/06(金) 20:48:55 ID:???
ところで、相談に乗ってくれないか?
「「ああいう」ことがあって間もないだけに、哀れな少女を放置できるキャラではもう無いでしょ、森崎。
深い関係にならないよう助けたあとはなれることがあったとしても、「まず助ける」は反射的行動のはず。」
この私の発言のどこかにGMをドギマギさせるような「鋭いところ」があったらしい。どこだと思う?
深い関係にならないように離れる……のあたりだと思うんだが(つまり、さっさと離れないと逃げられなくなる)。

624 :さら ◆KYCgbi9lqI :2012/07/06(金) 21:01:43 ID:???
多分そうだと思います。今度の女の子恐らく一途なんじゃないですかね。

625 :◆W1prVEUMOs :2012/07/06(金) 22:04:47 ID:???
あとはこの少女に限らず反射的に助ける性格のせいで女性関係では「女たらし」になってしまうとか?
でもピコは満足げに頷いてるから(>>614)このこと自体は悪いことではないのかな

626 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/07/07(土) 00:21:44 ID:???
>>619 源氏 ◆rLDAH8Hy8Y様、>>621 ◆W1prVEUMOs様、早速のご利用ありがとうございます。
システムの例示にご協力いただいたということで、それぞれCP1を進呈いたします。

>>623-625
もちろん詳細は秘密ですが、この後の展開も含めて色々と考えてみて下さいね!


***

成功→適度な一撃が野良犬にヒット!


「……このっ!」

狙い定めて振った剣の鞘は、吸い込まれるように痩せ犬の鼻先へと命中する。
ぎゃん、と潰れたような悲鳴を上げた野良犬は、泡を食って逃げ出していくのだった。

「大丈夫か、……とぉ!?」
「……!」

遠ざかっていく犬が戻ってくる気配のないことを確認して、振り返った森崎が思わずのけぞる。
なんとなれば、走り寄ってきた少女が、跳ねるように森崎の胸に飛び込んできたのであった。

「うわっぷ!」

蜂蜜色のふわふわした巻き毛が森崎の視界を埋める。
振り払ったその向こうに、今度は深い泉が現れた。
赤みがかった薄茶色の、それは潤んだ瞳である。
幼さと愛らしさの最大公約数を追求したような、大きく丸い瞳がぱちぱちと瞬きしながら、
森崎の眼前数インチまで迫っていた。
幼い顔立ちのわりに長い睫毛が印象的だというのは、その己の胸丈ほどまでしかないであろう、
ふにゃりと軽くやわらかな体の熱と、甘い香りの漂う吐息とを感じながらの、森崎の内心の弁である。

627 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/07/07(土) 00:22:45 ID:???
「ぁ……」

幼い少女のふっくらとした唇が、何かの音を紡ごうとした。
そのときである。

「こらあぁぁーっ!」

怒声が、響いた。

「何してんだ、お前ーっ!!」

森崎の正面から走り来る、それは一陣の風である。
風は、制服を着た少女の形を模していた。
きつく吊り上がった気の強そうな眼差しに、肩口まで伸ばされた癖の強そうな亜麻色の髪。
全身から醸しだされる雰囲気には純粋な怒りが色濃く浮き出ている。

「この―――」

森崎からわずか数歩の距離を置いて急制動をかけた少女が、親の敵を見つけたような顔で森崎に怒鳴った。

「変 質 者 ! ロリィから離れろ!」
「なにィ!?」

想定外の言葉に目を見開く森崎。
と、その胸に抱き止められるかたちになっていた幼い少女が、肩越しに振り返ると、
その表情をぱっと明るくする。

628 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/07/07(土) 00:23:47 ID:???
「あ、レズリーお姉ちゃんだあ!」
「ロリィ! そいつから離れな! こっちに来るんだ!」
「うん!」

言われた幼い少女が、森崎の首に回していた手をあっさりと放すと、身軽な動作で地面に降り立ち、
走ってきた少女の側へと駆けていく。
と思えば、ロリィと呼ばれた幼い少女は、今度はレズリーと呼ばれた少女へと抱きついた。

「こ、こらロリィ!」
「レズリーお姉ちゃん、おはよう〜」
「挨拶はまた後で、な! 今はそれよりコイツを……」

と、視線を移そうとしたレズリーが驚いたように声を上げる。

「お、おいお前! 何を逃げようとしてんだ!」
「……いや、普通に出勤しようとしてるだけだが」
『面倒なことになりそうだから、さっさと立ち去ろうとしたんだよね』

頭の後ろで手を組みながらふわふわと浮かぶピコをひと睨み、森崎が仕方なく立ち止まって
少女たちへと向き直る。

「思うんだが、何かひどい誤解をされてるんじゃねえかな、俺」
「何を! とうとう直接手を出しておいて、言い逃れできると思ってるのか、この変質者!」
「変質者……」
『まあ、傍から見ればそんな感じだったけどね』
「……」

ピコの言いように思わず口を噤む森崎。
この国では見慣れぬ黒髪の、しかも武装した外国人が見知らぬ幼女を抱きかかえていたのである。
経緯を知らず、絵面だけを見たとしたら、これは誤解しない方がおかしい。
そこで森崎は―――

629 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/07/07(土) 00:26:29 ID:LTq/m8Vk
*選択

A 言葉を尽くして釈明を図る。

B ロリィに説明を求める。

C 猛ダッシュ! (必要CP:1)


森崎の行動としてどれか一つを選択して下さい。
その際【選択理由】を必ず付記していただくようお願いいたします。
期限は『7/7 23:30』です。


******


正ヒロイン候補五人の内、三人まで登場! といったところで
本日の更新はこれまでとさせていただきます。
夜遅くまでのお付き合い、ありがとうございました。
それではまた、次回更新にて。


630 :雑魚モブ ◆.xniaLTHMk :2012/07/07(土) 06:46:29 ID:???
B
ここで逃げだすと誤解が広まって称号が『気のいいナンデス』とかになるかもしれないから
また疑われて人物が釈明する場合は物的証拠がないと信憑性が無いので他人に説明を求めるのが一番かと

631 :◆W1prVEUMOs :2012/07/07(土) 10:12:14 ID:???

ロリィが説明下手で大変な誤解を受けるというお約束の展開がありそうなので
また、他人の行動に判定は絡まないけど、Aなら最悪CPEPつぎ込めばどうにでもなる

632 :さら ◆KYCgbi9lqI :2012/07/07(土) 10:29:00 ID:???
A Cだとレズリーに変質者として認知されそう。Bだとロリィに恋人として紹介されそう。
ならば自分から説明した方がトラブルの回避や誤解を避けれると思いますね。

633 :源氏 ◆rLDAH8Hy8Y :2012/07/07(土) 20:45:50 ID:???
A

どうもこのマイペースな少女に説明を頼んでも誤解がより深まるような悪い予感しかしない。
「犬に襲われていたから追い払っただけ」と簡潔に事実を述べるのが吉。
少女の抱きつきグセは相手も承知しているようだし。

634 :◆9OlIjdgJmY :2012/07/07(土) 22:58:41 ID:???

ここで手間取っていると確実に遅刻してしまうから。
誤解もロリィが事実を話せば後で解けるだろう。

635 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/07/10(火) 01:02:45 ID:???
皆様、ご回答ありがとうございます。
それでは早速、>>629の選択については……

>>630 雑魚モブ ◆.xniaLTHMk様の回答を採用させていただきます!
疑われている人物自身の釈明の信憑性については実に鋭い読みでした。
特にこの場面、レズリーは森崎を頭から敵対視している上に非常に興奮しているので
この先の展開の難易度が一時的に跳ね上がるところでした。
また称号『ナンデス』もいいネタいただき、ということで本編に反映させていただきます。
CP3を進呈いたします。

また非常に明快な論理でこのシーンの攻略を試みる案を出していただいた
>>631 ◆W1prVEUMOs様にも次点としてCP1を進呈いたします。
仰る通り、Aが選択されていた場合は、この後「説明の手段・ロジック」の選択を経て
魅力・手段チェックという流れでしたので、いざとなればポイントゴリ押しが通用しました。
このシーンの突破に限れば極めて効果的な選択理由でしたね。
GMはこういった方向性のご回答をとても採用しやすい傾向にあります。
そしてまた仰る通り、お約束の展開もこの後で存在しますが、難易度はだいぶ下がりますw

また>>633 源氏 ◆rLDAH8Hy8Y様の、レズリーもロリィの抱きつきグセを知っている、というのは
鋭い……というかGMも目からウロコのご指摘です!
もしもAが採用されていたら、判定に対しとても強い材料として機能していたでしょう。
こちらもCP1を進呈いたします。


636 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/07/10(火) 01:16:22 ID:???
>>632
確かに成功すれば誤解も解けましたが、興奮状態のレズリーを説得するのは少し手間でしたね。
ちょっとだけ攻略情報を漏らしてしまうと、現状の森崎の人物称号は初期状態のレズリーに対して
弱いながらもマイナスの補正を持っています。

>>634
Cが選ばれていたら変質者フラグ一直線でした!
誤解は……余計に深まっていたかもしれませんw


ご回答いただいた皆様にそれぞれEP1を進呈いたします。

637 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/07/10(火) 01:17:29 ID:H5dwRuBE
「あー……、どうせ俺が何を言っても納得しないだろ? だったら……」

と、森崎は幼い少女、ロリィを見やる。

「そこのお前。お前だ、そう、な! このオネエちゃんに事情、説明してやってくれ」
「……!」

しかし、急に話を振られたことに驚いたのか、ロリィはびくりとした顔で森崎を見返すと、
そそくさとレズリーの影に隠れてしまう。

「そりゃないだろっ!」
「……っ」
「お前! この期に及んでロリィを泣かせるのか!」

いよいよもって険しくなるレズリーの表情に、唯一の突破口が封じられて途方に暮れる森崎が
これ以上の面倒を避けるべく逃走経路を内心で模索し始めた、そのとき。


*チェック

魅力判定

目標値【2】 → ! numnum

※ ! と numnum の間のスペースを消して数値を出して下さい。
シーン難易度【20】−(魅力)を目標値とし、目標値以上の値が出れば成功。
00が出た場合は難易度にかかわらず成功となります。
結果によって展開が分岐します。

成功→「違うの、お姉ちゃん……」 ロリィの証言が得られそうだ。
失敗→「う、うぅ……」 これだから子供は……!

638 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/07/10(火) 01:20:46 ID:H5dwRuBE
※※※


GMより皆様にご質問です。
このシーン、難易度をご覧いただいてもお分かりの通り、実は自動成功しています。

さてこのような場合、これまでは内部的に処理して何度かスルーしてきたのですが、そうなると
EP獲得チャンスが減るという側面もあるため、ここで皆様の意思確認を行いたいと思います。

EP1を獲得する機会(と、ダイスロールする楽しさ!)と、
1%の失敗リスク(加えて、チェックが行われるまでのタイムラグ)。
天秤にかけて、どちらが望ましいでしょうか?

それぞれのご意見を拝見して総合的に判断させていただきます。
システムに関するアンケートのため、ご回答いただいた皆様には
それぞれCP1を進呈いたします。


※※※

639 :源氏 ◆rLDAH8Hy8Y :2012/07/10(火) 01:23:07 ID:???
目標値【2】 →  59

私は自動成功にして先の話を見たいですね。

640 :傍観者  ◆YtAW.M29KM :2012/07/10(火) 01:24:35 ID:???
代理消費のお陰で参加者全体でのポイント使用はかなり余裕ができたから、
EP1にこだわるよりはスピードのほうが大事かなー。

641 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/07/10(火) 01:24:49 ID:???
***

成功→「違うの、お姉ちゃん……」 ロリィの証言が得られそうだ。


ぼそり、と。
子供じみた声は、ロリィである。
何事かと振り返ったレズリーを見上げて、ロリィが続ける。

「この人ね、ロリィを助けてくれたの……」
「え……?」

意外な言葉に、レズリーが目を丸くする。

「学校にね、行こうとしたら……怖い犬さんがね、わんわんって吠えてて……」
「……」
「ロリィ、とっても怖くって、泣きそうになっちゃんだけど、でも、この……」
「コイツが?」

無遠慮に森崎を指さすレズリー。
ロリィが頷く。

「ばーってきて、えいって犬さんをやっつけてくれて……だからロリィ、嬉しくって」
「嬉しくて……?」
「つい、ぎゅーってしちゃったの。とってもカッコよかったから……」
「……」
「えへへ」
「……」
「……」

642 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/07/10(火) 01:25:50 ID:???
沈黙が、重かった。
特にその重みを感じていたのは、レズリーであっただろう。
多少の憤りはあったが、徒に少女を虐める趣味はない。
肩をすくめた森崎が、状況を打ち切るべく口を開いた。

「俺、もう行っていいかな」
「あ、え、あの、えーっと……」

大人の対応に、咄嗟に適応できず言葉を失うレズリー。
と。
困ったように中空へと目を走らせ、必死に何かを言おうとするその背に、新たな声がかけられた。

「―――どうかしましたか、ロピカーナさん、コールウェルさん」

低く落ち着いた、しかし明晰な意志の響きを持つ声音と共に拡がったのは、淡い花の香りである。
鼻孔をくすぐる茉莉花の、甘く爽やかな芳香に誘われるように視線をやった森崎が、香りの主を見る。
少女たちの背後、朝陽の下にも白く匂い立つ、それは女性である。
年の頃は三十に満たぬほどであろうか。
麗人であった。
銀白色の波打つ髪を頭の後ろできっちりとひっつめた、そのともすれば冷たくも映る端正な顔立ちの中、
特に目を引くのは銀縁の眼鏡である。
薄緑色の、理知の光を湛えた瞳を守護するように煌めく、それはさながら硝子の城壁。
その壁の向こうに垣間見える顔は化粧気が薄く、淡い桃色の口紅と、森崎の肺の奥を撫でるような
茉莉香の香水だけが美しく整った目鼻立ちを彩っていた。
身に着けているのは純白の襟付きブラウスである。
上半身のラインを隠すような、ふわりと柔らかい仕立ては一目で絹であると分かる。
腰から下を覆うのは濃紺の、尻から腿にかけてぴったりと張りつくような膝丈のタイトスカート。
足元はモンクストラップの黒い革靴である。
全体に清楚で、品良く、そして窮屈な服装だと、森崎は思う。
まるで成熟した女という要素を構成する何もかもを、その服という檻の内側に無理やりに
押し込めようとしてでもいるような、そんな印象であった。

643 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/07/10(火) 01:26:51 ID:???
「あ、オルガちゃん!」
「オルガ、センセー……?」

振り返った少女たちがそう呼ぶのへ、苦笑を返す女性。
先生、と呼ばれるところを見れば、少女たちの教師であるようだった。
引き結ばれた口元が緩むと、途端に親しみやすい表情が顔を覗かせる。

「こら」

短く叱るその声も、茶目っ気の混じったものである。

「クラリック先生って呼びなさい、っていつも言ってるでしょ。
 ……それで、どうしたの? 何か揉めていたようだけれど」

言った女性が、森崎を睨む。
親しみやすそうな笑顔から一転、あからさまに不審者を見る目である。

「い、いや……それが、どうもあたしの勘ちが……」
「ね、オルガちゃん、ロリィね!」
「クラリック先生」

しどろもどろに何事かを弁明しようとするレズリーを遮って、クラリック女史に
満面の笑みを向けるロリィ。
訂正されても、悪びれた風もなく続ける。

644 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/07/10(火) 01:28:10 ID:H5dwRuBE
「えへへ、クラリックせんせい、ロリィね、このお兄ちゃんに、抱っこしてもらったの!」
「お、お兄ちゃん……!?」
『お兄ちゃん……』
「お兄ちゃんがね、たたたーって来てね」

森崎と、そしてピコの動揺をよそに、ロリィのたどたどしい言葉は続く。

「それでね、ばーん! って剣を出してね、ぶんぶんって振りまわして、
 すっごいカッコよくて、ロリィ、ぎゅーってされちゃったの!」
「……」

ロリィの言に、クラリックの薄緑色の瞳が森崎を射貫く。

「おい……」
『さっきと比べて、だいぶ証言が変わったね……。っていうか、この説明だと……』


*チェック

魅力・評価判定

目標値【36】 → ! numnum


※ ! と numnum の間のスペースを消して数値を出して下さい。
シーン難易度【90】−(魅力/3+評価*2)−スキル『清潔感』10
を目標値とし、目標値以上の値が出れば成功。
00が出た場合は難易度にかかわらず成功となります。
結果によって展開が分岐します。

成功→「そうでしたか……」 一応信用してもらえたようだ。
失敗→「―――ナンデスでしたか。区警を呼びます」 ナンデスって何!? ……が、そのとき?

645 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/07/10(火) 01:30:31 ID:???
******

こちらのチェックが本番、といったところで
本日の更新はこれまでとさせていただきます。
夜遅くまでのお付き合い、ありがとうございました。
>>638のアンケートについては引き続きご意見をお待ちしております。

それではまた、次回更新にて。


646 :◆9OlIjdgJmY :2012/07/10(火) 01:31:20 ID:???
目標値【36】 →  63

647 :◆9OlIjdgJmY :2012/07/10(火) 01:38:52 ID:???
ケースバイケースで良いのではないでしょうか?
GMさんがサクサク更新したいとき→自動成功
GMさんが一呼吸置きたいとき→一応判定
みたいな感じで。

648 :さら ◆KYCgbi9lqI :2012/07/10(火) 06:20:05 ID:???
サクサク進めても問題ないとGMが判断すれば良いと思いますね。

649 :◆W1prVEUMOs :2012/07/10(火) 18:07:49 ID:???
>>638
自動成功(失敗)してるのに本来無いはずの可能性が1%でも生まれるようなことは
個人的には嫌ですね

650 :見てる人 ◆S/MUyCtQBg :2012/07/10(火) 22:05:15 ID:???
サクサク感のほうが大事だと思います。
1%の引きのために少し時間がかかるのであれば、物語が進むほうが楽しく感じます。
自動成功が失敗すると悲しいですし、自動失敗が成功するのを期待するのも・・・
後半に余ったポイントで無理やり成功できそうなレベルならアリかもですが。

651 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/07/12(木) 00:22:49 ID:???

皆様、アンケートへのご回答ありがとうございます。
なるほど、大筋において自動成功/失敗時の判定を内部処理する点で反対のご意見はなさそうですね。
それでは、今後は演出上必要と判断する場合を除いて自動的に成功、あるいは失敗する判定については
チェックを挟まず、シナリオの進行を優先させていただきます。
また更新スピードが低下することを懸念されるご意見も多いようで、この点については
別途改善努力させていただきます。

改めまして、今回ご回答いただいた皆様に御礼申し上げます。

652 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/07/12(木) 00:23:53 ID:???
***


成功→「そうでしたか……」 一応信用してもらえたようだ。



頷いたクラリックの様子に疑いの色はない。

『今ので信用しちゃうの……?』

思わずピコが首を捻るのも無理からぬことではあったが、よく見ればクラリックの目線は
証言をもたらしたロリィではなく、その傍らに立つレズリーの方を向いていた。
どうやらレズリーの態度、その口から反論や森崎への怒りの言葉が飛び出さないかを観察していたようだった。
してみると最初からロリィの言は判断材料と考えていなかったものか。

「我が校の生徒がご迷惑をお掛けしたようで、申し訳ございませんでした」

この教師、存外に冷静な目で生徒たちを見ているのかもしれない。
そんなことを考える森崎に、クラリックが深く頭を下げる。
ひっつめた銀髪の下、白いうなじが目に眩しい。

「い、いやいや、迷惑ってほどじゃねーよ、はは、ははは……」
『鼻の下、鼻の下!』

向き直ったクラリックが、つい、と森崎に一歩近づいて口を開く。
ふわりと香る茉莉花と、眼鏡の向こうのミントグリーンの瞳。
間近で見れば思わず惹き込まれるような、女ざかりであった。

653 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/07/12(木) 00:24:54 ID:???
「わたくし、このドルファン学園で教鞭を執っております、クラリックと申します。
 何かございましたら、学園までご連絡いただければと存じます」
「や、こりゃどうも、ご丁寧に……」
『だからそのニヤケ顔、どうにかしなさいよ!』

ピコがぽすぽすと後頭部を叩くのを、森崎は気にも留めない。

「それでは、授業が始まりますので、わたくし共はこれで失礼致します。
 ……ほらロピカーナさん、コールウェルさんも。教室へ入りなさい」

振り返って声をかけた、二人の雰囲気は対照的である。

「はい……」
「はーい! じゃあね、お兄ちゃん! またね!」

どこまでも気まずそうに、森崎と目を合わせようとしないレズリー。
一方ロリィはといえば、両手をぶんぶんと振り回すようにしながら満面の笑顔を浮かべて
学園の正門の方へと歩いていくのだった。
そんな二人と、その後に続くクラリックの背を見送る森崎に、ピコがふとその頭を叩く手を止めて呟く。

『ていうかさ』
「ん?」
『あのロリィってコ、制服着てたよね』
「ああ、着てたな」
『レズリーってコと同じ制服だったね』
「そうだな。……って、何が言いたいんだよお前」

怪訝な顔をする森崎の前に飛んで回ったピコが、その小さな指を明後日の方向に向ける。

654 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/07/12(木) 00:26:17 ID:???
「ん?」

その指す先には、やはり学園に登校しようとするものだろうか、子供たちの一団が道を急いでいる。
しかし。

「あれ? 制服が……」
『うん、違うね』

デザインの大枠に違いはない。しかしレズリーやロリィ、そして森崎の記憶にあるソフィアが
纏っていたような濃紅色のベストとスカートを、道の向こうの子供たちは身に着けていない。
そこにいたのは、白を基調としたものと、青を基調にしたものの、二通りである。

『歳の頃から考えても、白いのが初等部。青いのが中等部なのは間違いないね。毎日見てるでしょ、キミも』
「だっけか……?」
『で、さっきの赤いのが高等部。じゃあ、さ』
「あの、ロリィってのは……」
『……』
「……」

沈黙が降りた。
異郷の地には、まだまだ森崎には想像もつかぬ深淵が存在するようだった。
と、思わず天を仰いだ森崎の額に、ピコがぺとりと降り立って言う。

『で、時間はいいの?』
「……。うおおっ、忘れてた! ヤベえ、走るぞ!」


******

655 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/07/12(木) 00:27:18 ID:???


「くぁ……今日は特にくたびれたぜ……」

日も暮れかけた薄闇のキャラウェイ通りに、しょぼくれた男の声が響く。
我らが森崎有三である。
気怠げに頭を掻く森崎の周りをくるくると旋回しながら、ピコが笑う。

『朝からオモシロい目にあってたしね』
「ヒドい目だっつーの! 結局遅刻してヤングのおっさんにどやされるしよ!」
『それはいつものことじゃない。……それにあのセンセーには、だいぶ鼻の下伸ばしてたよね?』

ピコの白い目が森崎に突き刺さる。

「うえっほ、ごほん。……さて、どこで飯食ってくかな」
『もう、すぐ誤魔化して』
「しっかし、今日は妙に人通りが多いな……こりゃどこも混んでそうだぜ」

と、森崎が夕飯の目星をつけようと思案気に辺りを見渡していると。

「あ、お兄ちゃんだ!」

耳に飛び込んでくる甲高い声。
思わず森崎がびくりと背筋を伸ばす。

「うぐ……この声は」
「おーい! お兄ちゃ〜ん!」
『呼ばれてるよ、お・兄・ちゃ・ん』

わざとらしく繰り返してみせるピコをひと睨み、慌てて声の方へと目を向ける森崎。
すると、夜目にも鮮やかな蜂蜜色の巻き毛がふわふわと揺れながらこちらへと向かってくるのが見えた。
その後ろからは面白くなさそうな顔を浮かべた、すらりと背の高い少女も追いかけてくる。

656 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/07/12(木) 00:28:32 ID:???
「わ〜い、お兄ちゃんだ!」

巻き毛の少女、ロリィが人ごみをかき分けてすっかりその姿を表すと、駆けてきた勢いそのままに跳んだ。
朝の再現のような光景に、このことを半ば予想していた森崎がその小さな体を渋々ながらも抱きとめる。

「こら! いきなり何するんだ、お前は」
『ひゅ〜ひゅ〜、妬けちゃうね〜』

無責任に囃し立てるピコの相手をする余裕もなく腰の辺りにまとわりつくロリィを引き剥がそうとする森崎に
冷たい声をかけるのは、当然ながら追いついてきたレズリーである。

「……楽しそうだな、アンタ」
「そう見えるか!?」
「フン」

半ば呆れたような表情のままそっぽを向いてしまうレズリー。
朝方のような怒りの色こそないようだったが、森崎への悪感情は払拭されていないらしい。

「ふ〜! ね、お姉ちゃん、どうしたの?」

と、一通りまとわりついて満足したのか、しばらくするとロリィは森崎から離れてレズリーの方へと駆けていく。
ぽふ、とその胸に顔を埋めたロリィが見上げるのへ、レズリーが一転して微笑を向ける。

「何でもないさ」
「ふ〜ん」

蜂蜜色の巻き毛を手櫛で梳く、その微笑はどこまでもやわらかい。
そんな顔もできるのか、と内心で思いながら森崎が口を開く。

「いいから、子供は早く家に帰れよ。親が心配すんぞ」
「あー、違うよ、お兄ちゃん!」
「違う……?」

657 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/07/12(木) 00:31:10 ID:???
ムッとしたような顔で何かを言い返そうとしたレズリーよりも早く、ロリィが森崎に反論する。

「今日は夏至祭だよ! だから夜まで遊んでてもいい日なんだもーん!」
「夏至祭……?」

首を捻る森崎が記憶を辿る。

『そういえば、新聞にそんなことも書いてあったね』
「そうだっけか……? まあ、夏至を祝うのは珍しいことじゃないが……今日だったのか」
『訓練漬けだと日にちの感覚がなくなるから嫌だねえ』

そんなことを小声で言い合う森崎に、ロリィが続ける。

「ロリィたち、一回お家に帰って、着替えてきてるんだよ!
 パパとママにも、ちゃんと言ってきたから大丈夫!」

そう言って笑ったロリィが、くるりと回ってみせる。
まったく意識していなかったが、言われてみれば二人とも私服である。
ロリィが着ているのはフリルとレース、そして花飾りがたっぷりと散らされた黄色のワンピース。
夏物らしく肩口が大きく開いた、少女趣味というよりはそのもの児童が着るような、可愛らしい服である。
一方、森崎から少し離れたところで仏頂面を浮かべるレズリーが身に着けているのは、
ロリィのそれとは見事に対照的であった。
気の強さを体現したような、波打つ亜麻色の髪を無造作に後ろへと流した彼女が着るのは
ノースリーブの襟付きシャツにレザーのスカート。
色はどちらも黒を基調としてワンポイントにブラウン、ワインレッドが配置されている。
ぴったりと身体に貼りつくようなデザインは、すらりと背が高く、一見スレンダーに思える
そのラインの下から女性らしい膨らみがしっかりと自己主張するのを助けていた。
スカートから伸びる太腿から膝、ふくらはぎにかけては細くしなやかで、しかし僅かに肉のついた
その脚は、見る者が見れば即座に金を積むだろう。
実際、周囲の視線が様子を窺うようにちらちらと彼女の方へと向けられている。
どうやらレズリーは学生らしからぬ、既に完成されつつある肢体の持ち主であるようだった。

658 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/07/12(木) 00:32:12 ID:YJMbmozk

「……何、見てんだよ。オジサン」

視線に気づいたのか、胸元を隠すようにしながら不審げに目を細めるレズリー。
吊り上がり気味の端正な目が細められると奇妙な迫力が出る。

「なにィ!? お、おじさん!?」
『うわー。若いコはザンコクだねえ』
「お、俺はただ―――」


*選択

A レズリーの服を褒める

B ロリィの服を褒める

C とりあえず誤魔化そう

D レズリーの身体を褒める(必要CP:1)


森崎の行動としてどれか一つを選択して下さい。
その際【選択理由】を必ず付記していただくようお願いいたします。
またCを選ぶ場合は「どう誤魔化すか」の【手段】も併記して下さい。
期限は『7/12 23:00』です。

659 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/07/12(木) 00:35:42 ID:???
******

服飾については時代性を無視する方向に開き直りつつあります…ってまあ、
そもそも描写しないという手もあるんですが。
といったところで、本日の更新はこれまでとさせていただきます。
夜遅くまでのお付き合い、ありがとうございました。
それではまた、次回更新にて。

660 :さら ◆KYCgbi9lqI :2012/07/12(木) 11:01:47 ID:???
C森崎が最近オシャレ初心者になった事を伝える。。
だから女性や男性のオシャレな服を自分に取り入れられないかと熱心に見てしまう。
そしてロリィの服は似合ってるが参考にならない。だがレズリーの服は参考になるかなと思い、熱心にみてしまった。
だが不快になったなら申し訳ないと謝る。

661 :見てる人 ◆S/MUyCtQBg :2012/07/12(木) 21:27:24 ID:???
A 素直に似合ってると言う。あんまり言葉を並べると、エロ崎になってしまう。
  Bだと、エロリ崎になってしまううえに、レズリーの反感もらいそうだし。

662 :◆9OlIjdgJmY :2012/07/12(木) 21:55:02 ID:???
A 正直に見とれていたと言いたいです。
どんなリアクションとるのか気になるので。

663 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/07/13(金) 00:38:32 ID:???

皆様、ご回答ありがとうございます。
それでは早速、>>658の選択については……

>>660 さら ◆KYCgbi9lqI様の回答を採用させていただきます!
獲得した称号も織り込みながらの話法、流れが実に素晴らしいですね。
こうも完成度が高いご回答には何も言うことがありません!
CP3を進呈いたします。


>>661
はい、下手な言い訳だと余計に怒らせてしまいそうな場面でしたので、
素直な言葉も決して悪い選択ではありませんでしたね。
しかしエロリ崎とは……もはや原型を留めていないですねw

>>662
Aの選択結果から少しだけ抜粋すると、

>「あ、アンタがおかしなこと言うからだろっ!」
>「おかしなことも何も……つーか、お前くらいならよく言われてんだろ、このくらい」
>「アタシくらいならって何だよ!」
>「いや、お前くらいキレイならって話だが」
>「……っ!」

こんな感じでしたね。
……悪い大人が若い子たぶらかしてる感に満ちあふれています。


ご回答いただいた皆様にそれぞれEP1を進呈いたします。

664 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/07/13(金) 00:40:04 ID:???
C >>660

***


「あー……お前、ロムロ坂って知ってるか?」
「はァ? ……当たり前じゃん」

唐突に出てきた単語に機先を制され、レズリーが困惑したように答える。
まずは奇襲成功であった。

「俺こないだ、初めてあそこに行ってさ。……なんつーか、負けるかって気になったんだよ。
 あそこ歩いてて、お、あの東洋人、なかなかいいじゃん、みたいに言われるようになりてえな、って」
「……」

話の流れが見えず、黙り込むレズリー。

「ああいうとこ、初めて行くとさ。すげえ敗北感に打ちのめされるってこと、ねえか?
 うわ、今の俺すげえレベル低くて恥ずかしい、帰りてえ、何でこんなとこ来ちまったんだ、って」
「……」
「でもその一方で、どっか……あるんだよな。ここに馴染めりゃ、もしかして今までとは
 全然違う自分になれるんじゃねえか。昨日までとは断然違う明日になるんじゃねえか。
 そんな、根拠もねえけど、期待しちまうって感じ」
「……そういうのは、ちょっとわかる、けど」

話に飲まれたように、レズリーが相槌を打ってしまう。
その様子に一つ頷いた森崎が、続ける。

665 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/07/13(金) 00:41:05 ID:???
「で、どうすりゃそうなれるかって考えたらよ。一番早ぇのはやっぱ、見て盗むってことなんだよな」
「盗む……?」
「職人の世界じゃよく言うんだぜ? 技術は教えてもらうもんじゃない、自分の目で見て盗めって。
 要は、観察して、分析して、自分の中でしっかり噛み砕きながらモノにしてけってことさ」
「……」
「つーわけで、俺は決めたのさ。イケてるヤツがいたら、まずばっちり見て」

と、一拍置いて森崎が口の端を上げる。

「そいつの技ン中で盗めるもんがあるなら、手前ぇのもんにしちまおうって、さ。
 ま、ロリィの方は……いくら似合ってても俺に持ってこれるもんはなさそうだったからよ。
 ついお前の方をじっと見ちまった。気分、損ねちまったなら謝るよ。悪かった」

頭を下げる森崎。
対するレズリーはといえば、振り上げた拳の下ろしどころをなくしたように眉根を寄せながら、
しかし何を言うこともできず視線を逸らし、あちらこちらを見回すふりをしていた。

「……。……、あ、……」

しばらくそうして口を何度か開けては閉じ、閉じては開けて何事かを言おうとしていたレズリーが、
ようやく言葉を見つけたのか声を上げようとした瞬間、棒立ちになっていたその身体に飛びついた者がいる。
無論のこと、ロリィであった。

「うん! お姉ちゃん、とってもステキだもんね! わ〜い、お兄ちゃんもそう思ってたんだ!
 ロリィとおんなじだね!」
「あ、ああ……」

まあ、妙にツンケンしたところがなけりゃあ余計にいいな、という言葉はグッと飲み込んで曖昧に頷く森崎。
レズリーもまた、ロリィに向かってややぎこちなく笑みを形作ってみせる。

666 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/07/13(金) 00:42:07 ID:???
「……そ、そうだよな! ありがと、ロリィ! ロリィがそう言ってくれるのは嬉しいよ」
「うん! お姉ちゃん、カッコ良くってステキ! ロリィ、お姉ちゃんだ〜い好き!」

ロリィが、という部分を露骨に強調しながら言ったレズリーは、森崎の方を見ようとしない。
まとわりつくロリィの、ふわふわとした髪を撫でつけるようにしている。
その感覚が心地良いのか、ロリィは満々の笑みでレズリーに体重を預けていた。
そんな様子に小さく肩をすくめた森崎が、じゃあ気をつけてな、と片手を上げて踵を返そうとする、
その背中をむんずと掴むように、ロリィの声が飛ぶ。

「そうだ! ねぇ、お兄ちゃんもいっしょにお祭りに行こうよ!」
「なにィ!?」


******


※称号が『気のいい無難派オサレ・三級』になりました。

効果:即時、魅力+5


******

667 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/07/13(金) 00:43:24 ID:???
何が悲しくて疲れた身体で子守なんぞ、と。
答えようとした森崎の口を閉ざさせたのは、

「……どうせあの東洋人は失敗するって」
「だよな、なら次は俺たちが行こうぜ」

耳に飛び込んできた、ひそひそとした会話である。
そっと目線だけを動かせば、何やらこそこそと打ち合わせに興じる若者たちの姿があった。
冴えない風体にどんよりと薄暗いオーラ。
いかにも女っ気に縁がなく、飢えていそうな一団である。

「……あんなマブ、祭りの日に放っとく手はねえよ」
「けどよ、コブ付きみてえだぜ。妹かなんかしらんけど、あのガキ邪魔くさくね?」
「テキトーに撒いちまえばいいだろ」
「じゃ、じゃあ……あ、あの子はオ、オラが、デ、デートする」
「ゲェ、お前ナンデスだったのかよ……もしかして、キルト人って皆そうなのか」
「一緒にすんな! コイツだけだ、コイツだけ!」

楽しそうだな、と声をかけて、まとめて路地裏に引きずり込みたい。
真剣にそう思った森崎が、大きなため息をついて口を開いた―――。

668 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/07/13(金) 00:47:31 ID:ZQ9+jM+g
*選択

A 「仕方ねえ……ちょっとだけだぞ」 仕方なく同行する。

B 「……祭りと聞いちゃあ、黙ってらんねえしな!」 開き直って祭りを楽しむ。

C 「子供は家に帰って寝る時間だ!」 どうにか彼女たちを家に帰そうとする。


森崎の行動としてどれか一つを選択して下さい。
その際【選択理由】を必ず付記していただくようお願いいたします。
期限は『7/13 23:30』です。


******


今回提示された【手段】で「礼法」も少しだけ上がっています、といったところで
本日の更新はこれまでとさせていただきます。
夜遅くまでのお付き合い、ありがとうございました。
それではまた、次回更新にて。

669 :さら ◆KYCgbi9lqI :2012/07/13(金) 15:50:18 ID:???
A男達の声が聞こえてしまった以上、用心棒代わりに付き添ってあげるってのも良いと思います。
それにロリィに興味のある男はチェックしときたいですね。犯罪者予備軍かも知れませんので。

670 :◆W1prVEUMOs :2012/07/13(金) 20:15:44 ID:???

狼共の会話を聞いた以上スルーはできないが、Aだと好感度上げてしまう恐れがあるので
女性問題で苦労したくないのでヒロインは一人に絞りたい

671 :森崎名無しさん:2012/07/13(金) 22:22:25 ID:???
A「疲れているけど狼どもに喰わせるわけにもいかねえか」
という現在の心境に一番合致してそうなので。

あと、ツンデレにはツンデレ気味に対抗しようということでw

672 :◆9OlIjdgJmY :2012/07/13(金) 22:24:34 ID:???
すみません、>>671に名前を忘れてました。

673 :源氏 ◆rLDAH8Hy8Y :2012/07/13(金) 22:32:59 ID:???
B

大きな声で賑やかに楽しむことで周りの注目を集め、男たちへの牽制になるかもしれない。
森崎の声を聞きつけた知り合いが合流してくれたら更に助かるかな。
当然のことだけど帰りはちゃんと送り届ける!

674 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/07/14(土) 20:37:11 ID:???

皆様、ご回答ありがとうございます。
それでは早速、>>668の選択については……

>>669 さら ◆KYCgbi9lqI様の回答を採用させていただきます!
意識されてのものかどうかは分かりかねますが、二行目、大ファインプレーです。
このタイミング、この選択肢でしか切れない鬼札をピンポイントで切ってこられた回答には正直、脱帽です。
これでロリィのワーストエンドルートは七割方回避されたのではないでしょうか。
通常のCP3に加え、+CP3を進呈いたします!

また>>673 源氏 ◆rLDAH8Hy8Y様の、ここで森崎の知り合いを投入するというアイデア、いただきです。
ちゃっかり本編に反映させていただきますので、CP2を進呈いたします。


675 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/07/14(土) 20:38:26 ID:???

>>670
申し訳ありません、しっかりと説明してしまうべきかを迷っている内に思わぬ誤解を
与えてしまったかもしれませんので、ここである程度補足させていただきます。

特定のヒロインと積極的に親しくなろうとせず、距離を置くような選択をされたとしても、
(あるいはもっと思い切って突き放すような選択をされたとしても)その距離感を反映したままで
イベントは展開され、森崎は否応なくその渦に巻き込まれていくことになります。
また各ヒロインの出番はいわゆる「お当番回」制ですので、好感度でそのヒロインの出番が減ることや
(勿論、感情の積み重ね次第で経緯は大きく変わっていくことになりますが)ルートそのものが
消滅するといったことは、原則としてないものとお考え下さい。

この辺り、もし強いご要望がありましたら詳細に説明させていただきますが、プレイヤーの皆様との
認識の齟齬を防ぐべく公開させていただくにせよ核心に近い攻略情報となる可能性がありますので、
今回はここまでの説明に留めさせていただきます。

翻りまして、女性問題のみならず人間関係での苦難は……これは申し訳ありません、本作においては
避けては通れない難関であるとお考えいただければと存じます。
戦争馬鹿に徹しようとしても、名を上げれば様々な人間が様々な思惑を持って近づいてくるものです。


>>671-672
そうですね。損な性分ですが、それが現在の森崎のいいところでもあります。
果たして、ツンデレ合戦は吉と出るか凶と出るか……?

676 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/07/14(土) 20:39:30 ID:???
***

A 「……ちょっとだけだぞ」 仕方なく同行する。


「わ〜い! お兄ちゃんもいっしょにお祭りだ!」
「……チッ」

無邪気に喜ぶロリィ、そして舌打ちするレズリーの前で森崎が油断なく目を配っていたのは、
先ほどからこそこそと女漁りの相談に興じる一団である。
つまらない連中ではあったが、その中でも一人、ロリィにちらちらと秋波を送る太った男の気配は
森崎の本能的な警戒心を呼び起こしていた。
あの男、どこか良くない目をしている。
そんな根拠もない直感であったが、しかし森崎をして幾多の戦場を生き延びさせてきたのは
紛れもなくこの直感である。

「……キルト人、か」
『中東圏に近い方の人たちだよね。確か、この国では……』
「建築、それも古い遺跡だの神殿だのの修繕を専門にするギルドを仕切ってるな」

口の中で呟く森崎に、どこからともなく舞い降りたピコが答える。
この数ヶ月で目にし、耳にしてきた情報を記憶から掘り起こす森崎。
多数派を形成し得ぬ移民や少数民族は、得てして同じ業種に身を寄せることが多い。
結果的にその特定業種における人種比率が逆転し、寡占を遂げる現象もまま見られることであった。
ドルファンにおけるキルト人もまた、その一つである。

677 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/07/14(土) 20:40:32 ID:???
『でもキルト人って、大抵は背が高くてがっしりしてるよね。……あのヒトと違って』
「隣の男は典型的なキルトって感じだけどな」

ぼそりと漏らしたピコの言葉通り、ロリィを横目で見やっている男はおよそキルト人の特徴とは程遠い。
労働帰りといった風情の汚れた肌着に、足元の赤土に汚れた頑丈なブーツ、浅黒い肌や砂色の髪こそ
隣の男と似通っていたものの、共通点はそれだけである。
背が低く、いかにも締まりのない体つき。
そして何より肉に埋もれそうな、垂れ下がった眼尻から漏れ出る粘着質の気配。

「……見て見ぬふり、ってわけにもいかねえしな」
『お兄ちゃんもタイヘンだねえ』

茶化すようにピコの言う、その向こうではレズリーが時折森崎を睨むようにしながら
ロリィに食い下がっている。

「おいロリィ、何だってこんなヤツを……」
「だってお兄ちゃんもいっしょのほうがぜ〜ったい、楽しいもん!」
「そうは言ってもな……」

なおも渋るレズリーにロリィが擦り寄り、頤を上げてその瞳を覗き込む。
ほとんど鼻の頭同士が触れ合うような、背徳的な光景を想起させる近さである。

「……だめ?」

潤んだ瞳に間近で見つめられたレズリーが、くぅ、と奇妙な唸り声を漏らす。
しばらくそうして視線を絡ませ合っていたが、やがて大きなため息をついて頷いた。

「ロリィにはかなわないな……」
「わ〜い! だからお姉ちゃん好き〜!」

678 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/07/14(土) 20:41:33 ID:???
「……勘違いすんなよ、アンタ」

抱きつくロリィを苦笑混じりに撫でながら、森崎を睨みつけるときにだけ
器用に眼光を強めて、レズリーが言う。

「アンタみたいなのを一人にしておくよりは、傍で監視してたほうが安全だってだけだからな」
「お前、いったい俺を何だと思ってんだ!?」
「いいか! ロリィに手を出そうとしたらタダじゃおかないからな!」
「出すかバカ!」
「フン、どうだかね」

鼻を鳴らしたレズリーの腰にべったりと貼り付きながら、ロリィが森崎の方へ笑顔を向ける。

「大丈夫だよ、お姉ちゃん。お兄ちゃんはちゃ〜んとロリィを守ってくれるもん! ね!」
「ね! って言われてもなあ……」

天を仰いだ森崎の目に映るのは、すっかり暗くなった夜空に輝く星々と、
にやにやと状況を見守っていたらしき、小さな相棒の姿である。

『ま、ガンバッてね、お兄ちゃん!』


***

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