キャプテン森崎 Vol. II 〜Super Morisaki!〜
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異邦人モリサキ

1 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/01(金) 00:31:21 ID:Hgnh9qno


本作は恋愛SLG『みつめてナイト』を基にした二次創作です。

騎士の時代が終わりつつある南欧は架空の小国、ドルファン王国。
戦火の迫るこの国に傭兵として降り立った東洋人、森崎有三の体験する
波乱万丈の三年間を描きます。


独自要素が強いため、外伝スレを経ずにスレを立てさせていただきました。
ご容赦下さいませ。



656 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/07/12(木) 00:28:32 ID:???
「わ〜い、お兄ちゃんだ!」

巻き毛の少女、ロリィが人ごみをかき分けてすっかりその姿を表すと、駆けてきた勢いそのままに跳んだ。
朝の再現のような光景に、このことを半ば予想していた森崎がその小さな体を渋々ながらも抱きとめる。

「こら! いきなり何するんだ、お前は」
『ひゅ〜ひゅ〜、妬けちゃうね〜』

無責任に囃し立てるピコの相手をする余裕もなく腰の辺りにまとわりつくロリィを引き剥がそうとする森崎に
冷たい声をかけるのは、当然ながら追いついてきたレズリーである。

「……楽しそうだな、アンタ」
「そう見えるか!?」
「フン」

半ば呆れたような表情のままそっぽを向いてしまうレズリー。
朝方のような怒りの色こそないようだったが、森崎への悪感情は払拭されていないらしい。

「ふ〜! ね、お姉ちゃん、どうしたの?」

と、一通りまとわりついて満足したのか、しばらくするとロリィは森崎から離れてレズリーの方へと駆けていく。
ぽふ、とその胸に顔を埋めたロリィが見上げるのへ、レズリーが一転して微笑を向ける。

「何でもないさ」
「ふ〜ん」

蜂蜜色の巻き毛を手櫛で梳く、その微笑はどこまでもやわらかい。
そんな顔もできるのか、と内心で思いながら森崎が口を開く。

「いいから、子供は早く家に帰れよ。親が心配すんぞ」
「あー、違うよ、お兄ちゃん!」
「違う……?」

657 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/07/12(木) 00:31:10 ID:???
ムッとしたような顔で何かを言い返そうとしたレズリーよりも早く、ロリィが森崎に反論する。

「今日は夏至祭だよ! だから夜まで遊んでてもいい日なんだもーん!」
「夏至祭……?」

首を捻る森崎が記憶を辿る。

『そういえば、新聞にそんなことも書いてあったね』
「そうだっけか……? まあ、夏至を祝うのは珍しいことじゃないが……今日だったのか」
『訓練漬けだと日にちの感覚がなくなるから嫌だねえ』

そんなことを小声で言い合う森崎に、ロリィが続ける。

「ロリィたち、一回お家に帰って、着替えてきてるんだよ!
 パパとママにも、ちゃんと言ってきたから大丈夫!」

そう言って笑ったロリィが、くるりと回ってみせる。
まったく意識していなかったが、言われてみれば二人とも私服である。
ロリィが着ているのはフリルとレース、そして花飾りがたっぷりと散らされた黄色のワンピース。
夏物らしく肩口が大きく開いた、少女趣味というよりはそのもの児童が着るような、可愛らしい服である。
一方、森崎から少し離れたところで仏頂面を浮かべるレズリーが身に着けているのは、
ロリィのそれとは見事に対照的であった。
気の強さを体現したような、波打つ亜麻色の髪を無造作に後ろへと流した彼女が着るのは
ノースリーブの襟付きシャツにレザーのスカート。
色はどちらも黒を基調としてワンポイントにブラウン、ワインレッドが配置されている。
ぴったりと身体に貼りつくようなデザインは、すらりと背が高く、一見スレンダーに思える
そのラインの下から女性らしい膨らみがしっかりと自己主張するのを助けていた。
スカートから伸びる太腿から膝、ふくらはぎにかけては細くしなやかで、しかし僅かに肉のついた
その脚は、見る者が見れば即座に金を積むだろう。
実際、周囲の視線が様子を窺うようにちらちらと彼女の方へと向けられている。
どうやらレズリーは学生らしからぬ、既に完成されつつある肢体の持ち主であるようだった。

658 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/07/12(木) 00:32:12 ID:YJMbmozk

「……何、見てんだよ。オジサン」

視線に気づいたのか、胸元を隠すようにしながら不審げに目を細めるレズリー。
吊り上がり気味の端正な目が細められると奇妙な迫力が出る。

「なにィ!? お、おじさん!?」
『うわー。若いコはザンコクだねえ』
「お、俺はただ―――」


*選択

A レズリーの服を褒める

B ロリィの服を褒める

C とりあえず誤魔化そう

D レズリーの身体を褒める(必要CP:1)


森崎の行動としてどれか一つを選択して下さい。
その際【選択理由】を必ず付記していただくようお願いいたします。
またCを選ぶ場合は「どう誤魔化すか」の【手段】も併記して下さい。
期限は『7/12 23:00』です。

659 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/07/12(木) 00:35:42 ID:???
******

服飾については時代性を無視する方向に開き直りつつあります…ってまあ、
そもそも描写しないという手もあるんですが。
といったところで、本日の更新はこれまでとさせていただきます。
夜遅くまでのお付き合い、ありがとうございました。
それではまた、次回更新にて。

660 :さら ◆KYCgbi9lqI :2012/07/12(木) 11:01:47 ID:???
C森崎が最近オシャレ初心者になった事を伝える。。
だから女性や男性のオシャレな服を自分に取り入れられないかと熱心に見てしまう。
そしてロリィの服は似合ってるが参考にならない。だがレズリーの服は参考になるかなと思い、熱心にみてしまった。
だが不快になったなら申し訳ないと謝る。

661 :見てる人 ◆S/MUyCtQBg :2012/07/12(木) 21:27:24 ID:???
A 素直に似合ってると言う。あんまり言葉を並べると、エロ崎になってしまう。
  Bだと、エロリ崎になってしまううえに、レズリーの反感もらいそうだし。

662 :◆9OlIjdgJmY :2012/07/12(木) 21:55:02 ID:???
A 正直に見とれていたと言いたいです。
どんなリアクションとるのか気になるので。

663 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/07/13(金) 00:38:32 ID:???

皆様、ご回答ありがとうございます。
それでは早速、>>658の選択については……

>>660 さら ◆KYCgbi9lqI様の回答を採用させていただきます!
獲得した称号も織り込みながらの話法、流れが実に素晴らしいですね。
こうも完成度が高いご回答には何も言うことがありません!
CP3を進呈いたします。


>>661
はい、下手な言い訳だと余計に怒らせてしまいそうな場面でしたので、
素直な言葉も決して悪い選択ではありませんでしたね。
しかしエロリ崎とは……もはや原型を留めていないですねw

>>662
Aの選択結果から少しだけ抜粋すると、

>「あ、アンタがおかしなこと言うからだろっ!」
>「おかしなことも何も……つーか、お前くらいならよく言われてんだろ、このくらい」
>「アタシくらいならって何だよ!」
>「いや、お前くらいキレイならって話だが」
>「……っ!」

こんな感じでしたね。
……悪い大人が若い子たぶらかしてる感に満ちあふれています。


ご回答いただいた皆様にそれぞれEP1を進呈いたします。

664 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/07/13(金) 00:40:04 ID:???
C >>660

***


「あー……お前、ロムロ坂って知ってるか?」
「はァ? ……当たり前じゃん」

唐突に出てきた単語に機先を制され、レズリーが困惑したように答える。
まずは奇襲成功であった。

「俺こないだ、初めてあそこに行ってさ。……なんつーか、負けるかって気になったんだよ。
 あそこ歩いてて、お、あの東洋人、なかなかいいじゃん、みたいに言われるようになりてえな、って」
「……」

話の流れが見えず、黙り込むレズリー。

「ああいうとこ、初めて行くとさ。すげえ敗北感に打ちのめされるってこと、ねえか?
 うわ、今の俺すげえレベル低くて恥ずかしい、帰りてえ、何でこんなとこ来ちまったんだ、って」
「……」
「でもその一方で、どっか……あるんだよな。ここに馴染めりゃ、もしかして今までとは
 全然違う自分になれるんじゃねえか。昨日までとは断然違う明日になるんじゃねえか。
 そんな、根拠もねえけど、期待しちまうって感じ」
「……そういうのは、ちょっとわかる、けど」

話に飲まれたように、レズリーが相槌を打ってしまう。
その様子に一つ頷いた森崎が、続ける。

665 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/07/13(金) 00:41:05 ID:???
「で、どうすりゃそうなれるかって考えたらよ。一番早ぇのはやっぱ、見て盗むってことなんだよな」
「盗む……?」
「職人の世界じゃよく言うんだぜ? 技術は教えてもらうもんじゃない、自分の目で見て盗めって。
 要は、観察して、分析して、自分の中でしっかり噛み砕きながらモノにしてけってことさ」
「……」
「つーわけで、俺は決めたのさ。イケてるヤツがいたら、まずばっちり見て」

と、一拍置いて森崎が口の端を上げる。

「そいつの技ン中で盗めるもんがあるなら、手前ぇのもんにしちまおうって、さ。
 ま、ロリィの方は……いくら似合ってても俺に持ってこれるもんはなさそうだったからよ。
 ついお前の方をじっと見ちまった。気分、損ねちまったなら謝るよ。悪かった」

頭を下げる森崎。
対するレズリーはといえば、振り上げた拳の下ろしどころをなくしたように眉根を寄せながら、
しかし何を言うこともできず視線を逸らし、あちらこちらを見回すふりをしていた。

「……。……、あ、……」

しばらくそうして口を何度か開けては閉じ、閉じては開けて何事かを言おうとしていたレズリーが、
ようやく言葉を見つけたのか声を上げようとした瞬間、棒立ちになっていたその身体に飛びついた者がいる。
無論のこと、ロリィであった。

「うん! お姉ちゃん、とってもステキだもんね! わ〜い、お兄ちゃんもそう思ってたんだ!
 ロリィとおんなじだね!」
「あ、ああ……」

まあ、妙にツンケンしたところがなけりゃあ余計にいいな、という言葉はグッと飲み込んで曖昧に頷く森崎。
レズリーもまた、ロリィに向かってややぎこちなく笑みを形作ってみせる。

666 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/07/13(金) 00:42:07 ID:???
「……そ、そうだよな! ありがと、ロリィ! ロリィがそう言ってくれるのは嬉しいよ」
「うん! お姉ちゃん、カッコ良くってステキ! ロリィ、お姉ちゃんだ〜い好き!」

ロリィが、という部分を露骨に強調しながら言ったレズリーは、森崎の方を見ようとしない。
まとわりつくロリィの、ふわふわとした髪を撫でつけるようにしている。
その感覚が心地良いのか、ロリィは満々の笑みでレズリーに体重を預けていた。
そんな様子に小さく肩をすくめた森崎が、じゃあ気をつけてな、と片手を上げて踵を返そうとする、
その背中をむんずと掴むように、ロリィの声が飛ぶ。

「そうだ! ねぇ、お兄ちゃんもいっしょにお祭りに行こうよ!」
「なにィ!?」


******


※称号が『気のいい無難派オサレ・三級』になりました。

効果:即時、魅力+5


******

667 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/07/13(金) 00:43:24 ID:???
何が悲しくて疲れた身体で子守なんぞ、と。
答えようとした森崎の口を閉ざさせたのは、

「……どうせあの東洋人は失敗するって」
「だよな、なら次は俺たちが行こうぜ」

耳に飛び込んできた、ひそひそとした会話である。
そっと目線だけを動かせば、何やらこそこそと打ち合わせに興じる若者たちの姿があった。
冴えない風体にどんよりと薄暗いオーラ。
いかにも女っ気に縁がなく、飢えていそうな一団である。

「……あんなマブ、祭りの日に放っとく手はねえよ」
「けどよ、コブ付きみてえだぜ。妹かなんかしらんけど、あのガキ邪魔くさくね?」
「テキトーに撒いちまえばいいだろ」
「じゃ、じゃあ……あ、あの子はオ、オラが、デ、デートする」
「ゲェ、お前ナンデスだったのかよ……もしかして、キルト人って皆そうなのか」
「一緒にすんな! コイツだけだ、コイツだけ!」

楽しそうだな、と声をかけて、まとめて路地裏に引きずり込みたい。
真剣にそう思った森崎が、大きなため息をついて口を開いた―――。

668 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/07/13(金) 00:47:31 ID:ZQ9+jM+g
*選択

A 「仕方ねえ……ちょっとだけだぞ」 仕方なく同行する。

B 「……祭りと聞いちゃあ、黙ってらんねえしな!」 開き直って祭りを楽しむ。

C 「子供は家に帰って寝る時間だ!」 どうにか彼女たちを家に帰そうとする。


森崎の行動としてどれか一つを選択して下さい。
その際【選択理由】を必ず付記していただくようお願いいたします。
期限は『7/13 23:30』です。


******


今回提示された【手段】で「礼法」も少しだけ上がっています、といったところで
本日の更新はこれまでとさせていただきます。
夜遅くまでのお付き合い、ありがとうございました。
それではまた、次回更新にて。

669 :さら ◆KYCgbi9lqI :2012/07/13(金) 15:50:18 ID:???
A男達の声が聞こえてしまった以上、用心棒代わりに付き添ってあげるってのも良いと思います。
それにロリィに興味のある男はチェックしときたいですね。犯罪者予備軍かも知れませんので。

670 :◆W1prVEUMOs :2012/07/13(金) 20:15:44 ID:???

狼共の会話を聞いた以上スルーはできないが、Aだと好感度上げてしまう恐れがあるので
女性問題で苦労したくないのでヒロインは一人に絞りたい

671 :森崎名無しさん:2012/07/13(金) 22:22:25 ID:???
A「疲れているけど狼どもに喰わせるわけにもいかねえか」
という現在の心境に一番合致してそうなので。

あと、ツンデレにはツンデレ気味に対抗しようということでw

672 :◆9OlIjdgJmY :2012/07/13(金) 22:24:34 ID:???
すみません、>>671に名前を忘れてました。

673 :源氏 ◆rLDAH8Hy8Y :2012/07/13(金) 22:32:59 ID:???
B

大きな声で賑やかに楽しむことで周りの注目を集め、男たちへの牽制になるかもしれない。
森崎の声を聞きつけた知り合いが合流してくれたら更に助かるかな。
当然のことだけど帰りはちゃんと送り届ける!

674 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/07/14(土) 20:37:11 ID:???

皆様、ご回答ありがとうございます。
それでは早速、>>668の選択については……

>>669 さら ◆KYCgbi9lqI様の回答を採用させていただきます!
意識されてのものかどうかは分かりかねますが、二行目、大ファインプレーです。
このタイミング、この選択肢でしか切れない鬼札をピンポイントで切ってこられた回答には正直、脱帽です。
これでロリィのワーストエンドルートは七割方回避されたのではないでしょうか。
通常のCP3に加え、+CP3を進呈いたします!

また>>673 源氏 ◆rLDAH8Hy8Y様の、ここで森崎の知り合いを投入するというアイデア、いただきです。
ちゃっかり本編に反映させていただきますので、CP2を進呈いたします。


675 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/07/14(土) 20:38:26 ID:???

>>670
申し訳ありません、しっかりと説明してしまうべきかを迷っている内に思わぬ誤解を
与えてしまったかもしれませんので、ここである程度補足させていただきます。

特定のヒロインと積極的に親しくなろうとせず、距離を置くような選択をされたとしても、
(あるいはもっと思い切って突き放すような選択をされたとしても)その距離感を反映したままで
イベントは展開され、森崎は否応なくその渦に巻き込まれていくことになります。
また各ヒロインの出番はいわゆる「お当番回」制ですので、好感度でそのヒロインの出番が減ることや
(勿論、感情の積み重ね次第で経緯は大きく変わっていくことになりますが)ルートそのものが
消滅するといったことは、原則としてないものとお考え下さい。

この辺り、もし強いご要望がありましたら詳細に説明させていただきますが、プレイヤーの皆様との
認識の齟齬を防ぐべく公開させていただくにせよ核心に近い攻略情報となる可能性がありますので、
今回はここまでの説明に留めさせていただきます。

翻りまして、女性問題のみならず人間関係での苦難は……これは申し訳ありません、本作においては
避けては通れない難関であるとお考えいただければと存じます。
戦争馬鹿に徹しようとしても、名を上げれば様々な人間が様々な思惑を持って近づいてくるものです。


>>671-672
そうですね。損な性分ですが、それが現在の森崎のいいところでもあります。
果たして、ツンデレ合戦は吉と出るか凶と出るか……?

676 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/07/14(土) 20:39:30 ID:???
***

A 「……ちょっとだけだぞ」 仕方なく同行する。


「わ〜い! お兄ちゃんもいっしょにお祭りだ!」
「……チッ」

無邪気に喜ぶロリィ、そして舌打ちするレズリーの前で森崎が油断なく目を配っていたのは、
先ほどからこそこそと女漁りの相談に興じる一団である。
つまらない連中ではあったが、その中でも一人、ロリィにちらちらと秋波を送る太った男の気配は
森崎の本能的な警戒心を呼び起こしていた。
あの男、どこか良くない目をしている。
そんな根拠もない直感であったが、しかし森崎をして幾多の戦場を生き延びさせてきたのは
紛れもなくこの直感である。

「……キルト人、か」
『中東圏に近い方の人たちだよね。確か、この国では……』
「建築、それも古い遺跡だの神殿だのの修繕を専門にするギルドを仕切ってるな」

口の中で呟く森崎に、どこからともなく舞い降りたピコが答える。
この数ヶ月で目にし、耳にしてきた情報を記憶から掘り起こす森崎。
多数派を形成し得ぬ移民や少数民族は、得てして同じ業種に身を寄せることが多い。
結果的にその特定業種における人種比率が逆転し、寡占を遂げる現象もまま見られることであった。
ドルファンにおけるキルト人もまた、その一つである。

677 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/07/14(土) 20:40:32 ID:???
『でもキルト人って、大抵は背が高くてがっしりしてるよね。……あのヒトと違って』
「隣の男は典型的なキルトって感じだけどな」

ぼそりと漏らしたピコの言葉通り、ロリィを横目で見やっている男はおよそキルト人の特徴とは程遠い。
労働帰りといった風情の汚れた肌着に、足元の赤土に汚れた頑丈なブーツ、浅黒い肌や砂色の髪こそ
隣の男と似通っていたものの、共通点はそれだけである。
背が低く、いかにも締まりのない体つき。
そして何より肉に埋もれそうな、垂れ下がった眼尻から漏れ出る粘着質の気配。

「……見て見ぬふり、ってわけにもいかねえしな」
『お兄ちゃんもタイヘンだねえ』

茶化すようにピコの言う、その向こうではレズリーが時折森崎を睨むようにしながら
ロリィに食い下がっている。

「おいロリィ、何だってこんなヤツを……」
「だってお兄ちゃんもいっしょのほうがぜ〜ったい、楽しいもん!」
「そうは言ってもな……」

なおも渋るレズリーにロリィが擦り寄り、頤を上げてその瞳を覗き込む。
ほとんど鼻の頭同士が触れ合うような、背徳的な光景を想起させる近さである。

「……だめ?」

潤んだ瞳に間近で見つめられたレズリーが、くぅ、と奇妙な唸り声を漏らす。
しばらくそうして視線を絡ませ合っていたが、やがて大きなため息をついて頷いた。

「ロリィにはかなわないな……」
「わ〜い! だからお姉ちゃん好き〜!」

678 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/07/14(土) 20:41:33 ID:???
「……勘違いすんなよ、アンタ」

抱きつくロリィを苦笑混じりに撫でながら、森崎を睨みつけるときにだけ
器用に眼光を強めて、レズリーが言う。

「アンタみたいなのを一人にしておくよりは、傍で監視してたほうが安全だってだけだからな」
「お前、いったい俺を何だと思ってんだ!?」
「いいか! ロリィに手を出そうとしたらタダじゃおかないからな!」
「出すかバカ!」
「フン、どうだかね」

鼻を鳴らしたレズリーの腰にべったりと貼り付きながら、ロリィが森崎の方へ笑顔を向ける。

「大丈夫だよ、お姉ちゃん。お兄ちゃんはちゃ〜んとロリィを守ってくれるもん! ね!」
「ね! って言われてもなあ……」

天を仰いだ森崎の目に映るのは、すっかり暗くなった夜空に輝く星々と、
にやにやと状況を見守っていたらしき、小さな相棒の姿である。

『ま、ガンバッてね、お兄ちゃん!』


***

679 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/07/14(土) 20:42:34 ID:???

カミツレの山々は南欧を縦断する大山系、ベルトニア山脈の南の切れ端である。
ドルファン東部を覆う山地を三本の指に見立てれば真ん中の指の爪の先に当たるその山肌に、
この夜だけは炎が灯っている。
夏至祭名物、カミツレの大火紋である。
赤々と燃える炎で山肌に描かれているのは国教の象徴たる十字架とそれを守護する剣。
そして、それらを見守るように位置するのが大きなイルカであった。
イルカはドルファンの国体、つまり王家の意匠である。
国教、騎士団、そして王家。
ドルファンという国家を形作るそれらの紋様は夜空に浮かぶ壮大な絵巻物となって人々の心を打つ。

「……それで、この人出かよ」

カミツレ高原駅にこれほどの人間が集まるのは、なるほど年に一度のことであろう。
乗合馬車から降りた森崎が思わず嘆息する、それは閑散とした田舎町という常の姿を
微塵も感じさせさない、おそるべき盛況ぶりだった。
先ほどのサウスドルファン駅周辺も混んでいるとは感じたが、祭りの中心だという
この付近に至ってはその数倍の人出があるようにすら思える。
先日の五月祭にも匹敵しようかという混雑、それも夜闇の中という状況に先の困難を予感する森崎。
彼に求められる役割は、彼自身が予感したように面倒に満ち溢れ、そしてまた予想していたより
遥かに多彩でもあるのだった。

680 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/07/14(土) 20:44:19 ID:Zpt/PnjI
人ごみを歩けばスリからの護衛。
隙あらば寄ってくるナンパへの壁。
挙句の果てには小遣いが底をついたロリィに駄菓子や飲み物を買ってやる小銭入れとして
八面六臂の大活躍を要求され、元から残り少ない体力と気力は次第にすり減っていく。

「ここまでとは聞いてねえぞ……俺一人で捌ききれるか?」

思わず呆然と呟いた森崎の耳に、

「モリサキ……?」

天からの助けの声が、聞こえた気がした。
振り返ると、そこには―――


*ドロー

振り返ればヤツがいる → ! card


※ ! と card の間のスペースを消してカードを引いて下さい。
結果によって展開が分岐します。

スペード→「奇遇だな、モリサキ」 息抜きに来ていたトニーニョだ!
ハート→「お前も隅に置けないな!」「え〜、誰?」 ネイと、それを囲む女のコたちだ!
ダイヤ→「―――」 誰もいない……空耳だったのだろうか?
クラブ→「あ、やっぱモリサキじゃん!」 嵐を呼ぶ女、キャロルだ! いつの間に名前を!?
JOKER→「戦を前に女遊びか……まだまだ鍛え方が足りんと見えるな」ヤング教官……と、隣の美女は誰?

681 :傍観者  ◆YtAW.M29KM :2012/07/14(土) 20:45:24 ID:???
振り返ればヤツがいる →  クラブ9
ガチで犯罪者予備軍だったのか・・怖い怖い。

682 :さら ◆KYCgbi9lqI :2012/07/14(土) 20:47:14 ID:???
【リダイス】
振り返ればヤツがいる →  クラブ2
全く意識してませんでした。

683 :傍観者  ◆YtAW.M29KM :2012/07/14(土) 20:47:17 ID:???
あー、ここでクラブは嫌だなあ。提案なんですが、
CP5を消費して「誰かに引きなおしてもらう」ってありですか?
責任はとりたいが自分の運に自信はないw
まあ、次の人にプレッシャーかけるようなのもまずいかも、ですが。

684 :さら ◆KYCgbi9lqI :2012/07/14(土) 20:50:01 ID:???
もう一度引き直す?

685 :ノータ ◆JvXQ17QPfo :2012/07/14(土) 20:51:24 ID:???
【リダイス】
振り返ればヤツがいる →  クラブ3


686 :ノータ ◆JvXQ17QPfo :2012/07/14(土) 20:52:24 ID:???
うげぇ

687 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/07/14(土) 20:53:12 ID:???
>>683
構造としては同じですし、

ルール改訂:
【代理消費】の適用範囲はリドローにも及ぶ。

とします。
代理消費されるのであれば、改めてアンカーで指定して下さいませ。


…しかし3連続ですか…。

688 :傍観者  ◆YtAW.M29KM :2012/07/14(土) 20:54:36 ID:???
じゃあ、私が払うので四人目お願いしますorz
先払いで【代理消費】CP5宣言ということで。

689 :さら ◆KYCgbi9lqI :2012/07/14(土) 20:59:29 ID:???
しばらくして引く人いなかったら自分で引いたら良いと思いますよ。

690 :傍観者  ◆YtAW.M29KM :2012/07/14(土) 21:00:16 ID:???
そですねー。21:10まで待とうと思います。

691 :傍観者  ◆YtAW.M29KM :2012/07/14(土) 21:11:04 ID:???
時間が来たので自分で振りまする。

【リダイス】
振り返ればヤツがいる →  スペード5

692 :◆W1prVEUMOs :2012/07/14(土) 21:57:21 ID:???
>>675
なるほど
ではイベントには全力で臨まないとプラスにはなりませんね

693 :見てる人 ◆S/MUyCtQBg :2012/07/14(土) 22:00:38 ID:???
【代理消費】 >>691 CP1
【代理消費】 >>685 CP1
【代理消費】 >>682 CP1
ナイス引き直しです

694 :◆9OlIjdgJmY :2012/07/14(土) 22:30:57 ID:???
【代理消費】 >>691 CP1
【代理消費】 >>685 CP1
【代理消費】 >>682 CP1
性犯罪者予備軍もいるのか…怖いw

695 :雑魚モブ ◆.xniaLTHMk :2012/07/14(土) 22:58:25 ID:???
【代理消費】 >>691 CP1
【代理消費】 >>685 CP1
【代理消費】 >>682 CP1

696 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/07/16(月) 00:55:02 ID:???
>>691
お見事です!
皆様の意地と粘り腰が実りましたね。


***


スペード→「奇遇だな、モリサキ」 息抜きに来ていたトニーニョだ!


「トニーニョ……!」

その日々見慣れているはずの仏頂面を目にした瞬間の、森崎の表情は筆舌に尽くし難い。

「ど、どうしたんだ、そんな顔をして」
「地獄に仏ってのは、あるもんだなぁ……」

小走りに駆け寄るやその手を握り、ほとんど胸に掻き抱かんばかりの森崎の様子に、
トニーニョが目を白黒させる。

「実はな、トニーニョ……」
「あれ、お兄ちゃん、その人、だあれ?」
「ぐっ……!」

言いかけた森崎の後ろから声がする。
目下頭痛の種たる少女の声だった。
振り返った森崎が、引きつる口の端を力一杯引き上げながら言う。

「あ、ああ……俺の、同じ釜の飯を食ってる仲間さ。ちょっと、そこで待っててくれるか」
「は〜い。あ、ねえお姉ちゃん、あれ可愛いよ!」

697 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/07/16(月) 00:56:03 ID:???
言われた側から安物のアクセサリーを並べた露店に目を輝かせて走っていくロリィ。
その鮮やかな黄色いワンピースの背中についた大きなリボンが揺れるのを見やりながら、
森崎が大きなため息をつく。

「あのお嬢さんは……? お前の妹、というわけでもなさそうだが……」
「ああ……実はな、トニーニョ」

向き直った森崎が、神妙な顔つきでトニーニョを見つめ、おもむろに頭を下げた。

「すまん……力を貸してくれ!」
「な……!?」

突然のことに驚くトニーニョを前に、森崎は頭を上げず不動を貫く。
それは、返答を待つ姿勢である。
利害や打算による交渉ではない、純粋に助力を請う姿。

「……お前がそんなことを言うのは初めてだな」

数秒の後、言ったトニーニョが小さく森崎の肩を叩く。

「いいさ。詳しく聞かせてくれ」

顔を上げた森崎が見たのは、どこか照れくさそうな、しかし笑みである。
初めて見る、トニーニョの笑顔であった。
思わずぽかんとその顔を見つめてしまう森崎。

「……? どうした」
「ああ、いや……」

誤魔化すように笑って、森崎が話しだす。

698 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/07/16(月) 00:57:04 ID:???
「力を貸してほしいってのは他でもねえ、あいつらのことなんだよ」

顎をしゃくって露店の指輪や首飾りに見入る少女二人を指す森崎。

「……言っておくが、俺も女性の扱いは苦手だぞ。そういうのはネイの専門だからな」
「ああ、安心してくれ……その手の艶っぽい話じゃねえから」

即座に首を振る森崎。
そうかと頷いたトニーニョに、簡単に事のあらましを説明する。

「ふむ……成る程、な」

話を聞いたトニーニョが、渋面を作って森崎に言う。

「人の頼みを断らんのはお前のいいところかもしれんが……あまり安請け合いばかりしていると、
 いつか身を滅ぼすぞ」
「ああ、肝に銘じとくよ……」

げんなりとした様子で言う森崎。

「まあ、自分でわかっているならいいさ。では、俺は周辺の哨戒と警護を担当するとしよう。
 お嬢さん方が楽しめるようなエスコートはモリサキ、お前に任せるぞ」
「助かるぜ……トニーニョ、この恩は必ず返すからな!」
「まあ、せいぜい期待して待っていようか」

苦笑したトニーニョが、目を細めて歩き出す。
早速、少女たちに近づこうとする男を見つけたようだった。



699 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/07/16(月) 00:58:06 ID:???
******


※称号が『気のいいトニーニョの友人』になりました。

スキル『トニーニョへの加護・A』を獲得しました。
種別:パッシブ/特殊
消費ガッツ:-
効果:ゲーム中一度だけ、トニーニョが死亡判定に失敗した際にそれを覆すことができる。
   このスキルは戦争パートだけでなく、イベント判定でも効果を発揮する。


******

700 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/07/16(月) 01:00:05 ID:???

「これ、おいしいね、お姉ちゃん!」
「ああ、ちょっとぼそぼそしてるけど……甘いのはいいな」

出店で買った焼き菓子を頬張りながら、少女たちは楽しそうに談笑している。
その脇を歩く森崎が、先を行くトニーニョが振り返ってちらりと目線を送ってくるのに小さく頷く。
ここらで少し時間を稼げ、という合図だった。

「……お、あれ見てみろよ、ロリィ」

立ち止まった森崎が、適当な出店の一つを指さして声を上げる。
もご、と焼き菓子を飲み込んだロリィがそちらを見るや、目を輝かせた。

「占い屋、相性から明日の運勢まで、何でも見通します、だって!
 ねえねえ、面白そうだよ、見てもらおうよ!」
「わ、ちょっと、ロリィ、あんま引っ張んないでって」

飛び上がるようにしてレズリーの腕を取ったロリィが、ゆさゆさとその体を揺さぶる。
と、ふと思い出したように森崎の方を向くロリィ。

「ねえ、お兄ちゃんはロリィとお姉ちゃん、どっちと占ってみたい?」
「な……!?」

突然の質問に、森崎の口から出た答えは―――


701 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/07/16(月) 01:03:37 ID:X3D80x1A
*選択

A そりゃあロリィだよ。

B まあ、レズリーかな。

C いっそ両方ってのはダメか?

D いや、俺、占いとかはちょっと……。


森崎の回答としてどれか一つを選択して下さい。
その際【選択理由】を必ず付記していただくようお願いいたします。
期限は『7/16 23:30』です。


******


といったところで、本日の更新はこれまでとさせていただきます。
夜遅くまでのお付き合い、ありがとうございました。
それではまた、次回更新にて。

702 :さら ◆KYCgbi9lqI :2012/07/16(月) 12:30:19 ID:???
A 最初はロリィと森崎が占うから、次はレズリーとロリィで占ってみたらと提案したいですね。
片方が一人で好き勝手な所行かれると付き添いにならないですから、これなら二人とも同じ所にいてくれるのではないかと思います。

703 :見てる人 ◆S/MUyCtQBg :2012/07/16(月) 12:33:38 ID:???
【ピココール】
ロリィって答えたら、レズリー怒るかな?手を出したらタダじゃおかないと言われてるし。
またロリィも、森崎がレズリーって答えるのを遠慮してるとか思われるかな?

704 :ピコ ◆ALIENo70zA :2012/07/16(月) 13:07:59 ID:???
>>703
まあレズリーってコは……怒るだろうねえ。
ロリィってコの方は、そんなに深いことは考えてないと思うけど……ていうか、
レズリーって答えが返ってくるかも、なんてこれっぽちも考えてないんじゃないかな?

705 :見てる人 ◆S/MUyCtQBg :2012/07/16(月) 13:48:15 ID:???
A
ピココールを受けて、無難にAで。ロリィも喜ぶだろうし、森崎もなんだかんだ楽しめるし。
レズリーへのフォローに関してですが、場の雰囲気を察してくれる・・・といいな。
それか、Cを交えたような・・・レズリーも占ってみる?って問いかけるのもアリかも。
トニーニョに任せてはいますが、ガチ犯罪者予備軍が暴れ出さないかが心配ですね。

706 :傍観者  ◆YtAW.M29KM :2012/07/16(月) 13:57:56 ID:???
あえてB。奇襲とか好きで御座る。

707 :◆9OlIjdgJmY :2012/07/16(月) 15:36:00 ID:???
B なんとかレズリーをつついてみたいというのもありますし

「『ロリィと占ってみたい』なんて言ったら
 お前のことが大好きな『お姉ちゃん』に怒られちまうからな。」
とでも軽口を叩けば、ロリィも臍は曲げないと思いまして。

708 :◆W1prVEUMOs :2012/07/16(月) 18:23:39 ID:???

レズリーが名前のとおり同性愛なら
自分に言い寄ってくる男より恋敵の方に警戒心を持つんじゃないかと思って

709 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/07/17(火) 00:17:53 ID:???
皆様、ご回答ありがとうございます。
それでは早速、>>701の選択については……

>>707 ◆9OlIjdgJmY様の回答を採用させていただきます!
台詞はほぼそのまま本編に採用させていただきました。
軽妙洒脱なフォローに思わず「やりおる……」と唸ってしまいましたよw
CP3を進呈いたします。


>>702
はい、ロリィを一人にすると平気でどこかへ行ってしまいますね。
今はトニーニョがカバーしてくれますが、これが誰もいないとか、ましてキャロルだと……。

>>705
レズリーは空気を読まない子ですね……本作の登場人物、特に女性は皆その傾向が強いですが、
その中でもなかなかのものです。
ちなみに強面なガードが睨みをきかせていますので、おかしな連中への判定は自動成功しています。

>>706
奇襲が有効なタイプ、逆に真正面から切り捨てるタイプ、理解できずにスルーしてしまうタイプ、
あるいは一笑に付すタイプ、理解した上でノリ良くつきあってくれるタイプ……。
十人十色ですが、レズリーはどのタイプでしょうね。

>>708
なんだか露骨にそれっぽいネーミングセンスですが……さて、どうでしょう?
……ちなみに原作のシナリオライターさんは物凄い凝り性だと思います。


ご回答いただいた皆様にそれぞれEP1を進呈いたします。

710 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/07/17(火) 00:19:15 ID:???
***


B まあ、レズリーかな。


「え?」
「な……!」

きょとんとするロリィの脇で、絶句したのはレズリーである。
ロリィを見、森崎を見て、占いの看板を見やったレズリーが最後にもう一度森崎に目を戻し、
平静を装おうと咳払いをしようとしてひとしきり噎せ、涙目のまま無理やり呼吸を整えて、
結局裏返った声のまま、言った。

「な、な、何を言ってんだよ、アンタ!?」
「何って……占うならお前とかな、って」
「ざ……ざっけんな! か、からかってんのか! からかってんだろ!?
 ア……アンタとの相性なんか最悪に決まってんだ! わざわざ占ってもらう必要なんかないね!
 そ、そうだ、アンタと占うくらいならあたしはあっちの人と一緒に入るよ!」

と、震える指で示したのは、少し離れた場所から横目でこちらの様子を窺っていた坊主頭の白人。
言わずと知れたトニーニョだった。

「俺か!?」

唐突に話題を振られ、ぎょっとしたように目をむくトニーニョ。
レズリーはといえば鼻息も荒く、半分血走ったような赤い目で森崎とトニーニョとを交互に睨んでいる。
今にも駆け出してトニーニョを占い屋のテントの中に引きずり込みそうな具合であった。
聞いてないぞ、何とかしろと訴えてくるトニーニョの視線に、森崎が口を開こうとする、その寸前。

「ぶ〜!」
「うわ、ロ、ロリィ!?」

711 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/07/17(火) 00:20:16 ID:???
頬をいっぱいに膨らませたロリィが、森崎とレズリーの間に割り込んできたのである。

「どうしてお兄ちゃん、ロリィといっしょにって言ってくれないの?
 お兄ちゃん、ロリィのこと、キライ?」
「いや、そうじゃねえよ」
「……?」

こういった流れになることは当然予測していた森崎が、混乱の極みで何かを怒鳴ろうとしていた
レズリーの機先を手振りで制し、慌てることもなくロリィに向かって言う。

「お前と占ってみたい、なんて言ったら……お前のことが大好きな『お姉ちゃん』に怒られちまうからな」
「……」

僅かな沈黙が降りた。
ぷく、と膨らんだ頬が、次第に萎んでいく。
彼女なりに、何かを黙考しているらしかった。

「……」
「……」
「……そっか! そうだね!」

どういった思考回路が、どういった経緯で働いたのかは森崎には見当もつかない。
つかないが、ともあれロリィは何事かを納得したようだった。
ぱあ、と曇り空が晴れるように、ロリィの顔に笑みが広がっていく。

「お姉ちゃん、ロリィと離れたらひとりになって、さびしくなっちゃうもんね!
 ……でもお兄ちゃん、それ、ぶっぶ〜、だよ! だって、お兄ちゃんがお姉ちゃんといっしょだったら、
 今度はロリィがさびしくなっちゃうもん! だから……お姉ちゃんと行くのは、だーめ!」
「……!? ロ、ロリィ……?」
「お姉ちゃんは、ロリィと占ってもらうんだもん! お兄ちゃんはそこで待っててね!」

712 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/07/17(火) 00:21:17 ID:???
べぇーっ、と可愛らしく舌を出して楽しげに笑うと、ロリィがレズリーの腕に飛びついた。
いまだ混乱の淵にあるレズリーは、わけもわからぬ内に引きずられていく。

「ああ、ま、行ってこい」

肩をすくめた森崎が、苦笑交じりに二人を送り出す。
怪しげな看板の下に垂れ下がった布をかき分けて中に入ろうとするその背を見守っていると、

「―――」

ふと、視線を感じた。
気付けばレズリーがテントの入口で振り返り、肩越しにこちらを見ているのだった。

「……ん? どうした」
「な……なんでもないよ!」

聞いた森崎に怒鳴り返すレズリーの表情は、推し量るのが難しい。
声音の通りに怒っているような、しかしどこか困ったような、そんな顔が見えたのは一瞬。
ぷい、と目を逸らすと、レズリーはすぐにテントの中へと入っていってしまう。

「……俺のような朴念仁が言うのもなんだがな、モリサキ」

と、背後。
すぐ近くの声は、いつの間に近づいてきたものか、トニーニョである。

「年端もいかない娘に、駆け引きを強いるな。戸惑っていただろう」
「そうか? 誰だってこういうのを越えて、いい女になっていくもんだと思うぜ、俺は」
「まったく、ネイのようなことを言うな……」
「それにまあ、」

腕組みをしたトニーニョが眉間に皺を寄せるのへ、森崎がどこかさばさばとした声音で、言う。

713 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/07/17(火) 00:22:22 ID:???
「どうせ俺たちゃ、明日をも知れねえ傭兵だ。後腐れがなくって、練習台にはちょうどいいだろ」
「……」
「おっと、そう怖い顔すんなよ。俺だって死にたがりってわけじゃねえ」
「……」
「……」

ぎろりと横目で睨んだトニーニョの方を、森崎は見ようとしない。
ただ口の端を上げ、薄く笑った表情を作ったまま、遠い山肌に燃える炎の絵を見上げている。
そんな森崎の様子にしばらく厳しい顔をしていたトニーニョだったが、やがて大きなため息をついて
口を開いた。

「……なら、いいさ」

首を振ったその眼前で、ゆらりとテントの入り口にかけられた布が揺れる。
それを見た森崎は、空気を変えるように殊更明るい声を作るのだった。

「と、出てきたみてえだな。……おーい、どうだった?」
「うん! ロリィたち、すご〜く仲良しだねえ、って!」

呼びかけるや駆け寄ってきて言うロリィは満面の笑顔である。
一歩、二歩を遅れてロリィの後をついてくるレズリーにも、森崎が訊く。

「そうだったのか?」
「あ、ああ……大体そんな感じさ」

歯切れの悪い返事を返すレズリーの顔は、どこかぼんやりとしているように見えた。

「……そうか」
「ああ、そうさ」

714 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/07/17(火) 00:23:22 ID:???
今度は何かを振り払うような、即答。
釈然としない森崎が尚も言い募ろうとすると、

「―――はて、そこのお主」

布の隙間から、嗄れた声がした。
声の主は、どうやらテントの中である。

「お主じゃ、外におられるお若いの」
「……お、俺か?」

思わず自分を指差す森崎。
一瞬トニーニョの方を見やり、その坊主頭が小さく頷くのを確認した森崎が軽く入り口の布を持ち上げると、
奥の暗がりには一人の老婆が座っている。
老婆の前には大きな水晶玉があるようだった。

「……お主、奇妙な相をしておるの。この婆の水晶が疼いておる。
 このような相の持ち主を観たのは久方ぶりじゃ」

森崎はテントの中に踏み込んですらいない。
ただ声に誘われ、入り口の隙間から中を覗き込んだだけである。
しかし老婆はそんな森崎をちろりと目にするや、ぶつぶつと呟くように続けた。

「お主にはこの先、大いなる苦難と栄光が待っておるじゃろう……。
 しかし差し当たり、行く手にあるのは―――」

715 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/07/17(火) 00:24:23 ID:u5bLKyww

*ドロー


星の導き → ! card


※ ! と card の間のスペースを消してカードを引いて下さい。
結果によって展開が分岐します。

スペード:『幸運の星』来月から3ヶ月間、訓練効率アップ(目標値-20)。
ハート:『勤勉の星』合計二回分の訓練効率アップ(目標値-20)。
ダイヤ:『平穏の星』特になにもなし。
クラブ:『努力の星』来月の訓練効率ダウン(目標値+20)。
JOKER:『運命の星』一年間、全判定にプラス修正。ドロー一段階アップ。

716 :源氏 ◆rLDAH8Hy8Y :2012/07/17(火) 00:25:13 ID:???
星の導き →  クラブ9

717 :森崎名無しさん:2012/07/17(火) 00:25:37 ID:???
星の導き →  ダイヤ7

718 :さら ◆KYCgbi9lqI :2012/07/17(火) 00:26:43 ID:???
【リドロー】
星の導き →  ダイヤK

719 :源氏 ◆rLDAH8Hy8Y :2012/07/17(火) 00:27:16 ID:???
【リドロー】
星の導き →  スペード5

720 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/07/17(火) 00:32:59 ID:???
ドローありがとうございます。
スペード確定でよろしいでしょうか。


***


スペード:『幸運の星』来月から3ヶ月間、訓練効率アップ(目標値-20)。


「喜ぶがいい、『幸運の星』が見えるぞ。……ああ、お代は結構じゃよ」
「そ、そうか。ありがとよ」

もごもごとそんなことを言う老婆を不気味に思った森崎が礼もそこそこに身を引くと、
そっと入り口の布を元通りに閉じる。

「待たせたな……って、おい!?」

振り返ると、少女たちの姿が見えない。
慌てて周囲を見回せば、トニーニョの姿もなかった。

「……お兄ちゃ〜ん!」
「ロリィか!?」

と、微かに聞こえる声に、森崎が目をやる。
すると遥か遠く、人ごみの向こうに見えたのは特徴的な坊主頭である。

「もう遅いから、ロリィたち帰るねえ〜!」
「なにィ!?」

声は、坊主頭のすぐ側から聞こえてくる。
トニーニョは堅実な仕事をしているようだった。

721 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/07/17(火) 00:35:00 ID:???

「待てって、おい!」

慌てて追いかける森崎。
結局、おそるべき乗車率の乗合馬車からサウスドルファン駅で少女二人を無事に下ろし、
それぞれの自宅近くに送り届けるまで、森崎たちの任務は続いたのであった。


***


「子供は、元気だな」
「……ああ」
「恩があると思うなら、早めに返せよ」
「……任せとけ」

宿舎への帰り道、森崎の奢った温いワインを空けながらぼそりと言うトニーニョに、
森崎がどんよりとした声で返す。
ロリィの歳のことは、最後まで口にすることのない森崎だった。



   『ふたりはなかよし』(了)


.

722 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/07/17(火) 00:36:04 ID:???

*D26.7
フレーバーテキスト

◎第一次ダナン派兵

D26年、六月。
国境都市ダナンを占拠した傭兵団、ヴァルファヴァラハリアンは周辺国の内、
プロキア、ゲルタニア、ハンガリアの三国に対して侵略の意思はない旨を表明。
ドルファンとの単独対決姿勢を明確にする。

一方ドルファン王室会議は先のバストニア内戦へのシベリアによる軍事介入、その後の軍駐留と
実効支配の轍を踏むことを恐れ、また騎士団はかつて陸戦の雄と称された自らの力を誇示すべく、
それぞれの思惑が合致した結果として隣国ゲルタニアによる兵力供出の申し出を拒否。
これを受けてゲルタニア、ハンガリアはドルファン=ヴァルファ間の武力衝突に対して不干渉を打ち出し、
内戦により疲弊しているプロキアはヴァルファへの刺激を避けつつもダナンを見据える国境線に兵力を配備、
弱腰ながらその侵攻を警戒する構えをとった。
事実上の静観である。

こうして南欧諸国それぞれの姿勢が固まりつつある、六月三十日。
ドルファン側の告示したダナン撤退勧告の最終期限である。
ヴァルファはこの日も黙して動かず、ここにドルファン軍とヴァルファとの武力による衝突は
ほぼ確実なものとなったのである。
王室会議により、派兵予定は七月中旬と決定された。

723 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/07/17(火) 00:37:34 ID:???

しかし七月に入り、静観の構えを見せていたプロキアが、各陣営にとって想定外の動きを見せる。
対ヴァルファの名目で東洋圏最強と言われる軍事結社、シンラギククルフォンを雇用したのである。
東洋圏最強、のみならず最悪の組織と呼ばれるのが彼らであった。

何となれば、シンラギククルフォンとは軍事組織であると同時にテロ組織であり、
また政治結社でもあったからである。
東洋圏の政変には常に彼らの影がちらつくと言われ、正規の傭兵活動から非合法の暗殺、誘拐、
果てはテロリズムまでを自らの益のために躊躇なく行う彼らを嫌悪し忌避する者は多く、
しかし同時に、その極めて優秀な戦力を利用しようとする者もまた後を絶たないのだった。

派遣されたのはシンラギククルフォンの一個大隊、右陣紫南軍団である。
ベトナム戦役でホーチミン政府側を勝利に導き、また同時に反政府軍とその拠点に対して行った
徹底した虐殺行為で悪名を轟かせた一団であった。

プロキアの思惑定かならぬ中、シンラギ部隊は永世中立国スィーズランド、そして不干渉を表明した手前、
彼らの入国・領内通過を拒否できなかったハンガリアを経由してプロキアへ入国。
直ちに国境沿いへと移動を開始する。
ドルファンとの正面衝突を企図していたとみられるヴァルファはプロキア軍を弱卒で意気薄く、
与し易しとして後背となる北側には牽制の部隊を置くのみであったが、シンラギの参戦により
ダナン北方、国境線であるテラ北河畔へと相当の兵力を割かざるを得ない状況に追い込まれた。
第一、第四大隊をテラ北河戦線。
第二、三、五大隊をダナン南方、旧軍自治区イリハへと再展開させるヴァルファ。

対するドルファンは七月十四日、騎士団ニ個大隊および外国人傭兵部隊を首都城塞より出撃させる。
ドルファン=プロキア戦争の端緒、世に言うイリハ会戦の火蓋が切って落とされようとしていた―――。


724 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/07/17(火) 00:40:29 ID:u5bLKyww
*D26.7
訓練選択

『今月は何をするの?』

森崎有三
称号:気のいいトニーニョの友人
現在のガッツ:150


剣術・馬術・体術・魅力・礼法・墓守・休憩の中から『二種類』選んで下さい。
同じ訓練を二つ選んでも構いません。
その際【選択理由】を必ず付記していただくようお願い致します。
期限は『7/17 23:30』です。


******


この訓練が終われば、ちょっとした選択を挟みまして
いよいよ戦争の時間です―――といったところで、
本日の更新はこれまでとさせていただきます。
夜遅くまでのお付き合い、ありがとうございました。
それではまた、次回更新にて。

725 :さら ◆KYCgbi9lqI :2012/07/17(火) 15:17:35 ID:???
剣術 馬術
剣術は前回から継続して訓練したいですね。馬術は一回ぐらい訓練しときたいですね。

726 :Q513 ◆RZdXGG2sGw :2012/07/17(火) 18:21:22 ID:???
剣術・休憩

剣術はスキル獲得のため。それと個人戦への備えから、休憩

727 :◆W1prVEUMOs :2012/07/17(火) 19:16:24 ID:???
【システムコール】
順調に女の子に気に入られてますね
森崎が突き放してもイベントには巻き込まれるのなら全員に優しくしたいところですが
>>698のトニーニョの忠告とは別に、女性問題で身を滅ぼすこともあるシステムなのでしょうか?

728 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/07/17(火) 20:15:46 ID:???
>>727
少しシナリオ全体の構造に関わることなので、リンク先でお答えいたしますね。
その類の情報を見るとどうしても興冷めしてしまう、という方は
ご覧いただかないようにお願いいたします。

ttp://www39.atpages.jp/msaki/res727.txt

上記をご覧いただかなくても不利にならない程度にお答えをまとめますと、
「基本的には複数同時攻略をしていただいても大丈夫です」。

729 :◆9OlIjdgJmY :2012/07/17(火) 20:42:24 ID:???
剣術 馬術
幸運の星を最大限活用して、戦争前に能力アップとスキル獲得を狙いたいです。
ガッツも100は残るのでそこまで危険ではないと思いますし。

730 :◆W1prVEUMOs :2012/07/17(火) 21:01:58 ID:???
>>728
どうもありがとうございます
自分は余計なこと考えすぎてたみたいです

731 :傍観者  ◆YtAW.M29KM :2012/07/17(火) 21:06:13 ID:???
まあ、気持ちはわかるよ。二股すると不利なスレ、多いもんね。

732 :◆W1prVEUMOs :2012/07/17(火) 21:31:00 ID:???
昼ドラみたいになったら怖いですからねw

733 :ノータ ◆JvXQ17QPfo :2012/07/17(火) 21:53:58 ID:???
剣術、馬術
理由:今まで能力特化でステータスや称号、スキルの判明を調べられたので
   ここらで総合力を上げたい。

【システムコール】
ステータス画面みたいな物ってないんですかね?
実際にどれくらい能力が上がったとか、ネイから女の子の評価を聞けるとか

734 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/07/17(火) 23:38:58 ID:???
>>733
パラメータのほとんどをマスクしているのは、原作で「実はこうしたかった(が、諸般の事情で断念した)」という
声があった、というそれだけの理由でして、本作独自のシステム的な事情ではありません。
どの道、一騎討ちがあればそれぞれの数値から元のパラメータを割り出すことも簡単なので
最近では単にプレイヤーの皆様に不便を強いているだけではないかという思いに駆られていました。

そうですね、いい機会ですから今後、剣術・馬術・体術・魅力については公開パラメータとし、
伴ってATK・DEF・SPD・イニシアチブの各値も公開いたします。
(礼法・モラルおよび攻略に関わる幾つかの管理数値はマスクを継続させていただきます)

ヒロインからの評価については…描写から判断していただくということでお願いいたします。
内部的には好感度オンリーの一元管理ではないので、公開してしまうと思いきりネタバレになってしまうのです。
悪しからずご了承いただければ幸いです。

735 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/07/18(水) 01:20:34 ID:???

皆様、ご回答ありがとうございます。
それでは早速、>>724の選択については……

>>726 Q513 ◆RZdXGG2sGw様の回答を採用させていただきます!
戦争を前に能力値の底上げも大事ですが、ガッツは更に重要になってきます。
ここは休憩を挟んでおくのが(森崎の引きにもかかってきますが)安全策ですね。
CP3を進呈いたします。


>>725
そうですね、馬術が一度も訓練できなかったのは少し想定外です。
ただ後々になれば判ることなのですが、馬術の初期スキルは強力なものながら
実は今回の戦争では効力を発揮しないので、結果論としては最適解に近いです。

>>729
訓練二回でガッツ110……想定では優勢圏内なのですが、引きによってはCP/EPを
それなりに使用することにもなりかねませんでしたので、今回は休憩を採用いたしました。
万が一にも初手から入院となると厳しいですからね。

>>730-732
「二股をすることによるピンチ」は「二股をしない結果の悲劇」に比べれば可愛らしいものです、とだけ!
昼ドラ的には……ならないように、森崎を導いてあげて下さいw

>>733
はい、特化型は相性が悪いと一方的な展開になってしまいますからね。
あまり尖り過ぎない方が無難であるとは思います。


ご回答いただいた皆様に、それぞれEP1を進呈いたします。

736 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/07/18(水) 01:21:54 ID:EO0grySw
*訓練ダイス

※訓練は前後半に分かれています。
★マークごとにお一人づつ、!と numnumの間のスペースを消してダイスを引いてください。
目標値【50】に対しプラスマイナス30以内で成功、プラス31以上で大成功、マイナス31以下で失敗となります。
大成功時は成果が1.5倍、失敗時は0.5倍となります。


前半(剣術)1
! numnum + ! numnum + ! numnum =

前半(剣術)2
! numnum + ! numnum + ! numnum =


737 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/07/18(水) 01:23:16 ID:???
******

といったところで、戦争前最後の選択までは届きませんでしたが、
本日の更新はこれまでとさせていただきます。
夜遅くまでのお付き合い、ありがとうございました。
それではまた、次回更新にて。

738 :源氏 ◆rLDAH8Hy8Y :2012/07/18(水) 01:23:18 ID:???

前半(剣術)1
80  +  48  +  51 =

739 :源氏 ◆rLDAH8Hy8Y :2012/07/18(水) 01:25:59 ID:???
一つ目に数値加算をしたいのですが、現在の私のCPEPをお教え頂けますでしょうか?

740 :傍観者  ◆YtAW.M29KM :2012/07/18(水) 01:35:22 ID:???

前半(剣術)2
10  +  72  +  26 =


741 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/07/18(水) 01:36:40 ID:???
>>736
訂正です!
『運命の星』の効果で目標値は【30】となっています。
61以上で大成功、失敗はしません。

>>738 源氏 ◆rLDAH8Hy8Y様については
CP6/EP14となっております。
数値加算については上記訂正を踏まえてお考えいただくようお願いいたします。
お手数をお掛けして申し訳ありません。

742 :傍観者  ◆YtAW.M29KM :2012/07/18(水) 01:37:38 ID:???
うーん、いまいちコレ系の引きはよくないかな。
10にCP3EP5を払って20にし、失敗を回避したく思います。

743 :傍観者  ◆YtAW.M29KM :2012/07/18(水) 01:38:50 ID:???
あ、すでに効果はいってたんですね。742の消費はキャンセルさせてもらっていいですか?

744 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/07/18(水) 01:42:14 ID:???
重ねての訂正です。
>>738のドローにより源氏 ◆rLDAH8Hy8Y様のEPは15になっています。
また目標値の修正効果は『幸運の星』によるものです。
不手際が続きまして申し訳ありません。

>>743
はい、もちろん承ります。
ご安心下さい。

745 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/07/18(水) 01:52:07 ID:???
>>738への【数値加算】については『7/18 13:00』まで期限を延長いたします。
ご質問への回答が遅れ、また誤回答となりましたことをお詫びいたします。

それでは、改めまして本日はこれにて失礼させていただきます。

746 :源氏 ◆rLDAH8Hy8Y :2012/07/18(水) 07:58:36 ID:???
期限延長ありがとうございます。>>738に【数値加算】します。
61以上ですから・・・
「48」に「EP15」使用して「63」に
「51」に「CP6」使用して「61」に

これで全部大成功になったかな
おお綺麗にCPEP使いきったw

747 :さら ◆KYCgbi9lqI :2012/07/18(水) 09:37:46 ID:???
【代理消費】 >>746 EP5

748 :◆W1prVEUMOs :2012/07/18(水) 20:08:59 ID:???
【代理消費】

>>746
使用CP:6ポイント

CP尽きる人も出てきたかあ
大事に備えて優先順位の低いもの(訓練とか)は失敗のまま進める方がいいかもしれない

749 :傍観者  ◆YtAW.M29KM :2012/07/18(水) 20:23:17 ID:???
ここんところ景気よく使ったからね。
でも、たとえば稼ぎ頭の◆9OlIjdgJmY氏とかはまだCPを20オーバーとか持ってるし、
代理消費のお陰でみんなまんべんなく減らしてるはずだから、
まだそこまで気にしなくていいと思うけど。

750 :源氏 ◆rLDAH8Hy8Y :2012/07/18(水) 21:51:44 ID:???
>>747,748
ありがとうございます。
CPEPは地道に参加していれば自然と貯まるもの、という認識ですので
機会があれば出し惜しみ無しでいこうと思っております。

751 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/07/20(金) 01:06:58 ID:???
******


皆様、ドローありがとうございます。
それぞれEP1を進呈いたします。

CPやEPの使い方はプレイヤーの皆様の個性、プレイスタイルがはっきりと出るところですね。
色々と試してみて、自分なりのスタイルを見つけて下さいませ。
たとえばエンディング直前まで貯め込んで、ラストバトルでどかんと一撃勝利……なんていうのも
有りといえば有りですし、浪漫としては面白いですね。
GMとしてはちょっと困りますがw


******

752 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/07/20(金) 01:08:14 ID:???
***


*訓練結果

前半(剣術)1
80  + 63  + 61 = 大成功3

前半(剣術)2
10  + 72  + 26 = 大成功1 成功2

→大成功4 成功2 失敗0


***

753 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/07/20(金) 01:09:17 ID:???

//剣術

立ち上る陽炎は、垂れ落ちた汗の溜まりが蒸発していくものである。

「……百二十一、百二十二、」

炎天下の全体訓練を終えた森崎が、屋内練習場でひとり素振りを続けている。
謹慎を命じられた先月までのような、闇雲なそれではない。
一振りごとに剣筋を意識し、ぶれをなくし、量をこなすのではなく質を高めていく、そんな修練であった。
溜まった疲労と過剰な鍛錬との悪循環はすっかり克服されていた。
謹慎という名の強制的な休息も、罰を受けている間は苦痛以外の何物でもなかったが、
終わってみればそれが何より必要であったことを森崎は痛感している。

「百三十五、百三十六、」
「―――ふむ」

背後に立つのがヤング・マジョラムであると気づいてはいたが、森崎は振り返らない。
あれだけ正面から食って掛かっておいて、今更休息を有難うございましたとは、とても言えなかった。
言えないから、振り返らない。
代わりに以前とは違う修練の程を見せることが、森崎なりの礼である。
口より剣で、弁明より結果で答えるのがいくさ場に立つ者の心得だ、などと内心でうそぶくのが
半分がた単なる照れ隠しであるとは、自分でも理解していた。

「百五十ニ、百五十三、」
「剣士として、少しはマシになったようだ。……まだまだ『見習い』の域だがな」
「百五十四、百五十五、」

森崎はその言葉に応えを返すことはない。
礼を込めて、熱を込めて、ただ真っ直ぐに剣を振るう。


754 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/07/20(金) 01:10:18 ID:???

※ガッツが20減少。
剣術が32上がりました。


現在のガッツ:130
剣術:68 馬術:10 体術:62 魅力:78
ATK:78 DEF:130 SPD:72 ini:14


******


※称号が『気のいい見習い剣士』になりました。

スキル『スマッシュ』を獲得しました。
種別:アクティブ
消費ガッツ:10
効果:攻撃の最終ダメージを150%として計算する。


******

755 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/07/20(金) 01:11:27 ID:???

//複合スキル取得


「あの噂、聞いてるか? モリサキ」

ネイがそんな風に切り出したのは、出征も近づいてきたある日のことである。

「……? 何だよ、噂って」
「聞いてないのかよ! 仕方ねえなあ……ここだけの話だぜ?」
「へいへい」

勿論、折を見て広めろという意味である。
適当に頷いた森崎に、ネイがぐっと身を寄せる。
どうしても秘密の話という体を装いたいらしかった。
ほんの数歩離れた位置に立つジェトーリオの目がすう、と細められていくのがわかったが、
とりあえずネイのなすがままにさせてやる森崎。

「……今度の戦、この傭兵大隊を二つの部隊に分けるらしいんだ」
「そんなの珍しくもねえだろ」
「話はここからだって! で、一つは当然ヤング教官が指揮を執る」
「ま、そうだろうな」

言ってから、森崎がふと思いついて訊ねる。

「なら、もう一つの隊は誰が仕切るんだ?」
「そこよ」

我が意を得たり、とばかりにニヤリと笑ったネイが、森崎の首を抱き寄せるようにして顔を近づける。
背後から感じる視線はほとんど殺気に変わりつつあったが、まだ僅かに余裕はあるだろうと見当をつけて
森崎が先を促すように頷く。
その程度には、ネイとジェトーリオという二人との付き合い方もわかってきていた。

756 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/07/20(金) 01:12:51 ID:???
「名前が挙がってんのは、トニーニョと……お前だよ、モリサキ!」
「なにィ!?」
「そう驚くことでもねえさ。ここの連中の半分はただの力自慢や喧嘩が強いってだけの荒くれ者ども、
 実際のいくさは初陣ってのがゴロゴロしてる。まずそいつらには任せらんねえだろ?」
「まあ……な」
「で、まあ残った古強者の中で……」
「そんな大したもんでもねえだろ。これまでたまたま生き残れたってだけで」

大袈裟な言いように思わず口を挟んでしまう森崎に、ネイが渋い顔でその額を小突く。

「痛ぇっ」
「茶化すなって。で、その古強者どもの中で抜きん出てるのがトニーニョとお前ってわけだ。
 トニーニョの奴はほれ、あの強面とガタイに似合わず学もあるし、他人の世話も焼くタチだ。
 皆が一目置いてる」
「ああ、そうだな」

自身も先月、しっかり世話になったことを思い出しながら頷く森崎。

「でまあ、あいつとは違う意味でモリサキ、お前も一目置かれてるのさ」
「……何か、あんまりいい意味じゃねえ気がするんだが」
「そんなことねえよ。鬼のヤングに楯突いちゃあ懲罰食らって、毎日特別扱いで
 無茶苦茶なシゴキを受けてるのに結局そいつをこなしちまう。
 最近じゃやっとうもサマになってきてるし、何やかやで憎めねえとこあるしな、お前」
「よせやい、照れるぜ」
「……って、自由騎士の豚野郎を真っ先にぶん殴った、後先考えねえイカレっぷりに
 惚れ込んだ連中が言ってる」
「……」
「そいつらからはお前、傭兵大隊の『切り込み隊長』なんて渾名されてるみたいだぜ」

言って、ネイが森崎の胸の辺りをぽんと叩く。

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