キャプテン森崎 Vol. II 〜Super Morisaki!〜
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【主人公】鈴仙奮闘記【永琳に交代?!】
1 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2013/03/21(木) 23:09:51 ID:???
このスレは、キャプテン森崎のスピンアウト作品で、
東方Project(東方サッカー)とのクロスオーバー作品です。
内容は、東方永夜抄の5ボス、鈴仙・優曇華院・イナバがサッカーで師匠を超えるために努力する物語です。
また、ストーリーやカードの展開次第で、いくつかのキャプテン森崎のキャラクターも、
それぞれの思惑を持ちながら、幻想郷の住人との交流を通じてサッカーを極めていくことになるでしょう。
他の森崎板でのスレと被っている要素や、それぞれの原作無視・原作崩壊を起こしている表現。
その他にも誤字脱字や稚拙な状況描写等が多数あるかと思いますが、お目こぼし頂ければ幸いです。
【前スレ】
キャプテン森崎外伝スレ11
http://capmori.net/test/read.cgi/morosaki/1362066008/
【あらすじ】
人里FCのキャプテン、上白沢慧音達から賭け試合を受けた、
蓬莱山輝夜(実質八意永琳)率いる永遠亭ルナティックス。
賭けの内容とは、負けたチームの主要メンバーが勝ったチームに
当分の間従属するというもの。
師匠や姫様の面子を守る為にも負けられないこの試合、鈴仙は
シュートチャンスに恵まれるも、なかなか得点できずにいる。
1−0のリードで迎えた後半戦、鈴仙は活躍できるのか?
そして、慧音が永琳を防ぐ為に考えた作戦とは?
幻想郷に紛れこんだ助っ人、アラン・パスカルの心境の行方は?
今、後半戦のホイッスルが鳴ろうとしていた――。
400 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2013/03/27(水) 21:24:22 ID:???
幽香「あんたもサッカー、したいんでしょ?」
メディスン「別に…。そーゆー疲れることしたくないし」
リグル「ええーっ!? 私はメディスンともサッカーしたいよ!
だって、今日幽香の家に来たのは、メディスンも誘えるかもって思ったからなんだよ!?」
ミスティア「みんな〜で〜うた〜いましょ〜う♪」
ルーミア「歌じゃなくてサッカーだけどねー」
一旦、場が静かになる。幽香はにこにこと、人畜無害な笑みを浮かべ。
後ろで安楽椅子に座って、場の成り行きを見守っている。そして…
メディスン「うん。…じゃ、行く。 べ、別に私は行きたくないんだけど。スーさんが行きたい、って
言ってたからなんだよ!?」
メディスンは、もじもじと思いを述べる。
幽香「私は、メディスンが入ってくれるなら、参加するつもりだったし。――そういう事なら、私も参加するわ」
悪戯っぽい笑みを浮かべ、幽香が立ち上がる。
リグル・ルーミア・ミスティア「やった〜〜!!(のかー)(♪)」
少女達の、子供らしくどこか不器用で。それでも、明るい笑顔。それは、どこまでも牧歌的で、平和な風景だった。
幽香「(さーて、今回はどうやって陵辱しようかしら…。自分のゴールに戻ってから、
必殺シュートでゴールとか決めたいわね…あ、でもリグル達を怖がらせちゃいけないから、
変装とか必要かしら? あとあの『奴隷』も少しの役に立つかも…)」
…約一名の本心を除き。
401 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2013/03/27(水) 21:25:37 ID:???
−是非曲直庁−
映姫「だめです」
小町「どーしても?」
映姫「どうしても、だめです」
小町「どーしてもどーしても!?」
映姫「くどい。ダメに決まっています」
小町「そんなあ…私も映姫様と一緒にサッカーでフィーバーしたかったのに…」
小野塚小町はガックリと大げさにうなだれる。
心底打ちひしがれたような表情だった。
映姫「ただでさえ死者が増え。混乱しているこの状態で。
サッカーの為にそうそう有給が取れる筈なんてないでしょう。
全く。いつもの勤務態度が真面目ならばともかく、あなたときたら…」
実際、四季映姫・ヤマザナドゥの最近の仕事は、いつにも増してハードなものであった。
昨今人里を覆う災害は、ここ彼岸においても少なからず影響を与えていたのだった。
映姫「小町。私は何も、貴女が嫌いで断っているわけではないのですよ?
ただ、誰かが楽しいことをするには、別の誰かがこうして仕事に明け暮れた成果でもあり――」
小町「あっ!? すみません、私今から臨時の仕事があるのでではっ!?」ダッ!!
402 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2013/03/27(水) 21:26:54 ID:???
サッカーの勧誘のつもりが、説教会になろうとしていた。
小町もさすがにこれはまずいと考えて、一室を速やかに退散する。
小町「(はあー…。やっぱり駄目か。四季様とサッカーしたかったのに。
こうなったら、あの巫女のとこにでも厄介になろうかねえ…)」
当然、仕事の選択肢は彼女にはない。どこでなら暢気にサッカーでもして気晴らしができるか。
それについてのみ考えていた。
403 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2013/03/27(水) 21:28:28 ID:???
−妖怪の山−
??「(秩序だ。俺が当初、望んでいたような。力が秩序の下にあり。
力は秩序の為にある。無軌道で暴力的な力から、俺はようやく解放されたんだ)」
『彼』は、妖怪の山に暮らす天狗達に保護されていた。
本来天狗達にとって、人間は天狗社会から排斥すべき存在ではあるが、
今回のサッカー大会において、天狗達の面子を潰さぬよう、結果を上げる必要が
あったのだろう。『彼』がそこそこ優秀な外界のサッカー選手ということが
発覚すると、彼は特別に彼らに保護された。
射命丸「ご機嫌よう、??さん。調子はいかがかしら?」
??「ああ、お陰さまで最高だ」
射命丸「それは良かった。 では、今日も練習、宜しくお願いしますよ」
??「当然。これが俺のすべきことなら、全力を出すまでだ」
射命丸「(本当に良い子ちゃんね…。こんなんで本当にFWなんて攻撃的なポジション、
できるのかしら? ――ま、最悪私と椛の二人でなんとかなるでしょ)」
射命丸文は、鋭い目を一旦落ち着かせ、『彼』を練習につれて行く。
彼女もまた、秩序の一員であった。
404 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2013/03/27(水) 21:29:35 ID:???
−守矢神社−
神奈子「確認しよう」
ここは本殿。神、八坂神奈子は、同じく神である洩矢諏訪子と。
風祝であり現人神でもある東風谷早苗を呼びつけていた。
神奈子「今回の大会。我々守矢神社は、初の単独スポンサーとして大会に多くの金を
出資している。――ひとえに、我々の信仰の為に」
守矢神社は、日々の生活費を河童への外界の情報提供により賄っており、
その生活は苦しいとされていたが、それは守矢神社が貧しい、という訳ではない。
彼女らには、外界で蓄えた貯金があった。しかし――。
神奈子「外の世界に居た時からの貯金。これを全て切り崩した」
諏訪子「ま、まじ…? そりゃあ、どっからこんな金出て来たのかなあ、なんて思った時もあったけどさ…」
諏訪子は驚きとともに、失意や苛立ちをを隠せない。
諏訪子「それで負けちゃったらどーすんのさ。私等、神奈子のお陰でスッカンピンになっちゃうよ?」
早苗「お、おやめ下さい、諏訪子様!」
早苗は、一触即発となる前に、二柱を諌めようとする。
神奈子「いや、…いいよ、早苗。私だって、勝手に虎の子の貯金を使われたら怒る。
神だって誰だって怒る。だから、私はせめて二人に納得してもらう為に。
この大会の勝機について話すよ。いいか、二つある。それは――」
405 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2013/03/27(水) 21:31:29 ID:???
諏訪子「な、成程…。しかし神奈子もまた、こすいことするねぇ。
妖怪の山の連中の誘いを断ったのは、そんな理由があったからかあ」
早苗「ですが…。神奈子様の仰る通り、ここはどんな手を使ってでも、
勝利を導きださねばならぬ時かもしれません(それに私だって。霊夢さんに勝ちたい。どんな手を使ってでも…)」
神奈子「よし。それじゃあ今日は解散。明日から練習だ。いくら策を弄しても、勝たねば意味がないからね」
神奈子の目には、他にはない打算と計算。そして闘志がみなぎっていた。
406 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2013/03/27(水) 21:33:08 ID:???
−地霊殿 サッカーコート−
勇儀「四天王奥義…三歩ひっさ」
お燐「いっただき!」ダッ
勇儀「あっ。こら! この卑怯者! 正々堂々と戦え!」
こいし「勇儀さん。サッカーのルール、わかってないよ…」
地霊殿では、比較的平和な雰囲気で練習が行われていた。地底の中でも
選りすぐりの者達を集めたチーム。彼女らもまた、優勝候補の一角であった。
さとり「(…あとは、『彼』がまたサッカーをしてくれるようになれば。
『彼』の実力はこのチーム内でも随一。人の心が読めても、本当に
何の役にも立ちませんね――)」
古明寺さとりは、選手達の様子を見ながら、ふとため息をつく。嫌われ者の集まる地底。
もしその中でも嫌われたとしたら。さとり達は、なんとか穏やかに過ごしてこれた。
しかしこれは単なる偶然。こうして、完全に自分の殻に閉じこもるのも致し方ないのかもしれない。
空「さとり様、行くよ! メガ…フレア!!」
さとり「(早く、強いですが…)そこです!!」
バッシイイ!!
さとりの小さな手が、太陽のように光り輝くボールをしっかりと受け止める。
空「そ、そんなあ…くそーっ! もっとシュート練習しなくちゃ!」
ヤマメ「(おくうはそれよりドリブルとか練習した方がいいと思うんだよなあ…)」
407 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2013/03/27(水) 21:34:36 ID:???
−命蓮寺 交流用サッカーコート−
小傘「ぱ、パスだよ!」バムッ!
響子「ありがと、小傘ちゃん! ――マミゾウ親分っ!」バシッ!
マミゾウ「ほいきた! いくぞ、ぬえよ!」バッ!
ぬえ「あーい♪」タッ!
バシッ、バシッ、バシッ…!
マミゾウ「よしよし。ここで――決めろよ、寅丸!」ポーン!
星「は、はいっ…(で、でもここは…)バケバケさんっ!?」ポーン!
バケバケ「ば、バケッ!?(お、俺っ!)」バシッ!
元々威力の弱い上に、急にパスを出されて戸惑っていたバケバケのシュートは、
大きく枠を外し、ゴールラインを割る。
408 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2013/03/27(水) 21:36:58 ID:???
マミゾウ「おいおい、なにをしとるんじゃ。ここはお主が決めるべき局面だったろうに」
星「す、すみません…でも、バケバケさんにボールが回ってこないのが可哀相に思えまして…」
聖「まあまあ、マミゾウさん。パスワークこそサッカーの華。皆が和を尊び、気持ちを通じさせ合う。
今回は、たまたま失敗してしまったかもしれませんが。次に決めればいいではないですか」
星「すみません、聖…でも、次は私、がんばりますよ!」
柔らかく星を慰める聖。しかし、彼女等の和を尊ぶ気持ちは、サッカーをする上で、チャンス時の
攻撃不足を招いていた。
マミゾウ「(…総合力だけなら、ウチのチームもなかなか良い線いっとるんじゃがのう。
このままじゃ、予選突破も難しそうじゃの)」
??「(ククク…吐き気がするほどの甘ちゃん揃いのチームだぜ。特にあのストライカー…)」
人知れずため息をつくマミゾウ。しかし、彼女でも、このチームの様子を見てほくそ笑む一人の影については、
気がつくことができなかった。
409 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2013/03/27(水) 21:39:02 ID:???
いったんここまで。
410 :
森崎名無しさん
:2013/03/27(水) 21:46:31 ID:???
キャラ予想
来生・ロブソンっぽい・??(奴隷だけじゃ流石にわからん)
新田・日向
ってとこかなw
411 :
森崎名無しさん
:2013/03/27(水) 21:48:39 ID:???
中西も追加で
412 :
410
:2013/03/27(水) 21:50:33 ID:???
ああ中西いれるの忘れてたわw
ロブソンっぽいの後に中西だな
413 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2013/03/27(水) 22:14:37 ID:???
更新を再開します。
キャラについては、解りやすいものと、解りにくい(解りようもない)ものを混ぜたつもりです。
でも、作者の性格付けがおかしいせいで解らない、
ミスリードしてしまうこともあるかもしれません。その点はご了承ください。
また、昨日の更新で付け忘れたことを一点。
*パスカルの鈴仙に対する評価が、パスカル→(仲間)→鈴仙 になりました。
414 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2013/03/27(水) 22:17:47 ID:???
−そして 博麗神社−
>>393
全裸VS乱心VSパンツVS褌ですね。誰が勝つのか…
――――――――――――――――――
紫「…そういう訳なのよ」
紫がスキマの中から、霊夢に語りかける。
霊夢は心底面倒くさそうに、縁側でお茶を啜っていた。
霊夢「はあ? どうして私がそんなメンドイことしなくちゃいけないのよ?」
紫「異変だから」
霊夢は、『異変』という言葉にピクリ、と反応して。
霊夢「…どういうこと?」
紫「大会に出て優勝したら教えてあげる」
霊夢「あっそ。じゃ、いいわ」
紫「もう。意地悪だこと」
相変わらずつれない霊夢の態度に、紫はむう、と頬を膨らませる。
その少女らしい仕草が、妙にしっくりきて霊夢は少しだけいらついた。
415 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2013/03/27(水) 22:19:10 ID:???
>>414
なんかちょっとおかしいですね。
不要かもですが、書きなおします。
>>393
全裸VS乱心VSパンツVS褌ですね。誰が勝つのか…
――――――――――――――――――
−そして 博麗神社−
紫「…そういう訳なのよ」
紫がスキマの中から、霊夢に語りかける。
霊夢は心底面倒くさそうに、縁側でお茶を啜っていた。
霊夢「はあ? どうして私がそんなメンドイことしなくちゃいけないのよ?」
紫「異変だから」
霊夢は、『異変』という言葉にピクリ、と反応して。
霊夢「…どういうこと?」
紫「大会に出て優勝したら教えてあげる」
霊夢「あっそ。じゃ、いいわ」
紫「もう。意地悪だこと」
相変わらずつれない霊夢の態度に、紫はむう、と頬を膨らませる。
その少女らしい仕草が、妙にしっくりきて霊夢は少しだけいらついた。
416 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2013/03/27(水) 22:20:13 ID:???
魔理沙「おーい、霊夢」
そこに、霊夢の友人である霧雨魔理沙がやってくる。
紫「それじゃ、考えといてね」
紫の居たスキマはスッ、と消え、そこには霊夢だけが残される。
霊夢「あ、まちなさい紫!」
そんな霊夢に向かって、魔理沙が意気揚々と霊夢に話しかけた。
魔理沙「霊夢、大会でるんだろ? ――私達がそろえば、きっと無敵だぜ!」
霊夢「…じゃ、めんどいから、魔理沙がチームメイト呼んでくんない?」
魔理沙「私にゃアリスくらいしか呼べる奴がいないぜ」
霊夢「…ふーん。使えないわね」
魔理沙「そりゃないぜ」
いつも通りの軽い会話。そこには何の進展性もなかったが、そのいつも通りが霊夢の心を少しだけ落ち着かせる。
霊夢「――ま、私にもあてはないんだけれど。萃香とか、玄爺とか。
そのくらいなら参加してくれるかしら?」
魔理沙「いいじゃないか。これで5人だ」
霊夢「あとの6人は、アリスの人形になんとかしてもらいましょ」
魔理沙「優勝したくなかったら、賛成したんだがな。あいにく反対だぜ」
417 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2013/03/27(水) 22:21:13 ID:???
彼女らは幻想郷でも随一のプレーヤーではあったが、
今回の大会では有力そうなメンバーの多くはもう既に別のチームに
取られている。メンバー獲得は困難に見えた。
…だが、博麗霊夢に備わった天性か。
それとも、物語の主人公として神より与えられた恩寵か。
その問題はあっさりと解決することになる。
天子「霊夢ー! 遊びに来たわよ!!」
衣玖「ちょっと待ってください、総領娘様!(はあーあ。あの一件以来、私ったらこんな仕事ばっかり。
定時に帰ることのできたあの日々が懐かしいわ…)」
…まずは、天よりの二人の使者によって。
小町「よっ、お疲れさん。 ――ところで、今サッカーチームに空きってないかい?
是非私を入れて欲しいんだけど!」
…次に、冥府よりの一人の死神によって。
――そして、今はまだ幻想郷には居ない、二人の外来人によって。
418 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2013/03/27(水) 22:22:48 ID:???
そして、場所は永遠亭に戻り。
輝夜や永琳、鈴仙とてゐにウサギ達に加えて。
今日加入した慧音、妹紅、パスカルもまた一同に会している。
練習試合勝利のささやかな打ち上げと、慧音達の歓迎会も兼ねて。
居間には、
たけのこの里
馬刺し
トリュフ
などの御馳走が並んでいた。そして、話題が大会の方に向くと。
輝夜「ま、もっちろん目指すのは優勝よね!!」
輝夜がこう高らかに宣言する。それに合わせて、
永琳「そうね。じゃ、明日から早速練習開始ね」
と、改めて大会出場にやる気をみせる。
慧音達人里FC組もまた、人里としてではないが、自分達が活躍することで
結果的に人里の皆に希望を与えられると考え、なかなかのモチベーションを保っていた。
(妹紅は同時に、どうやって輝夜をギャフンと言わせようかも考えていたが)
鈴仙は、その中では、明らかにモチベーションが低かった。
鈴仙「(私はこのチームに居ても何の意味もないよ…パスカル君が入ったら、きっと師匠は
私なんかより強くてしっかりしてるパスカル君とコンビを組むんだわ。
私メンタル弱いし…。どうしたらいいのか、わかんないや。パスカル君みたいに自分で考えるなんて。
私にはできない。彼をお手本にしたらいいのかな?…でも、それだけじゃあ不安…だれか、教えて――)」
419 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2013/03/27(水) 22:24:12 ID:???
今日の試合で分かった、無力感と自身の怠惰。
今まで軍の上官や綿月姉妹。そして永琳の教えには忠実に従ってきた。
けれど、忠実に従うだけでは答えが出てこないこともあると知った。
そんな時、鈴仙には何が必要なのか。
自分と同じ境遇の仲間、それだけでは鈴仙に進む道を示すことは出来なかった。
一緒に悩んでくれるだけではだめだった。
光を与えて欲しかった。
自分以上の苦境に合い、それを突破した存在。突破しようとしている存在――。
彼女には、それが必要だったのかもしれない。
鈴仙がそれを得たのは、それから一週間後。
妹紅が急患を連れて、永遠亭を訪れた時だった。
―序章 完―
420 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2013/03/27(水) 22:29:13 ID:???
と、いうわけで序章はここまでです。
第一章では、かねてより出す予定でした中山さんが、メンバーとして
新たに合流します。パスカルだけでは拭いきれなかった、鈴仙の心の弱い部分を、
彼との交流によって成長させたいと思っています。
ゲームバランスは…心配しなくても、先のシーンから解るように、敵チームが
強化されているのできっと大丈夫です。
(パスカルが加入せずともキャプ森キャラは多数加入していました)
そして、ここから、鈴仙が真の主役として大きく成長できれば、と思っています。
今日は第一章のオープニングを少しだけ描写したいと思います。
一時、視点が中山さんに移ります。
421 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2013/03/27(水) 22:33:10 ID:???
――19●●年、3月1日。
中山「あれからもう、半年か…」
人の住む気配の全く感じられない山奥に、中山は居た。
うっそうと茂った森、手の加えられていない小川。
彼は杖をつきながら、ふと顔を上げる。
中山「某県某所にあると言われる廃神社、か。
これで合っていると良いんだが――」
そう一人ごちながら、中山は振り返る。
今までの自分を。自分がそこに至った経緯を――。
422 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2013/03/27(水) 22:35:03 ID:???
(*2さんの文章を流用、改変して使っております。ご了承ください)
――19●★年、夏。
ジリジリと蝉の声の聞こえる街中。森崎達にとっての夏は、とりあえずの一区切りを迎えたが。
日本の息苦しい夏はまだまだ終わる気配を見せなかった。
それでも、木陰のベンチにいると、息苦しさは感じられず。爽やかな夏の伊吹を楽しめた。
ひとしきりの談笑の後。森崎は車椅子の少年――、中山政男に一転落ち着いた様子で話し始める。
森崎「リハビリ…どうなりそうなんだ?」
その口調は、普段は嫌味と自信に満ち溢れたそれとは違い、友人の様態を心底心配する、
年相応の少年そのものだった。
中山「Jrユースに間に合うのかって言う意味なら、100%ノーだ」
中山は、自身の身体についての質問だと言うのに、まるで医者かの様に淡々と答える。
森崎「そうか…」
それを聞き、森崎は落胆を隠せない。
森崎は中山の賢明さと同時に、彼の熱さ、そしてサッカーにかける執念を知っていたからだ。
そんな彼が、こうまで冷静に事実を述べる。それはつまり、それは事実なのだろうと
森崎に厳しく告げているのに等しかった。
中山「高校に入る頃には杖を使って歩ける位には回復するらしい」
ふと、中山は語気を明るくする。森崎を励まそうとしているのか、
それとも、親友に自身の絶望を共有してもらいたいと思ったのだろうか。
森崎「杖を使ってだと!?お前まさか…!」
中山「……………」
423 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2013/03/27(水) 22:36:03 ID:???
森崎の問いかけに対し。中山は無言。それはつまり――。
森崎「中山!」
中山「ああ、その通りだ。俺はもう走る事も、ボールを蹴る事も出来ない」
森崎「そ、んな………」
残酷な現実。それを意味していた。
424 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2013/03/27(水) 22:37:03 ID:???
中山「今なら三杉の気持ちが分かるぜ。翼の師匠のロベルトって人も居たな…
サッカーが、大好きなサッカーが出来ないって…こんな気分なんだよ」
中山は、遠くの空を見上げる。
人は実際に同じ境遇に合わないと、その人を理解できないとは良く言われるが。
中山もまた、こうした身となって、彼らの事を始めて理解したのだろうか。
森崎「……………」
ジリジリ、ジリジリ…。
最早何も言えない森崎。蝉の鳴き声がやけに大きく聞こえる中、二人はそこに座り続けていた。
中山「それじゃ…あんまり外に長くいちゃいけないんだ。もう帰るぜ」
今でさえ、医者に無理を言って外出を許可されただけなのだ。
恐らく、帰ってはまた小言を言われてしまうだろう。
森崎「あ………ああ」
さすがの森崎も、重症人に軽口は聞けない。
また、五体満足で恵まれた状態で、世界に挑戦しようとしている立場の森崎が、
中山にどんな言葉をかけられるだろうか。
それを必死に思索している最中でもあったからだろう。
中山「じゃあな、森崎。Jrユース、頑張れよ…」
中山を乗せて遠ざかっていく車椅子。森崎はやっとの思いで口を開き…
425 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2013/03/27(水) 22:38:39 ID:Rct6VSCA
森崎「中山…!」
中山「…なんだ?」
先着1名様で、
★森崎の言葉→! card★
と書き込んでください。マーク・数値で分岐します。
ダイヤ→「わさビーフ、持っていけよ」
ハート→ 「俺はJrユース大会、必ず優勝してみせる!」
スペード・クラブ→「諦めるなよ!リハビリし続ければ、何時かきっと…!」
クラブA→「生きてたなら香典返せよ」
JOKER→森崎「コレ、読んどけよ」中山「蹴球…超人伝?」
426 :
森崎名無しさん
:2013/03/27(水) 22:40:32 ID:???
★森崎の言葉→
ダイヤ3
★
427 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2013/03/27(水) 22:42:18 ID:???
★森崎の言葉→ ダイヤ3 ★
ダイヤ→「わさビーフ、持っていけよ」
森崎は、リュックに仕舞っておいたわさビーフの袋を取り出し、
中山に押し付ける。
中山「なんだ、お前が食べれば良いのに…大体俺は食事制限中だぞ?」
一体何事か、と一瞬身を強張らせるが、わさビーフの袋と気付き、
今までで一番自然な笑みを見せる中山。
森崎「それなら食事制限が無くなってから食べろよ。俺はあんまり好きじゃないんだよ」
やや強引に中山にわさビーフの袋を手渡す森崎。
森崎「そいつを食いながら、俺の活躍をテレビで見てな」
中山「お前、テレビに出る予定なんかあるのか?」
森崎「Jrユースで勝ちあがっていけば、注目されるだろ」
中山「相変わらず自信タップリだな…じゃあもらっておくぞ」
キコキコと音を立てながら遠ざかっていく車椅子。それを見送った後、森崎は帰路へついた。
中山「(…森崎。俺はお前に追いつく。そして再び、お前と並びプレーをしたい。
そのためなら、どんな奇跡だって、起こしてみせる)」
そんな森崎の背中を見送りながら、中山はそう決意をする。
そう。『奇跡』を信じて――。
*中山と森崎との互いの評価が、中山→(友情)←森崎に変化しました。
428 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2013/03/27(水) 22:45:05 ID:???
別の時間軸では、中山のひたむきな姿勢が奇跡を生み、
中山は再びサッカーを出来るまでに、そして全日本でもトップクラスのDFとなるまでに回復する。
――だが、『この時間軸では』 中山に奇跡は起こらなかった。
外科医「うん。治療は順調だ。このままなら、予定通り来年の春には杖をついて――」
中山「どうしてですか! 俺はリハビリも人一倍こなしている!!
杖をついて歩けるだけじゃあ意味が無いんです! 俺はサッカーを――」
外科医「…何もサッカーだけが、君の人生の全てではないだろう?
君は勉強も人一倍できると聞いたよ。作文コンクールで入賞したとか、
学区内の朗読コンクールで三位だったとか…
そうだ。サッカーに関わるといっても色んな形があるじゃないか。
審判だとか、草サッカーチームの監督とか…」
中山「話を逸らさないでください! 俺がいくらリハビリをしても。
いくら努力をしても、前まで通りサッカーをやれるようにはなれないんですか!?」
外科医「…神経系の多くをやられている。日常生活に必要な動作ならともかく、
サッカーに必要な細かく激しい動作までは、身体が追いつかんでしょうな…」
中山「――! く、くっそおおおおおおお!!」ダッ! カッツ、カッツ、カッツ…
看護婦「ま、政男くん!?」
中山は耐え切れず、病院を抜け出した。最近なんとか使えるようになった松葉杖をつきながら。
中山「(――来年の春? そんなの待てる訳がないじゃないか。
俺がこうして寝てる間にも、森崎や翼は、世界で高いレベルのサッカーをしているというのに!)」
429 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2013/03/27(水) 22:54:14 ID:???
テレビ「――次のニュースです。サッカー全日本Jr.ユースは、強豪アルゼンチンを4−3で下し…」
中山「くそっ!!」
店頭放送で全日本ユースの勝利が報じられるのを聞き、中山の焦りはいよいよ大きくなる。
中山「(時間がない、時間がない、時間がない!! 俺は動き続けなくては行けなかったんだ!
奇跡なんてものに期待して。俺はなんて悠長だったんだ! 奇跡なんてものは、
人に頼らず自分で起こさなくてはならないと知っていたはずだ!)」
その後中山を追ってきた看護婦達により、中山は再び病室に戻される。
中山はその後一時期、あらゆる民間療法にも手を出したが、やはり報われることはなかった。
そうして、様々な民間療法のルーツにまつわる書物を取り寄せ、読んでいるうちに、
ひとつの新聞記事が目にとまった。
不治の病の男性、山奥の病院で完治?
――●●さんは末期がんと深刻され、自殺を試みるため、某県の山中の樹海に入った。
しかし、●●さんは廃神社の奥に病院を見つけ、その女医に見てもらったところ、たちまち完治した。
彼の主治医は、現代医学ではありえないこととしているが――
中山「なんだこれは…。怪しすぎる…(だが、もしも。これが真実なら…)」
中山は、直観的にこの記事が気になりだす。この病院の存在は、女医の存在は本物ではないかと。
それ以降、彼は悶々とした日々を送ることとなる。
中山「(普通に。常識的に考えるならば、ずっと入院して回復を信じたほうが早い筈なのに…
どうしてだ。どうしてあんな与太話に俺は惹かれている?)」
病院を抜け出して、某県の山奥の病院に行ってみたいという気持ちは、日増しに高まり――。
2月11日。彼の主治医が相変わらず「サッカーは二度とできない。一生君は杖を突くしかない」という結論を
出したことを皮切りに、彼は病院を脱走した。
430 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2013/03/27(水) 23:03:36 ID:???
中山「サッカーが出来ないなら、できるようにして見せる。――どんな手を使ってでも」
中山の考えは、病的だったかもしれない。
だが、それほどにまで、彼の精神は冒されていた。
中山「俺は、俺自身の手で、止まった時を動かすんだ」
そして…冒頭に至る。
神社の様子は何の異変もなく、奥まで歩いて探してみたが、病院はおろか、
建造物の一つすら伺えない。
中山「(やはりデマ、か。 全く、気が狂っていたな。俺は)」
かぶりを振りつつ、中山は神社を去ろうとする。
――その時。偶然か必然か、幻想の境界は、偶然にもその力を曖昧にした。
中山「神社が…。入口は廃神社なのに、中には普通の綺麗な神社が見える…?」
もう一度。中山は神社に足を踏み入れる。すると。
中山「(なんて事だ…さっきまでと雰囲気が違う)」
古くなっては居るが、手入れが行き届き、けして寂れてはいない神社。
そこには脇を出した奇妙な巫女服を来た少女が一人、そこに立っていた。
431 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2013/03/27(水) 23:06:54 ID:Rct6VSCA
巫女は、中山に対して――。
先着1名様で、
★幻想郷ファーストコンタクト→! card★
と書き込んでください。マークで分岐します。
ダイヤ・ハート→「あら、あなたもここに迷い込んで来たのかしら?」
スペード→「博麗神社にようこそ。素敵な御賽銭箱はここよ」
クラブ→「あんた一体何者? 新手の妖怪かしら?」
JOKER・クラブA→「ひ、一目ぼれしちゃった///」なにィ!?
432 :
森崎名無しさん
:2013/03/27(水) 23:07:34 ID:???
★幻想郷ファーストコンタクト→
スペードK
★
433 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2013/03/27(水) 23:11:05 ID:???
霊夢が中山に御賽銭を要求した所で、ちょっと早くて中途半端ですが、
今日の更新はここまでにしたいと思います。
せっかく参加してくれたのに、判定や選択肢がほぼなく申し訳ございませんでした。
この文章中心パートは、明日には終わらせることが出来ると思います。
それが終われば、いよいよ自由行動や練習が始まります。
もう少し御辛抱ください。
それでは、皆さま、本日もお疲れ様でした。
434 :
森崎名無しさん
:2013/03/28(木) 00:22:14 ID:???
乙でしたー
435 :
森崎名無しさん
:2013/03/28(木) 16:07:48 ID:???
>>393
露鈴兎・本後宇院・イナバとバルバスな兎とのコンビプレイか………
どう頑張ってもゲームオーバー以外の結果が見えてこないな
436 :
森崎名無しさん
:2013/03/28(木) 16:18:03 ID:???
パスカル参入が非常に嬉しい今日このごろ。中山さんも加わって、努力の人が報われる話になるといいなー。
437 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2013/03/28(木) 22:51:02 ID:???
只今帰ってきましたので、少し更新したいと思います。
>>434
乙ありがとうございます!
>>435
張幡(ばるば) す(パンツ)とかでしょうか。狂気度が上がりそうですね。
>>436
ありがとうございます。そうですね、作者としても凡才の努力をテーマにしたいとは思っています。
もちろん、これからの引きでどうなるかはわかりませんが…
次のレスより本編に移りたいと思います。
438 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2013/03/28(木) 22:52:29 ID:???
★幻想郷ファーストコンタクト→ スペードK ★
スペード→「博麗神社にようこそ。素敵な御賽銭箱はここよ」
その少女は、初対面の中山に対し、いきなり賽銭を要求してきた。
中山「あの、聞きたいことがあるのですが」
霊夢「博麗神社にようこそ。素敵な御賽銭箱はここよ」
中山「ここら辺に病院は」
霊夢「博麗神社にようこそ。素敵な御賽銭箱はここよ」
中山「あの」
霊夢「博麗神社にようこそ。素敵な御賽銭箱はここよ」
中山「……」
らちがあかない。どういった事情があるのかは分からないが、
彼女は賽銭を出さぬ者に出す口はないようだ。
中山は着ていたボロボロのジャージの中に運よく入っていた5円玉を
見つけると、仕方なくそれを賽銭箱に入れる。
そして二拍二礼一拍を行うと、ようやくその巫女装束の少女は口を開く。
霊夢「(たったの5円だなんてしけてるわね。
紫は最近の外来人は金持ちだから1000円くらい入れてくれると言ってたのに。チッ)
で、あんたどうしたの? 外来人でしょ? 迷い込んできたわけ?」
439 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2013/03/28(木) 22:53:29 ID:???
霊夢は苛立ったような口調で中山に話しかける。
中山「(この人…今明らかに舌打ちしなかったか…?)えっと。俺は実は――」
ここで、中山は霊夢に今までの事を打ち明ける。
サッカーをしていた事。だが不慮の事故で二度と激しく動けない身体となった事。
それでもどうしてもサッカーをしたいと思っている事。
そして、ここ山奥の診療所には、どんな万病でも治すことのできる医師が居ると聞き、
それで自分の意思で訪れたのだと言う事を。
霊夢「ふーん(サッカーをねえ。あんなの、そうまでしてやりたいものかしら?)」
霊夢は、中山の熱弁を、あっけらかんと、やる気のなさそうに受け流す。
彼女はとてつもないサッカーのセンス(だけでなく、他のあらゆる事についても)があるものの、
異常なまでにやる気がなく。そういった意味で、中山とは決して相いれない存在だったといえよう。
440 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2013/03/28(木) 22:54:29 ID:???
とは言っても、霊夢とて暇を持て余していた上に、無理に人の願いを聞かない程、
性格は悪くない。偶然迷い込んで来た人間とも違い、しっかりとした目的があるのだから、
最低限のフォロー程度をすることが、博麗の巫女として中立的で理にかなっているとも思った。
霊夢「ま、そういう事なら、案内人の所まで連れていってやってもいいわ。
――あんた、当然空は飛べないわよね?」
中山「いや、そんな当然とか聞くまでもなく、空を飛べる奴なんていないだろう」
中山は若干怒ったように口を開く。自明の事を問われたのだから、当然だろう。
霊夢はそんな中山の心情を知ってか知らずか、事務的な様子で、
霊夢「じゃ、あんたは玄爺が乗せてくれるよう頼んであげるから」
とだけ述べて、神社の境内裏まで去っていった。
中山「(一体何なんだ、この少女は…。賽銭をあれだけせびっていたのだから、
何かの事情で貧しい生活を強いられてはいるのだろうか。
そうなると、彼女の無気力でつっけんどんとした態度も、
辛い生活の内にそうなってしまったのだと理解できるが――)」
中山は、その同年代の巫女を見て、何処か可哀そうな少女だな、と
思っていた。
*中山の霊夢に対する評価が、中山→(可哀そう?)→霊夢 になりました。
441 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2013/03/28(木) 22:55:33 ID:???
――そして。
中山「し、信じられない…! 本当に空を飛んでいるなんて…!?」
霊夢「だから言ったでしょ。この世界では、空を飛ぶくらい日常茶飯事なのよ」
霊夢に介助してもらいながら、ようやく玄爺の背中に乗せてもらった中山は、
その後空の上より人里を遠く見下ろしていた。
中山「(しかし、街並みを見ると、先進的どころか、歴史の教科書に載っているような伝統的な
建物ばかり。一体、先進的な病院なんてどこに――?)」
霊夢「もうすぐ着陸するわよ。 足を痛めないようかばってなさい」
中山「(こ、こんな体制で、どうやって身をかばえというんだ!?
シートベルトは愚か、何か掴むものすらないぞ!?)」
だがしかし、幸運にも中山は無傷で人里外れの竹林入り口に運び出され、
そうして白髪と赤のもんぺの似合う、儚げな少女と出会う。
妹紅「やあこんにちは、博麗の巫女。彼は依頼人かしら?」
霊夢「そう。 そういう訳で後はよろしく」
霊夢が玄爺を連れて再び空へと飛び立とうとする。
中山「ちょ、ちょっと待ってくれ! 俺はあんたに、ここまで送ってくれた礼を言いたい!」
礼儀を重んずる中山としては、与えられたものには、
相応の礼を以て返さなくてはならないと考えている。
たとえ色々と思う所はあっても、彼女(と玄爺)が中山を案内してくれたことは
事実だし、中山は彼女達に痛く感謝をしていた。
442 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2013/03/28(木) 22:56:33 ID:RLPoaLtM
霊夢は、そんな中山に対して…。
先着1名様で、
★霊夢の返答→! card★
と書き込んでください。マークで分岐します。
ダイヤ→「そんなモン、いらないわよ。気持ちだけで十分」
ハート→「それなら、美味しいお茶菓子でも持ってきてもらおうかしら」
スペード→「それなら、今度御賽銭でもしに来てくれない?」
クラブ→「5000円。一か月以内にね」
クラブA→「それじゃあ、ケガが治ったら、今度私の作るチームでプレイしてみない?」
JOKER→「で、デート…、一回///」
443 :
森崎名無しさん
:2013/03/28(木) 22:56:48 ID:???
★霊夢の返答→
スペード2
★
444 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2013/03/28(木) 23:19:14 ID:???
★霊夢の返答→ スペード2 ★
スペード→「それなら、今度御賽銭でもしに来てくれない?」
中山「何かと思えば、やっぱりそれか。それならば、やらせていただくよ。
――今度は、もっと大きい金額で」
中山は霊夢に向かって笑顔を見せる。霊夢もそんな中山に向かって、笑顔を返す。
それは今までのスレた印象とは違って、年相応の、あどけなく可愛らしい少女そのものであった。
霊夢「(大きい金額!? ってことは少なくとも千円。いや、一万かしら?
いやいやもしかしたら額面無しの小切手とか!?ウヒヒヒ。当分ウチは飯には困らないわね…)」
…考えていることはさておき。
*中山が霊夢に御賽銭をしに行く約束をしました。
445 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2013/03/28(木) 23:20:25 ID:???
竹林の中にあるという診療所――名を永遠亭と呼ぶらしい――に向かう道中、
妹紅は中山に話しかける。
永遠亭に向かう道中、彼ら二人は会話を交わすことで多少なりとも打ち解けあっていた。
妹紅「でも中山君、あなたってすごいわね。 サッカーの為にここまでするなんて。
こんな無茶苦茶なやる気と気合い。そして実行力のある人間なんて、
私のもう千年くらいにもなる人生の中でも始めてだよ」
中山「ハハ…ありがとうございます(今、千年くらいって言ってたよな…。
きっとジョークだろう…た、たぶん…)」
杖をつきながらの歩行の為、なかなか早くは歩けない。
妹紅はそんな中山の様態を気遣って、休みをこまめにとりつつ。
できるだけ広い道を選びつつ進んでいた。
妹紅「私も、最近サッカーを始めてねえ。 最初は慧音――親友の誘いだったんだけど、
これがなかなかおもしろくて。 最近は大会目指して練習も結構増えたね」
中山「大会? そんなものがあるんですか?」
妹紅「うん、そうよ。 最近では、全幻想郷選抜大会、ってのがあって――」
妹紅から、大会の概要を聞き。そしてそのスケールの大きさを知り、
唖然とする中山。特に、外界の代表選手を集めてもう一度、
Jr.ユース大会を開催する、と言った話について心を惹かれた。
中山「(な、なんだそれは…。でも、これはチャンスでもある。
俺の夢――。森崎と同じ舞台に立ち、同じ栄冠を勝ち取るという。
俺の最大の目標を叶えるための――)」
446 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2013/03/28(木) 23:21:26 ID:???
中山の脳裏には、もうすでに大会の様子が目に映っていた。
森崎と共に、全日本のゴールを守る自分の姿。
かつてはテレビでしか見る事しかできなかった各国の強豪選手達と、
実際にフィールドで戦っている自分の姿。
そして。全幻想郷代表を含めたすべての代表を撃ち破り、
優勝のトロフィーを大きく抱える自分。――自分達の姿。
中山「(森崎。待っていろよ、俺はここでお前達に追いつき、そして肩を並べる。
そして、俺はお前と共に戦えるようになる。なってみせ――)あいたっ!?」
妹紅「ちょっと大丈夫!? もう、余所見して歩いてるから――」
中山「す、すみません…」
竹の節にけつまづき転ぶ中山。その表情は未来を夢見る、
年相応のあどけない少年そのものだった――。
447 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2013/03/28(木) 23:22:26 ID:???
いったんここまで。次からは、再び鈴仙に視点が戻ります。
448 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2013/03/28(木) 23:53:35 ID:???
藤原妹紅が永遠亭を訪れたのは、深夜だった。
応対係の鈴仙は、玄関から絶え間なく聞こえる物音にようやく気付き、
ブラウスだけを軽く羽織るように着て、玄関へと飛びだす。
鈴仙「どうしましたか! まさか、急患!?」
妹紅「その通り、急患だよ。薬師を呼んでくれないかしら?」
鈴仙「は、はいっ! 只今っ!」
鈴仙はあわてて師匠――八意永琳の私室をノックする。
永琳「どうしたの、ウドンゲ。こんな深夜に」
鈴仙「きゅ、急患ですよ! 妹紅さんが連れてきました!」
あわててまくしたてる鈴仙。永琳はそれを、
永琳「ちょっと。姫様が起きてしまうでしょう? もう少し静かにしてくれないかしら?」
と、少しズレたような理由を付けて返す。
鈴仙「すみません…。と、とにかく患者を」
鈴仙は患者――フラフラになりながらも杖をつく中山を介抱し、
病室まで送り届けた。
449 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2013/03/28(木) 23:54:36 ID:???
永琳「―――経過は順調。 明日の朝にはもう、普通に歩けるようになるし。
サッカーとかも、夜にはもうできるようになるわ」
中山「し、信じ、られない…」
――結論として、中山の手術はいとも簡単に終わった。
鈴仙が大した介助をするわけもなく、局所麻酔を打ち、幹部の神経を
つなぎなおし、継ぎ足し、薬で修復し。言葉にすると簡単だが、
常人には到底できないような医療技術をふんだんに駆使した結果。
30分足らずで中山をああまで苦しめた神経の不調を治すことができたのだった。
永琳「まあ、確かに、外界では一般的には用いられないような医療技術も使いはしたけれど。
病は気から、っていうように、肝心なのは本人の意思の力よ」
ああまで科学的な手術をした本人が、急にオカルトチックな事を言い出したので、
中山は思わず口を噤む。
永琳「多分、普通の子だったら、もっと治療に時間がかかっていたわ。
あなた、元々リハビリを良く頑張っていたでしょう? もちろん、無理の出ない範囲で。
そうしたあなたの『治りたい』という意思を、私は最も効率よく引き出しただけよ」
しかし、その言葉には説得力があった。科学では解明できない、人間や世界の持つ
ポテンシャル。そういったものすら活用できるからこそ、現代医学を大きく超えた医療が
できるのだろう。そう中山は考えることにした。
450 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2013/03/28(木) 23:55:36 ID:???
永琳「さ、というわけで今日はもう寝なさい。睡眠こそが最大の治療薬よ。
ウドンゲ、病室まで案内を」
永琳がそう言って、話を切り上げようとした矢先。
中山「あの…お代は。 ――俺、今実は持ち合わせが殆どなくて」
中学生が、病院を抜け出して県外の山奥まで行ったのだ。
わずかな資産をやりくりして、本当に奇跡のような確率を切り抜け、ここに至ったのだろう。
しかし、中山の総資産は、107円しか無かったのだ。
永琳「ああ。お代ね。その事についてなんだけど――」
ここで永琳は勿体ぶったように言葉を切る。
ここまでの会話の流れは、全てこの一言を言う為にあったのだと言わんばかりに。
451 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2013/03/28(木) 23:56:54 ID:???
永琳「あなたが私達のチームに入ってくれるというなら、無料でいいわ」
中山「…は?」
永琳「もう一度言おうかしら?『あなたが私達のチームに入ってくれるというなら、無料でいいわ』」
中山は呆気にとられた。否、呆気にとられざるを得なかった。
永琳「私達は来る10月の全幻想郷選抜大会に出場する。そのためには貴方のような優秀な外来人の
サッカー選手が必要なのよ。
――ああ、心配しなくても。この大会に出たからって、全日本の代表に呼ばれないとかはないと思うから」
中山「い、いや。俺が言いたいのはそうじゃなくて。その――。
無料で治療してもいいのか!? お金を取らないと、儲けが――」
永琳「あら、心配してくれるのかしら? ありがとう。でも私達、善意でやってることだから」
永遠亭は実際に、重い病に冒された里人を破格の値段で治療したり、
効き目の高い薬を安値で販売するといったことを行っているため、
(その善意の出所が気になる一部の者は除き)多くの人間に好まれていた。
――当然、中山はそんな事情や背景を知る訳もないので怪しまざるを得なかったが、
当分の間の食糧と住居の提供、サッカーでの技術向上の保証を(永琳本人が)見せる事で、
なんとか納得を得ることができたのだった。
ひとしきりの紹介の後。
中山「(永琳さん…とてつもない実力者だった。翼を思い出すな)――はい。
そういうことでしたら、俺はこのチーム…永遠亭ルナティックスに加入します」
中山から、正式に加入の一言を得ることが出来たのだった。
*中山政男が、永遠亭ルナティックスに加入しました!
452 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2013/03/29(金) 00:03:12 ID:???
すみません、結局本日も文章パートを終わらせることができませんでしたが、
今日の更新はここまでにしたいと思います。
明日は、
・文章パートの最後部
・チュートリアルイベント
を終了させることを目標として行きたいと思います。
今日は判定が1度しかなく、退屈な思いをさせてしまい、申し訳ございませんでした。
皆さま、本日も、文章を読んで頂きありがとうございました。
453 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2013/03/29(金) 18:28:04 ID:???
こんばんは、今日は沢山更新できたらいいな、と思います。
いつも以上にキャラ崩壊や独自創作設定が激しいかもしれません。
また、一部が鬱な展開になっているかもしれません。ご了承ください。
次のレスから本編に移りたいと思います。
454 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2013/03/29(金) 18:29:15 ID:???
――――――――――――――――――――――――
中山が永遠亭ルナティックスの一員となった次の日の夜、鈴仙は夢を見た。
自分がまだ月に居たころの事だろうか、
鈴仙は綿月邸で自分と同じようにペットとして飼われていた、
何人もの玉兎達と、他愛もないおしゃべりをしていた。
差し込む白い光は暖かくて柔らかくて、なんとも懐かしい。
玉兎A「レイセンはすごいよね。月の士官学校で成績、トップだったんでしょ?
私達、レイセンがここに来る前から貴女の事知ってたよ。有名人だしね」
レイセン(今の鈴仙)「そんなことないわよ。私だって、色々勉強してたし…
(ま、基本的に私とあんたらではおつむの出来が違いすぎるんだけどね)」
その当時の自分は、かなり傲慢だったことを、改めて鈴仙は振り返る。
同期の玉兎の中では、筆記も実技も常に成績はトップ。
更に、他の玉兎以上に『波長』を操る力に長けており、凡愚な教官や友人たちは、
それを『狂気の瞳』と称し讃えていた。
鈴仙は、そんな環境の中で、少なからず慢心していた。
自分から進んでそれをひけらかす性格ではなかったが、心の中では常に他者を見下していた。
玉兎B「ね、レイセンちゃん。 今度皆と一緒に町に遊びに行かない?
依姫様は怒るかもしれないけれど、豊姫様にこっそり口利きしとけば、
きっとなんとかなるよ!」
455 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2013/03/29(金) 18:30:28 ID:???
レイセン「本当!? じゃあ、行きましょ! 豊姫様には私がなんとか言っておくし」
玉兎C「うん。レイセンならきっと安心だね! いいなあ。私もレイセンちゃんみたいに、
依姫様達のお気に入りになりたいなあ〜」
レイセン「ふふ。Cちゃんも可愛いし一生懸命だから、きっとなれるわよ
(ま、それだけじゃあ私には敵わないけどね)。――じゃ、行ってみるね」
優越感を胸に抱きながら、豊姫の下に向かう、夢の中の自分。
鈴仙「(昔の私って、こんな感じだったなあ。…ホント、身の程知らずで生意気で。嫌な奴)」
鈴仙は、そんな過去の自分が大嫌いだった。
456 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2013/03/29(金) 18:31:30 ID:???
――ふと、そこで夢の中の視界が、一転する。
白い光は不安げな陽炎のように揺らめき、不自然な明るさを感じさせる。
玉兎A「行った? あの口ばっかりで生意気なヤツ」
玉兎B「本当にうざいよね。自信満々なのが見え見えだしさ」
玉兎C「ちょっとおだててあげればすぐに調子に乗っちゃって。
ちょっとお勉強が出来るかもしんないけど、分かんないことがあったらいっつも
依姫様や豊姫様に泣きついて。本当は逃げ出した――『臆病者』のくせにね」
いつしか風景は、綿月邸ですらなくなっていた。
永遠亭、人里、竹林、今日の試合があったサッカーコート。
それらが織り交ざったどこかで。
玉兎達だけではなく、色んな人々が、鈴仙の陰口を話している。
永琳「肝心な所で何時も何時もポカをして…。
ウドンゲ、貴女には失望したわ。これからはパスカル君とコンビを組むから、
貴女はもう用済みよ。どこへでも行きなさい」
輝夜「下手くそのくせに、永琳の相棒とか名乗っちゃって。
全く、恥ずかしいったらありゃしないわ」
てゐ「お師匠様の前では良い子ちゃんぶってるけど、全然仕事はできないし。
あ〜あ、早くどっか行ってくんないかなあ〜」
慧音「あいつは最悪だな。私達をいつも見下したような態度で薬を売っている。
これでは、永遠亭の薬師の人格すらも疑ってしまうよ。――弟子とは違い、
彼女は本当は出来た人物なのになあ」
妹紅「わかるわかる! あいつったら、ちょっと実況が持ち上げてくれてただけで、
実力者気どっちゃってさ。 本当はあんなの、全然大したことないのに!」
457 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2013/03/29(金) 18:32:30 ID:???
パスカル「……お前を見ているとイライラする。天才の相棒を自負しておきながら、
いつも天才に甘えて、頼って。そして自分は天才の為に何もしようとしない。
――そんな存在、いつか天才の方から見限られる」
観客・実況・里人・ウサギ達「臆病者」「生意気」「死ね」「必要ない存在」
「役立たず」「無能」「天才の面汚し」
レイセンは。否、鈴仙は、たまらず駆けだしていた。
鈴仙「(いや、嫌、イヤ! 昔の自分が大嫌いって。
何よ!? 結局今の私だって昔の自分と全然変わっていないじゃない!
ちょっと卑屈になっただけで、仕事が忙しいとか師匠が凄すぎるとか環境のせいにして、
変わる為の努力もしてない。けれどその癖に意味のないプライドの塊で!
結局師匠の事とかよりも、自分の面子とか保身とか。そんなことしか考えていない!)」
しかし、駆け抜ける道は光の一点もない、純粋な暗闇。
どこに行けば逃げられるのか、どうすれば助かるのかが、全く分からない状態。
たまらず鈴仙は転んでしまう。
「臆病者」「生意気」「死ね」「必要ない存在」「役立たず」「無能」「天才の面汚し」
鈴仙を傷つける言葉が、雪崩のように鈴仙に覆いかぶさろうとしていた。
鈴仙には立ちあがる気力すらもはやない。絶望に打ちひしがれていた。
458 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2013/03/29(金) 18:33:34 ID:???
―――ふと、そんな時。ある規則的な音が、罵倒に交じって聞こえる。
ポーン、ポーン、ポーン…
鈴仙「(…何かしら、この音は…? サッカーボール、の…リフティング?)」
暗闇の果てに、光が一点だけ見えた。
どうやら、音はその光から聞こえてくるらしい。
鈴仙は立ち上がり、改めてその光の射す方角を目指すことにした。
罵倒は相変わらず、耳鳴りを伴ってガンガンと聞こえてくる。
しかし、鈴仙の心は少しずつ、その規則的な音に支配され、そして――。
459 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2013/03/29(金) 18:34:36 ID:???
鈴仙「…夢。かしら」
鈴仙は目覚めた。やけにリアルな感触を伴う、とても嫌な夢だった。
鈴仙「(ホント、嫌な奴。…私って)」
寝巻の一部が透けてしまいそうなまでに、寝汗をびっしょりとかいていた。
人参柄のお気に入りのパジャマ。その可愛らしさ、平和さが、却って先ほどまでの夢の
恐ろしさを想起させられる。
鈴仙「(ちょっと寒いけれど…。外の空気でも浴びて来ようかしら)」
鈴仙はそう思い立ち、愛用のブレザーを外套代わりに羽おり、
襖をあける。すると。
ポーン、ポーン、ポーン…。
夢でも聞こえて来たその音が、今現実のものとして、
鈴仙の耳に入ってくる。
鈴仙「(サッカーボール…のリフティングかしら。夢で聞こえた音だけど…。)」
目覚めた直後は鼓動の音で聞こえなかったのか、その音は完全なる静寂を保つ
深夜の永遠亭の中で、それなりに響いていた。
鈴仙「(音は…中庭かしら。それにしても、一体誰が…?)」
まだまだ寒気の強い廊下を歩き、中庭の見える縁側に向かう鈴仙。
するとそこには…
460 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2013/03/29(金) 18:35:50 ID:e0D6zydY
先着1名様で、
★練習をするのは…?→! card★
と書き込んでください。マークで分岐します。
JOKER→中山とパスカルが二人で練習をしていた。
クラブA→露鈴兎・本後宇院・イナバ(全裸)と張幡 す(パンツ)が二人で練習をしていた。
それ以外→中山が一人でリフティングをしていた。
461 :
森崎名無しさん
:2013/03/29(金) 18:43:42 ID:???
★練習をするのは…?→
ダイヤ4
★
462 :
森崎名無しさん
:2013/03/29(金) 18:43:48 ID:???
★練習をするのは…?→
スペード2
★
463 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2013/03/29(金) 18:45:15 ID:???
★練習をするのは…?→ ダイヤ4 ★
それ以外→中山が一人でリフティングをしていた。
ポーン、ポーン、ポーン…。
中山「88、89、90…」
先日永遠亭に来たばかりの少年、中山政男。
音の正体は、彼によるものだった。
中山「…92、93、94…あっ!?」
バシッ! ポンポンポン…。
94回目のリフティングで、中山は芯を捉え違え、
ボールを遠くに蹴りだしてしまった。
そしてそのボールは、鈴仙の居る縁側の近くまでに落ちてきて…
鈴仙「練習お疲れ様。でも、師匠も言ってたわよ?『睡眠こそ最大の治療薬』、ってね」
鈴仙はひょいとそのボールを持ち上げ、腰に抱える。
確かに中山の身体は今日一日で大きく回復したのだが、
それでも急に無茶はさせられない。
中山「ああ、…すみません。えっと…うどんげ、さん?」
鈴仙「うーん…。確かに私の名前は優曇華だけど…、
師匠以外の人にあまり呼ばれてほしくないのよね。
だから、『鈴仙』って呼んでくれないかしら?」
中山「ああ。そうだったのか(確かに、うどんげって大分変わった名前だよなあ…)。
失礼しました、鈴仙さん」
464 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2013/03/29(金) 18:46:15 ID:???
鈴仙「ありがとう。――それにしても、随分とサッカーに情熱を賭けているのね。
それも、信じられないくらいに。…妹紅さんから聞いたわ。」
中山は、それを聞き、やはり聞かされていたのか、と恥ずかしそうに頬を掻き、
鈴仙の隣に座った。鈴仙もボールを膝に抱え、それに倣う。
中山「――ここは。凄く綺麗な場所だな、鈴仙さん。まるで、一番美しい時に
時間を切り取って、そのまま全く動いていないようだ」
中山は空を見上げて呟く。
白玉楼などと比べては質素な造りの庭ではあるが、それでもしっかりと
(主に鈴仙により)管理は行き届いていたし、その向こうに見える生い茂った竹林の黒と、
月と星の光を受けて薄ぼんやりと光る夜の灰色との昏いコントラストは、
絵画を切り取ってそのまま空に貼り付けたように鮮やかだった。
鈴仙「(まあ、実際ちょっと前まで時が止まってたんだけれどね…)」
鈴仙は、この屋敷――永遠亭が『本当に』時が止まっていた時の事を思い出す。
あれからもう結構な日々が過ぎ、永遠亭の住人も、時の経過により色々と変わっていった。
――だが、自分は本当に変わったのだろうか? 先ほどの悪夢と相まって、鈴仙は自分自身が
分からなくなるような錯覚を少しだけ感じた。
中山「…そして。俺の時間も。昨日まで、全く動いて居なかった」
鈴仙はその言葉に反応し、ふと中山の顔をじっと見つめる。
平凡な顔立ち。やや長身だが、それでも体格の良い里人には負けるだろう、
標準的な体格。鈴仙が一見したところでは、彼に特別な能力や才能があるとも思えない。
465 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2013/03/29(金) 18:47:16 ID:???
中山「――忠告してくれたのに悪いが。ちょっと、一勝負してくれないか?
…俺のプレーを、見て欲しいんだ」
鈴仙「えっ…でも中山君。多分今の状態だったら、まだ身体も満足に動かない筈よ!
そんな状態で勝負をしろ、って言っても…」
中山は鈴仙からボールをひったくり、そして再び中庭の中央に陣取る。
そして、ぎこちないながらも、洗練されたフォームでボールをキープする。
中山「さあ、鈴仙さん! 俺を眠らせたいなら、俺からボールを奪ってみてくれ!」
鈴仙「……。仕方ないわね、行くわよ!!
(でも、狂気の瞳は封印しましょう。今は、彼の純粋な実力を見てあげるべき!)」
466 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2013/03/29(金) 18:48:16 ID:e0D6zydY
先着2名様で、
★中山→ドリブル 43 +(! card)+(! dice + ! dice)+(ブランク-3)=★
★鈴仙→タックル 40 +(! card)+(! dice + ! dice)=★
と書き込んで下さい。カードやダイスの結果で分岐します。
MAX【攻撃側】−MAX【守備側】
≧2→中山の勝利!
=1、0、−1→ボールはこぼれ球になり、引き分ける。
≦−2→鈴仙の勝利!
【補足・補正・備考】
中山のスキル・ブランクは中山が覚醒するか、試合終了ごとに少しずつ解消されます。
(覚醒フラグ・技フラグも独立して習得・回収されます)
中山は、スキル・底知れぬポテンシャルにより、カードでQ、Kが出た場合でも覚醒フラグを習得します。
(ただし、攻撃側は完全勝利、守備側はこぼれ球以上を条件とします。他の覚醒条件と重複はしません)
467 :
森崎名無しさん
:2013/03/29(金) 18:49:14 ID:???
★中山→ドリブル 43 +(
スペードQ
)+(
3
+
5
)+(ブランク-3)=★
468 :
森崎名無しさん
:2013/03/29(金) 18:49:39 ID:???
★鈴仙→タックル 40 +(
クラブ3
)+(
6
+
2
)=★
469 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2013/03/29(金) 18:49:53 ID:???
すみません!
中山のドリブル値は44でした!
もし間に合えば、
★中山→ドリブル 44 +(! card)+(! dice + ! dice)+(ブランク-3)=★
でお願いします。(先に書き込みがあればそちらを優先します)
470 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2013/03/29(金) 18:56:23 ID:???
★中山→ドリブル 44 +( スペードQ )+( 3 + 5 )+(ブランク-3)=49★
★鈴仙→タックル 40 +( クラブ3 )+( 6 + 2 )=48★
=1、0、−1→ボールはこぼれ球になり、引き分ける。
中山のドリブルテクニック。それはあくまで教科書レベルから逸脱したものではなかった。
しかし。
鈴仙「(き、綺麗…! この人、一体この動作を何万回行ったのかしら!?
――でも、綺麗なだけで、実戦でこんなドリブルしたら…)はっ!!」
ズザアアアア!
鈴仙がスライディングタックルを仕掛ける。
中山のドリブルはフォームが整い、美しいものではあったが、
相手の取りずらいタイミングなどが全く解っていない。
それゆえ、比較的タックルが得意でない鈴仙でも、
中山の動きに合わせるのは容易だった。
中山「(やはりダメか…だがっ!)」
タタッ…クルッ!
素早くフェイントをかける中山。その動きもまた、高いレベルで洗練されてはいたが、
足の動きが鈍かったのか、完全にはかわせず、こぼれ球にしてしまう。
471 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2013/03/29(金) 18:57:54 ID:???
中山「どうだった?…できれば、率直な感想を出してくれれば嬉しいんだが」
鈴仙に感想を求める中山。その表情は、あっけらかんとしたように見えたが、
良く観察すると、心の底で大きな焦燥を隠しているようにも見える。
鈴仙「(正直に言うと…確かにフォームはキレイだったけど。
それでも、少し上手いくらいで、全然大したことのない平凡な選手、って感じに見えた。
プレーの随所に師匠とかパスカル君みたいな鋭さも見れたけれど、やっぱりケガのせいか、
それが完全に錆ついているような。でも、正直に言ってもいいのかな…)」
言い淀む鈴仙を見て、中山はこう続ける。
中山「――自分で言うのもなんだが、俺は、去年の夏までは、国内でもトップクラスの選手だった。
と、思う。少なくとも、国内トップクラスのライバル達を相手に、互角の勝負を繰り広げていた。
……けれど、そこまでだった。そこからケガをして、俺の時間は止まってしまった」
鈴仙「(国内トップクラス…。外の世界のサッカー事情なんて分かんないけれど。
昔の中山君は、きっとパスカル君やその親友…ディアス…君のような選手だったのかしら?)」
外の世界のサッカーについては、パスカルから雑談程度で知った程度の知識しか持ち合わせていない。
しかし、日本のサッカーの代表選手は、かつての大会で優勝するほどの強豪ぞろいだったとは聞いていた。
だから、その日本でトップクラスだったという中山の言葉を信じるならば、
彼は以前は相当の実力者だったのだろう。
中山「今の俺のプレー。全然大したことないだろう? 昼に練習していたアルゼンチン人の彼…、
パスカル君だったかな。彼と比べると、今の俺は相手にもならないだろう。
けれど、俺は諦めない。ここで努力して、再び俺は俺の時間を進めてみせる。そして、
昔の実力を取り戻し、再び日本。そして世界で活躍できる選手になるつもりだ」
472 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2013/03/29(金) 18:58:54 ID:???
鈴仙「――どうして、諦めないの」
鈴仙は、中山を理解できなくなっていた。
どうしてこんな苦境に立たされているのに。こんなに実力差を実際に感じているのに。
彼は、向上しようとし続けられるのだろう。
鈴仙「悪いけど…。貴方が努力しても、こんな状態から、再びトップクラスの選手に戻れるとは思えないわ。
別にサッカーが好きでやれるんなら、それでいいんじゃないの? きっとブランクさえ取り戻せれば、
ゆっくり楽しくサッカーをしていても、普通の選手にはなれると思うわ。それなのに、何故――なぜ、
こんな茨の道ばかり選ぼうとするの?」
今までに、ここまでもストイックな人間を、鈴仙は見たことが無かった。
いかに困難で不可能に見える目標でも、それに向かい、時には奇跡すら起こしつつ。
しかしそれで慢心することもなく、鉄人のように一歩一歩進もうとする中山の行動原理は、
妖怪としてそれなりに長い生を過ごしてきたつもりの鈴仙でも、理解を超えるものだった。
中山「――友人のためさ」
鈴仙「友人? その友人ももしかして、天才だったりするの?」
ふとパスカルの姿が脳裏によぎる。彼もまた、天才である友人を
追いかけるよう練習をしていたと聞いていた。
中山は、鈴仙の問いかけに笑う。
中山「いいや、凡才さ。――俺以上のな。
最初はある天才GKの控えキーパーで、そいつの家来でもあったんだが、
ある日突然、牙を剥き始めた。
あいつはそこから、どこまでも貪欲に自分の力を伸ばしていき、
時には詭計も使い――。そして、最後はその天才に勝利した。
つまり自分は代表の正GKに。そして敵視していた天才を控えGKにしてみせたんだ。
俺は、そんな友人と並び立ち、再びサッカーをしたいと思っている。…それが、俺の原動力。かな」
473 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2013/03/29(金) 19:00:06 ID:???
鈴仙はその話を聞き、純粋に凄いと思った。それは、中山を支える精神の強さにもあるが、
何よりも――。
鈴仙「凡才が、天才に勝った――? そんなことがあり得るの?」
中山「いや、普通はありえない。――それだけ、持って生まれた才能とか、
運命とかは強い存在なのだと、俺は思う。だからこそ、俺もまたあいつの様に運命に逆らってみたい」
運命に逆らえるまでの強靭さ。そんなものが存在するのかと鈴仙は思った。
でも、彼の話を聞くうちに、自分に足りないものが見えたような気もした鈴仙は、
いつしかその言葉に酔っていた。
幻想郷では、生まれとか、種族による差が、外界よりもはっきりしていると言っても良いだろう。
人間は妖怪を恐れ、妖精は儚く、鬼や吸血鬼が多くの下級妖怪を圧倒し、天才である博麗の巫女には、
どれだけ努力をしても、誰一人として勝利することはできない。
それは月の都でも同じであり、鈴仙をはじめとする多くの人妖は、生まれついた時点で自分の才能に
見切りをつけ、その種族としてふさわしい生き方を選び、一生を終えて行く。(例外も多く居るが)
中山、そして『中山の親友』にはそうした『諦め』というものが無かったのか。
鈴仙には、それがとても眩しく思えたのだ。
鈴仙「(私でも――。がんばれば、師匠に並べる。私も、もし中山君や、その友人のように運命すら狂わせる力が
あれば――。ううん、そんな力をこれから身につけることができれば――でも、そんなこと、できるのかなあ。
常識的に考えて、無理に決まってるわ…)」
鈴仙の感情はそれを信じつつも、理性がそれを阻む。
そんな事は夢想にすぎないのだと。仮にそれを叶えようとすれば、
自分に多くの苦痛と困難が待ち受けているであろうと言うことを。
474 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2013/03/29(金) 19:01:07 ID:e0D6zydY
しばしの静寂の後、鈴仙は――。
A:「私も…やってみる。私はもう――逃げない!」
B:「やっぱり…無理よ。私は私。変わることなんてできないよ…」
先に【3】票入った選択肢で進行します。メール欄を空白にして、IDを出して投票してください。
475 :
森崎名無しさん
:2013/03/29(金) 19:08:51 ID:gGXsGCF6
A
476 :
森崎名無しさん
:2013/03/29(金) 19:13:58 ID:???
こういう場面でBを選択する人がいるのでしょうか?
Bを選択するとそのままドツボコースになりそうで、
恐ろしくて(少なくとも私は)投票できそうにありません。
最終的にYESかNOになるとしても、選択肢にニュアンスの差を設けて、
実質的な選択の幅を広げてほしいです。
477 :
森崎名無しさん
:2013/03/29(金) 19:17:04 ID:RSM2072k
A
478 :
森崎名無しさん
:2013/03/29(金) 19:18:40 ID:ui9eLpk6
A
479 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2013/03/29(金) 19:29:21 ID:???
>>476
作者としては、
>>474
の選択肢は、RPG等でよくある、
「●●の山には恐ろしいドラゴンが居る…
命を落とすかもしれんがそれでも行くのか?」
→はい
いいえ
のような、一種の演出として設けたつもりでした。
ですが、確かに
>>476
さんの指摘を受けた上で考えなおすと、
こうした参加型のゲームでは、一人でやるRPG等と違って、
・選択が重い(特に今回は気合いを入れるニュアンス?の為3票決にしてしまいましたし)
・やり直しが効かない恐れがある、
などのような特徴があると思い至りました。
何の前情報もなく、こうした選択肢を出すと、逆に困惑してしまうと言う点に
気づけませんでした。申し訳ございません。
今後は、選択肢を出す際には、参加者様あっての参加型ゲームですので、
もっと考える要素、ニュアンスの差異等を出して行きたいと思います。
最後に、とても参考になるご指摘をありがとうございました。
480 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2013/03/29(金) 19:30:22 ID:???
A:「私も…やってみる。私はもう――逃げない!」
鈴仙「(私が逃げ出した時から。ううん、そのもっと前から、
時間はこんなにも経ったのに。私の時間もずっと止まっていたのかもしれない。
だから、何時までたっても進歩しない。昔は依姫様や豊姫様に泣きついて、
今は師匠に泣きついている私。――そんなんじゃあ、ダメなのよ。
それじゃあ、ずっと身の程知らずでプライドだけは一人前の『昔の私』のまま。
――私も、中山君のように、変わりたい。ううん、変えたい!
自分の手で、自分の未来を切り開いていけるように、私はなるんだ!)」
鈴仙は、初めて心の奥底から、『変わりたい!』と思えた。
それは夢の影響か。それともここにいる中山や、
試合中に大きなシンパシーを感じたパスカルの影響か。
鈴仙は、過去の自分と決別したいと思うようになった。
鈴仙「(パスカル君のように…。私は天才八意永琳に並び称されるプレイヤーとなる為、
努力したい。そして中山君のように…。どんなに運命や環境がしんどくても、努力を続けてみせる!
私でもできるんだ! よーし…逃げないぞ!!
この狂気の瞳で。予定調和の運命だって、変えて見せるわ!!)中山さん!」タッ…バシィ!
決意した鈴仙は、スックと立ちあがり、ボールを再び蹴りだす。
中山「ん、一体どうしたんだ、鈴仙さん?」
鈴仙「練習よ! 中山さん!」
中山「おいおい、さっきは早く寝ろ、って言ってたじゃないか」
鈴仙「気が変わったのよ、それに病は気から、っていうでしょう。
サッカーしていたら、いつの間にかケガなんて忘れてしまうわ!」
中山「ハハハ…都合のいいことを言うな。――ま、それならやるとするか。よし! まずはパス練習だ!」
481 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2013/03/29(金) 19:31:33 ID:???
時間を忘れ、練習に明け暮れる鈴仙と中山。
パスカルの存在により、鈴仙は自身の心の闇を照らし出せた。
そして、中山の存在により、鈴仙は心の闇を払い、更なる光を得る為の力を与えた。
永遠亭にやって来た、二人の外来人。
彼らは鈴仙の月となり、そして太陽となった。
――ここでようやく、鈴仙の物語は動きだす。
否、鈴仙だけではなく。運命に疑問を抱き、逆らおうとする全ての人間。
そして、妖怪たちの為の物語が。
鈴仙は。――この物語の主人公は。
彼ら、彼女らにとっての月となり、太陽となれるのか。
そして。
紫「外来人が多く、幻想郷に流れ着いてはいるけれど…。
有象無象が足掻こうとも、結果は変わらない。
フフッ、滑稽ね。結果の決まり切ったストーリーと知らずに、
未来を変えられるとか信じ切って無駄な努力をしている、哀れな人間に木端妖怪達。
……全ては幻想郷の未来の為。貴方達の希望を、尊い犠牲とさせて頂くわ…」
……<予定調和のストーリー>に、傷を付けることが出来るのか。
482 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2013/03/29(金) 19:37:00 ID:???
オープニングテーマ:キャプテン翼2 OP
永琳「私は天才! 天才・八意永琳よ!!」
タタタタッ!…スパーン!
実況「はしるっ! 博麗連合ゴールを目指し、永遠亭ルナティックスの司令塔、
八意永琳選手がドリブルで中央突破だ〜!!」
八意 永琳
永遠亭ルナティックス MF
妹紅「燃え尽きろ!!」
ズザアアアアア!! バシッ!!
実況「おお、妹紅選手、いきなり正直者の死!
レーザーのごとく、ボールを奪い取った!」
藤原 妹紅
人里FC MF
483 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2013/03/29(金) 19:38:13 ID:???
バシュウウウン!!
慧音「このシュート…なかった事にしてやる!!」
バチイイイ!!
実況「慧音選手、弾丸シュートを見事ブロック〜!
人里FCの守護神の異名は伊達ではな〜い!」
上白沢 慧音
人里FC DF
てゐ「とりあえず蹴っとくか〜!!」バシッ!
ギュン!ギュン!ギュン!!
実況「お〜っと! てゐ選手の必殺、エンシェントデューパーに、
敵チームのMF陣は切り切り舞いだ〜!!」
因幡 てゐ
永遠亭ルナティックス MF
484 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2013/03/29(金) 19:39:21 ID:???
パスカル「レイセン! 行くぞ!!」
鈴仙「OK、パスカル君!」
バシッ! バシッ! バシッ! バシッ!
実況「でた! パスカル選手と鈴仙選手の息の合ったコンビプレー!
いけ〜!! ゴールはすぐそこだ〜!!」
アラン・パスカル
アルゼンチンJr.ユース FW
ギュウウウウ…ン!
輝夜「たすけてえーりん!!」
ギュン…バシッ! コロコロ…パシッ!
実況「輝夜選手、(永琳選手のお陰で)ワンハンドキャッチ!
さすが永遠亭の守護神! スーパーグータラゴールキーパー、
蓬莱山 輝夜!!」
蓬莱山 輝夜
永遠亭ルナティックス GK
485 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2013/03/29(金) 19:40:22 ID:???
中山「俺は…負けんッ!!」
ズバーン! バリバリバリッ!!
実況「す、すごい!! 中山選手、気迫に満ち溢れたプレー!
見事敵に競り勝ち、ボールを奪還だ〜!」
中山 政男
大友中学 MF
鈴仙「ぬくッ!!」グワアアアア…バッシーーーン!!
実況「そして決めるのはやっぱりこの人!
永遠亭ルナティックスのFW、鈴仙・優曇華院・イナバ選手が、
今! 狂気の魔弾をゴール目がけてはなった〜!!」
鈴仙・優曇華院・イナバ
永遠亭ルナティックス FW
486 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2013/03/29(金) 19:41:22 ID:???
―――――――――――――――――――――
最大の敵、博麗連合を前にし、
サッカー全幻想郷代表入りへの夢を賭けた、
我らが鈴仙・優曇華院・イナバの。
そして、永遠亭ルナティックスの、
ファイナルゲームが始まろうとしていた…
―――――――――――――――――――――
キャプテン森崎 外伝
「鈴仙奮闘記」
第一章 永遠亭ルナティックス修行編
487 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2013/03/29(金) 19:42:23 ID:???
一旦ここまで。
…OPのくだり、寒い演出だったらごめんなさい。
続きは夜10時〜の予定です。
488 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2013/03/29(金) 21:26:18 ID:???
少し早いですが、更新を再開します。
先に、第一章での時間の進め方について説明します。
【日常の進行について】
大会までは基本的に1週間を1ターンとして進行します。
1ターンは、以下のフェイズをこなすことで進行します。
・ランダムイベントフェイズ:ランダムにイベントが発生します。普段話さないチームメイトと交流できるチャンスです。
↓
・自由行動フェイズ@:チームメイトと交流したり情報を集めたり出来ます。能力UPイベントもあります。
↓
・自由行動フェイズA:自由行動フェイズ@と同じです。
↓
・練習フェイズ:能力値を一つ選んで上げます(低い能力程上がりやすいです)。
↓
・固定イベントフェイズ:自動的になんらかのイベントが起きます(起きない週の方が多いです)。
↓
(次の週へ)
と、言った形で進行します。
この進行についても、何かありましたら、ご意見・ご指摘あった際に
言って頂ければありがたいです。
次のレスより本編に移りたいと思います。
489 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2013/03/29(金) 21:30:02 ID:???
補足:チュートリアル的なイベントについては、
自由行動フェイズ又は固定イベントフェイズで起きるようになっております。
―――――――――――――
〜3月1週 ランダムイベントフェイズ〜
鈴仙「(昨日は夜ふかししすぎて寝坊して、結局師匠に怒られちゃった。
あーあ、何か凄い事でも起きないかなあ)」
鈴仙が目をこすりながら、永遠亭の廊下を歩く。
するとそこには…
490 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2013/03/29(金) 21:31:02 ID:e0D6zydY
先着1名様で、
★ランダムイベント→! card★
と!とcardの間のスペースを埋めて書き込んで下さい。マーク・数値で分岐します。
カードの数値が……
ダイヤ・ハート・スペードで…
K→来客だ!(さらに分岐)
Q→姫様が何か話があるようだ!
J→師匠から話があるようだ!
10→てゐが相談だって!何だろう!?
9→中山さんと会話した!その内容は…
8→慧音さんが訪ねてきた!
7→来客だ!(さらに分岐)
6→パスカルと雑談した!
5→ウサギ達がやってきたぞ!!
4→妹紅に会って普通にオシャベリした。
3→来客だ!(さらに分岐)
2→ゆ〜っくり過ごせた!最大ガッツUP!
1→来客だ!(さらに分岐)
JOKER→綿月姉妹が遊びに来た…?
クラブで…
クラブ7〜K→薬売りのお仕事だ!
クラブ2〜6→バッドイベント発生!(さらに分岐)
クラブA→露鈴兎・本後宇院・イナバ(全裸)「ヒャッホー!!」
491 :
森崎名無しさん
:2013/03/29(金) 21:32:55 ID:???
★ランダムイベント→
ハートK
★
492 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2013/03/29(金) 21:39:05 ID:e0D6zydY
★ランダムイベント→ ハートK ★
K→来客だ!(さらに分岐)
そんな時。
コンコン。
??「すみませーん。どなたかおいでますかー」
鈴仙「はいはい、今行きますっ!」
タッタッタ…
鈴仙は玄関の扉をガラ、と開ける。すると、そこには…
先着1名様で、
★来客だれかな?→! card★
と書き込んでください。マーク・数値で分岐します。
ダイヤ→妖夢「こんにちは鈴仙。薬をもらいに来たんだけど」
ハート→メディスン「毒を分けにきたわよ」
スペード→ミスティア「こ〜んに〜ちは♪ ライブのチケット買ってちょうだいな♪」
クラブ→幽香「あら、こんにちは」
クラブA→謎の向日葵仮面「ちょっと相手を精神的に完全に支配する薬をくれないかしら?」
JOKER→イベント発生
493 :
森崎名無しさん
:2013/03/29(金) 21:42:40 ID:???
★来客だれかな?→
スペードJ
★
494 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2013/03/29(金) 21:52:15 ID:???
★来客だれかな?→ スペードJ ★
スペード→ミスティア「こ〜んに〜ちは♪ ライブのチケット買ってちょうだいな♪」
来客は、患者ではなく、知り合いの夜雀だった。
鈴仙「…ああ、こんにちは、ミスティア。――ライブのチケットですって?」
ミスティア「そうだよ〜♪ 私達、お友達とバンド結成したんだよ!
名付けて『鳥獣戯楽』♪ いい名前でしょう?」
鈴仙「あら…そうだったの」
鈴仙もミスティアが余興で歌う声を聞いたことがあったが、
確かにそれは良い声だった。どんなバンドかは分からないが、
言ってみるのも面白いかもしれない。
ミスティア「お値段なんと! 1500円のところなんと…1000円ポッキリ♪
いや〜安い! こりゃもう買うっきゃないない♪」
鈴仙「(…行ってみるのも面白そうね)何時、どこであるのかしら?」
ミスティア「おっ! 食いつきいいねえ〜♪
場所は【迷いの竹林付近】の特設会場! 日時は【三月四週】だよ♪」
鈴仙「(なるほどね…。後はお金の問題だけど。
先週師匠からもらったお小遣いしかないのよね…)」
495 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2013/03/29(金) 21:55:06 ID:e0D6zydY
鈴仙は財布の中身を見やる。そこには…
先着1名様で
★鈴仙のお小遣い3月分→(永琳印象値17)×! dice ×10=★
と書き込んでください。合計が鈴仙の今月のお小遣いになります。
*鈴仙はこれから毎月4週目に永琳からお小遣いをもらえます。
*永琳印象値は、この判定では50でカンストになります。
*パラメータ『お金』が解禁されました! 鈴仙のお小遣いです。
あれば人里などで少し便利なアイテムが買えます。
496 :
森崎名無しさん
:2013/03/29(金) 21:56:16 ID:???
★鈴仙のお小遣い3月分→(永琳印象値17)×
1
×10=★
497 :
森崎名無しさん
:2013/03/29(金) 21:56:22 ID:???
★鈴仙のお小遣い3月分→(永琳印象値17)×
4
×10=★
498 :
森崎名無しさん
:2013/03/29(金) 21:57:14 ID:???
★鈴仙のお小遣い3月分→(永琳印象値17)×
3
×10=★
499 :
森崎名無しさん
:2013/03/29(金) 22:01:46 ID:???
まさかの170円とは…。小学生じゃないんですよ師匠
500 :
森崎名無しさん
:2013/03/29(金) 22:01:48 ID:???
永遠亭が緊縮財政な件
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