キャプテン森崎 Vol. II 〜Super Morisaki!〜
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【深遠なる】鈴仙奮闘記24【蒼きフィールド】
1 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2014/12/14(日) 17:00:35 ID:???
このスレは、キャプテン森崎のスピンアウト作品で、
東方Project(東方サッカー)とのクロスオーバー作品です。
内容は、東方永夜抄の5ボス、鈴仙・優曇華院・イナバがサッカーで師匠を超えるために努力する物語です。
また、ストーリーやカードの展開次第で、いくつかのキャプテン森崎のキャラクターも、
それぞれの思惑を持ちながら、幻想郷の住人との交流を通じてサッカーを極めていくことになるでしょう。
他の森崎板でのスレと被っている要素や、それぞれの原作無視・原作崩壊を起こしている表現。
その他にも誤字脱字や稚拙な状況描写等が多数あるかと思いますが、お目こぼし頂ければ幸いです。
☆前スレ☆
【Other】鈴仙奮闘記23【World】
http://capmori.net/test/read.cgi/morosaki/1415891220/
☆過去ログ・攻略ページ(キャプテン森崎まとめ@Wiki内)☆
http://www32.atwiki.jp/morosaki/pages/104.html
☆あらすじ☆
ある日突然幻想郷にやって来た外来人、アラン・パスカルと中山政男との出会いにより、
師匠、八意永琳に並ぶ選手になると決心した鈴仙・優曇華院・イナバ。
「鈴仙、貴女は――『プロジェクト・カウンターハクレイ』が新たに創るチームの、キャプテン候補として選ばれました」
全幻想郷選抜大会初戦を勝利で迎えた鈴仙に、永琳はある日の夜こう告げる。
それはこれまでの鈴仙が描いていた将来――全幻想郷代表として、永琳と肩を並べること――とは全く別の道。
全幻想郷代表選抜大会予選リーグ第2回戦・地霊殿サブタレイニアンローゼスとの戦いに勝利した鈴仙。
そんな彼女の元にある日、かつてからの友人、魂魄妖夢が訪れる。
サッカーの特訓や過去の想い出話に花が咲く中、妖夢は鈴仙と道を違える決意。
――すなわち、謎の聖人・豊聡耳神子が主催する計画、『ハイパーカンピオーネ』の一員となる事を教えてくれた。
妖夢を信じて彼女の決意を後押しする鈴仙。 しかし、『ハイパーカンピオーネ』の前段階として神子が率いるチーム、
聖徳ホウリューズは勝利の為には手段を選ばぬ恐るべきチームだった。
ホウリューズの美しくも悪辣なプレーを前に倒れたライバル・紅魔スカーレットムーンズを見て、
鈴仙達は何を想い、どんな方向へと向かって行くのだろうか――。
51 :
森崎名無しさん
:2014/12/15(月) 00:05:16 ID:???
聖徳の弱点、アイテムの案外大したことない世界の理を使うと弱くなるよ
52 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2014/12/15(月) 22:32:16 ID:???
こんばんは、更新していきます。
>>50
乙ありがとうございます!
>>51
戦闘だったら確かに弱くなりますねw
53 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2014/12/15(月) 22:33:52 ID:???
★パチュリーのヒント→ ハートA ★
ハート→スペード+ホウリューズの影の主役・岬の特徴について。
パチュリー「……まず。 一番大きいかつ分かり易い弱点から挙げてみようかしら。
ホウリューズの弱点の一つ。
それは『守備陣に、ドリブルやパス等の攻撃的能力を持つ者は皆無』である…と、いう事ね」
鈴仙「――そうでしょうか。 確かに一芸特化の高杉……とか、大丸……とかはそうかもしれないけど、
少なくともA番のちょっとボケてる仙人(布都)とかは、中々屈指の実力者のように見えましたよ?」
パチュリー「……いえ、それは違うわね。 ――彼女には非常に大きな穴がある」
鈴仙「……それって、性格的な意味で?」
鈴仙はかつて、妖夢が物部布都という少女について話をしていた事を思い出す。
確か、異変を解決しに行った時、勝手に尸解仙と勘違いして来たとか何か。
他にも色々と話を聞いたが、弾幕ごっこで態々的の大きい舟に乗っていたとか、
太子様の復活を祝福しに来たと勘違いされたとか、あんまり頭の良さそうな話を聞いた事が無い。
しかし――パチュリーはそれを即座に否定した。
パチュリー「違う。 確かに彼女の人格には色々と難があるとは聞いた事があるけれど……。
――豊聡耳神子の第一の弟子を名乗る彼女……物部布都の知力自体は存外に高い。
実際、彼女は惚けた様子を見せながらも、最終ラインをキッチリと守っていたわ。
……問題は、もっと単純なところ。
彼女は、守備は全般的に一流クラスだけど、攻撃力は総じてスカスカの可能性が極めて高いわ」
鈴仙「……えっ? そんな事、現実的に考えてあり得るんでしょうか?」
54 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2014/12/15(月) 22:35:06 ID:???
パチュリー「……それを言い出したら、一芸特化も現実的にはあり得ないのだけどね。
――まぁ、結論としたら十分あり得るわ。
というか、今日の試合の細かい動きを見ると、そうとしか説明が付かないところが多々あるの。
あの銀髪の仙人、ボールをカットする確率は非常に高かったんだけど、
近くに仲間が居ても、絶対にショートパスはしない。 ほぼ必ず、前方にボールを蹴りだすのみ。
まるで、それしか教えられていないかのように、愚直にね」
鈴仙「……でも、確かに言われてみればそうですね。
それにイメージにも合ってるような。 人里とかでのストリートバトルでも火属性で赤いイメージだったし。
どうして赤いと守備が出来て攻撃ベタなのか分からないけど、うん。 分かる気がします」
パチュリー「……後半は私も良く分からないけど、たぶんそんな感じね。
――さて、お次に伝えたい事は……あの岬というMFね。
私にマリーシア――いや、『マランダラージ』と言っても良いようなえげつ無いプレーを浴びせて来た、人間の少年よ」
鈴仙「ま、まら……? どういう意味ですか?」
パチュリー「葡萄牙〈ポルトガル〉語で、悪とか極道とか言う意味ね。
具体的にはドリブルとかで敗北した時、腹いせ半分に肘打ちやら蹴りを放つプレーよ。
普通の『マリーシア』が、本来のずる賢さという意味に加えて、知性とか機転とかも意味するのに対して、
こっちは専ら悪意そのもの……って感じの用法かしらね」
鈴仙「はぁ。 流石お詳しいですね」
パチュリー「……まぁ、ただこれは本人もどこか嫌がっている風だったから、『上司の命令が無いとやっては来ない』と思うけれど。
――ただ、奴の『マリーシア』はかなり上手だったわね。 憎らしいくらいに。 鈴仙も気を付けなさい。
それと――」
パチュリーはここで一旦言葉を切った。
55 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2014/12/15(月) 22:37:30 ID:???
パチュリー「ここからは完全に推測なんだけれど。 ……豪族の三人組(神子、布都、屠自古)に、先の岬以外の選手。
他のパッとしない一芸特化の選手達も、何かを隠していそうな気がするのよね。 あの政治家の性格的に」
鈴仙「何かを隠す……ですか? 実は二芸特化だったとか?」
パチュリー「――あり得るわね。 それか、一芸特化ではあるけれど、他にも気の利いた能力があるとか。
例えば……『ほぼどんな位置からスローインしても、必ずPA内のFWへ高い浮き球を渡せる』とか。
『強力なキック力で、フィードを高確率で敵陣深くまで飛ばせる』とか。
『正確なロングシュートを利用した、距離に影響されないパスを出せる』とか……。
ワンモアプラスの一、五芸位だったら、充分やって来るチームだと思うのよね」
鈴仙「単なる一芸特化と油断させた隙を、グサリ……って感じですか」
パチュリー「実は、個人的にそういう策は大好きなんだけどね。 ――私も、陸の存在を隠したりしてたし。
逆にレミィは大っ嫌いなタイプだわ、ああいう手合いの連中は」
レミリア「――当たり前じゃん。 勝負は常に全力でやらなくちゃ、楽しくないでしょ?」
何時の間にか、レミリアが馴れ馴れしく二人の会話に割り込んでいた。
咲夜が後ろで「安静にしていないとお身体に障ります…」など必死に叫んでいたが、
レミリアは敢えてそれを無視しているようであり、鈴仙は何だか咲夜に酷い親近感を覚えてしまう。
レミリア「……鈴仙とか言ったか。 あんたはとっても良い目をしているね。 色も赤で、私の好みだ」
パチュリーが横で何か言いたげにしていたのを遮って、レミリアは背伸びしてじっと鈴仙の瞳を眺めてそう言った。
背丈としては、永遠亭の名無しウサギや佳歩とそう変わらない(つかさよりはむしろ背が低い)にも関わらず、
鈴仙は何だか、背丈2メートルの巨人と対峙させられたかのような錯覚を覚えていた。
鈴仙「あ、ど、どうも……(パチュリーさんとは親しくなったけれど、
考えてみればこのレミリアさんとはあんまり親しいか、とか言われればそうじゃないのよねぇ……。
前の練習試合のラストだって、なんか殺して来そうな視線向けて来たし)」
56 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2014/12/15(月) 22:38:34 ID:???
正直言って、鈴仙はレミリアがあまり得意では無い。 ……というか、そこまで親交は無い。
まったく無い訳ではないが、少なくともパチュリーと比べるとやや距離感があるのは事実だったが。
レミリア「――あんたには凄い力を感じるよ。 霊夢も、八雲紫も、この私ですらも。
……今ここに居る誰もが持っていない、トンデモ無い、もの凄い力をね。
あんたはその力をくれた奴に、本当に感謝しないといけないよ」
鈴仙「え?」
レミリア「ううん、何でもない。 カリスマトーク」
鈴仙「か、カリスマ……?(……本当に分からない人だなぁ。 尊大だと思ったら気さくだったり。
今見たく、突然分からない事を言って来たり。 パチュリーさんはある意味分かり易いけど……。
――やっぱり、吸血鬼。 夜の王者は気まぐれって奴かしら……?)」
レミリアはそんな鈴仙の気持ちなどお構いなしに意味深に笑い……そう告げるのだった。
***
パチュリー「……ちょっとレミィ、邪魔しないでよ。
さっきのは私が鈴仙に賢者の知恵を授けるという、全米が泣いて然るべきシーンだったのに……」
レミリア「いや、あのシーンで泣く奴の感性はちょっとおかしいわ……」
――そうして比較的和やかなムードの中、鈴仙が部屋を出た後。
やはり気の合う友人なのか、パチュリーとレミリアは特に何も無しに雑談をしていた。
レミリア「……しかし。 本当に悔しい。 ああ……悔しい。 悔しいったらありゃしない」
パチュリー「――私とかフランの仇を取れなかった事が? フフッ、レミィったら可愛い所あるじゃない……」
57 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2014/12/15(月) 22:39:36 ID:???
レミリア「フランと、ついでにパチュリーの仇を取れなかった……なら分かるけどね。
――いや違うわ。 私が悔しがっているのはそれじゃない。 試合に負けた事でも無い。
……負けはしたが、優勝するのは私達で間違いないし」
パチュリー「なら、何が……?」
無念の内に退場したフランやパチュリーの仇を討つことでも無く、負けた事でも無いならば、何が悔しいのか。
パチュリーがそう口を開こうとした時。
咲夜「……横から失礼します。 消毒液を持って来ました。 今から塗りますね」
レミリア「えっ、ちょっ!? マジで消毒液持って来たの!? 沁みるじゃない!」
咲夜「……お嬢様。 そんな事を言っていては、折角ここまで積み上げて来た威厳がパアになってしまいますよ?」
レミリア「む、むう。 それは恐ろしいわね……。
なんせ信頼と同じで、カリスマとは積み上げるのは難しいが、崩れるのは簡単。
まさしく、賽の河原での石積みに近い苦行なのだからね……」
パチュリー「レミィも、色々大変なのね……」
――そんな普段通りの、間が抜けた紅魔館でのやりとりが再現されるにつれ、
パチュリーも先程の問いへの答えがどうでも良くなってきた。
なんせ、彼女もまた軽度の負傷と多大な疲労があって満身創痍なのだ。
パチュリー「(……賢者たる者、技術や戦術だけでなく、精神力、スタミナ、フィジカル……。
全てが求められる。 そして何か弱点があれば、徹底的にそこを突かれるのは自明。
――全く。 したり顔でこんな事を言っていた自分が恥ずかしいわ。 ……はぁ)」
58 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2014/12/15(月) 22:43:22 ID:???
パチュリーはそう思いながら、暫くの眠りについた。
遠い世界で親友の吸血鬼が、消毒液の沁み具合に悶絶している声が聞こえる。
……というか、あれって消毒液じゃなくて、対吸血鬼用に作られた退魔の聖水なような。
そんな気もしたが――それは今の彼女にはどうでもよかった。
レミリア「(本当に悔しい。 ……私の運命によると、この次の決勝トーナメント。
聖徳ホウリューズは、私達に当たるよりも前に無様にも負けるだなんて!
――ああ、悔しい。 私たちじゃなくって、永遠亭ルナティックスが……この悪魔の館にのほほんと入り込む暢気な兎が、
あの神子や岬犬に吠え面をかかせるなんて! ――って……)……っイタ! イタタタ……。
咲夜ぁー、なんか沁みるって言うか痛いんだけど、その消毒液……」
咲夜「我慢ですわ、お嬢様(でも、おかしいわね……。 なんだか、塗りたくったところから余計に悪化して溶けてるような。
まるで人の肌に硫酸を塗りたくられたみたいに……)」
美鈴「(どうしよう。 これ、言った方が良いのかなぁ)」ヒソヒソ
陸「(今のメイド長にそれ言っても石に灸、牛に経文アル。 落ち着くのを見計らうのがヨロシ)」ヒソヒソ
レミリアの口惜しさの真意も、その身体の安否も、瀟洒に動揺した咲夜がいつ、自らの過ちに気が付くのかも。
泥のような睡魔の前では、すべてが、どうでもよかった。
*聖徳ホウリューズの情報がある程度掴めました。
*パチュリーの評価値が上がりました。
*レミリアの評価値がやや上がりました。
*その他スカーレットムーンズメンバーの評価値がほんの少しだけ上がりました。
59 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2014/12/15(月) 22:45:28 ID:???
……と、いったところで一旦ここまでです。
すみません、もう少し文章パートが続きます。
出来れば書きたいですが、駄目なら今日の更新はここまでにしますのでご了承下さい。
60 :
森崎名無しさん
:2014/12/15(月) 23:09:20 ID:???
オフサイドトラップ覚えたいならパチュリーに教えてもらうでいいかもね
61 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2014/12/15(月) 23:45:06 ID:???
***
試合が終わって暫く経ち、午後の部までには時間がある。
観客は帰り、選手もまた疲れた身体を休めていた頃。
――サッカーコートを出てすぐ、人の出入りが少ない路地裏には二人の少年が居た。
岬「……申し訳ないが、僕は少し忙しくって。 君との再開は本当に心待ちにしていたんだけど――」
一人は中性的な顔つき、魅力的な笑顔を絶やさぬ好青年にして稀代の詐欺師・岬太郎。
間一髪で首を繋いだ彼は、内心で酷く苛立ち―――そして疲れていた。
謎のサッカー少年「……落ちぶれたな、岬太郎。 ――残念だ」
そして、彼の疲労の原因を正確に突いてくる、地味なのっぽの少年の言葉は、
今の岬にとって最高に腹立たしく、そして屈辱的なものだった。
岬「あ、あはは……。 やっぱり、君もそう思うよね?
でも僕だって本当はあんな卑怯なプレー、やりたくなかったんだよ?
だけど、あの仙人達に脅迫されて仕方なく――」
岬は駄目元で通らない筈の方便を試してみる。
神の目線から見たら言い訳にもならない、詰まらぬ責任転嫁ではあったが、
それでもこの限定された場において、それなり以上の説得力と切迫感を与える彼の才能は本物だった。
もしもこの場にいたのが凡庸な若者であれば、この言い逃れですら7〜8割方の成功率を誇っていただろう。
しかし――。
謎のサッカー少年「……俺はお前の抜け目ない機転・知恵――まさしく『マリーシア』は昔から凄いと思っていた。
しかし、今日の試合のお前は単なる小悪党。 品の無い『マランダラージ』に過ぎなかった。
――長期的な利得に目を奪われ、周囲の好感を切り売りしている。
……昔のお前は、長期的な利得も、短期的な好感も。 両方を抜け目なく得ている印象だったんだが」
62 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2014/12/15(月) 23:54:26 ID:???
岬「(……ま、効かないよね。 ――というか、この言いぶりだったら僕の本性なんてとっくに。
それこそ、小学生時代から熟知していて、敢えて黙っていた……って、感じかな?)
――はぁ。 良く分からないけれど……君には本当に敵わないよ」
岬は演技っぽく大袈裟に肩をすくめてみせる。
完全に正体を見抜かれていようとも、自分からはそれを明かしてはならない。
仮に自分の内心を読まれていようとも、それを言わない限りは証拠が無いのだから。
――自白は証拠の王様とは良く言ったものだ。
岬「……で。 どうしたの? 試合終了後突然現れて、僕をこんな事に呼び出して。
――まさか、卑怯な手を行う僕を消しに来たのかい?
……まぁ、そう思われるまでの事をしたのは、承知の上だけど」
謎のサッカー少年「――それはしない。 告発もする気は無い。
お前がどこまであの道士に入れ込んでいるかも知らない。 ……もっと、個人的な理由だよ」
……ここまで話して、岬には一つだけ解せない事があった。 何故、この少年は態々自分を呼び出したのか。
再開を懐かしむ訳でもなければ、岬の行為を糾弾する訳でもないらしい。
――もっとも、友情もサッカーも。 全ての行為についてを「利得」でのみしか考えられなかった岬には、
眼前の地味な少年が抱く、病的なまでの「熱」を理解する事は、永遠の時間があっても不可能だった。
……ポロン。 コロ、コロコロ……
ボロボロの服と鎧を纏った、ある意味では仙人よりも仙人らしい様子の少年は、
藁で編んだらしい籠から、一つの球形の物を落とした。 それは岬にとってもなじみ深い物だった。
謎のサッカー少年「……俺と勝負してくれ。 岬。 お前の選んだ道を理解するためにも。
――そして。 俺が選んだ道が間違いで無かった事を、再確認するためにも」
岬「……は?」
――そして、やはり眼前の少年が提示した条件は、岬にとって意味不明なものだった。
63 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2014/12/15(月) 23:55:36 ID:???
謎のサッカー少年「……嫌、か? 自分の利益にならないサッカーは、嫌いか?
……昔のお前だったら、ここは受けていたと思うが。 ……俺の気持ちを、少しでも幸せにしてくれる為に」
岬「……昔の僕か。 何だか、色々懐かしいや。
でも、残念ながら、僕は今の自分にも後悔はしていないんだ。
選ぶ道が一つしか無かったら、その道を僕は工夫でとびきり最高の道にしてみせる。
全ての道を踏破してから、その中での最善をひとつ選んできたような。 そんな君とは違うんだ」
少年は浅く笑った。 岬には面白い話ではなかった。
……そして少年は、これ以上の会話を必要としていない様子だった。
何故彼は頭も回るのにも関わらず、かくもサッカーにこだわるのか?
岬がそう疑問に思ったが、その疑問が解けるのは一瞬だった。
謎のサッカー少年「俺はドリブルをする。 ……だから、反則でも肘撃ちでも、何でも良い。
お前が一番お前らしいタックルで来いッ!」
ビ ュ ン ッ !
64 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2014/12/15(月) 23:57:47 ID:???
岬「…………!」
岬は、少年が磨いて来たというサッカーを――ドリブルを――見て気付いた。
……つまり。 彼がかくも言葉を嫌い、サッカーを好む理由を。
岬「(なんて事は無い。 彼は――サッカーを……やりすぎたんだ。
言葉を使うよりもサッカーをやっていたから。
要するに、彼にとってはもはや、サッカーが言語よりも近しいんだ。 その原因は、さて置くにしても)」
★??→ドリブル 52 (! card)(! dice + ! dice)=★
★岬→タックル 48 (! card)(! dice + ! dice)+(油断-2)=★
【補足・補正・備考】
??のマークがダイヤの時、「フローディアンフェイント(+5)」が発動します。
??のマークがハートの時、「バニッシュドリブル(+4、吹飛3)」が発動します。
??のマークがスペードの時、「消えるフェイント(+4)」が発動します。
??はスキル・後天性ファンタジスタによりダイスの合計が2の時数値を10、3の時数値を9とします。
??のドリブルは成長限界のため、ダイスで11以上を出しても覚醒しません。
65 :
森崎名無しさん
:2014/12/15(月) 23:58:20 ID:???
★??→ドリブル 52 (
クラブ5
)(
1
+
3
)=★
勝つ!
66 :
森崎名無しさん
:2014/12/15(月) 23:59:06 ID:???
★岬→タックル 48 (
ハート2
)(
1
+
4
)+(油断-2)=★
67 :
森崎名無しさん
:2014/12/15(月) 23:59:37 ID:???
★岬→タックル 48 (
スペードK
)(
1
+
3
)+(油断-2)=★
68 :
森崎名無しさん
:2014/12/16(火) 00:00:45 ID:???
MISAKIZONEにはまったが勝った
69 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2014/12/16(火) 00:02:50 ID:???
すみません、
>>64
は無視でお願いします!演出なので判定は必要ありません!
……と、書こうとしたのですが、書き込んで下さりありがとうございます、すみません。
申し訳ございませんが、当初の予定通り、
謎のサッカー少年の詳しい描写は省いて、唐突に鈴仙の行動パートに行かせて頂きます。
グダグダになってしまい、誠に申し訳ございませんでした。
70 :
森崎名無しさん
:2014/12/16(火) 00:04:41 ID:???
ピエールや神子よりも普通に強そう。敵じゃなくてよかった…
71 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2014/12/16(火) 00:05:46 ID:tDklXAvE
〜大会6日目・午後〜
鈴仙「――う〜ん。 何だか濃い試合だったわね……!
そして午後も、雑魚妖怪チームと西行寺亡霊連合との試合があるんだけど…。
――雑魚妖怪とは対戦したし、西行寺チームの試合は一回観戦したから、
見るメリット的にはあんまり無いのよねぇ。 皆もあまり着いて来てくれないかもしんないし。
妖夢の様子を見に行けるってのはあるけど……」
A:自由行動をする(自由行動フェイズに移ります。更に分岐)
B:チームで試合を見に行く(本日午前の試合:雑魚VS西行、毛玉VS博麗)
C:自主練習をする(一人で練習します。更に分岐)
D:狂気度を使用する(更に分岐。一部を除き、この行動では時間を消費しません)鈴仙の狂気度:25
E:現在の能力値を確認する(この行動では時間を消費しません)(※1票決)
×:アイテムを使用する(この行動では時間を消費しません)
※「ボロボロのボール」など、練習用アイテムはCの自主練習の選択時に使用してください。
先に2票入った選択肢で進行します。メール欄を空白にして、IDを出して投票してください。
(参考:大会6日目〜西行寺戦までのスケジュール)
午 前 午 後
6日目 紅魔×聖徳 雑魚×西行←今ココ!
二軍×妖怪 毛玉×博麗
7日目 休 み 休 み
休 み 休 み
8日目 休 み 羽目×聖徳
休 み 人里×妖怪
9日目 永遠×西行 紅魔×バケ
守矢×博麗 二軍×妖精
72 :
森崎名無しさん
:2014/12/16(火) 00:06:31 ID:IU93q2O2
C
73 :
森崎名無しさん
:2014/12/16(火) 00:06:31 ID:NTJUJAys
A
74 :
森崎名無しさん
:2014/12/16(火) 00:07:09 ID:+9Ic8i+Q
A
75 :
森崎名無しさん
:2014/12/16(火) 00:08:49 ID:tahl4ZWI
A
76 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2014/12/16(火) 00:10:30 ID:tDklXAvE
A:自由行動をする(自由行動フェイズに移ります。更に分岐)
鈴仙「うん…! やっぱり自由行動にしましょう、そうしましょう!
地底やら命蓮寺やら紅魔館やら妖怪の山やら太陽の畑やら、色々行ってみたい場所は
沢山あるんだけれど……どうしようかしら?」
A:永遠亭に居る(さらに分岐)
主に永遠亭に居るチームメイトと交流をします。
評価値を上げたり特別なイベントを起こしたりできます。
B:外出する(さらに分岐)
買い物をしたり、永遠亭に居ないチームメイトや、
その他の幻想郷の住人と交流できるチャンスがあります。
C:気晴らしに玉兎通信でもしてみる。(さらに判定)
ランダムで、色々な情報が入ります。運が良ければ必殺技フラグも入手できるかも…
D:現在の能力値を確認する(この行動では時間を消費しません)(※1票決)
先に2票入った選択肢で進行します。メール欄を空白にして、IDを出して投票してください。
77 :
森崎名無しさん
:2014/12/16(火) 00:11:59 ID:NTJUJAys
B
78 :
森崎名無しさん
:2014/12/16(火) 00:12:00 ID:HNGoPLac
B
79 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2014/12/16(火) 00:15:33 ID:tDklXAvE
B:外出する(さらに分岐)
鈴仙「さーて。 今日も良い天気だけど……どこに行こうかしら?
そういえばアイテム欄に入れ忘れてたけど、「人里のコーヒー無料券」も持ってるのよね、私。
……誰と行くんだって話だけど」
A:人里(貸本屋や道具屋、慧音の住居等があります)
B:霧の湖(妖精大連合メンバーが居ます。プリズムリバー三姉妹の居る廃洋館もあります)
C:紅魔館(レミリアやパチュリーが居ます)
D:冥界(妖夢や幽々子が居ます)
E:迷いの竹林付近(妹紅やミスティアが居ます)
F:太陽の畑(幽香やメディスン、レティ等雑魚妖怪チームのメンバーが居ます)
G:妖怪の山(河童のバザーやスタジアム、守矢神社等があります)
H:地底(危険もありますが、旧都には様々な店があります、温泉もあります)
I:命蓮寺(星や白蓮が居ます)
J:香霖堂(霖之助がおり、アイテムが購入できます)
K:魔法の森(魔理沙やアリスが居ます)
L:博麗神社(霊夢や森崎が居ます)
M:無縁塚(危険もありますが、掘り出し物も発掘できます)
先に2票入った選択肢で進行します。メール欄を空白にして、IDを出して投票してください。
80 :
森崎名無しさん
:2014/12/16(火) 00:16:20 ID:+9Ic8i+Q
E
81 :
森崎名無しさん
:2014/12/16(火) 00:16:40 ID:NTJUJAys
H
82 :
森崎名無しさん
:2014/12/16(火) 00:17:21 ID:uDaqrMSM
H
83 :
森崎名無しさん
:2014/12/16(火) 00:17:42 ID:IU93q2O2
C
84 :
森崎名無しさん
:2014/12/16(火) 00:17:51 ID:EIShvJ/g
H
7日はブリッツでつぶれるし、先に探索しとくか
85 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2014/12/16(火) 00:19:16 ID:???
――と、いったところで今日の更新はここまでです。
>>60
前の妹紅とは逆に、パチュリーの評価値はかなり高いので、
実になる話がお得かもしれません。
ですが、もう更に評価値を上げて行くと、中山や佳歩のように追加イベントも起きたりします。
>>70
かなり強いですね。ドリブルは2回覚醒しているのでなおさらです。
それでは、皆さま、本日もお疲れ様でした。
86 :
森崎名無しさん
:2014/12/16(火) 00:20:54 ID:???
あんなにドリブル強いと置く場所にいい意味で困るね、乙でしたー
87 :
森崎名無しさん
:2014/12/16(火) 00:29:46 ID:???
乙でした。
そういえばマスターパチュリーとは特訓できないのかな。
ノートがその代わり?
お嬢様は序盤は下手したらピチューンされそうな雰囲気だったけど、今なら平気そう。
フランもかな。
とりあえず松山イベント?
さて、どうなるか、不安な面とあるがワクワクもしてくる。
しばらく自由行動できるし、地底の行動がスムーズにいけば他の人とも交流できそう。
謎の少年……この能力値はいったい……なに山さんなのだろうか?
88 :
森崎名無しさん
:2014/12/16(火) 01:20:56 ID:???
乙です
お嬢様に対吸血鬼用の聖水が使われたのも鈴仙ってやつの仕業なんだ
狂気の瞳を使ったに違いない
89 :
森崎名無しさん
:2014/12/16(火) 01:29:25 ID:???
おのれ鈴仙
90 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2014/12/16(火) 21:28:08 ID:???
こんばんは、今日も更新していきます。
>>86
乙ありがとうございます。
決勝トーナメントあたりは、まさにクライマックスという感じで、敵も味方もド派手な感じにしていきたいですね。
>>87
乙ありがとうございます。
評価値が一定以上まで上がった場合、基本的には特訓イベントが発生しますが、
パチュリーや輝夜など、特別なイベント等が発生する場合があります。
>>88
乙ありがとうございます。多分咲夜さんのうっかりです。
91 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2014/12/16(火) 21:29:29 ID:tDklXAvE
H:地底(危険もありますが、旧都には様々な店があります、温泉もあります)
鈴仙「……そういえば色々あって忘れてたけど、結局地底のお宝とかはどうなったのかしら。
あと、なんか良く分からないけど吹っ飛んでいた矢車――松山だったっけ――が、どうなったか気になるような……」
特に明確な理由こそない……いや、むしろ逆に色々な用件が思いついたため、
鈴仙はふと地底へと立ち寄ってみたくなった。
かつては怖々だった旧都への道も、何度か踏破する事で大分慣れてしまった事も大きい。
鈴仙「(――とはいえ。 私の経験則で言うとこうして慣れて調子に乗って来た時が一番危ない。
まるで何かのギャグ漫画みたいに、油断してたら足元を救われちゃうんだから……)」
しかし鈴仙は油断せずに、冷静に妖精達の弾幕を掻い潜って風穴を潜り、旧都の方へと着実に進んで行く。
そして――。
先着1名様で、
★地底探索イベント(簡略版)→! card★
と書き込んでください。数値で分岐します。
JOKER→??「俺の名は地獄ライダーキックホッパー……。 これより外敵を排除する……はぁ。 どうして俺がこんな事…」
鈴仙「この中の人(?)って、ひょっとして……!」
それ以外→無事に旧都に辿りついた。
クラブ2〜3→中堅クラスの地底妖怪に襲われる!
クラブA→勇儀「ヒャッハー! 呑み比べだー!」旧都に着き次第、鬼に絡み酒された!
92 :
森崎名無しさん
:2014/12/16(火) 21:31:06 ID:???
★地底探索イベント(簡略版)→
スペードA
★
93 :
森崎名無しさん
:2014/12/16(火) 21:31:07 ID:???
★地底探索イベント(簡略版)→
クラブK
★
矢車と小田って何も絡まないのか
94 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2014/12/16(火) 21:38:24 ID:tDklXAvE
★地底探索イベント(簡略版)→ スペードA ★
それ以外→無事に旧都に辿りついた。
鈴仙「……さーて。 着いた着いた。 やっぱり人妖がワラワラ湧いてるわねぇ……。
今日は祭りなのかっつーの……って。 たぶん、ここの住人的には毎日がお祭りなんだろうなぁ……」
空の暗さと行燈の灯り。
そして押し寄せる無数の人影で、さながら万年縁日の如き様相の旧都に足を踏み入れた鈴仙。
酒というかアルコールの臭いがそこらの居酒屋から漂い鼻を付き、路地なり通りなり店内なり、
どこでも賑やかな喧噪が絶えないこの街は、やはり鈴仙にとってあまり得意では無かった。
鈴仙「(科学技術は発展しているけれど静かで穢れの無い、月の都とはまさに正反対……って感じね。
この旧都は見るからに科学なんてクソ喰らえな奴らばっかりで、喧しくてそこらじゅう穢れだらけだし。
――っと……さて。 結局ここまで来たけれど……どうしようかな?)」
A:旧都で一番大きい建物――地霊殿へ向かってみる。
B:みとりという河童が経営している雑貨屋へと行ってみる。
C:噂に聞く『地霊温泉郷』へと行ってみる。
D:自由に旧都を探索してみる。(更に判定)
E:適当に呑み屋にでも行ってみる。
F:その他 自由選択枠
先に2票入った選択肢で進行します。メール欄を空白にして、IDを出して投票してください。
95 :
森崎名無しさん
:2014/12/16(火) 21:38:58 ID:IU93q2O2
A
96 :
森崎名無しさん
:2014/12/16(火) 21:39:16 ID:NTJUJAys
A
97 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2014/12/16(火) 21:57:33 ID:tDklXAvE
A:旧都で一番大きい建物――地霊殿へ向かってみる。
鈴仙「(試合ではなんか色々あったけれど……実際、私とあの地霊殿の主って。
まあ面識はあるけれど特別親しい――って訳じゃあ無いわよね……。
ま、まあでも。 お燐とかとは割と仲が良いと思うし――最悪、あの子に取り次いで貰えば良いよね?)」
そう信じて、騒がしい旧都の中で唯一沈黙を放つ洋館へと向かうと。
お燐「……あ、病院のお姉さんだ。 ひょっとして、病死した患者の死体を卸ろしに来てくれたとかっ?」
鈴仙「そんな悪趣味な仕事は、残念ながらやって無いわ……」
――鈴仙にとって非常に都合の良い事に、
地霊殿の正門すぐ近くを散歩しているお燐が、いつも通りの慣れ慣れしさで迎えてくれた。
鈴仙「――でも。 うん。 ちょっと用があってね……。 だから、態々遥々やって来たのよ」
お燐「ふうん。 穴掘りが好きだなんて、ヘンな兎さんだねぇ」
鈴仙「掘っては無いってば」
お燐「テキトーに言っただけさ。 一々真面目キャラだねぇ、地底じゃあ珍しいや」
鈴仙「(何か話すたびに弄られて、からかわれるような気がして来た……)」
鈴仙は今更ながら、こんなちゃらちゃらした妖怪を信じて足を踏み入れて良かったものかと不安になるが。
しかし、さっきお燐に言ったとおり、遠路遥々ここまで来たのだ。 ここで帰った方が余程馬鹿らしい。
98 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2014/12/16(火) 21:58:39 ID:tDklXAvE
お燐「……んで。 用件は何かな? あたいはこう見えても地霊殿のペットじゃあ格が高くて、皆から尊敬されてるからね。
――大体の事だったら、何でもふんふんって取り次いであげるよ〜」
鈴仙「うん……期待しないで、期待してるわ」
一抹以上の不安が抜けきらないまま、鈴仙は今日地霊殿に来た用件をお燐に話す。
その内容は――。
A:さとりに会って話がしたい。
B:お燐とこのまま気ままにお喋りしていたい。
C:矢車に会って話をしてみたい。
D:灼熱地獄跡を探索してみたい。
E:空と一度、話をしてみたい。
F:さとりの妹らしい変な妖怪(こいし)について、話を聞きたい。
G:その他 自由選択枠
先に2票入った選択肢で進行します。メール欄を空白にして、IDを出して投票してください。
99 :
森崎名無しさん
:2014/12/16(火) 21:59:11 ID:NTJUJAys
C
100 :
森崎名無しさん
:2014/12/16(火) 21:59:24 ID:JJ3PbR8Y
C
101 :
森崎名無しさん
:2014/12/16(火) 21:59:38 ID:IU93q2O2
C
102 :
森崎名無しさん
:2014/12/16(火) 22:00:27 ID:???
さらばカップ麺
103 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2014/12/16(火) 22:24:05 ID:tDklXAvE
C:矢車に会って話をしてみたい。
お燐「ゲッ。 あんた、正気かい」
ヘラヘラ笑ったお燐の表情が、そう言う一瞬だけ凍り付いた気がした。
鈴仙「……いや、何となくよ。
なんとなーく、あの彼……だか誰だか分からない男から発する波長が気になってね。 ちょっと調査に来た訳よ。
それにさ、試合でも見たけれど、彼は二重人格なのよね。
幻想郷では精神病の症例が極端に少ないから、医院をやってるウチとしても学術的に非常に気になるって言うか」
お燐「ふうん……精神分析って奴かな。 あの現実界と象徴界と想像界が輪っかになってボロボロっての」
鈴仙「それって、ラカンが言ってたボロメオの輪のこと? 見かけによらず、本とか読んでるのね」
お燐「――あたいは良く分からないよ〜。
ただ、こういうのはさとり様が結構詳しいんだ。 ……昔、ウチの妹様を巡って色々あったからね。
……ま、それはどうでも良いか。 ――いいよ、会いたいなら勝手にしたら良いと思うし」
お燐はそう言うと、矢車の住むらしい地霊殿の地下――未だ拷問と血肉の跡が残る牢獄へと案内してくれた。
正気の人間ならば、まずここに住みたいと思わないだろう。
それまでに、あまりに不快で狂気を煽り、おぞましい空間。 ――まさしく『地獄』に相応しい場所だった。
お燐「……知ってたかもしれんけど、あたいはアイツが嫌いなんだ。
あいつ、さとり様があんなに気を掛けてくれてるのに、頑なにそれを拒んでたしね。
――まぁ、それでも試合で大分丸くはなったけどさ。
でも、あっちからゴメンナサイしない限り、あたいは和解したくはないね。
――っと。 さ、後は案内は要らないかな〜。 ここを真っ直ぐいって、突き当たりを右ね」
矢車に対する愚痴を聞き終わった鈴仙は、ここでお燐と解散して、腐臭漂う地霊殿の最奥を更に進む。
今の地霊殿は全く使用していないらしい、昔の鬼達の牢獄。
鈴仙が踏みしめているのは、果たして土くれなのか死体なのか。
104 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2014/12/16(火) 22:30:00 ID:tDklXAvE
じゅっ…と靴が埋まって液が滴る、瑞々しい地面を踏みしめながら鈴仙は牢獄の一番奥へと辿り着いた。
鈴仙「矢車。 矢車想……! そこに居るのよね……?」
急襲されても良いように、指先には妖力で編んだ銃弾を仕込む。
何故か消えない燭台の灯りを拝借して、松明代わりに牢獄の暗黒を照らし出す。
すると、そこには―――。
先着1名様で、
★地獄の兄→! card★
と書き込んでください。数値で分岐します。
JOKER→松山「小田 聖徳ホウリューズなんてやめて俺達と一緒に地獄に落ちよう……」小田「あにきぃ……一生ついていくよぉ…」
ダイヤ→松山「はぁっ……はぁっ……! だ、誰だ、お前は……!?」鈴仙「あっ、この姿は試合の時の……!」
ハート・スペード・クラブ→矢車「闇の底には、誰の声も届かない……」鈴仙「でもそれって、私の声が聞こえてるから言ってるのよね?」
クラブA→誰もいなかった。 お燐「(あっ、道間違ってたや。 ま、いいか)」鈴仙「(唐突なダンジョン探索いべんとっ!?)」
105 :
森崎名無しさん
:2014/12/16(火) 22:30:41 ID:???
★地獄の兄→
ダイヤ5
★
106 :
森崎名無しさん
:2014/12/16(火) 22:30:45 ID:???
★地獄の兄→
ダイヤA
★
JOKERwww
107 :
森崎名無しさん
:2014/12/16(火) 22:36:25 ID:???
ヒャメロー
108 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2014/12/16(火) 22:57:52 ID:tDklXAvE
★地獄の兄→ ダイヤ5 ★
ダイヤ→松山「はぁっ……はぁっ……! だ、誰だ、お前は……!?」鈴仙「あっ、この姿は試合の時の……!」
松山「はぁっ……はぁっ……! だ、誰だ、お前は……!?」
鈴仙「(……あれっ。 矢車じゃあ……無い! これはサッカーをしていた時僅かに出ていた、矢車の正体……!)」
――鈴仙の予想に反して、その牢獄で苦しんでいたのは矢車では無く。
その矢車よりは幾分幼くは見えるが、しかし実年齢以上の労苦を重ねた表情が印象的な白髪の少年。
烈しいタックルと地を這うシュートで、永遠亭ルナティックスと互角以上の勝負をした――松山光だった。
松山「誰だ……俺の許可無く兄貴の名を呼んだのは……? 恥知らずのサトリ妖怪の女か……?」
鈴仙「……違います。 通りすがりの――うん、心のメイクアップアーティスト……そう呼んでくれても良いわ」
松山「……何だそれは。 そんなんで俺と兄貴の地獄を邪魔する気か……?」
――会話が通じないのは予想通りだったため、鈴仙はそれで動揺する事は無かった。
しかし、矢車という殻に守られていない状態の無防備な松山は、まるで羽化したての成虫のように脆く見える。
死人のように止まった波長を描く矢車と異なって、今の松山が描く波長は生まれたての赤子のように混沌。
鈴仙「(……う〜ん。 矢車の方がまだ話は通じそうとは思ったんだけど、この松山君は……やっぱりまだ混乱している感じね。
まるで、彼の言う兄貴――矢車君以外の全てが、この世界の敵だと勘違いしているみたい。
ちょっと扱いがめんどくさそうだけど……ただ、行動に対する反応はこっちの姿の方が良いかもしれないわね)」
――しかし、純粋に彼の放つ波長が気になった鈴仙にとっては、こちらの姿の方が都合が良い。
単なる殻に過ぎない矢車と違い、松山が相手ならば、鈴仙の狂気の瞳も有効である。
109 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2014/12/16(火) 23:02:13 ID:tDklXAvE
鈴仙「(――あっ。 そう言えばこれまでに拾ったアイテムも、何かの役に立つかも!)」
……書物でのみ齧った精神医学の基礎に加えて、今まで拾ったそれらしいアイテムを思い出しながら、
鈴仙は松山への対処法を考える。 果たして、鈴仙が松山に取った行動は――。
A:精神医学の基礎に忠実に。 とりあえず黙って松山の話に耳を傾ける。
B:狂気の瞳の能力で、松山の波長を一瞬でも正常に戻してみる。
C:永遠亭で精密な診断を受けてみないか提案してみる。
D:愛のハチマキを見せてみる。(あげるとは言ってない)
E:兄弟ラーメンを一緒に食べる。
F:兄弟ラーメン・弟味噌をあげる。
G:兄弟ラーメン・兄貴塩と弟味噌を両方あげる。
H:その他 自由選択枠 A〜Dのうち1つ+E〜Gのうち1つ という選択も可。
(例:H A+D、H B+E、など)
先に2票入った選択肢で進行します。メール欄を空白にして、IDを出して投票してください。
110 :
森崎名無しさん
:2014/12/16(火) 23:04:37 ID:7PL6N4Gc
H 笑う
111 :
森崎名無しさん
:2014/12/16(火) 23:05:19 ID:+9Ic8i+Q
H A+E
112 :
森崎名無しさん
:2014/12/16(火) 23:05:52 ID:NTJUJAys
H B+D
113 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2014/12/16(火) 23:06:59 ID:tDklXAvE
念のためですが補足させて頂きます。
・E:兄弟ラーメンを一緒に食べる。 を選択した場合、鈴仙が兄貴塩を、松山が弟味噌を食べる恰好となります。
もしも鈴仙と松山で一杯のかけラーメンをしたい方が居られた場合は、自由選択枠で対処願います。
・その他で示している例がおかしい(A+Dは選択不可)ですが、無視して頂ければ幸いです(汗)
114 :
森崎名無しさん
:2014/12/16(火) 23:07:10 ID:???
松山の状態ならBは効くけど矢車だと無理くさいのか
115 :
森崎名無しさん
:2014/12/16(火) 23:08:59 ID:NTJUJAys
H A+E 変更お願いします
116 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2014/12/16(火) 23:44:14 ID:tDklXAvE
A:精神医学の基礎に忠実に。 とりあえず黙って松山の話に耳を傾ける。
E:兄弟ラーメンを一緒に食べる。
鈴仙「(今の状態なら、狂気の瞳も効きそうだけど。 ……でも、万一で暴発したら大変な事になるしなぁ。
――そうしたら、さとりさんが凄い剣幕でキレてくるかもしれないし、やめとこうっと……)」
無表情で激昂するさとりの顔を想像して震える鈴仙。
この幻想郷、笑顔で激昂する人物は結構居ると思うが、無表情でキレて来る人物はあまりいない気がする。
鈴仙「(しょうがないか。 ここは基礎に忠実に、黙って「傾聴」とやらをやってみましょうか……)
――まぁ。 こちとら遥々遠くから来たんだから。 折角だから、何でも話してみなさいよ」
松山「……はぁ? 俺、兄貴以外の奴と好んで会話する程、アブノーマルな性癖じゃないんだけど」
鈴仙「(アブノーマルの塊が良く言うわよ……)……そんならいいです。
私、ここでジッとしてるから。 何か話したい事があったら、是非話しかけてくださいね?」
――正直、松山の精神的な不安定を直してあげたいと思ったから、鈴仙はここまでするのではない。
鈴仙は英雄譚に出て来るような聖人君子では無い。 とはいえ、常に損得勘定で動く程の利己的な人物でも無い。
鈴仙「(せ、折角ここまで来たんだから……! このまま骨折り損だなんて、ごめんだからね……!
――あと、こっちから声を掛けたのに途中で投げ出すのも罪悪感あるし……)」
時間を無駄にしたくない。中途半端に手を掛けて放置するのは罪悪感を感じる。
鈴仙がこの時感じていたのは、精々がこの程度だった。
要するに、立派も無ければ利己にも走り切れておらぬ中途半端な……ごく一般的な感情しか抱いていなかった。
(それだけの理由で粘り強く松山を待つ鈴仙は、平均からはどこかズレていると言わざるを得ないが)
松山「(……変な奴だ。 こんな牢獄に入って来る奴なんて、身の程知らずのサトリ妖怪位しか居なかったのに……!)」
117 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2014/12/16(火) 23:45:20 ID:tDklXAvE
して松山は鈴仙と違い、突き抜けて頑なな人物だったらしい。
鈴仙が待ちを決め込んでも、松山は変な奴だと思いこそすれ、動じる様子も表に見せずに何も話そうとしない。
……やがて、暗闇の沈黙の中、数時間が経過しようとしていた。
ぐうっ。
――沈黙の中に、腹の虫が響いた。
松山「…………闇の底には、誰の声も届かない……」
矢車が言っているようなセリフを、まるで神の言葉であるかのように呟き動かない松山だったが……。
――しかし、その腹の虫が松山の物である事は鈴仙にとって明らかだった。
鈴仙「(だって、私のじゃないしね。 ……と、そうだ)……松山君。 お腹でも空いたのかしら?
良かったら、一緒にラーメンでも食べません?」
――鈴仙は意識して明るいトーンで話してみる。
鈴仙「(……そうだ。 私が持ってるこのラーメン。 これを松山君と一緒に食べれば……心を少しでも開いてくれるかも!
――漫画とか読んでても、警察がカツ丼出したら容疑者が吐いたりするし)」
何時の間にか引用文献のレベルが精神医学の書物から刑事漫画になっているが……それは気にしない。
鈴仙は灯りで二種類のラーメンを照らして見せて、これ見よがしに松山に突きつける。
鈴仙「どうかしら? 兄貴塩と弟味噌があるわよ。 何も言わなかったら、私は塩の方を貰うけれど?」
松山「………!」
118 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2014/12/16(火) 23:52:51 ID:tDklXAvE
鈴仙「(……松山の表情が変わった! 愛おしいものを見るかのように、ラーメンのラベルを覗き込んでいる!
これはひょっとして、効果アリかしら……!?)」
松山は食い入るようにラーメンを見つめ。 そして……
先着1名様で、
★ラーメンの味→! card★
と書き込んでください。数値で分岐します。
JOKER→サ・トーリ「松山君、そんなショ・ミーンのラ・メーンで満足しちゃ駄目です!
ラ・メーンを作る事にかけても頂点に立つ女たる私が作った、「ブルーハワイアンラ・メーン」を食べなさい!」
鈴仙「(どうして自分のトラウマを自分から増やしに行くんだろう、この人……)」
ダイヤ→松山「何なんだよ、アンタ……。 どうして、俺を見捨てない」
ハート・スペード→松山「……貰おうか、弟味噌」
クラブ→松山「――貴様ァ、兄貴塩は兄貴以外が食べちゃダメなんだ! 姉貴醤油を買って出直して来い!」
クラブA→その時、鈴仙は滑って松山にもたれ掛かるように倒れてしまった! そして……
さとり「松山君、食事をお持ち……ハッ!?」ガシャーン鈴仙「ま、まさかのしゅらば〜っ!?」
119 :
森崎名無しさん
:2014/12/16(火) 23:53:34 ID:???
★ラーメンの味→
ダイヤ6
★
120 :
森崎名無しさん
:2014/12/16(火) 23:54:20 ID:???
サ・トーリw
121 :
森崎名無しさん
:2014/12/16(火) 23:54:31 ID:8J6dTgqg
★ラーメンの味→
ダイヤQ
122 :
森崎名無しさん
:2014/12/16(火) 23:54:58 ID:???
これはダイヤの女神さまの加護か!?
123 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2014/12/16(火) 23:59:26 ID:???
ダイヤが出た!……と、言ったところで今日の更新はここまでです。
>矢車(松山)と小田との絡みについて
実は現状そこまで深くは考えていません。ですが、今後の判定次第で色々あるかもしれません。
それでは、皆さま、本日もお疲れ様でした。
124 :
森崎名無しさん
:2014/12/17(水) 00:30:10 ID:???
乙でした。
ダイヤが続いてラッキー?
穏便にハチマキについて触れられるかな?
松山くんも小田くんについて考えられるのでほど余裕はないか。
ふと思ったこと。
松山「ずっと地下に居たせいで留年確定だ……ふふ、やはり地獄がお似合いだ」
中山「俺の道は間違っていない……けど留年してたよ……」
来生「出席日数がやばい? 大丈夫、俺は天才だからな!」
岬「現状でもそれなりに悪くはないよ……けど、留年はマズイ……」
森崎「パルメイラスから除籍されてた」
反町「東邦学園はまずいけど、穣子さんと静葉さんに囲まれて永住するのもいいかも知れない」
125 :
森崎名無しさん
:2014/12/17(水) 00:51:26 ID:???
地獄留年乙
126 :
森崎名無しさん
:2014/12/17(水) 00:52:26 ID:???
こいつらが全員留年したのも鈴仙って奴の仕業なんだ
127 :
森崎名無しさん
:2014/12/17(水) 01:46:49 ID:???
鈴仙「なぜばれた」
128 :
森崎名無しさん
:2014/12/17(水) 21:10:58 ID:???
来生「よーし!サッカースレ改め留年スレだ!」合格じゃあ
岬犬「………………活動内容は?」もちろん留年
129 :
森崎名無しさん
:2014/12/17(水) 21:18:33 ID:???
一方その頃、妖夢チームがリグルパパ率いる手羽先妖怪チームに虐殺されていたりして
130 :
森崎名無しさん
:2014/12/17(水) 22:50:21 ID:???
どうしてなんでも鈴仙さんのせいになるのでしょう?
私、気になります!
131 :
森崎名無しさん
:2014/12/17(水) 23:12:22 ID:???
気にするな! (シュート魔王)
132 :
森崎名無しさん
:2014/12/17(水) 23:23:26 ID:???
でたな、シュート星人め
133 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2014/12/17(水) 23:48:09 ID:???
こんばんは、今日はほんの少しだけ更新になります。
>>124
乙ありがとうございます。
今後話が進めば、小田との絡みも出て来るかもしれません。
>留年について
彼らはサッカーに人生賭けているので、日本の学制などきっと気にしない筈です!w 森崎は……(汗)
>>125
地獄留年乙ありがとうございます。
中山さんとか岬とか反町とかは最悪大検とか受ければ良いと思います。
来生はセンター試験だったら無敵だと思います。松山と森崎は高校行かなくても何とかする根性あると思います。
>>129
ライトニングリグルキックの威力は65くらいですかねw
>>130-132
確かに素のシュート力が67の人の前では、シュート力が40だろうが53だろうが気にならない誤差ですね……
134 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2014/12/17(水) 23:49:23 ID:???
★ラーメンの味→ ダイヤ6 ★
ダイヤ→松山「何なんだよ、アンタ……。 どうして、俺を見捨てない」
松山「何なんだよ、アンタ……。 どうして、俺を見捨てない」
――初めて、鈴仙に向けて純粋な困惑を見せてくれた。
鈴仙「――正直、あんまり理由は無いわ。 ここまで来たのも、半分勢いっていうかなんというか。
……でも。 色々気になるからちょっと、ちょっかいをかけようと思った。 ――うん、それだけよ」
松山「……何だそれは。 相当なお人好しか、それか単なる馬鹿か、それとも暇人か。
――そんな下らない奴なのか、お前は……?」
鈴仙「……そ、そうよ。 何か悪いの?」
松山「……いや。 ただ……珍しい。 そう思っただけだ」
松山は静まり返って、ポツリポツリと呟くように鈴仙に向かって話しだす。
それは予想以上に大きな進歩だった。
松山「……俺の、周囲の奴らには。 お前みたく、暢気な奴はいなかった」
鈴仙「(妖夢とかてゐにも暢気って言われるけど、コイツにまで言われた……)」
鈴仙の手にある「兄弟ラーメン 弟味噌」をひったくり、松山は牢獄の奥へ向かう。
どうやら牢獄は意外と生活感が溢れており、松明をかざして見ると奥にはやかんやゴザ、
それと井戸が引かれており、最低限の生活は可能そうになっていた。
(できれば、腐臭たっぷりの地下牢にある井戸水は飲みたくないが……)
135 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2014/12/17(水) 23:54:13 ID:???
鈴仙「ラーメン、好きなの?」
松山「……昔は好きじゃなかった。 監督の奥さんが作ってくれた、手作りのスタミナドリンクとか。
それと――■■が作って、くれたような……。 いや、なんでもない。 忘れてくれ」
あの辛気臭い松山が、心底愉しみな風にカップ麺を作ろうとするのだから、
鈴仙は少しおかしくなってしまい聞いてみるが――多少心を許したとはいえ、
松山の深層心理には未だ深い傷が残っているようだった。
とはいえ、これまでの様子と比べると充分に会話が成り立っていると言えた。
松山「……俺がかつて居た場所では、お前みたいな奴は真っ先に苛められていただろうなぁ。
集団の規律、普通さ、常識、皆がやっているから……。 皆、みんな、ミンナ。
皆の事を考えられず、マイペースな勘違い野郎は、組織の不協和音だからな」
鈴仙「……貴方も大概にマイペースだと思うけれどね。
……もしかして、あなたの今の状態は、過去に受けたいじめとかに関係が?」
松山「……違う。 これは俺が受けるべくして受けた罪………」
松山はにべも無く流してみせるが、彼が狂気に囚われるまでには
余程壮絶な出来事があったのではないかと容易に推察できる。
鈴仙「(この波長……! 深い恨みと嘆き。 底の知れぬ後悔と懺悔!
これまでは激しい混沌で分からなかったけど、これこそが今の彼の――松山光の本質!
けれど、だとしたら……ちょっと、悲しすぎるわよ……)」
そして、過去を語る松山からは、鈴仙がこれまでに感じた事の無いようなマイナスの波長。
行き場を無くし暴走を続ける呪詛が渦巻いていた。
136 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2014/12/17(水) 23:56:43 ID:???
鈴仙「(――否定されて、否定されて、否定されて。
――やがて自らをも否定されたせいで、自らが崩壊しかけた骸の男……!
一体誰なら、こんな彼の暗い深層心理を暴く事が出来るのかしら)
……まぁ。 難しい事を考えるのはやめ。 私も、ご一緒に食事させてもらうわ」
松山「……ふん。 勝手にしろよ。 言っとくけど、それは本来兄貴しか食べちゃいけないラーメンなんだ。
お前は……そうだな、姉貴醤油よりは妹豚骨と言った所だな」
鈴仙「(――コイツから見て、私って妹タイプなの?
それはそれで、なんとなく下に見られた気がしてムカつくわね……)」
……松山の事は少し理解できた鈴仙だったが、根本的な解決法までは分からない。
仕方なしに鈴仙は、松山に続いて井戸水をやかんに入れて炎で温めて、
「兄弟ラーメン 兄貴塩」を作る事にした。
先に味噌ラーメンを作っていた松山はこの間、律儀にも鈴仙を待ってくれていた。
案外、素は悪い奴では無いのかもしれないと鈴仙は思った。
鈴仙「(案外悪くない味ね、このラーメン……。 500円も出した甲斐があったわ。
――と、思ったけど。 これって灼熱地獄跡で拾ったんだっけ……?
賞味期限とかちょっとかなり気になるけど……美味しかったし、いいか)」
――最初の不安とは裏腹に、ラーメンは存外に美味しかった。
*松山の評価値が大きく上がりました。
*鈴仙と松山の関係が、鈴仙→(敵意は無い)←松山 になりました。
137 :
森崎名無しさん
:2014/12/17(水) 23:59:05 ID:???
>ライトニングリグルキックの威力は65くらい
強すぎるwいや翼が評価しまくることを考えれば妥当な数値なのか
138 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2014/12/18(木) 00:03:32 ID:???
――と、言った所で今日の更新はここまでですが、松山のイベントはもう少し続きます。
(前回の試合後にちらっとアナウンスしていたものです)
ラーメン効果で松山との親交も深まったので、より鈴仙がイベントに絡める形になると思います。
それでは、皆さま、本日もお疲れ様でした。
139 :
森崎名無しさん
:2014/12/18(木) 20:47:47 ID:???
乙でした。
松山君は今の状況を受けるべくして受けたと思い込んでいるのか。
早く自分を許してやって欲しい。
140 :
森崎名無しさん
:2014/12/18(木) 23:49:25 ID:???
聖徳には小田もいたけど高杉もいた
妖精チームと当たるなら来生とも絡むのかー?
141 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2014/12/18(木) 23:55:06 ID:???
こんばんは、今日も描写だけになりますが更新します。
>>137
オー○ムドライブの威力が67〜68くらいなんで、それほどでもないですね。
>>139
乙ありがとうございます。
松山の心情描写は難しいですが、自分を許したい気持ちと許せない気持ちがせめぎ合っているようなイメージです。
試合時の松山は前者が優位で、今の松山は後者が優位な感じですが、この辺りを上手く書きたいですね。
>>140
高杉と来生については、少なくとも軽くは絡む予定ですね。この二人はある意味対照的な存在だと思います。
142 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2014/12/18(木) 23:56:59 ID:QXAbfd76
***
さとり「……おや。 どこか賑やかとは思えば」
鈴仙「――んげっ」
ラーメンを汁まで啜り終わり、それでもどこか心地よい無言の中で、ノンビリと腰を落ち着けていた鈴仙(と松山)。
そんな二人の前に――乱入者が現れた。
さとり「……貴女の事はお燐から聞いています。
だから、『ふ、不法侵入で逮捕されたらどうしよう!?』……とか、思わなくても大丈夫よ」
鈴仙「あ、あはは……そりゃあ失敬」
地霊殿の当主にして、地霊殿サブタレイニアンローゼスの守護神でもある古明地さとりが、
松山の食事の入ったお盆を手に、牢獄に入り込んでいたのだ。
彼女は相変わらずのぶっきら棒な無表情で鈴仙につかつかと歩み寄り、頼みもしないのに心を読む。
さとり「どうしてあなたが、こんな所に……? ――えっ?『特に理由は無い』……ですって?
こいしじゃないんだから、そんな抜けた理由で態々こんな所、来ないで欲しいわね……」
鈴仙「う……うるさいわね。 暇なのよ」
さとり「……暇でも、普通はこんなところ来ませんよ。
……そう言って来ている私も私だけれど。 どうしても、こんな場所に来たがるペットなんか居なくって。
お燐だったら行ってくれそうだけど、あの子は矢車君を嫌っているから」
松山「……嫌なら、来なくても、良いんだ……」
さとり「……別に好きで来ている訳ではありません。 ただ流石に、野垂れ死にされると寝覚めが悪いのでね。
――ちなみにこれは本心からの言葉であって、一般的なツンデレ的要素は全く含まれていないので誤解無きよう」
143 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2014/12/19(金) 00:00:30 ID:/mjs3LOQ
さとりは慣れた様子で松山の言葉をあしらい、
簡単にではあるが牢獄に散らかったゴミの片づけや、室内用具の手入れを始める。
鈴仙が持ち込んだ二つのカップラーメンについても、何一つ感想を述べる事無く淡々とゴミ袋に入れて行く。
鈴仙「――さとりさんって、毎日この矢車……いや、今は松山なんだっけ……の面倒を見てるんですか?」
さとり「――少し彼に、思う所がありまして。 ……先に言っておくけれど、愛とか恋とかそういうありがちなネタは要らないので」
鈴仙「言ってもないし、思ってもいないってば……」
さとり「……なら良いです。 ――時に、松山君。 最近は、随分と自身の存在を保てるようになったようですね。
まさか部屋に入った時から、あなたがその形態を発現させているとは思わなかったわ」
松山「……何だよ、兄貴でもない癖に恩着せがましいぞ、お前」
さとり「兄貴だったら恩着せがましかった良いのね。 ……爽やかで恩着せがましい感じの矢車君。 私は見たく無いけれど」
無表情で淀みないくせに、何故かどこか必死なさとりの言動を聞き流しながら。
さとりと松山とで同居人らしい会話が始まった事を機に、鈴仙はいよいよ所在無げに牢獄をぶらぶらとし始める。
特に深い理由も無く来たので、より松山と関係の深い人物が現れた以上、
鈴仙がこうして気まずい空気になるのはある意味必然ではあったが。
ガッ……!
鈴仙「きゃ、きゃ〜っ! い、今なんか小石に蹴躓いたっ!」
……暗い地面にあった何かに足をぶつけた鈴仙は、そんな空気をぶち壊しにする程の間抜けな絶叫を上げた。
松山「おいおい。 ……お前、さっきから一体何なんだよ。 本気で何しに来たんだ?」
鈴仙「わ、私にも正直分からないわよ。 研究したかったような、カウンセリングしたかったような、ラーメン食べたかったような……。
思兼の神にそそのかされて、無理やりやらされたのよきっとぉ……」
144 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2014/12/19(金) 00:02:56 ID:???
さとり「(……松山君の言う通り。 この子は本当に何をしにここに来たのかが良く分からない。
会った時からずっと、心を読んでいるつもりだけど、肝心な本質が掴めない。
さっきまでラーメンでも食べて親睦を図っていたようだけど、それだけの為に遥々地底まで来たとは考えづらい。
松山君を懐柔することによる、何かしらの利益を狙ったのかもしれないけれど、
それなら、もっと投資のし甲斐のある選手なんて山のように居るから、そっちにすれば良い。
……まるで、精神分裂病の患者のように、非合理的な思考と行動が多すぎる。
――となると。 ひょっとして彼女の来訪は……自分の意思。 いえ、正確には表層意識によるものでは、無い……?
この原因はあの子……? いえ、それとも……彼女が所持しているであろう、「何か」が原因……?)」
午前の試合観戦に続けてお尻をしこたま打ち付けた鈴仙は、泥の付いたスカートを摩りながら、
半分涙目で知性の低そうな台詞をブツブツと呟いている。
さとりはそんな鈴仙の危機感や目的意識が「無さ過ぎる」様子を見て、ある仮説を立てていた。
そして、その仮説の正しさは大した苦労も経ずに、当の鈴仙によって証明された。
鈴仙「はぁ〜。 ハンカチハンカチ……っと。 あれっ、これハンカチじゃない……」
鈴仙は何気なく、本当に何気なく無意識にポケットをまさぐって布きれを一枚取り出していた。
そして。
松山「そ、そのハチマキは……! いや、でも、しかし……それは俺が許されない象徴だった……!」
ガタッ! ガタガタガタッ……!!
――松山がその布きれ――「愛のハチマキ」を見た矢先。
それがトリガーであったがごとく、松山は今日一番の動揺を見せた。
145 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2014/12/19(金) 00:04:02 ID:???
さとり「(これは……成程。 前者と後者が混じった、「両方」という事ね……)――鈴仙さん。
貴女はまずハチマキをしまって。 そして、医学的見地から彼に処置をお願いします。
私は能力を応用して、少しでも彼の精神を安定させてみせます……!」
鈴仙「えっ、えっ……! は、はい。 分かりました!
(――ハチマキ……ハチマキ。 ……そう言えば! あのハチマキと松山君には何か関係があるかもしれないって。
そう思っていたんだわ、試合の時の私は……! ――どうして、今の今まで忘れていたんだろう……!?)」
松山が崩れ落ちる声。 さとりがトーンは低めのまま焦りを見せた声。
そして……かつてのハチマキが必死に発していた声。
様々な声を一遍に聞いた鈴仙は、無意識というもやが晴れていく錯覚に陥った。
さとり「(――無意識により行動を制約されながらも、ハチマキに残された強烈な残留思念が、
彼女を更なる無意識に掻き立てていた……、という事かしら)」
それと時を同じくして、古明地さとりもまた思案していた。
憑き物が取れたかのように決然と松山の呼吸と脈を測る鈴仙を見て、
脳内で、自身の立てた仮設の正しさを少しずつ立証していく。
さとりの中で、松山の狂気から鈴仙の登場。 そしてハチマキが持つ力についての意味付けが明確となっていき。
――そんな彼女の思考は、ここで一旦停止された。
さとり「(……流れ込んで来る! ――今まで封じられた彼のトラウマが、私の第三の目を焼き尽くさんと流れ込んで来る!)」
他者の心を読み取り、トラウマを想起させる覚妖怪の能力を逆用し、
他者のトラウマを封印する事で、一時的な精神の安定を図っていたさとりの瞳に、
封印しきれぬ松山の過去が、雪崩のように入り込んで来た。
それは完全に、自身の能力の制御にある程度以上自信を持っていたさとりにとって、予想外だった。
……ブウ……ン。
146 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2014/12/19(金) 00:07:25 ID:???
鈴仙「――こ、これは……!?」
さとり「……気を付けて下さい。 ――どうやら私達……彼のトラウマに、取り込まれつつあるみたい……!」
ブウウ……ン! ブウウ………ッ……ン、ンン……!!
つまり、松山の記憶の鼓動は、さとりの瞳から溢れる程に強烈だった。
また、他者の精神の波長を読み取るらしい鈴仙の狂気の瞳と、さとりの第三の目とに親和性があった事も災いした。
さとりによって読み取られた松山の記憶は、鈴仙によって波を描いて周囲に拡散し、
やがて牢獄の暗闇をスクリーンに、映像として投影されていく。
――冬の大地。降り積もる雪。夏のラベンダー畑。色彩豊かなパノラマ。学校。仲間。サッカー。試合。敵。敵。地獄。
断片的な単語がビジョンとしてその場に展開されては消え、しかし次第にそのビジョンは暗闇にこびりついていき――。
松山「う、あ……うあぁぁあァァァァアアアアアアアアアアァァァァァァァァアアァァァァァァアァアァァ!」
バァン! …………ザワザワ。 ワーワー……。 キーン、コーン、カーン、コーン……
鈴仙「さ、さとり、さん……? 一体、私達に何が……?」
松山の絶叫と何かが破裂する音を聞いて、意識を一瞬失った鈴仙が再び目を開けると、そこは既に地霊殿の地下牢獄では無かった。
少年少女達の話し声や笑い声が聞こえ、チャイムの音が響き渡るコンクリート製の建物の広い廊下がどこまでも続く。
さとり「…………」
鈴仙の傍に居たさとりは、茫然とした様子で周囲を見回していた。
どうやら、人の心を読む彼女ですら、こうした状況に陥った事が無いらしい。
普段の無表情が随分と崩れ、年相応の少女らしい焦りと怯えを抱いている様子だ。
さとりは諦めたように溜息を吐くと、鈴仙に向かってこう言った。
さとり「鈴仙さん。 どうやら私達は――松山君の心象世界に、閉じ込められてしまったようです」
147 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2014/12/19(金) 00:10:19 ID:???
――と、超展開になったところで今日の更新はここまでです。
明日は付き合いがあるので、更新できないかもしれません。
松山の脳内イベントは、1〜2日程度で終わらせる予定です。
それと、
>>143
で、
さとり「兄貴だったら恩着せがましかった良いのね。 …」
とありますが、これだと意味が分からないので、
さとり「兄貴だったら恩着せがましくても良いのね。」
……と、言った風に脳内変換して頂ければ助かります。
それでは、皆さま、本日もお疲れ様でした。
148 :
森崎名無しさん
:2014/12/19(金) 22:02:25 ID:???
こんなことに巻き込まれたのも全部鈴仙ってやつの仕業なんだ
149 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2014/12/20(土) 00:28:46 ID:???
思ったより早く帰ってこれたので、ほんのちょっと更新をします。
>>148
これは間違ってないですねw
150 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2014/12/20(土) 00:30:01 ID:???
鈴仙「松山の心象世界って……! ――な、なんで私まで……? っていうか、そんな事本当にあるんですか………!?」
さとり「――普通は、こんな事起きる筈は無い。 私の能力はあくまで、人の心を読み取るだけに過ぎない。
精々でも読み取ったトラウマを弾幕で再現出来る程度です。 恐らくは……言っては悪いけど、貴女のせいですね」
鈴仙「わ、私は悪い事してないわよっ!? ……たぶん」
さとり「それは知っています。 だから、今回の一件は単なる事故。
私の目と貴女の瞳が共鳴して超振動を起こした結果、こうした心象風景が具現化されたのだと思います。
……ふふ。 こうして言ってみると如何にもジュブナイルでファンタジー的ですよね」
鈴仙「……あの。 ひょっとして楽しんでます? 今の状況」
さとり「色々形を取り繕おうとも、他者の心を読み取り支配する事こそが私の本質。
そうした意味では、他者の心の世界を旅行する事は、ある意味最大級の愉悦ですわね」
鈴仙「試合の様子とか、地上との親交を深めたいとか言ってるのを聞いて、良い妖怪なのかな? ――って思っていたけれど。
貴女も地底の妖怪のご他聞に漏れず、良い性格してますよね……」
さとり「隠さず言って下さり、非常に助かります。
……さて、鈴仙さん。 折角ご一緒した縁ですし、この世界を探検してみませんか?
ここで口論していても、状況は好転しませんし」
鈴仙「むう……そ、そうですね……」
終始マイペースを貫くさとりに翻弄される鈴仙だったが、彼女の言う通り、ここで討論していても話は進まない。
しかし幸いに、鈴仙達には話を進める為の手がかりはある。
鈴仙「とりあえず、いつの間にか消えてる松山……君でも探してみます?」
さとり「……それで良いと思うわ。 ここが彼の心の世界である以上、
今この場に居ない松山君こそが最重要人物である事は、まず間違い無いと思いますし」
151 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2014/12/20(土) 00:32:36 ID:DykbGsZA
――心象風景に塗りつぶされるようして姿を消した、松山光の捜索。
恐らくこれこそが、鈴仙達の脱出やこの世界の正体を掴む為には必要となるだろう。
鈴仙「――しっかし。 どこをどう探してみれば良いのやら……?」
さとり「……まぁ、探すとしたらこの施設――恐らくは外界の「学校」――の中になりますかね。
一応普通の人間の松山君が、市町レベルに広大な精神世界なんて作れる訳ないでしょうから」
……さとりが言わずとも、鈴仙には何となくそんな予感がしていた。
間違い無く、松山は恐らくこの「学校」という名の施設に居る。
残るは、この施設の何処に居るかが問題だ。
鈴仙「……うーん。 教室か、グラウンドか、サッカー部室か、それとも実はこの廊下を通りかかる予定か。
ここが悲惨な過去だったら、トイレとか体育倉庫とか、そんな暗い場所も対象になるかしら……?」
さとり「――明確なアタリは無いと思いますね。
むしろ、「私達が訪れた」という事実をトリガーに、何らかのイベントが起きる可能性も高い。
……だから、貴方が好きなように決めちゃってください。 松山君が居そうな場所を」
鈴仙「え。 ええーっ。 そんな適当でいいんですか?」
さとり「……人の心とは、存外に適当なものですし。
むしろ、そんな非必然的で適当な行動こそが人間の心を決定するとも、どこかの本で読んだ記憶があります」
さとりはあまり自分で行先を決めるつもりが無い――。
いや、正確には行先をどこにしようとも、ある程度の結果は得られる…と。 そう考えているようだった。
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