キャプテン森崎 Vol. II 〜Super Morisaki!〜
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【早苗】鈴仙奮闘記28【サッカー好きか?】
1 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2015/04/12(日) 22:35:12 ID:???
このスレは、キャプテン森崎のスピンアウト作品で、
東方Project(東方サッカー)とのクロスオーバー作品です。
内容は、東方永夜抄の5ボス、鈴仙・優曇華院・イナバがサッカーで師匠を超えるために努力する物語です。
他の森崎板でのスレと被っている要素や、それぞれの原作無視・原作崩壊を起こしている表現。
その他にも誤字脱字や稚拙な状況描写等が多数あるかと思いますが、お目こぼし頂ければ幸いです。
☆前スレ☆
【復活の】鈴仙奮闘記27【N】
http://capmori.net/test/read.cgi/morosaki/1425474393/
☆過去ログ・攻略ページ(キャプテン森崎まとめ@Wiki内)☆
http://www32.atwiki.jp/morosaki/pages/104.html
☆あらすじ☆
ある日突然幻想郷にやって来た外来人、アラン・パスカルと中山政男との出会いにより、
師匠、八意永琳に並ぶ選手になると決心した鈴仙・優曇華院・イナバ。
全幻想郷代表選抜大会で活躍し、代表メンバーの一員となる事を夢見てきた鈴仙はある日、
自身が『プロジェクト・カウンターハクレイ』のキャプテン候補に選ばれている事を知る。
それは霊夢や紫達幻想郷に敵対し、以て幻想郷の価値観を覆すという壮大な計画だった。
永琳から告げられた計画の壮大さに戸惑う鈴仙。しかしさらに追い打ちを掛けるように、第二の道が示される。
――八雲紫の掲げる狂った計画・『リアル・幻想・セブン』を内部から改革するという道だった。
ヒューガーの科学技術により精神を蝕まれた、幻想郷の管理者・八雲紫を救いつつ、これまで通りの幻想郷をより良くしていきたい。
紫の忠実な式・八雲藍は自らの身の危険をも辞さず、鈴仙にそう理想を語った。
幻想郷を変える為に戦うか、幻想郷を守るために戦うか。そもそも、自分は何の為に戦うのか。
そう思い悩む鈴仙の前に、かつて姿をくらました中山政男が圧倒的な力を手に、再び戻って来た。
新しいヒーローの出現に幻想郷中が湧く中、鈴仙は中山の姿に何を想うのか。
現在は決勝トーナメント第1回戦、守矢みらくるずとの対戦中。
試合はルナティックスが後半22分に3−1と優勢だが――早苗、サッカー好きか?
382 :
森崎名無しさん
:2015/05/05(火) 00:40:48 ID:???
鉄製のガラクタ(若島津)「………」
にとり「良質のジャンクパーツGET!」
華扇「なっ! 何をするだァーッ ゆるさんッ!」
にとり、マジで炎上する試合前
383 :
森崎名無しさん
:2015/05/05(火) 00:57:22 ID:???
物語上の都合とはいえ出てくるたび炎上してるしなあ>にとり
能力は決して低いわけじゃないんだけど(高いとも言っていない)
384 :
森崎名無しさん
:2015/05/05(火) 00:59:55 ID:???
出てくるたびに炎上。よし、にとりも姫様応援団に入れちゃおう(提案)
385 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2015/05/05(火) 01:31:42 ID:???
こんばんは、思ったより筆が進まず導入部だけになりましたが、少しだけ更新再開します。
>>381
乙ありがとうございます。
射命丸については前々から色々考えていたのですが、漸く出番となりました。
>>382
若島津って本当に生きてるんですかね…?(無責任)
可哀想ですが、にとりは結構炎上するかもですね。
>>383
キャプ翼の若島津を見る限り、中途半端に実力がある方が噛ませになるんだと思います。
>>384
やはりにとブロ…
386 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2015/05/05(火) 01:33:23 ID:???
〜大会13日目・午前・固定イベント〜
【決勝トーナメント・一回戦第三試合】
−永遠亭・居間−
鈴仙達永遠亭ルナティックスが、様々な意味で厄介な敵だった守矢みらくるずを5−1で下した次の日の朝。
朝食の
タコス
を食べながら、日課である新聞――花果子念報を読んでいた鈴仙。
鈴仙「(私達の準決勝の対戦相手は、……聖徳ホウリューズ。
近年幻想郷に現れた聖人・豊聡耳神子を中心とする統制のとれたチーム。
だけどその実は反則や危険行為も厭わず、勝利に対して異様な執念を燃やす集団でもある。
――ある意味では、博麗連合や紅魔スカーレットムーンズよりも厄介かもしんないわね)」
下記の大会スケジュールを確認しつつ、鈴仙は次に当たる聖徳ホウリューズに関する情報を集めていた。
しかし、相手はこれまでずっと自身の領域である仙界にて修練を積んでおり。
更に、多くの選手がこれまでの幻想郷の住民では無く、外来人のサッカー少年。
それも無名な選手ばかりであったため、めぼしい情報は中々得られなかった。
********************************
<決勝トーナメント スケジュール>※大会一回戦終了〜準決勝終了まで
午 前 午 後
13日目 紅魔×妖怪←今ココ 地霊×博麗
14日目 休 み 休 み
15日目 永遠×聖徳 .紅魔×(地霊×博麗の勝者)
17日目 休 み 三位決定戦
18日目 休 み 決 勝 戦
********************************
387 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2015/05/05(火) 01:37:14 ID:???
鈴仙「(まあ……不確かな事を新聞に書く訳にもいかないしねぇ)」
鈴仙はそこまで思って、いつか永遠亭にも来ていた、もう一人の天狗の事がふと脳裏によぎった。
真面目で礼儀正しそうな物腰、清楚さを感じさせる長めな黒のボブカット。
しかしその実はかなり俗悪的かつ慇懃無礼、プライドが高く配慮の無い山師。
好感を覚えるタイプではまずない。鈴仙の中において、射命丸文とはそんな人物だった。
鈴仙「(はたてじゃなくてあのブン屋だったら、喜びいさんで何でも書いてそうだけどね。
……まあ、ある意味あのずうずうしさとかは羨ましくはあるけどね。
私だったら体面やら何やらが怖いから、記者なんて絶対できないなぁ……。
何か仕事をやるなら、内勤の事務職員が良いかしらね。 ……いや、それも向いてないか)」
偉くさった上司にお茶を淹れようとして中身をブチかます自分の姿を想像しながら、鈴仙は新聞記事を読み返す。
聖徳ホウリューズに関する情報は無かったが、それでも一応記事はこまめにチェックしている。
鈴仙「(――あれ。噂をしたら影、って言うけれど)」
どうでも良い天狗内の勢力争いしかない政治欄に、たまたま鈴仙の脳裏に思い浮かんだ人物に関する記載があった。
その記事は小さな枠に囲った数行の短い物だったが、他のどんな記事よりも鈴仙の興味を引いた。
記事のタイトルには、こう書かれていた。
−妖怪の山FCキャプテン、追放か 〜苦境に立たされるサッカー政策〜−
鈴仙「(妖怪の山FCキャプテン……って、射命丸の事よね。それが……追放?
追放ってどんだけヤバイのか良く分からないけど、やっぱり天狗社会も大変なのね……)」
――この記事を見た鈴仙は、ほんの少しだけ射命丸に同情したが。
彼女を詳しく知らない部外者である上、天狗社会にも疎い鈴仙には到底全てを理解出来なかった。
即ち。射命丸文がこの数行の中で、如何に追い詰められ苦しんでいたかについてを。
388 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2015/05/05(火) 01:42:51 ID:???
……と、言ったところで今日の更新はここまでにします。
ところで一つ失礼かつネタバレなミスをしてました。
大会スケジュールについて、
15日目 永遠×聖徳 .紅魔×(地霊×博麗の勝者)
となっていますが、紅魔が勝ち上がると決まった訳では無いので、
15日目 永遠×聖徳 .(紅魔×妖怪の勝者)×(地霊×博麗の勝者)
が、正確には正しいです。もしもダイス判定があったら、
レミリアがピンゾロ連発したり、にとりがJOKER出しまくるかもしれませんしね。(NPC戦は判定無しで進行します)
それでは、皆さま、本日もお疲れ様でした。
389 :
森崎名無しさん
:2015/05/05(火) 01:45:13 ID:???
やはり追放された射命丸をミサキーヌと矢車の争奪戦か、乙ロット!
390 :
森崎名無しさん
:2015/05/05(火) 01:56:31 ID:???
乙です
責めてもちょっとくらい希望持たせてあげようよw
てなわけで安心しろ、俺が最後の希望だ!
先着1名様で
★妖怪の山の勝利?→! card★
JOKER→33−4で敗北
ダイヤ→9−0で敗北
ハート→7−1で敗北
スペード→ハート+ついでに一人の天狗が行方不明
クラブ→スペード+その天狗が新しく聖徳で発見された模様
クラブA→KENJAがオウンゴールし天狗と一緒に失踪
391 :
森崎名無しさん
:2015/05/05(火) 02:01:54 ID:???
★妖怪の山の勝利?→
クラブ5
★
392 :
森崎名無しさん
:2015/05/05(火) 03:05:58 ID:???
あややー!? あややが理不尽にさらされてます!
あややは追放されて、住むところもなくて大変な筈です!
永遠亭で匿ってあげましょー!
向こうから追放したのだから、妖怪の山も文句はいえないはずです!
(顔が広く、情報収集に長けたジャーナリスト&妖怪の山FCメンバーと仲の良い人材ゲットです。
幻想郷トップクラスのドリブラーが上手くすれば三章以降で仲間になる可能性が上がりまーす!)
とか半分冗談で思ったりもしたけど……それ抜きでちょっと不憫すぎる
鈴仙さんで少しは手助け……できないか、ことが大きすぎるし
しかしあややだけじゃなく妖怪の山FCは悲惨過ぎますね……
にとり「文さんが追放!? もう炎上はいやだあ!?」
河童「能力もあるし、なんだかんだ良い河童なのに……にとりかわいそうに」
にとり「ちくしょう、レミリアだろうがフランドールだろうがかかってきやがれ! 三点以内に抑えてやる!」
河童「志がビミョー…できなくもないのかな?」
乙なのです!
393 :
森崎名無しさん
:2015/05/05(火) 03:11:46 ID:???
まぁ実際JOKER引かれたら魔王の力が覚醒してえらいことになるけどねw
さて、次の聖徳戦、俺たちは人間だから・・・応援するのはどっちかわかってるよね?
人間が動物や化け物を狩るために・・・武器を使うのはあたりまえだよなぁ?
394 :
森崎名無しさん
:2015/05/05(火) 07:15:01 ID:???
成績不振なのでキャプテン追放だー、偉い人の考えることはわからないねー
ガレリ「そんなので問題が解決するとその気になっていたお前らの姿はお笑いだったぜ」
395 :
森崎名無しさん
:2015/05/05(火) 07:20:45 ID:???
汚い手でお馴染みの聖徳ですら八百長だけはしていないようだからね
現実でも、八百長に手を染めたチームや選手の末路は悲惨だからなあ
396 :
森崎名無しさん
:2015/05/05(火) 08:10:19 ID:???
あややー、あややに救いの手はあるのでしょうか?
先着1名様で
★ヘルプミーですよ!→! card★
JOKER→ふっふっふっ。追放されるのは、はたてになりましたよ♪さらば、はたて。五秒間は忘れませんよ♪
ダイヤ→カグーヤ王女に拾われましたよ!
ハート→早苗さんが救いの手を差しのべてくれましたよ!
スペード→地獄兄弟ですか?あやや、怪しい人達ですね。
クラブ→現実は残酷ですね…。救いの手はありませんでした…。
クラブA→レヴィンという破壊神に拾われましたよ。あややー、助けてー!
397 :
森崎名無しさん
:2015/05/05(火) 08:12:33 ID:???
★ヘルプミーですよ!→
ハートK
★
398 :
森崎名無しさん
:2015/05/05(火) 08:13:34 ID:???
★ヘルプミーですよ!→
ハートQ
★
399 :
森崎名無しさん
:2015/05/05(火) 10:05:54 ID:???
>>393
おれは人間をやめるぞ!ジョジョーーーーー!!
400 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2015/05/05(火) 15:20:16 ID:???
−妖怪の山・天狗の集落−
時は遡って一昨日の夜。大会決勝トーナメント第一回戦が始まる前日。
射命丸文は、天狗の集落にある庁舎へと足を運ぶこととなった。
彼女の片手には簡単な事務連絡文が一枚。
『臨時査問委員会の開催について』と題打たれたそれは大天狗の判が押してあり、
この通知の効力の重さを示している。
射命丸「…………」
射命丸には今回の委員会の招集命令について心当たりがあった。
今、天狗社会の上層部は確実にサッカー政策を疎んじている。
これまで妖怪の山FCを結成させ、射命丸をキャプテンに据え置いた上司は、
病的なまでの保守派な今の大天狗と反りが合わず、大会開催前に閑職へと追いやられた。
射命丸「……勝手すぎるわ。『せめて決勝トーナメントには出ないと天魔様に示しがつかない』
とか言って、予選リーグの組み合わせを操作しておいて。
しかもそれで、こっちはきちんとお望み通り、決勝トーナメントに出てやったってのに」
今の大天狗は妖怪の山FCの活動を快く思って居なかった。
射命丸は散々色々それらしい理由を聞いた気もするが、
結局は『新しい事は怖いからやりたくない』という本心が明らかに見て取れた。
しかも、出世している天狗の上官の多くは、多少のプラスを犠牲にしてまで、どんな小さなマイナスをも嫌うのである。
だから、今の大天狗にとって、折角お膳立てしてやったにも関わらず、
妖怪の山FCが妖精ごときのチームに引き分けたのが、死ぬほど不快だったようだ。
――無論、それ以外の意図もあるのかもしれないが。
401 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2015/05/05(火) 15:21:38 ID:???
白狼天狗「……所属と名前を」
射命丸「従八位、治部省広報局付少属の射命丸文です。中務省から召集命令があり馳せ参じました」
白狼天狗「かしこまりました。臨査の会場は四階の第二会議室です」
射命丸「ありがとう」
庁舎入口の警備を務める壮年の白狼天狗に先程の通知文を見せる。
彼は機械のように淀みない口調で射命丸に案内図を手渡してくれた。
広報局――鴉天狗として新聞作成を業務としている射命丸は、政務の中心たる庁舎に行くことは珍しい。
現に警備担当の白狼天狗や、専ら事務を務める庁舎内の鼻高天狗達は、鴉天狗の少女を好奇の目で見つめていた。
射命丸は彼ら彼女らの下卑た目線に耐えながら、自動昇降機――外界で言うエレベーターのスイッチを押した。
***
コン、コン……ガチャッ。
射命丸「――射命丸文。只今馳せ参じました」
鼻高天狗「遅いぞ。幻想郷最速とやらが聞いて呆れるな」
四階の第二会議室のドアをノックし入室した射命丸は、早速の高圧的な口調に気圧される事となった。
絨毯敷きの小部屋の中には、射命丸に早速の挨拶をした鼻高天狗の中年を中心に、
5、6名程度の同じく鼻高天狗の青年達が、射命丸と向き合うように座っている。
鴉天狗や山伏天狗は年老いたのが1名ずつ、白狼天狗は1名も居なかった。
射命丸「あやや……これはこれは、誠に申し訳ございません。
きっと私が光よりも早かったが故に、暫くは存在を視認できなかったのではないですかな」
402 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2015/05/05(火) 15:23:04 ID:???
鼻高天狗「減らず口を。貴様は身の程を弁えるのは、相変わらず苦手なようだな。
まあ……だから何時まで経っても、貴様は小属止まりなのだろうが」
射命丸「………」
臨査――正式には『臨時査問委員会』を実務的に取り仕切るのは、大天狗のような上役ではない。
天狗社会の内政を司る中務省の少輔クラスを中心に、脇を固めるのは大丞から少丞クラスの中堅天狗が、
こうして列席して、気に食わない輩を呼び出しては難癖を付けるのである。
鼻高天狗「……まあ良い。それより、射命丸文。本日の臨時査問委員会で貴様を呼び出した理由。それは分かるな?」
射命丸「――通知文に書いてありましたよ。サッカーチーム運営事業の事ですよね?」
中央の鼻高天狗は欧米人のように長い鼻の頭を擦りながら、鬱陶しげに射命丸に訊く。
射命丸もそれに合わせて鬱陶しげに答えると、周囲の取り巻きが俄かにざわついた。
中央の彼は少輔――外界の企業で言えば次長クラス――であるにも関わらず、
少属――これは主任程度だ――に過ぎない射命丸が反抗的な態度である事は、
上下関係に厳しい天狗社会にとってあり得ない事だった。
鼻高天狗「……式部省の今の大天狗様の意向は知っているな。
あの方は赤字かつ政策的効果の薄いサッカー政策を嫌っておられる。
そして前の妖精大連合との試合だ。あれで貴様等が引き分けた時は……!
――もう、大天狗様や天魔様周囲の秘書局は大混乱だった。
あの場は何とか大天狗様の命を受けた私が報告書を作成し、天魔様に無事お伝えする事が出来たが。
考えてみろ。次にこうした大混乱を引き起こし、様々な方面に迷惑を掛ける事があれば、今の大天狗様の地位がどうなるか……!」
射命丸「……そうですか。それはお気の毒ですね」
403 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2015/05/05(火) 15:25:03 ID:???
――勝手に混乱してよそに迷惑を掛けているのはアンタ達でしょうが。何を恩着せがましく。
そう口を突いて正論が飛び出しそうになったが、流石の射命丸もこれは不味いと思ったのか言葉を濁した。
ここは天狗社会という組織の中だ。組織の中では、正論は時として通用しない事を射命丸は学習していた。
鼻高天狗「……人間に人気の鴉天狗を広告塔としつつ、サッカーによる多種族との交流を促進していく。
そんな絵にかいた餅、青写真を天魔様がご納得されると思うか?
前の大天狗様にしろ、無理やりこうした政策をねじ込めたのは奇跡だったと言うのに。
―――今の大天狗様となっては、もうそんな奇跡は通用せんぞ。
特に、何一つ結果を出していない、『案外大したことない』幻想郷最速とやらのチームにはな」
『案外大したことない』のフレーズを口にした時、周囲の天狗達から笑い声が漏れた。
『射命丸って案外大したことなくね?』というフレーズは、
元々反権力指向で、その上人間や妖精ごときと慣れあう射命丸を嫌う者達の間で、
一時流行語として良く天狗達の内輪の新聞に用いられていたのだ。
射命丸は自分の顔が熱くなるのを自覚しつつ、黙って鼻高天狗の得意げな笑みを睨みつける。
鼻高天狗「――臨時査問委員会の意義は、お前のやってる蹴鞠ごっこのようなふざけた事業を、
柔軟かつ即座に廃止・見直しする事が出来る点にある。
今回はな、射命丸。貴様に選択権を与える為にこの場を開いてやったのだよ。
つまり。貴様のチーム――妖怪の山FCを不採算事業として大会終了後、即廃止するか。
それとも、事業自体は存続とするが、貴様がこれまでの不採算の全責任を負うかのどちらかをな」
射命丸「……それが選択? どこが選択って言うんですか。
チームを潰して、その後チームを潰した責任を私におっかぶせるか、
チームは潰さないけれど、これまでの責任を即座に私におっかぶせるかの違いでしか無いのでは?
どっちにしたって、貴方はなんやかんや策を弄して、私に責任を負わせる気しかないのでしょう!」
鼻高天狗「……流石に馬鹿ではないか。
貴様なら、この場の保身を考え、前者を選んでくれるのではないかと思ったのだがね」
404 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2015/05/05(火) 15:26:07 ID:???
射命丸「チームを潰すとなると、なぜ潰すのかの説明責任に問われます。
その時、貴方がたは高い地位を利用して、私に全てを説明させるのでしょう。
『チームがつぶれたのは、わたくし射命丸が無能だったからです。ごめんなさい』……ってね」
自身達のストーリーを容易く看破されたのか、天狗達は暫く押し黙ってしまった。
そして数分の後、鼻高天狗はつまらなさげに鼻を鳴らしてこう提案した。
鼻高天狗「……ならば、条件を変えようか。
私とて、サッカーチームが不採算で無いのなら無暗に責任を追及したり、廃止に動く道理もないのだ。
そして、サッカーチームを再三の取れた事業とするのなら、やはり実績――勝利が必要だ」
射命丸「…………」
射命丸は不敵な笑みを作りつつ、押し黙って、中年の鼻高天狗の話を聞く事にした。
彼はこう告げた。
鼻高天狗「……もしも、次の紅魔スカーレットムーンズとの試合に勝てば、今回の話を全く無かった事にしてやる。
幻想郷の一大勢力である紅魔館に勝利した結果を鑑みて、事業は効果があると、とりあえず当委員会で認定してやろう。
しかし、もしも敗北した場合は――先程の選択で言う後者を選ばせてやる」
射命丸「チームは存続する。しかし、私射命丸が敗北の全責任を負う……そういう事ですね」
鼻高天狗「不満か? 先程よりも随分と良い条件と思うが」
射命丸「不満かと言えば不満ですよ。だって、最初っからこの程度の条件を私に課すつもりだったのでしょう?
最初の無茶な選択は、交渉で良くあるドア・イン・ザ・フェイス。
私が選択の穴を論破する事を見据えた上で、『万一試合に勝利したら、今回の件を不問とする』
という本来の条件を取っておいたのでしょう。
上司に気を遣えない、出世も出来ない愚かな射命丸だったら、こうして条件を提示したら頷いてくれるに違いない……ってね」
405 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2015/05/05(火) 15:28:00 ID:???
再び室内がざわついた。とはいえそれは先程の無礼な口調に対する憤りでは無い。
部屋の連中はこぞって、自分達の目論見を一瞬で看破した、射命丸の明晰な頭脳と冷静な判断力に驚いていたのである。
射命丸は天狗社会での出世には興味は無かったが、決して無能な訳では無い。
むしろ、彼女さえその気になれば、今真正面で苛立たしげに鼻をこする小人の天狗をも出し抜き、
出世街道を突っ走る事すらあながち不可能では無いのだ。
射命丸「……まあ。とはいえ私は依然弱い立場です。これ以上の譲歩を引き出すのは難しいのでしょう。
――ですから、私はどの道この条件を呑むしかないんです。
だから今のは万年主任な私の、負け犬の遠吠えだと思っててください。
次長様課長様がたにこれ以上、無礼な発言をしてはいけませんからね」
鼻高天狗は何か言いたそうにしていたが、冷や汗を垂らしながらも気丈な射命丸の抗弁を前に、
最初のような高圧的な口調をする事が出来なくなっていた。
彼は射命丸が自身の条件――次の紅魔スカーレットムーンズとの試合に勝利すれば、チーム及び射命丸には手を出さない――
を呑んでくれた事で一応満足し、彼女を部屋から退室させた。
山伏天狗「……あれが射命丸文か。確かに、彼女は現体制にとって脅威だろうよ」
委員会の中で珍しく鼻高天狗で無い老人――新聞の印刷業をかつて管理していた山伏天狗の少丞はそう呟いた。
彼だけは『射命丸って案外大したことなくね?』というフレーズを聞いた時も、下卑た笑いを浮かべて居なかった。
山伏天狗「現状の権力に擦り寄らず、人間や妖精と言った、かつて我々が見下し侮っていた種族とも交流を深めている。
あの委員長や今の大天狗様のような保守派にとっては、射命丸文はさぞ不気味な存在だろうよ」
かつて守矢神社が山に建った事で、博麗の巫女が予告なく妖怪の山に立ち入った時、
かつての大天狗が、並み居る白狼天狗の剣豪や鼻高天狗の高級事務官を寄越さず、
万年主任の無能記者である筈の射命丸文をみずから指名して、監視と足止めに向かわせた事を彼は思い出す。
山伏天狗「(……結局の所、サッカーチームの低迷だとかは取ってつけた言い訳にすぎん。
今の無能な事務連中は、何としてでも自分達の秩序を乱しかねん射命丸文を消したいんじゃろうな)」
406 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2015/05/05(火) 15:34:35 ID:???
彼の見込みは概ね当たっていた。しかし彼はひとつ勘違いをしていた。
鼻高天狗や今の大天狗が、異様な存在感を放つ射命丸を排除したいと考えていたのは間違いない。
しかし、射命丸は彼が思っているよりも素晴らしい人物では無かった。つまり……。
射命丸「(まずいわね……このままでは。全責任を負うとなると、私はきっと――追放となる。そうなったら、私は……)」
――先の委員会の場にて、射命丸は気丈に振る舞っていた。それは間違いなく彼女の器量と才能だった。
しかし同時に彼女は超人では無い。組織から完全に見放される事に対して不安を覚えていない訳が無かった。
ただ、吐き気がする程無能な奴らに土下座をしてまで、命乞いをする気にはなれなかったのである。
有能な大物の仮面を外した先にある彼女は、案外大して強くなかった。
射命丸「(はたてや椛に相談――は、やっぱり出来ない。
私がどうにかして、レミリア・スカーレットに勝利し。そして、チームも試合に勝てるようにしないと……)」
そして悪いことに、射命丸はプライドの高い天狗達の中でも取り分けプライドが高い。
だから、今回の件について、友人に相談する事すら出来なかった――いや、相談するという発想が無かった。
そのため、彼女は悶々とした一日を過ごす事となり。
そして――射命丸の運命を左右する試合開始が、今彼女の眼前へと迫っていた。
407 :
森崎名無しさん
:2015/05/05(火) 15:41:07 ID:???
>『射命丸って案外大したことなくね?』
ひゅいぃぃ…これで笑ってたのって私たちのことじゃん…ごめんねぇ…
408 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2015/05/05(火) 15:44:50 ID:???
……と、言った所で一旦ここまで。
次は漸くスカーレットムーンズとの試合の中身に移っていきたいと思います。
>>389
射命丸についてはどうなるか、何となくは考えていますね。乙ロットありがとうございます。
>>390
乙ありがとうございます。射命丸は妖夢よりは芯が強いと思いますので、聖徳チーム行きは多分大丈夫です。
>>392
乙ありがとうございます。前々の選択で、一応射命丸の問題に絡めるチャンスはありはしましたね。
(レミリアから)三失点以内なら出来るかもです。
>>394
チームが低迷しているというのは建前で、実際は厄介な射命丸を消したいと考えていたのでしょうね。
>>396
早苗さんで良かったです(ダイヤ、スペード、クラブAを見ながら)
姫様と射命丸の組み合わせは面白そうですが何か大変な事が起きそうですねw
それでは、一旦失礼いたします。
409 :
森崎名無しさん
:2015/05/05(火) 15:45:46 ID:???
妖夢「追放は最高なんですよ…」
矢車「みんなで歩いて行こう、ゴールのない暗闇の中を」
射命丸「あなたたちだけですよ、私のことを大事にしてくれるのは…」
やっぱり話の流れ的にはミサキーヌよりこっちの方かな?乙です
410 :
森崎名無しさん
:2015/05/05(火) 21:30:15 ID:???
射命丸が追放されそうなのも鈴仙って奴の仕業なんだ
411 :
森崎名無しさん
:2015/05/05(火) 23:00:51 ID:???
レヴィン「シャメイマルさんだね? 最速ドリブルを破壊に使わなかった、君が悪いのさ」
射命丸「あやや!? 追放された私に声をかけるのは貴方ぐらいですよ」
レヴィン「ソニックブームって知っているかい? 音速を超えた風はあらゆるものを破壊できる」
射命丸「あやや! コスモストライカーという漫画に載っていた、伝説のドリブルですね」
レヴィン「そういうことさ。僕についてくれば、君ならマスターできるはずだ。嘲笑した世界など、破壊してしまえばいい!」
射命丸「…ふふふ、追放されて全て失った私にはふさわしい。レヴィンさん、私も破壊神になります!」
レヴィン「さすがは物分かりがいい方だ。アヤさん、二人で世界を破壊しまくろう!」
射命丸「ステファンさん、死ぬ気でしごいてください!」
射命丸「あやや〜、案外大したことはないと抜かしましたね〜。ステファンさん、ソニックブームで破壊しましょう!」
レヴィン「了解。アヤさん、僕達の全力で破壊するぞ!」
射命丸・レヴィン「「これでジェノサイト、破壊神! ツインソニックブーム発動!」」
下手にクラブAを引いてこうなったらどうしよう…((((;゜Д゜)))
412 :
森崎名無しさん
:2015/05/05(火) 23:07:38 ID:???
ミサキーヌか、地獄兄弟か、破壊神あややか
ろくな選択肢しかないのも鈴仙って奴の仕業なんだ
413 :
森崎名無しさん
:2015/05/05(火) 23:08:09 ID:???
おのれ鈴仙
414 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2015/05/05(火) 23:59:27 ID:???
すみません、今日はもう少し更新したかったのですが、
付き合いでのアルコールが中々抜けないものでして、更新を休ませていただきます。
代わりに、また明日更新出来ればと思っています。
>>409
乙ありがとうございます。射命丸が最終的にどうなるかはなんとなく決めてありますね。
>>411
復讐の破壊神化するのも面白そうですが、多分大丈夫ですw
それでは、皆さま、本日もお疲れ様でした。
415 :
森崎名無しさん
:2015/05/06(水) 01:15:37 ID:???
>>411
_____
. __`ヽ ,トr,' ´ ,.へ,
. ,イ,ィ'⌒"゙f''ト、!ヽ, ィ゙ ./ , _-_‐_‐ - 、
バ, k,ゝ└ト、└ ''゙ ,ス ´''~ .`Y \
j、 ` ーク'ー-‐ぅ7',´ ,ノf⌒ヽ, ___ ,ノ 〉
.f`'`ー-R,,__ `'<,グ. ゝ、 . /
| 、 `' .、 `" ''''''''''' "´
', . ',__ ゙Y
', | ', .|
,r''゙~ 〉 . い |
,rァ弋 _,ァ-‐'゙ `'i"~i!
ぃ_f_⌒"´. ,ト、入_
`'.ー┘. └┴‐‐`'
416 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2015/05/06(水) 17:33:54 ID:???
−妖怪の山・モリヤスタジアム−
レミリア「……さて。死ぬ準備はできたか、天狗?」
射命丸「…………」
レミリア「って、アレ? 元気ないわね。どうかした?」
射命丸「……何でもありませんよ。貴女には関係の無い事です」
レミリア「ふーん。ま、別に良いけどさ」
――射命丸が天狗の上官連中からの詰問を受けたその翌々日。
とうとう全幻想郷選抜大会第一回戦第三試合、
妖怪の山FC対紅魔スカーレットムーンズ戦の幕が開こうとしていた。
フィールドには既に多数の観客がごった返しており、
その中には射命丸に辛辣な言葉を投げかけていたあの鼻高天狗の姿もあった。
射命丸「(あいつ。私達が負けると踏んで、高みの見物に来たわね……。
ふん。普段はサッカーなんて、これっぽっちも興味が無い癖に)」
実況「さあ! 間もなくキックオフとなり、両チームのキャプテンがにらみ合っています!
妖怪の山に住まう天狗や河童、厄神やその他諸々の種族が集まった妖怪の山FCは、
紅魔館の悪魔に魔女、下っ端メイドや門番達が結束した紅魔スカーレットムーンズに、どう立ち向かうのでしょうか!」
観客「ワアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!」
審判「……コイントスを」
射命丸「ええ。……分かりましたよ」
417 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2015/05/06(水) 17:35:17 ID:???
観客席が盛り上がり、審判はコイントスを促す。
射命丸はそれらを苛立たしげに一瞥すると、一歩上がってセンターサークルの中央に立つ。
視線が一斉に射命丸に集まると、心ならずも冷や汗が流れる。射命丸はぎゅっと瞳を閉じて、祈るようにコインを投げた。
椛「(なんか、いつもの文さんじゃないような……)」
はたて「(――文。もしかして、緊張してるの……?)」
そんな様子は、普段から何事にも物怖じしない彼女らしくなかった。
一部のチームメイトは、明らかに様子のおかしい射命丸の様子に強い違和感を覚えるが、
悠長に話をしている暇は、もはや残されていなかった。
―――ピィイイイイイイイイイイイイイイイッ!!
そして、試合は始まった。先攻権を得たのは幸先の悪い事に紅魔スカーレットムーンズ。
先日の試合に引き続き、魔法で喘息による時間制限を克服したパチュリーがトップ下に置かれ、
CFにはフランドールとレミリアの超強力布陣が敷かれている。
そんなスカーレットムーンズを迎える妖怪の山FCは4−3−3の布陣で臨んでおり、
必然と、前線でボールを持ったレミリアをFWの椛と反町とで迎え撃つ事となるが――。
418 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2015/05/06(水) 17:36:37 ID:???
−−@−− @にとり
C−B−A C河童 B穣子 A河童
−−D−− D静葉
G−−−E G雛 E天狗
−−I−− Iはたて
−−−−−
F−−−− F射命丸
−−H−J H椛 J反町
妖怪の山FC:4−3ー3
紅魔スカーレットムーンズ:4−4−2
−H−J− Hフラン Jレミリア
−−−−−
−I−G− Iパチュリー
−−−−−
−E−F− E咲夜 F小悪魔
−DBA−
−−C−− C美鈴
−−@−− @陸
レミリア「遅い!」
ドガッ! ドガガガガガガッ!!
椛「そ、そんなー!?」
反町「ぐ、ぐわぁぁぁっ!!(なんだこのドリブル!? まるで、西ドイツのシュナイダーみたいじゃないか……!!)」
ファーストプレイは、完全にレミリアの圧勝だった。
椛と反町のタックルでは、レミリアの三拍子で繰り出されるダイナミックなドリブル――『スカーレットマーチ』に為す術も無い。
二人とも実力を出すよりも先に、大きくフィールド上に身体を叩きつけられる。
419 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2015/05/06(水) 17:38:06 ID:???
射命丸「く、くうっ!」
シュバッ!
レミリア「おや。あんたが積極的にプレスに来るなんて珍しい。でもね……」
バシッ……。
パチュリー「――これは僥倖。厄介なWGが釣り出せたわね。 ――フランっ!」
グワァァァッ、バゴオオオオッ!!
射命丸「し、しまった! 私とした事が……!」
前線が早々に突破された事に焦った射命丸は、
思わず持ち場の左サイドを離れて、レミリアによる中央突破を防ぐべくタックルに向かう。
しかしこれは明らかな失策。レミリアは悠然と後方のパチュリーへとバックパスをすると、
パチュリーは射命丸が空いた左サイドのスペースへとロングパスを撃ちこむ。
そこにはフランドールがしっかりと位置取りをしていた。
パシッ。
フラン「ありがと、パチェ!」
はたて「あー、もう! 文ったら先走っちゃって……! ええいっ! 『スピードタックル』よ!」
ギュンッ! ズザアアアアアアアアアアアアアッ!!
雛「……私も手伝うわ。――創符・『ペインフロー』ッ!!」
ゴオオッ、ズザアアアアアッ!!
420 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2015/05/06(水) 17:39:33 ID:???
フラン「……なにさ、そのくらい! 『過去を刻む時計』で、グチャグチャにしてあげる!」
グルンッ……! ダッ! ……バチイイッ!
前線を易々と突破された妖怪の山FCの中盤、
トップ下のはたてと左サイドハーフの雛が、それぞれの必殺タックルを武器にフランドールへと詰め寄る。
フランドールは必殺ドリブルで彼女達を躱そうとするが、はたてと雛も決して実力の低い選手では無かった。
二対一でのタックルは、フランドールのドリブルコースを阻めて一旦はボールを零す事に成功するが――。
コロコロコロ……パシッ。
咲夜「妹様、もう一度お繋ぎいたします!」
射命丸「……!(――咲夜さんにボールを取られた!
もしも私が焦っていなければ、彼女の代わりにフォロー出来ていたのに……!)」
ここで射命丸の焦りが完全に裏目と出てしまう。射命丸はボールをフォローできず、
代わりに少し上がり目の位置に居た、紅魔スカーレットムーンズのボランチである咲夜にボールをフォローされてしまった。
咲夜はタックルに向かった椛を自慢の『ザ・ワールド』で軽く受け流すと、
パチュリーを経由して、再びボールをフランドールへと渡す。
さしものはたても、幻想郷トップレベルのパチュリーのパスは素通しせざるを得なかった。
フラン「ふう。ありがとね、咲夜! それじゃあさっそく……!」
グワァァァァァァァァァァァッ!
フラン「みんなこわれちゃえ!! ――『スターボウブレイク』ーーーッ!」
バッ……ゴオオン! ドゴオオオオオオオオオオオオオオオオッ……!!
421 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2015/05/06(水) 17:40:51 ID:???
にとり「ひゅ、ひゅいいいいっ! き、来たぁぁぁぁぁ!! の、『のびーるアーム・改』!!」
ウィィィ〜……ン。 ガチャッ……。
穣子「お、お姉ちゃん!?」
静葉「ええ。『オータムスカイラブブロック』ね!」
ガシッ! バァァァァァァァァァァァァァン!!
穣子「秋よ〜〜〜〜! 遠き秋よ〜〜〜〜! ま〜ぶ〜た〜! と〜じれば〜そ〜こに〜〜〜!!」
最初にシュートに出たのは、紅魔スカーレットムーンズのフランドール。
持ち前の強烈なキック力を生かした弾丸シュート・『スターボウブレイク』で
にとりや穣子、他の河童たちが全力で守るゴールをこじ開けようとする。
あまりにまっすぐ過ぎるフランドールのシュートに対し、妖怪の山FCの守備陣も奮戦するのではないか。
射命丸はそう一縷の望みを託したりもしていたが――現実は残酷だった。
ゴオオオッ……! ドガンッ! ドゴバギグシャッ!!
穣子「そ、そういや今ってもう秋だったーー!?」(※このスレの時間軸では今は10月です)
河童A「……だ、駄目……!!」
にとり「お、おいいいいっ!? まだ試合開始直後だよ!! そんなイキナリ失点するわけがな――!」
ドゴオオオン!!
にとり「ひゅひゃぁぁぁぁぁぁ〜〜〜っ!?」
―――ズバァァッ、バギバギバギ、メリィイッ!!
……ピピィイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイッ!!
422 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2015/05/06(水) 17:42:16 ID:???
フランドールの恐るべき脚力から放たれたシュートに、妖怪の山FCの最終ラインは一瞬で瓦解。
勢いを付けてブロックに飛んだ穣子は弾き飛ばされ、河童Aは得意の『ダイビングブロック』すらできずに吹き飛び、
ゴールキーパーのにとりは自慢の『のびーるアーム』ごと、シュートの威力を受けて水平に吹っ飛んで、
ボールと一緒に仲良くゴールネットを突き破ってから、コンクリート製のフェンスにめり込んでしまう。
フラン「やった〜〜〜!! ゴールだっ!」
射命丸「(そんな……。まだ試合開始から5分と経っていないのに。このままでは、私はやはり追放……)」
躊躇い無く審判から鳴らされるホイッスルを聞き、飛び上がって喜びを表現するフランドール。
絶望の表情で、深々とフェンスに突き刺さったボールとにとりを眺める射命丸。
妖怪の山FCの凌辱試合の幕開けとしては、相応しい状況だった。
そして、射命丸にとっても、ここからが本当の地獄だった。
射命丸「何ですか1点くらい! 幻想郷最速の脚で、ゴールを奪ってすぐに返してみせ――」
タッ……!
咲夜「……る、訳には行きませんわ。 こちらも仕事ですので。 ――食らいなさい、『幻惑ミスディレクション』!!」
ギュンッ! ズッ、ズザァァァッ! バシュゴォォォォォォッ!! ――バチイイイッ!!
射命丸「なっ……!(馬鹿な……! 咲夜さんは確かにタックルの名手でしたが、一対一なら私の方が有利だった筈なのに……!)」
咲夜「随分驚きのようだけど。私だって、少しは練習していたのよ。――これ以上、お嬢様の顔に泥を塗らせないようにね」
射命丸が自慢としていた幻想郷最速のドリブルは、以前までの輝きを見せては居なかった。
永遠亭ルナティックス、そして先の聖徳ホウリューズとの敗戦を経て、
紅魔スカーレットムーンズもまた、その実力を大きく向上させていた。
射命丸のドリブルは、幾度となくボランチを務める紅魔館のメイド長・十六夜咲夜のタックルに阻まれてしまう。
423 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2015/05/06(水) 17:44:22 ID:???
射命丸「はぁ、はぁ……!!」
反町「射命丸さん……! ここは一旦俺に! 『トリカブトパス』で折り返します!」
そんな様子を見るにみかねた反町が、言いたい事をハッキリと言ってまで射命丸の援護を申し出るも――。
射命丸「……いえ。紅魔にはパスカットの名手のパチュリーさんが居ます。
反町君の必殺パスでも、容易く阻まれるのがオチでしょう。だから、ここは私が――!!」
タッ!
反町「ああっ……!(――た、確かに普通の局面だったらそうかもしれないけど。
射命丸さん、あんなに飛ばしていて、大丈夫なのか……? 体力、持つのか……!?)」
射命丸「(……私は、結局弱い。あれだけ普段偉そうに振る舞っておきながら、
いざ組織から追い出される段になると、焦りと恐怖が止まらない……!!)」
射命丸の内心は既に飽和状態であり、反町の言葉を聞く猶予すらなかった。
そして、そんな射命丸の焦りに追い打ちを掛けるように――。
メイド妖精D「み、みんなー! 私達の決死のタックル、天狗にも見せつけるのよーー!」
メイド妖精B「お、おーう!!」
メイド妖精A「メイド特攻……!!」
タッ、タッ、タッ……。
射命丸「(囲まれた!?)――じゃ、邪魔です! さっさと通させて貰い……」
424 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2015/05/06(水) 17:45:38 ID:???
メイド妖精「「「――ス ラ イ デ ィ ン グ 部 隊ーー!!」」」
ズザアッ、ズザアッ、ズザアッ、 ――ズザァァァァアアアアアアアアアアアアアッ!!
射命丸「(えっ、嘘! 早い……!?)――きゃぁぁっ!?」
バギイイイイイッ! ―――バシイッ!!
メイド妖精A「……あ、あれっ!? ボールが私達の手元に……?」
メイド妖精B「わ、私達、もしかして………!」
メイド妖精D「天狗さんに、勝っちゃった……!?」
実況「あ……あ〜〜〜〜!! これは妖精メイド達、お手柄だ!!
何と幻想郷最速と名高い射命丸選手のドリブルを……何と、スライディングタックルで完全に奪ってみせました〜〜!!
これは素晴らしい大物狩り!! 射命丸選手、ここは油断したか〜〜〜!?」
美鈴「や、やったあ! ナイスですよ、皆!!」
陸「アイヤー、何アルか。幻想郷最速ってのも、案外大したことないアルね」
――幻想郷屈指のタックラーである咲夜ですら無く。
名もなき妖精メイドにすら、得意のドリブルが破られてしまった。
実況が驚きに満ち溢れ、メイド妖精達が自身の途轍もないファインプレーに、試合中である事も忘れて抱き合い喜び、
紅魔スカーレットムーンズの最終ライン――DFの美鈴とGKの陸は安堵の溜息をもらす。
425 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2015/05/06(水) 17:46:46 ID:???
……そして、陸が何の悪意も無く呟いた『案外大したことない』というフレーズ。
それを、一部の悪意ある観客も同時に呟いていた。
無論、妖精に足元を取られて、無様に転がってしまう射命丸に対してである。
誰かがこう言った。
観客「……射命丸って、案外大したことなくね?」
そのつぶやきは、大雨の前に空から零れる水滴の如く小さかった。
しかし、それは誰の何の意図も無く、少しずつ伝播していく。
「射命丸って案外大したことなくね?」「射命丸って……案外大したことなくね?」「射命丸って案外大したことなくね!」
「――射命丸って案外大したことなくね!?」「射命丸って、案外――大したこと、なくね?」「射命丸って案外大したことなくね?」
射命丸「……やめろォ」
その反対に、射命丸が顔を伏せながら呟いた拒否の意志は伝わらない。
そうしている内に、観客席中から妖怪の山FCに対する大ブーイングとともに、
あのフレーズは嵐の如く射命丸に対して叩きつけられる事となった。
「ブウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウ!!」
「射命丸って案外大したことなくね?」「射命丸って案外大したことなくね?」「射命丸って案外大したことなくね?」
「射命丸って案外大したことなくね?」「射命丸って案外大したことなくね?」「射命丸って案外大したことなくね?」
「射命丸って案外大したことなくね?」「射命丸って案外大したことなくね?」「射命丸って案外大したことなくね?」
「射命丸って案外大したことなくね?」「射命丸って案外大したことなくね?」「射命丸って案外大したことなくね?」
「射命丸って案外大したことなくね?」「射命丸って案外大したことなくね?」「射命丸って案外大したことなくね?」
「射命丸って案外大したことなくね?」「射命丸って案外大したことなくね?」「射命丸って案外大したことなくね?」
「射命丸って案外大したことなくね?」「射命丸って案外大したことなくね?」「射命丸って案外大したことなくね?」
「射命丸って案外大したことなくね?」「射命丸って案外大したことなくね?」「射命丸って案外大したことなくね?」
射命丸「やめろ……やめろ……やめろォ………!!」
426 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2015/05/06(水) 17:48:23 ID:???
容赦なく叩き付けられる、統一されたワンフレーズ。射命丸は今の自分がどんな顔をしているか、知りたくなかった。
知りたくなかったから、立ち上がって、馬鹿のようにボールへと追いすがっていった。
試合はまだ前半15分。試合終了まで55分以上も残されている事を、射命丸は考えないように努力した。
試合はもっと最悪だった。
前半15分の時点で、レミリアが『マスターオブレッドサン』をにとりから決めており2−0となっていたが、
射命丸が妖精メイドから奪われたボールがパチュリー経由でフランドールへと渡っていた。
低い浮き球を受けたフランドールは、かつてにとりを観客席へと吹っ飛ばした『495年の波紋』を放ち。
それは当然穣子や河童Aを巻き込みつつ、にとりを再び観客席へと招待して、前半18分で3−0。
射命丸の精神的、肉体的疲労著しいと判断した副キャプテンのはたてはそこから、
自分と反町、椛を中心に試合を展開させようとした。
この作戦は暫くの時間を稼ぐ事には成功するが、最終的には彼女達の力不足が目立った。
パチュリーはおろか、レミリアのパスカットにすら耐えられずボールを渡してしまい、
そこからレミリアが単騎でドリブル突破し、一対一でにとりをゴールごとふっとばし、前半23分で4−0。
そして――。
フラン「よーし! 前半でハットトリック決めちゃうんだから! 喰らえっ、『スターボウブレーイク』!!」
グワァァァッ、バゴオオオオオオンッ!
にとり「ち、ちっくしょ〜〜! そう何度もやられてたまるか〜〜〜〜!!」
ガチャッ、ウィィィ〜〜〜ン! ――バギイイッ!!
フラン「あっ! そ、そんなぁ〜!」
427 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2015/05/06(水) 17:51:35 ID:???
試合は前半ロスタイム。反町達の地味な奮闘もあり、試合は4−0のまま何とか持ちこたえていたが――。
しかし、フランドールの鋭いパワータックル――『レーヴァティン』が発動し、ボールは再びスカーレットムーンズに。
油断したか、それとも余裕か。フランドールはそのまま、30メートルの距離からロングシュートを敢行し。
もはや普通にキャッチする事を諦めたにとりは、愛用の機械を威力減衰用の盾として、
自分の腹でボールを受け止める事を決意する。その作戦は功を奏し、フランドールのシュートは高空へと打ち上げられた。
にとり「はぁ、はぁ……! よっし。どうだ……! 守ったぞォ……!!」
にとりは勇気を出した作戦が成功した事を息を荒げながら喜ぶ。
腹は内臓が全てグチャグチャになったかのように痛かったが、それでも達成感があった。
後半戦がまだ残されている事を一旦忘れ、にとりは晴れ晴れと秋空を見上げた。
レミリア「――大した度胸だ。河童は概して臆病者と聞いていたが、あんたは例外みたいね。
どう? 良かったらウチの家来にならない? 今なら世界の半分でもくれてやるけど」
にとり「……ひゅ、い」
――そこには、昼であるにも関わらず、夜の帝王が空中に鎮座していた。
彼女はオーバーヘッドキックの体勢で、にとりの鼻先にあったボールを今まさに捉えんとしていた。
レミリア「……あ。でも今はホフゴブリンを雇ったから人手過多なんだっけ。じゃあいいや」
グワァァァッ……!!
空中であるにも関わらず、レミリアは見事なバランス感覚で大きくその右脚を振り抜いた。
それは、まさしくあの『マスターオブレッドサン』だった。
ただ一つ違ったのは、そのシュートが空中にある分威力が増幅されていた事くらいだった。
レミリアは勇気ある河童を称え、全力での処刑を行った。
428 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2015/05/06(水) 17:53:17 ID:???
レミリア「――『バイシクル・レッドサン』!!!!」
カ ッ !!
ドゴオオオオオオオオオオオオオオン!!バギイイイイイイイイイイイイイイッ!!
――ズバァァァッ!
ピピィイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイッ!!!
……ピッ、ピッ。 ――ピィイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイッ!!!
射命丸「……………あはは。こりゃあ確かに……案外……大したことない……ですな」
前半終了を告げるホイッスルの音は、今の射命丸にとってはむしろ癒しだった。
彼女は公然と泣きながら、レミリアがフィールドに穿った特大のクレーターをポカンと見つめていた。
紅魔スカーレットムーンズ 5 − 0 妖怪の山FC 前半終了!
429 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2015/05/06(水) 17:54:42 ID:???
大会得点ランキング(表記はメインキャラのみ):
12ゴール レミリア
11ゴール 鈴仙
8ゴール フランドール
7ゴール 勇儀
6ゴール 来生、射命丸
5ゴール 魔理沙、屠自古、星、諏訪子
4ゴール 森崎、神子
3ゴール 早苗、霊夢、反町、謎の向日葵仮面
2ゴール 神奈子、ピエール、メルラン、天子、赤蛮奇、空、佳歩
1ゴール 妹紅、咲夜、美鈴、サニー、リリーB、ぬえ、響子、永琳
影狼、藍、幽々子、幽香、針妙丸、パチュリー、小田、椛、岬
大会アシストランキング(表記はメインキャラのみ):
6アシスト パチュリー
5アシスト 霊夢
4アシスト てゐ、神子
3アシスト 早苗、ピエール、小町、小悪魔、マミゾウ
2アシスト 森崎、反町、はたて、岬、空、お燐、ウサギB
1アシスト 鈴仙、影狼、大妖精、橙、諏訪子、アリス、レミリア、
衣玖、針妙丸、リリーW、ルナサ、ぬえ、永琳、妹紅
430 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2015/05/06(水) 17:55:58 ID:???
……と、言ったところで一旦ここまでです。
後半は妖怪の山FCのターン! ……に、なると思います(汗)
431 :
森崎名無しさん
:2015/05/06(水) 19:03:53 ID:???
これはむごい…さあ、助っ人の謎のキックホッパーの出番だ
432 :
森崎名無しさん
:2015/05/06(水) 19:34:34 ID:???
破壊神あやや&レヴィン降臨か、魔王反町降臨しか勝ち目無さそうじゃね?
433 :
森崎名無しさん
:2015/05/06(水) 19:39:01 ID:???
にとり「もうだめだ、おしまいだぁ…!」
434 :
森崎名無しさん
:2015/05/06(水) 20:08:01 ID:???
これ試合終了じゃなくて前半終了なのか
435 :
森崎名無しさん
:2015/05/06(水) 20:47:52 ID:???
組織から追放、ZECTから追放された影山がなんとなく思い浮かぶ
436 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2015/05/06(水) 23:49:02 ID:???
−妖怪の山FC 控室−
はたて「にとりの調子はどう……?」
雛「――取りあえず、医務室の酸素カプセルに入って貰ってるわ。
ひどく吹っ飛ばされてるけれど、目立った外傷は無かったから、後半には無傷で復帰できると思う」
穣子「ひどいシュートだよねー、もう。嫌になっちゃうよ!」
――前半を0−5の圧倒的劣勢で折り返す事となった妖怪の山FC。
そのハーフタイム中の控室は凄惨たるものだった。
にとりを始めとする守備陣は、試合に支障が無いとはいえ、
レミリアやフランドールのシュートにより精神的に大きな痛手を負っており。
椛「強いですね。紅魔スカーレットムーンズ……」
はたて「うん。……正直、私の予想以上だった。8月の試合の時より、全体的にかなり実力が上がってた。
それも新シュートを引っ提げたレミリア・スカーレットや、
前後半通して動けるようになったパチュリー・ノーレッジだけじゃない。
メイド長に門番に小悪魔に、それこそメイド妖精まで含むような、全選手が強くなってた」
反町「(まるで、世界が違った。俺が強くなっても、やっぱり上は圧倒的過ぎた……!)」
また、はたてや椛や反町、雛や静葉と言ったFW・MF達も、
同じポジションの選手としての、レミリアやパチュリー、咲夜達の大きな力量差を実感していた。
打開策は、どこにも無いように思えた。
437 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2015/05/06(水) 23:50:04 ID:???
はたて「(それにしても……)」
とりわけ。
はたて「(――文のヤツ。一体どこをほっつき歩いてんのよ……。もうすぐ、後半が始まっちゃうじゃない)」
――妖怪の山のキャプテンにして、唯一この絶望的状況を打破してくれる存在が、
ハーフタイム直後から姿をくらましている事が、チームメイト達の士気をことさらに下げていた。
***
−妖怪の山スタジアム 廊下−
射命丸「…………」
射命丸は、紅魔スカーレットムーンズの控室前の廊下をうろうろと歩いていた。
ミニスカートの小さいポケットに手を突っ込んで、所在無げにさまよう姿は極秘取材を想起させる。
しかし、射命丸が考えていた事は違っていた。彼女のポケットの中には一包の薬品があった。
射命丸「(――この私が、通りすがった天邪鬼ごときの甘言に乗ってしまうなんて……!)」
チームメンバーに合わせる顔が無く、だからと言って全てを投げ出して逃げ出す勇気も無く。
ハーフタイムになると、射命丸は控室に入らず「外の空気を吸いたい」と、フィールド周辺をぶらついていた。
その時、彼女は人里でちょっとした騒ぎを起こしているらしい天邪鬼の少女と出会った。
彼女は妖怪の山の幹部連中以上に下卑た笑顔を湛え、射命丸にこう言ってのけた。
天邪鬼「へへへ。天狗サマとあろう者が『案外大したことない』とは、大変でしたなぁ〜。
これはお悔しい! 私はね、貴女のような有能な方がこうした辱めを受けるのが、本当に耐えられないんです!
貴女こそ、本来天狗社会の上に立つべき方! そう! 今こそ下剋上の時なのです!」
その少女は矢印をあしらったスカートをはためかせ、白いブラウスの胸についた青いリボンを揺らし、
あくまで当人なりに清楚さと可愛らしさを演出しているようだった。
……そのあまりに邪悪な表情のせいで、騙される者はどこにも居ないようだったが。
438 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2015/05/06(水) 23:51:38 ID:???
射命丸「貴女は……知っています。レジスタンスを装い、各地で人妖問わず破壊工作を行っている天邪鬼。
鬼人正邪ですね。――だとしたら退きなさい、下衆が。
私は確かに案外大した事ないですが、貴様のような者の言う事を聞く程、落ちぶれてはいないわ」
正邪「まあまあ。こっちは何か命令をしようと思って、こう話しかけた訳ではありませんよ!
ただね、有能過ぎるが故に上司に干されてるかわいそーな天狗様に、一つプレゼントを贈ろうとしただけです」
現に、射命丸にその悪名が轟いている事を看破された天邪鬼――鬼人正邪も、
射命丸を騙せなくて残念そうにしている様子では無かった。
現に、彼女はこれ以上交渉する気も無く、射命丸の手に無理やり錠剤を押し付けると、そのまま去っていったのである。
去り際に、素の乱暴で粗雑な口調で、その錠剤に関する説明を行いながら。
正邪「へへ。それはね、私が永遠亭ってトコからくすねて来た、一級品の下剤だよ。
本当は永遠亭の薬剤管理のずさんさについて、マスコミにチクろうと思って持ってたんだけど、それ使いなよ。
スカーレットムーンズの、あのケンジャケンジャ偉そうな、何故か下剤が似合うあのもやし女にでもさ!
魔法使いでも関係ない、きっと一発でトイレが恋しくなっちゃうよ。
ほら、困ってるんだろ? 同期の鼻高天狗に『幻想郷最速が聞いてあきれる』とか、
『案外大したことない』とかバカにされてさ、追放までチラ付かされて……!」
射命丸「……こいつ! 何故そこまで知って――!」
射命丸が下剤を片手に振り向いた時、既に正邪の姿は消えていた。
何の背景も無い筈のチンピラ妖怪如きが、何故天狗の集落の臨時査問委員会を――。
いや、委員会の開催と射命丸への処遇案については、多くの天狗の新聞で取り上げられている。
射命丸「(だけど。――何故……私とあの気に食わない鼻高天狗とが同期である事を。
そしてしかも、非公開の会議録を見ないと分からないような情報を知っているの……!?)」
射命丸は天邪鬼への怒りと得も知れぬ不安感を覚えていた。
その上、それから数分後。――そんな外道で信用ならない天邪鬼から託された下剤を手に、
自然と足が紅魔スカーレットムーンズの控室へと向かっていた自分自身に、射命丸はひどく戦慄していた。
439 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2015/05/06(水) 23:53:24 ID:???
射命丸「(普段の私なら、あんな外道から渡されたもの、一つ残らず消し炭にしていたのに……!)」
――射命丸は、愛おしげにポケット内の丸薬を撫でている自分が心底嫌だった。
結局彼女は鬼人正邪を外道と罵っておきながら、
その外道から託された一発逆転のチャンスに恋焦がれているのだ。
射命丸「(……確かに、パチュリーさんを封じ込めるという戦法は利にかなっている)」
スカーレットムーンズの脅威と言えばレミリアとフランドールだが、彼女達二人はこの前半戦で飛ばし過ぎた。
恐らく後半は暫く温存しつつ、中盤の要であるパチュリーを攻めにも積極的に登用してくる可能性が高い。
また、そうでなくても、パチュリーさえいなくなれば、レミリアやフランドールにボールが渡る確率も減る。
将を射止めんとするならばまず馬から。
パチュリー・ノーレッジは間違いなく、レミリア・スカーレットという規格外の大将を唯一御す事の出来る名馬。
射命丸はこの時図らずも、如何にしてパチュリーに下剤を飲ませるかという事に執心していた。
射命丸「(かつての取材記録によると、パチュリーさんはハーフタイム中、
家来の小悪魔に必ずと言って良いほど
メローイエロー
を買って来るよう命令していたとか。
だったら、小悪魔さんを何らかの手段で脅して、飲み物に砕いた下剤を混入すれば――!)」
射命丸はおもむろに、胸ポケットのネタ帳を取り出して小悪魔を騙す脅迫状を書いてみる。
自分に足が付く事を恐れた射命丸は、そういえば先日はたてが紅魔館に取材に行っていた事を思い出しながら、
こんな一連の文章を書いた。
440 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2015/05/06(水) 23:54:59 ID:???
〜小悪魔へ〜
先日は貴重な情報ありがとう。
今日は私も絶対負けられない試合なの。それは前も言ったわよね?
そこで小悪魔ちゃんにお願いがあるの。
できる限り、今日の試合でパチュリーさんの足を引っ張って欲しい。
小悪魔もパチュリーさんに無理をさせて喘息を悪化させるより、
今日の試合でスッパリサッカーを諦めて普通に付き合ってほしいわよね?
何より、先日の話をケチ臭いパチュリーさんが知ったらどう思うかしら・・・
それじゃあよろしくネ!
姫海棠 はたて
射命丸「……うむ。これぞ我が新スキル・『パチュリー殺し』。
これを使えばきっと後半戦の難易度もルナティックからハード位にはなるわね。
はたてにはちょっと申し訳ないけれど――」
はたて「だーれに申し訳がないって?」
射命丸「ひゅいいっ!?」
――そして射命丸は、脅迫状を書くのに必死で、
すぐ近くに来ていたツインテールの少女の存在に全く気が付かなかった。
勝手に偽の脅迫状をねつ造されかかった姫海棠はたて本人が、射命丸を探しに来ていたのである。
射命丸「あ、あややややや!! これは奇遇ですねはたて。貴女も外の空気を吸ってたのですか!?」
はたて「……外って、ここ別に廊下じゃない。あんたこそ何してたのよ。
キャプテンの癖にハーフタイムのミーティングサボって。敵チームの状況でも、今更嗅ぎまわろうとしてたの?」
射命丸「あー。えーっと。いえ。はい。そうですね。そんなところですね!」
441 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2015/05/06(水) 23:56:42 ID:???
慌てて取り繕う射命丸の姿は、それはそれではたてにとって珍しい物ではあったが。
はたての興味は射命丸の態度では無く、その片手に書かれたネタ帳に移っていた。
はたて「ま。いいや。それで何か分かったのー?」
バシッ!
射命丸「あっ! こら、はたて! 人のネタ帳を勝手に覗き見するのは犯罪ですよっ!!」
はたて「いいじゃんいいじゃん。情報交換ってヤツよ。何だったら今度、私のだって見ても良いし……って。えっ?」
はたては無遠慮にも射命丸からネタ帳をぶんだくる。
それ自体は普段はたてがやっている(射命丸の方がもっとやっている)行為であったが、
今の余裕の無い射命丸は、全く無警戒だった。……はたての名義で書こうとしていた脅迫状も含めて。
はたて「ちょっとー。全然何もないじゃん……、って。あっ! この脅迫状ってヤツが弱点!?
えーと、なになに。小悪魔へ。先日は貴重な情報ありがとう………」
射命丸「あっ……ちょ、それはダメです……!」
はたては途中まで音読していたが、その本旨が書かれているあたりから次第にトーンが小さくなり。
最後の方は手をプルプルと震わせながら文章を黙読していた。
はたて「――それじゃあよろしくネ! 姫海棠 はたて……」
射命丸「……………」
射命丸は何も言えなかった。はたては驚き半分、泣き顔半分で射命丸を見ていた。
そして手だけでなく、泣きそうな顔までも思いっきり震わせて――。
442 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2015/05/06(水) 23:57:47 ID:???
はたて「文の……! 文の、バカ!!」
――バシイインッ!!
はたては射命丸の右頬を思いっきり平手でぶった。射命丸は抵抗する気力も無くガタリと廊下で崩れ落ちた。
スカートのポケットから丸薬と説明書が落ちたので、はたてが拾い上げた。
説明書にはその丸薬を「速攻性下剤 ミスギキラー」という名称の薬品である事が記載されていた。
射命丸「あやや……すみません。つい出来心で。
大丈夫です、ホンモノはそうですね。下剤というか薬品繋がりで、永遠亭の……そうだ、鈴仙さんの名前にでもしときますよ」
射命丸は始め戸惑っていたが、すぐに普段の軽薄そうな笑顔で適当な弁解を告げた。
しかしはたては、自分の名前が借用されたことに対して怒っていたのではない事は明白だった。
はたて「……バカ。バカ……! 私は、そんなアンタを尊敬してたんじゃないのに!!」
射命丸「はたて……」
はたては射命丸の弁解で、更に泣き顔を強めていた。
はたて「……今まで引き籠りのダメ記者だった私が、外に出よう。自分の目で世界を見つめ直そう。
天狗社会だけじゃない。幻想郷の色んな風景、出来事、人や妖怪の真実を出来る限り、新聞として留めようって。
――そう考えるようになったのはね……。文、あんたのお蔭なのよ……!!」
はたては啜りながら、射命丸に告白する。射命丸はぼうっとした表情でそれを聞いていた。
はたて「――確かに、私は最近悩んでるアンタに冷たかったかもしれない。
でも、それはね。アンタがどんなに苦しんでても、いつもみたく機転を利かして小賢しく!
新しい、誰も見た事も無いような道を示してくれるからだって信じていたから!
だから、アンタがどんな道を選んでも、私はアンタの味方で居たいって……そう思ってた。だけど!」
443 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2015/05/06(水) 23:59:38 ID:???
はたては説明書ごと、丸薬を射命丸にむかってブン投げた。射命丸には大したダメージも無さそうだった。
射命丸「……だけど、何よ? 私がどんな道を選んでも、味方で居てくれるんでしょ?
だったら認めてよ……。こんなクソみたな手段に訴えてまで、汚く勝ち残ろうとする私を認めてよ!」
はたて「認めるわよ、アンタが本当に自分の意志で選んだ事だったら! でも、違うじゃない!!
アンタは隠してるつもりだろうけどね! 私のおじい様は、アンタが出てた臨査の委員だったのよ!
だから全部知ってる! アンタが追い詰められてる事も、それで勝たなくちゃ追放だって揺さぶられてる事も!
でもそれって、『組織の一員としての射命丸文』の意志であって、『私の友人の射命丸文』の意志ではないじゃない!」
射命丸「……それは屁理屈よ、はたて。組織に属するってのは、自分の意志だけでは動けなくなるって事。
そこに『組織の一員』だとか『はたての友人』だとか、そんな感情は入らないのよ。
大体、はたて。これで私が負けたら追放なのよ?アンタは私に会えなくなって辛くないの?」
はたて「辛いわよ! でも、アンタがここで自分の矜持とかプライドとかを捨てちゃって。
それで、組織っていう得体の知れない物に呑みこまれてしまう方が、もっと辛いもん!!」
射命丸「――話を変えるけど。 ……私はね、組織にとっての不協和音なんですよ。元から」
はたての熱の籠った告白にも耳を貸さない風に、射命丸はより一層軽薄そうな顔を強めた。
射命丸「組織の一員ってのは、皆なべて周囲の和を乱してはならない。
バランスがあってこそ、ハーモニーというものが成り立つんです。
私はその中でも長年、組織の方々が流す美しいハーモニーを邪魔して来た。だから、その報いが漸く訪れたんですよ。
私の事を崇拝してくださるのは結構ですが、はたて。私みたいな天狗になっちゃあいけませんよ。
それじゃあ出世が出来ませんし、周囲からも嫌われます。前者はともかく、後者は割ときついモンですよー。なんたっ……」
――バチイイッ!!
はたてはもう一度射命丸をぶった。
444 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2015/05/07(木) 00:02:45 ID:???
はたて「何よ? こっちは折角自分の想いを言ったのに、そっちはまた屁理屈?
『自分みたいな価値の無い天狗のする事なんてほっとけ』とでも言いたいの?」
射命丸「……そうですよ。それで何が悪いんですか」
はたて「――嘘だよ。ホントは文、自分の事気にして欲しいクセに。
ただ皆に会わす顔が無いからって、自分の本当の気持ちを曲げて。
それで、そんなちっぽけなプライドを守るために、偉い事だけが取り柄な天狗に理不尽な命令されて。
こうして悪事に手を染めて……! それで私が何か言ったら、『自分みたいなダメ天狗気にするな』だなんて……!」
はたてはそのまま崩れ落ちて泣きだした。もう、どうすればいいのか彼女にも分かっていなかった。
射命丸「……はたてが、私の事を想ってくれるのは分かったわよ。本当に……ありがと」
数分後、射命丸は座って俯いたまま小さく呟いた。
射命丸「――でも。本当にこっちが聞きたいわよ。私だって本当は下剤なんて使ってまで勝ちたくない。
でも、このままだと負けて追放。一体、どうすれば良いの……?」
はたては未だにすすり泣いたまま。射命丸の疑問に答える者はいない。
カッ、カッ。 シャーーーッ
射命丸「(この、音は……)」
……いや。いた。その人物は近づくと、上手な犬の散歩を駆使して、廊下で蹲る射命丸達を喜ばせようと奮闘を始めた。
その人物はキリリとした表情で、ヨーヨー片手にこう言った。
椛「タイマンで痴話喧嘩。関心しないな、鴉天狗」
――彼女の名は犬走名人……じゃなくって犬走椛。
下っ端白狼天狗としてたびたび射命丸やはたての業務をサポートしている、彼女達のもう一人の友人だった。
445 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2015/05/07(木) 00:04:21 ID:???
椛「――私は事情は分かりませんが。文さんは人のジュースに下剤を入れるような方じゃないと思いますよ。
なぜなら、文さんも真のサッカー選手だからさ!!」
カッ!(←椛がキラキラ光る眼をドアップで映してる時の音)
射命丸「……も、椛! アンタまで来てたのね……」
椛「すみません、文さんにはたてさんまで居なくなっちゃったモンですから。
っていうか、皆も来てます。皆、文さんが何だかんだで心配だったんですよ」
射命丸とはたてが顔を上げると、そこには反町と秋姉妹、にとりと雛、
名もなき天狗に河童達までもが椛に続いて、心配そうに射命丸を覗き込んでいた。
はたて「……あれ。っていう事は。今までの話、全部筒抜けだったりした……?」
椛「うーん。まあ。途中から、はたてさんが文さんをぶった位からは」
はたて「う、うそーーーっ!」
射命丸「あややや……。こりゃあ、どうしようも無いですね。合わせる顔もありません」
椛「何言ってるんですか、文さん。顔ならありますよ!」
射命丸「はいはい、どーせ『笑顔さ!』でしょう?」
椛「……はい」
446 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2015/05/07(木) 00:07:15 ID:???
穣子「でもさ。笑顔ってやっぱり大事だよ! それに友達の八橋ちゃんが言ってた!
音楽ってのは、一見不協和音に見える音も混じった方が、より綺麗で奥深い音楽になるんだってね!」
静葉「ええ……。敗北とは、傷つき倒れる事では無い。そうした時に、自分を見失った時の事を言うと思うわ。
だから……強く心を持って。そして、……最後まで、ジタバタしましょう」
反町「(静葉さんのメンタルが逆に強くなってる……。まるで勇者の家庭教師みたいだ……)」
にとり「私はもう吹っ飛ばされたくないけど……」
雛「大丈夫よ。私達が守るから」
最初瓦解寸前まで落ち込んだ妖怪の山FCのメンバーだったが。
射命丸とはたてのやりとりを聞いている内に、射命丸の抱えた真なる悩みを知った事から、
彼女達の思いは少しずつ変わっていた。
にとり「――でも、気に食わないよなぁ。天狗の偉様とはいえ、私達のチームにまで口出しするなんて」
穣子「そうだよ! 例え相手が強くっても、最後まであきらめずにやっぱり頑張るよ、私!」
椛「……文さんは割と皆に嫌われてもいますが。それでも、いなくなると寂しいって考えるヤツも結構多いんですよ。
でも、それは自由で、何事にも囚われなくて、ずうずうしくて、傍若無人で、鬼には遜る癖に河童とか私達には偉そうで、
気まぐれで、皮肉屋で、イジワルで、新聞たまに捏造して、……でも、そんな文さんが好きだからです。
組織のイヌになって、ズルい事や犯罪に手を出す文さんなんて、それこそ皆が去っていきますよ」
射命丸「……椛。――アンタ、結構口悪いわね……」
はたて「――で、でもそう。椛の言う通りよ! 私もそれを言いたかったっていうか」
最後に、はたてが恥ずかしそうに射命丸の方を向き直り……射命丸にこう告げた。
447 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2015/05/07(木) 00:08:59 ID:???
はたて「――色々言っちゃったけど、もう一度だけ言うわね。私は、文が自分の意志で居る限り。
文がどんな道を選んでも、離れ離れになったとしても――。絶対に、私は、文の仲間だから」
それはとあるサッカー少年が、悩んでいた彼女にアドバイスしてくれた言葉だった。
彼の影響は少なからず、この天狗達に。そして妖怪の山FCのメンバーの考え方に対しても及んでいた。
射命丸は「ありがとう、はたて」と小さく呟くと、照れくさそうに頭を掻いて。
射命丸「――皆さん。先に言っておきます。私は――案外大したことありません!
ですから、私はもう皆さんに頼ろうと思います! 頼って頼って頼りまくって……それで、チャッカリ勝っちゃいます。
ですが、ひいき目に言っても、貴方方も案外大したことありません!
なので、……ええ。案外大したこと無いモノ同士、仲間として! 静葉さんじゃないですが。後半は……ジタバタしましょう!」
――そう、チームメイトに対して快活に笑ってみせた。彼女の瞳は、もはや何にも縛られていなかった。
*****
――ピィィィィイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイッ!!
……ピッ、ピッ。……ピィイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイッ!!
――だから、射命丸にはもはや後悔は無かった。
レミリア「……前半とは同じチームとは思えなかったわ」
レミリアが心底驚き、また関心したように彼女に話しかけて来ても、彼女は穏やかだった。
射命丸「貴女のトコの咲夜さん、一体どーなってるんですか。
あの人とヘンな中国人が居なかったら、私ら絶対勝ってましたよね」
レミリア「……そのどーなってるアイツラを何度もドリブルで抜き去り。
そして時には思い切って仲間に頼って、何度もパスワークで抜き去ったチームのキャプテンには、言われたくないわね」
448 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2015/05/07(木) 00:11:05 ID:???
射命丸は後半戦開始当初、同様に「射命丸って案外大したことなくね?」の弾幕に曝されていたが、
自分には仲間が居ると分かった射命丸には、案外大した精神攻撃では無くなっていた。
彼女は前半戦の不調がウソのようなドリブル突破を繰り返し、
何と咲夜率いる紅魔スカーレットムーンズの守備陣を何度も抜いて3ゴール、ハットトリックを決めた。
元々彼女の実力であれば不可能では無かったが、個人プレーに頼り切らず、
適度にパス突破を織り交ぜていたのが、スカーレットムーンズを混乱させるのに役立った。
また、乱暴なメイド妖精タックル部隊はPKのチャンスも生んでくれ、正確なキックに定評のある反町が1点を挙げている。
射命丸「守備陣も頑張ってくれました。
撃たせる前に止めるで、雛さんをパチュリーさんのマーカーにしたのは正解でしたね。
魔法の副作用か、吹き飛びやすい彼女を狙ったのは申し訳ないですが、アレで2点は助かってます」
レミリア「――ま、もう1点は取らせて貰ったけどね。私じゃなくて、フランの得点になっちゃったけど」
射命丸「……『トランシルヴァニア』。あれはお見事としか言いようが無かった。
鈴仙さんの『マインドエクスプロージョン』や、ゆう……謎の向日葵仮面さんの『マーダースパーク』。
恐らく貴女が怒っていれば、星熊勇儀さんの『三歩必殺』にも匹敵するであろう破壊力のツインシュート。
あれはビビりました。……にとりさんの人命的な意味で」
中盤と守備陣は更に健闘した。レミリアとフラン、そしてパチュリーの率いるスカーレットムーンズの攻撃陣を、
何と前半とは打って変わって、たったの1失点で済ませたのだから。
それには、これまで連携の取れていなかった『天狗トリオ』の復活や、
反町が秋姉妹と考えた連続ワンツー、『オータムスカイズ』などパスによるボールキープが功を奏していた。
また、にとりもボロボロになりながらもフランドールやレミリアのシュートを二度防いでいる。
……尤も、三度目の大技は、とても防げるような威力では無かったが。
にとりのリュックのみが残され、後は欠片も残らず蒸発していたスタジアムの一辺
――妖怪の山FCのゴールがかつてあった場所――には、巨大な空洞が出来ており、それは遠くの山を貫いていた。
449 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2015/05/07(木) 00:14:22 ID:???
観客「射命丸って……」「案外……」「大したことなくね……?」「ニトリ ニトリ ……あっ、試合終わってた」
レミリア「……まだ消えないわね。ハットトリックしたのに」
射命丸「『案外大したことなくね』コールですか? ううん、良いんです。今は心地よい位ですから。
世の中、誰もが全能では無い。九割九分九厘九毛、案外大したことない奴ばっかりです。
私はそれを忘れて、自尊心を無駄に肥大させていた。
それで、「やめろォ!」と叫び、これ以上「案外大したことなくね?」と言われたくないばかりに、
誰にも弱みを相談できなかった。……だから、今回ははたてのファインプレーですかね。
あいつがお節介にも、私の悩みを暴露してくれなかったら、今ごろ私はチームメイトからも非難の嵐でしたよ」
レミリア「あら、妬けるわね。 ――ま、精々ガンバリな、天狗」
射命丸「こちらこそどうも、吸血鬼様。またお会いできる、その日まで」
射命丸は言いたい事を言い終わって満足した様子のレミリアを見送って、
そして仲間の方へと戻っていく。皆敗北こそしたものの、どこかしらやり切った表情をしていた。
射命丸「(……はたて。椛。――皆。これで、良かったのよね。
私はどこに行っても私の意志で。自分の道を進んでみせるから……)」
観客のブーイングや、例の鼻高天狗の得意げな顔をさらりと流して。
射命丸文は大きく羽を広げて、幻想郷での最後の時間を満喫する事にした。
紅魔スカーレットムーンズ 6 − 4 妖怪の山FC 試合終了!
450 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2015/05/07(木) 00:16:10 ID:???
大会得点ランキング(表記はメインキャラのみ):
12ゴール レミリア
11ゴール 鈴仙
9ゴール フランドール、射命丸
7ゴール 勇儀
6ゴール 来生
5ゴール 魔理沙、屠自古、星、諏訪子
4ゴール 森崎、神子
3ゴール 早苗、霊夢、反町、謎の向日葵仮面
2ゴール 神奈子、ピエール、メルラン、天子、赤蛮奇、空、佳歩
1ゴール 妹紅、咲夜、美鈴、サニー、リリーB、ぬえ、響子、永琳
影狼、藍、幽々子、幽香、針妙丸、パチュリー、小田、椛、岬
大会アシストランキング(表記はメインキャラのみ):
6アシスト パチュリー
5アシスト 霊夢
4アシスト てゐ、神子
3アシスト 早苗、ピエール、小町、小悪魔、マミゾウ
2アシスト 森崎、反町、はたて、岬、空、お燐、ウサギB、レミリア
1アシスト 鈴仙、影狼、大妖精、橙、諏訪子、アリス、
衣玖、針妙丸、リリーW、ルナサ、ぬえ、永琳、妹紅
451 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2015/05/07(木) 00:20:38 ID:???
……と、言ったところで今日の更新はここまでです。
明日からは……またNPCパートです(汗)
次は博麗VS地霊戦で、心情描写等中心だった今回と違い、サッカーパート重視で行こうと思いますが、
今まで出番と活躍の無かった某主人公キャラにも、大きくスポットを当てたいとかも考えているので、
また長くなってしまうかもですが、御付き合い頂ければ幸いです。
コメント返信は次レスで行います。
すみません、反町がチャッカリ1ゴールを挙げたのを忘れていました。
正しいランキングはこちらになります。
大会得点ランキング(表記はメインキャラのみ):
12ゴール レミリア
11ゴール 鈴仙
9ゴール フランドール、射命丸
7ゴール 勇儀
6ゴール 来生
5ゴール 魔理沙、屠自古、星、諏訪子
4ゴール 森崎、神子、反町
3ゴール 早苗、霊夢、反謎の向日葵仮面
2ゴール 神奈子、ピエール、メルラン、天子、赤蛮奇、空、佳歩
1ゴール 妹紅、咲夜、美鈴、サニー、リリーB、ぬえ、響子、永琳
影狼、藍、幽々子、幽香、針妙丸、パチュリー、小田、椛、岬
大会アシストランキング(表記はメインキャラのみ):
6アシスト パチュリー
5アシスト 霊夢
4アシスト てゐ、神子
3アシスト 早苗、ピエール、小町、小悪魔、マミゾウ
2アシスト 森崎、反町、はたて、岬、空、お燐、ウサギB、レミリア
1アシスト 鈴仙、影狼、大妖精、橙、諏訪子、アリス、
衣玖、針妙丸、リリーW、ルナサ、ぬえ、永琳、妹紅
452 :
森崎名無しさん
:2015/05/07(木) 00:24:14 ID:???
にとりの命がw乙ロット
453 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2015/05/07(木) 00:26:34 ID:???
>>431
多分次に射命丸が出て来た時は、やさぐれてキックホッパーに変身すると思います。
>>432
ネタバレすると、試合に勝つのは結構厳しいですね。
にとりがレミリアやフランのシュートを止めるのも、本当はダイス目が高めじゃないとちょっと厳しいかもです。
>>433
にとりは生きてます(たぶん)
>>434
長くなってすみません(汗)
>>435
ちょっとそこは意識してましたね。
実際、射命丸は組織から離れてもそれはそれで逞しく生きそうではありますが、実は気弱な感じを出してみました。
すみません、
>>451
で反謎の向日葵仮面という選手が出来ていますが、スルーして頂ければと思います……。
それでは、皆さま、本日もお疲れ様でした。
454 :
森崎名無しさん
:2015/05/07(木) 00:37:13 ID:???
乙なのです!
あやや、一人じゃなかった……
455 :
森崎名無しさん
:2015/05/07(木) 00:46:36 ID:???
乙でした
JOKERでフラグ吹っ飛ばしにして、お前たちが俺の秋だ!ってやっちゃったせいか
大会まで引っ張てた問題を華麗にスルーして描写外でイチャコラしまくってただろう反町は爆発すればいいと思う。
456 :
森崎名無しさん
:2015/05/07(木) 00:54:23 ID:???
乙です
どんなことを言ってもやっても負けは負け。上司さんは予定通りでいい笑顔。
チームのみんなもいい笑顔。みんな笑顔でいいね(棒)
ってか紅魔後半だけで4点取られるとかザルすぎだろ・・・
うちのは姫様が強くて助かるよ
457 :
森崎名無しさん
:2015/05/07(木) 20:31:35 ID:???
>>451
>>453
反謎の向日葵仮面……きっと謎の向日葵仮面に触れると互いに消滅して、
光子謎の向日葵仮面(観測上はγ【ガンマ】謎の向日葵仮面)が出現する伏線に違いない!
理論的にはX謎の向日葵仮面、α謎の向日葵仮面、β謎の向日葵仮面、電子謎の向日葵仮面
陽子謎の向日葵仮面(片桐家令嬢との関係は不明)、中性子謎の向日葵仮面、重粒子謎の向日葵仮面がいるはず、
あと一人別の謎の向日葵仮面がいれば、謎の向日葵仮面イレブンの完成だ(発狂)
……詳しくはウィキペディアの「対消滅」と「放射線」の『2 放射線の種類』を見てください。
458 :
森崎名無しさん
:2015/05/07(木) 20:35:01 ID:???
河城にとり様への御香典
医師仮面
様から
48
¥
医師仮面
様から
572
¥
エベルトン
様から
436
€
アーバックル監督
様から
549
£
459 :
森崎名無しさん
:2015/05/07(木) 22:28:25 ID:???
にとり「勝手に殺すなあ!」
にとりはこれからも元気にゴールキーパー続けます(活躍するとは言ってない)
プロジェクトカウンターハクレイのスカウト「やっほ」
にとり「ひゅいいい!?」
460 :
森崎名無しさん
:2015/05/07(木) 23:42:35 ID:???
冷静になって考えると6−4ってサッカーのスコアじゃないよね
やはり幻想郷では常識に(ry
461 :
森崎名無しさん
:2015/05/07(木) 23:44:30 ID:???
トリノGKパデッリ、味方のバックパスをオウンゴール
ブルノ「おれならとれたな」
462 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2015/05/08(金) 00:29:53 ID:???
こんばんは、今日も少しだけ&NPCパートとなりますが更新していきます。
>>452
乙ロットありがとうございます。にとりは生きてます。たぶん…
>>454
乙ありがとうございます。射命丸も案外孤独じゃなかったですね。
>>455
乙ありがとうございます。
反町については結局秋姉妹どうするのとか、結局パッとしないまま終わるのかとか、
その辺りの伏線は第三章で回収する予定でしたが、
確かに味気ない気もしたので、ちょっと追加で1シーン書こうと思います。
>>456
乙ありがとうございます。射命丸も今後どうなるか分からないですね。
描写不足ですみませんが、紅魔がザルというよりは射命丸が凄すぎた、という事です。
4点中3点は射命丸で、残りの1点はPKですし、他のFWでは太刀打ち出来なかった感じです。
ゲーム的に言うと、後半は射命丸にボーナス補正が乗ってた&引きが良かったイメージです。
>>457
反物質グランマみたいな感じですかね。
陽子さん謎の向日葵仮面説が提唱された事により、風見幽香さんとの関連性が否定されましたね。
>>458-459
医師仮面に随分好かれてますね……w
私がにとりだったら、序盤の妖怪の山FC対永遠亭ルナティックス戦あたりでサッカーやめていますね。
>>460
キャプ翼ワールド的に考えたら、6−4って割と普通だと思いますね。
南葛市とは幻想郷の事だった……?
>>461
ブルノさんは味方のパスでもガッシリとダイビングキャッチしてくれそうですね。
463 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2015/05/08(金) 00:33:02 ID:???
反町「(はぁ。負けちゃったな……。俺は結局、何にも出来なかった)」
……ところで。射命丸がレミリアと爽やかな会話を交わしていた頃、未だ鬱屈とした感情から抜け出せない者も一人居た。
妖怪の山FCの助っ人ストライカーとして派遣されながら、
結局は外界に居た時と同じく、地味な活躍しか出来なかった少年。反町一樹である。
女性との交友関係においては割と地味では無かったりもするが……。それは置いといて、彼は彼なりに自らの伸び悩みを痛感していた。
反町「(――勿論、穣子さんや静葉さんは優しいから、きっと俺の事を否定しないでいてくれる。
でも……何と言うか、男として。俺も二人をドカっと守ってやれるようになりたいなぁ……なんて)」
進退が懸かっていた射命丸と比べると割と贅沢な悩みな気もするが、それでも反町は確かにこの時焦っていた。
一度は柔らかく否定された、圧倒的な力への渇望がふつふつと蘇ってくる。
反町「(……もしも目の前に悪魔が現れて。それでこう俺に言って来たらどうだろうか。
『お前にシュートの圧倒的才能を与える代わりに、お前の大事なものを奪っていく』……とか。
――一昔の俺だったら、ヤケになって喜んで乗っていたと思うけど。
……今はそうじゃないって、ホントに言いきれるだろうか)」
静葉と穣子は今着替えている。別に今更着替えを見てもどうか……と思った事もあるが、
前に珍しく口に出してみた時は、「アレとコレとは別物だってばぁー!!」と、穣子にほっぺたを膨らませられた。
結局、反町は相変わらず言いたい事も言えずに鬱屈とした気持ちを募らせながら、
モリヤスタジアムの廊下を右往左往するしかない。 ――丁度、そんな時だった。
??「――おっ。いたいた。なぁ、お前さん。 忙しいから単刀直入に聞くけれど。
『……お前の大事なモノを引き換えに、お前に圧倒的なシュートの才能を与える!』
――って言われたら、どうするかい?」
反町「(えっ……)」
――反町の眼前に、彼が言いたい事も言わずに想像していた。
悪魔のような深い夜の装束を纏った、身の毛もよだつ程美しい女が本当に現れたのは。
464 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2015/05/08(金) 00:36:44 ID:???
――と、反町についても今後の展開に含みを持たせたところで、今日の更新はこれだけです(爆)
明日の更新分も書いていたのですが、キリが悪くなってしまって……(汗)
明日からは博麗×地霊戦という事ですが、魔理沙についての掘り下げもしていきたいので、
序盤は魔理沙の回想シーンを挟み、そこから試合に入っていく形にしようと思います。
なので、またかなり無判定無選択シーンが続くと思いますが……ご了承頂ければ幸いです。
それでは、皆さま、本日もお疲れ様でした。
465 :
森崎名無しさん
:2015/05/08(金) 02:19:46 ID:???
乙でした
やっぱりこいつ爆発した方が良いんじゃないかな?着替えが今更とかKAGEYAMAや農袋にフルボッコされそう
霊夢や魔理沙も自機組として行動するだろうけど、鈴仙も同じく自機組になった訳だし
イレギュラー下剋上で終わりじゃなく最後は対等に頂点を競わせるルートに分岐させたいね。
466 :
森崎名無しさん
:2015/05/08(金) 18:05:18 ID:???
反町「そ、そんな! シュートの才能の代わりに大事なモノを渡さないといけないなんて……」
反町「ごめんよ僕のファイヤーボール」
はたて(反町君いつの間に椛の影響を……!?)
乙なのです!
467 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2015/05/09(土) 22:53:21 ID:???
こんばんは、昨日はリアルが忙しすぎて更新どころか書き込みすらできませんでした(汗)
依然忙しいですが、それでも書きたいので更新します。
>>464
で言ってた内容から若干プロットを変えましたが、博麗チームの試合について描写していきます。
>>465
乙ありがとうございます。反町君は某超新星さんよろしく、ラノベっぽくなっていますねw
最後の展開については色々考えていますが、やっぱりハッピーエンドになればと思っています。
>>466
乙ありがとうございます。
ファイヤーボールとは結構上級者ですね……反町君w
大会に備えて犬走名人から譲って貰ったのでしょうか。
468 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2015/05/09(土) 22:56:37 ID:???
〜大会13日目・午後・固定イベント〜
【決勝トーナメント・一回戦第四試合 博麗連合VS地霊殿サブタレイニアンローゼス】
−妖怪の山モリヤスタジアム・控室−
−−−J− J小町
−H−−− H魔理沙
−−I−− I霊夢
G−−−F Gアリス F針妙丸
−−E−− E衣玖
C−D−B C中里 D萃香 B天子
−−A−− A玄爺
−−@−− @森崎
博麗連合2015:4−4−2
霊夢「……それじゃあ前の打ち合わせ通り。今回の試合は、こんな布陣で行きましょ」
針妙丸「ご……ごくりっ」
――紅魔スカーレットムーンズ対妖怪の山FCとの壮絶な試合が終了したすぐ後、
その次の対戦チームである博麗連合2015は、妖怪の山FCメンバーが出払った後の控室にて、
粛々とミーティングを執り行っていた。
アリス「……本当に、森崎君がGKとして出場するのね」
森崎「あん? 何だよアリス、俺じゃあ不満か? 実力だったら練習中に何度も見せただろ。
友達に対してそんな口聞くのか、あん?」
アリス「あっ、ご、ごめんね! 私、友達に酷い事言っちゃったね!?」
森崎「ちぇっ、しょうがねぇな(へへっ、ちょろいぜ)」
霊夢「(アリスって、こんなキャラだったかなぁ……。ま、最近森崎が構ってるからか楽しそうだし良いけど)」
469 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2015/05/09(土) 22:58:19 ID:???
萃香「――なに、この私が認めてるんだ。森崎有三、コイツの実力はホンモノだよ。
取り分けシュートへのセーブ力だったら、私はまずコイツに敵わないだろうね」
衣玖「(ここは空気的に、私も発言して存在感出した方が良いですね)……成程。
地霊殿サブタレイニアンローゼスは星熊勇儀さんや霊烏路空さんを中心とした、
強力なシューターが多いチーム。それ故に、森崎さんとかのチームは相性が良い……と」
霊夢「ま、そういう事ね」
キャプテンである霊夢は軽くウインクをしながら、
けだるそうにカリカリとホワイトボードに大まかな作戦を書いていく。意外と達筆である。
霊夢「基本戦術としては、サイド攻撃を重視していきましょ。
トップ下のあのヘンな男(矢車)は結構実力が高いから、極力避けるようにして。
針妙丸のドリブルやアリスのパスで、スカスカな中盤を突破。
そんで、いつもだったら小町にポストプレイで落として、魔理沙がゴール!
……だけど。さとりは人の心を読んで来るからね。今回は、PA付近でのミドルシュートを多めにしてきましょ。
――PA内のさとりの守備力は、萃香をも遥かに上回る。わざわざ無茶な勝負をする必要は無いわ」
小町「あーい(という事は、今日はサボれそうかなぁ〜)」
森崎「……(――チッ。ツッコミ所があれば容赦なく突っついてやろうと思ったのに。
自分が目立とうという野心が無い分、こうした面では翼より厄介なヤツだぜ)」
天子「私のオーバーラップを戦術に加えていない点は蒙昧に過ぎるけど。
ま、大体良いんじゃないの? 100点満点で10点くらいかな?」
中里「天子殿はいつもエラそうでゴザるな」
天子「違うわね。最強は天人と既に証明されてるのよ。(故事話)
霊夢は一応巫女だから風祝と並んで天人の下僕と自覚して貰わないと。ちょっと調子こきすぎだけどね!!」
470 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2015/05/09(土) 22:59:40 ID:???
霊夢「誰が早苗の同僚か。……ま、そんな訳で誰も異議とか無さそうだし、私もお茶したいんだけど。
大丈夫だったかしら? ――特に、そこで居眠りしている黒帽子の方とかね」
魔理沙「……寝てないぜ。目を閉じて、集中して聞いていただけだ」
霊夢「はいはい。……で、アンタは何か無いワケ、魔理沙?」
霊夢は最後に、壁にもたれ掛かって居眠りをしている魔理沙に対し意見を求める。
この頃森崎が来て以来、試合前であろうと何だろうと、魔理沙は魔法の研究に加えて明け方までサッカーの特訓に取り組むので、
こうして霊夢が居眠り中の魔理沙をたたき起こすのが日常だった。
そして、結果が伴わないのか、不機嫌に「特に無いぜ」とそっけなく答えるのを霊夢がスルーするまでが一連の流れだった、のだが……。
魔理沙「――なあ霊夢」
霊夢「はいはーい。それじゃ皆きゅうけ……え? 何かあるの?」
この時は珍しく、魔理沙は何か言いたい事があるようだった。
霊夢は貴重な試合前の休憩時間が潰されたと、心底面倒くさそうな顔で魔理沙の方に再度向き直る。
森崎「(……成程な。そりゃあ、あんだけのシュートが出来たんだったら――な。
全く、最初はこの役立たずと思ったが。あそこまで成長するとは思わなかったぜ)」
魔理沙が何を言わんとしているのかを理解出来たのは、常に魔理沙の特訓に付き合っていた森崎だけだった。
彼だけが、今の魔理沙に包まれてる心地の良い達成感を知っているのだ。
何せ、『あんだけのシュート』を、彼は……その身で受け止めてみせたのだから。
魔理沙は一言だけ確認するように、こうつぶやいた。
魔理沙「なあ。場合によっては――ペナルティエリア内のさとりに向かって、シュートを撃っても構わない……よな?」
471 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2015/05/09(土) 23:02:56 ID:???
***
−モリヤスタジアム・フィールド−
実況「さあ〜〜!! 間もなく始まります! 全幻想郷代表選抜大会、決勝トーナメント第一回戦最終試合!
博麗連合2015VS地霊殿サブタレイニアンローゼス戦です!
予選Dリーグを1位で突破した博麗連合に対し、地霊殿サブタレイニアンローゼスの予選リーグ結果は2位。
ですが、地霊殿サブタレイニアンローゼスは、今大会ノリに乗っている永遠亭ルナティックスを始めとして、
風見幽香選手率いる雑魚妖怪チームに、西行寺幽々子選手率いる西行寺亡霊連合が居た激戦区を通過してきました。
実力ならばヘタな1位通過チームには全く引けを取らない。そう断言しても良いでしょう!!」
観客「ワアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」
霊夢「相変わらず辛気臭いわね、アンタも……」
さとり「『相変わらず辛気臭いわね、アンタも……』――ですか。余計なお世話ですね……」
霊夢「ごめんごめん。つい本音がポロリと」
さとり「……それは別に良いです。むしろ助かります。
――それに……口には出しませんけど。貴女にも珍しく、何か思う所がありますようで」
霊夢「ありゃ。読まれてたかー。ま、別に良いけどね(魔理沙――大丈夫かしら。ちょっと気になるわね。
アイツが静かな自信に満ち溢れてる時って、大体ロクな事が起きないような気もするけれど……)」
さとり「それはどうも。……友達思いなんですね、意外と」
霊夢「……別に。嫌いじゃないけど、好きじゃないわよ。あんなの」
472 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2015/05/09(土) 23:06:45 ID:???
実況「……えー。只今両チームのキャプテン同士がにらみ合っています!
そして、現在博麗チームキャプテンの霊夢選手と、地底チームキャプテンのさとり選手とがコイントスを行い――。
あっ、結果が出たようです! この試合の先攻は地霊殿サブタレイニアンローゼス!
という事はつまり、開幕から、星熊勇儀選手のあのシュートが見られると言う事です!!
両チームのフォーメーションは以下の通り、博麗連合は今大会初めて、森崎選手をGKとして登用!
噂によると、外界では名の知れたGKだったらしいのですが、これまでの彼の活躍はもっぱらドリブラー。
果たしてその噂は、本当なのでしょうか!?」
中山(観客席)「(本当なんだよなぁ。しかも、『名の知れた』どころじゃないんだが……)」
−−@−− @さとり
C−B−A Cこいし Bキスメ Aヤマメ
−−D−−
−E−G− Gパルスィ
−−−−−
−I−−F I矢車 Fお燐
−−−−−
−H−J− H勇儀 J空
地霊殿サブタレイニアンローゼス:4−4−2
博麗連合2014:4−4−2
−−−J− J小町
−H−−− H魔理沙
−−I−− I霊夢
G−−−F Gアリス F針妙丸
−−E−− E衣玖
C−D−B C中里 D萃香 B天子
−−A−− A玄爺
−−@−− @森崎
473 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2015/05/09(土) 23:07:50 ID:???
勇儀「あのシュートが見られる! ……って、言われると。やりたくなっちまうよなぁ?
折角相手には萃香も居る事だし。一度、本気同士でぶつかり合いたいと思ってたんだよ」
パルスィ「……勝手にすれば良いと思うけど。絶対に、油断するんじゃないわよ……特に、あのゴールキーパー」
勇儀「ようし! そうと決まれば前祝いだ! うむっ! 酒が旨い!!」
お燐「十中八九、聞いてないね〜」
先攻権を得る事となった地霊殿サブタレイニアンローゼスのメンバーは俄かに活気づく。
一方で、先に勇儀達の攻撃を受けきる事となった博麗連合のメンバーは静かな闘志を燃やしていた。
そして――。
魔理沙「(……今日の試合こそ、皆に思い知らせてやる。最後に勝つのは才能じゃなくって努力だと。
そして、この私こそが、この物語の主人公に最もふさわしい存在であるという事を――!)」
霊夢「(――この試合も勝つ。紫の言いなりもシャクだけど、私にはその道しかないんだから……)」
森崎「(ちっ。霊夢の奴も魔理沙の奴も、互い互いで目立ちやがって。この俺様こそが、このゲームの主人公だっつーの)」
――ピィィィイイイイイイッ!!
勇儀「よし、先手必勝だ! ……さあ、思いっきりかかって来な!」
萃香「(ふん、やっぱり来たね、勇儀! あんたの性格なら絶対そう来ると踏んでたよ! 私は何の対策もしてないけどな!!)」
そして、試合開始のホイッスル。
それを聞いて気色ばんで真っ先にボールへと飛びついたのは、地底のならず者どもの頭にして
絶大な力を持つ鬼の中でも取り分け強い力も持った四天王が一、力の星熊勇儀だった。
自身が先攻である事を良い事に、彼女はおぞましい一歩と二歩を踏んでから、大きくその右脚を振り上げた。
474 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2015/05/09(土) 23:08:57 ID:???
ド ン! ド ン!!
グワアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!
勇儀「さあまずは挨拶代わりだよ! 萃香、そしてその他の強き者共!! 四天王奥義……『三歩必殺』!!」
バギュウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウッツ!!
ビュウウウウウウウウウウウッ! ドゴォオオオオオッ!!
ドドドドドドドドドドドド………! バギィイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイッ!
勇儀の右脚から放たれた恐るべきシュート――四天王奥義・『三歩必殺』は、
先程鮮烈に活躍した、吸血鬼姉妹の数々のシュートと比べても全く見劣りしない。
いや、むしろそれをも上回る威力をもって、センターサークルからゴールまで、50メートルという超長距離を轟々と突き抜けていく。
小町「う、うわ! なんてシュートなんだ! あたいは腰が抜けてブロックにいけないよー!(迫真の棒読み)」
魔理沙「くっ……!」
霊夢「……いきなり来たわね。皆、無理してブロックに行かなくても良いけど……DFだけ森崎の援護に向かって!」
萃香「分ーかってるよ! 任せて、アレだけは私が止めてみせるから!!」
―――ゴ オ オ ッ!!
萃香「萃まれ、密まれ。そして疎まれよ………!!」
バァァァッ!
そのシュートに真っ先に食いついたのは博麗連合のCB、伊吹萃香。
彼女と星熊勇儀とは旧友であり、また同じ鬼の四天王として力を競い合う仲でもある。
背の高い勇儀と比べたら、萃香の背丈はその勇儀の胸にも届かないし、外見的にも随分と幼い。
しかし、そんな彼女であっても腕力は勇儀にほぼ匹敵し、そして呪術については勇儀をも上回る。
彼女が並の魔法使い顔負けの要領で自己流の呪術を唱えると、ただならぬ密度の妖力が萃まって。
475 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2015/05/09(土) 23:12:25 ID:???
萃香「さァ。幻想郷に終ぞ戻った鬼の力、萃める力――その身体に染み込ませて。
人間どもにこびりついた太古の記憶、今ここに思い出させてやろうじゃないか!!
――『ミッシング・パワー』ーーーーーーーーーーーーーーーッ!!」
ブウウウウウウン!! ゴオン!
萃香「ハァァァァァァァァァァァァァァァァァァアアアアアアアアアアアアアアアッ!!」
バギュン! ドゴゴゴゴゴゴゴゴッ!!
――フィールド上に鼓膜が破れんまでの爆発音が響く。
呪術によって長さ12メートル、直径3メートルの巨木と化した萃香の右脚が、勇儀のシュートと正面からぶつかった。
シュートが帯びた光の白色と周囲を囲む虹色。萃香の右脚が覆う闇の黒色と紫色の妖力の塊。
その二つが極彩色の渦をフィールド上に作り、天に向かって高い高い柱が生まれる。
矢車「シュートも凄いが、ブロックも凄い威力だな。DFの段階でこれだと思うと……はぁ。どうせ俺なんか……」
お燐「つっても、距離やブロックに向かった人数。それと小鬼のお姉さんのガンバリもあっての拮抗だと思うけどね〜。
でも、まさかあんなブロックの大技を持ってたなんて!!」
パルスィ「……そう言えば、勇儀から聞いた事があったわ。
今でこそ幻想郷最強格のGKとして数えられてる伊吹萃香だけど、彼女の本職はDF。
ことシュートブロックに掛けては、彼女の右に出る者は居なかった……と」
こいし「てことは、今の補正+6程度のちゃっちい技に加えて、何かもっと凄い技とか持ってそうだねぇ」
お燐「そうですね〜。――あ、こいし様。左のSBなのに、右のSHのあたいのトコまで来られたら地味に困りますよ。主にさとり様が」
476 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2015/05/09(土) 23:13:31 ID:???
ガリガリガリッ……!
萃香「あいてて……く、くそっ……! あと一歩で、私の四天王奥義で撃ち返してやってたのに……!!」
勇儀「おや、鬼が言い訳だなんて。アンタも地上で、随分と女々しくなったねぇ!」
――萃香の渾身のブロックは、勇儀のシュートの威力の殆どを削いでいたが。
しかしそれでも、じりじりと押されていってしまう。
丸太のような萃香の右脚は、膨大な妖力を相殺した事による反動か、次第にしおしとと萎んで行き。
……やがて、閃光が弾けて周囲を白に染め上げた後に、シュートはゴールへと向かってしまう。
森崎「(くそっ! 俺を差し置いて目立ちやがって……!)うおおおおーーーーっ!!」
バァァッ!
そして、減衰されても尚恐るべき威力の籠ったシュートを、
森崎が全力でのダイビングパンチング――『がんばりダイビング』で完全に防ぎ切ったのは、
恐るべきファインプレーだった。生半可なGKだったら、あれでも充分吹き飛ばされていた。
森崎「な、中々やるじゃねぇか。流石の俺も今のは少しビビったぜ……。
(だが、実況やらの反応を見るに、今のシュートは幻想郷でも最強格のシュートっぽいな。
それで萃香さんがあんだけ苦戦した訳だから……俺が今止めたので、俺の人気も一気に上昇……?)」
――この時、森崎にとって不幸だったのは二つある。
477 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2015/05/09(土) 23:15:42 ID:???
実況「あ……あああ! 勇儀選手の放ったシュートと、萃香選手の行ったブロックとの勝負は……!
私も凄い光に包まれてどうなったのか分かりませんでしたが、最終的には森崎選手がボールを持っている!
どうやら、これを見るに……萃香選手が、勇儀選手のシュートを完全に殺し切った。きっとそういう事でしょう!!」
観客「ワアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」
「す、すげー!」「流石決勝トーナメント! いきなりこんな勝負から始まるなんて!」「萃香さん、カッコ可愛いーー!」
森崎「(な、なに〜。もしかしてこのボンクラども、さっきの光のせいで俺様の活躍が見えなかったのか〜!?)」
一つは、勇儀と萃香が放っていたあまりの威圧感と、シュートブロック際に生じたおぞましいまでの光によって。
この森崎の隠れた名プレーを視認出来ていた者は数える程しか居なかった点。
そして。
勇儀「(今の勝負、私は萃香に勝っていた。しかしボールは止められた。
……成程。確かに萃香が評価するのも分かる。森崎有三。初対面で会話もしてないが、私はあんたを気に入ったよ。
となると、生半可な『三歩必殺』じゃあダメだね。あいつを殺せるような、もっと強い技を思いつかないと……)」
森崎「(な、なんか寒気がする……。具体的にはヤバいヤクザやマフィアに目を付けられたような……)」
――もう一つは、力を好むあの星熊勇儀が、森崎の好守を見て、更なる発奮をしてしまった点だった。
言い換えると、森崎は、理不尽かつ圧倒的な暴力による死を予告された。
鬼は嘘を吐かない。それは表に出ない、自分自身に向けた言葉であっても例外では無いのである。
478 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2015/05/09(土) 23:22:52 ID:???
――と、森崎も反町に負けじとフラグを立てたところで一旦ここまでです。
キックオフ直後で凄く長かったですが、ここから暫くはサラリと流していくと思います。
ただ、要所要所は濃いめに書きたいと思っています。
479 :
森崎名無しさん
:2015/05/09(土) 23:38:20 ID:???
一旦乙です
さとり「なんだか嫌な予感がするわ……」
PA内のさとりさんぶち抜く自信があるとか怖い!
480 :
森崎名無しさん
:2015/05/10(日) 00:01:13 ID:???
ニコ動のカグロット動画のコメントにここの住人がいたw
481 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2015/05/10(日) 02:03:55 ID:???
更新再開します。
>>479
さとり様は犠牲になりますね…
>>480
本当ですか!w今度探してみます。いつかカグヤコールのコメント弾幕が流れるのを夢見て!
輝夜「私のキャラを不当に貶めるのはやめろォ!?」……とか言われそうですがw
482 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2015/05/10(日) 02:05:12 ID:???
矢車「……止められたか。おい、橋姫」
パルスィ「名前で呼びなさいよ、妬ましい。どぉせ私なんて……」
空「うにゅ。パルスィさんの嫉妬のオーラに矢車さんの地獄のオーラが合わさって、なんか最強に見えてきた!」
お燐「うんうん、最強に暗くて気持ち悪いよね〜。 ――てなわけで、パルスィさんは手筈通りにお願いしま〜す」
パルスィ「……分かってるわよ」
矢車「本当は俺が指示する筈だったのに……。俺にはどうせ、いつまで経っても光を掴めない……」(←お燐の言葉にちょっと傷ついてる)
実況「さあ、勇儀選手のキックオフシュートを止められてしまった地霊殿サブタレイニアンローゼス!
慌てて中盤の矢車選手を中心に、パルスィ選手を霊夢選手へのマークに付かせて警戒を強めます!」
パルスィ「妬ましい……! JOKERを出しまくって覚醒しまくってて妬ましい……!」
霊夢「それって人違いじゃない?(しっかし、しつこいマークねぇ……動きにくいったらありゃしないわ。
――ま、手筈通りにやってくれればそれで良いと思うけど)」
中里「(――霊夢殿の作戦によれば、サイドを上手く活用しろとの事。ならばここは……)それっ、姫君!」
バシッ……。
針妙丸「あいよっ。ありがとう!!」
実況「対する博麗連合は、右のSHである少名針妙丸選手にボールを預けてサイドアタック!
霊夢選手が居なくても、皆の力で勝利を掴み取るのが博麗連合の強みです!!」
483 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2015/05/10(日) 02:06:13 ID:???
お燐「おっと、ここは小人は通行止めだよ。身長133cm以上になってから出直して来な!!」
針妙丸「その位、小槌があれば余裕よっ。小さいからって、バカにしないでね!!」
タッ! グンッ! バギイイイッ!!
お燐「ふ、ふにゃあっ!?」
実況「そして針妙丸選手は自慢の直情的な突撃タックル――『進撃の小人』でお燐選手をふっとばし快速運行!
針妙丸選手はそのまま、バイタルエリア手前へとやって来ます!」
針妙丸「えっと、えっと……(霊夢は確か、GKのさとりって人は心が読めるから。
だから、出来るだけペナルティエリアの外の方からシュートを撃てば良い! ……って言ってたよね)
――ようし、だったらこの私の『輝針剣』で……!」
――グワァァァァッ!
魔理沙「……待ってくれ」
針妙丸「……ほへ? ど、どうして?」
魔理沙「撃つな。――私に持ってこい。良い策があるんだ。カットされるのが不安なら、小町に落としても良い」
小町「ぐーぐー。四季様、あたしゃあ寝てませんよ。死神特有の冥想で、枯渇したマジックポイントを回復……
――って、ハッ!? 今誰かあたいの事呼んだ!?」
さとり「……?(魔理沙さん。貴女は今PA内に居て、フォローに備えていたのでは。
――一体何を考えて居るのかしら……? そしてあの死神。睡眠とアフターファイブ以外の事を何も考えていない!
試合中にも関わらず、ああも怠ける事に思考を持って行ける者が居たなんて。ある意味恐怖だわ……)」
484 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2015/05/10(日) 02:07:36 ID:???
――勇儀のシュートが止められると、博麗連合は事前の作戦会議通り、
中盤の要たる霊夢が防がれていても尚淀みなく攻勢を展開していた。
そうして今、博麗連合の切り込み役である針妙丸が今まさにシュートを撃とうとした時に、
――他ならぬチームメンバーである魔理沙により、その動きを止められてしまう。
これは当の針妙丸やその他博麗連合のメンバー。(特に最前線でシエスタしていた小町)
そして、いざ守勢に出ていた地霊殿サブタレイニアンローゼスのメンバーにとっても意外だった。
ヤマメ「……? よ、良く分からんけど、ペナルティエリア内は我らがさとりサマの根城!
来るなら大歓迎さね。まあもっとも――そのまま棒立ちしてくれた方が、ありがたいけどねっ!」
タッ!
針妙丸「……も、もうっ! 良く分からないけど――え〜いっ!」
バコンッ!
実況「針妙丸選手、ここで大きくセンタリング! ボールの行方は……死神の小野塚小町選手です!
彼女はこれまで平凡なストライカーでしたが、今大会にて突如ポストプレイヤーへと変貌!
しかしそれが彼女の性に合ったのか、ことポストプレイに掛けては、地霊殿の霊烏路空選手以上の腕前とも評されています!」
魔理沙「小町、5秒だけ起きろ! 仕事だ!」
小町「え〜っ。今日の試合、ペナルティエリア内でのシュートはしないんじゃなかったのかい?」
魔理沙「時代は巡り往くんだよ! 良いから早く!」
小町「全く。若いモンは生き急ぐからいけないねぇ。 ……ほい、ほいっと!」
ポーンッ! ………パシッ。
実況「小町選手は危なげなく魔理沙選手に折り返します! ついて行ける者はどこにも居ません!
ボールはそのまま………ペナルティエリアのど真ん中、古明地さとり選手の前に陣取る、霧雨魔理沙選手へと落ちていきます!」
485 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2015/05/10(日) 02:09:47 ID:???
魔理沙「さーて。これでお見合いだな。地霊殿のお姫さん」
さとり「……貴女が次に何をしようとしているのかは分かります。ですが、一つだけどうしても解せない事があります」
魔理沙「何だ? 言っちゃなんだが、私の思考はとても理路整然としているぜ?
魔法使いは論理が大事。複雑な術式も、細かいロジックの積み重ねにしか過ぎないからな」
さとり「……貴女がしようとしている事。それは勿論、この私の守りをもひっぺがす超強力なシュートを放つ事です」
魔理沙「まあ、そうだな」
さとり「ですが。そのシュートは地上から放てるミドルシュートですよね?
だったら、無理してポストプレイをして貰ってまで。ペナルティエリア内でシュートを撃つ必要は無いと思いますが。
どうせなら、ペナルティエリアを離れて撃った方が良い。その方が決まる確率も高いでしょうに。全然論理的じゃないわ」
第三の目を通して映る圧倒的なシュートの全景を前にして。
さとりは怯えながらも気丈にそれを隠し、毅然と魔理沙に対して疑問を投げかける。その様子は淑女然とていた。
だから余計に、次に魔理沙が言い放った言葉がさとりにとっては野蛮で非条理的に聞こえた。
魔理沙はごく当然の事を説明するように、あっけらかんとこう言った。
魔理沙「――だって、当然だろ? 物語の主人公はいつだって、強大な敵の全力に立ち向かい、そして勝利する。
裏道やアイテムを使うのは、どうしても勝てない時の非常手段だ。そして――」
さとり「――『そして、今の私は、真正面からぶつかっても勝利できる』……ですか!
果たしてそれが、貴女の可哀想な思い込みに過ぎなければいいですね……!」
魔理沙「話が早くて助かるぜ。だから――勝負だ、怨霊も恐れ怯む少女・古明地さとり!
お前の覚妖怪としての能力と――!」
さとり「………ッ!(――爆発的な力のイメージ! だけど……私だって負ける訳にはいかない!)」
486 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2015/05/10(日) 02:11:02 ID:???
魔理沙「――この私の……『ファイナルスパーク』との………真っ向勝負だァァァァァァァァァア!!」
グワアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!
バギイイッ、ゴキッ! バギゴギイッ!!
魔理沙「(……ッ! 痛い! 足が千切れるように痛い!! でも……私は負けない!!
――これが私が今まで忘れていた痛み。主人公となる為には絶対必要な痛みなんだから………!!)」
さとり「――とめ、ます……!」
実況「ああ!! これは凄い! これは何だ!? 霧雨魔理沙選手が何と、ペナルティエリア内で、
あの古明地さとり選手に対して、真正面からシュートを放とうとしております!
これは信じられない! 何故なら、人の心を読めるさとり選手には、ペナルティエリア内のシュートには滅法強い!
そのシュートが如何なシュートであろうとも関係なく、さとり選手は高度な読心能力でシュートコースを割り出してしまう!
それは一対一であっても勿論同じ! つまり、ことペナルティエリア内において、さとり選手は幻想郷最強のGKなのです!!
あっ、魔理沙選手が今……地面を大きく削りながら足を踏み込んだ〜〜〜〜〜〜〜〜!!」
魔理沙「はぁ、はぁ……!(レミリアが何だ。うどんげが何だ。
あいつらは結局妹や仲間に頼らなければ、最強のシュートは撃てないじゃないか!
その点私は違う。私は自分一人でも、あいつらに負けないシュートが撃てるんだ……!!)」
ガリッ! ガリッ! ド ガ ガ ガ ガ ガ ッ!
魔理沙は振り足を地面に思いっきり埋め込んで、しかしそれにも関わらず、
まるで重機のような動きでボールへとインパクトを合わせに向かっている。
さとり「(……分からない。一体この少女はどうして、ここまでも自らを削って………!!)」
魔理沙があと僅かでそのシュートを解き放とうとする時、狼狽するさとりの思考の中に新たなイメージが浮かんで来た。
それは魔理沙の心を視た、彼女の第三の目からの情報だった。
さとり「(彼女の主人公への憧れ。挫折。そして再起――。そう、このイメージは……!)」
487 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2015/05/10(日) 02:12:43 ID:???
〜回想シーン〜
−???−
――私は物心ついた時から、自分自身こそが物語の主人公だと信じて疑っていなかった。
実際、私には溢れた才能があると思っていた。
里の子ども達でも中心的存在だったし、ほんの些細なレベルだけど魔法もどきの退魔術も使えた。
もっとも、子ども間の人間関係なんて流動的だし、退魔術くらい、
陰陽師とかの子どもだったらある程度使えても不思議ではなく、むしろ自分より上もゴロゴロいた。
勉強はそこそこだったし、スポーツも上の下くらい。
要するに、客観的に見て幼少時の私はどこまでも『普通』に過ぎなかった。
そして、それにも関わらず、私は自分が間違い無く特別な存在だと信じていた。
……だから、家を勘当され魔法の森で住み込む事になっても後悔はないし、
むしろ普通じゃない境遇が重なった自分は、間違い無く主人公なのだという確信を強めてくれた。
途中で深い夜のローブを纏った足の無い魔女に師事し、昔から興味のあった魔術の力を強めた。
師匠は厳しかったが、周囲にライバルが居なかった事もあり、自分は師匠を除けば最強の魔法使いだと思っていた。
あの時、私は途方も無くバカだったけれど。その代わり、途方も無く幸福だったと今では思う。
そんな夢のような幼年期が終わり、辛い現実に曝されたのは何時だったろうか。
「……邪魔よ! どいて!」
「――ふふっ。あのお方の所には行かせないよ。貴女にはここで少しばかり遊んでて貰うわ。
もっとも、あたいがあんたをアンタを倒しちゃっても良いんだし……キャハハハハッ!!」
――ああ、間違いない。黒歴史だ。
その当時の私は師匠の命令を受け、今ではおよそ考えられないバカ笑いで、
自分と同い年くらいの亀に乗った少女を一撃で焼き尽くそうと算段を立てていた。
488 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2015/05/10(日) 02:14:04 ID:???
「しかし不便よねぇ〜。亀なんかに乗らないと空も飛べないなんて!
そだ、アンタをあたしの弟子にしてやろうか! そしたら、そうね……きっと三年位で箒で空でも浮けると思うわ。
あたしですら、飛べるようになるには一年半もかかったんだから!! キャハハハッ!」
「口の減らないヤツね。っていうかアンタ、一年半もかかったの」
「あたしみたく才能のあるヤツでも、ね! 知ってるかしら? この世は私を中心に回ってる、って事実にさ!」
ゴオッ、バババババッ!!
当時の痛い私は、(当時の私なりに)最高にカッコ良い言葉で決めると、
大した威力も無い火球を五発程度、如何にも暢気でとろそうな巫女に放ってやった。
「どうかしら! これがあたいの絶技……『フィンガーフレアスパークス』よっ!!」
両手の指でやるのは負担だったため、五発程度が限界だった。
しかしそれでも、あの巫女をやっつけるには充分だと思っていたらしい。恐ろしい事に。
巫女はそんな私の愚かさに対して、苛立たしげに首を振って。
489 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2015/05/10(日) 02:20:08 ID:???
「え〜い! その程度だったら里香の方が千倍マシよ!
……そんな案外というか元から全然大した事ない技。 ――こうだっ!」
バ! バ! バ! バ! バッ!!
――ギュン! ギュギュギュギュンッ!!
ダッ! フワァァァッ………!
「うえっ……?」
その圧倒的な動体視力と反射神経。そして天賦の才とも言える武術への勘と素養。
その全てを駆使して彼女は私の魔法を容易く打ち破り。
しかも極め付けにそいつは亀から大きくジャンプして、『何も無しに空を飛んで』、
私の喉元にそのスラリとした足を振り抜いて――。
「――食らいなさい! ……天覇、風神脚ーーーーッ!!」
ズドオオオオオオオオオオオオオオンッ!!
「きゃ、キャァァァァァァァ〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!」
天才的で煌めいた、本当に本当に綺麗なキックを私にぶちかました。
そんな少女を近くで見た私は、生まれて初めて心底惨めな気持ちになった。
何故なら、とろそうに見えたその少女はその実、自分なんかよりも数倍きれいで可愛くって。
そして、自分が持っていない才能を、溢れ落ちる位に持っていたのだから。
――私はこの時始めて、自分がこの物語の主人公では無いのだという事実を思い知らされた。
490 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2015/05/10(日) 02:23:12 ID:???
*****
−魔法の森 霧雨魔法店−
魔理沙「……そうだ。それが私、霧雨魔理沙とアイツ――博麗霊夢との初めての出会い。
これまで自分こそがこの物語の主人公だと信じて疑わなかった私に、初めて自分自身の価値の無さを疑わせた。
当時の私的には最強最悪にロクでも無い相手だったな」
森崎「……お前バカだな。その位で自分自身疑ってたのか。まるで四面のボスみたいな発想だぜ?
そんなんだったら、いつまで経っても俺みたいな主役にゃなれないぜ?」
大会一回戦を明日の午後に控えた夜。
霧雨魔理沙は利害関係者として共に修練を重ねて来た少年――森崎有三を自宅へと呼んで、僅かな昔話に興じていた。
彼は幻想郷には中々いない珍しいタイプで、要するに魔理沙と割と気が合うタイプだった。
魔理沙「私だって、あれから努力したさ。それに結果も挙げて来た」
森崎「それがどうしたよ。そんなの、主人公にアッサリ負ける三下でも出来る事じゃないか」
魔理沙「じゃあ、どうすれば良いんだよ」
森崎「自分で言ってたじゃないか。自分自身を、この物語の主人公だと信じて疑わない事。
これが一番重要なんじゃないのか? 少なくとも、俺はいつもそう信じているぞ」
森崎の遠慮を全く知らない、完全なる功利主義から基づくドストレートな言葉は時に辛辣に思えるが、
魔理沙にとってはむしろ好感の持てる話し方だった。
現に今もこうして、魔理沙は森崎との会話を通じて、自身の伸び悩みの原因を探ろうとしていたが、
こうした流れで、魔理沙が森崎に反感を覚えた事は自然と一度も無かった。
491 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2015/05/10(日) 02:24:54 ID:???
魔理沙「信じるのは自由だ。だが現実は我々のそんな信仰を妄想だと言って一笑に付してくるじゃないか。
それには一体、どうやって対処するんだ?」
森崎「ほっときゃ良いじゃねぇか。それで仮にカチンと来たり、傷つく事があったとしたら。
それは多分お前も内心その通りだなーって思ってるからだと思うが。まあ、でもそんときゃそれを直せば良いだろ」
魔理沙「直せば良いとは大きく出たな。じゃあ例えば、内心その通りだと思ってる事が、どうしても直せない場合はどうする?
こうなったら、どうしようも無くないか? そうなるヤツは主人公失格なのかな」
森崎「どうしようも無いんだったら、ほっときゃ良いじゃないか」
魔理沙「……お前。もしかして適当な事言って。私を煙に巻こうとしているな?」
森崎「ちっ。バレたか」
二人は練習後、こうしてしばしば談笑する事もあった。
とはいえ、その範囲はあくまで業務中の雑談レベルに過ぎず、踏み込んだ会話をすることはあまりない。
魔理沙がこうして自分の過去を話すのも、今夜が初めてだった。
森崎「――ま。要するに気にするだけ負けってヤツだな。
俺の生活を物理的に邪魔しない限り。結局、他人がどう言おうが、どう思ってようが関係ないさ」
魔理沙「そこは私も分かってるつもりだぜ? むしろ、お前さん以上にな」
魔理沙はパチュリーから大分前に借りた本を枕にして、自室のソファに寝そべった。
流れるような金髪がふわりと揺れると、流石の森崎も若干どぎまぎする事もある
……ような、そんな甘酸っぱい時期は当に過ぎていた。
森崎には丁重に、アリスから『譲ってもらった』クッションの上に座らせている。
魔理沙「……いかんいかん。少し眠くなってきたな。――森崎ももう帰るか?」
森崎「ああ……そうしようかな。そういや、この間のキノコありがとうな。全部腐ってたぞ」
492 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2015/05/10(日) 02:26:18 ID:???
森崎は結局幻想入りの日から今まで、博麗神社の離れを借りてそこで生活している。
食事・洗濯等について霊夢は勿論何もやってくれない(結界があって、勝手に部屋に入る事もできない)ため、
実質的な自給自足の独り暮らしである。
そのため、魔理沙から偶に貰えた質の悪いキノコや草も、森崎にとっては割とありがたい。
魔理沙はそこから、森崎を神社まで連れていった。懐中時計を見ると、時刻は既に3時だった。
魔理沙「ふああ……眠い。明日は大会だし、寝るか……って。あれ」
家に帰った魔理沙は早々に寝支度をしていたが。
その日たまたま魔理沙は、霊夢の家に生活用品を数点置いていた事に気付いた。
魔理沙「あっちゃあ。そういや荷物を持ったまま、神社にお邪魔してたんだっけ。
明日取りに行っても良いけれど――どうしようかなぁーっと」
少しだけ悩んだ末、魔理沙は箒に乗って空を飛んでいた。
性分として、今日やれる事は今日の内にやっておきたいタイプである。
森崎に話してやった過去の自分の冒険譚――外界の天才学者と遭ったり、
かつては髪の長かった幽香を退治にしに行ったり、果ては魔界の神様と戦ったり。
中には不格好なエピソードもあったが。そのどれもが今の自分に繋がる、大切な思い出だったという事に気付いた。
魔理沙「さーて。神社のどこに置いたっけな……」
フワリ。
魔理沙はルーミアも出没する、神社の境内裏で降りて、霊夢を起こして機嫌を損ねぬよう、
こっそりと周囲を歩いて行った。幸いに、魔理沙の探し物はすぐに見つかった。
(霊夢が気を利かせて、纏めて賽銭箱の傍に置いといてくれていた)
――のだが。
493 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2015/05/10(日) 02:27:25 ID:???
シュッ。シュッ! シュッ。シュッ!
魔理沙「……音?」
この時魔理沙は不思議な音を聞いた。何かが空を切るような幽かな音だった。
魔理沙「(何かの妖怪か、それともまだみぬ怪現象か……?
最近、オカルトボールがどうとか都市伝説がどうとかいう噂が立ってたし。割とあり得るかもだぜ……)」
音は神社の裏山から聞こえている。境内裏から少し飛んだ場所だ。
麓の方は開けていて林も無く、自分がもう少し小さかった頃は、同じく小さかった霊夢と一緒に川で遊んだ記憶がある。
音の発生源は、その麓にある川べりからだった。
そこでは一人の小柄な男が、月明かりを受けて映る自分の姿を見ながら、基礎的なセービングのフォームを確認していた。
魔理沙「も、森崎……!?」
――それは間違いなく、先程魔理沙と別れた筈の森崎だった。
森崎は普段からこうして、一人で遅くまで基礎的な練習を積み重ねて来たのである。
魔理沙は大きな声を出して、森崎を呼び止めようとしたが……やめた。
魔理沙「(――ここで私がアイツに声を掛けたら、私はアイツのプライドを大きく傷つけちまう。
だって、私が逆の立場だったら大いに傷つくし……。
でも……何だ、なんだよ。森崎のヤツ。アイツ、あれだけ自信家の癖して……!)」
努力をするのは良いが、そこまで隠れてやる必要があるのか?
自分の事を完璧に差し置いて、魔理沙は森崎に非常に腹が立った。
しかし、魔理沙が今一番腹を立てている対象は森崎では無かった。
魔理沙「(……私は馬鹿だ。森崎から見たらロクな努力もしてない癖に、主人公に憧れて。
それでいて、その為の行動が全然伴ってないんだから! 私と森崎は一緒じゃない。全然違った……!)」
494 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2015/05/10(日) 02:28:46 ID:???
魔理沙は自分自身への怒りに体中を熱くしながら、全速力で空を駆けていた。
そうと決まれば、自分のすべき事はひとつしかない。
魔理沙「(駄目だ。もっと……もっと練習しなくちゃ! もっと努力しないと、私は主人公に憧れるだけの、単なる噛ませ犬だ……!)」
鈴仙が中山から多くの事を学んでいたように、魔理沙は森崎から多くの事を学んでいた。
それはこれまでの半年間での積み重ねでもあった。
だから、森崎の真の努力に気付いた魔理沙が、これまでの森崎との会話から新たなシュートを開発するまでに、
それほど多くの時間を要さなかった。……大会当日の早朝の事である。
――カッ! チュドゴーーーーーーーーーーーーーーンッ!
魔理沙「はぁ。はぁ……出来た!」
暁光により僅かに白みかけた空の下、魔理沙は博麗神社の裏山目がけておもいっきり、その新しいシュートを撃ち放った。
悪友に対するせめてもの報告が必要だと考えたからだ。
魔理沙「これが……私の物語最大最後のシュート。最後の閃光。『ファイナルスパーク』だ……!」
抜け殻のようになった魔理沙は、自分のシュートをそう名付けると、満足したようにその場に倒れる。
人間はどうしようも無く眠くなった時は、機械のように意識が落ちるのだと魔理沙は学習した。
お蔭で、あの脚が千切れるような痛み、間接の骨がゴリゴリと削られていくような嫌な感じを覚えなくて済んだ。
魔理沙「(み……ま……さま。あた……し、やり……まし……た)」
薄れゆく意識の中で、魔理沙はかつての師を思い出す。
彼女はこのシュートを見て感心しているだろうか?それとも、まだまだだと駄目出しをするだろうか?
その時の彼女の顔は――魔理沙には、ぼやけて何も見えなかった。
495 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2015/05/10(日) 02:31:37 ID:???
――と、言ったところで、今日の更新はここまでです。
いつまでNPCシーン続くんだという感じですが、これで分量的に半分位は行ったと思います。
明日にはNPCシーンを終わらせ、できれば14日目の行動選択に行ければなと思っています。
それでは、皆さま、本日もお疲れ様でした。
496 :
森崎名無しさん
:2015/05/10(日) 03:04:35 ID:???
乙なのです!
霊夢「へえ……やるわね。素直に感心したわ」
魔理沙「おう、どうだ!」
霊夢「で……この神社の、裏山の惨状についてどう責任を取ってくれるのかしら?」
魔理沙「……観光名所にでもすればいいんじゃないか?」
霊夢「なるか!」
輝夜「オチオチキーパーもしていられないわね、幻想郷は……(汗)」
497 :
森崎名無しさん
:2015/05/10(日) 11:20:30 ID:???
>勇儀「森崎有三。初対面で会話もしてないが、私はあんたを気に入ったよ」
>完全なる功利主義から基づくドストレートな言葉は時に辛辣に思えるが、魔理沙にとってはむしろ好感の持てる話し方だった。
これは……LOVEの予感!(真勘違い)
アリス「うふふ…にがさないわよ」森崎「や め ろ」
498 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2015/05/10(日) 21:56:12 ID:???
こんばんは、今日も文章だけですが更新します。
>>496
乙ありがとうございます。裏山はあまり深く考えずに吹っ飛ばしてしまいました(汗)
石崎君ですら日向のコンクリ破壊タイガーショットを顔面で受けられるので、姫様だったら大丈夫ではないでしょうか。
>>497
森崎とかは敵役と言うよりも、もう一人の主人公って感じで書いてますね。
なので鈴仙の影でフラグが立ちまくりです。何のフラグかは分かりませんが。
499 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2015/05/10(日) 21:57:53 ID:???
*****
さとり「――ぅ。あ。ここ、は……?」
お燐「なーみょーほーれんげーきょー……。――あっ、さとり様! まだ生きてたんですか!?」
さとり「……ジョークという事は分かっているけれど。怒るわよ?」
お燐「すみませんすみません。九割ジョークでした」
さとりはお燐が普段押している猫車の中で目覚めた。
お燐が言う残り一割が何であるかを敢えて問わずに、さとりはまず周囲を眺める事にした。
さとり「ここは。地獄かしら……?」
さとりがそう勘違いしたのも無理はない。
彼女が目を覚ました周囲では、地面がひっくり返ったように滅茶苦茶になっていた。
お燐「違いますよ。ここはサッカースタジアムです。ほら」
お燐がそう言って指し示した先には、大きく開けた視界の端にはサッカーボールが転がっており、
すぐ近くには、飴細工のようにひしゃげたゴールポストが打ち捨てられている。
信じたくはないが、確かにここは間違いなく、妖怪の山モリヤスタジアムのようだった。
さとり「……私は、点を取られたのね」
お燐「0−1ですね。霧雨魔理沙の、えっと……『ファイナルスパーク』とやらが、
我々地霊殿サブタレイニアンローゼスゴールを突き破った挙句、
フェンスの物質となんか核分裂的なヤバい反応を起こして大爆発。
さとり様は見事吹っ飛ばされて、今の今まで気を失ってたワケです」
500 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2015/05/10(日) 22:00:29 ID:???
空「お燐違うよ! 核分裂じゃなくってミューオン触媒核融合だってば!
多分、あのミニ八卦炉が中間子工場代わりで、負ミューオンが物質中の水素の触媒となって自然崩壊したんだと思う!」
さとり「――そう。お燐、お空、ありがとう……」
さとりは空の科学的な説明を聞き流しながら、二人の頭をくしゃっと撫でて立ち上がる。
試合はまだ始まったばかり。お燐と空を支える一勢力の長としても、さとりはここで挫ける訳にはいかなかった。
***
一方で、ゴールを決めた側の博麗連合の面々も、魔理沙が今放ってみせた最後の閃光
――『ファイナルスパーク』のあまりの威力の高さを見て、祝福するよりも先に戦慄していた。
霊夢「…………」
魔理沙「はぁ、はぁ……! ど、どうだ霊夢、凄いシュートだろう!
なんせ、実際にシュートを撃って見せた私自身が、あまりのえげつない威力にビビってるくらいだしな!」
しかし、そんな事はもはや魔理沙には関係が無い。
これまでの努力が実を結び、レミリアよりも勇儀よりも、最近調子に乗ってる鈴仙よりも。
他のどのライバルにも負けない最強のシュートが完成してしまった以上、
彼女の高揚感を押えられる者は誰ひとりとしていなかった。
霊夢「……魔理沙」
魔理沙「な、何だなんだよ。そんな怖い顔して。ま、確かにさ、これまでは私もパッとした活躍をしてなかったけど。
これからの活躍でぜーんぶチャラだ。今に見てな。私がさとりからダブルハットを取って、得点王に返り咲く姿を――」
501 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2015/05/10(日) 22:02:33 ID:???
霊夢「――止めなさい。あのシュートは、アンタには荷が重すぎるから」
魔理沙「……えっ?」
――腐れ縁と自負しながらも、これまで長い間魔理沙の努力、そして限界を見続けて来た霊夢以外は。
霊夢は魔理沙を険しい顔で睨んで、キックオフに備えて元のポジションへと戻って行った。
魔理沙はそんな霊夢の発言の意図を掴みきれず……。
魔理沙「(――く、くそっ。霊夢のヤツ。なんなんだよ。そんな事言われたら、折角の楽しい気分が……!)」
折角の新シュートに水を差された気持ちになって、憤然としてしまうのだった。
そして――。
……ピィイイイイイイイイイイイイイイイイイッ!!
実況「さあ試合は地霊殿サブタレイニアンローゼスのキックオフから再開です!!
地霊殿チームはトップ下の矢車選手を中心に、堅実に試合を組み立てております!」
魔理沙「くそっ。ボールを寄越せっ!!」
矢車「……お前。良い顔をしてるな。俺と一緒に地獄に落ちるか?」
タッ――クイィッ! シュパァァッ!
魔理沙「あっ……!」
霊夢「ちょっと魔理沙、今のは取れた筈でしょう!(あーっ、やっぱりちょっとキツく言いすぎたかなぁ……。
でも、あのシュートだけは。魔理沙があのシュートを撃つのだけは避けさせないと……!)」
502 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2015/05/10(日) 22:03:48 ID:???
――1ゴール目を決めて以降も、地霊殿サブタレイニアンローゼスは諦めずに奮戦した。
確かに総合力的には、地霊殿サブタレイニアンローゼスは博麗連合に比べて圧倒的に劣る。
しかし、お燐のサイドアタックをはじめ、各所各所で長けた一芸を発揮しており。
前半終了間際まで、地霊殿サブタレイニアンローゼスは1−0の状態で辛うじて持ちこたえていた。
パルスィ「(とはいえ、やっぱり相手の守備力が妬ましいまでに高すぎる。
第二のゲームメイカーであるアリス・マーガトロイドのパスカットに、ボランチの永江衣玖の渋いタックル。
巫女を抜きにしても、中盤からしてここまで厄介なのに、最終ラインのブロック力、タックル力も高い。
一体どうやって攻めろって言うのよ……!!)」
この時勇儀から零れたボールをフォローしていたパルスィは、
妬ましげかつ冷静に博麗連合の実力を冷静に分析していた。
辛うじて持ちこたえていた……と言うのは聞こえが良いが、
彼女達は全力を出してなお、1点差を埋める事ができないでいるのである。非常に苦しい戦いだった。
そして、苦しいからこそ、プレーにも綻びが出てしまい――。
霊夢「とりあえずボールは頂くわ!」
タッ、ズザアアアアアアアアアアッ、バシッ!
パルスィ「くっ……妬ましい! だけど、『橋姫』の怨念はこれ程で、は……!?」
タッ……グンッ。 バァァァッ!
霊夢「あのね。怨念がいくらあろうと、地面に這いつくばってちゃあ、空を飛ぶ巫女には届かないでしょ!?」
パルスィ「何ですって……!」
503 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2015/05/10(日) 22:04:52 ID:???
実況「あ〜っと! ここでパルスィ選手、霊夢選手へのマンマークについていた事が災いし、
逆にボールを持った僅かな隙を突かれて奪われてしまった!
そして持ち前のしぶとさも、『空を飛ぶ程度の能力』を持った霊夢選手には通用しない!
前半戦ももはやロスタイムを残すのみ! そしてゴール前には先程凄いシュートを決めた霧雨魔理沙選手が!
地霊殿サブタレイニアンローゼス、前半終了と同時に2失点だけは何としても避けたいが〜〜〜!?」
こいし「や、やばいよ! ここはさらばサッカーしてでも止めなくちゃ……!」
グィッ……。
霊夢「邪魔ッ!」
ブウン……ッ!!
こいし「な、なにィ!? 消えた!? 突然消えるなんてお前はバケモノかぁ!?」
ヤマメ「いや、こいしちゃんだって消えてるじゃん」
実況「霊夢選手はこいし選手の執拗なタックルにも全く動じない!
天才的なフェイントでまるで分身消滅したように見える必殺の『博麗幻影』で、ゴール前へと迫ります!」
霊夢「……よっし。これで後は――!」
――パルスィは霊夢の動きを自由にしてしまう。そうなると、後はもう流れるままだった。
かつて『スーパーシューティングプレーヤー』と称えられた霊夢の圧倒的個人技は健在。
……いや、むしろ前よりも成長している位であり、パルスィやこいしと言った有象無象ではどうにもならない。
博麗連合は前半終了間際という絶好のタイミングで2点目を狙える位置に来ていた。
504 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2015/05/10(日) 22:06:10 ID:???
魔理沙「……れ、霊夢! さっきヘンな事言ってたけど……アレは冗談だよな! だから私に――!」
実況「そしてPA内に控える魔理沙選手は、霊夢選手に対して必死にボールを要求しています!
これはやはり、あの『ファイナルスパーク』を使う構えなのでしょうか〜〜〜!?」
観客「ワアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」
「いっけー! 魔理沙ー!」「レミリアやうどんげじゃない、お前がナンバーワンだー!」
「さとりにトラウマを植え付けてやれー!」「サトリ サトリ サトリ サトリ」「お前三文字だったら誰でも良いのか」
――そして、そうなると必然的に、観客達の注目は先程鮮烈なゴールを決めた魔理沙へと移っていく。
あの無敵の『ファイナルスパーク』が、容赦なくさとりを病院送りにしてしまうのではないか。
そんな嗜虐的な興味も籠った、熱狂的な声援もあり、場の空気はますます強まる。
ボールを持った霊夢は一瞬の逡巡の後、大きく右脚を振り上げて――。
霊夢「(…………魔理沙)――それっ、小町! 一旦アンタに繋ぐわ!」
バシッ!
小町「ふわ〜い」
実況「霊夢選手、ここは直接では無く一旦小町選手のポストプレイを経由するようです!
サイドにはけてから小町選手にセンタリングを放つ!」
魔理沙「霊夢……! ありがとな、私絶対決めてみせ――」
魔理沙は、霊夢が自分にボールを出してくれると無理矢理にでも信じていた。
眠そうに瞼をこすりつつ、しかし距離を操ったのか途轍もない跳躍を見せる小町の足元へと魔理沙は向かう。
――しかし。
505 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2015/05/10(日) 22:08:20 ID:???
――タッ!
霊夢「――小町! 来い! 私に持ってこい!!」
魔理沙「れい、む……?」
実況「……いや、お待ちください。小町選手が出したポストプレイの先は――魔理沙選手では無く、霊夢選手!
そして霊夢選手はトラップよりも先に高い浮き球に飛びついて、オーバーヘッドキックの体勢を取ります!
もしやこれは〜〜〜〜〜!?」
さとり「『巫女サマーソルト』……では無いですよね。そう、この技は―――!!」
霊夢「アンタの想像通りよ、さとり! 悪いけどアンタの能力、私の『空を飛ぶ程度の能力』には聞かないし。
遠慮なく、決めさせて貰うわ!! ――行くわよ!」
グルンッ、グワアアッ!
霊夢「『夢想封印――瞬』!」
バッシュゥウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウン!!
――ギュルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルッ!
506 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2015/05/10(日) 22:10:41 ID:???
――霊夢は魔理沙にボールを渡す事をせず、あくまで自分で決める事に拘った。
小町のポストプレイで安定した位置へと掲げられたボールは、地上の魔理沙では無く天上の霊夢の物だった。
彼女は自力で昔発明した、空中での夢想封印――『夢想封印 瞬』を、さとりが守るゴールへと撃ち放った。
さとり「(……ッ! シュートコースが読めない! いや、読めていたとしても。これは………!!)」
天高くから一気に撃ち落とされて、地面スレスレで重力に反するように再び天へと舞い上がって行くドライブシュート。
その軌道は普段の霊夢の気質の如く爽やかな晴天であったが、それ故にさとりには眩しすぎた。
さとりは必死でボールに飛びつくも、シュートはその手をすり抜けていき――。
――バシュウウウッ! ズバァァァァァァァァッ!
ピピィイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイッ!
ピッ、ピィイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイッ!!
魔理沙「(な、なんでだよ。なんでだよ……霊夢! 何時もはそうやって、無駄に出しゃばるお前じゃないのに……!!)」
魔理沙の声に出ない狼狽をよそに、霊夢はごく当然の如く2点目のゴールを決める事に成功した。
そして、地霊殿サブタレイニアンローゼスは懸命に動いたにも関わらず、
2点のビハインドを負った状態で後半戦を迎える事を強いられる事になった。
博麗連合2015 2 − 0 地霊殿サブタレイニアンローゼス 前半終了!
507 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2015/05/10(日) 22:17:55 ID:???
――と、言ったところで恐らく今日の更新はここまでです(汗)
出来れば12時頃に更新したいですが、出来ても文章だけの投下となります。
余談ですが、今日は例大祭で東方新作が発表されましたね。
私は仕事も忙しくて行けないのですが、今日はずっとネットでネタバレ情報を漁ってました(爆)
詳しくは一応ネタバレという事で言いませんが、自機になった鈴仙のセリフがカッコ良くて吹きましたw
新作の要素については、ストーリーの都合上大体的にとは言えませんが、また拙作にも取り入れていきたいですね。
508 :
森崎名無しさん
:2015/05/10(日) 22:23:24 ID:???
>矢車「……お前。良い顔をしてるな。俺と一緒に地獄に落ちるか?」
また口説いてるw乙ロット!
509 :
森崎名無しさん
:2015/05/10(日) 22:33:45 ID:???
ファイナルスパークをダブルハット(6発)分打つとか、それなんてストーリーモード敵使用www
勘弁してください(震え声
510 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2015/05/10(日) 23:33:26 ID:???
*****
魔理沙「な、なんでだよ! 何でさっき、私に渡してくれなかったんだよ!?」
霊夢「……………」
――二点差で前半戦を折り返したにも関わらず、
ハーフタイム中の博麗連合の控室は険悪なムードに包まれていた。
理由は勿論、前半終了間際のワンシーンにある。
魔理沙「小町のポストプレイさえあれば、私も充分ペナルティエリア外で撃つチャンスがあった!
霊夢はトップ下だから、無理をしてまで体力を消耗するシュートを撃つ必要は無い!
なのに、どうして………! どうしてあの時、私にボールをくれなかったんだよ!!」
魔理沙は霊夢の襟首を掴んで問いただす。
何時もの霊夢は、人のプレーを軽く咎める事はあっても、明確に禁止の意を告げたりはしない。
自由奔放にさせておいて、それなのに皆が何となく纏まっているというのが普段の彼女らしい姿だった。
折角凄いシュートを開発したのに認めて貰えなかったという子供っぽい感情が相まって、
魔理沙は友人に対して明確な怒りと動揺を露わにしていた。
霊夢「…………」
霊夢はかぶりを振って、魔理沙の問いかけに応えようとしない。
しかしそれは無視や拒絶では無く、言うべき言葉を選んでいるようにも見えた。
511 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2015/05/10(日) 23:34:53 ID:???
衣玖「まあ、まあ。喧嘩はいけませんよ。どうでしょう、ここは空気の読める私の顔に免じて――」
霊夢「……いや。アンタは別にいらない」
針妙丸「でもさ、霊夢も何か言わないと。じゃないと魔理沙も怒りっぱなしだと思うよー?」
アリス「そうよそうよ。友達は大切にすべきよ、霊夢?」
霊夢「別には私はアイツと友人でもなんでも……えーいっ」
しかし、そんな霊夢の態度では魔理沙は勿論周囲の穏健派なチームメイトも納得しない。
無言を貫き通す霊夢の態度に対しても、少しずつ非難が集まっていく。
森崎「(おっ。これは俺のキャプテン就任のチャンスか?)」
そんな騒ぎを楽しむ者も約一名程度はいたが、多くの者はこんな空気が愉快な筈が無い。
霊夢も堪忍したのか、俯きながら苦々しげに言葉を紡いで行く。
霊夢「……悪かったわよ。でも、少し言い出しづらくってさ。
アンタのその、新シュートを決めてアホみたいに喜んでる姿を見てると」
魔理沙「……アホで悪かったな。お前、試合後屋上な」
霊夢「どこの屋上よ。大体幻想郷で屋上のある建物も珍しいっつの。……紅魔館くらい?」
魔理沙「プリズムリバーの廃洋館には確かあったぜ。日向ぼっこくらいしか出来ない狭さだけどな。
地霊殿はダメだ。早苗が子どもの頃良く行ってたらしいネズミの王国の城みたいな、とんがった屋根しかない」
霊夢「ネズミの王国? 外の世界にもネズミの獣人は居るのねー。そういやネズミと言ったら、私の神社にもナズーリンが……」
512 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2015/05/10(日) 23:36:36 ID:???
中里「……オホン。二人とも、話がズレてはおるまいか」
霊夢「――あ。そうだった」
衣玖「(私の空気読みポジションが中里さんに取られた……! 汚いです流石忍者汚い!?)」
……とはいえ。この辺りは普段の惚けた二人。
いざ口を開けばいつもののんびりとしたムードに戻りつつはあるのだが――。
しかし、このままお茶を濁してはいけない事は霊夢にとっても百も承知。
霊夢は勇気を持って魔理沙に向き合って。そして彼女に対し、こう過酷な事実を突きつけた。
霊夢「……魔理沙。あのシュート――『ファイナルスパーク』はどうしようも無い失敗作よ。
貴女はあれ以上、あのシュートを撃ってはいけない。さもないと、あんた……死ぬわよ」
魔理沙「な。……失敗、作? 私があれだけ頑張って作ったシュートが……失敗作だって……?」
513 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2015/05/10(日) 23:41:18 ID:???
ドドリア「あんた死ぬわよ!!」
――と、言ったところで、今日の更新は今度こそここまでです。
明日は勇儀姐さんのターンになると思います。
>>508
乙ロットありがとうございます。意図せずともそうなってますねw
>>509
ファイナルスパークは消費が大きいので実際は大丈夫ですw
実際だと撃てて精々3発程度でしょうか。
それでは、皆様、本日もお疲れ様でした。
514 :
森崎名無しさん
:2015/05/11(月) 01:26:55 ID:???
魔理沙「撃ち続けると死ぬ必殺技……まさに主人公じゃないか!
これはあれか! 体を鍛えるか、改良して負担が掛からない技にするフラグだな!
そうだな、ネオファイナルスパークとかどうだろう!?」
霊夢「長い、やり直し」
アリス「霊夢論点が違うわ!」
アリス→(私たちずっと、ずっーと友達よね!)→森崎
萃香→(約束破ったら拐うからね)→森崎
勇儀→(新必殺で必ず倒す)→森崎
魔理沙→(好敵手)→森崎
紫→(早く壊れなさい)→森崎
霊夢→(魔理沙や中山君に影響与えた原因)→森崎
なるほど、モテモテだね森崎!
なんていうかアリスさんが不憫ね、あややとにとりには遠く及ばないけど
友達発言してから会ってないし、顔だしてみたいけど、カツカツなんですよねえ
ともあれ、乙なのです! 霊夢さん優しい
515 :
森崎名無しさん
:2015/05/11(月) 01:45:37 ID:???
乙です
自らの身体を犠牲にしつつも撃てる最強クラスのシュート・・・最高じゃないか
自分に大ダメージだが相手にも大ダメージ系統の技って大好きなのよ
まぁ計算したうえで使うのが前提だけど
あ、このままもう一発ファイナル撃って決勝出てこなくなっても別にいいのよ?
その方が勝ちやすいし(ゲス顔)
516 :
森崎名無しさん
:2015/05/11(月) 02:10:13 ID:???
鈴仙さんもこの試合見ているんだよね?
なら医者(の卵)として、今の無茶は見過ごせない。魔理沙の体を診させてもらうわ
私の腕が信用できないというなら、師匠に診てもらうといいわ
とかもありなのかな?
鈴仙さんは霊夢さんのように気づきはしないか
517 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2015/05/12(火) 00:32:30 ID:???
こんばんは、今日は少しだけですが更新します。
>>514
乙ありがとうございます! アリスさんも仲良くなれば心強い味方になりますね。
森崎は何だかんだで人を惹きつける人柄だと思っています。
>>515
乙ありがとうございます。流石にこれで足壊して決勝出れませんはないですねw
>>516
鈴仙も気づきはしますが、解決法は魔理沙がファイナルスパークを二度と撃たない事なので、
治せる治せないの次元じゃないですね。
あと、これ以上撃ったら死ぬとか書いちゃいましたが、実際はもうちょっと猶予はありますし、
最悪でも死にません。ドドリア「あんた死ぬわよ!」がやりたかっただけだったりします(汗)
518 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2015/05/12(火) 00:34:00 ID:???
*****
鈴仙「えっ。失敗作……? あれが、ですか?!」
同じころ、観客席にて試合を観戦していた鈴仙達ルナティックス一行。
これまでずっと無言だった永琳が静かにそうつぶやいたのを聞いて、鈴仙は大きく驚いた。
永琳「そう。失敗作。霧雨魔理沙の『ファイナルスパーク』には、どうしようも無い欠点があるわ」
佳歩「えっと……。ホントですか、お師匠様?
私が眩しい中目を凝らしていた限りだと、あのシュートは威力は勿論、精度にも問題が無さそうでしたが……」
てゐ「八雲紫の手下の狐からパク……失敬した新型式神スカウターによると、
あのシュートの威力は星熊勇儀の『三歩必殺』とほぼ互角。
鬼ですら、あんなに制約だらけの状況下じゃないと撃てない威力のシュートが、
人間のひよっこ小娘はどこでも撃てる……ってのは、確かに都合良すぎだけどねぇ」
鈴仙も内心では佳歩やてゐと同意見だった。
確かに、如何に魔理沙が努力を重ねたとはいえ今のシュートは強力すぎる。
それで何の弱点も無いと言うのであれば都合がよすぎる。
しかしその一方で、鈴仙が実際にシュートを見た限りでは、実際の威力や精度には全く問題が無かった。
鈴仙「――いったい、どこが欠陥なんでしょうか。霧雨魔理沙のシュートは……」
中山「……分かった」
鈴仙の素朴な疑問に答えたのは――永琳では無く、不意に口を開いた中山だった。
彼はごくシンプルな回答を出した。
519 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2015/05/12(火) 00:35:45 ID:???
中山「……あのシュートは、そもそも人間が撃てるような代物じゃない。
要するに彼女は間違って。あまりに強力すぎて、自分でも撃てないようなシュートを編み出してしまった。
――そういう事ではないだろうか?」
永琳「ご名答。正確に言えば――」
中山の発言に永琳が頷いた。そして永琳は鈴仙達に向かって医学的な観点から講釈を入れる。
その結論は、当の霧雨魔理沙本人にとって、非常に痛ましい物である事は想像に難く無かった。
*****
霊夢「……ってこと。分かった? つまりあのシュートは、あんたの脚で蹴り出せる限界を軽く三周は超えてる。
物理的には勿論、魔術的にも無理。道理を無理で捻じ曲げてるから、足に掛かる負担もバカみたいに大きい。
だから――このシュートを撃つ事は即ち、自分で自分のサッカー寿命をガリガリ削っているようなモンって事。
次かその次か。はたまたその次かは分からないけれど……魔理沙。
――このシュートに頼っていたら、アンタは遠くない将来、いつか必ず破滅する。身に持て余る力の、あまりの大きさにね」
魔理沙「ど、どうしてそんな事がお前に分かるんだよ……。医者がそう言ってたのかよ……」
霊夢「道理で考えれば一発よ。あの永琳だって、今のシュートを見れば、さっきの私と全く同じ事を言うと思うわ」
魔理沙「マジかよ……」
場面は再び博麗連合の控室に戻る。
魔理沙は霊夢の説明をあらかた聞き終わって、いよいよ怒るよりも先に落ち込んでいた。
霊夢の発言を嘘と決めつけて跳ね返す事も出来た。
しかし魔理沙には、珍しく声を荒げつつも理路整然と説明を行う霊夢の真剣な顔を見てもなお、
それを嘘八百だと笑い飛ばす程の強い神経は持ち合わせていなかった。
520 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2015/05/12(火) 00:36:58 ID:???
霊夢「……幸い。さとりが相手だったら、アンタはPA外の『マスタースパーク』で充分決められるわ。
レミリアんとこのヘンな中国人は良く分かんないけど、『ブレイジングスター』や『ドラゴンメテオ』と、
幅広い攻め手と豊富すぎる体力がある、アンタの方が最終的に有利になる。
で、私は決勝の相手は鈴仙達永遠亭ルナティックスになると思うけど。
輝夜は永琳に頼るのと、ヘンなファンを世界中から掻き集める事位しか能が無いから、
永琳にもファンにも頼れない一対一を仕掛けてやったら良い。
――ほらね? 『ファイナルスパーク』に拘らなくても、魔理沙。アンタは充分活躍出来るわよ」
魔理沙「(………………)」
霊夢は語気を和らげ、現実的な問題を交えつつ、
魔理沙には『ファイナルスパーク』を使わずとも活躍出来る道があるのだと言う事を冷静に示していく。
感情的で荒っぽくはあるが、魔理沙とていっぱしの魔法使い。魔法使いは理を何よりも好む種族。
だから、論理に基づいた正確な事実を告げれば、きっと納得してくれるだろう。
そう考えての事でもあったが、果たしてそれは効果があった。
魔理沙は落ち着いた様子で深々と白黒の山高帽をぎゅっと被りなおして告げる。
魔理沙「……分かったよ、霊夢。私、もうアレは撃たない」
霊夢「魔理沙。……分かってくれたのね」
いくら本人が取り繕おうとも、この時の霊夢の口調は心底穏やかで優しげだった。
もしかしたら、霊夢は不安だったのかもしれない。
森崎という謎の外来人が現れて、魔理沙は最近、その外来人の生き方に心を惹かれていた。
そしてその結果、魔理沙は自ら破滅の道を進みつつあった。
魔理沙「――さ。作戦練ろうぜ。次は私達のキックオフだ。アリスの一人ワンツーを使うのも良いかもな。
針妙丸は結構疲れたろうし、敢えて衣玖。お前がロングパスをするってのも……」
521 :
森崎名無しさん
:2015/05/12(火) 00:42:23 ID:???
ヘンなファンを世界中から掻き集める程度の能力
522 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2015/05/12(火) 00:52:02 ID:???
しかし、今ここで霊夢の説得を聞き入れた魔理沙は、
まるで憑き物が落ちたかのように、朗らかかつ熱心にミーティングを先導している。
そんな魔理沙の姿を見ていた霊夢の口元は緩んでおり、どことなく安心しているように森崎には見えた。
魔理沙「……………」
森崎「………ん?」
ふと、森崎と魔理沙の目が合った。彼女は森崎に対して、こう問いかけているように見えた。
――どうする。お前だったら……?
森崎はそんな彼女の強さの中に不安が見え隠れた表情を見て鼻で笑った。
彼はじっとり目線を飛ばして、こう答えてやる事にした。
――俺はお前みたいなヘマはしないよ。一緒にすんな、バーーーーカ。
魔理沙の返答は森崎にはどうでも良かった。
彼はもう既に、先程おぞましいまでの殺気を向けて来た勇儀のシュートをどう受け止めるか。
どうやって挑発して、あの偉そうな大女の角を、いや鼻を明かしてやろうかとウキウキしていた。
森崎はこの時、霊夢の魔理沙に対する説教を横で聞きながら、
自分は決して魔理沙のような惨めな目には遭いたくない。いや、決して遭わないと根拠も無く確信していた。
*****
中山「(凡人が凡人の限界を越えた代償による、身体の崩壊か……)」
一方で、永琳の話を聞いた中山は。
彼のとある親友の姿を先の不幸な少女と重ね合わせ――口に出来ぬ不安を覚えていた。
523 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2015/05/12(火) 00:53:54 ID:???
……と、言ったところで今日の更新はここまでです。
>>521
かぐや姫特有の男を寄せ付ける魅力ですね(違)
それでは皆さま、本日もお疲れ様でした。
524 :
森崎名無しさん
:2015/05/12(火) 08:37:33 ID:???
霊夢さんの姫様に対するイメージが(笑)
変なファンを世界中からかき集めるくらいとか
ゴールを冥王星に投げたりしただろ、いい加減にしろ!
乙なのです
525 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2015/05/13(水) 00:37:11 ID:???
こんばんは、更新を再開します。
随分とNPCシーンが長くなってしまい申し訳ないですが、たぶん次回か次々回の更新には終わると思います(汗)
>>524
乙ありがとうございます。ゴールを冥王星は忘れてました(爆)
実際問題、ゴールをブン投げる腕力があれば一人でもかなり凄いGKな気がしますね。
526 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2015/05/13(水) 00:40:16 ID:???
――ピィイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイッ!!
そして後半戦のホイッスル。
博麗連合のキックオフから始まる後半戦だったが、
派手好きの魔理沙は『ファイナルスパーク』をのっけからぶちかます……という事はしなかった。
得意の直線的かつ『強引なドリブル』で地霊殿の中盤を突破しつつも、最初に言った作戦通りに、
アリスや針妙丸と言ったサイドの駒にもしっかりと頼り、独断専行はしない。
さとり「(――流石に50メートルもの距離だと不利と踏んだのか。
それとも、単純に体力を温存しているのか。この距離だと心は読めないけれど……何となく不気味ね)」
魔理沙「一旦頼むぜ、アリス!」
バシッ……!
アリス「はっ。ま、魔理沙!? 私の事覚えててくれたのね!」
魔理沙「当たり前だろ。そりゃあ最近、忙しくて冷やかしには来てないけど……でも。
私たち、何だかんだで友達だろ?」
アリス「魔理沙…………それ、って……!?」
そして後半5分、魔理沙は大きく上がってアリスにスルーパスを要求する。
この時アリスはプライベートな事情で舞い上がっていたが、それを邪魔する影もあった。
――タッ。
松山「あにきぃ……こいつ、友達なんかで喜んでるよ? バカだろ? どうせ裏切られるのにさ!」
アリス「――貴女は、何も分かっていない……!」
グワァァッ、バギュン!
527 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2015/05/13(水) 00:41:36 ID:???
実況「アリス選手パスを出した! これはもしや〜〜〜〜!?」
松山「分かるさ。お前も俺達と一緒に地獄に堕ちる事でしか幸せになれない。
今謝って俺達の仲間になるっていうなら、兄貴の旨い麻婆豆腐を食わせてやるぜ? ……それっ!」
バァァァッァッ!
実況「後半戦、矢車選手から交代した松山選手がパスカットに出た!
この広いスペースを使った上手いパスカットは矢車選手には無い、彼だけの必殺技!
素晴らしい精度を誇りますが……!?」
アリス「――魔理沙がこの先私を裏切ったとしても、裏切る前までは友達で居てくれた。
こんな贅沢な事実に、貴方達兄弟はどうして満足できないのかしらっ!?」
パァァッンッ!
松山「なっ、ボールが更に跳ねた!?(そして……こいつはもしかして。俺達以上の地獄を味わったというのか……!?)」
実況「やはり、やはりアリス選手の二段スピンパス、『アーティクルサクリファイス』には敵わない!
幻想郷でも一級のパサーであるアリス選手のパスは……ペナルティエリア前の魔理沙選手に渡ります!」
魔理沙「いや……別に私は裏切らないからな? 本やらマジックアイテムやらを返す約束は多分裏切るけど。
まぁいいや、折角の得点チャンスだ!!」
グワァァァァァァァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!
霊夢「………魔理沙」
魔理沙「……分かってるって。私は理のある勝負を捨てる程バカじゃない。さっきのが特例だ。
だからここで決めてやるよ! 恋符……『マスタースパーク』ッ!」
バッ、ゴオオオオオオオオオンッ!! ――ビイイイイイ………ンン!!
528 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2015/05/13(水) 00:44:00 ID:???
さとり「(さっきのシュートとは違うけれど、やはり凄い威力……!)――止めます!」
バッ!
魔理沙はここで、霊夢との会話通りに、ペナルティエリア外で『マスタースパーク』を放った。
元々レミリアの『マスターオブレッドサン』にも並ぶと評された威力の元祖必殺シュートは今も衰えず強い。
先程の『ファイナルスパーク』とは比べては大きく劣るが、それでも充分さとりの守るゴールを抜くには充分。
現に、そのシュートはすでにブロックに出ていたこいしやキスメをふっとばし、さとりの鼻先にまで一瞬で近づいて――。
――ドガッ! ……グッ、ググッ……。 バァァァァァァァアッ!
さとり「……と、め……られない……!?(――そんな! 辛うじて防げると思ったのに……!!
これが、追い詰められた主人公の力だと言うの………!?)」
ズバァァッ、ピピィイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイッ!!
――そして、全力のパンチングに出たさとりを吹き飛ばして、呆気なく魔理沙は2点目を決めてしまう。
無論、『呆気なく』とは傍目から見た印象であり。
実際にボールを受け止めたさとり達は、それ以上の運命めいた意志の力を感じていたが。
博麗連合2015 3 − 0 地霊殿サブタレイニアンローゼス
529 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2015/05/13(水) 00:45:24 ID:???
針妙丸「おおーっ。やったね! やっぱり霊夢の言う通りだ!
ちゃーんと頭を使えば、ヘンな新技使わなくってもゴールは充分決められるんだね!!」
魔理沙「………ああ。そうだな」
異変後に博麗神社でお世話になっていたからか、チームの中でも取り分け霊夢派の針妙丸は、
魔理沙のゴールを霊夢の冷静な説得のお蔭だと考えているようだった。
そんな単純な小人の頭を魔理沙はやや雑に撫でつけると、静かな笑顔で仲間達の方へと向かっていく。
霊夢「………………ちょっと、まり」
霊夢は暫く、そんな魔理沙の落ち着いた様子を寂しげに見つめていた。
そのおり、魔理沙が自分に対し手を高くに差し出す――ハイタッチを求めている時に、
霊夢はふと言葉を出そうと声を挙げる。その時だった。
――ドゴオオオオオンッ! バリバリバリバリバリバリッ!!
霊夢「……な、何ごと!?」
大地が真っ二つに裂ける勢いの地響きと、天が落っこちてくるような勢いの雷鳴で、霊夢の小さな声は掻き消された。
代わりに、そのフィールドに巻き起こった台風の目となった背の高い女はこう言った。
勇儀「そうか! やーーーっと思いついたぞ!! ああすれば、あの森崎とやらを殺せるのか!!」
530 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2015/05/13(水) 00:49:10 ID:???
先程の天変地異は、鬼の四天王たる勇儀が唐突に挙げた叫び声だったようだ。
物語に示されたとおり、鬼は吐息で天を凍てつかせ、怒声で地を砕くのが常識ではあるが、
常識外れの大鬼は、感嘆符一つで天地をひっくり返す事ができるらしい。
萃香「ちょっと勇儀、メーワクだよメーワク。観客さんが百人単位で、ショック死してるじゃないか」
勇儀「なにィ? たったの百人程度誤差だろうに。私らが居なくなったせいで、地球には人間が何人になったと思う?
70億だよ70億。そのうちちょっと死んだところで、世界は変わりゃしないさ。
――あと誤解の無いように言っとくと、観客は気絶しただけで死んでないからな」
ウサギC(観客席)「ガチで死んでたらネタでもシャレにならないからね〜……」
ウサギB(観客席)「誰に対して言ったの、Cちゃん?」
萃香「あれ、そうだっけ? 嘘ついちゃったなー私。たはは」
勇儀「全く、お前さんは昔から嘘を吐くから良く無い。鬼たるもの、嘘を真実にする位やってみせなよ」
萃香「駄目だよ。若島津健は強靭な精神力でスクラップの妖怪として存命してるし、
河城にとりは緊急脱出ポッドで月まで逃げたからたぶん無事だ。この物語で人死には絶対に出ないし出させないよ。
……これだけは、鬼の矜持に従って誓う」
勇儀「全く、萃香も甘くなったモンだねぇ。まあ、それも一興か! 血の溶け込んだ酒は旨く無いからねぇ!」
531 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2015/05/13(水) 00:50:57 ID:???
霊夢「っていうか。そんな簡単に人を殺しでもしたらマジでボコすからね。
アンタら鬼が軽く騒いだだけでも、こっちとしては大異変だから」
……そして、霊夢の冷静なツッコミがスルーさてしまう程に、鬼達の会話は更に非常識かつ雲上の世界だった。
人間にも分かるように翻訳すると、勇儀は宣言通り森崎を殺し得る新技をたった今思いついたらしい。
そして、この次のキックオフ以降でその技をやる、とのことだった。
森崎「(……まあ、殺すは流石にジョークだと思うが。これだけ大口叩いてる奴のシュートを防いで、
逆にヤツらを嘘つき呼ばわりするのも悪くねぇか……)」
――そして、自分のあずかり知らぬところで、大々的に殺害予告が行われているにも関わらず。
引きながらもこうして挑発文句を既に考え始めている森崎は大物だった。
……もっとも、そんな彼でさえ、『鬼は嘘を吐かない』という基本的な妖怪のルールを失念しており、
そして、星熊勇儀はそんな鬼の中でも最も嘘が嫌いな部類であるという事までは知らなかったようであるが。
勇儀「……早くキックオフしようぜ。もう待ちきれないよ。早くボールを出しとくれ」
静かな殺気を審判に漂わせ、勇儀はキックオフを催促する。
古明地さとりは霧雨魔理沙に敗北した。しかし。星熊勇儀と森崎有三の勝負は、これから始まったばかりだった。
532 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2015/05/13(水) 00:54:45 ID:???
……と、言ったところで今日の更新はここまでです。
勇儀姐さんがかなり物騒な事を言ってますが、スケールのデカい冗談(嘘とは言ってない)という事で大目に見てくれれば幸いです。
多分本人もそこまで殺す気はありません。……たぶん。
それでは、皆様、本日もお疲れ様でした。
533 :
森崎名無しさん
:2015/05/13(水) 00:58:11 ID:???
乙です。
とうとう予告殺人シュートの使い手が現れるのか・・・
レヴィンシュートの強化版かな?
534 :
森崎名無しさん
:2015/05/13(水) 20:44:13 ID:???
ファイナルスパークマイルドの開発を急ごう
535 :
森崎名無しさん
:2015/05/13(水) 22:01:32 ID:???
>この物語で人死には絶対に出ないし出させないよ
でも中西くんは死んだよね…w
536 :
森崎名無しさん
:2015/05/14(木) 21:53:47 ID:???
>河城にとりは緊急脱出ポッドで月まで逃げたからたぶん無事だ
ブローリン「どこへいくんだぁ?」
にとり「ひゅいいいいい!!ぶ、ブローリンくんと一緒に避難する準備だよぉ…」
ブローリン「一人用のPODでかあ?」
537 :
森崎名無しさん
:2015/05/14(木) 23:36:30 ID:???
ファイナルスパーク撃てるようになるまで筋肉をつけよう
そして上位技のマッスルスパークを習得するんだ
538 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2015/05/15(金) 00:32:22 ID:???
こんばんは、昨日は忙しかったので更新できませんでしたが、
今日は暇が空いたので更新します。今日も文章のみです。明日はちょっと選択を出せるかもです。
>>533
乙ありがとうございます。
そういえばキャプ翼原作の時点で、レヴィンが赤井とかの名前プレートにシュート撃ちこんでましたね…w
シュートは純粋に威力系ですね。
>>534
もうちょっとだけかかりますね。亀仙人的な意味で。
>>535
物語の始まる前に死んでたという事でひとつ…(汗)
鬼はウソ付きじゃない、まちがいをするだけなんです。
>>536
緊急時にまで人間と一緒に避難する準備を整えるにとりは盟友の鑑ですね。
539 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2015/05/15(金) 00:34:23 ID:???
ピッ、ピリョッ、ピィイィイイイイッ……!
そして、審判は鬼の威圧に怯えながらも勇気を出してホイッスルを鳴らした。
勇儀「どきな、森崎の前座ども! 怪輪「地獄の苦輪」ッ!」
ダッ、ドドドドドドドドッ……!!
魔理沙「誰が前座だ! そっちこそ喰らえっ、魔符・『スターダストレヴァリエ』!!」
ズザアアアアアアーーーッ!
勇儀「やるねぇ、死をも恐れぬその猛進! だけどね――今のアンタじゃ、私には勝てないよ!」
ドッ……ゴオオオオオッ!!
魔理沙「ぐっ……!」
小町「ああっ、魔理沙! くそっ、あたいがフォローでなく、タックルに行ってたら……!?」
衣玖「(最初からスタスタ逃げてたクセに、良くあんな事が言えますね……)」
勇儀は森崎をさっき閃いた新シュートで殺すという、様々な意味で前代未聞の予告通り、
魔理沙の鋭いタックルをかいくぐり(小町がフォローと称してサボってなかったら奪われていただろうが)、
猛然とフィールド中盤を突破していく。
アリス「(――新シュートとやらは、『三歩必殺』のような長距離の踏み出しが不要なのね。厄介そう)」
霊夢「くっ……! 相変わらずの怪力バカね! でもね、その位のドリブルだったら……!!」
勇儀「バカはそっちだよ、巫女! 生憎と私は戦う事も好きだが――勝つことも好きだからねッ!」
540 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2015/05/15(金) 00:35:41 ID:???
森崎「おいおい……お約束なのか? こういう時にフィールダー連中がこぞって使えないのはよ!」
グッ!
萃香「良かったな、森崎! 勇儀があんなに楽しそうな顔してたの、久しぶりに見たよ。
こりゃあ私もお邪魔になるかな……とか、なんてね。私も仲間に入れてくれよ!!」
バッ!!
天子「あっ。私も仲間外れにしないでよね!」
タッ……!
森崎「ちっ。勝手なヤツラめ。ちょっとは緊張感を持てよ……」
このお燐の突破を前に、残された森崎以外の博麗連合のDF陣も、
来たるべき未知の大型シュートを前に士気を高揚させて各々ブロックへと向かう。
そしてお燐がソツの無いパスで衣玖のパスカットを掻い潜り、勇儀の足元にボールを運ぶと、
周囲の緊張感は爆発的に増した。
勇儀「ようし。これでお膳立ては整ったね」
森崎「何言ってやがる、口でベラベラと。弱いヤツこそ強さを口で説明したがるモンだぜ」
勇儀「あっは。流石は森崎! 良い事を言うじゃないか……!」
ペナルティエリアの手前で森崎と勇儀は対峙する。
萃香や天子のような周囲の優秀なDFすら、その二人を包む異様な闘気に割り入る事ができない。
永遠にも近い一瞬が流れた後、勇儀はその右脚を大きく振り抜いた。
541 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2015/05/15(金) 00:40:36 ID:???
――――グワアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!
実況「勇儀選手大きく右脚を上げた! これは一見すると、
燃費と使い勝手はともかく威力は劣る、『大江山嵐』のフォームにも見えますが……!?」
さとり「(勇儀さんの新技とやらの理屈は、ハッキリ言ってメチャクチャでした。
あんなのを初見の思いつきで成功させるなんて、彼女じゃなければ妄言としか思えないけれど……)」
――グルウウウウウウウウウンッ!
さとりを始めとする地霊殿サブタレイニアンローゼスの面々の心配をよそに、
勇儀は普段通り左脚を軸にして、回し蹴りの要領で右脚をグルンと一周させていく。
ここまでは実況の言う通り、『大江山嵐』と全く同じ動き。
確かに強力なシュートであるが、それで森崎の守りを突破するのは難しいように思える。
――だが、そこからが違った。
グァァァッ!――グルウウウウウウウウウンッ!
――グルウウウウウウウウウンッ!――グルウウウウウウウウウンッ!
………ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ!!
勇儀は一周の回転を終えた後……シュートに行かず、更に回転を繰り返し始めたのだ。
倍速、三倍速、四倍速で、二度、三度、四度――。
やがて鬼が繰り出す回転は竜巻となってフィールド上に聳えたった。
542 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2015/05/15(金) 00:42:06 ID:???
勇儀「――『三歩必殺』は三歩の踏み出しが必要で、キックオフやフリーキックじゃないと撃てない!
一方『大江山嵐』は即座の回転からシュートを放つから、そこまで高い威力を出す事はできない!」
ならば簡単! その二つの利点を総取りすれば良いんだ! 見てな森崎!!」
ド ン!
ド ン!!
その後、竜巻に囚われて高空数百メートルに飛んだボールに向かって、勇儀は大きくジャンプ。
そして発生した上昇気流に乗って勇儀は空気を踏んで一段、二段と大気を踏み固めながら、
空気の階段を宇宙に向かって跳んで行く。
森崎「……こいつ、何やってるんだ。 バカか? バカなのか?」
萃香「――成程ね。確かにそれなら誰も邪魔されない上に、威力の減衰も問題にならない。勇儀も中々頭が回るね」
勇儀の周囲で酸素が燃え、モリヤスタジアムのフィールドの一部に真っ黒な穴が開く。
そんな中、真っ白い一陣の光の筋が天からゴールに向かって舞い降りた。
それは雷というよりは、天からの裁きと表現する方が正確だった。
勇儀「これが私の新兵器! 倍速トルネードで竜巻を発生させ、
横軸ではなく縦軸に向かって三歩を踏み出し蹴り抜いた新・四天王奥義。
名付けて……『零歩必殺嵐』だーーーーーーーッ!!」
カ ッ!
543 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2015/05/15(金) 00:43:16 ID:???
ドゴオオオオオン! バギュウウウウッ!!ドッゴォ!
バリバリ!! バリバ リ!!ドッゴォオオオ オオオオオオオオオオンッ!!
ドゴォリバグギャ グ ギャグギャワワアアアアアアアアン!!!
グォォ ォォォォ ォォオオオオ!!!!!!!
リバリバリッ!ゴゴゴッ! グシャアアアアアアア!!!!!
バシュウウ ゴゴゴゴゴゴウウウウウウウウウウウッ!!バリバリ!!!
ュウウウウア!!! ャグギャグギャグギャワワアアアアアアアアン!!!
ボオオオオオオオオオオン!! チュドォオオオオオオオオオオオオオオオン!!
ギャアアアアアアアアアアアアアッ! ギュウウウウウウウッ! ドゴオオオオオオオウウウウウ
グギャグギャドゴオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!
ドドドドドドドドドドドドドド
グギャグギャグギャグギャグギャワワアアアアアアアアン!!!
ボオオオオオオオオオオン!! チュドォオオオオオオオオオオオオオオオン!!
ウウウウウウウウウウウウウウウウッ!!バリバリ!!!
ュウウウウウウウウウ ウウウウウウウウウッ!!
グギャグギャグギャグギギャァァァアッ!!
544 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2015/05/15(金) 00:44:28 ID:???
光が煌めいてから数秒後に、耳をつんざく轟音が走った。
地球上の兵器を全て爆発させたかのような慈悲無き威力のシュートが、狙い違わず森崎の頭上へと落ちて来る。
光の中で、重力波を纏いブラックホールと化したシュートはどす黒い。
天子「ふ、ふん! この程度じゃないと面白く無いわね! この私がブロック……できないっ!?」
萃香「『ミッシングパワー』ーーーッ! ……じゃ、やっぱり力不足か。くそっ!」
ゴゴゴゴゴゴゴッ……! ドオオオオオオン!!
ブロックに向かった博麗連合のDF――天子と萃香は幻想郷でも指折りの実力者であるにも関わらず、
竜巻と熱線と重力波の三重苦が伴う地獄のシュートに全く太刀打ちできなかった。
ブロックを試みるも、その外周で阻まれて大きく吹き飛ばされてしまう。
お燐「(マジで初見の思いつきで、こんなの決めちゃうなんて。やっぱり鬼はヤバイよ……)」
松山「あーあ、いいよなぁ……才能があるヤツは。どぉせ俺なんか……」
小町「いやー、あたいはFWで良かったなァ。あんなシュート御免すぎるよ」
針妙丸「わ、私がブロックに出てればアイツ(勇儀)の目をちくちくして邪魔できたのに〜!?(※反則です)」
地霊殿サブタレイニアンローゼスのメンバー、博麗連合のメンバーともに、
その信じがたい威力のシュートを眼の前に恐れるしかなかった。
太古から人と共にあり、単純にその圧倒的な力のみで人に恐怖を齎して来た鬼の全力は、それほどの物だった。
ただし、例外も三名程居た。
545 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2015/05/15(金) 00:46:00 ID:???
魔理沙「(……! 私の『ファイナルスパーク』と、大して変わらない威力だ……!
いやむしろ、コンディションによっては私の方が上かも……!!)」
身を滅ぼす危険と引き換えに、勇儀にも負けない超絶的な威力を秘めたシュートを持つ主人公・霧雨魔理沙。
霊夢「(……なんか。止まるような気がする)」
未来予知的な勘により、シュートの行く末を何となく察知してしまった天才・博麗霊夢。
そしてもう一人。
森崎「……よし! ここで止めてあのデカブツ女に恥をかかせてやる!!」
――極めて幼児的な理由だが、しかし油断ならないまでの執念さで、数多のシュートを防いで来た覇王・森崎有三。
辞書にある不可能という文字を黒塗りして唾を吹きかける度胸の持ち主である彼は、今頃この程度のシュートで諦めはしない。
彼は宇宙からボールが降り注ぐまでの三秒間でシュートの最終的な威力を分析し、そして最善手を考え付き実行した。
森崎「(時間が無いから超モリサキにはなれん。だが、良く見たらあのシュートは相当な見かけ倒し!
大気圏で燃え尽きて、地上に来る頃にはボールは真っ黒焦げだから、シュートコースは読みやすい!
威力も大気との摩擦で幾分削られている筈だ! だから威力的には前の『三歩必殺』と互角だろう!
この程度――!)そう何度も。いや、一度たりとも抜かれて堪るか……!」
バンッ!!
森崎は天高く飛んだ。シュートの閃光が森崎の天井にまで来ている。
そのまま両手を大きく伸ばした。彼が得意とする体力を消耗した全力のキャッチ――『がんばりセービング・改』の構えである。
数千度で燃え盛る太陽は熱く、愛用のキーパーグローブを少し焦がしてしまったが――それでも、森崎はめげない。恐れない。
むしろ、代わりに敵の喉笛にでも食らいつかんとする勢いである。
そして、星熊勇儀が世界一のストライカーだとしたら――この森崎有三は世界一の負けず嫌いだった。
546 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2015/05/15(金) 00:47:52 ID:???
――カッ! バリバリバリッ!!
森崎「何が鬼だ! 何が最強のシュートだ! こんなものは……この俺が、防いでやるッ!!」
ドガアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!
………メキ、メキメキ……!
森崎「ぐううっ……!(こ――腰が……!)」
空中で最後にひときわ大きな振動音。そしてそのすぐ次の瞬間。
勇儀「……なにィ?」
ドオオオオオオオオオオオオオオオオオンッ!
―――ドサッ……ポロリ。
――空中で起きた天変地異は全て雲散霧消し、代わりに森崎が天から落ちて来た。
今やすっかりその威力が喪なわれたボールと同時に。
それはつまり、森崎有三が、星熊勇儀の全力の必殺技を真正面から防いだ事を意味していた。
観客達は暫くその意味に気付けず、ポカンと静まり返っていたが――。
――ワアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!
すぐに、歓声が爆発した。
実況「な……なんとこれは! 凄い! これは……! 防いだ! 防いだ、防いだ〜〜!!
森崎選手がゴールを止めた〜〜〜!!
柔軟な体をバネのようにして、もはや一種の魔法か妖術染みた精神力を使った最強のセービング。
『がんばりセービング・改』により、星熊勇儀選手のシュートは弾かれてしまいました〜〜〜!!」
観客「な、なんだなんだなんだ〜〜!?」「アイツ、人間の分際で……!」「本当に人間か、アイツ!?」
「天才だろうな、少なくとも」「もっりさき! もっりさき!!」「もっりさき! もっりさき!!」
547 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2015/05/15(金) 00:53:37 ID:???
――森崎は地面に大の字に寝そべって軽口を叩きながら、
暫くは自身に振りかかる声援のシャワーを浴びて、心地よさそうに目を閉じていた。
ボールは自分の忠実な同僚である中里が、しっかりと前方へとクリアしていた。
勇儀「フフ……! 決められなかったのは悔しいが、森崎有三! 私はアンタに惚れ直したみたいだ。
今まで小細工を使って私の全力を防ぎに来た人間は腐るほどいたが、
まさか真正面から破りにいくのはアンタが生まれて初めてだ!
私は嘘は吐かん。だからいつかアンタを殺さなきゃいかんのが辛いが……! でも、とても楽しみになって来たよ!」
森崎「フン、負け犬が良く吼えるぜ。殺すなら今でも俺の首を捻れよ。簡単に殺せるぜ?」
勇儀「馬鹿にしないどくれ。力も才も無いにも関わらず鬼を正面から打ち負かした尊敬すべき相手、そう簡単に殺せるか。
私がアンタを殺る時は、互いに全力を出せる場――サッカーの試合中の攻防の時だけだ」
タッ……。
勇儀はそう森崎に言い残して、守備へと向かっていく。
森崎はそんな潔い勇儀の台詞すら見下すように、寝そべったままフンと鼻で笑ってみせた。
当初の望み通り、勇儀に恥をかかせる事は出来たか微妙ではあるが――それでも、不思議と悪い気はしなかった。
548 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2015/05/15(金) 00:57:53 ID:???
……と、言ったところで今日の更新はここまでです。
明日こそ試合が終わり、聖徳戦にかかるイベントも入れられればと思っています。
>>537
マッスルインフェルノとマッスルリベンジャーも覚えないといけませんね…w
というかヘタしたら筋肉鍛えても心臓病で死にそうです。
それでは、皆様、本日もお疲れ様でした。
549 :
森崎名無しさん
:2015/05/15(金) 01:05:28 ID:???
気のせいかもしれませんが、
>>539
と
>>540
の間に勇儀のパス、お燐の突破あたりの描写があるような気がするのですが
勘違いでしたらすみません
森崎君も勇儀さんも魔理沙さんもすごいな
距離補正なしの三歩必殺、同威力のファイナルスパーク、それを止める超化なし森崎
鈴仙「……主人公、私よね?」
乙なのです!
550 :
森崎名無しさん
:2015/05/15(金) 08:46:51 ID:???
森崎、モテモテすぎてそのうち刺されるんじゃね?アリスさんあたりに
乙ロット!
551 :
森崎名無しさん
:2015/05/15(金) 20:54:01 ID:???
ボールを宇宙に出した。ボールをスペース(宇宙)に出した。
552 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2015/05/15(金) 22:54:28 ID:???
こんばんは、今日は少しだけになりますが更新します。
>>549
乙ありがとうございます。
これまで博麗チームについてはラスボスチームであるにも関わらず描写があまりなかったので、
ちょっとくどいかな? と思われても良いからやや多めに書いていますね。
鈴仙のターンはもうすぐ来るのでもう暫くお待ちください。
ちなみに描写からはとても信じられませんが、これでも鈴仙の『インビジブルデューパー』の方が
勇儀や魔理沙のシュートや森崎のセービングより強いです(びっくり)
文章についてはすみません、一部凡調かと思い描写を削った箇所があったのですが、
上手く治ってませんでした。次レスで修正版を投下します。
>>550
乙ロットありがとうございます。異世界ファンタジーによくあるハーレムものですね(違)
いや、ある意味正しいのかもですがw アリスさんが報われる日は来るのでしょうか。
>>551
空いたスペースを大事にするという、近代サッカーの理論を大事にした必殺技でしたね。
553 :
>>540修正版@鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2015/05/15(金) 22:56:40 ID:???
グワァァァッ、バコッ!
お燐「ほい来た! そんなら、あたいはあたいの仕事をさせて貰うよっ!」
タッ! クルンッ…! シュババババッ!
アリス「――くっ。全然都会派な動きじゃないわね!」
衣玖「わ、私の『龍魚ドリル』だったら……いや! ボランチの位置だとこれは、ギリギリ届かない……!?」
実況「勇儀選手、霊夢選手からは逃げのパス! 堅実にボールをお燐選手に繋ぎ……!
――そして、自慢のサイド際での必殺ドリブルでアリス選手や衣玖選手を翻弄!
あっという間にバイタルエリア付近へとボールを運びました〜!!」
森崎「おいおい……お約束なのか? こういう時にフィールダー連中がこぞって使えないのはよ!」
グッ!
萃香「良かったな、森崎! 勇儀があんなに楽しそうな顔してたの、久しぶりに見たよ。
こりゃあ私もお邪魔になるかな……とか、なんてね。私も仲間に入れてくれよ!!」
バッ!!
天子「あっ。私も仲間外れにしないでよね!」
タッ……!
森崎「ちっ。勝手なヤツラめ。ちょっとは緊張感を持てよ……」
554 :
>>540修正版その2@鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2015/05/15(金) 22:58:24 ID:???
このお燐の突破を前に、残された森崎以外の博麗連合のDF陣も、
来たるべき未知の大型シュートを前に士気を高揚させて各々ブロックへと向かう。
そしてお燐がソツの無いパスで衣玖のパスカットを掻い潜り、勇儀の足元にボールを運ぶと、
周囲の緊張感は爆発的に増した。
勇儀「ようし。これでお膳立ては整ったね」
森崎「何言ってやがる、口でベラベラと。弱いヤツこそ強さを口で説明したがるモンだぜ」
勇儀「あっは。流石は森崎! 良い事を言うじゃないか……!」
ペナルティエリアの手前で森崎と勇儀は対峙する。
萃香や天子のような周囲の優秀なDFすら、その二人を包む異様な闘気に割り入る事ができない。
永遠にも近い一瞬が流れた後、勇儀はその右脚を大きく振り抜いた。
―――――――――――――――――――――――――――――――――
と、言う風に
>>540
を脳内変更して頂ければ幸いです。(2レスになってしまいましたが)
次レスから、昨日の続きを投下させて頂きます。
555 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2015/05/15(金) 23:07:21 ID:???
星熊勇儀の豪快な新技は、森崎有三という謎の男のセービングにより破られた。
――そんな衝撃的な幕切れと共に、試合終了を待たずして、互いに矜持を持つ者同士の戦いは終わった。
『どのタイミング・場所からでも撃てる三歩必殺』という破格の新技・『零歩必殺嵐』すら破られた
地霊殿サブタレイニアンローゼスの士気は、口に出さずとも大きく落ちていた。
天子「ふっふーん! このまま『気炎万丈の剣』でバラバラに引き裂いてやるわ!!」
グワァァァッ、ドドドドドドドド、ドゴオオオオンッ!
さとり「……キスメさん、頼みます!」
キスメ「……!!」
ヒュ〜〜〜〜ッ、ガイーーーーンッ!!
天子「ちょ、ちょーーーい! なんで私のシュートが釣瓶落としに防がれるの〜!?」
実況「――後半28分、辛うじて弾かれた針妙丸選手のシュート『輝針剣』に対し、
勝手に後ろで張り付いていた天子選手がねじ込みに向かいましたが……これは通じない!」
――とはいえ、地霊殿もある程度は奮戦した。
確かに、中盤の支配力の差、そして勇儀やお燐、松山等主力選手の疲労もあって、
地霊殿サブタレイニアンローゼスのボール支配率は悲惨な事となっていた。
しかし、ゴールキーパーの古明地さとりは持ち前の精神力とリーダーシップで守備陣を鼓舞しており、
今のようにペナルティエリア外から飛んで来たミドルシュートであっても、仲間と連携して守り失点を回避していた。
556 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2015/05/15(金) 23:08:55 ID:???
空「勇儀さんのカタキー! くらえっ、『核反応制御不能ヘッド』ォーーーー!」
森崎「無駄だと……言ってるだろうが!!」
バァァァァッ、バシイイイイイイイイイイイイイイイッ!!
ただし、地霊殿が誇る高火力のFWは、いよいよ顕在した森崎の守備力の高さに依然苦戦していた。
空のシュートとて勇儀には劣るものの、並のチームではエース格の攻撃力を誇るにも関わらず、
森崎はその全力すら出さず、『がんばりダイビング』の多用で容易く切り抜ける。
無論、体力面の不安は各技のあまりの無茶な動きから容易に想像できたが……。
勇儀「もう一度決めてやるよ! この私の『零歩必殺嵐』で……」
萃香「甘いね勇儀!」
ジャラッ、ズザアアアアアアアアアアアッ! ポロッ!
勇儀「――な。これは『鬼縛りの鎖』! くそっ萃香、私にシュートを撃たせんとは卑怯だぞ!」
萃香「何言ってるんだ。こっちは限られたルールの中で全力を尽くしたまで。
誇りを捨てずとも、もうちょいと気楽に行きなよ、勇儀はさ!」
――森崎を支える博麗連合の守備陣もまた優秀。
ブロック一芸だけでなく、最低限以上のタックル技術と技を持つ萃香が勇儀をマークし撃たせず、
空へのセンタリングは中里が『縮地法』『韋駄天の術』などのパスカット技を発揮し通せない。
また、天子も攻めッ気たっぷりな所は玉に傷であるが、優秀なタックラーかつブロッカーである。
故に、手数で森崎を削る事や、一対一を挑む事すらも相成らない。
557 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2015/05/15(金) 23:11:16 ID:???
中盤は完敗。守備は辛うじて守るが、攻撃が振るわない。
そうしたジリ貧の状況が十分、二十分と続き――そして、後半ロスタイム。
霊夢「――魔理沙! ……お願いね」
バシュッ! ギュルルルルルルルルルルルルッ!
実況「出た〜! 霊夢選手自慢の、受け手に向かって追尾する必殺パス!
その性能から『博麗アミュレット』とも称されるホーミングパスを、魔理沙選手が受け取りました!」
魔理沙「……もう一発食らえ! これが私の……『マスタースパーク』だ!」
グワァァァッ、ドゴオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ! ビイイイイイイ………ンン!!
キスメ「……!」
ドガァァァッ!
ヤマメ「ちぇーっ。またひよったシュート? 最初のヤツでやれよー? ……ま、吹っ飛ぶんだけどさ」
バゴオオオッ!
こいし「ふふふ。あなたの無意識、面白いね!」
バゴオオオオオッ!
さとり「こ、こいし。皆……!(――距離は27メートル程度。私から魔理沙さんの心の声は聞こえない。でも……)」
―――ドゴオオオオオオオオオオオオッ! ズバァァァァァァァッ!!
558 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2015/05/15(金) 23:38:02 ID:???
魔理沙は霊夢のパスを受け、再度『ファイナルスパーク』ではなく『マスタースパーク』を放った。
この時点で、魔理沙だけで無く針妙丸や天子、
稀に霊夢のミドルシュートを幾度と受けていたさとりは疲労していたため、
今大会全体ではややパッとしない威力の『マスタースパーク』でも、充分有利な勝負という事は明らか。
そのため、運でも気力でも何でもなく、さとりがこうして吹き飛ばされるのは必然だった。
――ピィイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイッ!
ピッ、ピッ。ピィイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイッ!!
魔理沙「……うん、よし。 ……やったぜぇぇぇぇっ!!」
4点目のゴールと試合の終了を告げるホイッスルが鳴り、
魔理沙は彼女らしからぬ小さな声でそう呟いた後、大きく叫び直した。
その顔は一瞬だけ曇っていたが、すぐにいつも通りの傍若無人で大胆不敵な満面の笑みに変わっていた。
魔理沙のこの微妙な表情の変化は、あまりに一瞬だったが――それに気付かぬ者も居ないでもない。
その一例が、魔理沙のすぐ近くで無表情ながら敗北感を噛みしめていた、覚妖怪の少女だった。
さとりは魔理沙から比較的近くの距離でゴールを守っていたため、彼女の心の一端を読む事ができていた。
さとり「……魔理沙さん。貴女は今ゴールを決めた時、嬉しそうではなかった」
魔理沙「………」
さとりは魔理沙とすれ違いざまにそれだけ伝えた。魔理沙は黙って何も答えなかった。
その明るくも虚ろな目線の先には、先程自分をアシストしてくれた巫女の姿が映っていた。
彼女の姿を見て、この金髪の小柄な少女は何を想ったか。
さとり「(『私は、霊夢と並び立ちたかったのに……』――ですか。
彼女にとってはやはり、あの努力の成果である『ファイナルスパーク』こそが、大きな心の拠り所だったようね……)」
さとりは敢えて、魔理沙が何を想っていたかを口に出すのは避けるようにした。
それを伝えたら、彼女の中の何かが修復不可能なまでに壊れてしまうような気がしたからだ。
そのまま、さとりは敗者に相応しくとぼとぼと自チームの控室へと戻って行った。
559 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2015/05/15(金) 23:45:59 ID:???
霊夢「(――これで……良かったのよね)」
そして、心を読まずとも魔理沙の心境などお見通しの者は無力だった。
彼女は魔理沙の心の中身を知ってなお。
それとは無関係なごく当然かつ一般的な理を、自分の中で何度も繰り返す事しか出来なかった。
博麗連合2015 4 − 0 地霊殿サブタレイニアンローゼス 試合終了!
大会得点ランキング(表記はメインキャラのみ):
12ゴール レミリア
11ゴール 鈴仙
9ゴール フランドール、射命丸
8ゴール 魔理沙
7ゴール 勇儀
6ゴール 来生
5ゴール 屠自古、星、諏訪子
4ゴール 森崎、神子、反町、霊夢
3ゴール 早苗、謎の向日葵仮面
2ゴール 神奈子、ピエール、メルラン、天子、赤蛮奇、空、佳歩
1ゴール 妹紅、咲夜、美鈴、サニー、リリーB、ぬえ、響子、永琳
影狼、藍、幽々子、幽香、針妙丸、パチュリー、小田、椛、岬
大会アシストランキング(表記はメインキャラのみ):
6アシスト パチュリー、霊夢
5アシスト 小町
4アシスト てゐ、神子
3アシスト 早苗、ピエール、小悪魔、マミゾウ
2アシスト 森崎、反町、はたて、岬、空、お燐、ウサギB、レミリア、アリス
1アシスト 鈴仙、影狼、大妖精、橙、諏訪子、
衣玖、針妙丸、リリーW、ルナサ、ぬえ、永琳、妹紅
560 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2015/05/15(金) 23:55:50 ID:???
……と、いったところで今日の更新はここまでです。
皆様、本日もお疲れ様でした。
561 :
森崎名無しさん
:2015/05/16(土) 09:49:20 ID:???
乙でした。
さすがは主人公チーム。強い(確信)
森崎対策は、シュート連発なんだけど、まず削るのが難しそうだね。
562 :
森崎名無しさん
:2015/05/16(土) 15:33:17 ID:???
乙なのです
実際総合力は博麗の方が上だし、てゐをマークされて、中盤押し負けて支配されたら
シュートラッシュor一対一で完封+姫様炎上もありそう
563 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2015/05/16(土) 21:44:11 ID:???
こんばんは、今日もほんの少しだけですが更新します。
>>561
乙ありがとうございます。
森崎の弱点については明白なので、そのあたりの対策はしてきますね。
決勝戦はずっと続いて来た第一部のクライマックスですので、それにふさわしい強敵になればと思います。
>>562
乙ありがとうございます。
博麗チームはかなり強いですが、実は中山さん加入+仲間の成長で、総合力的にはほぼトントンだったりします。
なので、サンパウロ戦レベルの引きでもなければ、そう一方的な試合にはならないと思います。
564 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2015/05/16(土) 21:52:18 ID:???
鈴仙「――何と言うか。圧倒的な試合でしたね……」
永琳「そうね。でも……内容を見ると、地霊殿サブタレイニアンローゼスも決して悪くは無かった。
とりわけ、星熊勇儀はこの試合で大きく株を上げたでしょうね。
試合後半に見せたあの新必殺シュートは、霧雨魔理沙は勿論、レミリア・スカーレットにも真似できない。
彼女の全幻想郷選抜でのレギュラーは、ほぼ確定されたものね」
輝夜「あんなシュート、ウチらの試合中に思いつかれてたら今頃死んでたわよねー。ハハハ!」
慧音「笑ってみせるその豪胆さは尊敬するけれど。そんな恐ろしい想像、してくれるなよ……」
佳歩「それよりも、魔理沙さんのあの『ファイナルスパーク』。やっぱりもう使わないのかなぁ……」
ウサギB「もしも使われてたら、決定力は文句なしのSランクだろうけど。
少なくとも、もう無駄撃ちはしないと思うな。あの人間の魔法使い、意外と計算高いから」
中山「う〜む。パルスィさんにマンマークされていたから、
博麗霊夢……さんの出番があまり無かったのが少し残念だったか」
パスカル「にも関わらず、博麗連合は俺達がナカヤマ抜きとは言え3−2と苦戦した
地霊殿サブタレイニアンローゼス相手に、4−0で圧勝してしまったのは恐るべき事実だ」
試合終了後、鈴仙は観客席で永遠亭ルナティックスのメンバーと共に、試合の感想を口々に語り合っていた。
かつて苦戦した地霊殿サブタレイニアンローゼスの大敗は、ある意味では予想通りとはいえ、
メンバーに危機感と博麗連合というチームの強大さを教えるには充分だった。
鈴仙「まあ、とりあえず私達は明後日の準決勝も勝たないといけないんだけどね……」
しかし、博麗連合と対決できる権利を得る為に、鈴仙達はまず明後日の試合に勝利しなくてはならない。
全幻想郷選抜サッカー大会の決勝トーナメント準決勝戦。
謎と野心に満ち溢れた道士・豊聡耳神子率いる、聖徳ホウリューズとの試合の事である。
565 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2015/05/16(土) 21:55:52 ID:???
鈴仙「(パチュリーさんを故意に負傷させたり、来生君を疑惑の反則で退場させたり、
果ては手下を使って、フィールド全体の雰囲気までをも混乱させる、恐るべきデマゴーグの扇動家!
妖夢はそれをも認めて、力の為に彼女達の軍門に落ちたけれど。
やっぱり、私は彼女達のやり方を理解はすれど、納得はできない……!)」
鈴仙とて、過去に軍人として多くの卑怯な兵法を学び、その必要性を学んで来た。
実際に自分が手を下した事もある。しかし、それでも今ここにある聖徳ホウリューズのやり方は納得できないでいた。
そこに明確な論理や理屈は無い。理を学んでも、どうしてもなんとなくそれを割り切れないのが、永琳には無い鈴仙らしさだった。
輝夜「ま! 疲れたし明日の事は明日考えましょ! 今日はもう解散ね!」
鈴仙がそう地面に向かって怖い顔をしていると、輝夜がパンパンと手を叩いて雑に解散を宣言する。
子どもの妖怪ウサギ達はそれを聞くと、真っ先にこぞって人里へと駆けだして行った。
佳歩から前に聞いたところによると、永遠亭のウサギ達は外出時の帰りに、
人里のオシャレな店やおいしい茶店へと寄るのが最上級の至福のひとときであるらしい。
鈴仙「(――もっとも、おこずかいは少ないから専らウインドウショッピングらしいけど。
やっぱりあの位の年の子だったら、ただ刺激があるってだけで楽しいのよねぇ……きっと)
――って、あっ!」
ドシン!
少年「おっと、これは失礼」
鈴仙「いえいえ、こちらからすみません(怖い人じゃなくて良かったなぁ……)」
自分がおらずともたくましく遊ぶウサギ達に何となく寂しい感じを覚えながらも、
鈴仙は未だ人混みの激しいモリヤスタジアムの観客席から出口に向かって歩く。
先程の少年を始めとして、当然の権利のように、鈴仙は道中で他人に三回ほどぶつかった。
566 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2015/05/16(土) 21:58:12 ID:???
てゐ「ぷはー。やーっとこさついた」
つかさ「何回も人にぶつかっちゃいましたね。ひったくりとかが居ても分かりませんわ」
鈴仙「あははっ。つかさったら心配性ね。大丈夫よ、この私がひったくりなんか……に……?」
そうして、辛うじて人ごみを抜けた鈴仙はスタジアムの外で、
つかさの発言を軽く受け流すように、ポケットにポンポンと手を当てるが――。
鈴仙「……あれ。私のサイフが無いんだけど」
てゐ「うわー。やっぱり心配だなぁ、コイツ……」
パスカル「……おいおい。しっかりしてくれよ、レイセン?」
鈴仙「――う、うっさいわね。人が多すぎて、気付かなかったのよ」
鈴仙を白けた表情で見る者が数名。
そんな仲間達の薄情さに対抗するべく鈴仙は言い返すが、語気に力が入らない。
つかさが心配した通りか、それとも単純に道端にでも落としただけなのか。
その理由はともかくとして、今の鈴仙には金が無かった。
鈴仙「ゴメン、ちょっと探してくる!」
バッ!
てゐ「あっ、鈴仙! ……って、行っちゃった」
鈴仙は単身身を翻して、妖怪の山モリヤスタジアムの観客席へと戻って行った。
別に「ふわたり手形」くらいしかない古財布、見逃しても良いんじゃないかなぁ……と思いつつ、
てゐはそんな機転が効かない鈴仙を見送るのだった。
567 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2015/05/16(土) 22:12:35 ID:???
そして結論から言うと、鈴仙の財布は簡単に見つかった。
さっき座っていた観客席に、柔らかい黒髪の、屈託のない少年が鈴仙を待っていてくれていた。
その片手にボロボロになった、人参柄の財布を持って。
少年「――やあ。待っていて良かった。落としていましたよ、これ」
鈴仙「……。待ちなさい。貴方は、いや、あんたは………!!」
その少年はまるで天使のように爽やかに笑う。
先程ぶつかった時は全く印象が無かったが、鈴仙は彼の顔を知っていた。
少年は丁寧に鈴仙の古サイフを差し出して、こう挨拶をした。
岬「既にこの僕――岬太郎の事はご存知のようだね、鈴仙・優曇華院・イナバさん。遭いたかった。
貴女については、妖夢さんから色々と話を聞いているよ」
彼の名は岬太郎。聖徳ホウリューズを率いる豊聡耳神子の片腕として暗躍する、笑顔と策謀のアーティスト。
天性的な詐欺の才能で多くの人間のファンを幻想郷にも作りつつ、
その裏では鈴仙のマスターたるパチュリーを負傷させた張本人。
また、妖夢の才能を見出し、神子が主宰する『ハイパーカンピオーネ』計画のスカウトを行った人物でもある。
そんな彼が今突然、鈴仙の眼前に姿を現したのだった。
鈴仙「……そりゃあどうも。ありがとうございます」
流石の鈴仙も、妖夢やパチュリーの発言から彼の素性を幾らか知っているため、
如何に彼が柔和な姿勢で語り掛けて来たとしても油断はしない。
鈴仙は敢えてぶっきらぼうに応じるが、予想通りの態度だったためか、岬は全く怯まずこう返す。
岬「やあ。そんな怯えた表情をされても困るな。僕は単純に、君の落とした財布を拾っただけなんだから。
……もっとも、ついでに立ち話も出来れば、とは思っていたけどね」
――どう考えても、後者の方が本題である事は明白に思えた。
岬のペースに惑わされぬよう、鈴仙はゴクリと唾を呑みこんで、強く彼を睨む事にした。
568 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2015/05/16(土) 22:14:29 ID:???
岬が鈴仙に接触!?
――と、言ったところで今日の更新はここまでです。
今日は布石ということで地味でしたが、明日は久しぶりに鈴仙回になればと思います。
それでは、皆様、本日もお疲れ様でした。
569 :
森崎名無しさん
:2015/05/16(土) 22:25:24 ID:???
流石にミサキーヌにだまされたりしないよな?
570 :
森崎名無しさん
:2015/05/16(土) 22:37:19 ID:???
てゐにも注意されてたし、この前の試合もあるし、大丈夫でしょう、多分
乙なのです!
571 :
森崎名無しさん
:2015/05/17(日) 00:55:08 ID:???
鈴仙「おまわりさん!あの人に私の財布をすられました!」ミサキーヌ「なにィ!?」
逮捕させて敵の戦力を落としてやる。乙ロット!
572 :
森崎名無しさん
:2015/05/17(日) 12:35:14 ID:???
コロッとだまされることはないだろうけど、なりふり構わなくなった岬は怖い。
さて、何してくるのか。
準決勝まで自由行動2回。決勝までは6回。
鉢巻を松山に渡すことは確定として
正邪との面会
オフサイドトラップ、フェアプレイ精神、しゃべるボールの完成
つかさ、ウサギBちゃんと特訓狙うか
脳内試合ドイツ(準決勝後推奨)
レミリアのシュート練習
文(追放後どうなった?)
反町(大事なものと引き換えにシュートの才能なんたら)
アリス(森崎に上手く利用されてる? 友達になりたい発言)
あたりと会っておくか
573 :
森崎名無しさん
:2015/05/17(日) 20:53:18 ID:???
鈴仙「それで何のようなのかしら……」
岬犬「……妖夢さんの行方がわからなくなったんだ。居場所を知りませんか」
鈴仙「え?」
矢車「一緒に歩いて行こう、ゴールのない暗闇の中を」妖夢「にいさぁん」
574 :
森崎名無しさん
:2015/05/17(日) 22:45:50 ID:???
ふーむ、例え益がなくても吠えヅラを拝みたいな
1. ちょっと脅しをかけて、妖怪との差を分からせる
2. 太子やにゃんにゃんの存在を盾に心配するふりをする
3. 「この人痴漢です」 それでもボクはやってない
575 :
森崎名無しさん
:2015/05/17(日) 22:48:40 ID:???
・・・なぁ、これ見ようによっては岬がカツアゲされてるようにも見えなくないか?
ちらっと誰かが写真撮ってやっぱ妖怪は最低って話になるんじゃないか?
576 :
森崎名無しさん
:2015/05/17(日) 23:22:17 ID:???
吠え面かかせたいなら財布くれてやってなにも話さず逃げればいい
話術の使い手なんだからそもそも交渉のテーブルひっくり返して帰ればいい
そしてたんたんとサッカーで普通に勝てばいい
577 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2015/05/17(日) 23:24:46 ID:???
こんばんは、今日も更新していきます。
>>569
鈴仙を直接騙したりはしないですね。
>>570
乙ありがとうございます。
花果子念報の記事でも岬の悪行?は出ていますし、
鈴仙もこの前の試合の一連は知っているという体でいます。
>>571
乙ロットありがとうございます。
証拠が無いから逮捕はできない……という理屈で行こうと思いましたが、
テレビとかで、状況証拠のみで痴漢が逮捕されたりって話は聞きますね。
幻想郷では前者の理屈という事でお願いしますw
>>572
計画ありがとうございます。
反町や射命丸がどうなったかについては、別途無判定シーンで補完したいと思います。
>>573
地獄兄弟入りはJOKERでもたぶん無いと思いますねw
>>574-575
確か幻想郷では、人里では妖怪は人間を襲えないというルールがあります。
モリヤスタジアムは妖怪の山ふもとで人里では無いですが、周囲には人間も多いので(という設定)、
あまり良い行動では無いかもですね。
578 :
森崎名無しさん
:2015/05/17(日) 23:25:29 ID:???
(そのときふわたりてがたの存在を思い出した)
579 :
森崎名無しさん
:2015/05/17(日) 23:26:15 ID:???
>>578
・・・あ!それや!
580 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2015/05/17(日) 23:26:43 ID:???
岬「……ところで」
鈴仙「何ですか。またナンパでもするんですか?」
岬「これは手厳しいね」
鈴仙「師匠から、仕事以外で知らない男の人に声を掛けられても相手にするな、って言われてますから」
鈴仙の財布を渡し終わった岬はおもむろに話しだすが、
警戒している鈴仙はそれを真正面から受け取らない。
彼の口の巧さは新聞などの様々な評判や、
何よりあの真面目で一本気な妖夢を籠絡してみせた事実から、鈴仙も良く熟知しているつもりだった。
だから、鈴仙は岬に口を開く暇を与えさせない。
鈴仙は財布をむんずと握って、岬の元から一刻でも早く立ち去ろうとしたが。
岬「――あらら。まあ待ってよ鈴仙さん。僕は決して君にも損にならない情報を持っているんだけどな」
岬は明るい声でそう述べるが、鈴仙はぷいとそっぽを向いたまま振り返らない。
岬の趣旨が仮に鈴仙にとって得な情報であったとしても、その真偽を確かめる方法は無い。
つまり、何を言おうが岬は、鈴仙を惑わせる以上の事をしない。
いくら鈴仙でも、その程度の考えはしっかり整理がついていた。
鈴仙「(多分アイツは私の財布をひったくって、こうやってサシで会話して、
私を混乱させようと目論んだんでしょうけど。 ――アンタの計画は既に割れてるのよ!)」
岬から背を向けた鈴仙は、毅然とした態度で、心の中でそう言い放つ。
――しかし鈴仙は同時に、この時ミスをしていた。
そのミスは通常、ミスとも言えないごく当然な行動だったが――こと岬相手で、それは大きな落ち度だった。
岬は鈴仙のミスに気付き、澄ました声で鈴仙に向かってこう呟いた。
岬「……君は知りたくないのかな。八意永琳の真意を」
581 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2015/05/17(日) 23:28:01 ID:???
鈴仙「やご……何ですって」
岬は鈴仙の心の琴線に触れ得る言葉を既に知っていた。
それにも関わらず、鈴仙は彼の口を封じもしなければ、自分の耳を塞ぐこともしなかった。
そのごく当然な隙を突かれて、鈴仙は岬の前で足を止め振り返ってしまった。
岬「(僕がわざわざ出向いて来るんだ。全く無為で無謀な行動をする訳が無い。
失敗しない為にもその程度の調査、やっておくに決まってるじゃないか)」
ここで一旦足を止めたならば、こっちのものだ。
蜘蛛の巣に引っかかった蝶へと向かう蜘蛛のように、岬は内心でほくそえんだ。
岬「――やっぱり気になるみたいだね。君のお師匠様。
月の賢者にして地上へ堕ちた裏切り者。永遠亭を実質的に統べる至高の薬剤師にして医師。
八意XX……僕たちの言葉だと、八意永琳のことが」
鈴仙「――良く調べたわね。ウチにスパイでも投げ込んだのかしら?」
岬「さてね。……ところで、君はこの幻想郷に降り立って以来ずっと、
この八意永琳の元で従者として働いているんだったよね?
ああいや、答えなくてもいいよ。答えはイエスと知っているから」
岬は鈴仙に思考させる時間を与えないよう、やや早口で話している。
そうする事で、鈴仙に思考する猶予を与えず――岬はこう、結論を先に言い放った。
岬「――僕は君の為に忠告するよ、鈴仙・優曇華院・イナバ。
……八意永琳は、間違い無く君を利用している。自分自身の計画の成就。ただそれだけの為にね」
鈴仙「――利用、ですって……! そんな事、ある訳ないじゃない!!」
岬の結論は、その真贋を問わずして、鈴仙の耳に重くのしかかった。
永琳の真意については、鈴仙もまた預かり知らぬ事だったのだ。
582 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2015/05/17(日) 23:31:02 ID:???
岬「――それはどうかな、鈴仙さん。
君はこれまで、色んな人から話を聞いて来たと思うけど――しかし。
その全ては必ずしも真実であるとは限らない。
必ずしも善意で君に全てを教えてくれるとは限らない。
真実とは、様々な語り手から示される情報を基に、自らが構築していくもの――そうは思わないかい?」
鈴仙は既に岬の言葉に釘付けになりつつあった。
それを知った岬は、雄弁に鈴仙に対してこんな提案を持ちかけた。
岬「だから……鈴仙さん。とりあえず、聞いてみたくはないかい?
僕達が調べたところによる、今回の異変における八意永琳の真意を。
それが正しいか間違っているか。その判断は全て君にお任せする。
更に、この内容をもって、僕たちは君に神子様率いる『ハイパーカンピオーネ』計画入りをしてくれ、
……などと頼む気もさらさらないし、恐らく聞いてもならないと思う。
純粋に、僕は君に真実を掴んでもらいたい。そんな意図で、提案をしているんだ」
鈴仙「――そ、そんなの。胡散臭すぎるに決まってるじゃない。目的は何なのよ……!」
鈴仙は辛うじて声をあげた。岬はその質問を想定していたかのように、理路整然と答える。
岬「僕が君に真実を伝える事で、何のメリットがあるか……って事だね。
それなら簡単、僕達は君に気付いて欲しいのさ――八意永琳が必ずしも、君の絶対的な味方では無いという可能性に。
何故なら君は今や、ある意味では中山政男よりも森崎有三よりも、重要な存在となりつつあるんだからね。
そんな凄い君を我々に引き入れるのは……流石に難しいにしても、ある程度の恩は売っておきたいんだ」
鈴仙「……私が重要な存在。それは、『プロジェクト・カウンターハクレイ』のキャプテン候補だからって事?」
岬「……フフ。気になるよね。僕の話を聞くと約束してくれれば、その辺りもサービスとして、詳しく教えてあげようじゃないか。
もっとも、ここは引いて、君の親愛なるお師匠様に問いただす事もアリかもしれない。
流石の八意永琳も、こうして僕達がゆすって来たと知れば、君に幾らか話をしてくれるかもだしね。
――でも、そうなると――どうする、鈴仙さん。君は誰の話を信じる? 怪しいペテン師の僕? それとも、優しいお師匠様?」
583 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2015/05/17(日) 23:34:18 ID:???
岬はここまで言って、鈴仙の判断を待つ為に沈黙を保った。
永琳の真意は先日、鈴仙が『プロジェクト・カウンターハクレイ』計画を知った際にも明確に教えてくれなかった事。
知りたく無い筈が無い情報であるが――果たして、この岬の発言を信じる価値はあるのだろうか。
鈴仙「(私は必ずしも、ここで岬の発言を聞き入れる価値は無い。
師匠や姫様に問いただしたって、同じように真意を教えてくれる可能性は高い。
そしてそっちの方が、恐らくこの詐欺師の言葉よりも信用出来る筈。だけど――)」
『真実とは、様々な語り手から示される情報を基に、自らが構築していくもの――そうは思わないかい?』
鈴仙には岬のこの台詞が引っかかっていた。彼の指摘にも正しい面はあると思っていた。
確かに、鈴仙は『プロジェクト・カウンターハクレイ』の件について、当事者である永琳と輝夜の話しか聞いていないのだ。
このまま岬から逃げ出して、永琳と輝夜の話のみを信じるのは、真実から逃げ出す行為では無いのか。
鈴仙「(――だけど。それも含めて岬の罠なのかもしれない。私の疑念を加速させて、混乱させるための……)」
鈴仙は冷や汗を拭きながら周囲を見渡す。スタジアムの観客席は既にまばらだが人間も多く残っている。
幻想郷での決まりとして、妖怪は人里で人間を襲ってはいけないというものがある。
そのため、ここで実力差を利用して岬を脅迫する事はもっての外。
(モリヤスタジアムは厳密には人里では無いが、人間の割合が多く、人里のルールを準用する例が多い)
鈴仙はこの場で岬の話を聞くか、それとも逃げ去って永琳の話を聞くかの実質的な二択を強いられていた。
鈴仙「(……たぶん、どう考えてもどっちが正解という事は無い。これは単純に私の在り方の問題。
危険な道を歩んででも、自分の力で真実を掴み取ろうとするか、それとも、
勇気を持って師を信じ、その想いに応えようとするか。
どっちが間違っている訳でも無い。ここは純粋に、私の気持ちで答えるしかないわね……)」
584 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2015/05/17(日) 23:43:48 ID:XR1qZKnk
鈴仙は目を閉じて、意を決して岬に対してこう答える事にした。
A:「……分かったわ。信じないけれど、話を聞いてやろうじゃない」岬の説明を聞く。
B:「あんたに話を聞く事は師への裏切り。これ以上の話は要らないわ」岬の説明を聞かない。
C:「あんたが本当に『信頼できる』って言うなら、話を聞くけれど?」武力をちらつかせつつ、真実である事を証明させる。
D:「……!」黙って財布を岬の鼻っ柱にぶち当ててから逃げる。
先に2票入った選択肢で進行します。メール欄を空白にして、IDを出して投票してください。
*対応が難しいため、申し訳ございませんが今回自由選択はナシでお願いします。
どうしても何か意図があれば、A〜Dの選択とともにコメント書いて頂ければ、多少は反映できるよう努力します。
*選択肢の中に1つだけ明確なハズレがあります。その根拠は
>>580-583
に記載されています。
585 :
森崎名無しさん
:2015/05/17(日) 23:44:47 ID:fYx4H/mY
A
586 :
森崎名無しさん
:2015/05/17(日) 23:45:29 ID:YwXBkfFY
B
587 :
森崎名無しさん
:2015/05/17(日) 23:45:38 ID:ag6OMCm+
A
588 :
森崎名無しさん
:2015/05/17(日) 23:45:56 ID:Cs7N+1L2
A
589 :
森崎名無しさん
:2015/05/17(日) 23:46:01 ID:F3YkoudQ
B
590 :
森崎名無しさん
:2015/05/17(日) 23:46:21 ID:XvtUKUNQ
D
こんなクズと会話する価値なし
手形を押し付けりゃいい
591 :
森崎名無しさん
:2015/05/17(日) 23:48:56 ID:???
うーむ、確実に脅しになりそうなひとことはあったんだが言えなかったか
試合後か試合前にでも言ってみるかな
592 :
森崎名無しさん
:2015/05/17(日) 23:53:23 ID:???
詐欺師相手に脅しってのは愚策なんですけどね。
593 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2015/05/17(日) 23:54:27 ID:???
Aに決まった! ――と、言ったところで今日の更新はここまでです。
今日は久しぶりに選択が出ましたが、明日もまた文章が長くなるかもです(汗)
一応解説しますと、明確なハズレはCでした。(
>>583
そのため、ここで実力差を利用して岬を脅迫する事はもっての外。が根拠)
Dは「実力差を利用して脅迫」ではないし、「妖怪が人間を襲う」とも何となく違うので、一応ハズレでは無かったです。
この場合は、基本はBで進行+JOKERで岬が多重債務者になる、
クラブAで鈴仙の負債を利用されて小トラブル発生、という感じを考えていました。
>>576
そもそも話に応じないのが正解っぽいですが、
今回鈴仙が興味を持ちそうなテーマを出す事で、否応なしに話に応じさせてみました。
>>578-579
参考に(?)、Dの選択肢を追加してみました。
>>591
本スレのような岬ならともかく、ここまで堕ちると多少の脅しも利かなさそうな気もしますね。
それでは、皆様、本日もお疲れ様でした。
594 :
森崎名無しさん
:2015/05/17(日) 23:57:18 ID:???
>JOKERで岬が多重債務者になる
乙!これ見たかったw
595 :
森崎名無しさん
:2015/05/18(月) 01:07:22 ID:???
>>592
いや、大丈夫、詐欺師なら引っかかる、というか影響が起きるはずだから
小壱岐一点特化のチームって面倒なんだよなぁ
下手すると博麗より厄介じゃないかって思う(相手の手札的な意味で)
596 :
森崎名無しさん
:2015/05/18(月) 01:07:32 ID:???
乙なのです
まあ相手がどうあれ、一応会話してきてる以上は言葉で対応しないとね
Dのジョーカー展開も見たかったけど(笑)
しかし岬君もある意味被害者なんだよね、完全に白ではないにしろ
あややもそうだけどここからハッピーエンドはあるのだろうか
藍しゃまは鈴仙さんのサッカーに期待しているみたいだけど、
今のところ鈴仙さんが力になれたのって星とマスターくらい?
鈴仙個人としては、あくまでカウンターハクレイの手駒の一人に過ぎないという状況に見えるけど
藍しゃまといい、岬君、お嬢様とここまで注目する理由はなんだろう
これからの展開で徐々に分かっていくのだろうけど、楽しみにしています。
完全に個人的なものだけど、後二試合でも鈴仙さんが大活躍して、得点王取れたら、
鈴仙さんを幻想郷選抜から外す理由として紫様がどう持ってくるか楽しみ(悪趣味)
597 :
森崎名無しさん
:2015/05/18(月) 01:36:58 ID:???
乙でしたー
そういえば新作届いたからやってみたけど、やっぱり妹紅可愛すぎるわ
後ゆかりんは冬眠してるの嘘じゃないかもしれん。神霊廟から思ったけど結界の緩みガバガバにしすぎてんよー
598 :
森崎名無しさん
:2015/05/18(月) 11:37:06 ID:???
E 案外大したことない世界の理でミサキーヌの化けの皮を剥がす
岬犬「やめろぉ!」
599 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2015/05/19(火) 01:02:57 ID:???
すみません、今日は仕事が遅くなったのと、深秘録をやっていたら更新できませんでした(爆)
今作はラスボスは勿論ですが、セミファイナルの曲がすごくカッコいいです。
明日は更新しようと思います。
>>594
乙ありがとうございます。出てたら一気にギャグ展開になってましたねw
>>595
聖徳チームは一点特化を踏まえても、能力的には博麗チームに劣りますね。
その上で、嫌らしい印象を残せられればと思います。
>>596
乙ありがとうございます。
鈴仙が注目される理由については、今回の岬の話で明らかになるかもです。
楽しみにして下されば幸いです。
>>597
乙ありがとうございます。私もやってましたが妹紅はまだ出てませんねー。
格ゲー苦手なのでeasyでもヒイヒイ言いながらギリギリでクリアしてます。
>>598
今後、案外簡単にそうなりそうな気もしますw
それでは、皆様、また明日もよろしくお願いいたします。
600 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2015/05/20(水) 00:57:26 ID:???
すみません、今日は文章を書いていたのですが、キリの良いとこまで行けなかったので更新をお休みします。
明日には更新できると思いますが、これまで不明だった点を少し明らかにするという事で、
少し書くのに時間を掛けさせて頂ければと思います。
それでは、皆様、またできれば明日、よろしくお願いいたします。
601 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2015/05/21(木) 00:50:25 ID:???
今日も更新をお休みします。明日か明後日位には一気に文章を投下できると思います。
602 :
森崎名無しさん
:2015/05/21(木) 21:38:20 ID:???
この世界でセグウェイドリブルの使い手ってウサギCですか?
ここの来生は熱かったからギャグ技を与えるなら来生よりウサギCと予想
603 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2015/05/22(金) 00:43:19 ID:???
こんばんは、何とか途中まで書き上がりましたので更新します。
ただ、推敲してみましたが、どうしてもちょっと分かりづらい感じになってしまいました……。
この辺りについては、説明シーンが終わった後に三行程度で纏めていきたいと思います。
>>602
妖精の力に目覚めた来生がボールに乗ってドリブル……みたいな展開も熱いかなって思ってましたw
実際問題、このスレの来生がセグウェイドリブルまで覚えたらディアス位強くなってしまうのが問題かもです。
Cちゃんは扱いづらい分ポテンシャルは高いと思いますので、セグウェイ位はできそうですね。
604 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2015/05/22(金) 00:45:02 ID:???
A:「……分かったわ。信じないけれど、話を聞いてやろうじゃない」岬の説明を聞く。
鈴仙「……分かったわ。話を聞いてやろうじゃないの。別に信じないけどね」
岬「素直じゃないね。……でも、少し意外かな」
岬は澄ました顔のまま薄く笑って頷く。
意外と言いながら、その答えを始めから予期していたようだった。
そんなスカした態度に、鈴仙はむっとした表情をしてみせるが、無視して岬は話し始めた。
岬「さて。今回種を明かすべき事は二つだね。
まず一つ、八意永琳の真意。彼女は何を想って小次郎……ヒューガーに手を貸しており、何を狙っているのか。
そしてもう一つ、鈴仙さん。君が何故、この一連の大異変において中心的な存在となっているのか。
この二つの謎は繋がりの深い問題なのだけれど――そうだね。取りあえず、前者から語っていこうか」
鈴仙「お師匠様の真意……ね。確かに私はそれを知らないかもしんないけど。
どうしてアンタ達がそれを推測できるのかは、大いに気になるわね」
せめてもの抵抗として、鈴仙は岬の弁舌に横槍を入れていく。
確かに岬の語る真実は気になるが、しかしそれでも彼の事がどうしても気に入らない。
岬「――まあ。話を聞くと言った時点で、ある程度は信用してくれたと考えてはいるんだけどね」
岬は鈴仙の頑なな態度にも応えず、むしろそれを最低限の信用の証として満足気に頷く。
そこから一呼吸を置いて、彼はゆっくりと話していく。
岬「――さて。八意永琳の目的が何であるかを指し示す前に……。僕は今から少し、簡単なたとえ話を君にしなくてはならない」
鈴仙「いきなり回りくどいのね」
岬「仕方ないさ。だって僕は今から、今から君が聞いたこともないような、
信じられないような途方もない話をしなくちゃいけないんだから」
605 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2015/05/22(金) 00:46:16 ID:???
岬は素直な気持ちで自嘲的な笑みを浮かべつつ、まずは鈴仙にこう問いかけた。
岬「シュレーディンガーの猫の話については、勿論知っているよね」
鈴仙「まあ、その位は。一匹の猫を、50%の確率で致死性の毒ガスが出る装置のついた箱に入れる。
そうなると、私達の誰かがその箱の中を観測するまでは、箱の中の猫は50%生きていて、50%死んでいるような。
そんな重なりあった状態で世界に存在しているとか。そんな感じの話ですよね」
岬「そうそう」
岬はのどかに頷いて、観客席にゆっくりと座りなおした。
岬は鈴仙を見てから、自分の隣の座席を指し示したが、鈴仙はそれを無視して立ち続ける。
岬「……まあ、中学二年生なら誰でも知ってる、量子力学の観測問題の分かり易い問題提起だ。
だけど、今回の話はどっちかと言えば多世界解釈の次元かな」
鈴仙「コペンハーゲン的な話? 世界は一つで無い。波のようにゆらぎながら、観測される数だけ無数に存在する……みたいな。
――それが、師匠の真意とどう関係があるのかしら?」
岬「それについては、……話を箱の中にある猫に戻させて貰おうか。
さっきの話は50%で死ぬ装置を箱に取り付けたという話だったよね。その延長で考えて欲しいんだ。
――もしも、70%で死ぬ装置が、箱に取り付けてあったら?
――もしも、99%で死ぬ装置が、箱に取りつけてあったら?
――もしも、99.999999999999999999999999999999999999999999……%で死ぬ装置だったら?
その場合でも、箱の中の猫は、50:50で存在していると思うかい?」
鈴仙「……まあ、敢えてシュレーディンガーの猫風に言ったら。その箱の中の猫は、
99.999999999999999999999999999999999999999999……%死んでるんじゃないかしら。
殆ど虫の息と言っても良い気がするわね」
岬「そうだよね。だけど事実には虫の息の猫は100%存在しえない。死んだ猫か、元気な猫がいるだけだ。
――さて、ここで問題。もしもこの箱の蓋を開けた時、猫が奇跡的にも生き残っていたら……どうなる?」
606 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2015/05/22(金) 00:52:02 ID:???
鈴仙「――どうなる? って言われても。わあ、すごいなぁ……、わあ、珍しいなぁ……って驚いて。
それで終わりなんじゃない?」
鈴仙は岬から一つ空けた隣の席に座った。岬は美味しそうに
グレープフルーツジュース
を飲んでいたが――。
岬「それだよ」
鈴仙の答えを聞いて、真剣な顔をして頷いた。
岬「雷が当たった、宝くじに当たった、宇宙人に連れ去られた、人間じゃないのに整数シリーズの自機になれた……。
――そんな奇跡が起きた場合、その世界は元の平凡な世界と大きく外れる。
そして、ある世界が別の世界と大きく外れるという事は、世界と世界との間には膨大な位置エネルギーが存在するという事になる。
世界は波のように揺らいでいるとしたら、大きく外れた世界の存在は、無数の可能性の海に生まれた津波だね」
鈴仙「津波……ねぇ。例えば、全裸の妖精が幻想郷を闊歩したり、お燐が突然スミロドン・ドーパントになったり、
私が9と4分の3番線に乗って魔法使いになったりするみたいな。そんな感じの世界があったら、確かにそりゃ衝撃だわ」
鈴仙が不意に思いついた例えを聞いて岬はくつくつと笑う。
しかしあながち的外れな発言では無かったらしく、岬はしきりに頷きながら、説明の核心に触れていく。
岬「そう……そう。要するに、それこそが八意永琳の目的。
箱の中の猫が実は生きていたとか、そんなレベルじゃない大変化が発生するよう誘導して、
それに伴い生じる力の揺らぎを観測し、利用すること。
とても信じられない仮説なんだけど、僕達は彼女の行動の意味をこう解釈しているよ」
607 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2015/05/22(金) 00:53:38 ID:???
鈴仙「――とても信じられないわね。仮説を唱えるんだったら、理に適った根拠が欲しい所だけど」
岬「それはごもっとも。だけど、こう考える事でいくつか納得の行く説明が出来る謎があるんだ。
それを以て、この説の正当性を証明させて貰おうかな。そうだね、例えば……」
鈴仙「た、例えば……?」
岬は敢えてここで時間を置いた。様々な手段で会話の主導権を握って離さないよう気を払っているようだった。
そしてこうした駆け引きに不慣れな鈴仙は、岬のこうした一挙手一投足に大きくじらされる。
しかし、そんな中岬が口を開いた内容は、鈴仙にとって少し意外なものだった。
岬「例えば。そうだね……八雲紫が著しく衰弱している理由とか」
鈴仙「八雲紫……? どうしてここで、スキマ妖怪の話が出て来るの?」
鈴仙は藍から教えられた会話の全容を思い出す。
境界を操る八雲紫は今、ヒューガーの高度な技術によって境界を否定され、
その理性をも喪わんばかりに存在が脆弱になっている……。
藍の説明が正しいとすれば、先程の仮説とは何の関係も無い気がするが。
岬「……本当にヒューガーが、この世に存在する全ての境界を否定したと思うのかい?
確かにあの会社のテクノロジーは凄いけれど。でも、千年以上を生きる大妖怪をも殺せる程じゃあないさ。
ヒューガーの派手な動きの影で、境界殺しをやってみせた存在は別に居る。
八意永琳は、様々な可能性を散りばめて、世界と世界との境界を曖昧にしてみせたんだ」
鈴仙「……それって」
岬の説明は曖昧ながらも、これまで様々な出来事を体験して来た鈴仙には直観的に理解出来るような気がした。
608 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2015/05/22(金) 00:54:54 ID:???
岬「始めは偶然だったと思う。強烈な個性を持つ平行世界を創る際には、何等かのテコ入れが必要な事は確かだからね。
例えば、日向小次郎を焚き付けたり、中山政男を呼び込んだり、その他様々な外来人を試験的に呼び寄せてみたり。
――いずれにしても、八意永琳は、強烈な個性を持った少年達を幻想郷に放り込んだんだけど……。
その副作用で、世界は大きく揺らぎやすくなった。彼らは内から世界の境界を壊し始めた。
彼らのせいで、幻想郷が描く未来は前以上に大きく揺らいでしまったんだ」
鈴仙「……もしかして。それこそが、中山さんやその影響を受けた私が、八雲紫に警戒された本当の理由なの?」
岬「そうだね。もっとも、彼女自体も『幻想郷のイデオロギーが中山寄りに変革してしまう』という表面上の変化を恐れるのみで、
彼らが本質的に自身の存在を揺るがしているからだ、という事実には気付いていないと思う。
だってまさか、何の妖力も持たない少年が、自身の存在意義を揺るがすだなんて、あまりに信じがたいのだから。
……そんな中、正確に狙いを定めていた時点で、彼女は充分に凄いけどね」
鈴仙は岬の言葉を反芻する。
八意永琳は、途方も無くあり得ない世界を作り出す事で、その世界が持つ膨大なエネルギーを得ようとした。
その過程で、中山や日向のような外界のサッカー少年が幻想郷へと呼ばれた。
しかし、彼ら外界のサッカー少年の存在そのものが、世界と世界との境界を危うい物にしている。
その事実が、境界の妖怪である八雲紫を苦しめて弱らせている。
確かにこの仮説は突拍子も無い事を除けば、それなりに筋が通っているような気がするが――。
鈴仙「……でも、やっぱりおかしいって。
どうして普通のサッカー少年が、世界と世界との境界を危うい物に出来るのよ。
確かに中山さんは引くくらい努力家だし、日向のシュートは人間技とは思えない程恐ろしいけれど。
――でも、その位だったら他にももっと凄いヤツだって外の世界には居る気がするわ。……女子高生の超能力者とか」
609 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2015/05/22(金) 01:03:13 ID:???
もしも中山や日向程度の人間の幻想入りで、八雲紫が衰弱する程の異変が起きるのだったら。
それこそ、幻想郷は今頃成り立っていないのではないか。
幾ら幻想郷が危ういシステムの上で成り立っているとはいえ、あまりに脆弱過ぎる。
第一、これまでももっと危ない人間や妖怪だって幻想郷に入っている筈だが、今まで何も起きていない。
一体中山達は他の人妖と何が違うと言うのか。
岬「――そう。流石はあの八意永琳の弟子だ。思ったより頭も悪くないね」
鈴仙「……せっかくだから、頭が良いねって褒めてよ」
勿体ぶった話し方で再び微笑み直す岬。
これまでの彼との会話から、これは話の核心に迫った際に出る癖である事を鈴仙は発見していた。
半分以上本音の軽口を叩きながら、鈴仙は岬の話を促す。
岬「……そう。何故、善良なサッカー少年である中山政男が危険なのか。
何故、野心深い扇動政治家である豊聡耳神子は安全なのか。その理由こそが、まさにそこにある。
あるのだけれど……その辺りについては、今回の話の趣旨じゃない。どうせいずれ分かる事だろうし、今回は説明を省かせて貰うよ。
――兎に角、この話の趣旨。
『八意永琳が世界間のエネルギーを利用しようとしている』と仮定したら、
『永琳の計画により世界間の境界が曖昧になり、境界の妖怪である八雲紫が弱った』……という風に、現状の理由を説明しやすい。
よって、『八意永琳が世界間のエネルギーを利用しようとしている』という仮説はある程度正しいと思われる。
……と、いう事なんだけど。何となく分かってくれたかな?
鈴仙「……まあ、分かったわ。確かに謎は残るけれど……それでも、ある程度は論理的に納得できる話だった気がします」
610 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2015/05/22(金) 01:06:16 ID:???
――と、いったところで今日の更新はここまでです。
明日でこの説明パートは終わらせられれば……と、思っています。
今日の話を簡単に言うと、
岬「紫が衰弱したのもヒューガーが台頭したのも中山さんがヒーローなのも、全部永琳の謎計画のせいだ!」
……みたいな感じです。どこまで真実なのかは不明です。
それでは、皆様、本日もお疲れ様でした。
611 :
森崎名無しさん
:2015/05/22(金) 01:38:57 ID:???
乙でした
鈴仙が主人公になれたのも永琳って奴のせい…なのか?弟子を活躍させてあげたいだけなのに、
そんなヘソに小宇宙を作って恒星で沸かすようなスケールのデカい事をするとは…師匠は不器用だなあ
612 :
森崎名無しさん
:2015/05/22(金) 01:46:31 ID:???
乙なのです
ああ、なるほど……ようするに、今まで(紅魔郷〜)の外来の人やら神様や妖怪は
あくまで幻想郷のルール、スペルカードルールに乗っ取った異変を起こしてた
そして、神奈子達のときの異変も、現在進行形の神子達の人間煽動も、幻想郷内ではそれなりにやっかいな問題だけど、
逆に言えば幻想郷内での問題でしかない
それに引き換え、中山さん達外来のサッカー選手を招いて、幻想郷に外界のサッカーの空気を取り込み、
広めていく。
そして感化された幻想郷の人妖が外界のサッカー大会に出場し、外のサッカーを体験し、交流する。
外界で一番ポピュラーなスポーツと言っても過言ではないサッカーにだ。
これは境界の妖怪である紫に堪えないはずがない。
とか言って普通に大外れな気がしてならないですが(汗)
岬の論理は取り合えず筋は通っている……かな?
師匠が何故膨大なエネルギーを欲しているとか
姫様がなによりも大切な師匠が、現在の姫様の生活を壊しかねないことなんでするのかとか
そもそも紫様をなんで弱らせようとしているのかとか
まあ岬君の仮定の論理だから、そう考えれば説明がつく(正しいとは言っていない)
ということでしょうか。
鈴仙「というより、師匠……私が主役になることは、99.9999……9%以上有り得ないと言うことだと思っているんですか?」
岬(妥当じゃないかな。それよりも佳歩、鈴仙よりも点を取るということに長けた元名無しウサギ。
彼女のほうが対象としてより適任のような気がする)
とかだったら泣ける。
師匠はなんだかんだで鈴仙のことも考えているし、最終的にだれかが大きな害を被るようなことはしないはず。
もちろん姫様も……ううむ、やっぱり筋は通っているが結局真相は分からないなあ。
613 :
森崎名無しさん
:2015/05/22(金) 02:29:50 ID:???
乙です
つーかエネルギーを利用しようとしているっていわれても・・・
なぜ、どうして、どうやってが全く分からないから正直全く信用における話じゃないんだよな
百歩譲って信じられるにしても
岬の話じゃなくて聞いた話を少しいじってるだけだろうし
根本を考えるとなんで太子様がそれをどうやって知ったのかって話になる
下手すると紫すら完全に知ってないことなんだけど
幻想郷なんて人から見たら非常識なことが常識だからなにもかも信じられるし信じられんから
情報の真偽が非常に分かりにくい
まぁ師匠がまぁよほど師匠がとんでもない事考えてない限り従うけどね
(月が世界を管理する、自分があらゆるものを支配できる存在になる
自在にJOKERなどをだして姫様を楽しめる世界に作り変える
生きるのに飽きたから自分含めて全世界滅ぼす、LoV3やLoVAにでたいなど)
614 :
森崎名無しさん
:2015/05/22(金) 19:12:16 ID:???
永琳の計画により世界間の境界が曖昧になり、境界の妖怪である八雲紫が弱った
→現実と夢の世界間の境界も曖昧になり夢試合の登場人物が現実へ
→ブローリンやブルノ達でカグヤ応援団を結成
謎は全て解けた。永琳の計画は姫様のために姫様応援団をつくるのが目的だったんだ
カグーヤ「ダニィ!?いらないょ!」
615 :
森崎名無しさん
:2015/05/22(金) 19:27:14 ID:???
乙でした。この岬、まさかキバヤシ……!?
あれ、確かどこかの平行世界ではクラブAやJOKERしか出ない
異次元空間を作り上げちゃったチート神様がいたような……。
しかし、永琳や月姫姉妹がいたからって特別何かあるわけではないし、
違う存在が関与していた可能性がある。
やはりブルノ、あいつがキーパーソンか。
616 :
森崎名無しさん
:2015/05/22(金) 19:43:09 ID:???
MMR ミサキミステリー調査班
617 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2015/05/23(土) 02:17:19 ID:???
こんばんは、今日も更新します。漸く深秘録全ストーリー見ましたが、
ラストあたりの展開は、某スレの翼くんが思わず失禁しそうなくらい霊夢がカッコ良かったですね。
>>611
乙ありがとうございます。
鈴仙が主人公になったのも永琳のせいですね。今日はその辺りを書いていければと思います。
>>612
乙ありがとうございます。
神子が案外大した脅威じゃないのはだいたいそんな感じですね。
サッカーがというよりは、中山さん達の存在自体が境界を危うくしている的な感じです。
その辺りはまた後日になるかもですが、詳しく分かりやすく書ければと思っています。
佳歩じゃなくて鈴仙が主役なのにも、理由があります。
>>613
乙ありがとうございます。
何故については永琳に聞かないと分からないですが、どうして、どうやってについてはこれから説明しようと思います。
鈴仙が何故狙われるか、という理由に大きく関わってきますので。
神子がどうやってそれを知ったのかは、結構重要な視点です。
永琳がlov3に出て欲しいとは私は思っていますね(笑)
>>614
その発想は無かったですw
永琳は姫様の事を大事に思っているのは確かですね。
>>615
乙ありがとうございます。
ブルノさんの世界は逆に言うとクラブAかJOKERの2通りしかないので、案外安定しているのではないでしょうかw
>>616
たぶんオカルトボール集めとかしてます。
618 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2015/05/23(土) 02:18:23 ID:???
――八意永琳の目的。それは、中山等特定の外来人を呼び寄せる事で世界を揺るがせ、
それによる膨大なエネルギーを採取すること。
八雲紫の衰退・乱心は、永琳の行為に伴う、世界と世界との境界の大きな揺るぎが原因。
岬が鈴仙にここまで言って聞かせた話を要約すると、概ねこうなるだろうか。
確かに彼の話にはまだまだ謎が多すぎるが、単純な理屈で言えば筋が通っているように見える。
岬「……だけど。勿論これだけの説明じゃあ、納得はできないよね?
八意永琳は何故、膨大なエネルギーとやらを欲しがるのか。
そのエネルギーとは一体どんな形で、どうやって手元に集めるのか。
――残念ながら、僕達には彼女がどんな想いで今の行動をしているかは分からない。
だけど、どんな手段を用いて、目的を達成しようとしていたか。それなら解るよ。
そしてそれは、今日君に教えてあげる二つの事のうちのもう一つ。
何故君が、特別な存在として、様々な人妖から注目されているのか――この答えにもなる」
鈴仙「……どういう事よ。勿体ぶってないで、もう少し誰でも分かるように説明してよ」
岬「それもそうだね。――いやあ、説明は本当に難しいよ。
簡潔に話し過ぎたら聞く方に何の印象も残さないし、
だからと言って詩的で気の利いた修辞技法を散りばめると、今度は肝心の要点がピンボケになる。
結論はバランスの問題に落ち着くんだろうけどね」
鈴仙「……早速勿体ぶってるし。あんた、性格悪いでしょ」
岬「それは心外だな。僕だって、本当は誰にも嫌われたくないんだ。ただ必死なんだよ、本当に」
そう溜息を吐いた岬の笑顔に一瞬だけ暗い影がよぎる。
もしかしたら、彼も根は善良で、神子に良いように使われているだけなのかもしれない……。
鈴仙はつい、そんな同情的な想像をしてしまう。
――無論、仮にそうであったとしても、岬は現に妖夢を拐かし、パチュリーを傷つけている。
決して同情すべき相手では無い。鈴仙はそう思い直して毅然と岬を見つめ返すと、
やはり演技だったのか、既に元の平然とした表情に戻っていた。
619 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2015/05/23(土) 02:21:03 ID:???
岬「――さて。話を本題に戻そうか。今回の八意永琳の計画において、
なぜ、鈴仙・優曇華院・イナバというそこまで突出していない兎妖怪の存在が必要となるか。
なぜ、八雲紫を始めとする多くの幻想郷の実力者が、君の存在を重く見ているか。
その答えを端的に言ってしまうと――君が居なければ、八意永琳の壮大な計画は、アッサリ破綻してしまうからだ」
鈴仙「………えっ?」
再び謎の中に突き落とされた鈴仙。岬はそんな鈴仙の表情を明らかに楽しんでいる。
岬「――しつこいけれど、おさらいをするよ。僕達の立てた理論によると。
八意永琳の計画とは、中山政男や日向小次郎などの存在を介して、幻想郷という世界の在り方に大きな変化を与え。
……そして、その変化によって生じたエネルギーを採取し、何等かの目的の為に利活用する事だったよね?」
鈴仙「ええ。……そう言ってたわね」
岬「だとするとここで疑問が生ずる。八意永琳が、色々と手回しをしたり、弟子に手を焼いたり、
世界改変の為に『プロジェクト・カウンターハクレイ』の完遂に向けテコ入れを行ったり。
そうした行動を取るのは良いが、その結果世界の在り方に大きな変化を起こした後。
――さて。彼女は一体、どんな観測機を使って、副産物であるエネルギーを採取し、利用しようと思っていたのかな?」
鈴仙「……分からないわよ。私に聞かれても。そんな機械がどっかにあるんじゃないの?」
鈴仙は不機嫌に答える。確かに永琳は弟子である鈴仙に全てを教えてくれない事がある。
だから、本当は自分が知らないだけで永遠亭の地下に実験施設の一つや二つでも、何かあるのかもしれない。
しかし、岬が鈴仙に答えた内容は、そうした鈴仙の思考とは大きくかけ離れていた。
620 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2015/05/23(土) 02:29:01 ID:???
岬「…………君だよ」
鈴仙「……えっ?」
岬は気障っぽく人差し指を鈴仙に立てた。鈴仙は始め、それが何の意味を齎しているのか分からなかった。
そんな様子を察したのか、彼は鈴仙を軽く鼻で笑うと、説明を始めた。
岬「前に例で、世界とは様々な可能性が波のように重なって揺らぎながら存在している。そう言ったと思うけど。
アレはたとえ話じゃない。実際に、世界そのものが巨大な一つの波なんだ。
……少なくとも、八意永琳の持つ観測機は、世界をそう表現できる能力を持っていた。
その観測機の『瞳』には、映る全てのものの『波長』を観測し、編集できる能力があった」
岬は鈴仙の赤い瞳を見つめて離さない。鈴仙の『狂気の瞳』に吸い込まれているようだったが、
その実、鈴仙が逆に岬の圧力にやられてしまいそうだった。
岬「――無論、その観測機はまだ未熟で、世界と世界との差が生み出す大きな波長なんかは、
とてもじゃないが今すぐには観測できない。どうしても、その瞳の精度を上げる必要があった。
より強い衝撃に耐えられるよう、より強い精神を持つ必要があった。
より広く世界を見つめられるよう、より高い技術を持つ必要があった。
――そして、要領の良い彼女は、自身の計画を進めながら、観測機の成長を促す方法を思いついた。
それが……」
鈴仙「――それが。八意永琳の計画に必要な、エネルギーの観測機たる『私』を育てるための。
『プロジェクト・カウンターハクレイ』の正体だって言うの……?」
岬は黙って頷いた。それが鈴仙にとって最もきつい仕打ちである事を知った上で。
彼は追い打ちを掛けるように、鈴仙に向かってこう冷酷に言い放った。
岬「――鈴仙さん。君は八意永琳にとって大事な弟子でも何でも無い。単なる観測機にしか過ぎないんだ。
彼女は君の事を、自分の計画の役に立つ道具としてしか見ていない。
そして、そんな彼女にこれまでずっと理由も無く従っていた君は、間違い無く機械だ。
八意永琳の、八意永琳による、八意永琳の為の都合の良い機械。――それが、これまでの君だったんだ」
621 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2015/05/23(土) 02:37:40 ID:???
……と、いったところで今日の更新はここまでです。
明日はもうちょっとフォローしきれなかった点を補足しつつ、次の試合でのテーマを散りばめて、
出来れば大会14日目の自由行動に移れればと思っています。
今日の岬の主張を超簡単に纏めると、
『鈴仙が主人公になれたのも永琳って奴のせいなんだ。鈴仙は永琳の計画遂行の為に必要な道具なんだ』
……って感じです。永琳のそもそもの動機は依然不明です。
それでは、皆様、本日もお疲れ様でした。
622 :
森崎名無しさん
:2015/05/23(土) 02:51:20 ID:???
乙なのです。
初期鈴仙ならともかく、今の鈴仙ならある程度の動揺はあるにしても、大きな精神的ショックはないかなあ。
師匠が最終的にとんでもないこと企んでたり、鈴仙さんが観測機にはなれるけど、命の保証はないとかなら別だけど。
にとり「話は聞かせて貰った! 観測機なんてこのにとり様にかかれば朝飯前だよ! 河童なめんな!」
にとり(つまり主役はこの私だ! 主人公交代だよ鈴仙!)
鈴仙「いつから聞いてたのー!?」
岬「今までの話根底からひっくり返してきた!?」
623 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2015/05/23(土) 23:13:16 ID:???
こんばんは、更新していきます。今日はなんと判定があります(白目)
>>622
乙ありがとうございます。
永琳が必ずしも鈴仙の為に動いているとは限らない……というのは重要な点ではありますが、
これだけで鈴仙がどうにかなる訳ではありませんね。
にとり主役で思いついたのは、自分はそこまで強くないけど、日常で素材を集めて機械を作って、
試合では状況に応じて使う機械を変えて乗り切る、SFCのスラップスティック的な話ですね。
……あれ、案外面白そうかも?
624 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2015/05/23(土) 23:16:59 ID:???
鈴仙「……そんな、事」
あるわけがない。鈴仙はそう断言しようとしたが、……できなかった。
過去程では無いにせよ、依然少なからず永琳に依存している自分が居る事を、鈴仙は感じていた。
岬「その顔を見ると、多少の自覚はあったようだね。だって、普通じゃ考えられないよ。
何を考えているかを分からぬ相手を盲目的に信じるなんてさ。
君もお師匠様を信じつつも、どこか無意識にでも、不安を覚えていたんじゃないかな」
鈴仙「――そ、そんな事……ないもん……」
岬「たんじゅ……おっと失礼、素直だね、君は。顔に出ているよ」
鈴仙は岬を強く見つめ返す事すら出来なくなっていた。
そして、心理的に弱みを見せた相手に対して岬は容赦しなかった。
岬「――もしかしたら、君がここに来た事自体が、最初っから八意永琳の計画だったのかもしれない。
八意永琳には親しい月の有力者姉妹も居るようだし、そこそこ優秀で御しやすい玉兎を見繕う事もできただろう。
その後、玉兎の通信電波をジャックして、『人間が月に攻めて来る』とかいうガセ情報を送るのも、月の賢者ならば容易だろうし、
それで地上に逃げて来た時優しく保護してやれば、簡単に懐柔できる。
……噂話でも何でもホイホイ信じて突っ走ってしまう、そんな単純な少女が相手だったらなおさらだ」
鈴仙「…………!」
岬は鈴仙の物語をあざ笑う。
月からの逃亡、永遠亭での平穏だが鬱屈した生活、サッカーの流行、パスカルや中山との出会いによる成長。
これまでの鈴仙が体験して来た一連の物語の全てが、もしも永琳によって仕組まれたものだと断じる。
岬の説はこれまでの論理と比べて整合性に欠ける、より推測が強くなっていたが……。
しかし、今の鈴仙は反論できる余裕を失っていた。岬は鈴仙の心理的な不安を的確に突いていたからだ。
これまで自分は永琳から何も聞かされていない。自分はもしかしたら本当に、永琳の道具に過ぎないのかもしれない。
そんな思考は不毛だと思っていても、今の鈴仙は中々それを拭えないでいた。
625 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2015/05/23(土) 23:18:38 ID:???
岬「人を信じる事は立派さ。しかしそれは、その人が嘘をついているかもしれない。
その人が自分を利用しようとしているのかもしれない。
……そう言ったリスクを負ってでも、尚も突き進もうとした場合にのみ立派と言えるんだ。
そうでも無いのに、ただ単に言われた事を信じて。
それで裏切られた時になって初めて文句を垂れて絶望するのは、子どものする事だ」
これまでの自分を否定されたような気分になった鈴仙を諭すように、岬は語気を和らげた。
そこには神子の手下ではない、岬太郎自身の考えが見え隠れているような気がした。
岬「さて。とにかく僕が君に伝えなければならない事は全て言い終わったんだけれど。
――君にひとつ、宿題をあげよう」
暫くの沈黙が流れた後に、岬は不意にこんな事を呟いた。
鈴仙「……宿題? 悪いけれど師匠や先生はもう間に合っているんだけど」
岬「――なに。至極簡単な宿題だよ。やろうと思えば、幼児でも容易く出来る事さ」
鈴仙「だったら別にやる必要なんてないじゃないの。姫様じゃないけど、ムダなタスクは捨てる化したら?」
永琳に対する不信を押し留めるのに必死な鈴仙だったが、
それでも皮肉を振り絞って、少しでも岬に抗い続けようとした。
次に何を言われても、精神的な動揺を見せてはいけない。
永琳の見えない真意に苦しみながら、鈴仙は岬の発言を待つ。一秒が比喩でも何でもなく長く感じる。
しかしそんな鈴仙の辛抱とは裏腹に――。
626 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2015/05/23(土) 23:23:02 ID:D7SACXzA
スッ。
岬「そっか。じゃあ、……これを返してくれないかな。君のチームの、とある方から借りてたんだ」
岬は言葉に代えて、鈴仙に対しある物を手渡した。それは一見、何の変哲も無い、ありふれた物だったが……。
鈴仙「――え。これって……? な、なんであんたが……?」
先程岬が語った、永琳の計画の全容に関する推察以上に、岬が鈴仙に手渡した物はショッキングだった。
――何故なら、それは鈴仙も良く知っている物だったからだ。その持ち主であろう人物も含めて……。
そう、岬が鈴仙に手渡した物。それは――。
先着1名様で、
★鈴仙の試練→! card★
と書き込んでください。マークで分岐します。
JOKER→妹紅と見知らぬ女子高生との怪しいツーショットだった。慧音「も、妹紅……?」チャキッ 岬「(渡す相手間違えた)」
ダイヤ・ハート→一冊の恋愛小説だった。
スペード・クラブ→七つ葉のクローバーが押してある古手帳だった。
627 :
森崎名無しさん
:2015/05/23(土) 23:23:42 ID:???
★鈴仙の試練→
ハート3
★
628 :
森崎名無しさん
:2015/05/23(土) 23:24:07 ID:???
★鈴仙の試練→
ハート3
★
629 :
森崎名無しさん
:2015/05/23(土) 23:25:44 ID:???
>ダイヤ・ハート→一冊の恋愛小説だった。
ちなみにカップリングはブローリン×カグロット カグロット「やめろぉ!」
630 :
森崎名無しさん
:2015/05/24(日) 01:01:28 ID:???
うーわ、やはり岬はやっかいだ
既に佳歩ちゃんに目を付けてスカウト済か
岬にとっては御しやすい上に攻撃に関しては一部鈴仙さん以上だしなあ
愛着あるし3章以降も一緒にプレイしたかったけど、仕方ないか……
妖夢さんと同じくよきライバルとなる展開も熱くはなるだろうし
631 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2015/05/24(日) 01:26:54 ID:tD5VSiQ+
★鈴仙の試練→ ハート3 ★
ダイヤ・ハート→一冊の恋愛小説だった。
鈴仙「これは……」
鈴仙に託されたのは一冊の本。人里の本屋で叩き売りしている、ごくありきたりの恋愛小説だった。
しかしその本に鈴仙は見覚えがあった。
鈴仙「これ……佳歩の好きな本」
それは佳歩がまだ名前を貰っておらず、ウサギAとしてルナティックスのFWを務めていた時代。
パスカルが加入した事により、自分の立場が無くなると心配した佳歩は、
少しでもその不安と寂しさを紛らわせるべく、この本を読んでいたという。
鈴仙はこの本を見て、思い悩む佳歩の前に『サッカーも恋愛と同じ。夢見るだけではチャンスを掴めない』
……などと力説したものだったが――。(※詳細は1スレ目
>>727-742
参照)
鈴仙「どうしてあんたが……その佳歩の恋愛小説を持ってるのよ!?」
岬「どうしてって、……さっき言ったろう、僕が彼女から借りてたんだ。
まあ、ラストでヒロインが交通事故に遭う……ってのは少しどうかと思ったけれど」
岬は暢気に本の感想を述べる。まるでこう振る舞えば、鈴仙が少しでも取り乱してくれるとでも知っていたかのように。
そして鈴仙は悲しい事に単純だった。
鈴仙「違う。そんな事を聞きたいんじゃない! どうしてあんたが借りてたのよ!
佳歩があんたみたいなのと関わり合いがある訳ないじゃない……!」
岬「――それじゃ、鈴仙さん。僕の宿題、きちんとこなして下さいね?
でないと……貴女は絶対に、この次の試合で敗ける。貴女は、神子様に勝てない。いや、誰にも勝てない」
632 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2015/05/24(日) 01:30:05 ID:???
岬は鈴仙の質問に答えずに立ち上がり、スタジアムを去ろうとする。
鈴仙は何度も岬を呼び、佳歩との関係、何故岬がこの本を持っているのかを聞こうとするが、岬は全く聞く素振りも見せない。
追いかけようとしても、今度は人里の岬ファン――鈴仙の視点から見ると信じがたいが、
岬には神子程では無いが少なくない数の信望者がいる――の人波に阻まれてしまう。
鈴仙「はぁ、はぁ……!(これまでの私の悩みは、頑張りは、全て師匠に仕組まれたものだったの?
私はこれまで、師匠の道具になるために頑張ってたの……? 私は一体、何の為に戦うべきなの……?)」
岬はもう既に鈴仙の視界から消えていた。
鈴仙に残されたのは、岬達が語る永琳の、そして自分自身の真実と、佳歩の恋愛小説だけだった。
これまで漠然と考えつつも、深くは保留していた問い――何の為に、自分は戦うのか――が、今鈴仙に突きつけられている。
この時、鈴仙は完全に打ちひしがれるまでは行かずとも、精神的に消耗していた。
――そのため。
明らかな岬の罠であると見え見えな、ごく単純な思考の誘導にも鈴仙は簡単に引っかかってしまう。
鈴仙「(それにしても、岬はどうして、佳歩の持っている本を持ってたの……?
ムリヤリ奪ったとか? ……いや、流石の佳歩だって妖怪ウサギなんだし、岬君よりは強い筈。
たまたま同じ本を持ってたとか? ……それも無い。どうしてたまたま同じ本だって、アイツが分かるのよ。
だけど。だったら、どうして……?)」
考えてみればみるほど、佳歩は正常な環境下で岬と取引を結んでいたように思える。岬の話が嘘であるように見えない。
そしてそうなると、妖夢の一件も相まって、鈴仙の内心の疑心暗鬼は、いよいよその勢いを強める。
633 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2015/05/24(日) 01:31:17 ID:???
鈴仙「(そう言えば、岬君は知り過ぎだろうって思える位、永遠亭や私の事に熟知していた。
もしかしたら。誰かが……もしかしたら佳歩が! 私達の情報を盗み聞きし、神子達のスパイとして動いているの!?)」
佳歩もまた、人知れず岬に籠絡されていたのではないか。
そして、妖夢と同じ『ハイパーカンピオーネ』計画の一員としてか、そうで無くとも永遠亭ルナティックスのスパイとしてか。
その実態は分からずとも、兎に角その裏で鈴仙に反する行為を行っているのではないか。
永琳に対する信頼に罅を入れられたと同時に、鈴仙の仲間達に対する信頼もまた、この局面で同時に揺らぎ始めていた。
***
佳歩「……あっ。いたいた。鈴仙さまー、お財布見つかりましたかー?」
鈴仙「か、佳歩……!」
タッ! ……フワッ!
佳歩「あっ、鈴仙さま、鈴仙さまーー! どうして私を避けるんですかー!?」
だから鈴仙は、スタジアムの外で健気に自分を待ってくれていた佳歩の素直な顔を見る事ができなかった。
佳歩を避けるようにして背を向け空を飛び、普段とは違うルートで永遠亭へと帰っていく。
そしてここで、自分が岬の言う『宿題』を満足にこなせそうで無い事に気付く。
鈴仙「(……どうしよう。私は……信じられない。師匠の事を……佳歩の事を……皆の事を、信じてない)」
これまで信じられると思って来た師匠。友人。仲間達。それらは全て、自分の勝手な思い込みでは無かったか。
都合の良い上澄みだけを信じて、都合の悪い部分については敢えて目を閉じて来たのではないか。
仮に仲間が鈴仙を信じていたとしても、自分はまだ、そんな仲間達を真の意味で信頼していなかったのではないか。
634 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2015/05/24(日) 01:35:23 ID:???
――人を信じる事は立派さ。しかしそれは、その人が嘘をついているかもしれない。
その人が自分を利用しようとしているのかもしれない。
……そう言ったリスクを負ってでも、尚も突き進もうとした場合にのみ立派と言えるんだ――
鈴仙「………ッ! あんな詐欺師の言葉なんて、絶対に信じるもんかって思ってたのに……!」
――そうでも無いのに、ただ単に言われた事を信じて。
それで裏切られた時になって初めて文句を垂れて絶望するのは、子どものする事だ――
岬が言い放った言葉が、夕空の竹林を飛ぶ鈴仙の中で何度もリフレインする。
自分は子どものように、ただ単に言われた事を信じているだけだった。
そして、それに気づかされても、自分は尚裏切られるリスクを背負いたくない。
そんな臆病な自分が鈴仙は堪らなく嫌だった。
佳歩「(鈴仙さま……一体どうしたんだろう……)」
佳歩は鈴仙の後ろを着いて空を飛ぶ。しかし、とても鈴仙は話せる状態では無かった。
――岬太郎の策略により、鈴仙は仲間を『信じる』ことを忘れてしまった。
*鈴仙が佳歩に対し不信を覚えました。
不信が消えるまで、鈴仙は佳歩に対して自分から話に行けません(試合時の選択は通常通り行えます)。
この状態はイベント進行で必ず解除されます。
635 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2015/05/24(日) 01:45:41 ID:???
――と、言った所で今日の更新はここまでです。
明日は久しぶりの自由行動フェイズという事で、久しぶりに選択肢が沢山出て来ますので、ご参加頂ければ幸いです。
今回の岬による人間不信作戦ですが、実害が生じるのはアナウンスした通り佳歩と会話をする時のみです。
描写的には永琳を始め他の仲間も不信っぽい感じになってますが、ゲーム的な支障は起きません。
また、今回の聖徳戦のテーマは『信じる』という事で、今の鈴仙の不信を上手く克服して頂ければと思います。
>>629
いわゆる殺し愛ってやつですかね。(ただし姫様は死なない)
>>630
佳歩のように評価値の高い仲間が判定一発で離脱という事はありませんのでご安心下さい。
むしろ鈴仙にとって、より心強い仲間に成長してくれるかもしれません。
それでは皆さま、本日もお疲れ様でした。
636 :
森崎名無しさん
:2015/05/24(日) 02:01:26 ID:???
>>635
あ、早合点でしたね、すみません、そして一安心
にしてもやはり岬君はやっかいだなあ。
けどここで岬君に話を聞かなくても遅かれ早かれ鈴仙さんにはぶつかっていた問題なのかな
だとしたら早めに自覚できて良かったと言えるかも
さて、佳歩ちゃんに直接話ができないとなると、けーね先生かマスター、てゐ辺りに相談かねえ
意外とウサギBちゃんやつかささんでもいいかもしれない、しっかりしている&佳歩ちゃんについてよく知っているだろうし
まあ、佳歩ちゃんがうどんちゃんを裏切るとかそもそも相談できませんしねえ
岬「鈴仙や永遠亭のスパイになるんだ」
クラブA→佳歩「」チャキ
岬「ぐわー!?」
(バイオレンスな描写があったことをお詫びします)
しかし岬君も何気に鈴仙さんの成長を期待している……神子に一泡吹かせて欲しいのかな?
乙なのです!
637 :
森崎名無しさん
:2015/05/24(日) 02:03:41 ID:???
乙です
分かっちゃいたが聖徳が吐き気を催す邪悪すぎてアレだな
サッカーに負けてはい終わりにするには余りにも悪行を重ねすぎてる
てつを「いたいけな少女の信じる心を弄び、あまつさえ子供を己の策に利用するなど断じて許さん!!」
とかそんな感じで皆纏めてリボルケインで一砕きにしたい
638 :
森崎名無しさん
:2015/05/24(日) 02:25:27 ID:???
乙です
なんとなく目的はわかってたけど(不信感の植え付けを行う♂(レ))
少し予想外だったな、永琳だけでなくそっちの信用落とさせるとは・・・
信じちゃうってことはやっぱり妖怪同士って薄汚いな
じぶんが裏切られることを恐れて他者を疑うとかマジないわ、クズすぎ
ルールもくそもあったもんじゃないな
これを見る限りどう見ても神子様の作る完全に
とうせいのとれた上下関係のくっきりした社会の方
が争いも疑いも少ないしまだマシだわ
じっさい身分制度があってもよほどひどくない限り
やばい戦争とか革命起こらないからね
すべて神子様の意思に従えばすべてが平和になる
てを取り合う必要はない。妖怪は妖怪はらしく、それでいいんだよ
いつも思うんだけど下手に人間の真似をされるよりずっといい人間の
スキン(皮)なんてかぶられるとこっちが悪者に見られたりするからね、あれって心外なんだよ人間としてはさ
最後の3行は某ゲームのある味方キャラが敵に対して言うセリフです
639 :
森崎名無しさん
:2015/05/24(日) 02:28:19 ID:???
俺の青春乙
640 :
森崎名無しさん
:2015/05/24(日) 11:50:19 ID:???
リボルケインだけでは物足りない、カラオ刑も追加で
641 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2015/05/24(日) 16:18:42 ID:tD5VSiQ+
こんにちは、やや不規則な時間ですが時間が取れたので更新します。
最近忙しくてあまり更新できなかったので、今日は多目に更新できればと考えています。
>>636
乙ありがとうございます。岬にも何か真意があるのかもしれませんね。
今回の件は鈴仙自身の気持ちの問題でもあるので、相談して即解決、という訳にはいかないかもです。
そうした意味では、今回の件に囚われず、自由に行動を選んで頂ければと思います。
>>637
乙ありがとうございます。
カタルシス的な何かは一応考えてはいますが、神子達は第二部でも鈴仙の敵として立ちはだかる予定なので、
今回のカタルシス分はやや少なめになってしまうかもです。
>>638
信じることがジャスティス乙ありがとうございます。
今回の作戦は、永琳をダシに鈴仙をひっかけて、普通なら疑わせにくい佳歩や他のメンバーにも疑いを持たせる
……みたいな感じでしたね。ただ、ここで岬の話を聞いた事は長い目で見て必ずしもマイナスではありません。
元ネタはちょっと分かりませんでした(汗)
>>639
鈴仙の青春乙ありがとうございます。仲間とのトラブルも青春ですよ。
>>640
正直鈴仙のカラオケなら聞いてみたいです。
642 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2015/05/24(日) 16:19:51 ID:tD5VSiQ+
〜大会14日目・午前〜
鈴仙「……はぁ。あれから結局佳歩とは顔を合わせられなかった。
落ち着いて考えれば、佳歩がスパイなんてする訳が無さそうだけど、
だからこそ、万一本当にそうだったら……と思うと怖くて怖くて。
私達の情報がある程度神子達に漏れてるのは事実っぽいし。
師匠の真意もますます分からなくなったし、どうすればいいんだろ……。
――あ。そういや今朝の花果子念報は聖徳ホウリューズに関する情報が書いてあったっけ。
試合前のミーティング用に、スクラップしてノートにでもはっつけとこ……」
A:自由行動をする(自由行動フェイズに移ります。更に分岐)
B:練習をする(一人か仲間で練習したり、コーチングをします。更に分岐)
C:狂気度を使用する(更に分岐。一部を除き、この行動では時間を消費しません)鈴仙の狂気度:27
D:現在の能力値を確認する(この行動では時間を消費しません)(※1票決)
×:アイテムを使用する(この行動では時間を消費しません)
※「ボロボロのボール」など、練習用アイテムはCの練習の選択時に使用してください。
先に2票入った選択肢で進行します。メール欄を空白にして、IDを出して投票してください。
(参考:大会14日目〜大会18日目(決勝戦終了)までのスケジュール)
午 前 午 後
14日目 休 み 休 み
15日目 永遠×聖徳 .紅魔×博麗(準決勝)
16日目 休 み 休 み
17日目 休 み 聖徳×紅魔(三位決定戦)
18日目 休 み 永遠×博麗 ※予定
※試合のある時は、鈴仙は自由行動ができません。
*新聞『花果子念報』の購読効果により、聖徳ホウリューズの選手情報を入手しました。
情報収集を行わずとも、試合前ミーティングにて自動的にチーム情報がある程度開示されます。
643 :
森崎名無しさん
:2015/05/24(日) 16:21:12 ID:wV56yxZU
A
644 :
森崎名無しさん
:2015/05/24(日) 16:22:05 ID:/hJjx3gg
B
645 :
森崎名無しさん
:2015/05/24(日) 16:22:43 ID:oFwDzwNU
B
646 :
森崎名無しさん
:2015/05/24(日) 16:27:37 ID:???
練習といえば妹紅との練習ってどうなりましたっけ?
647 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2015/05/24(日) 16:41:37 ID:tD5VSiQ+
>>646
あっ、すみません。忘れていました。
今から話を巻き戻すのも大変なので、今回の練習後に妹紅が来て追加練習……と言う形にしようと思います。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
B:練習をする(一人か仲間で練習したり、コーチングをします。更に分岐)
鈴仙「よっし。こんな頭がモヤモヤしちゃう時はいっその事……練習よ!」
現在の能力値
選手 ド パ シ タ カ ブ せ 総 高/低
鈴仙 51 50 53 49 48 44 50 345 2 3
所持中のフラグ:ドリブル(15/20)、タックル(10/20)
スルー(15/20)、オフサイドトラップ(18/20)、フェアプレイ精神(17/20)
最大ガッツ:960
(必殺技リスト)
→たくさんあるので省略。
>>2
を参照してください。
A:基礎能力を上げる(更に分岐)
B:必殺技の練習をする(更に分岐)
C:スタミナをつける(判定で最大ガッツが上がります)
D:コーチングをする(更に分岐)※記号の後にコーチしたい選手名を記載してください。(例:DウサギA、ウサギB)
☆現在一緒に練習できる選手☆
妹紅、慧音、てゐ、中山、輝夜、佳歩、ウサギB、ウサギC、ウサギD、つかさ、永琳、パスカル:無条件で参加
☆コーチング可能な選手☆
永琳、パスカル、中山を除く全選手
(続きます)
648 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2015/05/24(日) 16:42:44 ID:tD5VSiQ+
【補足・備考・注意点】
・一緒に練習したい選手がいる場合、選択肢の後にその選手の名前を記してください。
(例:A(一人の場合)、B妹紅(妹紅と練習したい場合))
・【誰かと一緒に練習をする場合】、もう一人の選手の能力値も上昇し、評価値も上がりますが、
【鈴仙自身の成長効率は下がります】。
(基礎練習では上がりやすさ1段階ダウン、必殺技練習では! dice→! dice/2に)
なお、もう一人の選手の成長効率には影響がありません。
・コーチングは、鈴仙よりも総合能力の低いキャラを二人まで選び、
好きな能力値を上昇させることが出来ます。ですが鈴仙自身の能力自体は上昇させることはできません。
選択肢の後にその選手の名前を記してください。(例:D ウサギA、ウサギB)
・「ボロボロのボール」等のアイテムは、使用できる選択があった場合にアナウンスがかかります。
「使いたい人に手渡す必要のある」アイテムは、練習フェイズでは使用できず、自由時間等での会話時に、
目の前に居るキャラに対してのみ使用できます。
先に2票入った選択肢で進行します。メール欄を空白にして、IDを出して投票してください。
(前のレスとこのレスの間にある選択も有効になります)
649 :
森崎名無しさん
:2015/05/24(日) 16:44:37 ID:/hJjx3gg
A
650 :
森崎名無しさん
:2015/05/24(日) 16:45:03 ID:wV56yxZU
D つかさ ウサギB
651 :
森崎名無しさん
:2015/05/24(日) 16:45:15 ID:TmYBT5IA
A
652 :
森崎名無しさん
:2015/05/24(日) 16:45:47 ID:lzDdxBf+
D ウサギB つかさ
653 :
森崎名無しさん
:2015/05/24(日) 16:48:37 ID:???
次の試合のDFの繋ぎがアレらしいからパスカット強化?
654 :
森崎名無しさん
:2015/05/24(日) 16:51:41 ID:???
たしか上がりにくいだから上がるか半々……と思ったけど、サッカーレベル上がったからパスカットはA出さなきゃ上がるのか
655 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2015/05/24(日) 16:57:27 ID:tD5VSiQ+
すみません。練習関係で大事なアナウンスを忘れていました。
幻想郷のサッカーレベルについて、大会一回戦が終了しましたので、上昇します。
そのため、能力値の上がり易さ及び基準については、以下のようになります。
<幻想郷のサッカーレベル:5>(第一部ではこれ以上上がりません)
(フィールダー用)
数 値 練習での上がりやすさ 評価
S54〜 上がらない 神域
A52〜53 かなり上がりにくい 超優秀
B49〜51 上がりにくい 優秀
C46〜48 普通 普通
D43〜45 上がりやすい やや弱い
E40〜42 かなり上がりやすい 弱い
(GK用)
数 値 練習での上がりやすさ 評価
S54〜 上がらない 神域
A52〜53 凄く上がりにくい 超優秀
B48〜51 上がりにくい 優秀
C44〜47 普通 やや弱い〜普通
D40〜43 上がりやすい 弱い
練習の効率的な意味ではレベルアップ前より良くなっておりますので、
知らずにAに投票してしまった方にとって損になる事は無いと判断し、このまま進めさせて頂こうと思います。
大変失礼いたしました。
656 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2015/05/24(日) 17:00:32 ID:tD5VSiQ+
A:基礎能力を上げる(更に分岐)
鈴仙の練習は…
A ドリブル(51) 上がりにくい
B パス(50) 上がりにくい
C シュート(53) かなり上がりにくい
D タックル(49) 上がりにくい
E パスカット(48) 普通
F ブロック(44) 上がりやすい
G せりあい(50) 上がりにくい
先に2票入った選択肢で進行します。メール欄を空白にして、IDを出して投票してください。
*アイテム「ボロボロのボール(各練習時、判定に-! diceされるが…?)」が使用可能です。
使用したい場合は、選択肢の横にアイテム名を記載してください。(例:A ボロボロのボール)
657 :
森崎名無しさん
:2015/05/24(日) 17:01:18 ID:wV56yxZU
Eボロボロのボール
658 :
森崎名無しさん
:2015/05/24(日) 17:01:59 ID:lzDdxBf+
E ボロボロのボール
659 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2015/05/24(日) 17:10:51 ID:tD5VSiQ+
E パスカット(48) 普通
鈴仙「今日はパスカットの基礎を固めましょうか。
ボールは……こないだヘンな感じもしたし、もう一回この『ボロボロのボール』を使ってみよっと」
鈴仙は『ボロボロのボール』を使いながら、パスカットの基礎を再確認する事にした。
先着2名様で、
★鈴仙のパスカット練習→! card-! dice★
★ボールくんの様子LV2→! card★
と書き込んでください。数値・マークで分岐します。
〜練習結果表〜
JOKER→+2&必殺フラグ習得!(フラグがある場合は回収)
13→+2!
2〜12→+1!
1→効果が無かった。
〜ボールくんの様子〜
JOKER・ダイヤ絵柄→ボール「ミサキ キミハマチガッテルヨ レイセンガタダシイヨ」鈴仙「しゃ、喋った!?」
それ以外→特に何も無かった…と思う。
660 :
森崎名無しさん
:2015/05/24(日) 17:12:26 ID:???
★鈴仙のパスカット練習→
ダイヤA
-
3
★
661 :
森崎名無しさん
:2015/05/24(日) 17:12:47 ID:???
★ボールくんの様子LV2→
ダイヤ2
★
662 :
森崎名無しさん
:2015/05/24(日) 17:13:15 ID:???
★ボールくんの様子LV2→
ハート6
★
663 :
森崎名無しさん
:2015/05/24(日) 17:13:57 ID:???
もうだめだ、おしまいだぁ…
664 :
森崎名無しさん
:2015/05/24(日) 17:14:36 ID:???
無意味なダイヤ攻勢(白目)
665 :
森崎名無しさん
:2015/05/24(日) 17:16:19 ID:???
さあ鉢巻イベントにでも行こうか(目逸らし
666 :
森崎名無しさん
:2015/05/24(日) 17:26:54 ID:???
このボールしゃべれるようになったらアリスさんのトモダチになれるのかな?w
667 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2015/05/24(日) 17:41:39 ID:tD5VSiQ+
★鈴仙のパスカット練習→ ダイヤA - 3 ★
→効果が無かった…
★ボールくんの様子LV2→ ダイヤ2 ★
それ以外→特に何も無かった…と思う。
ポーン、ポーン……
鈴仙「(佳歩……。そう言えば最近、昔程に面倒を見てなかったしなぁ)……って」
パシッ、コロコロコロ……。
鈴仙「うーん、集中できないわねぇ」
練習に打ち込もうと思っても、どうしても集中できない。
頭の中のモヤモヤを少しでも振り払おうと努めた鈴仙だったが、
結果として余計に泥沼に入ってしまったような気がする。
鈴仙「あーあ。どうしよう。明日は試合なのに……」
ボール「…………」
鈴仙はルナティックスの練習場のベンチに腰かけて、
ボロボロのボールを顔の近くに持っていき喋りかけるが、勿論反応は無い。
何だか余計に虚しくなる鈴仙だった。
ボール「…………」
そんな鈴仙の様子を、ボロボロになったボールは優しく見守っていた。
*鈴仙のパスカットは上昇しませんでした…。
*「ボロボロのボール」が、「しゃべるボール」になる確率が一段階アップしました。
668 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2015/05/24(日) 17:42:46 ID:tD5VSiQ+
妹紅「――やっ、鈴仙」
鈴仙「はぁ……どぉせ私なんか……。って、あれ。妹紅?」
そうやって落ち込む鈴仙の元に訪れたのは妹紅だった。
突然の来訪者に目を丸くする鈴仙だったが、そんな鈴仙を妹紅は笑った。
妹紅「ほら。試合の時約束してたじゃない。昨日の試合後、練習しようって……」
鈴仙「――あ! ご、ごめん! 忘れてたわ!?」
妹紅「やっぱり」
岬からの話を聞かされた鈴仙はあの後気が動転して、妹紅との約束をすっぽかしていたのだ。
鈴仙は九十度に腰を折り妹紅に謝るが、妹紅はあははと朗らかな笑顔で気にしていない様子だ。
妹紅「てゐから聞いていたんだ。鈴仙が良く分からないけれど少し落ち込んでたって。
だから、こんな事もあるかなぁって思っていたし。
大体、こうも生きているとたった一日くらいあっと言う間だからね。誤差だよ、誤差」
鈴仙「妹紅……。本当にごめんね」
妹紅「ホントに良いってば。さ、練習を始めよう?」
後ろに束ねた白い長髪を軽く梳きながら、妹紅は鈴仙の手元にあったボロボロのボールをひったくり、リフティングを始めた。
その楽しそうな様子を見ていると、鈴仙はこうしてウジウジ不信に悩んでいる自分が少し馬鹿らしくなって。
鈴仙「……うん。よろしくね、妹紅」
……そう笑顔で、妹紅との練習を始める事ができた。
669 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2015/05/24(日) 17:44:52 ID:tD5VSiQ+
今回重点的に鍛える能力値を選んでください。カッコ内は現在の能力値です。
鈴仙の練習は…
A ドリブル(51) 上がりにくい
B パス(50) 上がりにくい
C シュート(53) かなり上がりにくい
D タックル(49) 上がりにくい
E パスカット(48) 普通
F ブロック(44) 上がりやすい
G せりあい(50) 上がりにくい
妹紅の練習は…
A:ドリブル 上がりにくい
B:パス 普通
C:シュート 上がりにくい
D:タックル 上がりにくい
E:パスカット 普通
F:ブロック 普通
G:せりあい かなり上がりにくい
先に2票入った選択肢で進行します。 鈴仙と妹紅の練習内容は同時に選択し記入してください。
(例:AA(鈴仙ドリブル、妹紅ドリブル)、CG(鈴仙シュート、妹紅せりあい))
*現在、「ボロボロのボール(各練習時、判定に-! diceされるが…?)」
……が使用可能です。
【使用する時は、選択肢の後に、 『△△(アイテムの名前)・○○(キャラの名前)』 と書き込んで下さい。】
(例:BA ボロボロのボール・鈴仙→妹紅はアイテム無しでせりあい、鈴仙はボロボロのボールを使用してドリブル)
※同じアイテムを重複して利用する事はできません。
(例:BA ボロボロのボール・輝夜 ボロボロのボール・てゐ は不可)
670 :
森崎名無しさん
:2015/05/24(日) 17:46:40 ID:lzDdxBf+
E ボロボロのボール
E
念のため、ボロボロのボールは鈴仙
671 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2015/05/24(日) 17:46:49 ID:???
※通常だと、二人で練習する場合は鈴仙の成長効率は一段階落ちますが、
イベントによる練習のため、今回鈴仙の成長効率は一人練習時と同じとなっております。
672 :
森崎名無しさん
:2015/05/24(日) 17:48:53 ID:GVHJTid6
E ボロボロのボール
E
念のため、ボロボロのボールは鈴仙
673 :
670
:2015/05/24(日) 17:51:51 ID:lzDdxBf+
EE ボロボロのボール・鈴仙
書き方が例に沿ってませんでしたね、すみません
674 :
森崎名無しさん
:2015/05/24(日) 17:54:39 ID:wV56yxZU
ED ボロボロのボール・鈴仙
675 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2015/05/24(日) 17:57:11 ID:tD5VSiQ+
>>670
さん
修正ありがとうございます。意図は伝わっておりましたので大丈夫です!
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
EE ボロボロのボール・鈴仙
鈴仙「……それじゃ、パスカットの練習をしない? 互いに見せ合って、それぞれの動きを確認するの」
妹紅「パスカットかぁ、確かに良いかもね。私もSBだけどパスカットはサッパリ練習してないし……」
鈴仙「(シュート練習は充実してたけどね……)」
言いたい事も言わずに、鈴仙と妹紅は互いにパスカットの基礎的な動きを磨いていった。
先着3名様で、
★鈴仙のパスカット練習→! card-! dice★
★妹紅のパスカット練習→! card★
★ボールくんの様子LV2→! card★
と書き込んでください。数値・マークで分岐します。
〜鈴仙・妹紅の練習結果表(共通)〜
JOKER→+2&必殺フラグ習得!(フラグがある場合は回収)
13→+2!
2〜12→+1!
1→効果が無かった。
〜ボールくんの様子〜
JOKER・ダイヤ→ボール「ミサキ キミハマチガッテルヨ レイセンガタダシイヨ」鈴仙「しゃ、喋った!?」
ハート・スペード・クラブ→特に何も無かった…と思う。
676 :
森崎名無しさん
:2015/05/24(日) 17:58:49 ID:???
★鈴仙のパスカット練習→
ハートA
-
1
★
汚名返上じゃあ!
677 :
森崎名無しさん
:2015/05/24(日) 17:58:56 ID:/hJjx3gg
★鈴仙のパスカット練習→
ダイヤ10
-
4
★
678 :
森崎名無しさん
:2015/05/24(日) 17:59:23 ID:???
やっぱりもうだめだぁ…
679 :
森崎名無しさん
:2015/05/24(日) 18:00:06 ID:???
★妹紅のパスカット練習→
スペード6
★
680 :
森崎名無しさん
:2015/05/24(日) 18:00:17 ID:???
★妹紅のパスカット練習→
スペード5
★
681 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2015/05/24(日) 18:00:29 ID:???
>>674
すみません、今回は例と違った書き込み方でしたが、意図が充分伝わる書き込みだったという事で、
>>672
さんの書き込みを有効として進行させて頂きます。
682 :
森崎名無しさん
:2015/05/24(日) 18:00:39 ID:???
ごめん鈴仙ちゃん、もう私しばらく君の練習カード引かない……(涙)
683 :
森崎名無しさん
:2015/05/24(日) 18:00:44 ID:???
★ボールくんの様子LV2→
クラブA
★
もうそろそろ頼む
684 :
森崎名無しさん
:2015/05/24(日) 18:01:58 ID:???
今日の練習はなかったことにしよう記憶改ざん記憶改ざん
685 :
森崎名無しさん
:2015/05/24(日) 18:02:30 ID:???
クラブA分岐がないなんて……
686 :
森崎名無しさん
:2015/05/24(日) 18:14:14 ID:???
クラブA→ボール「ミサキハ ナニモマチガッテナイヨ ミコガタダシイヨ」
鈴仙「そうだったのかぁ・・・!」
いま思いついた、かなりうろ覚えだけど
永琳(年寄りなのでジョセフ枠)「相手の情報を得るためにTVを改造して情報を得る道具にしたわ」
モコメド・アブドゥル「もう何でもありだね」
「我々の」「中に」「裏」「切り」「者」「ガイル」
「カ!」「ホー」「イン」「に」「気を」「つけろ」「MIKO」「の」「手下」「だ!」
MIKO「ウドンゲイン・イーナバー、貴様、聞いているな!」
鈴仙「突然耳が爆発した!?」
鈴仙「佳歩、これ・・・」
布都「そこのお嬢ちゃん、椰子の実はいかが?」
士「選手にぼってる値段かよ、2ドルなら買ってやるぜ」
布都「あのねー、太子様の試合だからスペシャルなの、この鉈で」ガンッ!ガンッ!ガンッ!
布都「ッと穴をあける、そしてその中にはあ~らびっくり!たっぷりのジュースが!果肉もおいしいよ、スプーンでどうぞ」
士「ゴクリ」
鈴仙「おいしそうね、3ついただこうかしら」
布都「へーい、3つで15ドルになりまーす」
士「おい、6ドルにしろよ6ドル」
佳歩?「ありがとう鈴仙さま!」
カリコリカリコリカリコリカリコリ
士「佳歩の奴、ずいぶん気に入ったみたいだな、もう少しで試合が始まるってのに」
佳歩「ん、・・・ああ・もうすぐ行くよ」
クルッ
士「あっ!」
佳歩「プチッ!モグモグ・・・うん、すごく好きなんだ・・・ココナッツ・・・」
687 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2015/05/24(日) 18:15:30 ID:???
★鈴仙のパスカット練習→ ハートA - 1 ★
★妹紅のパスカット練習→ スペード6 ★
→鈴仙は効果なし、妹紅はパスカット+1!
★ボールくんの様子LV3→ クラブA ★
→ハート・スペード・クラブ→特に何も無かった…と思う。
ポーン、パシッ、コロコロ……
鈴仙「――あっ」
妹紅「うーん……。鈴仙、今日はちょっと休んだ方が良いかもね」
先程との練習からは心機一転! ……の筈が、妹紅にそう同情される程、鈴仙の練習結果は芳しくなかった。
妹紅の暖かい笑顔のお蔭で、さっきのように鬱屈として集中できないという事は無かったが、純粋に動きに迷いが生じて上手く行かない。
妹紅は地道にではあるが、少しずつ正確なポジショニングやトラップが出来ているにも関わらず、
鈴仙の方の成果はサッパリであった。
妹紅「……まあ、気にしなさんな。別に明日で世界が滅ぶ訳でも無いんだから。
また日を置けば、きっと良い成果が出るよ?」
鈴仙「……うん。ありがと」
妹紅の優しいフォローも、今のナイーブな鈴仙の心には沁みる。
結局、二人は練習を早々に切り上げて解散し、明日の試合に備えて体調を整えておく下りとなった。
*妹紅のパスカットが+1されました。
*「ボロボロのボール」が、「しゃべるボール」になる確率が一段階アップしました。
688 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2015/05/24(日) 18:20:09 ID:tD5VSiQ+
〜大会14日目・午後〜
鈴仙「どうしよ。貴重な試合前夜の午前が無為に終わってしまったわ……。
――ま、まあ! 気にしちゃ負けよ、気にしちゃ! もっとシャキッとしなくちゃね。
……さて、今から何をしようかな? 地底やら紅魔館やら魔法の森やらも良いけど、
気分転換に色んなトコに顔を覗かせるのも良いかもね! ……はぁ」
A:自由行動をする(自由行動フェイズに移ります。更に分岐)
B:練習をする(一人か仲間で練習したり、コーチングをします。更に分岐)
C:狂気度を使用する(更に分岐。一部を除き、この行動では時間を消費しません)鈴仙の狂気度:28
D:現在の能力値を確認する(この行動では時間を消費しません)(※1票決)
×:アイテムを使用する(この行動では時間を消費しません)
※「ボロボロのボール」など、練習用アイテムはCの練習の選択時に使用してください。
先に2票入った選択肢で進行します。メール欄を空白にして、IDを出して投票してください。
(参考:大会14日目〜大会18日目(決勝戦終了)までのスケジュール)
午 前 午 後
14日目 休 み 休 み←今ココ
15日目 永遠×聖徳 .紅魔×博麗(準決勝)
16日目 休 み 休 み
17日目 休 み 聖徳×紅魔(三位決定戦)
18日目 休 み 永遠×博麗 ※予定
※試合のある時は、鈴仙は自由行動ができません。
689 :
森崎名無しさん
:2015/05/24(日) 18:21:07 ID:wV56yxZU
A
690 :
森崎名無しさん
:2015/05/24(日) 18:21:24 ID:lzDdxBf+
A
691 :
森崎名無しさん
:2015/05/24(日) 18:21:27 ID:5l38RY3Y
A
692 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2015/05/24(日) 18:29:26 ID:tD5VSiQ+
A:自由行動をする(自由行動フェイズに移ります。更に分岐)
鈴仙「――自由行動にしましょ。地底の矢車さんやら紅魔館のレミリアさんやら、
他にも色んな場所で知り合いと交流する事で、少しは気がまぎれるかもしんないし……。
佳歩とは話し辛いし、他のメンバーと向き合うのもちょっとしんどいけど、得られる物もあるかもしれない。
……さて、どうしようかしら?」
A:永遠亭に居る(さらに分岐)
主に永遠亭に居るチームメイトと交流をします。
評価値を上げたり特別なイベントを起こしたりできます。
B:外出する(さらに分岐)
買い物をしたり、永遠亭に居ないチームメイトや、
その他の幻想郷の住人と交流できるチャンスがあります。
C:気晴らしに玉兎通信でもしてみる。(さらに判定)
ランダムで、色々な情報が入ります。運が良ければ必殺技フラグも入手できるかも…
D:現在の能力値を確認する(この行動では時間を消費しません)(※1票決)
先に2票入った選択肢で進行します。メール欄を空白にして、IDを出して投票してください。
693 :
森崎名無しさん
:2015/05/24(日) 18:30:10 ID:wV56yxZU
B
694 :
森崎名無しさん
:2015/05/24(日) 18:30:26 ID:oDAFLom+
C ある意味佳歩の情報が知れるかも
695 :
森崎名無しさん
:2015/05/24(日) 18:31:36 ID:lzDdxBf+
B
696 :
森崎名無しさん
:2015/05/24(日) 18:31:39 ID:VQzLUA6U
B
697 :
森崎名無しさん
:2015/05/24(日) 18:32:19 ID:zuO3ptrk
B
698 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2015/05/24(日) 18:34:00 ID:tD5VSiQ+
B:外出する(さらに分岐)
鈴仙「こういう時は内に籠っているよりかは、外に出た方が良いかな。
さて、どこに行くかだけど……?」
A:人里(貸本屋や道具屋、慧音の住居等があります)
B:霧の湖(妖精大連合メンバーが居ます。プリズムリバー三姉妹の居る廃洋館もあります)
C:紅魔館(レミリアやパチュリーが居ます)
D:冥界(中西や幽々子が居ます)
E:迷いの竹林付近(妹紅やミスティアが居ます)
F:太陽の畑(幽香やメディスン、レティ等雑魚妖怪チームのメンバーが居ます)
G:妖怪の山(河童のバザーやスタジアム、守矢神社等があります)
H:地底(危険もありますが、旧都には様々な店があります、温泉もあります)
I:命蓮寺(星や白蓮が居ます)
J:香霖堂(霖之助がおり、アイテムが購入できます)
K:魔法の森(魔理沙やアリスが居ます)
L:博麗神社(霊夢や森崎が居ます)
M:無縁塚(危険もありますが、掘り出し物も発掘できます)
先に2票入った選択肢で進行します。メール欄を空白にして、IDを出して投票してください。
699 :
森崎名無しさん
:2015/05/24(日) 18:34:42 ID:wV56yxZU
H
700 :
森崎名無しさん
:2015/05/24(日) 18:35:01 ID:lzDdxBf+
H
701 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2015/05/24(日) 19:55:24 ID:tD5VSiQ+
H:地底(危険もありますが、旧都には様々な店があります、温泉もあります)
鈴仙「――そういや。『愛のハチマキ』を矢車さんに渡す約束をしていたっけ……」
外出すると決めた鈴仙だったが、特に行ってみたい場所も無かったため、
ここはかつて知人と結んだ約束を果たす事にした。
地霊殿の牢屋に居候している地獄の住人・松山光。
彼を守る殻であり第二の人格、イマジナリーコンパニオンの妖怪である矢車想。
鈴仙は彼らに対し、偶々持っていたこのハチマキを渡す約束をしていた。
鈴仙「今日は、最初っからその目的で行く! ……って事で良いかなぁ?」
しかし一方で、地底には旧都の猥雑な街並みを始め、魅力的なスポットが沢山ある。
また、多くの荒くれやならず者が住む街という事で、色々な情報も入るかもしれない。
鈴仙は脳内で、本日自分が地底に行くべき目的を考えて――。
A:……当初の予定通り、矢車に会い、『愛のハチマキ』を渡しにいく事にした。
B:やっぱり、着いてから考える事にした。
先に2票入った選択肢で進行します。メール欄を空白にして、IDを出して投票してください。
702 :
森崎名無しさん
:2015/05/24(日) 19:58:53 ID:5AUD7nFQ
A
703 :
森崎名無しさん
:2015/05/24(日) 20:01:23 ID:UmQbIDQU
A
704 :
森崎名無しさん
:2015/05/24(日) 20:01:39 ID:VQzLUA6U
A
705 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2015/05/24(日) 20:12:05 ID:tD5VSiQ+
A:……当初の予定通り、矢車に会い、『愛のハチマキ』を渡しにいく事にした。
鈴仙「……うん。それでいいわよね。大体、試合が明日に控えているから、厄介事には極力巻き込まれたくないし……」
――目的を決めた鈴仙は、妖怪の山のふもとにぽっかりと空いた風穴から、地底へと降りて行く。
道も知っているため、そこまで迷う事も無く、ひとまずは旧都へと向かおうとするが……。
先着1名様で、
★地底探索イベント(簡略版)→! card★
と書き込んでください。数値で分岐します。
JOKER→??「俺の名は地獄ライダーパンチホッパー! ふふふ、見ていてくれよあにきぃ……」
鈴仙「この中の人(?)って、ひょっとして……!」
それ以外→無事に旧都に辿りついた。
クラブ2〜3→中堅クラスの地底妖怪に襲われる!
クラブA→勇儀「ヒャッハー! 呑み比べだー!」旧都に着き次第、鬼に絡み酒された!
706 :
森崎名無しさん
:2015/05/24(日) 20:13:09 ID:???
★地底探索イベント(簡略版)→
クラブ7
★
707 :
森崎名無しさん
:2015/05/24(日) 20:13:18 ID:???
★地底探索イベント(簡略版)→
クラブ9
★
708 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2015/05/24(日) 20:18:05 ID:tD5VSiQ+
★地底探索イベント(簡略版)→ クラブ7 ★
それ以外→無事に旧都に辿りついた。
鈴仙「……うん。幸いにも何も起きなかったわね」
鈴仙は大した被害を受ける事も無く、地霊殿のエントランスへと降り立った。
そこから受付嬢ごっこをやっていたお燐に話を通し、手下?の怨霊の案内で、
鈴仙は地霊殿の暗く湿った地下牢獄の最奥まで進んで行くと――。
矢車「……俺を笑いに来たのか」
矢車が相変わらず、無数の鎖に自ら繋がれて楽しそうにしていた。
前にさとりから聞いたところによると、彼は光を掴もうとする自分自身を罰する癖があるらしい。
こいついつも自分自身に罰せられてんなと思いつつも、鈴仙は引いた作り笑いで答える。
鈴仙「違いますよ。――前に言ってた話、アレを渡しに来たの」
鈴仙はスカートのポケットからひらひらと刺繍の付いたハチマキを取りだすと、
矢車の陰湿な顔が少しだけ動いた。
矢車「……お前、今『いいことした』とか思ってるんじゃないだろうな?」
……と、思ったのは気のせいだった。
散々罰して来た効果か、矢車はもはやその程度の光に囚われる事は無かった。
矢車「俺達みたいなろくでなしが少しでも光を掴もうなんて思うと、痛いしっぺ返しを食らうぞ」
鈴仙「――は、はあ。そうですか」
実はこれも最近アンニュイな鈴仙を気遣っての、矢車なりの親切な助言なのかもしれない。
鈴仙はそう前向きに思うことにして、矢車の差し出された腕にハチマキを掛けてやった。
矢車は暫くその布きれを見て、はぁ……と溜息を漏らしてはいたが。
709 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2015/05/24(日) 20:19:17 ID:tD5VSiQ+
矢車「……で。どれが良いんだ」
鈴仙「――へ?」
矢車「……前に話していただろう。この光を俺に届けてくれたお前に対する、ささやかな礼だ……」
――矢車は元の松山に似てか、義理堅い青年でもあった。
前よりも影というか闇は増した気がするが、約束を反故にするような人物ではなかったのである。
鈴仙「え。えーっと、お礼って言えば……。
@鈴仙と松山との特訓イベントの発生
A特殊戦術を確実に習得
B能力値の低い仲間選手(名無しウサギ)対象の、強化イベントの発生
――で、良かったですか?」
矢車「……ああ。@については通常の特訓イベントを考えてくれれば問題無い。
Aについては、今俺達がお前に教えるのは……■■■攻撃。
GKを除いたフィールダー全員でのオーバーラップによる、フォロー率の上昇作戦だ。
――最も、完全に奪われた時は、守備はガラ空きになるがな。
Bについては、基本的に@と同じだが、俺達の能力値は伸びない。
無いと思うが、将来お前が俺達と組む事になると、少しだけ損をするかもしれんな」
こんなヤツと出来れば組みたくないなと思いつつ、鈴仙は矢車からの解説をしっかりと聞く。
矢車は話すべき事を話したからか、満足したかのようにハチマキを新たな鎖代わりにして腕に巻き付けている。
710 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2015/05/24(日) 20:21:18 ID:tD5VSiQ+
鈴仙「(……ヘンな人だけど、妙に律儀でもあるのよね。この人。
――さて。折角のお礼だけど……どのお礼を貰おうかしら?)」
矢車は確かに変ではあるが、信頼に足る人物である。
鈴仙はムリヤリそう思い込みながら、彼に何を要求すべきか考えて――。
A:鈴仙と松山(矢車)との特訓イベントの発生を要求した。
B:特殊戦術(なだれ攻撃(仮))の確実な習得を要求した。
C:能力値の低い仲間選手(名無しウサギ)対象の、強化イベントの発生を要求した。(更に選択)
先に【3】票入った選択肢で進行します。メール欄を空白にして、IDを出して投票してください。
*鈴仙やチームの成長的に重要かもしれない点、最近の投票スピードを考えて試験的に3票決とします。
711 :
森崎名無しさん
:2015/05/24(日) 20:23:04 ID:wV56yxZU
B 全部当たりの範囲
712 :
森崎名無しさん
:2015/05/24(日) 20:23:18 ID:UmQbIDQU
A
713 :
森崎名無しさん
:2015/05/24(日) 20:23:48 ID:lzDdxBf+
悩むなー、悩むなー。うーん。
C
714 :
森崎名無しさん
:2015/05/24(日) 20:24:24 ID:u73q5v2I
A
715 :
森崎名無しさん
:2015/05/24(日) 20:25:53 ID:GVHJTid6
B
みんな、上がって!なだれ攻撃よ!とかやってほしいので
716 :
森崎名無しさん
:2015/05/24(日) 20:26:13 ID:VQzLUA6U
A
717 :
森崎名無しさん
:2015/05/24(日) 20:27:56 ID:???
D お礼として矢車の妹にしてもらう
718 :
森崎名無しさん
:2015/05/24(日) 20:28:30 ID:???
D妹にしてもらう
719 :
森崎名無しさん
:2015/05/24(日) 20:31:47 ID:???
矢車と組みてえ
720 :
森崎名無しさん
:2015/05/24(日) 20:35:08 ID:???
D松山に自分を殺(使徒再生)してもらってラビットオルフェノク(2代目)にしてもらう
721 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2015/05/24(日) 21:00:56 ID:tD5VSiQ+
A:鈴仙と松山(矢車)との特訓イベントの発生を要求した。
鈴仙「……それじゃあ。私を鍛えてください。午前も練習していたけれど、中々上手く行かなくて」
矢車「……はぁ。良いよなぁ〜、お前は。凡人だって努力すれば天才相手に戦えるとか、
甘っちょろい事考えていられて。どぉせ俺なんか……」
チャラッ…。
鈴仙「ちょ、ちょっと!? 特訓するって言ってたじゃない!? 何で更に自分に鎖を巻きつけようとすんのよ!?」
矢車「――俺が。……いや、弟が今、愚かにも光を求めようとしたからだ。……眩しいんだよ、お前は」
鈴仙「は、はぁ……そりゃどうも。でも、一緒に特訓してくれるのよね。だったらせめて、練習の時だけは鎖を外してくれませんか?」
果てしなくめんどくさい矢車の行動パターンに鈴仙は辟易しつつも、
それでも矢車の真面目さを信じて鎖を解くようお願いするが。
矢車「…………」
鈴仙「あの、私の話聞いてました? 練習の時だけは鎖を――」
矢車「…………………」
闇の底にはどんな声も聞こえないと言わんばかりに、矢車は頑として動かない。
次第にイライラして来た鈴仙は、「もういいです!」と言ってこの場を立ち去ろうとも考えたが――。
矢車「……自分で、鎖を解けない」
鈴仙「……あっ、そう」
722 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2015/05/24(日) 21:02:51 ID:tD5VSiQ+
鈴仙は菩薩の心で、矢車が自ら巻き付けた大量の鎖を処理してから、
(良く見ると牢獄の一角には、鎖に関する古明地さとり様宛ての大量の請求書が散らかっていた)
地霊殿から少し離れた場所にある、旧都のサッカーコートで特訓に励む事とした。
そして――。
先着2名様で、
★地獄の鈴仙→! card★
★地獄の兄弟→! card★
と書き込んでください。数値の合計で分岐します。
35→彼らに一体何が…? ガッツ+50、全能力+3、更に更に…?
31〜34→超進化!! ガッツ+30、全能力+2、更に…?
26〜30→進化! ガッツ+10、全能力+1、攻撃系or防御系各+1
16〜25→特訓は成功だ! ガッツ+10、全能力+1
10〜15→そこそこの成果だった。ガッツ+10、攻撃系各+1
2〜9 →残念な感じだった…。 ガッツ+0、防御系各+1
*攻撃系=ドリブル・パス・シュート・せりあい で、防御系=タックル・パスカット・ブロック・せりあい です。
*マークか数値が一致した場合、判定に+5されます。これらの効果は重複しません。
*合計値が21以上の時、フラグ習得!(既にあれば回収。無い時は、鈴仙は選択可で、相手は判定)
*合計値が26以上の時、必殺技習得!(分野は鈴仙は選択可で、相手は判定)
*攻撃系の合計と防御系の合計を比較して、低い方=2〜9 高い方=10〜15 で表示しております。
*JOKERが出た場合は『ダイヤの15』として扱います。オールマイティにはなりません。
*松山(矢車)は他チーム選手のため、能力値の成長テーブルは鈴仙の一段下となります。
723 :
森崎名無しさん
:2015/05/24(日) 21:03:34 ID:???
★地獄の鈴仙→
クラブK
★
724 :
森崎名無しさん
:2015/05/24(日) 21:04:38 ID:???
★地獄の兄弟→
スペード9
★
725 :
森崎名無しさん
:2015/05/24(日) 21:04:42 ID:???
★地獄の兄弟→
ダイヤQ
★
726 :
森崎名無しさん
:2015/05/24(日) 21:06:43 ID:???
フラグ回収はドリブル?前から物足りないと思ってた
727 :
森崎名無しさん
:2015/05/24(日) 21:07:49 ID:???
この結果は悪くないな
728 :
森崎名無しさん
:2015/05/24(日) 21:08:46 ID:???
肝心のこの場面で成功するあたり運が良かったな
729 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2015/05/24(日) 21:18:10 ID:tD5VSiQ+
合計値が13+9=22という事で、鈴仙の全能力が+1され、フラグ回収が行われます。
フラグ回収については、確か選択式でやっていた気がするので、先に選択肢を出したいと思います。
※オフサイドトラップ、フェアプレイ精神については通常のフラグとは別と扱います。
A:ドリブル(15/20)
B:タックル(10/20)
C:スルー(15/20)
先に【3】票入った選択肢で進行します。メール欄を空白にして、IDを出して投票してください。
*()内の数値は現在の経験点です。
*鈴仙の成長的に重要かもしれない点を考えて、試験的に3票決とします。
*フラグの回収内容は選択するまで秘密とします。
730 :
森崎名無しさん
:2015/05/24(日) 21:19:36 ID:lzDdxBf+
A
731 :
森崎名無しさん
:2015/05/24(日) 21:19:37 ID:eZpFxWXo
A
732 :
森崎名無しさん
:2015/05/24(日) 21:21:20 ID:wV56yxZU
A
733 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2015/05/24(日) 21:56:34 ID:tD5VSiQ+
★地獄の鈴仙→ クラブK ★
★地獄の兄弟→ スペード9 ★
→13+9=22
16〜25→特訓は成功だ! ガッツ+10、全能力+1
(松山(矢車)はガッツ+10、守備系能力+1)
※合計値21以上のため、鈴仙はフラグ回収、松山(矢車)はフラグ習得します。
※能力値が52以上の能力(鈴仙のシュート)については、今回上昇しません。
矢車「ハッ!」
バギュンッ!
鈴仙「(う、上手い……!)――えいっ!」
バシッ、タタタタタッ…!!
矢車「はぁ……。任せた、弟」
シュウンッ!
松山「了解だよ、あにきぃ!」
タッ!ズザアアアアアアアアアアアアアアッ!!! バシイッ!
鈴仙「え、ちょっと!? 選手が変身するのはズルいでしょ!?」
松山「ズルい? 何言ってるんだお前。俺達は与えられたルールの中で勝利条件を満たしただけだぜ?」
鈴仙「くううっ、矢車さんはめんどくさいけど、アンタもアンタでうざったいわねぇ……!」
734 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2015/05/24(日) 21:57:57 ID:tD5VSiQ+
――鈴仙と矢車、そして松山はひたすら実戦形式でそれぞれの技を磨いていく。
それはさっきまでの自主練習や妹紅との練習と比べると雑極まりない。
しかし、今の鈴仙にとっては色々と考えるよりも、とにかく身体を動かす方が必要だったようだ。
ルール無用の地底式サッカーに、恐らく努力で身に付けた丁寧な矢車達のプレーを見て、
鈴仙は少しずつ自身のプレーを向上させていく。そして――。
松山「そーらっ! また俺のタックルでボールを奪ってやるよ!」
鈴仙「……来たわね。松山!(松山光。中山さんから聞いた話では、彼のタックル力は世界でも有数クラス!
私が神子に勝ち、そして霊夢に勝つためには、これを乗り越えなくちゃいけない!)」
鈴仙は何も考えず、ただ闘争本能のみを増幅させて松山のタックルに対峙する。
松山の乱れた波長を感じ取りながら、その波に自分自身を溶け込ませるようにして――。
鈴仙「……見えたッ! 赤眼――『ルナティックブラスト』ッ!!」
ガシッ、ポーーーーンッ! バァァッ! ……スタッ。
松山「――はぁ……。やっぱりダメだったよぉ、あにきぃ……」
スウウッ……。
矢車「――クリップジャンプ……では無い。
ヒールリフトの要領でボールを浮かし、自分はジャンプで前方の敵を飛び越える技か」
――鈴仙はなんと、新技を思いつくことにすら成功してしまう。
『ルナティックブラスト』。波長を利用するだけでは無く技術をも兼ね備えた技は、
間違い無く、ここまでの積み重ねが無ければ習得しえない代物だった。
735 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2015/05/24(日) 22:00:51 ID:???
矢車「……やはりお前は、まだ地獄に落ちるべきでは無いようだな。 ……眩しいんだよ、お前は」
あらかたの練習を終えると矢車は不機嫌そうになり、ぷいと鈴仙の元を去って行ってしまった。
恐らく、これ以上鈴仙を見ていると眩しくて、また光を掴みたくなってしまうからだと鈴仙は思った。
そして、そんな矢車の意味不明な思想を理解し共感しつつあった自分が割と嫌だったが。
鈴仙「(――さとりさんが彼を。いや……彼らを何だかんだで追い出さない理由が分かった気がする)」
――鈴仙は、矢車と共に時を過ごしてようやく、思い込みで無く信じる事ができた。
矢車も松山も、発言と行動は奇矯であるが、悪い奴らでは無いのだという事を。
信頼とは理屈や論理で生まれるのではない。行動を共にする事で自然と育って行くのだと、鈴仙は改めて実感した。
*鈴仙の全能力(シュート除く)が+1されました。
*鈴仙のガッツが+10されました。
*鈴仙がドリブルフラグを回収!
ドリブル技「ルナティックレッドアイズ」が「ルナティックブラスト(1/4でドリブル+4)」に成長しました。
(ルナティックレッドアイズは一旦スポイルされるため、技発動率は(4、2、0、0)となります)
736 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2015/05/24(日) 22:16:48 ID:tD5VSiQ+
すみません、松山(矢車)のフラグ習得判定を忘れていました(汗)
申し訳ございませんが、内部的に処理させて頂きますので、こちらもお引きください。
先着1名様で、
★松山(矢車)のフラグ習得→! card★
と書き込んでください。数値で分岐します。
ダイヤ奇数/偶数→ドリブルフラグ/パスフラグ
ハート奇数/偶数→シュートフラグ/タックルフラグ
スペード奇数/偶数→パスカットフラグ/ブロックフラグ
クラブ奇数/偶数→せりあいフラグ/引き直し(汗)
クラブA→地獄的なスキルフラグ
JOKER→パーフェクトなスキルフラグ
737 :
森崎名無しさん
:2015/05/24(日) 22:17:32 ID:???
★松山(矢車)のフラグ習得→
クラブ7
★
738 :
森崎名無しさん
:2015/05/24(日) 22:17:42 ID:???
★松山(矢車)のフラグ習得→
クラブ3
★
739 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2015/05/24(日) 22:20:26 ID:tD5VSiQ+
松山がクラブでせりあいフラグを習得! ――と、言ったところで早いですが、
今日の更新とこのスレでの更新はここまでにしようと思います。
スレ容量にはまだ大分余りがありますが、残りでルナティックスメンバーの能力値公開をしたいと思っています。
第一部クライマックスの戦いを勝ち抜く為に、参考として頂ければ幸いです。
余ればまだ公開してないチームの能力値を公開するか、大分前になん雑スレに投下してくださった方(お返事できずすみません)
など何か書いて下さる方など居られれば、埋めネタを別途募集しようと思います。
次スレのスレタイについては、
【】鈴仙奮闘記29【】
の形で考えて下さると幸いです。
次スレは、丸々聖徳ホウリューズ戦とそれに係るイベントになると思います。
それでは、皆様、本日もお疲れ様でした。
740 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2015/05/24(日) 22:25:51 ID:???
すみません、コメントだけ頂いておりますので、一部だけになりますがお返しします。
>鈴仙の練習の引きについて
エースが二連続……ファンタジスタかな?(白目)
>>666
アリスさんにあげると好感度が大アップかもしれませんねw
>>686
かなり笑いましたwでもこのままだと妹紅と佳歩が最後に死にそうですね…
>>717-718
さとり「罰ゲームですね」
>>719
参加者視点はともかく、メンバーは皆嫌がりそうですねw
741 :
森崎名無しさん
:2015/05/24(日) 22:36:23 ID:???
乙なのです!
後は試合前にウサギBちゃんかつかさと話して特訓できるようにしたいなあ……
あ、ドイツ戦には狂気値が2足りない……
しゃべるボールをアリスさんに、そういうのもあるのか!
【鎖代払うまで】鈴仙奮闘記29【帰れない】
【佳歩と鈴仙】鈴仙奮闘記29【炎のツートップ】
【オペレーション】鈴仙奮闘記29【フリーラビット】
【光を】鈴仙奮闘記29【求めて】
【レイセンガ】鈴仙奮闘記29【タダシイヨ】
742 :
森崎名無しさん
:2015/05/24(日) 23:13:11 ID:???
>さとり「罰ゲームですね」
矢車さんを奪われるとジェラっちゃったのかいさとりさん!(カプ厨脳)
743 :
森崎名無しさん
:2015/05/24(日) 23:20:41 ID:???
じゃあさとりさんのことは義姉さんと呼ばせて頂きます(カプ厨脳)
本編では散々な松山くんはこれくらい役得があっても素直に祝福できる
744 :
森崎名無しさん
:2015/05/25(月) 00:07:45 ID:???
せりあいフラグ ライダージャンプですねわかります
乙ロット!
745 :
森崎名無しさん
:2015/05/25(月) 18:16:54 ID:???
松山君はまだクラブに取りつかれてるのか。
746 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2015/05/25(月) 23:47:12 ID:???
こんばんは、今日は新スレを立てる時間が取れないので、先に準備してあった能力値公開を先にやろうと思います。
>>741
乙とスレタイ提案ありがとうございました!
ボールをアリスさんに渡したら、実際どうなるんでしょうねw
>>742-743
一般的にはツンデレですが、さとり様は多分リアルでじんましん出てると思います。
さとりと矢車兄弟の行く末も今後書いていきたいですね。
>>744
矢車さんが地獄に落ちて帰って来た時みたいな、連続ジャンプみたいなのはカッコ良いと思いますね。
乙ロットありがとうございます!
>>745
そういえば黒スートが続いてましたね…。
747 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2015/05/25(月) 23:49:21 ID:???
(FW)
選手名 ド パ シ タ カ ブ せ 総 高/低 ガッツ 才
鈴仙 52 51 53 50 49 45 51 351 2 / 3 970 5
佳歩 52 48 52 47 49 45 46 339 2 / 2 800 5
パスカル. 52 52 50 52 49 51 49 355 2 / 2 840 5
748 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2015/05/25(月) 23:50:38 ID:???
鈴仙
ルナティックブラスト(1/4でドリブル+4)
ラビットスターター(1/4でドリブル+2、吹飛2)
マインドシェイカー(シュート+5、1/4で敵GKにバランス崩しペナ(−2))160消費
マインドブローイング(シュート+7、1/4で敵GKにバランス崩しペナ(−2)、吹飛5)200消費
マインドエクスプロージョン(シュート+9、1/4で敵GKに転倒ペナ(−4)、吹飛2)250消費
インビジブルデューパー(シュート+12、要てゐ)250×2消費
マインドスターマイン(空シュート+4、1/4で敵GKにバランス崩しペナ(−2))200消費
リフレクトバレット(低シュート+6、要パスカル、200×2消費)
月人師弟コンビ(パス+2の連続ワンツー、要永琳)60消費
タイガーバニーシンフォニア(パス+2の連続ワンツー、要星)80消費
アイドリングウェーブ(1/4でタックル+2)
アキュラースペクトル(1/4でパスカット+2)
スキル・狂気の瞳LV3(全判定につき、スート一致時で敵能力−2)
スキル・心象操作LV1(自分が反則時の判定1段階緩和)
スキル・足が速い(細かい判定で有利になるかも?)
タックルフラグ、スルーフラグ、オフサイドトラップフラグ、フェアプレイ精神フラグ
※『マインド〜』で始まるシュートの威力は、スキル・狂気の瞳により全て+1されています。(反映済み)
佳歩
直情的なドリブル(1/4でドリブル+3、吹飛3)
頭脳的なドリブル(1/4でドリブル+3、吹飛3)
華麗なドリブル(1/4でドリブル+3、吹飛3)
野兎シュート(シュート+4)120消費
ラビットテイル(シュート+7)200消費
野兎ボレー(低シュート+3)160消費
プランスラビット(近シュート+4)120消費
タックルフラグ
※ドリブル成長限界
749 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2015/05/25(月) 23:53:44 ID:???
パスカル
華麗なドリブル(1/2でドリブル+3)
バナナシュート(シュート+4)120消費
オーバーヘッドキック(高シュート+2)120消費
ジャンピングボレー(低シュート+4)200消費
リフレクトバレット(低シュート+6、要パスカル)200×2消費
クリップタックル(1/2でタックル+3)
オーバーヘッドクリア(高クリア+1)80消費
スキル・オールドタイプ(零れ球フォロー率アップ&フォロー直後ドリブル・パス+1)
シュートフラグ、パスフラグ、ブロックフラグ
※タックル成長限界
(MF)
選手名 ド パ シ タ カ ブ せ 総 高/低 ガッツ 才
中山 53 51 52 54 53 52 51 366 3 / 3 820 5
永琳 54 52 50 52 52 52 52 364 2 / 3 900 5
てゐ 51 52 47 49 50 44 46 339 1 / 2 680 5
ウサギB. 48 47 46 45 45 47 44 322 1 / 1 540 5
ウサギC. 47 41 43 44 44 45 42 306 1 / 1 530 5
750 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2015/05/25(月) 23:55:15 ID:???
中山
フローディアンフェイント(1/4でドリブル+5)
バニッシュドリブル(1/4でドリブル+4、吹飛2)
消えるフェイント(1/4でドリブル+4)
ピンポイントパス(パス+2)60消費
ブリッツシュート(シュート+5)160消費
サンダードライブ(シュート+7、吹飛3)200消費
オーバーヘッドキック(高シュート+2)120消費
ライトニングオーバー(高シュート+5)250消費
ジャンピングボレー(低シュート+4)200消費
アッシュタックル(1/4でタックル+4)
バーニングタックル(1/4でタックル+3、吹飛2)
クイックダッシュカット(1/2でパスカット+2)
ソウルブロック(1/4でブロック+8)250消費
フォーリングブロック(1/4でブロック+6)150消費
オーバーヘッドクリア(高クリア+1)80消費
リフトターンクリア(低クリア+1)80消費
スキル・後天性ファンタジスタ(ダイスが2の時10、3の時9とする)
せりあいフラグ
※ドリブル、シュート、タックル成長限界
751 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2015/05/25(月) 23:56:39 ID:???
永琳
月の頭脳的ドリブル(1/4でドリブル+5)
月面リフトターン(1/4でドリブル+4)
月面ドリブル(1/4でドリブル+3)
壺中の天地(パス+2、吹飛5)60消費
ライフゲーム(シュート+7)200消費
爆宙アポロ(高シュート+8)400消費
前転シュート(低シュート+5)250消費
天文密葬法(1/4でタックル+3、吹飛3)
天網蜘網捕蝶の法(1/4でパスカット+2)
スキル・蓬莱人(絶対にケガしない)
スキル・月のファンタジスタ(ダイスが2の時12とする)
スキル・天才の証明(チームの絶体絶命時、全能力+1。ボールが奪われるかゴールするまで継続)
タックルフラグ、シュートフラグ
※ドリブル成長限界
てゐ
シロウサギドリブル(1/2でドリブル+3、吹飛2)
バックスピン兎玉(パス+3)80消費
エンシェントデューパー(パス+6)200消費
ロビングシュート(近シュート+7)200消費
シロウサギチャージ(1/4でタックル+2、吹飛4)
フラスターエスケープ(1/2でパスカット+3)
スキル・本気モード(後半以降リードできていない時点から試合終了まで全能力+1、必殺技発動率+1/4)
マリーシア(接触プレイの攻撃時クラブで負けた時相手の反則に出来るが、5以上の差で負けた場合はバレてしまう)
ウサギB
パスフラグ、タックルフラグ
ウサギC
タックルフラグ
752 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2015/05/25(月) 23:58:05 ID:???
(DF)
選手名 ド パ シ タ カ ブ せ 総 高/低 ガッツ 才
慧音 47 47 44 50 50 51 49 338 2 / 2 750 5
妹紅 51 48 51 49 48 47 52 346 4 / 2 910 5
つかさ 46 43 44 46 44 49 45 317 2 / 2 660 5
ウサギD. 44 .43 44 44 47 45 42 309 1 / 1 510 5
慧音
ファーストピラミッド(1/4でドリブル+3)
三種の神器 剣(1/2でタックル+2)
三種の神器 玉(1/4でパスカット+2)
三種の神器 鏡(1/4でブロック+4)100消費
幻想天皇(高クリア+2)100消費
ドリブルフラグ、ブロックフラグ
妹紅
フジヤマエクスプロード(1/4でドリブル+2)
フジヤマヴォルケイノ(シュート+6、吹飛4)200消費
ネオフジヤマヴォルケイノ(シュート+9、吹飛2)300消費
インペリシャブルシューティング(シュート+7/高シュート+3、自分で自分のシュートにねじ込み可)160消費
正直者の死(1/4でタックル+2、相手必殺ドリブル無効化)
鳳翼天翔(空クリア/せりあい+2、吹飛3)120消費
フェニックス再誕(高クリア+4、吹飛3)200消費
スキル・蓬莱人(絶対にケガしない)
タックルフラグ、せりあいフラグ
753 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2015/05/25(月) 23:59:35 ID:???
つかさ
竹林兎キープ(1/4でドリブル+3)
顔面ブロック(1/4でブロック+6)150消費
ソウルブロック(1/4でブロック+8)250消費
ブロックフラグ
ウサギDとのコンビプレイフラグ
ウサギD
つかさとのコンビプレイフラグ
(GK)
選手名 ド パ シ タ カ ブ せ 総 高/低 ガッツ 才
輝夜 45 47 46 46 46 48 49 327 1 / 1 730 5 セーブ力53
ウサギK.. 41 41 41 41 41 41 44 290 1 / 1 510 5 セーブ力47
輝夜
パンチング57、キャッチ55
たすけてえーりん!(キャッチ+6/とびだし+5)150消費
(えーりんが)とめる!(たすけてえーりん使用時、1/4でセーブ力+3)
ライフスプリングインフィニティ(約2/13で絶対止める、吹飛無効)100消費
ブリリアントドラゴンバレッタ(1/4でパンチ+2)
スキル・とびだし+2
スキル・一対一+2
スキル・蓬莱人(絶対にケガしない)
スキル・永遠と須臾のオフサイドトラップ(相手のスルーパス、ロングフィード時に1/4でオフサイドにできる)
ウサギK
パンチング52、キャッチ49
セービングフラグ
754 :
森崎名無しさん
:2015/05/26(火) 00:08:26 ID:???
【ベストな】鈴仙奮闘記29【イレブンたち】
永琳の高い浮き球4じゃないのか
755 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2015/05/26(火) 00:13:04 ID:???
>>754
すみません、修正漏れてました(汗)
以下の全選手一覧では修正してあります。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――
(全選手の能力値一覧)
選手名 ド パ シ タ カ ブ せ 総 高/低 ガッツ 才
鈴仙 52 51 53 50 49 45 51 351 2 / 3 970 5
佳歩 52 48 52 47 49 45 46 339 2 / 2 800 5
パスカル. 52 52 50 52 49 51 49 355 2 / 2 840 5
中山 53 51 52 54 53 52 51 366 3 / 3 820 5
永琳 54 52 50 52 52 52 52 364 4 / 4 900 5
てゐ 51 52 47 49 50 44 46 339 1 / 2 680 5
ウサギB. 48 47 46 45 45 47 44 322 1 / 1 540 5
ウサギC. 47 41 43 44 44 45 42 306 1 / 1 530 5
慧音 47 47 44 50 50 51 49 338 2 / 2 750 5
妹紅 51 48 51 49 48 47 52 346 4 / 2 910 5
つかさ 46 43 44 46 44 49 45 317 2 / 2 660 5
ウサギD. 44 .43 44 44 47 45 42 309 1 / 1 510 5
輝夜 45 47 46 46 46 48 49 327 1 / 1 730 5 セーブ力53
ウサギK.. 41 41 41 41 41 41 44 290 1 / 1 510 5 セーブ力47
756 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2015/05/26(火) 00:16:56 ID:???
(参考)
<幻想郷のサッカーレベル:5>(第一部ではこれ以上上がりません)
(フィールダー用)
数 値 練習での上がりやすさ 評価
S54〜 上がらない 神域
A52〜53 かなり上がりにくい 超優秀
B49〜51 上がりにくい 優秀
C46〜48 普通 普通
D43〜45 上がりやすい やや弱い
E40〜42 かなり上がりやすい 弱い
(GK用)
数 値 練習での上がりやすさ 評価
S54〜 上がらない 神域
A52〜53 凄く上がりにくい 超優秀
B48〜51 上がりにくい 優秀
C44〜47 普通 やや弱い〜普通
D40〜43 上がりやすい 弱い
757 :
森崎名無しさん
:2015/05/26(火) 00:17:47 ID:???
中山さんが完璧すぎる、能力にも技にも隙がない、君は翼君か。
あともこたんがどうみてもFWです、ありがとうございました。
鈴仙さんもあともう一つ武器が欲しいなあ、一対一シュートかポストプレイか。
森崎には実際一対一の方がセービングに比べたら有利だろうし
ウサギBちゃんももう一伸びあれば立派な戦力になれる、というか能力だけならつかさちゃん以上なのにびっくり。
それと姫様の浮き玉補正が(汗)
空中戦強いのもこたんと中山さんくらいなのね。
ともあれ、能力公開ありがとうございます。
ウサギCちゃんの勇気が鈴仙を救うと信じて!(ないです)
758 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2015/05/26(火) 00:21:38 ID:???
――と、言ったところで今日の公開はここまでにします。明日は新スレを立てるだけで終わってしまうかもです。
また、スレタイについても継続して募集をしたいと思います。
次スレのスレタイについては、
【】鈴仙奮闘記29【】
の形で考えて下さると幸いです。
次スレは、丸々聖徳ホウリューズ戦とそれに係るイベントになると思います。
能力値については、折角ここまで公表したからには、
多分守矢チームとか西行寺チームの能力値とかとも比べられた方が楽しいと思いますので、
今週末にでもこのスレで早めに公開できればいいなと思っています。
皆さんも宜しければ、これまでのライバルや本スレキャラなどと能力値を比べて、
少しでも楽しんで頂ければ幸いです。(才レベル5の能力値+22で本スレの基準と並びます)
それでは、皆様、本日もお疲れ様でした。
759 :
森崎名無しさん
:2015/05/26(火) 23:09:33 ID:???
一流どころ纏めてみた。(才レベル5換算)
選手名 ド パ シ タ カ ブ せ 総 高/低 ガッツ
日向 51 48 52 53 48 52 53 358 3 / 3 900
星.. 49 50 51 51 45 48 50 344 2 / 2 700
白蓮 49 49 49 49 49 49 54 348 3 / 3 900
超白蓮 52 52 52 52 52 52 57 369 3 / 3 900
マミゾウ 49 51 48 49 48 49 49 343 3 / 3 800
レミリア 52 50 53 51 49 50 53 358 3 / 3 800
パチュリ- 54 ..54 .51 52 54 50 50 365 4 / 4 700
フラン .49 ..42 54 49 44 47 50 335 1 / 2 800
空 .46 48 51 48 47 48 52 340 5 / 3 800
矢車 .52 .50 .51 52 51 51 51 358 4 / 4 900
勇儀 .51 .49 53 51 48 51 53 356 3 / 3 950
反町 50 50 50 47 46 47 48 338 3 / 3 740
射命丸 52 49 48 46 49 44 44 332 3 / 3 800
さとり パンチング 57(PA内62) 1対1 57(覚妖怪こみ)
ヘルナンデス 黄金の右腕 59 1対1 52
陸 雷斬脚 59 1対1 51
にとり のびーるアーム 55 1対1 49
雲山 華麗なる親父時代 59 1対1 48
さとりさん強い
760 :
森崎名無しさん
:2015/05/27(水) 22:08:22 ID:???
さとりは矢車さんがうっとおしいなら別の女性を紹介すればいいのに
地底なら矢車さんみたいな人がタイプって女性もいるだろうきっと
761 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2015/06/14(日) 15:45:32 ID:ILFAIxGk
〜埋めネタ・能力値公開J〜
豊姫「皆さん、こんにちは〜。今日は西行寺亡霊連合の能力値を紹介していくわよ〜。
……え? 依姫? ヒント神ヨッチャン? 知らない子ですわね。
つい最近推理パートで活躍したのが妬ましくって、137億光年先の恒星に吹っ飛ばしたりとか、
この優しい姉である私がする訳が無いからね。
――さて。拙作では予選リーグ編のラスボス的な立ち位置で登場したこのチームだけど。
……実は、強さ的にはその前の地霊殿サブタレイニアンローゼス戦よりも弱く設定しちゃってるわ!
理由としては、この試合は試合自体の緊迫感よりも、レイセンと妖夢との描写を優先したくって、
どちらかと言えばイベント戦的な色を濃い目にしようと思ったから……というのがあるわね。
とはいえ、第1戦目の雑魚妖怪チームよりは勿論強いし、
決勝トーナメントに出ていても遜色ない実力を持っているのは確かだけど……。
決勝トーナメントを勝ち抜いて優勝出来るポテンシャルを持ったルナティックスに2−0で敗北しちゃった、
西行寺亡霊連合の能力値はこちらになるわ」
762 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2015/06/14(日) 15:46:36 ID:ILFAIxGk
−H−J− H妖夢 Jメルラン
F−−−− F橙
−−I−− I松山
E−−−G Gルナサ
−−−−−
D−−−C Cリリカ
−A−B− A幽々子
−−@−− @中西
西行寺亡霊連合:4−3−3
選手名 ド パ シ タ カ ブ せ 総 高/低 ガッツ 才
Jメルラン .45 47 50 45 45 45 46 321 3 / 3 700 4
I藍 50 50 .49 49 49 48 49 344 3 / 3 800 4
H妖夢 .49 .46 48 47 45 45 46 326 1 / 3 750 4
Gルナサ 46 .50 45 45 45 44 46 321 3 / 3 700 4
F橙 ..49 48 47 44 44 42 42 316 1 / 2 700 4
E毛玉 43 43 43 45 45 43 43 305 1 / 1 600 4
D毛玉 43 43 43 43 45 45 43 305 1 / 1 600 4
Cリリカ ..45 46 44 50 45 45 46 321 3 / 3 700 4
B毛玉 43 43 43 43 45 45 43 305 1 / 1 600 4
A幽々子 .49 .49 50 50 51 51 52 352 1 / 2 900 4
@中西 47 47 50 49 45 51 51 321 2 / 2 900 4 パンチング56、キャッチ55
スタメンフィールダーの総合値合計:3216
763 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2015/06/14(日) 15:48:51 ID:???
※すみません、
>>761
での幽々子の浮き球補正がおかしくなっています(汗)
正しい幽々子の浮き球補正は高低ともに4です。
Jメルラン
ヒノ・ファンタズム(シュート+5、吹飛5)180消費
ネオ・ファンタズム(シュート+8、吹飛3)250消費
コンチェルト・グロッソ(空シュート+6、吹飛5、要ルナサ・リリカ)250×3消費
ファントムディニング(任意でタックル+5、要土台)150×2消費
ゴーストクリフォード(任意でパスカット+5、要土台)150×2消費
ステイジャンリバーサイド(任意でブロック+8、要土台)150×2消費
アンチソウルレイド(任意で空クリア+3、要土台)150×2消費
ライブポルターガイスト(パス+3の連続ワンツー、要ルナサ・リリカ)100×3消費
I藍
プリンセス天弧(1/4でドリブル+4)
頭脳的なドリブル(1/4でドリブル+3)
やや華麗なドリブル(1/4でドリブル+2)
式神コンビ(パス+2の連続ワンツー、要橙)80×2消費
油揚げシュート(シュート+4)120消費
式神天降神(高シュート+5、吹飛4)250消費
ユーニラタルコンタクト(1/2でタックル+2)
一二神将の宴(1/2でパスカット+3)
狐狸妖怪レーザー(空クリア+2)120消費
スキル・式神「橙」(橙が味方の時、橙の全能力+1)
スキル・オフサイドトラップ(長距離のスルーパスを1/2でオフサイドにできる)
H妖夢
芸術的なドリブル(1/4でドリブル+5)
強引なドリブル(1/4でドリブル+2、吹飛2)
未来永劫斬(シュート+6)200消費
待宵反射衛星斬(低シュート+6、吹飛5)300消費
764 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2015/06/14(日) 15:50:09 ID:???
Gルナサ
ストラディバリウス(パス+2)60消費
スードストラディバリウス(パス+3)80消費
コンチェルト・グロッソ(空シュート+8、要メルラン・リリカ)250×3消費
ファントムディニング(任意でタックル+5、要土台)150×2消費
ゴーストクリフォード(任意でパスカット+5、要土台)150×2消費
ステイジャンリバーサイド(任意でブロック+8、要土台)150×2消費
アンチソウルレイド(任意で空クリア+3、要土台)150×2消費
ライブポルターガイスト(パス+3の連続ワンツー、要ルナサ・リリカ)100×3消費
F橙
韋駄天ドリブル(1/2でドリブル+4)
式神コンビ(パス+2の連続ワンツー、要藍)80×2消費
赤鬼青鬼(シュート+4)120消費
Cリリカ
ベーゼンドルファー神奏(1/2でタックル+3)
コンチェルト・グロッソ(空シュート+8、要ルナサ・メルラン)250×3消費
ファントムディニング(任意でタックル+5、要土台)150×2消費
ゴーストクリフォード(任意でパスカット+5、要土台)150×2消費
ステイジャンリバーサイド(任意でブロック+8、要土台)150×2消費
アンチソウルレイド(任意で空クリア+3、要土台)150×2消費
ライブポルターガイスト(パス+3の連続ワンツー、要ルナサ・リリカ)100×3消費
765 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2015/06/14(日) 15:51:17 ID:???
A幽々子
死蝶の舞(1/4でドリブル+4)
西行寺無余回顧(高シュート+6、吹飛3)300消費
ゴーストバタフライ(1/2でパスカット+3)
桜吹雪地獄(1/4でブロック+8)250消費
西行桜吹雪(1/4でブロック+4)100消費
リポジトリ・オブ・ヒロカワ(高クリア+4)200消費
死出の誘蛾灯(低クリア+2、吹飛4)120消費
スキル・反魂蝶(自分のガッツが0の時、全能力+7)
スキル・亡霊(鈴仙のスキル・狂気の瞳を無効化する)
@中西
突っ張りパンチング(1/4でパンチ+3)
スキル・飛び出し+2
スキル・一対一+2
766 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2015/06/14(日) 15:52:46 ID:???
豊姫「まずはこのチーム1の実力者である、西行寺幽々子から見て行きましょうか。
見ての通り、彼女の能力値は幻想郷でもトップクラスだし、とりわけクリアに掛けては他の追随を許さない。
しかし他の分野が弱いかと言われればそうではなく。ブロックにも補正+8の大技があるし、
最低限以上のボールキープとタックル力に、セットプレーかオーバーラップ用の強力なダイレクトシュートもある。
それと、試合では活かせなかったけれど、身軽さを活かしたパスカットも、幻想郷では屈指の実力を持っているわ。
次に、一応ナンバー2の実力者でありながら、あまりパッとしなかった八雲藍ね。
彼女は総合力ではあの松山君に匹敵しているし、必殺技のラインナップもかなり充実している。
だから、ルナティックスは彼女に結構苦戦する……予定だったんだけど、引きが微妙だったわね。
ちなみに彼女の選手としての格は、命蓮寺ロータスの二ッ岩マミゾウと互角と考えているわ。
最近の書籍・原作では大活躍のマミゾウさんだけど、藍も紫の影で目立たないだけで、
妖獣としては、彼女くらいかそれ以上のポテンシャルを持っていると作者は妄想しているらしいわよ。
……さて。そして選手としての格で考えるとこの順番になる魂魄妖夢ちゃんだけど。
彼女も彼女なりに努力したのか、第一章の時と比べて上達はしているけれど、ぶっちゃけ微妙ね。
『もしも古いレイセンが中山君やパスカル君と出会わなかったら』というイメージで能力値を設定された彼女は、
ドリブルとシュートが得意で、光る技を持っているのだけれど、基礎値が微妙で輝けないわ。
流石にリグルよりは上だけど、霊烏路空とか寅丸星とかと比べたら、一段か二段下と言わざるを得ないFWね。
だけど、第二部ではキャプ翼5の新田君ばりの急成長を遂げるので、是非お楽しみに!
その次に来るのは……GKの中西太一君かな?
当初のプロットでは彼の目的やら計画はこの試合で明かされる予定だったけど、
レイセンと妖夢との対立とか、藍の独自行動とかを際立たせたくって、影が薄い存在になっちゃったわ。
ゴールキーパーとしての格は決して低く無く、総合的には古明地さとり以下だろうけど、
並大抵のシュートなら防いじゃうから、油断はできない相手ね。
767 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2015/06/14(日) 15:58:37 ID:???
その次はプリズムリバー三姉妹。それぞれ姉の方からパス、シュート、タックルに高い能力と技を持ち。
それに加えて秋姉妹と同じような合体プレーやシュートもこなす、厄介な存在なのだけど……。
如何せん、成長した輝夜には敵わなかったわね。
このチーム最大火力でもある『コンチェルトグロッソ』の最大威力は61。
トリオプレイで、MFとDFをオーバーラップさせるリスクを受けて、三人がガッツ250を消費して。
それで、星熊勇儀の『大江山嵐』や蘇我屠自古の『ガコウジサイクロン』と大体互角というのは、
西行寺亡霊連合の火力不足を物語っているわね。
素の実力や総合力で言えば、橙は名有選手の中では最下層になるわね。
ドリブルが得意ではあっても、単体ではリグルやルーミアと互角で、雑魚妖怪チームではエースを張れるかな?
……という程度の存在だけど、八雲藍の式でもある彼女は、式の力を借りてワンランク上の選手にはなれるわ。
試合でも輝夜から一対一でゴールを奪いかけたわけだしね。……実際は、ゴールは冥王星にブン投げられたけど。
あと、名無し選手の毛玉は、地霊殿チームの名無し選手であるゾンビ妖精と比べて総合力が高いわ。
ただ、折角だからもうちょっと能力値を高くしても良かったかもしれないわね。
安定の西行寺と爆発の地霊殿、みたいな感じで対比もより鮮やかになりそうだし。
……さて。能力値解説はここまでだけど。
真面目な話、一人の方が会話を挟まない分、スムーズに説明が出来る気がするわね……。
この辺りは次回以降、真面目に依姫に相談してみるべきかしらね?
ま、とりあえず今日の公開はここまで。また近いうちに、守矢みらくるずの能力値公開も出来ればと思うわ。
それじゃあ皆、また次の能力値公開でお会いしましょうね〜」
***
ガチャッ
依姫「はあ、はあ……間に合った。お姉様、人類が観測可能な範囲とはいえ、
宇宙に放り出されるのは流石に応えますよ……! 色々な神の力を借りて来ましたが、3時間も掛かった……
って、アレ? 終わってる? そ、そんなあ……!」
〜能力値公開J・完〜
768 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2015/06/14(日) 16:22:25 ID:???
能力値を公開したところで、次スレへのリンクがなかったので、貼っておきます。
【レイセンガ】鈴仙奮闘記29【タダシイヨ】
http://capmori.net/test/read.cgi/morosaki/1432654054/
>>759
能力値まとめありがとうございます!
余力があれば公開したいと思っていますが、実は、第一章で戦ったライバルについても、
第二章に移る事により、才レベルとは別に能力の成長があったりします。
具体的には、マミゾウさんが藍と互角くらい強くなってたり、フランのパスが伸びてたり、
星が萃香からゴールを奪えそうな風になってたりしてます。
さとり様は紫、萃香に次ぐ幻想郷ナンバー3GKの枠を、姫様と争える程度には格の高い選手ですね。
>>760
さとり「追い出したら後味が悪いので」……とか言いそうではありますが、これまた色々裏がありそうに取られてしまいそうですねw
このスレはもう少し容量がありますので、出来れば近いうちに守矢チームの能力値公開もここで出来ればと考えています。
……考えているなので、もし無理そうだったら、何かしら埋めネタを書こうと思っています。
(もしも何か書いてくださる、という方がおりましたら、喜んでお願いしようと思います)
769 :
22スレの988(改名検討中)
:2015/06/22(月) 23:06:14 ID:???
われわれにも世界的使命があるかと問われて、人々はなんと答えるだろうか。
ことに、指導的立場の人たちはどう答えるだろうか。おそらく彼らにはなんの考えも、定見もないのではなかろうか。
生活改善を、社会改良を語り、最近では種族統一運動もよくいわれるが、
われわれが世界のために、行ける者すべてのためにこれをなさねばならぬと力強く主張するのを聞いたためしがない。
郷土のために戦ったというのは、わたしが進んで、わたしだけが成し得る仕事を具体的に行なってこそいえる言葉だ。
ほんとうに故郷を愛する心から、わたしが進んで力をつくし、その意味を知って行為してはじめて使命を果たしたことになる。
生ける者の核は精神である。精神はみずからなすことであり、独自になすことだ。
こうみると、幻想郷の政治を受け持つ人も、社会的指導者も明白な世界的使命観はない。
常識的にみた場合、われわれには世界的使命を語る余地もないように思える。どこから世界を語る勇気が湧くのか。
世界的とかなんとかいうのは、われわれには贅沢で身分不相応な考えのようだ。
しかしそれではだめだ。生きるということは、なすべきことがあるということだ。生は命だ。神が命令するのが生だ。生は行ないだ。
ゲーテの言葉どおり「使い途のない存在は死の存在だ」
使命を信じなければ生存権を主張する資格はない。どうしても生きなければならないと言い、どうしてわれわれにも自由を与えよと言うのか。
われわれが生存権を主張し、自由を要求しようとするなら、運命を共にする人類の前で、
その舞台に上がって共に為すべきことがなければならない。
770 :
22スレの988(改名検討中)
:2015/06/22(月) 23:09:25 ID:???
このようには運命共同体として存在するもので、われわれがその中で生きることを主張し、
わたしはわたしとしての自由を主張しようとするなら、必ずなすべき仕事がなければならない。
それゆえ、生きるということは、生きる理由がわかったということだ。
なんの理由もなくただ、生きたいから生きるというのでは、この闘争的な生においては力を持たない。
理由が力だ。人は正当な理由さえあれば神とも張り合おうとする。神が全能であるのはその理由が全的であるからだ。神は全体だ。
その全体の前にわたしが生きることを要求し、自由を主張しようとすれば、
その全体を否定し得る自信があるか、さもなければその全体にわたしを合致させる愛がなくてはならない。
事をなすというのは結局、全体に対して愛でもって服従することである。それゆえ、使命がなければ生きられない。
使命の命を下すお方は全体すなわち神、歴史でいえば世界だ。世界は無用の存在を許さないだろう。
771 :
22スレの988(改名検討中)
:2015/06/22(月) 23:11:41 ID:???
500年に及んで威容を誇ってきた紅魔館の主レミリア・スカーレットはなぜカリスマブレイクしたか。
幽玄であり知略に富み、式をはじめ従うもの全てを心服せしめた八雲紫が、今まさに気息奄々たるありさまとなってしまったか。
その使命を失ったからだ。威厳や教養、才能や力等をもってしても衰え、霞んだのは、
生きるという主張、生きられるという信仰がなくなったからだろう。
才能と力の作用は精神によって生じるものだ。集団でも個人でも、心が使命感を失えば滅びてしまう。
反対に、まだ望む理想があり、自負する使命があれば決して滅ぶことはない。
ユダヤ人が、その地理の不利な点、その政治的才智の点からして彼らの上に君臨したローマに比ぶべきもないが、
今日まで到るところで虐待され、蔑まれながらも生きつづけ、
ついに祖国を回復するにいたったのは、ひとえに彼らの民族的信仰にあるといえる。
彼らはいまだにメシアを待ち望んでいる。それが彼らの歴史的背骨である。幻想郷もそうでなくてはならない。
生きたければ為すべきことを見出せ。意味のない苦難とは何か。ほんとうは意味がなくては苦難さえもない。死だけだ。
だが、意味はどこから来るのか。意味は全体にある。全体は命ずるものだ。その命をつくすのが意味だ。
使命も意味もなく被る苦難、それは岩の崩壊であり、衆生の転倒だ。
772 :
22スレの988(改名検討中)
:2015/06/22(月) 23:19:29 ID:???
それゆえ、使命の自覚こそ再生の原動力だ。怠け者は事が急になってはじめて目覚める。
衰亡するまでにへたばった集団であればあるほど、世界的使命を自覚する必要がある。
衰亡は精神的衰亡であり、精神は結局、命である。神の命だ。
聖白蓮が苦難によって支離滅裂し虐げられた妖怪を救おうとした時、真っ先にしたことは彼らに使命感を与えることであった。
彼女は言った。「われわれのなすべきことはこれからだ」と。
豊聡耳神子が、魑魅魍魎に踏みにじられた人間を立ち上がらせようとして真っ先にしたことも、
将来幻想郷を指導するようになるのは万物の霊長たる人間だということであった。
鬼人正邪が楽園の孤立の中で目覚め、一躍幻想郷の王になろうとした時も、
「妖怪を擁護する者はわれわれだ」と同朋に宣伝した。
チルノが虐待にあえぐ妖精を呼び覚まし新しい妖精の世界を建設しようとした時も、
まず、無知な妖精に革命の理想を吹き込むことであった。
最後には異変を引き起こした正邪の場合、偽りの使命をもってしても
一時はよく同胞たる妖怪をだまして総動員し、驚くべき活力を見せたものだが、
ましてや世界史的使命から事がなされるなら、どれほど偉大なことがあらわれるだろうか。
辺境の民として生まれ育っているうち、反対者の悪辣な圧力を受け、最後の勇気を出さねばならない切迫した場面で
自分たちの友であり、心を預けあった仲間を敵の手にゆだね、
どうしてよいかわからず逃げ惑った卑劣漢も、ひとたび霊感を得るや、
世界の涯までその「伝えねばならない事」を伝播するのが自分の使命だと悟った時、
全世界を相手に勇敢に戦い、ついに征服してしまうであろう。
われわれも例外ではない。時代錯誤な化物集団という汚れた哀れな名を残したくないならば、
今からでも世界的使命に目覚めなければならない。
773 :
22スレの988(改名検討中)
:2015/06/22(月) 23:22:53 ID:???
以上で埋めネタ投稿を終了いたします。原著の367-370ページより借用いたしました。
これを書き入れた理由はいろいろありますが、ここで書くとかえって嘘になるような、
伝えたい事から帰って外れるような気がするため、省略いたします。
最後に、鈴仙奮闘記様、このような駄文を投稿させていただき、誠にありがとうございました。
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