キャプテン森崎 Vol. II 〜Super Morisaki!〜
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【道は】鈴仙奮闘記41【違えど】

1 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2017/11/05(日) 20:32:29 ID:???
このスレは、キャプテン森崎のスピンアウト作品で、東方Project(東方サッカー)とのクロスオーバー作品です。
内容は、東方永夜抄の5ボス、鈴仙・優曇華院・イナバがサッカーで世界を救う為に努力する話です。
他の森崎板でのスレと被っている要素や、それぞれの原作無視・原作崩壊を起こしている表現。
その他にも誤字脱字や稚拙な状況描写等が多数あるかと思いますが、お目こぼし頂ければ幸いです。

☆前スレ☆
【不屈の心は】鈴仙奮闘記40【この胸に】
http://capmori.net/test/read.cgi/morosaki/1500215667/
☆過去ログ・攻略ページ(キャプテン森崎まとめ@Wiki内)☆
http://www32.atwiki.jp/morosaki/pages/104.html

☆あらすじ☆
ある日突然幻想郷にやって来た外来人、アラン・パスカルと中山政男との出会いにより、
師匠に並ぶ名選手になると決心した鈴仙・優曇華院・イナバ。
彼女は永琳の庇護下で実力を大きく伸ばし、幻想郷中の勢力が集まった大会でMVPを勝ち取った!
しかしその夜鈴仙は、自身の成長は永琳の計画であった事、その計画の副作用で
月に眠る大いなる厄災――「純狐」が八雲紫の身体を乗っ取り目覚めつつある事を明かされる。
そして、鈴仙は永琳に懇願される。「純狐」の純粋なる狂気を止めるべく、
次に紫が計画した大会――『幻想スーパーJr.ユース大会』に優勝し、世界を救って欲しい……と。

鈴仙は戸惑いつつも、永琳の願いを受け入れ、
幻想郷の秩序の変革を狙う新チーム・リトルウイングズの一員として、大会に優勝することを誓った。
その後、修行のため鈴仙は単身ブラジルに渡り、様々な困難や出会いを経験しつつも、
イギリスで闇を乗り越えたさとり達の活躍もあり、リオカップの準決勝・パルメイラスに見事勝利した。

またその頃、イタリアではパチュリーと慧音が、互いにハイレベルな選手を目指すべく研磨を重ねていたが、
些細な事で対立。その時、慧音は一時ではあるが、豊聡耳神子の計画『ハイパーカンピオーネ』の一端に触れ、そして気付く。
これまで第三局として表だった対立を避けていた彼女達の陰謀が、今や決して無視できない物になっていると。
――そうした不安を抱きながらも、鈴仙達はいよいよリオカップの決勝戦、サンパウロとの対決に挑む。
サンパウロを牛耳る選手は、壊れた精神をサッカーで埋め合わせて蘇った怪物・大空翼と、
力を求め続け、ついには鈴仙とは真逆の道を進む事となったかつての親友・魂魄妖夢。
彼らの熾烈な攻撃を掻い潜り、コリンチャンスは前半戦途中で1−0のリードを得ており、一旦優勢ではあるが……?

661 :森崎名無しさん:2017/12/23(土) 18:56:10 ID:???
★パチュリー→パス 55 ( クラブ9 )( 4 + 3 )=★

662 :森崎名無しさん:2017/12/23(土) 18:57:31 ID:???
★バビントン→パスカット 51 ( ダイヤA )( 2 + 5 )=★

663 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2017/12/23(土) 19:09:08 ID:QNooKbpA
★パチュリー→パス 55 ( クラブ9 )( 4 + 3 )=62★
★バビントン→パスカット 51 ( ダイヤA )( 2 + 5 )=58★
≧2→佳歩が低い浮き球に動きを合わせる!

バシュッ……!

バビントン「(と、届かない……!)」

実況「縦方向のパスは……通りました! そしてパスが通った先。
    アマラウ選手と石崎選手が待ち受けるペナルティエリア内では、
    鈴仙選手よりも先に到着した佳歩選手が、体勢を低く構えており……!」

                  ゴ オ オ オ ッ !

佳歩「――決めます……!」

アマラウ「ちっ、低い浮き球相手には、俺のクリアは威力半減だ。……石崎、体力は!?」

石崎「ねぇ! ねぇけど……だからって、翼が取った1点をみすみす敵に返してやるつもりもねぇ!」

アマラウ「――つまり、気合は一丁前って事だな。充分だ!」

バァァァッ……!

レナート「……とるっ!」

観客席「……ま、マジかよ!?」「決まるのか? まさか――マジで、決まるのか?」
    「だったらまた同点……」「ロスタイムで逆転されるかも……?」「れ、レナートォ!? 止めろォ!?」
    「レナート レナート レナート レナート」(冷静)


664 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2017/12/23(土) 19:10:24 ID:QNooKbpA

            佳歩「食らって。これが私の――『ラビットダイブ』よッ!!」

               ギュンッ! ドゴオオオオオオオオオオオオッ!

先着3名様で、

★佳歩→ラビットダイブ 67 ( ! card )( ! dice + ! dice )=
★アマラウ→ブロック 55 (! card)(! dice + ! dice)+(人数補正+1)=
 石崎→ブロック 55 (! card)(! dice + ! dice)+(人数補正+1)+(ガッツ300未満ペナ-1)=★
★レナート→パンチング 60 (! card)(! dice + ! dice)=★

と書き込んでください。カードやダイスの結果で分岐します。

【シューター】−【ブロッカー】
≧5→シュートは邪魔される事無く放たれた!GKとの勝負へ。
=4〜2→シュートは放たれた。しかしこの数値差の人数分威力が落ちてGKとの勝負へ。
=1、0、−1→ボールはこぼれ球に。そして左から順に
(鈴仙がねじ込み)(パチュリーがねじ込み)(マリーニがフォロー)
≦−2→パルメイラスボールに。
【シューター】−【キーパー】
≧2→佳歩の『ラビットダイブ』がサンパウロゴールに突き刺さる!
=1、0、−1→ボールはこぼれ球に。そして左から順に
(鈴仙がねじ込み)(パチュリーがねじ込み)(コリンチャンスのコーナーキック)
≦−2→サンパウロボールに。

【補足・補正・備考】
石崎のマークがダイヤで、「顔面ブロック(+6、150消費)」が発動します。
アマラウのマークがダイヤ・ハートで、「コンドルブロック(+6、150消費)」が発動します。
レナートのマークがダイヤで「とるっ!(+3)」が発動します。

665 :森崎名無しさん:2017/12/23(土) 19:12:21 ID:???
★佳歩→ラビットダイブ 67 ( スペード3 )( 1 + 4 )=★

666 :森崎名無しさん:2017/12/23(土) 19:13:44 ID:???
★アマラウ→ブロック 55 ( スペード4 )( 4 + 4 )+(人数補正+1)=
 石崎→ブロック 55 ( ダイヤ6 )( 6 + 5 )+(人数補正+1)+(ガッツ300未満ペナ-1)=★

667 :森崎名無しさん:2017/12/23(土) 19:14:34 ID:???
★アマラウ→ブロック 55 ( クラブK )( 2 + 3 )+(人数補正+1)=
 石崎→ブロック 55 ( クラブJ )( 2 + 4 )+(人数補正+1)+(ガッツ300未満ペナ-1)=★

668 :森崎名無しさん:2017/12/23(土) 19:18:02 ID:???
★レナート→パンチング 60 ( スペード3 )( 4 + 4 )=★


669 :森崎名無しさん:2017/12/23(土) 19:18:29 ID:???
すみません佳歩の選択肢の末尾に★が無いんですが、引きは有効でしょうか?

670 :森崎名無しさん:2017/12/23(土) 19:20:53 ID:???
石崎の引きが神がかりすぎてこの試合に一生分の運を使ってるんじゃねえの

671 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2017/12/23(土) 19:34:10 ID:QNooKbpA
>>669
GM側で★を記載していたにも関わらず、判定時には消えていたものについては無効としていた記憶がありますが、
今回の場合、GM側のミスで★の記載が漏れていたものであり、
また、これまでもよく、能力値を誤ったり、補正値の記載を忘れていても、そのまま判定を引いて貰っていました。
(判定表自体が全然違うなど、あまりにGM側のミスがひどい場合は全部無効としていましたが…)

今回のミスは★の記載漏れという些細なものなので、続行とするのが妥当ではないかと思っています。
でないと、これまで記載ミスがあったものを何故無効にしなかったのか?
などという疑義が生じてしまう為、致し方ないと考えています。

>>670
石崎はブロックの時、11以上かJOKERしか出してない気がしますね…

672 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2017/12/23(土) 19:44:16 ID:QNooKbpA
★佳歩→ラビットダイブ 67 ( スペード3 )( 1 + 4 )=72★
★アマラウ→ブロック 55 ( スペード4 )( 4 + 4 )+(人数補正+1)=64
 石崎→ブロック 55 ( ダイヤ6 )( 6 + 5 )+(人数補正+1)+(ガッツ300未満ペナ-1)+(顔面ブロック+6)=72★
=1、0、−1→ボールはこぼれ球に。そしてパチュリーがねじ込み

ゴオオオオオオオッ……!

石崎「うおおおおーーーーっ! これが最後だァーーー!」

ガイイイイイイイイインッ!

佳歩「そ、そんな……また……!」

実況「佳歩選手の恐ろしい速度と威力を誇るシュートは……決まらない!
    石崎選手渾身の顔面ブロックで、前方へと弾かれてしまいます!」

鈴仙「何という執念なの……?!」

パチュリー「……まだよ!」

ポーンッ、パシッ。タタタタタッ……!

実況「ですがコリンチャンスも諦めない! 今度はパスを通したパチュリー選手自身が、
    猛ダッシュでボールをフォロー! 詰め寄るリマ選手、マリーニ選手を……あと僅かで躱しきり!
    そしてそのままドリブルでゴールへと向かいます〜〜!!」

パチュリー「(この試合。私の戦術や個人技がもう少し冴えていれば、容易く勝利する事が出来ていた。
        だからこその贖罪、と言えば傲慢に過ぎるかもしれないけれど……でも、傲慢でも構わない。
        何故なら、私は賢者なのだから。それ相応の責任を、負わなくては……!)」

ダッ!

673 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2017/12/23(土) 19:46:02 ID:QNooKbpA
レナート「とっ、とるっ!?」

先着3名様で、

★パチュリーの選択→! card ダイヤかハートならドリブル、スペードかクラブならシュート
 レナートの選択→! card ダイヤかハートならドリブルに備える、スペードかクラブならシュートに備える★
★パチュリー ドリブル/クワッドスパーク 56/59 (! card)(! dice + ! dice)=★
★レナート そなえる 56 (! card)(! dice + ! dice) =★

と書き込んで下さい。カードやダイスの結果で分岐します。

MAX【攻撃側】−MAX【守備側】
≧2→パチュリー、同点ゴールを決める!
=1、0、−1→ボールはこぼれ球に。そして左から順に
(鈴仙がねじ込み)(リマがフォロー)(マリーニがフォロー)
≦−2→レナート、ゴールを守る!

読みが一致すればGKに+2の補正、読みが不一致ならGKに−2の補正です。

【補足・補正・備考】
パチュリーのマークがダイヤ・ハートで「芸術的なドリブル(+5)」が発動します。
パチュリーのマークがスペードで「華麗なドリブル(+3)」が発動します。

674 :森崎名無しさん:2017/12/23(土) 19:46:24 ID:???
★パチュリーの選択→ ダイヤA  ダイヤかハートならドリブル、スペードかクラブならシュート
 レナートの選択→ ダイヤK  ダイヤかハートならドリブルに備える、スペードかクラブならシュートに備える★

675 :森崎名無しさん:2017/12/23(土) 19:47:06 ID:???
★パチュリー ドリブル/クワッドスパーク 56/59 ( スペードQ )( 2 + 3 )=★

676 :森崎名無しさん:2017/12/23(土) 19:47:28 ID:???
★レナート そなえる 56 ( ダイヤ8 )( 1 + 6 ) =★

677 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2017/12/23(土) 19:58:16 ID:QNooKbpA
★パチュリーの選択→ ダイヤA  ダイヤならドリブル
 レナートの選択→ ダイヤK  ダイヤならドリブルにそなえる★
★パチュリー ドリブル 56/59 ( スペードQ )( 2 + 3 )+(華麗なドリブル+3)=64★
★レナート そなえる 56 ( ダイヤ8 )( 1 + 6 ) +(読み当て補正+2)=65★
=1、0、−1→ボールはこぼれ球に。そしてマリーニがフォロー

パチュリー「(延長戦まで想定すると、『クワッドスパーク』で体力を浪費したくない。ここはドリブルで決める!)」

タッ!

レナート「――! と、とるっ!」

バァァァアッ……バチイイッ!

パチュリー「……ッ!(失敗、した……! 賢者とあろうものが……!)」

実況「パチュリー選手の特攻はレナート選手に阻まれる〜!
    しかしボールはまだ、ペナルティエリア内にあります! ボールをフォローした……マリーニ選手!
    一刻も早くボールをクリアし、パスワークに戻したい所ですが〜〜〜!?」

鈴仙「(佳歩も、マスターも頑張ってくれている! 後は――)私が、やる……!」

ダッ、ズザアアアアアアアアアアアアアアアッ!

マリーニ「マリ!? マリーニィィ……!」

実況「そこには、孤軍奮闘となった鈴仙選手が立ちはだかる!
    佳歩選手とパチュリー選手を失い、孤独にペナルティエリアで戦う彼女が、
    今こそボールを奪い返し! そして! 悲願の同点ゴールを決める事が出来るのでしょうか〜〜!?」

678 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2017/12/23(土) 20:00:02 ID:QNooKbpA
先着2名様で、

★マリーニ→ドリブル 49 (! card)(! dice + ! dice)=★
★鈴仙→タックル 53 (! card)(! dice + ! dice)=★

と書き込んで下さい。カードやダイスの結果で分岐します。

MAX【攻撃側】−MAX【守備側】
≧2→マリーニ、ボールキープ成功。そしてパスワークが始まり…
=1、0、−1→ボールはこぼれ球に。そして左から順に
(リマがフォロー)(アマラウがフォロー)(石崎がフォロー)
≦−2→コリンチャンスボールに。
【補足・補正・備考】
鈴仙のマークと敵スートが一致時、スキル・狂気の瞳により敵の数値が−2されます。
鈴仙のマークがダイヤで「マインドストッパー(+3)」が発動します。
鈴仙のマークがハートで「アイドリングウェーブ(+2)」が発動します。
鈴仙はスキル・フェアプレイ精神により反則を犯さず、代わりに鈴仙が反則の条件を満たした場合−3のペナを負います。

679 :森崎名無しさん:2017/12/23(土) 20:02:30 ID:???
★マリーニ→ドリブル 49 ( ダイヤ4 )( 5 + 3 )=★

680 :森崎名無しさん:2017/12/23(土) 20:03:19 ID:???
★鈴仙→タックル 53 ( スペード6 )( 2 + 2 )=★

681 :森崎名無しさん:2017/12/23(土) 20:04:28 ID:???
これは流石にクリアされそう

682 :森崎名無しさん:2017/12/23(土) 20:05:58 ID:???
こっちは平均以下の引きしか出ないんだがマジでどうなってんのよ

683 :森崎名無しさん:2017/12/23(土) 20:19:28 ID:???
しかしデューパーも友情も撃てないほど攻めあぐねるなんて前半時点では思いもしなかったな
どうしてこうなった

684 :森崎名無しさん:2017/12/23(土) 20:20:32 ID:???
後半の布陣が良くなかったのかな?

685 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2017/12/23(土) 20:26:13 ID:QNooKbpA
★マリーニ→ドリブル 49 ( ダイヤ4 )( 5 + 3 )=57★
★鈴仙→タックル 53 ( スペード6 )( 2 + 2 )=57★
=1、0、−1→ボールはこぼれ球に。そしてアマラウがフォロー

マリーニ「マリーニ! マリーニマリーニ!」

ズザアアアアアアッ! バチッ!

鈴仙「そ、そんなぁッ!? なんでぇ、どうしてェッ……!?」

マリーニ「――これが勝負ってモンだよ、お嬢ちゃん。よく覚えておきな」

アマラウ「(お前、ちゃんと喋れたのか……)――じょ、上出来だ、マリーニ! 後は俺に任せろ……でりゃぁっ!」

バギイイイッ!

実況「鈴仙選手、懸命なタックルですが……空回った! 焦りの為かタイミングが合わず、
    マリーニ選手からボールを奪いきれません。結果、ボールはそのままアマラウ選手に渡り、……クリアー!
    コリンチャンスの最後の最後のチャンスは、またしても失敗に終わった〜〜〜〜!!」

妖夢「(そうだ。鈴仙。お前も苦しめ。私がこれまで苦しんだように、自分の無力さに苦しめ。
    そして私は……私だけは、更なる力を求め続ける。そうだ。
    これこそがきっと、私が……『ハイパーカンピオーネ』に身を投じた、本当の理由なんだ……!)」

――終わった。諦めない鈴仙の不屈の心すらもが、今この瞬間、完全に折れようとしていた。
順調に成長を続けた大木が、暴風を前に、その根ごと大きく倒れようとしていた。

バビントン「(試合は……もうすぐロスタイム。後少しだ。後少しだけ、パスワークで時間を稼げば、僕らの勝ちなんだ……)」


686 :森崎名無しさん:2017/12/23(土) 20:27:24 ID:???
ここまで要所での運の差があって1点差だからな
もしそれが逆だったらフルボッコにしてたろうがサッカーとはままならん物よな

687 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2017/12/23(土) 20:29:03 ID:QNooKbpA
穣子(ベンチ)「ぐすっ、ひっぐ……なんで。ねぇなんで! なんで鈴仙はあんなに頑張ってるのに、報われないの!?
         なんで一樹君は、お姉ちゃんは、皆は、あんなに一生懸命戦っているのに、勝てないのぉ……!?」

コーチ(ベンチ)「敵もまた、全力で戦っているだとか、今回は運が悪かったとか。表面的な説明なら、幾らでも出来よう。
          じゃが。そうじゃの……こうした理不尽こそが。この辛い時間こそが。
          『サッカー』の……我々の歩む、人生そのものの本質なのかも、しれんのぉ」

穣子(ベンチ)「そ、そんなの……辛すぎるよ。サッカーは、楽しいんじゃなかったの……?
         自由なんじゃ、なかったのぉ……!?」

もじゃもじゃに伸びた髪と白髭に隠れて、表情の見えないコーチとは裏腹に、
それを隣で聞く穣子のやるせない想いは止まらない。
しかし――彼はそんな彼女の肩を冷たい手でポンと叩くと、髭を綻ばせて、こう続けた。

コーチ(ベンチ)「――ただ、負けると決めつけるのは良くないの、秋のお嬢ちゃんよ。
          試合は、最後の一秒まで、どうなるかはわからんゾイ」

大方の想像通りこのまま終わってしまうのか。それとも、老人が述べたような、続きがまだあるのか。
運命の気まぐれが語る、この試合の結末は―――。

先着1名様で、

★運命の気まぐれ→! card★

と書き込んでください。マークで分岐します。

JOKER→アリスさん「――――『ドールズ・サイクロン』」アリスさんがカットしたボールに対して……!?
ダイヤ→てゐ「まだだァーーー!」てゐがボールカットに向かった!
ハート→お燐「……良く言うでしょ? 美少女ヒロインは遅れてやってくる、って」お燐がボールカットに向かった!
スペード→反町「(生まれて初めてだ。こんなにも、勝ちたいと思えたのは……!)」反町がボールカットに向かった!
クラブ7以上→パスワークが続いた後半ロスタイム3分、妖夢がシュートに向かい……!?
クラブA〜6→パスワークは続き、コリンチャンスは敗北した……

688 :森崎名無しさん:2017/12/23(土) 20:29:16 ID:???
★運命の気まぐれ→ ハートK

689 :森崎名無しさん:2017/12/23(土) 20:29:21 ID:???
★運命の気まぐれ→ クラブQ

690 :森崎名無しさん:2017/12/23(土) 20:33:41 ID:???
運が無い訳ではないんだよね。

691 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2017/12/23(土) 20:41:01 ID:QNooKbpA
……と、言ったところで一旦ここまでです。続きは今日の深夜か、明日に更新します。
今回の試合ですが、今の判定で生じる勝負を最後とし、
これでも同点にならなかった場合は、【コリンチャンス(鈴仙一行)の敗北】として、ゲームを進行したいと思っています。
(敗北版のストーリーも大枠で考えています。勝利版とガラっと変わる事は、多分ない予定です)

>>682
ラビットダイブもパチュリーの一対一も鈴仙のタックルも、全部有利な判定だった筈なんですが、
びっくりする位決まりませんでしたね…
>>683-684
てゐの位置がボランチになると、『インビジブルデューパー』等は撃ちづらくなるというデメリットがありますね。
守備時に高めのパスカット力や、前線への『エンシェントデューパー』を活かせるという意味では、
ボランチという選択はダメという訳ではなく、むしろ有効でもあったのですが。
>>686
私もその位の想定でバランスを組んでいました。
(運が良ければ大勝、普通に行けば僅差で勝利〜多少運が悪くても引き分け、敗北は余程運が無い限りは無いでしょう、位)
第一部の博麗連合戦はそのバランス感でも運良く大勝できましたが、今回は真逆に出ましたね…
>>690
さっきのアリスさんといい、今回の総攻撃と言い、生殺しになり続けていますね…

692 :森崎名無しさん:2017/12/23(土) 23:19:42 ID:???
お姉ちゃん最上級以外のシュートは大体防いでるんだよな
だからこそのガッツ切れなんだけど

693 :森崎名無しさん:2017/12/24(日) 00:23:26 ID:???
ハート→クラブのAさん「……良く言うでしょ? 美少女ヒロインは遅れてやってくる、って」ボールカットに向かうお燐に
    クラブのAさんが向かった!

694 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2017/12/24(日) 21:13:47 ID:k0QqKCNc
★運命の気まぐれ→ ハートK ★
ハート→お燐「……良く言うでしょ? 美少女ヒロインは遅れてやってくる、って」お燐がボールカットに向かった!

実況「後半戦ロスタイム3分。試合も残り1分となり、サンパウロの優勝は限りなく近くなり。
    そして、コリンチャンスの逆転敗北はいよいよ濃厚となりました。
    アリスさん選手の特攻、佳歩選手やパチュリー選手の猛攻、その全てが実らないまま、
    サンパウロの組織的なパスワークにも対抗できず、時間は徒に過ぎるばかり……!
    このまま終わってしまうのでしょうか……!」

マウリシオ「(前方のストラットさんにボールを渡す。そこからボールをシュートなりクリアなりして貰えば、
        コリンチャンスが点を取るタイミングはもうなくなる!)――これで終わりだ!」

バシュッ!
   ―――タタタタッ!

お燐「――そうは……させないッ!」

バァァァァッ……!

実況「――いや、ここに動いた選手が一人! 左サイドハーフのお燐選手だ!
    得意の左サイドにボールが飛んだのを見計らい、パスカットに大ジャンプ!!
    最後のチャンスに全てを賭けた〜〜〜!!」

695 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2017/12/24(日) 21:15:14 ID:k0QqKCNc

先着2名様で、

★マウリシオ→パス 54 (! card)(! dice + ! dice)=★
★お燐→パスカット 55 (! card)(! dice + ! dice)+(サイドプレイヤー+2)=★

と書き込んで下さい。カードやダイスの結果で分岐します。

MAX【攻撃側】−MAX【守備側】
≧2→バビントン、パスキャッチ。そして試合終了…
=1、0、−1→ボールはこぼれ球に。そして左から順に
(マリーニがフォロー)(鈴仙とドトールで競り合い)(てゐがフォロー)
≦−2→コリンチャンスボールに。
【補足・補正・備考】
お燐のマークがダイヤ・ハートで「ゾンビフェアリーカット(+3)」が発動します。

696 :森崎名無しさん:2017/12/24(日) 21:16:14 ID:???
★マウリシオ→パス 54 ( ダイヤ10 )( 6 + 3 )=★

697 :森崎名無しさん:2017/12/24(日) 21:17:59 ID:???
★お燐→パスカット 55 ( クラブA )( 4 + 4 )+(サイドプレイヤー+2)=★

698 :森崎名無しさん:2017/12/24(日) 21:18:14 ID:???
★お燐→パスカット 55 ( ダイヤ4 )( 6 + 5 )+(サイドプレイヤー+2)=★

699 :森崎名無しさん:2017/12/24(日) 21:19:24 ID:???
本当に向かってったwwwwwww有言実行すぎるwwww


700 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2017/12/24(日) 21:19:34 ID:???
>>692
さとりの素のセーブ力は低めですが、それでもメオン君以上の実力者ですからね。
PA内ではガッツ消費120でがんばりセービング・改以上のキャッチが出来る
+一対一が本スレ若林・ヘルナンデス以上という事も含めると、癖はあってもかなりの強キャラです。
>>693
本当にクラブのAさんが向かってて笑いました…w

701 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2017/12/24(日) 21:33:54 ID:???
★マウリシオ→パス 54 ( ダイヤ10 )( 6 + 3 )=63★
★お燐→パスカット 55 ( クラブA )( 4 + 4 )+(サイドプレイヤー+2)=65★
≦−2→コリンチャンスボールに。

バシュルルルル……!

お燐「今までミスばっかだったけど、思い出させてあげる。あたいの本来の庭は、サイド際だって事をね!」

クルンッ、パシッ! ――シュタッ。

実況「お、お燐選手が再びここで救世主に! マウリシオ選手のパスを強引にカット!
    そしてそのまま、左サイドを駆け上がっていきます!!」

ドトール「――させるか! マリーニ、行くぞ!」

マリーニ「マリーニ、マリーィニィ!」

タッ!

お燐「あんた、さっき喋ってたじゃん……ま、いっか。行くよ! ここを抜いたらチャンス到来さ!」


702 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2017/12/24(日) 21:34:56 ID:k0QqKCNc
先着2名様で、

★お燐→ドリブル 54 (! card)(! dice + ! dice)+(サイドプレイヤー+2)=★
★ドトール→タックル 56 (! card)(! dice + ! dice)+(人数補正+1)=
 マリーニ→タックル 49 (! card)(! dice + ! dice)+(人数補正+1)=★

と書き込んで下さい。カードやダイスの結果で分岐します。

MAX【攻撃側】−MAX【守備側】
≧2→お燐、ドリブル突破。
=1、0、−1→ボールは零れ球に。そして左から順に
(鈴仙がフォロー)(リマがフォロー)(アマラウがフォロー)
≦−2→サンパウロボールに。試合終了…
【補足・補正・備考】
お燐のマークがダイヤで「キャットランダムウォーク(+5)」が発動します。
お燐のマークがハートで「キャッツウォーク(+3)」が発動します。
ドトールのマークがクラブ以外で「コブラタックル(+2)」が発動します。

703 :森崎名無しさん:2017/12/24(日) 21:35:50 ID:???
★お燐→ドリブル 54 ( スペード2 )( 1 + 1 )+(サイドプレイヤー+2)=★

704 :森崎名無しさん:2017/12/24(日) 21:36:51 ID:???
★ドトール→タックル 56 ( ハートA )( 4 + dice)+(人数補正+1)=
 マリーニ→タックル 49 ( ハート4 )( 1 + 6 )+(人数補正+1)=★

705 :森崎名無しさん:2017/12/24(日) 21:37:01 ID:???
★ドトール→タックル 56 ( ダイヤ3 )( 1 + 2 )+(人数補正+1)=
 マリーニ→タックル 49 ( スペードK )( 1 + 1 )+(人数補正+1)=★

706 :森崎名無しさん:2017/12/24(日) 21:37:05 ID:???
★ドトール→タックル 56 ( ハート2 )( 2 + 6 )+(人数補正+1)=
 マリーニ→タックル 49 ( クラブ6 )( 2 + 4 )+(人数補正+1)=★
厄過ぎるぜ……

707 :森崎名無しさん:2017/12/24(日) 21:38:21 ID:???
仕方ない。

708 :森崎名無しさん:2017/12/24(日) 21:42:58 ID:???
こっから先にまだゲームオーバー無しの試合ってあるのかな?
また負ける可能性もあるけどこの緊張感はやっぱり好きだから次こそ勝ちたい

709 :森崎名無しさん:2017/12/24(日) 21:47:10 ID:???
なんてひどいダイスのラストなんだ・・・
まぁ何となくサンパウロだし勝てないかって感じはしてたけど・・・

妖夢は活躍できず、鈴仙は決められずでお互いに証明できず
本編通りストラットと翼が活躍してなぜかレナートと石崎がサンパウロ特有の神引きを連発

やはり翼とストラットのいるサンパウロ相手には三杉やブンナークがいないと無理だったのか・・・

710 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2017/12/24(日) 22:16:49 ID:???
お燐、痛恨のピンゾロによりボールを奪われる。そして時間がないまま試合終了に……
――と、言ったところで早いですが、今日の更新はここまでにします(泣)

ここでリオカップ編(+海外修行編)が大体終わったので(星達の修行パートがまだありますが)、
今後のストーリーの大枠(現時点の予定)を簡単に示したいと思います。

・練習+仲間との交流パート
     ↓
・?????編(全3試合予定)
     ↓
・練習+仲間との交流パート
     ↓
・幻想スーパーJr.ユース編(予選3試合+決勝3試合)
     ↓
・エンディング

当初の予定では、すぐに幻想スーパーJr.ユース編に入る予定でしたが、
新しいチームの仲間との絆を深めてもらいたいので、幕間的な形で試合数を増やしました。
(その代わり、ストーリー上凡長となると思われた試合やイベントを整理・見直しする予定です)

ここまで続いて来たこのスレも、残り9試合でエンディングに至る事となります。
キャプ森本編が、WY予選+紅白戦+WY本戦で10試合なので、その位のボリュームになるという事です。
……と、言いますと後5年位は続きそうな気がしますが、もう少し早くなると信じています(汗)

711 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2017/12/24(日) 22:19:19 ID:???
>>706
まさかここでピンゾロが出るとは思いもよりませんでした…
>>707
これだけチャンスがあっても一度も決まらなかったら、逆に仕方ないとさえ思えてきますね…
>>708
ストーリー上重要な試合はゲームオーバー無しにしていきたいですが、
ストーリー上主人公が勝たないとバッドエンド確定な試合もありますし、
だからと言ってご都合主義的に進行し過ぎても、それはそれで緊張感がなくなりますから、
塩梅を決めかねてるところです。
>>709
妖夢にとっても鈴仙にとっても、互いに決着が着かない感じの勝負になりましたね…
この辺りは今後のイベントで補完したいと思ってます。

712 :森崎名無しさん:2017/12/24(日) 22:33:17 ID:???
ただ、妖夢は殆ど活躍してないのがな
サンパウロの全権握っている翼に、メンタル弱くていつも活躍出来ないとか思われてるから
精神修行でチーム離脱、下手すりゃクビになるまでありそう

713 :森崎名無しさん:2017/12/24(日) 22:35:02 ID:???
乙でした
完結までが長くなる分には参加者は一向に構わない、なぜならそれだけ楽しめる期間も増えるからだ!
これからも応援しますので頑張ってください

714 :森崎名無しさん:2017/12/24(日) 22:55:24 ID:???
>>712 それなー、そこが一番いろんな意味で悔しいところ
どっちも得しないなーって
まぁハットトリック前提みたいな能力値持っていながらまるでゴールできなかったところから何となく察してはいたがw

715 :森崎名無しさん:2017/12/25(月) 10:27:35 ID:???
コリンチャンスは弱い(確信)

716 :森崎名無しさん:2017/12/25(月) 17:19:15 ID:???
チャンスついているくせにチャンスに弱い

717 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2017/12/27(水) 22:40:47 ID:???
すみません、構想は大体まとまったのですが、文章が追っつかないためもう少し休みます(汗)
明日〜明後日には更新再開できると思います。頂いたレスだけ返信します。
>>712
詳しくはネタバレになりますが、妖夢の今後については色々考えています。
>>713
乙ありがとうございます。応援して頂いて大変嬉しいです。モチベになります。
完結までの見通しが漸く見え始めたくらいなので、実際はまだまだ永らく御付き合い頂ければと思ってますw
>>714
鈴仙と妖夢で決着をつけるイベントは、何かしらの形で作りたいと思っています。
ただ、妖夢が1点も挙げられないのが一番意外でした(汗)
インゲンスゾーンシュートやサイクロンをも上回る大技があったのですが、出せず仕舞いでしたね…
>>715
翼やストラットという本当のプロにとっては、鈴仙達のがんばりも付け焼刃程度だったんでしょうね……。
とはいえ、鈴仙一行は漸く合流(してない子もいますが)したばかりなので、
これから精神的にも技術的にも強くなれる余地は沢山あると思います。
>>716
私全然サッカーに詳しくないですが、コリンチャンスって名前チャンスっぽいので好きです。
ただ、コリンチャンスがチャンスに弱いというか、サンパウロがチャンスに強いのではないでしょうか……?

718 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2017/12/28(木) 23:54:39 ID:???
★お燐→ドリブル 54 ( スペード2 )( 1 + 1 )+(サイドプレイヤー+2)=58★
★ドトール→タックル 56 ( ダイヤ3 )( 1 + 2 )+(人数補正+1)+(コブラタックル+2)=62
≦−2→サンパウロボールに。試合終了…

お燐「がんばって抜かないと……抜かないと……!」

ズザアアアアアアアアアッ……――バシッ。

ドトール「君たちのがんばりは良く分かった。しかし、サッカーは理不尽なんだ。
      ……がんばるだけでは、勝てない相手も、居る」

お燐「そ。そんなァ! ウソだよ。こんなの、ウソだよぉ……!!」

諭すように、ドトールは呟いた。普段の飄々とした仮面を捨て去って、お燐は悲痛に叫んだ。
しかし、幾ら泣いても叫んでも、一旦決定した運命は覆らない。
お燐は得意の筈のドリブルをまたも失敗し、ドトールはテンポを乱しながらも、普段通りの技巧でカバーして、
彼女の足元からボールを完全に奪い取った。この時点で、ロスタイムは残り数十秒。

バビントン「前だ! 前だ。前だァーーーッ!!」

ドトール「分かっているーーーッ!!」

――バシイイ……ッ!

普段は温厚なバビントンが声を荒げるまでもなく、ボールは遥か前方へとクリアされる。

719 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2017/12/28(木) 23:56:04 ID:???
静葉「早く。ボールを奪って。速攻でカウンターして……!」

てゐ「一点だ。あと一点ぽっちで良いんだよ! ああもう、じれったいなァ!」

慧音「諦めるな! 諦めては……だめだ! 諦めては……!」

徒労と知りつつも、仲間達は走り続ける。文字通り、彼らは最後の一秒まで諦めていないのだ。

実況「ああ〜〜! みなさん! マラカナンスタジアムにお集まりの数十万の観客の皆さん!
    これが、リオカップの結果です! ブラジル全土、いや、世界全土から集まった
    若き逸材が争いに争いを重ねた結果です! ……そう、優勝は。優勝チームは……!!」

観客「ワアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!?!?」

――そんな彼らは、無責任な大衆にとって、さぞかし滑稽だったに違いない。
実況は。多くの観客は、最後の一秒どころか一分以上も前に、この試合に見切りをつけていた。

アヤソフィア「(少し遅刻してしまいましたが、もはや見る価値も――いや。そう断ずるのは、少し軽率でしたか。
         鈴仙さん。貴女がこの逆境を前に、どう振る舞おうとするのか。それを見るまでは、私も帰る訳にはいきませんな)」

コーチ「…………………」

勝者は栄光を得て、敗者は蹂躙される。
地べたから這い上がり、栄光を浴び続けていたコリンチャンスはこれより、
その梯子を外された上で、同情すらされず、蔑まれ、罵られ、唾棄される。
こうした事実を良く知る者達は、彼らを待ち受ける運命の残酷さを黙したままに察し、語らない。


720 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2017/12/28(木) 23:57:24 ID:???
試合終了まで、後3秒。

佳歩「はぁ、はぁ……ダメ。まだ……終わっては……!」

パチュリー「(修練を積んで、戦術を磨いて。それで、仲間を敗北に導いて。何が賢者よ……。
        私は、こんな道化になるために、友人を――紅魔を捨てたというの……?
        だとしたら、私は賢者じゃない。とびきりの愚者だ……!)」

反町「(初めてなんだよ。こんなにも勝ちたいと思って試合に臨めたのは。だから諦めたくない! なのに……!)」

2秒。

お燐「ハハハ……本当に地獄だよ。こんなんじゃ、ウチに帰ったらおくうに焼き殺されるよ……!」

てゐ「寿命の半分を削っても良い……だから、今の試合をやり直したい……!!
    こんなんじゃ、生きてても生き恥だ。これまで沢山恥をさらしてでも長生きしてたけど、
    我慢なんないよ。こんな展開じゃあ……!!」

静葉「この試合が始まる前に時間よも〜どれ……ウフフ……ウフフフ……」チャキッ・・

穣子「……だ、ダメ……! お姉ちゃんは死んだらダメだけど……でも、試合も終わっちゃダメ……!」

1秒。

アリスさん「聞こえない……ボールくんの声が、もう……。サッカーの声も、風も、もう止んでしまった……!」

慧音「また、なのか。また、私は何も守れず仕舞いなのか……!?」

つかさ「ガッツが足りない……! 私は、鈴仙様のシュートを幾度も防いだ、あの石崎という少年のような、
     自らを賭して、何かを守り抜く決意が足りていない……!!」

さとり「(辛く、思い感情の波が、第三の目を通して見える。この無念こそが、彼が感じていた『地獄』なのかしら……)」

721 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2017/12/28(木) 23:59:15 ID:???

そして――。

鈴仙「あきらめん。あきらめん、あきらめん……あきら、め……」

試合が終わる、最後の1秒とゼロの間。

鈴仙「……ごめん」

タッ……。

鈴仙「(――みんな。師匠。パスカル君。中山さん……。私、やっぱり、もう。――む、り…………)」

疲弊しきった鈴仙は――、ついに、諦めてそう心の中で呟いて。
その後、鈴仙の無言の独白を聞き入れたかのように、審判は意を決して力強く笛を鳴らした。

――ピィッ。ピィッ。ピィィイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイッ!!!

……試合終了。ブラジルサッカーの登竜門・リオカップを勝ち抜いたのは、サンパウロ。
コリンチャンスは、彼らという強者の前に屈服し。全ては、二度と巻き戻しようが無い過去となる。
――鈴仙は負けた。只、負けたのだ。


コリンチャンス 2 − 3 サンパウロ 試合終了……




722 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2017/12/29(金) 00:00:55 ID:???
…すみません、書きあがらないので一旦ここまでです。
今晩中には選択肢まで話を進めたいです(汗)

723 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2017/12/29(金) 01:58:22 ID:???
実況「試合終了……終了〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!
    リオカップ決勝は2−3で、サンパウロの勝利! ……即ち、リオカップの覇者は、サンパウロです!!
    大会開始前はフラメンゴ、サントスが優勝候補として名を馳せ、開始後もパルメイラスや、
    今破ったコリンチャンスのようなチームがダークホースとして台頭する中、
    結果だけを見てみれば、絶えず最有力候補だったサンパウロが優勝するという、極めて順当な決着となりました。
    無論、ここにお集まりの皆さんはご存じの通り、その決着に至るには様々な曲折がありましたが、
    ともかく、彼らが――サンパウロが勝った。この事実は全く揺るぎないのです!!」

観客「ワアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!」
   「サンパウロ! サンパウロ!」「ツバサ! ツバサ!」「やっぱ時代はサンパだよなー」
   「コリンチャンスって案外大したことなくね?」「まあ、頑張った方だろ」「コリンチャンスー! 頑張ったぞー!」

鈴仙「…………」

鈴仙の耳に、瞳に、観客の狂気が流れ込む。それは、これまでのような歓喜と栄光に満ち溢れたものではない。
嘲笑と、憐憫と、……決して、自分達には向けられる事のない、他者に対する称賛。
そこから自身の心に生まれるのは、後悔、羞恥、嫉妬……これまで抑え込んで来たネガティブな感情が、
堰を切ったように鈴仙の未だ強くなりきれない心を蝕み始める。

タッ……。

妖夢「――私は、もう二度と、こんな思いをしたくない。だから、力を求めた」

鈴仙「妖夢……」

観客達の熱気も冷めやらず、サンパウロの面々が揚々とビクトリーランを始める中、
項垂れる鈴仙の傍で――妖夢が、そう語り掛けた。

724 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2017/12/29(金) 02:01:04 ID:???

妖夢「私は勿論、この試合で満足などしていない。……私は、成果を挙げていない。
    だが、少なくとも負けなかった。惨めな思いをし続けたが、鈴仙。今のあなたほど、私は惨めじゃない」

そう話す彼女の横顔は複雑だった。しかし、ある程度の安堵を抱いている事は、鈴仙も読み取れた。

鈴仙「…………」

鈴仙は、何も話せなかった。本当は、色々と聞きたい事、言いたい事があったのに。
今はまだその時ではない。そう運命が示しているからか、
単純に敗北のショックが想像以上に大きく、何も思いつかないだけなのか。

妖夢「鈴仙。敗北は辛い。無力さを実感させられるのは辛い。私と同様、鈴仙もまた、感じた筈だ。
    キャプテンであり、エースストライカーでありながら、1点も決められず、チームを敗北に導いた、自分の無力さを」

鈴仙「……………」

鈴仙は、もう強がれなかった。これまでのように前向きな言葉を紡げずに、無言を続けてしまう。
そして――道を違えた友人は、鈴仙を置いて、更なる遠くを見据えながら、こう続けた。

妖夢「今日の試合も、これまでも。迷う事が沢山あった。だけど今日は、勝つ事が出来た。
    そして鈴仙。私と道を違えたあなたは――負けた。でも」

妖夢はここで一拍置いて、

妖夢「でも。もしかしたら、鈴仙も、もう負けないようになれるかもしれない。
    私と同じようになれば。――つまり、『ハイパーカンピオーネ』の一員となれさえすれば」

鈴仙「…………!」

鈴仙にそう告げた。

725 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2017/12/29(金) 02:02:35 ID:CIhupV3A
妖夢「鈴仙も知ってのとおり、『ハイパーカンピオーネ』は、神霊廟の豊聡耳神子が作ったサッカー組織。
    人間の強さを妖怪達に示し、幻想郷の人間の、妖怪からの独立を目標としているんだけど。
    ……そんな政治的な話は、別にどうでも良い。
    この組織では、私はひたすらに”力”を磨く機会を与えられた。主との交流も断ち切り、辛い修行を重ね続けて。
    そして――全幻想郷選抜大会では弱小FWだった私でも、強大な力を得る事が出来た」

鈴仙は知らない。かつてその道を違える事を良しとした後、妖夢がどのようにここまでやって来たのかを。
昔の彼女らしい暢気さは消え失せ、鋭い眼光を宿している為に、その道筋は鈴仙のそれと比べても、
より厳しく辛い物であった事は容易に推測できるが、妖夢はそれ以上を語らない。

妖夢「……もちろん、一選手である私に、鈴仙を勧誘できる権限なんてない。
    でも、――知っておいて欲しかった。私がどのようにして弱さを克服したのかを。
    そして、今からでも、私は……。――鈴仙と、同じ道を歩む準備はあるのだと」

最後の方は、どちらかと言うと、昔の妖夢らしさが残る声調だった。
だからこの誘いは、不器用な彼女なりの、鈴仙との和解なのかもしれなかった。

鈴仙「……………」

鈴仙は落ち込む心を今一度だけ少し抑えながら、妖夢の提案に対して――。

A:「それは無理。……だってまだ、”私達の”決着がついてないんだもの」決着をつける!
B:「……だったらさ。妖夢が、私と同じ道を歩めばいいじゃん」勧誘する!
C:「……今のあんたは、昔よりもずうっと惨めよ」妖夢に喰らい付く!
D:「…………」無視して無言で仲間の下に合流する。
E:「ま、とりあえずユニフォーム交換でもしましょうか」脱ぐ!
F:その他 鈴仙らしいロールプレイがあれば、考えて頂ければ幸いです。


先に2票入った選択肢で進行します。メール欄を空白にして、IDを出して投票してください。


726 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2017/12/29(金) 02:15:09 ID:???
…と、言ったところで今日の更新はここまでです。
明日は年末休みなので、ある程度は更新出来ると思います。

727 :森崎名無しさん:2017/12/29(金) 03:07:48 ID:URN/PgkE
F:「カンピオーネに行かない。試合には負けたけど、私にはかけがえのない大切な仲間がいる。私を信頼してくれる仲間がいる」
「たとえ茨の道かもしれないけど、私は仲間と一緒に未来を切り開いていく。それがキャプテン鈴仙だから」
「妖夢、あんたにはかけがえのないと断言出来る仲間はいるの?今のあんたは一人ぼっちで強がっているようにしか見えない」
「身近にあんたを慕ってくれる後輩君がいるのに手を払い除けて背を向けて。強さを追い求める前に、一度じっくり考えてみたら?」
カンピオーネ行き断りつつも、諭すように言う

728 :森崎名無しさん:2017/12/29(金) 12:17:50 ID:aOkvdQes
B

729 :森崎名無しさん:2017/12/29(金) 12:52:05 ID:AJoQut6w
F:「カンピオーネに行かない。試合には負けたけど、私にはかけがえのない大切な仲間がいる。私を信頼してくれる仲間がいる」
「たとえ茨の道かもしれないけど、私は仲間と一緒に未来を切り開いていく。それがキャプテン鈴仙だから」
「妖夢、あんたにはかけがえのないと断言出来る仲間はいるの?今のあんたは一人ぼっちで強がっているようにしか見えない」
「身近にあんたを慕ってくれる後輩君がいるのに手を払い除けて背を向けて。強さを追い求める前に、一度じっくり考えてみたら?」
カンピオーネ行き断りつつも、諭すように言う


730 :森崎名無しさん:2017/12/29(金) 17:14:12 ID:???
あんだけ能力盛られたのに最初の試合でハットも達成できず、この試合無得点さんに言われてもねぇ


731 :森崎名無しさん:2017/12/29(金) 17:19:03 ID:???
自由選択肢が選ばれるのは久し振りやな

732 :森崎名無しさん:2017/12/29(金) 17:56:56 ID:???
F私もあなたもダイスに踊らされたちっぽけな存在なのよ・・・
一緒に地獄に落ちましょう・・・

733 :森崎名無しさん:2017/12/29(金) 21:15:48 ID:???
妖夢は力を磨いたけど心を磨かなかったんだな
このままいくと翼みたいなサッカーの怪物になってしまうかも

734 :森崎名無しさん:2017/12/29(金) 21:35:03 ID:???
長文自由選択はあんまりいい結果にならない印象

735 :森崎名無しさん:2017/12/29(金) 21:47:15 ID:???
短文ならGMが上手く汲んでくれる事が多いからね
でも今回はどうせ妖夢の闇落ちの仕方が変わる程度で本編には影響ないだろうな

736 :森崎名無しさん:2017/12/29(金) 21:57:19 ID:???
もしも無視を選択していたらどうなったんだろう?

737 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2017/12/30(土) 02:26:21 ID:???
スイッチ版のふしげんをやってたら更新できませんでした(滝汗)
明日こそは更新したいです……
>>730
妖夢の理屈は「自分も活躍できなかったけど、負けなかったから今の鈴仙よりはマシ。
強者が集まるハイパーカンピオーネに居れば、負ける確率は減る」みたいな感じです。
こじらせた結果、力を得るという当初の目的すらもが曖昧になっていますね。
>>732
これが選ばれてたら、常に2対11でサッカーに臨む地獄姉妹ルート行きでしたね…(うそ)
>>733
妖夢は翼程強くないので、途中の過程で壊れてしまいそうですね。
>>734-735
今回はあくまでロールプレイなので、何を選んでもデータ的な影響はありません。
(でないと、ロールプレイがしづらいと思いますので…)
ただ、GMの想い的には考えて自由選択をして頂けるのは嬉しいですし、良いと思った自由選択については、
ストーリーや鈴仙のキャラクター描写の面で強く反映させる事により、優遇したいと思ってます。
>>736
無視でもデータ的な影響はなく、鈴仙のキャラ描写に違いが生じていたと思います。
(妖夢が更に闇堕ちしたりとかはありません)

738 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2017/12/30(土) 23:26:50 ID:???
F:「カンピオーネに行かない。試合には負けたけど、私にはかけがえのない大切な仲間がいる。私を信頼してくれる仲間がいる」
「たとえ茨の道かもしれないけど、私は仲間と一緒に未来を切り開いていく。それがキャプテン鈴仙だから」
「妖夢、あんたにはかけがえのないと断言出来る仲間はいるの?今のあんたは一人ぼっちで強がっているようにしか見えない」
「身近にあんたを慕ってくれる後輩君がいるのに手を払い除けて背を向けて。強さを追い求める前に、一度じっくり考えてみたら?」
カンピオーネ行き断りつつも、諭すように言う


鈴仙は、妖夢が悪意なくそう言っているのだと分かっていた。
そして、だからこそ鈴仙はこれだけは伝えなければならないと思った。
いや、正確には、妖夢の言葉のお蔭で思う事が出来た。

鈴仙「……『ハイパーカンピオーネ』には、行かない」

敗北したその瞬間、自分は全てを失ったと感じていた。
これまで積み上げて来たものが、全て無に帰したものだと思い込んでいた。
――しかし、実はそうではなかったのだ。

鈴仙「試合には負けたけど、私にはかけがえのない大切な仲間がいる。私を信頼してくれる仲間がいる」

妖夢「…………?」

鈴仙はそう言いながら、周囲を見渡す。
仲間達は、自分と同じように俯き、あるいは泣き崩れ、全力で戦った上での敗北を悲しんでいた。
――それで、充分だった。敗北したばかりの時の辛い気持ちは次第に薄れ、少しずつ前向きな光が差し込んでいく。
鈴仙は俯かず真っ直ぐに、妖夢の暗く澱んだ瞳を見据えて、こう続けた。

鈴仙「たとえ茨の道かもしれないけど、私は仲間と一緒に未来を切り開いていく。それがキャプテン鈴仙だから」

妖夢「……ッ!」

それを聞いて、妖夢は苛立ちと狼狽を隠さない。

739 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2017/12/30(土) 23:28:05 ID:???
妖夢「――そんなのは、強がりだ。……だって。何故、敗北したばかりなのに。何故、そんな事が……そんな風に言えるの……?
    鈴仙の仲間が今日、何度鈴仙の期待や信頼を裏切ったのか。覚えていないの……?
    盤石な筈の場面でミスをして、成果も挙げられないような。そんな仲間を、どうして大切にしようとするの……!?」

鈴仙「その答えは、さっき言った筈よ」

対する鈴仙は、落ち着きを取り戻しながら、続ける。

鈴仙「何故なら。彼らは、私にとって、『かけがえのない』仲間だから。
    確かに合流してからの時間は短いし、中にはまだ合流すら出来てない仲間だっている。
    だけど、私は知っている。皆が強い想いを抱きながらサッカーをしていて。
    そしてその上で、私をキャプテンとして信頼し、一緒に前を目指してくれている。
    そこに成果とか、使えるとか使えないとか、そんなのは関係ない」

決して強がりではない。鈴仙は心の底から、そう強く思っていた。
だからこそ鈴仙は、胸を張ったままに妖夢にこう切り返す。

鈴仙「妖夢、あんたにはかけがえのないと断言出来る仲間はいるの?
    私からしたら、今のあんたこそ、一人ぼっちで強がっているようにしか見えない」

妖夢「そんな不確かで不確実な『かけがえのない仲間』なんて、要らない。
    私は、少しでも勝率を高めてくれるような仲間が居るのであれば、それで良い……」

妖夢は自分に言い聞かせるように、鈴仙にそう反論するのだが、その言葉は弱い。
強大な力を得ながらも尚、成果を挙げられない自分自身への焦りを抱き続けて来た妖夢は
成果など関係ないと言い切った鈴仙を、表面上では偽善だとして否定しつつも、その実内心は揺らいでいた。


740 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2017/12/30(土) 23:29:14 ID:???
鈴仙「…………」

鈴仙は決して、妖夢を追い詰める為にこう話している訳ではない。
それは、かつて道を違えた友人を慮りたいという純粋な想い。
妖夢が真剣に、鈴仙を『ハイパーカンピオーネ』へと勧誘したのと同じく、
鈴仙もまた、妖夢を強く想うからこそ、言葉を交わし、――更に、こう続けるのだった。

鈴仙「身近にあんたを慕ってくれる後輩君がいるのに手を払い除けて背を向けて。
    ――強さを追い求める前に、一度じっくり考えてみたら?」

鈴仙は、妖夢が本当に一人ではない事を奇しくも知っていた。
決勝前に出会った一人の少年――新田瞬との交流を通じて、
本当の妖夢らしさを。彼女の本当の強さと弱さを知る者が居るという事を。
だから、鈴仙は諭すようにそう付け加える。
……道は違えど、友人には健やかなる道を歩んでほしかったから。

妖夢「……………」

鈴仙「……………」

妖夢は、何も答えない。熱狂が。狂気が最高潮に達するスタジアムの中で、
二人はまるで、そこから切り離されたかのように静かに互いを見つめていた。



妖夢「――鈴仙。私は……」


741 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2017/12/30(土) 23:31:25 ID:???
――不意に、妖夢が言葉を開く。彼女が紡ごうとしたのは、同意か、あるいは拒絶か。
鈴仙はその答えがどちらであるか、この時知る事が出来なかった。なぜなら。






    ―― パ ァ ァ ァ ァ ァ ン!






妖夢「…………え?」

鈴仙「――妖夢! ……よーむぅぅうううぅぅうッ……!!!!!」

――鈴仙が気付いた時。
銀色に光る銃弾が、その喉元を抉り取らんと、妖夢の胸元へと肉薄していた。


742 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2017/12/30(土) 23:34:11 ID:???
妖夢死す!? ……と、言ったところで長くなるので一旦ここまでです(汗)
すみませんがここから次の?????編に入るまで、文章パートが暫く続く事になりそうです。
なおネタバレですが、妖夢享年X5歳的な展開にはならないです。(なったら流石に重すぎるからです)

743 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2017/12/31(日) 02:29:37 ID:???
***


〜リオカップ決勝が行われているスタジアムから500m程離れた建設途中のビル〜

  .|  〉,,・^'' - .,,      ~  i ~    __,,.- ^`・、.〈  |
./ ̄|  /,/~ヽ、  `'' ‐--‐ ,.| 、‐-‐'' "~   _ノ~\,ヽ | ̄ヽ
| (` | / ヽ,,_____`‐-、_、..,,___ノ八ヽ___,,.._-‐_'"´___,, ノ ヽ .|'´) |
| }.| ./'   \二二・二../ ヽ  / ヽ、二・二二/  'ヽ | { | <・・・・・・・・・。


謎の男「サンパウロが勝ったか」

時間は僅かに遡り、リオカップの決勝戦の終了を告げるホイッスルが鳴り響いた時。
険しい目をしたスナイパーは、そう独り言ち、

謎の男「だが、俺の仕事は変わらない」

淡々と、依頼主である青髪の女から受け取った、契約書の内容を再度確認していた。

謎の男「(……契約書にはこう書かれていた。『リオカップの決勝戦終了後、魂魄妖夢を狙撃すること』。
      ――ただ、それだけ。シンプルな内容だ。
      サンパウロが勝利した場合、だとか、魂魄妖夢が活躍しなかった場合、だとか、
      まどろっこしい条件など無い。……彼女を。魂魄妖夢を撃つ事は、最初から決まっていた」

ライフルの弾倉には、依頼主が用意した特別製の銀の弾丸――撃たれた者のサッカー筋のみを破壊し、
負傷被害を出さない代わりに、二度とサッカーが出来なくなる効果を持つという――が既に籠められている。
後はその引き金を引いて、撃ち抜くだけだ。

744 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2017/12/31(日) 02:30:45 ID:???
謎の男「(依頼主は――『ハイパーカンピオーネ』は、最初から魂魄妖夢を切り捨てる気だった。
      何故なら、彼女の才能には既に見切りがついていたし、代替となる逸材は既に確保済みだからだ。
      後は、彼女が鈴仙・優曇華院・イナバとの情に絆されて、『プロジェクト・カウンターハクレイ』側に寝返る事だけを
      阻止すれば良い。彼女を二度と、サッカーを出来ない身体にする事で。……成程、合理的な判断だ)」

単なる仕事人である彼には、ターゲットとなる少女への同情や憐憫は一切抱かない。
ただ――と、男は思う。

謎の男「(単なるスポーツであるサッカーに対し、信念や生命を賭ける者の何と多い事か。
      これではまるで、俺が渡り歩いてきた戦場と同じだ。……狂気が、満ち満ちている)」

要人の暗殺と言った普段の仕事と比べて、無名な少女を狙い、しかも命すら奪わないという楽な仕事だ。
――もはやそうは思わない。サッカーという球技のルールを超えて、一人の選手生命を奪う行為は、
狂気を抱いたスタジアムの数十万人に対する冒涜であり、立派な殺人である。
だからこそ、余計に失敗は許されない。男は重圧を前にしくじる人間ではない。
重大な仕事こそ、確実にこなす。彼はそういう部類の人間だった。

グッ。――パァァァァァン……!

確実に。即ち普段通り。男は引き金を引き――銃弾を放った。


745 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2017/12/31(日) 02:31:57 ID:???

***

グウウッ……ンッ!

銃弾が迫る。妖夢めがけて、銀色の閃光が――鋭利な殺意を示す、超高速の波長が、『視える』。
男が引き金を引き、妖夢に届くまでの瞬間。鈴仙の視界は、無意識にスローモーションとなった。

鈴仙「(ようむが、あぶない)」

かつて幻想郷中の狂気の波長を取り込んだ鈴仙の瞳は、昔にも増して格段に発達していたため、
彼女だけが、大歓声・大熱狂のスタジアムに紛れたその波を視る事が出来ていた。
――そして、視る事が出来たが故に、鈴仙は誰よりも先に絶望した。

鈴仙「(……きょりが、ちかすぎる)」

銃弾を放つ者もまた、人間ながらにその道を究めた者に違いなかった。
極限までに薄められた彼の殺意を捉える事は難しく。
鈴仙が完全にその弾丸の軌道を捉え切ったのは、既に弾丸が妖夢の服を掠めている時点だった。

鈴仙「(……まに、あわない)」

鈴仙の瞳は狂気の瞳。弾丸の位相を操作し、妖夢に触れる事を禁ずる事もできれば、
逆位相を操作し、そもそもこの次元から無かった事にすらできる。しかしそれは、操作を行うに足る時間があれば、の話。
秒速1,000メートルで推進する銃弾が、妖夢の肉体まで僅か数センチまでの位置に居る時点で、もはや為す術など無い。

鈴仙「……だめ!」


746 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2017/12/31(日) 02:34:03 ID:???
しかし、駄目と分かっていても、鈴仙は動いた。
鈴仙は視神経の全てを眼前の弾丸に集中させ、身体の限界を振り絞り、思いっきり妖夢を突き飛ばそうと身体を投げ出した。
普通ならば届く筈もない距離であるにも関わらず、鈴仙は諦めなかった。

鈴仙「(あの弾丸が命中したら、妖夢はたぶんダメになる。半人半霊だし、死ぬことはないだろうけど、
     たぶん、死ぬよりも辛い思いをする事になる……と思う! だから、私が……防がなきゃ。
     防いで……今度こそ、しっかりと付ける。妖夢との決着を!)」

     ギンッ! ゴオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ………………!!

鈴仙の瞳が、波長が、世界が、狂気が……世界を歪める。位相だけではない。
時間のベクトルすらもが曖昧になる中、鈴仙の瞳は輝き続けて歪みを広げる。
全ての波長を狂わせて、鈴仙は不可能を可能とする。それはもはや、単なる狂気ではない。
今の彼女は、世界の『理』それ自体を操作し、――それが如何なる犠牲を払う事となろうとも
――友人を助けたかった。



   鈴仙「(我ガ狂気ノ瞳よ。……そノ限界を超エて世界を騙セ! 世界を――狂わせロ!)」

           そして、狂気を超えた鈴仙の意地は奇跡を起こす。




747 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2017/12/31(日) 02:35:20 ID:???

……パ ァ ァ ァ ァ ア ン!

妖夢「……え?」

――ドンッ!

乾いた銃声が鳴り響いた時、妖夢は、自分が何かに思いっきり押されて、よろめき倒れた事しか認識できなかった。

パシャァッ!

その直後、生暖かい物が自分の顔にかかった感覚を覚える。触れてみるとそれは鮮血だった。
倒れた自分を庇うように、見慣れたブレザーの少女が虚空を見つめて立ち塞がっており。

鈴仙「はぁ……はぁ……!」

妖夢「れい、せん……?」

鈴仙「ああ。その声は妖夢……。助かったのね。良か、った……」

                    ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
振り返った少女は――鈴仙は。完全に潰れた両目から、滝のように血を流しながら、安堵の笑みを零して。
――倒れた。

妖夢「鈴仙。……鈴仙!? 私を庇ったの……!? なんで……? なんで、私なんかの為に……!?」

748 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2017/12/31(日) 02:37:37 ID:???


                        ポタ、ポタ、ポタ……。



             鈴仙「(血が出てる。銃弾が目に当たっちゃった……のかな?

 なんだか良く分かんないや。何にも見えないし、身体の感覚も無いし、まるで幽霊になっちゃったみたい。

          でも、まあ。妖夢も助かったみたいだし……これで良かったのかな?

  皆には迷惑かけちゃうかなぁ……でも、コーチもあれで元医者だし、ちゃちゃっと直してもらえばいいよね。

         試合には負けたけれど、きっと、まだ何とかなる。何とかしないといけないもん。

         だって、私はキャプテン鈴仙だし。お師匠様とも約束したし、姫様だって……

           あれ? まだ暗いな。もう夜なのかしら? まだ何も見えないよ……?

         何も見えない……何も聞こえない……何も……考え……ら……れ……)」


749 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2017/12/31(日) 02:49:56 ID:???
唐突な急展開になったところで今日はここまでにします。

詳細は今後の更新で描写しますが、今回のイベントにより、鈴仙は暫くの間、失明状態となります。
ですがこれは、物語の演出上のイベントであるため、参加者の選択肢とは一切関係ありません。
また、玉兎としての高い運動神経と妖力による気配察知により、サッカーや日常生活は普段通り可能です。

ただし、ゲーム開始当初から鈴仙を支えてきたスキル・狂気の瞳については、暫くの間封印されてしまいます。
これにより、1/2発動の能力値減少効果が消滅します。
 ※第一部では、スキル・狂気の瞳は必殺シュート強化の効果もありましたが、第二部では記載されておらず、
   また、必殺シュートまで弱体化すると鈴仙が全く使われなくなってしまうため、
   バランス上、必殺シュート力については弱体化されないこととします。
ですが、この弱体化についても今後の布石であり、鈴仙の更なる成長への伏線となります。(詳細はネタバレの為省きます)


明日と明後日は旅行に行くので、更新できないと思います。
また、それ以降も暫く文章パートが続くかもしれませんが、気長にお付き合い頂ければ幸いです。
本日もお疲れ様でした。

750 :森崎名無しさん:2017/12/31(日) 11:29:30 ID:???
乙なのです

鈴仙が妖夢を助ける展開はなんとなく予想してましたが、鈴仙がこんなことになるのはビックリでした
今年も楽しい作品をありがとうございます。
鈴仙奮闘記も長編になりましたね、ここまで続ける、しかも読者参加型の作品をというのは
並大抵ではないと思います。
来年も鈴仙奮闘記を楽しみにしています。
作者さんにとって来年が良い年になりますように。

751 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2018/01/03(水) 02:09:13 ID:???
今年も更新していきたかったのですが、文章が書ききれなかった為明日更新します(汗)
東方憑依華が出ましたね…私も今日はずっとプレーしてました。
感想としては色々ありますが、とりあえず鈴仙が割と不憫過ぎて笑ってしまいましたw

>>750
乙ありがとうございます。昨年は参加ありがとうございました、今年もよろしくお願いします。
キャプ森やキャプ翼を下敷きにしつつ、常識にとらわれない(かつ面白い)展開を目指しているので、
楽しんで読んで頂いて大変嬉しいです。

拙作ももうすぐ開始5周年を迎えますが、漸く全体のラストも僅かに見えて来ました。
(エンディングまで残り9試合で、これまで5年でだいたい21試合やって来たので、
 丁度リオカップ終了時点で、21/30=70%は物語を終えた形です)
昨年度は更新が停滞する時もありましたが、今年はクライマックスに向けて、
モチベーション高く続けていきたいと思っています。

752 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2018/01/03(水) 23:35:46 ID:???
〜幻想郷・八雲紫の領域〜

紫「――鈴仙・優曇華院・イナバ。己の分も弁えず、瞳に限界を超えた負荷を掛け。そして、自滅したか」

空間の裂け目から事の顛末を観測していた八雲紫は、僅かな嘲笑を湛えながら、そう吐き捨てた。

紫「貴女の計画も、とうとう失敗に終わるのではないかしら? 八意永琳」

永琳「…………」

永琳は、そんな彼女の傍に寄り添い、共に鈴仙が倒れる瞬間を見ていた。
八雲紫は、永琳が己の計画――霊夢や一部の有力人妖を中心とした全幻想郷代表を優勝させ、
既存の幻想郷の秩序をが盤石である事を世界に知らしめる――に反対している事を知っていたが、
知りつつ尚、彼女は永琳を自らの傍に置きたがり、永琳もまた彼女と行動を共にする事が多かった。
……無論、互いが互いを監視する為に、である。

紫「私の目的は一つ。今の全幻想郷代表を、来たる幻想スーパーJr.ユース大会で優勝させる。
  そしてそれは、より正々堂々とした手段で為される事が望ましい。その方が、我らの強さをより客観的に証明できるから。
  ――だから、私は貴女達の手駒を直接妨害する気は無かったのだけれど」

永琳「第三勢力は――豊聡耳神子の『ハイパーカンピオーネ』計画は別よ。
    彼女達は、自分達が勝つ為なら何でもやる。それこそ、選手の暗殺だってするでしょう。
    別に私は、八雲紫。貴女を疑いなどしていない」

紫「あら、それは助かったわ。……まあ。それは別として、私は貴女の愛弟子が志半ばで倒れても、
  それはそれで、悪くは無い結果だとも思ってるんだけどね。正々堂々が理想でも、棚ぼたを拾わない理由は無いもの」

くすくす、と悪趣味な笑いを向ける境界の妖怪を無視して、永琳は続ける。

永琳「……『プロジェクト・カウンターハクレイ』は、鈴仙を中心とした新チームを主軸としていた。
    その主軸が、視力を失って倒れたとなれば、私達の計画は徒花に終わる可能性は、
    いよいよ高くなったと言わざるを得ないでしょうね。ただ――」

753 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2018/01/03(水) 23:37:15 ID:???
永琳は僅かに口を歪め、

永琳「――あの子、ああ見えて結構しぶといわよ。この程度で棚ぼたを拾ったと思っているようでは、まだまだ読みが甘いわね」

紫「ご忠言、大変助かります。ですがご安心を。兎が一匹沈んだところで、勝利の為の手を緩めるつもり等無い。
  ――それは、貴女も良く理解している筈よね?」

紫に対して言い放つも、彼女もまた余裕を崩さない。永琳はそれが虚勢でない事を承知していた。

永琳「(……確かに、全幻想郷選抜代表は、強い。八雲紫本人は勿論として、博麗霊夢も感情を殺し、強くなった。
     他のメンバーも海外に派遣させ修行させる事で、実力の底上げを図っていると聞いている。
     そして私も、八雲紫に敗北時の言い訳を作らせ、勝負を保留とさせない為にも、手を抜く訳にはいかない。
     今回のような挫折が無くても、元々鈴仙に取っては厳しい戦いとなるに決まっている)」

八雲紫は――その内面が月の狂気に侵されているか否かを除いても、賢い妖怪だった。故に彼女は違えない。
常に最善手を取り続け、次の大会における、全幻想郷選抜代表の優勝を日々、盤石なものにしている。
全ては、これまで自分が築いてきた幻想郷の秩序の正当性と強さを、より多くの人間に対し理解させる為。
『プロジェクト・カウンターハクレイ』や『ハイパーカンピオーネ』という”異変”を、これまで通り、博麗の巫女によって解決させる為。
博麗霊夢は、鈴仙・優曇華院・イナバや豊聡耳神子よりも優れた存在であるという事を認識させる為。

永琳「(今回の八雲紫に慢心や油断は無い。対する鈴仙は敗北という大きな挫折を味わい、肉体的にも大きく損なわれた。
     加えて更に、豊聡耳神子という、小物ながら厄介な第三勢力の妨害も耐えなくてはならない。
     厳しい状況になっているのは、認めざるを得ないわね)」

永琳ですら、もはや今回の状況を楽観視してはいなかった。
しかし、八雲紫という巨大な敵を前に、永琳は監視を続ける事が手一杯であり、打つ手を出せないでいる。
物語はもはや、彼女の掌から離れ、想定を超えて大きなものとなっていた。
故に、永琳は改めて思いを託して祈る事にした。――神ではない。この物語の主人公に対してである。

永琳「(鈴仙。貴女が切り開こうとする道は依然険しい。そして、私はもはや、貴女に一方的な期待を抱く無責任な第三者に過ぎない。
     それでも、祈らせて貰うわね。……鈴仙、這い上がりなさい。そして、月の狂気に取り付かれた八雲紫を倒しなさい。
     さもなくば、『純狐』が目覚め、地上と月は破滅に導かれる。どうか……諦めないで)」

754 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2018/01/03(水) 23:38:35 ID:???
〜ドイツ・シュツットガルトスタジアム〜

中山「……何だって、鈴仙さんが銃撃を受け意識不明だと!?」

全日本代表メンバーに選ばれた後、協会の意向により、ドイツでサッカー修行を積んでいた中山もまた、
鈴仙が凶弾に倒れた事実を知っていた。――勿論、魔法等ではなく、リオカップ終了後の朝刊を見たためだ。

中山「リオカップは2−3でサンパウロが勝利。その後のウイニングラン中、コリンチャンスの鈴仙・優曇華院・イナバ選手が
    目から血を流して倒れて救急搬送。幸い、命に別状はないが目の損傷が激しく、失明は免れず、選手生命は絶望的……」

国外の、しかも無名なサッカー選手の負傷事件故にドイツ国内での扱いはそう大きく無かったが、
その中身は充分にショッキングでかつ絶望的なものだった。
当然の事ながら、視力を失ったサッカー選手が再び現役に戻れる事は100%あり得ない。
一度失った視神経を再生させる技術など、今の医学界において存在しないからだ。

中山「(永琳さんのような名医が居れば……いや、それも難しいか。
    今、幻想郷では豊聡耳神子が市長として政治を行っており、裏では八雲紫が手を引いていると聞いているが、
    そのどちらもが、鈴仙さんに対立する存在だ。恐らくだが、永琳さんも助けを出そうにも、この二人を牽制する事が手一杯で、
    そこまで手が行き届かないに違いない)」

加えて、そうした一般的な常識を超えた医師の存在も中山は知っていたが、
同時に、聡明な彼は、彼女の助けを借りる事は難しいという事実も、何となくではあるが推察出来ていた。

中山「(もはや、打つ手はないのか? 鈴仙さん……)」

中山は思い出す。自分や森崎と違って弱く、しかしひた向きな芯の強さと優しさを持つ少女の横顔を。

中山「(いや。大丈夫だ。鈴仙さんは……強い。そして彼女は、俺には無い、”何か”を持っている。
    祈るんじゃあない。信じよう。鈴仙さん……まさか、そこで諦める気じゃあ、ないだろうな?
    勿論、君は前に進み続ける筈だ。八方ふさがりの壁があっても、道を切り開くんだ……って、さ)」

これまでの鈴仙の強さと弱さを知る中山は、人知れず鈴仙を信じることにした。

755 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2018/01/03(水) 23:39:52 ID:???
〜アルゼンチン・ディアスの私室〜

ディアス「『リオカップ注目のストライカー、鈴仙・優曇華院・イナバ、両目失明により選手引退へ』……だってさ、パスカル」

パスカル「信じてなるもんか。レイセンは両目を失った位でサッカーを止める程おしとやかな女の子じゃない。
      あいつは、きっとまたサッカーをやる。そして、俺達アルゼンチンの最大の脅威となって立ちふさがる筈なんだ」

ディアス「ふー。やっぱ変わったよなぁ、パスカル。その……ゲンソーキョーとやらに行ってさ」

鈴仙を信じる者は他にも居た。パスカルは親友が呆れてもなお、繰り返して力説を続けていた。
新聞の報道は嘘だ、本当だとしても彼女は強いから大丈夫だ、彼女は俺達の最大のライバルだ、
……そんな非論理的な説明が10回を超えた頃合いで、流石のディアスも口を出した。

756 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2018/01/03(水) 23:43:05 ID:???
ディアス「昔からお前はおりこうさんで要領が良かったけれど、逆を言えば慎重派過ぎて、やる前から諦めるような事も多かったよな」

そのお蔭で助かった事もあるけどな、と笑いながら親友は続ける。

ディアス「だけど、今は違う。今のパスカルは……なんというか、その。熱くなったよな。どっちかというと、俺に近くなった。
      プレースタイルだけ見れば、俺に合わせる事とか戦術とか、相変わらずなんだけどさ。
      その、”相変わらず”の範囲内で、凄い攻めるようになった。非現実的な案でも、実際にやり遂げようとするようになった。
      やっぱ女が出来ると違うのか〜? ん〜?」

パスカル「おい、何度も言っているだろう。レイセンとはそんなよこしまな関係じゃあないって。
      純粋に、切磋琢磨し合い、悩みを共有できる親友だっただけさ」

ディアスははいはい、とまともに取り合わず、しかしパスカルへの信頼を隠さずにこう続けた。

ディアス「……ま。何にせよパスカルの読みは鋭いからな。俺も信じる事にするぜ。
      メクラの少女が謎の超能力を駆使して、俺達ゴールデンコンビの前に立ちはだかるって未来をさ」

ただし。もっとも、とディアスは付け加えるので、パスカルもまた言葉を乗せて重ねて宣言する。

ディアス・パスカル「「……どんな状態であろうと、俺達に勝てる事は100%あり得ないけどな」」

彼らにとって、鈴仙との対決は、もはや祈るとか信じるとか以前の『規定事項』となっていた。

757 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2018/01/03(水) 23:44:20 ID:???

***


――鈴仙、這い上がりなさい。そして、月の狂気に取り付かれた八雲紫を倒しなさい。
   さもなくば、『純狐』が目覚め、地上と月は破滅に導かれる。どうか……諦めないで。

       鈴仙さん……まさか、そこで諦める気じゃあ、ないだろうな?
       勿論、君は前に進み続ける筈だ。八方ふさがりの壁があっても、道を切り開くんだ。

  レイセンは、きっとまたサッカーをやる。そして、俺達アルゼンチンの最大の脅威となって立ちふさがる筈なんだ。


闇の中から、そんな声が聞こえたような気がした。鈴仙の世界は生まれてくる前の赤子のように、暗く、しかし温かい。
天地がどちらにあるかも分からぬ、混然とした暗闇の中をどの位揺蕩っていただろうか。

??「……い……せん。……れいせん」

鈴仙「…………」

これまでよりも一際、はっきりとした声が聞こえた。それに答えかけたくて、鈴仙の意識は覚醒を始める。

??「れいせん……れいせん! ――鈴仙!」

鈴仙「…………。その、声は……」


758 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2018/01/03(水) 23:48:34 ID:???
少女の声が聞こえ、鈴仙は意識を取り戻す。暗闇のまま、鈴仙は声の主に対して呼びかけた。
――彼女は……。

先着1名様で、

★声の主→! card★

と書き込んでください。マークで分岐します。

JOKER・クラブA→ロベルト(少女声)「良かったぽよ〜(??>?<?)。??」鈴仙、ショックで心停止!(BADENDです)
それ以外→星「良かった。もう二度と目を覚まさなかったらどうしようかと」メキシコに行っていた鈴仙の仲間・寅丸星だった!

759 :森崎名無しさん:2018/01/03(水) 23:49:20 ID:???
★声の主→ スペードA

760 :森崎名無しさん:2018/01/03(水) 23:49:23 ID:???
★声の主→ ダイヤA

761 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2018/01/03(水) 23:49:57 ID:???
……と、言ったところで短いですが今日はここまでです。
声の主は折角なので判定にしてみました(BADEND分岐だけですが)

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