キャプテン森崎 Vol. II 〜Super Morisaki!〜
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【道は】鈴仙奮闘記41【違えど】

1 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2017/11/05(日) 20:32:29 ID:???
このスレは、キャプテン森崎のスピンアウト作品で、東方Project(東方サッカー)とのクロスオーバー作品です。
内容は、東方永夜抄の5ボス、鈴仙・優曇華院・イナバがサッカーで世界を救う為に努力する話です。
他の森崎板でのスレと被っている要素や、それぞれの原作無視・原作崩壊を起こしている表現。
その他にも誤字脱字や稚拙な状況描写等が多数あるかと思いますが、お目こぼし頂ければ幸いです。

☆前スレ☆
【不屈の心は】鈴仙奮闘記40【この胸に】
http://capmori.net/test/read.cgi/morosaki/1500215667/
☆過去ログ・攻略ページ(キャプテン森崎まとめ@Wiki内)☆
http://www32.atwiki.jp/morosaki/pages/104.html

☆あらすじ☆
ある日突然幻想郷にやって来た外来人、アラン・パスカルと中山政男との出会いにより、
師匠に並ぶ名選手になると決心した鈴仙・優曇華院・イナバ。
彼女は永琳の庇護下で実力を大きく伸ばし、幻想郷中の勢力が集まった大会でMVPを勝ち取った!
しかしその夜鈴仙は、自身の成長は永琳の計画であった事、その計画の副作用で
月に眠る大いなる厄災――「純狐」が八雲紫の身体を乗っ取り目覚めつつある事を明かされる。
そして、鈴仙は永琳に懇願される。「純狐」の純粋なる狂気を止めるべく、
次に紫が計画した大会――『幻想スーパーJr.ユース大会』に優勝し、世界を救って欲しい……と。

鈴仙は戸惑いつつも、永琳の願いを受け入れ、
幻想郷の秩序の変革を狙う新チーム・リトルウイングズの一員として、大会に優勝することを誓った。
その後、修行のため鈴仙は単身ブラジルに渡り、様々な困難や出会いを経験しつつも、
イギリスで闇を乗り越えたさとり達の活躍もあり、リオカップの準決勝・パルメイラスに見事勝利した。

またその頃、イタリアではパチュリーと慧音が、互いにハイレベルな選手を目指すべく研磨を重ねていたが、
些細な事で対立。その時、慧音は一時ではあるが、豊聡耳神子の計画『ハイパーカンピオーネ』の一端に触れ、そして気付く。
これまで第三局として表だった対立を避けていた彼女達の陰謀が、今や決して無視できない物になっていると。
――そうした不安を抱きながらも、鈴仙達はいよいよリオカップの決勝戦、サンパウロとの対決に挑む。
サンパウロを牛耳る選手は、壊れた精神をサッカーで埋め合わせて蘇った怪物・大空翼と、
力を求め続け、ついには鈴仙とは真逆の道を進む事となったかつての親友・魂魄妖夢。
彼らの熾烈な攻撃を掻い潜り、コリンチャンスは前半戦途中で1−0のリードを得ており、一旦優勢ではあるが……?

761 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2018/01/03(水) 23:49:57 ID:???
……と、言ったところで短いですが今日はここまでです。
声の主は折角なので判定にしてみました(BADEND分岐だけですが)

762 :森崎名無しさん:2018/01/03(水) 23:52:57 ID:???
盲目で足をメインに使うとなると南斗白鷺拳習得できそうっすね

763 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2018/01/05(金) 00:01:04 ID:???
★声の主→ スペードA ★
それ以外→星「良かった。もう二度と目を覚まさなかったらどうしようかと」メキシコに行っていた鈴仙の仲間・寅丸星だった!

星「……良かった。もう二度と目を覚まさなかったらどうしようかと、ずっと心配で眠れなかったんですからね」

鈴仙「……え?」

その温かさと慌ただしさが入り混じった声を聴いて、鈴仙はおもむろにベッドから身体を起こす。
同時に両目に固く巻かれていた包帯に気付いて、もどかしげに身をよじっていると、
その声は、「ああ、取っちゃダメですよ!?」と大袈裟に慌てふためいたので、一旦収める。
ふう、と言った溜息が聞こえた後に、彼女は続きを話し始めた。

星「……命蓮寺の寅丸です。鈴仙、私達もメキシコでの修行を終えて、つい数日前、ようやく貴女達と合流できたんですよ」

鈴仙「ああ。やっぱり星なのね!」

彼女の名前は寅丸星。妖怪寺の命蓮寺で住職兼本尊(代理)を務める寅の妖怪だ。
鈴仙はとある事件をきっかけに彼女との親交を深めており、『プロジェクト・カウンターハクレイ』が作る新チームにおいても、
星は鈴仙と同じFWとして名を連ねている。
諸般の都合上、リオカップには間に合わない事は聞いていたが、まさかこんな形で再開するとは――。
星の人懐っこい笑顔を見たいのに見れない鈴仙は、もどかしく思いながらも旧友との再会を喜んでいたが。

鈴仙「……って、アレ? さっき星、『つい数日前』……って、言った?」

星「ええ。ええ。そうですよ! 私達が無事ブラジルに降り立ったら、鈴仙が大けがをして病院に担ぎ込まれたと聞きまして。
  他の皆さんもてんやわんやの大騒ぎ! 皆で持ち回りで看病すると決まったは良いものの、鈴仙はずうっと目を覚まさないし……。
  ええっと……計算すると……一週間。そうです。鈴仙。貴女はここ一週間の間、ずっと眠り続けていたんですよ……!」

鈴仙「い、一週間も……!? ウソでしょ……!?」


764 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2018/01/05(金) 00:02:45 ID:???

鈴仙の脳裏にこれまでの記憶がよみがえる。リオカップ決勝。仲間の奮闘。恐るべきストラットと翼。覆せぬ劣勢。惨めな敗北。
久しぶりの妖夢との会話。銀色の銃弾。真っ赤に燃え上がり、やがて真っ黒に染まった視界。そして――薄れる意識。
つい数秒前のこととして認識できる一連の出来事から、もうそんなに時間が経ったのだと、鈴仙は俄かに信じられなかった。

鈴仙「み、皆は!? 妖夢は!?」

星「皆さんは今ごろ、バラバラです。早速サッカー修行に励む方、病院の待合室で、次の看病の番を待っている方、
  孤独に物思いに耽っている方、図書館に籠って研究を進める方……。ただ、皆一緒なのは、鈴仙の事を心配しているって事ですね」

星は優しい笑みを浮かべてそう告げる。ただし、話題が妖夢に至ると顔を曇らせて、

星「……私は、妖夢さんの事は知りません。ただ、リオカップの場に同席していた皆さんによると、
  『私は何をしていたんだ』『鈴仙にひどい事をしてしまった』……と、泣きながら、どこかへ去っていったらしいです。
  佳歩さんとかは、『妖夢さん、私達と。鈴仙さまと一緒に戦いましょう!』と呼び止めたらしいのですが、
  『自分には、鈴仙と共に戦う資格などない』――と頑なに断られたみたいで……」

――と、詳細に当時の状況を(又聞きではあるが)話してくれた。

鈴仙「そう。……とにかく、妖夢は無事、なんだね……」

星「はい。鈴仙が庇ったお蔭で、凶弾から逃れられたそうです」

そう話す星は、「鈴仙。貴女も無茶はしないでください」と暗に語っているようにも思えた。
鈴仙は改めて、皆にも心配を掛けて済まないと言いかけたところで――。

ガチャリ……。

コーチ「……声が聞こえたから来てみたが。漸く、目を覚ましたようじゃな。鈴仙よ」


765 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2018/01/05(金) 00:03:46 ID:???
星「ああ、先生!」

鈴仙「(せ、先生?)……その声は、コーチですね」

ゆっくりとした足取りで、老コーチがドアを開けて入って来る。
永遠亭で嗅ぎ慣れた消毒薬の匂いがして、ドアの向こうからは忙しそうな看護師の足音が聞こえたので、
ここが病院であると、鈴仙は改めて認識する事が出来た。

鈴仙「あの、コーチ。私ってやっぱり本当に、ずっと眠っていたんですか……?」

鈴仙はおずおずと元医師の老人に問いかけると、彼は深く頷いた。

コーチ「……眼窩から脳髄に掛けて、深々と弾丸が刺さっておった。緊急手術をしたは良いが、
     どうやら弾丸には特殊な神経毒が塗られていたようじゃ。強力な薬により、速やかに解毒は出来たが、
     流石に、手術と服薬で体力の限界だったのだろう。……身体機能に問題は無くとも、休息が必要だったという事じゃ」

星「なんでも、数ある筋肉のうち、サッカー筋のみをピンポイントで死滅させる毒薬だったそうです。
  もしも先生が手当をして下さらなかったら、今頃は起きてもサッカーができない身体になっていたと……」

鈴仙「そ、そうっすか……」

その答えに対し、鈴仙は現実味を感じられないでいた。
自分はこれまで、形はともあれサッカーをしていただけだ。命を狙われるような事をした覚えはない。
それなのに今の自分は確かに病院のベッドに横たわっており、おまけに周囲を見渡す事すらできない。
が、何かの悪夢ではないかと思って頬っぺたをつねってみても、当然の如く何も起こらない。

766 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2018/01/05(金) 00:04:51 ID:???
コーチ「実感が湧かぬのも仕方あるまいて。……いや。むしろ、実感が湧かぬからこそ、救われる事もあるのかもしれぬ。
     ある医師は、『老人の痴呆は、死の恐怖を和らげる為の神からの贈り物である』と話していたが、
     今はある意味、それと同じなのかもしれぬな……」

そんな鈴仙の様子を見て、コーチは小さく独り言ちると、星はハッと息を呑む。
……そんな風に扱われると、暢気な鈴仙も不安だ。鼻や耳をつねるのを止めて、鈴仙は改めて二人に向き直る。

鈴仙「……あの。この包帯、なんですけど」

手で、自分の目を覆う分厚い包帯を触りながら、問いかける。

コーチ「負傷自体は、案外大した事は無いゾイ。もう一、二週間程すれば傷も癒える。
     妖怪、とやらであればもっと早いじゃろうて。問題は――」

見えはしないが、続きに窮する老人の顔は、曇っているように思えた。
星なんかは何も喋っても居ないのに、息遣いだけで不安を感じているのが良く分かる。

コーチ「――鈴仙よ。心して聞きなさい」

鈴仙「……はい」

コーチがここまで落ち着き払って、理性ある話し方をしているのは珍しかった。
珍しいだけに、鈴仙は彼が次にどれだけ重大な事を話そうとしているのかが良く分かる。
……果たして、彼は鈴仙に対して率直に述べた。

コーチ「問題は、眼球だった。銃撃の当たり所が悪く、両目共に粉々に砕けていた。
     眼球だけじゃない。その根元の神経が、完全に焼け焦げていた。
     ……君も医学を志しているならば、それが何を意味するのか、分かるだろう?」

767 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2018/01/05(金) 00:06:14 ID:???
鈴仙「……はい」

不思議に、恐怖や悲しみは感じなかった。未だ尚、あらゆる事に実感が持てていないからかもしれない。

コーチ「鈴仙。……君は視力を失った。少なくともここブラジルの、いや、この世界のあらゆる医学の粋を尽くしても、
     君が再び元の光を戻す事は……無い、だろう」

コーチの発言も、何となく予想出来ていた。しかし、それは自分自身に対して宣告された物ではないと、
さしたる重要な事象では無いのだと、鈴仙は何故かそう思っていた。
妖力を使っての気配察知を応用すれば、不便さこそあれども生活には困らないだとか、実用的な側面もあったが。
現実からの浮遊感。まるで夢であるかのような違和感。そんなものが、鈴仙を支配し続けていた為だった。

ガチャッ。

??「お邪魔するよ」

……そうなるのは、視力を失った事よりも重大で、かつ、差し迫った辛い現実があったからかもしれない。
そう無骨に、しかし底知れぬ気配を纏い部屋に入って来た女性の声は、鈴仙にその事を思い出させてくれた。

星「あ、貴女は……!」

??「ああ、寅丸……お前さんも、何とかここまでやって来れたんだね。しかし残念だ。
    あんたの努力や苦労は、このままじゃあ水の泡になっちまうかもしれない」

コーチ「……言っておくが、患者は今、絶対安静じゃぞ?」

??「言うねぇ。あたしがここに来るまでは、アトラスの見方すら忘れていた耄碌ジジイが、立派になったモンさ」

かくも竹を割ったような語り口をする鈴仙の知り合いは、そう多くない。
とりわけ、視力を失っている影響か、聴覚と記憶力が高まっている鈴仙は、自信を持って彼女の名を呼んだ。

鈴仙「あなたは……魅魔さん、ですね」

768 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2018/01/05(金) 00:11:09 ID:???
……と、言ったところで今日はここまでです。
明日か明後日には文章パートを終えて、本格的に新章に突入したいです。
>>762
実は北斗の拳って読んだことないです(汗)
鈴仙の失明については、最近3DSでやった某RPGの展開から着想を得ました。

769 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2018/01/06(土) 15:24:00 ID:???

魅魔「ああ、そうさ。大変な事に巻き込まれたみたいだね、鈴仙」

……彼女の名は魅魔。『プロジェクト・カウンターハクレイ』の監督役にして、
鈴仙や仲間達を海外へと派遣した張本人でもある彼女は、中性的な低い声でそう答えた。

魅魔「『ハイパーカンピオーネ』は、勝利の為には何でもやる集団だ。
   だけど、妖夢にせよ、鈴仙にせよ。あそこまで明け透けに、邪魔者を潰しにかかるとは思わなかった。
   あのやり口は豊聡耳神子というよりは、邪仙の霍青娥っぽい。彼奴が勝手に手を回したのかもしれないな。
   まあ……どっちみち、あたし達の立場じゃあ、推測する事しか出来ないんだが」

鈴仙が伏すベッドの脇にあるパイプ椅子をひったくると、彼女はどっかりと座り、一通り話した後、大きく溜息を吐く。
盲目の鈴仙にはその表情は見えないが、魅魔は大分参っているようだった。
そしてその原因は、鈴仙の負傷や『ハイパーカンピオーネ』の暗躍ではなく、もっと根本的な所にあった。

魅魔「……しかし、それにしてもだ。あたしらにとって最大の予想外は、あんた達の――コリンチャンスの敗北だよ」

鈴仙「……すみません。折角、期待して頂いたのに」

魅魔はやれやれと肩を竦め、夜の帳のようなローブから煙管を取り出し、指で弄んでいる。

魅魔「修行を始める前に言った通り。あんたに課せられたミッションは、コリンチャンスの立て直しと、リオカップの優勝だった。
    前者については、あの無気力老人だったコーチが、こうもシャンとしている以上、まあ成功だと言える。
    しかし後者についてはどうだい? あんた達の実力は、サンパウロと拮抗していた――一部ではサンパウロより優れていたし、
    実際、前半戦はリードを得る事が出来ていた。しかし、後半になると、翼やストラットと言った一流の選手を前に太刀打ちできず、
    チャンスを何度も何度も棒に振り、同点。そして逆転負けを喫した」

鈴仙には返す言葉も無い。自分達は全力でやって、しかし、それでも勝てなかった。その事実は何が起きても覆りようがない。

770 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2018/01/06(土) 15:25:37 ID:???
魅魔「……ハッキリ言って、『プロジェクト・カウンターハクレイ』の首脳陣は、あんた達に失望している。
    実力だけは向上したようだが、肝心の精神力が追いついていない。
    このままでは、全幻想郷選抜代表はおろか、下手な海外の代表チームにも負けてしまうのではないか……ってね。
    実際のところ、リオカップ優勝は序の口の筈だった。今後のあんた達が破らなくてはならない相手と比べては、
    充分低いハードルである事は間違いないんだ」

鈴仙「(魅魔さんの言いたい事は分かる。だって、次の大会では確実に、ブラジル代表や日本代表とも戦う事になる。
     それはつまり、これまでリオカップで戦って来た有力選手が、1つのチームに勢ぞろいしているって事だもの。
     ……対する私達は、既にほぼ最大戦力でサンパウロと戦って、そして負けた。
     これから大会までの短い時間で、能力の大幅アップは望めない)」

鈴仙が永遠亭ルナティックスの一員として、全幻想郷選抜大会を戦ったのが昨年の10月。
ブラジルに渡ったのが11月で、リオカップは翌年の1月――今月だ――に開催された。
そして、紫によると、『幻想スーパーJr.ユース大会』は4月に、幻想郷にて開催されるという。
つまり、鈴仙達に遺された猶予は僅か3か月しか残されていないのだ。

魅魔「何度も言うが、『プロジェクト・カウンターハクレイ』は、
    一部の強豪妖怪や博麗の巫女による支配を至上とする、幻想郷の現状を打破したいという理念があり。
    あたしやあんた達のように物好きな妖怪や、幻想郷での利権を得たい人間や、
    更に意味不明な目論見によって手を貸す神々が共同戦線を張っている」

魔法で煙管に火を灯し、魅魔はゆっくりと煙草の煙を吸った。
生真面目な星が「ちょっと! 病院内は禁煙ですよっ!?」と悲鳴交じりに非難するも、
物好きな悪霊は全く意に介さない。

魅魔「そして、その共同戦線が出した、現状打破の方法というのが、サッカーだったという訳さ。
    幻想郷でも人妖問わず人気があり、かつ、実力差がハッキリと分かるスポーツで、
    被支配者側である人間、あるいは無名妖怪の連合軍が、支配者側である強豪妖怪及び博麗の巫女の連合軍に勝利すること。
    それをきっかけに、幻想郷に蔓延る価値観を一新させること。……これが、我々の目的である」

771 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2018/01/06(土) 15:26:51 ID:???
――魅魔の説明を補足すると、具体的な目的を掲げる勢力は『プロジェクト・カウンターハクレイ』だけではない。
八雲紫を首謀とする全幻想郷代表チームは、『プロジェクト・カウンターハクレイ』に真正面から勝利する事で、
逆に人間に対する、妖怪や博麗の巫女の優越性を証明したいと思っている。
また、豊聡耳神子は、『ハイパーカンピオーネ』計画を立ち上げ、自らによる幻想郷の統治体制を築く事を目的に、
紫と『プロジェクト・カウンターハクレイ』との対立軸の間で暗躍し、その力を蓄え続けている。

……とにかく。魅魔はもう一度煙管に口を付け。そして、言葉を選びながら再度話し始めた。

魅魔「話が長くなったね。つまり、何故私が一々こんな事を話しているかと言うとだね。
    『あたし達の目的を達成する手段は、必ずしも、あんた達に頼らなくても良い』って事を……ああ、いや。
    もっと単刀直入に言おうか」

しかし、余計な配慮や気配りは自分の得意とする事ではないと気づいた魅魔は、やっぱりいいや、と思い直して。


魅魔「鈴仙・優曇華院・イナバとその仲間達。あんた達を育てた、あたしらの判断は間違っていた。
    リオカップすら勝ち抜けない、『プロジェクト・カウンターハクレイ』の新チーム・リトルウイングズは――これで解散だ」


――と、冷静かつ残酷に。彼女達の想いをバッサリと切り捨てるように、そう断言した。

772 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2018/01/06(土) 15:28:06 ID:???
鈴仙「……!」

星「ど……どういう事ですか? だって、魅魔さんは仰いましたよね? プロジェクト・カウンターハクレイの目的は、
  被支配者側である人間、あるいは無名妖怪の連合軍が、支配者側である強豪妖怪及び博麗の巫女の連合軍に勝利すること。
  それをきっかけに、幻想郷に蔓延る価値観を一新させること、ですって。
  それで、だから私達のような、主流から外れる人妖達を募って、新チームを立ち上げたんですよね?
  だったら、何故……どうして、新チームは解散だなんて事が言えるのですか? 矛盾していますよ!」

ここで星が、鈴仙に代わり口を挟んだ。彼女も佳歩のようにやや直情的すぎ、少し抜けている箇所もあるが、
所属する聖白蓮の一番弟子にして、最も優秀な部下と評されるだけあって、頭の回転は速い。
元々の生真面目さもあってか、奔放な魅魔に対する反感もにじませながら、星は魅魔を睨み付けた。

魅魔「ああ。そうだね。確かにその通りだ。だからこそ、あたし達は、あんた達のチームを出したかった。
    でも、それで大会で負けちゃあ、八雲紫の思うがままだ」

この程度の反感は想定内だったのだろう。魅魔はたじろぐ事なく続ける。

魅魔「――だったら、少々理念から外れたとしても、
    『支配者側である強豪妖怪及び博麗の巫女の連合軍に勝利する』。
    ――この、一番大事な部分を果たし得るチームを出すって事も、次善策として存在し得ないかい?」

星「そ、それは……」

自分よりも背の高い星の威圧すらも意に介さず、魅魔は淡々と理屈に理屈で返す。
しかし星も負けてはいない。

星「ですが。そんな都合の良いチームなんて、そうそう作れませんよ!
  私達だって、あなた達の計画に沿って修行をしたから、なんとかここまで辿り着けた。
  他にも、私達と同じような修行を施した、バックアップのチームを用意していたとでも仰るのですか!
  もしも鈴仙がリオカップで優勝していたら、全てが無駄になっていたかもしれないのに!!」

773 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2018/01/06(土) 15:32:35 ID:???
魅魔「……あははっ」

星「なっ……! 何がおかしいのですか!? きちんと説明してください!!」

星が声を荒げれば荒げる程、魅魔は余裕綽綽に笑って受け流す。
果てや一触即発の雰囲気にもなりかねないところで、魅魔は漸く口を開いた。

魅魔「……いや、悪いね。別に意地悪しようと思った訳じゃあないんだ。
    ただ、”そこ”なんだよ。寅丸星よ。そこが、あたしが今日ここに来た一番の理由にして、
    あんた達に与えられた最後のチャンスにもなり得る部分なんだからさ。だから、どう話そうか、悩んでた」

鈴仙「最後の……チャンス?」

星「? ……ますます分かりません。勿体ぶるのはやめて、きちんと話して貰えませんか!?」

星は興奮冷めやらぬ様子で、もう一度魅魔を睨み付けている。
一方の鈴仙は、未だこの場に流され続けるのみだったが――『最後のチャンス』と魅魔が話した時、
確かに流れは変わったと、そう直観が告げていた。――敗北。失明。そしてチーム解散。
このどん底の状況に陥った鈴仙達を救うかもしれない、最後の蜘蛛の糸が垂れるのを感じた。

魅魔「分かった、分かった。元々こっちだって、どっかの隙間妖怪と違って、勿体ぶるのは得意じゃないんだ。
    ――それじゃあ、言うよ」

……果たして、そんな鈴仙の直観は半分的中していた。
確かにそれは、魅魔が言うとおり最後のチャンスであり、蜘蛛の糸だった。
ただし、その糸は鈴仙の想像よりも遥かに脆く。そして、登り詰めるに困難が予測されたからだ。
魅魔は間髪入れず、高らかにこう宣言した。

774 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2018/01/06(土) 15:33:38 ID:???




  魅魔「鈴仙・優曇華院・イナバとその仲間達よ。我々『全魔界ユース』は、
      1か月後に我らの主催で行われる、【魔界カップ】の出場チームとして――お前達を招待する!」

775 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2018/01/06(土) 15:41:39 ID:???
三行まとめ
魅魔「あれ?リトルウイングズ(鈴仙)弱くね? サンパウロに負けるとかないわー解散ね」
星「いやいや解散とかおかしいでしょ。『プロジェクト・カウンターハクレイ』とかどーすんの? 私らの代わりいるの?」
魅魔「代わりに別のチーム出すし無問題。あ、最後のチャンスとして、あんたらは魔界カップに招待してやるわ」


というわけで、リオカップ編の次はジャp……魔界カップ編だ!
……と、なったところで一旦ここまでです。
続きは出来れば本日中にやりたいですが、また明日になるかもしれません(汗)

776 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2018/01/08(月) 02:20:54 ID:???
鈴仙「ぜ、全魔界ユース……?」

星「ま、魔界カップ……?」

唐突に表れた単語に、鈴仙と星は揃って目を丸くする中、魅魔は補足する。

魅魔「ああ。そしてそれが、先の寅丸の質問に対する答えだ。
    『お前達リトルウイングズの代わりのチームなど、存在するのか?』――する。
    それが、このチーム。『全魔界ユース』である!」

星「え、ええ……? 魔界でしたら、私もかつて来た事があるので知っていますが。
  確かあの世界は、この世界――私達の住む世界と比べて、サッカーは流行していなかった筈です。
  一体、どんな選手が、その全魔界ユースとやらに……?」

星の呈する尤もな疑問に対し、魅魔は口を歪めて答えた。

魅魔「流石は詳しいねぇ。――その通り、確かに魔界には、この世界程発達したプロサッカー組織も無ければ、
    群を抜いて優れた選手は、そう多く存在しない。だから、助っ人として出場するのさ。
    このあたしを始めとする、プロジェクト・カウンターハクレイを取り仕切る首脳陣が直々にね!」

鈴仙「……! 魅魔さんが、選手として……!?」

鈴仙はサッカー選手としての魅魔の活躍を知らない。しかし、噂や与太話レベルでは聞いた事がある。
幻想郷屈指のストライカーとして名を馳せた霧雨魔理沙には、かつて、彼女を遥かに超える実力を持つ『師匠』が居た事を。
そして、その『師匠』は、今の幻想郷には姿を見せず、どこかに姿を隠している悪霊であり。その名を――魅魔と言う事を。

777 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2018/01/08(月) 02:22:08 ID:???

鈴仙「(もしも昔聞いた噂が本当だとしたら、魅魔さんの実力は、先の全幻想郷選抜大会で戦った魔理沙以上。
     もしかしたら、リオカップで戦った、ストラットや妖夢と比べても同格以上の選手って事になるけど……!?)」

魅魔「言っとくけど。助っ人はあたし一人じゃあないよ。あんたらは知ってるようだから言うけれど、
    例えば、外の世界の岡崎夢美――彼女も、この計画に一枚噛んでるんだ。ヤツは間違いなく、出る」

鈴仙「岡崎……? ――ああ。昔、星と一緒に日向小次郎と戦った時に一緒に居た」

星「私は覚えていますよ。特徴的なドリブルが実に厄介でした」

魅魔「流石に日向小次郎は、全日本代表の合宿に参加するとやらで、今回は出ないらしいがね。
    それと、八意永琳も、全幻想郷代表で八雲紫を牽制し続けているから、参加はしない。
    ……ただ、逆に言うと。あたしら側の陣営で、駒落ちになるのはその二人位だ。
    今紹介した岡崎夢美以外にも、大型選手はゴロゴロ居る。プロジェクト・カウンターハクレイの目的のうち、
    ――『弱小妖怪を中心とするチームで』って部分は満たせないけれど、『八雲紫や豊聡耳神子の野望を打ち砕く』
    って部分については、確実に満たせる筈って寸法さ」

魅魔は満足気にそう断言する。確かに、魅魔の発言が事実であるとするならば。
――全魔界ユースなるチームは、全幻想郷代表やハイパーカンピオーネ。
あるいは全日本やブラジル代表と比べても、決して見劣りする事の無い強豪チームであると言える。

魅魔「――とはいえ。あたし達も当然それ相応の調整や強化試合は必要だ。
    それで、開催するのがこの【魔界カップ】ってワケだよ」

778 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2018/01/08(月) 02:23:16 ID:???
それから魅魔は、ごく簡単に大会の概要を説明してくれた。
大会は全魔界ユースの他に3チームを招待して行われる勝ち抜きトーナメントであり、
招待されるチームとしては、鈴仙達リトルウイングズを除けば、魔界では最強クラスのクラブチームであるイヌカマッセFC。
加えて、先方の希望によって詳細は明らかにしないが、もう一チームの参加が内定しているという。

鈴仙「……話については、分かりましたけど」

一通りの説明を終えたのを確認した上で、鈴仙は改めて聞く。

鈴仙「全魔界ユースは、自らの強化の為に魔界カップを開催する。そして、私達もその大会に出場しても良い。
    ……でも。それが一体どうして、私達にとっての『最後のチャンス』になるんでしょうか」

魅魔「うむ。期待通りの良い質問だ。それが……なるんだよ。何故ならば、この魔界カップには、優勝賞品があるからだ」

そして、鈴仙の質問への答えこそ、魅魔がここで最も言いたかった事なのだろう。
彼女はますます上機嫌にして、その『優勝賞品』の正体にして、鈴仙達の『最後のチャンス』の全貌を告げた。

魅魔「この魔界カップに優勝した者は――来たる4月に行われる、幻想スーパーJr.ユース大会の出場権を得る。
    つまりは――あたし達を。全魔界ユースを倒す事が出来れば、そいつらはあたし達に代わって、
    全世界の強豪がひしめく一大大会に、チームとして出場する権利が与えられるっていう事さ!」

鈴仙「……!!(つまり。魅魔さん達に勝てれば、私達はもう一度立てる。
    全幻想郷や、ハイパーカンピオーネを相手取った、この戦いに……!!)」

779 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2018/01/08(月) 02:24:25 ID:???
***


鈴仙「……と、いうわけなの」

――それから数時間後。
鈴仙は、チームメイトの皆を自身の病室に招き入れて(星と共にメキシコに行っていた、にとりとナズーリンとも合流し)
先刻帰った魅魔から聞いた話を伝えた。
鈴仙達を切り捨てる、プロジェクト・カウンターハクレイの方針。編成された全魔界ユースチーム。
そして、起死回生のチャンスとなる、一カ月後に開催の魔界カップ……。
鈴仙の仲間達は多者多様の反応を示しながら、その話に聞き入って――。

佳歩「そんなの、悩むヒマもありません。鈴仙さま。もう一度戦いましょう……!」

星「鈴仙。貴女の困難は、私が光となって支えます。かつて、貴女が私を助けてくれたように!」

反町「……俺は、やりたいです。キャプテンも辛いでしょうけど、俺は、戦いたいから」

穣子「一樹君が行くなら、私は地獄の果てでも付いていくよっ!」

お燐「え? いやいや。あのサンパウロ戦で最後だったら、あたいの渾名がピンゾロ猫になっちゃうじゃん。そりゃ困るよ」

さとり「私はどっかの方と違って、真っ暗闇の無間地獄でもがき苦しみ続けるような変態趣味はありませんからね。
    どうせもがくのならば、光を掴む為にもがき続けたいものです」

慧音「私はまだ、子ども達の希望になれていない。私の目的は、まだ達せられていないんだ……!」

前向きな反応を示す者もいれば。

780 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2018/01/08(月) 02:26:00 ID:???
つかさ「……ごめんなさい。私とした事が、まだ闘志を、取り戻せないで居るんです……」

てゐ「……鈴仙。頑張って、負けて。そいで、目までそんなんになっちゃって。大丈夫? 辛くない?
   無理してない? もし辛いなら……永遠亭に帰ろうよ。帰って、またノンビリ過ごしたって、誰も怒らないよ?」

にとり「ひゅぃぃ……魅魔様のシュートなんて喰らったら、いよいよ私のどてっぱらに風穴が空きそうだよぉ……」

静葉「私達は最初、自分達の信仰を得る為にこのチームに参加した。けれど……実は、悩んでもいたの。
    信仰は大事だけど、その為に、幻想郷を支配する妖怪に楯突いても良いのか。
    そのせいで、このチームで唯一の外来人である反町君にも、危害が加わらないか、って」

ナズーリン「私はご主人にどこまでも着いていきたい。だが、……このまま戦いを続ける事が。
        本当にご主人や、他の皆にとっても良い事なのか、分からないで居るんだ」

アリスさん「(ダメよ、アリス……ここはトモダチと。鈴仙と共に着いて行くってって宣言しないと。
        でも、できない……! サッカーが、怖いんだ……!?)」

パチュリー「(――私は。一体何のために、修行を……。ああ、レミィ。今ごろあんたは嗤っているわね)」

サンパウロ戦の敗戦を引きずる者や、覚悟が定まらずに、後ろ向きな感情を抱く者もいた。
そして、鈴仙を除き14人居る仲間達で、前向きな者と後ろ向きな者の割合はほぼ半々。
故に、鈴仙が大会の存在を告げた後も、場は暫くの間沈黙のまま膠着した。

鈴仙「(……でも)」

沈黙の中で、ふと、鈴仙は思う。
――仲間達ではない。果たして”自分”は、一体どうしたいのだろうか。

鈴仙「(……私には、支えてくれる仲間は確かに居る。だけど、今の私は光を失った。
    仮に魔界カップに出るとしても。私は、その仲間達にずっと、甘え続けなくちゃいけない)」

781 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2018/01/08(月) 02:27:54 ID:???
数時間経って包帯を替える時、改めて両目を開こうとしても、世界は暗黒に包まれたままだった。
敗戦や魅魔の来訪等があり、忘れかけていた”失明”という事実が、少しずつ鈴仙にのしかかっていく。
そして、暗く後ろ向きな不安が頭の中にもたげる。……本当に、このままでサッカーを続けられるのか? と。

鈴仙「(確かに、私は普通の人間と違う。妖力を兼ね備えた、妖怪兎だ。
    だから、肉体による視力に頼らなくても、妖力――精神力に依存する気配察知術を活用すれば、
    たぶん、大体今までどおりにサッカーをする事は出来る……と、思う。訓練すれば。
    でも、それはあくまで大体にしか過ぎない。どうしても視力に頼っていた面もあるし、何より。
    ――これまで私を支えていた、『狂気の瞳』が、全く使えなくなっている)」

鈴仙が持つ、『狂気を操る程度の能力』の源泉である瞳が破壊された今、その能力は使えない。
サッカーの試合においても役立つ場面が多く、この能力によって勝利に導いて来た実績があるだけに、
その能力を喪失したという事実は、これまでに積み上げて来た自信が揺らぐ結果に繋がっていた。

鈴仙「(私は最初、魔界カップの存在を皆に教えて。出来れば、皆と一緒にこの大会に賭けたいと思って、
     この病室に皆を呼んだ筈なのに。私が一番後ろ向きになってるかも……)」

もしも鈴仙が、森崎のような根っからの野心家であるならば、敗戦や多少のハンデがあろうとも、
この魔界カップを最高の好機として、自らの天下取りの新たなる礎としてやろうと思えただろう。
また、中山のようなストイックな努力家であるならば、そもそも余計な事は一切考えず、自らの身が滅びるまで、
目の前にある戦いに身を投じ続けられるだろう。鈴仙は、そのどちらでも無かった。

コーチ「……そいで。鈴仙よ。お主は結局、どう思っとるんじゃゾイ?」

――そんな鈴仙の内心を察してか、沈黙が続く状況を見かねてか。
後方で静観していた老コーチが、鈴仙に対して助け船を出した。

鈴仙「――えっと。私は……」

鈴仙の視界は包帯で塞がれており見えない。しかし、仲間達の視線が自分に集中している事は、何となく分かる。
自分は今、何を思っており、どうしたいと考えているのか。
鈴仙自身だけではない。彼女を案じる者達にとっても、それは重要な問題なのだ。

782 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2018/01/08(月) 02:30:36 ID:cxfKth2Y

鈴仙「(――魅魔さんは帰り際、『魔界カップに参加せず、幻想郷に帰り、身を休めると言うならば協力しよう』と言ってくれた。
     だから、私には逃げ道はある。……てゐの言う通り、永遠亭に帰って、これまで通りの暮らしを続ける。
     そんな結末だって、確かに存在してるんだ。そして、私にはまだ、前に進める道――魔界カップに参加する――があるのも確か。
     私は、……)私は――!」

何度も言葉を詰まらせながら、しかし鈴仙は、仲間達に向かってこう自分の想いを告げた。

A:「私達の乗った列車は、途中下車できない。何があろうと、道を切り開いて進み続けましょう!」自らを奮い立たせながら。
B:「私は今、とっても不安で、怖い。……でも、前に進みたい。だから、手を貸して」不安を吐露しつつも前向きに。
C:「――中山さんだったら、視力以外の感覚を鍛える大チャンスだって、喜びそうよね」中山の話題を挙げる。
D:「……正直、永遠亭に帰りたい。でも、帰らないよ。私は皆と一緒に居たいから……!」後ろ向きだが強情に。
E:「正直、私なんて居なくても良いよね。魔界カップとかは皆で頑張ってよ。あはは……」闇鈴仙モードに突入。
F:「なんかこうして皆の話聞いたらさ。――わりぃ……やっぱつれぇわ」ちゃんと言う。※BADENDです
G:その他 鈴仙ならこう言いそう、というロールプレイがあれば、書き込みして頂ければ嬉しいです。

*(F以外は)何を選んでも、直接的なデータ上のメリット・デメリットはありません。ロールプレイと思って、選択して頂ければ幸いです。

783 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2018/01/08(月) 02:37:30 ID:cxfKth2Y
…と、言ったところで今日の更新はここまでです。
次回(か、次々回)更新から、再びゲームパート(育成・交流パート)に入っていけると思います。
また、スレ容量が500kbに達したので、スレタイを募集したいと思います。
次スレは、魔界カップに向けての育成・交流及び練習試合(相手は未定)がメインとなると思います。
(星一行のメキシコ修行編は、次スレにて成長選択・判定を中心とする、ダイジェストで行う予定です)

【】鈴仙奮闘記42【】

の形で書いて提案して頂ければ大変嬉しいです。
それでは、本日もお疲れ様でした。

784 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2018/01/08(月) 02:52:40 ID:???
すみません、>>782で大事な一行が抜けてましたね…(汗)

先に2票入った選択肢で進行します。メール欄を空白にして、IDを出して投票してください。

で、お願いします。

785 :森崎名無しさん:2018/01/08(月) 07:16:57 ID:sdnvTg8Q
G
希望の象徴となる私はたかが双眼を失ったぐらいでたじろぐわけにはいかない。
私は、必ず挑戦する。(そうでしょ、妖夢!)

786 :森崎名無しさん:2018/01/08(月) 12:00:43 ID:3TusZnDE
A

787 :森崎名無しさん:2018/01/08(月) 13:00:21 ID:UD0gwatc
A
【泥啜っても】鈴仙奮闘記42【這い上がる】

788 :森崎名無しさん:2018/01/08(月) 13:16:58 ID:K3bBYdf2
【目が見えぬかわりに】鈴仙奮闘記42【心が開いた】

789 :森崎名無しさん:2018/01/08(月) 16:27:05 ID:???
>鈴仙「(もしも昔聞いた噂が本当だとしたら、魅魔さんの実力は、先の全幻想郷選抜大会で戦った魔理沙以上。
     もしかしたら、リオカップで戦った、ストラットや妖夢と比べても同格以上の選手って事になるけど……!?)」

ストラットと妖夢を同格に並べられると んん?ってなるんだがw

790 :森崎名無しさん:2018/01/08(月) 18:54:45 ID:???
失明してるってことは
狂気の瞳スキルだけじゃなくて
各種必殺技の態勢崩しも発動しないと考えるべきか?

791 :森崎名無しさん:2018/01/08(月) 20:36:13 ID:???
遅くなりましたが乙でした。

【目は見えぬが】鈴仙奮闘記42【前は闇ならず】
【闇の先の】鈴仙奮闘記42【光明】
【希望は】鈴仙奮闘記42【魔界より】

792 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2018/01/09(火) 00:09:38 ID:???
更新再開します。文章パートがまた嵩んでしまいました…
>>787
参加とスレタイの提案ありがとうございます!
>>788
スレタイの提案ありがとうございます!
>>789
能力値的には妖夢>ストラットなので、本来ストラットの方が格下な筈なんですが、逆に思えますね……(汗)
>>791
乙とスレタイの提案ありがとうございます!

793 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2018/01/09(火) 00:12:18 ID:???
>>790
今回封印となるのは狂気の瞳スキルだけとして、必殺シュートについては弱化対象にしない方向です。
あまり弱くなりすぎると、今度は鈴仙がスタメン落ちしてしまいかねないので…。
ただ、バランスについては直前まで検討したい為、変更の可能性はあります。

794 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2018/01/09(火) 00:13:36 ID:???
A:「私達の乗った列車は、途中下車できない。何があろうと、道を切り開いて進み続けましょう!」

鈴仙「――私達の乗った列車は、途中下車できない。何があろうと、道を切り開いて進み続けましょう!」

鈴仙は、自らを奮い立たせながら、こう言い切った。
しかし勿論、仲間達はそう言った鈴仙の内心は良く分かっている。

さとり「……鈴仙さん。別に無理はしなくとも良いんですよ。
    私は戦いたいと思っていますし、それを、貴女に強制するつもりはありませんから」

文字通り心を読む能力を持つさとりは、鈴仙の内心に潜む大きな不安を理解しているが故に、そう優しく告げる。

てゐ「……本当にバカだよ、鈴仙。今の自分がボロボロなのにも気づいていないんだ。
   そりゃあ、私だってこのままじゃ悔しいし、もっとこのチームで戦いたい気持ちはあるけどさ。
   それでも、鈴仙が無理しっぱなしじゃ、何の意味なんて無いのに」

能力など無くとも以心伝心の相棒であるてゐもまた、鈴仙のその悲痛さすら感じる決意に異を唱えた。
鈴仙はそんな彼女達の想いを充分に汲んだ上で――、

鈴仙「…………誤解しないで。確かに不安な気持ちは本当だし、お家に帰って休みたい気持ちだってある。
    でも、私は……それでも。このまま、逃げたくはないの。ただ、それだけよ」

繰り返し、そう思いを告げた。

佳歩「鈴仙、さま……」

つかさ「お言葉ですが……!」

鈴仙の言葉を肯定的に捉えて俯いた佳歩に対し、試合中以外は慎み深い性格のつかさは、声を荒げて反論した。

795 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2018/01/09(火) 00:15:24 ID:???
つかさ「――鈴仙さまはこれまでも自らの為に。私達の為に、充分に戦いました。
     その中で、負った傷を癒す事すらせずに、破滅するまで戦い続ける事が、本当に正しいのですか……!?」

鈴仙の決意を咎める者は、つかさだけでは無かった。

慧音「私も同感だ。鈴仙。もし君がここで戦いを止め、永遠亭で療養に入ったところで、それを逃げだと受け止める者は、
    このチームの何処にもいない。それに、もしも外で君を脱走兵扱いする者が居たとしたら――。
    その時は、この私がそいつらをなかったことにしてやる」

パチュリー「私達の乗った列車は、途中下車は出来ない。人は皆、それぞれに敷かれた運命という名のレールに従い、
        前に進み続ける事しかできないのだから――。だけど生憎、私も貴女も人じゃないもの。
        列車のガラスを割って、無理やり外に出ても良いし、何なら制御室に潜り込んで、エンジンを停止させてもいい。
        その意志は素晴らしいけれど、ただの無鉄砲であるならば。私は貴女のマスターとして、無理矢理に途中下車して貰うわ」

チームメイトの中でも特に賢く合理的な二人は、鈴仙の非合理的な行動原理を必ずしも肯定的には捉えない。

星「……鈴仙。私も、出来る事なら貴女の光となり、貴女が望む限り、最後まで共に戦い続けたい。
  かつて貴女が、ヒューガーにより困窮した私達を救ってくれた時と同じように。
  ですが、もしも貴女が望まないならば――その時は、私もまた、共に戦いから身を退こうと思っています」

彼女達の正論を前にして、再び場が膠着するよりも先に、星は鈴仙の意思を再度確認するのだが――。

鈴仙「………(あれ? 私……今、そんなに、不安じゃないかも)」

――その時だった。鈴仙が、自分自身の精神が、更なるステージへと進んだのだと自覚したのは。
仲間達の暖かさに触れて、冷静な諫言に触れて、ごちゃごちゃとしていた自分の脳内がクリアになる。

鈴仙「(やっぱり。私は……戦いたいんだ。諦めたくないんだ……!)」

その思いは、かつての自分なら絶対に抱かなかった、ストイックながら純粋な感情。
中山との、パスカルとの出会いから1年を前にして。鈴仙は自分自身が大きく変わっている事をここに自覚できた。

796 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2018/01/09(火) 00:16:34 ID:???
鈴仙「(これまでは。私は”がんばって”、”無理をして”、中山さんみたいになろうと思ってた。
    強い選手として、キャプテンとして、皆を引っ張っていく必要があると思ってた。
    でも……今の私って、そんなに、無理してないや)」

不安が全く消えた訳では無い。ただ、それ以上に戦いたい、道を切り開きたい気持ちが強いだけだった。

さとり「(……! 鈴仙さんの思考が、変わった……? いや、これは違う。本来の感情が表出したと言うべきか……)」

好都合な事に、そんな鈴仙の想いを寸分違わず認識し理解できる者も傍にいた。
心を読める覚妖怪のさとりは、鈴仙が表出させた強い感情を前に、驚きを隠せない。

てゐ「……(鈴仙。あのプライドだけはいっちょ前で、泣き虫でヘタレだった奴が、こんな顔するなんてなァ)」

いや。 覚妖怪でなくとも、分かっていた。今の鈴仙は、決して単なるハッタリやカラ元気で、
こんな前向きな発言をしているのではない、と。鍛えられた強靭な精神に基づき、そう断言しているのだ……と。
だからこそ、当初は鈴仙の発言に反発していた者達も、次第にその矛を収めていき――。

パチュリー「……あんたが単なるやすっちい自己犠牲精神や、単純なヒロイン願望でそう言ってる訳じゃないってのは、
        もう充分分かったわ。分かった。私もあんたがそう言うなら、止めない。
        でも、……無理は禁物よ。なんせ、全盲の選手が晴眼者と混じってサッカーをするなんて、
        これまで見たどの文献にも無いんだからさ。何があっても、知らないわよ」

弟子を想う気持ちがある故か、最後まで鈴仙の参戦に反対していたパチュリーもとうとう折れる。

静葉「……相変わらず鈴仙は凄いわね。本当に、強い子になったわ」

にとり「(目が見えないのにサッカーするなんて狂気の沙汰だけど……。
     でも、そんな事が出来るんだったら、どてっぱらに穴が空いたとしても、何とかなる気がしてきた)」

アリスさん「(こ、このままオドオドしてたら、鈴仙に置いて行かれちゃうわ! そうなると私のトモダチ100人計画が……!?)」

ナズーリン「鈴仙。……君は実に馬鹿だよ。あまりに馬鹿すぎるから……様子を見続けないと心配だ」

797 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2018/01/09(火) 00:17:39 ID:???
また、かつてないハンディキャップを抱きながらも、純粋な闘志を滾らせる鈴仙を前にして、
戦意を喪失しかけていた仲間達も、次なる戦いについて各々思いを馳せる程の余裕を取り戻していた。

コーチ「――さて。これで決まりじゃの」

……紆余曲折がありながらも、再びチームとして魔界カップを戦い抜く事を決意した鈴仙達。
後ろで黙って話を聞いていた、コリンチャンスのコーチは軽く場を総括すると、

コーチ「……で。お主ら。これからどうするつもりじゃゾイ?
     魔界カップ……とやらに出るのは良いとして。それまでの宿は?
     そもそも魔界ってどこにあるんじゃ? 勿論、ワシゃ知ーらんぞ」

鈴仙「……う」

――これまで敢えて議題に挙げなかった、魔界カップまでの日々をどう過ごすか。
また、この世界とは別の異界である魔界への交通手段はどうするのか……という、
より現実的な課題を提示した。

てゐ「うーん。こういう時こそ、スキマ妖怪――八雲紫みたいな便利な能力持ちが居ればいいのになぁ」

穣子「だよねぇ〜。なんか私も、前々前世は紫さんが運転するバスで、
    フランスやらブラジルやら旅行してた気がするよ」

反町「(どんな便利屋なんだ、八雲紫って言う妖怪は……?)」

幻想郷の管理者達や、それに対立する『プロジェクト・カウンターハクレイ』からも離れた今の鈴仙達は、
完全にアウトローな存在である。故に、自分達以外に資金面・管理面でチームをサポートしてくれる人物は居ない。

お燐「はぁ〜あ。さとり様、ここは地霊殿の主人らしく、ポンっとキャッシュで1億置いたりとかできないんですか?」

さとり「無理ね。地霊殿の管理は、旧都を取り仕切る星熊勇儀さん――本人は全幻想郷代表に選抜されて不在だから、
    部下の鬼族達に委任してあるのだけれど、連絡を取る手段が無いもの」

798 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2018/01/09(火) 00:18:50 ID:???
鈴仙達の中で、幻想郷の有力者とも言えるのは、古明地さとり位しか居ないのだが、彼女も即座に現金を用意できる訳ではない。
また、仮に現金があったところで、彼女には境界を操り空間を繋ぐような、便利な能力は持ち合わせていない。
――しかし、この金銭と交通面という切実な諸問題については、意外と簡単に解決しそうだった。

星「そこについては、私達――私と、ナズーリンと、にとりさんの、メキシコ派遣組に準備があります」

星が颯爽と自信に満ちた様子で、そう断言してくれたからだ。

鈴仙「……星。本当なの?」

ナズーリン「あまりにご都合主義で悪いけれど、ご主人の言っている事は本当だよ」

にとり「私の技術力も役に立ってるんだよ! いやぁ、やっぱり時代は文系よりも理系だよねぇ」

そして、星の自信を裏付けるかのように、彼女とメキシコでの修行を共にした二人が頷いている。

星「まず、当面の資産について。詳細はまた、今後語りたいと思いますが……。
  私は、メキシコでちょっとした資産を築き上げました。
  私達が数か月の間サッカーに打ち込んでいても、問題なく生活できる程度のものです」

ナズーリン「メキシコは貧富の差が激しい。その中でサッカーを続ける手段として……。
        私達は、財宝を集めて発見する、自分達の能力を利用したという訳さ」

星もナズーリンも詳しくは語らない為、その資産を得る為にも後ろめたい事情があった事は、容易に想像できる。
しかし、彼女達の意思を汲んで、ここは追及するべきではないと鈴仙は思った。

星「次に、魔界へと至る為の交通手段ですが、……私は、これを持っています。
  もっとも、長年使われていなかった為、暫くの間の修理やメンテナンスは必要となるでしょうが……」

にとり「そこについては、この私が責任をもって監修してるから大丈夫、ってなワケさ。
    河童の発明王とも呼ばれる河城にとり様の監修だからね。期待してくれてて良いよ!」

799 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2018/01/09(火) 00:25:07 ID:???
逆ににとりの方は、何も考えずに胸を張り、皆に対して誇らしげに答える。
その表情を見るに、やはり彼女は技術者が向いているようだ。

鈴仙「財宝が集まるという天性の幸運と、それを見つける従者。
    魔界への移動手段と、それを修理点検できる技術者。……確かに、駒は揃っていたのね」

説明を聞いていく中で、鈴仙も改めて納得した。
鈴仙達は奇跡的にも、諸問題を解決する為の大きなピースを、最初から持ち合わせていたという訳だ。

星「ああ……。ただ、修理やメンテナンスは、機械的な面だけではありません。
  魔法的な術式が掛けられている部分もありますので……」

パチュリー「そこは私達が協力するわ。……良いわね、アリスさん」

アリスさん「……良いけれど。そこまで言うんだったら、教えて欲しいわね」

そんな折、補足的な協力を呼び掛ける傍らでアリスさんが当然の疑問を投げかけた。

アリスさん「幾ら財宝が集まるからと言って、貴女はただの寅の妖怪に過ぎない。
       そんな貴女に所縁があって、かつ、異界である魔界にも移動できるような。
       半ばオーパーツめいたマジックアイテムが、そう簡単にあるのかしら。
       ……協力するよりも先に、教えてくれない? それが、どんな代物なのか」

その質問は完全に興味から発せられているものらしく、口調に棘は無い。
故に、星も勿体ぶる事も覆い隠す事もなく、正直かつ素直に教えてくれた。

星「そうですね……。皆さんには先に、私達のアテが何であるか、お教えしましょうか。それは……」

明日への希望を語るかのように、星は仲間達に向けて晴れやかな表情で言った。

星「――『聖輦船《せいれんせん》』。かつて私が、魔界へと聖を救いに行くために乗った、空飛ぶ船です。
  私は、今一度この船を。……大空への翼を、復活させようと思っているのです」

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