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【新章】きれぼしサッカー3【突入!?】


[100]きれぼしサッカー ◆5qvYBJdbJQ :2015/10/11(日) 18:26:10 ID:PO3CBzys
お待たせいたしました、これより投稿を再開いたします。




あずみ「あら、アンタもそんな顔をするのね」

わざわざ腰を落として下から顔を眺めたり、立ち上がった後に横に回って横顔を舐めるように見回したりと、
珍しいものを観察しているといった風情で岬の周りをうろつくあずみに対し、
随分楽しそうだと言葉を返すのが、今の岬にはやっとであった。

あずみ「ええ面白いわ、こんな顔は見たことないから」 省24

[101]きれぼしサッカー ◆5qvYBJdbJQ :2015/10/11(日) 18:27:44 ID:PO3CBzys
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あずみ「お邪魔します、あ、ホントにいないんだ」
岬「そうだよ。父さんは絵画取引の関係者との打ち合わせで遅くなるって言ってたんだ」
あずみ「へえー、絵描きでもそんな面倒くさい事するの。それじゃ、シャワー借りるわね。襲っちゃダメよ」
岬「分かってるって、安心して浴びて。僕は後でいい
 (早いとこ父さんの「仕事」の痕跡を消しておかないと、あーあ、一杯散らかってるよ)」
省33

[102]きれぼしサッカー ◆5qvYBJdbJQ :2015/10/11(日) 18:29:40 ID:PO3CBzys
あずみ「気持ち良かったわ。お次にどうぞ」

とは言え、入浴後のあずみの姿も岬にとってかなりの刺激となった。
胸元から股上までをバスタオルで巻いただけ、それもさほどに大きいものでは無いため、
歩くたびにヒップまでバスタオルの縁がそよぎ、岬を困惑させてしまっていた。

岬「そんな恰好でよく平気でいられるね。心配とかしないの」

声に震えはなく表情も平静を保ったまま、明日の天気はどうだといった様に答えたのは
同年代の少年で岬でしかできなかっただろう。 省32

[103]きれぼしサッカー ◆5qvYBJdbJQ :2015/10/11(日) 18:32:43 ID:PO3CBzys
ようやくにして冷静になり、服も着替えて居間に戻ると、
隅に置かれたアップライトピアノの鍵鍵盤を開こうとしているあずみが見えた。
岬に気づいたあずみは他人の私物を扱っている事に頓着する事もなく、尋ねる。

あずみ「岬くん家にもピアノってあったんだ、ここに来る前はよく引越ししてたって聞いてたけど」
岬「ああ、あれは来客が来た時にお客さんへのおもてなしで使うんだよ」
あずみ「おもてなし?親の仕事を助けようっていうの?さすが岬くん、親孝行ねー」
省32

[104]きれぼしサッカー ◆5qvYBJdbJQ :2015/10/11(日) 18:34:28 ID:PO3CBzys
あずみ「お願い、ちょっとでいいから」
岬「あのねえ……」
あずみ「お願い、お願い、お願ーい!」

ニコニコとして懇願する女の子を見て、クラリとしかける岬。
こんなふうに異性の相手から頼み事をされて心が動かない男など、男ではないであろう。
だが岬には大望がある。
いずれは自分の知略と技能を存分に用いてサッカー界を一手に握ろうと夢見ている青年である。
それが自分と同い年の小娘に良いようにされたままに終わるなど、到底許されざることであった。
省44

[105]きれぼしサッカー ◆5qvYBJdbJQ :2015/10/11(日) 18:36:31 ID:PO3CBzys
岬「ま、シャワーのお礼と思って歌ってよ」
あずみ「お礼って、もう岬くんに出してるじゃない」

わずかに胸部を前に突き出しながら顔を軽く膨らませて顔を岬に近づける。
そうしたあずみを可愛いと思いながらも、ヤレヤレといった表情を浮かばせて、あずみに返事をする。

岬「僕はあずみちゃんを信じている。乙女で正直なあずみちゃんは、
  きちんと折り目正しく相手に借りを返してくれるってね」

際どい恰好ではお礼にならない。ちゃんと歌ってくれ。 省30

[106]きれぼしサッカー ◆5qvYBJdbJQ :2015/10/11(日) 18:44:19 ID:PO3CBzys
Tout m'entraine, irresistiblement vers toi comme avant
Tout m'enchaine, irresistiblement a toi je le sens
(すべてが私を引きずって行く、どうしようもなくあなたへと、今までどおり
すべてが私をつなぎとめる、どうしようもなくあなたに、私はそう感じる)


予想通り、あずみの歌は素晴らしかった。
最初の節こそ緊張でやや固かったものの、その後の歌は
のびのびとして一かけらの声詰まりもなく、かといって間延びした声にはならず 省29

[107]きれぼしサッカー ◆5qvYBJdbJQ :2015/10/11(日) 18:45:24 ID:PO3CBzys

今この場、霞ヶ丘陸上競技場で2点差の劣勢に追い込まれた岬太郎の中にも、
在りし日に演奏した名曲が再び響いていた。


Comme la joie revient apres les pleurs
(涙のあとに喜びが戻ってくるように)

岬「(そうだ、いつまでも押しつぶされたままなんて事があるものか)」

泥濘にそよ風が吹き込んできたように、岬の心に希望がそよぎはじめた。


Après l'hiver revient le temps des fleurs
(冬のあとに花の季節が戻ってくるように)
省6

[108]きれぼしサッカー ◆5qvYBJdbJQ :2015/10/11(日) 18:46:55 ID:PO3CBzys
Au moment où l'on croit que tout se meurt
(人が、すべては無くなってしまうと思っているその時に)

岬「(絶望から立ち上がれるのが人間だ。絶望を知る事が出来るのが人間だ)」

名曲からの法悦的な興奮からくる、一種の幻覚であったかもしれない。
実際、岬は考えていた訳ではなかった。


L'amour revient en grand vainqueur
(愛は勝利者となって戻ってくる)
省25

[109]きれぼしサッカー ◆5qvYBJdbJQ :2015/10/11(日) 18:49:23 ID:PO3CBzys
あずみ「な、な…なによ、今さら遅いわよ」

突然の豹変ぶりに驚きながらも、努めて冷淡に言葉を返す。
まるで憑き物がおちたかのように、かつての分け隔てない恋人同士の時のように
平明で温和、そして意志が宿った瞳に戸惑ったからだ。

あずみ「今度は何の手?改心したように見せかけたつもり?
それともパフォーマンスで混乱を誘う気かしら?」

自分でも違うと思いながら、毒々しく言葉を投げつける。
ダメだ。もう昔ではない、岬くんのした事は許される事ではないと。 省48

[110]森崎名無しさん:2015/10/11(日) 18:51:08 ID:???
★清算完了  クラブK



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