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【秋空模様の】鈴仙奮闘記36【仏蘭西人形】


[834]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2016/06/27(月) 00:40:45 ID:???
5人掛けのコンパートメントで、反町の隣に静葉は座っていた。
向こうには穣子がアリスさんと早苗の隣、反町とは斜め正面の位置で押し黙っている中。
――反町の『悩み事』を知る静葉は、穣子に悟られないような小さい声で、不意にこう囁いた。

静葉「この前の試合を思い出してみて。貴方は、貴方が思っている以上に力を持っている。
   それを正しく認識して使う事が出来るなら。……だから、自分自身を信じて。一樹君」

反町「静葉、さん……?」
省39

[835]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2016/06/27(月) 00:48:49 ID:efozeoc6
すみません、後半部分を書き直していたら今日中に終わらなかったので、続きはまた今度にします。
ただ、次のパートで反町の章は終わりにして、鈴仙の章に戻る予定です。
また、容量が500kbを越えたので、スレタイも募集させて頂きます。

【】鈴仙奮闘記37【】

の形で書いて提案して頂ければ大変嬉しいです。
次スレは、鈴仙の章に戻って、ザガロ達一行+一部スウェーデンメンバー(ブローリン等)が加わった、
サントス戦が中心になると思います。
省2

[836]森崎名無しさん:2016/06/27(月) 01:01:17 ID:???
【熱戦烈戦】鈴仙奮闘記37【超激戦】
【ブルーツ波】鈴仙奮闘記37【大放出】
【ポーピー】鈴仙奮闘記37【デデーン】
乙でした

[837]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2016/06/28(火) 00:44:47 ID:g5cRU4+s
>>836
乙とスレタイ提案ありがとうございます!
反町の章が結構重い感じになっちゃったので、
鈴仙の章Aは割と軽いノリで行きたいと思ってます。

[838]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2016/06/28(火) 00:46:08 ID:g5cRU4+s
早苗「さて……私は日本に向かいますので、ここで暫しのお別れですね。
   皆さんは確か、これからブラジルに行って、鈴仙さんのリオカップに合流するんでしたっけ?」

静葉「ええ。大会スケジュール的には大体2回戦……サントス戦が始まる前には合流する感じかしらね」

早苗「そうですかぁ。私はこれからあの変なTシャツコーチの変な特訓を受けると思うと、気が重くなりますよ」

アリス「ラズリーと名乗る謎の女コーチだったわね。……今の全幻想郷代表の様子は随分と興味深いわ。 省49

[839]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2016/06/28(火) 00:48:10 ID:???
律儀な早苗は、別れ際にメッセージを残してくれた。

早苗「アリスさん。貴女は不器用だけど、トモダチを想う心の熱さだけは本当に凄いと思いました。
   皆で笑顔で幻想郷に帰れた後も、きっとトモダチになって下さいね?」

アリス「さ、さあ。どうかしら。考えてあげるわ(わ、私にもようやく、ボール君以外のトモダチができた……?
     どうしよう。今まで散々トモダチ欲しいって言ってたけど、いざ本当にできそうだとちょっと怖い……)」
省35

[840]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2016/06/28(火) 00:54:20 ID:???
早苗は挨拶の代わりに、反町の頭をぺちんと叩いた。
本気で殴られた訳では無いので痛みはないが、それでも不意を突かれた事にびっくりして後ずさる。
そんな反町を見て、早苗は笑顔で、一言だけ言いたい事を言う事にした。

早苗「言いたい事を言わずとも、言葉は伝わる。貴方が教えてくれた事ですよ、反町君?」

早苗はこれまで反町の無言の言葉に感銘を受け、刺激され、そして教えられてきた。
神や妖怪では無く、同年代の少女だからこそ、早苗は反町に対して等身大のエールを送れた。 省46

[841]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2016/06/28(火) 00:55:35 ID:???
早苗が去り、静葉とアリスさんが自然と反町から離れたため、待合室は暫くの間、反町と穣子の二人きりになった。
沈黙が場を支配する中、口火を切ったのは穣子だった。

穣子「考えてくれたんだよね。色々と……」

反町は何も言わなかった。しかし、その無言はこれまでのような嫌な無言ではない。
彼はフランスでの修行で、言いたい事を言わずとも自分の意思を伝えられる術を身に着けていたのを、
静葉や早苗のお蔭で思い出していた。

反町「――――」

ぎゅっ……。
省26

[842]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2016/06/28(火) 00:56:42 ID:???
反町「……」

反町は首を横に振った。確かに、今の自分にはその為の方法は分からない。
だけど、自分達は一人じゃない。二人でも無い。
自分達には、一緒に悩んで、一緒に戦ってくれる仲間達がいる。
それを伝える為に、反町は続けて――。

反町「―――――」

スッ……。

穣子「え? 後ろ……?」

反町は、黙って後ろに向かって手を差し出した。その先には――。



ナポレオン「おいソリマチィ! さっさと抱いちまえー! 男だろー!」
省27

[843]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2016/06/28(火) 00:58:37 ID:???
……自分達には、仲間が居る。それも一人では無く、沢山の『トモダチ』が。
そして、何があろうとも、『トモダチ』の絆は決して無駄にはならない。
反町はそれを、フランスでの学校生活で。文化祭で。サッカーの試合で。
充分に学んで来たのを思い出していた。

反町「…………」

穣子「……うん。ゴメンね。私、忘れちゃってた」

……俺だって、早苗さんに引っ叩かれるまでは気付かなかったさ。
そんな情けない本音を敢えて隠し、反町は穣子を優しく抱き留めた。 省43

[844]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2016/06/28(火) 01:03:55 ID:???
穣子「……一樹君。ごめんね。……でも、ありがとうね。――ずっと、ずっと一緒だよ」

反町「…………」

泣きじゃくる穣子を、反町は力強く抱きしめた。
言いたい事を言わずとも、自分にはこの全身がある。魂がある。それだけで充分だと思った。

反町「(俺は……穣子さんが好きだ。でも、静葉さん、アリスさん、フランスで得た仲間、早苗さん。
     これから出会う皆との絆も大事にしたい。だったら、俺は……それを繋ぎとめられるような。そんな存在になる。 省50


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