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【不屈の心は】鈴仙奮闘記40【この胸に】
[468]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ
:2017/10/15(日) 20:36:55 ID:???
―――――――――――――――――――――――――――――――
―― ガ シ イ イ ッ !!
青娥(観客席)「……あら。凄い音がしましたわね」
慧音の、そして恐らくパチュリーまでの能力値が載っているであろうノートパソコンを閉じる。
実況「ああ〜〜っと! ここでパチュリー選手と慧音選手がバイタルエリア前で正面衝突!!
試合もクライマックスに差し掛かり、同点状態を打破せんと自ら突破を目指したパチュリー選手でしたが、
省54
[469]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ
:2017/10/15(日) 20:39:06 ID:???
パチュリー「………(慧音。貴女の思う事は確かに正しい。この先、世界の強豪チームを前にして、
単なる戦略や戦術だけでは、圧倒的な個に太刀打ちする事は不可能よ)」
慧音「……(パチュリー殿も、内心では分かっている筈だ。博麗の巫女や一部の大妖怪に勝つにも、
豊聡耳神子の陰謀に勝つにも、そして世界の強者達に勝つにも。結局は力が無くてはならない。
理論無き力が未熟であるならば。同様に、力無き理論もまた、未熟に過ぎない筈だ……!)」
省54
[470]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ
:2017/10/15(日) 20:40:18 ID:???
バァァァァッ……!
彼女は、渾身の個人技でボールクリアへと向かう。
それは間違いなく、世界を舞台としても輝けるスター級の威力。
もしも慧音がこの技を来たる大会で使えれば、間違いなく希望となれるだろう。
パチュリー「……私にはお生憎と、そこまでの志の高さは持っていないわ。
そもそも魔法使いとは孤独な求道者。そこに希望なんて、あってもなくても良い」
一方のパチュリーのプレイは、美しく鮮やかではあるものの、教科書的な丁寧さから脱し切れていない。
省37
[471]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ
:2017/10/15(日) 20:42:12 ID:???
クッ……グルンッ! ――ガシイイイイイッ!
慧音「!?」
パチュリーはここで、ベクトルを静から動へと一気に傾ける。
空中で急回転し、左脚を大きく伸ばして流星のように一薙ぎすると、慧音に僅かながらに先んじて。
見事に……ボールを、捉えてみせた。
パチュリー「賢者とは賢き者。智恵の光によって暗闇を照らし、自ら希望を定義し、弱者に示すべき者。
……私の希望は何か、ですって。上白沢慧音? その質問は前提が間違っているわね。何故なら――」
省54
[472]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ
:2017/10/15(日) 20:43:58 ID:???
――そこから先の展開は、簡単に語るのみで足りた。
個人技でボールを奪取したパチュリーは次に、司令塔としての技術を遺憾なく発揮。
相手の守備陣の穴を看破し切った上での的確な指示により、チームはギリギリで勝ち越し点を得る事に成功する。
無論、そこからパルマもシニョーリを軸に徹底抗戦の構えを見せるが――。
パチュリーが鍛えた集団戦術を前に、圧倒的な個は足止めを食らわせられる。
シニョーリ「ちっくしょー。このままじゃヨームに負けちまう! 最後にこれでも食らえッ!」
省54
[473]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ
:2017/10/15(日) 20:48:50 ID:???
*****
青娥(観客席)「そ、そんなー。パチュリーさんの能力値が、私の測定よりも一回りも高くなってるなんて……」
神子(観客席)「彼女は我々の諜報を警戒していた。出来る事なら、この試合で本気を出したくなかっただろう。
だからこそ、上白沢慧音の活躍は充分だったと言えるさ」
青娥(観客席)「ですけど……太子様は良いんですの? このままじゃ慧音さん、『プロジェクト・カウンターハクレイ』に
省70
[474]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ
:2017/10/15(日) 20:50:02 ID:???
青娥はスタジアムを去る前に――神子にも知られる事なく、邪悪な表情でこう独り言ちた。
青娥「……それと、そろそろ『プロジェクト・カウンターハクレイ』にも楔を打っておく必要がありますわね。
例えば……鈴仙・優曇華院・イナバ。一番厄介なあの子を消す、とか? うふふふ……っ!」
*****
また、第三極とは言えないが、この試合を見守るライバル達も多い。
小悪魔(観客席)「ふぅぅ……。パチュリー様、カッコ良かったです」
省31
[475]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ
:2017/10/15(日) 20:51:19 ID:???
*****
ジェンティーレ(観客席)「パチュリー、ケーネ、シニョーリ……ああ、畜生!
俺を含め、イタリアのアズーリ共はどうして決勝の舞台に上がって来れない!」
ヘルナンデス(観客席)「落ち着け、ジェンティーレ。俺達の実力を見せる場なら、幸いにも早々に示された。
戦いの主戦場はここじゃない。――半年後の『幻想スーパーJr.ユース大会』だろう」
省32
[476]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ
:2017/10/15(日) 20:52:43 ID:???
*****
慧音「(集団か個か。私はどちらを取るべきかで悩んで来たが。
――そうか。彼女にとっては両方取るのが当たり前で、悩むべき事でも何でも無かったんだな。
……流石は、あの傲慢で欲張りな吸血鬼の親友にして――魔法使いではなく、『賢者』を名乗るだけある)」
慧音は茫然としながらも、勝利に湧くチームを前に思う。
慧音「(パチュリー・ノーレッジ。彼女は……確かに、希望だ。
省29
[477]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ
:2017/10/15(日) 20:53:55 ID:???
賢者は希望の星であり、賢人は太陽を目指す。
両者は同じく空に輝くも、その性質は互いに異なる。
両者は同じく志を示すも、その性質から互いに争う。
しかし、両者の使命は互いに同じく、両者の力は互いに等しい。
故に、両者が同時に一人の愚者の掌に収まる時。
それは、巨大な希望の光となって、彼女を導くだろう。
省5
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0ch BBS 2007-01-24