キャプテン森崎 Vol. II 〜Super Morisaki!〜
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異邦人モリサキ
1 :
異邦人
◆ALIENo70zA
:2012/06/01(金) 00:31:21 ID:Hgnh9qno
本作は恋愛SLG『みつめてナイト』を基にした二次創作です。
騎士の時代が終わりつつある南欧は架空の小国、ドルファン王国。
戦火の迫るこの国に傭兵として降り立った東洋人、森崎有三の体験する
波乱万丈の三年間を描きます。
独自要素が強いため、外伝スレを経ずにスレを立てさせていただきました。
ご容赦下さいませ。
532 :
見てる人
◆S/MUyCtQBg
:2012/06/29(金) 21:32:14 ID:???
C ソフィアの前だし、大人の対応力を見せつけてやるぜ。
ピココールにて、危険は無さそうだし。ソフィア父の可能性あるし。
533 :
Q513
◆RZdXGG2sGw
:2012/06/29(金) 21:41:25 ID:???
みなさんと同じく、自分もたぶんソフィア父だと思ってるんですが、これでロベルトだったらどうしよう……
534 :
◆9OlIjdgJmY
:2012/06/29(金) 22:45:44 ID:???
C
ソフィア父ならどんな対応をしても角が立ちそうなので
一番ここまでの森崎らしい選択肢を。
535 :
異邦人
◆ALIENo70zA
:2012/06/30(土) 16:25:16 ID:???
皆様、ご回答ありがとうございます。
それでは早速、
>>523
の選択ですが……
>>526
さら ◆KYCgbi9lqI様の回答を採用させていただきます!
ピコのヒントに加えて、男が文句をつけている相手は森崎だけ、という点にも
鋭く突っ込んでいただきました。
こういうところを拾っていただけるのは嬉しい限りです。
CP3を進呈いたします。
また、ここはピンポイントでピココールを使っていただいた傍観者 ◆YtAW.M29KM様にも
見事なアシストということでCP1を進呈いたします。
それとルール上ではあまり想定していなかったのですが、コール権のみを使用されて
選択への回答自体は確認できなかった場合でもEP付与は行われることとします。
この件については後ほどルールを改定しておきます。
536 :
異邦人
◆ALIENo70zA
:2012/06/30(土) 16:26:19 ID:???
>>527-528
はい、すごく便利です。
困ったときにはどんどん彼女に頼って下さいね!
>>529
,531,533
この場面、強気に出ること自体は悪くない選択でした。
これまでに「ナメられないこと」を重視する場面が多ければ選ばれやすかったのですが。
ところで今気づいたのですが、ソフィア父の名前は……き、気のせいですね、きっとw
>>530
そうですね、何らかの見落としを防ぐ目的では非常に有効です。
一度起こってしまった過去は変えられませんので、転ばぬ先の杖として活用いただければと思います。
>>532
スリや暗殺者といった『犯罪者』ではありませんが、何しろ相手は酔っぱらいですので
どう出てくるのか常識ではなかなか推し測りにくいところがありますね。
>>534
そうですね、実際向こうから絡んできているので、丸く収めるのは難しそうです。
ちなみに四月以降は選択肢に「(礼法が上がります)」などのガイドアナウンスが付いていませんが、
実際にはモラル・礼法とも都度細かく変動していますので、人物称号も変化する可能性があります。
ここまでの森崎らしい行動が選ばれ続けた場合は、その方向性をより強調するかたちになるでしょう。
537 :
異邦人
◆ALIENo70zA
:2012/06/30(土) 16:27:21 ID:???
***
C 「おいおい、大丈夫か」思わず手を貸そうとする。
知らず手を差し出したのは、傷めた足を引きずるその男の姿を、どこかで
自らにもあり得る未来像として重ね合わせたからかもしれない。
だがそんな森崎の心情など、酔漢は知る由もなかった。
「……気安く触るんじゃぁ、ねぇ〜よ!」
差し伸べられた手を乱暴に払いのけた男は、どろりと濁った目で森崎を見ると
やにわに拳を握って殴りかかってきたのである。
538 :
異邦人
◆ALIENo70zA
:2012/06/30(土) 16:28:31 ID:nsWO32no
*チェック
体術判定
目標値【18】 → ! numnum
※ ! と numnum の間のスペースを消して数値を出して下さい。
難易度【酔漢の攻撃+不意打ち】−体術を目標値とし、目標値以上の値が出れば成功。
00が出た場合は難易度にかかわらず成功となります。
結果によって展開が分岐します。
成功→腰の入っていないパンチが森崎にヒットする。
失敗→森崎はひょい、と身をかわす。
539 :
ノータ
◆JvXQ17QPfo
:2012/06/30(土) 16:32:40 ID:???
目標値【18】 →
09
540 :
傍観者
◆YtAW.M29KM
:2012/06/30(土) 16:33:04 ID:???
目標値【18】 →
06
あー、選択をしなかったのは単純に「他の人と同じ事しかいえないから」でしたわ。
541 :
ノータ
◆JvXQ17QPfo
:2012/06/30(土) 16:36:36 ID:???
やべえ、CP3とEP5使いまーす
542 :
傍観者
◆YtAW.M29KM
:2012/06/30(土) 16:38:19 ID:???
…ん? 失敗のほうが「かわす」なの? 成功失敗は酔っ払い視点?
ということは、このまま失敗の方がいいの?
543 :
さら
◆KYCgbi9lqI
:2012/06/30(土) 16:42:33 ID:???
引き直しの時は宣言してから勝手に引くのかな?
544 :
源氏
◆rLDAH8Hy8Y
:2012/06/30(土) 18:02:39 ID:???
>>542
目標値の低さからして成功すると痛くも痒くもないパンチが森崎に当たるのでしょうね。
一方森崎がかわすと殴った方がそのまま前のめりになって頭から地面に突っ込むんじゃないかな
足が不自由な上に酔っているので余計な怪我をするかもしれない。
545 :
◆W1prVEUMOs
:2012/06/30(土) 18:28:42 ID:???
それは自分も思ったけど
こういう曖昧な時はGMに確認する前に引き直ししたら取り返しがつかなくなるね
546 :
異邦人
◆ALIENo70zA
:2012/06/30(土) 19:54:23 ID:???
遅れまして申し訳ありません。
それではここで裁定&回答タイムです。
結論から申し上げますと、今回は
>>539
および
>>541
が適用され、
>>539
にてノータ ◆JvXQ17QPfo様にEP1を進呈いたします。
その上で、CP/EP使用により数値に+10され結果は「成功」となります。
以下、ご質問にお答えいたします。
>>542
成功/失敗は常に主人公視点とお考えいただいて結構です。
今回の場合はズバリ
>>544
源氏 ◆rLDAH8Hy8Y様の仰るとおりで、
失敗の結果まで見事に言い当てていただいています!
>>543
numnumなどの数値でチェック・判定が入る場合はCP使用による
リドローの対象にはなりません。
あくまで数値の加減算のみが行えます。
なお、カード判定でリドローを行なっていただく場合は仰るとおり、
宣言と同時に引き直しをしていただいて結構です。
>>544
CPを進呈したくなるくらいにお見事な読みです!
>>545
はい、物語の内容ではなくシステム的な部分でご質問がある場合には
いつでもお気軽にどうぞ。
今回のように回答まで時間が空いてしまったり、その結果としてプレイヤー側に
不利となる可能性がある場合には、期限の延長や判定のやり直しも含めて
改めて検討させていただきます。
547 :
傍観者
◆YtAW.M29KM
:2012/06/30(土) 19:57:33 ID:???
>成功/失敗は常に主人公視点とお考えいただいて結構です。
了解、ご回答ありがとうございます。スレによっては敵側視点で良し悪しが出ることもあったので、そこが不安でした。
548 :
異邦人
◆ALIENo70zA
:2012/06/30(土) 20:08:16 ID:???
***
成功→腰の入っていないパンチが森崎にヒットする。
「何だぁ!?」
突然の攻撃に驚いた森崎が、咄嗟に身をかわそうとする。
へろへろと飛んでくる酔漢の拳を食らうような鍛え方はしていなかったが、
しかしそのとき森崎の目が捉えていたのは眼前の男の体勢である。
足腰の座らぬまま大振りのパンチを放った男は、完全に自らの腕に振り回されていた。
軸にしている左足がふらりとよろけ、しかし男の右足は明らかに異常をきたしている。
このまま身をかわしてしまえば、男は自分の体重を支えきれずに転倒するだろう。
泥酔し、片足もまともでないとなれば受身が取れるかどうかもわからない。
(―――チッ、仕方ねえな)
刹那の判断である。
ふらふらとブレながら迫り来る拳を、森崎は胸で受け止めるようにして男の転倒を防ぐのだった。
ごすん、と。
見た目よりは重い衝撃が森崎を襲ったが、しかし大したダメージにはならない。
「うおっと、っと、と……」
自らの危地を救われたとはつゆ知らず、男はふらふらと森崎から離れると壁にもたれかかる。
急に動いて目が回ったのか、こめかみを押さえたまま森崎を睨みつける男。
「……いくら何でもいきなり殴られる覚えはねえぞ、おっさん?」
549 :
異邦人
◆ALIENo70zA
:2012/06/30(土) 20:09:27 ID:???
そんな男に森崎が詰め寄ろうとした、その矢先、
「やめて! 何してるの、お父さん!」
「……!?」
少女の声が、森崎の動きを止めた。
壊れた人形のように、ぎぎ、と軋む音を立てながら振り返る。
「オ、オトウサン……なにィ!? この酔っぱら……いや、えーと……」
あまりにも急なことに混乱している森崎が言葉を探す間に、ソフィアは酔いどれへと駆け寄っている。
「お父さん! またこんな時間からお酒なんて……!」
「うるせぇ……。もうカネの心配はいらんだろぉがぁ……」
「……」
無精髭をもごもごと揺らす男の言葉に、ソフィアが黙る。
「それより、お前ぇ! お前だぁ、東洋人! なぁに、人を見下してやがんだぁ〜?」
「アンタが勝手に尻餅ついてんだろうがよ……」
「あァ!? ぶつくさ聞こえねぇ〜んだよ! 黒髪野郎ぉ!」
「……へいへい」
酔いどれの理不尽な言い様に、反論したところで仕方ないと気付いた森崎が
肩をすくめて口を閉ざす。
そんな森崎に、男がアルコール臭に満ちた吐息をふんだんにまき散らしながらがなり立てる。
「お前ぇ、ウチの娘ぇ……ソフィアを連れ回してるそうじゃねぇかぁ?」
「どこで、そんな……」
呟くソフィアに、男が答える。
550 :
異邦人
◆ALIENo70zA
:2012/06/30(土) 20:10:53 ID:???
「親切な人がぁ、教えてくれたんだぁ〜! おい、東洋人! これ以上ウチの娘にぃ、
近づくんじゃあ、ねぇ……! 変な噂を立てられでもしたらぁ、この子がぁ、傷つくんだぞぉ……?」
酒臭い息と共に、奇妙に呂律の回らない口調でまくし立てる男。
『……日も暮れる前から飲み歩いてる父親がくっついてる方が、よっぽど変な噂が立つんじゃないかな』
いつの間にか頭の後ろに降りてきていたらしいピコがボソリと呟くのへ、内心でよくやったと
拍手を送りながら森崎は神妙な表情を崩さないよう努力する。
そんなやり取りを知らないソフィアが、男をたしなめるように表情を険しくする。
「お父さん……!」
「お前も、お前だぁ……ジョアン君という、立派なぁ、フィアンセがいるんだぞぉ……?
それを、こんな東洋人風情とぉ……病気でも感染されたら、どう言い訳す―――」
「もうやめて!」
それは、ほとんど叫ぶような声だった。
森崎の聞いたことがない声を出し、見たことのない表情をしているソフィアが、そこにいた。
家族と呼べる者にしか見せ得ぬ、生の感情。
しん、と。
強制された沈黙が、その場に降りた。
最初に口を開いたのは、ひどく戸惑ったような顔をした酔漢である。
「……ソフィア、」
「すぐ、帰るから」
何かを言おうとした男の言葉を遮って、少女が首を振る。
551 :
異邦人
◆ALIENo70zA
:2012/06/30(土) 20:12:00 ID:???
「お父さんも家に戻って。お母さんが心配するわ」
「……。おい、東洋人」
突き放すようなソフィアの態度に、悄然と肩を落とした男が歩き出して二歩。
ぎろりと、森崎を睨んだ。
すっかり酔いの醒めた、しかし黄ばみ、充血して濁った目。
「今後、娘に近づいたら―――骨の二、三本は覚悟しろ」
それだけを言い残して、去っていく。
ずるり、ずるりと歩みに取り残されるような右足が石畳に擦れる音の、すっかり消えた頃。
ソフィアが、森崎の方を向かないまま、俯いて口を開く。
「……ごめんなさい。父が、不愉快なことばかり言って」
「いや……」
その声音の重苦しさに、森崎は咄嗟に言葉が出ない。
それでも何か場を取り繕おうと切っ掛けを探す森崎の機先を制するように、
ソフィアが続けていた。
「父は……ロバート・ロベリンゲは、昔は、立派な騎士だったんです。
今はあんな姿ですけど、私は……私は父を、尊敬しています」
それは、誰に向けた言葉だったのだろうか。
弁明にも謝罪にも届かず、さりとて告解とも寛恕を求める言葉ともつかぬ、宙ぶらりんの独白。
その意図を掴めずにいた森崎に、少女が俯いていた顔を上げると向き直り、改めて深く頭を下げた。
552 :
異邦人
◆ALIENo70zA
:2012/06/30(土) 20:13:17 ID:???
「すみません。父が心配しますので、これで失礼します。
……今日は、楽しかったです」
礼を言うその表情には、笑顔はない。
頬の赤みも、舞台の高揚も、ない。
沈黙と首肯とをもってただ見送るより他になかった森崎の見つめる先、
歩み去る少女の背を追うように、宵闇が街を包もうとしていた。
『少女と騎士』(了)
553 :
異邦人
◆ALIENo70zA
:2012/06/30(土) 20:14:45 ID:???
*D26.6
フレーバーテキスト
◎運河の遺体
夏の気配が漂い始めたドルファンには珍しく、どんよりと曇った朝のこと。
『ほらキミ、寝癖がついてるよ!』
「うるさいな……後でやるっての」
ピコを追い払うようにぞんざいに手を振った森崎が、食卓の前で熱心に何かを読んでいる。
粗悪な紙にびっしりと活字の並ぶそれは、新聞と呼ばれるものであった。
『ちょっと、ご飯食べるのかそれ読むのかどっちかにしなよ、お行儀悪いよ!
もう……これだけ田舎に来れば新聞なんてあるわけないと思ってたのに、
変なところはスィーズランドを見習っちゃうんだから』
ため息混じりの小言は森崎の耳を素通りしていく。
「セリナ運河に身元不明の水死体……か」
『うええ……ドザエモンは嫌だねえ。ていうか、それわざとあたしに聞こえるように言ってない?』
「遺体は腐敗と白骨化が進んでおり、死後数ヶ月は経過しているものと思われる……とよ。
よかったな、土左衛門なんて通り越してグロいやつみたいだぜ」
『もう、意地悪だなキミは!』
「蝿なんかもそりゃもうわんさか……」
『わーっ! わーっ!』
554 :
異邦人
◆ALIENo70zA
:2012/06/30(土) 20:15:58 ID:???
それ以上の言葉が聞こえないように大声を出したピコが、小さな拳を固めてぱかぱかと森崎の頭を叩く。
「痛っ! わ、わかった、俺が悪かった!」
『もう! 次にやったら絶交だからね!』
言ったきり、ぷいと顔を背けると姿を消してしまうピコ。
残された森崎は小さく肩をすくめると、テーブルに置かれたカップから温いエールを啜るのだった。
***
数日後。
この季節には珍しい雨がドルファンの石畳をほんの少しだけ湿らせた翌日、
いつものように新聞に目を通していた森崎が思わず声を上げた。
「身元不明の遺体は行方不明の神父……だと?」
『何、なに?』
ふわふわと飛んできたピコが森崎の頭の上にちょこんと腰掛けて、新聞の紙面を覗き込む。
『十八日にセリナ運河で発見された身元不明の遺体は……』
「以前より行方が解らなくなっていたアイン・カラベラル神父である事が、関係者の証言により
明らかになった。カラベラル神父は四月三日、自宅を出た後に行方不明になっていた……か」
『こないだのドザエモンか……』
「……」
頭上の声にじとりと湿り気を感じた森崎が、反射的に新聞を放り出して頭を守ろうとする。
555 :
異邦人
◆ALIENo70zA
:2012/06/30(土) 20:16:59 ID:???
『あはは、もう怒ってないよ』
「……そりゃ助かるぜ」
『でもさ、これって事件? それとも事故?』
ほっと胸をなで下ろした森崎に、ピコが尋ねてくる。
「さあな……記事もそこまで書いてねえ。区警……地区警備隊がどう考えてるのかは何ともな」
『神父様じゃ、酔っ払って足を踏み外す……なんてこともないだろうしねえ』
「明和の大虎みてえな神父も、中にはいるかもしれんがな」
『葡萄酒は神の血じゃ〜、もっと持ってこんか〜い! って?』
遥か遠い故郷の有名人を真似てみせるピコの仕草に、森崎が口の端を上げる。
「……しかし、そうなると今の神父は俺らと同じような時期にこの街に来たってことになるのか」
『あの針金みたいな神父様だね』
「……」
その場にいるだけで周囲の温度を下げるような、独特の存在感を思い返した森崎が
ぶるりと大きく身を震わせた。
「あいつ、ここに来る前はどこにいたんだろうな」
『神父様のことをアイツとか言わない! いくらキミの信じる神様と違っててもね。
……でも、そうだね。なんか怖かったし、きっと寒いところだよ。北の方』
「何でだよ」
『北の人はだいたい、おっきくて怖いんだよ』
「お前、そりゃ偏見ってもんじゃねえのか……。だいたいあの神父、どう見てもトルキア人だろ」
『じゃあ北の方のトルキア人だよ!』
「無茶苦茶言うな……」
力説するピコを白い目で見る森崎。
その朝の話題は、そんな風にして日常に紛れていくのだった。
556 :
異邦人
◆ALIENo70zA
:2012/06/30(土) 20:18:55 ID:???
*D26.6 「気のいいリーダー」森崎有三
訓練選択
「貴様らも知っての通り、ヴァルファは我がドルファンおよび元雇用主のプロキア、
その両面に対し宣戦を布告してきた! 全欧最強の余裕というやつか? 違う!
我々がナメられきっているということだ!」
響き渡るヤングの大音声は、いつにも増して大きい。
漲る気合いの表れであった。
「王室会議の腑抜けどもは今月末まで撤収期限を設けるなどと呑気なことを抜かしてやがるが、
それでカタがつくならあの赤備え共はハナっからこんな面倒を起こさん!
我が国は近いうちに必ず……早ければ来月早々にもダナンへと派兵することになるだろう!」
告げられる命の期限に、居並ぶ傭兵たちにざわりと動揺が走る。
それを押さえるように、ヤングが力強く言葉を継いだ。
「貴様らの役目は何だ!? 骨抜きの騎士団に代わって全欧最強をぶちのめすことだ!
血のションベンが枯れ果てるまでしごいてやるからそのつもりでいろ!」
557 :
異邦人
◆ALIENo70zA
:2012/06/30(土) 20:21:21 ID:nsWO32no
***
*訓練選択
「気のいいリーダー」森崎有三
ガッツ70 評価10
『今月は何をするの?』
剣術・馬術・体術・魅力・礼法・墓守・休憩の中から『二種類』選んで下さい。
同じ訓練を二つ選んでも構いません。
その際【選択理由】を必ず付記していただくようお願い致します。
期限は『7/1 21:00』です。
***
実は作中の時代には成瀬川土左衛門は生まれてもいません。
といったところで、本日の更新はこれまでとさせていただきます。
本日もお付き合い、ありがとうございました。
それではまた、次回更新にて。
558 :
見てる人
◆S/MUyCtQBg
:2012/06/30(土) 21:04:52 ID:???
剣術・馬術
体術と魅力は、ある程度成功させたので。少しこちらも鍛えておきたい。
559 :
さら
◆KYCgbi9lqI
:2012/06/30(土) 21:10:56 ID:???
体術 剣術
体術が得意ってのを武器にしたいですね。剣術は攻撃力が全く上がってないってのは少し不安なので。
560 :
Q513
◆RZdXGG2sGw
:2012/07/01(日) 06:31:43 ID:???
休憩・休憩
来月早々にも派兵、でしょ?1回の訓練で20減るし、ガッツをもっておいた方がいいと思う
561 :
◆W1prVEUMOs
:2012/07/01(日) 13:23:09 ID:???
剣術・休憩
今度は攻撃スキルが欲しいのと派兵に備えて休憩
テンプレ読む限り戦争パートでガッツが関係するのは一騎討ちだけなので休憩×2するほどでもないかなと
562 :
◆9OlIjdgJmY
:2012/07/01(日) 17:20:57 ID:???
剣術・休憩
突発的に喧嘩を売られる可能性もありますし
戦争を抜きにしてもガッツが50以下になるのは怖いので休憩します。
後は攻撃力上昇&あわよくば攻撃系スキル獲得を目指し剣術を。
563 :
異邦人
◆ALIENo70zA
:2012/07/03(火) 00:16:11 ID:???
皆様、ご回答ありがとうございます。
それでは早速、
>>557
の選択については……
>>561
◆W1prVEUMOs様、および
>>562
◆9OlIjdgJmY様の回答を採用させていただきます!
お二人ともほぼ同様の育成方針でしたが、休憩への姿勢は対照的とも言えますね。
戦争パートでのガッツ消費が一騎討ちだけなのも、突発的にイベントが発生するのもその通りです。
GMから言えるのは、入院してしまうと色々なことがいきなり苦しくなるかも…ということですね。
勿論シナリオ構成も苦しくなりますので、可能な限り避けるようにして下さると助かりますw
お二人にはそれぞれCP3を進呈いたします。
>>558
訓練2回で残りガッツ30となるのは、実はかなり危険なラインです。
その月のメインイベント次第という部分はあるものの、黄色を通り越して赤信号と考えていただければ。
計算上は楽勝できるはずだったビリーに20ダメージもらった実績もありますので…。
>>559
そうですね。攻撃力は初期状態ですから、ここでしっかり鍛えていきたいところです。
体術がホームグラウンドというキャラ付けも面白いですね。
>>560
戦争パートはメインイベント扱いなので、(リアルな時系列にはちょっと目をつぶってもらって)
訓練パートを消化した後に出撃となります。
いきなり戦争でどうにもならず詰み…という状態を回避するための救済措置ですが、
休憩一回の回復量をご覧いただいて、来月の戦略を練っていただければと思います。
564 :
異邦人
◆ALIENo70zA
:2012/07/03(火) 00:17:26 ID:MmjyUQVY
*訓練ダイス
※訓練は前後半に分かれていますが、休憩が選ばれた今月は前半だけとなっています。
★マークごとにお一人づつ、!と numnumの間のスペースを消してダイスを引いてください。
目標値【50】に対しプラスマイナス30以内で成功、プラス31以上で大成功、マイナス31以下で失敗となります。
大成功時は成果が1.5倍、失敗時は0.5倍となります。
★
前半(剣術)1
! numnum + ! numnum + ! numnum =
★
前半(剣術)2
! numnum + ! numnum + ! numnum =
★
565 :
傍観者
◆YtAW.M29KM
:2012/07/03(火) 00:19:12 ID:???
前半(剣術)1
07
+
66
+
13
=
566 :
源氏
◆rLDAH8Hy8Y
:2012/07/03(火) 00:21:07 ID:???
★
前半(剣術)2
97
+
77
+
28
=
567 :
傍観者
◆YtAW.M29KM
:2012/07/03(火) 00:21:35 ID:???
あちゃ、こりゃ酷い。cp3とEP5を使って、せめて13を23にします。
568 :
源氏
◆rLDAH8Hy8Y
:2012/07/03(火) 00:27:55 ID:???
CPを使うの初めてなのでこれで良いのか分かりませんが
>>566
の二番目にCP3を使用して77に+5で82にすると大成功に出来るのかな?
合っていたらCP3使用でお願いします。
569 :
異邦人
◆ALIENo70zA
:2012/07/03(火) 00:32:00 ID:???
>>567
,568
はい、両宣言とも承りました。
570 :
異邦人
◆ALIENo70zA
:2012/07/03(火) 02:01:33 ID:???
***
皆様、ご回答ありがとうございます。
それぞれEP1を進呈いたします。
*訓練結果
前半(剣術)1
07 + 66 + 13(+10) = 成功2 失敗1
前半(剣術)2
97 + 77(+5) + 28 = 大成功2 成功1
→大成功2 成功3 失敗1
571 :
異邦人
◆ALIENo70zA
:2012/07/03(火) 02:02:34 ID:???
//剣術訓練
「百九十一、百九十二、百九十三―――」
汗の臭いと熱気の充満する屋内訓練場に谺するのは、数をかぞえる声である。
ぶうん、と風を切る音が響くたび、その数は増えていく。
「……うへえ。モリサキのヤツ、気合入ってるなー」
「出撃が近いという緊張感の現れだ、お前も見習え」
遠くからはそんな仲間たちの声が聞こえる。
しかし、剣を振るう森崎の精神はそれほど研ぎ澄まされているわけではない。
むしろその内心は焦りに乱れ始めていたのである。
走り、投げられ、悪夢の如き筋肉痛と戦い続ける内に身体は少しづつ元の通り動くようになってきた。
しかし剣の勘はまだまだ戻っているとは言い難い。
これで戦えるのか、幾多の敵と刃を交え、いくさ場から生きて戻れるのか。
焦りは迷いを生み、迷いは剣筋を鈍らせ、鈍った剣筋がまた焦りを呼ぶ。
そんな悪循環から目を逸らすように、森崎は闇雲に剣を振るっていたのである。
腕が軋む。肩が痛む。背筋が引き攣る。しかしそれ以上に、胸の奥に澱む何かが、重かった。
「―――そこまでだ、モリサキ」
数が三百を超えた頃、彼を止めたのは鋭く重い声。
主任教官、ヤング・マジョラムであった。
572 :
異邦人
◆ALIENo70zA
:2012/07/03(火) 02:03:36 ID:???
「……」
「そこまでだ、と言っている。これは命令だ」
ちらりと目線を動かしただけで再び素振りを再開しようとした森崎を、ヤングが重ねて止める。
「邪魔すんなよ、ヤングのおっさん。……ほら、おっさん呼ばわりしたぜ。
懲罰でもう三百ばかし追加だ、文句はねえだろ」
「お、おいモリサキ……」
「少しは口を慎め、相手は上官だぞ」
「構わん、フロレンシオ、コンセイソン。貴様らは自分の訓練に戻れ」
険悪な空気に、さすがに割って入ろうとするネイとトニーニョ。
それを制したヤングが、大きくため息をついて森崎を見やる。
「そんなに懲罰が食らいたいか」
「ああ、地獄の特訓とやらをお待ち申し上げてるぜ」
「そうか」
頷いたヤングが、その大きく傷の入った左目だけを見開いて、森崎に命じた。
「……モリサキ。貴様に謹慎を命じる」
「な……なにィ!?」
思わず絶句する森崎に、ヤングはすぐに背を向けて歩き出そうとする。
「話はそれだけだ。分かったら宿舎に戻れ。メシは部屋に届けさせる」
「な……おい、待てよ! 待てって、おっさん! 何で謹慎なんだよ! ふざけんな!」
「馬鹿者! やめろモリサキ!」
「お前、何しようとしてるのか分かってんのか!」
「さすがに剣持って上官にバックアタックは、ちょっとシャレになんないよ〜」
573 :
異邦人
◆ALIENo70zA
:2012/07/03(火) 02:04:54 ID:???
詰め寄る森崎を、今度は傭兵たちが身をもって止める。
そうしなければ何をしでかすかわからない、それほどの剣幕であった。
(畜生……もう少しで何かが掴めそうだったのに……! 畜生……!)
数人がかりで取り押さえられながら、森崎は歯噛みするのだった。
※剣術が上がりました。
ガッツが20下がりました。
//休憩
「クソッ……復隊は明日だと!? 身体がなまりきっちまうぜ、あの傷モノ野郎!」
『……ようやく悪態をつく元気は戻ってきたみたいだね』
森崎の声の他には物音一つしない部屋の中で、ピコがふわふわと退屈そうに舞いながら言う。
「俺は最初から元気だぜ。そうでないように見えたなら、剣を振れないからかもな」
『よく言うよ。謹慎って言われたその日はベッドに倒れて動けなかったじゃない。
無理しすぎたっていい結果は生まれないよ』
「チッ……このせいでくたばったら、あの野郎の枕元に化けて出てやるぜ」
『じゃ、このおかげで生き延びられたら教官には死ぬほど感謝しないとね』
営倉にぶち込まれないだけでもありがたいと思え、と告げたヤングの差配で
愛剣から遠ざけられてはや一週間。
酷使しすぎた身体と精神を休めた森崎が、再び鍛錬の日々に戻ろうとしている。
※ガッツが100回復しました。
******
574 :
異邦人
◆ALIENo70zA
:2012/07/03(火) 02:05:54 ID:???
*D26.6
訓練所イベント
「―――貴様らが外国人傭兵か! なるほど、聞きしに勝るとはこのことだ。
あまりに貧相で、俺としたことが不覚にも驚かされたわ!」
そんな声と共に下卑た笑い声が響いたのは、森崎が復隊した数日後の昼下がりである。
何だなんだ、と耳目を集めたのは一人の男だった。
晴天の下にぎらぎらと輝く白銀の板金鎧。
初夏の太陽に照らされて陽炎すら揺らめかせるその表面には精緻な獅子の彫刻が刻まれ、
瞳の部分にはご丁寧に象嵌すら施されている。
「……自由騎士か」
ジョアン・エリータスの凍り付くような殺気どころか、港で対峙した棒使いにも遠く及ばないであろう
気構えのない顔つきを一目見るなり、関わるのも馬鹿馬鹿しいとばかりに踵を返そうとする森崎。
そういえば午前中には遠くでまた馬上槍試合の大会が開かれていた気がする。
参加者や従卒は三々五々解散したようだったが、まだ残っていた物好きな、あるいは暇を持て余した者が
傭兵たちの訓練する一画にふらりと立ち寄ったようだった。
『放っといていいの?』
「金持ちの洟垂れ相手にしてる暇なんざねえよ。こちとら遅れを取り返さなきゃならないんだぜ」
『ま、それもそうだね……って、何か騒いでるよ?』
ピコの言う方へと目をやれば、その中心にはやはり無闇にぎらぎらと輝く鎧姿がある。
小脇に兜を抱えた男が、座り込んだ傭兵の一団に近づくと、あからさまな侮蔑を込めて何かを言ったようだった。
ざわり、と空気が変わる。
言われた男たちの目が次第に据わっていくのが、遠目からもわかった。
貧乏人、だの、捨て駒、だのといった単語が、風に運ばれて切れ切れに聞こえた。
575 :
異邦人
◆ALIENo70zA
:2012/07/03(火) 02:07:03 ID:???
『ちょっと、雰囲気よくないね』
「……面倒なことになりそうだな」
男たちが、目配せをし始める。
白銀の鎧の男はまるで気付いた風もない。
森崎からも離れた場所にたむろしていた男たちが、座り込んだ一団を、ひいては白銀の鎧の男を
遠巻きに囲むように、しかし目立たないように少しずつ動き出していた。
鎧の男は、それでも気付かない。
もう少しで包囲が完成し、人垣が周囲からその一団を隠すことに成功しようとしていた、そのとき。
「やめましょうよ〜、ねえ」
輪の中に飛び込んで気の抜けた声を上げる男がいた。
「……ネイ!? あいつ、何やって……」
森崎の驚く間もあればこそ、褐色の肌の優男はヘラヘラとおどけたように笑顔を浮かべながら、
鎧の男に近づいていく。
周囲の傭兵たちが呆気にとられる中、
「ね、旦那。いつまでもこんな辛気臭い野郎どもを見てたって面白かぁないでしょ?
ささ、少しは退屈も紛れたところで、お帰りはあちらですよ、っと」
身振りを交えながらそんなことを言うネイの、褐色の手が白銀の鎧に触れた、瞬間。
576 :
異邦人
◆ALIENo70zA
:2012/07/03(火) 02:08:30 ID:MmjyUQVY
「……ッ!」
ぱしん、と。
白銀の手甲に包まれた、鉄の拳が。
ネイの手を、乱暴に払った。
「気安く触るな! 折角の鎧が汚れるわ、西洋圏の―――」
愚かな男は気付いていなかった。
「―――『奴隷上がり』が!」
それが、取り返しのつかない一言であることに。
*選択
A 割って入ろうとする
B 殴り飛ばす
森崎の行動としてどれか一つを選択して下さい。
その際【行動理由】を必ず付記していただくようお願いいたします。
期限は『7/3 23:00』です。
577 :
異邦人
◆ALIENo70zA
:2012/07/03(火) 02:11:45 ID:???
******
ちなみに先述通り、この世界での「西洋圏」とは新大陸を指します。
ややこっしいんですが、そこは原作の用語をそのまま使用しております。
といったところで、本日の更新はこれまでとさせていただきます。
夜遅くまでのお付き合い、ありがとうございました。
それではまた、次回更新にて。
578 :
さら
◆KYCgbi9lqI
:2012/07/03(火) 09:19:29 ID:???
【ピココール】
この自由騎士を、殴った場合この塲が収まると思うか?
それともこれをきっかけにコイツを皆でリンチしてしまうと言うことは有り得るだろうか?
579 :
ピコ
◆ALIENo70zA
:2012/07/03(火) 10:07:18 ID:MmjyUQVY
>>578
ていうかもう、剣とか抜いちゃってる血の気の多いのがいるみたいだよ……。
こうなっちゃうとお上品な態度じゃ逆にどっちも引っ込みがつかないかも。
この後のことは……うーん、何だか寒気がするよ。
リンチとか、そんなにヒドいことにはならないって気もするけど……何だろ?
遠くの方から、冷た〜い風が吹いてくるみたいな……。
580 :
さら
◆KYCgbi9lqI
:2012/07/03(火) 15:24:55 ID:???
Bピコのアドバイスを聞いてAでは中途半端ではないかなと思います。
ならば殴るしかないですね。自由騎士もネイかジュトーリオに殺されるよりマシでしょうしね。
581 :
源氏
◆rLDAH8Hy8Y
:2012/07/03(火) 21:00:17 ID:???
A
刀傷沙汰になってしまっては事情も碌に調べられずに
傭兵側が一方的に処断されることになるのは明白。
そうなる前に拳で男の喧嘩に持ち込む。
582 :
源氏
◆rLDAH8Hy8Y
:2012/07/03(火) 21:01:37 ID:???
っと、選択肢間違いです。
AではなくBでしたっ
583 :
雑魚モブ
◆.xniaLTHMk
:2012/07/03(火) 21:41:56 ID:???
B
戦争も近いので仲間の和を乱したくないし、もう言葉で止まる雰囲気でもないので
『貧相』な外国人傭兵に殴られたくらいじゃ自由騎士さんは痛くも痒くもないだろしうネ
584 :
見てる人
◆S/MUyCtQBg
:2012/07/04(水) 23:00:59 ID:???
B
お前はカレイだ・・・泥にまみれろよ。
と、魚住さんも言ってますし。敢えて泥かぶったほうがカッコイイ。
ネイをここで失うのは嫌だし、森崎なら何があっても大丈夫でしょ。
気のいいリーダー だし。
585 :
見てる人
◆S/MUyCtQBg
:2012/07/04(水) 23:02:21 ID:???
まさかの23時59秒。こりゃ間に合わなかったかな?
586 :
森崎名無しさん
:2012/07/04(水) 23:03:29 ID:???
一日違うよ。
587 :
森崎名無しさん
:2012/07/04(水) 23:04:11 ID:???
というか締め切り昨日ですね
>>576
588 :
森崎名無しさん
:2012/07/04(水) 23:57:28 ID:???
スイマセンでした。
589 :
ピコ
◆ALIENo70zA
:2012/07/05(木) 01:06:52 ID:???
皆様、ご回答ありがとうございます。
それでは早速、
>>576
の選択については……
>>583
雑魚モブ ◆.xniaLTHMk様の回答を採用させていただきます!
自由騎士の言葉を逆手に取った部分も切れ味が素晴らしいです。
仲間の視線を意識していただいたのも大きいですね。
CP3を進呈いたします。
またピココールでアシストしていただいた
>>580
さら ◆KYCgbi9lqI様、
現実的な視点を提示していただいた
>>581-582
源氏 ◆rLDAH8Hy8Y様の回答も
それぞれ本文に取り入れさせていただきますので、CP1を進呈いたします。
>>584
申し訳ありません!
それもこれも毎日コンスタントに更新できないGMの不徳の致すところです……。
ところで現在のところ大方の期限はキリよく23:00としていますが、実際に更新作業に取り掛かれるのは
23:30頃だったりします。
期限もそこまで延ばした方が、参加していただける機会が増えるでしょうか?
590 :
異邦人
◆ALIENo70zA
:2012/07/05(木) 01:08:11 ID:???
ひゃあ、名前欄に謎の妖精さんが!
お恥ずかしい。
***
B 殴り飛ばす
瞬間、森崎が駆け出したことには幾つかの理由がある。
無論のこと、仲間への侮辱を許せぬ気持ちもあった。
反吐の如き言葉を吐き散らす下衆には、相応の報いを受けさせねばならぬ。
確かに傭兵は個人主義者の集まりである。
しかし訓練をこなし、汗を流す内に芽生える連帯とて当然にあった。
同じ釜の飯を食う者が何処の馬の骨とも知れぬ下郎に蔑まれたのを日和見的にやり過ごしては
示しというものがつかない。
潰された面子は、誰かが何らかの形で贖わねばならぬ。
そうして、その誰かとは即ち、この哀れな下郎でなくてはならなかった。
しかしまた同時に、その激情だけに身を浸すには、森崎の目に映る光景は危険に過ぎたのである。
(……早まるんじゃねえ、ジェトーリオ!)
その黒人の背を、森崎は見ていた。
ネイの手が払われた瞬間、色めき立つ周囲とはまるで違う時間の中にいるように、
ジェトーリオだけが動きを止めていた。
そして、愚かな鎧の男が文字通りに致命的な言葉を吐いたそのとき、ジェトーリオのそこだけが
型で抜かれたように生白い掌が、ベルトの背に挟んだ得物へと伸ばされ、掴み、引き抜かれたことを、
森崎はしっかりと目にしていたのである。
591 :
異邦人
◆ALIENo70zA
:2012/07/05(木) 01:09:12 ID:???
(―――届けッ!)
森崎がかけくらべをする相手は、黒い風である。
風は刃を孕んでいる。
吹き抜けた瞬間、それは鮮血を巻き上げて散るだろう。
それだけは、避けねばならぬ。
殴る蹴るであれば、苦しいながらも言い訳の立てようもある。
しかし斬ってしまっては、そして何より殺してしまっては、もはや後戻りができない。
下手人には確実な極刑が待っている。
愚かしくも哀れな貴族の子弟などと引き換えるには、大きすぎる代償だった。
「この……馬鹿野郎がッ!」
叫びながら突き出された森崎の拳は、風よりも疾かった。
手首に重い衝撃。
自由騎士の顔面を捉えた一撃は、歪んだ頬骨を力点、ねじ曲がった首を支点として、着込まれた鎧の重量を
ほぼダイレクトに伝えてくる。
振り切るように、打ち抜いた。
「……、……!」
ぎ、とも、ぐぅ、ともつかぬ悲鳴が、男の喉の辺りから漏れる。
全力疾走の速度と鍛え上げた筋力、そして美しいフォームから放たれた右ストレートは、
その白銀の板金鎧ごと、男を地面へと叩きつけたのである。
「……モリ、サキ……?」
すぐ背後、呆然とした呟きは振り向くまでもない、ジェトーリオのものである。
片手を軽く上げた森崎が、その手を自らの背に移動させ、腰の辺りをとんとんと叩く。
得物を仕舞え、という身振りであった。
592 :
異邦人
◆ALIENo70zA
:2012/07/05(木) 01:10:13 ID:???
「……」
振り向かぬ森崎には、その表情は見えない。
しかし僅かな間を置いて、小さな溜息と金属が擦れる音とが聞こえた。
どうやら意図は伝わったようであった。
(さて、次は……どうしたもんかな)
思案しながら倒れた男へと歩み寄る森崎。
「起きな、お坊ちゃん」
「……き、きしゃまぁ……!」
自慢の鎧の腹に爪先で軽く蹴りを入れながら言う森崎に、倒れた男が我に返ったように激昂する。
口の中を切ったのか、滑舌が悪いことおびただしい。
「お、お、俺をだりぇだとおもっへる……!? かの騎士侯ひゃく、せばすしゃん・じょわんうぃるから
八代つじゅく武門のほまりぇ、じょわんうぃる家の、ひぃっ……!?」
「おう、そうかい、名門のお坊ちゃん。よーくご存知だぜ」
全身を覆う鎧の重量に、男は起き上がることができないようだった。
誉れも何もなく地に転がったまま、口から涎で薄まった血を溢しながらまくし立てる男へ
のしかかるようにして、森崎が告げる。
「だからよ、俺ら貧相な傭兵としては武門の誉れ高き騎士侯爵様の八代目だか九代目だかに
胸ぇ借りて、一丁稽古でもつけてもらおうかと思ってな」
「にゃ、にゃに、を……」
陽光に照らされて熱い白銀の鎧を拳でごつんと一つ叩いて、森崎がニヤリと笑う。
593 :
異邦人
◆ALIENo70zA
:2012/07/05(木) 01:12:24 ID:criY5V5E
「いやあ、痛くも痒くもねえよなあ? こんだけ豪勢な鎧で身を固めた自由騎士様だ。
ヒンソーなステゴマのガイジンに殴られて痛いよ痛いよ、なんて泣きが入るはずもねえ。
実にご立派なことだぜ、泰然自若としたそのお姿。稽古の流れで転んじまってもビクともしねえ!
なあ、そうだろ? そうだよなあ?」
「ぐ……」
*チェック
交渉判定
目標値【25】 → ! numnum
※ ! と numnum の間のスペースを消して数値を出して下さい。
難易度(無理難題・相手知性『低』90)−(主導権20/恐怖20/苦痛10/混乱10/仲裁スキル「ヒガシの山」5)を
目標値とし、目標値以上の値が出れば成功。
00が出た場合は難易度にかかわらず成功となります。
結果によって展開が分岐します。
成功→ 「ぐ、ぐぬぬ……」 相手はぐうの音も出ない。
失敗→ 「ぐ……う、うわああん! 怖いよ、助けて、パパー!」 泣き出してしまった……。
594 :
傍観者
◆YtAW.M29KM
:2012/07/05(木) 01:22:35 ID:???
目標値【25】 →
93
10分経過しても誰も引かないし、引くか。ダメだった場合はCP/EP期待!
595 :
異邦人
◆ALIENo70zA
:2012/07/05(木) 01:25:19 ID:???
>>594
お見事です!
ダイスロールは時の運、そうご遠慮なさらずズバッと引いてやって下さいw
成功→ 「ぐ、ぐぬぬ……」 相手はぐうの音も出ない。
******
※称号が『気のいい拳のネゴシエイター』になりました。
スキル『仲裁?』を獲得しました。
種別:パッシブ
消費ガッツ:-
効果:交渉判定時、+10の修正。モラル値が40以下のときには+20の修正となる。
この効果は同様のスキルと重複する。
ただしモラル値が80を超えるとき、このスキルは発動しない。
******
596 :
異邦人
◆ALIENo70zA
:2012/07/05(木) 01:27:04 ID:???
「ひぃ……っ」
森崎の鋭い眼差しに間近で睨まれ、思わず首を縦に振ってしまう男。
「なら、話は終わりだな。この場には何もなかった、問題も、諍いも、何にも、」
と、森崎が言いかけた、そのとき。
「―――!?」
太陽は燦々と照りつけている。
雲一つない空は初夏の色を隠すこともなく、風は火照った肌を癒すが如く、爽やかに吹いている。
だと、いうのに。
(な、何だ……この感じ!)
すう、と。
その場を覆ったのは、鳥肌の立つような冷気である。
それは物理的な温度ではない。
ただの気配である。
しかし人の奥底、骨の髄と臓腑の中とを寒からしめる、怖気に満ちた気配であった。
反射的に顔を上げた森崎が、自由騎士の存在など忘れたように跳ね起きると、一歩を飛び退く。
「……」
広い野原に立ち、あるいは座り、あるいは倒れ伏したままの全員が、冷気に誘われるように振り返る、
その先には黒の一色があった。
蒼穹の下、陽光の白と大地の緑と土色の世界から抜け落ちたような、黒。
597 :
異邦人
◆ALIENo70zA
:2012/07/05(木) 01:28:06 ID:???
「ジョアン……エリータス……!」
歩み来る男の名を、知らず呟いたのは森崎自身である。
人垣が割れる。
囲みが解ける。
男の纏う底知れぬものを、その場にいる誰もが肌で感じていた。
森崎の睨む前、まるで無人の野を征くが如く、騒動の中心まで悠然と歩を進めてきたジョアンが、
「やあ、マルセル。こんなところで、何をしているんだい」
と。
散歩の途中で見かけた友人に声をかけるように、微笑すら浮かべながら言った。
相好を崩したのは、倒れたままの鎧の男である。
ジョアンの差し伸べた手を握り、ようやく身を起こしながら口を開く。
「……じょ、ジョアン君! 良かった、助かった、聞いておくれよ!
こいつら平民以下の外国人のくせに、俺のことを……」
「マルセル・ジョワンヴィル」
まくし立てようとした男の言葉が、ただの一言で遮られた。
名を呼んだだけの、声。
しかしその声音は、人の心胆を鷲掴みにするが如きものである。
マルセルと呼ばれた自由騎士の男が、凍りついたように固まる。
「もう一度聞くが―――こんなところで、何をしているんだい。
今日の大会で、一勝すらできなかった君が、こんなところで、何を?」
598 :
異邦人
◆ALIENo70zA
:2012/07/05(木) 01:29:26 ID:???
手は、握られたままでいる。
男を見下ろしながら一節ごとに区切るように発音される、それはさながら罪の宣告である。
「そ、それ……、は……」
自由騎士が、炎天下に鎧までを着込んだ身でありながら蒼白な顔色でジョアンを見上げる。
今にもガタガタと震えだしそうな表情の自由騎士を、この場に現れたときから一寸たりとも変わらぬ
微笑を向けるジョアンが手を引き、立ち上がらせた。
一人では上体を起こすことも叶わぬ重量を片手で引き上げたジョアンが、懐から取り出した絹のハンカチで
自由騎士の鎧についた泥土を丁寧に落とすと、周囲を睥睨するように、口を開く。
「友人が大変な失礼をしたようだ。このジョアン・エリータスが深く詫びよう。
―――が、それはそれとして、だ」
汚れたハンカチから手を離すジョアン。
地に落ちたハンカチが、風に吹かれて転がっていく。
「私の友人を傷つけた礼も、相応にさせてもらわねばなるまい。
……相手は、誰かな」
微笑は、変わらぬ。
変わらぬまま、声は牙と爪とを帯びていた。
直立不動のままでいた自由騎士の男が、ジョアンの視線に促されて慌てて指さしたのは、
やはり森崎である。
ジョアンの氷青色の目が、その姿を認めた途端に蛇の如く細められていく。
「ほう……貴様か、東洋人」
「……悪縁も縁の内、か」
嫌な言葉だ、と吐き捨てた森崎の身に一切の油断はない。
抜刀こそしていないものの、利き手は剣の柄に置かれていつでも抜けるように構えている。
599 :
異邦人
◆ALIENo70zA
:2012/07/05(木) 01:30:41 ID:???
「……」
「―――」
言葉が途切れる。
喉が、ひりつく。
じっとりした汗が森崎の背筋を垂れるのは、初夏の陽光のせいだけでは決してなかった。
絡む視線が、漆黒と氷青色とのせめぎ合いが、その中心点に何かを結晶させようとした、その寸前である。
「貴様ら、何を騒いでいる!!」
凍りついたような場を根こそぎ吹き飛ばすような、大音声。
走り来るヤング・マジョラムの姿は、この一連の騒動に強制的な幕引きをもたらす機械仕掛けの神である。
「……命冥加なことだな、東洋人」
つまらなそうに視線を外したジョアンが、呟くと踵を返す。
自由騎士の男がおろおろと周囲を見回し、それから慌てたように追いかけようとしたその歩みが、
三歩を歩いて止まった。
「……そうそう、貴様も顔くらいは見知っていたかな。私の婚約者―――ソフィアだが」
立ち止まったジョアンが、振り返らないままに言う。
600 :
異邦人
◆ALIENo70zA
:2012/07/05(木) 01:32:49 ID:???
「この間、実に楽しい休日を過ごしたようだ。誰だか知らないが、感謝しなくてはならないな。
その親切な誰かのおかげで、」
と、たっぷりと間をとって、ジョアンが肩を震わせる。
「おかげで彼女を花嫁修業に入らせる、いい切っ掛けになったのだから。
良き安息の後には、より一層の勤勉を―――我がエリータスの家訓に相応しい女性だよ、ソフィアは!」
表情を見せぬその背には、しかし隠しようもなく明らかな、愉悦の二文字が浮かんでいる。
「今年中は我が屋敷から外に出ることもなかろうが……それほどの一日であったのなら、釣り合いもとれよう。
クク……ハハハ、ハハハハ!」
悦に入った笑い声は、いつまでも高らかに響いていた。
黒を纏うその背が見えなくなっても、森崎の耳朶にこびりつくように、いつまでも。
******
601 :
異邦人
◆ALIENo70zA
:2012/07/05(木) 01:34:32 ID:???
といったところで本日の更新はこれまでとさせていただきます。
選択まで届かず申し訳ありません。
次回は6月メインイベントからのスタートとなります。
夜遅くまでのお付き合い、ありがとうございました。
それではまた、次回更新にて。
602 :
異邦人
◆ALIENo70zA
:2012/07/05(木) 12:12:50 ID:???
******
*D26.6 「気のいい拳のネゴシエイター」森崎有三
メインイベント
『ふたりはなかよし』
603 :
異邦人
◆ALIENo70zA
:2012/07/05(木) 12:13:57 ID:???
毎朝そうしているように訓練所への道を行く森崎の耳に、毎朝のそれとは違う音が飛び込んできたのは、
朝の陽射しもうららかな初夏のある日のことである。
「ぃや……ぁ……!」
甲高い、ほとんど音と呼べるような悲鳴。
そして、それを掻き消すような猛烈な吠え声であった。
「何だァ!?」
『犬と……女のコ?』
慌てて角を曲がった森崎が見たのは、ピコの言葉通りの組み合わせ。
まだ幼いとすら言える年頃の、学園のものらしき制服を着た少女と、痩せ細り毛並みも乱れた野良犬である。
野良犬は何が気に障ったのか、明らかな敵意を剥き出しに吠え続けている。
吠え声とともに涎を撒き散らしながら少女を睨むその黄色く濁った眼光は凶悪で、
年端もいかぬ幼い少女を恐怖の底に叩きこむには十分な迫力を有していた。
「やぁ……い、やぁ……」
そんな野良犬に嵐のような咆哮を浴びせられる少女の顔色は蒼白である。
目にいっぱいの涙を溜め、すっかり怯えきった声を漏らすその様子はどこまでもか弱気で、
今にもへたり込んでしまいそうだった。
蜂蜜色のふわふわとした巻き毛が、ふるふると首が振られるのに合わせて、力なく揺れた。
「あー、こりゃあ……」
『ちょっと興奮しちゃってるねえ……あのコ、急に倒れたりしたらガブッといかれるんじゃないかな』
「他人事みたいに言うな……」
『他人事だからね。ま、どうするかはキミが決めることだよ』
604 :
異邦人
◆ALIENo70zA
:2012/07/05(木) 12:15:24 ID:criY5V5E
*選択
A 少女を助ける
B 手をこまねく
森崎の行動としてどれか一つを選択して下さい。
その際【選択理由】を必ず付記していただくようお願いいたします。
期限は『7/5 23:30』です。
******
変則的な時間の更新ですが、一旦ここまでで失礼いたします。
605 :
傍観者
◆YtAW.M29KM
:2012/07/05(木) 12:24:14 ID:???
A
「ああいう」ことがあって間もないだけに、哀れな少女を放置できるキャラではもう無いでしょ、森崎。
深い関係にならないよう助けたあとはなれることがあったとしても、「まず助ける」は反射的行動のはず。
606 :
さら
◆KYCgbi9lqI
:2012/07/05(木) 14:39:53 ID:???
Aここで手をこまねくと噛まれてしまいますからね。助けるなら冷静に素早く対応をするべきだと思います。
607 :
雑魚モブ
◆.xniaLTHMk
:2012/07/05(木) 20:33:50 ID:???
A
野犬が狂犬病とか持っていたら洒落にならないから
本編の話だが森崎は犬を飼っていた経験があるらしいので扱いも上手いはず・・・動物に好かれなさそうな性格だがw
608 :
◆W1prVEUMOs
:2012/07/05(木) 20:36:19 ID:???
A
危機的状況を黙って見過ごすキャラじゃないから
しかしジョアンはライバルポジだなあ
ソフィアと関わるのをやめればコイツとの縁も切れるのかもしれないが
それよりはソフィアルートでがっつり対峙した方が面白いか
609 :
Q513
◆RZdXGG2sGw
:2012/07/05(木) 21:33:49 ID:???
A
助けられるだけの力はあるだろうし、助けるべき相手とみた
610 :
◆9OlIjdgJmY
:2012/07/05(木) 22:39:28 ID:???
A
正直ヒロイン候補は少し間引いちゃいたいくらいなのですがw
ここで助けない合理的理由が思い付かないので
611 :
ノータ
◆JvXQ17QPfo
:2012/07/05(木) 23:19:01 ID:???
A
ここで助けなきゃ男と称号が廃るってもんだ!
612 :
異邦人
◆ALIENo70zA
:2012/07/06(金) 00:11:24 ID:???
皆様、ご回答ありがとうございます。
それでは早速、
>>604
の選択ですが……
>>605-611
、皆様の回答を等しく採用させていただきます!
これはさすがに横一線、迷う余地なしといったところでしたね。
設問の甘さに未熟を噛み締めつつ、皆様にCP3を進呈いたします。
613 :
異邦人
◆ALIENo70zA
:2012/07/06(金) 00:13:12 ID:???
>>605
ここからのキャラはソフィアと違ってかなり癖が強いので、距離の取り方は重要かもしれません。
というか、非常に鋭いところを突かれていてGM的にはかなりドギマギしております!
>>606
はい、その反応はキャラ的に極めて正しいと思います。
>>607
この頃の犬・狐などは非常に危険ですね。
ワクチンもありませんので、感染した時点でほぼ100%アウトです。
>>608
ジョアンの次の出番はかなり先になる予定です。
それまでに様々な方面での力を蓄えておきたいところですね。
>>609
お察しの通り、ヒロイン候補です。
どのようなキャラなのかは……すぐにわかりますw
>>610
現状、森崎はかなりのお節介焼きキャラなので、いきなり突き放していくのは
なかなか難しいところですね。
問題は次から次へと起こっていきますが、同時には解決できない……ということはありませんので
その点だけはご安心下さい。
>>611
はい、格好良くキメてやって下さい!
614 :
異邦人
◆ALIENo70zA
:2012/07/06(金) 00:14:15 ID:???
***
A 少女を助ける
幼い少女の、溢れ出しそうな涙を湛えた瞳が森崎を捉える。
瞬間、その目に宿った光は少女の心に灯る希望のもたらしたものであっただろうか。
「……ち、しゃーねえな。遅刻でおっさんにどやされねえ程度に、パパっと片付けるか」
『そう言うと思ったよ』
どこか満足げに頷くピコにひとつ鼻を鳴らして、森崎が走り出す。
走りながら腰に伸ばされた手は、提げられた長剣を鞘ごとベルトから抜き取っていた。
「おら、こっちだ!」
森崎の声と走り来る気配に、驚いたように振り返った痩せ犬がその場を飛び退く。
それを追うように、森崎が鞘に収まったままの長剣を大きく振り回した。
615 :
異邦人
◆ALIENo70zA
:2012/07/06(金) 00:15:24 ID:okiW0Zfo
*チェック
剣術・体術判定
目標値【33】 → ! numnum
※ ! と numnum の間のスペースを消して数値を出して下さい。
シーン難易度【100】−(剣術+体術/2)を目標値とし、目標値以上の値が出れば成功。
00が出た場合は難易度にかかわらず成功となります。
結果によって展開が分岐します。
成功→適度な一撃が野良犬にヒット!
失敗→空振り! 野良犬の反撃だ!
616 :
さら
◆KYCgbi9lqI
:2012/07/06(金) 05:52:02 ID:???
目標値【33】 →
17
617 :
さら
◆KYCgbi9lqI
:2012/07/06(金) 05:59:43 ID:???
cp9とEP5を使って数値を37にします。
酷い引きだね。
618 :
異邦人
◆ALIENo70zA
:2012/07/06(金) 16:37:29 ID:???
なるほど…チェックの失敗を引いた個人がリカバリするような流れですと、ちょっと負担が重いですね。
そういった理由で判定を躊躇されることも考えられますし、ここで暫定的に数値加算に関するルールを改訂いたします。
・数値加算が行われた場合、その宣言から24時間以内であれば当該プレイヤーの消費したEP及びCPの一部、
あるいはその全部を他のプレイヤーが肩代わりすることができる。
その場合は【代理消費】と宣言し、どの処理について何ポイントを受け持つのかを明示すること。
※本改訂は
>>616
以降を適用範囲とする。
これはプレイヤーの皆様の互助的な交流とゲームの円滑な攻略を主眼としたものであり、
決して負担を強制するものではありません。
ご覧の通り対症療法ですので、ご意見や改善案、より良い解決法のご提案などありましたら
是非ともお寄せくださいませ。
それでは、夜の本更新まで失礼いたします。
619 :
源氏
◆rLDAH8Hy8Y
:2012/07/06(金) 17:04:31 ID:???
それでは【代理消費】させて頂きます。
>>616
使用CP:3ポイント
620 :
源氏
◆rLDAH8Hy8Y
:2012/07/06(金) 17:06:04 ID:???
おっとこの場合の「処理」は
>>617
で行われた加算ですね。
621 :
◆W1prVEUMOs
:2012/07/06(金) 18:48:34 ID:???
【代理消費】
>>617
使用CP:3ポイント
622 :
さら
◆KYCgbi9lqI
:2012/07/06(金) 20:35:56 ID:???
皆さんありがとうございます。助かりました。
623 :
傍観者
◆YtAW.M29KM
:2012/07/06(金) 20:48:55 ID:???
ところで、相談に乗ってくれないか?
「「ああいう」ことがあって間もないだけに、哀れな少女を放置できるキャラではもう無いでしょ、森崎。
深い関係にならないよう助けたあとはなれることがあったとしても、「まず助ける」は反射的行動のはず。」
この私の発言のどこかにGMをドギマギさせるような「鋭いところ」があったらしい。どこだと思う?
深い関係にならないように離れる……のあたりだと思うんだが(つまり、さっさと離れないと逃げられなくなる)。
624 :
さら
◆KYCgbi9lqI
:2012/07/06(金) 21:01:43 ID:???
多分そうだと思います。今度の女の子恐らく一途なんじゃないですかね。
625 :
◆W1prVEUMOs
:2012/07/06(金) 22:04:47 ID:???
あとはこの少女に限らず反射的に助ける性格のせいで女性関係では「女たらし」になってしまうとか?
でもピコは満足げに頷いてるから(
>>614
)このこと自体は悪いことではないのかな
626 :
異邦人
◆ALIENo70zA
:2012/07/07(土) 00:21:44 ID:???
>>619
源氏 ◆rLDAH8Hy8Y様、
>>621
◆W1prVEUMOs様、早速のご利用ありがとうございます。
システムの例示にご協力いただいたということで、それぞれCP1を進呈いたします。
>>623-625
もちろん詳細は秘密ですが、この後の展開も含めて色々と考えてみて下さいね!
***
成功→適度な一撃が野良犬にヒット!
「……このっ!」
狙い定めて振った剣の鞘は、吸い込まれるように痩せ犬の鼻先へと命中する。
ぎゃん、と潰れたような悲鳴を上げた野良犬は、泡を食って逃げ出していくのだった。
「大丈夫か、……とぉ!?」
「……!」
遠ざかっていく犬が戻ってくる気配のないことを確認して、振り返った森崎が思わずのけぞる。
なんとなれば、走り寄ってきた少女が、跳ねるように森崎の胸に飛び込んできたのであった。
「うわっぷ!」
蜂蜜色のふわふわした巻き毛が森崎の視界を埋める。
振り払ったその向こうに、今度は深い泉が現れた。
赤みがかった薄茶色の、それは潤んだ瞳である。
幼さと愛らしさの最大公約数を追求したような、大きく丸い瞳がぱちぱちと瞬きしながら、
森崎の眼前数インチまで迫っていた。
幼い顔立ちのわりに長い睫毛が印象的だというのは、その己の胸丈ほどまでしかないであろう、
ふにゃりと軽くやわらかな体の熱と、甘い香りの漂う吐息とを感じながらの、森崎の内心の弁である。
627 :
異邦人
◆ALIENo70zA
:2012/07/07(土) 00:22:45 ID:???
「ぁ……」
幼い少女のふっくらとした唇が、何かの音を紡ごうとした。
そのときである。
「こらあぁぁーっ!」
怒声が、響いた。
「何してんだ、お前ーっ!!」
森崎の正面から走り来る、それは一陣の風である。
風は、制服を着た少女の形を模していた。
きつく吊り上がった気の強そうな眼差しに、肩口まで伸ばされた癖の強そうな亜麻色の髪。
全身から醸しだされる雰囲気には純粋な怒りが色濃く浮き出ている。
「この―――」
森崎からわずか数歩の距離を置いて急制動をかけた少女が、親の敵を見つけたような顔で森崎に怒鳴った。
「変 質 者 ! ロリィから離れろ!」
「なにィ!?」
想定外の言葉に目を見開く森崎。
と、その胸に抱き止められるかたちになっていた幼い少女が、肩越しに振り返ると、
その表情をぱっと明るくする。
628 :
異邦人
◆ALIENo70zA
:2012/07/07(土) 00:23:47 ID:???
「あ、レズリーお姉ちゃんだあ!」
「ロリィ! そいつから離れな! こっちに来るんだ!」
「うん!」
言われた幼い少女が、森崎の首に回していた手をあっさりと放すと、身軽な動作で地面に降り立ち、
走ってきた少女の側へと駆けていく。
と思えば、ロリィと呼ばれた幼い少女は、今度はレズリーと呼ばれた少女へと抱きついた。
「こ、こらロリィ!」
「レズリーお姉ちゃん、おはよう〜」
「挨拶はまた後で、な! 今はそれよりコイツを……」
と、視線を移そうとしたレズリーが驚いたように声を上げる。
「お、おいお前! 何を逃げようとしてんだ!」
「……いや、普通に出勤しようとしてるだけだが」
『面倒なことになりそうだから、さっさと立ち去ろうとしたんだよね』
頭の後ろで手を組みながらふわふわと浮かぶピコをひと睨み、森崎が仕方なく立ち止まって
少女たちへと向き直る。
「思うんだが、何かひどい誤解をされてるんじゃねえかな、俺」
「何を! とうとう直接手を出しておいて、言い逃れできると思ってるのか、この変質者!」
「変質者……」
『まあ、傍から見ればそんな感じだったけどね』
「……」
ピコの言いように思わず口を噤む森崎。
この国では見慣れぬ黒髪の、しかも武装した外国人が見知らぬ幼女を抱きかかえていたのである。
経緯を知らず、絵面だけを見たとしたら、これは誤解しない方がおかしい。
そこで森崎は―――
629 :
異邦人
◆ALIENo70zA
:2012/07/07(土) 00:26:29 ID:LTq/m8Vk
*選択
A 言葉を尽くして釈明を図る。
B ロリィに説明を求める。
C 猛ダッシュ! (必要CP:1)
森崎の行動としてどれか一つを選択して下さい。
その際【選択理由】を必ず付記していただくようお願いいたします。
期限は『7/7 23:30』です。
******
正ヒロイン候補五人の内、三人まで登場! といったところで
本日の更新はこれまでとさせていただきます。
夜遅くまでのお付き合い、ありがとうございました。
それではまた、次回更新にて。
630 :
雑魚モブ
◆.xniaLTHMk
:2012/07/07(土) 06:46:29 ID:???
B
ここで逃げだすと誤解が広まって称号が『気のいいナンデス』とかになるかもしれないから
また疑われて人物が釈明する場合は物的証拠がないと信憑性が無いので他人に説明を求めるのが一番かと
631 :
◆W1prVEUMOs
:2012/07/07(土) 10:12:14 ID:???
A
ロリィが説明下手で大変な誤解を受けるというお約束の展開がありそうなので
また、他人の行動に判定は絡まないけど、Aなら最悪CPEPつぎ込めばどうにでもなる
632 :
さら
◆KYCgbi9lqI
:2012/07/07(土) 10:29:00 ID:???
A Cだとレズリーに変質者として認知されそう。Bだとロリィに恋人として紹介されそう。
ならば自分から説明した方がトラブルの回避や誤解を避けれると思いますね。
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