キャプテン森崎 Vol. II 〜Super Morisaki!〜
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【赤と8ビットの】キャプテン岬【物語《ロマン》】

1 :キャプテン岬 ◆AE6MkoqxCE :2017/11/12(日) 12:38:42 ID:???
『はじめに』
この物語はフィクションです。
現実世界で実在する人物も登場いたします。また1983年から91年までの史実を踏まえてはいます。
ただ物語の展開上脚色や私的設定付与も多々あり、純然たる歴史的事実からは離れてしまっております。

またキャプテン翼のキャラクターのみならず、非サッカー漫画以外のキャラクターも多く
登場しておりますが、実在人物同様、物語に沿う形での脚色や設定付与が多く、どうかご寛恕を願います。

最後に、この物語の主人公は岬太郎です。
ここの岬君は原作を参考にしたり、本編をチェックしてみたり、自身の願望を当てはめてみたりと、
どれにもピタリとは当てはまらない、大変面妖な様相をとっております。
それでも彼の物語として、読み進め楽しめてもらえれば幸いです。

【前スレまでの簡単なあらすじ】
1983年8月、岬太郎はパリに来仏する。その2日後の日本人学校訪問後、
サッカー部員を探すべくブローニュの森のシュッセ運動場まで出かけ、
そこでサッカー部キャプテン天ケ瀬冬馬を発見する。
自己紹介代わりの手合わせで岬に完敗した天ケ瀬は、他のメンバーにも
紹介すべく急遽電話で呼び出す。そして呼びだしたメンバーとの1VS10勝負が
はじまった、といったところまで進んでいます。

545 :森崎名無しさん:2018/07/21(土) 20:09:59 ID:NqbzWUdc
B

546 :森崎名無しさん:2018/07/22(日) 11:00:51 ID:6ziE5ui+
B

547 :キャプテン岬 ◆ma4dP58NuI :2018/07/22(日) 11:41:41 ID:YqNlbg2k
第15話『サッカー部との事前交流……できるかな?』


B 天ケ瀬家
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

そう言えばかれこれ1月近く、サッカー部の事を気にかけてなかった。フランスに来てから
色々な人と会ったからとはいえ、サッカー部の掌握をおろそかにしては、将来の夢の実現など夢のまた夢だ。
そう思った僕は依然教えてもらったサッカー部部長に連絡を入れるべく、
電話帳を取り出してダイヤルを回す。しばらく待っていると……


先着で
★土日に電話をしている事になってます ! card★
と書き込んで下さい。マークで分岐します。!とcardの間のスペースは埋めてください。

JOKER→ダイヤ+天ケ瀬「お前が来てくれれば、あのアマに目にもの見せてやれるからな!」
ダイヤ→天ヶ瀬「おお岬か、これからサッカー部の練習だが、一緒に来い!シュッセ運動場だ」
ハート→天ヶ瀬「おお岬か、これから練習だが、一緒に来い!…俺しかいないがな」
スペードK→クラブ+天ヶ瀬「そういや、珍しく早川も来てるし、双海のガキ共に……色々来てるぞ」
スペード→天ヶ瀬「今サッカー部の奴らと家でゲーム大会やってるから、お前も来い」
クラブ→岬「(……出ないな。留守か)」

548 :森崎名無しさん:2018/07/22(日) 11:44:59 ID:???
★土日に電話をしている事になってます  ダイヤ7

549 :キャプテン岬 ◆ma4dP58NuI :2018/07/22(日) 12:27:46 ID:YqNlbg2k
★土日に電話をしている事になってます  ダイヤ7 ★
→天ヶ瀬「おお岬か、これからサッカー部の練習だが、一緒に来い!シュッセ運動場だ」
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
岬「もしもし」
天ヶ瀬「おお岬か、久しぶりだな。連絡も無いから心配したぞ。他のクラブに行きやしないかってな」

岬「ご心配をかけてすみません。ちょっと観光してたものですから」
天ヶ瀬「ああ観光か、そりゃここはパリだ。見たいものはいくらでもある。学校に入りゃそんな暇もなくなるしな。
    ま、悪いと思うなら、お前もサッカー部の練習一緒に来い!場所はシュッセ運動場、すぐに来るんだぞ」
岬「はい。分かりましたすぐ行きます」

言いたい事だけ言った後、電話は終わってしまった。唐突にサッカーの練習という事になったが、
いい機会だ。しっかり練習して彼らの印象を良いものにしよう。



そうして準備し、ブローニュの森を歩いてシュッセ運動場へ到着する。既に皆は集まっており、
僕の姿を見かけると手招きして呼びかけてくれた。

前回と異なるのは、今回は天ケ瀬だけではなく
途中からやってきて逃げ散った他のチームメイト全員が体操着を着て完全に練習モードに入っている事、

あずみ「あら、本当にサッカー部に入るんだ」

ブルマーをはいた早川あずみが、準備体操をしながら僕を迎えてくれた事だ。
やはり彼女もサッカー部員であるらしい。

550 :キャプテン岬 ◆ma4dP58NuI :2018/07/22(日) 12:29:26 ID:YqNlbg2k
天ヶ瀬「来たか岬、体操は済ませたか?」
岬「はい、家を出る前に軽く」
天ヶ瀬「そうか、じゃ、早速練習を始めるぞ。今日重点的にする事は……」

先着で
★岬以外の選手の能力は上がりません ! num★
と書き込んで下さい。マークで分岐します。!とnumの間のスペースは埋めてください。

0→???「ちょっとワタシの練習に付き合ってもらえないカシラ?」謎の金髪少女が現れた!
9→天ヶ瀬「岬はどんな練習がいいと思う」
8→天ヶ瀬「走り込みだ、体力をつけるぞ!」
7→天ヶ瀬「競り合い練習だ!」
6→天ヶ瀬「ブロック練習だ!」
5→天ヶ瀬「パスカット練習だ!」
4→天ヶ瀬「タックル練習だ!」
3→天ヶ瀬「シュート練習だ!」
2→天ヶ瀬「パス練習だ!」
1→天ヶ瀬「ドリブル練習だ!」

551 :森崎名無しさん:2018/07/22(日) 13:33:45 ID:???
★岬以外の選手の能力は上がりません  1

552 :キャプテン岬 ◆ma4dP58NuI :2018/07/22(日) 14:31:52 ID:YqNlbg2k
★岬以外の選手の能力は上がりません  1 ★→天ヶ瀬「ドリブル練習だ!」
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
先着で
★単発イベント&ソ連補正なしのため「上がりにくい」です→! card ★
と書き込み!とcardの間の隙間を埋めて下さい。数値で分岐します。

JOKER→1+&必殺技のフラグ習得!
11〜13→+1!
1〜10→効果がなかった

553 :森崎名無しさん:2018/07/22(日) 14:46:39 ID:???
★単発イベント&ソ連補正なしのため「上がりにくい」です→ スペードJ

554 :キャプテン岬 ◆ma4dP58NuI :2018/07/22(日) 16:00:36 ID:YqNlbg2k
★単発イベント&ソ連補正なしのため「上がりにくい」です→ スペードJ ★ドリブル値→+1!
*岬のドリブル値が23になりました。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

天ヶ瀬「おーし、じゃ、2人1組になってディフェンス突破の練習だ。
    20回したら攻守を交代するように。攻守どちらも20回終わったら、今度はペアを代えて同じ練習をする」

ここまで指示を下した後、尻ポケットから折りたたんだプリント用紙を広げ、語り続ける

天ヶ瀬「左右に動きを変える時は、ボールの外側を引っかけるように。
    この時、引っかけた足をすぐに、立ち足とクロスさせるようにサイドステップすると、曲がりやすくなるからな」

岬「(ふーん、もっと精神主義かと思ったけど、ちゃんと指示するんだなあ)」

密かに天ケ瀬への評価を見直しながら、ドリブルの練習を開始する。

岬「(方向転換はボールの外側を引っかける)」

シュッ!

中江「うわっ!」

岬「(立ち足とクロスさせるようにサイドステップ!)」

ビュッ!バッ!

大杉「なんだよコイツ、取れる気がしねえ……」
岬「(よし、いい感じだ)」

こうして、思いかけずいい結果を残すことができた。

555 :キャプテン岬 ◆ma4dP58NuI :2018/07/22(日) 16:03:22 ID:YqNlbg2k
しばらくして休憩時間に入る。木陰のベンチに入って一休みしようと腰を下ろすと、不意に額から冷気を感じた。

あずみ「はい、お水。水分補給きちんとしなさい」

あずみちゃんが500ミリのペットボトルを額に押し付けていた。手を放して胸元に転がっていく。
手で受け止めた時には既に別の人の所へ行き、水を配り歩いていた。

蓋を開けて水を飲む。グイグイと一気に飲んでほとんど飲み干したところで、あずみちゃんが戻ってきた。

岬「さっきはありがとう、あずみちゃん」
あずみ「どーいたしまして。男女混合の女子サッカー部員ってのはマネージャーも兼用でね、
    下らない用事まで押し付けられるのよ」

ドカッと女の子らしくない勢いでベンチに腰を下ろすと、これまた勢いよく水を飲んでいく。

岬「(休憩時間を考えると少し話す時間はある。何か話そうかな)」


A 岬「僕のサッカーどうだった?(サッカーをどう思うか聞いてみよっと)」
B 岬「この間は姿見なかったけど、どうしたの?(サッカーの熱意はあるのかな)」
C 岬「真美ちゃん亜美ちゃんとは仲良くできた?(念のため仲を確認しよう)」
D 岬「向かいに新しくゲームセンターが出来るみたいだけど(あずみちゃんなら何か知ってるかな)」
E 岬「さっきキャプテンが持ってた紙、誰が作ってるの?(立案ができるようになれば影響力も増すかな)」
F 岬「そういえば顧問の先生はいないの?(それらしい人は見当たらないなあ)」
G その他、自由回答(要2票)

先に1票入った選択肢で進行します。メール欄を空白にして、IDを出して投票してください。

556 :森崎名無しさん:2018/07/22(日) 16:36:17 ID:6ziE5ui+
B

557 :森崎名無しさん:2018/07/22(日) 17:57:16 ID:zGpiqdRY
B

558 :キャプテン岬 ◆ma4dP58NuI :2018/07/22(日) 18:40:37 ID:YqNlbg2k
B 岬「この間は姿見なかったけど、どうしたの?(サッカーの熱意はあるのかな)」
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

岬「(何故あずみちゃんはこの間サッカーに出なかったんだろう)」

まず頭に浮かんだのは、なんだかんだ言ってもサッカー少年だからだろう、
この年の女の子にしては、少なくともまだ数値上ではあるが、2・3年上の先輩の方々をも凌駕する技量の持ち主ではないか。

岬「(何か理由があるなら、早いうちに対処しておかないと。彼女は割り合い仲が良い方だし、
   親交を深めていけばきっと僕の役に立ってくれるはずだ)」

そう思い定めた僕は、ブローニュの森への招集へ姿を見せなかった事について尋ねてみた。
問いかけを耳にしたあずみちゃんは、飲みかけのペットボトルの蓋を締めた後、僕の問いに答えてくれた。


先着で
★早川あずみとサッカー→! card ★
と書き込み!とcardの間の隙間を埋めて下さい。マークで分岐します。

JOKER→あずみ「実はシャンゼリゼFCの入団テスト受けてきたのよねー」岬「……え?」
ダイヤ→あずみ「1人で練習していたの。先輩達はやる気ないし負けると嫌な顔するし」
    岬「(耳元に近づいてきた、聞かれたくないんだろうな)」
ハート→あずみ「岬君が来るって聞いたからよ」 数値が高いほど……?
スペード→あずみ「ヒント。ブォン、ブォン、ブォン。これのゲームをやりにアメリカへ行ってたの」
     岬「(剣を振り回すような身振りに、あの擬音……もしや?)」
クラブ→あずみ「ゲームやりこんでたから。気分転換に行くぐらいかな」
    岬「(サッカーよりはゲームか。何とか関心を持って行けないかな)」

559 :森崎名無しさん:2018/07/22(日) 18:41:36 ID:???
★早川あずみとサッカー→ ダイヤK

560 :キャプテン岬 ◆ma4dP58NuI :2018/07/22(日) 20:33:49 ID:YqNlbg2k
★早川あずみとサッカー→ ダイヤK ★ あずみ「1人で練習していたの。先輩達はやる気ないし負けると嫌な顔するし」
岬「(耳元に近づいてきた、聞かれたくないんだろうな)」
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
あずみちゃんの口が開きかけた。だが一瞬ピクッと顔を震わせた後、周りをキョロキョロと見回す。
そして僕の隣へと腰を移した後、耳元に顔を近づけて語ってくれた。

あずみ「1人で練習してたの。みんなで練習しても何にもならないから」
岬「何にもならない?(まあ、予想はつくけど)」

あずみ「この間うちのゲーセンに先輩達がいたでしょう」
岬「うん、そういえば3人いたはず」
あずみ「その3人よ。サッカーよりもタラタラする方が楽しいんでしょうね。
    ゲームしてても次はどうするか、どんな工夫をすればいいか考えずに、ただ音と光と数字に反応するだけ。
    そんなのがあの3人だけじゃない、他のもそうよ。
    うち以外のゲーセンやカフェでも見かけるの。最近のカフェはゲームの筐体置く所が増えてきたからね。
    練習に出てきて私の方が上手いってわかるとよそよそしくなるし、意見を言っても聞いてくれないし、
    そのくせ負けん気を出してまじめに練習しようともしない」

話を進めるたびに顔が曇りを帯びてくる。口にしてないだけでもっとひどい事や見たり聞いたりされたりしたのかもしれない。

あずみ「ゲームが面白いのはよく分かるけど、サッカーだって負けず劣らず楽しいのに。
    ボールと一緒に走るのも、相手を抜き去ってみせるのも、力一杯ボールを蹴ってゴールに入れるのも楽しいのに。
    仲間の先輩達がこれじゃあね。最近はユゴー通りの市民公園で1人で球蹴りしてるし、
    知ってる人がいる時は走り込みの練習も兼ねてサン・ペリーヌ公園まで行くんだ」

561 :キャプテン岬 ◆ma4dP58NuI :2018/07/22(日) 20:36:39 ID:YqNlbg2k
僕の耳から目に視線を移した後、今度はニカッと影の無い笑顔で語りはじめた。

あずみ「でも、岬君がサッカー部に来るって聞いて、もうちょっと頑張ってみようかなって思った。
    岬君はかなりサッカーが上手いみたいだし、ストイックに物事に取り組んでいきそうに見えたから。
    ゲームもそうだけど、サッカーも一緒にやれたら楽しいだろうなって」

天ヶ瀬「おーし、そろそろ練習再開……って早川、岬とのおしゃべり切り上げろよ」
あずみ「すみませーんキャプテン、ちょっと岬君から告白されてたもんでー!」
岬「えっ」
天ヶ瀬「もう告白か早いなー!見かけによらず結構気が早いんだな!」
あずみ「ホントですよー!ま、10年早いって答えましたけどねー!」

黒田「おお告白かあー!」
秋山「やるねえ!」
永井「気にするなー岬!失恋なんて誰も経験することさ!」
大杉「結構なじゃじゃ馬、振られて良かったかもしれないぞー!」

天ヶ瀬の呼びかけに対し、とんでもない事を言ってのけた。弁解する間もなく先輩達から茶々が飛ぶ。
この空気では弁解や反論は照れ隠しの類として、さらなるネタにされるだけだ。
このままジッと、数カ月は黙っていて、風化するのを待つほかない。
離れ際にパチリとウィンクするあずみを見て、もしかしたら担がれているんじゃないかと
思いながら、練習を再開した。
そうして1日の練習を終え、クールダウンした後に三々五々解散する事となる。
僕はあずみちゃんと一緒に帰って、事の真偽をただそうとするも、口火を切る前に相手から先手を取られてしまった。

あずみ「あたしは先に帰るね。一緒に帰って噂されると恥ずかしいし」

562 :キャプテン岬 ◆ma4dP58NuI :2018/07/22(日) 20:37:39 ID:YqNlbg2k
どこか取り澄ましたような口調で告げた後、急に手を伸ばして握手を求めた。僕が手を差し出すと
力強く握りしめた後、さらっと小さな声で告げて、走り去ってしまった。

あずみ「ちょっとパワーを送ったからね。逃がさないようにうんとゆっくり、人のいないところで手を開いて」

握りしめた手の内には何か物が入っている。先輩達と離れてから手を開くと、中には紙切れが
入っていた。


さっきはゴメン、明日の…時、一緒にまたシュッセで練習しない?ダメならうちに連絡して。

TEL:01‐XX‐XX‐XX‐XX


2人きりの練習の誘いだった。しかも電話番号まで書いてある。
これであずみちゃんとの連絡も容易になるし、特訓を介しての自勢力取り込みもできる。
上手く行った事を感じ、ようやく上機嫌で家に帰ることができたのだった。


*あずみとの練習の約束を取り付けました!9月2週の練習はあずみとの合同練習となり、
以下の利点がもたらされます。

・相互訓練による能力値上昇にボーナスあり
・相手との好感度UPの可能性あり

*あずみの家の電話番号が分かりました。これより日常行動の選択で「電話」が加わり、
留守による空振りの危険を回避できるようになりました。

563 :キャプテン岬 ◆ma4dP58NuI :2018/07/22(日) 20:42:24 ID:YqNlbg2k
ちょっと場を離れます。恐らくこれで終わりになるので、最後にあずみとどのような
練習をするかを選択してください。友達との共同練習のため、若干のプラス補正が付きます。
共同練習の場合ではどちらにも効果が適用されます。


A ドリブル:23 凄く上がりやすい+α
B パス: 22 凄く上がりやすい+α
C シュート:19 凄く上がりやすい+α
D タックル:21 凄く上がりやすい+α
E パスカット:21 凄く上がりやすい+α
F ブロック:20 凄く上がりやすい+α
G せりあい:19 凄く上がりやすい+α
H ガッツ:700 凄く上がりやすい+α

*(初期状態の上昇ポテンシャル。()内はガッツ)

・凄く上がりやすい
JOKER→+2&必殺技のフラグ習得!
13→+2! (+10)
7〜12→+1! (+5)
1〜6→効果がなかった

・凄く上がりやすい+α
JOKER→+2&共同必殺技習得!
13→+2!&共同必殺技のフラグ習得!
10〜12→+2! (+10)
4〜9→+1! (+5)
1〜3→効果がなかった


先に1票入った選択肢で進行します。メール欄を空白にして、IDを出して投票してください。

564 :森崎名無しさん:2018/07/22(日) 20:44:32 ID:I1aHBkKk
H

565 :キャプテン岬 ◆ma4dP58NuI :2018/07/22(日) 22:03:14 ID:YqNlbg2k
思ったより早く帰れたので、少なくとも1レス続きを投稿します。
さらに続きを書けるかは不透明ですので、どうかご了承願います。
それにしてもいくら岬のエスコート付とはいえ、たった1度の練習で
上がり方が激しいのではないかと思いますが、その後の自主練も含めての改善になります。
要は仲良くなるために費やした事へのリターンと思ってください。



H ガッツ:700 凄く上がりやすい+α(ガッツについては、共同必殺技をスキルに置き換えてください)
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
先着で
★(岬の)83年9月週2回目の練習→! card
(あずみの)83年9月週2回目の練習→! card★
と書き込み!とcardの間の隙間を埋めて下さい。数値で分岐します。

JOKER→ +10&スキル習得!
13→ +10!&スキルのフラグ習得!
10〜12→ +10
4〜9→+5
1〜3→効果がなかった

*岬とあずみのガッツ:それぞれ700、500

566 :森崎名無しさん:2018/07/22(日) 22:14:53 ID:???
★(岬の)83年9月週2回目の練習→ ハート4
(あずみの)83年9月週2回目の練習→ スペード10

567 :森崎名無しさん:2018/07/25(水) 20:46:47 ID:???
これからの練習方針はどうしようか?
スパルタキアーダの入団テストで合格するのを目指して岬の伸ばしたい能力値を上げることを優先したほうがいいかな?
それともサッカー部で頼れる味方を作るためにあずみの能力値を上げることを優先したほうがいいかな?

568 :キャプテン岬 ◆ma4dP58NuI :2018/07/28(土) 15:42:36 ID:Fmp6caUc
今日は投稿出来るか分かりませんので、まず567さんの質問について、拙いながらも答えさせていただきます。

ここの岬君はこの物語の主人公です。以前にも一部申し述べましたように、彼もまた森崎や日向のように、
野心に溢れた若者ですが、彼らとは違い、周囲とよく親しみ協力者として活用し、自らの不足を補っていく姿勢があります。
キャプテンの座獲得前の森崎にも似ていますが、彼とも違うのは、若干ではありますが視野に若干の余裕がある事です。
他人との交流を打算を抜いても楽しんでいたり、ゲームに興じていたり、他人の事を思いやる事さえします。
ですが、その分一つ事へ一心不乱に取り組み続ける事が出来ず、他人の力が必要になるのです。

前置きが長くなりましたが、一人黙々とサッカー漬けになるより、
他人と仲良くなり、適度に遊び、良く他人の力を借りてサッカーをするのが、
このスレでは効率が良くなります。

ただ、現実でもそうですが、みんながみんな人生を左右する程の人という訳ではありません。
しっかりした人とだらしない人等といった差はどうしてもあります。
良く吟味の上、岬君の未来を選んでください。

569 :キャプテン岬 ◆ma4dP58NuI :2018/07/28(土) 18:33:12 ID:Fmp6caUc
★(岬の)83年9月週2回目の練習→ ハート4  ガッツ値+5
(あずみの)83年9月週2回目の練習→ スペード10  ガッツ値+10★
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
翌日。
僕は昨日サッカー部員達と練習を行ったこのシュッセ運動場へやって来た。
一緒に練習をする約束を交わし、こうして待っている訳だが、かれこれ 83 分待っても来ない。

岬「(すっぽかされたかな?いやそれにしては手が込み過ぎているし、うーん)」
あずみ「みさきく〜ん!」

疑念が浮かび始めた頃、あずみちゃんがようやく姿を見せた。急いで向かってきたらしく
遠くから見ても分かるほど汗まみれで、脚はフラフラしている。
僕の元に来た時にはすっかり息が上がっていて、しばらくは話しかけられそうになかった。
仕方が無いので彼女の手を取って昨日と同じく木陰のベンチに移り、息が整うのを待ってから、
ハンカチと水筒を渡した後、視線をそらした。

あずみ「ありがと。あれ、何であっち向いてるの」
岬「早いとこ体ふいた方が良いよ。汗かいてるから透けちゃう」
あずみ「あっ、あ、そうね、ちょっと、待ってて」

自分の状態を察したあずみは僕に背をむけた。体をふいているのだろう。衣服や体のこすれる音がする。
後ろで聞いているのは少々耳に毒だったが、すぐにふき終わってくれたのにはホッとした。

あずみ「ふーっ、ありがと。さあ早速練習」
岬「まだ早いよ。それだけ汗かいたのなら水分を補給しなくちゃ。はい、どうぞ。冷えてるよ」

570 :キャプテン岬 ◆ma4dP58NuI :2018/07/28(土) 18:34:14 ID:Fmp6caUc
冷蔵庫で冷やしたボトル入りのミネラルウォーターを差し出すと、返事もせずに勢いよく受け取って、叩き込むように口へ流し込む。

あずみ「んはーっ!うまいっ!」

喉が渇いていたのだろう。憩いの空間ブローニュの森を居酒屋に変えるため息をついた後、500ミリの水をあっという間に飲み干す。
飲み干した後は幸せそうな顔をして大きく伸びをした後、僕の手首をつかんで宣言した。

あずみ「さ、水も飲んだし、練習しましょ!まず何する?ドリブル?タックル?あたしとしてはシュートの練習が……」
岬「落ち着いて、まずは体をほぐさなきゃ。急いで向かったらケガするよ」
あずみ「あ、そうね、じゃ、ちゃっちゃと済ませちゃいましょ」

あずみの調子をなだめさせてストレッチに向かわせる。汗だくになってやって来たあずみちゃんに対し、
1つの疑問が浮かんだのだ。右足首を手でつかんでふくらはぎを伸ばしながら、彼女に尋ねてみる。

岬「家から走って来るなんて大変だったね」
あずみ「何の事?」
岬「いや、さっきフラフラになって来てたから。ここから家まで相当距離があるし」
あずみ「あたし、ブローニュの森入り口まではバスで来たのよ」
岬「えっ(やっぱり)」
あずみ「えっ」

571 :キャプテン岬 ◆ma4dP58NuI :2018/07/28(土) 18:35:18 ID:Fmp6caUc
思っていた通り、家から走って来た訳ではなかった。家から急いできたにしては早すぎる。
そして彼女の課題も見えてしまった。ブローニュの森の入り口からここまでは正味1キロもない。
いくら全力とはいえこれだけの距離で汗ダクダク脚フラフラとなるならば、体力の底などたかが知れている。

岬「する事が決まった。今日は体力づくりをしよう」
あずみ「えーそれはつまらないー」

口を丸くしてつれない宣言をとがめる。仕草は可愛いが彼女は僕の仲間となるべき人だ。そうである以上は
役に立ってもらわないといけない。抗議を風に受け流し、意見を続ける。

岬「それだけの距離へガッツが無くなると、試合になったら途中で動けなくなるよ」
あずみ「うー、確かに後半からキツクなるけどさあ……」
岬「頼むよ。僕だって試合が終わるまで一緒にプレーしたいんだから。2人で練習すれば1人よりも楽しいよ」
あずみ「ホントね。ウソだったら許さないからね」
岬「大丈夫だって、僕を信じて(2人の方が良いと思って、来てくれたんだから、さ)」
あずみ「うーん」

しょうがないといった表情を顔に浮かべて、こっちへと近づく。タオルなどを入れた袋を
肩にくくりつけた後、歩道へと向かう。

あずみ「何するの」
岬「これからインターバル走をする。全力疾走と小走りを繰り返して、スタミナをつけていくよ」

572 :キャプテン岬 ◆ma4dP58NuI :2018/07/28(土) 18:38:39 ID:Fmp6caUc
岬「あっ、右に公園の入り口が見えるよ。えっと、バガデル公園っていうんだ。公園の中に公園があるなんて、広いなあ」

インターバル中の小走りに入った。大通りから外れたブローニュの小道を2人で走っている。
涼しい風がほおをそよぎ、穏やかな木々に目にしての走りは心地よい。

あずみ「はっ、はっ、ふう、ふう」

あずみちゃんは風景を楽しむゆとりはないらしく、早くも息が上がっている。

あずみ「もう、いいんじゃない、休んでも」
岬「まだだよ。まだ10分ぐらいしか走ってない」
あずみ「えーっ」

恨めし気にこちらをにらみつける。これで休んでは成果はでない。何か工夫が必要だ。

岬「分かった。じゃあ次の電柱にたどり着いたら、休もう。持ってきたサンドイッチもあげるからさ」
あずみ「ホント?それまでなら、頑張る」

何とかやる気を出させ、インターバルを続行する。

573 :キャプテン岬 ◆ma4dP58NuI :2018/07/28(土) 18:40:37 ID:Fmp6caUc
岬「お、あんなところにスポーツ店がある。
  あんなところなら、スパイクとかユニフォームとか、いいのが売られてそうだなあ」
あずみ「次の電柱、次の電柱」

クロワ・カトラン通りにてスポーツ店を見つける。

岬「広々としたところに出たよ。へえゴルフ場だって、奥は……競馬場だ」
あずみ「次の電柱……」

開けたところに出てゴルフ場とロンシャン競馬場を目にする。

岬「馬も歩道を歩いてるよ、のどかだなあ」
あずみ「(次の電柱……って)」

レーヌ・マルグリット通りにさしかかったところで、あずみちゃんが肩をつかんで、叫んだ。

あずみ「公園に電柱なんてあるかーっ!」
岬「(バレたか。30分も気付いてなかったよ)」


あずみ「ひどいよまったく、岬君がそんなことするなんて」
岬「ごめん。少しでも長く一緒に走りたかったから」
あずみ「罰としてこのサンドイッチ、全部いただいちゃうからね!
    美味しいお昼が食べられなくてざーんね、うっ、ケホケホッ!」
岬「あーあー、そんなに焦っちゃあ、はい、お水」

サンドイッチでむせるあずみちゃんにボトルを差し出す。咳き込んだ後でひったくって水を飲み、
はあと大きくため息ついて不平を垂れる。

574 :キャプテン岬 ◆ma4dP58NuI :2018/07/28(土) 18:42:41 ID:Fmp6caUc
あずみ「まったく、これで筋肉痛になったらどうすんのよ」
岬「そうなったらそれは僕のせいだ。治るまでおぶってでも学校へ連れていく」
あずみ「そんな冗談。年寄じゃないし、クラスメイト達に何て言われるかわかりゃしないわ」

プンとした様子は変わらない。練習の方便が相手にとっては嘘とみられてしまったか。

岬「これを週に1度でいいんだ。続けていけば、そう遠くないうちにおしゃべりをしながら走れるようになるよ」
あずみ「ホントね。ウソだったら今度こそ許さないからね。
    まったく。ここまで岬君のリクエストを聞いてあげたんだから、そろそろあたしのリクエストも聞きなさいよ」

そう言うなりあずみちゃんは立ち上がる。

あずみ「ちょっとそこのボクー!ボール貸してくれなーい?」

広場で遊んでいた幼児からボールを借りた後、仁王立ちで僕に宣言した。

あずみ「走り込みはもう終わり!今度はあたしと勝負よ!互いにドリブル勝負でどうかしら?さ、岬君」

軽く足先でボールをこづき、僕に渡した後、後ろに跳ぶ。

あずみ「かかってきなさい、キャプテンも止められなかったドリブル、あたしが止めてやる!」
岬「分かった。行くよ(彼女にも、僕の実力を知ってもらおう。細工は不要だ)」

575 :キャプテン岬 ◆ma4dP58NuI :2018/07/28(土) 18:44:37 ID:Fmp6caUc
★岬 ドリブル 21(! card) +(! dice +! dice)=★
★あずみ タックル 13(! card) +(! dice +! dice)=★

と書き込んで下さい。!とcardの間を埋めると数値化し、カードやダイスの結果で分岐します。

MAX【攻撃側】−MAX【守備側】
X≦9あずみ「岬君ってこんなに強かったんだ……」岬「(おや、あずみちゃんの表情が……)」
2≦X<9→岬「よし」あずみ「そ、そんな!」
−2>X<2→あずみ「ええい!」岬「(く、ここまでとは!)」
X≦−2→岬「(なにィ!)」あずみ「ふふーんだ。あたしすごいでしょ!」

【補足・補正・備考】
岬:ダイヤで「やや華麗なドリブル(+2)」
*現在マリーシアは封印しています。



一旦この場を離れます。ひょっとしたらこれが今日最後の投稿になるかもしれませんが、
その時はどうかご了承を願います。

576 :森崎名無しさん:2018/07/28(土) 18:51:08 ID:???
★岬 ドリブル 21( ダイヤ10 ) +( 1 + 1 )=★

577 :森崎名無しさん:2018/07/28(土) 19:05:56 ID:???
★あずみ タックル 13( スペードK ) +( 2 + 4 )=★

578 :森崎名無しさん:2018/07/28(土) 19:06:27 ID:???
★あずみ タックル 13( ハート5 ) +( 2 + 5 )=★

579 :キャプテン岬 ◆ma4dP58NuI :2018/07/28(土) 19:56:51 ID:Fmp6caUc
すみません。岬のドリブル値は23の誤りでした。結果は変わりませんので、
数値だけを訂正して続けます。そして今数えてみたのですが、最後にサッカーの判定したのは実に8カ月も前でした。
サッカーの物語にも関わらず、ここまで遅くなってしまった事にも、お詫び申し上げます。

580 :キャプテン岬 ◆ma4dP58NuI :2018/07/28(土) 20:01:44 ID:Fmp6caUc
★岬 ドリブル 23( ダイヤ10 ) +( 1 + 1 )+(やや華麗なドリブル+2)=27★
★あずみ タックル 13( スペードK ) +( 2 + 4 )=19★
2≦X<9→岬「よし」あずみ「そ、そんな!」
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
岬「いくよ(思い知らせてあげる。僕との実力差を、ね)」

あずみの元へ駆け寄る。インターバルの件もある、ここらであずみちゃんにも
僕の実力をしってもらい、素直に話を聞いてもらえるようにしよう。

あずみ「(よーし、ここで止めてギャフンって言わせてやる!)」
岬「(って言いたげな顔してるな。ここは)」

ポン。

岬「(ボールをこうして軽く蹴る)」
あずみ「(えっ?どうしてボールをあたしへ……?)」
岬「(当然相手は戸惑う。もちろんボールをプレゼントする訳じゃない)」

トッ、キュルルル……

あずみ「(ボールが、戻った!あ、待て)」
岬「(目をパチクリして可愛いなあ。さて、慌てて釣り出て来たところを)」

トッ、ポーン。

あずみ「ああっ!」
岬「(上へ逃がす。はい、おわり)」

つま先でボールを蹴ってあずみちゃんの頭上を飛び越させる。
すっかり動きが止まった相手を尻目に、悠々と横を抜けていった。

581 :キャプテン岬 ◆ma4dP58NuI :2018/07/28(土) 20:03:20 ID:Fmp6caUc
岬「さ、次は僕が守る番だっけ」
あずみ「え?」

間の抜けた返事が返ってくる。同い年の相手に完敗したときに出す、見慣れた声だ。

あずみ「え、ええ、そうよ!今度はあんなトリックなんかに負けないからね!」
岬「そうかな?(トリックねえ、ま、これを見てもそう言えるかな)」


★あずみ ドリブル 14(! card) +(! dice +! dice)=★
★岬 タックル 21(! card) +(! dice +! dice)=★

と書き込んで下さい。!とcardの間を埋めると数値化し、カードやダイスの結果で分岐します。
なお、今回はイベント戦のため怪我は発生しません。

MAX【攻撃側】−MAX【守備側】
2≦X→岬「(なにィ!)」あずみ「ふふーんだ。あたしすごいでしょ!」
−2<X<2→あずみ「ええい!」岬「(く、ここまでとは!)」
∸7<X≦−2→岬「よし」あずみ「そ、そんな!」
X≦∸7→あずみ「岬君ってこんなに強かったんだ……」岬「(おや、あずみちゃんの表情が……)」

582 :森崎名無しさん:2018/07/28(土) 20:05:31 ID:???
★あずみ ドリブル 14( スペード9 ) +( 1 + 6 )=★

583 :森崎名無しさん:2018/07/28(土) 20:09:12 ID:???
★あずみ ドリブル 14( ダイヤ8 ) +( 6 + 4 )=★

584 :森崎名無しさん:2018/07/28(土) 20:14:06 ID:???
★岬 タックル 21( ハート5 ) +( 3 + 3 )=★

585 :キャプテン岬 ◆ma4dP58NuI :2018/07/28(土) 21:23:00 ID:Fmp6caUc
★あずみ ドリブル 14( スペード9 ) +( 1 + 6 )=21★
★岬 タックル 21( ハート5 ) +( 3 + 3 )=27★
∸7<X≦−2→岬「よし」あずみ「そ、そんな!」
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
あずみ「いっくわよー!GO!」
岬「(勢いよく迫ってくる、さっきの負けがこたえてるな)」

走るというより体当たりをかまそうとするような勢いで、襲い掛かってくる。

あずみ「(ここで、切り込む!)」
岬「(スピード、パワー、ボールさばき。この年の女の子でこれは凄い。育てれば伸びるだろう)」

彼女と対峙する。ここまでの彼女の実力を見るに、ポテンシャルは相当に高いものが有る。
きっちり時間を投資して、僕のパートナーを任せられる程にもなれるだろう。

岬「(とはいえ、今は実力差を分からせる時だ。それを分からせるのは。そうだな)」

視線が進む方向へ流れている。ボールの先と反対、これから切り返すのだろう。

岬「(自分の動きが読まれてるってのが、手っ取り早いかな?動きが分かれば先読みは簡単だ)そこっ!」

シュッ!
バチッ!

あずみ「そ、そんな!(早い、早すぎる!切り返そうと思った瞬間に取られるなんて!!)」
岬「(ポカンとしてる。大体は想像つくけど…何を思ってるか、分かるといいのになあ)」

586 :キャプテン岬 ◆ma4dP58NuI :2018/07/28(土) 21:25:23 ID:Fmp6caUc
こうして攻守ともに順当に勝利する。脚についた芝生を払った後、ボールを取り上げて告げる。

岬「さ、もういいかな?そろそろボールを返してあげないと」

借りていたボールの返却を催促してみる。彼女の気性からしてこう言われれば、
残りの気力を振り絞って立ち向かってくれるはずだ。

あずみ「ま、まだ!まだよ!今度こそ!」

傍目から見ても分かるほどにムキになって、あずみちゃんが言葉をさえぎる。

あずみ「あたしのシュートを受けて見なさい!あたしのシュートはチーム1!
キャプテンにもそう認められたシュートで、吹っ飛びなさい!」

サッカーゴールを指さして絶叫する。あそこに向かってキーパーになれというのだろう。
あいにくキーパーの経験はただの1度もない。ブロッカーとして向かうほかは無いだろうが。
それでも数値からいえば、決して危険な勝負ではない。

岬「分かった。じゃあ僕はゴールを守ればいいのかな」
あずみ「そう、今度こそあたしが勝つ!こうなったらとっておきを見せてあげる!」

いきり立つ相手の様子を眺めながら、ゴール前に立ってボールをみやる。
これも苦労なく止められるはず。そう思っていた。

あずみ「行けえええっ、クラブドライブ!」
岬「……え?」

587 :キャプテン岬 ◆ma4dP58NuI :2018/07/28(土) 21:28:20 ID:Fmp6caUc
★あずみ クラブドライブ 18(! card) +(! dice +! dice)=★
★岬 ブロック 20(! card) +(! dice +! dice)=★

と書き込んで下さい。!とcardの間を埋めると数値化し、カードやダイスの結果で分岐します。

MAX【攻撃側】−MAX【守備側】
2≦X→あずみ「いやったあああああああああああああ!」岬「(耳が!耳がああっ!)」
−2<X<2→「よし」あずみ「あ、あたしのとっておきが……!」
X≦−2→あずみ「岬君ってこんなに強かったんだ……」岬「(よし、あずみちゃんの表情が……)」
【補足・補正・備考】
あずみ:クラブドライブ(シュート力+3、クラブでさらに+1)150消費



あずみちゃんがまさかの必殺シュート!果たしてこれを止められるか?っといったところで、
今日はここまでに致します。ちなみに、必殺技の元ネタについてはこれを参照の事。
Club Drive - Atari Jaguar
http://www.nicovideo.jp/watch/sm5656725

588 :森崎名無しさん:2018/07/28(土) 21:29:08 ID:???
★あずみ クラブドライブ 18( ダイヤ8 ) +( 4 + 6 )=★

589 :森崎名無しさん:2018/07/28(土) 21:30:20 ID:???
★岬 ブロック 20( クラブQ ) +( 5 + 5 )=★

590 :森崎名無しさん:2018/07/29(日) 17:06:00 ID:???
1995年ってセガサターンにデイトナUSAが発売された年だぞ
なんだこれはたまげたなあ

591 :森崎名無しさん:2018/07/29(日) 17:21:41 ID:???
どのメーカーも3Dゲームの開発方法を模索してた時期にしてもこりゃ酷い出来だな
同じ年のエースコンバットとかグラが荒くても面白さはよく分かる仕上がりだし

592 :キャプテン岬 ◆ma4dP58NuI :2018/07/29(日) 17:34:35 ID:P+7ikf8E
これより投稿を開始いたします。

>>590
>>591
世界で一番早くポリゴンをゲームに取り入れた会社が、どうしてこうなった……
http://www.nicovideo.jp/watch/sm17311472



★あずみ クラブドライブ 18( ダイヤ8 ) +( 4 + 6 )=28★
★岬 ブロック 20( クラブQ ) +( 5 + 5 )=30★
−2<X<2→「よし」あずみ「あ、あたしのとっておきが……!」
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
風を切る音を響かせて頭上へとボールが浮かぶ。これからゴールを目指して落下するのだろう。
そう見立てたボールに不思議な事が起こりはじめた。

岬「(ボールが…震えはじめた!)」

放物線の頂点にいたったボールがかすかに震えた。そう思った次の瞬間には、
誰が見ても分かる程度にグラグラと震えはじめた。

岬「(ボールがぶれて、輪郭があいまいになってきている)」

重力に沿って落ちていくたびに、ボールのブレは大きくなり、昔テレビの科学番組で紹介された
電子雲みたいに、ボールと空の境が分からなくなってきた。

593 :キャプテン岬 ◆ma4dP58NuI :2018/07/29(日) 17:35:42 ID:P+7ikf8E
岬「(このままじゃ僕の間をすり抜けてしまう。それなら)」

咄嗟に判断を固め、ボールめがけて飛び上がる。

岬「(ブレが大きくなる前に、止めてしまえばいい)」

バッ!
カアァァァ……ッ。

胸でボールをトラップする。回転に比べ威力はそれ程かかっておらず、あっという間に
勢いは収まり、僕と共に下へ落ちていった。

岬「よし、と(こんな技があるなんて、驚いた。ここまでやるなんて、ますます、おや)」
あずみ「あ、あたしのとっておきが……あたしの最高の技なのに……!あっさり、とられ……!」

岬「(あらら、ショックを受けてるな。やる気をなくす前にフォローしないと)あずみちゃん」

呼びかけに驚いたのか、ハッとした顔で僕を見つめる。
どう接していいか分からないのかもしれない。ならば強気に押すまで。

岬「休憩しよう。ちょっとリラックスしないと」
あずみ「でも」
岬「僕に勝てるようになる方法、教えてあげる」
あずみ「え」

594 :キャプテン岬 ◆ma4dP58NuI :2018/07/29(日) 17:36:46 ID:P+7ikf8E
どういうこと。そう聞きたげに顔を向けてくるも、問いをかわしてベンチに向かう。
やむなくあずみちゃんもベンチに向かい、追い付いて僕の隣に座ってから、改めて投げかけた言葉の意味を問い質した。

あずみ「岬君に勝てるやり方って、どういうこと」
岬「簡単だよ。僕のサッカーの練習法を取り入れる事」
あずみ「練習法?岬君があんなに強いのは訳があるの」
岬「まあね、日本にいた頃なんだけど、小学校のサッカー部のコーチに、
  ブラジルの元プロサッカー選手がいてね。その人に色々教えてもらったんだ」

あずみ「ブラジルの……プロサッカー選手ぅ?!」

はじめポカンとして、次に素っとん狂な叫び声を上げた。ブラジルのプロなどという存在など、
日本人の何てことないサッカー少年少女には、雲の上どころか金星火星程にも隔絶した存在だ。
そんな相手を知っているどころか、直々にサッカーを教わるなど、到底信じられる話ではない。
そう疑われるのは困るので、日本で指導を受けその結果大会で優勝した事。
その合間合間に戦った相手のバックボーンを語るついでに、日本中を渡り歩いた僕のこれまでについても、語ってみた。

あずみ「岬君って、そんなに凄かったんだ……」

595 :キャプテン岬 ◆ma4dP58NuI :2018/07/29(日) 17:38:42 ID:P+7ikf8E
僕を見る瞳に尊敬の光が見え始めたが、すぐにほおを膨らませてすねはじめた。

あずみ「うえーずるいよー、そんなターボエンジン付けて自転車と勝負するようなもん、追い付けるわけないよー」
岬「だから僕の学んだ練習法を、あずみちゃんもすればいいんだよ。そうすればすぐ追い付けるし、追い越すのも遠い話じゃない」
あずみ「追い越す、あたしが?」
岬「そう、あずみちゃんは天才だからね」
あずみ「て、天才?あたしが!?」

思わぬ言葉だったのだろう、オロオロとしはじめた。ウソだと反発しないところを見ると、
僕の言葉を信用してくれているのだろう。

岬「間違いない。同い年の女の子でここまで出来る人は日本中回っても見た事ないよ。いや男の子だって数える位しかいない。
それにさっきのシュート。あんなに回転をかけたのはただの1度も見た事ない。もちろん僕にそんな事はできやしない。
間違いなく、あずみちゃんは僕以上の才能がある」

596 :キャプテン岬 ◆ma4dP58NuI :2018/07/29(日) 17:41:19 ID:P+7ikf8E
あずみ「う、ウソよ。あたしが天才なんて」

カーっと顔が赤くなっていく。無理もない。
誰がこの一介の少女に全国大会の優勝チームメンバーより才能があるとまで言われただろうか。

岬「本当だよ。賭けてもいいぐらいだ」
あずみ「本当ね。本当に本当ね」
岬「本当だ」

力強く念を押す。その言葉でようやく決心がついたらしい。あずみの目が輝いた。

あずみ「なる、必ずもっと上手くなって、岬君と一緒にサッカーできるようになる。
    そして他のやつらをみーんな見返して、それから、えっと」
岬「(よし、完全にやる気になってくれた。これからあずみちゃんに何を語りかけようかな)」

A 岬「来週また一緒にここで練習しない?(10月以降についても話し合っておきたいし)」
B 岬「これからはみんなとの練習も毎回行こう、ね(他の人と解けこんでくれればいいんだけど)」
C 岬「来週にでもサッカー雑誌買いに行かない?いい所見つけたんだ
   (ル・エストでも紹介してみて、もっと早く上達してもらおう)」
D その他、自由回答(その他、要2票)

先に1票入った選択肢で進行します。メール欄を空白にして、IDを出して投票してください。


一旦席を外します。ところでこのごろ思うのですが、少々描写が足りていないでしょうか?
人物の心情については特に毎回困っていて、おざなりすぎないか毎回不安になってます。

597 :森崎名無しさん:2018/07/29(日) 20:26:25 ID:dL8JxZZA
B

598 :キャプテン岬 ◆ma4dP58NuI :2018/07/29(日) 20:57:44 ID:P+7ikf8E
B 岬「これからはみんなとの練習も毎回行こう、ね(他の人と解けこんでくれればいいんだけど)」
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
僕の夢を叶えるには、その根城となるサッカー部を強化する必要がある。
そのためには訓練も必要だろうがまずはチームだ。
サッカー部をより良くしようという気を持ってもらわない限りは折角の才能も生かせない。
そう思ってあずみちゃんに声をかけてみた。その結果は……


先着で
★岬に対する高揚感VS先輩達への不満→! card ★
と書き込み!とcardの間の隙間を埋めて下さい。マークで分岐します。

JOKER→ダイヤ+あずみ「そう言えば、あたしのクラスメイトで
           サッカーが上手い女の子がいるわ、サッカー部には入ってないけど」
ダイヤ・ハート→あずみ「岬君みたいな人って、他にもいる?」
        岬「いる。チームにいなくても対戦相手にいるかもしれないし、
          サッカーにのめりこむうちに変わっていく人もいる」
スペード→あずみ「……よーし、先輩達にあたしの才能を見せつけてやるわ!」
     岬「(まだ1人よがり気味だけど、僕がついていれば直るかな)」
クラブ→あずみ「分かんない。しばらく岬君とサッカーしながら、考えたい」
    岬「(僕が「他人とサッカーしたい」って欲求を引き出す必要があるな)」
クラブA→あずみ「……やだ。やっぱり先輩達とはしたくない」
     岬「(うーん、これは先輩達への下準備が必要だな)」

599 :森崎名無しさん:2018/07/29(日) 21:00:32 ID:???
描写は足りていると思う。不自然には見えない

600 :森崎名無しさん:2018/07/29(日) 21:18:04 ID:???
★岬に対する高揚感VS先輩達への不満→ スペードQ

601 :キャプテン岬 ◆ma4dP58NuI :2018/07/29(日) 22:54:00 ID:P+7ikf8E
スペードQ→あずみ「……よーし、先輩達にあたしの才能を見せつけてやるわ!」
     岬「(まだ1人よがり気味だけど、僕がついていれば直るかな)」
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
すっくとあずみちゃんが立ち上がって拳を天高く挙げる。

あずみ「……よーし、先輩達にあたしの才能を見せつけてやるわ!」

高く響く少女の宣言に、周りのフランス人達が振り向く。アジアの言葉など分からない。
年端のいかぬ女の子の叫びに奇異の視線を向ける。だが彼女は全く気にしていない。
やる事が見つかって情熱燃えたぎる時は他人の目など意識にも上らないものだ。

岬「(いい闘志だ。まだ1人よがり気味だけど、
   僕がフォロー、いやエスコートしていけば、意固地な態度もほぐれるだろう。
   やはり彼女は、僕にとって大事な仲間になりそうだ)」

やる気に燃える少女の姿を横目で眺めて、僕も密かに決心する。この少女の決意を
決しておろそかにしない、一本気で向かっていく志は金や謀略では手に入らない。
そういう心を持った人間を仲間にできるかが、ひいては夢の実現に関わってくるだろう。

岬「うん、いい言葉。僕もやる気が出てきたよ」
あずみ「岬君も?あたしも!見て!」

あずみちゃんは左腕をまくってみせる。肌の隅々まで体毛が勢いよく粟立っている。

あずみ「こんなのはじめてよ!よーし行くわよ練習再開!今日は1時間でも2時間でも走るわ!」
岬「分かった。僕も頑張るよ(さっきとは大違いだ。本当に、上手くいった)」

こうして、僕達はこの後インターバル走を再開した。あずみちゃんの熱気に影響されたのか
僕も何だか体中に熱い液が流れるような興奮が来て、全く疲れる事なく走り続ける事が出来た。

602 :キャプテン岬 ◆ma4dP58NuI :2018/07/29(日) 22:58:16 ID:P+7ikf8E
*岬とあずみの感情が以下のようになりました。
岬→(興味)→あずみ
あずみ→(尊敬するサッカー仲間・対等なゲーム仲間)→岬



>>599
そうだとしたら少しほっとしました。岬と女の子達の仲の進展が
少し急、ご都合主義的なように感じられましたし、もっと自然にできたような気がしていましたので。


もう少し続けます。こんな燃えるサッカー展開になりながらアレですが、
次からは例のナムコゲームセンターに舞台が移ります。
今後の展開に必要ともなりますので、どうかご容赦を願います。

603 :キャプテン岬 ◆ma4dP58NuI :2018/07/29(日) 23:01:19 ID:P+7ikf8E
第16話『ザカート・デロータ・ガルゾ(魔法、希望、そして……)』


1983年9月17日。
今の僕はフランスはパリ、ヴォルテール通りのPLAYCITY CARROTの前に来ている。
あずみちゃんのゲーム会社アタリフランスから道路を1本隔てた向かい側に位置し、今日オープンするというゲームセンターだ。
あずみちゃんにビデオゲーム(ゲームセンターや家庭用ゲームをまとめてそう呼ぶらしい)の
面白さを教えてもらって以来、飛躍的にこうしたゲームへの関心が高まってきている。
日常とは違う別世界。サッカーとも違う異次元の世界に対する刺激を味わってみたくて、今日こうして長時間歩いてやってきたのだ。

岬「(そうしてみたらこれだよ。長いなあ)」

着いてみてまず目にしたのは、店内からはみ出て街路にそって続く行列だった。
今この光景を目にしているかは分からないが、あずみちゃんが見ていたら血の涙を流して
もだえ苦しむ事だろう。それほどまでにこのゲームセンターは繁盛しているようだった。

岬「(暑い中待っているのは大変だ。空いている筐体もあるかもしれない。一体中を見に行こう)」

行列に並ぶのは一旦やめて店内に向かう。そうして人生2番目、自分の意志だけで初めて入った
ゲームセンターの中をのぞくと、すぐにアタリとの違いが見えてきた。

アタリの時は、日本でチラリと見たゲームセンターもそうだったが、
一応に暗く筐体の光がボワッと光り、また数を多くそろえるために筐体が敷き詰められていて、
所々歩きづらい所もあり、まるで秘密基地のような異世界感さえ漂っていた。
ここはそうではない。ちゃんと電灯が部屋の隅々まで光り、筐体の間は十分なスペースが設けられていて、
アタリの何倍も人がいるにもかかわらず、皆悠々と歩き回ってゲームに興じている。

604 :キャプテン岬 ◆ma4dP58NuI :2018/07/29(日) 23:04:12 ID:P+7ikf8E
岬「(なんていうか、開放的というか、こんなゲーセンがあるんだなあ)」

そんな事に感心しながら歩いていると、ひと際賑わっている筐体を見つけた。
よく見るとその後ろは行列ができている。外まで伸びていたあの行列だ。
筐体の周りにも見物客でごった返していて、ここからではなかなか見えない。
辛うじて見えるのは僕よりは背の高い、しかしそれ程年頃の変わらない現地人の少女が
周りと話しながらゲームをしている姿だった。

岬「(混んでるなあ、うーん、他は……あれ?)」

あまりの混雑ぶりに一旦下がって周りを見渡すと、ゲームセンターであまりに奇異な光景を見かけた。

何故かは知らないがゲームセンター内にある4・5メートル四方の空間。そこで男の子が絵を描いていたのだ。
もう少し具体的に見ていくと、年頃は僕よりも幼く小学生になったかなってないか位。顔つきからして同じ日本人だ。
その男の子がゲームセンターで絵を描いている。
それも左手にパレット、右手に絵筆を握り、イーゼルでキャンパスを固定させて描く、本格的な絵画だ。
どう考えても場違いなその光景にまず目を疑い、次に困惑した。こんな混雑して騒がしい所で、何の絵を描こうというのだろう。

岬「(うーんゲーセンって不思議なところだ。こんなのが見られるなんて。さて、どうしようかな)」


A 岬「(どんなゲームをしてるんだ?)」人込みにもぐりこんで、金髪少女の名プレイを観察する
B 岬「(何で絵なんて描いているんだろう)」ゲーセンの絵描き少年を尋ねてみる
C 岬「(折角来たんだし、僕もゲームしよっと)」 05 分ゲームする(3分につき4フラン使う)
D その他、自由回答(要2票)

先に1票入った選択肢で進行します。メール欄を空白にして、IDを出して投票してください。



……以上で今日の投稿を終わります。

605 :森崎名無しさん:2018/07/29(日) 23:16:36 ID:dL8JxZZA
B

606 :森崎名無しさん:2018/07/30(月) 07:25:59 ID:QM2MBmOI
B

607 :キャプテン岬 ◆ma4dP58NuI :2018/08/04(土) 06:21:33 ID:hSNFBJZ6
第16.1話『遥かなる地上絵』



B 岬「(何で絵なんて描いているんだろう)」ゲーセンの絵描き少年を尋ねてみる
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
 ゲームセンターの絵描きというあまりに不調和な光景、小説でも漫画でも映画でもテレビでも見ないような
展開を目にしてしまっては、とても無視する事などできなかった。
 人込みを抜け林立する筐体を越えて、少年の元へやってきた。そのまま声をかけようと思ったが、
周囲の騒ぎ声や明滅する光の乱舞を一顧もせずただ一心に絵を描き続ける姿を見て、
今すぐ声をかけずに、1歩離れたところで待っていようと気をかえた。
釣りをする太公望を日が暮れるまで待ち続けた周の文王みたいで、どことなくこそばゆい。
そんな滅多に経験できない、しかしマニアックな感情にとらわれていては時間の無駄なので、
少年と夢中で描いている絵を、気付かれないよう観察してみた。
 目の前の男の子は見る感じでは確実に僕より年下、双海姉妹と同じか一つ二つ年上といった具合だろう。
紙の色は黒というより濃青色で、所々髪がはねてはいるものの
この騒がしさのためか、どことなく清浄感をまとっているような感じがする。
そんな男の子がこんなところでどんな絵を描いているか。
 もうほとんど描き上げているらしく周囲は全て仕上っており、後は中央で描いている何物かが終われば、絵が完成するようだ。
場所は南アメリカの森林地帯だろう、そこで戦闘機が天高く空を飛んでいた。
その戦闘機は上下2つのロケットエンジンノズルを中心にH字型の翼がつけられた、
スペースシャトルを戦闘型に改造したような形をしていて、近未来の戦闘機であるようだった。
白地に青で縁取られたカラーリングは機敏であり、どこかしら清浄感さえ感じさせる。
 その戦闘機が目指す先には青く澄んだ空に地平線を覆うアンデスの山々が備わっている。戦闘機と天地の間でかすかに見える
気流による速度感と清らかさが、どこか遠くの世界へと連れ去ってしまいそうになる。
 そして男の子が最後に描いている、山脈の手前から中央にかけて意気揚々と広がっているものは、
砂地に線で描かれた鳥の絵、アンデス文明の象徴ナスカの地上絵だ。
縮こまることなく悠々と大きく翼を広げ、クチバシは山につきささりそうになるほど長く伸びている。
太陽の光を反射させているからだろう、鳥が輝いているように見えた。

608 :キャプテン岬 ◆ma4dP58NuI :2018/08/04(土) 06:22:55 ID:hSNFBJZ6
右翼の羽の先まで絵筆が進む。羽先でそれ以前に描いていた羽の部分に触れた。完全に絵が描き上がったようだ。
一仕事を終えて満足そうにため息をつき、気持ちよさそうに伸びをしはじめた。
伸びは勢いが良く、座っている椅子をきしむほどに傾ける。そうして後ろへと視線が伸び、僕の目線と重なった。

男の子「……あ」

我に返る。急に意識が変わった事で、筋肉の緊張が抜ける。男の子がそう気づいた時には
椅子は後脚を軸に時計回りの回転運動に移りはじめた。

岬「(あぶない)」

とっさに椅子の縁をつかんで、転倒を食い止める。幸いほとんど落ちないうちに止めたので、
男の子は全く怪我をせずに済んだ。その男の子は急な変化に目をパチクリさせていたが、
様子が落ち着いてくると急に申し訳なさげに顔を曇らせ、椅子から降りて僕に頭を下げた。

男の子「あの、助けてくれてありがとうございました」
岬「あ、いや、いいんだよ、たまたま手が届いただけだから」

ペコリと頭を下げてから、僕にお礼の言葉を言う。
僕に気付いてからの一連の仕草を見て、

岬「(あどけない)」

と、感じてしまった。双海姉妹のような背伸びをしてスレたように見せかけるところがない。
ありきたりな表現だけど、自然の感情がそのまま湧き出て生まれたような子だ。

609 :キャプテン岬 ◆ma4dP58NuI :2018/08/04(土) 06:25:04 ID:hSNFBJZ6
岬「(って、いけない。ついボーっとしちゃってた。話をしないと)今、時間大丈夫?良かったら話がしたいんだけど」
男の子「あ、はい、大丈夫です」
岬「ありがとう。えっと……」


A 岬「僕は岬太郎、来月から日本人学校6年生のクラスに入るんだ。君は?
   (まずは自己紹介だ。この子もおそらく日本人学校に通ってるだろうし、仲間意識を持ってもらえれば)」
B 岬「新しいゲームセンターが出来るって聞いて、やってきたんだ
   (ここにいるからにはゲームに関心があるだろうし、ゲーム方面から仲間意識をくすぐってみよう)」
C 岬「なんでナスカの地上絵?(ゲームとは無関係そうな文化遺産の絵を、なぜゲームセンターで?)」
D 岬「親とか兄弟とか、付き添いの人はいないの
   (こんなところを子供1人で来れるはずない。その付き添いの人とも交流が持てれば)」
E 岬「片づけ終わったら僕と勝負しない?少しは出来ると思うよ
   (ゲームセンターにいるんだし、親交はゲームで深めるのが一番だろう)」
F その他、自由回答(要2票)

先に1票入った選択肢で進行します。メール欄を空白にして、IDを出して投票してください。

610 :森崎名無しさん:2018/08/04(土) 09:10:33 ID:lctei5eY
A

611 :キャプテン岬 ◆ma4dP58NuI :2018/08/04(土) 10:45:54 ID:hSNFBJZ6
A 岬「僕は岬太郎、来月から日本人学校6年生のクラスに入るんだ。君は?
   (まずは自己紹介だ。この子もおそらく日本人学校に通ってるだろうし、仲間意識を持ってもらえれば)」
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
問いかけたい事は色々あったが、まずはこれからの生活に当たって、縁をつないでおく事が先決だ。
そう考えた僕は、まず自分と同じ日本人学校の生徒だと、簡潔に自己紹介を行った。

男の子「岬さん、あ、岬先輩ですね」
岬「岬さんでいいよ。そんな堅苦しい言い方は好きじゃない。僕は君と友達になりたいんだ。
  あと、できれば『君』じゃなくて、名前が知りたいな」
男の子「あ、はい。岬さん。僕はきさらぎゆうって、言います。ゆうって呼んでください。
    きさらぎ君だと、お姉ちゃんみたいで、ちょっと」
岬「きさらぎゆう、って月の如く優しいって書くかな」
優「はい。そうです」

まずは男の子の名前を聞き出せた。ついでに姉の存在も確認できたが、今はそれよりも優の情報だ。

岬「そうか。優君は何年生?」
優「3年生です」
岬「3年生かあ。僕も人の事は言えないけど、誰か付き添いの人はいないの?」
優「いません。お姉ちゃんはゲームに興味が無いし、お母さんはいつも忙しくてなかなか来てくれないです。

岬「(『なかなか来てくれない』?お母さんはゲームに理解があるのかな)」
優「真美ちゃん亜美ちゃんとはよく行くけど。今日は用事があるって」
岬「用事?」

612 :キャプテン岬 ◆ma4dP58NuI :2018/08/04(土) 10:47:23 ID:hSNFBJZ6
外ではアタリのゲームを、家では(未確認だが)コレコビジョンを、学校でさえMSXでゲームを作っている、
あのゲーム大好き童女達がどうしたのだろう。

岬「へえ、あの子達がねえ」
優「岬さんはあの2人を知っているんですか?」
岬「うん、ちょっと前にね。結構ゲーム好きだったと思うんだけど」
優「何でもクラブの部長さんから招集をかけられたっていう事で、カセット作りのお手伝いに
  出かけるって言ってました。ほうびにその部長さんが組んだプログラムのゲームを
  カセットに焼いて、プレゼントしてくれるそうです」

岬「なるほど、それで1人でやって来たんだ」

優がここに1人でいる理由も分かった。ついでに双海姉妹との付き合いも分かった。
そろそろ何でここで絵を描いているのか。どんな思いで描いているのか聞こうと思ったが、
ちょうどその時、外から打撃音と悲鳴が聞こえてきた。



*優君が描いている絵のイメージ(一部相違あり)
http://fanblogs.jp/retrogamerz/file/xevious-fad-01.jpg

613 :キャプテン岬 ◆ma4dP58NuI :2018/08/04(土) 10:49:00 ID:hSNFBJZ6
第16.2話『男の名はスコット』



突如としてガラスが勢いよく叩き割られる音がし、すぐに悲鳴が続いて響いた。
振り返ってみると、1人の男が両手でにぎる何本ものボトルを振り回しながら、ゲームセンターの客を追い払っている。
床には深い赤色の液体が散らばっている。ガラスの破片も散らばっているところをみると、
男の手にしたワインボトルがたたきつけられたのだろう。

男「失せろ失せろ!ゲームなんかするんじゃねえ!」

大声でわめきながら振り回す。ボトルが宙を回るたび、周囲の客の手や顔や腕をかすめそうになる。
当然客達は悲鳴を上げて逃げ出す。

男「お前も!お前も!お前も!お前もだっ!」

外まで行列を作っていたところへも浮浪者が襲いかかる。たちまちクモの子を散らすように一目散に逃げ散る。
追い散らした客には追いかけようとはせず、代わりに叫び始めた。

男「ゲームなんかやめちまえ!いくら熱中しても、工夫しても、夢中になっても!」

思い切りボトルを床にたたきつけて、ゲームセンターが崩れんばかりの大声で、叫んだ。

男「結局俺みたいに、俺みたいに全てを失うだけなんだっ!!」

614 :キャプテン岬 ◆ma4dP58NuI :2018/08/04(土) 10:53:22 ID:hSNFBJZ6
岬「(あれは危険だ。相当興奮してるぞ。早い所ここから……おや)」

僕は目を丸くした。僕が見た時にプレイした少女が逃げるどころか姿勢を崩しさえせずゲームに夢中になっている。
すぐ近くではガラスの破片をやたらめったら踏みづぶし、地団駄踏んでいる暴れ者がいるにも関わらずにだ。
その暴れ者がが少女の方へ向かいだした。このままではあの少女に危害が加わるかもしれない。
かといって助けに行けばまず間違いなく痛い目にあうだろうし、後ろにいる優の事も気がかりだ。

岬「(うーん、ゲームセンターに来ただけでこんな事になるなんて。どうすればいい)」

必死に頭脳をフル稼働させ、なんとか打開策を考える。そうしてとっさに出した僕の結論は……


A 岬「(引きはがしてもあの女の子を外へ連れ出そう、優には別周りで外へ出てもらえばいい)」
B 岬「(浮浪者の前に言って説得しよう。知恵を使ってこの場を切り抜けるんだ)」
C 岬「(僕には関係ない事だ。それよりは知り合った優を守らないと)」
D その他、自由回答(要2票)

先に1票入った選択肢で進行します。メール欄を空白にして、IDを出して投票してください。

615 :森崎名無しさん:2018/08/04(土) 11:31:48 ID:???
Aだと間違いなく被害にあう
Bだと興奮した相手を説得できる自信が無い
Cだと優の口から人を見捨てた事を噂されそう、なかなか難しいね

616 :キャプテン岬 ◆ma4dP58NuI :2018/08/04(土) 11:55:14 ID:hSNFBJZ6
>>615
A→引きはがす前にプラグイン判定があります。それ次第で怪我するとは限りませんし、
 上手く行けばノーリスクで問題が解決する可能性もあります。

B→これまでの描写や83年時点でのゲーム事情を考慮すれば、説得の道が見えると思います。
 またAでもそうですが怪我をした際、優や少女の好感度上昇幅がより大きくなるなど、
 全くのマイナスで終わるという事もありません。

C→それについてはプラグイン判定次第となります。優君は心優しい子供なので、
  多分、おそらく、大丈夫でしょう。

617 :森崎名無しさん:2018/08/04(土) 12:28:54 ID:5H0ocyRk

ケガをしても名誉の負傷ってことにもできるし、瓶で殴られても死んだり後遺症が残る可能性もそんな高くない・・・
あ、でも相手がブルガリア人なら相撲レスラー多いから死ぬ可能性あったわ
ヨーグルトがあれば・・・

618 :キャプテン岬 ◆ma4dP58NuI :2018/08/04(土) 13:05:15 ID:hSNFBJZ6
済みません、急用が入りましたので、少々中座いたします。
もしかしたらこれで今日は終了するかもしれませんが、その際は
どうかご了承願います。

619 :森崎名無しさん:2018/08/04(土) 15:38:57 ID:???
パリの市場にブルガリア特製ヨーグルト売ってないかな

620 :キャプテン岬 ◆ma4dP58NuI :2018/08/04(土) 18:06:33 ID:hSNFBJZ6
>>617
ブルガリア人を一体何だと考えているのかと(以下略)。
この男はブルガリア人ではありません。ついでに言えばフランス人でもないのですが、
これ以上はネタバレになるため告げられません。

>>619
岬君のこれからのパリ探索次第、とだけ答えておきます。案外意外なところで売られているかも?



A 岬「(引きはがしてもあの女の子を外へ連れ出そう、優には別周りで外へ出てもらえばいい)」
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
岬「(助けよう)」

自分でも驚くほど迷わず、見知らぬ少女の救出を決めた。まさか死にはしないだろう、
ここで良いところを見せて、後輩と同年代の女の子、ギャラリーに良いところを見せたい。
きっとそんな打算があったからか、不思議と恐怖は感じなかった。

突然の事態にどうしていいか分からずオロオロしている優に、手早く告げる。

岬「優君。今すぐキャンパスを持って逃げるんだ。早くしないとこっちに来る。僕が向かってる間に外へ出るんだ」
優「でも、岬さんが危な」
岬「いいから!僕は大丈夫、さ、できるだけ遠ざかるように逃げるんだ!」

621 :キャプテン岬 ◆ma4dP58NuI :2018/08/04(土) 18:08:21 ID:hSNFBJZ6
口をろくに挟ませず言うだけ言って優を追い立てる。後ろの憂いも無くなって、僕は少女に向けて
走り出した。

岬「(走れ!少しでも速くしないと間に合わない!)」

暴漢に向かっていく。この打算交じりの勇気に対する結果は……

先着で
★走れ岬 ! card ★
と書き込み!とcardの間の隙間を埋めて下さい。マークで分岐します。

JOKER→ハート+少女「ああ……」岬「(潤んだ目でこっちを見て……まさか)」
ダイヤ→男「ぐわっ!」岬「(4フラン硬貨!まさか、あの子が!?)」少女「フフフ……」
ハート→岬「失礼!(見た目を気にしてる場合じゃない)」少女「キャッ!」 
      岬、少女を抱きとって救出成功!絵柄スートで好感度UP
スペード→男「何でこうなっちまったんだよう……」 男は泣き出して暴れるのを止めてしまった
クラブ8〜K→岬「危ない!(無理矢理でも引き離さないと)」少女「キャッ!」 
      岬、少女の腕を引きずり出して救出、9・13だと少女を怪我させてしまう
クラブA〜7→岬「うわっ!(間に合わなかった!)」岬、ボトルをまともに受けてしまう。
                        以下にその内訳を記す。

5〜7:幸い、かすり傷程度で済む、練習等に支障なし。優の好感度UP
3・4:肩の皮膚を切ってしまう。今週(9月第3週)の練習ができなくなる。優・少女の好感度UP
2:脚にに何針も縫う怪我を負ってしまい、 6 週間練習ができなくなる。優・少女の好感度大幅UP
A:岬「……ここは?」優「岬さん!」少女「ミサキ!」 目が覚めると、そこは病院だった。
    2 カ月練習ができなくなる。優の好感度大幅UP、そして少女は……

622 :森崎名無しさん:2018/08/04(土) 18:12:41 ID:???
★走れ岬  クラブQ

623 :キャプテン岬 ◆ma4dP58NuI :2018/08/04(土) 19:33:01 ID:hSNFBJZ6
★走れ岬  クラブQ ★→岬「危ない!(無理矢理でも引き離さないと)」少女「キャッ!」
岬、少女の腕を引きずり出して救出
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
僕は走り出した。だが逃げる客に野次馬が道をふさぎ、さらには床に転がる缶や紙ゴミに足を取られそうになり、
筐体にたどり着いた時には既に暴漢の攻撃範囲が少女にまで届こうとしていた。
少女の方は周りの具合を気づく事さえなく、夢中でボタンを押し、レバーを左右に動かしている。

岬「(相手を待ってちゃ間に合わない。なら)危ない!」

相手の反応を待たず、少女の右腕をつかみ取り、倒すように引き出して保護する。
すぐ目の前でボトルが叩き割られたが、幸い僕も少女もかすり傷1つ追わずにすんだ。

岬「(あとは)」

ギッと目を据えて暴漢をにらみつける。態勢が崩れ、まして少女を胸で受け止めたこの状態では、逃げ出す事もままならない。
せめて気迫で勝り相手に立ち向かおうと、あらんばかりの気迫を叩きつけた。

そうしてにらみ合っているうちに、相手の険しい目つきに次第に迷いが生じはじめ、
ついにはボトルを床に置いて腰を下ろし僕に話しかけた。

624 :キャプテン岬 ◆ma4dP58NuI :2018/08/04(土) 19:34:28 ID:hSNFBJZ6
男「俺の顔を見ろ、そして覚えておけ」

言われてみたので、先程まで暴れに暴れていた男の顔をじっと見る。
あごひげを蓄えひたいは稜々と広がっている。衣服はくたびれ所々に継ぎはぎ、どうみても浮浪者の身なりだ。
ただ、顔つきは若々しく、30を越しているようには見えない。
それだけならまだしも、これ程のあり様なら漂ってくるであろう悪臭も、なぜかほとんど発しない。
街を家にするようになってまだ日が浅いのだろうか。

警官「こらっ、大人しくしろ!」

そんな事を思っているうちに、バタバタと外から警官が現れる。
チッと舌打ちして男は立ち上がり、再びボトルを手にする。立ち去る前に一言、
身なりに似合わぬはっきりした声で、僕に告げて立ち去った。

男「こんな奴になるな、このスコットのように」

そう言って再びボトルを振り回し、外へ逃げていった。
結構警官がいたはずだが、結局スコットという男は捕まらず、パリの奥深くへと逃げ散ってしまった。

岬「(何があったんだろう。何か昔ゲームがらみで悔やむ事があったみたいだけど)」

最後の諭すような言葉に疑問が浮かんでいたが、その後警官に状況の説明を求められ、
結局 1 時間もわたって気を過ごすことになってしまった。

625 :森崎名無しさん:2018/08/04(土) 19:41:11 ID:???
目からビームを防ぐためにサングラスをしてそうだな

626 :キャプテン岬 ◆ma4dP58NuI :2018/08/04(土) 19:48:35 ID:hSNFBJZ6
何とか無事に少女を救い出したところで、今日はこれまでにします。



以下、次回予告。

ゲームセンターから抜け出した岬と優、そして

少女「残念デシタ、もう少しで 500 0000点いったのに」

謎の男スコットから救い出した1人の少女は、大通りを共に歩く。

少女「おお、見えた!我が心眼に映りしは、まさしくバキュラ!」

叫ぶ少女、そしてパリに現れたバキュラ!

優「うわあ!」

罪なき子に迫る危機!

男「人間を肉塊に変える快感、久しぶりに味わえそうだ……」

得体のしれぬ未知の恐怖!


次回第16.4話『危機、そして底知れぬ予感』
どうぞご期待くださいませ。

627 :キャプテン岬 ◆ma4dP58NuI :2018/08/07(火) 23:21:08 ID:N2LHVWyE
親族に不幸がありました事につき、来週の月曜日まで、投稿を休止いたします。
何卒ご理解をお願いいたします。

628 :森崎名無しさん:2018/08/07(火) 23:46:24 ID:???
お悔やみ申し上げます

629 :キャプテン岬 ◆ma4dP58NuI :2018/08/14(火) 18:11:07 ID:1X0jrjxs
これより久方ぶりに、投稿を再開いたします。

>>615
先日はご丁重なお悔やみをいただきましてありがとうございました。
人への感謝の念薄く生きてきたスレ主ですが、幼い頃によく可愛がってくれました相手なだけに
思う所があります。今回あるいは次回の投稿あたりから人の生き死に関わる展開が続きますが、
できるだけ適当に済まさず、納得のいくようによく考えていこうと思います。

630 :キャプテン岬 ◆ma4dP58NuI :2018/08/14(火) 18:12:42 ID:1X0jrjxs
岬「ふうっ」

ようやく警察から解放された。あれこれと予想外の事があったからには
ゲームをする気もならず、ゲームセンターを抜けヴォルテール通りへと歩いている。

1人で帰ったわけではない。先程出会ったばかりの後輩の優、そして。

少女「クミ…ユー、ガストノッチ?」
優「あ、リッジ・ブラジメルゾ、ガァ・ガストノッチ・エルバ」
岬「(なんだこれ)」

優と暴漢から助け出した少女がいる。
青い瞳に腰まで届くポニーテール、キャミソールによって現れている艶やかな肩、
スラリとした白のローライズは赤いヒールで終わっている。
もうあと数年もすればさぞ周りから言い寄られるようになるだろう。

その少女は僕の事をお構いなしに、聞いたことの無い言葉で優とやり取りをしている。
フランス語とも英語ともロシア語とも日本語ともアラビア語とも違う、見当のつかない言語。
さては東南アジアかアフリカか果てはインディアンの言葉でも使っているか。
そんな風にも思ったがゲームセンターで使う理由が無いし、
そもそもそのあたりの言葉は聞いた事もない。さらに言えば、
まだ10歳にも満たない優がスラスラと会話できる言語とは、一体何なのだろうか。

631 :キャプテン岬 ◆ma4dP58NuI :2018/08/14(火) 18:14:43 ID:1X0jrjxs
少女「ジェルダ、グルゼ、フォルサ?」
優「ウ、トサ、アリ・ゲル」

らちが明かないので、少女の方へPardonと断りを入れた後、
優君の肩をポンポンと軽く叩き、日本語で状況の打開を要請した。

岬「いったい何を話しているの。僕の方はさっぱり分からなくて」
優「あ、すみません、ちょっと待ってください。今終わらせます」

そう返事した後で、優がなにやらつぶやく。その言葉を耳にした少女は
パチリとはっきりと分かる瞬きをした後、僕の方に顔を向ける。

少女「これは失礼いたしマシタ。久しぶりにユーに会えましたもので、少々浮かれてしまいマシテ。
   先程はどうもありがとうございマシタ」

ようやくまともな返事が返ってきた。この謎の少女がようやく発した一言から幾つもの情報を得られた。

岬「(日本語が上手いな)」

語尾の抑揚が若干怪しい位で、ほとんど淀みも言い間違いもなく、流暢に日本語を使っている。

岬「(見た目より年齢が上なのか?)」

そうだとしても話しかけてきた言葉が日本語とは珍しい。この歳のフランス人がフランス語でも英語でもなく、
日本語というのがキモだ。先程までのやり取り具合からして、少なくともこの少女と優の間に
友好的な関係が築かれているのは間違いない。

632 :キャプテン岬 ◆ma4dP58NuI :2018/08/14(火) 18:16:01 ID:1X0jrjxs
岬「(まあ、何にしろ折角話しかけてきたんだ。何か話してみようかな。
   いや、優と話してみようかな。この子は日本人学校の後輩になるんだし、
   これからの生活上この子との関係構築の方が優先されるべきかも)」

悟られぬよう表情を変えずに思考をまとめ、僕は相手に語りかけた。

自信があるんだ」 得意分野を加えた自己紹介をしてみる
C 岬「結構熱中してたけど、そんなに面白い?」 先程までのめりこんでいたゲームについて尋ねてみる
D 岬「さっき何語を話していたの?聞いた事もない言葉だね」 優と
A 岬「僕は岬太郎。優君と同じ日本人学校の6年生だよ」 優を介して自己紹介をしてみる
B 岬「僕は岬太郎。ちょっとサッカーには話していた言葉について聞き出す
E 岬「優君はこの人と友達なの?」 比較的親しい優から少女の情報を聞き出す。
F 岬「さっきの絵、もう一度見せてくれる?素敵な絵を描くんだね」 ゲームそっちのけでのめりこんでいた絵について尋ねてみる
G 岬「気分直しにあっちへ行く?あそこも面白いと思うけど」 真向かいにあるアタリゲーセンへと2人を誘ってみる。
H 岬「さっき何を話していたの?日本語でもフランス語でもないからさっぱり」 優が話していた言葉について聞き出す
I その他、自由回答(要2票)

先に1票入った選択肢で進行します。メール欄を空白にして、IDを出して投票してください。

633 :森崎名無しさん:2018/08/14(火) 18:21:46 ID:ZpBt/At6
C

634 :キャプテン岬 ◆ma4dP58NuI :2018/08/14(火) 18:43:06 ID:1X0jrjxs
済みません、用事と執筆のため、1・2時間ほど後で投稿いたします。

635 :キャプテン岬 ◆ma4dP58NuI :2018/08/15(水) 20:40:53 ID:1+dl/I+c
昨日は投稿できずに済みませんでした。少々ゲームの説明描写に難航していまして、
今日も投稿が出来そうにありません。歴史的傑作の魅力を伝えるのに100分の1も伝わったような気がしません。
投稿できるときはせめて10分の1は伝えられるようにしたいです。

636 :キャプテン岬 ◆ma4dP58NuI :2018/08/19(日) 00:12:17 ID:1d+YvWAA
こんばんは、これより投稿をはじめます。

>>625
何か元ネタがありそうですが、よく分からないのでちゃんとした答えが出せませんでした。
回答が遅くなってすみません。

>>628
お悔やみの言葉をいただきましたにも関わらず、返信先を間違っておりまして、
誠に申し訳ありませんでした。お陰様で何とかこちらも落ち着きまして、
すっかり日常に戻る事が出来ました。

637 :キャプテン岬 ◆ma4dP58NuI :2018/08/19(日) 00:15:16 ID:1d+YvWAA
第16.3話『危機、そして殺意の予感』



C 岬「結構熱中してたけど、そんなに面白い?」 先程までのめりこんでいたゲームについて尋ねてみる
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
少女「面白いか、デスッテ」

ふわりと右手人差し指を僕に突き付けてきた。目を大きく開き、わずかに眉間にしわを寄せている。
「こんな当たり前の事をなぜ聞くの?」という彼女の声が、ありありと顔に浮かんでいた。

少女「面白いとかどうとか、そんな次元にはありませんネ。
   これは革命デス。ゲームは新たな次元に達したのです。この『ゼビウス』によって」

スッと今度は優のキャンパスを指さす。絵の題材の話の流れからして、
優の絵は「ゼビウス」というゲームの1シーンを描いているのだろう。

少女「このゲームの偉大な点はプレイすればするたびに出てきます。それらの革新的変化に共通する、ゲーム革命の骨格とは」

再び指を僕に向け、「よく聞きなさい」とばかりに人差し指をクリクリ左右に振る。

少女「ゲームを定義づける『ストーリー』が血肉になっている事デス。
   インベーダーやギャラクシアンといったオールドゲームは『宇宙からの侵略者を片付けろ』程度の筋書きしかなカッタ。
   する事も向かってくる敵をただ撃ち落とすダケ。でも『ゼビウス』はチガウ。
   『ゼビウス』の敵は自機と一直線上になると線からそれるように逃げマスシ、
   戦闘機は攻撃した後に後ろへ逃ゲル!やられるだけの存在じゃなく、
   まるで彼らもどうすべきか考えて動いているように行動するのが、一番の変化ですネ」

岬「(ああ、この子もとってもゲームが好きなんだなあ)」

638 :キャプテン岬 ◆ma4dP58NuI :2018/08/19(日) 00:18:23 ID:1d+YvWAA
アタリのお姫様の姿を思い浮かべながら、目の前の少女を観察する。
目がキラキラとし始めてきている姿は、ほんの数週間前のあずみちゃんや僕の姿とそっくりだった。

少女「ストーリーに深みを持たせるための舞台設定も最高ですネ。ゼビウス星で使われている『ゼビ語』。
   スタートレックのクリンゴン語みたいに、話しているだけでゲームの世界に入ったような気がするワ!
   ゼビ語は私達ゲームフリークの共通言語よ、ね、ユウ」

優「はい、シャルポワさん達と一緒に話しているうちに、
  僕もペラペラになりました。もしかしたらフランス語より上手いかも」
岬「シャルポワ?もしかして、この人の名前?」

シャルポワ「あら?言わなかったカシラ?私のスコアネームですヨ。
      ま、私の事はともかく、ゼビウスの意義についてですガ、ゲーム以外にも巨大な意義がありますネ、
      それこそ、近代史から現代史への道標トシテ。
      そう、大航海時代はじまって500年、余り私達フランスをはじめとしたヨーロッパとアメリカが
      世界をものにしようとしている間、
      文化は全てフランスやヨーロッパ、アメリカから外へ広がっていくものデシタ。
      絵画、音楽といったハイカルチャーから、ハンバーガーにコーラといった食べ物、
      サッカーのような普通の人が楽しむスポーツに至るまで。
      しかしながらこのゼビウスは日本、フランスはもちろん、
      ヨーロッパやアメリカに先駆けて、生まれたものデス。
      そのゲームを日本はもちろん、アメリカ人も熱狂的にのめり込んでいると聞きマシタ。
      フランスでもきっと流行るデショウ。
      どういう意味か分かりますカ?、黄色人種の生み出した文化を、
      白人が血眼になって夢中になっている事デス。
      ジャポニズムとは違って、特に日本とは意識しないものを、文化人でもない
      普通の人達が大勢むらがってイク。大々的に受け入れられてイル。
      これからは日本がゲームをリードしていくデショウ。私はあなた達日本人が羨ましいデス」

岬「(なるほど、そういう見方もあるか)」

639 :キャプテン岬 ◆ma4dP58NuI :2018/08/19(日) 00:20:17 ID:1d+YvWAA
ゲームは文化、か。遊びの1つでしかなかったあの電子遊具にそんな意義があるか。新しい視点を
指摘され心中密かに感心している間、シャルポワの顔はうっとりとしたものに変わり始めた。

シャルポワ「聞くところによると、既に日本の新聞はゼビ語で書かれているトカ」

岬「(ん?)」

シャルポワ「日本政府は2000年までにソルバルウを開発するととも聞きマシタ。
      休日には日本人男性の8割が自宅の庭にソルを埋めているトモ。まさに日本はゲーム大国デスネ」

岬「(ええ……)」

いきなり突拍子もない事をペラペラと語りはじめる。先程までの真面目な話が一気に異次元に突き抜けた様を見て困惑する。
幸い僕の様子には関心を向けていないようなので、隣にいる優に小声で尋ねてみる。

岬「(何あれ。急にあの人何と言うか、いきなり頭のネジがすっ飛んだような)」
優「えっ!?あ、あのー、何て言ったらいいんでしょう、シャルポワさん、良い人ですから」

人の話を信じやすい。そう言いたいのだろう。
人の悪口を言ってしまってないか気をもんでいる童子の心情がありありと見えてしまった。

640 :キャプテン岬 ◆ma4dP58NuI :2018/08/19(日) 00:21:59 ID:1d+YvWAA
何とかフォローを入れようと思ったのだろう、
優がやや上がり口調で彼女をほめる。

優「あ、でも、シャルポワさんホントに凄いんですよ!今日絵を描き終わる途中で
  休憩と一緒に見に行ったら、ゼビウスで500万点叩き出したんです!」

500万点。それは凄い。あずみちゃんでも3時間かけて400万点だった。僕なら何十時間かかるだろう。
そう思ったところで疑問に打ち当たった。このゲームセンターが開いたのは今日のはずだ。
パリに出来ていなかったものが他のフランスの地域に出来ているとは思えない。
いくら上手いとはいえ、たった1日、いや数時間でここまでできるだろうか。

シャルポワ「あら、そのコト?あらら、バレましたカ」

その事について尋ねてみたところ、クスクスと笑みを浮かべる。
小馬鹿にしたというよりはイタズラがバレた時の子供のような顔だ。

シャルポワ「ま、事前に予習していましたカラネ、これ位は楽勝デスヨ」

そう言って得意げにポケットからカートリッジ2本を取り出した。
そのうちの1本は形状からして、あずみちゃんの家で見たアタリ2600のもの(※)に見える。

岬「これは、もしかして」

そう言ってアタリの看板に向けて指をさす。

シャルポワ「ご名答。そこのお姫様からいただきマシタ。こちらの方はゲーム機が家に無かったので、
ジャンクショップを渡り歩いて調達しましたよ。何で売られてないんでショウ?」


(※):アタリ2600版「ゼビウス」カセット
http://atariage.com/forums/topic/261434-atari-2600-xevious-proto/

641 :キャプテン岬 ◆ma4dP58NuI :2018/08/19(日) 00:24:55 ID:1d+YvWAA
そう言って今度は「5200」と印字されているカートリッジ(※)を上げ、ヒラヒラと左右に動かせる。
2回そう動かした後にポケットへ戻し、今度は2600の方のカートリッジを前に向ける。

シャルポワ「こっちがお姫様とプレイした後で拝領した、下賜品になりマス。いやはや、何とも凄まじい代物でしたネ。
出てくるのはトーロイド、ドモグラム、ザカート、バキュラの4体ダケ。
それはまあ作りかけの段階ですから仕方ないが、みんなコインや木の葉が舞っているようにしか見えないのは何とも。
ゲームをしてるというよりロールシャッハテストを受けているみたいでシタネ。
心眼というんデシタッケ?心の目で目に見えないものを見る力。これを駆使しないと」

そう言うなり2600のカートリッジもポケットにしまい、
その後目を閉じ右手を『考える人』みたいに軽く目じりに当て、語りだした。

シャルポワ「おお、見えた!我が心眼に映りしは、まさしくバキュラ!」

ぐるりと180度ターンして、ビシリと左手を前に突き出し人差し指で前を指す。
そうして突き出した指の先に、1人の少女が立っていた。


(※):アタリ5200版「ゼビウス」カセット
http://www.gamesdatabase.org/game/atari-5200/xevious

642 :キャプテン岬 ◆ma4dP58NuI :2018/08/19(日) 00:27:41 ID:1d+YvWAA
申し遅れていましたが、この16.3話は都合により物語の視点が1人称になったり
3人称になったりと、視点変更が何回か行われます。
ただスレ主の筆力が足りないだけですので、その事については気にしないでください。

643 :キャプテン岬 ◆ma4dP58NuI :2018/08/19(日) 00:29:52 ID:1d+YvWAA
少女「遅いわ」

テーブルをコツコツとこづきながら、1人そうつぶやく。
今日は母さんも父さんも帰りが遅い。だから今日は2人で食べる夕ご飯が作り置きしてある。
さらに午前午後とコーラス部で思い切り発声練習をしてきたため、お腹がすいて仕方がない。
できるならすぐにでも食べてしまいたいが、優が返ってこない以上1人では食べられない。

仕方ない。行き先は分かっている。迎えに行って早く連れて帰るしかない。
そう決めた私はコップ一杯の水を飲みほし、空腹をごまかしている間に連れてこようと決心した。

ドアを開ける。涼しい風が水色のポロシャツにそよいでくれて心地よい。
気分よく階段を下りていく途中、街路を歩く同じ年位の女の子達が歩いている姿が見えた。
顔つきは年相応に幼いにも関わらず、体つきは日本の中学生か、それ以上ありそうに見える程発育している。


くっ


胸の奥でチクリと痛みが響く。この頃そんな風に感じる事が増えた。
この頃は学校でも体の具合が話題になる事が増えてきている。今日出かけたコーラス部でもそうだ。
誰々はいくら大きくなった、あの子がクラス1大きいんじゃないかとか、そんな話が出ては
ワイワイキャアキャアと音楽室が賑わしくなっていた。
そのたびに自分のを見て触っては、じわりと焦りが浮かんでくる。
周りのみんなは何かしら成長しているが、自分のものはいつまでたっても変わっていない。

644 :キャプテン岬 ◆ma4dP58NuI :2018/08/19(日) 00:32:15 ID:1d+YvWAA
少女「(牛乳も飲み始めたしマッサージもしてるし、まだまだこれから。それより)」

早い所優を見つけないと。昔のように危ない目に合わないとも限らない。
そう気持ちを切り替えて、階段を降りパリの大通りへと歩き出した。

街路を歩いていくたびに、華麗で自然な着こなしをした年頃の女性や、映画のように街並みに溶けこんだようなハイセンスの美人と行きかう。
通り過ぎるたびに、彼女達が身にまとうパリの美観への憧れが高まっていくのが感じられる。

少女「(いいなあ。あんな素敵な服を着て歌ったら、優はもっと喜んでくれるかな)」

胸に浮かんだ憧れは、私の初めてのファンでもある優へと向かっていった。
小さい頃から優は私の歌が好きだった。コーラス部の人達も私の歌が上手いとほめてはいるが、
私の歌を聴いて手を叩き次をせがむ優の姿は、他の誰よりほめられるより嬉しい。
優の笑顔に心を馳せてニッコリとしていると、その当の優の姿を見つけた。
優は1人ではなく、私と同じぐらいの日本人らしき男の子と…スタイルのいいフランス人少女と一緒に歩いてきている。
早く挨拶を済ませて連れて帰ろう。そう思って小走りになって向かっていく途中、外人が私に暴言を吐いてきたのだ。


外人少女「おお、見えた!我が心眼に映りしは、まさしくバキュラ!」

645 :キャプテン岬 ◆ma4dP58NuI :2018/08/19(日) 00:33:58 ID:1d+YvWAA
シャルポワが指さした先には、僕と同じぐらいの全身スレンダーな少女がいた。
優と同じぐらい深い青みをおびた髪が肩よりも長く伸び、
上は水色のポロシャツ、下は灰色のスラックスとスニーカーを身に着けている。
そんな暗色系統の身づくろいの少女が、急に赤みを帯びはじめた。
それも桃や橙といった淡いものでは無く、赤旗のような正真正銘の赤色になってきている。

岬「(これは怒る寸前の顔だ。マズ……)」


少女「だっ、誰がバキュラよーーーーーーーーーーーーーーーっ!!!」


怒髪天を衝く。そんな言葉がふさわしい形相になって大いにヴォルテール通りを響かせる。
叫んだ後は口を閉ざしズンズンとこちらへと詰め寄り、むんずとシャルポワの胸倉をつかんだ。

少女「いきなり何のご挨拶?人の体を鉄板呼ばわりなんて、ねえ?」

口調こそ静かになっているが、シャルポワをつかみ上げる眼差しは傍目でも分かるほど、敵意に満ちている。
突然の因縁にシャルポワはあたふたしながら、ポケットからカートリッジを取り出す。

シャルポワ「な、何の事デスカ?バキュラとはゼビウスの第3ステージから出る敵キャラで」
少女「ぐるぐる回転する破壊不可能な銀色の板、でしょう。見ず知らずの人の胸を板呼ばわりなんて……」

そう言うなり目の前の少女は手に力を込め、グイとシャルポワを両手で持ち上げ上下にシェイクし始めた。
こんなほっそりとした体のどこにそんな力があるかと思える程、激しく体全体を揺らしている。

シャルポワ「ヒイッ!待ッテ!止めてクダサイッ!」
少女「ちょっと成長が早かったからって、思いあがらないようにね?
   私だっていつかきっと、あなたみたいに立派に成長するんだから、ね?」

もはや殺意になったのではないかと思える程の気迫を敵にぶつけている。
どうしようかと手をこまねいていると、横から優が袖を引いて制止した。

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