※人気投票開催中※
01/17(日)00:00-01/30(土)23:59
第二回鈴仙奮闘記キャラ人気投票
※新板できました※
ダイス創作物語板
ブログ 現行スレ 投票 最新20

1- レス

【弟くんの】キャプテンEDIT31【初陣】


[752]キャプテンEDIT ◆wM6KXCkaLk :2011/05/07(土) 05:23:49 ID:???
>>751
お待たせして申し訳ありません
お目覚めの後にご覧になられる内容が、ご期待に添えているものであることを祈りますです(汗)

★???→  JOKER =★
ダイヤのK・JOKER → ???
---------------------------------------------------------------------------------------------------------------
菱野「…………」

大前に尋ねかけたままで、菱野は不自然に言葉を切った。

大前「? 菱野さん?」

菱野「……あ、あの」

大前「うん、何だい?」 省15

[753]キャプテンEDIT ◆wM6KXCkaLk :2011/05/07(土) 05:25:21 ID:???
大前「え?」

出し抜けに切り出された言葉に、大前は目を瞬いた。

菱野「――不安、と一口に言っても、これからの大会で勝ち進めるか、ということではないんです。
むしろその逆のことが怖いんです。大前さんは、この三年間で物凄く強くなられました。
それこそ、初めてお会いした頃からに比べると、まるで別人になられたみたいに」

菱野が初めて出会った頃の大前は、熱意だけでサッカーに取り組んでいるような少年だった。 省58

[754]キャプテンEDIT ◆wM6KXCkaLk :2011/05/07(土) 05:26:42 ID:???
大前(日本一になった後のこと? ……考えていたことは、漠然としたことだけだった。
このまま卒業して、高校に行って……それでまた早瀬さんや長池さんととサッカーをやるんだろうな、ってくらいで。
でも、今菱野さんが不安に思っているのは、そう言うことじゃない気がする。
中学を卒業して、高校も出て、その後。俺はどう生きていく気なんだ?)

サッカーを辞める、などという選択肢は無い。
今ではサッカー抜きの人生など考えられないし、それが一番得意なことでもある。 省55

[755]キャプテンEDIT ◆wM6KXCkaLk :2011/05/07(土) 05:28:37 ID:???
日本一の選手になって、それを足がかりに世界へ。そして、やがては頂点に。
そんな道程を空想し、しかしそれは叶わぬ夢だと諦めたのは、いつだったか。
遠い目をする大前を、菱野は潤んだ瞳で見つめる。

菱野「貴方はきっと、高い目標を目指し続けることでどこまでも強くなれる人なんです。でも――」

微かな嗚咽が、言葉を遮った。

菱野「――もしその為に、貴方が私の手の届かない所に行ってしまったら?」

大前「…………」
省58

[756]キャプテンEDIT ◆wM6KXCkaLk :2011/05/07(土) 05:30:04 ID:???
大前(菱野さん。俺のことで、こんなにも思いつめていたなんて……)

そう自戒する大前。
彼女の吐露した不安は、見えない将来に根差したものだ。
それはこれからの人生を大前と共に歩んで行きたいという思いの裏返し。
ならば、それを拭いされるだけの力を持ったものも、自分の未来を懸けた言葉だけだろう。

大前(考えるべき時が来たんだな……菱野さんと、恋人になれて嬉しいってだけじゃなくて。 省39

[757]キャプテンEDIT ◆wM6KXCkaLk :2011/05/07(土) 05:31:09 ID:???
大前「お、俺は……俺は君が好きだ! 何があろうと離したくないっ! 去年のクリスマスに誓った通りに、何があろうと絶対にだ!」

無人の道に、大前の声がわんわんと響いた。

菱野「……大前さん」

大前「これから俺が選手として、男として、人間として、どんな道を歩くかは分からない。
だけど……これだけは言うまでも無いことだろ? 俺は、君の恋人だ。そして君も、俺の恋人なんだ。
それだけは、絶対何があっても変わらないし、変える気は毛頭無い」
省28

[758]キャプテンEDIT ◆wM6KXCkaLk :2011/05/07(土) 05:32:31 ID:???



               大前「そんなの、当たり前だろう?」



大前「――ていうか、その……それ以外の意味に聞こえたら、俺の面目が立たないっていうか……」

思わず唇を尖らせる大前。
そんな表情に、菱野が安堵したように力を抜いた。

菱野「はぁーっ……今のはその……不意打ちでした。こんなに重大なこと、遊びに行った帰り道で決めてしまう羽目になるなんて」
省31

[759]キャプテンEDIT ◆wM6KXCkaLk :2011/05/07(土) 05:34:00 ID:???
――ドクン。

瞬間、心臓が一際強く跳ねた。そしてそれに同調するように、熱と疼きがどこかで高まって行く。

大前(あ、マズ――)

若い少年の肉体は、刺激された感情に素直な反応を返した。
昂った血潮の流れこむ先。そこで生じた強張りが、むくむくと自己主張を始める。
当然、変化は正面から抱き合う菱野に直に伝わる訳で、

菱野「? ……っ!?」
省57

[760]キャプテンEDIT ◆wM6KXCkaLk :2011/05/07(土) 05:35:52 ID:???
大前「ひ、菱野さん……」

菱野「は、はひっ!?」

今更正気づいたように、ビクリと跳ね上がる菱野。

大前「俺、菱野さんが好きだ……俺が知っているものの中で、君が一番大事なんだ。
でも、そう思う一方で、何だか……君のことを食べちゃいたいような、滅茶苦茶にしたいような……そんな危うい気分になってしまう」

菱野「そ、それってつまり……」
省35

[761]キャプテンEDIT ◆wM6KXCkaLk :2011/05/07(土) 05:37:28 ID:???
大前「そうすれば、きっと、少しは冷静になれるから。多分、君を傷つけないで済む――」

その支離滅裂な言葉が、精一杯の警告だった。
だが、菱野はそれを無視するように、

大前「っ!?」

ギュッと、大前のシャツの裾を固く握りしめる。

菱野「大丈夫、です」

大前「ひしの、さん?」

菱野「……大前さんが私のこと、その……求めていらっしゃること、痛いほど伝わってきますから。 省30

[762]キャプテンEDIT ◆wM6KXCkaLk :2011/05/07(土) 05:38:47 ID:???

  … … …


気が付くとそこは、安手の民宿の一室だった。
どこをどうしてここまで辿り着いたか、まったく憶えていない。
菱野の腕を引いた感触が掌に残っている。
その手を優しく引いていたのか、それともはやる気持ちのまま乱暴にしたのか。その事すらおぼろだった。
部屋を取る時に宿の人間と話したはずだが、さてそれをどうやり過ごしたのだったか。
ただ、宿帳に適当な偽名を書きいれたことだけは、何故か記憶していた。田中とか鈴木とか、そんなありふれた名前だったと思う。 省37


0ch BBS 2007-01-24