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1- レス

キャプテンブライト9


[102]キャプテン・ブライト ◆xWA.3pF8tM :2011/09/23(金) 03:25:26 ID:dNxKCxxY
そう言われても…ピンと来ない。
理不尽なことなら散々受けてきたし。
もし突然殺されても、なんだかその延長のようなものだと思ってしまう。
運転手さんは楽しそうに笑っていたが。私が何の反応も示さないことに驚いたらしい。
 運転手「おいおい、あんた自分の立場わかってるの? もう、死んじゃう一歩手前なんだよ?」
 ティアナ「…イストちゃんは?」
 運転手「ん?」
 ティアナ「私が死ぬとして、イストちゃんはどうなるの?」 省34

[103]キャプテン・ブライト ◆xWA.3pF8tM :2011/09/23(金) 03:27:16 ID:dNxKCxxY
 運転手「知り合いですか?」
 ボス「ニュースくらい見てろ。一ヶ月くらい前、あっち関係で派手に捕まったヤツがいるだろ」
 運転手「ああ!! ティアナって、あのティアナ!!」
どうやら私は。私の知らない所で、結構な有名人になっているようだ。
 運転手「でもティアナってクスリ方面でしょ。ぶっ転がしても、ウチらと競合しないんじゃ」
 ボス「情報に疎いと早死にするぞ。…ティアナは『ホワイトデビル』の手駒、という噂がある」 省37

[104]キャプテン・ブライト ◆xWA.3pF8tM :2011/09/23(金) 03:29:38 ID:dNxKCxxY
…随分と時間が経ったような気もするけど、実際はそんなに経っていない。
これは警察に捕まっていた時に学習していた。実時間は、おそらく30分ぐらい。
ボスと呼ばれた人がカバンを手に部屋に入ってきて…。運転手と小声で何かを言い合って、頷いて。
 ティアナ「ねえ…どうしたの?」
 ボス「ティアナ・ランスター。我らは悪意を持って貴方を拘束していたわけではない。それは承知してくれ」
 ティアナ「え、ええ…」
 ボス「『ホワイトデビル』にも、どうかそのように頼む」 省49

[105]キャプテン・ブライト ◆xWA.3pF8tM :2011/09/23(金) 03:31:24 ID:dNxKCxxY
朦朧とした意識の中で。多分、夜中。多分、外のどこか。
後で聞いたところによると、私は警察署の敷地をフラフラ徘徊していたらしい。
まあ一番安全な場所かもしれないけど、私にとっては良い思い出がないトコでもある。
警察に保護されて、すぐに救急車で運ばれて。
注射された睡眠薬のせいで記憶は曖昧だけど、外傷なんかはなかったらしく。

私は次の日の夕方頃になって、なんとか起き上がれるほどに意識を取り戻した。
近くの看護婦さんがすぐにそれに気づいて、私を寝かそうとしてくる。 省30

[106]キャプテン・ブライト ◆xWA.3pF8tM :2011/09/23(金) 03:33:06 ID:dNxKCxxY
ふらつく足取りで、ちょっとしたホールまでやってきた。
スクリーンにTVが映っている。ニュースをやっていた。
…聞き覚えのある単語が出てきたので、そのニュースに注目する。



アナウンサー『…繰り返します。誘拐されたイストさんですが、遺体で発見されました。
 今回の誘拐事件では、機動六課の課員 ティアナ・ランスター さんが関わっていたとされています。
 警察発表では、保護されたティアナさんのほうだけは命に別状はないとのこと。 省6

[107]キャプテン・ブライト ◆xWA.3pF8tM :2011/09/23(金) 03:34:39 ID:dNxKCxxY
遺体? 遺体ってなんだっけ? 遺体ってどういうことだっけ?

起き抜けだし、まだ少し朦朧としているし。あまり難しい言葉はわからない。
ぼんやりと、それでいてテレビから目が離せないでいた時だった。

悲鳴のような声で、私の名前を呼ばれた。
私も、病院内の周囲の人たちも、何事かと声の人物を見る。

あ。
ウェスちゃんだ。
私の親友。そしてイストちゃんの姉。私は彼女に、何か伝えなきゃいけないような気がする。 省23

[108]キャプテン・ブライト ◆xWA.3pF8tM :2011/09/23(金) 03:36:11 ID:dNxKCxxY
「どうしてあなた だ け 無事なの!?」

「一緒に捕まっていたんでしょ!?」

「イストは殺されたわ。…ええ、私もイストの遺体の確認に行ったんだから!!」

「あれは遺体なんてキレイな言葉じゃないわ!! イストは、あんなにズタズタになってたのよ!?」

「でも、なんであなた だ け 無事なの!?」

「捜索届けだって、あなたのも一緒に出したのよ!?」

「ねえ、聞いてる!? どうしてあなた だ け 無事なの!?」
省16

[109]キャプテン・ブライト ◆xWA.3pF8tM :2011/09/23(金) 03:40:33 ID:dNxKCxxY
その後の親友の錯乱ぶりは、見ていて痛々しい程だった。
身体の大きな警察の人が、なんとか彼女を押しとどめているが、あの体格差でも手こずるほど。
そして彼女が私に投げてくる罵詈雑言。
もう言葉じゃないかもしれない。剥き出しの、悪意とか敵意、殺意のようなもの。

私は。アタマが痛くて。ズキズキ痛くて。痛みが収まらなくて。
そのせいか動けないでいると。警官が何人か集まってきた。もともと、入院した私についていた警官なのだろう。 省34

[110]キャプテン・ブライト ◆xWA.3pF8tM :2011/09/23(金) 03:41:58 ID:dNxKCxxY
どこかで、テレビかラジオのニュースが流れているのを耳にした。


『内務省直轄の武装組織、機動六課のメンバーがイストさんの誘拐殺害事件に関与していた疑いが出てきました。
機動六課は内務省に編成された国際救助隊として認知されている組織ですが、
かねてより独自の権限による過度の情報収集や武力行使が懸念されていました。
機動六課のメンバーの一人は、以前の麻薬大量押収事件についても関与していた可能性が高いとされています』


省2

[111]キャプテン・ブライト ◆xWA.3pF8tM :2011/09/23(金) 03:44:00 ID:dNxKCxxY
私、ティアナ・ランスターには親友がいる。

時間と友情が育んだ結晶。
決しておカネで買えない存在。

彼女が笑顔になれば、私も笑顔になれる。
唯一無二の親友。
私の家族より、私のことを知ってる人。

でも、今は怒らせてしまった。哀しませてしまった。
ごめんね。
イストちゃんを助けられなくて、本当にごめんね。

誘拐された時も解放された時も。睡眠薬で朦朧としてて、私、あまり事件のこと覚えてないんだ。
でも、きっと仲直りできるよね。
省10

[112]キャプテン・ブライト ◆xWA.3pF8tM :2011/09/23(金) 03:45:31 ID:dNxKCxxY
アタマが痛い。とっても痛い。我慢できない。
そんな時、私は。

なのはさんのクスリを飲む。

痛みも気にならなくなるし、とっても元気になるクスリ。
ウェスちゃん、そして死んじゃったイストちゃん。私、頑張るよ。
時空管理局で。機動六課で。
悪い人たちをいっぱい捕まえるんだ。
そうすれば。犯罪に巻き込まれる人も少なくなるから。

私、頑張るから。
なのはさんのクスリを飲めば、多少の無理も大丈夫だから。
頑張るから。
謝るから。
だから。
省4


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