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1- レス

キャプテンブライト9


[98]キャプテン・ブライト ◆xWA.3pF8tM :2011/09/23(金) 03:15:04 ID:dNxKCxxY
車は、裏道に入って。少し目的地から外れて。人通りの少ない道へと入って。
次の瞬間、車の後ろで軽い爆発音のような音がした。同時に衝撃。
 イスト「な、なに…?」
 ティアナ「爆発!?」
 運転手「ちょっと見てきます」
運転手さんは車の外に出て、後ろに回りこんでから…戻ってきて運転席のドアを開いた。
 運転手「今日は本当にツイてません。パンクです。予備のタイヤに変えるんで、10分くらい待っててください」
省34

[99]キャプテン・ブライト ◆xWA.3pF8tM :2011/09/23(金) 03:17:45 ID:dNxKCxxY
目を覚ました時は、薄暗い部屋の一室だった。
思い出したくもないけれど、両手首に懐かしい感覚がする。
見なくてもわかる。手錠だ。それも、魔力ごと封じ込める手錠。
並みの魔法使い…少なくとも今の私では、これをつけられたら魔法はほとんど使えない。
 ティアナ「ッ!」
起き上がろうとして、首のあたりが突っ張った。
…手錠は、警察の取調べで慣れている。でも。
警察でも。いや、警察だからこそ。人間の首を鎖で繋ぐような扱いはしない。
省42

[100]キャプテン・ブライト ◆xWA.3pF8tM :2011/09/23(金) 03:20:00 ID:dNxKCxxY
 運転手「警察は俺たちを 全 力 で 探さない。動いても形だけ。そういう『取り決め』だったんだ」
 ティアナ「取り決め?」
 運転手「ある種の紳士協定があってな。お巡りさんの中にも悪い人がいるし、俺らの中にもマシなのもいる。
  今日はそういうヤツらの小さな集会でね。俺たちがイストお嬢ちゃんの身柄を確保して、
  代わりに俺たちのパトロンが何かを確保するとか、そういう話」

 ティアナ「『何か』って?」 省44

[101]キャプテン・ブライト ◆xWA.3pF8tM :2011/09/23(金) 03:22:23 ID:dNxKCxxY
 運転手「本来、イストお譲ちゃんの捜索届けは、出されてもなかなか上に上がらないようになってたんだが。
  お前の友人か仕事仲間の誰かが、別口で『お前の』捜索届けをも出したらしい。
  必然的にイストお譲ちゃんの捜索届けも、上に上がって。このままじゃ俺たちの誘拐事件が世間に流れる」
 ティアナ「…どういうこと!? どうなるって言うの!?」
 運転手「それはボスが今、各方面と交渉中。まあこれくらいの想定外なら予想もつくけどな」
省34

[102]キャプテン・ブライト ◆xWA.3pF8tM :2011/09/23(金) 03:25:26 ID:dNxKCxxY
そう言われても…ピンと来ない。
理不尽なことなら散々受けてきたし。
もし突然殺されても、なんだかその延長のようなものだと思ってしまう。
運転手さんは楽しそうに笑っていたが。私が何の反応も示さないことに驚いたらしい。
 運転手「おいおい、あんた自分の立場わかってるの? もう、死んじゃう一歩手前なんだよ?」
 ティアナ「…イストちゃんは?」
 運転手「ん?」
 ティアナ「私が死ぬとして、イストちゃんはどうなるの?」 省34

[103]キャプテン・ブライト ◆xWA.3pF8tM :2011/09/23(金) 03:27:16 ID:dNxKCxxY
 運転手「知り合いですか?」
 ボス「ニュースくらい見てろ。一ヶ月くらい前、あっち関係で派手に捕まったヤツがいるだろ」
 運転手「ああ!! ティアナって、あのティアナ!!」
どうやら私は。私の知らない所で、結構な有名人になっているようだ。
 運転手「でもティアナってクスリ方面でしょ。ぶっ転がしても、ウチらと競合しないんじゃ」
 ボス「情報に疎いと早死にするぞ。…ティアナは『ホワイトデビル』の手駒、という噂がある」 省37

[104]キャプテン・ブライト ◆xWA.3pF8tM :2011/09/23(金) 03:29:38 ID:dNxKCxxY
…随分と時間が経ったような気もするけど、実際はそんなに経っていない。
これは警察に捕まっていた時に学習していた。実時間は、おそらく30分ぐらい。
ボスと呼ばれた人がカバンを手に部屋に入ってきて…。運転手と小声で何かを言い合って、頷いて。
 ティアナ「ねえ…どうしたの?」
 ボス「ティアナ・ランスター。我らは悪意を持って貴方を拘束していたわけではない。それは承知してくれ」
 ティアナ「え、ええ…」
 ボス「『ホワイトデビル』にも、どうかそのように頼む」 省49

[105]キャプテン・ブライト ◆xWA.3pF8tM :2011/09/23(金) 03:31:24 ID:dNxKCxxY
朦朧とした意識の中で。多分、夜中。多分、外のどこか。
後で聞いたところによると、私は警察署の敷地をフラフラ徘徊していたらしい。
まあ一番安全な場所かもしれないけど、私にとっては良い思い出がないトコでもある。
警察に保護されて、すぐに救急車で運ばれて。
注射された睡眠薬のせいで記憶は曖昧だけど、外傷なんかはなかったらしく。

私は次の日の夕方頃になって、なんとか起き上がれるほどに意識を取り戻した。
近くの看護婦さんがすぐにそれに気づいて、私を寝かそうとしてくる。 省30

[106]キャプテン・ブライト ◆xWA.3pF8tM :2011/09/23(金) 03:33:06 ID:dNxKCxxY
ふらつく足取りで、ちょっとしたホールまでやってきた。
スクリーンにTVが映っている。ニュースをやっていた。
…聞き覚えのある単語が出てきたので、そのニュースに注目する。



アナウンサー『…繰り返します。誘拐されたイストさんですが、遺体で発見されました。
 今回の誘拐事件では、機動六課の課員 ティアナ・ランスター さんが関わっていたとされています。
 警察発表では、保護されたティアナさんのほうだけは命に別状はないとのこと。 省6

[107]キャプテン・ブライト ◆xWA.3pF8tM :2011/09/23(金) 03:34:39 ID:dNxKCxxY
遺体? 遺体ってなんだっけ? 遺体ってどういうことだっけ?

起き抜けだし、まだ少し朦朧としているし。あまり難しい言葉はわからない。
ぼんやりと、それでいてテレビから目が離せないでいた時だった。

悲鳴のような声で、私の名前を呼ばれた。
私も、病院内の周囲の人たちも、何事かと声の人物を見る。

あ。
ウェスちゃんだ。
私の親友。そしてイストちゃんの姉。私は彼女に、何か伝えなきゃいけないような気がする。 省23

[108]キャプテン・ブライト ◆xWA.3pF8tM :2011/09/23(金) 03:36:11 ID:dNxKCxxY
「どうしてあなた だ け 無事なの!?」

「一緒に捕まっていたんでしょ!?」

「イストは殺されたわ。…ええ、私もイストの遺体の確認に行ったんだから!!」

「あれは遺体なんてキレイな言葉じゃないわ!! イストは、あんなにズタズタになってたのよ!?」

「でも、なんであなた だ け 無事なの!?」

「捜索届けだって、あなたのも一緒に出したのよ!?」

「ねえ、聞いてる!? どうしてあなた だ け 無事なの!?」
省16


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0ch BBS 2007-01-24