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1- レス

【貴族の傲慢】異邦人モリサキ2【傭兵の意地】


[843]さら ◆KYCgbi9lqI :2012/10/18(木) 21:30:17 ID:???
A一度だけって事なので快諾してあげた方が良いと思います。
本来は陸上専門の人に観て貰わないといけないんだぞと言っといてあげたいと思います。

[844]◆W1prVEUMOs :2012/10/18(木) 22:35:46 ID:???

この縁をこれから何度も出会う縁にするために

[845]異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/10/19(金) 18:39:57 ID:???
皆様、ご回答ありがとうございます。
それでは早速、>>840の選択については……

>>843 さら ◆KYCgbi9lqI様のご回答を採用させていただきます!
「気のいい」森崎らしい返答ですね。
ただ世の常として、一生のお願いというものほど何度でも来るものでして…w
ともあれCP3を進呈いたします。


>>844
はい、この出会いもきっと強い縁となるでしょう。
というかこの先しばらくはハンナともう一人絡みのイベントが続いたりします。 省1

[846]異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/10/19(金) 18:41:07 ID:???
***

A 「しゃーねえ……これも乗りかかった船だ!」


森崎がそう口にした瞬間、ハンナの笑顔が弾けた。
夏の太陽のような、直視するには眩しい笑顔である。

「やった! ありがとう、……え〜っと、」
「森崎。森崎有三だ。ったく、名前も知らない奴に頼むなよ」

半ば呆れながら言う森崎に、

「ありがと、モリサキコーチ!」
「なにィ!?」

抱きつかんばかりの勢いでハンナが喜んでいる、その目の前で森崎は何気ない呼称に愕然とする。
省23

[847]異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/10/19(金) 18:42:08 ID:???
「そういう人はだいたい、貴族とかお金持ちに雇われちゃうんだよ。
 ボクなんかには会ってもくれない」
「そ、そんなもんか……」
『まあ、プロは報酬で動くものだからねえ』

二の句が継げず森崎が黙るのへ、ピコがその肩に舞い降りてぽむぽむと頬を叩く。
慰めているつもりなのか、からかっているのかは判然としない。
考えてみれば、そう不思議な話でもなかった。
森崎自身、より良い条件を求めて流浪する傭兵である。
省33

[848]異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/10/19(金) 18:43:10 ID:???
「走るっていっても、ボクがやってるのはマラソンとかじゃなくてね。
 六アルパンの短距離走なんだ」
「六アルパン……てえと、凡そ四町か」

聞いた距離を、森崎は自身に馴染みのある単位に換算しようとする。
それを耳にしたハンナが、胡乱げに聞き返す。

「シチョウ?」
「ああ、俺の故郷での長さの数え方だ」
「ふぅん、面白いね」
『九分の一里くらいかあ。……それって短い距離っていうかな?』
「まあ、大体わかった。続けてくれ」
省37

[849]異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/10/19(金) 18:44:10 ID:???
と、そんなことを考える森崎にハンナが何気なく説明を継続する。

「スポーツの祭典で使うのは、競技場の中にあるトラックだけどね。大きさは同じなんだ」
「ちょっと待て、スポーツの祭典って?」

さらりと出てきた単語に、森崎が引っかかる。
一瞬、怪訝そうな顔をしたハンナがすぐに合点がいったというように首を縦に振った。

「……ああ、そっか。コーチは傭兵さんだから、この春にドルファンに来たんだよね。
 なら知らないのも無理はないね」
省35

[850]異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/10/19(金) 18:45:11 ID:???
その石造りの白い巨体は、遠く距離を隔てた場所からでもひどく目立つ。
伝統的なオリンピア様式を模した、ドルファン文化の雄。
堂々たる聳えこそが、ドルファン王立運動競技場。
通称、スタジアムである。

「ボクが目指すのは」

と、ハンナがそのスタジアムをじっと見つめながら言う。

「あそこで一等になることなんだ。……今まで、一度も取れたことはないけど」
「あー……っと、ハンナ」

森崎が、何らかの思いに耽ろうとするハンナを引き戻すように声をかけた。 省28

[851]異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/10/19(金) 18:46:50 ID:???
「ボクがどのくらいの位置にいるのか、でしょ。コーチだもん、聞くのは当たり前。
 怒ったり拗ねたりなんて、しないよ」
「……」

ハンナという少女、こと競技が絡むと森崎の想像をあっさりと踏み越えるところがある。
それ以外のときに見せる姿とはまるで違う人間がそこにいるようですらあった。
思わず言葉を失った森崎を前に、ハンナが淡々と、告げる。

「子供の部で、二番目。去年も、一昨年も、その前も。ボクはこの国で二番目だった。 省37

[852]異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/10/19(金) 18:47:50 ID:???
ごくり、と。
生唾を飲みながら訊いた森崎の姿を、ハンナの目は映さない。
映さないまま、どこかここではない遠くを見つめ、少女はその名を口にする。


「―――リンダ・ザクロイド。ボクより速い、この国でたったひとりの女だよ」


******


0ch BBS 2007-01-24