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【早苗】鈴仙奮闘記28【サッカー好きか?】


[484]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/05/10(日) 02:07:36 ID:???
――勇儀のシュートが止められると、博麗連合は事前の作戦会議通り、
中盤の要たる霊夢が防がれていても尚淀みなく攻勢を展開していた。
そうして今、博麗連合の切り込み役である針妙丸が今まさにシュートを撃とうとした時に、
――他ならぬチームメンバーである魔理沙により、その動きを止められてしまう。
これは当の針妙丸やその他博麗連合のメンバー。(特に最前線でシエスタしていた小町)
そして、いざ守勢に出ていた地霊殿サブタレイニアンローゼスのメンバーにとっても意外だった。
省55

[485]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/05/10(日) 02:09:47 ID:???
魔理沙「さーて。これでお見合いだな。地霊殿のお姫さん」

さとり「……貴女が次に何をしようとしているのかは分かります。ですが、一つだけどうしても解せない事があります」

魔理沙「何だ? 言っちゃなんだが、私の思考はとても理路整然としているぜ?
魔法使いは論理が大事。複雑な術式も、細かいロジックの積み重ねにしか過ぎないからな」

さとり「……貴女がしようとしている事。それは勿論、この私の守りをもひっぺがす超強力なシュートを放つ事です」
省61

[486]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/05/10(日) 02:11:02 ID:???
魔理沙「――この私の……『ファイナルスパーク』との………真っ向勝負だァァァァァァァァァア!!」

グワアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!
バギイイッ、ゴキッ! バギゴギイッ!!

魔理沙「(……ッ! 痛い! 足が千切れるように痛い!! でも……私は負けない!!
――これが私が今まで忘れていた痛み。主人公となる為には絶対必要な痛みなんだから………!!)」

さとり「――とめ、ます……!」
省70

[487]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/05/10(日) 02:12:43 ID:???
〜回想シーン〜
−???−

――私は物心ついた時から、自分自身こそが物語の主人公だと信じて疑っていなかった。
実際、私には溢れた才能があると思っていた。
里の子ども達でも中心的存在だったし、ほんの些細なレベルだけど魔法もどきの退魔術も使えた。
もっとも、子ども間の人間関係なんて流動的だし、退魔術くらい、
陰陽師とかの子どもだったらある程度使えても不思議ではなく、むしろ自分より上もゴロゴロいた。
勉強はそこそこだったし、スポーツも上の下くらい。 省54

[488]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/05/10(日) 02:14:04 ID:???

「しかし不便よねぇ〜。亀なんかに乗らないと空も飛べないなんて!
 そだ、アンタをあたしの弟子にしてやろうか! そしたら、そうね……きっと三年位で箒で空でも浮けると思うわ。
 あたしですら、飛べるようになるには一年半もかかったんだから!! キャハハハッ!」

「口の減らないヤツね。っていうかアンタ、一年半もかかったの」

「あたしみたく才能のあるヤツでも、ね! 知ってるかしら? この世は私を中心に回ってる、って事実にさ!」

ゴオッ、バババババッ!!
省22

[489]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/05/10(日) 02:20:08 ID:???

「え〜い! その程度だったら里香の方が千倍マシよ!
……そんな案外というか元から全然大した事ない技。 ――こうだっ!」

バ! バ! バ! バ! バッ!!
  ――ギュン! ギュギュギュギュンッ!!

ダッ! フワァァァッ………!

「うえっ……?」

その圧倒的な動体視力と反射神経。そして天賦の才とも言える武術への勘と素養。
その全てを駆使して彼女は私の魔法を容易く打ち破り。 省34

[490]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/05/10(日) 02:23:12 ID:???

*****


−魔法の森 霧雨魔法店−

魔理沙「……そうだ。それが私、霧雨魔理沙とアイツ――博麗霊夢との初めての出会い。
これまで自分こそがこの物語の主人公だと信じて疑わなかった私に、初めて自分自身の価値の無さを疑わせた。
当時の私的には最強最悪にロクでも無い相手だったな」

森崎「……お前バカだな。その位で自分自身疑ってたのか。まるで四面のボスみたいな発想だぜ?
そんなんだったら、いつまで経っても俺みたいな主役にゃなれないぜ?」
省46

[491]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/05/10(日) 02:24:54 ID:???
魔理沙「信じるのは自由だ。だが現実は我々のそんな信仰を妄想だと言って一笑に付してくるじゃないか。
それには一体、どうやって対処するんだ?」

森崎「ほっときゃ良いじゃねぇか。それで仮にカチンと来たり、傷つく事があったとしたら。
それは多分お前も内心その通りだなーって思ってるからだと思うが。まあ、でもそんときゃそれを直せば良いだろ」

魔理沙「直せば良いとは大きく出たな。じゃあ例えば、内心その通りだと思ってる事が、どうしても直せない場合はどうする? 省58

[492]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/05/10(日) 02:26:18 ID:???
森崎は結局幻想入りの日から今まで、博麗神社の離れを借りてそこで生活している。
食事・洗濯等について霊夢は勿論何もやってくれない(結界があって、勝手に部屋に入る事もできない)ため、
実質的な自給自足の独り暮らしである。
そのため、魔理沙から偶に貰えた質の悪いキノコや草も、森崎にとっては割とありがたい。
魔理沙はそこから、森崎を神社まで連れていった。懐中時計を見ると、時刻は既に3時だった。

魔理沙「ふああ……眠い。明日は大会だし、寝るか……って。あれ」
省48

[493]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/05/10(日) 02:27:25 ID:???
シュッ。シュッ! シュッ。シュッ!

魔理沙「……音?」

この時魔理沙は不思議な音を聞いた。何かが空を切るような幽かな音だった。

魔理沙「(何かの妖怪か、それともまだみぬ怪現象か……?
最近、オカルトボールがどうとか都市伝説がどうとかいう噂が立ってたし。割とあり得るかもだぜ……)」

音は神社の裏山から聞こえている。境内裏から少し飛んだ場所だ。
麓の方は開けていて林も無く、自分がもう少し小さかった頃は、同じく小さかった霊夢と一緒に川で遊んだ記憶がある。 省50

[494]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/05/10(日) 02:28:46 ID:???
魔理沙は自分自身への怒りに体中を熱くしながら、全速力で空を駆けていた。
そうと決まれば、自分のすべき事はひとつしかない。

魔理沙「(駄目だ。もっと……もっと練習しなくちゃ! もっと努力しないと、私は主人公に憧れるだけの、単なる噛ませ犬だ……!)」

鈴仙が中山から多くの事を学んでいたように、魔理沙は森崎から多くの事を学んでいた。
それはこれまでの半年間での積み重ねでもあった。 省56


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0ch BBS 2007-01-24