キャプテン森崎 Vol. II 〜Super Morisaki!〜
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【深遠なる】鈴仙奮闘記24【蒼きフィールド】

1 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2014/12/14(日) 17:00:35 ID:???
このスレは、キャプテン森崎のスピンアウト作品で、
東方Project(東方サッカー)とのクロスオーバー作品です。

内容は、東方永夜抄の5ボス、鈴仙・優曇華院・イナバがサッカーで師匠を超えるために努力する物語です。
また、ストーリーやカードの展開次第で、いくつかのキャプテン森崎のキャラクターも、
それぞれの思惑を持ちながら、幻想郷の住人との交流を通じてサッカーを極めていくことになるでしょう。

他の森崎板でのスレと被っている要素や、それぞれの原作無視・原作崩壊を起こしている表現。
その他にも誤字脱字や稚拙な状況描写等が多数あるかと思いますが、お目こぼし頂ければ幸いです。

☆前スレ☆
【Other】鈴仙奮闘記23【World】
http://capmori.net/test/read.cgi/morosaki/1415891220/
☆過去ログ・攻略ページ(キャプテン森崎まとめ@Wiki内)☆
http://www32.atwiki.jp/morosaki/pages/104.html

☆あらすじ☆
ある日突然幻想郷にやって来た外来人、アラン・パスカルと中山政男との出会いにより、
師匠、八意永琳に並ぶ選手になると決心した鈴仙・優曇華院・イナバ。

「鈴仙、貴女は――『プロジェクト・カウンターハクレイ』が新たに創るチームの、キャプテン候補として選ばれました」
全幻想郷選抜大会初戦を勝利で迎えた鈴仙に、永琳はある日の夜こう告げる。
それはこれまでの鈴仙が描いていた将来――全幻想郷代表として、永琳と肩を並べること――とは全く別の道。

全幻想郷代表選抜大会予選リーグ第2回戦・地霊殿サブタレイニアンローゼスとの戦いに勝利した鈴仙。
そんな彼女の元にある日、かつてからの友人、魂魄妖夢が訪れる。
サッカーの特訓や過去の想い出話に花が咲く中、妖夢は鈴仙と道を違える決意。
――すなわち、謎の聖人・豊聡耳神子が主催する計画、『ハイパーカンピオーネ』の一員となる事を教えてくれた。
妖夢を信じて彼女の決意を後押しする鈴仙。 しかし、『ハイパーカンピオーネ』の前段階として神子が率いるチーム、
聖徳ホウリューズは勝利の為には手段を選ばぬ恐るべきチームだった。
ホウリューズの美しくも悪辣なプレーを前に倒れたライバル・紅魔スカーレットムーンズを見て、
鈴仙達は何を想い、どんな方向へと向かって行くのだろうか――。

88 :森崎名無しさん:2014/12/16(火) 01:20:56 ID:???
乙です
お嬢様に対吸血鬼用の聖水が使われたのも鈴仙ってやつの仕業なんだ
狂気の瞳を使ったに違いない

89 :森崎名無しさん:2014/12/16(火) 01:29:25 ID:???
おのれ鈴仙

90 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2014/12/16(火) 21:28:08 ID:???
こんばんは、今日も更新していきます。
>>86
乙ありがとうございます。
決勝トーナメントあたりは、まさにクライマックスという感じで、敵も味方もド派手な感じにしていきたいですね。
>>87
乙ありがとうございます。
評価値が一定以上まで上がった場合、基本的には特訓イベントが発生しますが、
パチュリーや輝夜など、特別なイベント等が発生する場合があります。
>>88
乙ありがとうございます。多分咲夜さんのうっかりです。

91 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2014/12/16(火) 21:29:29 ID:tDklXAvE
H:地底(危険もありますが、旧都には様々な店があります、温泉もあります)

鈴仙「……そういえば色々あって忘れてたけど、結局地底のお宝とかはどうなったのかしら。
あと、なんか良く分からないけど吹っ飛んでいた矢車――松山だったっけ――が、どうなったか気になるような……」

特に明確な理由こそない……いや、むしろ逆に色々な用件が思いついたため、
鈴仙はふと地底へと立ち寄ってみたくなった。
かつては怖々だった旧都への道も、何度か踏破する事で大分慣れてしまった事も大きい。

鈴仙「(――とはいえ。 私の経験則で言うとこうして慣れて調子に乗って来た時が一番危ない。
まるで何かのギャグ漫画みたいに、油断してたら足元を救われちゃうんだから……)」

しかし鈴仙は油断せずに、冷静に妖精達の弾幕を掻い潜って風穴を潜り、旧都の方へと着実に進んで行く。
そして――。

先着1名様で、

★地底探索イベント(簡略版)→! card★

と書き込んでください。数値で分岐します。

JOKER→??「俺の名は地獄ライダーキックホッパー……。 これより外敵を排除する……はぁ。 どうして俺がこんな事…」
       鈴仙「この中の人(?)って、ひょっとして……!」
それ以外→無事に旧都に辿りついた。
クラブ2〜3→中堅クラスの地底妖怪に襲われる!
クラブA→勇儀「ヒャッハー! 呑み比べだー!」旧都に着き次第、鬼に絡み酒された!

92 :森崎名無しさん:2014/12/16(火) 21:31:06 ID:???

★地底探索イベント(簡略版)→ スペードA

93 :森崎名無しさん:2014/12/16(火) 21:31:07 ID:???
★地底探索イベント(簡略版)→ クラブK
矢車と小田って何も絡まないのか

94 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2014/12/16(火) 21:38:24 ID:tDklXAvE
★地底探索イベント(簡略版)→ スペードA ★
それ以外→無事に旧都に辿りついた。

鈴仙「……さーて。 着いた着いた。 やっぱり人妖がワラワラ湧いてるわねぇ……。
今日は祭りなのかっつーの……って。 たぶん、ここの住人的には毎日がお祭りなんだろうなぁ……」

空の暗さと行燈の灯り。
そして押し寄せる無数の人影で、さながら万年縁日の如き様相の旧都に足を踏み入れた鈴仙。
酒というかアルコールの臭いがそこらの居酒屋から漂い鼻を付き、路地なり通りなり店内なり、
どこでも賑やかな喧噪が絶えないこの街は、やはり鈴仙にとってあまり得意では無かった。

鈴仙「(科学技術は発展しているけれど静かで穢れの無い、月の都とはまさに正反対……って感じね。
この旧都は見るからに科学なんてクソ喰らえな奴らばっかりで、喧しくてそこらじゅう穢れだらけだし。
――っと……さて。 結局ここまで来たけれど……どうしようかな?)」

A:旧都で一番大きい建物――地霊殿へ向かってみる。
B:みとりという河童が経営している雑貨屋へと行ってみる。
C:噂に聞く『地霊温泉郷』へと行ってみる。
D:自由に旧都を探索してみる。(更に判定)
E:適当に呑み屋にでも行ってみる。
F:その他 自由選択枠

先に2票入った選択肢で進行します。メール欄を空白にして、IDを出して投票してください。

95 :森崎名無しさん:2014/12/16(火) 21:38:58 ID:IU93q2O2
A

96 :森崎名無しさん:2014/12/16(火) 21:39:16 ID:NTJUJAys


97 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2014/12/16(火) 21:57:33 ID:tDklXAvE
A:旧都で一番大きい建物――地霊殿へ向かってみる。

鈴仙「(試合ではなんか色々あったけれど……実際、私とあの地霊殿の主って。
まあ面識はあるけれど特別親しい――って訳じゃあ無いわよね……。
ま、まあでも。 お燐とかとは割と仲が良いと思うし――最悪、あの子に取り次いで貰えば良いよね?)」

そう信じて、騒がしい旧都の中で唯一沈黙を放つ洋館へと向かうと。

お燐「……あ、病院のお姉さんだ。 ひょっとして、病死した患者の死体を卸ろしに来てくれたとかっ?」

鈴仙「そんな悪趣味な仕事は、残念ながらやって無いわ……」

――鈴仙にとって非常に都合の良い事に、
地霊殿の正門すぐ近くを散歩しているお燐が、いつも通りの慣れ慣れしさで迎えてくれた。

鈴仙「――でも。 うん。 ちょっと用があってね……。 だから、態々遥々やって来たのよ」

お燐「ふうん。 穴掘りが好きだなんて、ヘンな兎さんだねぇ」

鈴仙「掘っては無いってば」

お燐「テキトーに言っただけさ。 一々真面目キャラだねぇ、地底じゃあ珍しいや」

鈴仙「(何か話すたびに弄られて、からかわれるような気がして来た……)」

鈴仙は今更ながら、こんなちゃらちゃらした妖怪を信じて足を踏み入れて良かったものかと不安になるが。
しかし、さっきお燐に言ったとおり、遠路遥々ここまで来たのだ。 ここで帰った方が余程馬鹿らしい。


98 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2014/12/16(火) 21:58:39 ID:tDklXAvE

お燐「……んで。 用件は何かな? あたいはこう見えても地霊殿のペットじゃあ格が高くて、皆から尊敬されてるからね。
――大体の事だったら、何でもふんふんって取り次いであげるよ〜」

鈴仙「うん……期待しないで、期待してるわ」

一抹以上の不安が抜けきらないまま、鈴仙は今日地霊殿に来た用件をお燐に話す。
その内容は――。

A:さとりに会って話がしたい。
B:お燐とこのまま気ままにお喋りしていたい。
C:矢車に会って話をしてみたい。
D:灼熱地獄跡を探索してみたい。
E:空と一度、話をしてみたい。
F:さとりの妹らしい変な妖怪(こいし)について、話を聞きたい。
G:その他 自由選択枠

先に2票入った選択肢で進行します。メール欄を空白にして、IDを出して投票してください。

99 :森崎名無しさん:2014/12/16(火) 21:59:11 ID:NTJUJAys


100 :森崎名無しさん:2014/12/16(火) 21:59:24 ID:JJ3PbR8Y


101 :森崎名無しさん:2014/12/16(火) 21:59:38 ID:IU93q2O2
C

102 :森崎名無しさん:2014/12/16(火) 22:00:27 ID:???
さらばカップ麺

103 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2014/12/16(火) 22:24:05 ID:tDklXAvE
C:矢車に会って話をしてみたい。

お燐「ゲッ。 あんた、正気かい」

ヘラヘラ笑ったお燐の表情が、そう言う一瞬だけ凍り付いた気がした。

鈴仙「……いや、何となくよ。 
なんとなーく、あの彼……だか誰だか分からない男から発する波長が気になってね。 ちょっと調査に来た訳よ。
それにさ、試合でも見たけれど、彼は二重人格なのよね。
幻想郷では精神病の症例が極端に少ないから、医院をやってるウチとしても学術的に非常に気になるって言うか」

お燐「ふうん……精神分析って奴かな。 あの現実界と象徴界と想像界が輪っかになってボロボロっての」

鈴仙「それって、ラカンが言ってたボロメオの輪のこと? 見かけによらず、本とか読んでるのね」

お燐「――あたいは良く分からないよ〜。
ただ、こういうのはさとり様が結構詳しいんだ。 ……昔、ウチの妹様を巡って色々あったからね。
……ま、それはどうでも良いか。 ――いいよ、会いたいなら勝手にしたら良いと思うし」

お燐はそう言うと、矢車の住むらしい地霊殿の地下――未だ拷問と血肉の跡が残る牢獄へと案内してくれた。
正気の人間ならば、まずここに住みたいと思わないだろう。
それまでに、あまりに不快で狂気を煽り、おぞましい空間。 ――まさしく『地獄』に相応しい場所だった。

お燐「……知ってたかもしれんけど、あたいはアイツが嫌いなんだ。
あいつ、さとり様があんなに気を掛けてくれてるのに、頑なにそれを拒んでたしね。
――まぁ、それでも試合で大分丸くはなったけどさ。
でも、あっちからゴメンナサイしない限り、あたいは和解したくはないね。
――っと。 さ、後は案内は要らないかな〜。 ここを真っ直ぐいって、突き当たりを右ね」

矢車に対する愚痴を聞き終わった鈴仙は、ここでお燐と解散して、腐臭漂う地霊殿の最奥を更に進む。
今の地霊殿は全く使用していないらしい、昔の鬼達の牢獄。
鈴仙が踏みしめているのは、果たして土くれなのか死体なのか。

104 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2014/12/16(火) 22:30:00 ID:tDklXAvE
じゅっ…と靴が埋まって液が滴る、瑞々しい地面を踏みしめながら鈴仙は牢獄の一番奥へと辿り着いた。

鈴仙「矢車。 矢車想……! そこに居るのよね……?」

急襲されても良いように、指先には妖力で編んだ銃弾を仕込む。
何故か消えない燭台の灯りを拝借して、松明代わりに牢獄の暗黒を照らし出す。
すると、そこには―――。

先着1名様で、

★地獄の兄→! card★

と書き込んでください。数値で分岐します。

JOKER→松山「小田 聖徳ホウリューズなんてやめて俺達と一緒に地獄に落ちよう……」小田「あにきぃ……一生ついていくよぉ…」
ダイヤ→松山「はぁっ……はぁっ……! だ、誰だ、お前は……!?」鈴仙「あっ、この姿は試合の時の……!」
ハート・スペード・クラブ→矢車「闇の底には、誰の声も届かない……」鈴仙「でもそれって、私の声が聞こえてるから言ってるのよね?」
クラブA→誰もいなかった。 お燐「(あっ、道間違ってたや。 ま、いいか)」鈴仙「(唐突なダンジョン探索いべんとっ!?)」

105 :森崎名無しさん:2014/12/16(火) 22:30:41 ID:???
★地獄の兄→ ダイヤ5

106 :森崎名無しさん:2014/12/16(火) 22:30:45 ID:???
★地獄の兄→ ダイヤA
JOKERwww

107 :森崎名無しさん:2014/12/16(火) 22:36:25 ID:???
ヒャメロー

108 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2014/12/16(火) 22:57:52 ID:tDklXAvE
★地獄の兄→ ダイヤ5 ★
ダイヤ→松山「はぁっ……はぁっ……! だ、誰だ、お前は……!?」鈴仙「あっ、この姿は試合の時の……!」

松山「はぁっ……はぁっ……! だ、誰だ、お前は……!?」

鈴仙「(……あれっ。 矢車じゃあ……無い! これはサッカーをしていた時僅かに出ていた、矢車の正体……!)」

――鈴仙の予想に反して、その牢獄で苦しんでいたのは矢車では無く。
その矢車よりは幾分幼くは見えるが、しかし実年齢以上の労苦を重ねた表情が印象的な白髪の少年。
烈しいタックルと地を這うシュートで、永遠亭ルナティックスと互角以上の勝負をした――松山光だった。

松山「誰だ……俺の許可無く兄貴の名を呼んだのは……? 恥知らずのサトリ妖怪の女か……?」

鈴仙「……違います。 通りすがりの――うん、心のメイクアップアーティスト……そう呼んでくれても良いわ」

松山「……何だそれは。 そんなんで俺と兄貴の地獄を邪魔する気か……?」

――会話が通じないのは予想通りだったため、鈴仙はそれで動揺する事は無かった。
しかし、矢車という殻に守られていない状態の無防備な松山は、まるで羽化したての成虫のように脆く見える。
死人のように止まった波長を描く矢車と異なって、今の松山が描く波長は生まれたての赤子のように混沌。

鈴仙「(……う〜ん。 矢車の方がまだ話は通じそうとは思ったんだけど、この松山君は……やっぱりまだ混乱している感じね。
まるで、彼の言う兄貴――矢車君以外の全てが、この世界の敵だと勘違いしているみたい。
ちょっと扱いがめんどくさそうだけど……ただ、行動に対する反応はこっちの姿の方が良いかもしれないわね)」

――しかし、純粋に彼の放つ波長が気になった鈴仙にとっては、こちらの姿の方が都合が良い。
単なる殻に過ぎない矢車と違い、松山が相手ならば、鈴仙の狂気の瞳も有効である。

109 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2014/12/16(火) 23:02:13 ID:tDklXAvE

鈴仙「(――あっ。 そう言えばこれまでに拾ったアイテムも、何かの役に立つかも!)」

……書物でのみ齧った精神医学の基礎に加えて、今まで拾ったそれらしいアイテムを思い出しながら、
鈴仙は松山への対処法を考える。 果たして、鈴仙が松山に取った行動は――。

A:精神医学の基礎に忠実に。 とりあえず黙って松山の話に耳を傾ける。
B:狂気の瞳の能力で、松山の波長を一瞬でも正常に戻してみる。
C:永遠亭で精密な診断を受けてみないか提案してみる。
D:愛のハチマキを見せてみる。(あげるとは言ってない)

E:兄弟ラーメンを一緒に食べる。
F:兄弟ラーメン・弟味噌をあげる。
G:兄弟ラーメン・兄貴塩と弟味噌を両方あげる。
H:その他 自由選択枠 A〜Dのうち1つ+E〜Gのうち1つ という選択も可。
  (例:H A+D、H B+E、など)

先に2票入った選択肢で進行します。メール欄を空白にして、IDを出して投票してください。

110 :森崎名無しさん:2014/12/16(火) 23:04:37 ID:7PL6N4Gc
H 笑う

111 :森崎名無しさん:2014/12/16(火) 23:05:19 ID:+9Ic8i+Q
H A+E

112 :森崎名無しさん:2014/12/16(火) 23:05:52 ID:NTJUJAys
H B+D

113 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2014/12/16(火) 23:06:59 ID:tDklXAvE
念のためですが補足させて頂きます。

・E:兄弟ラーメンを一緒に食べる。 を選択した場合、鈴仙が兄貴塩を、松山が弟味噌を食べる恰好となります。
 もしも鈴仙と松山で一杯のかけラーメンをしたい方が居られた場合は、自由選択枠で対処願います。
・その他で示している例がおかしい(A+Dは選択不可)ですが、無視して頂ければ幸いです(汗)

114 :森崎名無しさん:2014/12/16(火) 23:07:10 ID:???
松山の状態ならBは効くけど矢車だと無理くさいのか

115 :森崎名無しさん:2014/12/16(火) 23:08:59 ID:NTJUJAys
H A+E 変更お願いします

116 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2014/12/16(火) 23:44:14 ID:tDklXAvE
A:精神医学の基礎に忠実に。 とりあえず黙って松山の話に耳を傾ける。
E:兄弟ラーメンを一緒に食べる。


鈴仙「(今の状態なら、狂気の瞳も効きそうだけど。 ……でも、万一で暴発したら大変な事になるしなぁ。
――そうしたら、さとりさんが凄い剣幕でキレてくるかもしれないし、やめとこうっと……)」

無表情で激昂するさとりの顔を想像して震える鈴仙。
この幻想郷、笑顔で激昂する人物は結構居ると思うが、無表情でキレて来る人物はあまりいない気がする。

鈴仙「(しょうがないか。 ここは基礎に忠実に、黙って「傾聴」とやらをやってみましょうか……)
――まぁ。 こちとら遥々遠くから来たんだから。 折角だから、何でも話してみなさいよ」

松山「……はぁ? 俺、兄貴以外の奴と好んで会話する程、アブノーマルな性癖じゃないんだけど」

鈴仙「(アブノーマルの塊が良く言うわよ……)……そんならいいです。
私、ここでジッとしてるから。 何か話したい事があったら、是非話しかけてくださいね?」

――正直、松山の精神的な不安定を直してあげたいと思ったから、鈴仙はここまでするのではない。
鈴仙は英雄譚に出て来るような聖人君子では無い。 とはいえ、常に損得勘定で動く程の利己的な人物でも無い。

鈴仙「(せ、折角ここまで来たんだから……! このまま骨折り損だなんて、ごめんだからね……!
――あと、こっちから声を掛けたのに途中で投げ出すのも罪悪感あるし……)」

時間を無駄にしたくない。中途半端に手を掛けて放置するのは罪悪感を感じる。
鈴仙がこの時感じていたのは、精々がこの程度だった。
要するに、立派も無ければ利己にも走り切れておらぬ中途半端な……ごく一般的な感情しか抱いていなかった。
(それだけの理由で粘り強く松山を待つ鈴仙は、平均からはどこかズレていると言わざるを得ないが)

松山「(……変な奴だ。 こんな牢獄に入って来る奴なんて、身の程知らずのサトリ妖怪位しか居なかったのに……!)」


117 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2014/12/16(火) 23:45:20 ID:tDklXAvE
して松山は鈴仙と違い、突き抜けて頑なな人物だったらしい。
鈴仙が待ちを決め込んでも、松山は変な奴だと思いこそすれ、動じる様子も表に見せずに何も話そうとしない。
……やがて、暗闇の沈黙の中、数時間が経過しようとしていた。

ぐうっ。

――沈黙の中に、腹の虫が響いた。

松山「…………闇の底には、誰の声も届かない……」

矢車が言っているようなセリフを、まるで神の言葉であるかのように呟き動かない松山だったが……。
――しかし、その腹の虫が松山の物である事は鈴仙にとって明らかだった。

鈴仙「(だって、私のじゃないしね。 ……と、そうだ)……松山君。 お腹でも空いたのかしら?
良かったら、一緒にラーメンでも食べません?」

――鈴仙は意識して明るいトーンで話してみる。

鈴仙「(……そうだ。 私が持ってるこのラーメン。 これを松山君と一緒に食べれば……心を少しでも開いてくれるかも!
――漫画とか読んでても、警察がカツ丼出したら容疑者が吐いたりするし)」

何時の間にか引用文献のレベルが精神医学の書物から刑事漫画になっているが……それは気にしない。
鈴仙は灯りで二種類のラーメンを照らして見せて、これ見よがしに松山に突きつける。

鈴仙「どうかしら? 兄貴塩と弟味噌があるわよ。 何も言わなかったら、私は塩の方を貰うけれど?」

松山「………!」

118 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2014/12/16(火) 23:52:51 ID:tDklXAvE
鈴仙「(……松山の表情が変わった! 愛おしいものを見るかのように、ラーメンのラベルを覗き込んでいる!
これはひょっとして、効果アリかしら……!?)」

松山は食い入るようにラーメンを見つめ。 そして……

先着1名様で、

★ラーメンの味→! card★

と書き込んでください。数値で分岐します。

JOKER→サ・トーリ「松山君、そんなショ・ミーンのラ・メーンで満足しちゃ駄目です!
             ラ・メーンを作る事にかけても頂点に立つ女たる私が作った、「ブルーハワイアンラ・メーン」を食べなさい!」
       鈴仙「(どうして自分のトラウマを自分から増やしに行くんだろう、この人……)」
ダイヤ→松山「何なんだよ、アンタ……。 どうして、俺を見捨てない」
ハート・スペード→松山「……貰おうか、弟味噌」
クラブ→松山「――貴様ァ、兄貴塩は兄貴以外が食べちゃダメなんだ! 姉貴醤油を買って出直して来い!」
クラブA→その時、鈴仙は滑って松山にもたれ掛かるように倒れてしまった! そして……
      さとり「松山君、食事をお持ち……ハッ!?」ガシャーン鈴仙「ま、まさかのしゅらば〜っ!?」

119 :森崎名無しさん:2014/12/16(火) 23:53:34 ID:???
★ラーメンの味→ ダイヤ6

120 :森崎名無しさん:2014/12/16(火) 23:54:20 ID:???
サ・トーリw

121 :森崎名無しさん:2014/12/16(火) 23:54:31 ID:8J6dTgqg
★ラーメンの味→ ダイヤQ



122 :森崎名無しさん:2014/12/16(火) 23:54:58 ID:???
これはダイヤの女神さまの加護か!?

123 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2014/12/16(火) 23:59:26 ID:???
ダイヤが出た!……と、言ったところで今日の更新はここまでです。

>矢車(松山)と小田との絡みについて
実は現状そこまで深くは考えていません。ですが、今後の判定次第で色々あるかもしれません。

それでは、皆さま、本日もお疲れ様でした。

124 :森崎名無しさん:2014/12/17(水) 00:30:10 ID:???
乙でした。
ダイヤが続いてラッキー?
穏便にハチマキについて触れられるかな?

松山くんも小田くんについて考えられるのでほど余裕はないか。

ふと思ったこと。

松山「ずっと地下に居たせいで留年確定だ……ふふ、やはり地獄がお似合いだ」
中山「俺の道は間違っていない……けど留年してたよ……」
来生「出席日数がやばい? 大丈夫、俺は天才だからな!」
岬「現状でもそれなりに悪くはないよ……けど、留年はマズイ……」
森崎「パルメイラスから除籍されてた」
反町「東邦学園はまずいけど、穣子さんと静葉さんに囲まれて永住するのもいいかも知れない」



125 :森崎名無しさん:2014/12/17(水) 00:51:26 ID:???
地獄留年乙

126 :森崎名無しさん:2014/12/17(水) 00:52:26 ID:???
こいつらが全員留年したのも鈴仙って奴の仕業なんだ

127 :森崎名無しさん:2014/12/17(水) 01:46:49 ID:???
鈴仙「なぜばれた」

128 :森崎名無しさん:2014/12/17(水) 21:10:58 ID:???
来生「よーし!サッカースレ改め留年スレだ!」合格じゃあ
岬犬「………………活動内容は?」もちろん留年

129 :森崎名無しさん:2014/12/17(水) 21:18:33 ID:???
一方その頃、妖夢チームがリグルパパ率いる手羽先妖怪チームに虐殺されていたりして

130 :森崎名無しさん:2014/12/17(水) 22:50:21 ID:???
どうしてなんでも鈴仙さんのせいになるのでしょう?
私、気になります!

131 :森崎名無しさん:2014/12/17(水) 23:12:22 ID:???
気にするな! (シュート魔王)

132 :森崎名無しさん:2014/12/17(水) 23:23:26 ID:???
でたな、シュート星人め

133 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2014/12/17(水) 23:48:09 ID:???
こんばんは、今日はほんの少しだけ更新になります。
>>124
乙ありがとうございます。
今後話が進めば、小田との絡みも出て来るかもしれません。
>留年について
彼らはサッカーに人生賭けているので、日本の学制などきっと気にしない筈です!w 森崎は……(汗)
>>125
地獄留年乙ありがとうございます。
中山さんとか岬とか反町とかは最悪大検とか受ければ良いと思います。
来生はセンター試験だったら無敵だと思います。松山と森崎は高校行かなくても何とかする根性あると思います。
>>129
ライトニングリグルキックの威力は65くらいですかねw
>>130-132
確かに素のシュート力が67の人の前では、シュート力が40だろうが53だろうが気にならない誤差ですね……

134 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2014/12/17(水) 23:49:23 ID:???
★ラーメンの味→ ダイヤ6 ★
ダイヤ→松山「何なんだよ、アンタ……。 どうして、俺を見捨てない」

松山「何なんだよ、アンタ……。 どうして、俺を見捨てない」

――初めて、鈴仙に向けて純粋な困惑を見せてくれた。

鈴仙「――正直、あんまり理由は無いわ。 ここまで来たのも、半分勢いっていうかなんというか。
……でも。 色々気になるからちょっと、ちょっかいをかけようと思った。 ――うん、それだけよ」

松山「……何だそれは。 相当なお人好しか、それか単なる馬鹿か、それとも暇人か。
――そんな下らない奴なのか、お前は……?」

鈴仙「……そ、そうよ。 何か悪いの?」

松山「……いや。 ただ……珍しい。 そう思っただけだ」

松山は静まり返って、ポツリポツリと呟くように鈴仙に向かって話しだす。
それは予想以上に大きな進歩だった。

松山「……俺の、周囲の奴らには。 お前みたく、暢気な奴はいなかった」

鈴仙「(妖夢とかてゐにも暢気って言われるけど、コイツにまで言われた……)」

鈴仙の手にある「兄弟ラーメン 弟味噌」をひったくり、松山は牢獄の奥へ向かう。
どうやら牢獄は意外と生活感が溢れており、松明をかざして見ると奥にはやかんやゴザ、
それと井戸が引かれており、最低限の生活は可能そうになっていた。
(できれば、腐臭たっぷりの地下牢にある井戸水は飲みたくないが……)


135 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2014/12/17(水) 23:54:13 ID:???

鈴仙「ラーメン、好きなの?」

松山「……昔は好きじゃなかった。 監督の奥さんが作ってくれた、手作りのスタミナドリンクとか。
それと――■■が作って、くれたような……。 いや、なんでもない。 忘れてくれ」

あの辛気臭い松山が、心底愉しみな風にカップ麺を作ろうとするのだから、
鈴仙は少しおかしくなってしまい聞いてみるが――多少心を許したとはいえ、
松山の深層心理には未だ深い傷が残っているようだった。
とはいえ、これまでの様子と比べると充分に会話が成り立っていると言えた。

松山「……俺がかつて居た場所では、お前みたいな奴は真っ先に苛められていただろうなぁ。
集団の規律、普通さ、常識、皆がやっているから……。 皆、みんな、ミンナ。
皆の事を考えられず、マイペースな勘違い野郎は、組織の不協和音だからな」

鈴仙「……貴方も大概にマイペースだと思うけれどね。
……もしかして、あなたの今の状態は、過去に受けたいじめとかに関係が?」

松山「……違う。 これは俺が受けるべくして受けた罪………」

松山はにべも無く流してみせるが、彼が狂気に囚われるまでには
余程壮絶な出来事があったのではないかと容易に推察できる。

鈴仙「(この波長……! 深い恨みと嘆き。 底の知れぬ後悔と懺悔!
これまでは激しい混沌で分からなかったけど、これこそが今の彼の――松山光の本質!
けれど、だとしたら……ちょっと、悲しすぎるわよ……)」

そして、過去を語る松山からは、鈴仙がこれまでに感じた事の無いようなマイナスの波長。
行き場を無くし暴走を続ける呪詛が渦巻いていた。


136 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2014/12/17(水) 23:56:43 ID:???

鈴仙「(――否定されて、否定されて、否定されて。
――やがて自らをも否定されたせいで、自らが崩壊しかけた骸の男……!
一体誰なら、こんな彼の暗い深層心理を暴く事が出来るのかしら)
……まぁ。 難しい事を考えるのはやめ。 私も、ご一緒に食事させてもらうわ」

松山「……ふん。 勝手にしろよ。 言っとくけど、それは本来兄貴しか食べちゃいけないラーメンなんだ。
お前は……そうだな、姉貴醤油よりは妹豚骨と言った所だな」

鈴仙「(――コイツから見て、私って妹タイプなの?
それはそれで、なんとなく下に見られた気がしてムカつくわね……)」

……松山の事は少し理解できた鈴仙だったが、根本的な解決法までは分からない。
仕方なしに鈴仙は、松山に続いて井戸水をやかんに入れて炎で温めて、
「兄弟ラーメン 兄貴塩」を作る事にした。
先に味噌ラーメンを作っていた松山はこの間、律儀にも鈴仙を待ってくれていた。
案外、素は悪い奴では無いのかもしれないと鈴仙は思った。

鈴仙「(案外悪くない味ね、このラーメン……。 500円も出した甲斐があったわ。
――と、思ったけど。 これって灼熱地獄跡で拾ったんだっけ……?
賞味期限とかちょっとかなり気になるけど……美味しかったし、いいか)」

――最初の不安とは裏腹に、ラーメンは存外に美味しかった。

*松山の評価値が大きく上がりました。
*鈴仙と松山の関係が、鈴仙→(敵意は無い)←松山 になりました。

137 :森崎名無しさん:2014/12/17(水) 23:59:05 ID:???
>ライトニングリグルキックの威力は65くらい
強すぎるwいや翼が評価しまくることを考えれば妥当な数値なのか

138 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2014/12/18(木) 00:03:32 ID:???
――と、言った所で今日の更新はここまでですが、松山のイベントはもう少し続きます。
(前回の試合後にちらっとアナウンスしていたものです)
ラーメン効果で松山との親交も深まったので、より鈴仙がイベントに絡める形になると思います。

それでは、皆さま、本日もお疲れ様でした。

139 :森崎名無しさん:2014/12/18(木) 20:47:47 ID:???
乙でした。

松山君は今の状況を受けるべくして受けたと思い込んでいるのか。
早く自分を許してやって欲しい。

140 :森崎名無しさん:2014/12/18(木) 23:49:25 ID:???
聖徳には小田もいたけど高杉もいた
妖精チームと当たるなら来生とも絡むのかー?

141 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2014/12/18(木) 23:55:06 ID:???
こんばんは、今日も描写だけになりますが更新します。
>>137
オー○ムドライブの威力が67〜68くらいなんで、それほどでもないですね。
>>139
乙ありがとうございます。
松山の心情描写は難しいですが、自分を許したい気持ちと許せない気持ちがせめぎ合っているようなイメージです。
試合時の松山は前者が優位で、今の松山は後者が優位な感じですが、この辺りを上手く書きたいですね。
>>140
高杉と来生については、少なくとも軽くは絡む予定ですね。この二人はある意味対照的な存在だと思います。


142 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2014/12/18(木) 23:56:59 ID:QXAbfd76

***

さとり「……おや。 どこか賑やかとは思えば」

鈴仙「――んげっ」

ラーメンを汁まで啜り終わり、それでもどこか心地よい無言の中で、ノンビリと腰を落ち着けていた鈴仙(と松山)。
そんな二人の前に――乱入者が現れた。

さとり「……貴女の事はお燐から聞いています。
だから、『ふ、不法侵入で逮捕されたらどうしよう!?』……とか、思わなくても大丈夫よ」

鈴仙「あ、あはは……そりゃあ失敬」

地霊殿の当主にして、地霊殿サブタレイニアンローゼスの守護神でもある古明地さとりが、
松山の食事の入ったお盆を手に、牢獄に入り込んでいたのだ。
彼女は相変わらずのぶっきら棒な無表情で鈴仙につかつかと歩み寄り、頼みもしないのに心を読む。

さとり「どうしてあなたが、こんな所に……? ――えっ?『特に理由は無い』……ですって?
こいしじゃないんだから、そんな抜けた理由で態々こんな所、来ないで欲しいわね……」

鈴仙「う……うるさいわね。 暇なのよ」

さとり「……暇でも、普通はこんなところ来ませんよ。
……そう言って来ている私も私だけれど。 どうしても、こんな場所に来たがるペットなんか居なくって。
お燐だったら行ってくれそうだけど、あの子は矢車君を嫌っているから」

松山「……嫌なら、来なくても、良いんだ……」

さとり「……別に好きで来ている訳ではありません。 ただ流石に、野垂れ死にされると寝覚めが悪いのでね。
――ちなみにこれは本心からの言葉であって、一般的なツンデレ的要素は全く含まれていないので誤解無きよう」

143 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2014/12/19(金) 00:00:30 ID:/mjs3LOQ
さとりは慣れた様子で松山の言葉をあしらい、
簡単にではあるが牢獄に散らかったゴミの片づけや、室内用具の手入れを始める。
鈴仙が持ち込んだ二つのカップラーメンについても、何一つ感想を述べる事無く淡々とゴミ袋に入れて行く。

鈴仙「――さとりさんって、毎日この矢車……いや、今は松山なんだっけ……の面倒を見てるんですか?」

さとり「――少し彼に、思う所がありまして。 ……先に言っておくけれど、愛とか恋とかそういうありがちなネタは要らないので」

鈴仙「言ってもないし、思ってもいないってば……」

さとり「……なら良いです。 ――時に、松山君。 最近は、随分と自身の存在を保てるようになったようですね。
まさか部屋に入った時から、あなたがその形態を発現させているとは思わなかったわ」

松山「……何だよ、兄貴でもない癖に恩着せがましいぞ、お前」

さとり「兄貴だったら恩着せがましかった良いのね。 ……爽やかで恩着せがましい感じの矢車君。 私は見たく無いけれど」

無表情で淀みないくせに、何故かどこか必死なさとりの言動を聞き流しながら。
さとりと松山とで同居人らしい会話が始まった事を機に、鈴仙はいよいよ所在無げに牢獄をぶらぶらとし始める。
特に深い理由も無く来たので、より松山と関係の深い人物が現れた以上、
鈴仙がこうして気まずい空気になるのはある意味必然ではあったが。

ガッ……!

鈴仙「きゃ、きゃ〜っ! い、今なんか小石に蹴躓いたっ!」

……暗い地面にあった何かに足をぶつけた鈴仙は、そんな空気をぶち壊しにする程の間抜けな絶叫を上げた。

松山「おいおい。 ……お前、さっきから一体何なんだよ。 本気で何しに来たんだ?」

鈴仙「わ、私にも正直分からないわよ。 研究したかったような、カウンセリングしたかったような、ラーメン食べたかったような……。
思兼の神にそそのかされて、無理やりやらされたのよきっとぉ……」

144 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2014/12/19(金) 00:02:56 ID:???
さとり「(……松山君の言う通り。 この子は本当に何をしにここに来たのかが良く分からない。
会った時からずっと、心を読んでいるつもりだけど、肝心な本質が掴めない。

さっきまでラーメンでも食べて親睦を図っていたようだけど、それだけの為に遥々地底まで来たとは考えづらい。
松山君を懐柔することによる、何かしらの利益を狙ったのかもしれないけれど、
それなら、もっと投資のし甲斐のある選手なんて山のように居るから、そっちにすれば良い。

……まるで、精神分裂病の患者のように、非合理的な思考と行動が多すぎる。
――となると。 ひょっとして彼女の来訪は……自分の意思。 いえ、正確には表層意識によるものでは、無い……?
この原因はあの子……? いえ、それとも……彼女が所持しているであろう、「何か」が原因……?)」

午前の試合観戦に続けてお尻をしこたま打ち付けた鈴仙は、泥の付いたスカートを摩りながら、
半分涙目で知性の低そうな台詞をブツブツと呟いている。
さとりはそんな鈴仙の危機感や目的意識が「無さ過ぎる」様子を見て、ある仮説を立てていた。
そして、その仮説の正しさは大した苦労も経ずに、当の鈴仙によって証明された。

鈴仙「はぁ〜。 ハンカチハンカチ……っと。 あれっ、これハンカチじゃない……」

鈴仙は何気なく、本当に何気なく無意識にポケットをまさぐって布きれを一枚取り出していた。
そして。

松山「そ、そのハチマキは……! いや、でも、しかし……それは俺が許されない象徴だった……!」

ガタッ! ガタガタガタッ……!!

――松山がその布きれ――「愛のハチマキ」を見た矢先。
それがトリガーであったがごとく、松山は今日一番の動揺を見せた。

145 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2014/12/19(金) 00:04:02 ID:???
さとり「(これは……成程。 前者と後者が混じった、「両方」という事ね……)――鈴仙さん。
貴女はまずハチマキをしまって。 そして、医学的見地から彼に処置をお願いします。
私は能力を応用して、少しでも彼の精神を安定させてみせます……!」

鈴仙「えっ、えっ……! は、はい。 分かりました!
(――ハチマキ……ハチマキ。 ……そう言えば! あのハチマキと松山君には何か関係があるかもしれないって。
そう思っていたんだわ、試合の時の私は……! ――どうして、今の今まで忘れていたんだろう……!?)」

松山が崩れ落ちる声。 さとりがトーンは低めのまま焦りを見せた声。
そして……かつてのハチマキが必死に発していた声。
様々な声を一遍に聞いた鈴仙は、無意識というもやが晴れていく錯覚に陥った。

さとり「(――無意識により行動を制約されながらも、ハチマキに残された強烈な残留思念が、
彼女を更なる無意識に掻き立てていた……、という事かしら)」

それと時を同じくして、古明地さとりもまた思案していた。
憑き物が取れたかのように決然と松山の呼吸と脈を測る鈴仙を見て、
脳内で、自身の立てた仮設の正しさを少しずつ立証していく。
さとりの中で、松山の狂気から鈴仙の登場。 そしてハチマキが持つ力についての意味付けが明確となっていき。

――そんな彼女の思考は、ここで一旦停止された。

さとり「(……流れ込んで来る! ――今まで封じられた彼のトラウマが、私の第三の目を焼き尽くさんと流れ込んで来る!)」

他者の心を読み取り、トラウマを想起させる覚妖怪の能力を逆用し、
他者のトラウマを封印する事で、一時的な精神の安定を図っていたさとりの瞳に、
封印しきれぬ松山の過去が、雪崩のように入り込んで来た。
それは完全に、自身の能力の制御にある程度以上自信を持っていたさとりにとって、予想外だった。

……ブウ……ン。

146 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2014/12/19(金) 00:07:25 ID:???
鈴仙「――こ、これは……!?」

さとり「……気を付けて下さい。 ――どうやら私達……彼のトラウマに、取り込まれつつあるみたい……!」

ブウウ……ン! ブウウ………ッ……ン、ンン……!!

つまり、松山の記憶の鼓動は、さとりの瞳から溢れる程に強烈だった。
また、他者の精神の波長を読み取るらしい鈴仙の狂気の瞳と、さとりの第三の目とに親和性があった事も災いした。
さとりによって読み取られた松山の記憶は、鈴仙によって波を描いて周囲に拡散し、
やがて牢獄の暗闇をスクリーンに、映像として投影されていく。

――冬の大地。降り積もる雪。夏のラベンダー畑。色彩豊かなパノラマ。学校。仲間。サッカー。試合。敵。敵。地獄。
断片的な単語がビジョンとしてその場に展開されては消え、しかし次第にそのビジョンは暗闇にこびりついていき――。

松山「う、あ……うあぁぁあァァァァアアアアアアアアアアァァァァァァァァアアァァァァァァアァアァァ!」

バァン! …………ザワザワ。 ワーワー……。 キーン、コーン、カーン、コーン……

鈴仙「さ、さとり、さん……? 一体、私達に何が……?」

松山の絶叫と何かが破裂する音を聞いて、意識を一瞬失った鈴仙が再び目を開けると、そこは既に地霊殿の地下牢獄では無かった。
少年少女達の話し声や笑い声が聞こえ、チャイムの音が響き渡るコンクリート製の建物の広い廊下がどこまでも続く。

さとり「…………」

鈴仙の傍に居たさとりは、茫然とした様子で周囲を見回していた。
どうやら、人の心を読む彼女ですら、こうした状況に陥った事が無いらしい。
普段の無表情が随分と崩れ、年相応の少女らしい焦りと怯えを抱いている様子だ。
さとりは諦めたように溜息を吐くと、鈴仙に向かってこう言った。

さとり「鈴仙さん。 どうやら私達は――松山君の心象世界に、閉じ込められてしまったようです」

147 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2014/12/19(金) 00:10:19 ID:???
――と、超展開になったところで今日の更新はここまでです。
明日は付き合いがあるので、更新できないかもしれません。
松山の脳内イベントは、1〜2日程度で終わらせる予定です。

それと、>>143で、
さとり「兄貴だったら恩着せがましかった良いのね。 …」
とありますが、これだと意味が分からないので、
さとり「兄貴だったら恩着せがましくても良いのね。」
……と、言った風に脳内変換して頂ければ助かります。

それでは、皆さま、本日もお疲れ様でした。

148 :森崎名無しさん:2014/12/19(金) 22:02:25 ID:???
こんなことに巻き込まれたのも全部鈴仙ってやつの仕業なんだ

149 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2014/12/20(土) 00:28:46 ID:???
思ったより早く帰ってこれたので、ほんのちょっと更新をします。
>>148
これは間違ってないですねw

150 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2014/12/20(土) 00:30:01 ID:???
鈴仙「松山の心象世界って……! ――な、なんで私まで……? っていうか、そんな事本当にあるんですか………!?」

さとり「――普通は、こんな事起きる筈は無い。 私の能力はあくまで、人の心を読み取るだけに過ぎない。
精々でも読み取ったトラウマを弾幕で再現出来る程度です。 恐らくは……言っては悪いけど、貴女のせいですね」

鈴仙「わ、私は悪い事してないわよっ!? ……たぶん」

さとり「それは知っています。 だから、今回の一件は単なる事故。
私の目と貴女の瞳が共鳴して超振動を起こした結果、こうした心象風景が具現化されたのだと思います。
……ふふ。 こうして言ってみると如何にもジュブナイルでファンタジー的ですよね」

鈴仙「……あの。 ひょっとして楽しんでます? 今の状況」

さとり「色々形を取り繕おうとも、他者の心を読み取り支配する事こそが私の本質。
そうした意味では、他者の心の世界を旅行する事は、ある意味最大級の愉悦ですわね」

鈴仙「試合の様子とか、地上との親交を深めたいとか言ってるのを聞いて、良い妖怪なのかな? ――って思っていたけれど。
貴女も地底の妖怪のご他聞に漏れず、良い性格してますよね……」

さとり「隠さず言って下さり、非常に助かります。
……さて、鈴仙さん。 折角ご一緒した縁ですし、この世界を探検してみませんか?
ここで口論していても、状況は好転しませんし」

鈴仙「むう……そ、そうですね……」

終始マイペースを貫くさとりに翻弄される鈴仙だったが、彼女の言う通り、ここで討論していても話は進まない。
しかし幸いに、鈴仙達には話を進める為の手がかりはある。

鈴仙「とりあえず、いつの間にか消えてる松山……君でも探してみます?」

さとり「……それで良いと思うわ。 ここが彼の心の世界である以上、
今この場に居ない松山君こそが最重要人物である事は、まず間違い無いと思いますし」

151 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2014/12/20(土) 00:32:36 ID:DykbGsZA

――心象風景に塗りつぶされるようして姿を消した、松山光の捜索。
恐らくこれこそが、鈴仙達の脱出やこの世界の正体を掴む為には必要となるだろう。

鈴仙「――しっかし。 どこをどう探してみれば良いのやら……?」

さとり「……まぁ、探すとしたらこの施設――恐らくは外界の「学校」――の中になりますかね。
一応普通の人間の松山君が、市町レベルに広大な精神世界なんて作れる訳ないでしょうから」

……さとりが言わずとも、鈴仙には何となくそんな予感がしていた。
間違い無く、松山は恐らくこの「学校」という名の施設に居る。
残るは、この施設の何処に居るかが問題だ。

鈴仙「……うーん。 教室か、グラウンドか、サッカー部室か、それとも実はこの廊下を通りかかる予定か。
ここが悲惨な過去だったら、トイレとか体育倉庫とか、そんな暗い場所も対象になるかしら……?」

さとり「――明確なアタリは無いと思いますね。
むしろ、「私達が訪れた」という事実をトリガーに、何らかのイベントが起きる可能性も高い。
……だから、貴方が好きなように決めちゃってください。 松山君が居そうな場所を」

鈴仙「え。 ええーっ。 そんな適当でいいんですか?」

さとり「……人の心とは、存外に適当なものですし。
むしろ、そんな非必然的で適当な行動こそが人間の心を決定するとも、どこかの本で読んだ記憶があります」

さとりはあまり自分で行先を決めるつもりが無い――。
いや、正確には行先をどこにしようとも、ある程度の結果は得られる…と。 そう考えているようだった。

152 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2014/12/20(土) 00:33:38 ID:DykbGsZA
鈴仙「(松山がどこに居るか、と言うよりは。 私達が松山のどんな側面を見てみたいか……
っていう観点で行先を選びなさい、って意味かしら。
要するに、適当でオッケーって事でしょうけど……どうしようかな。 どこに行こうかしら?)」

A:教室に行ってみる。
B:グラウンドに行ってみる。
C:サッカー部室に行ってみる。
D:男子トイレに行ってみる。
E:体育倉庫に行ってみる。
F:その他 鈴仙とさとりで行ってみたい場所をご自由にどうぞ

先に2票入った選択肢で進行します。メール欄を空白にして、IDを出して投票してください。

*今回の選択はアドベンチャー的な要素のため、どこを選んでもゲーム的な有利・不利は生じません。
 松山がどんな場所に居て、その場所で何を思っていたら面白そうか……と、言った観点で選んでくだされば幸いです。

153 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2014/12/20(土) 00:36:28 ID:???
…と、言ったところで本当に短く恐縮ですが、今日の更新はここまでです。
明日は夜に予定があるので、昼ごろに集中的に更新したいな、と思っています。
皆さま、本日もお疲れ様でした。

154 :森崎名無しさん:2014/12/20(土) 00:39:59 ID:cnD26DrM
F男子更衣室

155 :森崎名無しさん:2014/12/20(土) 00:45:55 ID:kTTiID1Y
B

156 :森崎名無しさん:2014/12/20(土) 00:51:47 ID:JpOw9ZGc
F>>154

157 :森崎名無しさん:2014/12/20(土) 00:52:32 ID:???
つまりは部室か

158 :森崎名無しさん:2014/12/20(土) 01:00:36 ID:???
いいえ、プールとかの授業に使う部屋です
最も俺の中学にはプールなんてなかったけどね・・・
あー!なんでなかったんだよ!泳ぐの好きなのに!
これも鈴仙の仕業に違いない!おのれ鈴仙!

159 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2014/12/20(土) 17:17:26 ID:???
こんにちは、色々やってたら時間が遅くなったのですほんの少しだけ更新したいです。
>更衣室について
私の通っていた中学では全ての運動部に部室が無く、
多くの運動部員は体育の授業用の更衣室で着替えるか、その辺りの陰で着替えるかしてたような気がします。
なので(?)ここは、>>154さんの意図をくみ取り、更衣室≠部室という事で進行しようと思います。


160 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2014/12/20(土) 17:18:51 ID:???
F男子更衣室

鈴仙「……男子更衣室」

さとり「は?」

鈴仙「男子更衣室よ! きっと松山はそこに居るに違いないわ!」

さとり「――えっと。 ……変態ですか?」

高らかに断言する鈴仙に対し、さとりはおずおずとそう尋ね返した。

鈴仙「ち、ちちち、違うわよ! 確かに過去、無駄に男湯覗き見しようとした事もあるけどさ。
それはその場のノリであって、今回にしてもどこでも良い……って言うから面白そうな所に……!?」

さとり「まあ。 言いたい事は何となくだけど分かります。
だけど、ちょっと私の半径20メートル以内に近寄らないでくれませんかね?
私まで貴女の同族扱いされるのはちょっと……」

鈴仙「……その養豚所の豚を見るかのような冷たい無表情はやめてください。 冗談に見えないんで」

さとり「フフ、すみません。 貴女を見てると、何だかとっても弄り甲斐がありすぎて」

鈴仙「もうっ……。 反対しないんだったら、さっさと行きますよ」

さとり「ええ。 頼りにしています」

見回る場所に態々男子更衣室を選んだ鈴仙のセンスに対して容赦ないツッコミを入れてくるさとりだったが、
そんな彼女も別に鈴仙の決定に真剣に反する事もせず、別に距離を取る事も無く着いて来てくれる。
思うに、こんな捻くれたやりとりも、さとりなりの親愛の表し方なのかもしれない。
……だとすると、如何に考えている事が崇高であっても、中々嫌な性格の持ち主である事は否定できなさそうだが。

161 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2014/12/20(土) 17:19:58 ID:???
さとり「廊下に案内板がありますね。 テレビゲームのRPGの立て看板みたいに、目立つように色んな行先が書いてあります。
……これは、自分を知ってほしい、自分を見て欲しいという彼の欲求の表れか何かですかね」

鈴仙「……子どもが書きなぐったような、稚拙な字ですね」

さとり「――これは、彼自身の精神の幼さ……と、言うよりは未熟さの象徴かしらね。
よく見るとこの学校。 他にも色々と現実的にはおかしい意匠が詰まっています」

看板を手がかりに更衣室へ向かう道中は、さとりの言う通りにところどころが奇妙だった。
基本的には現実的な質感のある教室が、空が、時に歪んだり宇宙のように煌めいたり。
真っ赤な肉の塊が所々に転がっていたり、食堂には血に飢えた虎がいたり。

鈴仙「――危ないっ、さとりさん!」

バシュウッ!  バァン!!

さとり「大丈夫。 自分の身は自分で守るから。 ……心花『カメラシャイローズ』ッ!」

バァァァァァァ……ン! ビュンッ! バババババッ……!

所々、ゾンビのように虚ろな目をした男の子の人形にも襲われたりした。
鈴仙とさとりは、まるで霊夢がやっている異変解決の道中を辿るように、
松山の心から生まれた魔物達を弾幕で退治していく。

鈴仙「……さて。 どうやら着いたみたいね、男子更衣室」

さとり「そうですね。 ……鈴仙さん、思いとどまるなら今の内ですよ?」

鈴仙「私を犯罪者予備軍っぽく言うのは止めてくださいよ……」

162 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2014/12/20(土) 17:25:06 ID:DykbGsZA

軽口を叩きあいながら、鈴仙は更衣室のドアをそっと開く。
するとそこには―――。

先着1名様で、

★更衣室のイベント→! card★

と書き込んでください。マークで分岐します。

JOKER→松山「――俺、実は小田の事が……!」小田「きゃ、キャプテン……!」ポッ 鈴仙「こ、これは……」さとり「来ましたわね」
クラブA→男子生徒「う、うわー! 痴女だ! 兎耳付けた痴女が更衣室にー!」鈴仙「ご、誤解よー! それでも私はやってないー!?」
       さとり(こっそり脱出済)「えーと、110番、110番……」ピピピ
それ以外→松山「……」鈴仙「(あれは……松山君!)」

163 :森崎名無しさん:2014/12/20(土) 17:30:12 ID:???
★更衣室のイベント→ スペード7

164 :森崎名無しさん:2014/12/20(土) 18:12:21 ID:???
くっ、ここは下着姿で男子更衣室にすべきだったか!?

165 :森崎名無しさん:2014/12/20(土) 18:18:06 ID:???
この変態エロウサギめぇ

166 :森崎名無しさん:2014/12/20(土) 19:03:26 ID:???
おまわりさんこいつです

167 :森崎名無しさん:2014/12/21(日) 01:01:32 ID:???
急用でしょうか?
無理はなさらずに、乙です。

168 :森崎名無しさん:2014/12/21(日) 05:25:20 ID:???
主人公が覗きで逮捕されたから更新不可になったんだよ

169 :森崎名無しさん:2014/12/21(日) 11:43:22 ID:???
ウサギは所構わず発情する生き物だからね

170 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2014/12/21(日) 17:53:08 ID:WbgK50x2
こんにちは、昨日はあんまり更新できなかったので、今日は更新したいです。
>>167
乙ありがとうございます、連絡無く更新止まってすみません。
夜から予定が入っており、ギリギリまで書いていたのですが焦っていました(汗)
無理な時は割と休んでいるので大丈夫です。お気遣いありがとうございました。
>変態について
クラブAだったら逮捕ENDでしたね。別世界のうどんちゃんが呼んでいるような気もしますw

171 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2014/12/21(日) 17:54:21 ID:WbgK50x2
★更衣室のイベント→ スペード7 ★
それ以外→松山「……」鈴仙「(あれは……松山君!)」

松山「………」

鈴仙「(あれは――松山君……!?)」

更衣室に居たのは、静かに一人で着替えをしている松山の姿だった。
彼自体まだ思春期の少年ではあったが、その身体はしっかりとバランス良く鍛えられており、
鈴仙はほんの少しだけ見惚れてしまう(さとりはその横でニヤニヤ笑っていた)。

さとり「……今はどうやら、彼一人しか居ないようですね。 暫く様子を見ますか」ヒソヒソ

鈴仙「で、でも気付かれますってば!」ヒソヒソ

さとり「そこら辺は、狂気の瞳とやらで何とかしてください」

鈴仙「あっ、そっか。 ……でも、あんまり勝手に動かないで下さいね。
私の能力だって、こんなイレギュラーな局面でどう作用するのか分からないんですから」

暫くは見に徹する事にした鈴仙とさとりは、波長をずらして気付かれないように更衣室の松山の横を通り抜け、
そして更衣室の一番奥、ロッカーとロッカーとの間で陰になる場所を陣取り待つ。
そこに現れたのは――。

小田(ふ)「……あれぇっ? どうしたのかなキャプテン?
部活も終わったと言うのに。 更衣室で一人、追加練習の準備かい?」

松山「……ああ、そうだ。 そうだよ……小田。 ただ、体操服が見つからなくて」

172 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2014/12/21(日) 17:59:15 ID:WbgK50x2
松山の前に現れたのは背丈の低い少年。
小田は心底愉しそうな声で、松山の肩をポンと叩きながらそう告げた。
そんな小田の態度に反して、松山の態度はどこまでも暗かった。

小田「それは大変だ! 今から探さなくっちゃ!」

松山「……小田。 一緒に探してくれるのか? すまない……ありがとう」

小田「へへっ。 キャプテンが困ってるんだから当然だろ? 俺、今からメンバーを呼んでくる!
(――もっとも、体操服は俺達ふらのメンバーがドブに捨てといたんだけどな。
はぁ。 皆が反キャプテン派だって最初から知っていれば、こうして数の暴力で『出る杭』を撃てたんだけどな)」

松山「(……俺は確かに馬鹿かもしれないけれど、わかる。
小田は――皆は、俺に対して明確な敵意を秘めている。
勿論、先生や警察沙汰になる事を防ぐために、それを表面的にはしないけれど……)」

――何故なら、松山は知っていた。
小田や彼のチームメンバー……果ては、彼の住む地域全体にも広がらんとする自身への悪意の理由を。
それを知ったのは忘れもしないJr.ユース大会、フランス戦の前夜。
皮肉にも他者の感情に無関心な森崎によって教えられた自身の罪。

松山「(藤沢、皆。 ――俺が悪かった……)」

藤沢の想いに気付いてあげられなかったこと。
自身のエゴのみを信じ、チームメイトの真意を全く汲み取れなかったこと。
そうした自責の念が、帰国してからの松山を苦しめていた。

さとり「……と、いう事らしいですよ」ヒソヒソ

鈴仙「傍目から見たらわかりづらいけれど。
括弧で括られている部分を私達が読み取れるってのは、地味に便利ですねぇ。
神の目線で、物語を読み取れるっていうか……」ヒソヒソ

173 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2014/12/21(日) 18:00:31 ID:WbgK50x2
そんな松山達の感情を読み取っていたさとりは、ひそひそ声でその全てを鈴仙に伝えてくれる。
感情を筒抜けに読み取られる方は堪った物では無い気もしたが、
鈴仙は素直に、その能力の便利さの恩恵にあずかる事にした。

鈴仙「……しかし。 こうなると松山の地獄の原因は、こうした深い自責の念があるから……なんでしょうか?
それともやっぱり、かつての仲間達からの仕打ちに耐えられなかった……とか」

さとり「……そうね。 恐らくはそれも多分にあるでしょう。
十数年も生きていない人間の子どもに対しては、恐らくこの学校、この地域というのが彼にとっての全て。
その全てから罪を糾弾され、そして否定されては――如何に彼の精神が気丈であっても、さぞかし辛い事であったでしょう。
ですが……この程度の話、言ってしまえばどこにもある話。
これだけで、ああも捻くれた人格が出来てしまうとは、あまり考えづらいのだけれど……」ヒソヒソ

鈴仙「……あっ! 二人が出ていきますよ。 追いかけましょ!」ヒソヒソ

小田に連れられるように、松山はその後を追って更衣室を去って行く。
鈴仙とさとりも、気配を殺しながら慌ててこの二人を追いかけようとするが――。

ブウウ……ンッ!  ……ゴオオオオッ……!

鈴仙「――きゃっ!?」

――突如、世界が黒く歪んだ。
これまでも、世界の端々にちょっとした歪みや黒い魔物の出現はあったが、
今回のひずみは、あまりに規模が大きすぎた。
地面が割れ、壁は溶け、ロッカーや照明など、周囲の物は禍々しく変質する。

さとり「世界が今までに無く、ひどく歪んでいます……!
そして恐らくは、この歪みの先にある何かこそが、彼の心を歪める決定的な切欠。
――さぁ、自我をしっかりと持って、私の手を握って。 決して、彼の心に取り込まれないようにしてください。 さもなくば……!」

鈴仙「さ、さもなくば……!?」

174 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2014/12/21(日) 18:01:36 ID:WbgK50x2
さとり「――自発的に体中に鎖を巻き付けたり、褒められてるペットの犬猫に嫉妬したり、好きな人に吹き飛ばされて消し飛んだり。
最終的には、ネックレスを強奪した挙句、そのネックレスの副作用でおぞましい虫の怪物になるとかなんとか……」

鈴仙「そ、それは恐ろしいですね……ネックレスがどうとかは意味不明ですけど」

さとりに促されるまま、鈴仙は彼女の小さな手を握り、溢れる暗闇の襲撃から自身の身を守る事に専念する。
ともすると自己すらも喪ってしまいそうな奔流を受けて……やがて、その襲撃は俄かに終わりを告げる。

ブウ……ッン。 ―――――――。

鈴仙「お、終わった……?」

さとり「……そのようですね。 世界はすっかり学校でも無く暗闇ですが……しかし、先程までの混沌とは違った、静かな暗闇です。
私達に危害を加える可能性は、さしあたり無いと断言して良いでしょうか。
そして――ここは松山君の精神のより深層。 恐らく、ここに松山君の本心が隠されていると思います」

辿り着いた先は、一面の暗闇だった。 地面も天井も壁も無い、全くの黒。
光が無いにも関わらず、鈴仙の数歩先に居るさとりの輪郭がしっかりと見えているのが不思議ではあったが、
その時の鈴仙にはそこまで考える余力など無かった。

鈴仙「……兎に角、歩いてみましょうか。 他に手がかりも無い訳だし」

さとり「ええ」

足音も無く、地面を踏んだという感触も薄く、二人は暗闇を進んで行く。
何分、いや何時間。 何メートル、いや何キロメートル歩いただろうか。
時間や距離の感覚までもが薄らいだ頃に――果たして、二人は松山と邂逅した。


175 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2014/12/21(日) 18:02:49 ID:WbgK50x2
松山「……なんだ。 あんた達か」

松山は虚ろに呟いた。
松山は体育座りをして、鈴仙達に視線を向ける気力も無く、膝の間に顔をうずめていた。
……その右手には、ボロボロになった布切れが握られていた。

さとり「……私が貴方を発見した時に持っていたハキマキの切れ端。 それは、貴方がかつて犯した罪の証だったのですね」

松山「……森崎――俺がハチマキを間違って渡した相手――は、ビリビリに破いて投げ捨てたって言っていたけれど。
気付いたら、俺の手の中に戻って来ていた。 それはつまり、俺の罪は永遠に許されないという事の証明だろう……?」

鈴仙「(ここでも「森崎」……か。 中山君と森崎は、一体元の世界でどれだけの人に影響を与えていたんだろう?)」

さとり「……なるほど。 半分くらいは分かりました。 貴方がかつて自己を否定するまで苦しみ。
そして、今なおも自らを縛り、地獄を受け止めようとする理由が。
――だけど。 これだけでは無いですよね? 松山君」

さとりの淀みない問いかけに対して、松山は無言で肯定した。

松山「……前提として、話しておきたい。
……俺はサッカーにおいて。 いや、サッカーに限らず人間がより良い生活を営むにおいて――人と人との絆。友情。団結。
そんな物が何より大切であると、信じて疑っていなかった。 ……いや、過去形じゃあない。
今だって、俺は純粋な損得勘定ではなく、数値や結果に表れない、人と人との信頼こそが重要だと強く信じている。
甘いだとか、理想論だとか馬鹿にされようともな」

さとり「……奇遇ね。 私も貴方と同感です」

鈴仙「(これまでの人を食ったような言動から見ると、俄かには信じがたいけどね……)」

さとり「鈴仙さん、今何か思いましたか?」

鈴仙「(ななな、何も思ってませーん!?)」

176 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2014/12/21(日) 18:04:11 ID:WbgK50x2
松山が考えていた、鈴仙の知る彼らしからぬ理想を聴き、さとりは共感を示す。
彼女もまた、試合において自身のチームメイトを信じ続け、
そして、地上との親交を深めるという理想論的な目標の達成の為尽力していた。
その理想の裏に隠れた、決して無視できない現実の暗さを知りながら。

さとり「……さて。 前提は分かりました。 即ち、貴方が人の絆を信じる清廉な少年であるという事は。
ですが、今の貴方はどちらかと言えばその反対。 つまり、スタンドプレーを好み、他者との関わりを拒絶している。
この理由は一体どうして? そこまでも、かつての過ちに対する罪の意識が深いから?」

松山「……それは半分正解だ。
俺は、かつての俺の罪を許す事は出来ない。 しかし、それ以上にもっと許せない物がある」

鈴仙「あっ。 それってやっぱり……さっきのチームメイト?」

松山「……違う。 俺にとってもっとおぞましく、そして巨大な存在だ」

――ピシッ。

……刹那、世界が再び歪んだ。
暗闇に亀裂が入り、いよいよ松山の本心が露わとなっていく。

松山「……俺は……俺は……!!」

ピシッ、ピシピシッ……!

鈴仙「(胸を締め付けられるような感覚……! これが、松山という少年が抱いていた真の怒りと悲しみ!
これまでは混沌に隠されていたけれど、この感情は鋭く。 そして、淋しい……!)」

先程の襲い掛かる暗闇と比べ、今の変化は外面上大人しいと言っても良い。
しかし、今回の変化はその分、鈴仙の心情に深く訴えかけるような錯覚を覚える。
亀裂からは、次第に今までの黒よりも更に黒い色と……そして、不気味さすら覚える美しい白とが見え隠れていた。

177 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2014/12/21(日) 18:05:36 ID:WbgK50x2
松山「……俺が、世界で一番許せない存在。
それは過去の罪でも、それを出汁に俺を追い詰めるふらのの皆でも無い。 俺は―――!」

バリイ……ンンッ!

やがて、亀裂が完全に割れ、松山の世界は更に深部へと達する。
その世界とはつまり―――完全なる黒と、完全なる白との二色の世界だった。

松山「俺は……過去の罪を許そうとし、あまつさえ自身の罪の責任を無理解なチームメイトに擦り付けようとする。
そんな身勝手な……自分の心に潜む『影』が、一番許せないんだ!」

そして、松山の存在もまた亀裂が入り消えた。 残ったのは松山の『影』だけだった。

鈴仙「……哀れな。 自分を許さない事こそが唯一の正義と信じ切り、
それを許そうとする自分こそが最大の悪と決めつけるなんて。
そんな事をしていては、貴方は永遠に許される事はないというのに!」

松山の影(以降便宜的に『影山』と表記)「……俺は、自分が何よりも神聖と信じているものを、自らの手で穢し、壊してしまったんだ!
たとえ誰が俺を許そうとも、サトリ妖怪。 俺を許したい俺が消滅しない以上、お前の行為は全て無駄なんだからな……!」

――つまり、松山光という少年は人一倍清廉でありたいに関わらず、その為の能力が明らかに欠如していた。
そしてそれ故に、理想と現実との果てなきギャップに苦しみ……それが、彼を地獄へと突き動かした。
他者との関わりを絶ち、自己を含む全てを拒絶する事のみが、自分の唯一の救いであると信じて。

さとり「……だけど貴方は、自分を許さないだけ出なく、自分を許し切る能力すらなかった。
地獄へと堕ちていく自分を肯定する「誰か」が居て欲しかった。 だけど、そんな者は当然この現実には存在しない。
……まさしく幻想の世界か。 さもなくば――虚構の世界にしか、ね」

影山「そこまで、解っていたんだな……。 ――兄貴の、矢車想の正体までも」

さとり「――お空がお土産で、河童から貰って来まして。 ――これが、矢車君の「モデル」ですよね?」

178 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2014/12/21(日) 18:07:02 ID:WbgK50x2
さとりはポイと、ポケットから何かを影山へ投げつけた。
鈴仙は影だけと化した松山に近づいて、それが何かを確かめると。

鈴仙「これは確か……姫様も持っていたDVDドラマのケース。 それで、タイトルは……!?」

――それは少年向けの特撮ドラマのようだった。
しかし、鈴仙が目を丸くした理由はそのタイトルやストーリーでは無い。
そこには間違いなく、あの時の試合に出ていた矢車の姿が映っていたからだ。

さとり「……矢車想とは即ち、外界の特撮ドラマの登場人物が一人。
完全調和という崇高な理想を掲げながらも、主人公への嫉妬心に負けてスタンドプレーを行い、仲間を見殺しに。
信頼していたかつての部下にも裏切られた彼は――地獄の戦士として、同じ境遇をなぞった相棒と共に、
物語上の正義や悪に与せず、自身の生きる意味、戦う意味を孤独に問い続ける。
……まさに、今の貴方の境遇にピッタリ。
自分を認めてくれる、見捨てないでくれる……理想のヒーロー像ですね」

影山「そうさ。 そうだよ……! 俺は結局、中途半端なんだ!
自分の罪を受け入れる事も出来ない! だからといって、そんな自分を許し切る事も出来ない!
だから、俺は――兄貴にだけは、受け入れて、認めて欲しかったんだ……!」

さとり「罪を受けるべきと思う自分と、そこから解放されたい自分とのせめぎ合い。
それを認めて貰うために、第二の人格を作り、そうする内に……本来の自分を見失ってしまったのですね……」

鈴仙「…………!(――松山光。 彼もまた、中山さんとは違う意味でストイック過ぎる人物。
だけど彼は、中山さん以上に崇高な理想を持つ一方で、中山さん程強くは無い。
だから彼は、こうして自己を否定する事しか出来なかった! なんて、悲しい話なの……!)」

松山の本心を聞いた鈴仙は、胸を潰されたような気持ちになった。
この地獄の少年が持つ迷いは、そして怯えは。 完全にとは言えずとも鈴仙にとって共感できる。

鈴仙「(私が……私が、今の松山君に対して、何かを言ってあげる事は出来ないのかしら。
――私はさとりさん程松山君と親しくないけれど、それでも、これまで色んな経験をして来た。 何か――何か、言える事は……?)」

179 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2014/12/21(日) 18:09:41 ID:WbgK50x2

鈴仙はどうしても、松山に何かを言いたくて堪らなかった。
誰よりも自身に厳しく、にも関わらず弱い彼を救えずとも、何かを……。

鈴仙「…………」

あまりに強烈な松山の自我を受けて戸惑うさとりを尻目に、鈴仙はこう口を開いた。

A:「私だって、かつて罪を犯した事があるから言うけど。 ――罪やそれを許さない自分も含めて、今の貴方なんじゃない?」
B:「中途半端って言うけれど……中途半端で、一体何が悪いって言うの?」
C:「……私は良く分かんないけど。 また、ラーメンでも食べにいきましょ」
D:「さとりさんとかは、貴方を認めてくれてると思う。 他のチームの人だってきっとそうよ……!」
E:無言でポケットの「愛のハチマキ」を影山に投げ付ける。(渡すとは言ってない)
F:その他 自由選択枠

先に2票入った選択肢で進行します。メール欄を空白にして、IDを出して投票してください。

*今回の選択にも特に明確なアタリハズレは定めていません。
 ですが、自由選択枠で色々考えて下さった場合、少しだけプラスを上乗せする可能性があります(プラスされない可能性もあります)。

180 :森崎名無しさん:2014/12/21(日) 18:11:59 ID:89HRSoaA


181 :森崎名無しさん:2014/12/21(日) 18:23:15 ID:gdMJhXp2


182 :森崎名無しさん:2014/12/21(日) 18:30:33 ID:???
Wのおやっさんの台詞が思い浮かんだ

183 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2014/12/21(日) 22:44:23 ID:WbgK50x2
B:「中途半端って言うけれど……中途半端で、一体何が悪いって言うの?」

鈴仙「……私は、正直ほとんど部外者だし。 だから、的外れな事を言うかもしれないけれど」

鈴仙はどうしても言いたくなった。

鈴仙「……中途半端って言うけれど……中途半端で、一体何が悪いって言うの!?」

影山「えっ……?」

鈴仙「――私も、凄く中途半端だから。
昔働いていた場所でも、色々良くしてもらっていたのに、途中で逃げ出したり。
いや……。 今だって、私は冷静にも徹しきれず、かと言って情に全てを投げ打つ自信は無い。
だけど、私は自分で……こんな自分も悪くないと思っている。
大事なのは、中途半端だとか許されるとかじゃなくって……自分で自分の事が好きで居られるか。
どうせ完全に正しい人間……とか妖怪とか……も居ないんだから、汚い自分も綺麗な自分も認めること。
それが大事なんじゃないの!?」

影山「それが出来るなら、苦労はしていないさ……。 良いよなぁ、お前は。
自分に自信があるみたいで。 お前だって、あのサトリと一緒という事か」

さとり「……私はあの方と違って、好き好んで男子更衣室にインする趣味は無いですけどねぇ」

鈴仙「さとりさん。 余計な事言う位なら黙っていて下さい」

さとり「失礼。 ……では、余計では無い事でも言いましょうか。
――例えば。 私だって、昔は自分に自信が無かったんだ……と、いう話とか」

鈴仙「あっ、そういう話だったら私にも―――!
……っていうか。 やっぱり、何でも切欠があるんだと思うわ!
だから、松山君。 貴方だって、このまま生きていればきっと……!」

184 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2014/12/21(日) 22:45:58 ID:WbgK50x2
さとりと鈴仙は、互いに地獄を知り、それを乗り越えて来たという点で共通していた。
そうした意味では、この松山の葛藤にも何らかの共感を覚えていたのかもしれない。

影山「……」

影山は影のまま、黙って静かに鈴仙達の言葉に耳を傾けていた。
恐らくは、こうした慰め文句も彼の中では一度考えた内容ではあるだろう。
しかし、それでも、同じ事を自分で考えるのと他者から言われるのとでは意味合いは大きく異なる。
現に影山の影は次第に薄くなり、世界の破片とともに砕けた松山の身体は次第に再構成を始める。

松山「…………すまない」

松山の心象世界にある白と黒は……ほんの少しだけ彼の中心で混ざり、グレーの背景を作り出す。

松山「……俺は人一倍不器用だから、お前達が言いたい事を行動にすぐ移す事はできない。
だが……ああ。 そう言ってくれる人が居るというのは……幸せなのかもな」

さとり「……私の所――というか、地底では、貴方みたいな手合いの変人は沢山居ますから。
もしもそれで思いつめていたのならば……。
そうね。 一度オーバーラップでもしてみたら良いでしょうか。 ……前の試合の私みたいに」

松山「…………ふん。 アレのせいで、試合に負けたんじゃないのか?」

さとり「仰る通りで。 ……でも。 想いは口にするよりも、行動で示した方が伝わり易いのではなくて? ねぇ、鈴仙さん?」

鈴仙「ど、どうしてここで私に振るんですか……? ――まぁ、でも。 そうね。
悩む事も立派だけど――やっぱり、中途半端でも、前に進んで行った方が私は良いと思う、かな……?」

松山「…………」

―――パァァァァ……ッ!

185 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2014/12/21(日) 22:47:18 ID:WbgK50x2
――鈴仙がそう言ったのと同時に、松山の影の上に本来の松山の輪郭が現れ、周囲は白夜のように光る。
その白色は、塗料のように気持ち悪い白では無く。
適度に黒と入り混じった、薄く幻想的で。 とても美しい白色だと鈴仙は思い――意識はそこで途切れた。



***



鈴仙「う、う〜ん……」

??「――目が、覚めたか」

――鈴仙が意識を取り戻した先は、再び地霊殿の暗い牢獄だった。

鈴仙「あれ。 私――戻って来たんだ……。 ――って! あ、あんたは!?」

矢車「折角介抱していたのに、目が覚めるなりあんた呼ばわりされる。 はぁ……どぉせ俺なんか……」

さとり「……そのネタはもう良いですから。
――鈴仙さん。 矢車君に代わって礼を言わせて頂きます。 本当にありがとう」

鈴仙「えっ。 その……さ、さとりさんが牢獄に居て。 ……え〜っと?」

さとり「――私達は、松山君の心の世界から脱出しました。 彼の心を僅かにでも慰めてね」

こうした精神的状態変化に慣れているのか、さとりは鈴仙よりも先に目覚めていたようだ。
相変わらずやさぐれた様子の矢車と並んで、倒っぱなしの鈴仙の様子を見ていたらしい。

186 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2014/12/21(日) 22:48:35 ID:WbgK50x2
鈴仙「……松山君は、どうなったんですか? 矢車君が今もここに居るというのは、失敗したって事……?」

矢車「それは逆だ。 むしろ、相棒は酷く感謝している。
――自分を喪いかけ、俺という虚像のヒーローに救いを求める自分を、それで良いと言ってくれた……とな」

さとり「ただ、やっぱり私達の干渉が彼の未熟な精神にとって重荷だったようで。
なので今は、疲れて眠っている状態らしいです」

鈴仙「……そう。 だったら、それはそれで……良かったのかもね」

最初鈴仙は、松山の精神に間借りして存在する矢車は、消えるべき存在と無意識に考えていた。
二重人格は精神の病だ。 そのため、これを直す事こそが松山にとっての幸せなのだ……と。
医療に従事する者としては当然な、しかし傲慢な発想が残っていた事は否めない。
しかし、今の比較的穏やかな矢車の表情を見ると、その思いにも揺らぎが生じる。

さとり「……中途半端である事は、決して罪では無い。 人は清濁、その両方を合わせ持つ存在だから。
そうした考えを弱さや甘えと受け止める者は、きっと多いのでしょうね。
努力によってそうしたどっち付かずの状況を打破し、更なる成長を求めるべきだ……と。
――ですが、それを押し付けられる方は堪った物では無いと。 そういう話で良かったですかね」

鈴仙「そ、そうだったかしら……?」

矢車「地獄の底こそ至福だと言うのになァ……」

さとり「それはそれで、ちょっと極端過ぎますし。
……だけど、今の松山君にとっては、貴方の地獄が癒しになっていたのも事実。
ですから……私はそれを、否定はしません。 否定はね」

矢車とさとりとの関係も、より近しい物になっているような気がした。
今回の一件がその原因に関係しているかどうかまでは、今の鈴仙には分からないが……。
――しかし矢車の様子もまた、先日の試合に比べて随分と優しげになっているような。そんな気がした。

187 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2014/12/21(日) 22:49:38 ID:WbgK50x2

矢車「……そこの兎」

鈴仙「は、はいっ!」

とはいえ、突然に精悍で鋭い目線の男に話しかけられても動揺しない程鈴仙の肝は据わっていない。
ピシっと背筋を伸ばして、ある意味当主のさとりに話しかけられた時以上に恐縮しながら矢車の方を向く。

矢車「……次に来た時でも、何時でも良い。 『お前の持っているハチマキを、俺達に譲ってはくれないか』。
――無論、その際は礼をする。 練習指導でも、戦術指導でも、お前の仲間の技術指導でも。
可能な事ならば、俺も協力を惜しまん。 ……無理にとは言わんが――な」

鈴仙「……は、はい。 それなら(――って言っても、渡しちゃったら姫様への難題プレゼントが出来なくなっちゃうのよね。
一回渡した後、姫様が返してくれるって言うなら別だし、『毘沙門天の宝塔』とかはそれで何とかなったけれど。
今回も上手くいくやら。 矢車……さんも、別に無理にくれ、って言ってる訳では無いし。
――どっちにしろ、姫様に要相談かしら)」

矢車の申し出が穏健であった事に安心しつつ、会話が一旦途切れたのを見計らって鈴仙は帰宅を申し出る。
精神世界での冒険で親交を深めたからか、さとりは夕飯でも食べて行けば…と誘ってくれたが、今は門限の方が大事だった。

さとり「……まぁ。 宜しければまた遊びに来て下さいな。
お燐もそれなりに貴女に懐いているし、『宝探しの続きまだ〜?』……とか、誘って欲しそうにもしていたし。
矢車君も、こう見えて――結構、貴女に感謝してると思いますよ?」

矢車「俺と一緒に地獄に落ちよう……」(←最大級の親愛表現らしい)

188 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2014/12/21(日) 22:57:33 ID:WbgK50x2
さとりと矢車の二人に見送られながら、鈴仙は地霊殿を立つ。
矢車が太陽を眩しそうにしていたので(※地底では太陽が見えないが、気配をより近くに感じるらしい)、
二人は入口まで鈴仙を見送るなど殊勝な事もせず、暫く牢獄にて暇を持て余していたが。

さとり「(……しかし。 この一件については間違いなくあの子――こいしが絡んでいる筈なのに。
あの子は試合からして口数が少なかったし、最近は地霊殿にも帰って来ていないみたい。
――意識か無意識か。 ……何かを私に隠しているわね――あの子)」

……さとりの思考には依然、何かしらの引っ掛かりを残している様子であり。

矢車「(……当面は俺が相棒を守るが。 ――しかし、『来たるべき時』が来るのも、もうすぐかもしれんな……)」

矢車もまた、鈴仙とさとりの想いを前に、とある覚悟を抱いていた。

*さとりの評価値が上がりました。
*矢車/松山の評価値が大きく上がりました。
*鈴仙とさとりとの関係が、鈴仙→(友好)←さとり になりました。
*今後、「愛のハチマキ」を矢車(松山)に渡した場合、ボーナスが発生します。
 内容は、@鈴仙と松山との特訓イベントの発生
      A特殊戦術を確実に習得
      B能力値の低い仲間選手(名無しウサギ)対象の、強化イベントの発生
 ……の3つから選択できるようになる予定です。
*輝夜に渡した場合のボーナス(シュート力+2、ガッツ+50)とは基本的にトレードオフですが、
 輝夜との判定によっては両方ボーナスを得られる可能性もあります。

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