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【どん底からの】キャプテンEDIT2【出発】


[578]キャプテンEDIT ◆wM6KXCkaLk :2010/03/18(木) 20:11:39 ID:HdLKyJYM
滑稽な身振りで、金成の神経を逆撫でする森崎。『』の部分は金成の声色まで使う周到さだった。
たちまち、金成の表情に恥辱と怒りの朱色が差した。

金成「て、めえ……」

森崎(おうおう、軽く挑発を返しただけでムカっと来てやがるよ。よっぽどヌルいところでサッカーしてたんだなあ)

この程度のことは、奇行士・森崎にとっては『軽く』の範疇である。
だが、常に相手を嬲る側に立っていた金成にとっては、いたくプライドを傷つけられる行為だった。
省40

[579]キャプテンEDIT ◆wM6KXCkaLk :2010/03/18(木) 20:13:11 ID:HdLKyJYM
金成「なんでだ……なんでこうなるんだ……?」

実況「――5−0! 南葛のリードです!」

ワァァァァァァァァッ!!!

南葛の圧倒的なリードに、沸き返る観客席。群衆が一丸になって歓声を上げる様は、ある種、美しい光景と言えなくもない。
だがそれは、対戦相手である清栄の選手にとっては、ブーイングに等しい効果を持っていた。
なにしろ自分たちの大劣勢が、大勢の人々に喜ばれている状況なのだから。

金成「……くそったれっ!!」
省47

[580]キャプテンEDIT ◆wM6KXCkaLk :2010/03/18(木) 20:14:35 ID:HdLKyJYM
金成(ぬ、抜けない。こいつだけは抜けない……! サイドにはたくしかない……くそ、この俺が対戦を避けるだと?)

翼「あれ? 来ない?」

屈辱に歯噛みしつつサイドにボールを流し、バイタルエリアでラストパスを待つ戦法に切り替える。

観客「あ、パスで逃げたぞ、アイツ!」「こらーっ!! ちゃんと勝負しろーっ!!」「そんなに翼が怖いのかーっ!?」

金成(うるせえぞ凡愚どもがっ!! サッカーには戦術ってもんがあるんだ!! くそっくそっくそっ!!! 省51

[581]キャプテンEDIT ◆wM6KXCkaLk :2010/03/18(木) 20:16:24 ID:HdLKyJYM
清栄MF「す、素通しだと? どういうことなんだ!?」

金成「(野郎、何考えてんだ!?)い、いいから渡せ! せめて一発、ぶち込んでやる!」

清栄MF「お、おう!」

指示に従い、金成にボールを戻す。

実況「おおっと!? ここで金成くんにボールが渡ります。清栄学園、最後の意地の見せ所です!」

金成「これが入っても、到底勝ちはねえが、森崎ィ……てめえの鼻っ柱は叩き折ってやる!」

グワァァァァ……
金成の右足が、鎌首をもたげる。
省51

[582]キャプテンEDIT ◆wM6KXCkaLk :2010/03/18(木) 20:18:46 ID:HdLKyJYM
森崎(インパクトの瞬間に、ボールを擦り上げるようにしたのが見えた……十中八九、回転を掛けてやがるな。
おそらくバナナシュートか。そんなもんが今更俺に通用すると思っているとは、とんだ田舎者だぜ!!)

ググググッ……
クンッ!
果たして金成のシュートは、森崎の看破したとおりに、弧を描いて曲がった。
そして、コースを読み切った森崎は、あらかじめ曲がるボールへ完全に手が届く位置取りにつき――

森崎「そらっ!!」

――事もなげに、拳で弾き返した。
省54

[583]キャプテンEDIT ◆wM6KXCkaLk :2010/03/18(木) 20:19:55 ID:HdLKyJYM
実況「おっと弾かれたボールは前線へと大きくクリアー。一方、前掛かりになった清栄は守備が手薄だ!
しかし、大量のリードを守る南葛、ここは丁寧に攻めていきたいところ――」

金成はシュートを放った位置に立ったまま、動けずにいた。
場内に響くアナウンスの声も、観客の声援も、再び追加点を許しそうな戦況も、全てが思考の埒外にあった。
彼の脳裏には、今の森崎のセービングが、くっきりと焼きついている。
それが、何度も何度も反芻されていた。
省48

[584]キャプテンEDIT ◆wM6KXCkaLk :2010/03/18(木) 20:21:30 ID:HdLKyJYM
実況「翼くん、バイタルエリアに切り込みパスを……ああっと、これはワンツーだ! 折り返しで高い球が上がる!
これは翼くん得意の――」

翼「いっけえ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っ!!!」

金成「あ、れは……」

実況「――オーバーヘッドキックだぁ!!」

喧騒に気付き振り向いた金成の目に、その名の通り大空高く舞う翼の姿が目に移った。
清栄の守備陣は県大会の鳴紋戦と同じく、5バックの陣形でガッチリとエリア内を固めてはいる。 省63

[585]キャプテンEDIT ◆wM6KXCkaLk :2010/03/18(木) 20:22:49 ID:HdLKyJYM
金成(こ、これが……これが去年の小学生ナンバーワンの強さなのか? この戦いが、全国のレベルなのか?
お、俺たちが地元でやっていたサッカーは、何だったんだ……。
小豆沢を謀略で退場に追い込んでまで全国に来た結果が、これなのか?)

自問自答の中に沈む金成。

金成(そういえば、小豆沢も全国では勝てなかった……俺たちと鳴紋は、エース級以外の選手のレベルに、それほど差は無い。
なら……その小豆沢すら実力では倒せなかった俺たちに、最初から勝ち目は無かったということか? 省44

[586]キャプテンEDIT ◆wM6KXCkaLk :2010/03/18(木) 20:25:03 ID:HdLKyJYM
実況「試合終了です! ともに1年生が10番を背負う両校の戦い、終わってみれば南葛の圧勝! 6−0という圧倒的な大差です!」

観客「やっぱ、10番の差がデカかったな」「金成とか聞いたことねーし」「やっぱり翼はすごいなー」
「森崎も何気に上手くなってね?」「いやあ、相手がショボイだけだろ?」

森崎(ぬぐぐぐぐ……! あのアホが悪目立ちしたせいで、俺の活躍が不当に低く評価されているじゃねえか! 省43

[587]キャプテンEDIT ◆wM6KXCkaLk :2010/03/18(木) 20:26:08 ID:HdLKyJYM
金成「憶えていやがれ……来年だ……! 来年こそ、てめえからゴールを奪い、そして南葛を打ち負かしてやる!
その時まで、精々鼻を高くしていやがれっ!!」

森崎「ふーん……あっ、そう(どこにでもいるよな、こういうヤツ。それより練習だ練習。
出来るだけで派手で、見栄えのするドリブルを考えなきゃ――)」

翼(あれ? 中盤で何度もやりあった俺じゃなくて、森崎の方に行くの? ……ま、俺にはどうあがいても勝てないだろうしね。
相手を見てケンカを売るタイプなんだろうな)
省34

[588]キャプテンEDIT ◆wM6KXCkaLk :2010/03/18(木) 20:27:25 ID:HdLKyJYM
――その後の大会は、南葛の快進撃の一言に尽きた。
初めは翼という巨星の輝きに隠れていた森崎も、二回戦、三回戦と勝ち進むにつれてそのセービングの堅固さを周知させていく。
南葛のキャプテンが真紅の優勝旗を手にする頃、誰ともなく『南葛の要・攻めの翼、守りの森崎』という言葉を囁いていたという。
優勝の原動力となった二人の1年生。彼らを擁する南葛イレブンの前途を阻む者はいないと、誰しもが感じていた。
省25


0ch BBS 2007-01-24