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【道は】鈴仙奮闘記41【違えど】


[764]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2018/01/05(金) 00:02:45 ID:???

鈴仙の脳裏にこれまでの記憶がよみがえる。リオカップ決勝。仲間の奮闘。恐るべきストラットと翼。覆せぬ劣勢。惨めな敗北。
久しぶりの妖夢との会話。銀色の銃弾。真っ赤に燃え上がり、やがて真っ黒に染まった視界。そして――薄れる意識。
つい数秒前のこととして認識できる一連の出来事から、もうそんなに時間が経ったのだと、鈴仙は俄かに信じられなかった。

鈴仙「み、皆は!? 妖夢は!?」
省59

[765]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2018/01/05(金) 00:03:46 ID:???
星「ああ、先生!」

鈴仙「(せ、先生?)……その声は、コーチですね」

ゆっくりとした足取りで、老コーチがドアを開けて入って来る。
永遠亭で嗅ぎ慣れた消毒薬の匂いがして、ドアの向こうからは忙しそうな看護師の足音が聞こえたので、
ここが病院であると、鈴仙は改めて認識する事が出来た。

鈴仙「あの、コーチ。私ってやっぱり本当に、ずっと眠っていたんですか……?」

鈴仙はおずおずと元医師の老人に問いかけると、彼は深く頷いた。
省44

[766]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2018/01/05(金) 00:04:51 ID:???
コーチ「実感が湧かぬのも仕方あるまいて。……いや。むしろ、実感が湧かぬからこそ、救われる事もあるのかもしれぬ。
     ある医師は、『老人の痴呆は、死の恐怖を和らげる為の神からの贈り物である』と話していたが、
     今はある意味、それと同じなのかもしれぬな……」

そんな鈴仙の様子を見て、コーチは小さく独り言ちると、星はハッと息を呑む。
……そんな風に扱われると、暢気な鈴仙も不安だ。鼻や耳をつねるのを止めて、鈴仙は改めて二人に向き直る。
省47

[767]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2018/01/05(金) 00:06:14 ID:???
鈴仙「……はい」

不思議に、恐怖や悲しみは感じなかった。未だ尚、あらゆる事に実感が持てていないからかもしれない。

コーチ「鈴仙。……君は視力を失った。少なくともここブラジルの、いや、この世界のあらゆる医学の粋を尽くしても、
     君が再び元の光を戻す事は……無い、だろう」

コーチの発言も、何となく予想出来ていた。しかし、それは自分自身に対して宣告された物ではないと、
さしたる重要な事象では無いのだと、鈴仙は何故かそう思っていた。 省52

[768]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2018/01/05(金) 00:11:09 ID:???
……と、言ったところで今日はここまでです。
明日か明後日には文章パートを終えて、本格的に新章に突入したいです。
>>762
実は北斗の拳って読んだことないです(汗)
鈴仙の失明については、最近3DSでやった某RPGの展開から着想を得ました。

[769]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2018/01/06(土) 15:24:00 ID:???

魅魔「ああ、そうさ。大変な事に巻き込まれたみたいだね、鈴仙」

……彼女の名は魅魔。『プロジェクト・カウンターハクレイ』の監督役にして、
鈴仙や仲間達を海外へと派遣した張本人でもある彼女は、中性的な低い声でそう答えた。

魅魔「『ハイパーカンピオーネ』は、勝利の為には何でもやる集団だ。
   だけど、妖夢にせよ、鈴仙にせよ。あそこまで明け透けに、邪魔者を潰しにかかるとは思わなかった。 省71

[770]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2018/01/06(土) 15:25:37 ID:???
魅魔「……ハッキリ言って、『プロジェクト・カウンターハクレイ』の首脳陣は、あんた達に失望している。
    実力だけは向上したようだが、肝心の精神力が追いついていない。
    このままでは、全幻想郷選抜代表はおろか、下手な海外の代表チームにも負けてしまうのではないか……ってね。
    実際のところ、リオカップ優勝は序の口の筈だった。今後のあんた達が破らなくてはならない相手と比べては、
    充分低いハードルである事は間違いないんだ」
省81

[771]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2018/01/06(土) 15:26:51 ID:???
――魅魔の説明を補足すると、具体的な目的を掲げる勢力は『プロジェクト・カウンターハクレイ』だけではない。
八雲紫を首謀とする全幻想郷代表チームは、『プロジェクト・カウンターハクレイ』に真正面から勝利する事で、
逆に人間に対する、妖怪や博麗の巫女の優越性を証明したいと思っている。
また、豊聡耳神子は、『ハイパーカンピオーネ』計画を立ち上げ、自らによる幻想郷の統治体制を築く事を目的に、 省42

[772]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2018/01/06(土) 15:28:06 ID:???
鈴仙「……!」

星「ど……どういう事ですか? だって、魅魔さんは仰いましたよね? プロジェクト・カウンターハクレイの目的は、
  被支配者側である人間、あるいは無名妖怪の連合軍が、支配者側である強豪妖怪及び博麗の巫女の連合軍に勝利すること。
  それをきっかけに、幻想郷に蔓延る価値観を一新させること、ですって。
  それで、だから私達のような、主流から外れる人妖達を募って、新チームを立ち上げたんですよね? 省67

[773]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2018/01/06(土) 15:32:35 ID:???
魅魔「……あははっ」

星「なっ……! 何がおかしいのですか!? きちんと説明してください!!」

星が声を荒げれば荒げる程、魅魔は余裕綽綽に笑って受け流す。
果てや一触即発の雰囲気にもなりかねないところで、魅魔は漸く口を開いた。

魅魔「……いや、悪いね。別に意地悪しようと思った訳じゃあないんだ。
    ただ、”そこ”なんだよ。寅丸星よ。そこが、あたしが今日ここに来た一番の理由にして、 省48

[774]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2018/01/06(土) 15:33:38 ID:???




  魅魔「鈴仙・優曇華院・イナバとその仲間達よ。我々『全魔界ユース』は、
      1か月後に我らの主催で行われる、【魔界カップ】の出場チームとして――お前達を招待する!」


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0ch BBS 2007-01-24