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【赤と8ビットの】キャプテン岬【物語《ロマン》】
[324]キャプテン岬 ◆ma4dP58NuI
:2018/05/27(日) 20:09:00 ID:4HTfgGS2
ドアマンに案内されてルドワイヤンに入る。予約の確認が済んだ後、今度は食事の用意が出来るまでと、
ウエイティングコーナーへと案内された。細かい柄の絨毯、壁の美しい装飾、
落ち着いた明るさの照明が部屋に満たされている。
芸術的な待合室の様子にうっとりとしかかっていると、
部屋の中央近くの椅子で葉巻をくゆらせている壮年の紳士を見かけた。
顔つきは長嶋茂雄をフランス人にして、社交界の風に慣らした風といった方が良いだろうか。
省62
[325]キャプテン岬 ◆ma4dP58NuI
:2018/05/27(日) 20:10:26 ID:4HTfgGS2
見慣れぬ外国人の相手に戸惑う態を見せ、声を堅めに返事をする。
年相応の純朴な子供だとさりげなく印象付け、余計な警戒を抱かせない仕草。
日本にいるころ年配者と相対する場面でこう振舞って歓心を得て心理的に相手の懐に入り込み、
父さんと共に肉体の懐にしまわれた財布を相手から差し出させてきた。
そんな一連の流れを見た相手は、一瞬にやりと笑った後、ハッハッハッと芝居気かかって笑い出した。
省51
[326]キャプテン岬 ◆ma4dP58NuI
:2018/05/27(日) 20:12:46 ID:4HTfgGS2
給仕「こちらドラモットのブラン・ド・ブランになります。料理が出来上がるまで、今しばらくお待ちください」
食前酒にシャンパンが(僕にはガス抜きの水が)運ばれ、並々とグラスに注がれる。
グラスが置かれたテーブルのクロスはアラベスク模様の白レースで、
下に敷いている深紅色のサテンも相まって、しっとりとした煌びやかさを放っている。
父さんとマルシェはウェイターに軽く会釈を交わした後、グラスを目の上に挙げる。
マルシェ「日仏社会主義の連帯に」
省39
[327]キャプテン岬 ◆ma4dP58NuI
:2018/05/27(日) 20:14:57 ID:4HTfgGS2
しばらくして父さんは紙を収めて封筒に戻し、自らの懐へ入れた後、目の前の協力者に感謝の言葉を伝えた。
岬父「ありがとうございます。これで明日からでも仕事ができそうです」
マルシェ「それは良かった。不足したところは」
岬父「ありません」
マルシェ「おお、その言葉を聴いて安心しました。これで我が党の完全な独立も、遠いものではなくなるでしょう」
相手は笑みを浮かべている。ただ初体面の時とは違いどこか皮肉めいているというか、どこかに
省21
[328]キャプテン岬 ◆ma4dP58NuI
:2018/05/27(日) 20:16:45 ID:4HTfgGS2
マルシェ「知っての通りフランスという国名はラテン語のFrancia、『フランク人の国』を意味する女性名詞だ。
女性と言ってもローマの昔から侵略者をただ黙って迎えはしない、
馬上で槍を握って我さきへと敵に向かっていく敢然とした女性だ。
この遺伝子は我が共産党にも濃厚に受け継がれている。
先の大戦で侵略者達に国土を踏みにじられた後、他のブルジョア政党はただ右往左往するばかりだったが、
省18
[329]キャプテン岬 ◆ma4dP58NuI
:2018/05/27(日) 20:18:46 ID:4HTfgGS2
マルシェ「だが、現在はそうではない。現在の我が党指導部、私的関係でいえば私の兄上は、
国内で右往左往し、国外で貞淑さを示すばかりだ。
社会党の内閣に入閣したはいいものの、ゴタゴタと揉めてばかりで
影響力を発揮するどころか、今にも離脱してしまいそうだ。
目を外に向けると、4年前のソ連のアフガン侵攻、3年前のポーランド干渉など、
共産主義の理想を逸脱した覇権主義的行為に対し、
省30
[330]キャプテン岬 ◆ma4dP58NuI
:2018/05/27(日) 20:23:56 ID:4HTfgGS2
マルシェ「すまない、少々興奮しすぎて、見苦しい所を見せてしまった」
岬父「いえいえ、お陰で私にかけてくださっている期待の大きさが分かりました」
マルシェ「そういってもらえると有難い。問題は深刻だがその原因の1つが資金源だ。ここだけの話だが」
ここまで語ってふいにマルシェ氏が立ち上がり、こちらに来る。僕らの後ろに立って
身をかがめ、耳元で小声でつぶやく。
マルシェ「ソビエト共産党から多額の金銭援助を受けている。スポンサーに逆らえないのはどこも変わらない。
省34
[331]キャプテン岬 ◆ma4dP58NuI
:2018/05/27(日) 20:25:13 ID:4HTfgGS2
マルシェ「有難い。これで何の心配もいらなくなって、安心してここの料理に味わえるというものだ。
ここのエシーヌ・フリアンドは絶品でね。ここのを口にすると他のエシーヌは口に入らぬ」
エシーヌ・フリアンド。メニューで見たときはトンカツに似た料理のようだった。
だが実際にはトンカツとは違う。
金モール付きのマホガニーで作られたワゴンで運ばれたエシーヌが、テーブルへと運ばれる。
金縁に赤紫の花が咲くお皿に金のナイフとスプーン。そしてエシーヌの見事なつくりが、
省36
[332]キャプテン岬 ◆ma4dP58NuI
:2018/05/27(日) 20:28:07 ID:4HTfgGS2
マルシェ「私からのプレゼントだ。フランス共産党が発刊しているサッカー雑誌、
Le Miroir de football。きっと参考になると思うよ」
岬「サッカー、雑誌、ですか」
手渡された雑誌を目にして、僕は戸惑いを覚えた。
サッカーが盛んな国であるし、共産党がサッカー雑誌を作っていても
おかしくないのかもしれないが、それにしても表紙が奇抜である。
僕位の歳の金長髪の男の子がキーパーウェアを着てしとけなくゴールポストに寄りかかり、
省51
[333]キャプテン岬 ◆ma4dP58NuI
:2018/05/27(日) 20:29:54 ID:4HTfgGS2
思わぬところで耳にした同年代のフランス人実力者。それがパリにいるのだ。きっと
何かの役に立つだろう。だが次の言葉で現実に引き戻される。
マルシェ「ところで君は、サッカーで世界を目指す気はないかね」
岬「え、も、勿論」
マルシェ「そう言うだろうと思った。思ってなければ日本一にはなれなかっただろうからね。だがここはフランス、
君は外国人だ。残念ながら外国人の少年が世界レベルの大会に出られる機会が殆どない。
省23
[334]キャプテン岬 ◆ma4dP58NuI
:2018/05/27(日) 20:32:24 ID:4HTfgGS2
マルシェ「君の父親の友人の1人として私も非常に残念に思う。
こうした現実は全ての人間に平等な機会を与えるべきという共産主義の理念にも反する。
だから。ここを見てほしい」
Spartakiada Mezhdunarodnaya Podrostkami se tenant!
マルシェ「タロー・ミサキ。君に国際友好諸国年少者総合体育大会、
通称国際ジュニアユーススパルタキアーダへの参加テスト権を与える」
岬「国際……スパルタキアーダ?」
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0ch BBS 2007-01-24